JP2014187980A - 生化学分析用多層試験片 - Google Patents

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淳 岡本
Akira Tsukamoto
暁 塚本
Yutaka Takarada
裕 宝田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、診断の現場で正確、簡便かつ迅速に測定試料中の成分を比色定量するための多層試験片を提供する。
【解決手段】測定試料中の成分を比色定量するための生化学分析用多層試験片であって、少なくとも2以上の層からなり、少なくとも1以上の層に酵素および/または酸化還元系発色試薬を含み、かつ少なくとも1組の隣接する2層間が垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シートにより接合されてなることを特徴とする生化学分析用多層試験片。
【選択図】なし

Description

本発明は、診断の現場で正確、簡便かつ迅速に測定試料中の成分を比色定量するための生化学分析用多層試験片に関する。
臨床検査分野において、医療従事者が被験者の傍らで行う検査のことをPOCT(Point of care testing)という。臨床検査は検査結果に基づいて後の治療を行うことから、高い正確さと簡便さと迅速さとが求められる。POCTはリアルタイムな臨床検査であるため、検査結果をその場で知ることができ、迅速な治療が行えることから注目を集めている。近年、POCT機器は小型化、軽量化が進んでおり、大規模な医療機関のみならず、大きな検査室を持たない診療所や訪問診療の場など、さまざまな医療の現場で利用されている。
生体試料中の微量な分析対象物を定量する方法として、ドライケミストリーが有用である。ドライケミストリーとは分析対象物を測定するために必要な試薬が基材や容器内に乾燥した状態で置かれており、分析対象物を含む生体試料が添加されることにより、試薬が溶解し、反応が完結する分析素子のことである(例えば、特許文献1〜3)。ドライケミストリーでは測定試薬は全て乾燥状態にあるため、反応に必要な水分は測定試料中の水分を利用している。
ドライケミストリーを利用した多層スライドでは、測定試料が各層に担持された試薬を溶かしながら次の層へと順次展開していく際の展開挙動に差異が生じやすく、再現性に問題があった。
特開昭59−108942 特開昭60−82859 特開昭60−222770
Clinical Chemistry 43:12 2390−2396(1997)
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、診断の現場で正確、簡便かつ迅速に測定試料中の成分を比色定量するための生化学分析用多層試験片を提供することにある。詳しくは、測定の再現性が向上した生化学分析用多層試験片を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、多層試験片の層間の空隙により、測定試料の展開斑が生じ、測定の再現性が著しく低下することを見出した。そこで本発明者らは、多層試験片を構成する層同士を垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シートにより接合することで、測定の再現性が向上することを見出し、本発明に至った。さらに、前記垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シートの開口率、平均孔面積を調整することで、測定試料の展開斑が抑制できることはもちろん、測定試料の展開速度をも調整できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1. 測定試料中の成分を比色定量するための生化学分析用多層試験片であって、少なくとも2以上の層からなり、少なくとも1以上の層に酵素および/または酸化還元系発色試薬を含み、かつ少なくとも1組の隣接する2層間が垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シートにより接合されてなることを特徴とする生化学分析用多層試験片。
2.前記粘着シートの開口率が20〜80%であることを特徴とする1.の生化学分析用多層試験片。
3.前記粘着シートの平均孔面積が0.005〜1mmであることを特徴とする1.または2.の生化学分析用多層試験片。
4.前記粘着シートがアクリル樹脂またはウレタン樹脂からなることを特徴とする1.から3.いずれかの生化学分析用多層試験片。
5.測定試料が全血検体であることを特徴とする1.から4.いずれかの生化学分析用多層試験片。
6.測定成分がグルコースであり、酵素が少なくともグルコースオキシダーゼ、およびペルオキシダーゼであり、かつ酸化還元系発色試薬がトリンダー試薬である1.から5.いずれかの生化学分析用多層試験片
7.測定成分が糖化ヘモグロビンであり、酵素が少なくともプロテアーゼ、糖化アミノ酸オキシダーゼ、およびペルオキシダーゼであり、かつ酸化還元系発色試薬がロイコ型色素である1.から5.いずれかの生化学分析用多層試験片。
8.1.から7.いずれかの多層試験片を含むプロダクト。
本発明により、測定検体の展開斑を抑制し、測定の再現性が向上した生化学分析用多層試験片を提供することができる。
試験片を上下から挟んで固定するための治具。
以下、本発明を詳述する。
(測定対象物)
本発明における測定対象物としては、特に限定されないが、例えば生化学検査における一般検査項目(血中グルコース、血中糖化ヘモグロビン(典型的には、血中ヘモグロビンA1c)、血中ヘモグロビン、血中クレアチニン、血中アンモニア、血中尿素、血中窒素、血中総コレステロール、血中HDLコレステロール、血中中性脂肪、血中ビリルビン、血中カルシウム、血中無機リン、血中マグネシウム、血中総タンパク質、血中アルブミン、血中CRP、血中Na、血中K、血中Cl、血中酵素活性、尿中Na、尿中K、尿中Cl)が挙げられる。
(測定試料)
本発明における測定試料としては、特に限定されないが、例えば全血、血球、血漿、血清、髄液、汗、尿、涙液、唾液、皮膚、粘膜、毛髪等の生体試料(すなわち生体から採取された試料)や、飲料水、調味料等の食品類が挙げられる。また、生体試料はヒト由来に限らず、イヌ、ネコ、ウシ等の哺乳類動物由来の生体試料も対象である。
本発明における測定試料の量は、特に限定されないが、例えば1〜50μLが好ましく、1〜40μLがより好ましく、1〜30μLがさらに好ましい。測定試料量が1μLより少ないと、多層試験片の最上層から最下層まで展開できない恐れがある。一方、測定試料量が50μLより多いと、例えば測定試料が血液の場合、患者の負担が大きくなるため好ましくない。
(測定原理)
本発明における測定原理は、酵素反応を測定試料中の水分によって行う(いわゆる、ドライケミストリー)ことで多層試験片を呈色させ、その呈色の程度を反射光測定によって検知する方法(いわゆる、酵素比色法)によって行なわれる。前記測定原理を用いることで、装置の小型・軽量・低価格化が可能となる。また、正確、簡便かつ迅速な測定が可能となる。
(多層試験片)
本発明の多層試験片は、少なくとも2以上の高分子基材(以下、層ともいうことがある。)と、垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シート(以下、多孔性粘着シートともいうことがある。)とからなる。
前記多層試験片の層数は、実施形態に合わせて変化し得るが、2〜7層が好ましく、2〜6層がより好ましく、2〜5層がさらに好ましい。なお、層数には、測定試料を展開するための展開層や透明支持層なども含むが、多孔性粘着シートは含まない。層数が1層だと、例えばプロテアーゼと酵素、またはペルオキシダーゼと酸化還元系発色試薬のような試薬の組み合わせを同一層に担持せざるを得なくなり、プロテアーゼによる酵素の失活・分解や、酸化還元系発色試薬の自己発色が生じる恐れがある。つまり、多層試験片の保存安定性が著しく低下する恐れがある。一方、層数が7層より多いと、最上層から最下層まで展開するのに必要な測定試料量が多くなるため、好ましくない。
さらに、前記高分子基材の少なくとも1組の隣接する2層間には、前記多孔性粘着シートを配する必要がある。多孔性粘着シートを配さないと、多層試験片の層間に空隙が生じ、測定試料の展開斑が生じ、測定の再現性が著しく低下する恐れがある。
(多孔性粘着シート)
前記多孔性粘着シートとしては、垂直方向(シート面に対して垂直方向)に複数個の貫通孔を有し、垂直方向に測定試料を透過する構造である必要がある。なお、粘着シートとは表面タック性を有する素材であればよく、例えば接着シートのBステージ(半硬化状態に制御した素材)等も含む。また、粘着シートは支持体として紙、布、フィルム、発泡体、ゴムシートを含んでもよいが、上層から最下層まで展開するのに必要な測定試料量を低減するために、基材レス(基材を使用しないで粘着層部分が形成されている状態)であることが好ましい。
前記多孔性粘着シートの開口率は、20〜80%が好ましく、25〜75%がより好ましく、30〜70%がさらに好ましい。開口率が20%より小さいと、垂直方向への測定試料の透過が不十分となり、最下層まで測定試料が到達せず、測定不能となる恐れがある。また、測定時間が長くなる恐れがある。一方、開口率が80%より大きいと、層間の粘着力が不十分となり、測定の再現性が低下する恐れがある。また、多層スライド製造時に粘着シートのハンドリングが困難となり、歩留まりが低下する恐れがある。
前記多孔性粘着シートの平均孔面積は、0.005〜1mmが好ましく、0.005〜0.5mmがより好ましく、0.005〜0.1mmがさらに好ましい。平均孔面積が0.005mmより小さい貫通孔の形成は、非常に困難である。一方、平均孔面積が1mmより大きいと、層間の粘着力が不十分となり、測定の再現性が低下する恐れがある。また、多層スライド製造時に粘着シートのハンドリングが困難となり、歩留まりが低下する恐れがある。
前記多孔性粘着シートの孔形状は、特に限定されないが、例えば正方形、長方形、円形、楕円形等が挙げられる。これらの中でも、測定試料の展開の均一性、孔の加工性の観点から、円形が好ましい。
前記多孔性粘着シートにおける貫通孔の形成法は、特に限定されるものではなく、樹脂自体の発泡、プラズマエッチングなどの放電処理、アルカリエッチングなどの薬液処理、ブラストまたはレーザーなどの物理処理、ドリルなどの機械加工などが挙げられる。これらの中でも、微細孔加工に適している点から、ドリル加工やレーザー加工が好ましく、微細加工性と加工コストを両立する点から、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、エキシマーレーザーがより好ましい。
前記多孔性粘着シートの厚みは、1〜500μmが好ましく、1〜200μmがより好ましく、1〜100μmがさらに好ましい。厚みが1μmより小さいと、層間の粘着力が不十分となり、測定の再現性が低下する恐れがある。また、多層スライド製造時に粘着シートのハンドリングが困難となり、歩留まりが低下する恐れがある。一方、厚みが500μmより大きいと、最上層から最下層まで展開するのに必要な測定試料量が多くなるため、好ましくない。
前記多孔性粘着シートの組成としては、ゴム、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、粘着力、垂直方向への測定試料の透過性の観点からアクリル樹脂、またはウレタン樹脂が好ましい。
(高分子基材)
本発明の多層試験片を構成する高分子基材としては、酵素、または酸化還元系発色試薬等の試薬を必要量担持でき、かつ測定試料を水平方向および垂直方向に適切に展開できれば、いかなる形態、組成のものを用いてもよい。以下に高分子基材の形態、組成の具体例を示すが、本発明を何ら限定するものではない。
(形態)
前記高分子基材の形態としては、ろ紙、繊維構造体、多孔質膜(メンブレンフィルター)、フィルム等 が挙げられる。
(組成)
前記高分子基材の組成としては、ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等、オレフィン樹脂であるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等、ビニル樹脂であるポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル等、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂であるポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等、ポリアミド樹脂であるナイロン、アラミド等、セルロース類であるセルロースアセテート、ニトロセルロース、再生セルロース等が挙げられる。
(形状)
前記高分子基材の形状は、特に限定されないが、例えば正方形、長方形、円形、楕円形等の薄板状が挙げられる。
前記高分子基材の面積は、装置の小型・軽量・低価格化の観点から小さければ小さいほどよいが、例えば1〜1000mmが好ましく、2〜500mmがより好ましく、5〜200mmがさらに好ましい。
前記高分子基材の(1層の)厚みは、測定試料の展開性、および試薬の反応性の観点から、例えば10〜2000μmが好ましく、20〜1000μmがより好ましく、50〜500μmがさらに好ましい。
前記多層試験片は、任意の手順を用いて作製することができる。典型的には、複数の層を別個に、一種以上の酵素、または酸化還元系発色試薬等の試薬溶液に浸漬し、乾燥する慣用の手順を用いることにより作製し、次いで最終的な試験片に組み立てることができる。
(生化学分析)
本発明の生化学分析用多層試験片に適用する生化学分析方法は、測定対象に応じて種々の方法が既に当該技術分野において確立されている。よって、その知見を本発明に適用して、各種液体試料中の測定対象成分の量または濃度を測定することができ、その態様は特に制限されない。
そのようなものとして、酵素法による生体成分測定方法であって、特に酸化酵素−ペルオキシダーゼ−発色剤系による方法、すなわち検体中の分析対象物質を特異的に酵素反応させて過酸化水素を発生させ、これをペルオキシダーゼの存在下で発色剤と反応させて比色定量する方法を利用する方法が例示できる。
(酵素)
本発明の生化学分析用多層試験片に含まれる酵素としては、酸化酵素およびペルオキシダーゼが挙げられる。酸化酵素は、測定対象と反応して過酸化水素を発生させるものであれば特に限定されない。たとえば測定対象がグルコースの場合、グルコースオキシダーゼが例示できる。
測定対象と反応して過酸化水素を発生させる適当な酵素がない場合は、複数の酵素を用いて多段階の酵素反応(いわゆる共役反応)を適宜設計することにより、過酸化水素を発生させることができる。たとえば、HbA1cを測定する場合は、プロテアーゼと糖化アミノ酸オキシダーゼを共役させれば良い。このような場合、酸化酵素である糖化アミノ酸オキシダーゼと、ペルオキシダーゼのほかに、プロテアーゼも多層試験片に含有させなければならない。
また、測定を妨害する物質を消去する目的で、別の酵素を加えてもよい。たとえば、アスコルビン酸の影響を排除するために、アスコルビン酸オキシダーゼを多層試験片に添加することができる。
これらの酵素の配置は特に限定されない。1つの層に1つの酵素を配しても良いし複数の酵素を配しても良い。また、同一の酵素を複数の層に配しても良い。
(グルコースの測定原理)
本発明の多層試験片を用いてグルコースを測定することができる。
以下に測定試料中のグルコースを測定する場合の反応について例示するが、本発明を何ら限定するものではない。
(1)測定試料中のグルコースとグルコースオキシダーゼを反応させ、過酸化水素を生成させる工程。
(2)ペルオキシダーゼ存在下で、前記過酸化水素と酸化還元系発色試薬を反応させ、発色させる工程。
(3)前記発色から測定試料中のグルコース量を比色定量する工程。
(グルコースオキシダーゼ)
本発明でグルコースを測定する際に用いるグルコースオキシダーゼとしては、グルコースに特異的に作用し、過酸化水素を生成する酵素であれば、いかなる種類の酵素を用いてもよく、例えばAspergillus属由来のグルコースオキシダーゼ GLO−201(東洋紡社製)を用いることができる。
前記グルコースオキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、0.01〜1000U/cmであることが好ましく、0.1〜100U/cmがより好ましい。グルコースオキシダーゼ濃度が0.01U/cmより少ないと、反応性の低下により測定時間が長くなるため好ましくない。一方、グルコース濃度が1000U/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
前記グルコースオキシダーゼの反応を行う際のpHは、無調整でもよいが、使用するグルコースオキシダーゼの至適pHとなるよう適当なpH調整剤、例えば下記の緩衝剤によって調整するのが好ましい。
(ペルオキシダーゼ)
本発明でグルコースを測定する際に用いるペルオキシダーゼとしては、過酸化水素と酸化還元系発色試薬との反応を触媒する酵素であれば、いかなる種類の酵素を用いてもよく、例えば植物由来、細菌由来、担子菌由来のペルオキシダーゼが挙げられる。これらの中でも、純度、入手の容易性、価格等の理由から、西洋ワサビ、イネ、大豆由来のペルオキシダーゼが好ましく、西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼがより好ましい。市販品としては、PEO−131(東洋紡社製)、PEO−301(東洋紡社製)、PEO−302(東洋紡社製)等が好適に用いられる。
前記ペルオキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、0.01〜1000U/cmであることが好ましく、0.1〜100U/cmがより好ましい。ペルオキシダーゼ濃度が0.01U/cmより少ないと、反応性の低下により測定時間が長くなるため好ましくない。一方、ペルオキシダーゼ濃度が1000U/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
前記ペルオキシダーゼの反応を行う際のpHは、無調整でもよいが、使用するペルオキシダーゼの至適pHとなるよう適当なpH調整剤、例えば下記の緩衝剤によって調整するのが好ましい。
(酸化還元系発色試薬)
本発明でグルコースを測定する際に用いる酸化還元系発色試薬としては、過酸化水素と反応して呈色するものであれば、いかなる種類の色素を用いてもよく、例えば水素供与体とカップラー(以下、トリンダー試薬ともいうことがある。)、ロイコ体(以下、ロイコ色素ともいうことがある。)等が挙げられる。なお、水素供与体とカップラーを用いた代表例は、水素供与体とカップラーとをペルオキシダーゼの存在下に過酸化水素によって酸化縮合させて色素を形成させるトリンダー(Trinder)法である。
以下に酸化還元系発色試薬の具体例を示すが、本発明を何ら限定するものではない。
(水素供与体)
水素供与体としては、フェノール、フェノール誘導体、アニリン誘導体、ナフトール、ナフトール誘導体、ナフチルアミン、ナフチルアミン誘導体等が挙げられる。具体的には、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン(ALPS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOPS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADPS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−2,5−ジメチルアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピルアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン等が挙げられる。
(カップラー)
カップラーとしては、4−アミノアンチピリン(4AA)、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)等が挙げられる。
(ロイコ体)
ロイコ体としては、トリフェニルメタン誘導体、フェノチアジン誘導体、ジフェニルアミン誘導体等が挙げられる。具体的には、4,4’−ベンジリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、4,4’−ビス[N−エチル−N−(3−スルホプロピルアミノ)−2,6−ジメチルフェニル]メタン、1−(エチルアミノチオカルボニル)−2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)イミダゾール、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン塩(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン塩(DA67)等が挙げられる。
これらの中でも、モル吸光係数、極大吸収波長、保存安定性等の理由から、トリンダー試薬が好ましく、4−アミノアンチピリン(4AA)とN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)の組み合わせがより好ましい。
上記の酸化還元発色試薬の配置は特に限定されない。1つの層に1つの試薬を配しても良いし複数の試薬を配しても良い。また、同一の試薬を複数の層に配しても良い。さらに、試薬の配置に関して、酵素との組合せも特に限定されない。
前記酸化還元系発色試薬の濃度は、特に限定されないが、0.0001〜10mg/cmであることが好ましく0.001〜1mg/cmがより好ましい。酸化還元系発色試薬濃度が0.0001mg/cmより少ないと、感度が低下する恐れがある。一方、酸化還元系発色試薬濃度が10mg/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
(糖化ヘモグロビンの測定原理)
本発明の多層試験片を用いて糖化ヘモグロビンを測定することができる。
以下に全血の糖化ヘモグロビンを測定する場合の反応について例示するが、本発明を何ら限定するものではない。
(1)測定試料中の赤血球と界面活性剤を反応させ、溶血させ、糖化ヘモグロビンを取り出す工程。
(2)前記糖化ヘモグロビンとプロテアーゼを反応させ、糖化ヘモグロビンの糖化されたβ鎖N末端から糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドを切り出す工程。
(3)前記糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドと糖化アミノ酸オキシダーゼを反応させ、過酸化水素を生成させる工程。
(4)ペルオキシダーゼ存在下で、前記過酸化水素と酸化還元系発色試薬を反応させ、発色させる工程。
(5)前記発色から測定試料中の糖化ヘモグロビン量を比色定量する工程。
(プロテアーゼ)
本発明に用いるプロテアーゼとしては、糖化ヘモグロビンの糖化されたβ鎖N末端に作用して糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドを切り出すものであれば、いかなる種類のプロテアーゼを用いてもよく、例えば動物、植物、微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。以下にプロテアーゼの具体例を示すが、本発明を何ら限定するものではない。
(動物由来プロテアーゼ)
動物由来のプロテアーゼとしては、ファクターXa(factorXa)、プラスミン(plasmin)、スロンビン(thrombin)、ペプシン(pepsin)、ロイシンアミノペプチダーゼ(leucinaminopeptidase)、パンクレアチン(pancreatin)、エラスターゼ(elastase)、トリプシン(trypsin)、キモトリプシンA(chymotrypsinA)、アミノペプチダーゼM(aminopeptidaseM)、カルボキシペプチダーゼA(carboxypeptidaseA)、カルボキシペプチダーゼB(carboxypeptidaseB)、カルパイン(calpain)、カテプシンB(cathepsinB)、カテプシンC(cathepsinC)、カテプシンD(cathepsinD)、エンドプロテイナーゼArg−C(endoproteinaseArg−C)等が挙げられる。
(植物由来プロテアーゼ)
植物由来のプロテアーゼとしては、カルボキシペプチダーゼW(carboxypeptidaseW)、カリクレイン(kallikrein)、フィシン(ficin)、パパイン(papain)、キモパパイン(chimopapain)、ブロメライン(bromelain)等が挙げられる。
(微生物由来プロテアーゼ)
微生物由来のプロテアーゼとしては、ズブチリシン(subtilisin)、サーモリシン(thermolysin)、ディスパーゼ(dispase)、プロテイナーゼN(proteinaseN)等に代表されるバチルス(Bacillus)由来プロテアーゼ、IP酵素等に代表されるアスペルギルス(Aspergillus)由来プロテアーゼ、プロナーゼ(pronase)等に代表されるストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼ、プロテイナーゼK(proteinaseK)等に代表されるトリチラチウム(Tritirachium)由来プロテアーゼ、ペプチダーゼR(peptidaseR)等に代表されるリゾバス(Rhizopus)由来プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼP、(carboxypeptidaseP)、PD酵素等に代表されるペニシリウム(Penicillium)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼGlu−C(endoproteinaseGlu−C)等に代表されるスタフィロコッカス(Staphylococcus)由来プロテアーゼ、クロストリパイン(clostripain)等に代表されるクロストリジウム(Clostridium)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼLys−C(endoproteinaseLys−C)等に代表されるリソバクター(Lysobacter)由来プロテアーゼ、メタロエンドペプチダーゼ(metalloendopeputidase)等に代表されるグリフォラ(Grifola)由来プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼY(carboxypeptidaseY)、プロテイナーゼA(proteinaseA)等に代表される酵母(Yeast)由来プロテアーゼ、アミノペプチダーゼT(aminopeptidaseT)等に代表されるサーマス(Thermus)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp−N(endoproteinaseAsp−N)等に代表されるシュードモナス(Pseudomonus)由来プロテアーゼ、リジルエンドペプチダーゼ(lysylendopeputidase)、アクロモペプチダーゼ(achromopeputidase)等に代表されるアクロモバクター(Achromobacter)由来プロテアーゼ等が挙げられる
これらの中でも、安定性、反応性(ヘモグロビンの切断速度)、入手の容易性、価格等の理由から、微生物由来のプロテアーゼが好ましく、バチルス(Bacillus)由来プロテアーゼ、アスペルギルス(Aspergillus)由来プロテアーゼ、ストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼ、およびトリチラチウム(Tritirachium)由来プロテアーゼからなる群より選ばれた1種以上であることがより好ましい。市販品としては、バチルス(Bacillus)由来プロテアーゼのトヨチームNEP(東洋紡社製)、Type−X(シグマ社製)、Type−XXIV(シグマ社製)、サーモリシン(大和化成社製)、サモアーゼPC10(大和化成社製)、アスペルギルス(Aspergillus)由来プロテアーゼのType−XIII(シグマ社製)、Type−XXIII(シグマ社製)、ストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼのType−XIV、トリチラチウム(Tritirachium)由来プロテアーゼのプロテイナーゼK(ロシュ社製)等が好適に用いられる。
これらの中でも、糖化ヘモグロビン測定の観点から、バチルス(Bacillus)由来プロテアーゼのトヨチームNEP(東洋紡社製)、Type−X(シグマ社製)、Type−XXIV(シグマ社製)、サーモリシン(大和化成社製)、サモアーゼPC10(大和化成社製)、ストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼのType−XIVがより好適に用いられる。
前記プロテアーゼの濃度は、特に限定されないが、0.1〜10000U/cmであることが好ましく、1〜1000U/cmがより好ましい。プロテアーゼ濃度が0.1U/cmより少ないと、反応性の低下により測定時間が長くなるため好ましくない。一方、プロテアーゼ濃度が10000U/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
前記プロテアーゼの反応を行う際のpHは、無調整でもよいが、使用するプロテアーゼの至適pHとなるよう適当なpH調整剤、例えば下記の緩衝剤によって調整するのが好ましい。
(糖化アミノ酸オキシダーゼ)
本発明で糖化アミノ酸を測定する際に用いる糖化アミノ酸オキシダーゼ(以下、FAODともいうことがある。)としては、糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドに特異的に作用し、過酸化水素を生成する酵素であれば、いかなる種類の酵素を用いてもよい。以下に糖化アミノ酸オキシダーゼの具体例を示すが、本発明を何ら限定するものではない。
糖化アミノ酸オキシダーゼとしては、ギベレラ(Gibberella)由来酵素、アスペルギルス(Aspergillus)由来酵素、ペニシリウム(Penicillium)由来酵素、フサリウム(Fusarium)由来酵素、コリネバクテリウム(Corynebacterium)由来酵素、コニオカエタ(Coniochaeta)由来酵素、ユウペニシリウム(Eupenicillium)由来酵素、アカエトミエラ(Achaetomiella)由来酵素、カエトミウム(Chaetomium)由来酵素、大腸菌由来酵素、酵母属デバリオマイゼス(Debaryomyces)由来酵素、カーブラリア(Curvularia)由来酵素、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)由来酵素、クリプトコッカス(Cryptococcus)由来酵素、ファエオスフェリア(Phaeosphaeria)由来酵素、カンジダ(Candida)由来酵素、アクレモニウム(Acremonium)由来酵素等が挙げられる。
これらの中でも、安定性、反応性(糖化アミノ酸および/または糖化ペプチドの酸化速度)、入手の容易性、価格等の理由から、コニオカエタ(Coniochaeta)由来酵素、ユウペニシリウム(Eupenicillium)由来酵素、カーブラリア(Curvularia)由来酵素、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)由来酵素、アスペルギルス(Aspergillus)由来酵素、クリプトコッカス(Cryptococcus)由来酵素、ファエオスフェリア(Phaeosphaeria)由来酵素からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましく、コニオカエタ(Coniochaeta)由来酵素、アスペルギルス(Aspergillus)由来酵素、クリプトコッカス(Cryptococcus)由来酵素、ファエオスフェリア(Phaeosphaeria)由来酵素からなる群より選ばれた1種以上であることがより好ましい。
これらの中でも、糖化ヘモグロビン測定の観点から、コニオカエタ(Coniochaeta)由来酵素、ファエオスフェリア(Phaeosphaeria)由来酵素からなる群より選ばれた1種以上であることがさらに好ましい。
前記糖化アミノ酸オキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、0.01〜1000U/cmであることが好ましく、0.1〜100U/cmがより好ましい。糖化アミノ酸オキシダーゼ濃度が0.01U/cmより少ないと、反応性の低下により測定時間が長くなるため好ましくない。一方、糖化アミノ酸オキシダーゼ濃度が1000U/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
前記糖化アミノ酸オキシダーゼの反応を行う際のpHは、無調整でもよいが、使用する糖化アミノ酸オキシダーゼの至適pHとなるよう適当なpH調整剤、例えば下記の緩衝剤によって調整するのが好ましい。
(ペルオキシダーゼ)
ペルオキシダーゼ、酸化還元系発色試薬については、上述のグルコースの測定原理で述べた事柄が、糖化ヘモグロビンの測定においても同様にあてはまる。
(酸化還元系発色試薬)
糖化ヘモグロビン測定用の酸化還元系発色試薬としては、上述のグルコースの測定原理で列挙した酸化還元系発色試薬の中でも、モル吸光係数、極大吸収波長等の理由から、ロイコ体が好ましく、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン塩(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン塩(DA67)がより好ましい。
前記酸化還元系発色試薬の濃度は、特に限定されないが、0.0001〜10mg/cmであることが好ましく0.001〜1mg/cmがより好ましい。酸化還元系発色試薬濃度が0.0001mg/cmより少ないと、感度が低下する恐れがある。一方、酸化還元系発色試薬濃度が10mg/cmより多いと、バッククラウンドの上昇や、高価格化の恐れがある。
本発明の多層試験片には、上記のほか、目的に応じて、緩衝液成分、防腐剤、塩類、酵素安定化剤、色原体安定化剤、界面活性剤などを添加してもよい。その使用量や添加の形態などについては特に限定されない。これらはいずれも、市販品などを入手することができる。
緩衝液成分、界面活性剤については後に詳述する。
防腐剤としては、アジ化物、キレート剤、抗生物質、抗菌剤などが挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸およびその塩等が挙げられる。
抗生物質としては、ゲンタマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコール等が挙げられる。
抗菌剤としては、メチルイソチアゾリノン、イミダゾリジニルウレア等が挙げられる。
塩類としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
酵素安定化剤としては、シュークロース、トレハロース、シクロデキストリン、グルコン酸塩、アミノ酸類等が挙げられる。
色原体安定化剤としては、エチレンジアミン四酢酸およびその塩等のキレート剤、シクロデキストリン等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明でグルコースまたは糖化アミノ酸を測定する際に用いることができる界面活性剤は、特に限定されない。
特に、糖化アミノ酸を測定する際には、界面活性剤を溶血剤として用いることが好ましい。界面活性剤としては、溶血剤として作用すれば、いかなる種類の界面活性剤を用いてもよい。
前記界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、溶血剤としての反応性(溶血の速度)、プロテアーゼ反応促進剤としての作用性、価格等の理由からポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton(登録商標)系界面活性剤等)が好ましい。市販品としては、TritonX(登録商標)−100(ナカライテスク社製)、TritonX(登録商標)−114(ナカライテスク社製)、Nonidet(登録商標)P−40(ナカライテスク社製)等が好適に用いられる。また、前記界面活性剤は単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、0.0001〜10mg/cmであるとこが好ましく0.001〜1mg/cmがより好ましい。界面活性剤濃度が0.0001mg/cmより少ないと、十分な溶血効果が得られない恐れがある。一方、界面活性剤濃度が10mg/cmより多くしても、効果の向上は見られない。
(緩衝剤)
本発明でグルコースまたは糖化アミノ酸を測定する際に用いることができる緩衝剤としては、目的とするpH範囲において充分な緩衝能力を有していれば、いかなる種類の緩衝剤を用いてもよく、例えば、トリス、リン酸、フタル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、ホウ酸、酒石酸、酢酸、炭酸、グッドバッファー(MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、BES、TES、HEPES、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン)等が挙げられる。
これらの中でも、本発明に用いるプロテアーゼ、糖化アミノ酸オキシダーゼ、およびペルオキシダーゼの至適pH範囲である6.0〜8.5(好ましくは6.0〜7.5)において充分な緩衝能力を有する等の理由から、トリス、リン酸、MES、PIPES、TES、HEPESが好ましく、MES、PIPESがより好ましい。
前記緩衝剤の濃度は、特に限定されないが、多層試験片作製時の試薬に対して50〜100mM程度が好ましい。
(検出)
反応の検出には、発色した多層試験片に対して光(入射光)をあて、その反射光を検出することが最も簡便であるが、これ以外の方法を用いても良い。光源としては、特に限定されないが、例えばUVランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ、重水素ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、レーザー等が挙げられる。これらの中でも、光波長の制御の容易さ、および装置の小型・軽量・低価格化の観点から、発光ダイオード(LED)が好ましい。前記入射光の角度(入射角)は、特に限定されず、任意の角度を用いることができる。一方、反射光の検出は、特に限定されないが、検出面に対して垂直が好ましい。なお、検出には、フォトダイオードや積分球等を用いれば簡便に行う事ができる。
(多層試験片を含むプロダクト)
本発明のプロダクトは、上記の多層試験片を含むものであれば、その構成、組成などは特に限定されない。
なお、本明細書において「プロダクト」とは、使用者が糖化ヘモグロビン量を定量する目的で用いる1セットのうち一部または全部を構成する製品であって、本発明の多層試験片を含むものを意味する。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、明細書中の評価法は以下の通りである。
[各種評価法]
<1.グルコースオキシダーゼの活性測定>
グルコースオキシザーゼの活性は、ペルオキシダーゼ存在下で、β−D−グルコースとグルコースオキシダーゼとの反応で生成した過酸化水素とトリンダー試薬(4AA−TOOS)を反応させ、555nmにおける吸光度変化から算出した。ここで、グルコースオキシダーゼの至適pH(pH=5.7)で、37℃−1分あたり、1.0μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義した。
<2.プロテアーゼの活性測定>
プロテアーゼの活性は、Folin−Ciocalteu試薬を用いたカゼインフォリン法により算出した。ここで、プロテアーゼの至適pHで、37℃−1分あたり、カゼインを加水分解し、1.0μmolのチロシンに相当する呈色を生ずる酵素量を1Uと定義した。
<3.糖化アミノ酸オキシダーゼの活性測定>
糖化アミノ酸オキシダーゼの活性は、ペルオキシダーゼ存在下で、糖化バリルヒスチジンと糖化アミノ酸オキシダーゼとの反応で生成した過酸化水素と酸化還元系発色試薬を反応させ、その吸光度変化から算出した。ここで、糖化アミノ酸オキシダーゼの至適pH(pH=6.5)で、37℃−1分あたり、1.0μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義した。
<4.ペルオキシダーゼの活性測定>
ペルオキシダーゼの活性は、ペルオキシダーゼ存在下で、過酸化水素とピロガロール(Pyrogallol)とを反応させ、生成したプルプロガリン(Purpurogallin)に由来する吸光度の変化から算出した。ここで、ペルオキシダーゼの至適pH(pH=6.0)で、20℃−20秒あたり、1.0mgのプルプロガリン(Purpurogallin)に相当する呈色を生ずる酵素量を1Uと定義した。
<5.多孔性粘着シートの開口率測定、平均孔面積測定>
粘着シートは単独ではハンドリングできないため、通常 粘着シート/剥離ライナーの2層構造、または剥離ライナー/粘着シート/剥離ライナーの3層構造で構成される。
多孔性粘着シートの開口率は、前記2層構造の場合は粘着シート面を、前記3層構造の場合は剥離ライナーを剥がした後の粘着シート面を、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率50倍にて観察し、得られた画像を二次元CAD(JW−CAD)の面積測定モードで粘着シート部分の面積(A)と剥離ライナー部分の面積(B)を測定し、{B/(A+B)}×100の式により開口率を算出した。(n=10の平均値)。
また、多孔性粘着シートの平均孔面積は、前記剥離ライナー部分の面積(B)である。(n=10の平均値)。
なお、二次元CADの面積測定モードにおける粘着シート部分、剥離ライナー部分の判別には、SEM−EDX(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)を用い、粘着シート由来の元素が検出された場合は粘着シート部分(A)と、剥離ライナー由来の元素が検出された場合は剥離ライナー部分(B)とそれぞれ判別した。
<6.グルコースの測定>
本発明のグルコース測定用多層試験片を、治具(図1参照)で上下から挟んで固定し、グルコース標準液(一般社団法人 検査医学標準物質機構社製)20μLを1層目に点着し、プログラム低温恒温器 IN604(ヤマト科学社製)にて37℃−1分間インキュベート後、測定試料点着面とは反対面の反射率を、下記条件1で測定した。
<条件1>
測定試料 : グルコース標準液
0、50、100、200、500mg/dL
装置名 : 分光光度計 UV−2450(島津製作所社製)
付属装置名 : 積分球 ISR−2200(島津製作所社製)
標準白板 : 硫酸バリウム標準白板
測定波長 : 630nm
入射角 : 0°
スリット幅 : 2.0nm
光束寸法 : 3mm×5mm
温度 : 25℃
得られた630nmでの反射率から、式(1)のKubelka−Munk変換により630nmでのK/S値を得た。式(1)中の%Rは反射率を意味する。

K/S値=(1−%R)/(2×%R) 式(1)

得られた630nmでのK/S値と、グルコース標準液の濃度0、50、100、200、500mg/dLとのピアソン相関係数:rを算出し、r>0.98を◎(Excellent)、0.98≦r<0.95を○(Good)、0.95≦r<0.90を△(Not Bad)、r≦0.90を×(Bad)として、相関性を評価した。
次いで、本発明のグルコース測定用多層試験片を、治具(図1参照)で上下から挟んで固定し、健常者全血、または糖尿病患者全血 20μLを1層目に点着し、プログラム低温恒温器 IN604(ヤマト科学社製)にて37℃−1分間インキュベート後、測定試料点着面とは反対面の反射率を、下記条件2で測定した。なお、健常者血液、および糖尿病患者血液は、市販の自動分析機:日立自動分析機 7180(日立ハイテク社製)、市販の血糖値測定試薬を用いて、通法に従い測定を実施し、グルコース濃度を算出した。
<条件2>
測定試料 : 健常者血液 1水準 グルコース濃度=100mg/dL
糖尿病患者血液 1水準 グルコース濃度=150mg/dL
装置名 : 分光光度計 UV−2450(島津製作所社製)
付属装置名 : 積分球 ISR−2200(島津製作所社製)
標準白板 : 硫酸バリウム標準白板
測定波長 : 630nm
入射角 : 0°
スリット幅 : 2.0nm
光束寸法 : 3mm×5mm
温度 : 25℃
得られた630nmでの反射率から、上式(1)のKubelka−Munk変換により630nmでのK/S値を得た。得られた630nmでのK/S値と、前項で得られた検量線から、グルコース濃度を算出した。得られたグルコース濃度のn=10でのCVを算出し、0%≦CV<3%を◎(Excellent)、3%≦CV<5%を○(Good)、5%≦CV<8%を△(Not Bad)、8%≦CVを×(Bad)として、ばらつきを評価した。
<7.糖化ヘモグロビンの測定>
本発明のヘモグロビンA1c測定用多層試験片を、治具(図1参照)で上下から挟んで固定し、HbA1c測定性能評価用試料 QRM HbA1c 2007−1(一般社団法人 検査医学標準物質機構社製)20μLを1層目に点着し、プログラム低温恒温器 IN604(ヤマト科学社製)にて37℃−10分間インキュベート後、測定試料点着面とは反対面の反射率を、下記条件3で測定した。
<条件3>
測定試料 : HbA1c測定性能評価用試料 QRM
LEVEL1、2、3、4、5
装置名 : 分光光度計 UV−2450(島津製作所社製)
付属装置名 : 積分球 ISR−2200(島津製作所社製)
標準白板 : 硫酸バリウム標準白板
測定波長 : 480nm、666nm
入射角 : 0°
スリット幅 : 2.0nm
光束寸法 : 3mm×5mm
温度 : 25℃
得られた480nmでの反射率、および666nmでの反射率から、上式(1)のKubelka−Munk変換により480nmでのK/S値、および666nmでのK/S値を得た。次いで、得られた480nmでのK/S値と、666nmでのK/S値から、下式(2)のK/S比を算出した。なお、K/S比とヘモグロビンA1c値が比例することは公知である。(非特許文献1参照)式中のK/S値(480nm)は480nmでのK/S値を、K/S値(666nm)は666nmでのK/S値をそれぞれ意味する。

K/S比=K/S値(666nm) / K/S値(480nm) 式(2)
得られたK/S比と、HbA1c測定性能評価用試料 QRMで規定されているHbA1c値(LEVEL1=4.67%、LEVEL2=5.29%、LEVEL3=6.96%、LEVEL4=9.08%、LEVEL5=10.79%)とのピアソン相関係数:rを算出し、r>0.98を◎(Excellent)、0.98≦r<0.95を○(Good)、0.95≦r<0.90を△(Not Bad)、r≦0.90を×(Bad)として、相関性を評価した。
次いで、本発明のヘモグロビンA1c測定用多層試験片を、治具(図1参照)で上下から挟んで固定し、健常者全血、または糖尿病患者全血 20μLを1層目に点着し、プログラム低温恒温器 IN604(ヤマト科学社製)にて37℃−10分間インキュベート後、測定試料点着面とは反対面の反射率を、下記条件4で測定した。なお、健常者血液、および糖尿病患者血液は、市販の自動分析機:日立自動分析機 7180(日立ハイテク社製)、市販のヘモグロビンA1c測定試薬:ノルディアN HbA1c(積水メディカル社製)を用いて、通法に従い測定を実施し、ヘモグロビンA1c値を算出した。
<条件4>
測定試料 : 健常者血液 1水準 HbA1c値=5.0%
糖尿病患者血液 1水準 HbA1c値=8.8%
装置名 : 分光光度計 UV−2450(島津製作所社製)
付属装置名 : 積分球 ISR−2200(島津製作所社製)
標準白板 : 硫酸バリウム標準白板
測定波長 : 480nm、666nm
入射角 : 0°
スリット幅 : 2.0nm
光束寸法 : 3mm×5mm
温度 : 25℃
得られた480nmでの反射率、および666nmでの反射率から、上式(1)のKubelka−Munk変換により480nmでのK/S値、および666nmでのK/S値を得た。次いで、得られた480nmでのK/S値と、666nmでのK/S値から、上式(2)のK/S比を算出した。得られたK/S比と、前項で得られた検量線から、ヘモグロビンA1c値を算出した。得られたヘモグロビンA1c値のn=10でのCVを算出し、0%≦CV<3%を◎(Excellent)、3%≦CV<5%を○(Good)、5%≦CV<8%を△(Not Bad)、8%≦CVを×(Bad)として、ばらつきを評価した。
[多孔性粘着シートの作成]
アクリル樹脂粘着シート NO.5919(日東電工社製)を、ドリル加工機(ND−6N210、日立ビアメカニクス社製)、およびドリル(SSD、京セラ社製)を用い、所定の貫通孔を等間隔に複数個あけ、多孔性粘着シートA1〜A10を作成した。
得られた多孔性粘着シートA1〜A10の物性値を表1、2に示す。
多孔性粘着シートA1〜A5、A7〜A10は問題なく加工することができた。一方、多孔性粘着シートA6は加工不良が生じ、ハンドリングも不可能であった。
アクリル樹脂粘着シート NO.5919(日東電工社製)を、3mmφ用ベルトポンチ(TRUSCO社製)を用い、所定の貫通孔を等間隔に複数個あけ、多孔性粘着シートA11を作成した。
得られた多孔性粘着シートA11の物性値を表2に示す。
多孔性粘着シートA11は問題なく加工することができた。
アクリル樹脂粘着シート NO.5919(日東電工社製)を、レーザー加工機(HIPPO、Spectra−Physics社製)を用い、所定の貫通孔を等間隔に複数個あけ、多孔性粘着シートA12を作成した。
得られた多孔性粘着シートA12の物性値を表2に示す。
多孔性粘着シートA12は問題なく加工することができた。
ウレタン樹脂粘着シート TSU0041(東洋インキ社製)、シリコーン樹脂粘着シート シリコーン粘着基材レステープ(リンテック社製)を、ドリル加工機(ND−6N210、日立ビアメカニクス社製)、およびドリル(SSD、京セラ社製)を用い、所定の貫通孔を等間隔に複数個あけ、多孔性粘着シートB、Cを作成した。
得られた多孔性粘着シートB、Cの物性値を表3に示す。
多孔性粘着シートB、Cは問題なく加工することができた。
[多層試験片の作成]
[実施例1]
8mmφの桐山ろ紙 NO.5A(東京硝子器械社製)に、下記試薬1を10μL滴下し、次いで別の8mmφの桐山ろ紙 NO.5A(東京硝子器械社製)に、下記試薬2を10μL滴下し、それぞれ遮光デシケーター 3909−04(東京硝子器械社製)にて25℃−2時間乾燥させ、単層試験片を2種作製した。
他方、8mmφ用ベルトポンチ(TRUSCO社製)で8mmφに打ち抜いた後、剥離ライナーを剥がした多孔性粘着シートA3を介して、得られた2種の単層試験片を、積層することで、ヘモグロビンA1c測定用多層試験片を作製した。なお、担持された界面活性剤濃度は0.1mg/cm、プロテアーゼ濃度は5U/cm、糖化アミノ酸オキシダーゼ濃度は2.5U/cm、ペルオキシダーゼ濃度は10U/cm、酸化還元系発色試薬濃度は0.1mg/cmである。
<試薬1>
100mM PIPES(同仁化学研究所社製) pH6.5
5.0mg/mL Nonidet(登録商標)P−40(ナカライテスク社製)
250U/mL プロテアーゼ Type−XIV(シグマ社製)
500U/mL ペルオキシダーゼ PEO−302(東洋紡績社製)
<試薬2>
100mM PIPES(同仁化学研究所社製) pH6.5
5.0mg/mL Nonidet(登録商標)P−40(ナカライテスク社製)
125U/mL 糖化アミノ酸オキシダーゼ FPO−301(東洋紡績社製)
5.0mg/mL DA67(和光純薬工業社製)
[実施例2〜10]
多孔性粘着シートA3の代わりに、多孔性粘着シートA2、A4、A5、A7〜A10、A12、Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、ヘモグロビンA1c測定用多層試験片を作製した。
[比較例1〜3]
多孔性粘着シートA3の代わりに、多孔性粘着シートA1、A11、Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、ヘモグロビンA1c測定用多層試験片を作製した。
[比較例4]
多孔性粘着シートA3の代わりに、アクリル樹脂粘着シート NO.5919(日東電工社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして、ヘモグロビンA1c測定用多層試験片を作製した。
[比較例5]
多孔性粘着シートA3を用いない以外は、実施例1と同様にして、ヘモグロビンA1c測定用多層試験片を作製した。
<ヘモグロビンA1c値検量線の作成>
実施例1〜10、比較例1〜5のヘモグロビンA1c測定用多層試験片を用い、HbA1c値の検量線を作成し、相関性を評価した。
得られた評価結果を表4、5に示す。
<ヘモグロビンA1c値の測定>
実施例1〜10、比較例1〜5のヘモグロビンA1c測定用多層試験片を用い、前項で得られたHbA1c値の検量線を用い、HbA1c値を算出した。
得られた評価結果を表4、5に示す。
実施例1〜10の多層試験片は、生化学自動分析装置を用いた方法と同等の再現性(CV<5%)、正確性(自動分析装置の測定値±5%)を有する。
比較例1の多層試験片は、開口率が小さいため、測定試料の展開が遅く、かつ不均一となり、再現性、正確性が低下した。
比較例2の多層試験片は、孔面積が大きいため、測定試料の展開が不均一となり、再現性、正確性が低下した。
比較例3の多層試験片は、シリコーンの疎水性により、測定試料の展開が遅く、かつ不均一となり、再現性、正確性が低下した。
比較例4の多層試験片は、水が最下層へ展開できないため、測定不可能であった。
比較例5の多層試験片は、多孔性粘着剤を配していないため、測定試料の展開が不均一となり、再現性、正確性が低下した。
[多層試験片の作成]
[実施例11]
8mmφの桐山ろ紙 NO.5A(東京硝子器械社製)に、下記試薬3を10μL滴下し、次いで別の8mmφの桐山ろ紙 NO.5A(東京硝子器械社製)に、下記試薬4を10μL滴下し、それぞれ遮光デシケーター 3909−04(東京硝子器械社製)にて25℃−2時間乾燥させ、単層試験片を2種作製した。
他方、8mmφ用ベルトポンチ(TRUSCO社製)で8mmφに打ち抜いた後、剥離ライナーを剥がした多孔性粘着シートA3を介して、得られた2種の単層試験片を、積層することで、グルコース測定用多層試験片を作製した。なお、担持された界面活性剤濃度は0.1mg/cm、グルコールオキシダーゼ濃度は40U/cm、ペルオキシダーゼ濃度は40U/cm、酸化還元系発色試薬濃度は0.15mg/cm(内、水素供与体0.09mg/cm、カップラー0.06mg/cm)である。
<試薬3>
100mM PIPES(同仁化学研究所社製) pH6.5
5.0mg/mL Nonidet(登録商標)P−40(ナカライテスク社製)
<試薬4>
100mM PIPES(同仁化学研究所社製) pH6.5
5.0mg/mL Nonidet(登録商標)P−40(ナカライテスク社製)
2000U/mL グルコースオキシダーゼ GLO−201(東洋紡社製)
2000U/mL ペルオキシダーゼ PEO−302(東洋紡績社製)
3.0mg/mL 4−アミノアンチピリン(ナカライテスク社製)
4.5mg/mL MAOS(同仁化学研究所社製)
[比較例6]
多孔性粘着シートA3を用いない以外は、実施例11と同様にして、グルコース測定用多層試験片を作製した。
<グルコース濃度検量線の作成>
実施例11、比較例6のグルコース測定用多層試験片を用い、グルコース濃度の検量線を作成し、相関性を評価した。
得られた評価結果を表6に示す。
<グルコース濃度の測定>
実施例11、比較例6のグルコース測定用多層試験片を用い、前項で得られたグルコース濃度の検量線を用い、グルコース濃度を算出した。
得られた評価結果を表6に示す。
実施例11のグルコース測定用多層試験片は、生化学自動分析装置を用いた方法と同等の再現性(CV<5%)、正確性(自動分析装置の測定値±5%)を有する。
比較例6の多層試験片は、多孔性粘着剤を配していないため、測定試料の展開が不均一となり、再現性、正確性が低下した。
以上の結果より、本発明の多層試験片を用いて測定したグルコース、およびヘモグロビンA1c値は、正確性・再現性に優れていると言える。
本発明の多層試験片を用いることにより、診断の現場で正確、簡便かつ迅速に測定試料中の成分を比色定量することができることから、予防医学に基づく臨床検査分野、診断医療分野、製薬分野および保健医学分野をはじめ、生命科学分野の産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (8)

  1. 測定試料中の成分を比色定量するための生化学分析用多層試験片であって、少なくとも2以上の層からなり、少なくとも1以上の層に酵素および/または酸化還元系発色試薬を含み、かつ少なくとも1組の隣接する2層間が垂直方向に複数個の貫通孔を有する粘着シートにより接合されてなることを特徴とする生化学分析用多層試験片。
  2. 前記粘着シートの開口率が20〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の生化学分析用多層試験片。
  3. 前記粘着シートの平均孔面積が0.005〜1mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の生化学分析用多層試験片。
  4. 前記粘着シートがアクリル樹脂またはウレタン樹脂からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生化学分析用多層試験片。
  5. 測定試料が全血検体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生化学分析用多層試験片。
  6. 測定成分がグルコースであり、酵素が少なくともグルコースオキシダーゼ、およびペルオキシダーゼであり、かつ酸化還元系発色試薬がトリンダー試薬であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生化学分析用多層試験片
  7. 測定成分が糖化ヘモグロビンであり、酵素が少なくともプロテアーゼ、糖化アミノ酸オキシダーゼ、およびペルオキシダーゼであり、かつ酸化還元系発色試薬がロイコ型色素であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生化学分析用多層試験片。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の多層試験片を含むプロダクト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018068278A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 アークレイ株式会社 アンモニアの定量方法、定量試薬キット、試験片及びアンモニアの定量装置

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