JP2014182891A - 導電性ペースト、積層チップインダクタ、及びセラミック電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミック電子部品の信頼性を向上する。
【解決手段】セラミック電子部品の電極形成に用いる新規な導電性ペーストを提供する。導電ペーストは、導電性金属粉末、ガラスフリット、及びバインダを含む。上記導電性金属粉末は、粒状の導電性金属粉末と扁平状の導電性金属粉末とを含む。上記粒状の導電性金属粉末及び上記扁平状の導電性金属粉末は、夫々、当該導電性ペーストのセラミック電子部品への塗布焼結後にガラスフリットが充填される空隙が形成されるように、その粒子サイズが選択されている。粒状の導電性金属粉末のメジアン径は、1.2μm、扁平状の導電性金属粉末のメジアン径が7.4μmである。
【選択図】図5

Description

この発明は、セラミック電子部品の電極形成に用いられる、導電性ペースト、積層チップインダクタ、及びセラミック電子部品に関する。
昨今、携帯電話や小型電子機器の普及に伴い、小型のセラミック電子部品(積層チップインダクタ、積層チップコンデンサ等)の需要が高まっており、セラミック電子部品には小型化とともにより一層の信頼性の向上が求められるようになってきている。
セラミック電子部品に電極(外部電極、端子電極、表面電極などとも称される)を形成する方法としては、導電性粉末、ガラスフリット、及びバインダを主成分とする導電性ペーストをセラミック電子部品の素子面に塗布し、これを乾燥/焼成する手法が一般的である。しかしこの方法によって電極を形成した場合、焼成時に導電性ペーストが収縮して母材に残留応力が作用し、セラミック電子部品の信頼性が損なわれてしまう可能性がある。
ここで残留応力の影響を緩和する方法として、例えば、特許文献1には、セラミックグリーンシートを積層した多層セラミック基板、および多層セラミック基板の内部電極および/または表面電極として用いられる導電性ペーストに、BET値、X線回析ピークの半値幅を規制したAg粒子を含有させ、焼成過程の脱脂終了後の導電性ペーストの収縮挙動をセラミックグリーンシートの収縮挙動に合わせることが記載されている。
また特許文献2には、ガラスフリットの熱膨張係数と下地層の熱膨張係数との差を小さくすることにより残留応力の影響を低減することが記載されている。
特開2002−26528号公報 特開2006−196245号公報
導電性ペーストは材料の選択によって焼成時の収縮率が大きく異なり、この収縮率の違いは残留応力に大きく影響する。一方で導電性ペーストの性質は電極表面へのガラス浮きにも影響し、均一なめっき膜の形成に影響を与える。また環境の温度変化によって導電性ペーストが膨張もしくは収縮すると、セラミック電子部品の電気的性質(インダクタンスや静電容量等)に影響が生じる。
本発明は、こうした背景に鑑みてなされたもので、セラミック電子部品の信頼性を向上することが可能な導電性ペースト、及びこれを用いて構成された、積層チップインダクタ及びセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一つは、セラミック電子部品の電極形成に用いられる導電性ペーストであって、導電性金属粉末、ガラスフリット、及びビヒクルを含み、前記導電性金属粉末は、粒状の導電性金属粉末と扁平状の導電性金属粉末とを含み、前記粒状の導電性金属粉末及び前記扁平状の導電性金属粉末は、夫々、当該導電性ペーストの前記電子部品への塗布焼結後に、前記ガラスフリットが充填される空隙が形成されるようにその粒子サイズが選択されていることを特徴としている。
本発明の他の一つは、上記導電性ペーストであって、前記粒状の導電性金属粉末のメジアン径が1.2μm、前記扁平状の導電性金属粉末のメジアン径が7.4μmであることを特徴としている。
本発明の他の一つは、上記導電性ペーストであって、前記ガラスフリットのメジアン径が3.0〜4.0μmであることを特徴としている。
本発明の他の一つは、上記導電性ペーストであって、前記ガラスフリットはSi及びCuを含むことを特徴としている。
本発明の他の一つは、上記導電性ペーストであって、前記ビヒクルは、エチルセルロースを主成分とする樹脂をアルコール系有機溶剤に10〜30%溶解させたものであることを特徴としている。
本発明の他の一つは、積層チップインダクタであって、上記導電性ペーストを用いて構成された外部電極を有することを特徴としている。
本発明の他の一つは、セラミック電子部品であって、上記導電性ペーストを用いて構成された電極を有することを特徴としている。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、セラミック電子部品の信頼性を向上することができる。
導電性ペーストのサンプルの作成に用いた導電性粉末の性状を示す図である。 導電性ペーストのサンプルの作成に用いたガラスフリットの性状を示す図である。 導電性ペーストのサンプルの作成に用いた有機バインダの性状を示す図である。 導電性ペーストのサンプルの組成を示す図である。 TMA試験の結果を示す図である。 ガラスフリットの粒子サイズ(メジアン径)と電極のCTEとの相関を示すグラフである。 積層チップインダクタのインダクタンスと電極のCTEとの相関を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について図面とともに詳細に説明する。
本発明者らは、セラミック電子部品の一例である、フェライトを母材として構成される積層チップインダクタについて、その電極形成に用いる導電性ペーストのサンプルを複数種作成し、各サンプルについて熱機械分析装置(TMA(Thermo Mechanical Analysis))を用いた試験(以下、TMA試験とも称する。)を行った。尚、各サンプルは、いずれも導電性粉末(銀(Ag)粉)、ガラスフリット(ホウ珪酸系)、及び有機バインダ(有機ビヒクル)(エチルセルロース(Ethylcellulose)系)を、三本ロールミルによって混練することにより作成した。
図1〜図3に、各サンプルの作成に用いた導電性粉末(図1)、ガラスフリット(図2)、及び有機バインダ(図3)の性状を示す。尚、図1及び図2における「粒子サイズ」は、アルコール溶媒中にてレーザー回折・散乱式粒度分析径(マイクロトラック)によって測定したD50値(メジアン径)で示してある。また図2に示す5種類のガラスフリット「G−21」〜「G−25」は、回転ボールミルによって「G−2」のガラスフリットの粒子を微細化したものである。図4に作成した各サンプル(「CP−1」〜「CP−17」)の組成を示す。同図における数値はサンプル全体に対する重量比(wt%)を示している。
続いて、作成した各サンプル(「CP−1」〜「CP−17」)についてTMA試験のための試料体を作成した。各試料体は、各サンプルを、有機バインダに含まれている有機溶媒が蒸発する温度に保持された恒温槽内に一晩静置して乾燥し、得られた乾燥物を乳鉢で粗粉砕し、目開き300μmのメッシュを通して整粒し、さらに円形金型(Φ=5mm)に投入してペレット状に整形しこれを焼成することにより作成した。
図5にTMA試験の結果を示す。同図に示すCTE(線膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion))の値は、いずれも温度サイクル試験の条件である温度範囲(−55〜125℃)における電極のTMA試験の結果から求めたものである。具体的には、次式からCTEを求めた。
CTE=(高温時における試料高さH1−低温時における試料高さH2)
/(低温時における試料高さH2×(高温時温度T1−低温時温度T2))[ K−1]
また同図におけるインダクタンスの値は、作製した各サンプル(「CP−1」〜「CP−17」)を積層チップインダクタの素子面にディッピング(浸漬)塗布し、これを650℃で焼付しメッキを施したものについて、RCFメータ(巻数n=100)を用いることにより測定した。尚、試験に用いた積層チップインダクタのインダクタンスの設計目標値は4.7μHである。
同図における温度サイクル試験(−55〜125℃で30分、サイクル数=500)の判定は、測定開始後1000時間経過したときの初期のインダクタンスの値からの変化が±20%の範囲内である場合に「○」とし、それ以外は「×」とした。
同図に示すように、作成したサンプルのうち、「CP−8」、「CP−14」、「CP−15」のみ、温度サイクル試験の結果が「○」となった。尚、有機バインダを代えたサンプルである「CP−16」(有機バインダ「E−1」)及び「CP−17」(有機バインダ「E−2」)については、ディッピング塗布によって電極の形状不良が発生したため同図には記載していない。
図1に示すように、判定結果が「○」となったこれらのサンプル「CP−8」、「CP−14」、「CP−15」は、いずれも粒子サイズが1.2μmの粒状の導電性金属粉末「M−1」と、粒子サイズが7.4μmの扁平状の導電性金属粉末「M−3」とを含むものであり、これらはいずれも粒状の導電性金属粉末と扁平状の導電性金属粉末とを混ぜることにより意図的にタップ密度の低下を図り、母材への塗布焼結後の電極内部にガラスフリットを充填する空隙が形成されるようにしたものである。また用いた導電性金属粉末は、いずれもCTEが比較的高いものである。尚、これらのサンプル「CP−8」、「CP−14」、「CP−15」は、いずれもガラスフリットとしてホウ珪酸ガラスの中でも比較的CTEの低いもの(CTE=77[×10−7−1]を用いているが、このことも一因となって塗布焼結後の導電性ペーストの収縮膨張が抑制されると考えられる。
尚、これらのサンプル「CP−8」、「CP−14」、「CP−15」は、ガラスフリットとして、いずれもメジアン径が3.1〜3.8μmの範囲内のものを用いて作成したものである。このため、ガラスフリットのメジアン径が3.0〜4.0μmの範囲内であれば温度サイクル試験の結果として良好な結果が得られると考えられる。
続いて、ガラスフリットの粒子サイズ(メジアン径)と電極のCTEとの相関を調べた。図6にその結果を示す。同図において、横軸(x軸)は、図2におけるガラスフリットの粒子サイズ(メジアン径)であり、縦軸(y軸)は、図5における電極のCTEである。同図に示すように、ガラスフリットの粒子サイズが微細化するにつれ電極のCTEが上昇していることがわかる。これはガラスフリットの粒子サイズが微細化するにつれ電極の密度が高まり、収縮膨張の影響が顕著に現れるためと考えられる。
続いて、積層チップインダクタのインダクタンスと電極のCTEとの相関を調べた。図7にその結果を示す。同図に示おいて、横軸(x軸)は図5における電極のCTEであり、縦軸(y軸)は図5におけるインダクタンスである。同図から、電極のCTEが、1.35[10−5−1]<CTE<1.54[10−5−1]の範囲内であれば、インダクタンスの値が設計目標値(=4.7μH)に近い値になることがわかる。
尚、以上の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。

Claims (7)

  1. セラミック電子部品の電極形成に用いられる導電性ペーストであって、
    導電性金属粉末、ガラスフリット、及びバインダを含み、
    前記導電性金属粉末は、粒状の導電性金属粉末と扁平状の導電性金属粉末とを含み、
    前記粒状の導電性金属粉末及び前記扁平状の導電性金属粉末は、夫々、当該導電性ペーストの前記セラミック電子部品への塗布焼結後に前記ガラスフリットが充填される空隙が形成されるように、その粒子サイズが選択されてなる
    ことを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記粒状の導電性金属粉末のメジアン径が1.2μm、前記扁平状の導電性金属粉末のメジアン径が7.4μmであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記ガラスフリットのメジアン径が3.0〜4.0μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記ガラスフリットはSi及びCuを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記バインダは、エチルセルロースを主成分とする樹脂をアルコール系有機溶剤に10〜30%溶解させたものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性ペーストを用いて構成された外部電極を有する積層チップインダクタ。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性ペーストを用いて構成された電極を有するセラミック電子部品。
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