JP2014194071A - メッキ用電気銅およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅メッキを行う際の銅の供給源となる小塊状の銅であって、不純物量の少ない電気銅を提供すること、および、その製造方法を提供する。
【解決手段】硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下で、電気銅の高さの差D(mm)と直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の円柱形状を有する電気銅およびレジストに円形の開口部を形成し該開口部に電気銅を電着させる電気銅の製造方法であって、レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が、A<−18×H+10の条件を満たす電気銅の製造方法によって、前記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下で、電気銅の高さの差D(mm)と直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の円柱形状を有する電気銅およびレジストに円形の開口部を形成し該開口部に電気銅を電着させる電気銅の製造方法であって、レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が、A<−18×H+10の条件を満たす電気銅の製造方法によって、前記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、銅の電解メッキにおいて銅原料として使用されるメッキ用電気銅およびその製造方法に関する。
従来、ニッケルメッキにおけるニッケルの供給源としては、ニッケル精錬電解液からレジストでマスキングされたカソード電極上に、ニッケルを析出させて製造される小塊状の電気ニッケルが使用されている(特許文献1、特許文献2)。
一方、携帯電話やコンピュータなどのプリント配線基板に銅メッキをする方法としては、銅をアノード極、プリント配線基板をカソード極として、希硫酸溶液等のメッキ浴槽の中に浸漬し、通電する電解メッキが広く使用されている。この電解メッキは、アノード極とされた銅が希硫酸溶液中に溶け出し、カソード極とされたプリント配線基板の表面に銅メッキが施されるものである。
この電解メッキの銅原料なるアノード極としてボール状に形成された銅材(メッキ用アノード銅ボール)が使用され、メッキ浴槽の中にTiなどの耐食性材料で構成されたバスケットが配置され、そのバスケット内にメッキ用アノード銅ボールが順次装入されていくものが提案されている。銅材は溶液中に溶解していくため、順次消耗していくが、その消耗量に合わせてメッキ用アノード銅ボールをTiバスケットに装入できるので、連続して電解メッキを行うことができるものである(特許文献3)。
ところが、銅メッキにおける銅の供給源としては、特許文献1、2に示されたニッケルメッキと異なり、銅精錬電解液から電解工程により製造された小塊状の電気銅は使用されておらず、主に通常の板状の電気銅を改めて溶解、鋳造、圧延、切断、鍛造して製造される銅ボールが使用されてきた。
銅メッキにおける銅の供給源としても、銅精錬電解液から電解工程により製造された小塊状の電気銅を使用することが切望されてきたが、電気ニッケルと同様に小塊状の電気銅を製造しようとすると、小塊状の電気銅は小塊状の電気ニッケルに比べ表面の凹凸(エッジ部の盛り上がり)が大きくなり、不純物量が多くなってしまう。これが小塊状の電気銅が銅メッキにおける銅の供給源として用いられて来なかった理由である。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、銅メッキを行う際の銅の供給源となる小塊状の銅であって、不純物量の少ない電気銅を提供すること、および、その製造方法を提供することである。
本発明者らは、銅精錬電解液から小塊状の純度の高い電気銅を製造すべく様々な観点から実験を行った。
銅精錬電解液から小塊状の電気銅を製造するために、ステンレス製の平板状のカソードの表面に所定の直径(例えば、15mm)の穴を複数設けた所定の厚み(例えば、0.75mm)のレジストを形成し、レジストの開口部に銅を電着させる。
この時、開口部の周縁部に電流が集中してしまい、電流密度が高くなるため、銅が開口部の周縁部に集中して析出してしまい、周縁部の結晶粒がより粗雑になってしまう。結晶粒が粗雑になってしまう結果、不純物の巻き込みが多くなるため、小塊状の電気銅の純度が良くならないという知見を得た。
この現象を解決して、電気銅の純度を上げるために、レジストの開口部の周縁部に電流を集中させない方法について試行錯誤を重ねた結果、電気銅の高さの差D(mm)と電気銅の直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の時、硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下の高純度電気銅が得られることを見出した。電気銅の直径は、次工程でのハンドリングを考慮すると10〜50mm程度が好ましい。
また、前述の電気銅を再現性よく製造する条件について鋭意研究したところ、レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が次の条件を満たすとき硫黄(S)不純物濃度を再現性よく低減できることを見出した。
A<−18×H+10
A<−18×H+10
本発明は、前述したような本発明者らによる研究の結果、完成するに至ったものであり、
「(1) 硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下で、電気銅の高さの差D(mm)と直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の円柱形状を有する電気銅。
(2) レジストに円形の開口部を形成し該開口部に電気銅を電着させる電気銅の製造方法であって、前記レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が、
A<−18×H+10
の条件を満たすことを特徴とする(1)に記載の電気銅の製造方法。」
の特徴を有する。
「(1) 硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下で、電気銅の高さの差D(mm)と直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の円柱形状を有する電気銅。
(2) レジストに円形の開口部を形成し該開口部に電気銅を電着させる電気銅の製造方法であって、前記レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が、
A<−18×H+10
の条件を満たすことを特徴とする(1)に記載の電気銅の製造方法。」
の特徴を有する。
つぎに、本発明について詳細に説明する。
本発明のメッキ用電気銅およびその製造方法の最も重要な特徴は、メッキ用の銅アノードを電解精錬工程で製造できる点にある。その結果、鋳造、圧延、切断、鍛造等の工程が必要なくなるため、大幅なコストダウンが可能になる。これまで、ニッケルメッキにおいては、メッキ用ニッケルアノードを電解精錬工程で製造することが実現されていた。しかしながら、銅メッキにおいては、メッキ用銅アノードを電解精錬工程で製造することが実現されていなかった。
その理由は電気ニッケルと同様に小塊状の電気銅を製造しようとすると、ニッケルに比べエッジ部の盛り上がりが大きくなってしまう。これはニッケルに比べ銅の交換電流密度が大きいため、電解精錬で銅を製造すると結晶が粗雑に成長し、その部分に不純物が巻き込まれてしまうためである。そのため電解精錬工程でメッキ用の高純度アノードを製造することは困難であった。
本発明は、これまで困難であったメッキ用の銅アノードを電解精錬工程で製造することを可能にし、その結果、高純度の銅アノードを得るとともに、大幅なコストダウンを可能にしたものであって、その効果は絶大である。
つぎに、本発明について、実施例および比較例により具体的に説明する。
通常の方法で得られた純度99%以上の銅により、縦:200mm、横:100mm、厚さ:50mmのアノードを作製した。一方、カソードには、縦:200mm、横:100mm、厚さ:3mmのステンレス製の平板に所定の直径C(mm)の円形の複数の開口部を有する所定の厚みH(mm)のレジストを覆設した。
電解液には、銅の電解精錬液を使用した。
電解液は、Cu:50g/L、H2SO4:180g/Lの硫酸系電解液である。
電解液は、Cu:50g/L、H2SO4:180g/Lの硫酸系電解液である。
前記電解液に、前記アノードとカソードとを20mm離して浸漬し、電解液を攪拌しながら所定の電流密度の直流電流を所定の時間通電し、カソードの開口部に電気銅を形成させた。その結果を表1に示す。
実施例1〜6および比較例1〜4について、厚みが最も厚い部分と最も薄い部分の差D(mm)を求めた。そして、電気銅の直径R(mm)との比D/Rを求めた。表1の結果は、D/Rが0.08以上のものを低品質として比較例、0.08未満のものを高品質として実施例と分類した。
また、本発明品1〜6および比較品1〜4について、高周波燃焼―赤外吸収法によってSの含有量を測定した結果、本発明品については、いずれも5ppm以下であった。一方、比較品1〜4については、Sの含有量がいずれも5ppmを超えていた。
表1の結果から明らかなように、D/Rが0.08以上のものはSの含有量が5ppmを超えており、D/Rが0.08未満のものはSの含有量が5ppm未満である。すなわち、レジストの開口部に電着する電解銅の端部の盛り上がりが大きいものは不純物量が大きいことが分かる。この端部の盛り上がり部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、中央部に比べて結晶粒が粗雑になっていることが確認された。この結果から、電解銅の端部が盛り上がることにより、結晶粒が粗雑になり、そのため不純物の巻き込みが多くなり電解銅のSの含有量が増加すると裏付けられる。
また、実施例1〜6および比較例1〜4の電流密度A(A/dm2)とレジストの厚みH(mm)の関係を縦軸に電流密度A(A/dm2)、横軸にレジストの厚みH(mm)としてプロットしてみると、実施例1〜6については、いずれも、A<−18×H+10の関係を満たしているのに対して、比較例1〜4については、A≧−18×H+10であることが分かった。
したがって、高純度電解銅を電解精製するのに適した電流密度A(A/dm2)は、レジストの厚みをH(mm)とすると、A<−18×H+10の関係を満足する値である。
前述の通り、本発明によれば、銅メッキを行う際の銅の供給源となる小塊状の銅アノードを電解精錬で製造することができるため、硫黄含有量が5ppm以下というような高純度銅アノードを製造することができ、より高純度な銅メッキが可能となる。しかも、レジストの厚みも薄いため剥離しやすくカソード電極の再生も容易であるとともに、レジストに使用される樹脂の使用量も低減することができ生産コストを低減することが可能となるなど、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
Claims (2)
- 硫黄(S)不純物濃度が5ppm以下で、電気銅の高さの差D(mm)と直径R(mm)の比(D/R)が0.08未満の円柱形状を有する電気銅。
- レジストに円形の開口部を形成し該開口部に電気銅を電着させる電気銅の製造方法であって、前記レジストの厚みH(mm)と電流密度A(A/dm2)が、
A<−18×H+10
の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気銅の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014005027A JP2014194071A (ja) | 2013-02-27 | 2014-01-15 | メッキ用電気銅およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013036789 | 2013-02-27 | ||
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JP2014005027A JP2014194071A (ja) | 2013-02-27 | 2014-01-15 | メッキ用電気銅およびその製造方法 |
Publications (1)
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JP2014005027A Pending JP2014194071A (ja) | 2013-02-27 | 2014-01-15 | メッキ用電気銅およびその製造方法 |
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