JP2014191176A - フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法 - Google Patents

フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014191176A
JP2014191176A JP2013066234A JP2013066234A JP2014191176A JP 2014191176 A JP2014191176 A JP 2014191176A JP 2013066234 A JP2013066234 A JP 2013066234A JP 2013066234 A JP2013066234 A JP 2013066234A JP 2014191176 A JP2014191176 A JP 2014191176A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photomask
light shielding
film
light
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013066234A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Watanabe
浩司 渡邊
Katsuya Hayano
勝也 早野
Hideyoshi Takamizawa
秀吉 高見澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013066234A priority Critical patent/JP2014191176A/ja
Publication of JP2014191176A publication Critical patent/JP2014191176A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】電磁界(EMF)効果の影響を低減してEMFバイアスの値を小さくし、遮光層の厚みを薄くしても露光光に対して高い遮光性を有し、パターン加工性に優れ、ウェハ上のハーフピッチ40nm以降のリソグラフィ技術に適したバイナリ型フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ArFエキシマレーザ露光光に用いられ、透明基板上にマスクパターンを形成するための遮光膜を有するフォトマスクブランクスであって、上記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、露光光に対する光学濃度が2.8以上、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されていることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体素子の製造に用いられるフォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法に関し、特に、高NA露光装置を使用し、マスクパターンをウェハ上に転写するとき、ウェハ上のパターンのハーフピッチが40nm以降のリソグラフィ技術に用いられるバイナリ型のフォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法に関する。
半導体素子の高集積化・微細化は、デザインルール45nmノードから32nmノードへと進展し、さらに22nmノード以下の半導体素子の開発が進められている。これらの半導体素子の高集積化・微細化を実現するために、現在、露光波長193nmのArFエキシマレーザを用いた光学式の投影露光装置により、フォトマスクを用いてウェハ上にパターン転写するフォトリソグラフィ技術が行なわれている。フォトリソグラフィ技術においては、露光装置での高解像技術として、投影レンズの開口数(NA)を大きくした高NA露光技術、投影レンズと露光対象の間に高屈折率媒体を介在させて露光を行なう液浸露光技術、変形照明搭載露光技術などの開発、実用化が急速に進められている。
そこで解像度を上げるために、超解像技術(RET技術:Resolution Enhancement Technique)が近年提案されている。このような超解像技術として、露光光学系の特性に応じてマスクパターンに補助パターンやバイアス(マスク線幅などの補正量)を与えてマスクパターンを最適化する方法、あるいは変形照明法(斜入射照明法とも称する)と呼ばれる方法などがある。変形照明法には、通常、瞳フィルタを用いた輪帯照明、二重極(ダイポール:Dipoleとも称する)の瞳フィルタを用いた二重極照明および四重極(クォードラポール:C−quadとも称する)の瞳フィルタを用いた四重極照明などが用いられている。
一方、フォトリソグラフィ技術に用いられるフォトマスク(レチクルとも称する)における解像度向上策としては、透明基板上にクロムなどで遮光膜を形成し、光を透過させる部分と遮光する部分でパターンを構成した従来のバイナリ型のフォトマスク(以後、バイナリマスクとも言う)の微細化、高精度化とともに、光の干渉を利用した位相シフト効果により解像度向上を図るレベンソン型位相シフトマスク、光を透過させる部分と半透過させる部分で構成されたハーフトーン型位相シフトマスク、クロムなどの遮光層を設けないクロムレス型位相シフトマスクなどの位相シフトマスクの開発、実用化が進行している。
半導体素子は、フォトマスク(以下、マスクとも称する)を使用したいわゆるリソグラフィ工程を繰り返すことによって製造される。パターニング前のフォトマスク基板はフォトマスクブランクス(以後、ブランクスとも言う)として知られており、バイナリ型フォトマスク(バイナリマスク)ブランクスは透明基板上に、クロム(Cr)を主成分とする遮光膜からなる構造が代表的である。高精度な半導体素子を実現するために、フォトマスクブランクスは低欠陥で、エッチング制御性を向上させるための膜組成・膜構造、低応力、並びに露光波長に対する低反射率化といった種々の性能が要求される。これらの要求を満たすためにクロムを主成分とするフォトマスクブランクスにおいては、各種の膜組成、層構造、並びに成膜方法が提案・実用化されてきている。
ところで、ウェハ上のパターンのハーフピッチ(hp)40nm以降のリソグラフィに用いられるバイナリマスクにおいては、リソグラフィに用いるArF露光光の波長193nmよりもフォトマスク上の転写されるマスクパターンの線幅の方が小さくなり、微細パターンを形成するために斜入射照明法や瞳フィルタなどを用いた超解像技術を採用していったことにより、マスクパターン領域の遮光膜パターンの膜厚が厚いと、電磁界(EMF:Electro Magnetics Field)効果に起因するマスクパターン線幅の補正量であるバイアス(EMFバイアスと言う)の値が大きくなるという問題が生じてきている。
ここで、本発明で用いているフォトマスクのEMFバイアスについて、図13に示すバイナリ型フォトマスクのパターンの断面模式図を例にして説明する。図13では、透明基板131上に単層の遮光層133よりなる遮光膜のマスクパターンが示されている。通常、マスクは4倍体のレチクルが用いられるので、マスクパターンのライン部の寸法(ラインCD(Critical Dimension)と称する)は、目標とするウェハ上の線幅寸法(ターゲットCDと称する)の4倍の数値x(nm)に、補正値であるバイアスd(nm)を加えた値として示される(x=ターゲットCD×4)。
バイアス(d)=2×a
図13において、バイアスdの値が+の場合はラインCDが広がる方向であり、dの値が−の場合はラインCDが狭くなる方向を意味する。ただし、本発明では、+の場合には特に+の表示はしていない。
電磁界(EMF)効果に係るEMFバイアスは、ウェハ上のレジストへの転写パターン線幅の重要な寸法(CD)精度に大きな影響を与える。このため、フォトマスクの作製に際し、電磁界効果のシミュレーションを行い、電磁界(EMF)効果による影響を抑制するため、フォトマスクパターンの補正を行う必要がある。このマスクパターンの補正計算は、EMFバイアスが大きいほど複雑化する。また、補正後のマスクパターンもEMFバイアスが大きいほど複雑化していき、フォトマスク作製に大きな負荷がかかる。例えば、バイアス値が大きくなり、隣接するパターンとの関係でパターン補正できなくなるという問題も生じている。EMFバイアスの値は、0に近い値ほど補正が小さくてフォトマスク製造が容易になり、マスク製造歩留りが向上することになる。ところが、従来のクロム(Cr)を主成分とする遮光膜では、電磁界(EMF)効果の影響を低減した遮光層厚が薄くて光学濃度の高いマスクパターンを形成するのが困難となっている。
上記の電磁界(EMF)効果に起因する課題に対して、マスク材料からの見直しが行われており、近年、クロム系以外のバイナリマスク材料として、モリブデンシリサイド(MoSi)系材料を用いたバイナリ型フォトマスクブランクス、及びそれを用いたバイナリ型フォトマスクが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−78441号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような上記のモリブデンシリサイド(MoSi)系材料を用いたバイナリ型フォトマスクは、マスク洗浄において、あるいはArFエキシマレーザ露光において、洗浄耐性(耐洗浄性とも言う)や耐光性が十分でなく、マスクパターンの寸法(CD寸法)変化が生じるという問題があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、電磁界(EMF)効果の影響を低減してEMFバイアスの値を小さくし、遮光層の厚みを薄くしても露光光に対して高い遮光性を有し、パターン加工性が良く、耐光性、洗浄耐性に優れ、ウェハ上のハーフピッチ40nm以降のリソグラフィ技術に適したバイナリ型フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係るフォトマスクブランクスは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型フォトマスクを作製するために用いられ、透明基板上にマスクパターンを形成するための遮光膜を有するフォトマスクブランクスであって、前記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、前記遮光層は、前記露光光に対する光学濃度が2.8以上、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項2の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1に記載のフォトマスクブランクスにおいて、前記遮光層は、フッ素を含むエッチングガスに対して、荷電粒子の照射を受けない状態におけるエッチング速度が0.2nm/秒以上であることを特徴とするものである。
本発明の請求項3の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1または請求項2に記載のフォトマスクブランクスにおいて、前記遮光層は、屈折率nが1.0以下、かつ消衰係数kが2.0以上の単一の金属材料の膜から構成され、前記遮光膜を透過した露光光と前記遮光膜の膜厚と同じ距離だけ空気中を透過した露光光との間での位相差が50度以下であることを特徴とするものである。
本発明の請求項4の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスにおいて、前記遮光層は、シリコンの膜から構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項5の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1から請求項4までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスにおいて、前記遮光層は、前記ArFエキシマレーザ露光光に対する耐光性及び同一洗浄条件における洗浄耐性が、モリブデンシリサイド(MoSi)を遮光層として用いた場合よりも大きいことを特徴とするものである。
本発明の請求項6の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1から請求項5までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスにおいて、前記反射防止層は、金属の酸化物または窒化物または酸窒化物から構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項7の発明に係るフォトマスクブランクスは、請求項1から請求項6までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスの前記遮光膜上に、前記遮光膜をエッチングするときのハードマスク層を積層したことを特徴とするものである
本発明の請求項8の発明に係るフォトマスクの製造方法は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスにおける前記遮光膜を、ドライエッチングによりパターニングするエッチング工程を有することを特徴とするものである。
本発明の請求項9の発明に係るフォトマスクの製造方法は、請求項8に記載のフォトマスクの製造方法において、前記遮光膜上に、前記遮光膜をドライエッチングするときのハードマスク層を積層し、エッチングガスによるサイドエッチングを用いて前記遮光膜のラインパターン寸法を、フォトマスク上で40nm以下にすることを特徴とするものである。
本発明の請求項10の発明に係るフォトマスクは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型のフォトマスクであって、前記フォトマスクは、透明基板上にマスクパターンを設けた遮光膜を有し、前記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、前記遮光層は、前記露光光に対する光学濃度が2.8以上、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項11の発明に係るフォトマスクは、請求項10に記載のフォトマスクにおいて、前記遮光層は、屈折率nが1.0以下、かつ消衰係数kが2.0以上の単一の金属材料の膜から構成され、前記遮光膜を透過した露光光と前記遮光膜の膜厚と同じ距離だけ空気中を透過した露光光との間での位相差が50度以下であることを特徴とするものである。
本発明の請求項12の発明に係るフォトマスクは、請求項10または請求項11に記載のフォトマスクにおいて、前記遮光層は、シリコンの膜から構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項13の発明に係るフォトマスクは、請求項10から請求項12までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクにおいて、前記反射防止層は、金属の酸化物または窒化物または酸窒化物から構成されていることを特徴とするものである。
本発明のフォトマスクブランクスによれば、洗浄耐性、耐光性に優れ、パターニング時のエッチング速度が速く、電磁界(EMF)効果の影響が低減され、遮光層の厚みを薄くしても露光光に対して高い遮光性を有し、ウェハ上のハーフピッチ40nm以降のリソグラフィ技術に適したバイナリ型フォトマスクブランクスを得ることができる。
本発明のフォトマスクの製造方法によれば、フォトマスクブランクスの遮光膜がパターン加工性に優れ、フッ素を含むエッチングガスに対してエッチング速度が速いので、高精度の微細なパターンを容易に形成したフォトマスクを得ることができる。
本発明のフォトマスクによれば、マスクパターンが50nm以下の膜厚であっても高い遮光性を有し、電磁界(EMF)効果の影響が低減され、洗浄耐性、耐光性が大きく、CDユニフォーミティに優れた高解像パターンを有するバイナリ型のフォトマスクを得ることが可能となる。
遮光膜がシリコン膜の遮光層単層で構成された本発明のバイナリ型フォトマスクブランクス(図1(a))及びそれを用いて製造された本発明のフォトマスク(図1(b))を示す断面模式図である。 遮光層上に遮光層をエッチングするときのハードマスク層を積層した本発明のバイナリ型フォトマスクブランクスを示す断面模式図である。 遮光膜が、遮光層と、該遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなる本発明のバイナリ型フォトマスクブランクス(図3(a))及びそれを用いて製造された本発明のフォトマスク(図3(b))を示す断面模式図である。 遮光層と、該遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなる遮光膜上に、遮光膜をエッチングするときのハードマスク層を積層した本発明のバイナリ型フォトマスクブランクスを示す断面模式図である。 本発明において、遮光層の厚みを変えたときのウェハ上のパターンピッチ(nm)とEMFバイアス(nm)との関係を示す図である。 本発明のバイナリマスクと従来のバイナリマスクにおいて、ウェハ上のパターンピッチ(nm)とEMFバイアス(nm)との関係を示す図である。 本発明のバイナリマスクと従来のバイナリマスクにおいて、ウェハ上のパターンピッチ(nm)と最大の露光裕度(%)との関係を示す図である。 本発明のバイナリマスクと従来のバイナリマスクにおいて、ウェハ上のパターンピッチ(nm)とMEEFとの関係を示す図である。 本発明のバイナリマスクと従来のバイナリマスクの洗浄後のパターンのCD変動量(nm)を示す図である。 本発明のシリコン膜で構成された遮光層よりなるバイナリ型フォトマスクの各種パターンの上面からのSEM写真像である。 本発明の一実施形態に係るバイナリマスクブランクス及びバイナリマスクの製造工程を説明する断面模式図である。 本発明においてマスクの転写特性評価に用いた四重極(C―quad)の瞳フィルタの平面模式図である。 バイアスを説明するためのバイナリマスクのパターンの断面模式図である。
(フォトマスクブランクス及びフォトマスク)
本発明のフォトマスクブランクスは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型フォトマスクを作製するために用いられ、透明基板上にマスクパターンを形成するための遮光膜を有し、上記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、上記遮光膜は、露光光に対する光学濃度が2.8以上で、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されているブランクスである。
また、本発明のフォトマスクは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型のフォトマスクであって、透明基板上にマスクパターンを設けた遮光膜を有し、上記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、上記遮光層は、露光光に対する光学濃度が2.8以上で、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されているフォトマスクである。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るバイナリ型フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明のフォトマスクブランクスの第1の実施形態の一例として、遮光膜が、遮光層単層よりなるフォトマスクブランクス(図1(a))およびそれを用いて製造された本実施形態のフォトマスク(図1(b))を示す断面模式図である。図1(a)に示すように、本実施形態のフォトマスクブランクス10は、透明基板11とその上に設けられた遮光膜としての単層の遮光層12からなり、遮光層12は、ArFエキシマレーザの露光光に対する光学濃度が2.8以上であり、かつ膜厚が50nm以下で、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されているものである。
本実施形態において、透明基板11としては、露光光を高透過率で透過する光学研磨された合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウムなどを用いることができるが、通常、多用されており品質が安定し、短波長の露光光の透過率の高い合成石英ガラスがより好ましい。
本実施形態において、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜は、スパッタリング法などの通常の成膜方法で形成することができる。単一の金属材料の膜は、例えば、スパッタリング時に該単一の金属材料のターゲットを用いて成膜することができ、実質的に他の元素を含まない単一の金属材料の膜から構成される。本発明においては、遮光層は、単一の金属材料の膜形成以外に、他の金属の混入、あるいは酸化物や窒化物などの形成は意図しておらず、成膜時に酸素や窒素ガスの導入は行なわない。しかし、成膜された膜の表面などに装置内に残存していた微量の酸素などが意図せずに取り込まれている場合は、実質的に本発明の単一の金属材料よりなる遮光層として含まれるものである。
本実施形態において、遮光層12は、フッ素を含むエッチングガスに対して、荷電粒子の照射を受けない状態におけるエッチング速度が0.2nm/秒以上である。遮光層12はフッ素系ガスを用いたエッチングにおいて、従来のモリブデンシリサイド系のバイナリ型フォトマスクブランクスよりも早いエッチング速度を示し、パターン加工が容易であり、レジストの薄膜化も可能なので、解像力の向上ができる。
本実施形態において、遮光層12は、屈折率nが1.0以下、かつ消衰係数kが2.0以上の金属材料の膜から構成されており、より好ましくは、遮光層12はシリコンの膜から構成されているものである。
本実施形態において、遮光層中に含まない遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)などが挙げられるが、特に、モリブデン(Mo)が遮光層中に含まない遷移金属として挙げられる。
上記のように、モリブデンはシリコンとモリブデンシリサイド化合物(MoSi)を形成し、バイナリ型フォトマスクブランクスとして用いられている。しかしながら、モリブデンシリサイド(MoSi)系材料を用いたバイナリ型フォトマスクは、洗浄耐性や耐光性が十分でなく、マスク洗浄やArFエキシマレーザ露光において、マスクパターンの寸法(CD寸法)変化が生じたりする。したがって、本発明のバイナリ型フォトマスクブランクスは、遮光層にモリブデンなどの遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されているものであり、より好ましくは遮光層がシリコン膜から構成されるものである。
本発明のバイナリ型フォトマスクブランクスより作製したフォトマスクの特性を調べるため、シミュレーションによりEMFバイアスを従来のバイナリ型フォトマスクと比較して評価し、さらに最大の露光裕度(Max.EL:Exposure Latitude)、MEEF(Mask Error Enhancement Factor:マスク誤差増大因子)についても評価した。
露光裕度(EL(%))は、ウェハ上のフォトレジスト膜パターンの寸法が許容される限界内に収まるような露光エネルギーの範囲であり、フォトリソグラフィにおける露光量(ドーズ量)の変動に対する裕度を示す値である。すなわち、フォトレジスト膜によるレジストパターンの線幅寸法の変動量が所定の許容範囲内に入るような露光エネルギーの範囲である。露光裕度が大きければ、半導体素子製造のフォトリソグラフィ工程における歩留が向上することになる。
MEEFは、下記の数式(1)で表されており、マスク寸法変化量(ΔマスクCD)に対するウェハ上のパターン寸法変化量(ΔウェハCD)の比で示される。CDはマスクやウェハの重要な寸法を示す。数式(1)の数値4はマスクの縮小比であり、一般的な4倍マスクを用いた場合を例示している。数式(1)が示すように、MEEFの値は小さい方が、マスクパターンがウェハパターンに忠実に転写されることになり、MEEFの値が小さくなればウェハ製造歩留りが向上する。また、その結果として、ウェハ製造に用いるマスク製造歩留りも向上することになる。
MEEF=ΔウェハCD/ΔマスクCD/4 ・・・ (1)
(シミュレーション条件)
シミュレーションは、下記の条件により行なった。シミュレーション・ソフトウェアとして、EM−Suite Version v6.00(商品名:Panoramic Technology社製)を用い、3次元(3Dとも記す)シミュレーション条件としては、シミュレーション・モードには3次元電磁界シミュレーションのTEMPEST(EM−Suiteオプション)によるFDTD法(時間領域差分法、有限差分時間領域法とも言う)を用い、グリッドサイズは1nm(4倍マスクにおいて)とした。2次元(2Dとも記す)シミュレーション条件としては、シミュレーション・モードにキルヒホッフ(Kirchhoff)法を用いた。
(リソグラフィ条件)
2次元及び3次元シミュレーションにおけるリソグラフィ条件として、露光光源はArFエキシマレーザで露光波長は193nm、投影レンズの開口数(NA)は本実施形態では1.35とした。照明系は瞳フィルタを用いた斜入射光による露光とし、図12に示す四重極(C−quad)の瞳フィルタを用いた四重極照明を設定した。C−quadの4つの光透過部121は、XY軸上に瞳中心からの開口角が20度の扇型をなし、縦・横のマスクパターンを高解像で転写し得るように、マスクパターンに対し光透過部121が0度、90度の配置(XYポーラリゼーション)をとり、瞳フィルタの半径を1としたとき、瞳中心からの距離の外径(外σ)を0.98、内径(内σ)を0.8とした。4つの光透過部121以外の箇所は遮光部122(斜線部分)としている。
マスクパターンはラインアンドスペースパターンで、ウェハ上に転写したときのスルーピッチ(フルピッチ)は80nm〜300nmの範囲で変えており、ターゲットとするラインCDはウェハ上で40nmとした。
本実施形態のバイナリマスクは、遮光膜が単層の遮光層からなり、遷移金属を含まない単一の金属材料のシリコンの薄膜から構成されているマスクである。
本実施形態において、投影レンズの開口数(NA)1.35は、微細な半導体デバイス用のマスクパターン転写に用いられていることにより、一例として用いたものであり、もとより本発明はそれに限定されることはなく、他の開口数のレンズを用いることが可能である。
また、本実施形態の照明系として四重極照明を用いたのは、四重極照明は縦・横のパターンが同時に解像でき、普遍性が高くて一般的なマスクパターン転写に適用できるからである。ただし、四重極照明は実施形態の好ましい一例として用いたものであり、本発明のバイナリ型のフォトマスクにおいては、四重極照明以外の他の変形照明系、例えば、輪帯照明、二重極照明などにおいても同様に露光裕度の改善効果が得られるものである。
(EMFバイアス)
図5は、本発明のバイナリマスクにおいて、遮光層のシリコン薄膜の厚みを16nmから80nmまで変えたときのウェハ上のラインアンドスペースパターンのパターンピッチ(nm)とEMFバイアス(nm)との関係を示す。図5には、各膜厚における露光光に対する光学濃度(OD:Optical Density)も付記する。
図5に示されるように、遮光層の膜厚32nm以下では露光光に対する光学濃度が2.2以下と不足しており、一方、膜厚60nmでは光学濃度は4.3と高いが、EMFバイアスの値がマイナス側に大きくなり不適である。図5から、光学濃度2.8以上を確保し、EMFバイアスの値を適正な範囲にするには、遮光層の膜厚が40nm〜50nmの範囲が好ましいことが判る。図5には、膜厚50nmのデータは記載されていないが、膜厚45nmと60nmの場合の間にあることは容易に推測される。
図6は、本発明のシリコン薄膜を遮光層とするバイナリマスク(シリコンバイナリマスクとも言う;実線で示す)とモリブデンシリサイド膜を遮光層とする従来のバイナリマスク(MoSiバイナリマスクとも言う;破線で示す)において、シミュレーションにより求めたウェハ上のパターンピッチ(nm)80nm〜300nmの範囲におけるウェハ上のEMFバイアス(nm)の値を示す図である。遮光層の膜厚は、いずれも45nmである。
図6に示されるように、パターンピッチ80nm〜300nmの範囲におけるEMFバイアスは、パターンピッチが150nmを越えた領域では、従来のMoSiバイナリマスクはバイアス値が増加していき、ピッチ300nmで3nmと大きな値を示すのに対し、本発明のシリコンバイナリマスクはピッチ300nmで1nmとMoSiバイナリマスクの1/3の小さい値にとどまっている。上記のように、シリコンバイナリマスクは、高密度ピッチの広い範囲においてEMFバイアスが小さく、より好ましいマスクであることを示している。
(EL)
図7は、本発明のシリコン膜を遮光層とするバイナリマスク(シリコンバイナリマスク)とモリブデンシリサイド膜を遮光層とする従来のバイナリマスク(2種類;マスクAとマスクB)(MoSiバイナリマスク)において、シミュレーションにより求めたウェハ上のパターンピッチ(nm)とウェハ上のCDが±10%内に入る最大の露光裕度(Max.EL(%))との関係を示す図である。遮光層の膜厚は、いずれも45nmである。
図7に示されるように、パターンピッチ80nm〜300nmの範囲において、MoSiバイナリマスクに比べて、本発明のシリコンバイナリマスクの最大の露光裕度(Max.EL(%))は同等以上の大きい値を示している。上記のように、シリコンバイナリマスクは、高密度ピッチの広い範囲において露光裕度(EL(%))の大きい、フォトリソグラフィにより好ましいマスクであることを示している。
(MEEF)
図8は、本発明のシリコン膜を遮光層とするバイナリマスク(シリコンバイナリマスク)とモリブデンシリサイド膜を遮光層とする従来のバイナリマスク(2種類;マスクAとマスクB)(MoSiバイナリマスク)において、シミュレーションにより求めたウェハ上のパターンピッチ(nm)80nm〜300nmの範囲におけるMEEFの値を示す図である。遮光層の膜厚は、いずれも45nmである。
図8に示されるように、パターンピッチ80nm〜300nmの範囲において、MoSiバイナリマスクに比べて、本発明のシリコンバイナリマスクは、ピッチ120nm以下及び150nm〜300nmの領域において、より小さいMEEFの値を示している。上記のように、シリコンバイナリマスクは、高密度ピッチの広い範囲においてMEEFの値が小さく、マスクパターンがウェハパターンに忠実に転写されることになり、ウェハ製造歩留りが向上し、フォトリソグラフィに好適なマスクであることを示している。
(洗浄耐性)
次に、本発明のシリコン膜を遮光層とするバイナリマスク(シリコンバイナリマスク)と、モリブデンシリサイド膜を遮光層とする従来のバイナリマスク(2種類;マスクAとマスクB)(MoSiバイナリマスク)とのマスク洗浄における耐性を、薬液を用いた実際のマスク洗浄ラインにより同一の洗浄条件で洗浄し、マスクパターンの寸法変動量により比較した。比較するマスクパターンは3種類とした。
図9は、本発明のマスク(シリコンバイナリマスク)と従来のマスクAとマスクB(いずれもモリブデンシリサイド膜を遮光層とするバイナリマスク)の洗浄後のパターンのCD変動量(ΔCD(W+)〔nm〕と記す)を示す。図9において、比較した3種類のマスクパターンのうち、ISは孤立スペースパターン、LSはラインアンドスペースパターン、ILは孤立ラインパターンを示す。図9に示すように、本発明のマスク(シリコンバイナリマスク)は従来のマスク(MoSiバイナリマスク)と比較し、洗浄後のパターンのCD変動量が低く抑えられ、洗浄耐性が2倍以上の高い性能を有しているマスクであることが示された。
(そのほかの特性)
図10は、本発明の単層のシリコン遮光層から構成されるシリコンバイナリマスクの各種パターン(左上から時計回りで順に、孤立ホールパターン;孤立スペースパターン;孤立ラインパターン;ラインアンドスペースパターン)の上面からのSEM写真像であり、いずれもマスク上で40nmを目標としたパターンを示す。図10に各種パターンの寸法計測値が示されるように、本発明のシリコンバイナリマスクは、どのパターンも解像力40nm程度を示し、パターン加工特性に優れたマスクであることを示している。
(第2の実施形態)
図2は、本発明のフォトマスクブランクスの第2の実施形態の一例として、透明基板21上に設けられた遮光膜としての単層の遮光層22上に、該遮光層22をエッチングするときのハードマスク層24を積層したフォトマスクブランクス20である。図2において、透明基板21、遮光層22は、上記の図1における透明基板11、遮光層12と同じ材料が用いられるので、説明は省略する。
ハードマスク層24は、遮光層22とエッチングの選択比が十分に取れる耐エッチング性を有する必要があるとともに、エッチング完了後には必要に応じて容易に取り除くことができる材料が好ましい。また、マスクパターンの光学検査時の検出感度を上げるために検査用反射防止層を兼ねられれば、後述する反射防止層の成膜とエッチング工程が短縮されて、より好ましい。ハードマスク層24の材料としては、例えば、酸化タンタル(TaO)、酸窒化タンタル(TaON)、酸化硼化タンタル(TaOB)などの酸素を含むタンタル化合物、あるいはクロム(Cr)、酸化クロム(CrO)、窒化クロム(CrN)、酸窒化クロム(CrON)などのクロム系材料などが用いられる。ハードマスク層24の膜厚は、1nm〜10nm程度の範囲が好ましい。
ハードマスク層24を設けることにより、フォトマスク製造時のレジスト膜厚をより薄くすることが可能となり、微細なマスクパターン形成が容易となる。マスクパターン形成後は、ハードマスク層24はエッチング除去され、図1(b)と同様のフォトマスクが形成される。したがって、本実施形態のバイナリ型フォトマスクブランクスより作製したフォトマスクは、上記の第1の実施形態で説明したフォトマスクと同じ特性を示す。
(第3の実施形態)
図3(a)は、本発明のフォトマスクブランクスの第3の実施形態の一例として、透明基板31に設けられた遮光層32上に、ArFエキシマレーザ露光時における露光光の反射による影響を低減させる反射防止層36を設けて遮光膜を二層構造としたフォトマスクブランクス30の一例である。図3(a)において、透明基板31、遮光層32は、上記の図1における透明基板11、遮光層12と同じ材料が用いられるので、説明は省略する。
反射防止層36は、遮光層32の光学濃度を維持しながら、露光波長に対して低反射率を示すことにより、コントラストの高いマスク画像をウェハ上に転写することができる。さらに、マスク画像を構成する反射防止層36を、紫外から可視領域にかけても低反射率とすることにより、検査・計測で使用する可能性のある193nm〜400nm程度の波長域での反射率変動が緩やかになり、検査・計測において安定した検査・計測が可能となる。本発明において、反射防止層36は、金属の酸化物または窒化物または酸窒化物から構成されている。反射防止層36として、遮光層32のエッチング時にエッチングされない膜を用いる場合には、例えば遮光層32にシリコン膜を用いた場合、シリコン膜をエッチングするフッ素系ガスでエッチングされない酸化クロム(CrO)や窒化クロム(CrN)または酸窒化クロム(CrON)系材料などを用いることができる。
また、遮光層32にシリコン膜を用いた場合であっても、反射防止層36としてシリコンの酸化物(SiOx)または窒化物(SiN)または酸窒化物(SiON)を用いることにより、遮光層32に続けてガス雰囲気を変えて反射防止層36を成膜してブランクスを作製し、マスクパターン形成時には、反射防止層36と遮光層32を連続してフッ素系ガスでエッチングすることを可能とし、遮光膜の成膜工程とエッチング工程を短縮化することができる。
反射防止層36の膜厚は、1nm〜10nm程度の範囲が好ましい。
マスクパターン形成後は、図3(b)に示す反射防止層パターン37を有するフォトマスク35が形成される。
本実施形態のバイナリ型フォトマスクブランクスより作製したフォトマスクは、遮光層上に反射防止層を設けて遮光膜を二層構造としたマスクパターンを有するマスクであり、遮光膜の光学濃度に寄与する割合の高い遮光層は、上記の第1の実施形態のフォトマスクと同じ遮光層を形成するものであり、本実施形態のフォトマスクは、第1の実施形態で説明したフォトマスクのマスク特性とほぼ同様のマスク特性を示し、かつ反射防止効果を有するものである。
(第4の実施形態)
図4は、本発明のフォトマスクブランクスの第4の実施形態の一例として、透明基板41上に設けられた遮光膜としての単層の遮光層42上に、ArFエキシマレーザ露光時における露光光の反射による影響を低減させる反射防止層46を設けて遮光膜を二層構造とし、さらに該遮光膜をエッチングするときのハードマスク層44を積層したフォトマスクブランクス40の一例である。図4において、透明基板41、遮光層42、反射防止層46及びハードマスク層44は、上記の図1における透明基板11、遮光層12、図3における反射防止層36及び図2におけるハードマスク層44と同じ材料が用いられるので、説明は省略する。
本実施形態においては、フォトマスク35の製造において、上記のように、遮光膜の上に、遮光膜をエッチングするときのハードマスク層44を積層したフォトマスクブランクスを用いることにより、フォトマスク製造時のレジスト膜厚をより薄くすることが可能となり、微細なマスクパターン形成が容易となる。マスクパターン形成後は、ハードマスク層44はエッチング除去され、図3(b)と同様のフォトマスクが形成される。したがって、本実施形態のバイナリ型フォトマスクブランクスより作製したフォトマスクは、上記の第3の実施形態で説明したフォトマスクと同じ特性を示す。
(フォトマスクの製造方法)
次に、本発明のフォトマスクの製造方法について、図2に示すフォトマスクブランクスを用いた場合を例にして説明する。図11は、本発明の一実施形態に係る図2に示すフォトマスクブランクスを用いたフォトマスクの製造工程を説明する断面模式図である。
図11(a)に示すように、透明基板21上に、スパッタリング法などによりシリコンなどの遷移金属を含まない単一の金属材料をターゲットとして遮光層22を形成し、次に、遮光層22上にクロムなどのハードマスク層24を形成し、フォトマスクブランクス20を作製する。
次に、図11(b)に示すように、フォトマスクブランクス20のハードマスク層24上に電子線レジストなどを塗布してレジスト層26を設け、電子線描画装置などのパターン描画装置を用いて所定のマスクパターンを描画し、現像して、図11(c)に示すように、レジストパターン26aを形成する。
次に、図11(d)に示すように、レジストパターン26aをマスクとして、下層のハードマスク層24をエッチングしてハードマスクパターン28を形成し、次いで、レジストパターン26aを剥離除去した後、ハードマスクパターン28をマスクにして遮光層22をドライエッチングし、図11(e)に示すように、遮光層パターン23を形成する。
次に、ハードマスクパターン28をエッチング除去し、図11(f)に示すように、透明基板21上に遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成される遮光層パターン23を設けたバイナリ型のフォトマスクが得られる。
本発明においては、上記のフォトマスクの製造方法において、遮光層22上に、該遮光層22をドライエッチングするときのハードマスク層24を積層し、ハードマスクパターン28を形成後、遮光層22をドライエッチングする際に、エッチングガスによるサイドエッチングを用いて、遮光層22のスペース寸法が大きくなる、すなわちライン寸法が小さくなる方向に入ることにより、フォトマスク上で40nm以下の微小なラインパターンを形成することが可能となる。
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。
(実施例1)
光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板上に、不純物イオンを含まないシリコン結晶をターゲットとし、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いてArガス雰囲気下でシリコン膜を45nm成膜して遮光層としたバイナリ型フォトマスクブランクスを作製した。成膜は露光波長193nmの光学濃度(OD)がほぼ3になるよう膜厚を最適化した。
遮光層シリコンの光学濃度は大塚電子社製MCPD3000で測定し、光学定数はエリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム社製)の測定より得た。また、遮光膜の膜厚は成膜前に基板上にレジスト塗布した部位上の遮光膜を成膜後にレジスト剥膜することにより除去して段差を形成させ、AFM装置(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて計測した。
次に、上記のブランクス上に電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてパターン露光し、レジスト専用の現像液により現像し、所望形状のレジストパターンを形成した。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりフッ素系ガスを用いて遮光膜をドライエッチングし、パターニングした。最後にレジストをO2プラズマでアッシングして除去し、単層構造で良好な断面形状の微細なバイナリ型の遮光膜パターンを有するArFエキシマレーザ用バイナリ型フォトマスク(シリコンマスク)を得た。
上記のシリコンマスクは、露光光における光学濃度が3.1で、ラインアンドスペースのスルーピッチ80nm〜300nmにおけるEMFバイアス及びMEEFの値が小さく、露光裕度(EL)の最大値が大きく、ウェハ上に良好な転写パターンを形成できた。また、このシリコンマスクは、高い洗浄耐性、耐光性を示した。
(実施例2)
実施例1と同様にして、露光波長193nm用のブランクスとして、6インチ角の透明な合成石英基板上に、Arガス雰囲気下でスパッタリングによりシリコン膜を40nm成膜して遮光層とし、続いて、クロムをスパッタリングして5nm成膜したバイナリ型フォトマスクブランクスを作製した。クロム膜は、シリコン遮光層をエッチングするときのハードマスク層とするものである。
次に、上記のブランクス上に電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてパターン露光し、現像し、所望形状のレジストパターンを形成した。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置により塩素と酸素の混合ガスでハードマスク層のクロム膜をエッチングし、次にレジストパターンをO2プラズマでアッシングして除去した後、フッ素系ガスを用いて遮光膜をドライエッチングし、パターニングした。
次に、塩素と酸素の混合ガスでハードマスク層のクロム膜パターンをエッチングして除去し、シリコン膜の単層構造で良好な断面形状の微細なバイナリ型の遮光膜パターンを有するArFエキシマレーザ用バイナリ型フォトマスクを得た。
このシリコンマスクも実施例1と同様に良好なマスク特性を示した。
10、20、30、40 フォトマスクブランクス
11、21、31,41 透明基板
12、22、32、42 遮光層
13、23、33 遮光層パターン
24、44 ハードマスク層
15、35 フォトマスク
26 レジスト層
26a レジストパターン
28 ハードマスクパターン
36 反射防止層
37 反射防止層パターン
121 光透過部
122 遮光部
131 透明基板
133 遮光層パターン

Claims (13)

  1. ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型フォトマスクを作製するために用いられ、透明基板上にマスクパターンを形成するための遮光膜を有するフォトマスクブランクスであって、
    前記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、
    前記遮光層は、前記露光光に対する光学濃度が2.8以上、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されていることを特徴とするフォトマスクブランクス。
  2. 前記遮光層は、フッ素を含むエッチングガスに対して、荷電粒子の照射を受けない状態におけるエッチング速度が0.2nm/秒以上であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクブランクス。
  3. 前記遮光層は、屈折率nが1.0以下、かつ消衰係数kが2.0以上の単一の金属材料の膜から構成され、
    前記遮光膜を透過した露光光と前記遮光膜の膜厚と同じ距離だけ空気中を透過した露光光との間での位相差が50度以下であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のフォトマスクブランクス。
  4. 前記遮光層は、シリコンの膜から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  5. 前記遮光層は、前記ArFエキシマレーザ露光光に対する耐光性及び同一洗浄条件における洗浄耐性が、モリブデンシリサイド(MoSi)を遮光層として用いた場合よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項4までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  6. 前記反射防止層は、金属の酸化物または窒化物または酸窒化物から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  7. 請求項1から請求項6までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスの前記遮光膜上に、前記遮光膜をエッチングするときのハードマスク層を積層したことを特徴とするフォトマスクブランクス。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスにおける前記遮光膜を、ドライエッチングによりパターニングするエッチング工程を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  9. 請求項8に記載のフォトマスクの製造方法において、
    前記遮光膜上に、前記遮光膜をドライエッチングするときのハードマスク層を積層し、エッチングガスによるサイドエッチングを用いて前記遮光膜のラインパターン寸法を、フォトマスク上で40nm以下にすることを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  10. ArFエキシマレーザ露光光が適用されるバイナリ型のフォトマスクであって、
    前記フォトマスクは、透明基板上にマスクパターンを設けた遮光膜を有し、
    前記遮光膜は、遮光層単層もしくは遮光層上に反射防止層を設けた二層構造からなり、
    前記遮光層は、前記露光光に対する光学濃度が2.8以上、かつ膜厚が50nm以下であり、遷移金属を含まない単一の金属材料の膜から構成されていることを特徴とするフォトマスク。
  11. 前記遮光層は、屈折率nが1.0以下、かつ消衰係数kが2.0以上の単一の金属材料の膜から構成され、
    前記遮光膜を透過した露光光と前記遮光膜の膜厚と同じ距離だけ空気中を透過した露光光との間での位相差が50度以下であることを特徴とする請求項10に記載に記載のフォトマスク。
  12. 前記遮光層は、シリコンの膜から構成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のフォトマスク。
  13. 前記反射防止層は、金属の酸化物または窒化物または酸窒化物から構成されていることを特徴とする請求項10から請求項12までのうちのいずれか1項に記載のフォトマスク。
JP2013066234A 2013-03-27 2013-03-27 フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法 Pending JP2014191176A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066234A JP2014191176A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066234A JP2014191176A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014191176A true JP2014191176A (ja) 2014-10-06

Family

ID=51837461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013066234A Pending JP2014191176A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014191176A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015092281A (ja) * 2013-08-20 2015-05-14 大日本印刷株式会社 マスクブランクス、位相シフトマスク及びその製造方法
EP3214496A1 (en) 2016-03-02 2017-09-06 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Photomask blank and method for preparing a photomask
KR20170102811A (ko) 2016-03-02 2017-09-12 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 포토마스크 블랭크 및 포토마스크의 제조 방법
KR20190122694A (ko) * 2017-03-16 2019-10-30 호야 가부시키가이샤 마스크 블랭크, 전사용 마스크 및 반도체 디바이스의 제조 방법

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1126355A (ja) * 1997-07-07 1999-01-29 Toshiba Corp 露光用マスク及びその製造方法
JP2007241060A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Shin Etsu Chem Co Ltd フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法
JP2009086389A (ja) * 2007-09-30 2009-04-23 Hoya Corp フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法
JP2009244752A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Hoya Corp フォトマスクブランク、フォトマスク及びその製造方法
JP2010107921A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Hoya Corp フォトマスクブランク、フォトマスク及びその製造方法
JP2010237692A (ja) * 2010-05-28 2010-10-21 Shin-Etsu Chemical Co Ltd フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法
JP2011100108A (ja) * 2009-10-06 2011-05-19 Hoya Corp マスクブランク、転写用マスク、および転写用マスクセット

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1126355A (ja) * 1997-07-07 1999-01-29 Toshiba Corp 露光用マスク及びその製造方法
JP2007241060A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Shin Etsu Chem Co Ltd フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法
JP2009086389A (ja) * 2007-09-30 2009-04-23 Hoya Corp フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法
JP2009244752A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Hoya Corp フォトマスクブランク、フォトマスク及びその製造方法
JP2010107921A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Hoya Corp フォトマスクブランク、フォトマスク及びその製造方法
JP2011100108A (ja) * 2009-10-06 2011-05-19 Hoya Corp マスクブランク、転写用マスク、および転写用マスクセット
JP2010237692A (ja) * 2010-05-28 2010-10-21 Shin-Etsu Chemical Co Ltd フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015092281A (ja) * 2013-08-20 2015-05-14 大日本印刷株式会社 マスクブランクス、位相シフトマスク及びその製造方法
US10678125B2 (en) 2016-03-02 2020-06-09 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Photomask blank and method for preparing photomask
KR20170102811A (ko) 2016-03-02 2017-09-12 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 포토마스크 블랭크 및 포토마스크의 제조 방법
JP2017161889A (ja) * 2016-03-02 2017-09-14 信越化学工業株式会社 フォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法
EP3214496A1 (en) 2016-03-02 2017-09-06 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Photomask blank and method for preparing a photomask
KR102374972B1 (ko) 2016-03-02 2022-03-16 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 포토마스크 블랭크 및 포토마스크의 제조 방법
US11327393B2 (en) 2016-03-02 2022-05-10 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Photomask blank and method for preparing photomask
TWI811189B (zh) * 2016-03-02 2023-08-11 日商信越化學工業股份有限公司 光罩空白基板及光罩之製造方法
KR20190122694A (ko) * 2017-03-16 2019-10-30 호야 가부시키가이샤 마스크 블랭크, 전사용 마스크 및 반도체 디바이스의 제조 방법
CN110603489A (zh) * 2017-03-16 2019-12-20 Hoya株式会社 掩模坯料、转印用掩模及半导体器件的制造方法
KR102587661B1 (ko) 2017-03-16 2023-10-12 호야 가부시키가이샤 마스크 블랭크, 전사용 마스크 및 반도체 디바이스의 제조 방법
KR20230144128A (ko) * 2017-03-16 2023-10-13 호야 가부시키가이샤 마스크 블랭크, 전사용 마스크 및 반도체 디바이스의 제조 방법
KR102609398B1 (ko) 2017-03-16 2023-12-05 호야 가부시키가이샤 마스크 블랭크, 전사용 마스크 및 반도체 디바이스의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6394410B2 (ja) マスクブランクス、位相シフトマスク及びその製造方法
JP6432444B2 (ja) マスクブランクス、ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス、位相シフトマスク、およびそれを用いるパターン形成体の製造方法
JP6524614B2 (ja) マスクブランクス、ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス、位相シフトマスク、およびそれを用いるパターン形成体の製造方法
TW201831987A (zh) 反射型光罩基底、反射型光罩及其製造方法、與半導體裝置之製造方法
JP2014191176A (ja) フォトマスクブランクス、フォトマスク及びその製造方法
JP5668356B2 (ja) 転写方法
WO2021192734A1 (ja) マスクブランク及び転写用マスクの製造方法
KR101319311B1 (ko) 포토마스크 블랭크 및 포토마스크의 제조방법
JP5724509B2 (ja) フォトマスクおよびフォトマスクブランクス
JP6058318B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法
JP7109996B2 (ja) マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法
JP2010191009A (ja) フォトマスクおよびその製造方法
JP2019207359A (ja) マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法
JP6379556B2 (ja) マスクブランクス、ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス、位相シフトマスク、およびそれを用いるパターン形成体の製造方法
JP6315033B2 (ja) フォトマスク
JP6119836B2 (ja) フォトマスク
JP2020042208A (ja) マスクブランク、転写用マスクおよび半導体デバイスの製造方法
JP5949877B2 (ja) マスクパターン転写方法
JP6035884B2 (ja) フォトマスクの製造方法
KR102260188B1 (ko) 마스크 블랭크, 위상 시프트 마스크 및 그 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170530