JP2014189845A - 機能性膜形成方法および機能性膜形成装置 - Google Patents

機能性膜形成方法および機能性膜形成装置 Download PDF

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文美 尾崎
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Abstract

【課題】エアロゾルディポジション法(AD法)により、シート状基板の表面に機能性膜を作成する方法の提供。
【解決手段】基板の一方向に渡り少なくとも基板の機能性膜形成領域全幅を覆うことが可能な減圧チャンバーを、少なくとも外気がチャンバーに進入困難になる程度に基板に近接させる近接工程と、減圧チャンバー内を減圧することにより基板の減圧チャンバーに覆われた部分を減圧状態とする減圧工程と、微粉末材料を減圧工程により減圧状態となった減圧チャンバーに供給することによって微粉末材料を基板上に高速噴射により衝突させ融着させる噴射工程と、減圧チャンバーを減圧工程により生じた減圧状態を維持しながら基板の一方向と基板設置平面上垂直な方向に基板上を走査し、噴射工程を連続することにより前記基板表面に機能性膜を形成する走査工程と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、シート状基板上に機能性膜を形成する方法および装置に関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、あるいは太陽電池(PV)または有機EL照明などに用いられるパネルには、ガラス基板又はフィルム基板上にそれぞれのパネルに応じた機能を有する機能膜が形成されている。これら機能膜は液状の機能膜液を基板に均一に塗布する湿式成膜方法や化学気相成膜(CVD)もしくはスパッタリングなどの乾式成膜方法によって製作されている。一例として、特許文献1に示すスリットノズルコータは一方向に延びるスリットノズルを有する口金を塗布機構として備えており、このスリットノズルから前記塗布液を吐出させながら、口金と基板を塗布膜形成方向に相対的に移動させることにより、均一な厚さの塗布液膜が形成された基板が製作されるようになっている。
このようなスリットノズルコータは、形成した塗布液膜を機能膜に仕上げるために乾燥およびベーキング工程が必要となる。とりわけ、ベーキング工程は露光/現像工程前後で2工程、すなわち露光/現像工程前の低温プリベークと露光/現像工程後の高温ポストベークが必要とされている。
一方、特許文献2に示すCVDおよびスパッタリングを含む乾式成膜は、真空装置が必要ではあるものの、前記塗布成膜に必要であった乾燥工程およびベーキング工程が不要であり特に半導体そのものまたは半導体を利用するディスプレイなどの製造工程に広く利用されている。
特開2002−66432号公報 特開平5−188399号公報
これら従来の成膜技術には以下の様な問題点があった。すなわち、スリットノズルコータの様な湿式成膜においては、前述の様に乾燥工程およびベーキング工程が不可欠であるが、これら工程中特に乾燥工程においては塗布液から蒸発する溶剤を含む気流の流れにより乾燥むらが生じる場合がある。この現象は特に急速に乾燥を行った場合に顕著に現れる。さらに、乾燥中または搬送中の基板を保持するためにピン等の保持手段が必要となるが、ピンと基板の熱容量の違い等からピンと基板の接触部分に熱勾配が生じ、これもまた乾燥むらの原因となる。
一方、CVDやスパッタリングのような乾式成膜においては上記のような問題は発生しないものの、基本的に基板全体を収納する高真空チャンバーが必要であり、現在のような最大3m角になる基板が使用されている状況では装置価格、ひいては最終製品価格に影響をおよぼしている。また、これら乾式成膜は大型チャンバーの減圧時間や成膜時間において、前記スリットノズルコータの様な塗布方式に劣り、この面からの改善も望まれている。
一方、液を放出するスプレーコーティング法を利用すれば前記乾式成膜の欠点を回避できるが、この方法は湿式成膜であり、従って前記問題を有する乾燥工程が必要となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、塗布方式で問題となる乾燥むらの様な成膜欠陥を発生させることが無く、同時に従来の乾式成膜方式で問題となっている装置価格を低減すると共に成膜時間も大幅に短縮できる成膜方法およびそれを利用した成膜装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の機能性膜形成方法は、シート状基板上に機能性膜を形成するための微粉末材料を、減圧環境下で高速に基板に衝突させ衝突エネルギーにより前記微粉末を基板上に融着させるエアロゾルディポジション法による機能性膜形成方法であって、基板の一方向に渡り少なくとも前記基板の機能性膜形成領域全幅を覆うことが可能な減圧チャンバーを、少なくとも外気が前記チャンバーに進入困難になる程度に前記基板に近接させる近接工程と、前記減圧チャンバー内を減圧することにより基板の前記減圧チャンバーに覆われた部分を減圧状態とする減圧工程と、前記微粉末材料を前記減圧工程により減圧状態となった前記減圧チャンバーに供給することによって前記微粉末材料を前記基板上に高速噴射により衝突させ融着させる噴射工程と、前記減圧チャンバーを前記減圧工程により生じた減圧状態を維持しながら前記基板の一方向と基板設置平面上垂直な方向に前記基板上を走査し、前記噴射工程を連続することにより前記基板表面に機能性膜を形成する走査工程と、を有するものである。上記機能性膜形成方法によれば、基板全体を覆う高真空チャンバーを使用せずにチャンバーの小型化を実現し、かつ湿式塗布方式で問題となる乾燥工程およびベーキング工程を不要とした機能性膜形成方法を実現できる。
また、本発明の機能性膜形成方法は、基板上の機能性膜形成領域に対応した形状のマスクキングが可能なマスクを使用することにより基板の減圧チャンバー長手方向に対して基板上の機能性膜形成領域を規定し、走査方向に対しては走査時の減圧チャンバー位置に応じて前記微粉末材料の噴出を制御することにより走査方向の基板上の機能性膜形成領域を規定することを特徴としている。この機能性膜形成方法によって基板上の所定の位置に機能性膜を形成することができる。
また、本発明の機能性膜形成方法は、基板上に、機能性膜形成領域以外の領域への機能性膜の形成を防ぐための保護部材による規制領域を形成する規制領域形成工程と、前記機能性膜の形成完了後に前記規制領域を除去する規制領域除去工程とをさらに有することを特徴としている。この機能性膜形成方法によって減圧チャンバーにマスクを設けること無く基板上の所定の位置に機能性膜を形成することができる。
また、本発明の機能性膜形成装置は、シート状基板上に機能性膜を形成するための微粉末材料を、減圧環境下で高速に基板に衝突させ衝突エネルギーにより前記微粉末を基板上に融着させるエアロゾルディポジション法によりシート状基板上に機能性膜を形成する機能性膜形成装置であって、基板の一方向に渡り少なくとも前記基板の機能性膜形成領域全幅を覆うことが可能な減圧チャンバーと、少なくとも外気が前記チャンバーに進入困難になる程度にまで前記基板に減圧チャンバーを接離させることができる接離手段と、基板の前記減圧チャンバーに覆われた部分を減圧する減圧手段と、前記微粉末材料を含むエアロゾルを前記減圧チャンバーに供給するエアロゾル供給手段と、前記減圧チャンバーを前記基板の一方向と基板設置平面上垂直な方向に走査させる走査手段と、を有することを特徴としている。この構成によれば、基板全体を覆う高真空チャンバーを使用せずにチャンバーの小型化を実現し、かつ湿式塗布方式で問題となる乾燥工程およびベーキング工程を不要とした機能性膜形成装置を実現できる。
本発明の機能性膜形成方法および機能性膜形成装置によれば、装置価格を上昇させること無く、同時に塗布方法で問題となった乾燥むら等の欠陥の発生を無くし、さらに従来の乾式成膜の問題である成膜時間の短縮と高真空装置の不要化を実現した機能性膜の基板上への形成を実現することができる。
本発明で用いた成膜原理を示す模式図である。 本発明の装置構成および接続を示す概略構成図である。 基板上の機能性膜形成領域を示す図である。 本発明の成膜方法を用いた成膜装置の斜視図である。 本発明で用いられる減圧チャンバーの断面図である。 本発明の減圧チャンバーのシール部の拡大断面図である。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の機能膜形成方法の原理を模式的に示した図である。本発明に利用する機能膜形成方法はエアロゾルデポジション法、通称AD法と称されるものである。説明を簡略化するために以後AD法と称することとする。AD法においては、成膜の原材料である微粉末1は高圧ガス35に混合されエアロゾル3を形成し、秒速150m/秒〜1000m/秒の速度で基板2に衝突する。衝突時に微粉末1の運動エネルギーは衝突エネルギーに変換され、最終的に熱エネルギーとなる。この熱エネルギーにより微粉末1と基板2の衝突面は融解し、微粉末1は基板2と融着する。基板2表面が融着した微粉末1で覆われた後は、融着した微粉末1上に同様の過程で所定の厚みになるまで微粉末1が融着積層され、例えば図3に示される機能性膜形成領域4上に機能性膜が形成される。また、エアロゾル3の速度を前記速度範囲に保つため、AD法の成膜プロセスは数Torr程度に減圧した減圧環境下で実施される。なお、微粉末1の形状は図1では球形で示されているが、AD法を適用する上においては任意の形状が利用可能であって、不定形もその中に含まれる。
図2は機能性膜形成装置10の微粉末(機能膜形成材料)1の供給経路を含む全体の構成を模式的に示した図である。全体の概略構成は図2に示す様に、基板2を載置するテーブル12,内部に基板2を収納し減圧状態に保つ減圧チャンバー11、減圧チャンバー11に微粉末1を含むエアロゾル3を供給するエアロゾル発生器30、および前記減圧チャンバー11内を減圧状態にする真空ポンプ40から成っている。
図4は本発明に関わる機能性膜形成装置10を示した斜視図である。以下の説明では、減圧チャンバー11を保持するガントリー20またはテーブル12が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
図4に示す様に、機能性膜形成装置10は、図示しない供給装置から供給される薄板状の基板2に機能性膜を形成するものである。この機能性膜形成装置10は、基台16と、基板2を載置するためのテーブル12と、前記テーブル12に対し一定方向に移動可能に構成され、減圧チャンバー11を含むガントリー20、および以下に記載する動作を制御する制御装置(不図示)とで構成されている。機能性膜形成装置10の前記基台16は、各構成部材、例えばテーブル12及びガントリー20を支持するものであり、剛性を有し振動の影響を受けにくい材料、例えば石材等で形成されている。前記テーブル12は、搬入された基板2をその表面に載置して保持するものであり、同じく剛性を有し振動の影響を受けにくい材料、例えば石材等で形成されている。具体的には、テーブル12にはその表面に開口する複数の吸引孔(不図示)が形成されており、これらの吸引孔とテーブル用真空ポンプ(不図示)とが連通して接続されている。そして、テーブル12の表面に基板2が載置された状態で真空ポンプを作動させることにより、吸引孔に吸引力が発生し基板2がテーブル4の表面側に吸引されて吸着保持されるようになっている。本実施例においては減圧は基板の一部について局所的に実施されるので非減圧部分と吸着部の圧力差により基板を保持することができる。もちろん、基板保持を減圧吸着以外の上記方法、例えば静電吸着法で実施しても構わない。また、テーブル12には、基板2を昇降動作させる基板昇降機構(不図示)が設けられている。すなわち、テーブル12の表面には複数のピン孔(不図示)が形成されており、このピン孔にはZ軸方向に昇降動作可能なリフトピン(不図示)が埋設されている。これにより、テーブル12の表面に基板2を載置した状態でリフトピンを上昇させることにより、リフトピンの先端部分が基板2に当接した状態で、基板2を所定の高さ位置に保持できるようになっている。
基板2はガラス、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド、または樹脂等その他材料から成る薄板であって、用途に応じて0.1mmから数mm程度の板厚を有している。基板形状も用途に応じて異なり、矩形、円形、またはその他任意の形状が利用されている。本実施例では矩形基板を使用する場合について説明する。
ガントリー20は、テーブル12に載置された基板2にエアロゾル3を噴射する減圧チャンバー11を保持し基板上を走査するものであり、エアロゾル3を噴射するための減圧チャンバー11、両端部分に設けられた支持部20aおよび20b、前記支持部20aおよび20bを連結するステー25より構成されている。前記支持部20aおよび20bは、減圧チャンバー11をZ軸方向に昇降動作可能に支持するとともに、減圧チャンバー11をX軸方向に移動させるためのものであり、X軸駆動部14(走査手段)の主要部分とZ軸駆動部21(接離手段)とを有している。Z軸駆動部21は、減圧チャンバー11を昇降動作させるものであり、Z軸方向に延びるボールねじ機構(不図示)と減圧チャンバー11に連結されるスライダ(不図示)とを有しており、前記ボールねじ機構には前記スライダが取り付けられている。また、前記支持部20aおよび20bにはサーボモータ(不図示)が取り付けられており、このサーボモータを駆動制御し前記ボールねじを回転することにより、前記スライダがZ軸方向に移動するとともに、任意の位置で停止できるようになっている。これにより、減圧チャンバー11は、Z軸方向への昇降動作が駆動制御され、テーブル12に対して接離可能に動作するようになっている。なお、Z軸駆動部21には本発明の実施例のサーボモータとボールねじ機構の組み合わせ以外に、リニアサーボモーターによる駆動、またはその他同等の駆動が可能な任意の駆動機構が利用できる。
X軸駆動部14は、ガントリー20をX軸方向に走行させるためのものであり、支持部20aおよび20bに設置された駆動装置本体14aおよびエアスライダー17と、基台16上に設置されたX軸方向に延びるレール15およびリニアモータ固定レール13を含む構成となっている。さらにX軸駆動装置14は、基台16に取り付けられたリニアモータ固定レール13を逐次励磁制御することにより、駆動装置本体14aの固定磁石(不図示)との間に吸着/反発作用を生じさせ、ガントリー20をX軸方向に移動させる駆動力を生じる。ガントリ20がX軸方向に移動することにより、ガントリ20に取り付けられた減圧チャンバー11も同じくX軸方向に沿って走行することができるようになっている。X軸方向の移動量(位置)はレール15または基台16に設けられた精密スケール(不図示)から得ることが出来る。
このように構成されるガントリー20により、減圧チャンバー11は、テーブル12の表面に対してZ軸方向に昇降動作できるとともに、テーブル12の表面から所定高さを維持した状態でテーブル12の表面上をX軸方向に沿って移動できるようになっている。減圧チャンバー11の所定高さの維持については後述する。なお、X軸の駆動方法は本発明の実施例以外にも同様の効果を期待出来る方法であれば利用可能である。一例として、X軸駆動をサーボモータとボールねじの組み合わせとしても良い。
減圧チャンバー11には、エアロゾル発生器30(エアロゾル供給手段)よりエアロゾル3が供給される。エアロゾル発生器30はケーシング31、高圧ガス供給パイプ37、メッシュ36、エアロゾル放出パイプ38からなる構成となっている。図2に示す様に、ケーシング31は中間部にメッシュ36が設置され、供給された微粉末1が高圧ガス供給パイプ37の噴出口を塞がないよう高圧ガス供給パイプ37の噴出口と機能膜形成材料(微粉末1)を通気性を有するメッシュ36により分離する構造になっている。メッシュ36は、微粉末1により目詰まりせずかつ漏らさず、微粉末1の重量を保持でき、また、通気性を有するという要求を満足する材料であればいかなる材料も使用可能である。本発明に於いては多孔質材を使用している。
図5は減圧チャンバー11の詳細構造を示す断面図である。減圧チャンバー11はチャンバー本体50,エアロゾル放出パイプ38の先端であってエアロゾル3を噴出する複数の噴出口51,チャンバー内の減圧状態を維持するシール部52、距離センサー53,排気口55から構成されている。さらに、減圧チャンバー11には排気管41が設けられており、図2に示す排気管41と連接した真空ポンプ40(減圧手段)により減圧チャンバー11内を減圧することができる。排気管41には、同じく図2に示すフィルター42が設けられており、機能性膜形成時に余分となった微粉末1を捕集し、これによって真空ポンプ40を保護している。
ここで、減圧チャンバー11に関して詳述する。チャンバー本体50は、天板および側板から構成された、下方に開口を有する箱体であり、基板2を上方から覆うことによって基板2との間に局所的な減圧空間を形成する。また、チャンバー本体50は金属又は樹脂製であって、例えばアルミ合金などにより減圧に耐えられる構造となっている。また減圧チャンバー11は、本実施例ではY方向において基板の全幅を一度に成膜できるようにY方向に伸びた形状を有する一方、X方向は走査により基板全長に渡り成膜を行う為に幅が狭い構成となっている。従って噴出口51はY方向に基板の全幅を一度に成膜できる数量が減圧チャンバー11内に配置され、X方向は一列または噴出口51とチャンバー本体50の寸法が許す範囲で複数列配置される。さらに、噴出口51はチャンバー本体50の一側面ににおいてエアロゾル放出パイプ38と接続し、一方、チャンバー本体50の別の側面には排気管41と接続する排気口55が設けられている。ここで、エアロゾル放出パイプ38および排気管41は、減圧チャンバー11の動きに対応するため、柔軟な構造とすることが好ましい。また、エアロゾル放出パイプ38が接続された噴出口51と基板2までの距離は所用成膜面積、使用する微粉末1など成膜プロセス条件に応じて設定されている。この場合、エアロゾル噴出領域がオーバーラップしても膜厚の均一性が維持できるのであれば、図5に示す様にエアロゾル噴出領域がオーバーラップする配置としても構わない。次に、噴出口51形状および噴出口51の直前配管断面形状はエアロゾル3の流速により決定され、例えば、微粉末材料特性の都合や成膜強度等の理由でエアロゾル放出パイプ38内流速を遅く、かつ噴射速度を早くする必要がある場合は、実施例と異なりベンチュリー管状の構造にする等の対応をすることができる。一般に、AD法におけるエアロゾルの噴出速度は150m/秒〜1000m/秒であるが、実使用上は上記の様に微粉末1の特性により決定される。一方、図2に示す真空ポンプ40は排気口55から排気管41を通じて減圧チャンバー11内の気体(主として空気)を吸引し、これにより減圧チャンバー11内は数Torrのレベルに減圧される。この様に減圧チャンバー11内を減圧することにより、エアロゾル3が空気分子との衝突により減速することを防止できる。また、減圧チャンバー11を減圧状態に維持するため、チャンバー本体50の端部にはシール部52が設けられている。シール部52はチャンバー本体50の先端部を外側からさらに覆う構造であり、複数の通気口52aによりチャンバー本体50と連通している。これにより減圧チャンバー11外より浸入する外気およびエアロゾル3の高圧ガス35の残余(共に52bとして表示)を排気口55から排気することが出来、減圧チャンバー11内を所定の圧力に維持すると共に余分なガスも排出することが出来る。また、通気口52aはエアロゾル3の噴出に影響を与えない様噴出口51より高い位置に設けることが好ましい。シール部52については、本実施例以外にさらに柔軟性を有する部材、たとえばゴムリップ状のシールなどの柔軟性を有する封止部材をさらに追加することが出来る。また、基板表面の条件によってはシール材のみの構造とすることも可能である。距離センサー53はZ軸方向の位置制御に利用するものであるが、ガントリー20により減圧チャンバー11を基板2上に走査させる工程に於ける基板と減圧チャンバー11の距離を一定に保つため、減圧チャンバー11の先端部分が基板2と接触する前に基板2と減圧チャンバー11の距離を測定し所定の距離に調整出来る様、減圧チャンバーの走査方向前方位置に減圧チャンバー11に結合して取り付けられている。
ここで、本発明における機能性膜形成方法について詳述する。基板2がテーブル12上に搬送されると吸着機構(不図示)によりテーブル12に吸着・固定される。ついで、ガントリ20が所定の位置に移動する。減圧チャンバー11がX−Y平面上で所定の位置に移動すると、次に距離センサー53を使用して減圧チャンバー11と基板2間の距離が所定の数値に達するまで、Z軸駆動部21により減圧チャンバー11を降下させる(これを近接工程と呼ぶ)。降下量はシール部52が確実に作用する距離までとなる。この値はエアロゾル3の噴出速度などプロセスや必要な真空度など成膜プロセス条件に依存している。
減圧チャンバー11が基板2の表面近傍に降下すると真空ポンプ40が作動し減圧チャンバー11内の減圧が開始される(これを減圧工程と呼ぶ)。AD法においては、高真空は必要とされない為、真空到達値は数Torr程度で良い。エアロゾル3の噴射後は真空ポンプ40は粉末を含んだガス(エアロゾル3の残部)を吸引するため、粉末による破損の危険がある。そのため、排気管41の経路の任意の位置にフィルター42が設置されている。
減圧チャンバー11内の減圧が完了すると、高圧ガス供給パイプ37を通ってケーシング31に供給される高圧ガス35がエアロゾル発生器30に供給される。レギュレータ32により供給量を調節され、メッシュ36で仕切られたケーシング31の底部に噴出する。噴出した高圧ガス35はメッシュ36を通過して微粉末1とケーシング31内で撹拌されエアロゾル化する。微粉末1と高圧ガス35の混合物であるエアロゾル3は、噴出用パイプ38を通り分級器33により粒径を一定にされた後、減圧チャンバー11へ送られる。
減圧チャンバー11へ供給されたエアロゾル3は噴出口51より基板2に噴射され、図1に示された成膜メカニズムにより基板2上に機能性膜を形成する(これを噴射工程と呼ぶ)。エアロゾル3が放出されると減圧チャンバー11内の圧力が上昇し、時間の経過と共に図1に示された成膜メカニズムが機能しなくなる恐れがある。従って、エアロゾル3の放出中も真空ポンプ40は作動し、これにより減圧チャンバー11内の減圧状態をAD法に必要なレベルに維持することができる。排気がエアロゾル3の流れに影響をおよぼすことは好ましく無いものの、減圧チャンバー11外から流入する外気の影響も排除する必要が有る。従って、前述の様に通気口52aはエアロゾル3の噴出に影響を与えない様噴出口51より高い位置に設けられ、排気口55は噴出口51から離れた位置に設置することが望ましい。また真空ポンプ40による吸引速度(吸引量)もエアロゾル3放出前の減圧時と同じ設定とする必要は無いものの成膜プロセス上必要な排気量は確保する必要がある。また、エアロゾル3または高圧ガス35の放出量制御は、減圧チャンバー11内において光学センサー(不図示)などによりエアロゾル3の状態を観察し、得られた情報を基に制御しても良いが、予めプログラムにより放出速度(放出量)を制御し、たとえば放出時間関数として放出量を定めることも可能である。もちろん、放出速度(放出量)を一定に維持する方法も利用出来る。何れの方法を採用するかは、成膜プロセス条件により決定される。
減圧チャンバー11により機能性膜形成が開始されると所定時間経過後ガントリー20が基板上の走査を開始する(これを走査工程と呼ぶ)。これにより基板全面に亘り機能性膜を形成することが出来る。走査速度は微粉末1の特性、所用膜厚、エアロゾル3の噴出速度などの成膜プロセスに応じて決定される。図3に示す様に、基板2に複数の機能性膜形成領域4が設定されている場合、まず減圧チャンバーの長手(図4のY方向)についてはマスク56を利用し機能性膜形成領域4にのみエアロゾル3を噴出することができる。一方、走査方向(図4のX方向)については、機能性膜形成領域4に応じてエアロゾル3の噴出制御を行うことにより機能性膜形成領域4にのみ成膜を行う事が出来る。一方、マスクを利用する代わりに基板2上に予めレジスト等による規制領域5を設け、機能性膜形成領域4にのみに成膜を限定する方法を使用しても良い。レジスト等による規制領域5の形成工程(これを規制領域形成工程と呼ぶ)は、既存のフォトリソグラフィ−技術を利用して、本発明の機能性膜形成工程の前工程で実施される。既述の様に、AD法においてはエアロゾルは高速で目標に衝突する。エアロゾルに含まれる粉末径は平均的にサブミクロンオーダーであり、個々の衝突エネルギーは小さいものの多数の粉末が衝突するために規制領域5はエアロゾル3の衝突により破損しない必要が有る。一方で保護および規制領域5は洗浄により除去される必要が有り、必要以上に強固な層とすることも好ましく無い。従って基板2は、規制領域5の塗布、乾燥、プリベーク、露光、現像までの工程を終了後基板2表面のゴミ等を洗浄しその後乾燥が終了た時点で本発明の機能性膜形成工程に搬送することが望ましい。規制領域5は低温焼成であるプリベークにより、エアロゾルの衝突により容易に破壊されない程度の強度を有するが、完全に高温焼成されていない為、溶剤による除去が可能である。
ガントリー20が基板2の全長を走査完了し、基板2上の機能性膜領域4に機能性膜の成膜が完了すると。噴出用パイプ38に設けられたバルブ(不図示)を閉じてエアロゾル3の供給を停止し、次いでベント管57のバルブ(不図示)を開いて減圧チャンバー11内を大気圧に戻す。この間、真空ポンプ40は一定時間作動しチャンバー内の残留粉末を除去する。この残留粉末の除去は真空ポンプ40を利用する代わりに、専用のフィルタ付き排気ファンまたはブロア(不図示)を利用しても良い。また前記除去工程と平行して、Z軸駆動部21が作動し減圧チャンバー11を上昇させる。減圧チャンバー11の上昇が完了すると、次にX軸駆動部14が作動し、減圧チャンバー11を待機位置に移動させる。
基板2上の全ての機能性膜形成領域4に機能性膜が成膜されると、テーブル12の基板吸着機構(不図示)が解除され、基板昇降機構(不図示)が作動しリフトピン(不図示)が上昇して基板2を持ち上げると、ロボット(不図示)等の搬送装置により基板2が洗浄工程に搬出される。洗浄工程において、基板2は溶剤等により規制領域5を除去された後純水等により残留物が除去される(これを規制領域除去工程と呼ぶ)。引き続き基板2は乾燥工程に搬送され、乾燥終了時点でこの工程全体が終了し、基板2は次の工程、例えば機能性膜のアニーリング工程へと搬送される。一方、基板2の搬出完了後、新たな基板が搬入され、前記機能性膜形成工程が繰り返される。
上記実施形態ではテーブル12は固定であって、ガントリー20が移動する構成となっているが、本発明の趣旨に従えば、逆の構成すなわちガントリー20がX軸方向に固定され、基板を設置するテーブルがX軸方向に駆動する構成としても構わない。この構成にすれば、テーブルがX軸方向に駆動するため、基板約2枚分の移動空間が必要となり、装置のサイズ増大および設置面積の増大という不利益はあるが、ガントリー20が固定のため減圧チャンバー11の配管をその移動に対応出来る様に柔軟性を持たせる必要が無く、配管を固定化できるため、配管回りの設計が大幅に簡略化できる利点がある。これら駆動方法はそれぞれ組み合わせ可能であり、例えば減圧チャンバー11をさらにZ軸方向に固定し、Z軸方向の駆動をテーブル12で行う構成とすることも可能である。あるいは、X軸方向はガントリー20を駆動させ、Z軸方向をテーブル駆動とする構成とすることも可能である。これら構成のどれを採用するかは制約条件、例えば基板サイズ、設置場所の制約、要求されるサイクルタイムなどにより決定すれば良い。
以上、本発明の機能性膜形成方法およびこの機能性膜形成方法を利用した成膜装置を利用することで、3m角に及ぶような大型基板から数十cm角程度の小型基板に至るまで、枚葉基板上に機能性膜を成膜後の乾燥工程が不要かつ従来の塗布方法に匹敵する品質の機能性膜を形成することが出来る。
1 微粉末
2 基板
3 エアロゾル
4 機能性膜形成領域
5 規制領域
10 機能性膜形成装置
11 減圧チャンバー
12 テーブル
30 エアロゾル発生器
35 高圧ガス
40 真空ポンプ
50 チャンバー本体
51 噴出口
52 シール部
55 排気口
56 マスク
57 ベント管

Claims (4)

  1. シート状基板上に機能性膜を形成するための微粉末材料を、減圧環境下で高速に基板に衝突させ衝突エネルギーにより前記微粉末を基板上に融着させるエアロゾルディポジション法による機能性膜形成方法であって、基板の一方向に渡り少なくとも前記基板の機能性膜形成領域全幅を覆うことが可能な減圧チャンバーを、少なくとも外気が前記チャンバーに進入困難になる程度に前記基板に近接させる近接工程と、前記減圧チャンバー内を減圧することにより基板の前記減圧チャンバーに覆われた部分を減圧状態とする減圧工程と、前記微粉末材料を前記減圧工程により減圧状態となった前記減圧チャンバーに供給することによって前記微粉末材料を前記基板上に高速噴射により衝突させ融着させる噴射工程と、前記減圧チャンバーを前記減圧工程により生じた減圧状態を維持しながら前記基板の一方向と基板設置平面上垂直な方向に前記基板上を走査し、前記噴射工程を連続することにより前記基板表面に機能性膜を形成する走査工程と、を有することを特徴とする機能性膜形成方法。
  2. 基板上の機能性膜形成領域に対応した形状のマスクキングが可能なマスクを使用することにより基板の減圧チャンバー長手方向に対して基板上の機能性膜形成領域を規定し、走査方向に対しては走査時の減圧チャンバー位置に応じて前記微粉末材料の噴出を制御することにより走査方向の基板上の機能性膜形成領域を規定することを特徴とする請求項1に記載の機能性膜形成方法。
  3. 基板上に、機能性膜形成領域以外の領域への機能性膜の形成を防ぐための保護部材による規制領域を形成する規制領域形成工程と、前記機能性膜の形成完了後に前記規制領域を除去する規制領域除去工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の機能性膜形成方法。
  4. シート状基板上に機能性膜を形成するための微粉末材料を、減圧環境下で高速に基板に衝突させ衝突エネルギーにより前記微粉末を基板上に融着させるエアロゾルディポジション法によりシート状基板上に機能性膜を形成する機能性膜形成装置であって、基板の一方向に渡り少なくとも前記基板の機能性膜形成領域全幅を覆うことが可能な減圧チャンバーと、少なくとも外気が前記チャンバーに進入困難になる程度にまで前記基板に減圧チャンバーを接離させることができる接離手段と、基板の前記減圧チャンバーに覆われた部分を減圧する減圧手段と、前記微粉末材料を含むエアロゾルを前記減圧チャンバーに供給するエアロゾル供給手段と、前記減圧チャンバーを前記基板の一方向と基板設置平面上垂直な方向に走査させる走査手段と、を有することを特徴とする機能性膜形成装置。
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