JP2014184620A - 加飾品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写された印刷模様の立体感を顕在化させつつ転写層による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせた上、表面透過層の表面に艶ムラが発生するのを防止する。
【解決手段】基材(7)表面に転写層(9, 11)を水圧転写で2度に亘って転写することにより転写層(9, 11)の厚さを総じて厚くすると共に、各転写層(9, 11)の活性剤(A)塗布側に膨潤抑制層(17, 21)を設け、個々の転写層(9, 11)の膜厚を塗布した活性剤(A)が速やかに行き渡る0.5μm〜12.0μmに設定し、且つ基材(7)に転写層(9, 11)を2層とも転写し終えた後に表面透過層(13)を塗布により形成するようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、被転写体の表面に重ね刷りの装飾層が水圧転写された加飾品の製造方法に関する。
従来から、被転写体の表面に対し、所定の印刷模様を有する印刷層が重ね刷りされてなる装飾層を水圧転写して加飾品を得る技術が知られている。
この水圧転写の要領は、まず、水溶性フィルムに転写層として装飾層が形成された転写フィルムを装飾層が上方を向くように水面に浮かべた状態で、この装飾層に活性剤を塗布して装飾層を活性化すると共に水溶性フィルムを水に溶解させる。次いで、水溶性フィルムの溶解により水面に浮かんでいる装飾層に被転写体の表面を押し当てて被転写体を水中に没入させることにより、没入時に受ける水圧で被転写体の表面に装飾層を転写する。
特許文献1には、被転写体の表面に対して色や模様のパターンが異なる第1の装飾層(転写層)と第2の装飾層(転写層)とを順に水圧転写で転写することが開示されている。この特許文献1では、第2の装飾層を活性化する活性剤に真珠光沢顔料を含めることで、独特の発色や深み感、照り感を生じさせている。
また、特許文献2には、転写層中に、有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する膨潤抑制層を、装飾層に隣接させて設けることにより、転写層の活性化に伴う不必要な膨潤を抑制し、装飾層の色むらや図柄の拡大、色ボケなどによる意匠性の低下を防ぐことが開示されている。この特許文献2では、転写フィルムにおける転写層の最下層に表面透過層(トップコート層;硬化性樹脂層)が含まれていて、加飾品の表面を構成する表面透過層も水圧転写により形成している。
特開平06−166300号公報 特開2005−132015号公報
ところで、転写層による加飾に深み感や奥行き感を得るためには転写層の厚さが厚いほど好ましいが、1度の水圧転写で被転写体の表面に転写する装飾層の厚さが厚過ぎると、転写層に活性剤を塗布した際に、装飾層の裏側にまで活性剤が行き渡り難く転写層全体が活性化するのに要する時間が長引くことになる。そうなると、装飾層の活性剤塗布側が膨潤し過ぎて印刷模様に乱れや色ボケが発生し、複数の印刷層の重ね刷りで表現される印刷模様の立体感が損なわれて、外観見栄えが低下することがある。
このことから、特許文献1に開示された水圧転写の方法では、1度の水圧転写で被転写体の表面に転写可能な装飾層の厚さに限界があり、2度に亘る水圧転写によっても装飾層(第1の転写層及び第2の転写層)の総厚をさほど厚くすることができず、転写層による加飾に充分な深み感や奥行き感を得るに足らない。
さらに、特許文献1に開示された水圧転写の方法では、活性化した第2の装飾層を被転写体の表面の先に転写した第1の装飾層に押し当てた際に、第2の装飾層に塗布された活性剤の影響により第1の装飾層が再度活性化される。これに起因して、第1の装飾層の表面側が膨潤して当該装飾層の印刷模様に乱れや色ボケが発生し、加飾品の外観見栄えが低下する事態となる。
また、特許文献2に開示のような膨潤抑制層を設けていても、装飾層の厚さが厚過ぎると、同じく装飾層の活性剤塗布側が膨潤し過ぎて印刷模様に乱れや色ボケが発生し、加飾品の外観見栄えが低下することがある。
さらに、特許文献2に開示のように加飾品の表面を構成する表面透過層を装飾層と共に水圧転写により形成する場合には、転写層の活性化を最下層にある表面透過層全体にも行き渡らせる必要がある。このため、上述した装飾層の膨潤を抑制する観点から、表面透過層を厚く形成できない。しかし、表面透過層が薄いと、保護層としての機能を満足できない上に、当該表面透過層で装飾層の印刷模様の凹凸を吸収できずその凹凸形状が反映されて表面透過層の表面が平滑でなくなるため、艶ムラが生じて加飾品の外観見栄えが低下してしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、転写された印刷模様の立体感を顕在化させつつ転写層による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせた上に、表面透過層の表面に艶ムラが発生するのを防止することで、加飾品の外観見栄えを向上させることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、被転写体に転写層を水圧転写で2度に亘って転写することにより転写層の厚さを総じて厚くすると共に、各転写層の活性剤塗布側に膨潤抑制層を設け、個々の転写層の膜厚を塗布した活性剤が速やかに行き渡る所定の範囲に設定し、且つ被転写体に対して転写層を2層とも転写し終えた後に表面透過層を塗布により形成するようにした。
具体的には、本発明は、被転写体の表面に重ね刷りの装飾層を含む転写層が水圧転写された加飾品の製造方法を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、水溶性フィルム上に、複数の印刷層が重ね刷りされてなる膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の第1装飾層とこの第1装飾層の活性化に伴う膨潤を抑制する第1膨潤抑制層とが順に積層された第1転写層を有する第1転写フィルムを、第1膨潤抑制層が上方を向くように水面に浮かべた状態で、第1転写層に活性剤を塗布すると共に、水溶性フィルムを水に溶解させ、この水溶性フィルムの溶解により水面に浮かんでいる第1転写層の活性剤塗布側に被転写体の表面を押し当ててこの被転写体を水中に没入させることにより、被転写体の表面に第1転写層を水圧で転写し、次いで、水溶性フィルム上に、複数の印刷層が重ね刷りされてなる膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の第2装飾層とこの第2装飾層の活性化に伴う膨潤を抑制する第2膨潤抑制層とが順に積層された第2転写層を有する第2転写フィルムを、第2膨潤抑制層が上方を向くように水面に浮かべた状態で、第2転写層に活性剤を塗布すると共に、水溶性フィルムを水に溶解させ、この水溶性フィルムの溶解により水面に浮かんでいる第2転写層の活性剤塗布側に第1転写層が転写された被転写体の表面を押し当ててこの被転写体を水中に没入させることにより、被転写体の第1転写層上に第2転写層を水圧で転写し、その後、被転写体の第2転写層上に表面透過層を塗装により形成して、被転写体に表面透過層を通して第2転写層の表面側から第1転写層の少なくとも一部が透視可能な加飾が施された加飾品を得ることを特徴とする。
本発明では、第1転写層が第1装飾層上に第1膨潤抑制層が積層された構造を有するので、第1転写層に活性剤を塗布した際に、この第1転写層に含まれる第1装飾層の活性化に伴う膨潤が第1膨潤抑制層によって抑制される。また、本発明では、第2転写層も第2装飾層上に第2膨潤抑制層が積層された構造を有するので、第2転写層に活性剤を塗布した際に、この第2転写層に含まれる第2装飾層の活性化に伴う膨潤が第2膨潤抑制層によって抑制される。これによって、第1転写層及び第2転写層の各装飾層(第1装飾層及び第2装飾層)を、膨潤抑制層(第1膨潤抑制層及び第2膨潤抑制層)が積層されていない場合に比べて、厚く形成することができる。しかも、第1転写層及び第2転写層は、このようにそれぞれの装飾層を厚く形成できることに加え、膨潤抑制層が積層されている分だけそれぞれ厚く形成される。
そして、本発明では、このように比較的厚く形成可能な第1転写層及び第2転写層を被転写体の表面に水圧転写により積層するので、これら第1転写層及び第2転写層からなる転写積層体の総厚を、一度の水圧転写で転写した1層の転写層に比べて2倍程度厚くすることができる。これによって、上記転写積層体による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせることができる。
また、本発明では、活性化した第2転写層を被転写体の表面の先に転写した第1転写層に押し当てた際に、第2転写層に塗布された活性剤の影響が第1転写層に及ぶことも第2転写層に含まれる第2膨潤抑制層によって抑制される。これにより、第2転写層の転写に伴って第1転写層が再度活性化されることを防止できるので、第1転写層の再活性化に起因してこの第1転写層の表面側での第1装飾層の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止できる。
さらに、本発明では、第1装飾層及び第2装飾層の膜厚が共に0.5μm以上且つ12.0μmであるので、これら両装飾層において印刷模様の立体感を充分に表現することができると共に、その印刷模様の立体感が水圧転写に伴って損なわれることを防止できる。その結果、被転写体に転写された個々の転写層(第1転写層及び第2転写層)での印刷模様の立体感を顕在化させることができる。
そして、本発明では、被転写体の表面に第1転写層及び第2転写層を転写し終えた後に、表面透過層を塗装により第2転写層上に形成するので、表面透過層の厚さは水圧転写での装飾層の膨潤に関わらないため制限されず、表面透過層を所望の厚さに形成することができ、その表面を充分に平滑化できる。これにより、表面透過層の表面に艶ムラが発生するのを防止して、艶の良い加飾品を実現することができる。
したがって、本発明によれば、転写された印刷模様の立体感を顕在化させつつ第1転写層及び第2転写層による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせた上、表面透過層の表面に艶ムラの発生を防止することができ、加飾品の外観見栄えを向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る加飾パネルが取り付けられた自動車のインストルメントパネルの略左半分を示す正面図である。 図2は、図1のII−II線における加飾パネルの断面図である。 図3は、図2のIIIで囲んだ部分の拡大図である。 図4は、本発明の実施形態に係る加飾パネルの製造工程図であり、図4(a)は第1転写フィルムへの活性剤の塗布工程図、図4(b)は第1転写層の転写工程図、図4(c)は1回目の洗浄工程図をそれぞれ示す。 図5は、図4(a)〜(c)の各製造工程図を部分的に拡大した図であり、図5(a−1)は図4(a)のIで囲んだ部分の拡大図、図5(a−2)は図4(a)のIIで囲んだ部分の拡大図、図5(b)は図4(b)のIIIで囲んだ部分の拡大図、図5(c)は図4(c)のIVで囲んだ部分の拡大図をそれぞれ示す。 図6は、本発明の実施形態に係る加飾パネルの製造工程図であり、図6(a)は第2転写フィルムへの活性剤の塗布工程図、図6(b)は第2転写層の転写工程図、図6(c)は2回目の洗浄工程図をそれぞれ示す。 図7は、図6(a)〜(c)の各製造工程図を部分的に拡大した図であり、図7(a−1)は図6(a)のIで囲んだ部分の拡大図、図7(a−2)は図6(a)のIIで囲んだ部分の拡大図、図7(b)は図6(b)のIIIで囲んだ部分の拡大図、図7(c)は図6(c)のIVで囲んだ部分の拡大図をそれぞれ示す。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
図1は、自動車のインストルメントパネル1を示す。インストルメントパネル1の助手席側には、図1に示すように、車幅方向に帯状に延びる略矩形状のパネル装着箇所3が車体前方に凹む凹状に形成されている。このパネル装着箇所3には、本発明の実施形態に係る加飾品である加飾パネル5が装着されている。
図1のII−II線における加飾パネル5の断面構造を図2に示す。加飾パネル5は、パネル装着箇所3の開口を塞ぐように正面視で横長の略矩形状に形成されていて、略一定の厚さで延びている。この加飾パネル5は、図2に示すように、その上縁部及び下縁部が裏側、つまり車体前方に折れ曲がっていて、全体として車体後方に張り出す凸状に形成されている。
加飾パネル5は、その主体をなす被転写体としての樹脂製基材7と、この基材7の表側表面に水圧転写により設けられた非水溶性の転写積層体14と、この転写積層体14上に塗装により形成された透明性を有する表面透過層13とで構成されている。転写積層体14は、基材7上に第1転写層9と第2転写層11との2層がこの順に積層された構造を有し、これら2層の転写層9,11の重なりによって木目模様などの複雑な印刷模様を呈している。このように、本実施形態の加飾パネル5は、基材7に対し、表面透過層13を通して第2転写層11の表面側から第1転写層9の少なくとも一部を透視可能な加飾が施された加飾品である。
図2のIIIで囲んだ部分の拡大図を図3に示す。第1転写層9は、図3に示すように、基材7上に第1膨潤抑制層17と第1装飾層15とがこの順に積層された構造を有する。第1装飾層15は、各々所定の印刷模様を有する複数(図3に示す例では5層)の印刷層15aが重ね刷りされてなる。また、第2転写層11は、第1転写層9上に第2膨潤抑制層21と第2装飾層19とがこの順に積層された構造を有する。第2装飾層19も、各々所定の印刷模様を有する複数(図3に示す例では5層)の印刷層19aが重ね刷りされてなる。表面透過層13は、第2転写層11を覆うように加飾パネル5の表側全面に形成されていて、第2装飾層19の印刷模様の凹凸を吸収して加飾パネル5の表面を平滑に形成している。
上記加飾パネル5の製造工程図を図4〜図7に示す。加飾パネル5は、次の要領にて製造される。
まず、図4(a)に示すように、ロール状に巻回された第1転写フィルム23を水槽101に送り出す。この第1転写フィルム23は、図5(a−1)に示すように、ポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性材料からなる水溶性フィルム25上に、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテレートブチレート樹脂などをビヒクルとする膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の非水溶性の第1装飾層15と、この第1装飾層15の活性化に伴う膨潤を抑制する膜厚0.1μm以上且つ10.0μm以下の第1膨潤抑制層17とが、総厚0.6μm以上且つ13.0μm以下となるようにこの順に積層された第1転写層9を有するものである。この第1転写フィルム23を第1膨潤抑制層17が上方を向くように水槽101に貯留された水Wの水面w1に浮かべる。
第1装飾層15は、グラビア印刷等による複数(図5に示す例では5層)の印刷層15aの重ね刷りによって形成されている。この第1装飾層15の膜厚を0.5μm以上且つ12.0μm以下に設定したのは、第1装飾層15の膜厚が0.5μm未満では、当該第1装飾層15を構成する印刷層15aの数が制限されて第1転写層9で表現される印刷模様の立体感が乏しくなる一方、当該第1装飾層15の膜厚が12.0μmを超えると、第1転写層9に対し後に活性剤Aを塗布した際に、第1装飾層15の裏側にまで活性剤Aが行き渡り難く、第1装飾層15全体が活性化するのに要する時間が長引いて第1装飾層15の活性剤A塗布側が膨潤し過ぎて印刷模様に乱れや色ボケが発生するからである。
この第1装飾層15の膜厚は、複数の印刷層15aの重ね刷りによる印刷模様の立体感を充分に表現する観点から、2.0μm以上であることが好ましい。また、この第1装飾層15の膜厚は、第1転写層9に対し後に活性剤Aを塗布した際に、第1装飾層15の裏側にまで活性剤Aを速やかに行き渡らせて第1装飾層15の印刷模様に乱れや色ボケの発生を防止する観点から、7.0μm以下であることがより好ましい。
第1膨潤抑制層17は、例えば、シリカや酸化チタンなどの無機顔料、及び架橋アクリル系微粒子やシリコーン樹脂微粒子などの樹脂微粒子のうち少なくとも1つを、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテレートブチレート樹脂などを含有するビヒクルに添加したものを材料(印刷インク)とし、これをグラビア印刷等で印刷することにより形成されている。この第1膨潤抑制層17の膜厚を0.1μm以上且つ10.0μm以下に設定したのは、当該第1膨潤抑制層17の膜厚が0.1μm未満では第1装飾層15の活性化に伴う膨潤を充分に抑制できないおそれがある一方、当該第1膨潤抑制層17の膜厚が10.0μmを超えると、必要以上に厚くなるだけで第1転写層9全体が活性化するのに要する時間が長引いてスループットの低下を招くからである。
この第1膨潤抑制層17の膜厚は、第1装飾層15の膨潤抑制作用を充分に生じさせる観点から、0.2μm以上であることが好ましい。また、第1膨潤抑制層17の膜厚は、第1装飾層15の膨潤抑制作用を充分に得ながらも第1転写層9全体の活性化に要する時間を短縮する観点から、7.0μm以下であることが好ましい。
また、第1転写層9の総厚を13.0μm以下に設定したのも、当該第1転写層9の総厚が13.0μmを超えると、第1転写層9全体が活性化するのに要する時間が長引いてスループットの低下を招くからである。この第1転写層9の総厚は、印刷模様の立体感を充分に表現するための第1装飾層15の膜厚2μmと膨潤抑制作用を充分に生じさせるための第1膨潤抑制層17の膜厚0.2μmとをそれぞれ確保する観点から、2.2μm以上であることが好ましい。また、この第1転写層9の総厚は、第1転写層9全体が活性化するのに要する時間を短縮する観点から、8.0μm以下であることが好ましい。
次いで、第1転写フィルム23を水面w1に浮かべた状態で、第1膨潤抑制層17にスプレーノズル103から活性剤Aを吹き付けて塗布する。この活性剤Aは、第1膨潤抑制層17及び第1装飾層15を溶解する性質を有するキシレンなどである。この活性剤Aの塗布によって、図5(a−2)に示すように、第1転写層9を第1膨潤抑制層17から第1装飾層15の裏側にまで全体に亘って活性化させる。このとき、第1装飾層15の活性化に伴う膨潤が第1膨潤抑制層17によって抑制されるので、この段階で、第1装飾層15の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止できる。
そして、しばらくすると、第1転写フィルム23の水溶性フィルム25が水Wに溶解して第1転写層9が水面w1に浮かんでいる状態となる。
その後、図4(b)に示すように、水槽101の上方に設置された取付治具105に表側表面が下方に向くように取り付けられた基材7をタイミングを見計らって下降させ、水面w1に浮かんでいる第1転写層(図4(b)では省略している)の活性剤A塗布側に基材7の表側表面を押し当ててこの基材7を水中に没入させる。これにより、図5(b)に示すように、没入時に受ける水圧で基材7の表側表面に第1転写層9の活性剤A塗布側が押し付けられて密着し、第1転写層9が基材7の表側表面に水圧転写される。
しかる後、第1転写層9を転写した基材7の表側表面全体に水圧が均等に掛かるように基材7を水平姿勢で水中から引き上げ、図4(c)及び図5(c)に示すように、基材7に転写された第1転写層9の表面に洗浄ノズル107から洗浄水Rを吹き付けて第1転写層9の表面をシャワー洗浄し、完全に溶解しきれずに付着残存している水溶性フィルム25やゴミなどを除去した後に、乾燥させる。
次に、図6(a)に示すように、ロール状に巻回された第2転写フィルム27を水槽101に送り出す。この第2転写フィルム27は、図7(a−1)に示すように、PVAなどの水溶性材料からなる水溶性フィルム29上に、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂などをビヒクルとする膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の非水溶性の第2装飾層19と、この第2装飾層19の活性化に伴う膨潤を抑制する膜厚0.1μm以上且つ10.0μm以下の第2膨潤抑制層21とが、総厚0.6μm以上且つ13.0μm以下となるようにこの順に積層された第2転写層11を有するものである。この第2転写フィルム27を第2膨潤抑制層21が上方を向くように水槽101に貯留された水Wの水面w1に浮かべる。
第2装飾層19も、第1転写層9の第1装飾層15と同じく、グラビア印刷等による複数(図7に示す例では5層)の印刷層19aの重ね刷りによって形成されている。この第2装飾層19の膜厚を0.5μm以上且つ12.0μm以下に設定したのは、第1装飾層15の膜厚の設定理由と同じ理由からである。第2装飾層19の膜厚は、第1装飾層15と同様に、印刷模様の立体感を充分に表現する観点から2.0μm以上であることが好ましく、また、当該第2装飾層19の裏側にまで後に塗布する活性剤Aを速やかに行き渡らせて当該第2装飾層19の印刷模様に乱れや色ボケの発生を防止する観点から7.0μm以下であることが好ましい。
第2膨潤抑制層21は、第1膨潤抑制層17と同様に、例えば、シリカや酸化チタンなどの無機顔料、及び架橋アクリル系微粒子やシリコーン樹脂微粒子などの樹脂微粒子のうち少なくとも1つを、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテレートブチレート樹脂などを含有するビヒクルに添加したものを材料(印刷インク)とし、これをグラビア印刷等で印刷することにより形成されている。この第2膨潤抑制層21の膜厚を0.1μm以上且つ10.0μm以下に設定したのは、第1膨潤抑制層17の膜厚の設定理由と同じ理由からである。第2膨潤抑制層21の膜厚は、第1膨潤抑制層17と同様に、第2装飾層19の膨潤抑制作用を充分に生じさせる観点から0.2μm以上であることが好ましく、また、第2装飾層19の膨潤抑制作用を充分に得ながらも第2転写層11全体の活性化に要する時間を短縮する観点から7.0μm以下であることが好ましい。
また、第2転写層11の総厚を13.0μm以下に設定したのも、第1転写層9の総厚の設定理由と同じ理由からである。この第2転写層11の総厚は、第1転写層9と同様に、印刷模様の立体感を充分に表現するための第2装飾層19の膜厚2μmと膨潤抑制作用を充分に生じさせるための第2膨潤抑制層21の膜厚0.2μmとをそれぞれ確保する観点から2.2μm以上であることが好ましく、また、第2転写層11全体が活性化するのに要する時間を短縮する観点から8.0μm以下であることが好ましい。
続いて、第2転写フィルム27を水面w1に浮かべた状態で、第2膨潤抑制層21にスプレーノズル103から活性剤Aを吹き付けて塗布する。この活性剤Aは、第2膨潤抑制層21及び第2装飾層19を溶解する性質を有するキシレンなどである。この活性剤Aの塗布によって、図7(a−2)に示すように、第2転写層11を第2膨潤抑制層21から第2装飾層19の裏側にまで全体に亘って活性化させる。このとき、第2装飾層19の活性化に伴う膨潤が第2膨潤抑制層21によって抑制されるので、この段階で、第2装飾層19の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止できる。
そして、しばらくすると、第2転写フィルム27の水溶性フィルム29が水Wに溶解して第2転写層11が水面w1に浮かんでいる状態となる。
その後、図6(b)に示すように、水槽101の上方に設置された取付治具105に表側表面の第1転写層9が下方に向くように取り付けられた基材7をタイミングを見計らって下降させ、水面w1に浮かんでいる第2転写層11(図6(b)では省略している)の活性剤A塗布側に第1転写層9が転写された基材7の表側表面を押し当ててこの基材7を水中に没入させる。これにより、図7(b)に示すように、没入時に受ける水圧で基材7上の第1転写層9表面に第2転写層11の活性剤A塗布側が押し当てられて密着し、第2転写層11が第1転写層9上に水圧転写される。
このとき、第2転写層11に塗布された活性剤Aの影響が第1転写層9に及ぶことが第2膨潤抑制層21によって抑制される。これにより、第2転写層11の転写に伴って第1転写層9が再度活性化されることを防止できるので、第1転写層9の再活性化に起因してこの第1転写層9の表面側での第1装飾層15の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを回避できる。
しかる後、第2転写層11を転写した基材7の表側表面全体に水圧が均等に掛かるように基材7を水平姿勢で水中から引き上げ、図6(c)に示すように、基材7上に転写された第2転写層11の表面に洗浄ノズル107から洗浄水Rを吹き付けて第2転写層11の表面をシャワー洗浄し、完全に溶解しきれずに付着残存している水溶性フィルム29やゴミなどを除去した後に、乾燥させる。
その後、基材7上に転写された第2転写層11の表面に表面透過層13を塗装(例えばスプレー塗装)により20μm以上且つ200μm以下の厚さに形成する。この表面透過層13の厚さは、第2装飾層19の印刷模様の凹凸を吸収して加飾パネル5の表面を確実に平滑にする観点から、100μm以上であることが好ましい。
表面透過層13は、色付きの透明色を有する樹脂で形成してもよく、偏光材料や蓄光顔料などを混ぜた透明性を有する樹脂で形成しても構わない。また、重ね塗りする場合は、上記の樹脂を組み合わせて塗り重ねてもよい。このようにすれば、表面透過層13により加飾パネル5の加飾に深み感を向上させることができる。
−実施形態の効果−
この実施形態によると、第1転写層9に活性剤Aを塗布した際に第1装飾層15の活性化に伴う膨潤で当該第1装飾層15の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止でき、且つ、第2転写層11に活性剤Aを塗布した際に第2装飾層19の活性化に伴う膨潤で当該第2装飾層19の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止できる。そして、第1転写層9上に第2転写層11を転写した際に、第2転写層11に塗布した活性剤Aの影響による第1転写層9の再活性化が第2膨潤抑制層21によって抑制されるので、第1装飾層15の印刷模様に乱れや色ボケが発生することを防止できる。
また、この実施形態によると、第1転写層9及び第2転写層11の各装飾層15,19の活性化に伴う膨潤を膨潤抑制層17,21で抑制できるので、これら各装飾層15,19を、膨潤抑制層17,21が積層されていない場合に比べて、厚く形成することができる。しかも、第1転写層9及び第2転写層11は、それぞれの装飾層15,19を厚く形成できることに加え、膨潤抑制層17,21が積層されている分だけそれぞれ厚く形成される。そして、このように比較的厚く形成可能な第1転写層9及び第2転写層11を基材7の表側表面に水圧転写により積層するので、これら第1転写層9及び第2転写層11からなる転写積層体14の総厚を、一度の水圧転写で転写した1層の転写層に比べて2倍程度厚くすることができる。これによって、転写積層体14による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせることができる。
さらに、この実施形態によると、第1装飾層15及び第2装飾層19の膜厚が共に0.5μm以上且つ12.0μmであるので、これら両装飾層15,19において、印刷模様の立体感を充分に表現することができると共に、活性化の際に活性剤Aを当該装飾層15,19の裏側にまで速やかに行き渡らせてその印刷模様の立体感が水圧転写に伴って損なわれることを防止できる。その結果、基材7に転写された第1転写層9及び第2転写層11のそれぞれについて印刷模様の立体感を顕在化させることができる。
そして、この実施形態によると、基材7の表側表面に第1転写層9及び第2転写層11を転写し終えた後に、表面透過層13を塗装により第2転写層11上に形成するので、表面透過層13の厚さは水圧転写での第1装飾層15及び第2装飾層19の膨潤に関わらないため制限されず、表面透過層13を所望の厚さに形成することができ、その表面を充分に平滑化できる。これにより、表面透過層13の表面に艶ムラが発生するのを防止して、艶の良い加飾パネル5を実現することができる。
したがって、この実施形態によれば、転写された印刷模様の立体感を顕在化させつつ第1転写層9及び第2転写層11による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせた上で、表面透過層13の表面に艶ムラの発生を防止することができ、加飾パネル5の外観見栄えを向上させることができる。
なお、上記実施形態では、本発明に係る加飾品について自動車のインストルメントパネル1の一部を構成する加飾パネル5を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、本発明に係る加飾品は、例えば、ドアトリム及びコンソールなどの他の車両内装品や、車両部品以外の家電製品及びOA機器などにも適用することが可能である。
以上説明したように、本発明は、被転写体の表面に重ね刷りの装飾層が水圧転写された加飾品の製造方法について有用であり、特に、転写された印刷模様の立体感を顕在化させつつ転写層による加飾に深み感や奥行き感を充分に持たせた上、表面透過層の表面に艶ムラが発生するのを防止することで、加飾品の外観見栄えを向上させることが要望される加飾品の製造方法に適している。
A 活性剤
W 水
w1 水面
5 加飾パネル(加飾品)
7 基材(被転写体)
9 第1転写層
13 表面透過層
15 第1装飾層
15a 第1装飾層の印刷層
17 第1膨潤抑制層
19 第2装飾層
19a 第2装飾層の印刷層
21 第2膨潤抑制層
23 第1転写フィルム
25 第1転写フィルムの水溶性フィルム
27 第2転写フィルム
29 第2転写フィルムの水溶性フィルム

Claims (1)

  1. 水溶性フィルム(25)上に、複数の印刷層(15a)が重ね刷りされてなる膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の第1装飾層(15)と該第1装飾層(15)の活性化に伴う膨潤を抑制する第1膨潤抑制層(17)とが順に積層された第1転写層(9)を有する第1転写フィルム(23)を、前記第1膨潤抑制層(17)が上方を向くように水面(w1)に浮かべた状態で、前記第1転写層(9)に活性剤(A)を塗布すると共に、前記水溶性フィルム(25)を水(W)に溶解させ、該水溶性フィルム(25)の溶解により水面(w1)に浮かんでいる第1転写層(9)の活性剤(A)塗布側に被転写体(7)の表面を押し当てて該被転写体(7)を水中に没入させることにより、前記被転写体(7)の表面に前記第1転写層(9)を水圧で転写し、
    次いで、水溶性フィルム(29)上に、複数の印刷層(19a)が重ね刷りされてなる膜厚0.5μm以上且つ12.0μm以下の第2装飾層(19)と該第2装飾層(19)の活性化に伴う膨潤を抑制する第2膨潤抑制層(21)とが順に積層された第2転写層(11)を有する第2転写フィルム(27)を、前記第2膨潤抑制層(21)が上方を向くように水面(w1)に浮かべた状態で、前記第2転写層(11)に活性剤(A)を塗布すると共に、前記水溶性フィルム(29)を水(W)に溶解させ、該水溶性フィルム(29)の溶解により水面(w1)に浮かんでいる第2転写層(11)の活性剤(A)塗布側に前記第1転写層(9)が転写された被転写体(7)の表面を押し当てて該被転写体(7)を水中に没入させることにより、前記被転写体(7)の第1転写層(9)上に前記第2転写層(11)を水圧で転写し、
    その後、前記被転写体(7)の第2転写層(11)上に表面透過層(13)を塗装により形成して、前記被転写体(7)に前記表面透過層(13)を通して前記第2転写層(11)の表面側から前記第1転写層(9)の少なくとも一部を透視可能な加飾が施された加飾品(5)を得ることを特徴とする加飾品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105500983A (zh) * 2016-01-11 2016-04-20 刘文华 一种聚氨酯泡沫装饰板及其制备工艺

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