JP2014192520A - ヒートスプレッダ、放熱部品及び実装体 - Google Patents

ヒートスプレッダ、放熱部品及び実装体 Download PDF

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Abstract

【課題】粘着性に劣る熱伝導シートを、ヒートスプレッダの所定の位置に配置、固定する。
【解決手段】電子部品4の発する熱を放熱するヒートスプレッダ2と、ヒートスプレッダ2に配設され、ヒートスプレッダ2と電子部品4との間に挟持される熱伝導シート3とを備え、熱伝導シート3は、ヒートスプレッダ5の電子部品4と対峙する主面2aに固定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子等の電子部品の放熱部材に関し、特に電子部品に接続されるヒートスプレッダ、及び電子部品とヒートスプレッダとの間に介在される熱伝導材を備えた放熱部材、及び放熱部材と電子部品とが一体化された実装体に関する。
従来、パーソナルコンピュータのCPUなどの電子部品はその高速化、高性能化に伴って、その放熱量は年々増大する傾向にある。しかしながら、反対にプロセッサ等のチップサイズは微細シリコン回路技術の進歩によって、従来と同等サイズかより小さいサイズとなり、単位面積あたりの熱流速は高くなっている。したがって、その温度上昇による不具合などを回避するために、CPUなどの電子部品を効果的に放熱、冷却することが求められている。
パーソナルコンピュータ等の各種電気機器やその他の機器に搭載されている半導体素子等の冷却方法としては、当該機器にファンを取り付け、機器筐体内の空気を冷却する方式や、その冷却すべき半導体素子に冷却体を取り付ける方法等が知られている。
半導体素子に冷却体を取り付けて冷却する場合、半導体素子は小さいので、半導体素子に直接、ヒートパイプやベーパーチャンバーを取り付けず、一旦、熱拡散板に熱を拡散させてから、その熱拡散板(以下、ヒートスプレッダという。)に取り付けたヒートパイプやヒートシンク、ベーパーチャンバー等から放熱させる。
具体的に、半導体素子はヒートスプレッダが接触され、更にそのヒートスプレッダにはヒートパイプやヒートシンク、ベーパーチャンバーが取り付けられる。冷却すべき半導体素子から発する熱は、概ねヒートスプレッダに移動し、そこからヒートパイプやヒートシンク、ベーパーチャンバーを経て放熱される。
半導体素子に取り付けるヒートスプレッダは、高い熱伝導率を有するほど、熱抵抗が減少し、効率よく半導体素子の熱を吸熱することから、一般に熱伝導性の良い銅やアルミニウムを用いて形成されている。
特開2009−302556号公報
特許文献1に示すように、ヒートスプレッダと半導体素子との間には、一般的に、熱伝導を促進する放熱性樹脂が設けられる。しかし、半導体素子が発熱と冷却を繰り返すことによって、いわゆるポンプアウトが発生する恐れがある。すなわち、上述したように、ヒートスプレッダは、熱伝導性に優れた銅やアルミニウムを用いて形成されていることから、半導体素子のオンとオフによる加熱と冷却が繰り返されると、その都度、膨張と収縮を繰り返すこととなる。これにより、放熱性樹脂がヒートスプレッダと半導体素子の間から排出される、ポンプアウトが発生する。
そして、ポンプアウトが進行すると、放熱性樹脂の減少によって、半導体素子からヒートスプレッダへの熱伝導が阻害され、さらには、半導体素子とヒートスプレッダとの間に空隙が発生するおそれもある。
また、放熱性樹脂の充填時に気泡が混入することによっても熱伝導を阻害する危険がある。
そこで、放熱性樹脂に代わって、半導体素子とヒートスプレッダとの間に熱伝導シートを介在させる方法が提案されている。この種の熱伝導シートでは、熱伝導性を高める工夫として、熱硬化性樹脂に熱伝導フィラや繊維状フィラを分散させている。そして、熱伝導シートは、熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形するとともに、当該フィラが、シートの厚み方向に配向されている。
しかし、熱伝導シートは、粘着性に劣ることから、ヒートスプレッダと半導体素子との間の所定の位置に配置、固定する工夫が求められる。
そこで、本発明は、粘着性に劣る熱伝導シートを、ヒートスプレッダの所定の位置に配置、固定することができる放熱部品、ヒートスプレッダ、及び実装体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る放熱部品は、電子部品の発する熱を放熱するヒートスプレッダと、上記ヒートスプレッダに配設され、該ヒートスプレッダと上記電子部品との間に挟持される熱伝導シートとを備え、上記熱伝導シートは、上記ヒートスプレッダの上記電子部品と対峙する主面に固定されているものである。
また、本発明に係るヒートスプレッダは、熱伝導シートを介して電子部品に接続され、該電子部品の熱を放熱するヒートスプレッダにおいて、上記熱伝導シートを上記電子部品と対峙する主面に固定する固定手段が設けられているものである。
また、本発明に係る実装体は、電子部品と、上記電子部品の発する熱を放熱するヒートスプレッダと、上記ヒートスプレッダの上記電子部品と対峙する主面に配設され、上記ヒートスプレッダ及び上記電子部品に挟持される熱伝導シートとを備え、上記ヒートスプレッダは、上記熱伝導シートを上記電子部品と対峙する主面に固定する固定手段が設けられているものである。
本発明によれば、熱伝導シートは、ヒートスプレッダの主面に固定され、電子部品との間に挟持される。ここで、熱伝導シートは、粘着性に劣ることから、直にヒートスプレッダの主面上に載置したのでは位置ずれを生じる恐れがある。この点、本発明に係る熱伝導シートは、ヒートスプレッダの主面に固定されることにより、粘着性に劣る熱伝導シートを、ヒートスプレッダの所定の位置に配置、固定することができる。
放熱部品と電子部品とを備えた実装体を示す断面図である。 ヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 厚さ0.2mmの熱伝導シートの荷重と熱抵抗との関係を示すグラフである。 接着凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 接着凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 ペースト状の接着剤が設けられた熱伝導シートを示す斜視図である。 フィルム状の接着剤が設けられた熱伝導シートを示す斜視図である。 位置決め凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 位置決め凹部及び接着凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 位置決め凹部及び接着凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。 電子部品の上面及び側面が熱伝導シートに接触された実装体を示す断面図である。 断面円弧状の位置決め凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す断面図である。 断面円弧状の位置決め凹部及び接着凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す断面図である。 主面に形成された凸面部に位置決め凹部が形成されたヒートスプレッダ及び熱伝導シートを備えた放熱部品を示す断面図である。
以下、本発明が適用された放熱部品、ヒートスプレッダ、及び実装体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[放熱部品]
本発明が適用された放熱部品1は、図1に示すように、半導体素子等の電子部品4の発する熱を放熱するものであり、ヒートスプレッダ2と、ヒートスプレッダ2の半導体素子4と対峙する主面2aに固定され、半導体素子4との間に挟持される熱伝導シート3とを有する。
ヒートスプレッダ2は、図2(A)に示すように、例えば方形板状に形成され、半導体素子4と対峙する主面2aと、主面2aの外周に沿って立設された側壁2bとを有する。ヒートスプレッダ2は、側壁2bに囲まれた主面2aに熱伝導シート3が設けられ、また主面2aと反対側の他面2cにヒートシンク5が設けられる(図1参照)。ヒートスプレッダ2は、高い熱伝導率を有するほど、熱抵抗が減少し、効率よく半導体素子等の電子部品4の熱を吸熱することから、例えば、熱伝導性の良い銅やアルミニウムを用いて形成することができる。
電子部品4は、例えばBGA等の半導体パッケージであり、配線基板6へ実装される。またヒートスプレッダ2も、側壁2bの先端面が配線基板6に実装され、これにより側壁2bによって所定の距離を隔てて電子部品4を囲んでいる。
そして、ヒートスプレッダ2が熱伝導シート3を介して半導体素子4の上面4aに接続されることにより実装体10を構成する。実装体10は、半導体素子4の発する熱を吸収し、ヒートシンク5より放熱する。
図2(B)に示すように、ヒートスプレッダ2は、接着剤7によって熱伝導シート3が所定の位置に接着され、これにより、主面2aと半導体素子4の上面4aとの間に熱伝導シート3が挟持される。接着剤7は、熱伝導シート3のヒートスプレッダ2への貼付け面の全面にわたって塗布されている。ヒートスプレッダ2は、接着剤7を塗布することにより、粘着性に劣る熱伝導シート3を、半導体素子4の上面4aと対峙する所定の位置に固定することができる。
接着剤7は、熱伝導シート3のヒートスプレッダ2への接着と熱伝導を担う公知の放熱性樹脂を用いることができる。また、接着剤7は、放熱性樹脂をフィルム状に成形した放熱性の接着フィルムを用いてもよい。なお、接着剤7は、図2に示すように熱伝導シート3をヒートスプレッダ2の主面2aに直に配置する場合、熱伝導シート3と主面2aとの間に空隙を設けることなく密着させるために、熱伝導シート3の全面にわたって設けることが好ましい。
[熱伝導シート3]
熱伝導シート3としては、バインダ樹脂に繊維状フィラが含有された樹脂成型体をシート状に切断して形成されたものを用いることができる。熱伝導シート3を構成する繊維状フィラは、電子部品4からの熱を効率良くヒートスプレッダ2に伝導させるためのものである。このような繊維状フィラとしては、平均径が小さすぎるとその比表面積が過大となって熱伝導シート3を作成する際の樹脂組成物の粘度が高く成りすぎることが懸念され、大きすぎると成形体の作成が困難になるおそれがあることから、好ましくは5〜12μmである。また、その平均繊維長は、好ましくは30〜300μmである。30μm未満ではその比表面積が過大となって熱伝導シート3形成用組成物の粘度が高くなりすぎる傾向があり、300μmより大きすぎると熱伝導シート3の圧縮を阻害する傾向がある。
繊維状フィラの具体例としては、好ましくは、例えば、炭素繊維、金属繊維(例えば、ニッケル、鉄等)、ガラス繊維、セラミックス繊維(例えば、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等)、窒化物(例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等)、ホウ化物(例えば、ホウ化アルミニウム等)、炭化物(例えば、炭化ケイ素等)等の非金属系無機繊維)を挙げることができる。
繊維状フィラは、熱伝導シート3に対して要求される機械的性質、熱的性質、電気的性質などの特性に応じて選択される。中でも、高弾性率、良好な熱伝導性、高導電性、電波遮蔽性、低熱膨張性等を示す点からピッチ系炭素繊維あるいはポリベンザゾールを黒鉛化した炭素繊維を好ましく使用することができる。
繊維状フィラの熱伝導シート3中の含有量は、少なすぎると熱伝導率が低くなり、多すぎると粘度が高くなる傾向があるので、好ましくは16〜40体積%である。
なお、繊維状フィラの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、板状フィラ、鱗片状フィラ、球状フィラ等を併用することができる。特に、繊維状フィラの熱伝導シート3形成用組成物中での二次凝集の抑制という観点から、0.1〜5μm径の球状フィラ(好ましくは球状アルミナや球状窒化アルミ)を、繊維状フィラ100質量部に対し、好ましくは50〜900質量部併用することが好ましい。
バインダ樹脂は、繊維状フィラを熱伝導シート3内に保持するものであり、熱伝導シート3に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。このようなバインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン共重合体等のエチレン―αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン―酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン―アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン―エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマ一等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン―ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン―イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン―ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン―プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
熱伝導シート3は、繊維状フィラとバインダ樹脂とに加えて、必要に応じて各種添加剤を含有することができる。
なお、本発明の熱伝導シート3においては、その厚さ方向に配向していない繊維状フィラの全繊維状フィラ中の割合を、45〜95%とすることが好ましく、より好ましくは60〜90%である。その割合が45%未満であると、シートの厚み方向の熱伝導性が不十分となることが懸念され、95%を超えると互いに接触する繊維状フィラの割合が少なく、熱伝導シート3の熱伝導性が不十分となる傾向がある。
ここで、シートの厚さ方向に配向していない繊維状フィラとは、繊維状フィラの長軸方向が厚さ方向に平行となっていない繊維状フィラのことである。
厚さ方向に配向していない繊維状フィラの全繊維状フィラ中の割合は、単位立方体(0.5mm角)に含まれている繊維状フィラを顕微鏡観察し、その本数をカウントすることにより求めることができる。具体的には、熱伝導シート3の1断面を観察した際、“厚み方向に配置され旦つ所定の長さが確認できる繊維状フィラの数”を「厚さ方向に配向している繊維状フィラ」とし、その全体の繊維状フィラ数に対する割合を求めた値から算出することができる。その場合、観察する断面数を少なくとも2方向(縦横)以上とし、それらから得られた平均の値を基準に算出することもできる。
本発明の熱伝導シート3は、以下の工程(A)〜(C)を有する製造方法によって製造することができる。以下、工程毎に詳細に説明する。
<工程A>
まず、繊維状フィラをバインダ樹脂に分散させることにより熱伝導シート3形成用組成物を調製する。この調製は、繊維状フィラとバインダ樹脂と必要に応じて配合される各種添加剤や揮発性溶剤とを公知の手法により均一に混合することにより行うことができる。
<工程B>
次に、調製された熱伝導シート3形成用組成物から、押出し成形法又は金型成形法により成形体ブロックを形成する。
押出し成型法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出し成形法、金型成形法の中から、熱伝導シート3形成用組成物の粘度や熱伝導シート3に要求される特性等に応じて適宜採用することができる。
押出し成型法において、熱伝導シート3形成用組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成型法において、熱伝導シート3形成用組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂が流動し、その流動方向に沿って一部の繊維状フィラが配向するが、多くは配向がランダムになっている。
なお、ダイの先端にスリットを取り付けた場合、押し出された形成体ブロックの幅方向に対して中央部は、繊維状フィラが配向しやすい傾向がある。その一方、形成体ブロックの幅方向に対して周辺部は、スリット壁の影響を受けて繊維状フィラがランダムに配向されやすい。
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導シート3の大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5〜15cmで横の大きさが0.5〜15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。
<工程C>
次に、形成された成形体ブロックをシート状にスライスする。これにより熱伝導シート3が得られる。スライスにより得られるシートの表面(スライス面)には、繊維状フィラが露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置(好ましくは超音波カッタ)の中から適宜選択することができる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出し成形方法である場合には、押出し方向に配向しているものもあるために押出し方向に対して60〜120度、より好ましくは70〜100度の方向である。特に好ましくは90度(垂直)の方向である。
スライス厚としても、特に制限はなく、熱伝導シート3の使用目的等に応じて適宜選択するこができる。
<工程D>
必要により、得られた熱伝導シート3のスライス面をプレスする。これにより熱伝導シート3の表面を平滑化して、電子部品4やヒートスプレッダ2への密着性を向上させることができる。また、熱伝導シート3を圧縮して、繊維状フィラ同士の接触の頻度を増大させることができる。これにより、熱伝導シート3の熱抵抗を低減させることが可能となる。プレスの方法としては、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用することができる。また、ピンチロールでプレスしてもよい。
プレスの際の圧力としては、低すぎるとプレスをしない場合と熱抵抗が変わらない傾向があり、高すぎるとシートが延伸する傾向があるので、好ましくは0.1〜100kgf/cm、より好ましくは0.5〜95kgf/cmである。
図3に、スライス時の厚さ0.2mmの熱導電性シートのプレス荷重と熱抵抗(k・cm/W)との関係を示す。図3に示すように、熱伝導シート3は、プレス荷重を2kgf/cm以上、より好ましくは3kgf/cm以上とすることで熱抵抗を大きく下げることができることが分かる。
このようなプレスは、プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、バインダ樹脂のガラス転移温度以上で行うことが好ましい。
プレス後のシート厚は圧縮により薄くなるが、シートの圧縮率[{(プレス前のシート厚−プレス後のシート厚)/プレス前のシート厚}×100]が小さすぎると熱抵抗が小さくならない傾向があり、大きすぎるとシートが延伸する傾向があるので、圧縮率が2〜15%となるようにプレスを行う。
また、プレスによりシートの表面を平滑にすることができる。
このような熱伝導シート3は、上述したように、ヒートスプレッダ2の主面2aに配設され、電子部品4の上面4aとの間に挟持される。ここで、熱伝導シート3は、粘着性に劣ることから、直にヒートスプレッダ2の主面2a上に載置したのでは、実装体10の組み立て時や、配線基板6に実装された後等に、位置ずれを生じる恐れがある。したがって、熱伝導シート3は、接着剤7によってヒートスプレッダ2の主面2aに接着される。これにより、放熱部品1及び実装体10は、粘着性に劣る熱伝導シート3を、ヒートスプレッダ2の所定の位置に配置、固定することができる。
なお、熱伝導シート3は、接着剤7によって接着する以外にも、粘性を付与する粘着剤によってヒートスプレッダ2の所定の位置に配置、固定してもよい。以下の説明においても同様に、熱伝導シート3は、接着剤7以外に粘着剤によって所定の位置に配置、固定することができる。
[第2の形態]
また、ヒートスプレッダ2は、図4、図5に示すように、主面2aに、接着剤7が設けられる接着凹部11を形成してもよい。接着凹部11は、例えばプレスや切削、あるいは鋳造等により形成することができる。ヒートスプレッダ2は、接着凹部11を設けることにより、接着剤7の使用量を必要最小限に抑えるとともに、主面2aと熱伝導シート3との間に段差が生じることがないため、熱伝導シート3を全面にわたって密着させることができる。
すなわち、ヒートスプレッダ2は、主面2aと熱伝導シート3との間に隙間ができると、その分、熱抵抗の上昇を招くことから、熱伝導シート3の全面にわたって主面2aに密着させることが求められる。これは、接着剤7を熱伝導シート3の全面にわたって設けることにより可能となるが、熱伝導シート3の固定に要する接着剤の量としては過剰となる。一方、接着剤7を必要な分だけ熱伝導シート3の一部に設けた場合、接着剤7の塗布部とその周辺との間に段差が生じ、主面2aに密着させることができない。
そこで、ヒートスプレッダ2は、熱伝導シート3の固定に必要な量の接着剤7を充填することができる接着凹部11を設けることより、接着剤7の適正な塗布量に抑えつつ、熱伝導シート3を主面2aに密着させることができる。
このような接着凹部11は、例えば、図4(A)(B)に示すように、ペースト状の接着剤7が充填される孔部とすることができる。この場合、接着凹部11は、矩形状に形成された熱伝導シート3の四隅に応じた位置に形成される。
また、接着凹部11は、図5(A)(B)に示すように、フィルム状の接着剤7が配設される矩形凹部とすることができる。この場合、接着凹部11は、矩形状に形成された熱伝導シート3の相対向する2辺に応じた位置に形成される。
なお、この放熱部品1は、予め接着凹部11に接着剤7を設けた後に熱伝導シート3を配置してもよく、または図6に示すように、粘度の高いペースト状の接着剤7を熱伝導シート3の四隅に設け、あるいは図7に示すように、フィルム状の接着剤7を熱伝導シート3の相対向する2辺に貼り付け、ヒートスプレッダ2に配置してもよい。
[第3の形態]
また、ヒートスプレッダ2は、図8に示すように、主面2aに、熱伝導シート3が配設される位置決め凹部12を形成することによって、熱伝導シート3を固定してもよい。位置決め凹部12は、熱伝導シート3の大きさ及び形状に応じて、主面2aに凹設されている。また、位置決め凹部12は、プレスや切削、あるいは鋳造等により形成することができる。図8(B)に示すように、放熱部品1は、ヒートスプレッダ2の位置決め凹部12に熱伝導シート3を配設することにより、粘着性に劣る熱伝導シート3を、ヒートスプレッダ2の所定の位置に配置、固定することができる。
ここで、放熱部品1は、位置決め凹部12に配設された熱伝導シート3がヒートスプレッダ2及び電子部品4の上面4aによって挟持することができれば、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚さと同じくし、図8(B)に示すように、熱伝導シート3とヒートスプレッダ2の主面2aとが面一とされるようにする他、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚みよりも浅くし、あるいは深くしてもよい。なお、放熱部品1は、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚さ以下とし、熱伝導シート3をヒートスプレッダ2の主面2aと面一又は突出させることにより、熱伝導シート3の弾性を利用して、確実に電子部品4とヒートスプレッダ2との間に熱伝導シート3を挟持させることができる。
また、放熱部品1は、熱伝導シート3を位置決め凹部12に接着剤7によって固定してもよい。この場合、接着剤7は、熱伝導シート3と位置決め凹部12との間に空隙を設けることなく密着させるために、熱伝導シート3の全面にわたって設けることが好ましい。
放熱部品1は、このようにヒートスプレッダ2の主面2aに熱伝導シート3が配設される位置決め凹部12を形成することにより、ヒートスプレッダ2の主面に直に熱伝導シート3を固定する場合に比して、熱伝導シート3の外周面もヒートスプレッダ2と接することとなり、接触面積の増加によって、より効率的に放熱することができる。
[第4の形態]
また、ヒートスプレッダ2は、図9、図10に示すように、主面2aに位置決め凹部12を形成するとともに、この位置決め凹部12に接着剤7が設けられる接着凹部13を形成してもよい。ヒートスプレッダ2は、上述した接着凹部11と同様に接着凹部13を形成することができ、これにより、接着剤7の使用量を必要最小限に抑えつつ、位置決め凹部12と熱伝導シート3との間に段差が生じることがないため、熱伝導シート3を全面にわたって密着させることができる。
接着凹部13は、例えば、図9(A)(B)に示すように、ペースト状の接着剤7が充填される孔部とすることができる。この場合、接着凹部13は、矩形状に形成された熱伝導シート3の四隅に応じた位置に形成される。
また、接着凹部13は、図10(A)(B)に示すように、フィルム状の接着剤7が配設される矩形凹部とすることができる。この場合、接着凹部13は、矩形状に形成された熱伝導シート3の相対向する2辺に応じた位置に形成される。
なお、位置決め凹部12に接着凹部13を設ける場合も、放熱部品1は、位置決め凹部12に配設された熱伝導シート3がヒートスプレッダ2及び電子部品4の上面4aによって挟持することができれば、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚さと同じくし、図9(B)及び図10(B)に示すように、熱伝導シート3とヒートスプレッダ2の主面2aとが面一とされるようにする他、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚みよりも浅くし、あるいは深くしてもよい。
この場合も、放熱部品1は、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚さ以下とし、熱伝導シート3をヒートスプレッダ2の主面2aと面一又は突出させることにより、熱伝導シート3の弾性を利用して、確実に電子部品4とヒートスプレッダ2との間に熱伝導シート3を挟持させることができる。
[第5の形態]
また、ヒートスプレッダ2は、図11に示すように、位置決め凹部12の深さを熱伝導シート3の厚さよりも深くするとともに、広さを電子部品4よりも若干大きくし、熱伝導シート3が電子部品4の上面4a及び側面4bと接するようにしてもよい。
熱伝導シート3は、接着剤7を介して位置決め凹部12の底面及び側面に沿って接着されている。なお、ヒートスプレッダ2は、上述したように、位置決め凹部12内に接着凹部13を形成し、当該接着凹部13に設けたペースト状又はフィルム状の接着剤7により熱伝導シート3を固定してもよい。
この実装体10によれば、電子部品4の上面4a及び側面4bが熱伝導シート3を介してヒートスプレッダ2と接触しているため、電子部品4と熱伝導シート3及びヒートスプレッダ2との接触面積を増加させることができ、より効率的に放熱することができる。
[その他の形態]
その他、本発明が適用された放熱部品1は、図12に示すように、位置決め凹部12を、断面視で円弧状に湾曲させてもよい。これにより、放熱部品1は、電子部品4の上面4aが円弧状に膨張しているような場合に、熱伝導シート3を電子部品4の上面4aの形状に応じて円弧状に配置し、確実に電子部品4と密着させ、放熱効果を維持、向上させることができる。なお、この場合も、ヒートスプレッダ2は、図13に示すように、位置決め凹部12内に接着凹部13を形成し、当該接着凹部13に設けた接着剤7により熱伝導シート3を固定してもよい。
また、放熱部品1は、図14に示すように、ヒートスプレッダ2の主面2aに凸面部15を設け、この凸面部15に熱伝導シート3が配設される位置決め凹部12を形成してもよい。放熱部品1は、凸面部15を設けることにより、ヒートスプレッダ2と電子部品4とにより、確実に熱伝導シート3を挟持することができる。また、この場合も、ヒートスプレッダ2は、凸面部15に形成する位置決め凹部12を断面視で円弧状に湾曲させてもよく、また、位置決め凹部12内に接着凹部13を形成し、当該接着凹部13に設けた接着剤7により熱伝導シート3を固定してもよい。
1 放熱部品、2 ヒートスプレッダ、2a 主面、2b 側壁、3 熱伝導シート、4 電子部品、4a 上面、4b 側面、5 ヒートシンク、6 配線基板、7 接着剤、10 実装体、11 接着凹部、12 位置決め凹部、13 接着凹部、15 凸面部

Claims (19)

  1. 電子部品の発する熱を放熱するヒートスプレッダと、
    上記ヒートスプレッダに配設され、該ヒートスプレッダと上記電子部品との間に挟持される熱伝導シートとを備え、
    上記熱伝導シートは、上記ヒートスプレッダの上記電子部品と対峙する主面に固定されている放熱部品。
  2. 上記熱伝導シートは、上記ヒートスプレッダの上記主面に接着剤又は粘着剤によって固定されている請求項1記載の放熱部品。
  3. 上記ヒートスプレッダは、上記主面に、上記接着剤又は粘着剤が設けられる接着凹部が形成されている請求項2記載の放熱部品。
  4. 上記接着凹部には、接着ペースト、又は接着フィルムが設けられる請求項3記載の放熱部品。
  5. 上記ヒートスプレッダは、上記主面に上記熱伝導シートが配設される位置決め凹部が形成されている請求項1記載の放熱部品。
  6. 上記熱伝導シートは、上記位置決め凹部に接着剤又は粘着剤によって固定されている請求項5記載の放熱部品。
  7. 上記ヒートスプレッダは、上記位置決め凹部に、上記接着剤又は粘着剤が設けられる接着凹部が形成されている請求項6記載の放熱部品。
  8. 上記接着凹部には、接着ペースト、又は接着フィルムが設けられる請求項7記載の放熱部品。
  9. 上記位置決め凹部は、上記熱伝導シートの厚み以下の深さを有する請求項5〜8のいずれか1項に記載の放熱部品。
  10. 熱伝導シートを介して電子部品に接続され、該電子部品の熱を放熱するヒートスプレッダにおいて、
    上記熱伝導シートを上記電子部品と対峙する主面に固定する固定手段が設けられているヒートスプレッダ。
  11. 上記固定手段は、上記主面に凹設され接着剤又は粘着剤が設けられる接着凹部である請求項10記載のヒートスプレッダ。
  12. 上記固定手段は、上記主面に凹設され上記熱伝導シートが配設される位置決め凹部である請求項10記載のヒートスプレッダ。
  13. 上記位置決め凹部に、接着剤又は粘着剤が設けられる接着凹部が形成されている請求項12記載のヒートスプレッダ。
  14. 上記接着凹部には、接着ペースト、又は接着フィルムが設けられる請求項11又は13記載のヒートスプレッダ。
  15. 上記位置決め凹部は、上記熱伝導シートの厚み以下の深さを有する請求項12又は13記載のヒートスプレッダ。
  16. 電子部品と、
    上記電子部品の発する熱を放熱するヒートスプレッダと、
    上記ヒートスプレッダの上記電子部品と対峙する主面に配設され、上記ヒートスプレッダ及び上記電子部品に挟持される熱伝導シートとを備え、
    上記ヒートスプレッダは、上記熱伝導シートを上記電子部品と対峙する主面に固定する固定手段が設けられている実装体。
  17. 上記熱伝導シートは、上記ヒートスプレッダの主面に形成された位置決め凹部に配設され、該位置決め凹部内において、上記電子部品の上記ヒートスプレッダと対峙する主面及び側面と接している請求項16記載の実装体。
  18. 上記位置決め凹部に、接着剤又は粘着剤が設けられる接着凹部が形成されている請求項17記載の実装体。
  19. 上記接着凹部は、接着ペースト、又は接着フィルムが設けられる請求項18記載の実装体。
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KR20170044123A (ko) * 2014-10-31 2017-04-24 데쿠세리아루즈 가부시키가이샤 열전도 시트, 열전도 시트의 제조 방법, 방열 부재 및 반도체 장치
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