JP2014192646A - 水晶振動片及び水晶デバイスの製造方法 - Google Patents

水晶振動片及び水晶デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、振動部に容易に精度の高い加工を行うことができる水晶振動片及び水晶デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】所定の振動数で振動する水晶振動部を有し、所定の形状に形成される水晶振動片の製造方法が、第1平面と該第1平面に対向する第2平面で形成された水晶ウエハ(W110)の少なくとも一方の面上にレジスト(171)を塗布する塗布工程(S112)と、水晶振動片の形状に対応する型が形成されている第1スタンパ(172)を、レジストが塗布された水晶ウエハに対してプレスするプレス工程(S113)と、第1スタンパをプレスしている最中に、レジストを露光又は加熱する工程(S114)と、水晶ウエハでプレスされたレジストをマスクとして、レジスト及び水晶ウエハをドライエッチング工法又はブラスト工法で加工する加工工程と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、所定の形状に形成される水晶振動片の製造方法、及び水晶振動片を含む水晶デバイスの製造方法に関する。
小型の情報機器や、携帯電話、又は移動体通信機器等には、所定の振動数で振動する水晶振動片が使用される。このような水晶振動片に関しては、例えば、特許文献1では、振動部が凸状に形成された水晶振動片、いわゆるコンベックス型の水晶振動片が開示されている。このような形状によれば、機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる。特許文献1では、フォトマスクを使用した露光及びエッチングにより水晶振動片の凸形状を形成している。
特開2012−199606号公報
しかし、フォトマスクによる露光では半球形の凸形状を精度よく形成することが難しかった。また、エッチング量を調整しながら半球形の凸形状を形成する場合には、多くの時間がかかっていた。
そこで、本発明は、振動部に容易に精度の高い加工を行い凸の半球状の曲面を形成することができる水晶振動片及び水晶デバイスの製造方法の提供を目的とする。
第1観点の水晶振動片の製造方法は、所定の振動数で振動する水晶振動部を有し、所定の形状に形成される水晶振動片の製造方法である。また、水晶振動片の製造方法は、第1平面と該第1平面に対向する第2平面で形成された水晶ウエハの少なくとも一方の面上にレジストを塗布する塗布工程と、水晶振動片の形状に対応する型が形成されている第1スタンパを、レジストが塗布された水晶ウエハに対してプレスするプレス工程と、第1スタンパをプレスしている最中に、レジストを露光又は加熱する工程と、水晶ウエハでプレスされたレジストをマスクとして、レジスト及び水晶ウエハをドライエッチング工法又はブラスト工法で加工する加工工程と、を備える。
第2観点の水晶振動片の製造方法は、第1観点において、塗布工程が第1平面及び第2平面にレジストを塗布し、プレス工程が第1平面及び第2平面に同時に一対の第1スタンパをプレスする。
第3観点の水晶振動片の製造方法は、第1観点において、水晶振動片が、水晶振動部が凸の半球状の曲面に形成され、該水晶振動部の周りに形成される平面状の支持部を有し、塗布工程では第1平面及び第2平面にレジストを塗布し、プレス工程では第1平面に第1スタンパを、平面状の支持部に対応する平面領域のみを有する第2スタンパを、それぞれプレスする。
第4観点の水晶振動片の製造方法は、第1観点から第3観点において、レジストが熱を加えることにより熱硬化する材料から形成され、レジストを露光又は加熱する工程では、レジストを加熱してレジストを硬化する。
第5観点の水晶振動片の製造方法は、第1観点から第3観点において、レジストが紫外線により硬化する材料から形成され、レジストを露光又は加熱する工程では、レジストに紫外線を露光して硬化させる。
第6観点の水晶振動片の製造方法は、第5観点において、第1スタンパが透明なガラス材料で形成されており、レジストを露光する工程では第1スタンパを介して紫外線をレジストに露光する。
第7観点の水晶振動片の製造方法は、第1観点から第6観点において、水晶振動片が結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、Y’軸方向が水晶振動片の厚さ方向である。
第8観点の水晶デバイスの製造方法は、第1観点から第7観点の水晶振動片が形成される工程と、複数のベース板が形成されたベースウエハが用意される工程と、複数のリッド板が形成されたリッドウエハが用意される工程と、水晶振動片をベース板に載置する工程と、リッド板が水晶振動片を密封するように配置されるようにベースウエハとリッドウエハとを接合する工程と、を備える。
本発明によれば、振動部に容易に精度の高い加工を行い凸の半球状の曲面を形成する水晶振動片及び水晶デバイスの製造方法を提供することができる。
水晶デバイス100の分解斜視図である。 図1のA−A断面図である。 (a)は、水晶振動片110の平面図である。 (b)は、図3(a)のB−B断面図である。 水晶デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。 水晶ウエハW110の平面図である。 水晶ウエハW110の形成工程を示したフローチャートである。 水晶ウエハW110の形成工程を示したフローチャートである。 ベースウエハの平面図である。 リッドウエハの平面図である。 水晶デバイス200の分解斜視図である。 図10のD−D断面図である。 (a)は、水晶振動片230の平面図である。 (b)は、図12(a)のE−E断面図である。 水晶ウエハW210の平面図である。 水晶ウエハW210の形成工程を示したフローチャートである。 水晶ウエハW210の形成工程を示したフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の構成>
図1は、水晶デバイス100の分解斜視図である。水晶デバイス100は主に、水晶振動片110と、ベース板120と、リッド板130と、により構成されている。水晶振動片110には例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、水晶デバイス100においては水晶デバイス100の長辺方向をX軸方向、水晶デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
水晶振動片110は、所定の振動数で振動し、+Y’軸側及び−Y’軸側の面が凸の半球状(以下では、「半球」の表記が半楕円球を含むとする。)の曲面に形成される水晶振動部111と、平面状の支持部112と、を有している。水晶振動部111の+Y’軸側及び−Y’軸側の面には励振電極113が形成されており、支持部112には励振電極113から引き出された引出電極114が形成されている。
ベース板120は、+Y’軸側の面の周囲に封止材142(図2(a)参照)を介してリッド板110に接合される接合面122が形成されている。また、ベース板120の+Y’軸側の面の中央には、接合面122から−Y’軸方向に凹んだ凹部121が形成されている。凹部121には一対の接続電極123が形成されており、各接続電極123は導電性接着剤141(図2(a)参照)を介して水晶振動片130の引出電極132に電気的に接続される。また、ベース板120の−Y’軸側の面には、水晶デバイス100をプリント基板等へ実装するための実装端子124が形成されている。接続電極123は、ベース板120をY’軸方向に貫通して形成される貫通電極125を介して実装端子124に電気的に接続されている。
リッド板130は、−Y’軸側の面に+Y’軸方向に凹んだ凹部131が形成されている。また、凹部131を囲むように接合面132が形成されている。接合面132は封止材142(図2(a)参照)を介してベース板120の接合面122に接合される。
図2は、図1のA−A断面図である。ベース板120の接合面122とリッド板130の接合面132とが封止材142を介して接合されることにより、水晶デバイス100内には密閉されたキャビティ101が形成される。水晶振動片110は、引出電極114が導電性接着剤141を介してベース板120の接続電極123に電気的に接合されることによりキャビティ101内に配置されている。これにより、励振電極113は実装端子124に電気的に接続される。
図3(a)は、水晶振動片110の平面図である。水晶振動部111は、楕円状の平面形状を有している。また、水晶振動部111の+Y’軸側及び−Y’軸側の面には楕円状の励振電極113が形成されている。水晶振動部111の+Y’軸側の面に形成されている励振電極113から引き出される引出電極114は、励振電極113から−X軸側に引き出され、さらに支持部112の−Z’軸側の側面を介して支持部112の−Y’軸側の面にまで引き出されている。水晶振動部111の−Y’軸側の面に形成されている励振電極113(不図示)から引き出される引出電極114は、励振電極113から−X軸側に引き出され、さらに支持部112の+Z’軸側の側面を介して支持部112の+Y’軸側の面にまで引き出されている。
図3(b)は、図3(a)のB−B断面図である。水晶振動部111の+Y’軸側及び−Y’軸側の面は、凸の半楕円球状の曲面に形成されており、励振電極113はこの曲面に応じて形成されている。水晶振動片110は、水晶振動部111の+Y’軸側及び−Y’軸側の面が凸の半楕円球状の曲面に形成されていることにより、水晶振動部111で発生する振動エネルギーを効率的に閉じ込めることができる。
<水晶デバイス100の製造方法>
図4は、水晶デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。以下、図4のフローチャートを参照して水晶デバイス100の製造方法について説明する。
図4のステップS101では、水晶振動片110が形成される。水晶振動片110は、水晶ウエハW110に複数の水晶振動片110が形成されることにより、一度に多くの水晶振動片が同時に形成される。
図5は、水晶ウエハW110の平面図である。水晶ウエハW110には複数の水晶振動片110が形成されている。各水晶振動片110の周りには水晶ウエハW110を貫通する貫通溝162が形成されており、各水晶振動片110は接続部161を介して水晶ウエハW110に接続されている。各水晶振動片110は、接続部161を切断することにより水晶ウエハW110から切り離される。以下、水晶ウエハW110の形成方法を図6及び図7を参照して説明する。
図6及び図7は、水晶ウエハW110の形成工程を示したフローチャートである。図6及び図7では、各ステップの右側に水晶ウエハW110の部分断面図が示されている。この断面図は、図5のC−C断面を含む断面図である。
図6のステップS111では、水晶ウエハW110が用意される。図6(a)は、ステップS111で用意されたATカットされた水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110は、ATカットの水晶材により形成されており、+Y’軸側及び−Y’軸側の面が平面状に形成されている。
ステップS112では、水晶ウエハW110にレジスト膜171が形成される。図6(b)は、レジスト膜171が形成された水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110の+Y’軸側及び−Y’軸側の面にはレジストが塗布されることによりレジスト膜171が形成される。ステップS112は、レジストを塗布する塗布工程であり、塗布されるレジストは例えば紫外線が照射されることにより硬化される紫外線硬化性樹脂である。
ステップS113では、第1スタンパ172をレジスト膜171に押し付ける。図6(c)は、第1スタンパ172が押し付けられた水晶ウエハW110の断面図である。第1スタンパ172は、水晶振動片110の凸の半球状の曲面に対応する凹の半球状の曲面領域173と、水晶振動片110の支持部112に対応する平面領域174と、を有している。すなわち、第1スタンパ172には、水晶振動片110の+Y’軸側の面又は−Y’軸側の面の表面形状の型が形成されている。ステップS113では、第1スタンパ172を+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面に形成されるレジスト膜171に押し付けることによりレジスト膜171に水晶振動部111を形成する凸の半球状の曲面、及び支持部112を形成する平面を形成する。また、第1スタンパ172は、例えば紫外線に対して透過率の高い透明なガラス材料又は石英などで形成される。ステップS113は、水晶ウエハに対してスタンパをプレスするプレス工程である。
ステップS114では、第1スタンパ172をプレスしている最中にレジスト膜171を露光する。図6(d)は、レジスト膜171が露光された水晶ウエハW110の断面図である。レジスト膜171は、第1スタンパ172がプレスされた状態で、紫外線を、第1スタンパ172を透過させて照射されることにより露光される。これにより、レジスト膜171が硬化される。
図7のステップS115では、第1スタンパ172が水晶ウエハW110から剥がされる。図7(a)は、第1スタンパ172が剥がされた後の水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110の+Y軸側及び−Y軸側の面には、水晶振動部111を形成する凸の半球状の曲面、及び支持部112を形成する平面の形状に形成された硬化されたレジスト膜171が形成されている。
ステップS116では、水晶ウエハW110がドライエッチングされる。図7(b)は、ドライエッチングされた後の水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110は、ドライエッチングされることにより、水晶ウエハW110に水晶振動片110の外形が形成される。ドライエッチングは、反応性イオンガス又はプラズマガスによって水晶ウエハW110を化学的な反応によりエッチングする方法であり、レジスト膜171を含んだ水晶ウエハW110の表面の凹凸の形状を保ったままエッチングすることができる。そのため、レジスト膜171により形成された表面の形状をそのまま残すように水晶ウエハW110がエッチングされる。すなわち、レジスト膜171により形成された形状が水晶ウエハW110に転写される。また、水晶ウエハW110には貫通溝162が形成されている。ステップS116は、ドライエッチング工法により水晶ウエハW110が加工される加工工程である。
ステップS117では、水晶ウエハW110に金属膜175及びフォトレジスト176が形成される。図7(c)は、金属膜175及びフォトレジスト176が塗布された水晶ウエハW110が示されている。金属膜175は、水晶ウエハW110に所定の金属をスパッタリングもしくは真空蒸着などを行うことにより形成される。金属膜175は、例えば水晶ウエハW110に下地としてニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)又はニッケル・タングステン(NiW)等の膜を形成し、下地の上面に金(Au)又は銀(Ag)等を成膜することにより形成される。フォトレジスト176は、金属膜175の表面にスピンコートなどの手法で均一に塗布される。
ステップS118では、水晶ウエハW110の各水晶振動片110にそれぞれ励振電極113及び引出電極114が形成される。図7(d)は、励振電極113及び引出電極114が形成された水晶ウエハW110の断面図である。ステップS118では、マスク177を介して励振電極113及び引出電極114が形成される領域以外に形成されているフォトレジスト176が露光され、フォトレジスト176が現像される。さらに、フォトレジスト176が現像された領域の金属膜175がエッチングにより除去されて、励振電極113及び引出電極114が形成される。
図6及び図7により水晶ウエハW110に形成された水晶振動片110は、最後に接続部161が切断されて個々の水晶振動片110に分離される。
図4に戻って、ステップS201では、ベースウエハW120が形成される。ステップS201では、水晶材又はガラス等により形成されるウエハに複数のベース板120を形成するステップである。
図8は、ベースウエハW120の平面図である。ベースウエハW120には複数のベース板120が形成されており、各ベース板120の+Y’軸側には凹部121及び接合面122が形成されている。また、各凹部121には接続電極123が形成されており接続電極123は貫通電極125を通して−Y’軸側の面に形成される実装端子124(図2参照)に電気的に接続される。ベースウエハW120に形成される接続電極123は、水晶ウエハW110の励振電極111と同様に、例えばクロム(Cr)による第1層(不図示)と金(Au)による第2層(不図示)とにより形成されることができる。図8には、二点鎖線でスクライブライン181が示されている。このスクライブライン181は、後述される図4のステップS502でベースウエハW120が切断される線である。
ステップS301では、リッドウエハW130が形成される。ステップS301では、水晶材又はガラス等により形成されるウエハに複数のリッド板130を形成するステップである。
図9は、リッドウエハW130の平面図である。リッドウエハW130には複数のリッド板130が形成されており、各リッド板130の−Y’軸側の面には凹部131及び接合面132が形成されている。図9には、二点鎖線でスクライブライン181が示されている。
ステップS401では、水晶振動片110がベースウエハW120に載置される。ベースウエハW120の各接続電極123には導電性接着剤141(図2参照)が形成され、その上に引出電極114が導電性接着剤141に接合されるように水晶振動片110が載置される。
ステップS501では、ベースウエハW120とリッドウエハW130とが接合される。ステップS501では、まずベースウエハW120の接合面122に封止材142(図2参照)が塗布される。その後、リッドウエハW130の接合面112とベースウエハW120の接合面122とが重ね合わされて接合される。
ステップS502では、ベースウエハW120とリッドウエハW130とが切断される。図8及び図9に示されたスクライブライン181に沿ってベースウエハW120とリッドウエハW130とが切断されることにより、水晶デバイス100が個々に切断される。
スタンパを基板に押し当てることで微細加工を行う技法はナノインプリントと呼ばれる。水晶デバイス100では、このようなナノインプリントの技法により水晶振動片110が作製されることにより、凸の半球状の曲面などの3次元形状を精密に形成することができる。そのため、作製された水晶振動片100の形状の誤差が小さく、水晶振動片100の特性が安定する。また、今後さらなる水晶振動片の小型化が進んでいくと考えられるが、このような場合、水晶振動片はさらに高い加工精度が求められる。スタンパにより微細加工を行うナノインプリントの技法を用いることにより、水晶振動片のさらなる小型化にも対応することができる。さらに、上記の方法は露光が容易であり、露光量を調整しながら半球形の凸形状を形成する場合に比べて加工時間を短縮することができる。
また、従来は、水晶振動片に凸の半球状の曲面を形成する場合に、ドラムに研磨剤と水晶振動片とを多数入れ、ドラムを回転させて物理的に研削する方法で行われる場合があった。しかし、この方法では、水晶振動片の表面に傷が発生すること、及び加工時間が長くなるという問題点があった。上記のナノインプリントの方法では、物理的な研削を行わないため表面に傷がない均一な状態に仕上げることが可能であり、加工時間も短縮することができる。
(第2実施形態)
水晶デバイスは、水晶振動片が水晶振動部を囲むように形成される枠部を有し、ベース板及びリッド板がそれぞれ枠部を挟んで重ね合わされることにより形成される3枚重ねの水晶デバイスとして形成されてもよい。以下に3枚重ねの水晶デバイスである水晶デバイス200について説明する。また、第1実施形態と同じ部分に関しては第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
<水晶デバイス200の構成>
図10は、水晶デバイス200の分解斜視図である。水晶デバイス200は、主に水晶振動片210と、ベース板220と、リッド板230と、により形成されている。水晶振動片210は、例えばATカットの水晶材により形成される。水晶振動片210は、+Y’軸側の面が楕円球体状に形成されている水晶振動部211と、水晶振動部211を囲むように形成されている枠部215と、水晶振動部211と枠部215とを連結している連結部216と、を有している。枠部215と連結部216とは平面を有している。また、水晶振動部211と枠部215との間の連結部216以外の空間は、水晶振動片をY軸方向に貫通する貫通溝217となっている。水晶振動部211には励振電極213が形成されており、励振電極213からは、連結部216を介して引出電極214が枠部215にまで引き出されている。
ベース板220は、+Y軸側の面に枠部215に接合される接合面222が形成されており、+Y’軸側の面の中央には、接合面222から−Y’軸方向に凹んでいる凹部221が形成されている。接合面222の−X軸側の−Z’軸側の角、及び+X軸側の+Z’軸側の角には水晶振動片210の引出電極214に接続される接続電極223が形成されている。また、ベース板220の四隅の側面は、内側に凹んだキャスタレーション226が形成されている。ベース板220の−Y’軸側の面には一対の実装端子224が形成されており、実装端子224は、キャスタレーション223を介して接続電極223に電気的に接続されている。
リッド板230は、−Y’軸側の面に+Y’軸方向に凹んだ凹部231が形成されている。また、凹部231を囲むように接合面232が形成されている。接合面232は封止材142(図11参照)を介して水晶振動片210の枠部215に接合される。
図11は、図10のD−D断面図である。ベース板220の接合面222と水晶振動片210の枠部215の−Y’軸側の面とが封止材142を介して接合され、リッド板230の接合面232と水晶振動片210の枠部215の+Y’軸側の面とが封止材142を介して接合される。これにより、水晶デバイス200内には密閉されたキャビティ201が形成され、キャビティ201には水晶振動部211が配置される。また、ベース板220に形成される接続電極223と水晶振動片210の引出電極214とが電気的に接続されることにより、励振電極213と実装端子224とが電気的に接続される。
図12(a)は、水晶振動片230の平面図である。水晶振動片230は、水晶振動部211の平面形状が楕円状に形成されており、水晶振動部211の周りを囲む枠部215の外形は矩形状に形成されている。連結部216は水晶振動部211の−X軸側に接合されることにより連結部216と枠部215とを連結している。水晶振動部211の+Y’軸側及び−Y’軸側の面には励振電極213が形成されている。+Y’軸側の面の励振電極213からは、連結部216を介して枠部215に引き出され、さらに貫通溝217の−X軸側の−Z’軸側の側面218を介して枠部215の−Y’軸側の面に引き出され、枠部215の−Y’軸側の面の−X軸側の−Z’軸側の角にまで引出電極214が引き出されている。また、−Y’軸側に形成されている励振電極213からは、連結部216を介して枠部215に引き出され、枠部215の−Y’軸側の面の+X軸側の+Z’軸側の角にまで引出電極214が引き出されている。
図12(b)は、図12(a)のE−E断面図である。水晶振動片230の水晶振動部211は、+Y’軸側の面が半球状に形成されており、−Y’軸側の面は平面状に形成されている。
<水晶デバイス200の製造方法>
水晶デバイス200は、水晶デバイス100と同様に、図4のフローチャートに沿って形成されることができる。ただし、水晶デバイス200では、ステップS101においては水晶振動片230が水晶ウエハW210に形成された状態であり、ステップS401では、水晶ウエハとベースウエハとが接合され、ステップS501では、水晶ウエハとリッドウエハとが接合される。また、ステップS502では、ベースウエハ、水晶ウエハ、及びリッドウエハがスクライブラインで切断されることにより個々の水晶デバイス200がウエハから切り離される。以下に図4のステップS101の水晶ウエハW210が形成される工程について説明する。
図13は、水晶ウエハW210の平面図である。水晶ウエハW210には複数の水晶振動片210が形成されている。各水晶振動片210は、貫通溝217、水晶振動部211、連結部216、及び枠部215が形成されており、さらに励振電極213及び引出電極214が形成されている。各水晶振動片210のX軸方向及びZ’軸方向には、スクライブライン181を挟んで水晶振動片210同士が隣接している。
図14及び図15は、水晶ウエハW210の形成工程を示したフローチャートである。図14及び図15では、各ステップの右側に水晶ウエハW210の部分断面図が示されている。この断面図は、図13のF−F断面を含む断面図である。以下に、図14及び図15を参照して、図13の水晶ウエハW210の形成方法について説明する。
図14のステップS611では、水晶ウエハW210が用意される。図14(a)は、ステップS611で用意された水晶ウエハW210の断面図である。水晶ウエハW210は、ATカットの水晶材により形成されており、+Y’軸側及び−Y’軸側の面が平面状に形成されている。
ステップS612では、水晶ウエハW210にレジスト膜171が形成される。図14(b)は、レジスト膜171が形成された水晶ウエハW210の断面図である。水晶ウエハW210の+Y’軸側及び−Y’軸側の面にはレジストが塗布されることによりレジスト膜171が形成される。ステップS612は、レジストを塗布する塗布工程である。
ステップS613では、第1スタンパ272及び第2スタンパ273をレジスト膜171に押し付ける。図14(c)は、第1スタンパ272及び第2スタンパ275が押し付けられた水晶ウエハW210の断面図である。第1スタンパ272は水晶ウエハW210の+Y’軸側の面に、第2スタンパ275は水晶ウエハW210の−Y’軸側の面にそれぞれ押し付けられている。第1スタンパ272は、水晶振動片210の凸の半球状の曲面に対応する凹の半球状の曲面領域273を有している。第2スタンパ275は、水晶振動片210の−Y’軸側の面に対応する平面領域274を有している。すなわち、第1スタンパ272には水晶振動片210の+Y’軸側の面の表面形状又はその一部の型が形成され、第2スタンパ275には水晶振動片210の−Y’軸側の面の表面形状又はその一部の型が形成されている。ステップS613は、水晶ウエハW210に対して第1スタンパ272及び第2スタンパ275をプレスするプレス工程である。
ステップS614では、第1スタンパ272及び第2スタンパ275をプレスしている最中にレジスト膜171を露光する。図14(d)は、レジスト膜171が露光された水晶ウエハW210の断面図である。レジスト膜171は、第1スタンパ272及び第2スタンパ275がプレスされた状態で、第1スタンパ272及び第2スタンパ275を介して露光される。これにより、レジスト膜171が硬化される。
図15のステップS615では、第1スタンパ272及び第2スタンパ275が水晶ウエハW210から剥がされる。図15(a)は、第1スタンパ272及び第2スタンパ275が剥がされた後の水晶ウエハW210の断面図である。水晶ウエハW210の+Y軸側の面には、水晶振動部211の+Y’軸側の面を形成する凸の半球状の曲面が形成されたレジスト膜171が形成され、−Y’軸側の面には、水晶振動部211の−Y’軸側の面を形成する平面の形状に形成された硬化されたレジスト膜171が形成されている。
ステップS616では、水晶ウエハW210がドライエッチングされる。図15(b)は、ドライエッチングされた後の水晶ウエハW210の断面図である。水晶ウエハW210は、+Y’軸側及び−Y’軸側の面がドライエッチングされることにより、+Y’軸側の面に凸の半球状の曲面が形成され、−Y’軸側の面に平面が形成され、貫通溝217が形成される。連結部216は、水晶ウエハW210の+Y’軸側のみがドライエッチングされるため、+Y’軸側及び−Y’軸側の両面がドライエッチングされる貫通溝217とは異なり貫通しない状態で形成される。ステップS616は、ドライエッチング工法により水晶ウエハW210が加工される加工工程である。
ステップS617では、水晶ウエハW210に金属膜175及びフォトレジスト176が形成される。図15(c)は、金属膜175及びフォトレジスト176が塗布された水晶ウエハW210が示されている。ステップS617では、水晶ウエハW210に励振電極213及び引出電極214を形成するために、水晶ウエハW210の全面に金属膜175及びフォトレジスト176が形成される。
ステップS618では、水晶ウエハW210の各水晶振動片210にそれぞれ励振電極213及び引出電極214が形成される。図15(d)は、電極が形成された水晶ウエハW210の断面図である。ステップS618では、マスク277を介して励振電極213及び引出電極214が形成される領域以外に形成されているフォトレジスト176が露光され、フォトレジスト176が現像される。さらに、フォトレジスト176が現像された領域の金属膜175がエッチングにより除去されて、励振電極213及び引出電極214が形成される。
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更及び変形を加えて実施することができる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、レジストの材料として紫外線硬化性樹脂が用いられたが、熱硬化型のレジストが用いられても良い。この場合には、スタンパを押し付けた状態でレジスト膜を加熱することによりレジスト膜を所定の形状に形成することができる。また、レジストの材料として熱可塑性樹脂が用いられても良い。この場合は、スタンパをレジスト膜に押し付ける前にレジスト膜を加熱し、スタンパを押し付けた状態でレジスト膜を冷却することによりレジスト膜を所定の形状に形成することができる。さらに、上記の実施形態では、ドライエッチング工法により水晶ウエハがエッチングされたが、粉体状の研磨剤を高速で飛ばすことによりエッチングを行うブラスト工法により行われても良い。
また、第1実施形態の一部と第2実施形態の一部とを互いに組み合わされて実施しても良い。例えば、第1実施形態において第2実施形態のように水晶振動部の−Y’軸側の面が平面状に形成されても良いし、第2実施形態において第1実施形態のように水晶振動部の+Y’軸側及び−Y’軸側の両面が曲面状に形成されても良い。さらに、上記実施形態では、水晶振動部の表面を凸の曲面状に加工したが、段差、斜面などが組み合わされて凸状の表面形状を有するメサ形状、凹状の表面形状を有する逆メサ形状など、様々な三次元形状に加工されても良い。
上記実施形態では、水晶振動片がATカットの水晶振動片である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。また、音叉型水晶振動片についても適用できる。また、本実施例では支持部、連結部又は枠部の平面を有する水晶振動片を説明したが、これら支持部等がなく凸状の曲面のみを有する水晶振動片であっても適用できる。
100、200 … 水晶デバイス
101、201 … キャビティ
110、210 … 水晶振動片
111、211 … 水晶振動部
112 … 支持部
113、213 … 励振電極
114、214 … 引出電極
120、220 … ベース板
121 … 凹部
122 … 接合面
123 … 接続電極
124、224 … 実装端子
125 … 貫通電極
130、230 … リッド板
131 … 凹部
132 … 接合面
141 … 導電性接着剤
142 … 封止材
161 … 接続部
162 … 貫通溝
171 … レジスト膜
172、272 … 第1スタンパ
173、273 … 曲面領域
174、274 … 平面領域
175 … 金属膜
176 … フォトレジスト
177、277 … マスク
181 … スクライブライン
215 … 枠部
216 … 連結部
217 … 貫通溝
275 … 第2スタンパ
W110 … 水晶ウエハ
W120 … ベースウエハ
W130 … リッドウエハ

Claims (8)

  1. 所定の振動数で振動する水晶振動部を有し、所定の形状に形成される水晶振動片の製造方法において、
    第1平面と該第1平面に対向する第2平面で形成された水晶ウエハの少なくとも一方の面上にレジストを塗布する塗布工程と、
    前記水晶振動片の形状に対応する型が形成されている第1スタンパを、前記レジストが塗布された前記水晶ウエハに対してプレスするプレス工程と、
    前記第1スタンパをプレスしている最中に、前記レジストを露光又は加熱する工程と、
    前記水晶ウエハでプレスされた前記レジストをマスクとして、前記レジスト及び前記水晶ウエハをドライエッチング工法又はブラスト工法で加工する加工工程と、
    を備える、水晶振動片の製造方法。
  2. 前記塗布工程は、前記第1平面及び前記第2平面に前記レジストを塗布し、
    前記プレス工程は、前記第1平面及び前記第2平面に同時に一対の前記第1スタンパをプレスする請求項1に記載の水晶振動片の製造方法。
  3. 前記水晶振動片は、前記水晶振動部が凸の半球状の曲面に形成され、該水晶振動部の周りに形成される平面状の支持部を有し、
    前記塗布工程は、前記第1平面及び前記第2平面に前記レジストを塗布し、
    前記プレス工程は、前記第1平面に前記第1スタンパを、前記平面状の支持部に対応する平面領域のみを有する第2スタンパを、それぞれプレスする請求項1に記載の水晶振動片の製造方法。
  4. 前記レジストが熱を加えることにより熱硬化する材料から形成され、
    前記レジストを露光又は加熱する工程は、前記レジストを加熱して前記レジストを硬化する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水晶振動片の製造方法。
  5. 前記レジストが紫外線により硬化する材料から形成され、
    前記レジストを露光又は加熱する工程は、前記レジストに紫外線を露光して硬化させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水晶振動片の製造方法。
  6. 前記第1スタンパは透明なガラス材料で形成されており、
    前記レジストを露光する工程は、前記第1スタンパを介して前記紫外線を前記レジストに露光する請求項5に記載の水晶振動片の製造方法。
  7. 前記水晶振動片は結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、
    前記Y’軸方向が前記水晶振動片の厚さ方向である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水晶振動片の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の水晶振動片が形成される工程と、
    複数のベース板が形成されたベースウエハが用意される工程と、
    複数のリッド板が形成されたリッドウエハが用意される工程と、
    前記水晶振動片を前記ベース板に載置する工程と、
    前記リッド板が前記水晶振動片を密封するように配置されるように前記ベースウエハと前記リッドウエハとを接合する工程と、
    を備える水晶デバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017123615A (ja) * 2016-01-08 2017-07-13 エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社 圧電振動片の製造方法

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