JP2014185548A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分離装置によって混合燃料を分離し、分離した燃料を利用して排気を効率的に浄化すること。
【解決手段】排気浄化装置2は、エンジン1の吸入空気中に燃料を噴射するポートインジェクタ62と、排気に含まれる炭化水素を還元剤としてNOxを還元するHC−SCR触媒41と、HC−SCR触媒41の上流側の排気中に燃料を還元剤として供給する排気インジェクタ63と、エタノールとガソリンの混合燃料を、この混合燃料よりも高アルコール濃度の第1燃料と混合燃料よりも低アルコール濃度の第2燃料とに分ける分離装置612と、を備える。ポートインジェクタ62はメインタンク611に貯蔵された第2燃料を噴射し、排気インジェクタ63は第1燃料を噴射する。燃料噴射ECU64は、HC−SCR触媒41の温度に基づいて排気インジェクタ63による第1燃料の噴射量を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】排気浄化装置2は、エンジン1の吸入空気中に燃料を噴射するポートインジェクタ62と、排気に含まれる炭化水素を還元剤としてNOxを還元するHC−SCR触媒41と、HC−SCR触媒41の上流側の排気中に燃料を還元剤として供給する排気インジェクタ63と、エタノールとガソリンの混合燃料を、この混合燃料よりも高アルコール濃度の第1燃料と混合燃料よりも低アルコール濃度の第2燃料とに分ける分離装置612と、を備える。ポートインジェクタ62はメインタンク611に貯蔵された第2燃料を噴射し、排気インジェクタ63は第1燃料を噴射する。燃料噴射ECU64は、HC−SCR触媒41の温度に基づいて排気インジェクタ63による第1燃料の噴射量を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。より詳しくは、エタノールとガソリンの混合燃料を、高エタノール濃度の燃料と低エタノール濃度の燃料とに分ける分離装置を備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関の燃料として、さとうきび、とうもろこし、じゃがいもなど多くの作物から製造できるアルコール燃料が注目されている。特に近年では、アルコール燃料をガソリンに添加した混合燃料が流通しており、今後さらに普及すると予測されている。なお、アルコール燃料にはエタノールやメタノールなど様々な種類があるが、以下では、アルコール燃料として最も多く普及しているエタノールを例として説明する。
このような混合燃料の普及とあわせて、外部から給油された混合燃料を、車両上で高ガソリン濃度の燃料と高エタノール濃度の燃料に再び分離する分離装置に関する研究も進められている。ガソリンとエタノールとでは、例えばオクタン価や発熱量など燃料物性において様々な異なる点があるため、外部から給油された混合燃料をそのまま利用するよりも、車両上で再び分離し、用途に応じてガソリンとエタノールとを使い分けた方が好ましい場合がある。
例えば特許文献1には、分離装置を車両上での水素の生成に応用した技術が開示されている。特許文献1の技術では、より具体的には、排気の一部を吸気に還流する排気還流通路に設けられた燃料改質触媒に対し、分離装置によって抽出した高エタノール濃度の燃料を噴射する。
ところで、外部から給油された燃料は、車両上では、内燃機関における燃焼に使用するだけでなく様々な用途がある。例えば、燃料は、上記特許文献1のように燃料改質触媒を利用して水素を生成するために用いたりする他、排気浄化触媒を利用して内燃機関の排気を浄化するために用いたりする場合もある。このため、混合燃料の分離技術を、排気浄化装置に適用することが考えられるが、具体的にどのようにすれば効率的な排気の浄化が実現できるかについては、まだ十分に検討されていない。
本発明は、分離装置によって混合燃料を分離し、分離した燃料を利用して排気を効率的に浄化する内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気浄化装置(例えば、後述の排気浄化装置2)は、内燃機関の吸入空気中に燃料を噴射する燃料噴射装置(例えば、ポートインジェクタ62)と、前記機関の排気通路に設けられ、排気に含まれる炭化水素を還元剤としてNOxを還元する選択還元触媒(例えば、後述のHC−SCR触媒41)と、前記選択還元触媒の上流側の排気中に燃料を還元剤として供給する還元剤供給装置(例えば、後述の排気インジェクタ63)と、アルコールとガソリンの混合燃料を、当該混合燃料よりも高アルコール濃度の第1燃料と前記混合燃料よりも低アルコール濃度の第2燃料とに分ける分離装置(例えば、後述の分離装置612)と、を備える。前記燃料噴射装置は前記第2燃料を噴射し、前記還元剤供給装置は前記第1燃料を供給する。前記排気浄化装置は、前記選択還元触媒の温度を取得する温度取得装置(例えば、後述の排気温度センサ42、及び燃料噴射ECU64)と、前記取得した温度に基づいて前記還元剤供給装置による第1燃料の供給量を制御する還元剤供給量制御装置(例えば、後述の燃料噴射ECU64、及び図3の処理の実行に係る手段)と、を備える。
(2)この場合、前記還元剤供給量制御装置は、前記取得した温度が所定の活性温度より低い場合には、当該取得した温度に応じた量の第1燃料を供給し、前記取得した温度が前記活性温度以上である場合には第1燃料の供給を停止することが好ましい。
(3)この場合、前記活性温度は、前記選択還元触媒において、前記機関から排出される前記第2燃料に含まれる炭化水素を還元剤としたNOxの還元が開始する温度であることが好ましい。
(4)この場合、前記還元剤供給量制御装置は、前記取得した温度が低くなるほど第1燃料の供給量を増加させることが好ましい。
(1)本発明では、選択還元触媒を排気通路に設けた。また本発明では、分離装置によって混合燃料を、高アルコール濃度の第1燃料と低アルコール濃度の第2燃料とに分け、第1燃料は選択還元触媒へ供給し、第2燃料は内燃機関に供給する。これにより、選択還元触媒では、排気にもともと含まれている第2燃料由来の未燃炭化水素と還元剤供給装置から供給された高アルコール濃度の第1燃料とを還元剤としたSCR反応が進行し、排気中のNOxが還元される。
ところで、選択還元触媒によるNOxの還元性能は、その温度に応じて大きく変化する。特に、排気中に含まれている未燃炭化水素のみでは、十分にNOxを還元できない温度域が存在する。また、排気に含まれている第2燃料由来の未燃炭化水素と、還元剤供給装置から供給される高アルコール濃度の第1燃料とを比較すると、選択還元触媒に還元剤として供給したときの効果が異なる。より具体的には、選択還元触媒で進行するSCR反応では第2燃料よりも第1燃料の方がNOxを還元するための反応パスが短い。したがって、第2燃料より第1燃料の方が低温からSCR活性が得られる。また、第2燃料より第1燃料の方が酸素を多く含む。したがって、第2燃料より第1燃料の方が選択還元触媒の状態をより活性の高い状態にできる。本発明では、温度取得装置によって取得した温度に応じて第1燃料の選択還元触媒への供給量を制御することにより、第1燃料と第2燃料の還元剤としての効果の相違を考慮し、排気中の未燃炭化水素のみでは十分にNOxを還元できない温度域におけるNOx浄化率の低下を防止できる。
(2)上述のように第2燃料由来の未燃炭化水素と第1燃料とを比較すると、特に低温側では第1燃料の方がNOx浄化率の向上に寄与する効果が大きい。本発明では、取得した温度が所定の活性温度より低い場合には第1燃料を選択還元触媒に供給することにより、低温側におけるNOx浄化率が、高温側と同程度になるように向上できる。また、このように低温側のNOx浄化率を第1燃料の供給によって補うことにより、従来であれば必要であった選択還元触媒の昇温制御が不要となるため、車両全体での燃費を向上できる。
(3)本発明では、選択還元触媒において第2燃料に含まれる炭化水素を還元剤としたNOxの還元が開始する温度を活性温度と定義する。そして、選択還元触媒の温度がこの活性温度より低い場合には第1燃料を還元剤として供給することにより、活性温度より低い低温側におけるNOx浄化率を向上できる。また、選択還元触媒の温度が活性温度以上である場合には第1燃料の供給を停止することにより、第1燃料の無駄な消費を抑制できる。また、このような活性温度を境として第1燃料を供給したり、停止したりすることにより、低温側から高温側まで平均的にNOx浄化率を向上できる。
(4)本発明では、取得した温度が低くなるほど第1燃料の供給量を増加させる。これにより、選択還元触媒によるNOx浄化率を、低温側から高温側まで平均的に向上できる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関(以下、単に「エンジン」という)1及びその排気浄化装置2の構成を示す図である。
図1は、本実施形態に係る内燃機関(以下、単に「エンジン」という)1及びその排気浄化装置2の構成を示す図である。
エンジン1には、吸気が流れる吸気管3と、排気が流れる排気管4と、吸気管3内の吸気をエンジン1へ圧送する過給機5と、エンジン1及び排気管4へ燃料を供給する燃料供給システム6と、が設けられている。
エンジン1は、複数のシリンダ13を備えた多気筒エンジンである。図1には、このうちの1つを代表的に示す。エンジン1は、シリンダ13が形成されたシリンダブロック11と、シリンダヘッド12とを組み合わせて構成される。シリンダ13内には、ピストン14が摺動可能に設けられている。ピストン14の頂面とシリンダヘッド12のシリンダ13側の面により、エンジン1の燃焼室1aが形成される。ピストン14は、コンロッドを介して図示しないクランクシャフトに連結されている。すなわち、シリンダ13内におけるピストン14の往復動に応じてクランクシャフトが回転する。
シリンダヘッド12には、燃焼室1aと吸気管3とを接続する吸気ポート15と、燃焼室1aと排気管4とを接続する排気ポート16と、が形成されている。吸気ポート15のうち燃焼室1aに臨む吸気開口は吸気バルブ17により開閉される。排気ポート16のうち燃焼室1aに臨む排気開口は排気バルブ18により開閉される。また、シリンダヘッド12には、燃焼室1a内に臨む点火プラグ19が設けられている。
過給機5は、排気管4に設けられたタービン(図示せず)と、吸気管3に設けられたコンプレッサ(図示せず)と、を備える。タービンは、排気管4を流れる排気の運動エネルギーによって駆動される。コンプレッサは、タービンによって回転駆動され、吸気管3内の吸気をエンジン1へ圧送する。
吸気管3には、上流側から下流側へ向かって順に、過給機5のコンプレッサと、スロットル弁31とが設けられている。スロットル弁31は、エンジン1の燃焼室1aに供給される空気の流量(以下、「吸気流量」という)を制御する。排気管4には、上流側から下流側へ向かって順に、過給機5のタービンと、排気を浄化する選択還元触媒41とが設けられている。
選択還元触媒41は、還元剤の存在下で排気中のNOxを選択的に還元する。選択還元触媒41は、エンジン1から排出された排気中に含まれる未燃炭化水素、及び後述の排気インジェクタ63から供給された燃料を還元剤として、排気中のNOxを還元する。以下では、この選択還元触媒41を、「HC−SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒」という。このHC−SCR触媒41の触媒材料には、例えばAg/Al2O3が用いられる。
燃料供給システム6は、燃料を蓄える燃料貯蔵装置61と、燃料貯蔵装置61によって蓄えられた燃料をエンジン1の吸気に噴射するポートインジェクタ62と、燃料貯蔵装置61によって蓄えられた燃料を排気管4内に噴射する排気インジェクタ63と、これらインジェクタ62,63からの燃料噴射量を制御する電子制御ユニット(以下、「燃料噴射ECU」という)64と、を備える。
燃料貯蔵装置61は、給油口Fから供給されたエタノールとガソリンの混合燃料が導入されるメインタンク611と、メインタンク611内の混合燃料を分離する分離装置612と、分離装置612によって分離された燃料を蓄えるサブタンク613と、を備える。分離装置612は、メインタンク611内に貯蔵された混合燃料から、エタノール及び芳香族を分離し、これをサブタンク613に供給する。
分離装置612は、例えば、浸透気化法(パーベーパレーション法)によって、メインタンク611内に貯蔵された混合燃料を、この混合燃料よりも高エタノール濃度の第1燃料と、混合燃料よりも低エタノール濃度の第2燃料と、に分離する。分離装置612は、混合燃料から分離した第1燃料をサブタンク613に供給し、残る第2燃料をメインタンク611に戻す。
より具体的には、分離装置612は、混合燃料中の特定成分を選択的に透過させる分離膜612aと、この分離膜612aによって区画された高圧室612bと低圧室612cと、を備える。この分離装置612では、高圧室612bにメインタンク611内に貯蔵されている燃料を循環させ、低圧室612cを図示しないポンプによって減圧すると、高圧室612bを循環する混合燃料の一部が蒸発し、低圧室612c側へ透過し、サブタンク613に供給される。これにより、サブタンク613には、主にエタノールと芳香族からなる第1燃料が貯蔵され、メインタンク611には、主にガソリンからなる第2燃料が貯蔵される。
ポートインジェクタ62は、メインタンク611内に貯蔵された第2燃料をエンジン1における燃焼に供するための燃焼燃料として、吸気ポート15内の吸入空気中に噴射する。ポートインジェクタ62は、図示しない駆動装置を介して燃料噴射ECU64に接続される。燃料噴射ECU64は、図示しない処理に従ってポートインジェクタ62からの燃焼燃料の噴射量を設定し、駆動装置は、設定された量の第2燃料が噴射されるようにポートインジェクタ62を駆動する。
排気インジェクタ63は、排気管4のうち、HC−SCR触媒41の上流側の排気中に、サブタンク613に貯蔵された第1燃料をHC−SCR触媒41における還元剤として噴射する。排気インジェクタ63は、図示しない駆動装置を介して燃料噴射ECU64に接続される。燃料噴射ECU64は、後述の図3に示す手順に従って排気インジェクタ63からの還元剤の噴射量を設定し、駆動装置は、設定された量の第1燃料が噴射されるように排気インジェクタ63を駆動する。
燃料噴射ECU64には、エンジン1及び排気浄化装置2の状態を検出するためのセンサとして、吸気流量センサ32、及び排気温度センサ42等が接続されている。吸気流量センサ32は、吸気管3内の吸気流量を検出し、検出値に略比例した信号を燃料噴射ECU64に送信する。排気温度センサ42は、HC−SCR触媒41の温度を取得するため、排気管4のうちHC−SCR触媒41の下流側の排気の温度を検出し、検出値に略比例した信号を燃料噴射ECU64に送信する。
次に、HC−SCR触媒における還元剤として、第1燃料を利用することによる効果について詳細に検討する。
図2は、HC−SCR触媒の温度[℃]とそのNOx浄化率[%]との関係を示す図である。図2には、エタノールを排気に添加しなかった場合(すなわち、排気に含まれる未燃炭化水素のみを還元剤とした場合)と、所定量のエタノールを添加した場合とを示す。なお、図2には、目標とするNOx浄化率を太破線で示す。以下では、この目標浄化率を目安として説明する。また図2の例では、エタノールの添加量を少量と多量の2段階に分けた。より具体的には、少量添加時にHC−SCR触媒に流入する排気のエタノール濃度は500[ppmC]となり、多量添加時のエタノール濃度は800[ppmC]となった。
図2は、HC−SCR触媒の温度[℃]とそのNOx浄化率[%]との関係を示す図である。図2には、エタノールを排気に添加しなかった場合(すなわち、排気に含まれる未燃炭化水素のみを還元剤とした場合)と、所定量のエタノールを添加した場合とを示す。なお、図2には、目標とするNOx浄化率を太破線で示す。以下では、この目標浄化率を目安として説明する。また図2の例では、エタノールの添加量を少量と多量の2段階に分けた。より具体的には、少量添加時にHC−SCR触媒に流入する排気のエタノール濃度は500[ppmC]となり、多量添加時のエタノール濃度は800[ppmC]となった。
エタノールを添加しない場合、NOx浄化率は特に低温側において著しく低下する。より具体的には、未燃炭化水素のみを利用した場合のNOx浄化率は、約350〜400℃の間において立ち上がり、その後、目標浄化率の近傍において概ね一定となる。以下では、この立ち上がり温度(約350〜400℃)、すなわち排気中に含まれる未燃炭化水素によるNOxの浄化が開始する温度を、HC−SCR触媒の活性温度と定義する。なお、エンジンには第2燃料を供給することから、この未燃炭化水素とは第2燃料に由来する。
エタノールを排気に添加した場合、図2に示すように、NOx浄化率は全ての温度領域においてエタノールを添加しなかった場合を上回る。より具体的には、エタノールを還元剤とした場合、NOx浄化率は、上述の活性温度よりも200℃以上も低い温度から立ち上がり、その後概ね一定となる。これは、Ag/Al2O3を備えたHC−SCR触媒に対しては、ガソリンよりも多くの酸素を含むエタノールを還元剤とした方が、低温からのNOx浄化活性において有利に作用するからである。以上より、HC−SCR触媒の温度が活性温度より低い場合には、排気中にエタノールを添加することによって、全ての温度領域においてNOx浄化率をできるだけ目標浄化率に近づけられることが検証された。
次に、エタノールの具体的な添加量について検討する。多量添加時と少量添加時とを比較して明らかなように、より多くエタノールを添加した方が、NOx浄化率は上昇する。より具体的には、エタノールの添加量を多くした方が、NOx浄化率が立ち上がる温度は低くなり、またNOx浄化率の最高値も上昇する。ここで、例えば、少量添加時におけるNOx浄化率が目標浄化率を上回る温度(図2の例では、約250℃)を基準とする。そうすると、HC−SCR触媒の温度が基準温度より低い場合には、エタノールの添加量を少量添加時よりもできるだけ多くし、HC−SCR触媒の温度が基準温度以上である場合には、エタノール添加量を少量添加時と同程度まで減らすことにより、できるだけ全ての温度領域においてNOx浄化率を目標浄化率に近づけながら、エタノールの無駄な消費を抑制できる。
次に、還元剤噴射量を設定する具体的な手順について説明する。
図3は、還元剤噴射量を設定する手順を示すフローチャートである。この図3に示す処理は、燃料噴射ECUにおいて所定の周期ごとに実行される。
図3は、還元剤噴射量を設定する手順を示すフローチャートである。この図3に示す処理は、燃料噴射ECUにおいて所定の周期ごとに実行される。
S1では、排気温度センサの出力に基づいてHC−SCR触媒の温度の推定値Tcatを算出し、S2に移る。S2では、推定した触媒温度TcatがHC−SCR触媒の所定の活性温度Tcat_actより低いか否かを判別する。ここで、活性温度Tcat_actとは、図2を参照して説明したように、HC−SCR触媒において第2燃料の未燃炭化水素によるNOxの浄化が開始する温度に相当し、例えば400℃程度である。S2の判別がNOである場合には、すなわち、現在の触媒温度Tcatが活性温度Tcat_act以上である場合には、S3に移り、HC−SCR触媒が活性してから(すなわち、TcatがTcat_actを超えてから)所定時間が経過したか否かを判別する。そして、S3の判別がYESである場合には、S4に移り、還元剤噴射量を0とし、この処理を終了する。すなわち、還元剤の噴射を停止する。
S3の判別がNOである場合、すなわちHC−SCR触媒の活性後間もない場合には、還元剤の噴射を継続すべく、S5に移る。上述のように、HC−SCR触媒が活性すれば、排気に含まれる第2燃料の未燃炭化水素のみにより、目標浄化率を達成できると考えられる。しかしながらこの活性温度には、ばらつきがある。したがって、このような活性温度のばらつきによるNOx浄化率の低下を防ぐため、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えてからもしばらくは還元剤を供給し続ける方が好ましい。
S2の判別がYESである場合には、S5に移り、HC−SCR触媒に流入する排気に対する最適なエタノール濃度Cetを算出し、S5に移る。このエタノール濃度Cetは、例えば、推定した触媒温度Tcatに基づいて所定のマップを検索することによって算出される。
図4は、排気のエタノール濃度Cetを決定するためのマップの具体例を示す図である。
上述のように、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えると、排気に含まれている第2燃料の未燃炭化水素のみによるNOxの浄化が開始する。したがって、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えると、基本的には還元剤の噴射は停止されるので(図3のS4参照)、排気中のエタノール濃度は図4中破線で示すように0[ppmC]となる。ただし、上述のように活性温度のばらつきによるNOx浄化率の低下を防ぐため、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えた後も所定時間は還元剤の噴射を継続する。これを考慮して、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_act以上である場合には、エタノール濃度Cetを、例えば500[ppmC]程度に設定する。
上述のように、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えると、排気に含まれている第2燃料の未燃炭化水素のみによるNOxの浄化が開始する。したがって、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えると、基本的には還元剤の噴射は停止されるので(図3のS4参照)、排気中のエタノール濃度は図4中破線で示すように0[ppmC]となる。ただし、上述のように活性温度のばらつきによるNOx浄化率の低下を防ぐため、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_actを超えた後も所定時間は還元剤の噴射を継続する。これを考慮して、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_act以上である場合には、エタノール濃度Cetを、例えば500[ppmC]程度に設定する。
また、上述のように、触媒温度Tcatが活性温度より低い場合には、目標浄化率を達成するには、排気に含まれている第2燃料の未燃炭化水素のみでは不十分であるため、第1燃料を添加する必要がある。また、エタノール濃度が高くなるほどHC−SCR触媒のNOx浄化率が立ち上がる温度も低くなる。そこで、活性温度より低い基準温度(例えば、250℃)を設定し、この基準温度を境としてエタノール濃度を変化させる。より具体的には、触媒温度Tcatが基準温度より低い場合には、エタノール濃度をできるだけ高くする(例えば、600[ppmC])。また、触媒温度Tcatが基準温度以上であり活性温度より低い場合には、基準温度から活性温度にかけて、例えば800[ppmC]から500[ppmC]まで一定の割合で低下するようにエタノール濃度Cetを設定する。
なお、図4に示すエタノール濃度Cetを決定するためのマップは、あくまで一例である。例えば、触媒温度Tcatが活性温度Tcat_act以上である場合には、エタノール濃度Cetを500[ppmC]としたが、本発明はこれに限らない。このときのエタノール濃度Cetは、500[ppmC]より低くしてもよいし、高くしてもよい。また、触媒温度Tcatが基準温度より低い場合には、エタノール濃度Cetを800[ppmC]としたが、本発明はこれに限らない。このときのエタノール濃度Cetは、800[ppmC]より低くしてもよいし、高くしてもよい。
図3に戻って、S6では、上記算出したエタノール濃度Cet、排気の流量、及びサブタンク内の第1燃料のエタノール濃度などに基づいて、還元剤噴射量を算出する。より具体的には、HC−SCR触媒に流入する排気のエタノール濃度が、上記S5で決定した濃度Cetになるようにするために、排気インジェクタから単位時間当たりに噴射すべき第1燃料の量を算出し、これを還元剤噴射量とする。なお、HC−SCR触媒に流入する排気の流量は、吸気流量センサの出力及びポートインジェクタから噴射された燃焼燃料量に基づいて算出される。また、サブタンク内に蓄えられた第1燃料のエタノール濃度は、実験により予め定められた値や、図示しない濃度センサによって直接検出された値などが用いられる。
以上のような手順に従って還元剤噴射量を設定することにより、HC−SCR触媒のNOx浄化率を全ての温度領域においてできるだけ目標浄化率に近づけることができる。
図5は、走行中の車両におけるHC−SCR触媒の具体的な温度変化を示す図である。なお、図5は、HC−SCR触媒を排気管内のうちエンジンの直下の区間(エンジンルーム内)に設けた場合を示す。
この図5に示すように、実際の走行中の車両において、HC−SCR触媒の温度は活性温度(例えば、400℃)を頻繁に下回る。したがって、図3に示す手順に従って高エタノール濃度の第1燃料を還元剤として供給することにより、HC−SCR触媒におけるNOx浄化率の向上に寄与する効果は大きい。
この図5に示すように、実際の走行中の車両において、HC−SCR触媒の温度は活性温度(例えば、400℃)を頻繁に下回る。したがって、図3に示す手順に従って高エタノール濃度の第1燃料を還元剤として供給することにより、HC−SCR触媒におけるNOx浄化率の向上に寄与する効果は大きい。
1…エンジン(内燃機関)
2…排気浄化装置
41…HC−SCR触媒(選択還元触媒)
42…排気温度センサ(温度取得装置)
6…燃料供給システム
61…燃料貯蔵装置
612…分離装置
62…ポートインジェクタ(燃料噴射装置)
63…排気インジェクタ(還元剤供給装置)
64…燃料噴射ECU(還元剤供給量制御装置、温度取得装置)
2…排気浄化装置
41…HC−SCR触媒(選択還元触媒)
42…排気温度センサ(温度取得装置)
6…燃料供給システム
61…燃料貯蔵装置
612…分離装置
62…ポートインジェクタ(燃料噴射装置)
63…排気インジェクタ(還元剤供給装置)
64…燃料噴射ECU(還元剤供給量制御装置、温度取得装置)
Claims (4)
- 内燃機関の吸入空気中に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
前記機関の排気通路に設けられ、排気に含まれる炭化水素を還元剤としてNOxを還元する選択還元触媒と、
前記選択還元触媒の上流側の排気中に燃料を還元剤として供給する還元剤供給装置と、
アルコールとガソリンの混合燃料を、当該混合燃料よりも高アルコール濃度の第1燃料と前記混合燃料よりも低アルコール濃度の第2燃料とに分ける分離装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置であって、
前記燃料噴射装置は前記第2燃料を噴射し、前記還元剤供給装置は前記第1燃料を供給し、
前記選択還元触媒の温度を取得する温度取得装置と、
前記取得した温度に基づいて前記還元剤供給装置による第1燃料の供給量を制御する還元剤供給量制御装置と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記還元剤供給量制御装置は、前記取得した温度が所定の活性温度より低い場合には、当該取得した温度に応じた量の第1燃料を供給し、前記取得した温度が前記活性温度以上である場合には第1燃料の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記活性温度は、前記選択還元触媒において、前記機関から排出される前記第2燃料に含まれる炭化水素を還元剤としたNOxの還元が開始する温度であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記還元剤供給量制御装置は、前記取得した温度が低くなるほど第1燃料の供給量を増加させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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JP2013060083A JP2014185548A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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