JP2014193147A - コドン最適化変異エビルシフェラーゼ遺伝子およびその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】動物培養細胞および大腸菌の両方で効率よく蛋白質を発現することができるオプロフォーラスルシフェラーゼの変異触媒ドメインのコドン最適化遺伝子、及び天然19kDa蛋白質より高い活性を示す変異19kDa蛋白質に適した基質セレンテラジン類縁体を用いた発光方法の提供。
【解決手段】特定の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するオプロフォーラスルシフェラーゼの変異触媒ドメインからなるポリヌクレオチド、及び、特定の塩基配列からなるポリヌクレオチドがコードする発光蛋白質に適した基質セレンテラジン類縁体として、bis-セレンテラジンを用いる発光反応を行う方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、エビルシフェラーゼ(オプロフォーラスルシフェラーゼ)の変異触媒ドメインのコドン最適化遺伝子、およびその使用法などに関する。
ルシフェラーゼの中で最も単純な発光系は、ルシフェリンと酸素のみで発光反応が進む系であり、その代表的な発光系はセレンテラジンを発光基質とする系である。発光反応が単純であるため、その遺伝子を用いたレポーターアッセイが汎用されている。セレンテラジンを基質とする発光系で使用されるルシフェラーゼの中で、分泌型ルシフェラーゼは、オプロフォーラス(Oplophorus)ルシフェラーゼやガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼ等が知られている。
オプロフォーラスルシフェラーゼは甲殻類である深海エビ由来で、1978年Shimomuraらによりその蛋白質が同定され(非特許文献1)、2000年Inouyeらにより、オプロフォーラスルシフェラーゼは320アミノ酸残基より構成される35kDa蛋白質と169アミノ酸残基より構成される19kDa蛋白質との複合体であることが、その遺伝子単離により明らかにされた(特許文献1、非特許文献2)。さらに、セレンテラジンを発光触媒するドメインは19kDa蛋白質にあることも、大腸菌および動物培養細胞を用いて遺伝子発現により証明された(特許文献1、非特許文献2)。また、大腸菌内で19kDaドメイン蛋白質遺伝子を発現させると、95%以上不溶性蛋白として発現する。大腸菌系において、19kDa蛋白質はプロテインA由来のZZドメイン融合蛋白質として可溶発現することが示されている(非特許文献3)。一方、動物培養細胞では、それ自身の分泌シグナルでは分泌せず、細胞内で発光活性を持つことが示されている(非特許文献2)。2012年、この19kDaドメイン蛋白質遺伝子へ常法のランダム変異導入により、変異19kDaドメイン遺伝子が作成され、天然19kDa蛋白質より高い活性を示す事が示され、「nanoLuc」 と名付けられている。169アミノ酸残基より構成される天然19kDa蛋白質(KAZ)とのアミノ酸の相違は16カ所あり、90.5%の相同性を示す(非特許文献4)。しかし発光機能に必須なアミノ酸残基は特定されておらず、変異残基の機能は不明である。特許文献2には、天然19kDa蛋白質より高い活性を示すnanoLucを含む変異19kDa蛋白質が開示されている。
また、発光基質であるセレンテラジンは、ウミシイタケ由来のRenillaルシフェラーゼの発光基質、またはオワンクラゲ由来の発光タンパク質イクオリンの発光源としても知られており、イミダゾピラジノン環を主骨格とする化合物である。発光機構はセレンテラジンに酸素が付加して生じたペルオキシドからジオキセタノンが生成し、つづいて脱炭酸反応が進行することで、発光種と考えられている励起状態のセレンテラミドアニオンが生成する。そして、これが基底状態に移動する際に青色の発光(λmax = 460-490 nm)を示すと考えられている。これまでに50種類以上のセレンテラジン類縁体が合成され、それらを基質として発光特性が検討されてきた。特に、オプロフォーラスルシフェラーゼは、他のセレンテラジン系ルシフェラーゼに比べて、基質特性が広く、セレンテラジンに比べ5倍以上高い発光活性を示すセレンテラジン類縁体を見出すことは容易ではない(非特許文献5-9)。
特許第4613441号 特表2012-525819
Shimomura O. et al. Biochemistry. 1978; 17:994-998. Inouye S. et al. FEBS Lett. 2000; 481: 19-25. Inouye S.& Sahara Y. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2008; 376: 448-53. Hall M.P. et al. ACS Chem. Biol. 2012; 7: 1848-1857. Inouye S. &Shimomura O. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1997; 233: 349-353. Nakamura, H. et al. Tetrahedron Lett. 1997; 38: 6405-6406. Wu C. et al. Tetrahedron Lett. 2001; 42: 2997-3000. Inouye S. & Sasaki S. Protein Express. Purif. 2007; 56: 261-268. Inouye S. et al. Protein Express. Purif. 2013; 88: 150-156.
セレンテラジンは数多くの海洋性発光生物由来ルシフェラーゼ共通の発光基質となるが、これらルシフェラーゼ間の一次構造に顕著な相同性は見られず、触媒部位も明らかになっていない。そのため、発光基質やルシフェラーゼ蛋白質を精密分子設計しルシフェラーゼ蛋白質に最適なルシフェリンを予測することは不可能であり、個々のルシフェラーゼについて適した基質を見つけるには、セレンテラジン類縁体の中よりスクリーニングする必要がある。
上記状況の下、動物培養細胞および大腸菌の両方で効率よく蛋白質を発現することができるオプロフォーラスルシフェラーゼの変異触媒ドメインのコドン最適化遺伝子が求められる。また、天然19kDa蛋白質より高い活性を示す変異19kDa蛋白質に適した基質セレンテラジン類縁体が求められる。
本発明者らは、上記状況に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、動物培養細胞および大腸菌で蛋白質を効率よく発現することができるコドン最適化オプロフォーラスルシフェラーゼの触媒変異19kDaドメイン遺伝子を見いだした。また、その遺伝子がコードするポリペプチドをルシフェラーゼ酵素源として用いて、既存のセレンテラジン類縁体の中よりスクリーニングを行い、高い活性を有するセレンテラジン類縁体を見いだした。これらのことより、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すポリヌクレオチド、組換えベクター、形質転換体、ポリペプチドの製造方法、キット、発光方法などを提供する。
[1] 以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[2] 以下の(a)〜(d)からなる群から選択される、上記[1]に記載のポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して95%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[3] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される、上記[1]に記載のポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[4] 配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[5] さらに、翻訳促進のためのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/または精製のためのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のポリヌクレオチド。
[6] 配列番号:5、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:14のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
[8] 上記[7]に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
[9] 上記[8]に記載の形質転換体を培養し、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリヌクレオチドがコードする蛋白質を生成させる工程を含む、蛋白質の製造方法。
[10] 上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリヌクレオチド、上記[7]に記載の組換えベクターまたは上記[8]に記載の形質転換体を含むキット。
[11] さらに、bis-セレンテラジンを含む、上記[10]に記載のキット。
[12] (i) 上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質;および
(ii) bis-セレンテラジンを含む、キット。
[13] (i) 下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質;および
(ii) bis -セレンテラジンを含む、キット。
[14] 上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質と、bis -セレンテラジンとを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
[15] (i) 下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質;と、
(ii) bis-セレンテラジンとを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
[16] 上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として用い、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法。
[17] 発光基質として、bis-セレンテラジンを用いる、上記[16]に記載の方法。
本発明は、動物培養細胞および大腸菌の両方で効率よく蛋白質を発現することができるオプロフォーラスルシフェラーゼの変異触媒ドメインのコドン最適化遺伝子を提供する。また、本発明は、天然19kDa蛋白質より高い活性を示す変異19kDa蛋白質に適した基質セレンテラジン類縁体を用いた発光方法を提供する。
コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質を、分泌シグナルペプチドを使用せずに分泌発現させるベクターpcDNA3-nanoKAZのプラスミドマップを示す図である。 ガウシアルシフェラーゼの分泌配列を有する発現べクター pcDNA3-GLspのプラスミドマップを示す図である。 コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質をガウシアルシフェラーゼの分泌シグナルを用いて分泌発現させるベクターpcDNA3-GLsp-nanoKAZのプラスミドマップを示す図である。 セレンテラジン類による組換えnanoKAZの発光パターンの比較を示す図である 大腸菌でのコドン最適化nanoKAZドメインタンパク質とZZ-ドメインの融合タンパク質発現ベクター pCold-ZZ-P-nanoKAZのプラスミドマップを示す図である。 組換えnanoKAZの精製工程でのSDS-PAGE分析を示す図である。レーン1;分子量マーカー、2:粗抽出液、3:ニッケルキレートゲル溶出ZZ-P-nanoKAZ画分、4:組換えnanoKAZを含むニッケルキレート未吸着画分。 pcDNA3-GLsp-dnKAZのプラスミドマップを示す図である。 pcDNA3-GLsp-nanoLucのプラスミドマップを示す図である。 pcDNA3- nanoLucのプラスミドマップを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。

1.本発明の蛋白質
本発明の蛋白質は、配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する蛋白質である。
「配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性」とは、例えば、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性(本明細書中で、単に「発光活性」という場合がある。)、すなわち、ルシフェリン(例えば、セレンテラジン類)が酸素分子で酸化されてオキシルシフェリンが励起状態で生成する反応を触媒するようになる活性を意味する。なお、励起状態で生成したオキシルシフェリンは可視光を発して基底状態となる。
このような活性もしくは機能は、例えば、Inouye, S. & Shimomura, O. (1977) Biochem. Biophys. Res. Commun. 233,349-353に記載の方法によって測定することができる。具体的には、本発明の蛋白質をルシフェリンと混合することにより発光反応を開始させ、発光測定装置を用いて発光触媒活性を測定することができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えばLuminescencer−PSN AB2200(アトー社製)、またはCentro 960 luminometer (ベルトール社製)を使用することができる。
本発明で用いられるルシフェリンとしては、本発明の蛋白質の基質となるルシフェリンであればよい。本発明で用いられるルシフェリンとしては、具体的にはイミダゾピラジノン環を主骨格とするセレンテラジン類が挙げられる。
セレンテラジン類は、セレンテラジンまたはその類縁体のことを意味する。セレンテラジン類縁体としては、例えば、bis−セレンテラジン、deoxyfurane-セレンテラジン(フリマジン(furimazine))、h−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、n−セレンテラジン、MeO−セレンテラジン、e−セレンテラジン、cl−セレンテラジンch−セレンテラジン、3iso-セレンテラジン、3meo-セレンテラジン、cf3-セレンテラジン、i-セレンテラジン、et-セレンテラジン、me-セレンテラジン、3me-セレンテラジン、αmeh-セレンテラジン8-(1-naphthyl)-セレンテラジン、8-(2-naphthyl)-セレンテラジン、8-(2-thienyl)-セレンテラジン、6,8-di(2-thienyl)-セレンテラジン、8-(4-hydroxyphenyl)-セレンテラジン、8-(2-benzothienyl)-セレンテラジン、8-(b-styryl)-セレンテラジン、8-phenyl-セレンテラジン、6-deoxy-セレンテラジン、8-(3-thienyl)-セレンテラジン、および8-(3-benzo[b]thienyl)-セレンテラジンがあげられる。セレンテラジン類の中でも、本発明では、bis-セレンテラジンが特に好ましい。
これらのセレンテラジン類は、公知の方法で合成してもよく、あるいは、市販のものを入手することもできる。
セレンテラジン類の合成方法としては、例えば、Shimo mura et al. (1988) Biochem.J. 251, 405-410、Shimomura et al. (1989) Biochem.J. 261, 913-920、Shimomura et al. (1990) Biochem.J. 270, 309-312、Nakamura et al. (1997) Tetrahedron Lett.. 38:6405-6406、WO2010/090319号公報、もしくはInouye et al.(2010) Anal. Biochem.407, 247-252に記載の方法またはそれに準ずる方法が挙げられる。また、フリマジンは、Hall et al. (2012) ACS Chem. Biol. 16; 848-1857に記載の方法により製造することができる。
また、セレンテラジン類の市販品に関しては、例えば、JNC株式会社製のセレンテラジン、cf3-セレンテラジンおよびh−セレンテラジン;ビオチウム(Biotium)社製のhcp−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジンおよびn−セレンテラジン;ならびにプロメガ社製のセレンテラジン、フリマジンおよびh-セレンテラジンを挙げることができる。
「ルシフェリンを基質とする発光触媒活性」は、好ましくは、セレンテラジン類を基質とする発光触媒活性である。「セレンテラジン類を基質とする発光触媒活性」は、好ましくは、bis-セレンテラジンを基質とする発光触媒活性である。「bis-セレンテラジンを基質とする発光触媒活性」は、さらに好ましくは、bis-セレンテラジンを基質としたときにセレンテラジンと比較して10倍以上高い相対最大発光強度を示す発光触媒活性であり、特に好ましくは、bis-セレンテラジンを基質としたときにセレンテラジンと比較して10倍以上高い相対最大発光強度を示し、かつ、連続的に発光する発光触媒活性である。相対最大発光強度における「10倍以上」は、例えば、10〜20倍、10〜15倍、10〜14倍、10〜13倍、10〜12倍、または10〜11倍である。「連続的に発光」における連続発光時間は、1分〜120分、1分〜60分、1分〜30分、1分〜15分、1分〜10分、1分〜5分または1分〜3分である。
「配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する蛋白質」は、例えば、下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質である。
(a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、および
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質。
本願明細書において「1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加」とは、同一配列中の任意かつ1〜8個のアミノ酸配列中の位置において、1〜8個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加があることを意味する。
「1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列」における「1〜8個」の範囲は、例えば、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、“Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)”、“Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997) ”、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、o−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸;
C群:アスパラギン、グルタミン;
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸;
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン;
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン;
G群:フェニルアラニン、チロシン。
配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列において、配列番号:1のアミノ酸配列の6番目のGlu、13番目のArg、20番目のLeu、29番目のLeu、35番目のAsn、45番目のArg、46番目のIle、56番目のIle、70番目のAsp、74番目のGln、77番目のLys、92番目のVal、117番目のGlu、126番目のLys、140番目のIle、および168番目のArgの全てのアミノ酸が欠失または置換されていないのが好ましい。
本願明細書において、「95%以上の同一性を有するアミノ酸配列」における「95%以上」の範囲は、例えば、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
また、本発明の蛋白質は、後述の本発明のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質であってもよい。
好ましくは、本発明の蛋白質は、下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質である。
(a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、および
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質。
さらに好ましくは、本発明の蛋白質は、配列番号:1のアミノ酸配列からなるポリぺプチドを含有する蛋白質である。
本発明の蛋白質は、さらに他のペプチド配列をN末端および/またはC末端、好ましくはN末端に含んでいてもよい。他のペプチド配列としては、例えば、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、本発明の蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を挙げることができる。他のペプチド配列は、好ましくは、精製のためのペプチド配列および/または分泌シグナルペプチド配列である。本発明の別の好ましい態様では、他のペプチド配列は、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、および本発明の蛋白質を可溶性蛋白質として発現するための配列からなる群から選択される少なくとも1つの配列である。
本発明の融合蛋白質は、さらに、制限酵素サイトのリンカー配列が含まれていてもよい。
翻訳促進のためのペプチド配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。翻訳促進のためのペプチド配列としては、例えば、TEE配列が挙げられる。
精製のためのペプチド配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、例えば、ヒスチジン残基が4残基以上、好ましくは6残基以上連続したアミノ酸配列を有するヒスチジンタグ配列、グルタチオン S−トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインのアミノ酸配列、プロテインAのアミノ酸配列、およびアビジンタグ配列が挙げられる。
分泌シグナルペプチドとは、当該分泌シグナルペプチドに結合された蛋白質を、細胞膜透過させる役割を担うペプチド領域を意味する。このような分泌シグナルペプチドのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列は、当技術分野において周知であり、報告されている(例えばvon Heijine G (1988) Biochim. Biohys. Acra 947: 307−333、von Heijine G (1990) J. Membr. Biol. 115: 195−201参照)。分泌シグナルペプチドとしては、より具体的には、例えば、大腸菌の外膜蛋白質A由来の分泌シグナルペプチド(OmpA)(Ghrayeb, J. et al. (1984) EMBO J. 3:2437−2442)、コレラ菌由来コレラトキシン由来の分泌シグナルペプチド、および後述の実施例で用いたガウシアルシフェラーゼの分泌シグナルペプチドが挙げられる。
本発明の蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列としては、例えば式(Z)nで表わされるポリペプチド(特にはZZドメイン)を挙げることができる。式(Z)nで表わされるポリペプチドのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列としては、特開2008-99669号に記載したものなどが挙げられる。
制限酵素サイトのリンカー配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。
本発明のいくつかの態様の蛋白質は、配列番号:6、配列番号7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:15および配列番号:16のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有する蛋白質である。
本発明の蛋白質の取得方法については特に制限はない。本発明の蛋白質としては、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組換え蛋白質であってもよい。本発明の蛋白質を化学合成する場合には、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等により合成することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所社製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。本発明の蛋白質を遺伝子組換え技術により作製する場合には、通常の遺伝子組換え手法により作製することができる。より具体的には、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を適当な発現系に導入することにより、本発明の蛋白質を作製することができる。本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド、本発明の蛋白質の発現系での発現などについては、後記する。
2.本発明のポリヌクレオチド
本発明は、前述した本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチドも提供する。本発明のポリヌクレオチドとしては、本発明の蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよいが、好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベクターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織からtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
本発明のポリヌクレオチドとしては、具体的には、以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチドが挙げられる。
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
ここで、「ルシフェリンを基質とする発光触媒活性」は、前述の通りである。
「1〜複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列」とは、同一配列中の任意かつ1〜複数個の塩基配列中の位置において、1〜複数個の塩基の欠失、置換、挿入および/または付加があることを意味する。
「1〜複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列」における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加した塩基の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記塩基の欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、“Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)”、“Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997) ”、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
ある塩基配列に対して、1もしくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加したポリヌクレオチドは、部位特異的変異導入法(例えば、Gotoh, T. et al., Gene 152, 271-275 (1995)、Zoller, M.J., and Smith, M., Methods Enzymol. 100, 468-500 (1983)、Kramer, W. et al., Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、Kramer W, and Fritz H.J., Methods. Enzymol. 154, 350-367 (1987)、Kunkel,T.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 488-492 (1985)、およびKunkel, Methods Enzymol. 85, 2763-2766 (1988)参照)、アンバー変異を利用する方法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)参照)などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換および/または挿入)を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S. N. et al., Gene 77, 51 (1989)参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種である蛋白質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、その蛋白質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3’端の塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、その蛋白質をコードするポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
「90%以上の同一性を有する塩基配列」における「90%以上」の範囲は、例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号:2の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。
本発明の好ましい態様のポリヌクレオチドは、以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して95%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
本発明のさらに好ましい態様のポリヌクレオチドは、以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列において1〜10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2の塩基配列に対して98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
本発明の特に好ましい態様のポリヌクレオチドとして、配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、他のペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。他のペプチド配列としては、例えば、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、本発明の融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を挙げることができる。
本発明のポリヌクレオチドは、さらに、制限酵素サイトのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドを含んでいてもよい。
翻訳促進のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている翻訳促進のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを使用することができる。翻訳促進のためのペプチド配列としては、前記したものなどが挙げられる。
精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、前記したものなどが挙げられる。
分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、当記述分野において知られている分泌シグナルペプチドをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。分泌シグナルペプチドとしては、前記したものなどが挙げられる。
本発明の蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当記述分野において知られている可溶性タンパク質として発現するためのペプチドをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。本発明の蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチドとしては、前記したものなどが挙げられる。
制限酵素サイトのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。
本発明のいくつかの態様のポリヌクレオチドは、配列番号:5、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:14のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドである。
3.本発明の組換えベクターおよび形質転換体
さらに、本発明は、上述した本発明のポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび形質転換体を提供する。
組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明のポリヌクレオチド(DNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。より具体的には、精製されたポリヌクレオチド(DNA)を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入して、ベクターに連結することにより得ることができる。本発明のポリヌクレオチドを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、動物ウイルス等が挙げられる。プラスミドとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325, pUC118, pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、および酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)があげられる。バクテリオファージとしては、例えば、λファージがあげられる。動物ウイルスとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、および昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルス)があげられる。また、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)、PICZ aベクター(インビトロジェン社製)なども好適に使用することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、通常、適当なベクター中のプロモーターの下流に、発現可能なように連結される。用いられるプロモーターとしては、形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
また、低温で発現誘導可能なプロモーターも好適に使用することができる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック遺伝子のプロモーター配列が挙げられる。コールドショック遺伝子としては、例えば、大腸菌コールドショック遺伝子(例えば、cspA、cspB、cspG、cspI、およびcsdA)、Bacillus caldolyticusコールドショック遺伝子(例えば、Bc−Csp)、Salmonella entericaコールドショック遺伝子(例えば、cspE)、およびErwinia carotovoraコールドショック遺伝子(例えば、cspG)が挙げられる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、なかでも、cspAプロモーター、cspBプロモーター、cspGプロモーター、cspIプロモーター、csdAプロモーターなどを好適に使用することができる。
本発明の組換えベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカーなどを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子があげられる。
形質転換体の作成
このようにして得られた、本発明のポリヌクレオチド(すなわち、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド)を含有する組換えベクターを、適当な宿主中に導入することによって、形質転換体を作成することができる。宿主としては、本発明のポリヌクレオチド(DNA)を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、シュードモナス属菌、リゾビウム属菌、酵母、動物細胞または昆虫細胞などがあげられる。エシェリヒア属菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などがあげられる。バチルス属菌としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などがあげられる。シュードモナス属菌としては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などがあげられる。リゾビウム属菌としては、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などがあげられる。酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などがあげられる。動物細胞としては、COS細胞、CHO細胞、HeLa細胞などがあげられる。昆虫細胞としては、Sf9、Sf21などがあげられる。
組換えベクターの宿主への導入方法およびこれによる形質転換方法は、一般的な各種方法によって行うことができる。組換えベクターの宿主細胞への導入方法としては、リン酸カルシウム法(Virology, 52, 456−457 (1973))、リポフェクション法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987))、エレクトロポレーション法(EMBO J., 1, 841−845 (1982))などがあげられる。エシェリヒア属菌の形質転換方法としては、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)、Gene, 17, 107 (1982)などに記載の方法などがあげられる。バチルス属菌の形質転換方法としては、Molecular & General Genetics,168, 111 (1979)に記載の方法などがあげられる。酵母の形質転換方法としては、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929 (1978)に記載の方法などがあげられる。動物細胞の形質転換方法としては、Virology,52, 456 (1973)に記載の方法などがあげられる。昆虫細胞の形質転換方法としては、Bio/Technology, 6, 47−55 (1988)に記載の方法などがあげられる。このようにして、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)を含有する組換えベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターおよび形質転換体
発現ベクターとしては、なかでも低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターとは、具体的には、次のプロモーター配列、およびコード配列を含有する発現ベクターを意味する:
(1)低温で発現誘導可能なプロモーター配列;および
(2)本発明のポリヌクレオチドを含有するコード配列。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列とは、宿主細胞を増殖させる培養条件から、温度を下げることによって蛋白質の発現を誘導可能なプロモーター配列を意味する。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック蛋白質をコードする遺伝子(コールドショック遺伝子)のプロモーターが挙げられる。コールドショック遺伝子のプロモーターとしては、前記したものが挙げられる。
本発明で用いられる低温で発現誘導可能なプロモーターが発現誘導しうる温度としては、通常30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下である。ただし、より効率良く発現を誘導させるため、通常は5℃以上、好ましくは10℃以上、特に好ましくは約15℃で発現誘導させる。
本発明の低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを作製する場合、本発明のポリヌクレオチドを挿入するためのベクターとしては、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)などを好適に使用することができる。これらのベクターを使用して、原核細胞を宿主として発現させた場合、蛋白質を宿主細胞の細胞質中に可溶性蛋白質として産生させることができる。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを導入する宿主としては、原核細胞が好ましく、さらに大腸菌が好ましく、特にBL21株、JM109株が好ましく、なかでもBL21株が好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度は、通常25〜40℃、好ましくは30〜37℃である。発現誘導させる温度は、通常4〜25℃、好ましくは10〜20℃、より好ましくは12〜18℃、特に好ましくは15℃である。
4.本発明の蛋白質の製造
また、本発明は、前記形質転換体を培養し、本発明の蛋白質を生成させる工程を含む、本発明の蛋白質の製造方法を提供する。本発明の蛋白質は、例えば、前記形質転換体を本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(DNA)が発現可能な条件下で培養し、本発明の蛋白質を生成・蓄積させ、分離・精製することによって製造することができる。
形質転換体の培養
本発明の形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。該培養によって、形質転換体によって本発明の蛋白質が生成され、形質転換体内または培養液中などに本発明の蛋白質が蓄積される。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する培地としては、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加える。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加える。
宿主が酵母である形質転換体を培養する培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980))や0.5%(w/v)カザミノ酸を含有するSD培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5330 (1984))があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する培地としては、約5〜20%(v/v)の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, 122, 501 (1952)),DMEM培地(Virology, 8, 396 (1959))などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する培地としては、Grace's Insect Medium(Nature,195,788(1962))に非働化した10%(v/v)ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
なお、低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度および発現誘導させる温度は、前記した通りである。
本発明の蛋白質の分離・精製
上記培養物から、本発明の蛋白質を分離・精製することによって、本発明の蛋白質を得ることができる。ここで、培養物とは、培養液、培養菌体もしくは培養細胞、または培養菌体もしくは培養細胞の破砕物のいずれをも意味する。本発明の蛋白質の分離・精製は、通常の方法に従って行うことができる。
具体的には、本発明の蛋白質が培養菌体内もしくは培養細胞内に蓄積される場合には、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リゾチーム、または凍結融解)で菌体もしくは細胞を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分離、またはろ過)により本発明の蛋白質の粗抽出液を得ることができる。本発明の蛋白質がペリプラズムスペース中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、浸透圧ショック法)により本発明の蛋白質を含む抽出液を得ることができる。本発明の蛋白質が培養液中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、またはろ過)により菌体もしくは細胞と培養上清とを分離することにより、本発明の蛋白質を含む培養上清を得ることができる。
このようにして得られた抽出液もしくは培養上清中に含まれる本発明の蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。本発明の蛋白質が上述した精製のためのペプチド配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、本発明の蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト法、プロテインAのアミノ酸の配列を含有する場合には抗体アフィニティークロマト法を用いることができる。
5.本発明の蛋白質の利用
発光による検出マーカーとしての利用
本発明の蛋白質は、ルシフェリン存在下、発光による検出マーカー(以下、「本発明の検出マーカー」)として利用することができる。本発明の検出マーカーは、イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。
本発明の蛋白質は、例えば、目的蛋白質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入することによって、前記目的蛋白質の分布を測定するために利用することもできる。このような目的タンパク質などの分布の測定は、発光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、本発明の蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
用いる発光基質(ルシフェリン)は、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましく、bis-セレンテラジンであるのが特に好ましい。
レポーター蛋白質としての利用
本発明の蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)を、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列(例えば、エンハンサー)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、ルシフェリン(発光基質)存在下、本発明の蛋白質に由来する発光を検出することにより、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列の活性を測定することができる。
用いるルシフェリンは、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましく、bis-セレンテラジンであるのが特に好ましい。
本発明のポリヌクレオチドは、上述のようにして、レポーター遺伝子として利用することができる。
アミューズメント用品の材料
本発明の蛋白質は、ルシフェリンが酸素分子で酸化されてオキシルシフェリンが励起状態で生成される反応を触媒する活性を有する。励起状態のオキシルシフェリンは可視光を発して基底状態となる。よって、本発明の蛋白質などは、アミューズメント用品の材料の発光基材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、発光シャボン玉、発光アイス、発光飴、発光絵の具等があげられる。本発明のアミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
用いるルシフェリンは、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましく、bis-セレンテラジンであるのが特に好ましい。
生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法
本発明の蛋白質は、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法による分子間相互作用の原理を利用した生理機能の解析や酵素活性の測定等の分析方法に利用することができる。
例えば、本発明の蛋白質 (「本発明のルシフェラーゼ」という場合がある。)をドナーとして使用し、蛍光物質(例えば、有機化合物、および蛍光蛋白質)をアクセプターとして使用して、両者の間で生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)を起こすことによりドナーとアクセプターとの間の相互作用を検出することができる。
本発明のある態様では、アクセプターとして使用する有機化合物は、Hoechist3342、Indo−1、DAP1などである。本発明の別の態様では、アクセプターとして使用する蛍光蛋白質は、緑色蛍光蛋白質(GFP)、青色蛍光蛋白質(BFP)、変異GFP蛍光蛋白質、フィコビリンなどである。
本発明の好ましい態様において、解析する生理機能は、オーファン受容体(特にG蛋白質共役受容体)、アポトーシス、または遺伝子発現による転写調節などである。また、本発明の好ましい態様において、分析する酵素は、プロテアーゼ、エステラーゼまたはリン酸化酵素などである。
BRET法による生理機能の解析は、公知の方法で行うことができ、例えば、Biochem. J. 2005, 385, 625−637、またはExpert Opin. Ther Tarets, 2007 11: 541−556に記載の方法に準じて行うことができる。また、酵素活性の測定も、公知の方法で行うことができ、例えば、Nature Methods 2006, 3:165−174、またはBiotechnol. J. 2008, 3:311−324に記載の方法に準じて行うことができる。
用いる発光基質(ルシフェリン)は、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましく、bis-セレンテラジンであるのが特に好ましい。
6.本発明のキット
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、本発明の組換えベクター、本発明の形質転換体および本発明の複合体から選択されるいずれかを含むキットも提供する。また、本発明は、本発明の蛋白質を含むキットも提供する。本発明のキットには、さらにルシフェリンを含んでいてもよい。
ルシフェリンは、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましく、bis-セレンテラジンであるのが特に好ましい。
本発明のキットは、通常用いられる材料および方法で製造することができる。本発明のキットは、例えば、サンプルチューブ、プレート、キット使用者に対する指示書、溶液、バッファー、試薬、標準化のために好適なサンプルまたは対照サンプルを含んでもよい。本発明のキットには、さらに、ハロゲン化物イオンを含む塩などを含んでいてもよい。
本発明のキットは、上述したレポーター蛋白質もしくはレポーター遺伝子を用いた測定、発光による検出マーカー、BRET法による生理機能の解析または酵素活性の測定などに利用することができる。また、後述の発光反応方法に用いることもできる。
7.発光反応方法
発光触媒活性
本発明の蛋白質は、ルシフェリン(例えば、セレンテラジン類)を酸素分子で酸化して励起状態のオキシルシフェリンを生成させる反応を触媒する活性を有する。励起状態のオキシルシフェリンは、基底状態となる際に可視光を発する。すなわち、本発明の融合蛋白質等は、ルシフェリンを基質とする発光反応を触媒し、発光を生じさせる活性を有する。この活性を、本明細書において、「発光触媒活性」と称することがある。
発光反応
本発明の蛋白質を用いた、ルシフェリンを基質とする発光反応は、本発明の蛋白質とルシフェリンとを接触させることにより行うことができる。ここで、「接触」とは、本発明の蛋白質とルシフェリンとを同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、ルシフェリンを収容した容器に本発明の蛋白質を添加すること、本発明の蛋白質を収容した容器にルシフェリンを添加すること、本発明の蛋白質とルシフェリンとを混合することが含まれる。反応条件としては、オプロフォーラスルシフェラーゼを用いた発光反応に通常用いられる条件またはそれに準じた条件で行うことができる。
具体的には、反応溶媒としては、Tris−HCl緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、水、などが用いられる。
反応温度は、通常約4℃〜約40℃、好ましくは約4℃〜約25℃である。
反応溶液のpHは、通常約5〜約10、好ましくは約6〜約9、より好ましくは約7〜約8、特に好ましくは約7.5である。
ルシフェリンとしては、前述の通り、セレンテラジン類が好ましく、特にbis-セレンテラジンが好ましい。
ルシフェリンは、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド等の極性溶媒や、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールの溶液として反応系に加えてもよい。
発光活性の活性化
本発明の蛋白質の、ルシフェリンを基質とする発光活性は、ハロゲン化物イオン、非イオン性界面活性剤などにより活性化される。
ハロゲン化物イオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどがあげられ、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンが好ましい。
ハロゲン化物イオンの濃度は、通常約10μM〜約100mM、好ましくは約100μM〜約50mM、特に好ましくは約1mM〜約20mMである。
反応系にハロゲン化物イオンを添加する方法としては、塩として添加する方法などがあげられる。用いられる塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩などがあげられる。より具体的には、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2などがあげられる。
非イオン性界面活性剤の市販品(商品名)としては、Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、TritonX-100(ポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)、Briji-58 (ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル)、Nonidet P-40 (エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)n)などがあげられ、Tween20、TritonX-100などが好ましい。
非イオン性界面活性剤の濃度は、通常約0.0002%(w/v)〜約0.2%(w/v)、好ましくは約0.001%(w/v)〜約0.1%(w/v)、特に好ましくは約0.05%(w/v)〜約0.02%(w/v)である。
なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。
発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
以下に実施例により本発明を説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1 コドン最適化核酸の設計および化学合成
天然型オプロフォーラスルシフェラーゼの触媒19kDaドメイン(KAZと略することもある)より変異導入して創出されたプロメガ社の変異オプロフォーラスルシフェラーゼの触媒19kDaドメイン(nanoLucと略することもある)のアミノ酸配列(配列番号:1)をもとに、コドン最適化オプロフォーラスルシフェラーゼの触媒変異19kDaドメイン(nanoKAZと略することもある)の遺伝子設計を行った。具体的には、nanoLucのアミノ酸配列(配列番号:1)を変えることなく、ヒトにおける高頻度使用のアミノ酸コドンのみを使用し、nanoKAZの塩基配列の設計を行った(配列番号:2)。nanoKAZドメインのコドン使用頻度表を表1に示した。明らかにコドン最適化nanoKAZドメイン核酸は、ヒト高頻度使用のアミノ酸コドンのみで設計されている。最適化設計したコドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子を、常法により化学合成法により合成した。
表1 コドン最適化コドン使用頻度表
天然由来の169 アミノ酸を有するKAZに対するnanoKAZおよびnanoLucアミノ酸配列レベルでの相同性を、表2にまとめた。
天然由来のKAZに対するnanoKAZおよびnanoLuc遺伝子配列レベルでの相同性を、表3にまとめた。
実施例2 動物培養細胞でコドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質を分泌発現するベクターの構築
(1)分泌シグナル配列を使用しないでコドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質を分泌発現する発現ベクター
コザック配列を含むコドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子配列フラグメントを制限酵素Asp817とXbaI で消化後、pcDNA3ベクター(インビトロジェン社製)のAsp817-XbaI部位に挿入し、pcDNA3-nanoKAZ ベクターを構築した(図1)。
発現ベクターpcDNA3-nanoKAZ ベクターがコードするnanoKAZの塩基配列を配列番号:2に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:1に示す。
(2)ガウシアルシフェラーゼの分泌シグナル配列を使用してコドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質を分泌発現するベクター
コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質発現ベクターの構築は以下の通りである。先ず、動物培養細胞での新規発現ベクターpcDNA3-GLspを構築した。具体的には、pcDNA3-GLucベクター(プロルミ社製)よりガウシアルシフェラーゼの分泌シグナル配列をプライマーGLsp-1R/EcoRI (配列番号:3:5' ggc GAA TTCGGT GGG CTT GGC CTC GGC CAC 3'、アンダーラインEcoRI 配列)とT7プライマー(配列番号:4:5' TAATACG ACTCACTATAGGG 3')を用いPCR法により取得し、それをHindIII/EcoRIで消化後、得られた断片を、pcDNA3ベクター(インビトロジェン社製)の制限酵素部位であるHindIII/EcoRI部位に挿入することにより、新規発現ベクターpcDNA3-GLspを構築した(図2)。すなわち、新規発現ベクターは、CMVのプロモーターに制御され、その下流にコザック配列、ガウシアルシフェラーゼの分泌シグナル配列、マルチクローニングサイト配列を有する。
次に、新規発現ベクターpcDNA3-GLspを用いたコドン最適化nanoKAZドメインタンパク質発現ベクターpcDNA3-GLsp-nanoKAZ(図3)の構築は以下の通りである。コドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子配列フラグメントを常法により制限酵素EcoRI/XbaIにて消化した後、pcDNA3-GLspのEcoRI-XbaI 部位に連結することによって、図3に示す発現ベクターpcDNA3-GLsp-nanoKAZを構築した。なお、DNA シークエンサー(ABI社製)により塩基配列を決定することにより、インサート遺伝子配列の確認を行った。
発現ベクターpcDNA3-GLsp-nanoKAZがコードするGLsp-nanoKAZの塩基配列を配列番号:5に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:6に示す。また、その分泌後のアミノ酸配列を、配列番号:7に示す。
実施例3 動物培養細胞へのベクターの導入および測定用酵素の調製法
(1)発現プラスミドの精製
実施例2にて得られたpcDNA3-nanoKAZ およびpcDNA3-GLsp-nanoKAZプラスミドを用いて以下の実験を行った。pcDNA3-nanoKAZ とpcDNA3-GLsp-nanoKAZ プラスミドは大腸菌JM83より、プラスミド精製キット(QIAGEN社製)を用いて精製し、1μg/μLの濃度になるよう滅菌水に溶解した。同様にして、内部標準のためのホタルルシフェラーゼベクター(pGL4.13 [Luc2/sv40]:プロメガ社製)を使用した。
(2)トランスフェクションおよび測定用酵素の調製法
チャイニーズハムスター卵巣由来の細胞株CHO-KI株を、10%(v/v)牛胎児血清(バイオウエスト社製)を含むHam’s F-12培地(和光純薬社製)にて培養し、ヒト子宮頸癌由来の細胞HeLa 細胞株およびアフリカミドリザルの腎臓の細胞COS-1細胞株を、10%(v/v)牛胎児血清(バイオウエスト社製)を含むDMEM(和光純薬社製)で培養した。それぞれの細胞を1 x 10 細胞/ウエル/2 mL培地にて6 ウエルプレートに播種し(n = 2)、インキュベーター中37 ℃、5 %(v/v) CO2にて培養した。24時間後、精製pcDNA3-nanoKAZ またはpcDNA3-GLsp-nanoKAZプラスミドをFuGene HD(プロメガ社製)トランスフェクションキットを用いて、CHO細胞にトランスフェクションし、次の実験に用いた。具体的には、100μL の培地に、pcDNA3-nanoKAZ発現ベクター1μgまたはpcDNA3-GLsp-nanoKAZ発現ベクター1μgとpGL4.13 [Luc2/sv40]内部標準ベクター0.1μgと、FuGene HD 3μLを加え、室温で15分間放置した。100μLのDNA-FuGene 複合体溶液を、6ウエルの細胞に添加した。48時間培養後、培養液を回収して、測定用分泌nanoKAZ酵素溶液とした。一方、細胞内で発現したnanoKAZについては、細胞を3mL1x PBSで3回洗浄後、1 mLの1x PBSに懸濁し、氷上で超音波破砕処理して得られたものを、細胞抽出nanoKAZ酵素液とした。
実施例4 動物培養細胞発現コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質での発光活性測法
実施例3で得られた測定用酵素溶液5μLを、0.5μg のセレンテラジン(JNC社製)を含む100μLの50mM Tris-HCl (pH 7.6)-10 mM EDTA(和光純薬)に加え、発光反応を開始させた。発光活性は、発光測定装置(アトー社製:AB2200)で、60秒間で測定し、最大発光強度(Imax)と60秒間の積算値を相対発光強度(rlu)で表記した。一方、トランスフェクションの効率を確認するための内部標準で使用したホタルルシフェラーゼについては、実施例3で得られた測定用酵素溶液5μLを、100μL の酵素アッセイ用試薬(プロメガ社)に加え、発光反応を開始させた。発光活性は、発光測定装置(アトー社製:AB2200)で、10秒間での発光積算し、相対発光強度(rlu)で表記した。その結果ホタルルシフェラーゼの発光活性は、CHO-K1 細胞では、pcDNA3-nanoKAZ: 7,827 rlu、 pcDNA3-GLsp-nanoKAZ:6,865 rlu、 HeLa細胞ではpcDNA3-nanoKAZ:1,970 rlu、 pcDNA3-GLsp-nanoKAZ:1,787 rlu、 COS-1細胞では pcDNA3-nanoKAZ:28,232 rlu、 pcDNA3-GLsp-nanoKAZ:31,380 rlu,であった。細胞種間のトランスフェクションの効率の違いはあるが、pcDNA3-nanoKAZとpcDNA3-GLsp-nanoKAZのトランスフェクション効率は、細胞種内ではほぼ同一である。CHO-K1細胞、HeLa細胞、およびCOS-1細胞での、培養液及び細胞内の発光活性測定の結果を表4に示す。明らかに、分泌シグナルペプチド配列のないpcDNA3-nanoKAZを、pcDNA3-GLsp-nanoKAZと同等あるいはそれ以上に効率良く分泌することが示された。すなわち、本出願記載のコドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子を含む発現ベクターpcDNA3-nanoKAZは、分泌シグナルペプチド配列なしでnanoKAZを分泌させることが出来ることが明らかとなった。
表4 セレンテラジンを発光基質として、コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質の細胞外分泌活性の細胞種による比較。
実施例5 コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質の基質特異性および発光パターンの比較
基質特異性実験に使用したセレンテラジン類縁体は、それぞれ論文記載の方法で合成した。具体的には、bis-セレンテラジン はNakamura et al. (1997) Tetrahedron Lett.. 38:6405-6406, フリマジン(Furimazine)は、Hall et al. (2012) ACS Chem. Biol. 16; 848-1857, C2-セレンテラジン類縁体は、Inouye et al (2010) Anal. Biochem. 407: 247-252に記載の方法で合成した。実施例4記載の方法でnanoKAZを分泌させた培養液をセレンテラジンまたはその類縁体の酵素液として用いて、発光活性を測定した。その結果、nanoKAZによる基質特異性は表5に示す通りであった。セレンテラジン類縁体の中で、相対最大発光強度でセレンテラジンより10倍以上高い化合物は、h-、bis-、3me-、3meo-セレンテラジンであり、1分間の相対積算発光量で10倍以上のものはh-、bis-セレンテラジンである。一方、それらの発光パターンを、図4に示す。図4に示されている通り、発光パターンが急激に減衰しないものは、bis-セレンテラジン、フリマジンおよび3iso-セレンテラジンである。その結果、発光強度および積算発光量でセレンテラジンの10倍以上であり、且つ発光が減衰せずに連続的発光する組合せが可能である発光基質はbis-セレンテラジンである。bis-セレンテラジンは、既報のフリマジンよりも2倍以上活性が高く、発光機能が著しく改善されている。
表5 コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質の基質特異性
実施例6 コドン最適化nanoKAZドメインの大腸菌内での発現のための発現ベクターの構築
大腸菌を宿主として、コドン最適化nanoKAZドメインを発現するために、発現ベクターpCold-ZZ-X(Inouye & Sahara, Protein Express. Purif. (2009) 66:52-57に記載)を使用した。この発現ベクターのEcoRI/XbaI制限酵素部位にコドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子をクローン化し、ZZドメインと融合したnanoKAZ蛋白質を発現できるpCold-ZZ-P-nanoKAZプラスミドを構築した(図5)。コドン最適化nanoKAZドメイン遺伝子配列の確認は、塩基配列(ABI社製)をDNAシークエンサーにて確認した。
実施例7 コドン最適化nanoKAZドメインの大腸菌内での発現及び精製
以下手順に従って、組換えnanoKAZドメインを精製した。先ず、大腸菌細胞で可溶性蛋白質として融合蛋白質を発現させた。発現させた融合蛋白質は、6個のヒスチジン残基を含むヒスチジンタグと、ZZドメインと、プロテアーゼ切断サイトと、目的蛋白質(すなわち、組換えnanoKAZドメイン)とを持つ。次に、大腸菌細胞で発現させた融合蛋白質を含む可溶性画分を、一回目のニッケルキレートカラムにかけた。そして、カラムに吸着した画分を、融合蛋白質を含む画分として回収した。次に、カラムから溶出させた融合蛋白質をプロテアーゼで切断した。さらに、融合蛋白質の切断フラグメントを2回目のニッケルキレートカラムにかけ、カラム通過画分を回収した。通過画分には、目的蛋白質である組換えnanoKAZドメインが含まれる。未切断融合蛋白質と切断ヒスチジンタグZZドメインはゲルに吸着させた。以下、これらの手順について詳細に説明する。
(i)可溶性蛋白質としてのHis-ZZ-P-nanoKAZの発現および精製
コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質(以下「nanoKAZ」と言うことがある。)を、大腸菌において発現させるため、実施例6で作製した組換えプラスミドpCold-ZZ-P-nanoKAZを用いた。宿主大腸菌株としてBL21(Novagen, Madison, WI)を用いた。アンピシリン(50μg/mL)を含有する10 mLのLuria−Bertani培地で、37℃で18時間、pCold-ZZ-P-nanoKAZを含むBL21株を培養した。この種培養を、400 mLのLB培地を含む3Lフラスコに植菌し、3時間培養し、その後、冷水で、1時間冷却した。その培地に、最終濃度が0.2 mMとなるようにIPTGを加えた後、さらに15℃で20時間培養した800 mLの培養液から、5,000 rpmで5分間の遠心分離により大腸菌を回収し、80 mLの50 mM Tris-HCl (pH7.6) 中に懸濁し、Branson model 250 sonifire(Danbury, CT)を用い、冷却しながら3分間に3回の超音波処理することにより大腸菌を破壊した。12,000 rpmで10分間の遠心分離後、ZZ-P-nanoKAZを含む上清70 mLを、50 mM Tris-HCl (pH7.6)で平衡化したニッケルキレートカラム(カラムサイズ;2.5×6cm:GE Healthcare社製)に供した。250 mLの50 mM Tris-HCl (pH7.6) でカラムを洗浄した後、0.1 Mイミダゾールで吸着したHis-ZZ-P-nanoKAZを溶出させた。800 mLの培養細胞からの融合蛋白質ZZ-P-nanoKAZの収量は、37.2 mgであり、SDS−PAGE分析では、純度95%以上であった。
組換えプラスミドpCold-ZZ-P-nanoKAZがコードするHis-ZZ-P-nanoKAZの塩基配列を配列番号:8に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:9に示す。
(ii)PreScission ProteaseによるHis-ZZ-P-nanoKAZの消化
消化条件は、次の通りである。すなわち、ニッケルキレートカラムから溶出したHis-ZZ-P-nanoKAZ (2.7 mg)を、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTTを含む1 mLの50 mM Tris-HCl (pH7.6)中で、3μgのPreScission Protease(GE Healthcare社製)を用いて、4℃で18時間消化した。
(iii)組換えnanoKAZの精製
PreScission proteaseによるHis-ZZ-P-nanoKAZの消化処理溶液の中には、切断により生じるZZドメインと組換えnanoKAZと、未切断His-ZZ-P-nanoKAZとが含まれる。切断ZZドメインと未切断His-ZZ-P-nanoKAZから組換えnanoKAZを分離するため、PreScission protease処理溶液を、50 mM Tris-HCl (pH7.6)で平衡化した2 mLのニッケルキレートカラム(0.5 x6 cm)に直接かけた。そして、0.7 mgの組換えnanoKAZを含む通過分画を回収した。精製nanoKAZ 蛋白質の純度は、SDS-PAGEで分析し95%以上であった(図6)。
ここで組換えnanoKAZの塩基配列を配列番号:10に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:11に示す。
(i)-(iii)の精製過程の精製収量を表6にまとめた。
表6 nanoKAZの精製収量
実施例8 精製コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質での発光活性測法
実験例7で得られた精製酵素溶液5μl(0.03μg)を、1μg のセレンテラジン(JNC社製)またはその類縁体を含む100μlの50 mM Tris-HCl (pH 7.6)-10 mM EDTA(和光純薬)に加え、発光反応を開始させた。発光活性は、発光測定装置(アトー社製:AB2200)で、60秒間で測定し、最大発光強度(Imax)と60秒間の積算値を相対発光強度(rlu)で表記した。
実施例9 精製コドン最適化nanoKAZドメイン蛋白質の基質特異性
実施例8記載の方法で、精製コドン最適化nanoKAZドメインの発光活性を測定した。その結果、精製nanoKAZによる基質特異性を表7に示す。セレンテラジン類縁体の中で、相対最大発光強度でセレンテラジンより10倍以上高い化合物は、h-、bis-、3me-、3meo-セレンテラジンであり、60秒間の相対積算発光量で10倍以上のものはh-、bis-セレンテラジンである。精製コドン最適化nanoKAZを酵素液として用いた結果は、培養細胞液を酵素液として用いた結果と良く一致している。
表7 精製nanoKAZによる基質特性
実施例10発光スペクトルの測定による分光学的解析
精製nanoKAZ(3 μg)を500 μlの10 mM EDTA を含む30 mM Tris-HCl(pH7.6) 溶液にエタノールに溶解した基質セレンテラジン(5μg/5μL)を添加することにより発光反応を開始させ、光路長10 mmの石英セルにて、蛍光測定装置(日本分光社製、FP-6500)の励起光源をオフにして発光スペクトルを測定し、スペクトル補正を行なった。測定条件は、バンドパス:20nm、レスポンス:0.5sec、スキャンスピード:2000nm/min、22〜25℃である。測定した発光スペクトルより発光極大値(λmax, nm)と半値幅(nm)を求め、表8にまとめた。このスペクトル結果は、最大発光波長は425 nmから462 nmの間にあり、半値幅は、71 nm から75 nmの間にあり、セレンテラジンC2位お及びC6位の誘導体は発光スペクトルに影響与えないことが明らかとなった。
表8 セレンテラジン類縁体による精製nanoKAZ発光スペクトルの比較
実施例11 nanoKAZ遺伝子と nanoLuc 遺伝子の培養細胞系での発現の比較
nanoKAZ遺伝子とnanoLuc遺伝子の培養細胞系での遺伝子発現効率を比較するために、nanoKAZ遺伝子配列とnanoLuc遺伝子配列のみが異なる発現ベクターを構築し、構築した発現ベクターをCHO-K1 細胞へトランスフェクション後、ルシフェラーゼ活性の発現量を以下の手順で比較した。なお、nanoLuc遺伝子については、Hall et al. (2012) ACS Chem. Biol. 16; 848-1857記載の遺伝子配列を化学合成して用いた。
(1) 分泌シグナルを使用する分泌ルシフェラーゼの評価ベクターの構築:プロモーター配列、コザック配列及びシグナルペプチド配列を同一にした発現ベクター、pcDNA3-GLsp-dnKAZ(図7)及びpcDNA3-GLsp-nanoLuc(図8)を以下の手順により構築した。
pcDNA3-GLsp-dnKAZは、nanoLucのアミノ酸数を同一にするため、nanoKAZ 遺伝子のアミノ末端にある7個のアミノ酸配列を削除したndKAZ 遺伝子フラグメント(dnKAZ フラグメント)を調製した。pCold-ZZ-P-nanoKAZを鋳型としてプライマーnanoKAZ-1N/EcoRI(配列番号:12:5’ gcgGAATTCTTCACCCTGGAGGACTTCGTCGGC 3’: アンダーラインEcoRI 配列)とプライマーnanoKAZ-3C/XbaI(配列番号: 13:5’ gccTCTAGATTAGGCCAGGATTCTCTCGCACAGTCT 3’:アンダーラインXbaI 配列)を用いて、PCR法により遺伝子増幅した。得られたフラグメントを制限酵素EcoRI/XbaIで消化後、実施例2記載のpcDNA3-GLsp ベクターのEcoRI-XbaI制限酵素部位に連結することにより、pcDNA3-GLsp-dnKAZを作成した。発現ベクターpcDNA3-GLsp-dnKAZがコードするGLsp-dnKAZの塩基配列を配列番号:14に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:15に示す。また、その分泌後のアミノ酸配列を、配列番号:16に示す。
pcDNA3-GLsp-nanoLucベクターについては、化学合成したnanoLuc遺伝子を鋳型としてプライマーnLuc-1N/EcoRI(配列番号:17:5’ gcgGAATTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGG 3:アンダーラインEcoRI 配列)とプライマーnLuc-2C/XbaI(配列番号: 18:5gccTCTAGATTACGCCAGAATGCGTTCGCACAGCCG 3’: アンダーラインXbaI 配列)を用い、PCR法により増幅した。得られたフラグメントを制限酵素EcoRI/XbaIで消化後、実施例2記載のpcDNA-GLsp ベクターのEcoRI-XbaI制限酵素部位に連結することにより、pcDNA3-GLsp-nanoLucを作成した。発現ベクターpcDNA3-GLsp-nanoLucがコードするGLsp-nanoLucの塩基配列を配列番号:19に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:15に示す。また、その分泌後のアミノ酸配列を、配列番号:16に示す。
(2) 分泌シグナルを使用しない分泌ルシフェラーゼ評価ベクターの構築:
実施例2記載のpcDNA3-nanoKAZとプロモーター配列及びコザック配列を同一にした発現ベクターpcDNA3-nanoLucを使用した。pcDNA3-nanoLucベクターの構築は以下のとおりである。
化学合成したnanoLuc遺伝子を鋳型としてプライマーnLuc-3N/Asp718(配列番号:20:5’ gcgGGTACCACCATGGTCTTCACACTCGAAGATTTC 3’: アンダーラインAsp718 配列)とプライマーnLuc-2C/XbaI(配列番号:13)を用いて、PCR法により増幅した。得られたフラグメントを制限酵素Asp718/XbaIで消化後、pcDNA3ベクター(インビトロジェン社製)のAsp817-XbaI部位に挿入し、pcDNA3-nanoLuc(図9)ベクターを構築した。発現ベクターpcDNA3-nanoLucがコードするnanoLucの塩基配列を配列番号:21に示し、そのアミノ酸配列を配列番号:22に示す。
(3) nanoKAZ遺伝子とnanoLuc遺伝子発現比較:
実施例3記載の方法により、CHO-K1細胞へベクターを導入し、23時間培養後に培養液及び細胞抽出液を回収し、実施例4記載の方法によりセレンテラジンを発光基質として、培養液及び細胞内の発光活性を測定した。
CHO-K1細胞における培養液及び細胞内の発光活性測定の結果を表9に示す。その結果、nanoKAZ遺伝子は分泌シグナルの無い場合、培養液及び細胞内において、nanoLuc遺伝子を用いた場合約2倍の発現量が確認された。分泌シグナルが有る場合は、培養液に分泌発現するnanoKAZはnanoLucの約1.4倍の発光活性を示しており、本発明のコドン最適化法によるKAZ遺伝子は、
nanoLuc遺伝子より細胞内及び細胞外発現レポーター遺伝子として優れていることが明らかとなった。
表9 CHO-K1細胞におけるnanoKAZ遺伝子及びnanoLuc遺伝子発現の比較
[配列番号:1]nanoKAZのアミノ酸配列である。
[配列番号:2]nanoKAZをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:3]実施例2で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:4]実施例2で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:5]GLsp-nanoKAZをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:6]GLsp-nanoKAZのアミノ酸配列である。
[配列番号:7]GLsp-nanoKAZの分泌後のアミノ酸配列である。
[配列番号:8]His-ZZ-P-nanoKAZをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:9]His-ZZ-P-nanoKAZのアミノ酸配列である。
[配列番号:10]組換えnanoKAZをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:11]組換えnanoKAZのアミノ酸配列である。
[配列番号:12]実施例11で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:13]実施例11で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:14]GLsp-dnKAZをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:15]GLsp-dnKAZおよびGLsp-nanoLucのアミノ酸配列である。
[配列番号:16]GLsp-dnKAZおよびGLsp-nanoLucの分泌後のアミノ酸配列である。
[配列番号:17]実施例11で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:18]実施例11で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:19]GLsp-nanoLucをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:20]実施例11で用いたプライマーの塩基配列である。
[配列番号:21]nanoLucをコードするポリヌクレオチドの塩基配列である。
[配列番号:22]nanoLucのアミノ酸配列である。

Claims (17)

  1. 以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2の塩基配列において1〜複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
    (d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  2. 以下の(a)〜(d)からなる群から選択される、請求項1に記載のポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2の塩基配列に対して95%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
    (d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  3. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される、請求項1に記載のポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2の塩基配列において1〜10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2の塩基配列に対して98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  4. 配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  5. さらに、翻訳促進のためのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/または精製のためのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  6. 配列番号:5、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:14のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  8. 請求項7に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
  9. 請求項8に記載の形質転換体を培養し、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがコードする蛋白質を生成させる工程を含む、蛋白質の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項7に記載の組換えベクターまたは請求項8に記載の形質転換体を含むキット。
  11. さらに、bis-セレンテラジンを含む、請求項10に記載のキット。
  12. (i) 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質;および
    (ii) bis-セレンテラジンを含む、キット。
  13. (i) 下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質;および
    (ii) bis -セレンテラジンを含む、キット。
  14. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質と、bis -セレンテラジンとを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
  15. (i) 下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、ルシフェリンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質;と、
    (ii) bis-セレンテラジンとを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として用い、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法。
  17. 発光基質として、bis-セレンテラジンを用いる、請求項16に記載の方法。
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