JP2014184426A - 気体の浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔体からなる基材に酸化物半導体を担持させた触媒担持ブロックと、触媒担持ブロックを収納する収納容器12と、触媒担持ブロックを加熱するヒータ30とを備え、触媒担持ブロックにヒータの収容部が設けられ、ヒータの収容部にヒータ30が配置されている。ヒータの収容部にヒータを収容することにより、触媒担持ブロックを均一に効率的に加熱することができ、浄化装置をコンパクト化して、効率的に有害物を浄化することができる。
【選択図】図1
Description
しかしながら、この浄化装置では触媒部とヒータとが分離しており、それぞれの配置スペースを確保して設置する必要があるために、浄化装置の小型化を図ることが制約されるという問題があった。さらに、従来装置では、ヒータによる熱が上下の触媒部の加熱の他に、横方向に逃げてしまい、熱効率が不十分であるという問題もあった。
なお、多孔体からなる基材とは、ハニカム構造あるいは三次元網目体構造等の気体の通過経路がきわめて入り組んだ形態に形成された素材であり、アルミナ、マグネシア、シリカ等の固溶体、あるいはゼオライト、シリコン・カーバイト等の焼結体である。
複数個の触媒担持ブロックを相互に接触させた状態で組み合わせて使用する場合には、触媒担持ブロックの接触面(組み合わせ面)の双方に凹溝を設けてヒータの収容部(ヒータ挿入孔)を形成することもできるし、一方の接触面のみにヒータが埋没する深さに凹溝を設けてヒータの収容部とすることもできる。
複数の触媒担持ブロックを組み合わせて使用する場合は、触媒担持ブロックの組み合わせ方を変えるだけでヒータの配置が調節でき、処理風量に合わせて調節することが容易にできるという利点がある。ヒータの配置が決まった場合は、触媒担持ブロックを組み合わせず、一つのブロック状の触媒担持ブロックにヒータの収容部を設けてヒータを装着することもできる。
触媒担持ブロックにヒータの収容部を設け、ヒータを触媒担持ブロックに直接接触させて触媒担持ブロックを加熱することにより、触媒担持ブロックを、均一に、効率的に加熱することができる。前記ヒータの収容部は、前記触媒担持ブロックを通過する被処理気体の搬送方向に対し、収容部の長手方向が直交する向きに設けることにより、被処理気体の流通を妨げずに触媒担持ブロックを均一に効率よく加熱することができ、効果的に被処理気体を浄化することができる。
また、前記収納容器の外周部に、収納容器から外部への熱伝導を遮断する断熱材を設けることにより、前記ヒータにより収納容器に収納された触媒担持ブロックを効率的に加熱することができ、浄化装置を安全に使用することができる。
図示例では4個の触媒担持ブロック20を収納容器12に収納している。一つの触媒担持ブロック20は、厚さ30mm、高さ50mm、横幅73mmである。触媒担持ブロック20を4個、並べた状態で、横幅73mm、高さ50mm、長さ(気体の流れ方向)120mmのブロック状になる。本実施形態で使用している触媒担持ブロック20は一例であり、収納容器12に収納する触媒担持ブロック20の大きさや、配置数などは適宜選択可能である。
基材に担持させる酸化物半導体としては、前述したように種々の酸化物半導体を用いることができる。中でもTiO2、ZnO、NiO、Cr2O3、Fe2O3が好ましく、さらに酸化クロムが最も好んで使用される。
図2に示すように、実施形態では、触媒担持ブロック20の2つの当接面にそれぞれ2つずつヒータの収容部20aを設け、収納容器12に触媒担持ブロック20を装着した状態で、収納容器12全体で4つのヒータの収容部20aを設けた。
図3(a)は、コの字形に形成されたケース部12bに触媒担持ブロック20を収容し、ケース部12bに蓋12cを被せる状態を示す。触媒担持ブロック20を収納したブロック体にはヒータの収容部20aが設けられ、蓋12cにヒータの収容部20aに位置合わせしてヒータを挿入するための開口12dが設けられている。
図3(b)は、収納容器12に触媒担持ブロック20を収納した状態を示す。
収納容器12に収容する触媒担持ブロック20の数や、その配置位置に合わせて、あらかじめ収納容器12にヒータを挿入する開口を設けておけば、収納容器12に触媒担持ブロック20を収納した後に、ヒータ30を挿入するだけで浄化処理部が構成できる。
断熱材35で包むようにして触媒担持ブロックを例えばステンレス製の収納容器12に入れる場合、収納容器12の内面は鏡面仕上げとし、熱反射により熱の系外への放出を最小限にとどめる。
なお、ヒータ30を挿入する開口12dとヒータ30の外面との間についても、ヒータ30と開口12dとの間に断熱シートを詰めてシールする。
断熱材を取り付ける際には、収納容器12の縁部に設けたフランジ12aを利用して取り付けることができる。
上述した浄化装置はヒータ30として棒状のヒータ(ロッド・ヒータ)を装着した例である。図5は、屈曲形のヒータとして、図6に示すM字ヒータ32を触媒担持ブロック22に装着した例を示す。図5(a)は、触媒担持ブロック22に形成した凹溝22aにM字ヒータ32を装着した触媒担持ブロック22を他の触媒担持ブロックと組み合わせた例を示す。図5(b)は、M字ヒータ32を装着した触媒担持ブロック22の装着面における平面配置である。
このM字ヒータ32のように屈曲形のヒータを使用する場合は、複数個の触媒担持ブロックを組み合わせて使用し、触媒担持ブロックの突き合わせ面(接触面)に、ヒータの収容部を形成してヒータを装着する方法が有効である。
前述した、ロッド・ヒータ等の棒状のヒータを使用する場合は、必ずしも触媒担持ブロックの突き合わせ面を利用することなく、触媒担持ブロック自体にヒータの収容部を設けてヒータを装着してもよい。
なお、触媒担持ブロックにヒータを内蔵する際には、触媒担持ブロックを通過する被処理気体の流量を考慮して、使用するヒータの形状や、ヒータの大きさ(径寸法)、ヒータの配置間隔等を設定する。
触媒担持ブロックにヒータを収容する収容部(ヒータ挿入孔)を設ける方法としては、触媒担持ブロックの基材であるセラミック多孔体に機械加工(フライス盤やルータによる加工)により設ける方法がある。しかしながら、セラミック多孔体は脆く、加工時に破片が飛散しやすいことから、加工が難しい上に、切削刃が傷みやすく、セラミックの切削ごみが機械の可動部分に入り込んで加工装置を傷めてしまうといった問題がある。
セラミック多孔体は、作製しようとするセラミック多孔体の形状(外形)に合わせて、まず発泡体を成形し、この発泡体を利用して作製する。発泡体は、多孔体を形成するための基材となるもので、発泡ウレタン等の、ハニカム構造あるいは三次元網目体構造等の多孔体構造体を備えるものを使用する。
発泡ウレタンは、通常、1×1×1m程度の大きさの立方体状の発泡ウレタン体として提供される。この発泡ウレタン体から切り出して所望する大きさ(例えば、300×300×30mm)の平板体状の発泡体を形成する(発泡体を成形する工程)。セラミック多孔体の大きさや形状は適宜設定可能であるが、以下では、平板状のセラミック多孔体を形成する例について説明する。
発熱体44に通電し、赤熱した発熱体44を発泡体40に接触させながら掃引すると、金属ワイヤが発泡体40に接触した部位が焼き抜かれ、発熱体44がメスのように作用して、発熱体44が通過した領域が発泡体40から切り取られる(発泡体にヒータの収容部となる溝形状を形成する工程)。
図7(c)は、発熱体44を掃引する操作を行って発泡体40に溝42を形成した状態を示す。溝42の幅及び深さは、金属ワイヤによって形成する発熱体44のコの字形部分の幅と深さ(長さ)を調節することによって任意に設定することができる。発熱体44を掃引操作する際に、発泡体40の表面から沈み込ませる発熱体44の深さを調節して溝42の深さを設定することができる。
発熱体を利用して発泡ウレタンに溝を形成する操作を行った例について説明する。
気体の透過率が約80%の発泡ウレタン板(300×300×30mm)を発泡体とした。
発熱体には、直径0.5mmのNi-Cr線を金属ワイヤを使用し、金属ワイヤを幅10mm、深さ10mmのコの字形に加工して発熱体とした。
発熱体の印加電圧を1V、掃引速度を5cm/秒として発泡体上で発熱体をM字状に掃引することにより、発泡体上に溝を形成することができた。発泡体上に形成された溝は、幅10mm、深さ10mmであった。
実験例1において使用した発熱体と同一の発熱体を使用し、気体の透過率が約40%の発泡ウレタン板(300×300×50mm)にM字形の溝を形成する実験を行った。発熱体の印加電圧、掃引速度は実験例1と同様である。
この実験においても、発泡体上で発熱体をM字状に掃引することにより、発熱体の掃引経路にしたがってM字状の溝が形成されること、発泡体上に、幅10mm、深さ10mmの溝が形成されたことを確認した。
これらの実験結果は、金属ワイヤを発熱体とし、金属ワイヤを加熱して発泡体を焼き抜く方法が、発泡上に溝を形成する方法として有効に利用できることを示す。
また、発熱体を掃引して溝を形成する方法は、溝を形成する対象物である発泡体の形状や大きさによって制約されないという利点もある。発熱体を掃引してヒータの収容部を形成する操作は、きわめて自由度の高い操作であり、平板状等の平面的な発泡体に収容部を形成する場合に限らず、円柱体状や円筒体状等の曲面状の外面を備える発泡体に対して収容部を形成することも容易に可能である。
次に、余剰のスラリーを除去した後、スラリーが付着した発泡体を乾燥させ、次いで、約1600℃で焼成する。焼成工程で、発泡体のポリウレタンは分解除去され、スラリーのセラミック成分であるアルミナ、マグネシア、シリカは固溶体となり、ハニカム構造あるいは三次元網目体構造を備える多孔体が得られる(多孔体を形成する工程)。
なお、スラリーを含浸させた発泡体を乾燥、焼成する工程において、発泡体と焼成体(セラミック多孔体)の寸法が変化する場合には、発泡体と焼成体の寸法の差異をあらかじめ想定して発泡体に形成する溝の幅、深さを設定しておけばよい。触媒ブロックのヒータの収容部の寸法精度はさほど高くはないから、製造上の誤差等も考慮して発泡体に形成する収容部(溝)の幅、深さを設定すればよい。
酸化物半導体を担持させる操作は、酸化物半導体を分散させた分散液を調製し、分散液中にセラミック多孔体を浸漬してセラミック多孔体に分散液を付着させた後、乾燥させればよい。
セラミック多孔体にはあらかじめ溝が形成されているから、酸化物半導体を担持した後の触媒ブロックにも溝の形状が保持され、ヒータの収容部を備えた触媒担持ブロックが得られる。
(実施例1)
小型の浄化装置として、一つの大きさが73×50×30mmの触媒担持ブロックを4個、一列状に並べて収納容器12に収納した浄化装置を構成し、VOCの分解特性を炭化水素計(単位はppmC)で測定した。
触媒担持ブロックの基材はセラミック・フォーム、担持した触媒は酸化クロムである。収納容器12の周囲を断熱材の珪藻土ブロックにより囲む配置とした。使用したヒータは、直径10mm、長さ51mm、300Wのロッド・ヒータ4本である。ヒータ30は図2に示した配置と同一とした。ヒータ30による触媒担持ブロックの加熱温度は400℃である。
空気を搬送ガスとし、VOCとしてTHF(テトラヒドロフラン)を処理対象とした。風量は約0.3m3/分である。表1に測定結果を示す。
中型の浄化装置として、1つの大きさが100×100×30mmの触媒担持ブロックを4個並べ、全体として100×100×120mmの大きさの触媒担持ブロックを収納容器12に収納した浄化装置を構成し、VOCの分解特性を測定した。触媒担持ブロックの基材はセラミック・フォーム、担持した触媒は酸化クロムである。
収納容器12の周囲を断熱材のセラミック・ブロックにより囲んで断熱した。断熱材の外表面温度は約50℃程度である。
使用したヒータは径10mm、120mm、300Wのロッド・ヒータである。図2と同様にヒータを4本配置した。触媒担持ブロックの加熱温度は400℃である。
空気を搬送ガスとし、THFを処理対象ガスとして、分解特性を測定した。風量は約0.3m3/分である。表2に測定結果を示す。
もっとも小型の浄化装置として、大きさが20×50×73mmの触媒担持ブロックを収納容器12に収納して浄化処理部を構成し、VOCの浄化特性を測定した。この場合、VOCガスは20×50mmの間口から入り、長さ73mmの距離を走行する。
本実施例の浄化装置は、一つの触媒担持ブロックのみを使用して組み立てた例である。
触媒担持ブロックの長辺(73mm)を被処理気体の搬送方向(被処理気体が通過する方向)と平行に配置し、触媒担持ブロックの長辺に沿った方向に2本のロッド・ヒータを配置した。ロッド・ヒータは径6.25mm、長さ51mm、250Wである。触媒担持ブロックの加熱温度は400℃である。
空気を搬送ガスとし、トルエンを処理対象ガスとして、分解特性を測定した。風量は約0.2m3/分である。表3に測定結果を示す。
12 収納容器
12a フランジ
12b ケース部
12c 蓋
12d 開口
12e セット孔
14a、14b ダクト
20 触媒担持ブロック
20a ヒータの収容部
21 熱電対挿入孔
22 触媒担持ブロック
22a 凹溝
30 ヒータ
32 M字ヒータ
35 断熱材
40 発泡体
42 溝
44 発熱体
Claims (8)
- 多孔体からなる基材に酸化物半導体を担持させた触媒担持ブロックと、触媒担持ブロックを収納する収納容器と、触媒担持ブロックを加熱するヒータとを備え、
前記触媒担持ブロックにヒータの収容部が設けられ、該ヒータの収容部に前記ヒータが収容されていることを特徴とする気体の浄化装置。 - 前記触媒担持ブロックは、複数個の触媒担持ブロックを直列に互いに接触して配置され、前記触媒担持ブロックの対向する接触面の少なくとも一方に凹溝が形成されて前記ヒータの収容部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の気体の浄化装置。
- 前記ヒータの収容部は、前記触媒担持ブロックを通過する被処理気体が搬送される方向に対し、収容部の長手方向が直交する向きに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の気体の浄化装置。
- 前記触媒担持ブロックの側面と前記収納容器の内側面との間に、触媒担持ブロックの側面と前記収納容器の内側面との間から被処理気体が漏出することを防止するシール性を備えた断熱材が介装されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の気体の浄化装置。
- 前記収納容器の外周部に、収納容器から外部への熱伝導を遮断する断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の気体の浄化装置。
- 請求項1記載の気体の浄化装置に用いられる触媒担持ブロックであって、
触媒担持ブロックの本体に、前記ヒータを収容する収容部が設けられていることを特徴とする触媒担持ブロック。 - 前記ヒータの収容部は、平面形状が、前記ヒータの平面形状に一致する溝状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の触媒担持ブロック。
- 請求項6または7記載の触媒担持ブロックの製造方法であって、
触媒担持ブロックの外形に合わせて発泡体を成形する工程と、
成形した発泡体上において、前記触媒担持ブロックに収容するヒータの断面形状に合わせた曲げ形状とした金属ワイヤからなる発熱体を加熱しながら掃引し、発熱体が通過した領域の発泡体を除去することにより、発泡体に前記ヒータの収容部となる溝形状を形成する工程と、
前記溝形状が形成された発泡体にセラミックのスラリーを浸み込ませた後、発泡体を乾燥、焼成することにより、前記発泡体を分解除去し、前記スラリーのセラミック成分からなる多孔体を形成する工程と、
該多孔体に酸化物半導体を担持する工程と、
を備えることを特徴とする触媒担持ブロックの製造方法。
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WO2021024998A1 (ja) * | 2019-08-07 | 2021-02-11 | 日立造船株式会社 | 反応器 |
WO2021060034A1 (ja) * | 2019-09-23 | 2021-04-01 | 株式会社ジンテク | NOxを窒素と酸素に分解する方法及び分解装置 |
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