JP2014188017A - 超音波診断装置及び超音波診断装置の制御方法 - Google Patents

超音波診断装置及び超音波診断装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超音波診断において探触子を生体に対して適正な位置に簡便に配置できるようにする。
【解決手段】超音波診断装置は、複数の振動子を有する探触子1が接続可能に構成される超音波診断装置100であって、探触子1から被検体に超音波を送信するための送信制御信号を生成する送信処理と探触子が受信した反射超音波に基づく受信信号を取得する受信処理とを行う超音波信号処理部2と、探触子から得られる受信電気信号に基づいて、被検体のうち少なくとも2箇所の測定点である第1の測定点及び第2の測定点の被検体内を流れる流体の流速を算出する流速解析部4と、第1の測定点における流体の流速と第2の測定点における流体の流速を比較する信頼性判定部5とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置及び超音波診断装置の制御方法に関し、特に、被検体に対する探触子の位置関係を好適化するための技術に関する。
超音波診断装置を用いた血管の壁厚(IMT(Intima−media thickness)値を含む)などの形状の測定又は性状の特性の測定等に際して、正確な測定値を得るためには、探触子の位置が血管の中心近傍(いわば円形の中心近傍)をとらえているか、又は、血管に沿って平行に捉えているかを判定する必要がある。
そこで、生体内の注目組織の超音波診断を行う場合、血管に対する探触子の位置が所望のものとなるように、生体表面に対する探触子の位置を調節するが、好適な位置を迅速に得るためには熟練を要し、熟練者であっても時間を要すこともある。そこで、特許文献1には、CW(連続波)ドプラ(continuous wave doppler)法とPW(パルス)ドプラ(pulse wave doppler)法と断層画像の面積変換の併用により生体と探触子の適正な位置を特定することが開示されている。
特開2010−187732号公報
しかしながら、前記従来の構成では、CW(連続波)ドプラ法とPW(パルス)ドプラ法と断層画像の面積変換の併用が必要であり、かつ生体と探触子の最適角度を探し出す角度探索工程と制御手段が必要なので、超音波診断装置の有する機能が複雑であるという課題を有していた。
本発明は、探触子を生体に対して適正な位置に簡便に配置できるようにする超音波診断装置及び超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
そこで本発明の一態様によって実現される超音波診断装置は、複数の振動子を有する探触子が接続可能に構成される超音波診断装置であって、探触子から被検体に超音波を送信するための送信制御信号を生成する送信処理と探触子が受信した反射超音波に基づく受信信号を取得する受信処理とを行う超音波信号処理部と、探触子から得られる受信電気信号に基づいて、被検体のうち少なくとも2箇所の測定点である第1の測定点及び第2の測定点の被検体内を流れる流体の流速を算出する流速解析部と、第1の測定点における流体の流速と第2の測定点における流体の流速を比較する信頼性判定部とを備える。
また、本発明の一態様によって実現される超音波診断装置の制御方法は、複数の振動子を有する探触子が接続可能に構成される超音波診断装置の制御方法であって、探触子から被検体に超音波を送信するための送信制御信号を生成する送信処理を行う工程と、探触子が受信した反射超音波に基づく受信信号を取得する受信処理を行う工程と、探触子から得られる受信電気信号に基づいて、被検体のうち少なくとも2箇所の測定点である第1の測定点及び第2の測定点の被検体内を流れる流体の流速を算出する工程と、第1の測定点における流体の流速と第2の測定点における流体の流速を比較する工程とを備える。
本発明によれば、探触子から得られる受信電気信号に基づいて、被検体のうち少なくとも2箇所の測定点の被検体内を流れる流体の流速を算出し、その流速を比較することによって被検体に対する探触子の位置を把握し、探触子を適正な位置に簡便に配置することができる。
本発明の実施の形態1及び2に係る超音波診断装置のブロック図 血管内の血流の速さを示した概念図 実施の形態1の超音波診断装置の動作を示すフローチャート パルスドプラ法を用いてサンプルボリュームの流速を算出する場合を説明する図 流速の測定結果を数値表示した一例を示す図 探触子及び血管の位置関係について説明する図 流速の測定結果をスペクトル表示した一例を示す図 流速の測定結果をカラーフローマッピング表示した一例を示す図 実施の形態1の変形例に係る探触子及び血管の位置関係について説明する図 実施の形態1の変形例に係る探触子及び血管の位置関係について説明する図 実施の形態2の超音波診断装置の動作を示すフローチャート 血管の短軸上の流速を数値表示した一例を示す図 血管の短軸上の血管径を数値表示した一例を示す図 血管の長軸上の2箇所の血管径を数値表示した一例を示す図
以下に、本発明の超音波診断装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置のブロック図である。
本実施の形態の超音波診断装置100は、超音波信号処理部2、断層像処理部3、流速解析部4、信頼性判定部5、画像合成部6及び制御部7を備え、探触子1、表示部8、出力部9、操作入力部10とそれぞれ接続可能に構成されている。
探触子1は一次元方向に配列された複数の振動子を有する。探触子1は、超音波信号処理部2からの送信電気信号を超音波に変換し、探触子1を被検体の表面に接触させた状態で複数の振動子から発せられる複数の超音波を被検体に向けて送信する。そして、探触子1は、被検体からの複数の反射超音波を受信し、複数の振動子によりこれら反射超音波をそれぞれ受信電気信号に変換して、これら受信電気信号を超音波信号処理部2に供給する。
超音波信号処理部2は、探触子1から被検体に向けて送信する超音波の送信制御を行う送信制御信号を生成し、この送信制御信号に基づき生成した送信電気信号を探触子1へ供給する送信処理を行う。なお、超音波信号処理部2が行う送信処理とは、少なくとも超音波信号処理部2で送信制御信号を生成し、探触子1に超音波を送信させる処理を意味する。また、探触子1から受信電気信号を受け取り、その受信電気信号の増幅、検波などの、超音波断層像データの構築などに必要な処理を行い、受信信号を生成する受信処理を行う。なお、超音波信号処理部2が行う受信処理とは、少なくとも超音波信号処理部2が反射超音波に基づく受信信号を取得する処理を意味する。ここで、超音波信号処理部2の一部の機能を探触子1側に設けてもよい。例えば、超音波信号処理部2から出力された送信電気信号を生成するための送信制御信号に基づき、探触子1内で送信電気信号を生成し、この送信電気信号を超音波に変換し、受信した反射超音波を受信電気信号に変換し、探触子
1内で受信電気信号に基づき受信信号を生成し、超音波信号処理部2がその受信信号を受信する構成が挙げられる。
通常、超音波信号処理部2は送信処理を繰り返し連続して行い、逐次受信信号を生成する。このため、以下の処理は、生成された受信信号に対して逐次行われる。
断層像処理部3は超音波信号処理部2で生成した受信信号を受け取り、受信信号の座標変換などを行って、超音波画像の二次元画像である断層像データを逐次構築する。
流速解析部4は、測定対象となる被検体の血管の中を流れる血液などの流体の流速を算出する。
信頼性判定部5は、断層像処理部3、流速解析部4又は制御部7の測定又は処理結果をもとに測定対象となる血管に対する探触子1の位置が所望の位置にあるか否かを判定するための処理を行う。
制御部7は、各ブロックを制御するとともに、信頼性判定部5で判定したときの画像をフリーズ(静止)したり、断層像処理部3で構築した断層像データを用いて血管の壁厚を計測したりする処理を行う。
画像合成部6は、表示部8と接続可能に構成されており、信頼性判定部5で判定された測定結果と、断層像処理部3で構成された断層像データと流速解析部4で算出された血流情報を、表示部8に表示できるように画像信号を合成する。表示部8は、画像合成部6に接続され、その画像信号を表示するモニタである。
ここで、生体に対する探触子の適正な位置について説明する。
例えば、血管の壁厚(IMT値)を正確に、かつ再現性よく測定するためには、探触子1を被検体にあてたときに、一次元方向に配列された複数の振動子の位置が血管の中心近傍(いわば血管の断面である円形の中心近傍)を血管の長軸方向に沿って平行に捉えていることが望ましい。なぜならIMT値などは血管の内腔内膜境界と中膜外膜境界との間隔として算出されるが、そのためには血管の両境界が明瞭に描出されていることが必要だからである。
超音波は組織境界など音響インピーダンスに差異がある境界で反射するが、境界面に90度に近い角度であたるほど強く反射し、明瞭な反射超音波が得られる。よって探触子1を被検体にあてた位置が血管の中心近傍を捉えているとき、すなわち超音波の進路が血管の中心近傍であって一次元方向に配列された複数の振動子の位置が血管の長軸方向に沿って平行に通るとき、超音波は血管の内腔内膜境界および中膜外膜境界に垂直にあたり、両境界で強く明瞭な反射超音波が得られる。
一方、超音波進路が血管の中心近傍を通らない場合は、超音波が血管の両境界に垂直にあたらないため、弱く不明瞭な反射超音波しか得られない。そのため内腔内膜境界および中膜外膜境界がぼやけて分離されずに抽出されたり、内腔内膜境界が描出されなかったりする。
また、血管の弾性特性を正確に、かつ再現性よく測定するためには、血管の形状に関する正確な時間変化情報が必要となり、この場合も探触子1を被検体にあてたときに、一次元方向に配列された複数の振動子の位置が血管の中心軸近傍(いわば血管の断面である円形の中心近傍)を血管の長軸方向に沿って平行に捉えていることが望ましい。
ところで、 図2は血管12内の血流の速さを示した概念図である。
血管12は皮膚組織11に囲まれており、血管12内に流れる血液の流速の速さを概念的に矢印の太さで示している。図2(a)は血管の中心を流れる流速を示し、(b)は血管の側壁付近を流れる流速を示している。
例えば、頚動脈のような血流においては、一般に、血管壁に近いほど、血管壁との摩擦により血流速度が低下するため、血管の中心において流速が早く、そこから周辺へ離れるのに従って流速が遅くなる。すなわち、最高流速の探索は血流(血管)中心の探索に相当する。
本発明の超音波診断装置100では、少なくとも2箇所以上に設定した血管12を流れる血液の流速を、流速解析部4にてパルスドプラ法を用いて算出し、信頼性判定部5にて複数点の血流速度を比較することで、複数点の流速が同等であれば探触子1が血管12に対して平行な位置にあると認定でき、複数点の流速が同等でなければ探触子1が血管12に対して平行な位置に無いと認定できる。よって、この血流の流速の同等性から探触子1が血管12に平行に当たっているか、又は、血流の流速の値から探触子1が血管の中心軸上に位置しているかを確認することができ、また所望の断層画像の描出をサポートすることができる。
次に実施の形態1に係る超音波診断装置の動作について説明する。
図3は実施の形態1の超音波診断装置100の動作を示すフローチャートである。ここでは血管、特に頚動脈の画像とそのデータを中心に処理するものとして説明する。
まずステップS101において、超音波信号処理部2が送信処理を行って、探触子1から超音波を送信し、被検体から反射して探触子1で受信した反射超音波から受信信号を生成する。そして、断層像処理部3がこの受信信号を処理して断層像データを構築する。この断層像データを、表示部8に断層像として表示する。
次に、ステップS102において、制御部7は、対象画像範囲内の流速解析位置にサンプルボリューム又はカラーROIの配置を行う。サンプルボリューム又はカラーROIは対象画像の血管内に配置するように手動もしくは自動で設定される。手動により設定を行う場合は、操作入力部10により超音波診断装置100へ設定の入力を行う。
次に、ステップS103において、流速解析部4は、超音波信号処理部2から出力された受信信号のドプラシフト周波数を基に、パルスドプラ法又はカラーフローマッピング法を用いて血管内の血流の情報を算出する。
図4は本発明による超音波診断装置100において前記流速解析部4にてパルスドプラ法を用いてサンプルボリューム13の流速を算出する場合を説明する図である。
超音波診断装置100は、一次元方向に配列された複数の振動子を配列している探触子1を用いて、超音波の送信時および反射超音波の受信時において各振動子の送信電気信号および受信電気信号の遅延時間を各振動子毎に制御することによって、所望のデータを得るようにしている。
図4においてはサンプルボリューム13を測定点A及び測定点Bの2箇所に設定している。
探触子1は電子スキャン方式等により走査線ごとの送受信方向を任意に決めることができるので、断層画像の描出のための超音波の送受信とパルスドプラ検出のための超音波の送受信を時分割で行うことにより、リアルタイムに断層画像を見ながらパルスドプラ検出を行う部位(サンプルボリュームの位置)を設定し、断層画像と同時にリアルタイムにパ
ルスドプラ信号を得ることができる。このパルスドプラ信号により、サンプルボリュームが設定された複数点の流速を算出する。図4(b)は、探触子1の一次元方向に配列される複数の振動子14を示している。探触子1の複数の振動子14により、超音波を測定点A及び測定点Bの位置にフォーカスして送受信し、パルスドプラ法による流速の算出を行う。ここでは、測定点A及び測定点Bは、複数の振動子14の中点に対して対称となるように複数の振動子14の両端部に対応する位置に配置している。
続いて、ステップS104において、流速解析部4が算出した流速の情報を画像合成部6が読み込み、画像合成部6は、断層像処理部3から読み込む断層像データと流速の情報から、血流の流速表示、スペクトル表示、カラーフローマッピング法による速度表示、パワー表示、速度分散表示といった血流の情報を表示するデータを生成し、出力する。
図5は、流速の測定結果を表示部8に数値表示した一例を示す図である。
画像合成部6は、断層像データにサンプルボリューム13の位置と、ステップS103において算出したそれぞれの位置での流速を、流速表示15として数値で表示するデータを生成し、表示部8に出力している。
操作者は、流速表示15を確認し、2箇所のサンプルボリューム13での流速の値が等しくなれば探触子1が血管12に対して平行に配置されているか、又は血管12の中心軸上に探触子1が位置しているかを認識することができる。
なお、図5には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、サンプルボリューム13は2箇所に設定したが2箇所以上であればいくつ設定してもよい。また、流速表示15は複数箇所の流速値が近づくにつれて点滅、ハイライト表示又は色を変えるといった表示にて所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートしてもよい。また、表示部8への表示のみではなく超音波診断装置100に接続される出力部9から音声やビープ音によって所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートする信号を出力してもよい。
ここで、もう少し詳細に、探触子1及び血管12の位置関係について図6を用いて説明する。
図6(a)は、血管12の長軸方向の断層像を見た場合における探触子1の位置を例示したものである。探触子1の複数の振動子14は、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置している。この場合、測定点A、Bにおいて、血液の流速は等しく、また、血液の流速は血管壁近傍より早い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管12の短軸方向の断面の直径が求められ、血管壁近傍よりも太い値となる。
血液の流速が血管壁近傍より早いか遅いか、また、血管径が血管壁近傍より太いか細いかは操作者が血管12の長軸方向の頚動脈を描出する際に探触子1を血管12の長軸方向に対して平行に動かすことで確認が可能である。
図6(b)、(c)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置していない場合を示した図である。この場合、測定点A、Bにおいて、血液の流速は等しいが、血液の流速は血管の中心より遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管の中心よりも細い値が求められる。従って、操作者は、流速が等しくなることで血管12の長軸方向に対して平行に探触子1が位置し
ていることが把握できるので、探触子1を現在の位置から少し平行移動させてその流速が大きくなるか小さくなるかを確認し、流速が最も大きくなるときに血管12の中心軸16上に探触子1が位置していると認識することができる。
図6(d)、(e)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Aと測定点Bの中点が血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点A、Bにおいて、血液の流速は等しいが、血液の流速は血管の中心より遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管の中心よりも細い値が求められる。従って、操作者は、流速が等しい場合であっても、探触子1を血管12の長軸方向に対して平行移動させたときに測定点A及び測定点Bの値が異なる値となるときは、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではないと判断することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。
図6(f)、(g)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Aと測定点Bの中点が血管12の中心軸16上に位置しない場合を示した図である。この場合、測定点Aと測定点Bの血液の流速は異なる。従って、操作者は、測定点によって流速が異なることから探触子1が血管12の長軸方向に対して平行に位置していないことを把握することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。
このように、測定点Aと測定点Bを複数の振動子14の両端部に配置していると、複数の振動子14の端部から端部までの長い距離の間で探触子1が血管12の長軸方向に対して平行であるか否かを確実に把握することができる。
図7は流速の測定結果を表示部8にスペクトル表示した一例を示す図である。
画像合成部6は、断層像データに、サンプルボリューム13の位置と、ステップS103において算出したそれぞれのサンプルボリューム13内の流速をスペクトル表示17として血管12の断層像の両側に表示するデータを生成し、表示部8に出力している。ステップS103においてパルスドプラ法で得られた血流情報はリアルタイムで周波数分析されスペクトル表示される。横軸は時間軸で、現在測定している部分の速度成分の時間的変化を表す。縦軸は速度を表す輝点で表示し一般的にゼロヘルツライン18より上に表示される輝点は探触子1に向かう流れ、ゼロヘルツライン18より下に表示される輝点は探触子1から遠ざかる流れを示し、それぞれの輝点の明るさは、反射超音波の受信信号の周波数成分の密集度を表しその速度成分の強さを示す。図7において探触子1から遠ざかる流れをゼロヘルツライン18の下に表示しているが波形の比較を容易にするために探触子1に向かう流れと同様にゼロヘルツライン18の上に表示するようにしてもよい。これにより2箇所の流速の状態が可視化可能となり、所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートすることが可能となる。
操作者は、スペクトル表示17を確認し、2箇所のサンプルボリューム13でのスペクトル表示波形が等しくなれば探触子1が血管に対して平行に配置されているか、又は血管12の中心軸上に探触子1が位置しているかを認識することができる。
なお、図7には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、サンプルボリューム13は2箇所に設定したが2箇所以上であればいくつ設定してもよい。探触子1及び血管12の位置関係については図6を用いて説明したとおりであり、スペクトル表示17は複数箇所の流速値が近づくにつれて点滅、ハイライト表示又は色を変えるといった表示にて所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートしてもよい。また、表示部8への表示のみではなく超音波診断装置100に接続される出力部9から音声やビープ音
によって所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートする信号を出力してもよい。
図8は流速の測定結果を表示部8にカラーフローマッピング表示した一例を示す図である。
ステップS104においてカラーフローマッピング表示を出力するためには、ステップS102において流速解析部4はサンプルボリューム13のかわりに、カラーROI19の配置を設定する。画像合成部6は、断層像データに、カラーROI19の位置と、ステップS103において算出したそれぞれのカラーROI19内の血流をカラーフローマッピング表示している。パルスドプラ法は、特定の一か所の流れの時間的変化を表示するが、カラーフローマッピング法では受信信号の多数の点のそれぞれの平均流速を色で表現し、断層像に重ねて表示する。カラーフローマッピング法では、流れの方向、パルスドプラ信号の強さ、流れの速さの分散の程度の情報が得られる。それぞれの情報を用途に応じて、速度表示、パワー表示、速度分散表示で表示する。一般的には速度表示では探触子に向かってくる流れを赤系色、探触子から遠ざかる流れを青系色で表す。また、速度分散表示では一般的に前述の速度表示に加え速度成分の乱れ(分散)を緑の加色で表す。パワー表示では一般的にドプラ信号の強さを赤系色の明るさや彩度の変化で表す。図8においては代表例としてパワー表示を用いるが、これはパワー表示がドプラシフト信号のある場所を明るい色の点で表示するため、血管の存在や走行を観察するのに優れているためである。これにより2箇所の流速の状態が可視化可能となり、所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートすることが可能となる。
操作者は、カラーフローマッピング表示を確認し、例えばパワー表示においては2箇所のカラーROI19での輝点の明るさが等しくなれば探触子1が血管に対して平行に配置されているか、又は血管12の中心軸上に探触子1が位置しているかを認識することができる。
なお、図8には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、カラーROI19は2箇所に設定したが2箇所以上であればいくつ設定してもよい。探触子1及び血管12の位置関係については図6を用いて説明したとおりであり、パワー表示は複数箇所の流速値が近づくにつれて点滅、ハイライト表示又は色を変えるといった表示にて所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートしてもよい。また、表示部8への表示のみではなく超音波診断装置100に接続される出力部9から音声やビープ音によって所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートする信号を出力してもよい。
操作者は、ステップS104で操作者へ提供された血流の情報を基に操作者自身によって探触子1が血管12に所望の位置に当たっているかを判断し、超音波診断装置100に接続される操作入力部10からフリーズボタン押下等のフリーズ処理操作を行う。
ステップS105において、超音波診断装置100の制御部7が、フリーズ処理操作を受け付けると、ステップS106の処理へ進む。
ステップS106において、制御部7は表示部8へ表示されている断層像を静止させるフリーズ処理を行う。
ステップS107において、信頼性判定部5は、ステップS106において断層像を静止させたときの、サンプルボリューム13又はカラーROI19の位置における血流の流速が複数の測定点において同等の値であるかを比較し、同等の値であれば、ステップS110へ進み、同等の値でない場合は、ステップS108へ進む。なお、本明細書において
同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差を含んだ値を同等としてもよい。
ステップS108において、制御部7は、表示部8に操作者に画像が所望の断層像であるか確認を行ってもらうメッセージを表示したり、断層像描画のやり直しを求めるメッセージを表示する。操作者は、メッセージに従って探触子1の位置決めをやり直すか判断し、現在の探触子1の位置で許容できる場合には、操作入力部10から許容する指示を入力し、許容できない場合には、許容しない指示を入力する。
ステップS109において、制御部7は、探触子1の位置を許容する入力を受け付けるとステップS110へ進み、許容しない入力を受け付けるとステップS103へ戻る。なお、ステップS108及びステップS109を省略し、ステップS107において血流の流速が同等の値でない場合は、ステップS103へ戻ってもよい。また、ステップS109を省略し、ステップS107において血流の流速が同等の値でない場合は、ステップS108において表示部8に前述のメッセージを表示して、ステップS103へ戻るようにしてもよい。
ステップS110では、超音波診断装置100は、血管12の形状特性又は性状特性を測定する。例えば、形状特性として血管のIMT値を測定する場合には、断層像処理部3にて受信信号から構築した断層像データを用いてIMT値を計測する。ここでのIMT値の計測は、操作者がフリーズされた画像に対してカーソル等で測定範囲を指定し、計測機能を用いて超音波診断装置100がIMT値を算出してもよいし、超音波診断装置100が受信信号の強度により、探触子1が血管の中心近傍を捉えているかを判定し、IMT値を自動で計測してもよい。そして計測した測定値と、断層像処理部3で構築された断層像とを表示部8に出力することによって操作者は診断画像と測定結果を確認することができる。
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1においては、測定点A及び測定点Bを一次元に配列された複数の振動子14の中点に対して対称となるように複数の振動子14の両端部に対応する位置に配置したが、測定点は少なくとも2点あればよく、端部に限らず複数の振動子14の中点に対して対称となるように所定の間隔をあけて少なくとも2点に対応する位置に測定点を配置してもよい。また、一点を端部、もう一点を中央部に対応する位置に配置したり、測定点を両端部及び中央部の3点に対応する位置に配置したりしてもよい。一点を端部、もう一点を中央部に対応する位置に配置する場合及び、測定点を両端部及び中央部の3点に対応する位置に配置する場合における探触子1及び血管12の位置関係について図9、10を用いて説明する。
図9は、測定点の一点を複数の振動子14の端部、もう一点を中央部に対応する位置に配置した例を示す図である。図6にて示した超音波診断装置100の探触子1と血管12の位置関係において、測定点A、Bのうち一方を複数の振動子14の中央に対応する位置に配置した場合を示す。
図9(a)は、血管12の長軸方向の断層像を見た場合における探触子1の位置を例示したものである。探触子1の複数の振動子14は、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置している。この場合、測定点A、Bにおいて、血液の流速は等しく、また、血液の流速は血管壁近傍より早い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管12の短軸方向の断面の直径が求められ、血管壁近傍よりも太い値となる。
血液の流速が血管壁近傍より早いか遅いか、また、血管径が血管壁近傍より太いか細いかは操作者が血管12の長軸方向の頚動脈を描出する際に探触子1を血管12の長軸方向に対して平行に動かすことで確認が可能である。
図9(b)、(c)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置していない場合を示した図である。この場合、測定点A、Bにおいて、血液の流速は等しいが、血液の流速は血管の中心より遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管の中心よりも細い値が求められる。従って、操作者は、流速が等しくなることで血管12の長軸方向に対して平行に探触子1が位置していることが把握できるので、探触子1を現在の位置から少し平行移動させてその流速が大きくなるか小さくなるかを確認し、流速が最も大きくなるときに血管12の中心軸16上に探触子1が位置していると認識することができる。
図9(d)、(e)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Bが血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点Aにおいて、血液の流速は、測定点Bよりも遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、測定点Bよりも細い値が求められる。従って、操作者は、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではないと判断することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。このとき、流速が早い測定点Bを回転中心として回転させれば、血管12の中心軸16上により近い位置に探触子1を配置することができる。
図9(f)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Aが血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点Bにおいて、血液の流速は、測定点Aよりも遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、測定点Aよりも細い値が求められる。従って、操作者は、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではないと判断することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。このとき、流速が早い測定点Aを回転中心として回転させれば、血管12の中心軸16上により近い位置に探触子1を配置することができる。
図9(g)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Aと測定点Bのいずれも血管12の中心軸16上に位置しない場合を示した図である。この場合、測定点Aと測定点Bの血液の流速は異なる。従って、操作者は、測定点によって流速が異なることから探触子1が血管12の長軸方向に対して平行に位置していないことを把握することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。このとき、流速が早い測定点Bを回転中心として回転させれば、血管12の中心軸16上により近い位置に探触子1を配置することができる。
このように、測定点A及び測定点Bの一点が複数の振動子14の端部、一点が中央部に配置されている場合、図6(d)、(e)のように複数の振動子14の中点が中心軸16上にあった場合であっても測定点Aと測定点Bの流速が異なるため、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行に位置していないと把握することができる。
図10は、測定点の二点を複数の振動子14の両端部、もう一点を中央部に対応する位置に配置した例を示す図である。図6にて示した超音波診断装置100の探触子1と血管12の位置関係において、測定点A、Bに加えて、測定点Cを複数の振動子14の中央に対応する位置に配置した場合を示す。
図10(a)は、血管12の長軸方向の断層像を見た場合における探触子1の位置を例示したものである。探触子1の複数の振動子14は、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置している。この場合、測定点A、B、Cにおいて、血液の流速は等しくなり、また、血液の流速は血管壁近傍より早い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管12の短軸方向の断面の直径が求められ、血管壁近傍よりも太い値となる。
血液の流速が血管壁近傍より早いか遅いか、また、血管径が血管壁近傍より太いか細いかは操作者が血管12の長軸方向の頚動脈を描出する際に探触子1を血管12の長軸方向に対して平行を保ったまま動かすことで確認が可能である。
図10(b)、(c)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行であって血管12の中心軸16上に位置していない場合を示した図である。この場合、測定点A、B、Cにおいて、血液の流速は等しいが、血液の流速は血管の中心より遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管の中心よりも細い値が求められる。従って、操作者は、流速が等しくなることで血管12の長軸方向に対して平行に探触子1が位置していることが把握できるので、探触子1を現在の位置から少し平行移動させてその流速が大きくなるか小さくなるかを確認し、流速が最も大きくなるときに血管12の中心軸16上に探触子1が位置していると認識することができる。
図10(d)、(e)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Cが血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点A及び測定点Bにおいて、血液の流速は等しくなり、且つ測定点Cよりも遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、血管径が等しくなり、且つ測定点Cよりも細い値が求められる。従って、操作者は、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではなく、且つ測定点Cが血管12の中心軸16上に位置していると判断することができ、探触子1を測定点Cを中心として回転させることで血管12の長軸方向に対して平行で、且つ、血管12の中心軸16上に探触子1を配置することができる。
図10(f)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Aが血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点C及び測定点Bにおいて、血液の流速は、測定点Aよりも順に遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、測定点Aよりも順に細い値が求められる。従って、操作者は、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではなく、且つ流速が最も早い測定点Aが血管12の中心軸16に最も近いと判断することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。このとき、流速が最も早い測定点Aを回転中心として回転させれば、血管12の中心軸16上により近い位置に探触子1を配置することができる。
図10(g)は、探触子1の複数の振動子14が、血管12の長軸方向に対して平行に位置していない場合であって測定点Bが血管12の中心軸16上に位置する場合を示した図である。この場合、測定点C及び測定点Aにおいて、血液の流速は、測定点Bよりも順に遅い流速が確認され、血管径を測定した場合は、測定点Bよりも順に細い値が求められる。従って、操作者は、探触子1が血管12の長軸方向に対して平行ではなく、且つ流速が最も早い測定点Bが血管12の中心軸16に最も近いと判断することができ、探触子1を回転させることで血管12の長軸方向に対して平行な位置にもっていくことができる。このとき、流速が最も早い測定点Bを回転中心として回転させれば、血管12の中心軸16上により近い位置に探触子1を配置することができる。
このように、複数の振動子14の両端部及び中央部に測定点が配置されている場合、血管12の長軸方向に対して探触子1が平行に配置されているか否か、また、探触子1と中心軸16の角度関係を把握することができ、より正確に探触子1と血管12との位置関係を把握することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置は、その構成は実施の形態1と同様であるが、動作のフローが異なっている。実施の形態1と同じ構成については同じ符号を用いてその説明は省略する。
本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の構成のブロック図は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の動作について説明する。図11は実施の形態2の超音波診断装置100の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、断層像処理部3が血管12の短軸方向における断層像データを生成する。
次に、ステップS202において、流速解析部4が血管12の短軸方向の断面において血液の最高流速を計測する。短軸方向の血管12の断面描画は比較的容易に行うことができ、熟練者でなくとも血管12の短軸方向の血管壁を円形に描画することが可能である。血管壁が円形に描画されていれば、探触子1は血管12の短軸方向の断面に対して平行に配置されていることとなる。従って、流速解析部4は、描画した円形の中心位置を画像認識処理により検出し、中心位置の流速を計測し最高流速とする。ここで測定した流速は、表示部8へ表示してもよい。もしくは、操作者が描画した円形の中心に計測点を設定し、制御部7がその設定した測定点の流速を計測して最高流速としてもよい。
図12はステップS202において計測する血管12の短軸上の流速を数値表示した一例を示す図である。
図12においては血管12の短軸方向の断層像に対してサンプルボリューム13を1箇所に設定し、サンプルボリューム13の位置の血流の速さを流速表示15として数値で表示している。なお、図12には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、図12においてサンプルボリューム13は1箇所に設定したが測定点を変更し複数測定してもよい。
次に、ステップS203において、断層像処理部3が、血管12の短軸方向の最大血管径を計測する。短軸方向の血管12の断面描画は比較的容易に行うことができ、熟練者でなくとも血管12の短軸方向の血管壁を円形に描画することが可能である。従って、断層像処理部3は、描画した円形の中心位置を画像認識処理により検出し、中心位置の血管径を計測し最大血管径とする。血管12は拍動により血管径が変化するため、最も血管径が大きくなるときを最大血管径として測定することが望ましい。ここで測定した血管径は、表示部8へ表示してもよい。もしくは、操作者が描画した円形の中心の血管径を測定するように計測範囲を設定し、制御部7がその設定した計測範囲の長さを計測して最高血管径としてもよい。
図13はステップS203において短軸上にて血管径を測定し数値表示した場合の表示例である。
図13においては血管径の測定を1箇所に設定し、計測値を血管径表示20として数値
で表示している。なお、図13には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、図13において血管径の測定は1箇所に設定したが測定点を変更し複数測定してもよい。
次に、操作者が探触子1を血管12の長軸方向の断層像を得るように回転させ、ステップS204において、超音波信号処理部2が、送信処理を行って探触子1から超音波を送信し、被検体から反射して探触子1で受信した反射超音波から受信信号を生成する。そして、断層像処理部3がこの受信信号を処理して断層像データを構築する。この断層像データを、表示部8に断層像として表示する。
次に、ステップS205において、制御部7は、対象画像範囲内の流速解析位置にサンプルボリューム又はカラーROIの配置の設定を行う。サンプルボリューム又はカラーROIは対象画像の血管内に配置するように手動もしくは自動で設定される。手動により設定を行う場合は、操作入力部10により超音波診断装置100へ設定の入力を行う。
次に、ステップS206において、流速解析部4は、超音波信号処理部2から出力された受信信号のドプラシフト周波数を基に、パルスドプラ法又はカラーフローマッピング法を用いて血管内の血流の情報を算出する。血流の情報を算出する方法に関しては、図3のステップS103において図4を用いて説明した内容と同様であるためここでは説明を省略する。
続いて、ステップS207において、流速解析部4が算出した流速の情報を画像合成部6が読み込み、画像合成部6は、断層像処理部3から読み込む断層像データと流速の情報から、血流の流速表示、スペクトル表示、カラーフローマッピング法による速度表示、パワー表示、速度分散表示といった血流の情報を表示するデータを生成し、出力する。ここで生成するデータ及び出力方法については、図3のステップS104において図5〜図8を用いて説明した内容と同様であるためここでは説明を省略する。
次に、ステップS208において、信頼性判定部5は、ステップS202において計測した短軸による最高流速の計測結果とステップS206において算出した長軸による複数点の流速の測定結果を比較する。ここで、信頼性判定部5は、複数点の流速の測定結果のうち少なくとも2点の測定結果と、短軸による最高流速の測定結果とを比較する。
次に、ステップS209において、信頼性判定部5がステップS208において比較した流速の速度が同等と判定した場合には、ステップS210へ進み、同等ではないと判定した場合にはステップS204へ戻る。短軸による最高流速の測定結果と、長軸による複数点の流速の測定結果が同等である場合は、探触子1が血管12の中心軸上にあり、且つ血管12に対して平行であると判断できる。
ステップS210において、断層像処理部3又は制御部7が血管12の長軸方向の断層像データから血管径を計測し、信頼性判定部5が、長軸方向の断層像データから得られた血管径とステップS203において測定した最大血管径とを比較する。
図14はステップS210において血管12の長軸上にて2箇所の血管径を測定し、計測値を血管径表示20として数値で表示した場合の表示例である。
ここでは血管径の測定を2箇所に設定し、それぞれの計測値を血管径表示20として数値で表示している。なお、図14には、探触子1を図示しているが、これは探触子の位置を概念的に説明するために記載したものであり、実際に表示部8に表示される必要はない。また、血管径の測定は2箇所に設定したが1箇所以上であればいくつ設定してもよい。
また、血管径表示20は2箇所の血管径の値が近づくにつれて点滅、ハイライト表示および色を変えるといった表示にて所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートしてもよい。また、表示部8への表示のみではなく出力部9から音声やビープ音によって所望の断層画像の描出に近づいていることをサポートしてもよい。
次に、ステップS211において、信頼性判定部5がステップS210において比較した血管径が同等であると判定した場合には、ステップS212へ進み、同等ではないと判定した場合にはステップS204へ戻る。短軸による最大血管径の測定結果と、長軸による血管径の測定結果が同等である場合は、探触子1が血管12の中心軸上にあり、且つ血管12に対して平行であると判断できる。
ステップS212において、制御部7は表示部8へ表示されている断層像を静止させるフリーズ処理を行う。すなわち、信頼性判定部5の判定結果に基づいて、自動的に断層像を静止させる。
そしてステップS213において、超音波診断装置100は、血管12の形状特性又は性状特性を測定する。例えば、形状特性として血管のIMT値を測定する場合には、断層像処理部3にて受信信号から構築した断層像データを用いてIMT値を計測する。ここでのIMT値の計測は、操作者がフリーズされた画像に対してカーソル等の計測機能を用いて超音波診断装置100がIMT値を算出してもよいし、超音波診断装置100が受信信号の強度により、探触子1が血管の中心近傍を捉えているかを判定し、IMT値を自動で計測してもよい。そして計測した測定値と、断層像処理部3で構築された断層像とを表示部8に出力することによって操作者は診断画像と測定結果を確認することができる。
このような超音波診断装置100の処理フローによれば、操作者の判断により画像をフリーズする操作が不要となり、利便性が向上する。
一般的に、頚動脈の検査を行う際は、血管の短軸方向の断層像にて血管内のプラークの有無を確認し、そのあと、長軸方向の断層像にてIMTの値を測定するというフローが知られている。よって、短軸での走査の際にパルスドプラ法やカラーフローマッピング法を用いて血管の流速を計測しておくことによって、血管の中心を通る血液の流速を正確に計測することができるので、長軸での走査の際にパルスドプラ法やカラーフローマッピング法を用いて血管内の血流の情報を算出した際に、短軸での血管の中心の流速と比較することで探触子1が血管12を正しく捉えられているかの判定の確度を向上させることができる。同様に、短軸での走査の際に既存の超音波診断装置で用いられる距離計測機能を用いて血管径を計測することによって、血管の直径を正確に計測することができるので、長軸での走査の際に長軸の血管径を計測し、短軸での血管の直径と比較することで探触子1が血管12を正しく捉えられているかの判定の確度を向上させることができる。
なお、ステップS203、ステップS210及びステップS211を省略して、ステップS209において流速が同等と判断した場合にはステップS212に進むこととしてもよい。この場合であっても、血管12の短軸方向での最高流速と長軸方向での流速を比較することで探触子1が血管12に対して平行であるか否か及び血管12の中心軸上に位置しているか否かを判定することができる。
更に、実施の形態2においても、実施の形態1の変形例で説明したように測定点の位置を変更することができる。
実施の形態2において、図9又は図10に示すように複数の測定点のうち一点を複数の振動子14のうちの中央に配置した場合は、例えば図11のフローチャートで示したよう
に短軸での最高流速の計測を実施した場合、プローブの中心に配置した測定点を最高流速の位置に合わせた状態からプローブを回転し、プローブの端に配置した測定点を最高流速に近づけていけば、探触子1が血管12に平行になり、長軸の描画が容易になる。
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置によれば、血管の横断面あるいは縦断面を適切にとらえることが可能となり、血管の形状特性や性状特性を測定する超音波診断装置として有用である。
1 探触子
2 超音波信号処理部
3 断層像処理部
4 流速解析部
5 信頼性判定部
6 画像合成部
7 制御部
8 表示部
9 出力部
10 操作入力部
11 皮膚組織
12 血管
13 サンプルボリューム
14 複数の振動子
15 流速表示
16 中心軸
17 スペクトル表示
18 ゼロヘルツライン
19 カラーROI
20 血管径表示
100 超音波診断装置
A、B、C 測定点

Claims (13)

  1. 複数の振動子を有する探触子が接続可能に構成される超音波診断装置であって、
    前記探触子から被検体に超音波を送信するための送信制御信号を生成する送信処理と前記探触子が受信した反射超音波に基づく受信信号を取得する受信処理とを行う超音波信号処理部と、
    前記探触子から得られる受信電気信号に基づいて、前記被検体のうち少なくとも2箇所の測定点である第1の測定点及び第2の測定点の前記被検体内を流れる流体の流速を算出する流速解析部と、
    前記第1の測定点における前記流体の流速と前記第2の測定点における前記流体の流速を比較する信頼性判定部とを備える超音波診断装置。
  2. 前記受信信号に基づいて前記被検体の断層像データを構築する断層像処理部と、
    前記断層像データと前記第1の測定点における前記流体の流速情報と前記第2の測定点における前記流体の流速情報を合成する画像合成部を備える請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記画像合成部で合成された画像を表示する表示部と接続し、
    前記流速情報は前記表示部に数値表示される請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記画像合成部で合成された画像を表示する表示部と接続し、
    前記流速情報は前記表示部にスペクトル表示される請求項2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記画像合成部で合成された画像を表示する表示部と接続し、
    前記流速情報は前記表示部にカラーフローマッピング表示される請求項2に記載の超音波診断装置。
  6. 前記被検体は血管であり、
    前記第1の測定点及び前記第2の測定点は前記血管の長軸方向において離間する2点であり、
    前記信頼性判定部は、前記血管の短軸方向における前記血管内を流れる流体の流速と、前記第1の測定点及び前記第2の測定点での流速を比較する請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記被検体は血管であり、
    前記信頼性判定部は、前記血管の短軸方向における血管径と、前記血管の長軸方向における血管径とを比較する請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  8. 表示部と接続し、
    前記受信信号に基づいて前記被検体の断層像データを構築する断層像処理部と、
    前記信頼性判定部の比較結果に基づいて、前記断層像データを静止画像として前記表示部に表示させるフリーズ処理を行う制御部を備える請求項6又は7に記載の超音波診断装置。
  9. 複数の振動子を有する探触子が接続可能に構成される超音波診断装置の制御方法であって、
    前記探触子から被検体に超音波を送信するための送信制御信号を生成する送信処理を行う工程と、
    前記探触子が受信した反射超音波に基づく受信信号を取得する受信処理を行う工程と、
    前記探触子から得られる受信電気信号に基づいて、前記被検体のうち少なくとも2箇所
    の測定点である第1の測定点及び第2の測定点の前記被検体内を流れる流体の流速を算出する工程と、
    前記第1の測定点における前記流体の流速と前記第2の測定点における前記流体の流速を比較する工程とを備える超音波診断装置の制御方法。
  10. 前記受信信号に基づいて前記被検体の断層像データを構築する工程と、
    前記断層像データと前記第1の測定点における前記流体の流速情報と前記第2の測定点における前記流体の流速情報を合成する工程を備える請求項9に記載の超音波診断装置の制御方法。
  11. 前記被検体は血管であり、
    前記第1の測定点及び前記第2の測定点は前記血管の長軸方向において離間する2点であり、
    前記血管の短軸方向における前記血管内を流れる流体の流速を算出する工程と、
    前記比較する工程は、前記血管の短軸方向における前記血管内を流れる流体の流速と、前記第1の測定点及び前記第2の測定点での流速を比較する請求項9又は10に記載の超音波診断装置の制御方法。
  12. 前記被検体は血管であり、
    前記血管の短軸方向における血管径と、前記血管の長軸方向における血管径とを測定する工程と、
    前記血管の短軸方向における血管径と、前記血管の長軸方向における血管径とを比較する工程を備える請求項9から11のうちいずれか1項に記載の超音波診断装置の制御方法。
  13. 前記受信信号に基づいて前記被検体の断層像データを構築する工程と、
    前記比較結果に基づいて前記断層像データを静止画像として表示させるフリーズ処理を行う工程を備える請求項11又は12に記載の超音波診断装置の制御方法。
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