以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は車両に搭載されるリヤワイパモータの斜視図を、図2は図1のリヤワイパモータの内部構造を示す平面図を、図3は図2のボールベアリングの周辺を拡大して示す平面図をそれぞれ示している。
図1,2に示すように、モータ装置としてのリヤワイパモータ10は、車両のリヤハッチに搭載されるリヤワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるもので、モータ部20およびギヤ部40を備えている。モータ部20およびギヤ部40は、一対の締結ネジ11によりそれぞれ一体となるよう連結されている。リヤワイパモータ10は、リヤハッチ等の幅狭空間に配置され、図示しないリヤガラス上に設けられるワイパブレード(図示せず)を、所定角度範囲で往復払拭動作させるようになっている。
モータ部20は、ブラシ付きの4極モータとして構成され、その外郭を形成するモータケース(ケース)21を備えている。モータケース21は、磁性体である鋼板を深絞り加工等することにより有底筒状に形成され、その開口側には、各締結ネジ11が挿通されるフランジ部21aが設けられている。モータケース21は、図1に示すように、一対の円弧部および一対の直線部を有するよう断面が略小判形状に形成されている。これにより、モータケース21の幅寸法および厚み寸法を詰めて、幅狭空間への配置に有利な薄型化が図られている。
モータケース21の内側には、断面が略円弧形状に形成された合計4つの永久磁石22が固定されている。各永久磁石22は、例えばフェライト磁石であって、モータケース21の周方向に沿ってそれぞれ等間隔(90度間隔)で固定され、各永久磁石22の内側には、所定の微小隙間を介してアーマチュア23が回転自在に収容されている。アーマチュア23の回転中心には、回転軸としてのアーマチュア軸24の基端側が貫通して固定されている。
アーマチュア軸24の軸方向に沿う略中央部分には、コンミテータ25が固定されており、当該コンミテータ25は複数のセグメント(図示せず)をモールド成形することで形成されている。また、アーマチュア軸24の基端側には、アーマチュア23を形成するアーマチュアコア26が固定されており、アーマチュアコア26は複数のスロット(図示せず)を備えている。各スロットには、所定の巻き方および巻数で複数のアーマチュアコイル27が巻装されている。各アーマチュアコイル27のコイル端は、各セグメントにそれぞれ電気的に接続されている。
コンミテータ25の各セグメントには、複数の給電ブラシ28(図示では2つのみ示す)が摺接するようになっている。各給電ブラシ28は、ギヤケース41のブラシホルダ収容部45に装着されたブラシホルダ29に移動自在に設けられ、各給電ブラシ28には、コネクタユニット60からの駆動電流が供給されるようになっている。このように、モータ部20とコネクタユニット60とは、各給電ブラシ28,コンミテータ25およびアーマチュアコイル27を介して電気的に接続され、これによりアーマチュアコイル27に電磁力が発生し、アーマチュア23(アーマチュア軸24)が回転するようになっている。
アーマチュア軸24の基端側は、モータケース21の底部に設けられたラジアル軸受30のみによって回転自在に支持されており、アーマチュア軸24の基端側とモータケース21の底部との間には、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受が設けられていない。ここで、ラジアル軸受30は、例えば、焼結材により略円筒形状に形成され、これにより、低騒音かつ耐衝撃性および自己潤滑性を備え、さらには摩耗粉が発生し難くなっている。ただし、ラジアル軸受30は、焼結材に換えて耐熱性に優れたプラスチック材料等で形成しても良い。
アーマチュア軸24の先端側はギヤケース41内に収容され、アーマチュア軸24のギヤケース41内に収容された部分には、ウォームギヤ24a(詳細は図示せず)が一体に設けられている。ウォームギヤ24aは、アーマチュア軸24の回転に伴い、ギヤケース41内で回転するようになっている。ウォームギヤ24aは螺旋状に形成され、ウォームホイール43のギヤ歯43aに噛み合わされている。ここで、ウォームギヤ24aは、ウォームホイール43とともに減速機構SDを形成している。
アーマチュア軸24のウォームギヤ24aとコンミテータ25との間には、ボールベアリング31の径方向内側が固定されている。つまり、ボールベアリング31を形成する内輪部材31a(図3参照)が圧入嵌合により固定されている。ここで、ボールベアリング31は、アーマチュア軸24を回転自在に支持するようになっており、本発明における軸受部材を構成している。なお、内輪部材31aのアーマチュア軸24への固定方法としては、アーマチュア軸24に内輪部材31aを単に緊迫力のみで固定しても良いし、アーマチュア軸24に凹凸形状(セレーション形状)を形成し、当該凹凸形状の部分に内輪部材31aを嵌めるようにしても良い。
図3に示すように、ボールベアリング31は、内輪部材31aと外輪部材31bとを備え、内輪部材31aと外輪部材31bとの間には、複数の鋼球31cが設けられている。また、内輪部材31aと外輪部材31bとの間には、各鋼球31cに塗布した潤滑グリス(図示せず)の外部への漏れを防止する一対の環状カバー部材(図示せず)が装着されている。
ボールベアリング31の径方向外側、つまりボールベアリング31の外輪部材31bは、ギヤケース41のベアリング嵌合部47と、ギヤケース41に装着されるストッパプレート70との間に挟持されている。このように、ボールベアリング31の内輪部材31aをアーマチュア軸24に固定し、ボールベアリング31の外輪部材31bをギヤケース41に固定することで、アーマチュア軸24は回転自在に支持されるとともに、ギヤケース41に対する軸方向および径方向への移動が規制された状態となっている。
このように、ボールベアリング31は、ラジアル軸受けおよびスラスト軸受としての機能を備えている。したがって、アーマチュア軸24の先端側とギヤケース41との間においても、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受を設けていない。
図1,2に示すように、ギヤ部40は、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することにより略バスタブ形状に形成されたギヤケース(ケース)41を備えている。ギヤケース41は底部41aおよび壁部41bを備え、ギヤケース41の底部41a側とは反対側は開口されている。そして、ギヤケース41の開口側には、複数の固定ネジS(合計4個)によってブラケットカバー42が装着されている。ここで、ブラケットカバー42は、ギヤケース41内への雨水等の進入を防止するとともに、リヤワイパモータ10を車体に固定する役割を果たしている。
ギヤケース41内には、ウォームホイール43が回転自在に設けられ、当該ウォームホイール43は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより略円盤形状に形成されている。ウォームホイール43の外周にはギヤ歯43aが一体に設けられ、当該ギヤ歯43aには、ウォームギヤ24aが噛み合わされている。ウォームホイール43の回転中心には、鋼材よりなるホイール軸43bの軸方向一端側が固定されており、ホイール軸43bの軸方向他端側はギヤケース41の底部41aに回動自在に支持されている。
ギヤケース41のウォームホイール43から離れた部分(図2中左側)には、鋼材よりなる出力軸44が回転自在に支持されている。出力軸44の基端側はギヤケース41内に設けられ、出力軸44の先端側(図2中奥側)はギヤケース41の外部に延出されている。そして、出力軸44の外部に延出された部分(図1中下側)には、ワイパブレード(図示せず)の基端部が固定されるようになっている。
ギヤケース41内で、出力軸44の基端側とウォームホイール43との間には、ウォームホイール43の回転運動を出力軸44の揺動運動に変換する運動変換機構50が設けられている。運動変換機構50は、揺動リンク51,連結板52および摺接板53を備えている。
揺動リンク51は、鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成され、揺動リンク51の長手方向一端側は、出力軸44の基端側に固定されている。一方、揺動リンク51の長手方向他端側は、連結板52の長手方向一端側に、第1連結ピンP1を介して回動自在に連結されている。連結板52の長手方向他端側は、第2連結ピンP2を介してウォームホイール43の回転中心から偏心した位置に回動自在に連結されている。ここで、揺動リンク51の長さ寸法は連結板52の長さ寸法に対して略半分(略1/2)の長さ寸法に設定されている。また、連結板52においても、揺動リンク51と同様に鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成されている。
このように、出力軸44とウォームホイール43との間に運動変換機構50を設けることで、ウォームホイール43の一方向への回転に伴い出力軸44を所定角度範囲で揺動できるようになっている。具体的には、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール43の回転により、減速して高トルク化された回転力が第2連結ピンP2に伝達され、第2連結ピンP2がホイール軸43bを中心に回転する。すると、連結板52の長手方向他端側もホイール軸43bを中心に回転し、これにより連結板52の長手方向一端側が、第1連結ピンP1を介して揺動リンク51に規制された状態で、出力軸44を中心に揺動する。
摺接板53は、自己潤滑性に優れたプラスチック等の樹脂材料により板状に形成され、連結板52のブラケットカバー42側(図2中手前側)に装着されている。摺接板53の長手方向中央部分には、ブラケットカバー42に摺接する摺接部53aが一体に設けられ、当該摺接部53aには潤滑グリス(図示せず)が塗布されている。これにより、運動変換機構50はギヤケース41内でスムーズに動作することができる。また、運動変換機構50の出力軸44の軸方向へのガタつきが抑制される。
ギヤケース41のモータ部20側(図中右側)には、ブラシホルダ収容部45が一体に設けられている。ブラシホルダ収容部45は、アーマチュア軸24の軸方向に沿って延びるよう略筒状に形成され、当該ブラシホルダ収容部45内には、各給電ブラシ28を移動自在に保持するブラシホルダ29が収容されている。ここで、ブラシホルダ29には、各給電ブラシ28に加えて、図示しない雑防素子(チョークコイルやコンデンサ等)が設けられ、これによりブラシノイズがリヤワイパモータ10の外部に漏れるのを防止している。
ギヤケース41におけるブラシホルダ収容部45のモータ部20側とは反対側には、コネクタユニット60を収容するコネクタユニット収容部46が一体に設けられている。コネクタユニット収容部46は、コネクタユニット60の本体部61を、ストッパプレート70とブラシホルダ収容部45との間に配置するとともに、コネクタユニット60におけるコネクタ接続部62の背部(図中奥側)を支持するようになっている。
これにより、コネクタ接続部62に車両側の外部コネクタ(図示せず)を差し込む際に、コネクタユニット60に大きな負荷が掛かるのを抑制して、コネクタユニット60が破損をするのを防止している。なお、コネクタユニット60は、外部コネクタからの駆動電流を各給電ブラシ28に供給するとともに、ウォームホイール43の回転位置を示す検出信号を、外部コネクタを介して車載コントローラ(図示せず)に送出するようになっている。
ギヤケース41におけるコネクタユニット収容部46の近くには、環状のベアリング嵌合部47が一体に設けられている。ベアリング嵌合部47は、本発明における軸受装着部を構成しており、当該ベアリング嵌合部47は、図3に示すように、モータ部20側(図中右側)に向けて開口されている。つまり、ベアリング嵌合部47には、モータ部20側からボールベアリング31が装着されるようになっている。
ベアリング嵌合部47のモータ部20側とは反対側には、ベアリング嵌合部47と同軸の貫通孔48が設けられ、当該貫通孔48には、モータ部20のギヤ部40への組み付け時において、アーマチュア軸24の先端側、つまりウォームギヤ24aが挿通されるようになっている。
ギヤケース41におけるベアリング嵌合部47のモータ部20側には、ストッパプレート70が差し込まれるストッパプレート差し込み部49が設けられている。ストッパプレート差し込み部49は、ギヤケース41に形成された一対の支持壁部49aの内側に形成され、これらの支持壁部49aとボールベアリング31との間に、ストッパプレート70が差し込まれるようになっている。ここで、ストッパプレート差し込み部49は、ブラケットカバー42側(図中手前側)が開口されており、ストッパプレート70はブラケットカバー42側から差し込まれるようになっている。
また、ストッパプレート差し込み部49に差し込まれたストッパプレート70は、ブラケットカバー42(図1参照)によって押さえ付けられるようになっている。これにより、ストッパプレート70は、ストッパプレート差し込み部49内でがたつくことが無く、ボールベアリング31がベアリング嵌合部47から外れるのを防止することができる。
図4(a),(b)はストッパプレートの詳細を示す斜視図を、図5は図4のストッパプレートの荷重負荷部を説明する平面図をそれぞれ示している。ここで、図4(a)はストッパプレート70をボールベアリング31側から見ており、図4(b)はストッパプレート70をモータ部20側から見ている。
図4に示すように、ストッパ部材としてのストッパプレート70は、鋼板をプレス加工することにより略U字形状に形成され、これによりストッパプレート70の生産性を向上させている。ストッパプレート70は、ストッパ本体71と一対の脚部72とを備えている。
ストッパ本体71は、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49(図3参照)に装着した状態のもとで、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に延在されている。ストッパ本体71の各脚部72側には凹溝73が形成されており、当該凹溝73の内側には、所定の隙間を介してアーマチュア軸24が回転自在に配置されるようになっている。
凹溝73の開口側(図中下側)には、一対のテーパ部73aが設けられており、これらのテーパ部73aは、凹溝73の開口側に向かうに連れて当該凹溝73の幅寸法を徐々に大きくしている。そして、各テーパ部73aは、アーマチュア軸24を挟むようにして対向配置されており、これにより、ストッパプレート70のストッパプレート差し込み部49への装着時に、各脚部72がアーマチュア軸24に接触しないようにしている。このように、各テーパ部73aは、ギヤケース41に対するストッパプレート70の装着作業を容易にして、リヤワイパモータ10の組み作業性を向上させる役割を果たしている。
ストッパ本体71の各脚部72側とは反対側(図中上側)には、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に差し込む際に、作業者またはロボットアームAR(図7参照)によって把持される把持部74が一体に設けられている。把持部74は、アーマチュア軸24の軸方向に向けてストッパ本体71に対して略直角となるよう屈曲され、これにより把持し易くなっている。ここで、把持部74の屈曲方向は、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に装着した状態のもとでボールベアリング31側となっている。
各脚部72は、アーマチュア軸24を跨ぐようにしてアーマチュア軸24の両側に配置されている。各脚部72には、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に装着した状態のもとで、ボールベアリング31の外輪部材31b(図3参照)に当接するベアリング当接突起72aがそれぞれ設けられている。これらのベアリング当接突起72aは、本発明における軸受当接部を構成しており、アーマチュア軸24の軸方向に沿う一側、つまりボールベアリング31側に突出されている。ここで、各ベアリング当接突起72aは、図3に示すように、外輪部材31bを押さえてボールベアリング31をベアリング嵌合部47に固定する機能に加え、ストッパプレート70の剛性を高める補強部としての機能も備えている。
各脚部72のベアリング当接突起72aが設けられる側とは反対側には、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に装着した状態のもとで、ギヤケース41の各支持壁部49a(図3参照)に当接する壁部当接部72bがそれぞれ設けられている。これらの壁部当接部72bは、アーマチュア軸24の軸方向に沿う他側、つまりモータ部20側(図3中右側)に設けられている。
各ベアリング当接突起72aと各壁部当接部72bとの間には、アーマチュア軸24の軸方向に向けて段付き形状に成された段状部72cがそれぞれ形成されている。これらの段状部72cは、本発明における屈曲部を構成しており、各脚部72を補強する機能を備えている。これにより、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に装着する際に、比較的大きな装着荷重F(図7参照)を負荷しても、各脚部72が屈曲変形されることは無い。
また、各段状部72cは、各脚部72を補強する機能に加えて、ベアリング当接突起72aと壁部当接部72bとの離間距離L(図3参照)をある程度の長さに確保する機能を備えている。これにより、ストッパプレート差し込み部49のアーマチュア軸24の軸方向に沿う長さ寸法を十分に確保することができ、ギヤケース41を形成する際に用いる金型(図示せず)の剛性を高めることができる。つまり、ストッパプレート差し込み部49を形成する金型(図示せず)の厚み寸法を十分に確保することができ、ひいては金型の耐久性を向上させることが可能となる。
各脚部72の先端側(図中下側)には、テーパ部72dがそれぞれ設けられ、各テーパ部72dは、ストッパプレート70のストッパプレート差し込み部49への装着案内として機能するようになっている。これにより、ギヤケース41に対するストッパプレート70の装着作業を容易にして、リヤワイパモータ10の組み付け作業性をさらに向上させている。
各脚部72の基端側(図中上側)には、ストッパプレート70を、ギヤケース41のストッパプレート差し込み部49に装着する際に、装着荷重Fが負荷される荷重負荷部72eがそれぞれ設けられている。各荷重負荷部72eは、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に延在する平面状に形成され、アーマチュア軸24の径方向に沿う一側、つまりブラケットカバー42側で、かつベアリング当接突起72aと各壁部当接部72bとの間に設けられている。
より具体的には、各荷重負荷部72eは、図5に示すように、各脚部72の把持部74側で、かつベアリング当接突起72aと各壁部当接部72bとを結んで形成される押圧領域PA内に設けられている。このように、押圧領域PA内に各荷重負荷部72eが配置されることにより、ストッパプレート70の装着荷重Fが負荷される部分の位置と、ストッパプレート70のギヤケース41に装着される部分の位置とを、アーマチュア軸24の軸方向に一致させている。
ここで、各荷重負荷部72eは、各段状部72cを設けることにより、図5に示すように略S字形状に形成されている。これにより、押圧治具Tが接触される治具接触部TC(網掛け部分)が、図中上下左右方向にある程度の面積を持って形成される。したがって、ストッパプレート70の板厚寸法よりも厚い厚み寸法の押圧治具Tを用いることができ、ひいては厚み寸法が小さい押圧治具に比してその耐久性を向上させることが可能となる。また、押圧治具Tの厚み寸法を大きくできるので、ストッパプレート70を安定して押圧することができ、ひいてはストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に向けて真っ直ぐに確実に押圧できるようになっている。さらには、図5(b)に示すように、例えば、矢印(A)や矢印(B)方向に押圧治具Tの位置がずれたとしても、ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に向けて真っ直ぐに押圧できるようになっている。
次に、以上のように形成したリヤワイパモータ10の組み付け手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図6はモータ部とギヤ部との組み付け手順を説明する説明図を、図7はストッパプレートの装着手順を説明する説明図をそれぞれ示している。
まず、図6に示すように、別の組み付け工程で組み立てられたモータサブアッシMAと、コネクタユニット60およびブラシホルダ29(図1参照)を備えたギヤサブアッシGAと、ストッパプレート70とを準備する。ここで、モータサブアッシMAとは、モータケース21に、4つの永久磁石22を固定するとともに、コンミテータ25やボールベアリング31等を組み付けたアーマチュア軸24を組み付けた状態のもの、つまりモータ部20が単体となったものを指している(図2参照)。また、ギヤサブアッシGAとは、ギヤケース41に、コネクタユニット60およびブラシホルダ29を組み付けた状態であって、ウォームホイール43および運動変換機構50(図2参照)を組み付けていない状態のものを指している。
そして、自動組み付け装置(図示せず)等によって、図中矢印(1)に示すように、モータサブアッシMAのモータケース21から延出したウォームギヤ24a側を、ギヤサブアッシGAのブラシホルダ収容部45側に臨ませて、ウォームギヤ24aを貫通孔48(図3参照)に挿通させる。
その後、ギヤサブアッシGAに対してモータサブアッシMAをより近接するよう移動させることで、モータケース21のフランジ部21aがギヤケース41のブラシホルダ収容部45に当接するようになる。これにより、ベアリング嵌合部47にボールベアリング31の外輪部材31bが嵌合される。ここで、各給電ブラシ28(図2参照)は、コンミテータ25に対して後退した位置から前進した位置に向けて、コンミテータ25の装着に伴い自動的に移動するようになっている。これにより、コネクタユニット60とモータサブアッシMAとが電気的に接続される。その後、図示しない締結工具(電動ネジ回し等)によって、図中矢印(2)に示すように各締結ネジ11を所定の締め付けトルクで締め付ける。
次に、ストッパプレート70における各脚部72の先端側を、ギヤケース41の開口側と対向させる。そして、図中矢印(3)に示すように、ストッパプレート70をアーマチュア軸24の径方向一側から臨ませて、ストッパプレート差し込み部49に各脚部72の先端側を差し込む。ここで、図中矢印(3)に示す動作は、図7に示すように、自動組み付け装置のロボットアームARにより把持部74を把持して、当該状態のもとでロボットアームARを駆動することにより行われる。
ストッパプレート差し込み部49に各脚部72の先端側を差し込んだ後は、図中矢印(4)に示すように、自動組み付け装置の押圧治具Tを下降駆動させ、押圧治具Tの先端の平坦面SFを、荷重負荷部72eに当接させる。ここで、自動組み付け装置の押圧治具Tは2つ設けられ、各押圧治具Tは、各荷重負荷部72eに対してそれぞれ同じ条件で駆動されるようになっている。つまり、各荷重負荷部72eは各押圧治具Tによってバランス良く押圧され、これによりアーマチュア軸24を跨ぐようにして設けられた各脚部72が、それぞれストッパプレート差し込み部49内に均等に入り込むようになっている。
各押圧治具Tを装着荷重Fでさらに下降駆動させることで、各壁部当接部72bが支持壁部49aに摺接しつつ、各ベアリング当接突起72aが外輪部材31bをアーマチュア軸24の軸方向一側に押圧する。これにより、各脚部72がストッパプレート差し込み部49内に入り込んで、図中矢印(5)に示すようにボールベアリング31が移動される。よって、ボールベアリング31がベアリング嵌合部47に入り込んで規定の位置に固定される。
ここで、ストッパプレート70のストッパプレート差し込み部49への差し込み量は、アーマチュア軸24が挿通される貫通孔48の軸心を基準として定められており、これにより、各脚部72の先端側と、ストッパプレート差し込み部49の底部(底部41a)との間には所定のクリアランスが形成されることになる。このように、貫通孔48の軸心を基準にストッパプレート70のストッパプレート差し込み部49への差し込み量を定めることにより、モータ部20や他の構成部品の製造精度のバラつきを吸収できるようにしている。つまり、モータ部20や他の構成部品の製造精度のバラつきに左右されること無く、ストッパプレート70を確実に装着することができ、リヤワイパモータ10の組み立て性の向上はもちろんのこと、ボールベアリング31のギヤケース41内でのガタつきを防止することができる。
ストッパプレート70をストッパプレート差し込み部49に装着した後は、ギヤケース41の開口側から、ウォームホイール43および運動変換機構50(図2参照)をこの順番で組み付ける。次いで、ブラケットカバー42(図1参照)をギヤケース41の開口側に臨ませて、当該ブラケットカバー42を、各固定ネジS(図1参照)によってギヤケース41に固定する。これにより、リヤワイパモータ10の組み付け作業が完了する。
以上詳述したように、実施の形態1に係るリヤワイパモータ10によれば、ストッパプレート70のアーマチュア軸24の径方向に沿う一側で、かつベアリング当接突起72aと壁部当接部72bとの間に、ストッパプレート70をギヤケース41に装着する装着荷重Fが負荷される荷重負荷部72eを設けたので、ストッパプレート70の装着荷重Fが負荷される部分の位置と、ストッパプレート70のギヤケース41に装着される部分の位置とを、アーマチュア軸24の軸方向に一致させることが可能となる。
これにより、ストッパプレート70に曲げモーメントが発生するのを防止して、当該ストッパプレート70を屈曲変形させずにボールベアリング31と支持壁部49aとの間に確実に装着することが可能となる。したがって、重量増加や製造工程の煩雑化を招くこと無く、ストッパプレート70を成形することができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。
図8(a),(b)は実施の形態2に係るストッパプレートの詳細を示す斜視図を示している。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8に示すように、実施の形態2に係るストッパプレート(ストッパ部材)80は、実施の形態1のストッパプレート70(図4参照)に比して、把持部81を2つ設け、各把持部81の間に1つの荷重負荷部82を設けた点が異なっている。つまり、荷重負荷部82は、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に延びるストッパ本体71の略中央部分に形成されている。そして、荷重負荷部82においても、各脚部72の把持部81側で、かつベアリング当接突起72aと各壁部当接部72bとを結んで形成される押圧領域PA内に設けられている。
以上のように形成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、押圧治具Tを1つのみ備えた自動組み付け装置(図示せず)に対応することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。
図9は実施の形態3に係る図2に対応した平面図を示している。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9に示すように、実施の形態3に係るリヤワイパモータ(モータ装置)90は、実施の形態1に係るリヤワイパモータ10(図2参照)に比して、出力軸44の位置および運動変換機構100の構造が異なっている。
リヤワイパモータ90の出力軸44は、ギヤケース91のウォームホイール43を挟んでアーマチュア軸24側とは反対側に配置されている。これにより、リヤワイパモータ90においては、実施の形態1に比して、アーマチュア軸24の軸方向に沿う寸法を詰められるようになっている。
リヤワイパモータ90の運動変換機構100は、ピニオンギヤ101,運動変換部材102,連結板52および摺接板53を備えている。ピニオンギヤ101は出力軸44の基端側に固定され、出力軸44とともに揺動するようになっている。
運動変換部材102は、ピニオンギヤ101と噛み合うセクタギヤ102aと、第2連結ピンP2を介してウォームホイール43の偏心位置に回動自在に連結されるアーム部102bとを備えている。セクタギヤ102aの中心部分には第1連結ピンP1が設けられ、当該第1連結ピンP1と出力軸44との間には、連結板52が設けられている。具体的には、連結板52の長手方向一端側は出力軸44の基端側に回動自在に連結され、連結板52の長手方向他端側は第1連結ピンP1に回動自在に連結されている。このように、実施の形態2に係る連結板52は、出力軸44と第1連結ピンP1との距離を一定に保ち、ピニオンギヤ101とセクタギヤ102aとの噛み合いを維持するようになっている。
リヤワイパモータ90の運動変換機構100においても、ウォームホイール43の回転運動を出力軸44の揺動運動に変換するようになっている。具体的には、ウォームホイール43の回転に伴い第2連結ピンP2がホイール軸43bを中心に回転すると、運動変換部材102のアーム部102bもホイール軸43bを中心に回転する。これにより、セクタギヤ102aが第1連結ピンP1を中心に揺動し、その結果、セクタギヤ102aに噛み合うピニオンギヤ101、つまり出力軸44が揺動する。
以上詳述したように、実施の形態3に係るリヤワイパモータ90においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、本発明に係るモータ装置として、リヤワイパモータ10であるものを示したが、本発明はこれに限らず、自動車等の車両のフロントワイパ装置のワイパモータや、航空機や船舶,鉄道車両等のワイパ装置のワイパモータにも、本発明を適用することができる。さらには、ワイパモータへの適用に限らず、パワーウィンド装置やパワースライドドア装置の駆動源として用いられるモータ装置にも、本発明を適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、各脚部72の先端側と、ストッパプレート差し込み部49の底部(底部41a)との間に所定のクリアランスが形成されるものを示したが、本発明はこれに限らず、各脚部72の先端側と、ストッパプレート差し込み部49の底部(底部41a)とが接触するようにしても良い。これにより、ストッパプレート70,80の挿入方向のガタつきをより確実に防止することができる。
さらに、上記各実施の形態においては、ストッパプレート70,80に、荷重負荷部72e,82をそれぞれ2つまたは1つ設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、荷重負荷部を3つ以上設けるようにしても良い。具体的には、ストッパプレート80(実施の形態2)における段状部72cの上端面を荷重負荷部として設定することで、荷重負荷部の数を増やすようにしても良い。