JP2015204142A - 触媒機能付多孔質発熱体 - Google Patents

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【課題】通電によって、所定の温度以上に温度上昇することなく、放熱効率が良い正の抵抗温度特性を有し、任意のキュリー点温度を設定できる触媒機能付多孔質発熱体を提供する。【解決手段】アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物10とし、その全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ0〜25wt%を加えてステップS1で混練し、ステップS2で圧力を加えて成形し、それをステップS3で焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体10C,20Cと、多孔質抵抗成型体10C,20Cに担持させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒19,29を具備するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する多孔質抵抗成型体を利用したものであり、この正の抵抗温度特性は、常温では抵抗値が低く、所定の温度に達すると急激に抵抗値が増大するという抵抗温度特性を有しており、この正の抵抗温度特性は多孔質抵抗成型体として、触媒としての機能を高める触媒機能付多孔質発熱体に関するものである。この触媒機能付多孔質発熱体は工場または車両の排ガス、排水、集塵、粉体等の浄化、酪農の屎尿処理等の空気の浄化を行う空気浄化装置に使用される。
金属や金属酸化物・窒化物等の粉末を焼成してなる焼結体は、その緻密性から様々な分野での利用可能性があり、従来から多くの技術が開発されてきた。特に、金属材料としてのアルミニウム材料は、軽量、かつ、安価であり、加工性も良いことから、従来から焼結体を製造する原材料としてアルミニウム材料が検討されてきた。
しかし、アルミニウム材料は極めて酸化し易く、その表面に安定で硬い酸化皮膜が成形され易いため、これをそのまま焼結させても機械的強度の高い焼結体を得ることは困難であった。
にもかかわらず、本出願人は、先に、アルミニウム粉末を使用した焼結体の発明に係る特許文献1に記載の特許出願をした。この特許文献1に記載の焼結体の発明は、アルミニウム微粒子と有機バインダ及び/または無機バインダとを含有し、これらが均一に混合された焼結原料混合物を、常温でプレス成形し、非酸化雰囲気において1200℃〜1800℃の範囲内の温度で焼結したもので、これによって、優れた機械的強度を有する焼結体が得られた。
特許文献1においては、1200℃〜1800℃の範囲内の温度で焼結したことから、得られる焼結体は主にアルミナ質となり、通電発熱はなく、抵抗体、抵抗発熱体等の用途に適した導電性は備えられていなかった。このため、アルミニウム材料を使用した焼結体として応用分野の拡大を図ることはできなかった。
また、従来から使用されている発熱体として、ニクロム合金、カンタル(ニッケル・クロム)合金等の金属材料や、炭化ケイ素(SiC)等のセラミック材料からなるものが開発されている。しかし、金属材料からなる発熱体は、液体加熱用の発熱体等として使用する場合において、金属の周囲にマグネシア等の絶縁物を配設し、更に、全体を金属シースで包む必要があることから、また、金属線によって面放熱させていたことから、発熱効率が低かった。一方、セラミック材料からなる発熱体においては、脆くて急激な温度変化による熱衝撃にも弱く、急速加熱や急速冷却は困難であった。
本発明者はそれ等の問題点を追求し、特許文献2で正の抵抗温度特性の発熱体の発明を提供した。
当該正の抵抗温度特性の発熱体は、アルミニウム粉と、黒鉛粉と、粘土粉とを主材料とする焼結原料混合物を、圧縮成形または押出成形によって外形の成形と共に複数の貫通孔を設け、それを焼結させた成型抵抗体と、前記成型抵抗体に設けた電極を具備し、前記成型抵抗体は、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有するものであるから、アルミニウム粉と、黒鉛粉と、陶磁器用の粘土粉が混合されてなる焼結原料混合物を、圧力を加えて成形することによって、これら焼結原料混合物は強固で緻密な固形状態となる。したがって、この状態で焼結することによって、高強度の正の抵抗温度特性を得たものである。
また、多孔質抵抗成型体に黒鉛粉が混合されていることによって、アルミニウム粉の表面に黒鉛粉が付着し、アルミニウム粉が黒鉛粉に被われた状態となるため、加熱過程においてアルミニウムの融点に達しても、アルミニウムが溶融して表面に噴出するという焼結不良が生じることはなく、焼成によって前記焼結原料混合物は複合化されて、空隙を有する正の抵抗温度特性発熱体となり、かかる正の抵抗温度特性発熱体は通電により発熱する。これによって、機械的強度が高く、また、通電により抵抗発熱する多孔質の正の抵抗温度特性発熱体となり、かかる多孔質の正の抵抗温度特性発熱体は、特定の温度まで上昇できる抵抗発熱体として使用可能となる。
特に、こうして得られた正の抵抗温度特性の多孔質発熱体は、体積が大きい割には通電による昇温速度及び通電解除による降温速度が速く、通電量によって発熱温度は一定となる。したがって、製造過程における抵抗制御が容易である。即ち、原料の粒子形状や粒度分布を選択したり、その配合量を調節したり、また、成形時の圧力調節をしたりして正の抵抗温度特性発熱体の緻密度を調節することによって、更には、焼結温度を調節して焼結密度を調節することによって、多孔質抵抗成型体の抵抗値を制御して通電による発熱温度を制御することが可能である。また、成型時の金型形状等による成形形状の調節、成形時の充填量の調節、成形時の部分的な圧力調節等で多孔質抵抗成型体の抵抗分布を調節することによって、多孔質抵抗成型体の特定部位を特定の温度に発熱させることができる。
したがって、この発明に係る正の抵抗温度特性の多孔質発熱体は、抵抗発熱体としての使用に好適であり、特に、面で加熱する発熱体等の使途に好適である。また、酸等の化学的にも強靭である。このようにして、機械的強度が高く、かつ、通電発熱性を有し、抵抗発熱体として好適に使用可能な多孔質の正特性発熱体となる。そして、ヒートショックにも強く、水滴を滴下しても瞬時に水蒸気とすることができるから、温度制御と同時に湿度制御用熱源として使用することができる。
特開2012−36470 特開2013−4367
殊に、特許文献2は特許文献1の問題点を解決したものである。正の抵抗温度特性の発熱体における空隙は、本発明者が実験研究を重ねた結果、多孔質抵抗成型体における空隙が所定の範囲内においては、抵抗発熱体として使用しても、十分な強度及び通電発熱性を確保できることを見出した。即ち、多孔質抵抗成型体における空隙が少ないと、正の抵抗温度特性発熱体の抵抗値が小さく、通電による発熱性が損なわれる。一方で、多孔質抵抗成型体における空隙が多すぎると、抵抗発熱体として使用するにも、強度が足りず、また、通電性が損なわれる。
なお、この多孔質抵抗成型体の空隙は、成形した乾燥状態の多孔質抵抗成型体の体積及び重量を測定し、水を含浸させた状態の重量を測定し、再び乾燥させて重量を測定し、その重量の変化を気孔率に置き換えたものである。また、「パラフィン浸透装置(ULVAC DA−15D)」により真空に脱気したところにパラフィンを含浸させて、その重さの変化から算出したものも、結果的に大きな差は生じなかった。したがって、ここでは前者、後者の区別なく説明する。よって、通電によって発熱し、所定の温度以上に温度上昇することなく、放熱効率がよい正の抵抗温度特性の発熱体が得られる。
このように、通電によって発熱し、所定の温度以上に温度上昇することなく、放熱効率がよい大電力に耐えられる正の抵抗温度特性が得られるものの、その空隙による表面面積が大きくなることが生かされておらず、その用途が電熱用に限られていた。また、正の抵抗温度特性の発熱体であることが生かされていなかった。
一般的に冷蔵庫、冷凍庫の問題として、冷蔵庫、冷凍庫に保管されている果物、野菜等は、それら果物、野菜等から放出される微量なエチレンガスにより、保管している果物、野菜、生花等の腐敗を進行させる等の問題があった。しかし、その冷蔵庫内、冷凍庫内の空気から消臭、除菌、特定物質の除去により浄化しようとすると、触媒の選択がその能力を大きく左右する。
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、通電によって発熱し、放熱効率が良い正の抵抗温度特性を有し、所定の温度以上に温度上昇することなく、任意の温度にそのキュリー点温度を設定でき、空気を浄化できる触媒機能を有する触媒機能付多孔質発熱体の提供を課題とするものである。
請求項1の触媒機能付多孔質発熱体は、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、その全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ0〜25wt%を加えて混練し、圧力を加えて成形し、それを焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体と、前記多孔質抵抗成型体に担持付着させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒を具備する。
前記多孔質抵抗成型体とは、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、その全体に対して、水0〜25wt%を加えて混練し、圧縮成形または押出成形によって成型し、乾燥の後、焼結させたもので、更に正確には、通電したとき、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有する電気特性を有するものである。
アルミニウム粉と、黒鉛粉と、粘土粉とを主材料とする焼結原料混合物は、水を加えて混練し、金型でプレスする圧縮成形または押出成形機で押出成形することにより任意の形状に成形し、それを、例えば、温度制御電気炉内にて900℃〜1200℃の範囲内で焼結させたものである。温度制御電気炉内にて900℃〜1200℃の範囲内で焼結するのは、本発明者らが実験研究を重ねた結果、900℃未満では十分な焼成が行われず焼結不良となってしまう確率が高いことが確認され、焼結温度の下限値を900℃とし、また、1200℃を超えると、得られた成形体が正特性を有さない確率が高いことが確認されたことから、焼結温度の上限値を1200℃としたものである。
ここで、アルミニウム粉と、黒鉛粉と、陶磁器用の粘土粉が特定の配合により混合されてなる焼結原料混合物を、圧力を加えて成形することによって、これら焼結原料混合物は強固で緻密な固形状態となる。また、水に対してバインダを溶かして使用してもよい。したがって、この状態で焼結することによって、高強度の多孔質抵抗成型体を得ることができる。また、木粉は多孔質の空隙に関係するだけではなく、焼結時の還元雰囲気にも効果あるが、多すぎると炉内を煤で劣化させる可能性があるので、少ないほうが良い。
また、粘土粉は、鉱物質粉としての陶磁器用の粘土粉であり、例えば、蛙目粘土、木節粘土、カオリン、長石、陶石の粉末等が使用される。前記蛙目粘土、木節粘土、カオリン、長石、陶石の粉末は、通常、鉱物質粉と呼ばれ、陶磁器用の粘土粉である。
アルミニウム粉と、黒鉛粉と、粘土粉とを主材料とする焼結原料混合物の多孔質抵抗成型体は、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有する。更に、前記多孔質抵抗成型体に対して設けた1以上の貫通孔は、格別その断面形状を問うものではないが、空気抵抗の小さい形状で、かつ、表面積が広いものが好適である。
ここで、アルミニウム粉は、例えば、アトマイズ法(噴霧式)によって製造された不規則な形状(針状、紡錘形状等)のものが使用される。レーザ回折・散乱法によって測定した中位径が30μm〜75μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が150μm未満であるもの、好ましくは、中位径が35μm〜65μmの範囲内であり、粒子径が100μm未満であるものである。
ところで、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、上記数値は、当然、測定等による誤差を含む値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、正規分布に近似している限り、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径=中位径と見做すことができる。
また、「ふるい分け試験(ふるい試験法)」とは、JIS−Z−8801によって規定された目開きをもつ標準ふるいを用いて、測定対象となる粉末をふるい分けることによって粒度分布を測定する試験方法をいうものである。標準ふるいなどを用いて行う粒径,粒径分布を測定する方法のことである。粒径と、粒径分布の表現は、使用したふるいの目開き(μm)とふるい上残量(オーバサイズ)またはふるい下通過量(アンダーサイズ)の全体に対する比率で表される。
そして、炭素粉は、例えば、熱伝導率が低く、高温下でも前記アルミニウム粉とは反応しない黒鉛粉が選択される。ここでは、前記アルミニウム粉の溶融点(668℃)より低い温度では状態変化しないものであればよく、例えば、黒鉛、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維等の粉状物が挙げられる。カーボン質材料の繊維は、石油系ピッチから合成できる。更に、黒鉛粉体の純度は90%以上が好ましい。また、黒鉛粉は、人造黒鉛であっても、また天然黒鉛であってもよい。即ち、本発明の実施の形態で使用するのは、炭素粉は前記アルミニウム粉の溶融点より低い温度では状態変化しない炭素以外の混ざりもの及び炭素を含むものであり、通常の炭素粉では、必ず100%は存在していない。純度からすれば、ダイヤモンド、グラファイト、黒鉛の順で炭素の純度が低くなる。本発明では黒鉛等で実施する純度である。
更に、上記アルミニウム粉、前記炭素粉、前記無機酸化物材料の粉末が比重の違いによって移動が生じない量の水及び/またはバインダを混合した焼結原料混合物は、圧力を加えて成形し、焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有するものと、前記アルミニウム粉、前記炭素粉、前記無機酸化物材料の粉末を概略的に特定し、かつ、電気的抵抗体として通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体と特定したものである。バインダはポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)の水溶液の30%液を水0〜25wt%として使用しています。
加えて、前記多孔質抵抗成型体に充填させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒とは、元素のうち周期表において、第5周期及び第6周期、第8、9、10族に位置する元素、即ち、物理的性質や化学的性質が互いによく似ているルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の総称であり、ここではそれらのうちから選択した触媒であり、それを無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かしたものである。
請求項2の触媒機能付多孔質発熱体は、更に、前記多孔質抵抗成型体の両側に金属の溶射によって電極膜を設けたものである。
ここで、前記多孔質抵抗成型体の両端に成形した前記電極膜は、金属の溶射によって成形したものであるから、多孔質抵抗成型体との接続が表面積を大な条件で接合成形でき、電極膜側の抵抗値を小さくでき、長時間の使用に際しても、電極膜の劣化が生じ難い。前記多孔質抵抗成型体に設けた両側の電極膜は、金属の溶射によって成形したものであり、少なくとも金属の溶射によって成形した電極膜が必要であることを意味するものであり、ステンレス電極リード及び電極端子を省略することも、接続することもできる。
請求項3の触媒機能付多孔質発熱体は、更に、前記焼結原料混合物が、半導体である金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したものである。
ここで、上記金属シリコン粉5〜10wt%は、酸化しない材料としての通電性確保する通電安定性を上げるものである。また、鉄粉0〜10wt%は、抵抗体として機能する抵抗値制御に使用でき、発熱体としての安定した性能が発揮できる。ただし、金属シリコン粉及び鉄粉の混合は、PTCサーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する正特性発熱体としての性質が低下するので、大量には配合しない方がよい。
請求項4の触媒機能付多孔質発熱体の前記白金族触媒は、パラジュウム、またはパラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウムのように、パラジュウムを含む組み合わせからなる合金、またはパラジュウムを含むパラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウムからなる2層を構成する構造とすることができる。
請求項5の触媒機能付多孔質発熱体の前記白金族触媒は、エタノール40〜50wt%、ノルマルプロピルアルコール5〜10wt%、パラジュウム5wt%以下、メタノール0.5〜3wt%、分散樹脂0.5wt%以下、残余を水として配合したものである。
ここで、白金族触媒のパラジュウムは、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、メタノール、水を溶剤としているから、簡単に塗布、含浸ができ、前記多孔質抵抗成型体の表面に塗布とその乾燥をすることができる。基本的に、パラジュウムを無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かしたものであればよい。
請求項1の発明にかかる触媒機能付多孔質発熱体は、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、その全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ0〜25wt%を加えて混練し、圧力を加えて成形し、それを焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体に対し、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒を担持付着させ、それを乾燥させたものである。
したがって、焼結された多孔質抵抗成型体は5%〜50%の範囲内の空隙を有しているから、その表面積は広くなり、その表面を白金族触媒として使用するものであるから、触媒の反応速度を速め、反応効率を上げることができる。実験でも、常温で白金族触媒が作用する物質に対しては、消臭効果が確認され、更に、触媒を加熱することにより高速に消臭させることができた。消臭効果については、発明者によって有機物は300℃で、無機物についても650℃で完全に消臭除去ができることが確認された。
前記多孔質抵抗成型体は、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、その全体に対して、水0〜25wt%を加えて混練し、圧縮成形または押出成形によって成型し、乾燥の後、焼結させてなるものであるから、次の効果を奏する。
即ち、焼結原料混合物において、例えば、アルミニウム粉の含有量が30wt%未満であると、アルミニウム粉が少なすぎて、通電性が損なわれる。一方、アルミニウム粉の含有量が50wt%を超えると、アルミニウム粉において黒鉛粉に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出するという焼結不良が生じ易くなる。アルミニウム粉30〜50wt%であるから、通電性が維持でき、焼結不良も生じ難い。
また、例えば、黒鉛粉の含有量が5wt%未満であると、黒鉛粉が極めて少な過ぎてアルミニウム粉において黒鉛粉に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。一方、黒鉛粉の含有量が10wt%を超えると、黒鉛粉が多過ぎて多孔質抵抗成型体の強度及び純度が低下し、多孔質発熱体の抵抗発熱体としての使用において強度や通電発熱性が足りないものとなる。黒鉛粉の含有量が5〜10wt%であるから、アルミニウムが表面に噴出する焼結不良や、多孔質抵抗成型体の強度が低下しない。
そして、陶磁器用の粘土粉の含有量が、例えば、30wt%未満であると、陶磁器用の粘土粉が少なすぎて、得られる成型抵抗体の抵抗値が小さくなり、多孔質発熱体の抵抗発熱体としての利用において通電発熱性が足りないものとなる。一方、陶磁器用の粘土粉の含有量が50wt%を超えると、陶磁器用の粘土粉が多過ぎて、通電性が損なわれるが、本発明はその範囲内に設定しているから、それらの問題が生じない。
更に、木粉は、木屑を粉砕機で微粉砕したものが使用されるが、ウィスカー状のものを用いるのが好ましい。例えば、ウィスカー状の木粉を使用することでアルミニウム粉、黒鉛粉、蛙目粘土粉等の原料がウィスカー状の髭状の隙間に絡みつくため、原料の充填性が高くなると共に、成形工程で圧力を掛けて生じたものは強固で緻密なものとなるが、木粉が入っていなくても多孔質抵抗成型体を得ることはできる。通常、0〜10wt%配合するのが望ましい。したがって、この発明の正の抵抗温度特性の発熱体によれば、確実に高強度で通電発熱性を有し、純度の高いものとなる。
なお、前記焼結原料混合物において、前記アルミニウム粉の含有量が40wt%〜45wt%の範囲内であり、前記黒鉛粉の含有量が5wt%〜10wt%の範囲内であり、前記鉱物質粉(陶磁器用の粘土粉)の含有量が40wt%〜45wt%の範囲内あることによって、更に確実に多孔質の正の抵抗温度特性の発熱体において高い強度及び純度並びに通電発熱性を確保できるため、より好ましい。
そして、前記多孔質抵抗成型体に付着させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒は、物理的性質や化学的性質が互いによく似ているルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等が使用でき、ここではそれらのうちから選択した触媒を、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かし、浸漬、塗布し、乾燥させたものであるから製造が簡単である。
なお、発明者の行った本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の消臭試験では、他社の同一風量の脱臭装置に比較して消費電力量が従来の電熱ヒータに比較して、約1/5〜1/3になり、臭気を脱臭する装置の大きさも約1/5〜1/3になることが確認された。特に、本願発明の触媒機能付多孔質発熱体では、特定の温度に上昇する個所が限られた範囲であることから消費電力が少なくてすみ、また、通過する被浄化空気との接触面積が広い面積で行われるので、他社製品に比較して約1/5〜1/3に小型化した商品とすることができた。
これらのことから、閉鎖された室内の臭気を外に排出する場合に使用でき、また、動物舎、介護施設等の室内で空気を循環させる場合にも使用でき、そして、冷蔵庫内のエチレンガス除去、脱臭、雑菌除去等にも使用できることが確認された。特に、触媒は、前記多孔質抵抗成型体の膨大な表面の凹凸と微細な通気孔にガッチリ担持され、その中を通過する有害ガス(悪臭)、雑菌、カビ菌は、水と炭酸ガスに酸化分解され消滅することが確認された。この確認から、白金族触媒は従来から自動車の排ガス(炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物)等の分解・浄化に使用されているがことが周知であるが、有毒ガスや微生物を水と炭酸ガスに酸化分解する機能も有していると推定された。
また、本実施の形態の焼結された多孔質抵抗成型体の空隙は5%〜50%としているが、多孔質抵抗成型体自体の実用的な機械的強度及び触媒の担持される機械的強度、温度上昇させる部分的な範囲の熱伝導、被浄化空気との接触面積の広さ等を考慮すると、焼結された多孔質抵抗成型体の空隙は30%〜40%の範囲が好ましい。
そして、通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体は、温度と抵抗値の関係で一義的に設定でき、温度を維持するための制御が必要ないから、それを使用する空気浄化装置等の装置が廉価に製造できる。
請求項2の発明にかかる触媒機能付多孔質発熱体の前記多孔質抵抗成型体には、更に、その両側に金属の溶射によって電極膜を設けたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、通電により高温度で触媒を使用できるから、触媒で処理する特定物質の化学反応の速度を速める場合に好適である。また、白金族触媒は電気的に多孔質抵抗成型体を短絡させることがないので、安定した使用が可能である。特に、白金族触媒の濃度を低くできること及びアルミニウム粉体が多孔質抵抗成型体を成形する際には酸化アルミニウムとなって絶縁特性を呈するので、前記多孔質抵抗成型体から白金族触媒に通電されることがない。
請求項3の発明にかかる触媒機能付多孔質発熱体は、更に、前記焼結原料混合物として金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したものであるから、請求項1または請求項2に該当する効果に加えて、金属シリコン粉5〜15wt%及び鉄粉0〜5wt%を配合したものであるから、通電安定性を確保することができる。また、鉄粉は酸化により抵抗体として機能するから抵抗値制御に使用でき、必要に応じて、PTCサーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する正の抵抗温度特性の発熱体とするか否かを制御できる。
特に、シリコン粉(半導体)5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したものでは、キュリー点温度を設定しやすい。
請求項4の発明にかかる触媒機能付多孔質発熱体の前記白金族触媒は、パラジュウム、またはパラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウム等のように、パラジュウムを含む組み合わせからなる合金、またはパラジュウムを含む2層構造としたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに該当する効果に加えて、単一のパラジュウム、またはパラジュウムを含む組み合わせからなる合金、またはパラジュウムを含む2層構造によって、白金族触媒がパラジュウムを含むものであり、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かし、浸漬、塗布し、乾燥させたものであるから取り扱いが簡単で、製造が簡単である。
請求項5の発明にかかる触媒機能付多孔質発熱体の前記白金族触媒は、エタノール40〜50wt%、ノルマルプロピルアルコール5〜10wt%、パラジウム5wt%以下、メタノール0.5〜3wt%、分散樹脂0.5wt%以下、残余を水として配合したものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに該当する効果に加えて、触媒のパラジウムは、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、メタノール、水を溶剤としているから、簡単に塗布、含浸により担持させることができ、また、その乾燥速度を速くできる。
図1は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の製造方法を示すフローチャートである。 図2は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を示すもので、(a)は円筒状の多孔質抵抗成型体の斜視図、(b)は円筒状の金属溶射した多孔質抵抗成型体斜視図、(c)は円筒状の多孔質抵抗成型体で溶射電極を配設した斜視図、(d)は触媒機能付多孔質発熱体の斜視図である。 図3は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を示すもので、(a)は四角筒状の多孔質抵抗成型体の斜視図、(b)は四角筒状の金属溶射した多孔質抵抗成型体斜視図、(c)は四角筒状の多孔質抵抗成型体で溶射電極を配設した斜視図、(d)は触媒機能付多孔質発熱体の斜視図である。 図4は本発明の実施の形態1にかかる空気浄化装置で使用する触媒機能付多孔質発熱体束を示すもので、(a)は円筒状の多孔質抵抗成型体の連続接続した斜視図、(b)は円筒状の金属溶射した多孔質抵抗成型体束の斜視図、(c)は円筒状の多孔質抵抗成型体で四角柱を形成すべく連続接続した斜視図、(d)は円筒状の多孔質抵抗成型体で四角柱を形成した触媒機能付多孔質発熱体束の斜視図である。 図5は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の特性図で、(a)は温度−抵抗特性図、(b)は時間−電流特性図、(c)は時間−温度特性図である。 図6は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用した送風機付きの空気浄化装置の全体の概略斜視図である。 図7は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を収容した発熱体収容装置及び熱交換器との組み合わせを示した空気浄化装置の概略説明図である。 図8は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の他の配置例を示す説明図である。 図9は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の配置関係を示す説明図である。 図10は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の空気の移動経路を示す断面図である。 図11は本発明の実施の形態にかかる熱交換器の全体構造を示す斜視図である。 図12は本発明の実施の形態にかかる熱交換器で、(a)はその平面図及び(b)はその正面図である。 図13は本発明の実施の形態にかかる熱交換器で、(a)は図12の切断線A−Aによる断面図、(b)は図12の切断線B−Bによる断面図である。 図14は本発明の実施の形態にかかる熱交換器の内部の説明図である。 図15は本発明の実施の形態にかかる熱交換器の隔壁板の、斜視図(a)及び切断線C−Cによる断面図(b)である。 図16は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用した空気浄化装置のアンモニア消臭試験の特性図である。 図17は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用した空気浄化装置の硫化水素ガス消臭試験の特性図である。 図18は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用した空気浄化装置のエチレンガス消臭試験の特性図である。 図19は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用した空気浄化装置の酢酸ガス消臭試験の特性図である。 図20は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の触媒機能付多孔質発熱体束と空気の移動経路を示す説明斜視図である。 図21は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体のハウジングと空気の移動経路を示す説明斜視図である。 図22は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の境界板と空気の移動経路を示す断面図である。 図23は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の隔壁と空気の移動経路を示す(a)は平面図、(b)は正面図である。 図24は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の境界板と隔壁とを示す断面の、(a)は図12の切断線A−Aによる断面図、(b)は図12の切断線B−Bによる断面図である。 図25は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の境界板と隔壁と触媒機能付多孔質発熱体束の位置関係を示す断面図である。 図26は本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の部品展開を示す部品展開斜視図である。
以下、本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、同一記号及び同一符号は、実施の形態の同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互との同一記号及び同一符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体について、図1乃至図5を参照して説明する。
本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を構成する正特性の多孔質の焼結前成型体10A,20Aは、アルミニウム粉2、炭素粉としての黒鉛粉3、無機酸化物材料としての陶磁器用の粘土粉である蛙目粘土粉4、必要に応じて、木粉5、水及び/またはバインダ6を配合した焼結原料混合物を使用して製造されたものである。ここで、木粉5は焼成後のヒートショックを強くするのに役立つものである。また、水及び/またはバインダ6を省略し、粉体を固めたものとして焼成することもできる。この木粉は焼成によって煤となるが、この煤がヒートショックの強化に役立っていると推定される。ヒート食木粉5はその性状から、黒鉛粉3によって代用することができ、その成分を省略できる。
図1のフローチャートに示されるように、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体の焼結前成型体10A,20Aでは、最初に、ステップS1の焼結原料の混合工程にて、アルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4、木粉5、水及び/またはバインダ6が混合され、ステップS2の成形工程で成形する焼結原料混合物10を得る。このとき、バインダはポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)の30%水溶液を、水及び/またはバインダ6の15〜25wt%重量比にあてた。更に、30%水溶液のPVAには抵抗調整剤7として金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合した。
勿論、焼結原料混合物10を粉体のみで固める場合には、水が0wt%となり、また、抵抗調整剤7として金属シリコン粉及び鉄粉も混合しない成分となる。
ここで、アルミニウム粉2としては、市販のアルミニウム粉末を用いることができ、このようなアルミニウム粉末は、ミナルコ(株)、日本軽金属(株)、東洋アルミニウム(株)、大和金属粉工業(株)等から発売されている。また、アルミニウム粉2には、100%アルミニウムでなく、無機物等の不純物が僅かに含まれたものや、リサイクルのアルミニウムでも使用可能であり、更には、鉄や銅等の金属を僅かに含有したアルミニウム合金の粉末等を使用することも可能である。
アルミニウム粉2には、レーザ回折・散乱法によって測定した中位径が30μm〜75μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が150μm未満であるものを用いるのが好ましい。つまり、小径粒子と大径粒子の取合せによって充填性を向上させるためである。また、アルミニウム粉2の中位径が30μm未満であると、焼成過程においてアルミニウム粉2が低温で溶融しやすくて表面に噴出する可能性があり、一方、アルミニウム粉2の中位径が75μmを超えると、黒鉛粉3に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる可能性がある。アルミニウム粉2のふるい試験法によって測定した粒子径が150μm以上の場合においても、黒鉛粉3に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。なお、より好ましくは、レーザ回折・散乱法によって測定したアルミニウム粉2の中位径が35μm〜65μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が100μm未満である。
炭素粉としての黒鉛粉3は、アルミニウム粉2の溶融点より低い温度では溶融しないものであり、この黒鉛粉3には、市販の黒鉛粉末を用いることができる。そして、このような黒鉛粉末は、西村黒鉛(株)、日本黒鉛工業(株)、伊藤黒鉛工業(株)、(株)中越黒鉛工業所等から発売されている。市販の黒鉛粉末には、鱗状黒鉛や土状黒鉛等の天然黒鉛、鱗状天然黒鉛粉末を長柱状に造粒した長柱状造粒黒鉛等の人造黒鉛が存在するが、中でも、一般的に純度が高いとされる天然の鱗状黒鉛を用いるのが好ましい。鱗状黒鉛を用いることで、アルミニウム粉2に絡んで付着し易く、アルミニウム粉2の溶融によりアルミニウムが表面に噴出する焼結不良を効果的に抑制することができるからである。
この黒鉛粉3には、レーザ回折・散乱法によって測定した中位径が60μm〜90μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が200μm未満であるものを用いるのが好ましい。ここでも、小径粒子と大径粒子の取合せによって充填性が向上するからである。
また、黒鉛粉3の中位径が60μm未満であると、焼成過程において黒鉛粉3が液状化し易く、アルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。一方、黒鉛粉3の中位径が90μmを超えると、黒鉛粉3が均一に分散混合され難くなって、アルミニウム粉2において黒鉛粉3に覆われない部分が増大し、そのことによって、同様に焼成過程においてアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。黒鉛粉3のふるい試験法によって測定した粒子径が200μm以上の場合においても、アルミニウム粉2において黒鉛粉3に覆われない部分が増大し、焼成過程においてアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。なお、より好ましくは、レーザ回折・散乱法によって測定した黒鉛粉3の中位径が70μm〜80μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が150μm未満である。
陶磁器用の粘土粉としての蛙目粘土粉4は、花崗岩が風化し堆積してできた風化残留粘土を水簸(珪砂と粘土の分離)し、精製して粉末状にしたものであり、アルミニウムのケイ酸塩鉱物のAl2Si410(OH)8であるカオリン主成分で、石英、長石、雲母等が混在する粘土粉である。そして、一般的に、化学成分析によればアルミニウム酸化物のAl23及びケイ素酸化物SiO2の成分量が最も多く、その他にFe23、TiO2、CaO、MgO、Na2O、K2O等の成分を含有しているが、成分量は産地等により異なるため、主としてAl23及びSiO2が含有されていればその他の成分や組成比は特に限定されるものではない。この蛙目粘土粉4には、例えば、(株)ヤマス、共立マテリアル(株)等から発売されている市販の蛙目粘土粉を用いることができる。
また、この蛙目粘土粉4にはレーザ回折・散乱法によって測定した中位径が5μm〜30μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が100μm未満であるとし、小径粒子と大径粒子の取合せによって充填性が向上するからである。
そして、蛙目粘土粉4の中位径が5μm未満の微細粉されたものを得るのにはコストが掛かる上に、蛙目粘土粉4の中位径が5μm未満であると、熱による蛙目粘土粉4の成分変化が生じやすくなり、後述の多孔質抵抗成型体10C,20Cにおいて安定した強度や通電発熱性等の性能を確保できない可能性がある。一方、蛙目粘土粉4の中位径が30μmを超えると、蛙目粘土粉4が均一に分散混同され難くてその分布に偏りが生じたり、熱による蛙目粘土粉4の成分変化が生じやすかったりする可能性があり、それによって、やはり多孔質抵抗成型体10C,20Cにおいて安定した強度や通電発熱性等の性能を確保できない可能性がある。
蛙目粘土粉4のふるい試験法によって測定した粒子径が、100μm以上の場合においても、同様に、蛙目粘土粉4が均一に分散混同され難くてその分布に偏りが生じたり、熱による蛙目粘土粉4の成分変化が生じやすかったりする。それによって、多孔質抵抗成型体10C,20Cにおいて安定した強度や通電発熱性等の性能を確保できない可能性がある。
なお、より好ましくは、レーザ回折・散乱法によって測定した蛙目粘土粉4の中位径が10μm〜20μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が70μm未満である。
木粉5は、大鋸屑、間伐材のチップ、小径木、製材端材、樹皮等の木屑を粉砕機で微粉砕したものが使用されるが、ウィスカー状のものを用いるのが好ましい。ウィスカー状の木粉5を使用することでアルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4等の原料がウィスカーの髭状の隙間に絡みつくため、原料の充填性が高くなると共に、この状態で後述の成形工程で圧力を掛けて生じたものは強固で緻密なものとなる。そして、この成形された焼結原料混合物を焼結することによって得られる多孔質抵抗成型体10C,20Cは、その強度が非常に高いものとなる。
また、この木粉5には、レーザ回折・散乱法によって測定した中位径が80μm〜120μmmの範囲内であり、ふるい試験法による粒子径が200μm未満であるものを用いることが好ましい。小径粒子と大径粒子の組み合わせによって充填性が向上するからである。また、木粉5の中位径が80μm未満の微細粉されたものを得るにはコストが掛かり、一方で、木粉5の中位径が120μmを超えると、木粉5が均一に分散混合され難くて焼失による空隙の分布に偏りが生じ、焼結前成型体10A,20Aにおいて安定した強度が確保されない可能性がある。また、木粉5のふるい試験法による粒子径が200μm以上の場合においても、木粉5が均一に分散混合され難くて焼失による空隙の分布に偏りが生じ、焼結前成型体10A,20Aにおいて安定した強度が確保されない。なお、より好ましくは、レーザ回折・散乱法によって測定した木粉5の中位径が50μm〜100μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が150μm未満である。
なお、粒子径が200μm未満の木粉5を経済的に得るには、間伐材、小径木、樹皮、製材端材、大鋸屑等の木屑を、水分20重量部以下に乾燥した後に、微粉砕する必要がある。木屑を水分20重量部以下に乾燥することによって、粉砕物がスラリー化して微粉砕を妨げることを防止できるからである。更に、乾燥した木屑を微粉砕して、粒子径が200μm未満の木粉5とするためには、周速50m/秒〜80m/秒の範囲内の微粉砕機を用いるのが好ましく、このような微粉砕機としては、例えば、河本鉄工(株)製のミクロンコロイドミル等がある。
ここで、スギ(杉)・ヒノキ(檜)等の針葉樹は、我が国において広く分布しており、建材等として大量に使用されているため、大鋸屑や間伐材並びに樹皮を容易に大量に入手することができる。更に、針葉樹の微細組織はウィスカー状であり、微粉砕して木粉5とすることが容易である。したがって、原料収集と国土保全上は、大鋸屑及び間伐材のチップ並びに樹皮としては、針葉樹の大鋸屑または針葉樹の間伐材のチップ或いは針葉樹の樹皮を用いることが好ましい。
そして、本実施の形態では、アルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4、及び木粉5に、これら原料が比重の違いによって移動が生じない量(重力沈降しない量)の水及び/またはバインダ6が混合されることによって、蛙目粘土粉4が粘土鉱物質であることからこれが成形性または保形性等の確保に有利に機能して、原料同士が互いに接着され、手で握っても崩れることなくまとまった状態の焼結原料混合物10が得られる。このようにして得られた焼結原料混合物10は、アルミニウム粉2や木粉5の表面に黒鉛粉3が付着した状態になっている。
バインダは、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)の水溶液の30%液を水及び/またはバインダ6として15〜25wt%使用した。また、多孔質の焼結前成型体10A,20Aの抵抗値調整用としてバインダに対して金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合使用した。鉄粉、金属シリコン粉は、アルミニウム粉2や木粉5、黒鉛粉3の管理状況によって増減する。また、陶磁器用の粘土粉としての蛙目粘土粉4の成分によっても変化する。鉄粉はヘガネスジャパン株式会社製で、中位径が20μm〜180μmの範囲内、金属シリコン粉(正確には半導体)はキンセイマテック株式会社製で、中位径が75μm以下の範囲内のものを使用した。
なお、本実施の形態においては、これら原料の混合に精密分散混合機が用いられ、アルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4及び木粉5、抵抗調整剤7が均一に分散混合されて焼結原料混合物10となっている。なお、精密分散混合機としては、周速5μm/秒〜80m/秒の範囲内、より好ましくは、周速20m/秒〜30m/秒の範囲内の高速攪拌分散機を用いるのが好ましく、このような高速攪拌分散機としては、例えば、ホソカワミクロン(株)製の横型タービュライザ(登録商標)等が使用できる。
また、本実施の形態においては、原料に蛙目粘土粉4を用いることから、水(6)を少量混合するだけで容易に原料同士が接着されてまとまった状態となり、後述の成形工程においては常温で加圧するだけで、焼結前成型体10A,20Aが成形されて強固なものとすることができるが、本発明を実施する場合には、原料同士の接着に、有機バインダや無機バインダを使用することも可能であり、水とバインダとを併用することも可能である。
ここで、「有機バインダ」としては、例えば、合成樹脂、澱粉、合成糊、砂糖等を用いることができる。また、合成樹脂には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があり、熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂等を用いることができ、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂、イソシアネート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタンプレポリマー等を用いることができる。本実施の形態のバインダはポリビニルアルコール(PVA)の30%水溶液を使用した。なお、中でも、ポリオール系樹脂とイソシアネート系樹脂とは常温で反応して強固な結合を成形し、特に、イソシアネート系樹脂は、木粉5等における水酸基(−OH)と反応して強固なウレタン結合を成形するため、焼結前成型体10A,20Aを成形したものはとても強固で緻密な状態のものとなる。
「無機バインダ」としては、セメント等の水硬性材料、磁器(タイル)・陶器の原料であるベントナイト等の粘土、ρ−アルミナ(Al23 ・nH2 O:n≒0.5)、ケイ酸ナトリウム、水溶性アルカリケイ酸、(株)ジャパンナノコート製のシリカバインダ、グランデックス(株)製のシリカバインダである汎用バインダFJ294等を用いることができる。
なお、有機バインダは、加熱過程において焼失し空隙となり、無機バインダは、焼失せずに焼成されることになる。
更に、本発明を実施する場合においては、アルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4及び木粉5に、水及び/またはバインダ6(水、必要に応じてバインダ)、抵抗調整剤7を入れ、スラリー状の焼結原料混合物10として金型に充填し、固めた後に、ステップS2の成形工程に供する。また、セラミックや磁器(タイル)の製造のように、焼結原料混合物10をスプレードライヤーによって乾燥させた後、ステップS2の成形工程に供することも可能である。また、水及び/またはバインダ6を使用しないで粉体のみの焼結原料混合物10を固めることもできる。いずれにせよ、後述する焼成過程において形状が保持される程度に固化された状態のものが作製できれば、水及び/または原料同士を接着する手段やバインダの種類は特に限定されない。
次に、本実施の形態においては、この焼結原料混合物10が、ステップS2の成形工程において、常温で加圧され強固で緻密な固形状態の焼結前成型体10A,20Aとなる。
ここで、ステップS2の成形工程においては、焼結原料混合物10をプレス成形金型に投入し所定圧力のプレスで成形するプレス成形と、焼結前成型体10A,20Aを耐圧性の型枠に入れ所定圧力で押し出して成形する押出成形等が可能である。
因みに、本実施の形態においては、原料に蛙目粘土粉4を用いたことから、上述の如く、水及び/またはバインダ6を少量混合するか、またはなくすことができるので容易に原料同士が接着されてまとまった状態となる。このため、常温での加圧で、更に、低圧力で成形することができる。よって、高圧力や加熱装備のプレス装置を必ずしも用いなくても良く、低コスト化を図ることができる。
具体的に、水及び/またはバインダ6を混合してなる焼結原料混合物10をプレス成形する場合、プレス圧力は、10kg/cm2〜200kg/cm2 の範囲内とするのが好ましい。プレス成形の圧力が10kg/cm2未満であると、焼結原料混合物10が十分に圧縮されないため、得られる焼結前成型体10A,20Aの強度が弱くなり後述の焼成過程において破損する可能性がある。また、プレス成形の圧力が200kg/cm2を超えると、焼結原料混合物10に圧力が掛かり過ぎて高緻密度とものとなり、焼結前成型体10A,20Aの抵抗値が小さくなってステップS3の焼成後の多孔質の成型抵抗体10B,20Bの通電発熱性が損なわれる可能性がある。また、焼結不良となる可能性がある。より好ましくは、プレス成形の圧力は50kg/cm2〜150kg/cm2の範囲内である。特に、水分量が多いほど低圧力での成形が可能となる。
そして、このように本実施の形態においては、常温の加圧によって成形でき、外部からの均一な加熱が不要であるため、プレス成形の場合には、厚い焼結前成型体10A,20A(例えば、150トンのプレス機で約20mm厚まで)を得ることも可能である。更に、加熱機構が不要であることから、プレス成形機及び金型の構造を簡単にして、広い面積の焼結前成型体10A,20A(例えば、1000mm×2000mm)を得ることも可能である。なお、このときのプレス成形機としては、例えば、150トン以上の粉末成形プレス機が使用できる。このプレス機によれば、成形途中にガス抜きが出来る機構が付いているため、成形によって高強度のものが安定して得られる。勿論、例えば、後述するように、凹凸を有する金型や曲線部を有する金型枠型等を使用し、成形によって焼結原料混合物10の意匠面に凹凸を成形し、焼結前成型体10A,20Aを所望形状に成形することも可能である。
一方、押出成形の場合には、焼結原料混合物10を曲面形状の筒状・棒状等複雑な形状に成形することが可能である。特に、水及び/またはバインダ6を混合してなる焼結原料混合物10は、成形性が良いため、押出成形によって各々断面円形、断面楕円形、断面長円形、断面三角形、断面四角形、断面六角形(ハニカム状)等の極めて複雑な形状に成形することも可能である。また、その貫通孔11,21の断面形状の大きさも任意の大きさとし、複数の大きさを組み合わせることもできる。また、その数も任意の数とすることができるし、全体の外形も任意の形状が選択できる。このようにして、図2及び図3に示す本実施の形態及びその変形例にかかる押出成形した焼結前成型体10A(図2参照)及び射出成型した焼結前成型体20A(図3参照)が得られる。
なお、本発明を実施する場合には、勿論、加熱加圧によって、焼結原料混合物10を成形することも可能である。殊に、本発明においては、蛙目粘土粉4等の鉱物質粉が使用され、これが成形性または保形性等の確保に有利に機能することから、加熱加圧の場合、水やバインダを混合せずとも成形が可能である。因みに、水やバインダを混合せず加熱加圧する場合のプレス成形圧力は、50kg/cm2〜300kg/cm2の範囲内とするのが好ましい。プレス成形の圧力が50kg/cm2未満であると、水やバインダを混合していない場合に焼結原料混合物10が十分に圧縮されないため強度が弱くなり後述の焼成過程において破損する可能性がある。また、プレス成形の圧力が300kg/cm2を超えると、焼結原料混合物10に圧力が掛かり過ぎて高緻密度となり、得られる焼結前成型体10A,20Aの抵抗値が小さくなって、焼成しても成型抵抗体10B,20Bの通電発熱性が損なわれる可能性がある。より好ましくは、100kg/cm2〜200kg/cm2の範囲内である。しかし、抵抗値及び複合成分によっては、100kg/cm2〜200kg/cm2の範囲外の使用も有り得る。
続いて、ステップS2で成形された焼結原料混合物10は、ステップS3の焼結工程において、温度制御電気炉内にて900℃〜1200℃の範囲内で焼結される。
ここで、焼結の温度が900℃〜1200℃の範囲内とは、本発明者らが実験研究を重ねた結果、900℃未満では、十分な焼成が行われずに粉状態のものが得られ焼結不良となってしまうことが確認されたことから、焼結温度の下限値を900℃とし、一方で、1200℃を超えると、得られる成型抵抗体10B,20Bは通電発熱性を有さないことが判明したので、焼結温度の上限値を1200℃としたものである。
なお、焼結工程の昇温プログラムは、各原料の種類、粒子径、配合量や、後述の触媒機能付多孔質発熱体100,200において必要とされる抵抗値、発熱温度等によって予め実験によって最適値が設定される。
そして、このように900℃〜1200℃の範囲内で焼結することによって、正特性の成型抵抗体10B,20Bとなる。このようにして得られた正特性の成型抵抗体10B,20Bは、常温では抵抗が低く、所定の温度に達すると急激に抵抗が増大するという抵抗温度特性を有し、通電によって容易に抵抗発熱する。特に、成型抵抗体10B,20Bは全面で放熱し、かつ、多孔質であるから表面積が広くなる。
ステップS3で正特性の成型抵抗体10B,20Bを焼成した後、ステップS4で成型抵抗体10B,20Bの所望の位置に金属(アルミニウムで実施)の溶射によって電極膜13,14,23,24を成形する。この電極膜13,14,23,24は、成型抵抗体10B,20Bが多孔質であるから、より堅固に成型抵抗体10B,20Bに対して接合される。この成型抵抗体10B,20Bの電極膜13,14,23,24は、成型抵抗体10Bの長さ方向の端部側に成形される。その後、ステップS5で電極膜13,23に板状または線状のステンレス電極リード15,25、電極膜14,24にステンレス電極リード16,26を重ね、再度溶射することにより、電極膜13,23とステンレス電極リード15,25及び電極膜14,24とステンレス電極リード16,26とを一体に固着する。
ここで、電極膜13,23とステンレス電極リード15,25の対向面及び電極膜14,24とステンレス電極リード16,26の対向面は接合できないから、電極膜13,14,23,24に対向するステンレス電極リード15,16,25,26に対し、穴を穿設するか、外周のシルエットラインを葉脈状(リアス式海岸状)に凹凸を成形し、両者間の接合力を増すことが望ましい。
また、本実施の形態の電極膜13,14,23,24に対するステンレス電極リード15,16,25,26の取付けは、触媒機能付多孔質発熱体100,200として発熱体収容装置300に収容される形態によっては、ステンレス電極リード15,16,25,26及び電極端子17,18,27,28を省略することもできる。即ち、多孔質抵抗成型体10C,20Cに設けた両側の電極膜13,23は、金属の溶射によって成形したものであり、少なくとも金属の溶射によって成形した電極膜13,23が必要であることを意味するものであり、ステンレス電極リード15,16,25,26及び電極端子17,18,27,28を省略することも、接続することもできる。
次に、水等の無機溶剤及び/またはアルコールやアセトン、ヘキサン等の有機溶剤で溶かした白金族触媒溶液に対して多孔質抵抗成型体10C,20Cの全体を浸漬し、多孔質抵抗成型体10C,20Cの外表面に白金族触媒19を担持させ、それを乾燥させて白金族触媒19を多孔質部分の表面に付着固定する。
ここで、白金族触媒19とは、元素のうち周期表において、第5及び第6周期、第8、9、10族に位置する元素、即ち、物理的性質や化学的性質が互いによく似ているルテニウム、ロジウム、パラジュウム、オスミウム、イリジウム、白金等の総称であり、ここではそれらのうちから選択した触媒であり、それを無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かしたものである。この実施の形態で使用できる白金族触媒19は、パラジュウムPdと白金Pt、パラジュウムPdと銀Ag、パラジュウムPdとルテニュウムRu、パラジュウムPdとロジュウムRhのパラジュウムを含む組み合わせからなる単一の合金またはパラジュウムを含む2層構造以上の複数構造としたものである。
本実施の形態では、多孔質抵抗成型体10C,20Cに対し、エタノール40〜50wt%、ノルマルプロピルアルコール5〜10wt%、パラジュウム5wt%以下、メタノール0.5〜3wt%、分散樹脂0.5wt%以下、残余を水として配合し、そこに全体を浸漬させている。
図2(a)は、外形が円柱状の成型抵抗体10Bの両端部に溶射により、図2(b)及び(c)に示すように、電極膜13とステンレス電極リード15及び電極膜14とステンレス電極リード16とを一体に設けたものであり、更に、ステンレス電極リード15,16には、電極端子17,18が接続されている。そして、図2(d)に示すように、円柱状の成型抵抗体10Bの周囲に白金族触媒19を付着させ、触媒機能付多孔質発熱体100を得ている。
同様に、図3(a)は、外形が直方体状の成型抵抗体20Bの両端部に溶射により、図3(b)及び(c)に示すように、電極膜23とステンレス電極リード25及び電極膜24とステンレス電極リード26とを一体に設け、更に、図3(d)に示すように、四角柱状の成型抵抗体20Bの周囲に白金族触媒29を付着させ、触媒機能付多孔質発熱体200を得る。
なお、図2に示す円柱状の成型抵抗体10Bの長さ方向に対して、対向端部面に電極膜13,14を溶融アルミニウム槽に端部を交互に瞬間的に浸漬して一体に設けることもできる。このときの成型抵抗体10B,20Bの電流路は、貫通孔11の肉厚によって決定される。
図2及び図3に示すように、多孔質抵抗成型体10C,20Cは、内部の貫通孔11,21を各々断面円形または断面四角形とし、外形が円筒状または四角筒状とし、その両端に金属を溶射して成形した1対の電極膜13,14,23,24とからなる。この1対の電極膜13,14,23,24は、焼結原料混合物10を成形した後、成型工程のステップS2で金型によって1以上の貫通孔11,21を成形した。成型抵抗体10B,20Bを焼成した後、ステップS4及びステップS5の溶射で電極膜13,14,23,24、ステンレス電極リード15,16,25,26、電極端子17,18,27,28を成形したものである。なお、この実施の形態の電極膜13,14,23,24は、アルミニウム膜である。金属の溶射は、焼結工程の後に行うものであるから、高温にさらされて溶融することがないので、電極膜13,14,23,24は如何なる金属も使用できる。
発明者らの実験では、ステンレス電極リード15,16,25,26を、低抵抗材料として選択されたアルミニウム、銅、黄銅、ステンレス等を使用した。
なお、本実施の形態の多孔質抵抗成型体10C,20Cでは金属の溶射で一対の電極膜13,14,23,24を成形したが、本発明を実施する場合には、焼結前成型体10A,20A自体、即ち、焼結前成型体10A,20Aに図示しない電極を埋設してもよいし、または端部表面に電極を張り合わせてもよいし、焼結前成型体10A,20Aを強圧する構造としてもよい。何れにせよ、端子は接触抵抗が低い状態で通電できるものとするのが望ましい。
また、図2及び図3のように、触媒機能付多孔質発熱体100,200の多孔質抵抗成型体10C,20Cの1対の電極膜13,14,23,24は、成型抵抗体10B,20Bの長さ方向の両端側に成形したものとすることもできるし、また、図示しないが、長さ方向に対する直角方向の対向面側に成形することもできる。
特に、成型抵抗体10B,20Bの1対の電極膜13,14,23,24は、金属の溶射によって成型抵抗体10B,20Bに設けたものであり、溶射された電極膜13,14,23,24とステンレス電極リード15,16,25,26とを一体に設けてなるものであるが、金属の溶射によって成型抵抗体10B,20Bに設けた後、鋳込みで電極端子17,18,27,28を成形することもできる。
なお、触媒機能付多孔質発熱体100,200の多孔質抵抗成型体10C,20Cの電極膜13,14、23,24を配設する場合には、仕上げ精度、取付け性を良くするために成型抵抗体10B,20Bの表面、特に、電極膜13,14,23,24を成形する面を研磨し、精度を上げることもできる。機械研磨を行っても抵抗値の変化は殆ど生じなかった。
上記実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200について、本発明者らの実験研究によれば、次のような特徴が確認された。
原料の粒子形状や配合量や種類、また、成形時の圧力によって触媒機能付多孔質発熱体100,200の抵抗値が変化することが確認された。その要因は、原料の粒子形状や配合量や種類、また、成形時の圧力によって多孔質抵抗成型体10C,20Cの緻密度が変化するためと思われる。具体的には、例えば、原料に粗い粒子を用いた場合、細かい粒子を用いた場合よりも抵抗値が大きくなったり、成形時におけるプレス圧力が高い程、抵抗値が大きくなったりもした。
よって、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200によれば、原料の粒子形状や配合量や種類、また、成形時の圧力の調節によって多孔質抵抗成型体10C,20Cの緻密度を変化させることにより、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値を制御することが可能である。因みに、本発明者らの実験研究により、多孔質抵抗成型体10C,20Cの緻密度を高めると、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値が低くなることが確認されている。したがって、加熱したい所望の位置のみの発熱を高くできる。
特に、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200によれば、原料に木粉5が用いられており、焼成過程において、この木粉5が焼失することによってその部分が空隙となり、多孔質抵抗成型体10C,20Cの緻密性に大きく影響する。このため、木粉5の添加量を調節することで、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値の制御が容易にできる。
また、本発明者らの実験研究によって、焼結温度の900℃〜1200℃の範囲内において、焼結させる温度を様々調節することで、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値が変化することが判明している。これは、焼結温度によって焼結密度(焼成過程における粒子同士の密度)が変化するためと思われる。したがって、焼結温度を調節することによっても、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値を制御することが可能である。
なお、触媒機能付多孔質発熱体100,200は、その形状によっても、抵抗値が変化したり、通電量によっても変化したりすることから、その形状や通電量を調節することによっても、正特性発熱体としての抵抗値を制御することができる。
更に、このように、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200によれば、多孔質抵抗成型体10C,20Cの抵抗値は、その緻密度、即ち、圧縮圧によって影響されることから、焼結原料混合物10を成形する際に、その緻密度分布を調節することにより、多孔質抵抗成型体10C,20Cにおいて抵抗分布の制御が可能となる。即ち、成型抵抗体10B,20Bにおいて異なる発熱温度の設定ができ、多孔質抵抗成型体10C,20Cの特定部位を特定温度に発熱させることができる。
また、プレス成形の際に曲線部を有する金型を使用して、焼結原料混合物10をプレス成形することによって、曲線部で緻密度が大きく変化したものを得ることができる。よって、これを焼結してなる成型抵抗体10B,20Bは、曲線部で抵抗値が大きく変化し、多孔質抵抗成型体10C,20Cは通電による発熱温度が部位によって大きく異なるものとなる。
そして、プレス成形の際に、プレス成形金型に焼結原料混合物10の充填率を変化させて充填し、プレス成形することによって、また、焼結原料混合物10を厚みが部位によって変化するようにプレス成形をすることによって、充填量や厚みの差によって緻密度が変化することから、これを焼結してなる成型抵抗体10B,20Bも、部位によって抵抗値が大きく変化し、多孔質抵抗成型体10C,20Cは通電による発熱温度が部位によって大きく異なったものとなる。
本実施の形態の成型抵抗体10B,20Bは、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した混合物とし、その全体に対して、水15〜25wt%を加えて混練し、圧縮成形または押出成形によって成型し、乾燥の後、焼結し、触媒機能付多孔質発熱体100,200となるものであり、焼結した成型抵抗体10B,20Bは、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有するものである。
このようにして得られた本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は軽量であると共に、アルミニウムより硬くて摩耗にも強く、各原料を混合して成形したものよりもその機械的強度は増大しており、高い機械的強度を有していた。殊に、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200が発熱している際に水を吹きつけたヒートショックに対しても割れることもなく、また後述するように、この触媒機能付多孔質発熱体100,200に熱勾配(温度分布)がある場合においても、発熱時に割れることはなかった。更に、酸等の化学的にも強靭であることが判明した。
発明者らの走査型電子顕微鏡(SEM:2次電子像)により、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200には、開口した空隙が分布しており、多孔質であることが分かった。更に、この空隙の大きさは、ガス吸着式細孔分布測定器により測定した結果、数μm〜数十μmであったが、原料の粒子形状や配合量、成形時の圧力等によってこの空隙の大きさ、空隙率は制御可能である。
発明者の行った消臭試験では、他社の同一風量の電熱ヒータを用いた脱臭装置に比較して、消費電力量が1/5〜1/3になり、装置の大きさも約1/5〜1/3になることが確認された。特に、本願発明の触媒機能付多孔質発熱体では、特定の温度に上昇する個所が限られていることから消費電力が少なくなり、また、通過する被浄化空気との接触面積が広い面積で行われるので、他社製品に比較して約1/5〜1/3に小型化した商品とすることができた。
これらのことから、閉鎖された室内の臭気を外に排出する場合に使用でき、また、動物舎、介護施設等の室内で空気を循環させる場合にも使用でき、そして、冷蔵庫内のエチレンガス除去、脱臭、雑菌除去等にも使用できることが確認された。特に、触媒は、前記多孔質抵抗成型体の膨大な表面の凹凸と微細な通気孔にガッチリ担持され、その中を通過する有害ガス(悪臭)、雑菌、カビ菌は、水と炭酸ガスに酸化分解され消滅することが確認された。
図4に示すように、図2及び図3においては、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200を個々のものの製造として説明したが、触媒機能付多孔質発熱体束100A,100Bを直接製造することもできる。
即ち、電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cには電極膜13,14、23,24を形成したものである。本実施の形態では、図4(a)に示すように、電極膜13,14、23,24に対してステンレス線からなるステンレス電極リード15,16,25,26を1〜3回巻回(図では1回巻回)させ、順次編みこんで行く。最後の電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cを巻き込んだ後、ステンレス電極リード15,16,25,26のみを引き出し、内部に電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cを束ねるように、引き出した端部をそこに巻回し、両端部を使用して捩じり込み、そこに圧着端子からなる電極端子17,18,27,28を挿着し、圧着固定する。
このように、図4(b)に示すように、円筒状(円柱状)の触媒機能付多孔質発熱体束100Aを製造することができる。触媒機能付多孔質発熱体束100Bも同様である。
また、電極膜13,14、23,24を形成した電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cも、本実施の形態の図4(a)に示すように、電極膜13,14、23,24に対してステンレス線からなるステンレス電極リード15,16,25,26を1〜3回巻回(図では1回巻回)させ、順次編みこんで行く。そして、所定数の電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cを一列に並べ、順次、所定数の電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cの列を図4(c)に示すように重ねて並べる。特定の縦、横、高さの寸法になったとき、ステンレス電極リード15,16,25,26のみを引き出し、内部に電極付多孔質抵抗成型体10C,20Cを入れで長方形状に束ねるように、引き出した端部をそこに巻回し、両端部を使用して捩じり込み、そこに圧着端子からなる電極端子17,18,27,28を挿着し、圧着固定する。
このように、図4(d)に示すように、円筒状(円柱状)の触媒機能付多孔質発熱体束100Aを製造することができる。触媒機能付多孔質発熱体束100Bも同様である。
正の抵抗温度特性を有する触媒機能付多孔質発熱体100,200は、図5(a)に示すように、抵抗は常温では低く、かつ、電源を印加して電流を流すと、その温度は上昇するが、徐々に抵抗値が低下する。しかし、ある温度(キュリー点温度)Cuになると、急激に温度が上昇すると共に、急激に抵抗が増大する。このとき、温度と抵抗値とは一義的に決定される。キュリー点温度Cu以上であれば、定電力特性を示すから、横軸の特定の温度T℃とその2倍の温度2T℃を出力するには、図5(a)に示す特性から、抵抗値RTを算出し、その抵抗値RTで横軸の特定の温度T℃のときの電流との積をとれば、印加すべき電圧が一義的に決定できる。
また、定電圧電源から電圧を供給すると、図5(b)に示すように、最初の電流Isは増加傾向となり、キュリー点温度Cuの抵抗Rcuを若干超えたところでピーク電流Ipとなり、その後、徐々に低下し、一定の定電流Itとなる。定電流Itが一定になることはその発熱量も、電力も一定であり、その際の触媒機能付多孔質発熱体100,200は特定温度の発熱となり、白金族触媒19,29の触媒温度が決定される。
このとき、触媒機能付多孔質発熱体100,200は、キュリー点温度Cuまで急速に上昇し、定電流Itの制御に入るために電流はオーバーシュートする。しかし、総合的にその経過時間を見ると、キュリー点温度Cu以上の温度では、温度変化に対する抵抗値変化が大きくなり、定電流It状態に入りやすくなる。
したがって、キュリー点温度Cu(ピーク電流Ip)を超えて、所定の電圧を印加すると、特定の温度が維持され、白金族触媒19,29が所定の温度を維持し、触媒の反応速度を速め、反応効率を上げることができる。
常温で白金族触媒19,29が作用する物質に対しては、消臭効果が確認され、更に、触媒を加熱することにより高速に消臭させることができた。消臭効果については、有機物は300℃で、無機物についても650℃で完全に消臭除去ができることが確認された。勿論、300℃以下で有機物、650℃以下で無機物が除去できるものもある。
白金族触媒19,29は、触媒機能付多孔質発熱体100,200の外周面の多孔質面及び内周面となる貫通孔11,21の多孔質面に対し付着されるから、その白金族触媒19の表面積が広く、かつ、触媒温度を所定の電圧を印加させることにより可能であるから、その触媒の影響を受ける時間は、触媒機能付多孔質発熱体100,200の長さ及びその直列長さに寄って任意の時間、任意の温度下に置くことができ、触媒の反応時間を反応に十分な時間とすることもできる。特に、触媒機能付多孔質発熱体100,200を複数段設けることにより、触媒の反応時間を任意に設定できる。しかも、触媒が触媒機能付多孔質発熱体100,200の多孔質面に対し担持されているから、効率良く触媒が反応することができる。
図6は本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100を利用した空気浄化装置の全体構成を示す概略斜視図であり、図7は同じく触媒機能付多孔質発熱体100を収容した発熱体収容装置300と熱交換器400との空気浄化装置の組み合わせを示す概略説明図である。
図6及び図7において、本実施の形態の空気浄化装置は、触媒機能付多孔質発熱体100を収納して所定の温度で触媒を活性化させて空気を浄化させる発熱体収容装置300及び発熱体収容装置300の熱エネルギを浄化空気の排出時に回収して、被浄化空気の温度上昇とする熱交換器400からなり、更に、被浄化空気を送給したり、被浄化空気を吸引したりする送風機500を有するものである。
発熱体収容装置300は、触媒機能付多孔質発熱体100を束ねてグラスウール、セラミック系のロックウール等の燃焼温度が高く、耐熱性のある耐熱絶縁材313でハウジング310との間を絶縁したものである。詳しくは、発熱体収容装置300は全体をステンレス鋼板で成形したハウジング310の筐体311(311a,311b,311c,311d,311e,311f)及び空気等の流体をジグザグに通過させる複数枚の隔壁312、接続管路320,330から構成している。
筐体311は6面からなる箱で成形しており、裏面板311a及び正面板311b並びに枠体となる上面板311c及び下面板311dと右面板311e及び左面板311fで成形されている。また、隔壁312は筐体311を上下に6区画成形している。この隔壁312を設けることにより、本実施の形態の空気流は筐体311の横幅(正面板311bの幅)の6倍の距離を進むことになり、結果、浄化される。
筐体311の上面板311cまたは下面板311dと隔壁312との間、隔壁312相互間には、グラスウール、ロックウール等の耐熱絶縁材313で絶縁した触媒機能付多孔質発熱体100が配設されている。即ち、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100は、複数本を束ね、電極端子17,18相互間に通電できるように互いに電気的に接続し、それら束ねた触媒機能付多孔質発熱体100を絶縁と同時に周囲に空気の流れが生じないようにシール性を持たせ、空気流が触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11のみに生じるようにしている。このように触媒機能付多孔質発熱体100を複数束ね、それを耐熱絶縁材313で絶縁したものを、ここでは触媒機能付多孔質発熱体束301〜306と呼ぶ。
このとき、上面板311cまたは下面板311dと隔壁312との間、隔壁312相互間の間隔及び触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11の大きさは、触媒の処理能力によって決定される。
ハウジング310と隔壁312で成形された空間は、触媒機能付多孔質発熱体束301〜306を収納するものであり、触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11を空気が流れる前提で説明したが、触媒機能付多孔質発熱体100相互間の外周が形成する空間も空気流が流れ、触媒の作用が期待できる。特に、本発明を実施する場合には、更に、触媒機能付多孔質発熱体100の外周を空気流の通過路とすると、効率の良い触媒の反応が得られる。
図8はその一部を例示したものである。並行して対向する収容枠材54は電気的導電体または電気的絶縁物からなり、全体の触媒機能付多孔質発熱体100をまとめるものである。ジグザグ電極板51は、ジグザグに成形したステンレス鋼板または真鍮板からなり、弾性を有する導電体であり、また、弾性体からなる平板52はジグザグ電極板51の一方の面を支持するもので、収容枠材54と共に基準となるものである。これら平板52及びジグザグ電極板51は、隣接する触媒機能付多孔質発熱体100を導通状態とする弾性電極板53を構成している。
触媒機能付多孔質発熱体100の電極膜13,14から直接、弾性電極板53の平板52またはジグザグ電極板51に通電できるようになっている。したがって、電極膜13,14としては、溶射の場合に膜厚を厚く成形するのが望ましい。勿論、本実施の形態においては、図2(d)に示すステンレス電極リード15,16及び電極端子17,18を設ける必要性がないが、設けても実施できる。
このように、図8の実施の形態では、触媒機能付多孔質発熱体100を束ねるのに、一対の収容枠材54で触媒機能付多孔質発熱体100及び弾性電極板53を挟持し、空気の流れが、触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11とその触媒機能付多孔質発熱体100の周囲としている。したがって、触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11の内周囲面及び触媒機能付多孔質発熱体100の外周面に付着させた白金族触媒19が両面に作用する。
なお、本実施の形態では、周囲に配設するグラスウール、ロックウール等の耐熱絶縁材313は、ボルト・ナット55による空間が周囲に成形されないように、一対の収容枠材54の単位で触媒機能付多孔質発熱体束301〜306を成形した後、必要な量の流路を塞ぐべくグラスウールまたはロックウール等の耐熱絶縁材313で包み込み、或いはその周囲の充填に使用される。勿論、一対の収容枠材54の周囲を耐熱及び絶縁物で覆って成形してもよい。
図9は発熱体収容装置300の背後を手前として見た上下の隔壁312の配置説明図であり、図10は発熱体収容装置300の中央断面図である。
複数の触媒機能付多孔質発熱体100は、耐熱絶縁材313で束ねて絶縁した触媒機能付多孔質発熱体束301〜306は、電極膜13,14に成形した電極端子17,18が必要数直列または必要数並列に接続される。その状態で束ねて耐熱絶縁材313で巻き込み、そして、枠体311の上面板311cまたは下面板311dと隔壁312との間、隔壁312相互間の間隔に触媒機能付多孔質発熱体束301〜306が配設される。このとき、電極端子17,18は図示しない状態で電気的に接続されている。
図9及び図10に示すように、電極膜13,14に設けた電極端子17,18が必要数並列に接続され、そこに電力が供給されると、電圧に応じた電流値が流れ、抵抗値が所定の値で温度が一定となり、温度が変動しなくなる。例えば、触媒機能付多孔質発熱体100は、空気の温度を有機物は300℃、無機物は650℃と設定するとき、当該温度に対応する抵抗値から温度を決定すれば、特に、PTCサーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する多孔質抵抗成型体を実測値により利用することにより、温度と電圧との関係を対応させるだけで、外部に大掛かりな制御回路を設ける必要がなくなる。なお、この被浄化空気の有機物を分解する温度300℃、無機物650℃は、白金族触媒19を用いたときに、それ以下の温度で浄化できることを示すもので、これらの温度から50℃または100℃低く設定しても特定の有機物または無機物においても浄化できないことを意味するものではない。
このように、本発明を実施する場合の触媒機能付多孔質発熱体100は、図6に示すように束ねて使用する場合があるし、図3に示す触媒機能付多孔質発熱体200は、外部が長方形状を呈しており、かつ、多孔質の内外面を有しているので、単純に積層しても、互いに長さ方向に滑り難いことから、組付けが容易になる。しかし、触媒機能付多孔質発熱体200の外面に塗布した白金族触媒29の利用ができなくなる。このような場合には、ジグザグ電極板51を空間を成形する手段として、縦方向または横方向、縦方向及び横方向に配設すると、触媒機能付多孔質発熱体200の表面に塗布した白金族触媒29の利用が可能となる。
なお、本実施の形態では、発熱体収容装置300は全体をハウジング310の筐体311(311a,311b,311c,311d,311e,311f)及び空気等の流体をジグザグに通過させる複数枚の隔壁312、接続管路320,330から構成されることを説明したが、発熱体収容装置300においては、例えば、発熱体収容装置300外の室温または外気温の影響を受けると熱損失が大きくなる。したがって、ハウジング310の全体を構成するステンレス鋼板をグラスウールまたはロックウール等の耐熱絶縁材313で断熱し、更には合成樹脂等で断熱した外層とするのが望ましい。
この発熱体収容装置300は、単独で、室温、冷蔵庫または冷凍庫の庫内温度等の特定温度条件下において使用することができる。しかし、白金族触媒19,29を活性化させ、処理能力を上げるには、例えば、有機物処理には300℃として有機系の有害ガス(悪臭)、雑菌、カビ菌は、水と炭酸ガスに酸化分解し、消滅させることが望ましい。
熱交換器400は、接続管路330を介して供給される浄化された浄化空気が、接続管路350を介して排出する浄化空気によって接続管路340を介して導入される被浄化空気を加熱し、熱エネルギを回収するものであり、この熱交換器400は、流体損失が少ないものであれば、従来から市販されている熱交換器が使用可能である。
因みに、本実施の形態で使用する熱交換器400は、本出願人が先に特願2013−258149として出願したものである。
基本的構成は、図11乃至図15に示すように、断熱材からなる側板401、スペーサ434及び表面に凹凸形状または凹凸線条423を成形して表面積を広くし、熱伝導の良好な材料からなる隔壁板402及びスペーサ434の必要な数だけ繰り返し重ねた後、他端の側板401を重ねることにより全体を構成する。そして、側板401と隔壁板402の間、隔壁板402の相互間を対向面が1つの流体路になるように1個置きに連結し、外部から被浄化空気を導入し、隔壁板402に沿って移動させる接続管路340から接続管路320への経路、発熱体収容装置300で処理された浄化空気を隔壁板402に沿って移動させて接続管路330から接続管路350への経路を設けている。また、側板401と隔壁板402の間、隔壁板402の相互間を対向面が1つになる1個置きに連結した他方に外部から被浄化空気を導入する接続管路320及び接続管路320から流入した流体を隔壁板402に沿って移動させて排出する接続管路350を設けたものである。
更に、本発明の実施の形態の熱交換器400について、図11乃至図15を用いて説明する。図11及び図15に示す断熱材からなり両面に対向して配設した2枚の側板401は、合成樹脂製の板であり、合成樹脂としては、例えば、エンジニアリング・プラスチック、スーパー・エンジニアリング・プラスチックを用いることができる。具体的には、ポリアミド(ナイロン、芳香族ポリアミド等)、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等がある。そして、スーパーエンプラとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド等が使用できる。
また、隔壁板402は、熱伝導の良好な銅、アルミニウム、黄銅、鉄、ステンレス等の材料を側板401間の面方向に必要な複数枚積層配設してなる。図15に示すように、表面に凹凸線条423を成形し、平面面積に対して表面積を広くし、通常、隔壁板402の全体形状(シルエットライン)は長方形に成形されている。そして、上下1〜2割が加工しない平面424であり、その中央の6〜8割の表面に凹凸線条423が成形されている。本実施の形態では、上下に長い凹凸線条423としたものであるが、上下に、または左右に長い凹凸線条423に代えて、特定の円柱状または円錐台状等の複数の凹凸形状とすることができる。また、上下1〜2割の加工しない平面424には、ボルトを通すボルト貫通孔421が設けられている。本実施の形態の隔壁板402は、アルミニウム0.3mmを使用している。
図13に示すスペーサ434は、1枚の側板401と隔壁板402の間、または隔壁板402の相互間の隔壁板402に沿った流体の流れを成形し、ボルト貫通孔421で位置決め配設している。スペーサ434は、固着した断熱材からなる隔壁板402の加工しない平面424の上下1〜2割に密着するように貼り付けられている。スペーサ434は、同一厚みで、正面(最大面積側)から見て楔状になっており、隔壁板402の上端及び下端に配設される。スペーサ434の厚みは2〜5mm均一に設定されている。幅の狭い個所と広い個所では1:4〜1:5程度になっている。このスペーサ434の厚み、大きさは、熱交換器の能力によってその値が変化する。スペーサ434としては、アルミニウム、ステンレス鋼板、鉄等の2〜5mm厚のものを使用できる。また、ステンレス鋼板を使用しても、全体的な効率は若干低下するものの、熱交換器に導入する温度範囲によっては影響が殆どでない。本実施の形態の側板401は、ステンレス鋼板2.0mmを使用し、また、スペーサ434としては3.0mmのアルミニウム板を使用した。他の部品もアルミニウムで構成している。
このスペーサ434の貼り付けは、ボルト貫通孔421で位置決めし、隔壁板402の加工しない平面に密着されている。この際に使用する接着剤は、合成樹脂系、合成ゴム系が望ましい。完全な接着が望ましいが、仮止めができる程度に位置合わせを行って個々の接合を行わないものでもよい。
次に、本実施の形態の熱交換器400の組み立てについて説明する。
まず、図11乃至図15に示すように、隔壁板402の4辺に略L字状のスペーサ434をボルト貫通孔421で位置決めして、複数の隔壁板402を取付ける。そして、図13及び図14に示すように、必要枚数隔壁板402及びスペーサ434を積層する。
隔壁板402及びスペーサ434の積層が完了した時点で、図13及び図14に示す側板401を両側の面にスペーサ434を介してボルト貫通孔421で締付けを行う。
そこで、ボルト416の一方の側板401の挿通孔であるボルト貫通孔421から挿入し、反対側の側板401に挿入されているボルト416の先端にナット417を回転させて捩子止めする。ボルト416とナット417との捩子止めは、その間に配設されているスペーサ434との密着度を決定するものであるから、適当な密着性で締付けられる。
図11のダクト接続板407を正面とする左右には、両外の側板401の内側には、複数のスペーサ434及び隔壁板402が配設されて、複数のスペーサ434及び隔壁板402が繰り返し配設されている。ここで、一対の側板401及び複数のスペーサ434及び複数枚の隔壁板402の端部はスペーサ434及びダクト接続板406,407で封止され、一対の側板401及び複数のスペーサ434及び複数枚の隔壁板402の端部が閉じられた構造となる。
これらダクト接続板406,407は、弾性を有するスペーサ434を面で保持し、押圧するものであるから、ダクト接続板406は接続管路340から隔壁板407の接続管路320に繋がっている。また、ダクト接続板407の接続管路330は隔壁板406の接続管路350に繋がっている。
このように構成した熱交換器400は、高温度の浄化空気流の熱エネルギを低温の被浄化空気流に熱移動させるべく熱交換するものである。具体的には、次のように動作する。
まず、接続管路330から高温度の浄化空気流を導入すると、空気はスペーサ434に案内されながら、隔壁板402の凹凸線条423を徐々に下方に移動し、熱交換された残余の温度の空気が接続管路350から排出される。
また、接続管路340から低温度の浄化すべき被浄化空気流を導入し、導入した被浄化空気流はスペーサ434に案内されながら、凹凸線条423によって徐々に下方に移動し、熱交換された温度が高くなった空気は、接続管路320に導かれる。
このとき、浄化空気流と被浄化空気流とは、1枚の隔壁板402を挟んで一方が浄化空気流で、他方が被浄化空気流となる。この構成は、隔壁板402毎に生じているから、熱交換器400の能力は、この隔壁板402の面積、流体の流速、被浄化空気流の温度と浄化空気流の温度及び環境温度等によって決定される。
ところが、被浄化空気流と浄化空気流が独立した回路であるから、例えば、被浄化空気流が−40℃で浄化空気流が400℃と高温であると、低温側が暖められて水分が凝集して水滴が発生する場合がある。このような場合に水滴をそのままにしておくと、熱交換の効率が低下したり、或いは熱湯が噴き出したり、空気ダクト内を化学的反応する水が流れたりして好ましくない状態が生ずる。このような場合には、熱交換中の水滴を除去するのが望ましい。
このように、図11乃至図14に示す浄化空気流は、発熱体収容装置300から出力される温度の高い浄化空気流を接続管路330から供給され、供給された浄化空気流を隔壁板402に沿って移動させて熱交換しながら接続管路350に導く。同様に、被浄化空気流は、外部から温度の低い被浄化空気流を接続管路340から供給され、供給された被浄化空気流を隔壁板402に沿って移動させて接続管路320に導く。
ダクト接続板407の接続管路330とダクト接続板406の接続管路350、ダクト接続板406の接続管路340とダクト接続板407の接続管路320は、対向面の上下反対側に設けられており、浄化空気流と被浄化空気流はX軸状の流れとなる。
なお、このとき、スペーサ434にガイドされて液化した水滴を収集して排出することもできる。特に、隔壁板402に対向していても、空気流の澱みが生じる澱み流域491,492は、スペーサ434の幅をそのように設定することもできる。
また、本実施の形態では、断熱材からなる一対の側板401と、側板401と対向する外壁板480との間に、熱交換の対象となる浄化空気流と被浄化空気流との流体以外の流体の入る断熱層を外壁板480で成形したものである。
即ち、断熱材からなる一対の側板401の外側に、ステンレス、アルミニウム、銅、合成樹脂等で箱形の容器で外壁板480を成形し、それをボルト481で固着し、その内部を一対の側板401との間で封止したものである。これによって空気の断熱層が成形され、熱交換効率をより良くすることができる。
また、本実施の形態では、一対の側板401の外で空気の断熱層が成形されているから、設置したときに、外部を加熱したり、冷却したりするのが防止できる。
本実施の形態では、断熱材からなる一対の側板401と、一対の側板401と対向する一対の外壁板480との間に、熱交換の対象となる浄化空気流の低温流体と被浄化空気流以外の空気等の流体の入る断熱層を成形したものである。しかし、側板401と外壁板480を一体に成形し、それを(側板兼用)外壁板480または(外壁板兼用)側板401とすることもできる。
また、このとき、(側板兼用)外壁板480または(外壁板兼用)側板401の断熱層を単純に空気層とせず、発泡層としたり、他の部材を充填したりすることもできるし、真空層とすることもできる。
なお、これらの構成は、発熱体収容装置300にも、熱交換器400にも使用できる。
本実施の形態の浄化空気流と被浄化空気流との流体は、隔壁板402を隔てて上方向から下方向に流れるものであるから、両者が並行して流れ、熱交換器の熱変換効率を良くすることもできる。また、液化した水滴を収集して排出する水分排出路は、下部の円筒の接続管路320及び/または接続管路350に成形でき、所望の排出を行うことができる。
なお、スペーサ434は、図13に示すように、略L字状に成形し、一対として使用するものであるが、材料は、金属、ゴム、合成樹脂、木材の何れで成形してもよい。スペーサ434の図13及び図14の内側の浄化空気流と被浄化空気流が接触する面には、テーパを設けて液化した水滴が流れやすく構成することもできる。
このような構成を有する熱交換器400は、フィルタ510を介して浄化しようとする被浄化空気を送風機500の図示しない送風ファンで送給する。この送風機500の吸入する被浄化空気は、その設備によって冷蔵室、冷凍室、住居室内、特定有害ガスの発生源等になる。フィルタ510は、粉塵等の燃焼可能性のある物質を除去するものである。
送風機500で吸引された吸入空気は、フィルタ510で粉塵等が除去され、接続管路340から熱交換器400を介して徐々に加熱され、接続管路320から発熱体収容装置300の最下段の触媒機能付多孔質発熱体100で加熱及び触媒で処理され、発熱体収容装置300の内部を上昇し、最終的に触媒によって処理された空気は、接続管路330から排出される。このとき、発熱体収容装置300から排出される空気の温度は有機物は300℃で、無機物は650℃等の設定温度で処理されるから、その温度で発熱体収容装置300から排出される。
発熱体収容装置300から排出された空気は、有機物または有機物及び無機物が除去されているが、高温度であるので熱交換機400で熱交換機400の接続管路340から発熱体収容装置300の接続管路320に流れる空気の温度を加熱し、温度上昇させ、熱エネルギを失った空気流となりも接続管路350から排出される。
したがって、特定有害ガスの発生源が冷蔵室、冷凍室、住居室内の何れであっても、浄化した空気の熱エネルギを小さくしており、冷蔵室、冷凍室、住居室内の装置の負荷を大きく増加させることがない。
なお、ここで使用した接続管路320,330,340,350は、フレキシブル管であっても固定管であってもよい。
発明者は、臭いの種類、即ち、汗臭(アンモニア、イソ吉草酸、酢酸)、加齢臭(アンモニア、イソ吉草酸、酢酸、ノネナール)、排泄臭(アンモニア、酢酸、メチルメルカプタン、硫化水素、インドール)、生ごみ臭(アンモニア、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、硫化水素)、タバコ臭(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、ピリジン、硫化水素)の臭気物質を特定し、4大悪臭物質のうち、アンモニア、硫化水素についてのデータを添付した。他のメチルメルカプタン、トリメチルアミンについても同様であるので省略する。特に、本発明を実施する場合には、消臭効果については、有機物は300℃、無機物についても650℃で完全に消臭除去ができることを確認したが、有機物は200℃、無機物についても500℃でも確認されており、触媒機能付多孔質発熱体100,200の実温度が部分的に有機物300℃、無機物650℃になっておれば浄化できると思われる現象が生じていた。
特に、金属触媒は10℃温度が上がるごとに自乗で性能がアップすることから、常温付近での特性は機能しているか否かを示すものにすぎない。
また、白金触媒によって硫黄、りん、塩素等を除く無機ガスを分解する場合には、250℃が必要である。但し、触媒を白金としたものでは、触媒の白金が酸化して戻らないのでメンテナンス交換が必要となる。
しかし、パラジュウムは硫黄、りん、塩素等を除く無機ガスを分解する場合、パラジュウムが一度は酸化するが、高温で金属化するので白金よりも有利である。この条件を満たすには、触媒温度300℃が必要である。
そして、各種のガスを触媒で処理する温度は、ガスの種類で処理温度が変化する。エチレンガスは80℃程度であり、アンモニアガスは一番温度が必要で一般に300℃といわれている。
ここで使用した白金族触媒19のパラジュウムは、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、メタノール、水を溶剤としているから、簡単に含浸でき、多孔質抵抗成型体10C,20Cの表面に塗布したり、それを乾燥したりすることができる。白金族触媒19としては、基本的に、パラジュウムを無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かしたものであればよい。
本実施の形態では無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒19,29に多孔質抵抗成型体10C,20Cの全体を浸漬しているが、多孔質抵抗成型体10C,20Cの外周のみまたは内周のみにスプレーで噴霧、刷毛等で塗布してもよい。
本実施の形態では無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒19,29に多孔質抵抗成型体10C,20Cの全体を浸漬し、その後、ステップS7の乾燥工程で多孔質抵抗成型体10C,20Cの周囲に白金族触媒19,29を付着させた後、それを固定化している。白金族触媒19,29を担持させ、それを固定化させたものが、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200である。
なお、本実施の形態ではバインダとしてポリビニルアルコール(PVA)の水溶液の30%液を使用しており、必ずしも絶縁特性を呈しないが、電気抵抗を低減させるため、電極端子17,18,27,28は表面をエタノールで洗浄したが、機械的に表面の汚れを落とす研磨等の処理をしてもよい。これによって、電極端子17,18,27,28の接触抵抗を低くすることができる。
発明者は、触媒の能力を検討するために、次のような実験を行った。
実験.1
発明者は、閉じたアクリルボックス(41リットル)の空間でファンを回転させて循環させ、そこに20φ、20cmの触媒機能付多孔質発熱体100を3本を入れ、そこにアンモニアガス4100ppmを1リットル注入した。測定器としては北川式ガス検知管105SC(5〜260ppm)である。触媒機能付多孔質発熱体100の間には電極膜13,14には14Vの電圧を印加し、触媒機能付多孔質発熱体100のピーク温度として180℃を得た。
表1は触媒機能付多孔質発熱体100のアンモニア消臭能力試験結果であり、表2はブランク試験結果である。図16は本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体を利用したアンモニア消臭試験の特性図である。
注入時85ppmであったアンモニア濃度は、電圧印加後45分後には、定量下限である5ppm未満、電圧印加1.5時間後には0ppmとなった。また、アクリルBOX(常温)のブランク試験では、アンモニアガス注入時80ppmであったアンモニア濃度は、アンモニアガス注入2.5時間後に60ppmになった。そして、常温でアクリルボックスに触媒機能付多孔質発熱体100を3本収納した状態では、アンモニアガス注入時90ppmであったアンモニア濃度は、ガス注入2.5時間後に定量下限である5ppm未満になった。
この結果は、触媒機能付多孔質発熱体100の電極膜13,14間に14Vの電圧を印加しても、白金族触媒19が急激にピーク温度(180℃)に到達するものでないから、ピーク温度(180℃)付近では、急激にアンモニアが触媒によって分解されたことを意味する。
Figure 2015204142
Figure 2015204142
実験.2
発明者は、同様に、閉じたアクリルボックス(41リットル)の空間でファンを回転させて循環させ、そこに20φ、20cmの触媒機能付多孔質発熱体100を3本使用し、そこに硫化水素1000ppmを0.8リットル注入した。測定器としては北川式ガス検知管120SE(0.5〜40ppm)である。触媒機能付多孔質発熱体100の間には電極膜13,14には20Vの電圧を印加し、触媒機能付多孔質発熱体100のピーク温度として200℃を得ていた。
表3は触媒機能付多孔質発熱体100の硫化水素ガス消臭能力試験結果であり、表4はブランク試験結果である。
また、アクリルBOX(常温)のブランク試験では、硫化水素ガス注入時17ppmであった硫化水素ガス濃度は、硫化水素ガス注入2時間後でも17ppmを維持した。そして、硫化水素ガス注人時10ppmであった硫化水素ガス濃度は、電圧印加後30分後には、0ppmとなった。そして、常温でアクリルボックスに触媒機能付多孔質発熱体100を3本収納した状態でも、硫化水素ガス注入時13ppmであった硫化水素ガス濃度は、硫化水素ガス注入2時間後に0ppmになった。
この結果は、触媒機能付多孔質発熱体100の電極膜13,14間に20Vの電圧を印加しても、白金族触媒19が急激にピーク温度(200℃)に到達するものでないから、ピーク温度(200℃)付近では、急激に硫化水素ガスが触媒によって分解されたことを意味する。特に、図17及び表4のように常温でも硫化水素ガスが白金族触媒19で分解されていることを示している。
Figure 2015204142
Figure 2015204142
発明者は、福井県立大学の生物資源学部に消臭試験の協力依頼をし、各種のガスの除去試験を行ったが、アンモニア除去試験、硫化水素ガス除去試験は殆ど同じであり、図18にエチレンガスの除去試験を検知管測定器とエチレンガス検知管で、図19に酢酸ガスの除去試験を検知管測定器と酢酸ガス検知管で行ったもので、同様に、触媒の作用効果が確認できた。基本的に各種ガスを変更しても、金属触媒は10℃温度が上がるごとに2乗で性能がアップすることから、有機系のガスを300℃で処理すると短時間で処理できることになる。
更に、図20乃至図26は本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200を用いた他の事例の発熱体収容装置600である。
図において、発熱体収容装置600は触媒機能付多孔質発熱体100を図示しないグラスウール、ロックウール等の耐火性のある耐熱絶縁材613でハウジング650との間を絶縁したものである。
詳しくは、発熱体収容装置600は全体をステンレス鋼板で成形したハウジング650の筐体611及び空気等の流体をジグザグに通過させる境界板620、隔壁625,626、接続管路320,330から構成している。
筐体611は6面からなる箱で成形されており、裏面板611a及び正面板611bと枠体としての下面板611c及び上面板611dと右面板611e及び左面板611fで成形されている。
また、筐体611の隔壁625,626は、前側と後側と区別し、夫々を上下に10区画に成形している。この隔壁625,626を設けることにより、空気流は筐体611の正面板611bの横幅に対して、その10倍の距離を進むことになる。
隔壁625相互間、隔壁626相互間には、グラスウール、ロックウール等の耐熱絶縁材613の何れかで絶縁した触媒機能付多孔質発熱体100、触媒機能付多孔質発熱体束301〜306が配設されている。即ち、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100は、複数本を束ね、電極端子17,18相互間に通電できるように互いに電気的に接続し、それら束ねた触媒機能付多孔質発熱体100を絶縁と同時に周囲のシール性を高め、空気流が触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11のみに生じるようにしている。
この変形例においても、図3に示す実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体200の使用も可能であり、また、図8に示す触媒機能付多孔質発熱体100の他の配置例を示す説明図のように、組付けることもできる。
このとき、発熱体収容装置600の上面板611cと隔壁625,626との間、または下面板611dと隔壁625,626との間はデットスペースとなっている。勿論、この下面板611dと隔壁625,626との間のデットスペースには、発熱体収容装置600を安定して立設させるコンクリートまたは焼成の良くない触媒機能付多孔質発熱体等の重量物を詰めてもよい。
他の隔壁625,626相互間の間隔及び触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11の大きさは、触媒の処理能力によって決定される。
ハウジング611(裏面板611a、正面板611b、上面板611c、下面板611d、右面板611e、左面板611f)と隔壁625,626で成形された空間は、触媒機能付多孔質発熱体束601〜605を収納するものであり、触媒機能付多孔質発熱体100の貫通孔11を被浄化空気が流れる前提で説明したが、本発明を実施する場合にも、図8のように、触媒機能付多孔質発熱体100の外周を空気流の透過路とすると、効率の良い触媒の反応が得られる。
図6乃至図15に示す実施の形態の空気浄化装置では、触媒機能付多孔質発熱体100を上下方向に6段積載した触媒機能付多孔質発熱体束301〜306を配設している。しかし、熱源として有機物で300℃、無機物で650℃のピーク値とするよりも、その温度雰囲気を少しでも長く継続させて、有機物で300℃、無機物で650℃の温度雰囲気を被浄化空気が通過する触媒の反応時間を長くし、処理能力を大きくするようにしている。
図20乃至図26では、一方の面の触媒機能付多孔質発熱体束601〜605と、他方の面の触媒機能付多孔質発熱体束606〜610を前後2列積載し、かつ、触媒機能付多孔質発熱体束601〜605及び触媒機能付多孔質発熱体束606〜610を空気の上流が低い位置で、空気の下流が高い位置となるようにし、加熱された空気がその浮力で上昇するようにし、強制的に送風する能力を低下させても支障のないようにしている。また、発熱体収容装置600の全体の温度を目的の有機物で300℃、無機物で650℃に到達できるようにしている。
この触媒機能付多孔質発熱体束601〜605と触媒機能付多孔質発熱体束606〜610との間に配設した境界板620は、触媒機能付多孔質発熱体束601〜605と触媒機能付多孔質発熱体束606〜610とが対向して配設される個所が境界板620として、ステンレス鋼板621とその両端に溶接したパンチングボード622、接続管路320側の隔壁625で挟持された部分のみは遮蔽板623が配設されている。このパンチングボード622は、隣接する触媒機能付多孔質発熱体束601〜605と触媒機能付多孔質発熱体束606〜610との間に空気流を通過させる流路であり、また、遮蔽板623は空気流を最下段の触媒機能付多孔質発熱体束601のみに送給するためのガイドである。
発熱体収容装置600内の上下は、隔壁625と反対側の隔壁626によって区画されており、片側5段、両側で10段の触媒機能付多孔質発熱体束601〜605と触媒機能付多孔質発熱体束606〜610を通過することになる。このとき、各触媒機能付多孔質発熱体100の電極膜13,14には所定の電圧が印加されているから、被浄化空気は所定の温度条件下にある触媒機能付多孔質発熱体束601〜605,606〜610を通過する際に各触媒機能付多孔質発熱体100に担持されている白金族触媒19の作用によって、触媒の反応によりクリーンな空気に浄化することができる。
以上のように、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、が蛙目粘土粉等の粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物10とし、その全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ0〜25wt%を加えてステップS1で混練し、ステップS2で圧力を加えて成形し、それをステップS3で焼結し、5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体10C,20Cと、多孔質抵抗成型体10C,20Cに担持させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒19,29を具備するものである。
この触媒機能付多孔質発熱体100,200は、アルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4、木粉5、必要に応じて抵抗調整剤7を混合し、それを焼結原料混合物10とし、その全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ6を加えて混練し、圧力を加えて成形し、それを焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体に対し、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒19,29を付着させ、それを乾燥させたものである。
したがって、焼結された多孔質抵抗成型体10C,20Cは5%〜50%の範囲内の空隙を有しているから、その表面積は広くなり、その表面を白金族触媒19,29として使用するものであるから、触媒の反応速度を速め、反応効率を上げることができる。実験でも、常温で白金族触媒19,29が作用する物質に対しては、消臭効果が確認され、更に、触媒を加熱することにより高速に消臭させることができた。消臭効果については、有機物は300℃で、無機物についても650℃で完全に消臭除去ができることが確認された。
多孔質抵抗成型体10C,20Cは、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、蛙目粘土粉等の粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物10とし、その全体に対して、水0〜25wt%を加えて混練し、圧縮成形または押出成形によって成型し、乾燥の後、ステップS3で焼結させてなるものであるから、次の効果を奏する。
即ち、焼結原料混合物10において、例えば、アルミニウム粉の含有量が30wt%未満であると、アルミニウム粉が少なすぎて、通電性が損なわれる。一方、アルミニウム粉の含有量が50wt%を超えると、アルミニウム粉において黒鉛粉に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出するという焼結不良が生じ易くなる。ところが、本実施の形態では、アルミニウム粉30〜50wt%であるから、通電性が維持でき、焼結不良も生じ難い。
また、例えば、黒鉛粉3の含有量が5wt%未満であると、黒鉛粉3が極めて少な過ぎてアルミニウム粉2において黒鉛粉3に覆われない部分が増大し、そのことによって、焼成過程において溶融したアルミニウムが表面に噴出する焼結不良が生じ易くなる。一方、黒鉛粉3の含有量が10wt%を超えると、黒鉛粉3が多過ぎて多孔質抵抗成型体10C,20Cの強度及び純度が低下し、多孔質発熱体の抵抗発熱体としての使用において強度や通電発熱性が足りないものとなる。ところが、本実施の形態では、黒鉛粉の含有量が5〜10wt%であるから、アルミニウムが表面に噴出する焼結不良や、多孔質抵抗成型体の強度が低下しない。
そして、陶磁器用の蛙目粘土粉4等の粘土粉の含有量が、例えば、30wt%未満であると、陶磁器用の粘土粉が少なすぎて、得られる成型抵抗体の抵抗値が小さくなり、多孔質発熱体の抵抗発熱体としての利用において通電発熱性が足りないものとなる。一方、陶磁器用の蛙目粘土粉4の含有量が50wt%を超えると、陶磁器用の蛙目粘土粉4が多過ぎて、通電性が損なわれるが、本発明の実施の形態ではその範囲内に設定しているから、それらの問題が生じない。
更に、木粉5は、木屑を粉砕機で微粉砕したものが使用されるが、ウィスカー状のものを用いるのが好ましい。例えば、ウィスカー状の木粉5を使用することでアルミニウム粉2、黒鉛粉3、蛙目粘土粉4等の原料がウィスカー状の髭状の隙間に絡みつくため、原料の充填性が高くなると共に、ステップS2の成形工程で圧力を掛けて生じたものは強固で緻密なものとなるが、木粉5が入っていなくても多孔質抵抗成型体10C,20Cを得ることはできる。通常、0〜10wt%配合するのが望ましい。したがって、この発明の正の抵抗温度特性の発熱体によれば、確実に高強度で通電発熱性を有し、純度の高いものとなる。
なお、焼結原料混合物10において、アルミニウム粉2の含有量が40wt%〜45wt%の範囲内であり、黒鉛粉3の含有量が5wt%〜10wt%の範囲内であり、鉱物質粉(陶磁器用の蛙目粘土粉4)の含有量が40wt%〜45wt%の範囲内あることによって、更に確実に多孔質の正の抵抗温度特性の発熱体において高い強度及び純度並びに通電発熱性を確保できるため、より好ましい。
そして、多孔質抵抗成型体10C,20Cに付着させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒は、物理的性質や化学的性質が互いによく似ているルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等が使用でき、ここではそれらのうちから選択した触媒を、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かし、浸漬、塗布し、乾燥させたものであるから製造が簡単である。
上記実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、その全体に対して、水0〜25wt%を加えてステップS1で混練し、ステップS2で圧縮成形または押出成形によって成型し、乾燥の後、ステップS3で焼結させるものである。
アルミニウム粉2と、黒鉛粉3と、蛙目粘土粉4とを主材料とする焼結原料混合物10は、ステップS1で水を加えて混練し、ステップS2で金型でプレスする圧縮成形または押出成形機で押出成形することにより任意の形状に成形し、それを、例えば、温度制御電気炉内にて900℃〜1200℃の範囲内で焼結させたものである。温度制御電気炉内にて900℃〜1200℃の範囲内で焼結するのは、本発明者らが実験研究を重ねた結果、900℃未満では十分な焼成が行われず焼結不良となってしまう確率が高いことが確認され、焼結温度の下限値を900℃とし、また、1200℃を超えると、得られた成形体が正特性を有さない確率が高いことが確認されたことから、焼結温度の上限値を1200℃としたものである。
ここで、アルミニウム粉2と、黒鉛粉3と、陶磁器用の蛙目粘土粉4が特定の配合により混合されてなる焼結原料混合物10を、ステップS2で圧力を加えて成形することによって、これら焼結原料混合物10は強固で緻密な固形状態となる。また、水に対してバインダを溶かして使用してもよい。したがって、この状態で焼結することによって、高強度の多孔質抵抗成型体10C,20Cを得ることができる。また、木粉5は多孔質の空隙に関係するだけではなく、焼結時の還元雰囲気にも効果あるが、多すぎると炉内を煤で劣化させる可能性があるので、少ないほうが良い。
そして、蛙目粘土粉4は、鉱物質粉としての陶磁器用の粘土粉であり、例えば、アルミニウム酸化物及びケイ素酸化物、アルミニウム酸化物とケイ素酸化物の複合酸化物、アルミニウムのケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含有するものであればよく、例えば、蛙目粘土、木節粘土、カオリン、長石、陶石の粉末等が使用される。前記蛙目粘土、木節粘土、カオリン、長石、陶石の粉末は、通常、鉱物質粉と呼ばれ、陶磁器用の粘土粉である。
このアルミニウム粉2と、黒鉛粉3と、蛙目粘土粉4とを主材料とする焼結原料混合物10の多孔質抵抗成型体10C,20Cは、常温では抵抗が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗が増大する正の抵抗温度特性を有する。更に、多孔質抵抗成型体10C,20Cに対して設けた複数の貫通孔11,21は、格別その断面形状を問うものではないが、空気抵抗の小さい形状で、かつ、表面積が広いものが好適である。
前記アルミニウム粉は、例えば、アトマイズ法(噴霧式)によって製造された不規則な形状(針状、紡錘形状等)のものが使用される。レーザ回折・散乱法によって測定した中位径が30μm〜75μmの範囲内であり、ふるい試験法によって測定した粒子径が150μm未満であるもの、好ましくは、中位径が35μm〜65μmの範囲内であり、粒子径が100μm未満であるものである。
上記実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、更に、多孔質抵抗成型体10C,20Cには、その両側に金属の溶射によって電極膜13,14を設けたものであるから、高温度で触媒を使用できるから、触媒で処理する特定物質の化学反応の速度を速める場合に好適である。また、白金族触媒19,29は電気的に多孔質抵抗成型体10C,20Cを短絡させることがないので、安定した使用が可能である。特に、白金族触媒19,29の濃度を低くできること及びアルミニウム粉体2が多孔質抵抗成型体10C,20Cを成形する際には酸化アルミニウムとなって絶縁特性を呈するので、多孔質抵抗成型体10C,20Cから白金族触媒19,29に通電されることがない。
そして、上記実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、更に、多孔質抵抗成型体10C,20Cの両側に金属の溶射によって電極膜13,14を設けたものである。ここで、多孔質抵抗成型体10C,20Cの両端に成形した電極膜13,14は、金属の溶射によって成形したものであるから、多孔質抵抗成型体10C,20Cとの接続が表面積を大な条件で接合成形でき、電極膜13,14側の抵抗値を小さくでき、長時間の使用に際しても、電極膜13,14の劣化が生じ難い。
焼結原料混合物10には、更に、金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したものであるから、通電安定性を確保することができる。また、鉄粉は酸化により抵抗体として機能するから抵抗値制御に使用でき、必要に応じて、PTCサーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する正の抵抗温度特性の発熱体とするか否かを制御できる。特に、シリコン粉(半導体)5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したものでは、キュリー点温度を設定しやすい。
上記金属シリコン粉5〜10wt%は、酸化しない材料としての通電性確保する通電安定性を上げるものである。また、鉄粉0〜10wt%は、酸化により抵抗体として機能する抵抗値制御に使用でき、発熱体としての安定した性能が発揮できる。ただし、金属シリコン粉及び鉄粉の混合は、PTCサーミスタと同様の特性を有する正の温度係数を有する正特性発熱体としての性質が低下するので、大量には配合しない方がよい。
更に、白金族触媒19,29は、パラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウムのパラジュウムを含む組み合わせからなる単一の合金またはパラジュウムを含む2層構造としたものである。
したがって、触媒機能付多孔質発熱体100,200の白金族触媒19,29は、パラジュウム、またはパラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウム等のように、パラジュウムを含む組み合わせからなる合金、またはパラジュウムを含む2層構造としたものであるから、白金族触媒19,29がパラジュウムを含むものであり、無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かし、浸漬、塗布し、乾燥させたものであるから取り扱いが簡単で、製造が簡単である。
白金族触媒19,29は、エタノール40〜50wt%、ノルマルプロピルアルコール5〜10wt%、パラジュウム5wt%以下、メタノール0.5〜3wt%、分散樹脂0.5wt%以下、残余を水として配合したものである。
ここで、白金族触媒19,29のパラジュウムは、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、メタノール、水を溶剤としているから、簡単に塗布、含浸ができ、前記多孔質抵抗成型体の表面に塗布とその乾燥をすることができる。基本的に、パラジュウムを無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かしたものであればよい。
上記実施の形態では、触媒機能付多孔質発熱体100,200の使用として実施の形態を説明したが、本発明を実施する場合には、ステップS2の成形工程において成形する焼結前成型体10A,20Aを任意の形状に焼成することができる。特に、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200のように、複数本の多孔質抵抗成型体10C,20Cを用いると、多孔質抵抗成型体10C,20Cの異常で1本既存しても、他の多孔質抵抗成型体10C,20Cで運転可能であるから、触媒機能付多孔質発熱体束301〜306または触媒機能付多孔質発熱体束601〜610と複数合せた方が信頼性を高くできる。
上記実施の形態では、触媒機能付多孔質発熱体束301〜306または触媒機能付多孔質発熱体束601〜610を束ねるのに、耐熱絶縁材313,613としてグラスウール、ロックウール等の耐熱温度の高い耐熱絶縁材313,613で、電気絶縁物を使用した。しかし、本発明を実施する場合には、多孔質抵抗成型体10C,20Cとした時点で表面が酸化アルミニウムの膜が成形され、絶縁状態になっているから、その表面に白金族触媒は、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、パラジウム、メタノール、分散樹脂、残余を水として配合し、それを多孔質抵抗成型体10C,20Cに担持させても、ハウジング611との間に電気的絶縁は保たれているから、必ずしも電気的絶縁物を使用する必要性はない。しかし、発熱体収容装置300,600のユーザの取り扱いに個人差があるから、耐熱絶縁材313,613とした仕様の方が安全性は高い。
本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、工場または車両の排ガス、排水、集塵、粉体等の被浄化空気の浄化を行う空気浄化装置について説明したが、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、有機物質、無機物質の混在する成分から特定の成分を消去する場合に使用される。また、畜産農家の所有するし尿処理装置に取付けて臭いを消去する装置としても使用できる。
また、本実施の形態の触媒機能付多孔質発熱体100,200は、貫通孔11,12を1個だけ設けた事例で説明したが、本発明を実施する場合には、1本の焼結前成型体10A,20Aに対し、2個以上の貫通孔11,12を設けた多孔質抵抗成型体10C,20Cとすることもできる。
2 アルミニウム粉
3 黒鉛粉(黒鉛粉)
4 蛙目粘土粉
5 木粉
6 水/バインダ
7 抵抗調整剤
10 焼結原料混合物
11,21 貫通孔
10A,20A 焼結前成型体
10B,20B 成型抵抗体
10C,20C 多孔質抵抗成型体
13,14,23,24 電極膜
15,16,25,26 ステンレス電極リード
17,18,27,28 電極端子
19,29 白金族触媒
100,200 触媒機能付多孔質発熱体
300,600 発熱体収容装置
312 隔壁
310 ハウジング
313,613 耐熱絶縁材
301〜306 触媒機能付多孔質発熱体束
400 熱交換器
500 送風機
601〜610 触媒機能付多孔質発熱体束

Claims (5)

  1. アルミニウム粉30〜50wt%、黒鉛粉5〜10wt%、粘土粉30〜50wt%、木粉0〜10wt%との配合で混合した焼結原料混合物とし、
    前記焼結原料混合物の全体に対して、比重の違いによって移動が生じない水及び/またはバインダ0〜25wt%を加えて混練し、圧力を加えて成形し、それを焼結して5%〜50%の範囲内の空隙を有し、通電したとき、常温では抵抗値が低く、所定の温度に上昇すると急激に抵抗値が増大する正の抵抗温度特性を有する多孔質抵抗成型体と、
    前記多孔質抵抗成型体に担持させた無機溶剤及び/または有機溶剤で溶かした白金族触媒と
    を具備することを特徴とする触媒機能付多孔質発熱体。
  2. 更に、前記多孔質抵抗成型体には、その両側に金属の溶射によって電極膜を設けたことを特徴とする請求項1に記載の触媒機能付多孔質発熱体。
  3. 前記焼結原料混合物には、更に、金属シリコン粉5〜10wt%及び鉄粉0〜10wt%を混合したことを特徴とする請求項1または請求項2の何れか1つに該当する触媒機能付多孔質発熱体。
  4. 前記白金族触媒は、パラジュウムと白金、パラジュウムと銀、パラジュウムとルテニュウム、パラジュウムとロジュウムのパラジュウムを含む組み合わせからなる単一の合金またはパラジュウムを含む2層構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに該当する触媒機能付多孔質発熱体。
  5. 前記白金族触媒は、エタノール40〜50wt%、ノルマルプロピルアルコール5〜10wt%、パラジウム5wt%以下、メタノール0.5〜3wt%、分散樹脂0.5wt%以下、残余を水として配合したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに該当する触媒機能付多孔質発熱体。
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