JP2014184787A - スクリーン可変構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウインドスクリーンの位置調節を、簡易な機構で簡単に操作することができるスクリーン可変構造を提供する。
【解決手段】支持体35を介して車体フレーム(メーターステー)に支持されたウインドスクリーン21の位置を変更するスクリーン可変構造26であって、手動式の操作部と、操作部と支持体35とを連結し、支持体35を移動させ、操作部の操作量に応じてウインドスクリーン21の位置を段階的に変更して保持するラチェット機構を含んで構成される可変機構33と、ラチェット機構の移動方向とは反対方向に付勢力を作用させる戻しバネ31と、を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動二輪車に好適に用いられるスクリーン可変構造に関する。
自動二輪車のウインドスクリーンとして、乗員の体格、姿勢や走行状態に応じて、高さや角度を段階的に調整可能な機構を備えたものが知られている。
例えば、特許文献1には、フロントカウルとウインドスクリーンとの間に設けられた凹凸係合部の噛み合い位置を手動で変更することにより、ウインドスクリーンを回動させ、その角度を調整する技術が開示されている。
また例えば、特許文献2には、電動機(モータ)を駆動させ、回転軸等を介して複数の誘導連結棒を回動させることでウインドスクリーンの位置調整を行う技術が開示されている。
実開昭63−201889号公報 特開平07−329859号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ウインドスクリーンの角度を調整するために、凹凸係合部の噛み合い位置を確認しながら、適度な力加減で操作しなければならなかった。したがって、ウインドスクリーンを所望の角度とするためには慣れや経験を要するため、角度調整操作を簡単に行うことができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の技術では、ウインドスクリーンの下方に電動機および動力伝達機構を配置するスペースを確保する必要があるため、例えば、アッパーカウルが肥大化して乗員の前下方視界を確保し難くなる虞があった。さらに、機構が複雑化するため重量が増加するという問題もあった。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、ウインドスクリーンの位置調節を、簡易な機構で簡単に操作することができるスクリーン可変構造を提供することを目的とする。
本発明のスクリーン可変構造は、支持体を介して車体に支持されたウインドスクリーンの位置を変更するスクリーン可変構造であって、手動式の操作部と、前記操作部と前記支持体とを連結し、前記支持体を移動させ、前記操作部の操作量に応じて前記ウインドスクリーンの位置を段階的に変更して保持するラチェット機構を含んで構成される可変機構と、前記ラチェット機構の移動方向とは反対方向に付勢力を作用させる付勢手段と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、付勢手段の付勢力に抗してラチェット機構を移動させることで、ウインドスクリーンの位置(高さや傾斜角度)が段階的に調整される。また、付勢手段がラチェット機構の移動方向とは反対方向に付勢力を作用させているため、ウインドスクリーンは調整された位置に保持される。さらに、乗員がラチェット機構の噛み合い位置を確認しながら微調整を行う必要が無く、段階的なウインドスクリーンの高さや傾斜角度の調整を、操作部の操作量に連動させることができる。これにより、ラチェット機構を用いた簡易な機構で、乗員が簡単に操作することができる。
この場合、前記操作部は、前記支持体から離間して配置され、前記可変機構は、前記操作部と前記支持体とを接続し、前記支持体を移動させるケーブルを有していることが好ましい。
この構成によれば、操作部が支持体(ウインドスクリーン)から離れて配置されているため、支持体周りをコンパクトに構成することができる。これにより、例えば、支持部等を内設するアッパーカウルを小型化することができ、乗員の前下方視界を容易に確保することができる。また、操作部を自由な位置に設けることができるため、乗員が操作し易い位置に操作部を配置することができる。
また、この場合、前記支持体は、一対設けられ、前記一対の支持体は、一端が前記車両に上下方向に離間して接続され、他端が前記ウインドスクリーンに上下方向に離間して接続され、前記ケーブルは、前記下側の支持体に接続されていることが好ましい。
この構成によれば、ケーブルは下側の支持体に接続されているため、例えば、ケーブルをアッパーカウル内に収容することができる。これにより、乗員が視認できる位置にケーブルが露出することを防止でき、簡潔な外観となるため、乗員の視界や操作の妨げになることを防止することができる。
また、この場合、前記ケーブルが接続された前記支持体は、上下方向に揺動可能に設けられたリンクであることが好ましい。
この構成によれば、リンクとケーブルとの接続位置を自由に設定することができる。これにより、例えば、支持体としてレール上をスライドさせる構造を用いた場合に比して、乗員による操作部の操作量や操作力を最適化できるため、操作性の向上を図ることができる。
この場合、前記リンクは、前記車体側に設けられた揺動軸に回動可能に支持されると共に、前記ウインドスクリーンに設けられた支持軸に回動可能に支持され、前記リンクと前記ケーブルとの接続部分である操作軸は、前記揺動軸を挟んで前記支持軸の反対側に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、リンクの揺動軸と、ケーブルが接続する操作軸との距離を自由に設定することができるため、操作部の操作にかかる力を容易に調整することができる。また、例えば、アッパーカウルの内側にケーブルを収容可能となるため、ケーブルが外部に露出せず、簡潔な外観になると共に、ケーブルの劣化を適切に抑制することもできる。
この場合、前記操作部は、前記車両の前方に配置されたフロントパネルに設けられることが好ましい。
この構成によれば、乗車状態の乗員が手を伸ばして操作し易い前方に操作部が配設されているため、例えば、信号待ち等の短時間の車両停車時においても、ウインドスクリーンの位置調整を迅速に行うことができる。つまり、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
この場合、前記操作部は、前記車両のハンドルのグリップ部または該グリップ部の近傍に設けられることが好ましい。
この構成によれば、乗車状態の乗員が僅かに手を動かすことで操作可能な位置に操作部が配設されているため、短い停車時間でも、ウインドスクリーンの位置調整を迅速に行うことができる。つまり、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
この場合、前記操作部は、前記車両の着座部の下方側面部に設けられることが好ましい。
この構成によれば、乗車状態の乗員が手を伸ばしやすい位置に操作部が配設されているため、短い停車時間でも、ウインドスクリーンの位置調整を迅速に行うことができる。つまり、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
本発明によれば、ウインドスクリーンの位置調整に係る機構を簡略化することができると共に、ウインドスクリーンの位置調整操作を簡単に行うことができる。
本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車を示しており、(a)は主に前側を示す斜視図、(b)はフロントパネルおよび操作部を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造の支持機構を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造の支持機構を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造を示しており、(a)は可変機構を示す側面図であり、(b)はラチェット部を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン可変構造の支持機構の動作を模式的に示す側面図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車を部分的に示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン可変構造の可変機構を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン可変構造の可変機構を示す底面図である。 図10におけるT−T断面図である。 図10におけるV−V断面図である。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、車両の進行(前進)方向を前方とし、車両に搭乗した乗員を基準にして、各図に矢印で示すように前後、左右および上下を規定する。
<第1実施形態>
まず、図1を参照して、第1実施形態に係るスクリーン可変構造が搭載された自動二輪車の全体の構成について説明する。ここで、図1は自動二輪車を示す側面図である。図2(a)は主に自動二輪車の前側を示す斜視図、図2(b)はフロントパネルおよび操作部を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、スクータータイプの自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2に搭載されたエンジン(図示せず)と、車体フレーム2およびエンジンを覆う車体外装としての車体カバー3と、を備えて概略構成されている。
車体フレーム2の前部に設けられたヘッドパイプ(図示せず)には、一対のフロントフォーク4が左右操舵可能に支持されている。一対のフロントフォーク4の下端部には前輪5が軸支され、前輪5の上方を覆うようにしてフロントフェンダー6が設けられている。また、一対のフロントフォーク4の上部には、前輪5を操舵するためのハンドルバー7が設けられている。
車体フレーム2の後部には、スイングアームとして機能する変速機ケース10が上下方向に揺動可能に連結されている。変速機ケース10の後端部には、駆動輪としての後輪11が軸支され、後輪11の上方を覆うようにしてリアフェンダー12が設けられている。車体フレーム2の後側上部には着座シート13が設けられている。なお、変速機ケース10の内部には、ベルト式無段変速機が収容されている。
車体カバー3は、乗員の前方を保護するフロントカウル14と、フロントカウル14の背面側に設けられ、乗員の脚部を保護するレッグシールド15と、レッグシールド15の下端から後方に向って延設されるステップボード16と、ステップボード16の後方で着座シート13の下側に設けられるシートカウル17と、を含んで構成されている。
フロントカウル14は、上側に配置されるアッパーカウル18と、アッパーカウル18の下側に配置されるアンダーカウル19と、を有している。
アッパーカウル18の前面には、ヘッドランプ20が設けられ、ヘッドランプ20の上方には風除け用のウインドスクリーン21が設けられている。また、ハンドルバー7とウインドスクリーン21との間、すなわちアッパーカウル18の内部には、車両速度やエンジン回転数を表示するメーター22が設けられている。メーター22は、斜め後ろ上方に表示面を向けた状態で、メーターパネル22aに嵌め込まれている。メーターパネル22aは、車体フレーム2の前端上部から上方に向かって延出し、正面視でU字状に形成されたメーターステー23の水平部23aに固定されている(図3参照)。
レッグシールド15の上端面には、後方に下傾したフロントパネル24が設けられている。フロントパネル24の前側にはハンドルバー7が左右操舵可能に配設され、フロントパネル24の後側には各種スイッチ等が配設されている。
また、車体の左右方向略中央には、レッグシールド15とシートカウル17とを連ねるようにセンターコンソール25が前後方向に延設されている。レッグシールド15とステップボード16とによって形成された乗員の脚部を置く空間は、センターコンソール25によって左右に分割されている。また、センターコンソール25の内部には、燃料タンク(図示せず)が収容されている。
シートカウル17の内側には、車体フレーム2に搭載されたエンジンが収容されている。エンジンは、ガソリンを燃料とし、その駆動力は、変速機ケース10内のベルト式無段変速機を介して後輪11に伝達されるようになっている。
上記したウインドスクリーン21は、透明な樹脂材料により、平面視で前側に突出するように僅かに湾曲した形状を有している。ウインドスクリーン21は、側面視で後方に向かって上傾した状態でアッパーカウル18の上端部に設けられている。このウインドスクリーン21にはスクリーン可変構造26が設けられ、乗員の体格や乗車姿勢等、或いは、乗員の好みに応じてウインドスクリーン21の高さおよび傾斜角度を調整することができるようになっている。
次に、図2ないし図6を参照して、スクリーン可変構造26について詳細に説明する。
図3はスクリーン可変構造26の支持機構を示す正面図であり、図4は支持機構を示す側面図である。図5(a)は可変機構を示す側面図であり、図5(b)はラチェット部を示す側面図である。図6は、スクリーン可変構造の支持機構の動作を模式的に示す側面図である。
図2ないし図5に示すように、スクリーン可変構造26は、車体に対し、ウインドスクリーン21を移動可能に支持する支持機構30と、ウインドスクリーン21を下方に向かって付勢する付勢手段としての戻しバネ31と、手動式の操作部32と、操作部32と支持機構30とを連結し、ウインドスクリーン21の位置を変更する可変機構33と、を備えている。
図3および図4に示すように、支持機構30は、メーターステー23に支持される左右一対のベースブラケット34と、各ベースブラケット34に回動可能に軸支される上下一対の支持体35が左右二組と、各組の支持体35とウインドスクリーン21との間に設けられる左右一対のリンクブラケット36と、を有している。
左側(図3において右側)のベースブラケット34は、板状の金属材料から成り、側面視で下部を後方に屈曲させたL字状に形成されている(図4参照)。このベースブラケット34には、後方に向かって延出するベース固定部34aと、前方に向かって延出する上下一対の揺動支持部34bと、屈曲させた下端部に形成されるベース側固定部34cと、が設けられている。
ベース固定部34aは、ベースブラケット34の上部に設けられ、メーターステー23の水平部23aに嵌合して、図示しないボルトナット等により締め付けられて固定されている。これにより、ベースブラケット34は、最下端に移動された状態のウインドスクリーン21と略平行となる角度でメーターステー23(水平部23a)に固定される(図4参照)。
一対の揺動支持部34bは、上下方向に互いに離間して設けられている。詳細には、一対の揺動支持部34bは、ベースブラケット34の前面において、ベース固定部34aより上側と、上下方向中央より下側とに、それぞれ突設されている。
右側(図3において左側)のベースブラケット34は、概略板状に形成されており、ベース側固定部34cが省略されていること以外は、上記した右側のベースブラケット34と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
各組の上下一対の支持体35は、上下方向に互いに離間して設けられた板状の所謂リンクである。なお、各組の一対の支持体35は、それぞれ同一の形状であるため、左側(図3において右側)に位置する上下一対の支持体35について説明する。また、以下の説明では、便宜上、上側の支持体35を第1リンク40と呼び、下側の支持体35を第2リンク41と呼ぶこととする。
第1リンク40の後端部(一端)は、ベースブラケット34の上側の揺動支持部34bに設けられた第1揺動軸40aに回動可能に支持されている。また、第1リンク40の前端部(他端)は、リンクブラケット36の上端部に設けられた第1支持軸40bに回動可能に支持されている。なお、各リンクブラケット36は、ウインドスクリーン21の下側後面に固定されている。
第2リンク41は、前後方向中央から後寄りの位置(一端)で、ベースブラケット34の下側の揺動支持部34bに設けられた第2揺動軸41aに回動可能に支持されている。また、第2リンク41の前端部(他端)は、リンクブラケット36の下端部に設けられた第2支持軸41bに回動可能に支持されている。さらに、第2リンク41は、第2揺動軸41aよりも後方に延出して設けられている。
左右一対の第2リンク41は、連結部37によって所定の間隔を有して連結されている(図3参照)。この連結部37により、左側の第2リンク41の回動(揺動)に、右側の第2リンク41を従動させることができる。
ここで、部材としては、第1リンク40よりも第2リンク41の方が前後方向に長く形成されているが、リンクとしては、第2リンク41よりも第1リンク40の方が長く形成されている。すなわち、第1揺動軸40aと第1支持軸40bとの間の距離Aは、第2揺動軸41aと第2支持軸41bとの間の距離Bよりも長くなるように構成されている(図6参照)。
戻しバネ31は、所謂コイルバネであり、軸方向両端にはフック31aが形成されている。左側のベースブラケット34のベース固定部34aと第2リンク41との間で、ベースブラケット34と平行となるように掛け渡されている。詳細には、戻しバネ31の一端のフック31aは、ベース固定部34aに開口した孔に引っ掛けられ、他端のフック31aは、第2リンク41の第2揺動軸41aの後側に開口した孔に引っ掛けられている。これにより、戻しバネ31は、第2リンク41の後部を引き上げる方向に付勢力を作用させる。
図2に示すように、操作部32は、各支持体35から後方に離間したフロントパネル24の略中央に配置されている。操作部32は、正面視で矩形状に形成され、側面視で前側が突出して、乗員が把持し易いように形成されている。
図5に示すように、可変機構33は、フロントパネル24の下側内部(アッパーカウル18内)に配設されている。可変機構33は、操作部32の操作量に応じてウインドスクリーン21の位置を段階的に変更して保持するラチェット機構42と、ラチェット機構42を介して操作部32と第2リンク41とを接続し、各支持体35を移動させるケーブル43と、を有している。
ラチェット機構42は、支持プレート44と、支持プレート44に回動可能に軸支されるレバープレート45と、支持プレート44とレバープレート45との間に設けられるラチェット部46と、レバープレート45を後方に向かって付勢する係止解除バネ47と、を有している。
支持プレート44は、板状の金属材料から成り、側面視で上側後方に向かって湾曲して概略形成されている。支持プレート44の上下方向略中央で後寄りには、レバー回動軸50が突設されている。支持プレート44の前端下部には、機構側バネ掛合部51が前方に向かって突設され、機構側バネ掛合部51の下方には、機構側固定部52が左方に向かって屈曲されて形成されている。
同様に、レバープレート45は、板状の金属材料から成り、側面視で上側後方に向かって湾曲した形状に概略形成されている。レバープレート45の上端部は、フロントパネル24において前後方向に切り込まれたスリット24a(図2参照)から外部に露出している。この露出したレバープレート45の上端部には操作部32が固定される。
また、レバープレート45は、その下部後寄りの位置で、レバー回動軸50に回動可能に支持されている。レバープレート45の回動に従って、操作部32がスリット24aに沿って前後方向にスライドするようになっている。
レバープレート45の下部前寄りには、略1/4円環状の係合プレート53が固定されている。係合プレート53の上端部には、ケーブル係合孔54が形成され、側面視で係合プレート53の略中央には、レバー側バネ掛合部55が左方に向かって突設されている。
ラチェット部46は、複数の歯部56aが前後方向に並設されたラック56と、各歯部56aに係止される歯止め爪57と、を有している。
図5(b)に良く示されるように、ラック56は、支持プレート44の上部後側角に形成された切欠部44aの上面に設けられている。ラック56の各歯部56aは、やや後方に上傾して形成されている。また、ラック56の前方には、爪逃し部56bが下方に向かって凹設されている。
歯止め爪57は、先端(下端)が後方に屈曲した爪部57aを有し、側面視で鉤爪状に形成されている。歯止め爪57は、爪部57aが各歯部56aに引っ掛かる位置でレバープレート45に回動可能に取り付けられている。詳細には、歯止め爪57には、略前後方向に細長い摺動孔57bが形成されており、この摺動孔57bにレバープレート45に突設された円筒軸58が挿入される。これにより、歯止め爪57は、円筒軸58に対し回動且つスライド可能に支持される。また、レバープレート45には、歯止め爪57をラック56側に付勢する捩りコイルバネ59が設けられている。
なお、歯止め爪57が上記した爪逃し部56bに臨むと、歯止め爪57の先端は、いずれの歯部56aにも係止されていない係止解除状態となる。また、ラック56に歯止め爪57が係止された状態では、ラック56に対して歯止め爪57を後方に移動させることはできるが、前方に移動させることができないようになっている。
図5(a)に良く示されるように、係止解除バネ47は、所謂コイルバネであり、軸方向両端にはフック47aが形成されている。係止解除バネ47の一端のフック47aは、支持プレート44の機構側バネ掛合部51に引っ掛けられ、他端のフック47aは、レバープレート45のレバー側バネ掛合部55に引っ掛けられている。これにより、係止解除バネ47は、歯止め爪57が係止解除状態となる方向に付勢力を作用させる。
ケーブル43は、保護チューブ43aの軸心にインナーケーブル43bを内設して構成されている。保護チューブ43aの後端側には、上部に雄ネジが形成されたカップ43cが取り付けられている。カップ43cは、支持プレート44の機構側固定部52に形成された切欠き孔52aに左側方から挿入され、上側からナットN1(ダブルナット)を螺合させることで機構側固定部52に固定される。インナーケーブル43bの後端は、カップ43cから上方に延出し、係合プレート53のケーブル係合孔54に係止される。
また、図4に示すように、同様に、保護チューブ43aの前端側には、カップ43cが取り付けられ、カップ43cは、ベースブラケット34のベース側固定部34cに形成された切欠き孔(図示せず)に挿入されてナットN2で固定されている。インナーケーブル43bの前端は、カップ43cから上方に延出し、左側の第2リンク41の後端部に回動可能に接続される。詳細には、左側の第2リンク41とインナーケーブル43bとの接続部分である操作軸41cは、第2揺動軸41aを挟んで第2支持軸41bの反対側に設けられている。
以上のように、ケーブル43を介してラチェット機構42と第2リンク41(支持体35)とが連結される。すなわち、可変機構33により操作部32と第2リンク41(支持体35)とが連結され、操作部32からの入力は、ラチェット機構42およびケーブルを介して第2リンク41に伝達される。これにより、操作部32の操作に応じてウインドスクリーン21が移動される。
次に、図4ないし図6を参照して、操作部32の操作量(スライド量)に応じたウインドスクリーン21の位置の段階的な変更および保持について説明する。なお、ウインドスクリーン21が最も下端に移動した位置を初期位置とし、ウインドスクリーン21が初期位置にあるときに、歯止め爪57が爪逃し部56bに臨んでいる状態(係止解除状態(図5(a)の破線参照))をレバープレート45の初期位置とする(図5(a)の実線参照)。
まず、ウインドスクリーン21が初期位置にある場合、レバープレート45は、係止解除バネ47の付勢力およびケーブル43を介して作用する戻しバネ31の付勢力によって、前方に向かって引っ張られている。これにより、歯止め爪57の前面は、支持プレート44の切欠部44aの背面に当接した状態となり、ウインドスクリーン21は、初期位置で保持される。
この状態から、着座シート13に座った乗員がフロントパネル24の操作部32を把持して後方に引き寄せると、係止解除バネ47の付勢力に抗してレバープレート45がレバー回動軸50を中心に後方に回動する。レバープレート45の回動が進むと、爪部57aが、最前端の歯部56aの傾斜した歯面上を摺動し始める。そして、歯止め爪57は、捩りコイルバネ59の付勢力に抗して円筒軸58を中心に上方に回動すると共に円筒軸58に案内され摺動孔57bに沿って上方にスライドする。なお、上記したように各歯部56aは後方に上傾しているため、爪部57aは、各歯部56aの傾斜に沿って移動することができるようになっている。
更にレバープレート45の回動が進むと、爪部57aは、摺接している歯部56aを乗り越え、捩りコイルバネ59の付勢力によって下方に回動且つスライドする。そして、爪部57aは、隣り合う歯部56a同士の間に入り込み、乗り越えた歯部56aに係止される。係止された爪部57aの前端面は、歯部56aの前側歯面に当接して食い込むため、歯止め爪57が前方に移動することが規制されている。すなわち、ラック56に歯止め爪57が係止された状態では、レバープレート45の前方への回動が規制されている。したがって、図5(b)の二点鎖線に示す状態から、乗員が操作部32を前方に押し出すことは規制されている。
また、レバープレート45の回動と共に係合プレート53も回動するため、係合プレート53に後端が固定されたインナーケーブル43bは後側上方に引っ張られる(図5(a)の二点鎖線参照)。なお、図5(a)では、レバープレート45の初期位置を実線で示し、レバープレート45の後端位置を二点鎖線で示している。
これに連動して、操作軸41cに接続されたインナーケーブル43bは、戻しバネ31の付勢力に抗して、左側の第2リンク41の後端部を前側下方に引き下げる(図4参照)。操作軸41cに作用した前側下方に向かう張力により、左側の第2リンク41は第2揺動軸41aを中心として回動し、第2支持軸41bが後側上方に移動する。また、連結部37により連結された右側の第2リンク41も同様に回動する。さらに、各リンクブラケット36を介して各第2リンク41に接続された各第1リンク40は第1揺動軸40aを中心として回動し、第1支持軸40bが後側上方に移動する。そして、各支持軸40b,41bは、各リンクブラケット36を介してウインドスクリーン21に接続されているため、各支持軸40b,41bと共にウインドスクリーン21も移動する。
図6に示すように、各第2リンク41の長さ(距離B)よりも各第1リンク40の長さ(距離A)を長く(大きく)なるように設定されている。このように異なる長さの各リンク40,41を、それぞれ同一の移動量とするため、各第1支持軸40bの移動軌跡と、各第2支持軸41bの移動軌跡とは、異なるものとなる(図6の白抜き矢印参照)。このため、ウインドスクリーン21は、初期位置よりも上昇すると共に傾斜角度(ウインドスクリーン21と水平面との間の角度)が増加する。
このとき、戻しバネ31は、ケーブル43を介してレバープレート45に対し、ラチェット機構42の移動方向とは反対方向の付勢力を作用させる。すなわち、戻しバネ31は、ラック56と歯止め爪57との係止状態を維持するような方向に付勢力を作用させている。
以上により、ウインドスクリーン21の高さおよび傾斜角度(位置)は、初期位置から変更され、変更後の位置は、可変機構33(ラチェット機構42)と戻しバネ31との協働作用により保持される。
また、乗員は、操作部32を操作して、ラック56と歯止め爪57との係止位置を任意に変更することにより、ウインドスクリーン21の高さおよび傾斜角度(位置)を段階的に変更することができる。
例えば、図5(b)に示すように、歯止め爪57が最前端の歯部56aに係止された状態から、乗員が操作部32を更に後方に引き寄せると、レバープレート45の回動に従って、爪部57aが、後側の歯部56aの傾斜した歯面上を摺動し始める。そして、歯止め爪57は、捩りコイルバネ59の付勢力に抗して回動且つスライドする。やがて、爪部57aは、摺接している歯部56aを乗り越え、捩りコイルバネ59の付勢力により下方に回動且つスライドし、乗り越えた歯部56aに係止される。
以上のように、それぞれの隣り合う歯部56a同士の間に爪部57aが移動し、各歯部56aに係止される都度、ウインドスクリーン21の位置が変更される。これにより、ウインドスクリーン21の段階的な位置調整を行うことができるようになっている。
ここで、乗員が、操作部32をスリット24aの後端付近まで引き寄せると、レバープレート45は後端位置まで回動され(図5(a)の二点鎖線参照)、ウインドスクリーン21は上端位置まで上昇すると共に最大傾斜角度となる(図6の二点鎖線参照)。この状態から更に、乗員が操作部32を後方に引き寄せ切ると、ラック56に対する歯止め爪57の係止が解除され、レバープレート45(操作部32)は、係止解除バネ47の付勢力により前方に回動して初期位置に戻るようになっている。また、ウインドスクリーン21も、戻しバネ31の付勢力により、下方に移動すると共に後方に回動して初期位置に戻るようになっている(図6の実線参照)。
以上の第1実施形態に係るスクリーン可変構造26によれば、付勢手段としての戻しバネ31の付勢力に抗してラチェット機構42を移動させることで、ウインドスクリーン21の位置(高さおよび傾斜角度)が段階的に調整される。また、戻しバネ31がラチェット機構42の非移動方向に付勢力を作用させているため、ウインドスクリーン21は調整された位置に保持される。さらに、乗員がラチェット機構42の噛み合い位置を確認しながら微調整を行う必要が無く、段階的なウインドスクリーン21の高さおよび傾斜角度の調整を、操作部32の操作量に連動させることができる。これにより、ラチェット機構42を用いた簡易な機構で、乗員が簡単に操作することができる。
例えば、スクリーン可変構造26により、ウインドスクリーン21を高い位置に調整した場合には、高速走行時に適した高いウインドプロテクション効果(走行風の風圧や風切り音の低減、走行風を整流する効果)を発揮させることができる。また、ウインドスクリーン21を低い位置に調整した場合には、中低速時に乗員に適度な風圧を与えることができ、走行時の快適性を高めることができる。また、第1実施形態に係るスクリーン可変構造26では、ウインドスクリーン21を高い位置にすると共に傾斜角度を、より起立姿勢に近づけることで、走行風を有効に上方へ流すことができる。これにより、ウインドスクリーン21を高さのみを上昇させた場合に比して、有効なウインドプロテクション効果を得ることができる。
また、操作部32が各支持体35(ウインドスクリーン21)から離れたフロントパネル24に配置されているため、各支持体35周りをコンパクトに構成することができる。これにより、各支持部35等を内設するアッパーカウル18を小型化することができ、乗員の前下方視界を容易に確保することができる。また、操作部32は、乗車状態の乗員が手を伸ばして操作し易いフロントパネル24に配設されているため、例えば、信号待ち等の短時間の車両停車時においても、ウインドスクリーン21の位置調整を迅速に行うことができる。つまり、操作部32を自由な位置に設けることができ、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
また、ケーブル43は下側の1つの支持体35(左側の第2リンク41)に接続されているため、ケーブル43をアッパーカウル18内に収容することができる。これにより、乗員が視認できる位置にケーブル43が露出することを防止でき、簡潔な外観となるため、乗員の視界や操作の妨げになることを防止することができる。また、ケーブル43の劣化を適切に抑制することもできる。
さらに、第2リンク41の第2揺動軸41aと、ケーブル43が接続する操作軸41cとの距離を自由に設定することができるため、操作部32の操作にかかる力を容易に調整することができる。これにより、例えば、支持機構30としてレール上をスライドさせる構造を用いた場合に比して、乗員による操作部32の操作量や操作力を最適化できるため、操作性の向上を図ることができる。
また、第1実施形態に係るスクリーン可変構造26によれば、ラチェット機構42は、操作部32側に設けられているため、支持機構30側の構成を簡素化することができ、アッパーカウル18のコンパクト化を図ることができる。また、ラチェット機構42は、操作部32の位置が操作量に応じて保持されるため、ウインドスクリーン21の位置および操作限界を、操作部32の位置から把握することができる。これにより、乗員にとっての利便性を向上させることができる。
なお、ケーブル43の接続先は、右側の第2リンク41であってもよい。また、可変機構33を作動させる操作部32の移動方向は任意であり、例えば、操作部32を、前方に押し出すように構成してもよいし、左右にスライド可能なように構成してもよい。
<第1実施形態の変形例>
次に、図7を参照して、第1実施形態の変形例に係るスクリーン可変構造60について説明する。ここで、図7は、スクリーン可変構造60が搭載された自動二輪車1を示す斜視図である。なお、上記した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記した第1実施形態に係るスクリーン可変構造26では、操作部32がフロントパネル24に配設されていたが、本変形例に係るスクリーン可変構造60では、図7に示すように、操作部61が着座部としての着座シート13の下方側面部に設けられている。
具体的には、着座シート13の左下方には、シートカウル17の左側面に内側に一段窪んだ凹面部62が形成され、凹面部62には、僅かに湾曲して上下方向に延びるスリット63が形成されている。本変形例では、シートカウル17の内部に可変機構33が配設され、スリット63から露出させたレバープレート45の上端部に操作部61が固定されている。
乗員は、着座シート13に座った状態で、操作部61を把持して上方に引き寄せることで可変機構33を作動させ、ウインドスクリーン21の段階的な位置調整を行うことができるようになっている。なお、本変形例に係るスクリーン可変構造60のウインドスクリーン21の位置調整作用は、上記した第1実施形態に係るものと同様であるため、その説明は省略する。
以上の第1実施形態の変形例に係るスクリーン可変構造60によれば、第1実施形態に係るものと同様の作用効果を得ることができる。また、乗車状態の乗員が手を伸ばしやすい位置に操作部61が配設されているため、短い停車時間でも、ウインドスクリーン21の位置調整を迅速に行うことができる。つまり、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
なお、可変機構33を作動させる操作部61の移動方向は任意であり、例えば、操作部61を、下方に押し下げるように構成してもよい。
<第2実施形態>
次に、図8ないし図13を参照して、第2実施形態に係るスクリーン可変構造80が搭載された自動二輪車70について説明する。ここで、図8は自動二輪車70を示す側面図であり、図9は自動二輪車70を部分的に示す斜視図である。なお、上記した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8および図9に示すように、第2実施形態に係る自動二輪車70は、第1実施形態に係るものと同様に、車体フレーム71と、エンジン72と、車体カバー73と、を備えて概略構成されている。
車体フレーム71は、前部上端に配置されるヘッドパイプ71aと、ヘッドパイプ71aから後下方に向かって延設される左右一対のメインフレーム71bと、メインフレーム71bの後部から後上方に向かって延設される左右一対のシートレール71cと、を含んで構成されている。
ヘッドパイプ71aには、前輪70aを軸支する左右一対のフロントフォーク71dが左右操舵可能に支持されている。フロントフォーク71dの上端にはハンドルバー74が固定され、ハンドルバー74の左右両端部にはグリップ部75が設けられている。左右一対のメインフレーム71bの間には燃料タンク70bが設けられ、燃料タンク70bの下方にはエンジン72が搭載されている。メインフレーム71bの後下部には、後輪70cを軸支するスイングアーム71eが上下に揺動可能に支持されている。左右一対のシートレール71cの間にはシート70dが設けられている。
車体カバー73は、車体前部を覆うアッパーカウル73aと、車体側部を覆う左右一対のサイドカウル73bと、車体後部を覆うリアシートカウル73cと、を備えている。
アッパーカウル73aの前面に設けられたヘッドランプ70eの上方にはウインドスクリーン76が設けられている。また、ハンドルバー74とウインドスクリーン76との間(アッパーカウル73aの内部)には、メーターパネル77aに嵌め込まれたメーター77が設けられている。また、第1実施形態に係るものと同様に、ウインドスクリーン76の高さおよび傾斜角度を調整するスクリーン可変構造80が設けられている。
次に、図9ないし図13を参照して、スクリーン可変構造80について詳細に説明する。図10はスクリーン可変構造80の可変機構を示す側面図であり、図11は底面図である。図12は、図10におけるT−T断面図であり、図13は、図10におけるV−V断面図である。
スクリーン可変構造80は、支持機構30と、戻しバネ31と、操作部81と、可変機構82と、を備えている。なお、支持機構30および戻しバネ31は、第1実施形態に係るものと同一である。
操作部81は、所定の支点に対して回動させて操作を行うスティック状のレバーである。操作部81は、左側のグリップ部75の下側に臨むように配置されており、グリップ部75を把持した乗員が、例えば左手の親指で操作することができるようになっている(図9参照)。
可変機構82は、ラチェット機構83およびケーブル43を有している。なお、ケーブル43は、第1実施形態に係るものと同一である。
図12に良く示されるように、ラチェット機構83は、略円筒状に形成されるケース84と、ケース84の内部に回転不能に設けられる歯車85と、歯車85に形成された各歯部85aに係止される歯止め爪86と、歯止め爪86を歯車85に向かって付勢する押圧バネ87と、を有している。
図13に良く示されるように、ケース84は、ケース本体90とリール回動軸92とを備え、ケース本体90の内部には、操作部81と一体に形成され、リール回動軸92と同一軸心を有するように軸支されるリール91を有している。
ケース本体90は、円筒状に形成されており、取付ブラケット93に固定され、左側のグリップ部75の近傍に設けられる(図10参照)。操作部81は、リール回動軸92を中心として回動するようになっている。取付ブラケット93は、左側のグリップ部75の近傍となる位置でハンドルバー74の下側に臨み、ハンドルバー74に巻回したバンドBをボルトナットN3により締め付けることで固定されている(図10参照)。
また、ケース84には、操作部81と反対側の位置に、ケース側固定部94が斜め前方に向かって突設されている。ケース側固定部94には、保護チューブ43aの後端側のカップ43cが固定される。
リール91は、円筒状に形成され、操作部81と一体に回動するようにケース本体90の取付ブラケット93側に固定されている。また、リール91と操作部81との間には、インナーケーブル43bの後端が接続される先端固定部95が設けられている。
図12に良く示されるように、歯車85は、リール91の下側において、リール91と同一軸心を有するように設けられている。歯車85は、操作部81の回動に従動しないように取付ブラケット93に固定されている。歯車85の外周に形成された複数の歯部85aは、ケーブル43(インナーケーブル43b)を巻き上げる方向(図12の矢印参照)に傾いて形成されている。
歯止め爪86は、先端が薄く形成された爪部86aを有し、爪部86aが各歯部85aに引っ掛かる位置で操作部81に回動可能に取り付けられている。具体的には、歯止め爪86は、リール91と操作部81との連設部分に設けられた爪回動軸86bに軸支されている。
押圧バネ87は、所謂コイルバネであり、その一端が爪回動軸86bの近傍に形成された台座部87aに支持され、その他端が爪部86aに当接するように配設されている。これにより、押圧バネ87は、歯部85aに対して爪部86aを押し付け、爪部86aが歯部85aに係止された状態が維持されるようになっている。
次に、操作部81の操作量(回動量)に応じたウインドスクリーン76の位置の段階的な調整について簡単に説明する。なお、ウインドスクリーン76が初期位置にあるときに、操作部81の先端がハンドルバー11の中央側(内側)を向いている状態を操作部81の初期位置とする。また、操作部81が初期位置にあるとき、歯止め爪86の爪部86aは、いずれかの歯部85aに係止されているものとする。
まず、シート70dに着座してグリップ部75を把持した乗員が、操作部81を前方に回動させると、ケース84がケース回動軸92を中心に前方に回動する。操作部81およびケース84の回動が進むと、歯止め爪86は、押圧バネ87の付勢力に抗して爪回動軸86bを中心に後方に回動し、爪部86aは、食い込んでいた歯部85aに隣り合う歯部85aの傾斜した歯面上を摺動し始める。
更にケース84等の回動が進むと、爪部86aは、摺接している歯部85aを乗り越え、押圧バネ87の付勢力により前方に回動して乗り越えた歯部85aに係止される(図12参照)。また、操作部81の回動と共にリール91も回動するため、先端固定部95に後端が固定されたインナーケーブル43bは後方に引っ張られ、リール91に巻き取られる(図13参照)。このインナーケーブル43bの巻き取りに連動して、第1実施形態のものと同様の作用により、ウインドスクリーン76の位置(高さおよび傾斜角度)が変更される。
以上のように、それぞれの隣り合う歯部85a同士の間に爪部86aが移動し、各歯部85aに係止される都度、ウインドスクリーン76の位置が段階的に変更されるようになっている。
また、第1実施形態と同様に、この状態から更に、乗員が操作部81を回動させ切ると、歯車85(歯部85a)に対する歯止め爪86の係止が解除されるため、乗員は、操作部81を初期位置に戻すことができるようになっている。また、ウインドスクリーン76も、戻しバネ31の付勢力により初期位置に戻るようになっている。
以上の第2実施形態に係るスクリーン可変構造80によれば、第1実施形態に係るものと同様の作用効果を得ることができる。また、乗車状態の乗員が僅かに手(指)を動かすことで操作可能な位置に操作部81が配設されているため、短い停車時間でも、ウインドスクリーン76の位置調整を迅速に行うことができる。つまり、乗員にとっての利便性の向上を図ることができる。
なお、操作部81は、左側のグリップ部75の近傍に位置するハンドルバー74に設けられていたが、右側のグリップ部75の近傍に取り付けてもよい。また、左右いずれか一方のグリップ部75自体に設けてもよいが、右側のグリップ部75をアクセルグリップとすることが一般的であるため、左側のグリップ部75に設けることが好ましい。また、他にも、例えば、左側のグリップ部75を前後方向に回動可能とし、操作部81としてグリップ部75自体を回動操作するように構成してもよい。
なお、上記した各実施形態(変形例も含む)の操作部32,61,81は、所謂レバー式であったが、これに限定されるものではなく、例えば、ダイヤル式(ロータリー式)やプッシュボタン式の操作部を設けて、乗員からの操作入力を受けるようにしてもよい。このようなダイヤル式等の操作部は、レバーの揺動スペースを取り難い箇所において好適に用いることができる。
なお、上記した各実施形態(変形例も含む)のラチェット機構42,83は、操作部32,61,81の位置が操作量に応じて保持されるようになっていたが、これに代えて、操作部32,61,81の位置が、乗員による操作の都度、初期位置に戻る構造にしてもよい。例えば、第2実施形態に係るラチェット機構83の場合、操作部81のみを反巻取り方向に回動するようなワンウェイクラッチを組み込み(リール91は巻取り方向にのみ回動する。)、操作部81を往復回動(揺動)させることにより、ケーブル43の巻き取りを行うようにする。これにより、操作部32,61,81の揺動範囲を最小限に抑制することができ、乗員の操作量を減少させ操作性を向上させることができる。
なお、上記した各実施形態(変形例も含む)に係るスクリーン可変構造26,60,80では、支持体35としてリンク機構を採用していたが、これに限定されるものではなく、第1リンク40および第2リンク41の少なくとも一方を、スライド機構に変更してもよい。このスライド機構は、例えば、ベースブラケット34に支持されるレールと、ウインドスクリーン21,76に固定され、レール上を摺動(または転動)するスライダーと、を含んで構成されることが好ましい。また、ウインドスクリーン21,76にレールを設け、ベースブラケット34にスライダーを設けてもよい。
なお、各実施形態(変形例も含む)に係るスクリーン可変構造26,60,80では、上下一対の支持体35を二組設けていたが、支持体35の配設数は任意である。
なお、上記した各実施形態(変形例も含む)に係るスクリーン可変構造26,60,80では、操作部32,61,81を回動し切ると、歯部56a,85aに対する歯止め爪57,86の係止が解除されるようになっていたが、これに代えて、例えば、プッシュボタンやレバー等を設け、このプッシュボタン等を操作することにより歯止め爪57,86を回動させて歯部56a,85aに対する係止状態を解除するように構成してもよい。
なお、上記した各実施形態(変形例も含む)では、スクリーン可変構造26,60,80を自動二輪車1,70に適用した場合を例示したが、例えば、四輪不整地路面走行車等の車両に対しても本発明を適用することができる
なお、上記した本発明の各実施形態等の説明は、本発明に係るスクリーン可変構造26,60,80における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の各実施形態等における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の各実施形態等の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
2 車体フレーム(車体)
7,74 ハンドルバー(ハンドル)
13 着座シート(着座部)
21,76 ウインドスクリーン
23 メーターステー(車体)
26,60,80 スクリーン可変構造
31 戻しバネ(付勢手段)
32,61,81 操作部
33,82 可変機構
35 支持体
40 第1リンク
41 第2リンク
41a 第2揺動軸
41b 第2支持軸
41c 操作軸
42,83 ラチェット機構
43 ケーブル
75 グリップ部

Claims (8)

  1. 支持体を介して車体に支持されたウインドスクリーンの位置を変更するスクリーン可変構造であって、
    手動式の操作部と、
    前記操作部と前記支持体とを連結し、前記支持体を移動させ、前記操作部の操作量に応じて前記ウインドスクリーンの位置を段階的に変更して保持するラチェット機構を含んで構成される可変機構と、
    前記ラチェット機構の移動方向とは反対方向に付勢力を作用させる付勢手段と、を備えていることを特徴とするスクリーン可変構造。
  2. 前記操作部は、前記支持体から離間して配置され、
    前記可変機構は、前記操作部と前記支持体とを接続し、前記支持体を移動させるケーブルを有していることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン可変構造。
  3. 前記支持体は、一対設けられ、
    前記一対の支持体は、一端が前記車両に上下方向に離間して接続され、他端が前記ウインドスクリーンに上下方向に離間して接続され、
    前記ケーブルは、前記下側の支持体に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のスクリーン可変構造。
  4. 前記ケーブルが接続された前記支持体は、上下方向に揺動可能に設けられたリンクであることを特徴とする請求項3に記載のスクリーン可変構造。
  5. 前記リンクは、前記車体側に設けられた揺動軸に回動可能に支持されると共に、前記ウインドスクリーンに設けられた支持軸に回動可能に支持され、
    前記リンクと前記ケーブルとの接続部分である操作軸は、前記揺動軸を挟んで前記支持軸の反対側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスクリーン可変構造。
  6. 前記操作部は、前記車両の前方に配置されたフロントパネルに設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリーン可変構造。
  7. 前記操作部は、前記車両のハンドルのグリップ部または該グリップ部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリーン可変構造。
  8. 前記操作部は、前記車両の着座部の下方側面部に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリーン可変構造。
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