[概略構成]
先ず、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。図1は第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の外観斜視図である。図2及び図3はシートベルト用リトラクタ1をユニット別に分解した斜視図である。
図1乃至図3に示すように、シートベルト用リトラクタ1は、車両のウエビング3を巻き取るための装置であって、ハウジングユニット5と、巻取ドラムユニット6と、プリテンショナユニット7と、巻取バネユニット8と、ロックユニット9とから構成されている。
ロックユニット9は、メカニズムカバー111(図8参照)に一体に形成された各ナイラッチ9Aによって、ハウジングユニット5を構成するハウジング11の一方の側壁部12に固設されている。そして、ロックユニット9は、ウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10(図11参照)を構成する。また、巻取バネユニット8は、バネケース107(図8参照)に一体に形成された各係止フック8Aによってロックユニット9の外側に固設されている。
また、プリテンショナユニット7は、平面視略コの字状に形成されたハウジング11の側壁部12に相対向する他方の側壁部13に、プリテンショナユニット7の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側から挿通される各ネジ15によってネジ止めされる。また、プリテンショナユニット7は、プリテンショナユニット7の巻取ドラムユニット6の回転軸方向外側から側壁部13に挿通されるストッパーピン16と、該ストッパーピン16に側壁部13の巻取ドラムユニット6の回転軸方向内側から挿入されるプッシュナット18によって固定される。
そして、ウエビング3が巻装される巻取ドラムユニット6は、ハウジングユニット5の側壁部12に固設されたロックユニット9と、側壁部13に固定されたプリテンショナユニット7との間に回転自在に支持される。また、巻取ドラムユニット6は、ロックユニット9の外側に固設された巻取バネユニット8によって、ウエビング3の巻取方向に常時付勢されている。
[ハウジングユニットの概略構成]
次に、ハウジングユニット5の概略構成について図2乃至図4に基づいて説明する。
図4はハウジングユニット5の分解斜視図である。
図2乃至図4に示すように、ハウジングユニット5は、ハウジング11と、ブラケット21と、プロテクタ22と、パウル23と、パウルリベット25と、センサカバー27と、車両加速度センサ28と、連結部材32、33と、リベット61とから構成されている。
また、ハウジング11は、車体に固定される背板部31と、その背板部31の両側縁部から相対向する各側壁部12、13が延出されて、平面視略コの字状にスチール材等で形成されている。また、各側壁部12、13は、巻取ドラムユニット6の回転軸方向に長い横長細板状の各連結部材32、33によって互いに連結されている。また、背板部31の中央部には、開口部が形成され、軽量化及びウエビング3の収容量の規制等が図られている。
また、側壁部12には巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35が、所定隙間(例えば、約0.5mmの隙間である。)を形成しつつ挿入される貫通孔36が形成されている。この貫通孔36の内側周縁部は、巻取ドラムユニット6側へ中心軸方向内側に所定深さ窪んで、巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35に対向するように構成されている。
また、この貫通孔36の斜め下側(図4中、斜め左下側である。)のパウル23の各係合歯23A、23Bを含む先端(他方の端部)側の部分37に対向する周縁部から、該パウル23の回動方向外側へ(パウル23のラチェットギヤ35から離反する回動方向である。)、この先端側の部分37が収容される深さに切り欠かれた切欠部38が形成されている。この切欠部38の背板部31側の横側には、パウル23を回転可能に取り付けるための貫通孔41が形成されている。また、切欠部38の貫通孔41側のパウル23が当接する部分には、該貫通孔41と同軸に円弧状の案内部38Aが形成されている。
一方、スチール材等で形成されたパウル23の案内部38Aに当接して摺動する部分には、側壁部12の厚さ寸法にほぼ等しい高さで、この案内部38Aと同じ曲率半径の円弧状に窪んだ段差部37Aが形成されている。また、パウル23の回動軸方向外側(図4中、手前側である。)の側面の先端部には、ロックユニット9を構成するクラッチ125のガイド溝156(図9参照)に挿入される案内ピン42が立設されている。
また、パウル23の基端部(一方の端部)にはパウルリベット25が挿通される貫通孔43が形成されると共に、この貫通孔43の周縁部から側壁部12の貫通孔41に回動可能に挿通される円筒状のボス部45が、側壁部12の厚さ寸法にほぼ等しい高さで立設されている。そして、パウル23は、ボス部45が側壁部12の貫通孔41にハウジング11の内側から挿通された状態で、側壁部12の外側から貫通孔43に嵌入されたパウルリベット25によって、回動可能に固定される。これにより、パウル23の各係合歯23A、23Bとラチェットギヤ35の外周面に形成されたラチェットギヤ部35Aとが、側壁部12の外側面とほぼ同一面になるように配置される。
また、捩りコイルバネ48は、第1腕部48Aと第2腕部48Bとが正面視略V字状になるように形成され(図15参照)、この第2腕部48Bは、巻き数が3巻きの弾性連結部48Cの側壁部12側の端部に連結されるように設けられ、第1腕部48Aは、弾性連結部48Cの側壁部12に対して反対側の端部に連結されるように設けられている。従って、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの弾性連結部48Cの周方向における相対的な角度変化に伴って、弾性連結部48Cが巻き方向に弾性的に捩れ変形される。
また、捩りコイルバネ48の第2腕部48Bは、側壁部12上を摺接可能に配置され、第2腕部48Bの端部は、側壁部12の内側方向(図4中、側壁部12の裏側方向である。)へ略直角に折り曲げられて、側壁部12に形成された取付孔46に挿通されている。また、この第2腕部48Bの端部は、略U字形に折り曲げられて側壁部12の内側面に当接可能に形成され、抜け止め部を構成している。また、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aは、後述のようにクラッチ125に取り付けられている(図11、図15参照)。
また、図2乃至図4に示すように、側壁部12の貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)には、貫通孔36の中心軸の下方(図4中、下方向である。)から背板部31側の部分に、略四角形の開口部47が形成されている。また、この開口部47には、開口部47とほぼ同じ断面略四角形の浅い略箱体状のセンサカバー27が外側(図4中、手前側である。)から嵌入される。そして、樹脂製のセンサカバー27は、開口側周縁部に形成された鍔部が開口部47の外側周縁部(図4中、手前側周縁部である。)に当接されると共に、センサカバー27の図4中、上下方向両端面に突設された一対の係止爪27A(図4中、上側端面の係止爪27Aを図示している。)が開口部47の図4中、上下方向両端部の奥側に嵌入されて弾性的に係止される。
また、車両加速度センサ28は、鉛直方向上側(図4中、上側である。)に開放される略箱形で底面部にすり鉢状の載置部が形成された樹脂製のセンサーホルダ51と、スチール等の金属で球状体に形成されて載置部上に移動可能に載置された慣性質量体52と、慣性質量体52の鉛直方向上側に載置されてパウル23に対して反対側の端縁部(図4中、右端縁部である。)をセンサーホルダ51によって鉛直方向上下(図4中、上下方向である。)に揺動可能に支持される樹脂製のセンサレバー53とから構成されている。
そして、車両加速度センサ28をセンサカバー27へ嵌入して、センサーホルダ51のセンサカバー27内の両側壁部に対向する両側面部に設けられた一対の係止爪51A(図4中、一方の係止爪51Aを図示している。)をセンサカバー27の各係止孔27Bに嵌入して係止することによって、車両加速度センサ28がセンサカバー27を介してハウジング11に取り付けられる。
また、側壁部12には、上端縁部(図4中、上側端縁部である。)の両隅と、貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)との3箇所に、ロックユニット9の各ナイラッチ9Aが嵌入されて取り付けられる各取付孔55が形成されている。
また、側壁部13には、巻取ドラムユニット6が挿通される貫通孔57が中央部に形成されている。また、側壁部13には、下端縁部(図2中、下側端縁部である。)の略中央及び連結部材33側の角部と、上端縁部(図2中、上側端縁部である。)の背板部31側の角部に、各ネジ15がネジ止めされる各ネジ孔58がプリテンショナユニット7側方向へのバーリングによって形成されている。また、側壁部13には、上端縁部(図2中、上側端縁部である。)の連結部材32側の角部にストッパーピン16が挿通される貫通孔59が形成されている。
また、背板部31の上端縁部(図2中、上側端縁部である。)に各リベット61によって取り付けられるブラケット21は、スチール材等で形成されて、背板部31の上端縁部から略直角に連結部材32側方向に延出された延出部に、ウエビング3が引き出される背板部31の幅方向に長い横長の貫通孔62が形成され、ナイロン等の合成樹脂で形成された横長枠状のプロテクタ22が嵌め込まれている。また、背板部31の下端部(図2中、下端部である。)には、車両の締結片(不図示)に取り付ける際に、ボルトが挿通されるボルト挿通孔63が形成されている。
[巻取ドラムユニットの概略構成]
次に、巻取ドラムユニット6の概略構成について図2、図3、図5及び図6に基づいて説明する。図5はシートベルト用リトラクタ1の断面図である。図6は巻取ドラムユニット6の分解斜視図である。
図5及び図6に示すように、巻取ドラムユニット6は、巻取ドラム65と、トーションバー66と、ワイヤ67と、ラチェットギヤ35とから構成されている。
図2、図3、図5及び図6に示すように、巻取ドラム65は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成されて、プリテンショナユニット7側の端面部が閉塞された略円筒状に形成されている。また、巻取ドラム65の軸心方向のプリテンショナユニット7側の端縁部には、外周部から径方向に延出され、更に略直角外側方向(図5中、左側方向である。)に延出されたフランジ部68が形成されている。また、このフランジ部68の内周面には、車両衝突時に各クラッチパウル102(図7参照)が係合してピニオンギヤ71の回転が伝達される内歯ギヤ69が形成されている。
また、巻取ドラム65のプリテンショナユニット7側の端面部中央位置には、円筒状のボス72が立設されている。このボス72は、ポリアセタール等の合成樹脂材により形成されたベアリング73に嵌入され、ボス72の基端部がベアリング73に当接される。そして、巻取ドラムユニット6の一端側は、ベアリング73を介してプリテンショナユニット7を構成するピニオンギヤ71のボス部71Dに回転可能に支持される。
また、巻取ドラム65の内側には、中心軸に沿って徐々に細くなるように抜き勾配が形成された軸孔65Aが形成されている。この軸孔65A内のフランジ部68側端部には、スチール材等により形成されるトーションバー66の一端部に形成されるスプライン66Aが圧入されるスプライン溝が形成されている。
また、トーションバー66は、スチール材等により形成され、断面円形の棒状をした軸部66Cと、この軸部66Cの両端部に形成された各スプライン66A、66Bとから構成されている。そして、トーションバー66のスプライン66A側を巻取ドラム65の軸孔65Aに挿入してフランジ部68に当接するまで圧入することによって、トーションバー66が巻取ドラム65内に相対回転不能に圧入固定される。
また、巻取ドラム65の軸方向のロックユニット9側の端縁部には、端縁部から少し軸方向内側の外周面から径方向に延出された正面視略円形のフランジ部75が形成されている。また、このフランジ部75から軸心方向外側の部分には、少し外径が細くなった円筒状の段差部76が形成されている。この段差部76は軸孔65A内に圧入されたトーションバー66の他端側のスプライン66Bを所定隙間を形成して囲むように設けられている。
また、フランジ部75の軸方向外側面に形成された正面視略円形の段差部76の外周部には、ステンレス材等の金属材からなる断面円形の線材状のワイヤ67の一端の屈曲部67Aが嵌入保持される保持側屈曲路77が一体形成されている。
この保持側屈曲路77は、図6に示すように、フランジ部75の軸方向外側面から突出する正面視半径方向内側向きの略台形状に形成された凸部78と、段差部76の外周の凸部78に対向する凹部79と、この凹部79の正面視反時計方向側(図6中、反時計方向側である。)の端部から少し離れた段差部76の外周面から正面視反時計方向に傾斜した斜め内側方向へ形成された溝部81と、段差部76の凹部79と溝部81との間の外周面とによって形成されている。
また、ラチェットギヤ35は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成され、軸断面略リング状で外周部にラチェットギヤ部35Aが形成され、その内側中央位置に円筒状の固定ボス82が立設されている。固定ボス82の内周面には、トーションバー66の他端側に形成されるスプライン66Bが圧入されるスプライン溝が形成されている。また、ラチェットギヤ部35Aの内周部は、巻取ドラム65の段差部76が嵌挿可能な内径に形成されている。
また、ラチェットギヤ35は、ラチェットギヤ部35Aの巻取ドラム65側の端面部から全周に渡って、該巻取ドラム65のフランジ部75の外径よりも半径方向外側へ正面視リング状に延出され、更に、所定中心角度(例えば、中心角度約60度である。)の外周部から半径方向外側へ正面視先端側が狭い略台形状に延出されたフランジ部83が形成されている。また、フランジ部83の外径は、巻取ドラム65のフランジ部68の外径とほぼ同じ大きさに形成されている。
また、このフランジ部83の半径方向外側へ延出された正面視先端側が狭い略台形状の台形状部83Aの巻取ドラム65側の内側面には、台形状部83Aから回転軸方向外側に突出して、ワイヤ67の正面視略逆U字状の屈曲部67Bが嵌め込まれる正面視略山形の凸部84が略中央部に形成されている。
また、フランジ部83の巻取ドラム65側の内側面には、巻取ドラム65のフランジ部75の外径よりも少し大きい内径で立設されると共に、台形状部83Aの外周部に沿って立設された正面視略卵形のフランジ部85が形成されている。また、このフランジ部85の内周部と凸部84の外周部とによって、ワイヤ67が摺動案内されて引き出される正面視略逆U字状の変形付与屈曲路が形成されている。
従って、先ず、ワイヤ67の一端側の略S字状に屈曲されている屈曲部67Aを巻取ドラム65のフランジ部75と段差部76に形成された保持側屈曲路77内に嵌入する。また、ワイヤ67の屈曲部67Aに連続して形成される正面視略逆U字状の屈曲部67Bを、フランジ部75の外周よりも外側に突出させる。また、ワイヤ67の屈曲部67Bに連続して形成される円弧状の屈曲部67Cを、段差部76の外周面に沿って配置する。
続いて、ラチェットギヤ35の巻取ドラム65への取り付けは、先ず、巻取ドラム65のフランジ部75の外周よりも外側に突出しているワイヤ67の正面視略逆U字状の屈曲部67Bを、ラチェットギヤ35のフランジ部83の台形状部83Aに設けられた凸部84の外周部に形成された変形付与屈曲路内に嵌入する。
また、同時に、ラチェットギヤ35の固定ボス82を巻取ドラム65の段差部76内に挿入して、トーションバー66の他端側に形成されたスプライン66Bを当該固定ボス82のスプライン溝に圧入する。これにより、巻取ドラム65のフランジ部75とラチェットギヤ35のフランジ部83との間に、ワイヤ67が配置されると共に、ラチェットギヤ35がトーションバー66を介して巻取ドラム65に対して相対回転不能に装着される。
[プリテンショナユニットの概略構成]
次に、プリテンショナユニット7の概略構成について図2、図3、図5及び図7に基づいて説明する。図7はプリテンショナユニット7の分解斜視図である。
プリテンショナユニット7は、車両衝突時等の緊急時に巻取ドラム65をウエビング巻取方向に回転させて、ウエビング3の弛みを除去し、乗員を座席にしっかりと拘束するように構成されている。
図2、図3、図5及び図7に示すように、プリテンショナユニット7は、ガス発生部材87と、パイプシリンダ88と、ピストン89と、ピニオンギヤ71と、クラッチ機構91と、ベアリング73を備えている。
ガス発生部材87は、火薬等のガス発生剤を含んでおり、図示省略の制御部からの着火信号によりガス発生剤を着火させて当該ガス発生剤の燃焼でガスを発生させるように構成されている。
また、パイプシリンダ88は、直線状のピストン案内筒部88Aの一端部にガス導入部88Bが連接されたL字状の筒部材に形成されている。このガス導入部88Bにはガス発生部材87が収納される。従って、ガス発生部材87により発生したガスは、ガス導入部88Bからピストン案内筒部88A内に導入される。また、ピストン案内筒部88Aの一側部における長手方向中間部には、開口部92が形成され、ピニオンギヤ71のピニオンギヤ歯71Aの一部が配設される。
このパイプシリンダ88は、ハウジング11の側壁部13側のベースプレート93と、外側のカバープレート95とによって挟持されると共に、これらの間でベースブロック96とカバープレート95とによって挟持された状態で、各ネジ15によって側壁部13の外面に取り付け固定される。
また、ピストン案内筒部88Aの上端部には、プリテンショナユニット7を側壁部13に取り付けると共に、ピストン89の抜け止め及びパイプシリンダ88の抜け止め、回転止めとして機能するストッパーピン16を挿通可能な一対の貫通孔88Cが相対向して形成されている。
ピストン89は、スチール材等の金属部材で形成されて、ピストン案内筒部88Aの上端側から挿入可能な断面略長方形で、全体として長尺状の形状を有している。また、ピストン89のピニオンギヤ71側の側面には、ピニオンギヤ歯71Aに噛合するラック89Aが形成されている。また、ピストン89のガス発生部材87側の端面は、ピストン案内筒部88Aの断面形状に応じた円形端面89Bに形成されている。この円形端面89Bには、ゴム材等によって形成されたシールプレート97が取り付けられている。
このピストン89は、その長手方向に沿って長い断面矩形状の貫通孔89Cが形成され、両側面部が連通されている。また、シールプレート97のガスを受圧する受圧側面から貫通孔89Cに連通するガス抜き孔が、ピストン89とシールプレート97に形成されている。このピストン89は、プリテンショナユニット7が動作する前、つまり、ガス発生部材87によりガスが発生しない通常時の待機状態の場合には、ラック89Aがピニオンギヤ歯71Aと非噛合状態となる位置まで、ピストン案内筒部88Aの奥側に挿入配置される。
ピニオンギヤ71は、スチール材等で形成された円柱状部材であり、その外周部にはラック89Aに噛合可能なピニオンギヤ歯71Aが形成されている。また、ピニオンギヤ歯71Aよりカバープレート95側へ延出された円柱状の支持部71Bが形成されている。この支持部71Bが側壁部13に取り付けられるカバープレート95に形成された支持孔98に回転可能に嵌入される。
そして、支持部71Bが支持孔98に回転可能に嵌入された状態では、ピニオンギヤ歯71Aの一部が、ピストン案内筒部88Aの開口部92内に配設されている。そして、ピストン89が通常時の待機状態よりピストン案内筒部88Aの先端側に移動すると、ラック89Aがピニオンギヤ歯71Aに噛合して、ピニオンギヤ71がウエビング巻取方向へ回転する。
また、このピニオンギヤ71の回転は、クラッチ機構91を介して巻取ドラム65に伝達される。即ち、ピニオンギヤ71の軸心方向の側壁部13側の端部には、軸心方向に沿って突出する円筒状のボス部71Dが形成されている。このボス部71Dの外周面には、基端部の外径を有する6個の突起から構成されたスプラインが形成されている。このボス部71Dはベースプレート93に形成された貫通孔99に回転可能に嵌入されて、巻取ドラム65側に突出配置される。
また、クラッチ機構91は、通常時においてピニオンギヤ71に対して巻取ドラム65を自由回転させる状態(クラッチパウル102が収納された状態)から、プリテンショナユニット7の作動時において、ピニオンギヤ71の回転を巻取ドラム65に伝達する状態(クラッチパウル102が突出した状態)へ切り替え可能に構成されている。
クラッチ機構91は、スチール材等で形成されたパウルベース101と、スチール材等で形成された4個のクラッチパウル102と、ポリアセタール等の合成樹脂で形成されて、パウルベース101のベースプレート93側に当接される略円環状のパウルガイド103と、ポリアセタール等の合成樹脂で形成されて、パウルベース101の巻取ドラム65側に当接されて、パウルガイド103と共に当該パウルベース101及び各クラッチパウル102を挟持する略円環状のベアリング73とから構成されている。
パウルベース101の中央部には、ピニオンギヤ71のボス部71Dが嵌め込まれるように6個のスプライン溝が形成された嵌合孔104が設けられている。そして、ピニオンギヤ71のボス部71Dが、ベースプレート93及びパウルガイド103を挟んで、パウルベース101の嵌合孔104に圧入されることによって、パウルベース101がピニオンギヤ71に対して相対回転不能に取り付けられる。つまり、パウルベース101とピニオンギヤ71とは一体回転するように構成されている。
また、ベアリング73は、外周部からパウルガイド103側へ突出した複数の弾性係止片73Aによって、パウルガイド103の外周部に係止されるように構成されている。また、ベアリング73の中央部には、巻取ドラム65のボス72の外径にほぼ等しい内径の貫通孔73Bが形成されている。更に、この貫通孔73Bと同一内径で、且つ、ピニオンギヤ71のボス部71Dの内径にほぼ等しい外径の円筒状の軸受部73Cが、貫通孔73Bのパウルベース101側の周縁部から連続して突出するように立設されている。
そして、ピニオンギヤ71のボス部71Dが、パウルベース101の嵌合孔104に圧入された場合には、ベアリング73の中央部に立設された円筒状の軸受部73Cが、ボス部71Dに嵌め込まれる。また、ベアリング73には、巻取ドラム65のプリテンショナユニット7側の端面部中央位置に立設されたボス72が回転可能に嵌入される。このパウルベース101には、各クラッチパウル102が収容姿勢で支持されている。収容姿勢は、各クラッチパウル102の全体をパウルベース101の外周縁部内に収めた姿勢である。
パウルガイド103は、略円環状の部材であり、パウルベース101及び各クラッチパウル102に対向する位置に配設されている。このパウルガイド103のベースプレート93側の側面には4個の位置決突起(不図示)が突設されており、各位置決突起がベースプレート93の各位置決め孔93Aに嵌入されて、待機状態において、パウルガイド103がベースプレート93に回転不能な状態で取付固定される。
また、パウルガイド103のパウルベース101側の面には、各クラッチパウル102に対応して各姿勢変更用突起部103Aが突設されている。そして、プリテンショナユニット7の作動によってパウルベース101とパウルガイド103とが相対回転すると、各クラッチパウル102が姿勢変更用突起部103Aにそれぞれ当接して、収容姿勢から係止姿勢に姿勢変更されるようになっている。係止姿勢は、クラッチパウル102の先端部をパウルベース101の外周縁部外方へ突出させた姿勢である。
また、各クラッチパウル102が係止姿勢に姿勢変更すると、巻取ドラム65に係合する。具体的には、クラッチ機構91は、ベアリング73を介して巻取ドラム65のボス72が嵌入されることで、巻取ドラム65を回転可能に支持しており、各クラッチパウル102がパウルベース101の外周縁部外方へ突出した場合には、フランジ部68の内周面に形成された内歯ギヤ69に係合可能とされている。
そして、各クラッチパウル102が係止姿勢に姿勢変更すると、各クラッチパウル102の先端部が内歯ギヤ69に係合し、これにより、パウルベース101が巻取ドラム65を回転させるようになる。尚、クラッチパウル102と内歯ギヤ69との係合は、巻取ドラム65をウエビング3の巻取方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
また、一度係合すると各クラッチパウル102が互いに変形を伴って内歯ギヤ69に噛み込むので、係合後、巻取ドラム65がウエビング引出方向へ回転すると、ピニオンギヤ71を、プリテンショナユニット7が作動する際とは逆の方向に、クラッチ機構91を介して回転させて、ピストン89を作動方向とは逆方向に押し戻す。そして、ピストン89のラック89Aと、ピニオンギヤ71のピニオンギヤ歯71Aとの噛み合いが外れる位置までピストン89が押し戻されると、ピニオンギヤ71はピストン89から外れるので、巻取ドラム65はピストン89に対して自由回転できるようになる。
[巻取バネユニットの概略構成]
次に、巻取バネユニット8の概略構成について図2、図3、図5、図8及び図9に基づいて説明する。図8及び図9は、ラチェットギヤ35を含む巻取バネユニット8及びロックユニット9の分解斜視図である。
図2、図3、図5、図8及び図9に示すように、巻取バネユニット8は、渦巻バネ105と、この渦巻バネ105の外側端105Aが内側周縁部の底面から立設されたリブ106に固定されると共に、この渦巻バネ105を収容するバネケース107と、渦巻バネ105の内側端105Bが連結されてバネ力が付勢されるバネシャフト108とから構成されている。また、バネケース107は、ロックユニット9を構成するメカニズムカバー111側の端縁部に、ほぼ全周に渡って所定深さ(例えば、深さ約2.5mmである。)の溝部107Aが形成されている。
そして、メカニズムカバー111の外周部の3箇所から背面側に突設された各弾性係止片112を、バネケース107の外周部の3箇所に設けられた各係止フック8Aに嵌入して弾性的に係止することによって、巻取バネユニット8がロックユニット9の背面側に当接された状態で固定される。また、メカニズムカバー111の背面側周縁部に沿って所定高さ(例えば、高さ約2mmである。)で立設された略リング状のリブ部111Aが、バネケース107の溝部107Aに嵌入されて、バネケース107内への粉塵や埃等の侵入が防止される。
また、バネシャフト108は、バネケース107の底面部の略中心位置に立設されたピン109が、底面部の貫通孔108Aに挿入されて、底面部側がピン109の周縁部に回転可能に当接されている。また、バネシャフト108のロックユニット9側の端部は、メカニズムカバー111の略中央部に形成された貫通孔113の背面側周縁部に回転可能に当接されている。
[ロックユニットの概略構成]
次に、ウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10を構成するロックユニット9の概略構成について図5、図8乃至図16に基づいて説明する。
図10はロックユニット9のロックアーム122を含む組立断面図である。図11はロックユニット9のメカニズムカバー111の底面部等の一部を切り欠いた一部切り欠き断面図である。図12はロックユニット9のクラッチ125及び捩りコイルバネ48のメカニズムカバーへの組み付け状態を示す内側斜視図である。図13はクラッチ125の外側斜視図である。図14はクラッチ125の内側斜視図である。図15はクラッチ125を斜め下から見た斜視図である。図16はクラッチ125に捩りコイルバネ48を取り付けた状態を示す斜視図である。
図5、図8乃至図11に示すように、ロックユニット9は、メカニズムカバー111、ロッキングギヤ121、ロックアーム122、センサスプリング123、クラッチ125、捩りコイルバネ48、及びパイロットレバー126で構成されている。尚、第1実施形態においては、ロックユニット9を構成する各部材のうち、センサスプリング123及び捩りコイルバネ48を除いた部材は、合成樹脂で成形されており、互いに接触した場合の部材間の摩擦係数は小さなものである。
メカニズムカバー111は、ハウジング11の側壁部12側が開口された略円形の底面部118を有する略箱体状のメカニズム収容部127が形成され、ロッキングギヤ121やクラッチ125等を収容するように構成されている。また、メカニズムカバー111は、ハウジング11にセンサカバー27を介して取り付けられた車両加速度センサ28に対向する角部(図9中、左下角部である。)に、断面略四角形の凹形状に形成されたセンサ収容部128が、メカニズム収容部127に連続するように設けられている。
そして、メカニズムカバー111を各ナイラッチ9Aによって側壁部12に取り付けた際には、車両加速度センサ28のセンサーホルダ51がセンサ収容部128に嵌入されて、センサレバー53が鉛直方向上下(図9中、上下方向である。)に揺動可能に収納されるように構成されている。また、メカニズムカバー111のメカニズム収容部127の下端部略中央部(図9中、下端部略中央部である。)には、当該メカニズム収容部127とセンサ収容部128とが連通するように開設された開口部129が形成されている。
この開口部129は、車両加速度センサ28のセンサレバー53の先端縁部から上方向(図9中、上方向である。)に向けて突設されたロック爪53Aの先端部が鉛直方向上下(図9中、上下方向である。)に進退可能に形成され、通常時には、ロック爪53Aの先端部は、パイロットレバー126の受け板部162の近傍に位置している(図11参照)。そして、所定値を超える加速度によって慣性質量体52が移動してセンサレバー53が鉛直方向上側へ回動された場合には、ロック爪53Aは開口部129を介してパイロットレバー126の受け板部162に当接して、パイロットレバー126を鉛直方向上側へ回動させるように構成されている(図22参照)。
また、図9及び図12に示すように、メカニズムカバー111は、ハウジング11に取り付けられたパウル23に対向する角部(図9中、右下角部である。)に、捩りコイルバネ48の弾性連結部48C内に挿通されて、当該弾性連結部48Cの大きな位置ずれを規制する挿入ピン119が立設されている。この挿入ピン119の高さは、メカニズムカバー111を各ナイラッチ9Aによって側壁部12に取り付けた際に、側壁部12と所定隙間(例えば、隙間約0.5mmである。)を形成するように構成されている。
また、メカニズムカバー111の挿入ピン119よりも角部側には、移動規制リブ120が捩りコイルバネ48の第2腕部48Bに対向するように上下方向(図9中、上下方向である。)に沿って立設されている。この移動規制リブ120の高さは、メカニズムカバー111を各ナイラッチ9Aによって側壁部12に取り付けた際に、側壁部12と捩りコイルバネ48の線径よりも少し大きい隙間(例えば、線径よりも約0.5mm大きい隙間である。)を形成するように構成されている。つまり、第2腕部48Bの巻取ドラム65の回転軸方向への移動を規制部としての移動規制リブ120により規制することで、確実に当該第2腕部48Bの先端部を取付孔46に保持できる。
また、図5、図8乃至図12に示すように、メカニズム収容部127の略円形の底面部118には、中央部に形成された貫通孔113の周縁部から円筒状の支持ボス131が立設されている。また、この支持ボス131には、ロッキングギヤ121の円板状の底面部132の中央部に、メカニズムカバー111に対向する背面側から突出する円筒状の回転軸部133が嵌入され、摺動回転可能に支持される。
ロッキングギヤ121は、円板状の底面部132の全周からクラッチ125側へ円環状に立設されて、外周部にパイロットレバー126に係合するロッキングギヤ歯121Aが形成されている。このロッキングギヤ歯121Aは、ロッキングギヤ121がウエビング引出方向へ回転した時のみ、パイロットレバー126の係合爪部126Aと係合するように形成されている。
また、図5、図8、図9及び図11に示すように、ロッキングギヤ121の底面部132の中央部には、ラチェットギヤ35のロッキングギヤ121側端面の中央部に立設された軸部116が嵌入される貫通孔が形成されている。また、円筒状の基台部134が、この貫通孔のメカニズムカバー111側の周縁部からロッキングギヤ歯121Aの軸方向高さとほぼ同じ高さに立設されている。そして、ロッキングギヤ121の円筒状の回転軸部133は、この円筒状の基台部134のメカニズムカバー111側端縁部から、この基台部134よりも小さいと共に、支持ボス131の内径にほぼ等しい外径でメカニズムカバー111側へ同軸に延設されている。また、回転軸部133のメカニズムカバー111側端縁部は閉塞されて、断面矩形状の先端部133Aが同軸に延設されている。
従って、基台部134及び回転軸部133の内部には、ロッキングギヤ121のラチェットギヤ35側端面に開口して、ラチェットギヤ35のメカニズムカバー111側端面の中央部に立設された軸部116が嵌入される断面円形状の軸孔部134Aが形成されている。また、軸孔部134Aの内周面には、複数のリブ134Bが、軸方向に沿って半径方向に同じ高さで立設され、ラチェットギヤ35の軸部116の外周面に当接するように設けられている。また、軸部116は、全長のうちの基端部側の約半分の部分が円錐台に形成されると共に、先端側の約半分の部分が円錐台に連続する円柱状に形成されている。
また、回転軸部133の基端部の周囲には、円環状のリブ135が、クラッチ125の略円板状の板部151の厚さ寸法にほぼ等しい高さで同軸に立設されて、挿入溝が形成されている。この円環状のリブ135の内側周壁部は、支持ボス131の先端部の傾斜角以上の角度(例えば、約45°の傾斜角である。)で半径方向外側へ傾斜している。また、円環状のリブ135の内側に形成された挿入溝の底面部の外径は、支持ボス131の先端部の外径とほぼ同じ径に形成されている。
更に、円環状のリブ135の外径は、クラッチ125の板部151の中央部に形成された貫通孔152の内径とほぼ同じ径に形成されると共に、基台部134の外径よりも小さい径に形成されている。また、クラッチ125の貫通孔152のロッキングギヤ121側の端縁部には、全周に渡って円環状のリブ152Aが所定高さ(例えば、高さ約0.5mmである。)で立設されている。
これにより、ロッキングギヤ121の円環状のリブ135をクラッチ125の貫通孔152に嵌入して、円環状のリブ152Aをリブ135の外周側基端部に当接させる。その後、回転軸部133をメカニズムカバー111の支持ボス131に挿通して、円環状のリブ135の半径方向内側に形成された挿入溝の底面部に支持ボス131の先端部を当接させる。それによって、ロッキングギヤ121の背面側から突出する回転軸部133がほぼ全高さに渡って支持ボス131に対して同軸に取り付けられて軸支される。また、ロッキングギヤ121の円環状のリブ135は、貫通孔152に摺動回転可能に嵌入され、クラッチ125はロッキングギヤ121とメカニズムカバー111との間に一定の回転範囲内で回転可能に収容される。
また、図5、図8及び図9に示すように、ロッキングギヤ121のラチェットギヤ35側の端面には、4個の断面が円周方向に長い略長方形の筒状に突出した凸部136が、等中心角度で、回転軸121Bから半径方向外側へ所定距離(例えば、距離約14mmである。)離れた同心円上に位置するように立設されている。尚、1個の凸部136は、半径方向外側の周縁部が一部切り欠かれている。また、ロッキングギヤ121の底面部132には、円周方向に隣接する1組の凸部136の間のほぼ中央位置に、所定内径(例えば、内径約3.5mmである。)の位置決孔137が形成されている。
また、ラチェットギヤ35のロッキングギヤ121に対向する端面部には、ロッキングギヤ121の凸部136とほぼ同じ形状の円周方向に長い断面略長方形の4個の貫通孔138が、等中心角度で、回転軸121Bから半径方向外側へ所定距離(例えば、距離約14mmである。)離れた各凸部136に対向する位置に形成されている。
また、ラチェットギヤ35のロッキングギヤ121に対向する端面部には、円周方向に隣接する1組の貫通孔138の間で、位置決孔137に対向する位置に、位置決孔137の内径にほぼ等しい外径に形成された位置決めピン139が立設されている。また、ラチェットギヤ35の回転軸方向外側の端面に立設された軸部116の高さは、ロッキングギヤ121の軸孔部134Aの深さにほぼ等しくなるように形成されている。また、ロッキングギヤ121の軸孔部134Aの深さは、軸部116の先端が回転軸部133の先端部133Aの先端よりも、回転軸方向内側に位置するように形成されている。
従って、ラチェットギヤ35の軸部116をロッキングギヤ121の軸孔部134Aに嵌入すると共に、ラチェットギヤ35の位置決めピン139をロッキングギヤ121の位置決孔137に嵌入し、同時に、ロッキングギヤ121の各凸部136をラチェットギヤ35の各貫通孔138に嵌入する。これにより、ラチェットギヤ35の回転軸方向外側の端面に、ロッキングギヤ121が当接された状態で、ラチェットギヤ35にロッキングギヤ121が同軸に相対回転不能に取り付けられると共に、ラチェットギヤ35の軸部116がロッキングギヤ121の回転軸部133を介してメカニズムカバー111の支持ボス131内に位置して軸支される。
また、巻取ドラムユニット6のラチェットギヤ35が、ロッキングギヤ121の回転軸部133の先端部133Aを介して、巻取バネユニット8のバネシャフト108に同軸に相対回転不能に取り付けられる。従って、巻取ドラムユニット6は巻取バネユニット8を介して、ウエビング巻取方向へ常に回動付勢される。
また、図8乃至図11に示すように、ロッキングギヤ121の底面部132のクラッチ125側の面には、基台部134に隣接して円柱状の支持ボス141が、ロッキングギヤ歯121Aよりも低い高さで立設されている。そして、基台部134を囲むように略弓形に形成された合成樹脂製のロックアーム122は、長手方向略中央部の基台部134側の端縁部に形成された貫通孔142に、この支持ボス141が回転可能に嵌挿され、回動可能に軸支される。
また、ロッキングギヤ121の底面部132には、支持ボス141に対して半径方向外側の近傍位置に、断面逆L字形の弾性係止片143が、メカニズムカバー111側へ立設されている。この弾性係止片143は、ロックアーム122の貫通孔142の横側に形成された略扇形で段差部を有する窓部144に挿入され、基台部134の軸心回りに回動可能に弾性的に係止される。
また、図10及び図11に示すように、ロッキングギヤ121は、基台部134の外周面から半径方向外側へ延出されたリブ部に、センサスプリング123の一端側が嵌め込まれるバネ支持ピン145が、該基台部134の軸心に対して直交するウエビング引出方向へ立設されている。また、ロックアーム122のバネ支持ピン145に対向する側壁には、センサスプリング123の他端側が嵌め込まれるバネ支持ピン146が立設されている。
従って、図9乃至図11に示すように、各バネ支持ピン145、146にセンサスプリング123の両端を嵌め込むことによって、ロックアーム122は支持ボス141の軸心に対してウエビング引出方向側(図10中、反時計方向である)へ回動するように所定荷重で付勢される。そして、ロックアーム122は、クラッチ125のクラッチギヤ148に係合する係合爪149側の端縁部が、ロッキングギヤ121の基台部134から半径方向外側に突出するように形成されたストッパ154に当接されている。
一方、後述のようにロックアーム122がセンサスプリング123の付勢力に抗してウエビング巻取方向(図10中、時計方向である)へ回動されてクラッチギヤ148に係合した場合には、係合爪149の係合部とは反対側の端縁部が、ロッキングギヤ121の底面部132に立設された断面紡錘形の回り止め155と所定隙間(例えば、隙間約0.3mmである。)を形成するように構成されている(図16参照)。
また、図8乃至図15に示すように、クラッチ125はロッキングギヤ121とメカニズムカバー111とに挟まれた状態で、メカニズム収容部127に一定の回転範囲内で回転可能に収容される。このクラッチ125のロッキングギヤ121側には、貫通孔152に対して同軸に、ロッキングギヤ121のロッキングギヤ歯121Aが外周部に形成された円環状のリブの内周径よりも少し小さい外径を有する円環状のリブ部153が立設されている。
このリブ部153の内周面には、ロックアーム122の係合爪149が係合するクラッチギヤ148が形成されている。このクラッチギヤ148は、ロッキングギヤ121が、貫通孔152の軸心に対してウエビング引出方向への回転した時のみ、ロックアーム122の係合爪149と係合するように形成されている。
また、クラッチ125の略円板状の板部151の外周部には、リブ部153を囲むように円環状の外側リブ部157が立設されている。また、この外側リブ部157のラチェットギヤ35側の端縁部には、貫通孔152の中心軸に対して半径方向外側へ延出されると共に、ラチェットギヤ35側へ少し傾斜するように延出されたフランジ部158がほぼ全周に渡って形成されている。
また、外側リブ部157のパウル23に対向する角部(図8中、左下角部である。)には、外側リブ部157の外周面から鉛直方向下方(図8中、下方向である。)へ延出されたガイドブロック部159が設けられている。このガイドブロック部159には、パウル23の各係合歯23A、23Bを含む先端部の側面に立設された案内ピン42がラチェットギヤ35側から遊嵌される略細長状のガイド溝156が形成されている。このガイド溝156は、図8及び図13に示すように、メカニズムカバー111側の端面部が閉塞されている。
また、ガイド溝156は、図11に示すように、クラッチ125のパウル23に対向する角部に、ウエビング引出方向(図11中、上下方向である。)とほぼ平行な長溝状に形成されている。これにより、クラッチ125がウエビング引出方向(図11中、反時計方向である。)へ回動された場合には、案内ピン42がガイド溝156に沿って移動され、パウル23の各係合歯23A、23Bがラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aへ近づくように回動される(図16〜図18参照)。
また、図9乃至図11及び図13乃至図15に示すように、クラッチ125の外側リブ部157の下端縁部(図9中、下端縁部である。)には、ガイドブロック部159のラチェットギヤ35側端面部からセンサ収容部128の上方(図9中、上方向である。)に対向する部分まで、フランジ部158から半径方向外側へ略円弧状に延出された板状の延出部160が形成されている。また、延出部160のガイドブロック部159に対して反対側の端縁部の近傍位置には、パイロットレバー126の円筒状の軸部161に嵌挿される細い円柱状の取付ボス163が、外側リブ部157の高さとほぼ同じ高さでメカニズムカバー111側へ立設されている。
ここで、図8乃至図12に示すように、パイロットレバー126は、円筒状の軸部161と、板状の係合爪部126Aと、薄板状の受け板部162と、薄板状の連結板部164とから構成されている。軸部161の軸方向長さは、延出部160に立設された取付ボス163の高さとほぼ同じ寸法に形成されている。また、板状の係合爪部126Aは、ロッキングギヤ121側へ先端部が斜めに屈曲された回動軸方向視略L字形に形成されている。また、板状の係合爪部126Aは、パイロットレバー126が自重により回動して、鉛直方向下方への回転規制がされた場合に、ほぼ水平になるように、軸部161の外周面からガイド溝156側へ、該軸部161の長さよりも短い幅で、所定長さ突設されている。
また、薄板状の受け板部162は、係合爪部126Aに対向するように軸部161の外周面から接線方向ガイド溝156側へ突設され、先端部が係合爪部126Aの先端側とほぼ平行になるように斜めに曲げられている。また、薄板状の連結板部164は、係合爪部126Aと受け板部162の先端部を連結するように形成されている。
また、係合爪部126Aの基端部の近傍には、パイロットレバー126のロッキングギヤ121側方向への回転、つまり、鉛直方向上側への回転を規制する上方向回り止め部165が、軸部161の外周面から半径方向外側へ突設されている。また、上方向回り止め部165は、係合爪部126Aの幅とほぼ同じ幅寸法で、係合爪部126Aの基端部に対してほぼ直角になるように所定高さ(例えば、高さ約1.5mmである。)突設されている。
また、軸部161の受け板部162に対して接線方向反対側には、パイロットレバー126のセンサレバー53側方向への回転、つまり、鉛直方向下側への回転を規制する下方向回り止め部166が、軸部161の外周面から半径方向外側へ突設されている。また、この下方向回り止め部166は、軸部161のラチェットギヤ35に対して反対側の端面側から受け板部162の回転軸方向の幅よりも狭い回転軸方向の幅寸法で、受け板部162の基端部に対向するように所定高さ(例えば、高さ約1.5mmである。)突設されている。
また、図10乃至図15に示すように、延出部160の取付ボス163に対向する端縁部には、パイロットレバー支持ブロック171が外側リブ部157とほぼ同じ高さでメカニズムカバー111側へ突設されている。また、パイロットレバー支持ブロック171の取付ボス163に対向する内側面は、取付ボス163と同軸で、且つ、パイロットレバー126の軸部161の外周面の半径よりも少し大きい(例えば、約0.1mm大きい。)曲率半径の正面視略半円形状の滑らかな曲面に形成されている。
また、外側リブ部157のパイロットレバー126の係合爪部126Aに対向する位置には、鉛直方向上下に貫通する開口部172が、周方向所定幅で、板部151の端縁部よりも内側まで所定寸法切り欠かれて形成されている。この開口部172は、係合爪部126Aがセンサレバー53のロック爪53Aに押圧されて回動された場合に、開口部172内に進入してロッキングギヤ歯121Aに係合可能に形成されている。
そして、図10及び図11に示すように、パイロットレバー126が、自重により鉛直方向下側(図11中、下方向である。)へ回動した場合には、下方向回り止め部166がパイロットレバー支持ブロック171に当接して、鉛直方向下側(図11中、下方向である。)への回転角度が規制される。また、通常時には、パイロットレバー126の受け板部162とセンサレバー53のロック爪53Aとの間に隙間が形成されている。
また、センサレバー53が鉛直方向上側(図11中、上方向である。)へ回動されて、ロック爪53Aによってパイロットレバー126が鉛直方向上側へ回動された場合には、パイロットレバー126の係合爪部126Aが、ロッキングギヤ121に当接して、ロッキングギヤ歯121Aに係合する。また、パイロットレバー126の係合爪部126Aがロッキングギヤ歯121Aに係合された状態で、ロッキングギヤ121がウエビング引出方向(図11中、反時計方向である。)へ回転した場合には(図24参照)、係合爪部126Aには、取付ボス163側方向の荷重が加わる。
そして、係合爪部126Aに加わった荷重によって、係合爪部126Aのロッキングギヤ121側へ斜めに屈曲された先端部分が、軸部161側へ弾性変形して更に回動された場合には、該パイロットレバー126の上方向回り止め部165が、パイロットレバー支持ブロック171に当接される。また、係合爪部126Aに加わった荷重によって、取付ボス163が撓んだ場合には、軸部161の外周面が、パイロットレバー支持ブロック171の内側面に当接する。これにより、係合爪部126Aに加わった当該押圧荷重を、上方向回り止め部165及び軸部161を介してパイロットレバー支持ブロック171で支持することができる。
また、図10乃至図15に示すように、延出部160のガイドブロック部159側の端縁部には、バネ取付ピン173が、ガイドブロック部159と所定隙間(例えば、隙間約4mmである。)を形成して、延出部160の幅方向(図11中、上下方向である。)略中央部に、外側リブ部157の高さよりも少し低い高さで立設されている。
また、バネ取付ピン173の外側リブ部157に対して反対側(図11中、下側である。)には、細長板状の規制片174が、ガイドブロック部159の先端部(図11中、下端部である。)から取付ボス163側へ、延出部160の厚さ方向上端面に対して略平行に延出されている。この規制片174は、バネ取付ピン173と所定隙間(例えば、隙間約1.0mmである。)を形成して、バネ取付ピン173よりも取付ボス163側へ所定長さ(例えば、長さ約4mmである。)延出されている。規制片174は、延出部160の厚さ方向外側へ弾性変形可能に形成されている。
また、規制片174は、バネ取付ピン173に先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48の第1腕部48Aと所定隙間(例えば、隙間約0.5mmである。)を形成するように延出されている。そして、この規制片174の取付ボス163側の先端部には、延出部160側へ突出する断面略三角形の突起部174Aが設けられている。この突起部174Aは、バネ取付ピン173とバネ取付ピン173に先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48の第1腕部48Aとの隙間よりも延出部160側へ突出している。また、延出部160の規制片174に対向する部分には、規制片174の投影面よりも少し大きい略細長四角形の貫通孔175が形成されている。
従って、図15に示すように、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aは、先端に設けられたバネ取付ピン173の直径よりも大きい直径で略円形に一巻きされた取付部48Dにバネ取付ピン173を挿通させる。その後、第1腕部48Aを、規制片174の突起部174A側からガイドブロック部159側へ押し込み、当該第1腕部48Aを規制片174と延出部160との隙間に位置させる。これにより、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aが、クラッチ125におけるクラッチ側取付部としてのバネ取付ピン173に、確実に保持されるように、容易に取り付けることができる。
また、図10及び図11に示すように、クラッチ125のバネ取付ピン173に捩りコイルバネ48の第1腕部48Aの先端に形成された取付部48Dを取り付けた状態で、捩りコイルバネ48の第2腕部48Bの略U字形に折り曲げられた先端部を、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの相対的な角度を少し広げながら、ハウジング11の側壁部12に形成された取付孔46の挿入する。
これにより、クラッチ125は、ガイド溝156に遊嵌されたパウル23の案内ピン42が、クラッチ125の回転半径方向で最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図11中、ガイド溝156の下側端縁部である。)に当接する状態の回転姿勢になるように、捩りコイルバネ48によって回動付勢され、ウエビング引出方向とは反対方向に回転付勢される。
つまり、捩りコイルバネ48は、クラッチ125がウエビング引出方向(図11中、反時計方向である。)へ回動した際に、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの相対的な角度が広げられるのに伴って発生する、弾性連結部48Cによるウエビング巻取方向への回動付勢力によって、クラッチ125を図11に示す通常時の基準回転姿勢になるようにウエビング巻取方向(図11中、時計方向である。)へ回動付勢する付勢部材である。また、捩りコイルバネ48は、クラッチ125のガイド溝156を介してパウル23をラチェットギヤ35から離反する方向へ誘導する。従って、側壁部12に形成された取付孔46と、捩りコイルバネ48と、クラッチ125のバネ取付ピン173とによって、クラッチ付勢機構176が構成される。
尚、ここでは、クラッチ125が通常時の基準回転姿勢にあるときにおいても、捩りコイルバネ48が取り付け前よりも、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの相対的な角度が少し広げられて取り付けられているので、クラッチ125がウエビング巻取方向へ回動付勢されて、ガタツキ無く確実に基準回転姿勢を維持するようにされている。
また、パウル23は、通常時には、ガイド溝156において、クラッチ125の半径方向で最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図11中、ガイド溝156の下側端縁部である。)に、パウル23の案内ピン42が当接して回動を規制されるため、側壁部12に形成された切欠部38の奥側近傍に位置するように保持されている。
また、図8乃至図15に示すように、クラッチ125のフランジ部158には、ガイドブロック部159の貫通孔152に対してほぼ反対側に、貫通孔152の中心軸に対して所定中心角度(例えば、中心角度約60度である。)で外側リブ部157まで切り欠かれた切欠部178が形成されている。また、切欠部178の貫通孔152の中心軸に対して周方向のパイロット支持ブロック171側の端部には、リブ状の弾性リブ181が、周方向他方の端部の近くまで、片持ち状に延出されている。この弾性リブ181は、フランジ部158の幅よりも狭い幅で、貫通孔152の中心軸に対して同心の円弧状に延出されている。
また、この弾性リブ181の先端部には、フランジ部158の外径よりも半径方向外側へ所定高さ(例えば、高さ約1.2mmである。)突出する断面略U字状に形成されたクラッチ側突起部181Aが設けられている。更に、リブ状の弾性リブ181は、周方向先端部に形成されたクラッチ側突起部181Aが半径方向内側へ押圧された場合には、クラッチ側突起部181Aがフランジ部158の外径よりも半径方向内側へ移動できるように弾性変形可能に形成されている。
また、図9乃至図12に示すように、メカニズムカバー111のメカニズム収容部127のクラッチ125のフランジ部158に対向する内壁部は、貫通孔113の中心軸113Aに対して同心状に形成され、フランジ部158と所定隙間(例えば、約1.5mmの隙間である。)を形成して対向している。
また、メカニズム収容部127の内壁部には、クラッチ125の弾性リブ181に対向する部分に、後述のようにクラッチ125がウエビング引出方向へ回動されて、パウル23がラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに係合する場合に、クラッチ側突起部181Aが乗り越えられる位置に、リブ状の固定側突起部182が中心軸113A方向に沿って立設されている(図18参照)。この固定側突起部182は、メカニズム収容部127の内壁部から半径方向内側へ所定高さ(例えば、高さ約1.2mmである。)突出する断面略三角形状に形成されている。
尚、クラッチ125の切欠部178は、ガイドブロック部159の貫通孔152に対してほぼ反対側のフランジ部158の部分に限らず、延出部160の貫通孔152に対してほぼ反対側のフランジ部158の部分や、パイロットレバー支持ブロック171の貫通孔152に対してほぼ反対側のフランジ部158の部分等に設けて、弾性リブ181を形成するようにしてもよい。
また、メカニズム収容部127の内壁部に形成される固定側突起部182は、各々の弾性リブ181に対向する内壁部の部分に、パウル23がラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに係合する場合に、クラッチ側突起部181Aが乗り越えられる位置に設けるようにしてもよい。
[ロック機構の動作]
次に、ロック機構10の動作について図11、図16乃至図27に基づいて説明する。各図においてウエビング3の引き出し方向は矢印185方向であり、ウエビング3の引き込み方向は矢印186方向である。また、各図において、反時計方向の回転方向がウエビング3が引き出される時の巻取ドラムユニット6の回転方向(ウエビング引出方向)である。また、ロック機構10の動作の説明上、必要に応じて図面の一部を切り欠いて表示している。
ここで、ロック機構10は、ウエビング3の急な引き出しに対して作動する「ウエビング感応式ロック機構」と、車両の揺れや傾きなどに起因して生ずる加速度に感応して作動する「車体感応式ロック機構」との2種類のロック機構として動作する。また、「ウエビング感応式ロック機構」および「車体感応式ロック機構」では、共にパウル23の動作は共通である。このため、図11、図16乃至図27において、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分については、その一部を切り欠いた状態として表示している。
[ウエビング感応式ロック機構の動作説明]
先に、「ウエビング感応式ロック機構」の動作について図11、図16乃至図21に基づいて説明する。図16乃至図21は、「ウエビング感応式ロック機構」の動作を説明する説明図である。「ウエビング感応式ロック機構」では、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分に加えて、ロックアーム122とクラッチギヤ148との関係を示す部分、及びセンサスプリング123の動きを示す部分を切り欠いて示している。
[ロック動作]
先ず、「ウエビング感応式ロック機構」のロック動作について図11、図16乃至図18に基づいて説明する。図11及び図16に示すように、ロックアーム122は、ロッキングギヤ121の支持ボス141によって回動自在に支持されているため、ウエビング3の引出加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。尚、1G≒9.8m/s2とする。)を超えた場合には、ロッキングギヤ121のウエビング引出方向(矢印187方向である。)への回転に対してロックアーム122に慣性遅れが生じる。
このため、ストッパ154に当接していたロックアーム122は、センサスプリング123の付勢力に抗して初期位置を維持するため、当該ロッキングギヤ121に対して支持ボス141を中心に時計方向(矢印188方向である。)に回動され、回り止め155の近傍まで回動される。そのため、ロックアーム122の係合爪149は、ロッキングギヤ121の回転軸に対して半径方向外側へ回動されて、クラッチ125のクラッチギヤ148に係合する。
そして、図16及び図17に示すように、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて継続された場合には、ロッキングギヤ121が更にウエビング引出方向(矢印187方向である。)へ回転されるため、ロックアーム122の係合爪149は、クラッチギヤ148に係合した状態で、ウエビング引出方向(矢印187方向である。)へ回動される。
従って、ロックアーム122によってクラッチギヤ148がウエビング引出方向(矢印191方向である。)へ回動される。このため、クラッチ125は、バネ取付ピン173に第1腕部48Aの先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48によるウエビング巻取方向(矢印191に対して反対方向である。)への回動付勢力に抗して、ロッキングギヤ121のリブ135の軸心回り、つまり、回転軸部133の軸心回りにウエビング引出方向(矢印191方向である。)へ回動される。つまり、クラッチ125は、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの相対的な角度の広がりに伴って発生する弾性連結部48Cによるウエビング巻取方向への回動付勢力に抗して、回転軸部133の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。
これにより、クラッチ125のウエビング引出方向(矢印191方向である。)への回動に伴って、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ125のガイド溝156によって案内されるため、当該パウル23はラチェットギヤ35側へ回動される(矢印192方向である。)。また、クラッチ125のガイド溝156に対して直径方向ほぼ反対側のフランジ部158に、半径方向内側へ弾性変形可能に設けられた弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aも、当該クラッチ125の回動に伴って、メカニズムカバー111のメカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182側へ回動される。
そして、図18に示すように、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて更に継続された場合には、クラッチ125は、捩りコイルバネ48によるウエビング巻取方向(矢印191に対して反対方向である。)への回動付勢力に抗して、ウエビング引出方向(矢印191方向である。)へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ125のガイド溝156によって更に案内されて、当該パウル23はラチェットギヤ35に係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
また、クラッチ125の弾性リブ181は、クラッチ側突起部181Aがメカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182側へ更に回動されるため、当該固定側突起部182に当接して押圧されて、半径方向内側へ弾性変形され、スムーズに固定側突起部182を乗り越える。そして、クラッチ125は、パウル23の各係合歯23A、23Bが、ラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに当接して、パウル23の回動が停止されるため、弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが固定側突起部182を乗り越えた位置で、ウエビング引出方向(矢印191方向である。)への回動が停止される。
また、クラッチ125の外周部から半径方向外側へ突出するように設けられた弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが、半径方向内側へ弾性変形して、メカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182を乗り越えて、固定側突起部182のウエビング引き出し方向側の側面に当接、または、近接して位置している。
[ロック解除動作]
続いて、「ウエビング感応式ロック機構」のロック解除動作について図19乃至図21に基づいて説明する。図19に示すように、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされた後、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められて、ウエビング3が僅かに巻き込まれた場合には(例えば、矢印186方向に5mm程度である。)、巻取バネユニット8の付勢力によって、巻取ドラムユニット6がウエビング巻取方向(矢印193方向である。)へ僅かに回転される。
これにより、ロッキングギヤ121は、各凸部136によってラチェットギヤ35に対して相対回転不能に結合されているため、ラチェットギヤ35と一体となってウエビング巻取方向(矢印195方向である。)へ僅かに回転される。一方、クラッチ125は、弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが固定側突起部182を乗り越えた状態で、当接するため、ウエビング巻取方向(矢印195方向である。)への回転が、ロッキングギヤ121の回転に対して相対的に遅れる。
従って、図19に示すように、クラッチ125の回転軸に対して半径方向外側の外周部に片持ち梁状に一体形成された弾性リブ181の先端部から半径方向外側へ突出するように設けられたクラッチ側突起部181Aと、ハウジング11の側壁部12に対して固定されたメカニズムカバー111のメカニズム収容部127の内周壁に半径方向内側へ立設されて、クラッチ125のウエビング引出方向への回転時にクラッチ側突起部181Aと当接可能に突出する固定側突起部182とによって、クラッチ125のウエビング巻取方向への回転を、ロッキングギヤ121の回転に対して相対的に遅らせる回転差付与機構183を構成することができる。
そのため、ロッキングギヤ121がクラッチ125のウエビング巻取方向への回転に対して相対的に先行してウエビング巻取方向へ回転し、ロックアーム122の係合爪149の係合側角部とクラッチギヤ148との間に、ロックアーム122がクラッチギヤ148との係合を解除する回動方向へ回転可能な隙間が生じる。また、ラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとパウル23の各係合歯23A、23Bとの間にも、パウル23がラチェットギヤ35との係合を解除する回動方向へ回転可能な隙間が生じる。
そして、図20に示すように、ロックアーム122は、クラッチギヤ148との係合を解除する方向へ回動可能となるため、センサスプリング123の付勢力によって、支持ボス141を中心に反時計方向(矢印196方向である。)へ回動される。そして、ロックアーム122は、クラッチギヤ148との係合が解除されると共に、ストッパ154に当接した初期位置の状態に戻る。
続いて、図20及び図21に示すように、クラッチ125は、クラッチギヤ148とロックアーム122との係合が解除されて、バネ取付ピン173に第1腕部48Aの先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48によってウエビング巻取方向(矢印198方向である。)へ回動され、通常状態の基準回転姿勢に戻る(図11参照)。また、同時に、パウル23は、クラッチ125のウエビング巻取方向への回転に伴って、パウル23の案内ピン42がガイド溝156をロック作動時とは逆方向に移動して、ラチェットギヤ35から離反する方向(矢印197方向である。)へ回動し、パウル23とラチェットギヤ35との係合が解除される。
これにより、クラッチ125の弾性リブ181は、先端部に形成されたクラッチ側突起部181Aが、メカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182に当接して押圧され、半径方向内側へ弾性変形して、この固定側突起部182をスムーズに乗り越える。その後、クラッチ125は、捩りコイルバネ48の回動付勢力による回動に伴って、ウエビング巻取方向(矢印198方向である。)へ回動されて、パウル23の案内ピン42がガイド溝156の最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図21中、ガイド溝156の下側端縁部である。)に当接した通常状態に戻る。
また、パウル23の各係合歯23A、23Bとラチェットギヤ35との係合が解除されて、当該パウル23がラチェットギヤ35から離間するため、パウル23による巻取ドラムユニット6のロック状態が解除され、ウエビング3の引き出しが可能になる。従って、ウエビング3の僅かな巻き取り量で、巻取ドラムユニット6の回転のロックを解除することができる。
[車体感応式ロック機構の動作説明]
次に、「車体感応式ロック機構」の動作について図11、図22乃至図27に基づいて説明する。図22乃至図27は、「車体感応式ロック機構」の動作を説明する説明図である。「車体感応式ロック機構」では、パウル23とラチェットギヤ35との関係を示す部分に加えて、パイロットレバー126とロッキングギヤ121との関係を示す部分、及び車両加速度センサ28のセンサーホルダ51及びセンサレバー53の部分を切り欠いて示している。
[ロック動作]
先ず、「車体感応式ロック機構」のロック動作について図11、図22乃至図24に基づいて説明する。図11及び図22に示すように、車両加速度センサ28の球状体の慣性質量体52は、センサーホルダ51のすり鉢状の底面部に載置されているため、車体の揺れや傾きなどによる加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。)を超えた場合には、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させる。
このため、センサレバー53のロック爪53Aが、クラッチ125の延出部160に立設された取付ボス163に回転自在に取り付けられているパイロットレバー126の受け板部162に当接して、当該パイロットレバー126を鉛直方向上側へ回動させる。従って、パイロットレバー126は取付ボス163の軸心回りに時計方向(矢印201方向である。)に回動され、当該パイロットレバー126の係合爪部126Aは、クラッチ125の開口部172(図11参照)内に進入して、ロッキングギヤ121の外周部に形成されたロッキングギヤ歯121Aに係合する。このとき、上方向回り止め部165とパイロットレバー支持ブロック171との間には、所定隙間(例えば、隙間約0.1mmである。)が形成されている。
そして、図22及び図23に示すように、パイロットレバー126がロッキングギヤ121のロッキングギヤ歯121Aに係合した状態で、ウエビング3が引き出された場合には、当該ロッキングギヤ121がウエビング引出方向(矢印202方向である。)へ回動される。また、ロッキングギヤ121のウエビング引出方向への回転は、パイロットレバー126、取付ボス163及びパイロットレバー支持ブロック171を介してクラッチ125へ伝達される。
このため、ロッキングギヤ121のウエビング引出方向への回転に伴って、当該クラッチ125は、バネ取付ピン173に第1腕部48Aの先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48によるウエビング巻取方向(矢印203に対して反対方向である。)への回動付勢力に抗して、ロッキングギヤ121のリブ135の軸心回り、つまり、回転軸部133の軸心回りにウエビング引出方向(矢印203方向である。)へ回動される。つまり、クラッチ125は、第1腕部48Aと第2腕部48Bとの相対的な角度の広がりに伴って発生する弾性連結部48Cによるウエビング巻取方向への回動付勢力に抗して、回転軸部133の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。
これにより、クラッチ125のウエビング引出方向(矢印203方向である。)への回動に伴って、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ125のガイド溝156によって案内されるため、当該パウル23はラチェットギヤ35側へ回動される(矢印205方向である。)。また、クラッチ125のガイド溝156に対して直径方向ほぼ反対側のフランジ部158に、半径方向内側へ弾性変形可能に設けられた弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aも、当該クラッチ125の回動に伴って、メカニズムカバー111のメカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182側へ回動される。
そして、図24に示すように、ウエビング3の引き出しが更に継続された場合には、クラッチ125は、捩りコイルバネ48によるウエビング巻取方向(矢印203に対して反対方向である。)への回動付勢力に抗して、ウエビング引出方向(矢印203方向である。)へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ125のガイド溝156によって更に案内されて、当該パウル23はラチェットギヤ35に係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
また、クラッチ125の弾性リブ181は、クラッチ側突起部181Aがメカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182側へ更に回動されるため、当該固定側突起部182に当接して押圧されて、半径方向内側へ弾性変形され、スムーズに固定側突起部182を乗り越える。そして、クラッチ125は、パウル23の各係合歯23A、23Bが、ラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aに当接して、パウル23の回動が停止されるため、弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが固定側突起部182を乗り越えた位置で、ウエビング引出方向(矢印203方向である。)への回動が停止される。
また、クラッチ125の外周部から半径方向外側へ突出するように設けられた弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが、半径方向内側へ弾性変形して、メカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182を乗り越えて、固定側突起部182のウエビング引き出し方向側の側面に当接、または、近接して位置している。
[ロック解除動作]
続いて、「車体感応式ロック機構」のロック解除動作について図25乃至図27に基づいて説明する。図25に示すように、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされた後、ウエビング3に加わる引き出し方向の引張力が緩められて、ウエビング3が僅かに巻き込まれた場合には(例えば、矢印186方向に5mm程度である。)、巻取バネユニット8の付勢力によって、巻取ドラムユニット6がウエビング巻取方向(矢印206方向である。)へ僅かに回転される。また、この時、車両の加速度が所定値以下であれば、車両加速度センサ28の慣性質量体52は、センサーホルダ51のすり鉢状の底面中央部に位置する通常時に戻る。
これにより、ロッキングギヤ121は、各凸部136によってラチェットギヤ35に対して相対回転不能に結合されているため、ラチェットギヤ35と一体となってウエビング巻取方向(矢印207方向である。)へ僅かに回転される。一方、クラッチ125は、弾性リブ181のクラッチ側突起部181Aが固定側突起部182を乗り越えた状態で、当接するため、ウエビング巻取方向(矢印207方向である。)への回転が、ロッキングギヤ121の回転に対して相対的に遅れる。
従って、図25に示すように、クラッチ125の回転軸に対して半径方向外側の外周部に片持ち梁状に一体形成された弾性リブ181の先端部から突出するように設けられたクラッチ側突起部181Aと、ハウジング11の側壁部12に対して固定されたメカニズムカバー111のメカニズム収容部127の内周壁に半径方向内側へ立設されて、クラッチ125のウエビング引出方向への回転時にクラッチ側突起部181Aと当接可能に突出する固定側突起部182とによって、クラッチ125のウエビング巻取方向への回転を、ロッキングギヤ121の回転に対して相対的に遅らせる回転差付与機構183を構成することができる。
そのため、ロッキングギヤ121がクラッチ125のウエビング巻取方向への回転に対して相対的に先行してウエビング巻取方向へ回転し、パイロットレバー126の係合爪部126Aの先端部とロッキングギヤ歯121Aとの間に、パイロットレバー126がロッキングギヤ歯121Aとの係合を解除する回動方向へ回転可能な隙間が生じる。また、ラチェットギヤ35のラチェットギヤ部35Aとパウル23の各係合歯23A、23Bとの間にも、パウル23がラチェットギヤ35との係合を解除する回動方向へ回転可能な隙間が生じる。
そして、図26に示すように、パイロットレバー126は、係合爪部126Aとロッキングギヤ121との係合を解除する方向へ回動可能となるため、自重により鉛直方向下方(矢印208方向である。)へ回動される。そして、パイロットレバー126は、ロッキングギヤ121との係合が解除されると共に、パイロットレバー126の下方向回り止め部166がパイロットレバー支持ブロック171に当接した初期位置の状態に戻る。
続いて、図26及び図27に示すように、クラッチ125は、ロッキングギヤ121とパイロットレバー126との係合が解除されて、バネ取付ピン173に第1腕部48Aの先端部が取り付けられた捩りコイルバネ48によってウエビング巻取方向(矢印211方向である。)へ回動され、通常状態の基準回転姿勢に戻る(図11参照)。また、同時に、パウル23は、クラッチ125のウエビング巻取方向への回転に伴って、パウル23の案内ピン42がガイド溝156をロック作動時とは逆方向に移動して、ラチェットギヤ35から離反する方向(矢印209方向である。)へ回動し、パウル23とラチェットギヤ35との係合が解除される。
これにより、クラッチ85の弾性リブ181は、先端部に形成されたクラッチ側突起部181Aがメカニズム収容部127の内周壁に立設された固定側突起部182に当接して押圧され、半径方向内側へ弾性変形して、この固定側突起部182をスムーズに乗り越える。その後、クラッチ125は、捩りコイルバネ48の回動付勢力による回動に伴って、ウエビング巻取方向(矢印211方向である。)へ回動されて、パウル23の案内ピン42がガイド溝156の最もラチェットギヤ35から離反する位置にある端縁部(図27中、ガイド溝156の下側端縁部である。)に当接した通常状態に戻る。
また、パイロットレバー126は自重により車両加速度センサ28側へ回動され、受け板部162がセンサレバー53のロック爪53Aの近傍に位置する通常状態に戻る。そして、パウル23の各係合歯23A、23Bとラチェットギヤ35との係合が解除されて、当該パウル23がラチェットギヤ35から離間するため、パウル23による巻取ドラムユニット6のロック状態が解除され、ウエビング3の引き出しが可能になる。従って、ウエビング3の僅かな巻き取り量で、巻取ドラムユニット6の回転のロックを解除することができる。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1では、クラッチ125のバネ取付ピン173に先端部が取り付けられる第1腕部48Aと、ハウジング11の側壁部12に設けられた取付孔46に先端部が取り付けられる第2腕部48Bと、第1腕部48Aと第2腕部48Bの相対的な角度変化に伴って弾性変形する弾性連結部48Cとから構成された捩りコイルバネ48によって、クラッチ125はウエビング巻取方向へ回動付勢される。これにより、クラッチ125に第1腕部48Aの先端部を取り付ける取付構造、及び、側壁部12に設けられた取付孔46に第2腕部48Bの先端部を取り付ける取付構造の簡素化を図ることが可能となる。
また、第1腕部48Aと第2腕部48Bの相対的な角度変化を利用してクラッチ125をウエビング巻取方向へ回動付勢することが可能となるため、第1腕部48Aの先端部と第2腕部48Bの先端部とをそれぞれ取り付ける取り付け位置間の距離が狭い場合や、各取り付け位置の間にパウル23等の介在物が存在しても捩りコイルバネ48を容易に設けることができる。これにより、シートベルト用リトラクタ1の小型化を図ることができる。また、捩りコイルバネ48の第2腕部48Bの先端部をハウジング11の側壁部12に形成された取付孔46に直接取り付けることが可能となり、部品点数の削減を図ることが可能となる。
また、捩りコイルバネ48の第2腕部48Bは、側壁部12上に配置されると共に、この第2腕部48Bの先端部は、略U字状に折り曲げられて側壁部12に形成された取付孔46に挿通されて、この先端部が側壁部12の内側面に当接可能とされている。これにより、第2腕部48Bの取付孔46に挿通された先端部は、側壁部12の内側面に当接されて、この第2腕部48Bの先端部が、当該側壁部12に確実に保持されることを簡易な構成で可能とすることができる。
尚、メカニズムカバー111において、側壁部12の取付孔46に対向する位置に、側壁部12方向に突出したピンを設けてもよい。そして、メカニズムカバー111を側壁部12に取り付けることによって、側壁部12方向に突出したピンが、第2腕部48Bの端部が挿通されているハウジングの取付孔46に、第2腕部48Bを避けて挿通されるようにしてもよい。これにより、ピンによって取付孔46を塞ぐ状態となり、第2腕部48Bの端部を側壁部12に、更に確実に保持させることができる。
また、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aは、先端部がクラッチ125に設けられたバネ取付ピン173に取り付けられると共に、片持ち状の規制片174の内側に保持される。また、規制片174の先端部には、第1腕部側48Aへ当該第1腕部48Aとの隙間よりも延出部160側へ突出する突起部174Aが設けられている。これにより、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aが、バネ取付ピン173に確実に保持されることを簡易な構成で可能とすることができる。また、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aをクラッチ125に予め装着した状態で次の組み立て工程へ搬送することができ、組立作業の効率化を図ることができる。また、捩りコイルバネ48の第1腕部48Aのクラッチ125への取り付け状態を容易に確認することができる。
また、捩りコイルバネ48の第2腕部48Bは、クラッチ125を覆うように側壁部12に取り付けられるメカニズムカバー111の移動規制リブ120によって、巻取ドラム65の回転軸方向への移動が規制される。これにより、捩りコイルバネ48の巻取ドラム65の回転軸方向への移動を規制することができ、捩りコイルバネ48の位置が安定することにより、確実にクラッチ125を回動付勢できる。
また、付勢部材として捩りコイルバネ48を用いて、クラッチ125をウエビング巻取方向へ回動付勢するクラッチ付勢機構176を構成することにより、クラッチ125のウエビング巻取方向への回動付勢力の安定化、及び加工性の向上を図ることができると共に、クラッチ付勢機構176の薄型化を図り、その結果、シートベルト用リトラクタ1の小型化を図ることができる。