JP2014192355A - 有機電界発光素子用材料およびそれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子用材料およびそれを用いた有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】有機化合物層を形成する際に下層を溶解することなく塗布が可能であり、かつ、効率良い電子注入を実現できる有機電界発光素子用材料およびそれを用いた有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】陰極と、基板上に形成された陽極との間に、発光層を含む複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子の形成に用いられる材料であって、オキサゾリン構造を有する重合体を含むことを特徴とする有機電界発光素子用材料。
【選択図】なし

Description

本発明は有機電界発光素子用材料およびそれを用いた有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子は面発光する自発光型の素子であり、照明装置として用いた場合には現在主流となっている白熱灯や蛍光灯に比べ、低消費電力化が可能となり、省エネルギーに寄与できる次世代照明としての利用が期待されている素子である。さらに、素子自体が非常に薄く、軽く、柔軟でフレキシブルであるという特徴を有し、天井全体や曲面に設置するなど、従来困難であった場所での使用方法についても検討され、デザイン性にも優れた照明装置として実用化が期待されている。
有機電界発光素子は陽極と陰極との間に発光性有機化合物を含んで形成される発光層を含む1種または複数種の層を挟んだ構造を持ち、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子が、再結合する時のエネルギーを利用して発光性有機化合物を励起させ、発光を得るものである。最も基礎的な構造の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に発光層を挟んだ構造をしているが、さらに低駆動電圧化や長寿命化等の性能向上を図るために、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、インターレイヤー層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層を設ける場合があり、さらに電荷発生層を介して2つ以上の有機電界発光素子構造を重ねて作りこんだマルチフォトンエミッション方式の有機電界発光素子も提案されている。
有機化合物層を形成する成膜方法には、蒸着と塗布の2種類がある。現在、製品化されている有機電界発光素子の多くは、有機化合物層が蒸着により成膜されている。蒸着は容易に多層化が可能なため、層によって機能分離を図り、高効率化、長寿命化が達成されている。その一方で、蒸着によって有機電界発光素子を作製するためには複数の有機化合物を連続的に蒸着する為の大掛かりな製造装置が必要となり、莫大な初期投資が必要になると考えられている。
他方、塗布による成膜は、大掛かりな製造装置を必要とせず、ロール・トゥー・ロールによる製造が可能であるなど、製造コストや処理時間の観点から大画面化に有利とされるが、インク溶媒の種類によっては上層塗布時に下層が溶解するという問題があり、低駆動電圧化や長寿命化等のための多層化が困難であるという問題点があった。一つの例としては、基板上に形成された陽極上に有機化合物層と陰極とが積層された順構造の有機電界発光素子の場合、発光層の上に有機溶媒を含む溶液を塗布して電子輸送層や電子注入層を形成しようとすると発光層が溶解してしまうため、発光層の上に有機溶媒を含む溶液の塗布により層を形成することは困難であった。
非常に一般的な塗布型有機電界発光素子の作製方法として、例えば、基板上に形成されたITO(インジウム酸化錫)からなる陽極上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)からなる正孔注入/正孔輸送層(バッファ層)を水分散液からの塗布で形成し、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)からなるインターレイヤー層をトルエン溶液からの塗布で形成した後、加熱による(架橋反応等に由来すると考えられる)不溶化処理を施し、さらに、ポリ(ジオクチルフルオレン)等からなる発光層をトルエン溶液からの塗布で形成した後、陰極としてフッ化リチウム(LiF)/カルシウム(Ca)/アルミニウム(Al)を真空蒸着にて製膜する方法が挙げられる(非特許文献1)。
このように、有機化合物層はトルエンやキシレンといった非極性溶媒に可溶な化合物を利用することが多いため、有機化合物層を何層も重ね塗りすること(例えば発光層の上に電子注入層を塗布で積層すること)は、上層を塗る工程で下層を溶解してしまうことになり、困難であった。このため、製造コストの高い蒸着法によって、活性な(酸素、水との反応性が非常に高い)LiFやCaを電子注入層として設けることが一般になされている。
このような中、発光層と陰極の間に、有機化合物含有溶液を塗布することにより層を形成した有機電界発光素子としていくつか提案されており、その中に、ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールからなる層を形成した有機電界発光素子が報告されている(非特許文献2及び3参照)。ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールは、水又は低級アルコール系溶媒にも溶解が可能であるため、ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールを水又は低級アルコール系溶媒に溶解させたものを用いて層を形成すれば、水又は低級アルコール系溶媒に溶解しない化合物により形成された層(例えば発光層)の上に塗布により層を形成することが可能である。さらに、ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールからなる層を発光層と陰極の間に設けることで、発光層への電子注入が促進され、Alなどの仕事関数の大きな陰極を用いた場合でも良好な素子駆動特性が得られる。
Stelios A. Choulis et al.,Advanced Functional Materials,Vol.16,1075(2006) Yinhua Zhuo et al.,Science,Vol.336,327(2012) Tzung−Fang Guo et al.,Applied Physics Letters,Vol.87,013504(2005)
上記のように、有機電界発光素子を構成する層の材料として、ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールを用いることが提案されており、これらを用いれば、水又は低級アルコール系溶媒に溶解しない化合物により形成された層を溶解させることなく、その上に水又は低級アルコール系溶媒を含む溶液の塗布により層を形成することが可能である。さらに、ポリエチレンイミン又はポリエチレングリコールからなる層を発光層と陰極の間に設けることで、発光層への電子注入が促進され、LiFやCaといった活性な材料からなる層を設けなくても、Alなどの仕事関数の大きな陰極からでも良好な素子駆動特性が得られる。しかしながら、このような材料の例は非常に少なく、またさらなる機能付与のための置換基導入を考えた時にはポリエチレンイミンやポリエチレングリコールでは合成上の制限があり、さらに多様な材料開発が求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、有機化合物層を形成する際に下層を溶解することなく塗布が可能であり、かつ、効率良い電子注入を実現できる有機電界発光素子用材料、およびそれを用いた有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、水又は低級アルコール系溶媒を含む溶液の塗布により層を形成することが可能であり、かつ、効率良く電子注入を実現できる材料について種々検討したところ、オキサゾリン構造を有する重合体を含む材料を有機電界発光素子の層を形成する材料として用いた場合に、塗布により層を形成する際に下層を溶解することなく塗布により層を形成すること、かつ効率の良い電子注入が同時に実現可能であることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、陰極と、基板上に形成された陽極との間に、発光層を含む複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子に用いられる材料であって、オキサゾリン構造を有する重合体を含む材料である。さらに本発明は、陰極と、基板上に形成された陽極との間に、発光層を含む複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子であって、前記オキサゾリン構造を有する重合体を含む材料から形成される層を備えることを特徴とする有機電界発光素子、ならびに該有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置、表示装置である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明は、陰極と、基板上に形成された陽極との間に、発光層を含む複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子に用いられる材料であって、オキサゾリン構造を有する重合体を含むことを特徴とする有機電界発光素子用材料である。前記オキサゾリン構造を有する重合体は、以下の化学式(1)で表わされるオキサゾリン構造を有する重合体である。
Figure 2014192355
本発明の前記オキサゾリン構造を有する重合体の好ましい形態の一つは、以下の化学式(2)で表わされる、2−ビニルオキサゾリン誘導体とビニル化合物の共重合体である。
Figure 2014192355
(式中、R1〜Rは水素、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲンを表す。但し、該重合体中にオキサゾリン構造が複数存在する場合、R1〜Rは互いに異なっていてもよい。)
このような重合体は、例えばビニルオキサゾリン誘導体と他のビニル化合物をモノマーとして重合することで得られる。
上記重合方法としては、公知の方法を適宜用いることができ、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、電解重合などが挙げられる。
このような重合体の具体例としては、例えば日本触媒製エポクロス(R)WSシリーズなどが挙げられる。
また、一つの重合体中に、置換基(化学式(2)中のR〜R)が互いに異なる複数種のオキサゾリン構造ユニットを有していてもよい。オキサゾリン構造のユニット比率が高いと、水や低級アルコールへの溶解性が向上する。
以下の化学式(3)で表わされるポリ(2−ビニルオキザゾリン)誘導体もまた、本発明のオキサゾリン構造を有する重合体の好ましい別の形態である。
Figure 2014192355
(式中、R1〜Rは水素、または置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲンを表す。但し、該重合体中にオキサゾリン構造が複数存在する場合、R1〜Rは互いに異なっていてもよい。)
上記オキサゾリン構造を有する重合体の分子量は特に限定されないが、通常1,000以上、好ましくは5,000以上である。オキサゾリン構造を有する重合体の分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記オキサゾリン構造を有する重合体は、水又は低級アルコールに可溶である。これにより、本発明の有機電界発光素子用材料が含む溶媒としては、水又は低級アルコールを用いることができる。さらにオキサゾリン構造を有する重合体は他の極性有機溶媒にも可溶なため、極媒を幅広く選択することができる。
本発明の有機電界発光素子用材料が含む溶媒として水又は低級アルコールを用いれば、水又は低級アルコールに溶解しない化合物により形成された層(例えば発光層や電子輸送層)を溶解させることなく、その上に塗布により層を形成することが可能である。
上記低級アルコールとしては特に限定されず、炭素数1〜8のアルコールが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜3のアルコールである。
低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、又は、2−プロパノールを好適に用いることができ、これらの中でも、メタノール、又は、エタノールがより好ましい。
さらに下層を溶解しない限り、他の極性溶媒も適宜選択できる。例えば、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒、エステル系溶媒、硫黄化合物系溶媒、ニトリル系溶媒、有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
上記溶媒の量は、本発明の有機電界発光素子におけるオキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層が所望の膜厚になるよう、塗布方法や条件に合わせた適切な濃度になるよう適宜設定すればよい。
オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層の効果により、下層を溶解することなく塗布によって層を形成でき、かつ効率の良い電子注入が同時に実現可能となる。
以下、本発明の有機電界発光素子について詳述する。
本発明の有機電界発光素子は、陰極と、基板上に形成された陽極との間に複数の層が積層された順構造の素子であり、陰極と陽極との間に積層された各層は、主として有機化合物、又は、有機金属化合物で形成される。
陰極と陽極との間に積層された層のうち、1層は発光層であり、陰極と発光層との間に電子注入層と、必要に応じて電子輸送層とを有し、陽極と発光層との間に正孔輸送層及び/又は正孔注入層を有する構成の素子であることが好ましい。また本発明の有機電界発光素子は、これらの各層の間に他の層を有していてもよいが、これらの各層のみから構成される素子であることが好ましい。すなわち、基板上に陽極、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、発光層、必要に応じて電子輸送層、電子注入層、陰極の各層がこの順に隣接して積層された素子であることが好ましい。なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
上記構成の有機電界素子において、素子が電子輸送層を有さない場合は、電子注入層と発光層とが隣接することになる。また、素子が正孔輸送層、正孔注入層のいずれか一方のみを有する場合には、当該一方の層が発光層と陽極とに隣接して積層されることになり、素子が正孔輸送層と正孔注入層の両方を有する場合には、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層の順にこれらの層が隣接して積層されることになる。
本発明の有機電界発光素子において、オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層は、電子注入層として用いられることが好ましい。オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層を電子注入層として用いると、有機溶媒に溶解した材料を塗布して発光層又は電子輸送層を形成した場合でも、下層の発光層又は電子輸送層を溶解することなく電子輸送層をその上に塗布して形成することが可能になる。
本発明の有機電界発光素子において、オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層の平均厚さは、1〜30nmであることが好ましい。より好ましくは、1〜10nmである。
電子注入層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を用いて形成された層は、電子輸送層として用いることも本発明の好ましい実施形態の一つである。本発明の有機電界発光素子用材料を用いて形成された層を電子輸送層として使用する場合は、別途電子注入層を設けることになる。別途電子注入層として使用可能な化合物としては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム、又は、炭酸セシウム等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子において、発光層を形成する材料としては、発光層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いるができ、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
上記発光層を形成する高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン系化合物;ポリパラフェニレンビニレン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ポリフルオレン系化合物、ポリパラフェニレン系化合物、ポリカルバゾール系化合物。ポリシラン系化合物等が挙げられる。
上記発光層を形成する低分子材料としては、例えば、金属錯体、ベンゼン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、クリセン系化合物、ペリレン系化合物、コロネン系化合物、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、ピラン系化合物、アクリジン系化合物、スチルベン系化合物、チオフェン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ナフタルイミド系化合物、クマリン系化合物、ペリノン系化合物、オキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、シクロペンタジエン系化合物、キナクリドン系化合物、ピリジン系化合物、スピロ化合物、金属または無金属のフタロシアニン系化合物等が挙げられる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
発光層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。発光層を真空蒸着法で形成する場合は水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、発光層の上に電子注入層が直接形成されていることが好ましいが、発光層と電子注入層との間に電子輸送層が形成されていてもよい。電子輸送層が形成されている場合、その材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いるができ、これらを混合して用いてもよい。
電子輸送層の材料として用いることができる化合物の例としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、芳香環テトラカルボン酸無水物、金属錯体、有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子が、正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層として用いる正孔輸送性有機材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
またこれらの化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
上記p型の低分子材料としては、例えば、アリールシクロアルカン系化合物、アリールアミン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、カルバゾール系化合物、スチルベン系化合物、オキサゾール系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、アントラセン系化合物、フルオレノン系化合物、アニリン系化合物、シラン系化合物、ピロール系化合物、フルオレン系化合物、ポルフィリン系化合物、キナクリドン系化合物、金属または無金属のフタロシアニン系化合物、金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、ベンジジン系化合物等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子が、電子輸送層や正孔輸送層を有する場合、これらの層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
電子輸送層や正孔輸送層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。各層を真空蒸着法で形成する場合は水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子が、正孔注入層を有する場合、その材料としては、正孔注入層の材料として通常用いることができるいずれの有機化合物も用いるができ、これらを混合して用いてもよい。
正孔注入層の材料として用いることができる有機化合物の例としては、上記正孔輸送層の材料として挙げた化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子において、基板上に形成された陽極としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられる。この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
上記陽極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。陽極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、陰極としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Al、Au、又は、これらを含む合金等が挙げられる。この中でも、Mg、Ca、又は、Alが好ましい。
上記陰極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陰極として使用することができる。
陰極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、陰極と陽極との間の複数の層のうち少なくとも隣り合う2つの層が塗布により形成されることが好ましく、発光層の上に電子注入層が直接形成されている場合に発光層及び電子注入層が塗布により形成されることがより好ましい。
塗布による成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。このうち、膜厚をより制御しやすいという点でスピンコート法又はスリットコート法が好ましい。
上記有機化合物層を、有機化合物溶液を塗布して形成する場合、本発明の有機電界発光素子用材料を用いて形成された層以外の有機化合物層を塗布製膜するための溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒、エステル系溶媒、硫黄化合物系溶媒、ニトリル系溶媒、有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、溶媒としては、非極性溶媒が好適であり、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
本発明の有機電界発光素子は、封止することが好ましい。封止工程としては、通常の方法を適宜使用できる。例えば、不活性ガス中で封止容器を接着する方法や、有機電界発光素子の上に直接封止膜を形成する方法などが挙げられる。これらに加えて、水分吸収材を封入する方法を併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に有機電界発光素子を構成する各層が積層されたものであってもよい。基板上に各層が積層されたものである場合、基板上に形成された電極上に、各層が形成されたものであることが好ましい。この場合、本発明の有機電界発光素子は、基板がある側とは反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよく、基板がある側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
上記基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、有機化合物層の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。そのため、表示装置の発光部位や照明装置として好適に用いることができる。
本発明の有機電界発光素子は、上述のような構成であるので、有機化合物層を形成する際に下層を溶解することなく塗布が可能であり、かつ、効率良く電子注入を実現できる。本発明の有機電界発光素子は、照明装置や表示装置の発光部位等として好適に用いることができる。また、従来LiFやCaの製膜に用いられていた蒸着法を採用した場合に比べて、安価に製造できる。
図1は、実施例1、及び比較例1で作製した有機電界発光素子の電圧−輝度特性を示すグラフである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<有機電界発光素子の作製>
≪実施例1≫
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極層付き透明ガラス基板を用意した。この時、基板のITO電極(陽極)は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板をアセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸した。この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[2]この基板をスピンコーターにセットし、市販のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)の水分散液を滴下し、毎分1,800回転で60秒間回転させ、さらに150℃のホットプレートで10分間乾燥させて、陽極上にPEDOT/PSSからなる正孔注入層を形成した。正孔注入層の平均厚さは60nmであった。正孔注入層の平均厚さは、触針式段差計により測定した。
[3]市販のポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)の0.2%キシレン溶液を作製した。上記工程[2]で作製した基板をスピンコーターにセットした。上記工程[2]で形成した正孔注入層の上にTFB−キシレン溶液を滴下し、毎分1000回転で30秒間回転させ、これをアルゴン雰囲気下200℃のホットプレートで60分間乾燥させ、さらに余剰なキシレンでリンスすることで余剰なTFBを除去して、正孔注入層の上にTFBからなるインターレイヤー層を形成した。インターレイヤー層の平均厚さは1nmであった。インターレイヤー層の平均厚さは、別途シリコン基板上に同条件で製膜したものを、分光エリプソメトリーにより測定した。
[4]市販のポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)の1%キシレン溶液を作製した。上記工程[3]で作製した基板をスピンコーターにセットした。上記工程[3]で形成したインターレイヤー層の上にF8BT−キシレン溶液を滴下し、毎分2,000回転で30秒間回転させ、インターレイヤー層の上にF8BTからなる発光層を形成した。発光層の平均厚さは40nmであった。発光層の平均厚さは、触針式段差計により測定した。
[5]日本触媒製エポクロス(R)WS−500の0.1%エタノール溶液を作製した。上記工程[4]で作製した基板をスピンコーターにセットした。上記工程[4]で形成した発光層の上にエポクロス(R)WS−500−エタノール溶液を滴下し、毎分2,000回転で30秒間回転させ、発光層の上に電子注入層を形成した。下層である発光層の溶出は全く見られなかった。電子注入層の平均厚さは2nmであった。電子注入層の平均厚さは、別途シリコン基板上に同条件で製膜したものを、分光エリプソメトリーにより測定した。
[6]上記工程[5]で作製した基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。アルミニウムワイヤー(Al)をアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−4Paまで減圧し、電子注入層の上にAl(陰極)を平均厚さが100nmとなるように蒸着し、有機電界発光素子(1)を作製した。陰極の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定した。なお、陰極を蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅2mmの帯状になるようにした。すなわち、作製した有機電界発光素子の発光面積は4mmとした。
≪比較例1≫
工程[5]を省略した以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子(比較素子1)を作製した。
<有機電界発光素子の発光特性測定>
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。コニカミノルタ社製の「LS−100」により、発光輝度を測定した。
実施例1〜3、及び比較例1で作製した有機電界発光素子(1)、比較素子(1)を、アルゴン雰囲気下直流電圧を印加した時の電圧−輝度特性を図1に示す。
図1から明らかなように、オキサゾリン構造を有する重合体を用いて形成される電子注入層を有する有機電界発光素子(1)では、電子注入層を有さない比較素子(1)に比べて、駆動開始電圧が低く良好な素子特性を示すことが分かった。
また、実施例1において、オキサゾリン構造を有する重合体をエタノール溶液から塗布できたことから、下層である発光層の溶出は全く見られなかった。
以上の結果から、オキサゾリン構造を有する重合体を含む有機電界発光素子用材料を有機電界発光素子の作成に用いた場合、有機化合物層を形成する際に下層を溶解することなく塗布が可能であり、かつ、効率良い電子注入を実現できることが分かった。

Claims (4)

  1. 陰極と、基板上に形成された陽極との間に、発光層を含む複数の層が積層された構造を有する有機電界発光素子の形成に用いられる材料であって、
    該材料は、化学式(1)で表わされるオキサゾリン構造を有する重合体を含むことを特徴とする有機電界発光素子用材料。
    Figure 2014192355
  2. 請求項1に記載の有機電界発光素子用材料を用いて形成される層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 請求項2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
  4. 請求項2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
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