JP2014189151A - 車両用内装製品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成、製造が容易、組付けが容易な車両用内装製品であり、さらに装飾性、高級感が得られるものを提供することにある。
【解決手段】樹脂により成形された基材10と、基材10の上面側に設けられるに内装製品のソフト感を得るための軟質性の透明フィルム層20と、透明フィルム層20の表面側の一部に設けられる凸又は凹状のステッチ部22と、ステッチ部22の裏面側には、ステッチ部22またはステッチ部22の周囲を光らせるための照明部材が設けられている車両用内装製品としてのアッパー部材が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両の内装製品で、夜間の加飾性を向上させる構造に関するものである。
従来のインストルメントパネル(以下「インパネ」)等の装飾性を向上させる構成として、メーターフード(速度計等を包囲する部分)や、グローブボックスの開閉蓋、ピラーガーニッシュ等に、合成樹脂製の基材表面に表皮を接着し、複数の表皮片を縫合により連結した表皮を用い、縫合ライン(ステッチ)によって装飾性を高めることが提案されている。(特許文献1)
また、立体加飾部を目立たせて外観品質を確実に向上させることができる車両用内装材の製造方法として、内装材の表面全体に、該表面とは異なる色の塗膜層を形成すると共に、該立体加飾部を覆う塗膜層だけをレーザーにより除去することが提案されている。(特許文献2)
これらのものは、昼間内装製品が見られる状況では、立体的なステッチラインを見ることができると共に、そのラインを触れることにより装飾性及び高級感を得ることができる。しかし、夜間には、ほとんどそのステッチの存在を確認することができず、装飾性、高級感を演出することはできない。そのため、夜間の装飾性、高級感を演出する構成として、車両内の縫製製品に光透過部を有するパイピングを設け、このパイピングの芯に可撓性の線状発光チューブを用いること、そして発光チューブの端部に発光ダイオード(LED)を取り付け、この発光ダイオードの発光により発光チューブ全体を発光させ、光透過部を介して外部に輝かせるものが提案されている。(特許文献3)
特開2008−110544号公報 特開2007−269221号公報 実用新案登録第3181175号公報
しかし、上記のような構成では昼間、夜間それぞれの場合のみの装飾性、高級感を演出することはできるが、昼間、夜間を通じて装飾性、高級感を演出することはできなかった。また、従来技術の構成ではその製造工程が複雑になり安価に製品を得ることができなかった。また、昼間、夜間を通じて装飾性、高級感を演出する構成を従来技術の組合せとして達成しようとすると更に複雑な構成となり、製造工程も複雑になるという問題点があった。
本発明の目的は、このような問題点に着目してなされたものであり、簡単な構成、製造が容易、組付けが容易な車両用内装製品であり、さらに装飾性、高級感が得られるものを提供することにある。
本発明の請求項1に記載の発明は、樹脂により成形された基材と、基材の上面側に設けられるに内装製品のソフト感を得るための軟質性の透明フィルム層と、透明フィルム層の表面側の一部に設けられる凸又は凹状のステッチ部と、ステッチ部の裏面側には、該ステッチ部または該ステッチ部の周囲を光らせるための照明部材が設けられていることを特徴とする車両用内装製品。
上記構成により、本発明の車両内装製品は樹脂製の基材上にソフト感のある軟質性の透明層の一部に凸又は凹状のステッチ部を設け、ステッチ部の裏面側にステッチ部に対応させて照明部材を設ける構成としたので、昼間は軟質の透明感及びステッチ部の凹又は凸により装飾性、高級感が得られると共に、夜間は、照明部材からの光が、ステッチ部又はステッチ部の周囲を光らせるため、昼間とは異なる装飾性、高級感を得ることができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、ステッチ部の昼間での色となる着色層を有することを特徴とする。
上記構成により、本発明の車両用内装製品はステッチ部の色としては発色する着色層を有しており、透明のステッチ部を通してこの着色層が視認されるため、装飾性、高級感を演出することができる。なお、通常この着色層は周囲の基材とは異なる色に設定されるが、ステッチ部に更に微細な凹凸を設けること等により略同色の着色であっても、十分な装飾性を得ることができる。
この着色層は、後述する導光部材の表面側に設けても良いし、導光体の表面に形成しても良い、導光体の表面に形成する場合は、夜間の導光体よりの光を透過するように、半透過の層とする必要がある。また、この着色層の色は通常発光色とは異なるため、昼間と夜間で異なる装飾性を得ることができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、照明部材は端部に光源を有し、該光源からの光を導光する導光部材からなることを特徴とする。
上記構成により、本発明の車両用内装製品は端部に光源を有し、導光体により光を導光しステッチ部を光らせるため、多数の光源、例えばLEDを多数設ける必要がなく、安価に製造することができる。
また、後述する製造方法で、この光源部をLEDユニットとして端部配置し、このLEDユニットともに基材に透明フィルム層を形成する透明フィルムにより固定することもできる。この時LEDユニットの電線を基材裏面側に電線、固定することもできる。インパネに組付ける場合も、電源との結線が容易になる。
本発明の請求項4に記載の発明は、ステッチ部は、半円筒状をなした凸部が連続する形状を有することを特徴とする。
上記構成により、本発明の車両用内装製品は半円筒状の凸部となっているため、レンズ効果により、その下方に配置された照明部材の光や、着色層の色が周囲から視認でき、装飾性や高級感を演出することができる。
なお、この1つの半円筒状の軸方向の両端部は、上記と同様にレンズ効果を得るために、凸状の曲面形状とすることが好ましい。
本発明の請求項5に記載の発明は、真空引き可能な上型、下型内に、基材を該上型、該下型のいずれかに配置し、基材の上面側に、該ヒーターにより軟化させた透明フィルム層を形成する透明フィルムを配置し、上型、下型を型締めすると共に、基材を配置した型の反対側の型を真空引きすることにより、ステッチ部を形成し、ステッチ部を形成した後、基材側の型を真空引きすることにより基材とステッチ部を有する透明層を一体化することを特徴とする。
上記構成により、本発明の車両用内装製品の製造方法は透明フィルムを真空引きし、ステッチ部を形成するようにしたので、安価にステッチ部を形成することができる。
本発明の車両用内装製品及びその製造方法は、簡単な構成、製造が容易、組付けが容易な車両用内装製品であり、さらに装飾性、高級感が得られるものを提供することにある。
本発明に係る車両用内装製品としてのインパネのアッパー部材を示す斜視図である。 本発明に係る車両用内装製品としてのインパネのアッパー部材の図1のA−A断面図である。 本発明に係る車両用内装製品としてのインパネのアッパー部材の図1のB−B断面図である。 本発明に係る車両用内装製品としてのインパネのアッパー部材の製造方法の各工程(a)〜(g)を示す説明図である。
以下に本発明の実施形態のインパネに取付けられる車両用内装製品としてのアッパー部材1を示す。
図1は、本発明に係る車両用内装製品としてのインパネのアッパー部材1を示す斜視図である。
このアッパー部材1は、助手席のインパネの上部に取付けられるものであり、右下部分には、乗員に風を送るためのレジスタ2が設けられている。
このアッパー部材1の下端近傍には、装飾性、高級感を演出するためのステッチ部22が左端から右端まで連続して設けられる。なおこの右端部には、光源としてのLEDユニット36(図3参照)が設けられている。
アッパー部材1の構成は、基材10の上面側に凹部が形成されており、その部分に、照明部材30としての導光体32が埋設されている。なお、この照明部材30は、導光体32と光源としてのLEDユニット36から構成されている。
図2、図3にアッパー部材の、図1のA−A断面図及び、B−B断面図を示す。
図2、図3の断面図に示すように、導光体32の上面側には、着色層34が形成されており、昼間時のステッチ部22の色となっている。着色層34を含め基材10の上面及び側面には、透明接着剤層40が設けられており、透明フィルム層20を接着している。なお、着色層34は、本実施例では、導光体32の上面側に形成されているが、導光体32の裏面側又は、基材10の凹部に形成しても良い。
透明接着剤層40は透明なウレタン系の接着剤により形成されているが、アクリル系の接着剤を用いてもよい。透明フィルム層20は、ポリ塩化ビニル(PVC)製のフルムを後述する製造方法により形成される。材質としては、ポリプロン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を用いても良い。
透明フィルム層20には、導光体32に対応させて、その上部にステッチ部22が形成されている。ステッチ部22の上面には、ステッチ部22の素材感(糸の風合い)に合わせて微細な凹凸が形成されており、ステッチ部22以外の部分は、アッパー部材1の素材感(革の風合い)に合わせて、シボ模様が全体に設けられている。この、シボ模様及びステッチ部22の微細な凹凸は、後述する製造方法で、金型に形成されて凹凸の模様が、真空引きにより転写されることにより、容易に形成することができる。
LEDユニット36は、図3に示すように、導光体32の端部に一体的に設けられており、LEDの光が、導光体32の端面より入射し、導光体32により左側の端部まで、導かれる。導光体32の外周面には、適宜導光体32からステッチ部22に光を放射するため、微細な凹凸加工が施されている。この微細な凹凸加工は、導光体32形状、ステッチ部22の光らせ方により、凹凸加工の程度を変化させている。例えば、導光体32の屈曲している部分では、屈曲により導光体32内の光が、外部に出やすくなるため、凹凸加工を少なくする。また、LEDユニット36の近傍でも外部に放出される光の量を制御するため、凹凸加工を少なくする。
LEDユニット36には、電線38が接続され、この電線38の一部はLEDユニット36と共に、透明フィルム層20により基材10の側面に固定される。電線38は、基材10の裏面側より下方に取出されており、インパネに取付けられるときに、車両側の電源に電気的に接続される。
本件の実施例では、導光体32及びステッチ部22は略クランク状に形成されている。導光体32は、断面円形状のものを用いているが、楕円形のものや、四角形のものを用いても良い。なお、円形の導光体32のもののほうが、ステッチ部の形状に合わせて容易に組付けることができる。また、円形又は楕円形の導光体32を用いることにより、導光体32のレンズ効果により、より立体的にステッチ部が認識されると共に、夜間の導光体32からの光がより広い範囲に放射されるため、良好な意匠性を得ることができる。特に本件構成では、透明フィルム層20がステッチ部22から基材10の上面全体に連続して設けられているため、より光が基材10の全面に拡散し、夜間又はステッチ部22を光らせるとき、特有の意匠性を得ることができ、装飾性、高級感を演出することができる。
次に、図4の(a)〜(g)により、本件のアッパー部材1の製造方法を説明する。
図4(a)に示すように、基材10の上面及び修面に透明のウレタン系の接着剤を塗布し、基材10の表面に透明接着剤層40を形成する。なお、基材10の上面には、図示しない導光体32が埋設されている。
図4(b)に示すように、透明接着剤層40が形成された基材10を乾燥炉60内に投入し、塗布した透明接着剤層40を乾燥させる。
図4(c)に示すように、電鋳金型50の電鋳下型52に透明接着剤層40を乾燥させた基材10をセットする。
図4(d)に示すように、表皮クランプ54により周囲が保持された透明フィルム56を基材10の上部に配置する。なお、この透明フィルム56は、図示しないフィルム加熱用にヒーターにより加熱、軟化されており、後工程の電鋳上型51のシボや、ステッチ部22等の凹凸を転写しやすくしている。
図4(e)に示すように、電鋳下型52を上昇させて、基材10を覆うように配置させる。
図4(f)に示すように、電鋳上型51を下降させ電鋳金型50を型締めすると共に、電鋳上型51により真空引きを行う。この真空引きにより、電鋳上型51に形成されたシボや、ステッチ部22等の凹凸が透明フィルム56に転写される。
図4(g)に示すように、電鋳上型51の真空引きを停止し、電鋳下型52により真空引きを行うことにより、透明フィルム層20が基材10に透明接着剤層40を介して接着される。
以上の工程により、本件実施例のアッパー部材が製造される。
本件実施例では、真空引きを行うため、電鋳金型50を用いたが通常の金型を用い透明フィルム層20を射出成形や、貼付けにより形成しても良いが、本件製造方法を用いることにより、透明フィルム層20のシボやステッチ部の凹凸を高品質で、より簡単に製造することができる。
本件実施例では、導光体32を基材10の上面に配置して基材10の側面側にLEDユニット36配置する構成としたが、基材10の裏面側から部分的に貫通する孔を形成し、基材10の裏面側からLEDユニット36又は、導光体32の光を透過させる構成としても良い。この構成により、光の指向性を高めステッチ部22のみを光らせるようにすることもできる。また、完全な貫通孔とせず、基材10の厚さの半分程度の穴を形成し、穴の底部に導光体32を配設するような構成とすることにより、光の指向性を高めステッチ部22のみを光らせる構成とすることもできる。
本件実施例では、車両内装製品としてのインストルメントパネルに取付られるアッパー部材に適用したもので説明を行ったが、ステッチ部が形成される、ドアトリムやピラー、天井部材等の内装製品に適用することも可能である。さらに飛行機や船舶などの空内装製品に適用することも可能である。
1 アッパー部材
2 レジスタ
10 基材
20 透明フィルム層
22 ステッチ部
30 照明部材
32 導光体
34 着色層
36 LEDユニット(光源)
38 電線
40 透明接着剤層
50 電鋳金型
51 電鋳上型
52 電鋳下型
54 表皮クランプ
56 透明フィルム
60 乾燥炉

Claims (5)

  1. 樹脂により成形された基材と、
    前記基材の上面側全体に設けられるに内装製品のソフト感を得るための軟質性の透明フィルム層と、
    前記透明フィルム層の表面側の一部に設けられる凸又は凹状のステッチ部と、
    前記ステッチ部の裏面側には、該ステッチ部または該ステッチ部の周囲を光らせるための照明部材が設けられていることを特徴とする車両用内装製品。
  2. 前記照明部材は、前記ステッチ部の昼間での色となる着色層を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用内装製品。
  3. 前記照明部材は端部に光源を有し、該光源からの光を導光する導光体からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用内装製品。
  4. 前記ステッチ部は、半円筒状をなした凸部が連続する形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用内装製品。
  5. 真空引き可能な上型、下型内に、前記基材を該上型、該下型のいずれかに配置し、
    前記基材の上面側に、ヒーターにより軟化させて透明フィルムを配置し、
    前記上型、前記下型を型締めすると共に、前記基材を配置した型の反対側の型を真空引きすることにより、前記透明フィルムに前記ステッチ部を形成し、
    前記ステッチ部を形成した後、前記基材側の型を真空引きすることにより前記基材とステッチ部を有する透明フィルムを一体化して前記透明フィルム層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用内装製品の製造方法。
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