JP2014188397A - 酸素還元触媒および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素の還元反応を活性化させることができる酸素還元触媒、および、その酸素還元触媒を含有する酸素側電極を備える燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池1の酸素側電極3に含有される酸素還元触媒に、フェナントロリン系配位子が鉄に配位されたフェナントロリンFe錯体と、フェナントロリン系配位子がマンガンに配位されたフェナントロリンMn錯体およびフェナントロリン系配位子がニッケルに配位されたフェナントロリンNi錯体の少なくとも1種とを含有する錯体混合物を、焼成することにより得られる焼成体を、含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素還元触媒、詳しくは、固体高分子型燃料電池などの燃料電池の酸素側電
極に用いられる酸素還元触媒、および、その酸素還元触媒を含有する酸素側電極を備える
燃料電池に関する。
従来、燃料電池として、アルカリ型(AFC)、固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体電解質型(SOFC)など、各種燃料電池が知られている。これらの燃料電池は、例えば、自動車用途など、各種用途での使用が検討されている。
例えば、固体高分子型燃料電池は、燃料が供給される燃料側電極(アノード)と、酸素が供給される酸素側電極(カソード)とを備えており、これらの電極は、固体高分子膜からなる電解質層を挟んで対向配置されている。そして、この燃料電池では、アノードに燃料ガスが供給されるとともに、カソードに空気が供給されることによって、アノード−カソード間に起電力が発生して、発電が行われる。
このような固体高分子型燃料電池に使用されるカソードとして、例えば、フェナントロリン鉄錯体を高温で焼成してなる酸素還元触媒が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この酸素還元触媒は、良好な酸素還元活性能を備えているため、カソードの化学反応を活性化させて、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
Michel Lefevre 他3名、「Iron−Based Catalysts with Improved Oxygen Reduction Activity in Polymer Electrolyte Fuel Cells」、2009年4月3日、SCIENCE/AAAS 324,71(2009)
しかるに、燃料電池の技術分野では、燃料電池の発電性能向上させることが、常に期待されており、近年ますますその要求が高まっている。そのため、上述した酸素還元触媒よりも、さらに燃料電池の発電性能を向上させることができる高性能の触媒還元触媒の開発が期待される。
そこで、本発明の目的は、酸素還元活性能がさらに向上した酸素還元触媒、および、その酸素還元触媒を含有する酸素側電極を備える燃料電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の酸素還元触媒は、フェナントロリン系配位子が鉄に配位されたフェナントロリンFe錯体と、フェナントロリン系配位子がマンガンに配位されたフェナントロリンMn錯体およびフェナントロリン系配位子がニッケルに配位されたフェナントロリンNi錯体の少なくとも1種とを含有する錯体混合物を、焼成することにより得られる焼成体を含有していることを特徴としている。
また、本発明の酸素還元触媒では、前記錯体混合物において、前記マンガンおよび前記ニッケルの少なくとも1種が、前記鉄1モルに対して、1/3モル以上3モル以下含有されていることが好適である。
また、本発明の酸素還元触媒では、前記フェナントロリン系配位子が、下記一般式(1)で示されることが好適である。
一般式(1):
Figure 2014188397
(式中、mおよびnは、0または1〜3の整数であり、kは、0または1〜2の整数であり、R、RおよびRは、単独または互いに独立して、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基またはスルホ基を表す。)
また、本発明の燃料電池は、アニオン成分を移動させることができる電解質と、前記電解質を挟んで対向配置された燃料側電極および酸素側電極とを備え、前記酸素側電極は、上記の酸素還元触媒を含有していることを特徴としている。
本発明の酸素還元触媒によれば、複数の特定構造を有する遷移金属錯体が含まれているため、酸素の還元反応を活性化することができる。その結果、高電流を安定して得ることができ、燃料電池の発電性能を向上させる。
本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。 酸素側電極の活性測定の結果を示すグラフである。
図1は、本発明の燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。
燃料電池1は、固体高分子型燃料電池であって、複数の燃料電池セルSを備えており、これらの燃料電池セルSが積層されたスタック構造として形成されている。なお、図1においては、図解しやすいように1つの燃料電池セルSのみを示している。
燃料電池セルSは、燃料側電極2(アノード)と、酸素側電極3(カソード)と、電解質層4とを備えている。
燃料側電極2は、例えば、触媒を担持した触媒担体などの電極材料により形成されている。また、触媒担体を用いずに、電極材料として触媒を用い、その触媒を、直接、燃料側電極2として形成してもよい。
触媒としては、特に制限されず、例えば、白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、鉄族元素(鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni))などの周期表(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 22 June 2007)に従う。以下同じ。)第8〜10(VIII)族元素や、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの周期表第11(IB)族元素、さらには亜鉛(Zn)などの金属単体や、それらの合金などが挙げられる。
これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
触媒担体としては、例えば、カーボンなどの多孔質物質が挙げられる。触媒の触媒担体に対する担持量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
燃料側電極2の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
酸素側電極3は、酸素還元触媒として、フェナントロリンFe錯体と、フェナントロリンMn錯体およびフェナントロリンNi錯体の少なくとも1種とを含有する錯体混合物の焼成体を含んでいる。
フェナントロリンFe錯体は、フェナントロリン系配位子が鉄に配位された遷移金属錯体である。
フェナントロリン系配位子は、フェナントロリンまたはその誘導体であり、好ましくは、1,10−フェナントロリンまたはその誘導体が挙げられる。より具体的には、 一般式(1)で挙げられるフェナントロリン系化合物が挙げられる。
Figure 2014188397
mは、0または1〜3の整数であり、好ましくは、0または1であり、より好ましくは、0である。
nは、0または1〜3の整数であり、好ましくは、0または1であり、より好ましくは、0である。
kは、0または1〜2の整数であり、好ましくは、0または1であり、より好ましくは、0である。
は、単独または互いに独立して、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)などを表す。
で示されるアルキル基は、好ましくは、C1−6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、イソへキシル、シクロヘキシルなどの炭素数1〜6の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられる。
で示されるアルコキシ基は、好ましくは、C1−6アルコキシ基が挙げられ、具体的は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
で示されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、フェニルナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどのアリール基が挙げられる。
は、カルボキシル基(−COOH)またはスルホ基(−SOH)である場合、これらは、金属塩を形成していてもよい。金属塩を形成する金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
は、単独または互いに独立して、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基、スルホ基などを表す。
に示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基、スルホ基などはRと同様のものが挙げられる。
は、単独または互いに独立して、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基、スルホ基などを表す。
に示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基、スルホ基などはRと同様のものが挙げられる。
フェナントロリン系配位子として、具体的には、1,10−フェナントロリンなどが挙げられる。
フェナントロリン系配位子は、市販品として入手可能であり、具体的には、1,10−フェナントロリン一水和物(東京化成工業社製、キシダ化学社製)などが挙げられる。
フェナントロリンFe錯体において、フェナントロリン系配位子は、2座配位子として、例えば、鉄に3分子配位している。
フェナントロリンFe錯体としては、具体的には、トリス(フェナントロリン)鉄(II)錯体などが挙げられる。
フェナントロリンMn錯体は、フェナントロリン系配位子がマンガンに配位された遷移金属錯体である。
フェナントロリンMn錯体におけるフェナントロリン系配位子は、フェナントロリンFe錯体で挙げたフェナントロリン系配位子と同様のものが挙げられ、好ましいフェナントロリン系配位子もフェナントロリンFe錯体と同様のものが挙げられる。
フェナントロリンMn錯体において、フェナントロリン系配位子は、2座配位子として、例えば、マンガンに3分子配位している。
フェナントロリンNi錯体は、フェナントロリン系配位子がニッケルに配位された遷移金属錯体である。
フェナントロリンNi錯体におけるフェナントロリン系配位子は、フェナントロリンNi錯体で挙げたフェナントロリン系配位子と同様のものが挙げられ、好ましいフェナントロリン系配位子もフェナントロリンFe錯体と同様のものが挙げられる。
フェナントロリンNi錯体において、フェナントロリン系配位子は、2座配位子として、例えば、ニッケルに3分子配位している。
また、錯体混合物は、Fe−Mnの二つの金属を核とし、それらの金属にフェナントロリン系配位子が配位したFe−Mn複合錯体、Fe−Niの二つの金属を核とし、それらの金属にフェナントロリン系配位子が配位したFe−Ni複合錯体などの複合錯体を含有していてもよい。
錯体混合物が、フェナントロリンFe錯体およびフェナントロリンMn錯体を含有する場合、フェナントロリンMn錯体に含まれるマンガンの含有割合は、フェナントロリンFe錯体に含まれる鉄1モルに対して、例えば、1/3モル以上であり、3モル以下である。また、鉄100質量部に対して、例えば、30質量部以上であり、300質量部以下である。
錯体混合物が、フェナントロリンFe錯体およびフェナントロリンNi錯体を含有する場合、フェナントロリンNi錯体に含まれるニッケルの含有割合は、フェナントロリンFe錯体に含まれる鉄1モルに対して、例えば、1/3モル以上であり、3モル以下である。また、鉄100質量部に対して、例えば、30質量部以上であり、350質量部以下である。
フェナントロリンFe錯体、フェナントロリンMn錯体およびフェナントロリンNi錯体を調製するには、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、鉄、マンガンまたはニッケルの塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩など)と、フェナントロリン系配位子とを、例えば、水、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類などの公知の溶媒中で混合することにより、フェナントロリンFe錯体、フェナントロリンMn錯体またはフェナントロリンNi錯体を製造することができる。
フェナントロリンFe錯体、フェナントロリンMn錯体およびフェナントロリンNi錯体は、同一の溶媒中で製造してもよく、または、それぞれ別々の溶媒中で製造してもよい。
すなわち、例えば、フェナントロリン系配位子と、鉄塩と、マンガン塩およびニッケル塩の少なくとも1種とを同一溶媒中に混合することができる。この場合では、錯体混合物の溶液および/または分散液が調製される。
また、例えば、フェナントロリン系配位子と、鉄塩とを溶媒中に混合して、フェナントロリンFe錯体を含有する第1溶液と、フェナントロリン系配位子と、マンガン塩およびニッケル塩の少なくとも1種とを溶媒中に混合して、フェナントロリンMn錯体およびフェナントロリンNi錯体の少なくとも1種を含有する第2溶液とを別々に調製することができる。この場合においては、次いで、第1溶液と第2溶液とを混合することにより、錯体混合物の溶液および/または分散液が調製される。
このように調製された錯体混合物において、鉄、マンガンおよびニッケルの塩と、フェナントロリン系配位子との配合割合は、フェナントロリン系配位子1モルに対して、鉄、マンガンおよびニッケルの塩の総量が、例えば、0.1モル以上、好ましくは、0.3モル以上であり、例えば、30モル以下、好ましくは、20モル以下であり、また、さらに好ましくは、フェナントロリン系配位子に対して、鉄、マンガンおよびニッケルの塩の総量が等モル以上となる割合である。
錯体混合物(固形分)において、鉄、マンガンおよびニッケルの総量の含有割合(錯体混合物(固形分)の総量に対する鉄、マンガンおよびニッケルの総量の含有割合)は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
このように調製された錯体混合物の溶液または/分散液は、必要により乾燥し、次いで、焼成する。
焼成では、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)や、還元ガス(例えば、窒素ガスおよび水素ガスの混合ガス)雰囲気下において、錯体混合物を加熱する。
焼成条件としては、焼成温度が、例えば、400℃以上、好ましくは、600℃以上であり、また、例えば、1000℃以下である。焼成時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
なお、錯体混合物は、一段階または多段階で焼成することができる。
乾燥する場合の乾燥条件としては、乾燥温度が、例えば、−25℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、80℃以下、好ましくは、50℃以下である。乾燥時間は、例えば、12〜48時間である。
これにより、本発明の酸素還元触媒を焼成体として得ることができる。
このようにして得られた焼成体は、これらの複数の特定の遷移金属錯体(すなわち、フェナントロリンFe錯体と、フェナントロリンMn錯体および/またはフェナントロリンNi錯体と)が焼成されていることにより、遷移金属錯体1種単独(例えば、フェナントロリンFe錯体単独や、フェナントロリンMn錯体単独など)を焼成した焼成体よりも、より一層優れた酸素還元活性を向上することができる。
また、このようにして得られた焼成体を、さらに、アンモニア処理することもできる。焼成体をアンモニア処理することにより、錯体の酸素還元活性をさらに向上することができる。
アンモニア処理においては、上記により得られた焼成体を、例えば、アンモニア雰囲気(100%アンモニアガス)下において、焼成(2次焼成)する。アンモニア処理における焼成条件としては、焼成温度が、例えば、400℃以上、好ましくは、600℃以上であり、また、例えば、1000℃以下である。焼成時間は、例えば、0.5時間以上であり、また、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
一方、錯体混合物を焼成すると、各遷移金属錯体(フェナントロリンFe錯体、フェナントロリンMn錯体、フェナントロリンMn錯体)が凝集および粒成長し、その有効表面積が減少して、その結果、触媒活性が低下する場合がある。このような場合には、有効表面積を十分に確保するため、好ましくは、遷移金属錯体が凝集および粒成長した粒状物に細孔を形成し、多孔質の焼成体を形成する。
多孔質の焼成体を形成する方法としては、特に制限されず、公知の方法が挙げられる。例えば、まず、錯体混合物と可溶性粒子との粒子混合物を焼成して、錯体混合物と可溶性粒子とをランダムに含有する複合物を作製し、その後、複合物中の可溶性粒子を除去する方法が挙げられる。
可溶性粒子としては、特に制限されないが、例えば、錯体混合物と可溶性粒子との混合時に、錯体混合物に均一に分散でき、また、上記の焼成によって融解することなく複合物に均一に分布し、また、焼成の後に、酸またはアルカリ処理などにより溶解および除去される粒子などが挙げられる。
このような可溶性粒子としては、例えば、フュームドシリカ、コロイダルシリカなどのアモルファスシリカ、ポリスチレン、ポリイミドなどのポリマー粒子、および、それらの焼成体などが挙げられる。
これら可溶性粒子は、単独使用または2種類以上併用することができ、好ましくは、アモルファスシリカ、より好ましくは、フュームドシリカが挙げられる。
この方法では、例えば、まず、上記焼成前に、錯体混合物と可溶性粒子とを混合して、錯体混合物と可溶性粒子との粒子混合物を調製する。
錯体混合物と可溶性粒子とを混合するには、例えば、まず、錯体混合物を、溶媒に、溶解および/または分散させる。
溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、例えば、プロトン性極性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコールなどのアルコールなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ピペリジンなど)、アミン類(例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)など)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが挙げられる。
これら溶媒としては、単独使用または2種類以上併用することができ、好ましくは、テトラヒドロフラン、アセトンなどが挙げられる。
錯体混合物と溶媒との配合割合は、錯体混合物100質量部に対して、溶媒が、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、100000質量部以下、好ましくは、50000質量部以下である。
これにより、錯体混合物の溶液および/または分散液を得る。
次いで、得られた錯体混合物の溶液および/または分散液と、可溶性粒子とを、湿式混合などの公知の方法により混合する。
錯体混合物の溶液および/または分散液と、可溶性粒子との配合割合は、例えば、錯体混合物の溶液および/または分散液における錯体混合物(固形分)の総量100質量部に対して、可溶性粒子が、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
これにより、錯体混合物および可溶性粒子の溶液および/または分散液を得る。
次いで、この方法では、得られた錯体混合物および可溶性粒子の溶液および/または分散液を乾燥させる。これにより、錯体混合物と可溶性粒子との粒子混合物を得る。
乾燥条件としては、乾燥温度が、例えば、−25℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、80℃以下、好ましくは、50℃以下である。乾燥時間は、例えば、12〜48時間である。
次いで、上記の焼成条件において、錯体混合物および可溶性粒子の粒子混合物を焼成し、錯体混合物と可溶性粒子とをランダムに含有する複合物を得る。
その後、この方法では、複合物中の可溶性粒子を、除去する。
例えば、可溶性粒子としてアモルファスシリカが用いられる場合には、焼成により、アモルファスシリカが結晶化し、シリカ(焼成体)となる場合がある。このような場合において、そのシリカを除去するためには、例えば、複合物を、アルカリ処理する。
アルカリ処理としては、複合物に、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液を含浸させる。これにより、複合物中の可溶性粒子が溶解されて、細孔が形成され、その結果、多孔質の焼成体が得られる。
このような多孔質の焼成体によれば、焼成により錯体混合物が凝集および粒成長する場合にも、細孔により、錯体混合物の有効表面積が十分に確保されるため、優れた触媒活性を維持することができる。
なお、可溶性粒子を除去する方法としては、上記に限定されず、可溶性粒子の種類に応じて、例えば、水に浸漬する方法、酸処理する方法など、適宜選択することができる。
また、本発明の酸素還元触媒は、上記した焼成体以外の成分を含むこともできる。そのような成分として、担持体が挙げられる。
担持体としては、例えば、カーボンブラックなどのカーボンが挙げられる。酸素還元触媒が担持体を含む場合、焼成体は担持体に担持される。焼成体を担持体に担持させるには、公知の担持方法を採用することができる。
例えば、含浸法では、上記した錯体混合物溶液および/または分散液に、担持体を混合した後、上記した焼成条件にて焼成する。担持体の混合割合は、フェナントロリン系配位子100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
そして、得られた酸素還元触媒を用いて、電解質層4とともに膜−電極接合体を形成するには、例えば、上記した燃料側電極2と同様の方法により形成する。これによって、電解質層4における、燃料側電極2が定着された一方の表面とは異なる他方の表面に定着した酸素側電極3を得ることができる。すなわち、酸素側電極3が、電解質層4の他方の表面に定着されることによって、燃料側電極2および酸素側電極3は、電解質層4を挟んで対向配置される。
なお、酸素側電極3の坪量(電解質層4に対する酸素還元触媒の付着量)は、例えば、0.01〜10mg/cmである。
また、酸素側電極3の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、10μm以下である。
電解質層4は、アニオン交換膜から形成されている。アニオン交換膜としては、酸素側電極3で生成されるアニオン成分としての水酸化物イオン(OH)を、酸素側電極3から燃料側電極2へ移動させることができる媒体であれば、特に限定されないが、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
燃料電池セルSは、さらに、燃料供給部材5および酸素供給部材6を備えている。燃料供給部材5は、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、燃料側電極2に対向接触されている。そして、この燃料供給部材5には、燃料側電極2の全体に燃料を接触させるための燃料側流路7が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この燃料側流路7は、その上流側端部および下流側端部に、燃料供給部材5を貫通する供給口8および排出口9がそれぞれ連続して形成されている。
また、酸素供給部材6も、燃料供給部材5と同様に、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が、酸素側電極3に対向接触されている。そして、この酸素供給部材6にも、酸素側電極3の全体に酸素(空気)を接触させるための酸素側流路10が、一方の面から凹む葛折状の溝として形成されている。なお、この酸素側流路10にも、その上流側端部および下流側端部に、酸素供給部材6を貫通する供給口11および排出口12がそれぞれ連続して形成されている。
そして、この燃料電池1は、実際には、上記した燃料電池セルSが、複数積層されるスタック構造として形成される。そのため、燃料供給部材5および酸素供給部材6は、実際には、両面に燃料側流路7および酸素側流路10が形成されるセパレータとして構成される。
なお、図示しないが、この燃料電池1には、導電性材料によって形成される集電板が備えられており、集電板に備えられた端子から燃料電池1で発生した起電力を外部に取り出すことができるように構成されている。
また、試験的(モデル的)には、この燃料電池セルSの燃料供給部材5と酸素供給部材6とを外部回路13によって接続し、その外部回路13に電圧計14を介在させて、発生する電圧を計測することもできる。
そして、この燃料電池1においては、燃料化合物を含む燃料が、改質などを経由することなく、直接供給される。また、直接供給される燃料は、好ましくは、液体燃料である。
燃料化合物は、水素が窒素に直接結合し、窒素−窒素結合を有するものが好ましく、炭素−炭素結合を有しないものが好ましい。また、炭素の数はできる限り少ない(できればゼロである)ものが好ましい。
また、このような燃料化合物には、その性能を阻害しない範囲において、酸素原子、イオウ原子などを含んでいてよく、より具体的には、カルボニル基、水酸基、水和物、スルホン酸基あるいは硫酸塩などとして、含まれていてもよい。
このような観点から、燃料化合物としては、具体的には、例えば、ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、カルボンヒドラジド((NHNHCO)などのヒドラジン類、例えば、尿素(NHCONH)、例えば、アンモニア(NH)、例えば、イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールなどの複素環類、例えば、ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)などのヒドロキシルアミン類などが挙げられる。このような燃料化合物は、単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、ヒドラジン類が挙げられる。
上記した燃料化合物のうち、炭素を含まない化合物、すなわち、ヒドラジン(NH
)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、アンモニア(NH)、ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)などは、後述するヒドラジンの反応のように、COによる触媒の被毒がないので耐久性の向上を図ることができ、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
燃料は、上記例示の燃料化合物をそのまま用いてもよいが、上記例示の燃料化合物を、例えば、水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコールなど)などの溶液として用いることができる。この場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、燃料化合物の種類によっても異なるが、例えば、1質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
さらに、燃料は、上記した燃料化合物をガス(例えば、蒸気)として用いることができる。
そして、酸素供給部材6の酸素側流路10に酸素(空気)を供給しつつ、燃料供給部材5の燃料側流路7に上記した燃料を供給すれば、酸素側電極3においては、下記反応式(2)に示すように、燃料側電極2で発生し、外部回路13を介して移動する電子(e)と、水(HO)と、酸素(O)とが反応して、水酸化物イオン(OH)を生成する。生成した水酸化物イオン(OH)は、アニオン交換膜からなる電解質層4を、酸素側電極3から燃料側電極2へ移動する。そして、燃料側電極2においては、下記反応式(1)に示すように、電解質層4を通過した水酸化物イオン(OH)と、燃料とが反応して、電子(e)が生成する。生成した電子(e)は、燃料供給部材5から外部回路13を介して酸素供給部材6に移動され、酸素側電極3へ供給される。このような燃料側電極2および酸素側電極3における電気化学的反応によって、起電力が生じ、発電が行われる。
(1) 2H+4OH→4HO+4e (燃料側電極2における反応)
(2) O+2HO+4e→4OH (酸素側電極3における反応)
(3) 2H+O→2HO (燃料電池1全体としての反応)
なお、この燃料電池1の運転条件は、特に限定されないが、例えば、燃料側電極2側の
加圧が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、酸素側電極3側の加圧
が200kPa以下、好ましくは、100kPa以下であり、燃料電池セルSの温度が0
℃以上、好ましくは、20℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは、80℃以下として設定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
本発明の燃料電池の用途としては、例えば、自動車、船舶、航空機などにおける駆動用モータの電源や、携帯電話機などの通信端末における電源などが挙げられる。
このような燃料電池によれば、特定の構造を有する複数の遷移金属錯体が酸素側電極3に含まれているため、酸素側電極3における酸素の還元反応を活性化することができる。
その結果、高電流を安定して得ることができ、燃料電池1の発電性能を向上させることができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
1.酸素還元触媒の調製
実施例1
1、10−フェナントロリン(東京化成工業社製)500mgを配位子として、エタノール25gおよび水10.5gの混合溶媒中に添加し、分散させて、配位子分散液を調製した。
この調製した配位子分散液に、鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gを添加し、分散させた。次いで、カーボンブラック(Cabot社製、BP2000)500mgを添加し、分散させた後、乾燥させた。
その後、得られた乾燥物を、不活性雰囲気中において、900℃で2時間焼成した。これにより、酸素還元触媒を得た。この酸素還元触媒では、Fe1モルに対して、Mnが1モルであった。
実施例2
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、鉄酢酸15.695gおよびニッケル酢酸塩22.448gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。この酸素還元触媒では、Fe1モルに対して、Niが1モルであった。
比較例1
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、鉄酢酸32.205gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。
比較例2
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、マンガン酢酸塩46.136gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。
比較例3
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、ニッケル酢酸塩43.787gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。
比較例4
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、コバルト酢酸塩43.647gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。
比較例5
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、銅酢酸32.399gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。
比較例6
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、鉄酢酸15.661gおよびコバルト酢酸塩22.422gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。この酸素還元触媒では、Fe1モルに対して、Coが1モルであった。
比較例7
鉄酢酸16.238gおよびマンガン酸酢塩22.874gの代わりに、鉄酢酸15.043gおよび銅酢酸塩17.265gを配位子分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして、酸素還元触媒を得た。この酸素還元触媒では、Fe1モルに対して、Cuが1モルであった。
評価方法
1)テストピースの作製
各実施例および各比較例において得られた酸素還元触媒と、アニオン交換樹脂との混合物を、アルコール類などの有機溶媒に適宜分散させて、インクを調製した。なお、全てのインクにおいて、遷移金属触媒(Fe、Mn、Ni、CoおよびCu)の含有量が1μg/μLとなるように調製した。
次いで、得られたインク10μLをマイクロピペットで秤取して、グラッシーカーボン電極上に滴下した。その後、このグラッシーカーボンを乾燥することにより、テストピースを得た。
2)酸素側電極の活性測定
酸素側電極の活性は、回転ディスク電極による電気化学測定法(サイクリックボルタンメトリー)で測定した。より具体的には、窒素バブリングによって酸素を脱気した1NのKOH水溶液中で電位を走査し、テストピースの安定化およびバックグラウンド測定を行
なった。
次いで、この水溶液中に、酸素をバブリングすることによって酸素を飽和させ、酸素側電極の酸素還元活性を測定した。なお、電位の走査範囲は、0.32V(vs.RHE)〜1.02V(vs.RHE)であり、電極回転数は1600rpmであった。結果を、図2に示す。
(考察)
図2より、各実施例において得られた酸素還元触媒を用いれば、各比較例において得られた酸素還元触媒を用いる場合に比べ、高電流を安定して得られることがわかる。
1 燃料電池
2 燃料側電極
3 酸素側電極
4 電解質層

Claims (4)

  1. フェナントロリン系配位子が鉄に配位されたフェナントロリンFe錯体と、
    フェナントロリン系配位子がマンガンに配位されたフェナントロリンMn錯体およびフェナントロリン系配位子がニッケルに配位されたフェナントロリンNi錯体の少なくとも1種とを含有する錯体混合物を、焼成することにより得られる焼成体を含有していることを特徴とする酸素還元触媒。
  2. 前記錯体混合物において、前記マンガンおよび前記ニッケルの少なくとも1種が、前記鉄1モルに対して、1/3モル以上3モル以下含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の酸素還元触媒。
  3. 前記フェナントロリン系配位子が、下記一般式(1)で示されることを特徴とする、請求項1または2に記載の酸素還元触媒。
    一般式(1):
    Figure 2014188397

    (式中、mおよびnは、0または1〜3の整数であり、
    kは、0または1〜2の整数であり、
    、RおよびRは、単独または互いに独立して、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシル基またはスルホ基を表す。
  4. アニオン成分を移動させることができる電解質と、
    前記電解質を挟んで対向配置された燃料側電極および酸素側電極と
    を備え、
    前記酸素側電極は、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素還元触媒を含有していること
    を特徴とする、燃料電池。
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