JP2022046021A - 熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法 - Google Patents

熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚み方向と面方向とで比誘電率及び熱伝導率の差が小さい熱伝導性シートの提供。【解決手段】熱伝導性シート1は、バインダ樹脂2と、鱗片状の第1の熱伝導性フィラー3と、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラー4とを含有し、第1の熱伝導性フィラー3と、第2の熱伝導性フィラー4とがバインダ樹脂2に分散しており、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である。【選択図】図1

Description

本技術は、熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法に関する。
電子機器の高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品からの発熱をさらに効率的に放熱することが重要である。例えば、半導体装置は、効率的に放熱するために、電子部品が、熱伝導性シートを介して、放熱ファン、放熱板等のヒートシンクに取り付けられている。熱伝導性シートとしては、例えば、シリコーン樹脂に、無機フィラーなどの充填剤を含有(分散)させたものが広く使用されている。この熱伝導性シートのような放熱部材は、更なる熱伝導率の向上が要求されている。例えば、熱伝導性シートの高熱伝導性を目的として、バインダ樹脂などのマトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることが検討されている。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、熱伝導性シートの柔軟性が損なわれたり、粉落ちが発生したりするため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維などをマトリクス内に充填させることもある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合は、繊維方向に約600~1200W/m・Kの熱伝導率を有することが知られている。また、窒化ホウ素の場合は、面方向に約110W/m・K程度の熱伝導率を有し、面方向に対して垂直な方向に約2W/m・K程度の熱伝導率を有することが知られている。このように、炭素繊維や鱗片状粒子の面方向を、熱の伝達方向であるシートの厚み方向と同じにする、すなわち、炭素繊維や鱗片状粒子をシートの厚み方向に配向させることによって、熱伝導率が飛躍的に向上することが期待できる。
例えば特許文献1には、炭素繊維を厚み方向に配向させた熱伝導性シートが記載されている。しかし、炭素繊維を厚み方向に配向させた熱伝導性シートは、導電性であるため、絶縁性を求める用途では使用が制限されてしまう。また、熱伝導性シートの熱伝導性を高めるには、通常、誘電率が高い熱伝導性フィラー(例えば、導電性フィラー、アルミナ、窒化アルミニウムなど)を使用するため、高熱伝導になると比誘電率も高くなってしまっていた。
ところで、近年の携帯電話などの通信機器における電磁波コントロールの観点から、熱伝導率とともに比誘電率がコントロールされた放熱材料、例えば、絶縁性を有しつつ熱伝導率が高い熱伝導性シートが求められている。通常、熱伝導性シートの厚み方向に鱗片状の熱伝導フィラー(例えば鱗片状の窒化ホウ素)を配向させると、熱伝導性シートの厚み方向に比べて、熱伝導性シートの、面方向(水平方向)の熱伝導率が低くなる傾向にある。熱伝導性シートの厚み方向と面方向に均一に熱を伝えることができないと、ヒートスポットになってしまうことが問題となる。
特開2012-001638号公報
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、厚み方向と面方向とで比誘電率及び熱伝導率の差が小さい熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法を提供する。
本技術に係る熱伝導性シートは、バインダ樹脂と、鱗片状の第1の熱伝導性フィラーと、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラーとを含有し、第1の熱伝導性フィラーと第2の熱伝導性フィラーとがバインダ樹脂に分散しており、熱伝導性シートの比誘電率が7.0以下であり、熱伝導性シートの厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下であり、熱伝導性シートの厚み方向と面方向との熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である。
本技術に係る熱伝導性シートの製造方法は、鱗片状の第1の熱伝導性フィラーと、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラーとを、バインダ樹脂に分散させることにより、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製する工程Aと、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導性シートを得る工程Cとを有し、熱伝導性シートは、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向と面方向との熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である。
本技術によれば、厚み方向と面方向とで比誘電率及び熱伝導率の差が小さい熱伝導性シートを提供することができる。
図1は、熱伝導性シートの一例を示す断面図である。 図2は、熱伝導性シートの一例を示す断面図である。 図3は、第1の熱伝導性フィラーの一例である、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素を模式的に示す斜視図である。 図4は、熱伝導性シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。 図5は、第1の熱伝導性フィラーの配向方向が疑似等方である熱伝導性シートの製造方法の一例を説明するための斜視図である。 図6は、第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が疑似等方ではない熱伝導性シートの製造方法の一例を説明するための斜視図である。
本明細書において、熱伝導性フィラーの平均粒径(D50)とは、熱伝導性フィラーの粒子径分布全体を100%とした場合に、粒径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。なお、本明細書における粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
本明細書において、鱗片状の熱伝導性フィラー(後述する鱗片状の第1の熱伝導性フィラー3)とは、長軸と短軸と厚みとを有する熱伝導性フィラーであって、高アスペクト比(長軸/厚み)であり、長軸を含む面方向に等方的な熱伝導率を有するものである。短軸とは、鱗片状の熱伝導性フィラーの長軸を含む面において、鱗片状の熱伝導性フィラーの長軸に交差する方向であって、鱗片状の熱伝導性フィラーの最も短い部分の長さをいう。厚みとは、鱗片状の熱伝導性フィラーの長軸を含む面の厚みを10点測定して平均した値をいう。
<熱伝導性シート>
図1は、本技術に係る熱伝導性シート1の一例を示す断面図である。熱伝導性シート1は、バインダ樹脂2と、鱗片状の第1の熱伝導性フィラー3と、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラー4とを含有し、第1の熱伝導性フィラー3と第2の熱伝導性フィラー4とがバインダ樹脂2に分散している。また、熱伝導性シート1は、厚み方向Bと面方向Aとで比誘電率及び熱伝導率の差が小さい。
比誘電率に関して、熱伝導性シート1は、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの比誘電率の差が0.5以下である。熱伝導性シート1は、比誘電率が7.0以下であるため、絶縁性が良好である。熱伝導性シート1の比誘電率は、低いほど好ましく、例えば、厚み方向Bと面方向Aの比誘電率が6.5以下であってもよく、6.0以下であってもよく、5.5以下であってもよく、5.0以下であってもよく、4.5以下であってもよい。また、熱伝導性シート1は、厚み方向Bと面方向Aとの比誘電率の差が小さいほど好ましく、0.4以下であってもよい。熱伝導性シート1の比誘電率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導率に関して、熱伝導性シート1は、厚み方向Bと面方向Aとの熱伝導率の差が1.5W/m・K以下であり、1.0W/m・K以下であってもよく、0.8W/m・K以下であってもよく、0.7W/m・K以下であってもよい。熱伝導性シート1の厚み方向Bと面方向Aの熱伝導率は、高いほど好ましく、例えば、1.0W/m・K以上であってもよく、2.0W/m・K以上であってもよく、3.0W/m・K以上であってもよく、4.0W/m・K以上であってもよく、5.0W/m・K以上であってもよい。熱伝導性シート1の熱伝導率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
このように、熱伝導性シート1は、熱伝導率と比誘電率がコントロールされており、比誘電率が低く、厚み方向と面方向とで比誘電率及び熱伝導率の差が小さいため、例えば、シールドやアンテナの分野において新たな応用が期待できる。例えば、熱伝導性シート1は、高速ワイヤレス通信機器など、高周波特性が必要な機器や、絶縁性が必要な用途に好適である。
図1,2は、熱伝導性シートの一例を示す断面図である。熱伝導性シート1は、例えば図1に示すように、第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が疑似等方であることが好ましい。第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が疑似等方とは、例えば図2に示すように、熱伝導性シート1が、第1の層10Aと、第1の層10Aに接する第2の層10Bとを少なくとも有する積層体であると仮定した場合、第1の層10Aにおける第1の熱伝導性フィラー3の配向方向がほぼ同じであり、第2の層10Bにおける第1の熱伝導性フィラー3の配向方向もほぼ同じであり、かつ、第1の層10Aに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向と、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が交差している状態をいう。換言すると、熱伝導性シート1は、第1の熱伝導性フィラー3が第1の方向に配向された第1の層10Aと、第1の熱伝導性フィラー3が第1の方向と交差する第2の方向に配向された第2の層10Bとを有する積層体であってもよい。特に、熱伝導性シート1は、第1の層10Aに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向(第1の方向)を0度としたときに、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向(第2の方向)が50~90度であることが好ましく、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向がほぼ90度であることがより好ましい。
なお、熱伝導性シート1は、全体として第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が疑似等方になっていれば、1層で構成されていてもよいし、あるいは、第1の層10Aと第2の層10Bとが交互に積層された2層以上の積層体で構成されていてもよい。熱伝導性シート1が、第1の層10Aと第2の層10Bとが交互に積層された2層以上の積層体で構成される場合、第1の層10Aと第2の層10Bの合計が6以上であってもよく、8以上であってもよく、10以上であってもよく、それ以上であってもよい。
熱伝導性シート1の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導性シート1の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導性シート1の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導性シート1の取り扱い性の観点から、熱伝導性シート1の厚みは、0.1~4mmとすることが好ましい。熱伝導性シート1の厚みは、例えば、熱伝導性シート1の厚みBを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
以下、熱伝導性シート1の構成要素の具体例について説明する。
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂2は、第1の熱伝導性フィラー3と第2の熱伝導性フィラー4とを熱伝導性シート1内に保持するためのものである。バインダ樹脂2は、熱伝導性シート1に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。バインダ樹脂2としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン-エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン- ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
バインダ樹脂2としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮するとシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。バインダ樹脂2は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導性シート1中のバインダ樹脂2の含有量の下限値は、20体積%以上とすることができ、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよい。また、熱伝導性シート1中のバインダ樹脂2の含有量の上限値は、70体積%以下とすることができ、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよく、35体積%以下であってもよい。熱伝導性シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、例えば、熱伝導性シート1の柔軟性の観点では、25~60体積%とすることが好ましく、30~40体積%とすることもでき、33~37体積%とすることもできる。
<第1の熱伝導性フィラー>
第1の熱伝導性フィラー3は、鱗片状の熱伝導性フィラーである。第1の熱伝導性フィラー3は、鱗片状の熱伝導性フィラーであれば特に限定されず、例えば、窒化ホウ素(BN)、雲母、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、シリカ、酸化亜鉛、二硫化モリブデン等を用いることができる。第1の熱伝導性フィラー3は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
図3は、第1の熱伝導性フィラー3の一例である、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素3Aを模式的に示す斜視図である。図3中、aは鱗片状の窒化ホウ素3Aの長軸を表し、bは鱗片状の窒化ホウ素3Aの厚みを表し、cは鱗片状の窒化ホウ素3Aの短軸を表す。鱗片状の熱伝導性フィラーとしては、熱伝導性シート1の比誘電率及び熱伝導率の観点から、図3に示すように結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素3Aを用いることが好ましい。鱗片状の熱伝導性フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本技術に係る熱伝導性シート1は、第1の熱伝導性フィラー3として、球状の熱伝導性フィラー(例えば球状の窒化ホウ素)よりも安価な鱗片状の熱伝導性フィラー(例えば、鱗片状の窒化ホウ素3A)を用いて、優れた熱特性と誘電特性を発揮させることができる。
第1の熱伝導性フィラー3の平均粒径(D50)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、第1の熱伝導性フィラー3の平均粒径は、10μm以上とすることができ、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、35μm以上であってもよい。また、第1の熱伝導性フィラー3の平均粒径の上限値は、150μm以下とすることができ、100μm以下であってもよく、90μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、45μm以下であってもよい。熱伝導性シート1の熱伝導率の観点から、第1の熱伝導性フィラー3の平均粒径は、20~100μmとすることが好ましい。第1の熱伝導性フィラー3のアスペクト比は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、第1の熱伝導性フィラーのアスペクト比は、10~100の範囲とすることができる。第1の熱伝導性フィラー3の長軸と短軸との比(長軸/短軸)の平均値は、例えば、0.5~10の範囲とすることができ、1~5の範囲とすることもでき、1~3の範囲とすることもできる。
熱伝導性シート1中の第1の熱伝導性フィラー3の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導性シート1中の第1の熱伝導性フィラー3の含有量は、15体積%以上とすることができ、20体積%以上であってもよく、23体積%以上であってもよい。また、熱伝導性シート1中の第1の熱伝導性フィラー3の含有量の上限値は、例えば、45体積%以下とすることができ、40体積%以下であってもよく、35体積%以下であってもよく、30体積%以下であってもよい。熱伝導性シート1の熱伝導率及び比誘電率の観点から、熱伝導性シート1中の第1の熱伝導性フィラー3の含有量は、20~35体積%とすることが好ましく、20~30体積%とすることがより好ましく、23~27体積%とすることがさらに好ましい。
<第2の熱伝導性フィラー>
第2の熱伝導性フィラー4は、上述した第1の熱伝導性フィラー3以外の熱伝導性フィラーである。すなわち、第2の熱伝導性フィラー4は、非鱗片状であり、例えば、球状、粉末状、顆粒状、扁平状等の熱伝導性フィラーが挙げられる。また、熱伝導性シート1に絶縁性を求める場合、第2の熱伝導性フィラー4は、炭素繊維などの導電性の熱伝導性フィラーを実質的に含まないことが好ましい。このように絶縁性も考慮すると、第2の熱伝導性フィラー4は、非鱗片状かつ非繊維状の熱伝導性フィラーであることが好ましい。第2の熱伝導性フィラー4の材質は、熱伝導性シート1の絶縁性を確保できる材料が好ましく、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ジルコニア、炭化ケイ素などが挙げられる。第2の熱伝導性フィラー4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、第2の熱伝導性フィラー4としては、熱伝導性シート1の比誘電率及び熱伝導率の観点から、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子とを併用することが好ましく、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と酸化亜鉛とを併用することも好ましい。窒化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、熱硬化前の熱伝導性シート1の粘度低下の観点から、1~5μmとすることが好ましく、1~3μmであってもよく、1~2μmであってもよい。また、アルミナ粒子の平均粒径(D50)は、熱硬化前の熱伝導性シート1の粘度低下の観点から、0.1~10μmとすることが好ましく、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。酸化亜鉛粒子の平均粒径(D50)は、熱硬化前の熱伝導性シート1の粘度低下の観点から、0.1~5μmとすることが好ましく、0.5~3μmであってもよく、0.5~2μmであってもよい。
熱伝導性シート1中の第2の熱伝導性フィラー4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。熱伝導性シート1中の第2の熱伝導性フィラー4の含有量は、10体積%以上とすることができ、15体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよく、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、35体積%以上であってもよい。また、熱伝導性シート1中の第2の熱伝導性フィラー4の含有量の上限値は、50体積%以下とすることができ、45体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよい。
第2の熱伝導性フィラー4として、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子とを併用する場合、比誘電率を低くする観点や、熱硬化前の熱伝導性シート1の粘度低下の観点から、熱伝導性シート1中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましい。また、第2の熱伝導性フィラー4として、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子と、酸化亜鉛粒子とを併用する場合、比誘電率を低くする観点や、硬化前の熱伝導性シート1の粘度低下の観点から、熱伝導性シート1中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、酸化亜鉛粒子の含有量は0.1~3体積%とすることが好ましい。
熱伝導性シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤(カップリング剤)、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。例えば、熱伝導性シート1は、第1の熱伝導性フィラー3及び第2の熱伝導性フィラー4の分散性をより向上させて、熱伝導性シート1の柔軟性をより向上させる観点で、シランカップリング剤で処理した第1の熱伝導性フィラー3及び/又はシランカップリング剤で処理した第2の熱伝導性フィラー4を用いてもよい。
以上のように、第1の熱伝導性フィラー3と第2の熱伝導性フィラー4とがバインダ樹脂2に分散している熱伝導性シート1は、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である。すなわち、熱伝導性シート1は、厚み方向Bと面方向Aとで比誘電率及び熱伝導率の差が小さい。
<熱伝導性シートの製造方法>
上述した熱伝導性シート1の製造方法は、下記工程Aと、工程Bと、工程Cとを有する。
<工程A>
工程Aでは、第1の熱伝導性フィラー3と第2の熱伝導性フィラー4とをバインダ樹脂2に分散させることにより、熱伝導性シート形成用組成物を調製する。熱伝導性シート形成用組成物は、第1の熱伝導性フィラー3と、第2の熱伝導性フィラー4と、バインダ樹脂2との他に、必要に応じて各種添加剤や揮発性溶剤とを公知の手法により均一に混合することにより調製できる。
<工程B>
工程Bでは、調製された熱伝導性シート形成用組成物から、成形体ブロックを形成する。図5は、第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が疑似等方である熱伝導性シートの製造方法の一例を説明するための斜視図である。工程Bでは、図5に示すように、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物からなる第1の層10Aと、第1の層10Aに接し熱伝導性シート形成用の樹脂組成物からなる第2の層10Bとを少なくとも有する積層体ブロック11を形成することが好ましい。この積層体ブロック11は、各層を構成する第1の熱伝導性フィラー3が、ほぼ同じ方向(例えば押出方向)に配向されている。ここで、ほぼ同じ方向に配向とは、例えば、熱伝導性シート1中の全ての第1の熱伝導性フィラーのうち、熱伝導性シート1の厚み方向Bに長軸が配向している鱗片状熱伝導性フィラーの割合が50%以上であることをいう。そして、積層体ブロック11は、第1の層10Aに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向と、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向とが交差している。例えば、積層体ブロック11は、第1の層10Aに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向を0度としたときに、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が50~90度となるように積層されていることが好ましい。特に、積層体ブロック11は、第1の層10Aに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向を0度としたときに、第2の層10Bに含まれる第1の熱伝導性フィラー3の配向方向が90度となるように積層されていることが好ましい。
また、成形体ブロック11は、第1の層10Aと第2の層10Bが交互に積層された3層以上の積層体であってもよい。一例として、工程Bでは、押出装置を用いて、フィルム上に熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を所定の厚みとなるようにシート状に押出して第1の層10Aを形成した後に、基材フィルムを90度回転させて、形成した樹脂組成物(第1の層10A)の上にさらに樹脂組成物を所定の厚みとなるようにシート状に押し出して第2の層10Bを形成する。各層は、複数回の押し出し工程により積層して形成してもよい。そして、このような工程を所定の回数繰り返すことで、第1の層10Aと第2の層10Bが交互に積層された3層以上の積層体からなり、第1の熱伝導性フィラー3が疑似等方に配向した成形体ブロック11を形成できる。なお、成形体ブロック11は、成形体ブロック11全体として第1の熱伝導性フィラー3が疑似等方に配向されていれば、第1の層10Aと第2の層10Bとが交互に積層されていなくてもよい。
成形体ブロック11の大きさと形状は、求められる熱伝導性シート1の大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。
<工程C>
工程Cでは、成形体ブロック11をシート状にスライスして、上述した本技術に係る熱伝導性シート1を得る。スライスにより得られるシートの表面(スライス面)には、第1の熱伝導性フィラー3が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロック11の大きさや機械的強度により公知のスライス装置の中から適宜選択することができる。成形体ブロック11のスライス方向としては、工程Bで上述のように押出装置を用いる場合、押出し方向に配向している第1の熱伝導性フィラー3があるため、例えば、第1の層10Aと第2の層10Bのいずれか一方の押出し方向に対して垂直又は水平の方向とすればよい。換言すると、成形体ブロック11のスライス方向は、図5に示すように、成形体ブロック11を構成する第1の層10A及び第2の層10Bの積層方向とすることができる。
このように、工程Aと、工程Bと、工程Cとを有する熱伝導性シートの製造方法では、バインダ樹脂2と、第1の熱伝導性フィラー3と、第2の熱伝導性フィラー4とを含有し、第1の熱伝導性フィラー3と第2の熱伝導性フィラー4とがバインダ樹脂2に分散しており、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向Bと面方向Aとの熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である熱伝導性シート1が得られる。
本技術に係る熱伝導性シート1の製造方法は、上述した例に限定されるものではない。例えば、工程Cの後に、工程Cでスライスした面をプレスする工程をさらに有していてもよい。熱伝導性シートの製造方法がプレスする工程をさらに有することで、工程Cで得られたシートの表面がより平滑化され、他の部材との密着性をより向上させることができる。プレスの方法としては、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用することができる。また、ピンチロールでプレスしてもよい。プレスの際の圧力としては、例えば、0.1~100MPaとすることができる。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、プレスは、バインダ樹脂2のガラス転移温度(Tg)以上で行うことが好ましい。例えば、プレス温度は、0~180℃とすることができ、室温(例えば25℃)~100℃の温度範囲内であってもよく、30~100℃であってもよい。
<電子機器>
本技術に係る熱伝導性シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導性シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
図4は、本技術に係る熱伝導性シート1を適用した半導体装置50の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導性シート1は、図4に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図4に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導性シート1とを備え、熱伝導性シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導性シート1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導性シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。
以下、本技術の実施例について説明する。実施例では、熱伝導性シートを作製し、熱伝導性シートの厚み方向と面方向の比誘電率及び熱伝導率を測定した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、シリコーン樹脂33体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)27体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)19体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、酸化亜鉛(D50が1.0μm)1体積%と、カップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製した。押出装置を用いて、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム上に熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押出し後に、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルムを90度回転させて、形成した樹脂組成物層の上にさらに熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押し出した。この工程を10回繰り返した後に、60℃のオーブンで4時間加熱させて、鱗片状の窒化ホウ素が疑似等方に配向した成形体ブロックを形成した(図5参照)。形成した成形体ブロックを、押出方向に対して垂直方向又は水平方向にスライスして1mm厚の熱伝導性シートを得た。
<実施例2>
実施例2では、シリコーン樹脂37体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)23体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、カップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導性シートを得た。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様の熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製した。押出装置を用いて、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム上に熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押出し後に、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルムを回転させずに、形成した樹脂組成物層の上にさらに熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押し出した。この工程を10回繰り返した後に、60℃のオーブンで4時間加熱させて、鱗片状の窒化ホウ素が一方向に配向した成形体ブロックを形成した(図6参照)。そして、形成した成形体ブロックを、押出方向に対して垂直方向にスライスして1mm厚の熱伝導性シートを得た。
<比較例2>
比較例2では、実施例2と同様の熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製した。押出装置を用いて、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム上に熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押出し後に、剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルムを90度回転させずに、形成した樹脂組成物層の上にさらに熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を2mmの厚みとなるように押し出した。この工程を10回繰り返した後に、60℃のオーブンで4時間加熱させて、鱗片状の窒化ホウ素が一方向に配向した成形体ブロック12を形成した(図6参照)。そして、形成した成形体ブロックを、押出方向に対して垂直方向にスライスして1mm厚の熱伝導性シートを得た。
<比較例3>
比較例3では、シリコーン樹脂25体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)29体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)45体積%と、カップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製した。剥離処理された剥離ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を塗布し、60℃のオーブンで4時間加熱させて熱伝導性シートを形成した。
<熱伝導率>
ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cmをかけて熱伝導性シートの厚み方向及び面方向の熱伝導率(W/m・K)をそれぞれ測定した。そして、熱伝導性シートの厚み方向と面方向との熱伝導率の差を求めた。結果を表1に示す。
<比誘電率>
JIS K6911に準じた方法で、熱伝導性シートの厚み方向及び面方向の比誘電率(30GHz)を測定した。そして、熱伝導性シートの厚み方向と面方向との比誘電率の差を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2022046021000002
実施例1,2で得られた熱伝導性シートは、バインダ樹脂と、第1の熱伝導性フィラーと、第2の熱伝導性フィラーとを含有し、第1の熱伝導性フィラーと第2の熱伝導性フィラーとがバインダ樹脂に分散しており、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向と面方向との熱伝導率の差が1.5W/m・K以下であることが分かった。すなわち、実施例1,2で得られた熱伝導性シートは、厚み方向と面方向とで比誘電率及び熱伝導率の差が小さいことが分かった。
また、実施例1,2で得られた熱伝導性シートは、厚み方向の熱伝導率が5.0W/m・K以上であり、熱伝導性が良好であることが分かった。
一方、比較例1,2で得られた熱伝導性シートは、厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下を満たさず、厚み方向と面方向との熱伝導率の差も1.5W/m・K以下を満たさないことが分かった。
比較例3で得られた熱伝導性シートは、鱗片状の第1の熱伝導性フィラーを含有しないため、面方向の比誘電率が7.0以下を満たさないことが分かった。
1 熱伝導性シート、2 バインダ樹脂、3 第1の熱伝導性フィラー、3A 鱗片状の窒化ホウ素、a 長軸、b 厚み、c 短軸、4 第2の熱伝導性フィラー、10A 第1の層、10B 第2の層、11 成形体ブロック、12 成形体ブロック、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク

Claims (18)

  1. バインダ樹脂と、鱗片状の第1の熱伝導性フィラーと、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラーとを含有し、上記第1の熱伝導性フィラーと上記第2の熱伝導性フィラーとが上記バインダ樹脂に分散しており、
    当該熱伝導性シートの比誘電率が7.0以下であり、
    当該熱伝導性シートの厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下であり、
    当該熱伝導性シートの厚み方向と面方向との熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である、熱伝導性シート。
  2. 上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向が疑似等方である、請求項1に記載の熱伝導性シート。
  3. 上記第1の熱伝導性フィラーが、鱗片状の窒化ホウ素を含有する、請求項1又は2に記載の熱伝導性シート。
  4. 上記第2の熱伝導性フィラーが、非鱗片状かつ非繊維状の熱伝導性フィラーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  5. 上記第2の熱伝導性フィラーが、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子とを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  6. 上記第2の熱伝導性フィラーが、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子と、酸化亜鉛とを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  7. 第1の層と、上記第1の層に接する第2の層とを少なくとも有する積層体であり、
    上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向がほぼ同じであり、
    上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向がほぼ同じであり、
    上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向と、上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向とが交差する、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  8. 上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向を0度としたときに、上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向が90度である、請求項7に記載の熱伝導性シート。
  9. 上記第1の層と上記第2の層が交互に積層されている、請求項8に記載の熱伝導性シート。
  10. 当該熱伝導性シートの厚み方向の熱伝導率が5.0W/m・K以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  11. 鱗片状の第1の熱伝導性フィラーと、非鱗片状の第2の熱伝導性フィラーとを、バインダ樹脂に分散させることにより、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製する工程Aと、
    上記熱伝導性シート形成用の樹脂組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、
    上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導性シートを得る工程Cとを有し、
    上記熱伝導性シートは、比誘電率が7.0以下であり、厚み方向と面方向との比誘電率の差が0.5以下であり、厚み方向と面方向との熱伝導率の差が1.5W/m・K以下である、熱伝導性シートの製造方法。
  12. 上記熱伝導性シートは、上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向が疑似等方である、請求項11に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  13. 上記工程Bでは、上記熱伝導性シート形成用の樹脂組成物からなる第1の層と、上記第1の層に接し、上記熱伝導性シート形成用の樹脂組成物からなる第2の層とを少なくとも有し、上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向がほぼ同じであり、上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向がほぼ同じであり、上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向と、上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向とが交差する成形体ブロックを形成する、請求項11又は12に記載の熱伝導性シート。
  14. 上記工程Bでは、上記第1の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向を0度としたときに、上記第2の層に含まれる上記第1の熱伝導性フィラーの配向方向が90度となるように積層した成形体ブロックを形成する、請求項13に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  15. 上記工程Bでは、上記第1の層と上記第2の層を交互に積層することで上記成形体ブロックを形成する、請求項14に記載の熱伝導性シート。
  16. 上記工程Cでは、上記第1の層と上記第2の層とが交互に積層された成形体ブロックをシート状にスライスする、請求項15に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  17. 上記熱伝導性シートの表面が、上記工程Cでスライスした後にプレスした面である、請求項11~16のいずれか1項に記載の熱伝導性シートの製造方法。
  18. 発熱体と、
    放熱体と、
    発熱体と放熱体との間に配置された請求項1~10のいずれか1項に記載の熱伝導性シートとを備える、電子機器。
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