以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、複数の図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
図6は、組立てられた熱源装置Yの斜視図であり、図7は、後述する機械室2の側面パネルaを取り外した状態の熱源装置Yの側面図である。
この熱源装置Yは、冷水もしくは温水を生成することができ、生成した冷水を図示しない室内用水熱交換器に通水して室内空気を冷却し、室内(屋内)を冷房する。また、生成した温水を図示しない室内用水熱交換器に通水して室内空気を加温し、室内(屋内)を暖房する。この空気調和装置の他にもヒートポンプ給湯装置としても使用が可能である。
ここで上記熱源装置Yは、平面視で、長方形状に形成される。そして、設置時には一方の短手方向に沿って作業者が通行可能な通路Tが形成され、他の方向に沿うよう作業者が通行することは、不便な状態となっている。
なお、図6の通路Tの短手方向端面(図7では、右側側面)を「正面N」、奥側端面(左側側面)を「背面H」、長手方向に並行な端面(手前側正面)を「側面E」、側面Eの反対側の側面を「側面K」と定める。このような熱源装置Yの上下方向の略下半分は下部筐体Fからなり、この下部筐体F上に熱交換部1が載設され、下部筐体Fの一方の内部に機械室2が形成される。熱交換部1は上部が長く、下部が細くなっている。逆に下部筐体Fは、上部が狭く、下部が幅広になっている。熱交換部1の上部と下部筐体Fの下部は、その幅寸法が略同じで、熱交換器部1の下部と下部筐体Fの上部は、その幅寸法が略同じになっている。このため、熱源装置Yは、短手方向から見ると中央が細くくびれた形状となっている。
熱交換部1は、長手方向に複数(ここでは4組)の熱交換器モジュールMと、同数の送風機Sから構成される。1組の熱交換器モジュールMは、一対(2個)の空気熱交換器3,3が互いに対向して配置され、これら空気熱交換器3,3の上端部相互間に送風機Sが配置されてなる。
それぞれの熱交換器モジュールMの上端部に天板4が設けられ、この天板4の熱交換器モジュールM相互間に対向する位置に上記送風機Sが取り付けられる。送風機Sは、天板4から上方に円筒状の吹出し口5を突設し、この吹出し口5の突出端面は、ファンガード6により覆われている。
熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3,3相互は、上端部である天板4側が広く、下端部である機械室2側が狭く近接するよう対向配置され、正面視が略V字状になるよう互いに傾斜している。
熱交換部1を載設する下部筐体Fは、上部枠Faと、下部枠Fbおよび、これら上部枠Faと下部枠Fbを連結する縦枠Fcとで構成される。この下部筐体Fの長手方向に沿う側面Eに、3枚の側板aが取り付けられ、短手方向に沿う正面Nと背面Hに端板bが取り付けられ、これらで囲まれる空間内部を上記機械室2に形成している。
上部枠Faと下部枠Fbは、それぞれ平面視で横長の矩形状をなすよう組立てられる。互いの長手方向寸法は同一に形成されるが、短手方向寸法は、正面Nと背面Hが共に上部枠Faが短く、下部枠Fbがこれより長い。
すなわち、上部枠Faの短手方向寸法は、熱交換部1を構成する熱交換器モジュールMの短手方向寸法に合せて短い。したがって、この上部枠Faと下部枠Fbを連結する縦枠Fcは、上部から下部に向けて奥行き方向寸法が順次拡大するように傾斜して設けられることになり、下部筐体F自体は正面(背面)視で略逆V字状に形成される。
このように、下部筐体F上に載設される熱交換部1は正面視が上端から下方に向けて漸次縮小するよう傾斜して略V字状をなし、下部筐体Fが上端から下方に向けて漸次拡大するよう略逆V字状をなすので、熱源装置Yとしての正面視は、中央部分が括れた略鼓(つづみ)状に形成される。
特に図7に示すように、下部筐体F内に形成される機械室2には、背面Hから正面Nに亘って順に、能力可変型の水循環ポンプ13と、第1組の冷凍サイクルユニット1RAと、第2組の冷凍サイクルユニット2RBと、制御用ボックス8が配置される。
すなわち、最も正面Nに近い位置に制御用ボックス8が配置され、最も背面Hに近い位置に水循環ポンプ13が配置され、これら制御用ボックス8と水循環ポンプ13との間には、第2組の冷凍サイクルユニット2RBと、第1組の冷凍サイクルユニット1RAが配置される。
このようにして機械室2内に、制御用ボックス8と、第1組、第2組の冷凍サイクルユニット1RA,2RBと、水循環ポンプ13および、冷媒配管と水回り配管が収容されるが、これら全ての構成部品は下部筐体Fを構成する側板aと端板b内部に納まる。すなわち、図1に示す組み付け後の熱源装置Yにおいて、下部筐体Fから露出する部材が無い。
次に、機械室2内に収容される構成部品について説明する。
図8は、機械室2内部の斜視図であると共に、第1のドレンパン7aから第3のドレンパン7cの取付け構造を説明する図である。
下部筐体Fを構成する上部枠Fa上に、4枚の第1のドレンパン7aが載設される。特に図示していないが、それぞれの第1のドレンパン7aにはドレンホースが接続され、ドレン水を第2のドレンパン7bに案内するようになっている。
第2のドレンパン7bは長手方向に2枚備えられている。一方のドレンパン7bには上記第1組の冷凍サイクルユニット1RAが載置され、他方のドレンパン7bには上記第2組の冷凍サイクルユニット2RBが載置される。したがって第2のドレンパン7bは、上記制御用ボックス8の背面H側端部から下部枠Fbの背面H側端部までの間に直列に並べられる。
第2のドレンパン7bは、図示しな支持部材上に支持される。このドレンパン7bの支持部材は下部枠Fbの短手方向に亘って設けられ、長手方向に所定間隔を在して設けられる。この第2のドレンパン7bの下部側に所定間隔を存して、第3のドレンパン7cが下部枠Fb上に支持される。
第3のドレンパン7cの短手方向寸法は第2のドレンパン7bの同方向寸法と同一であり、長手方向寸法は2枚の第2のドレンパン7bを直列に並べた全長寸法と同一に形成される。
後述する暖房運転時に、空気熱交換器3は空気と熱交換し、空気中に含まれる水分を凝縮させてドレン水を生成する。はじめドレン水は水滴状をなし表面に付着するが、次第に肥大化して、それぞれの第1のドレンパン7aに流下する。
このドレン水は、ドレンホースを介して下部側の第2のドレンパン7bに集められる。第1,第2の冷凍サイクルユニット1RA,2RBの構成部品にもドレン水が生成され、第2のドレンパン7bで受けられた後、第3のドレンパン7cに集められ、外部へ排水されるようになっている。
図7に示すように、機械室2の背面H側端部には、上記水循環ポンプ13が配置され、この水循環ポンプ13に近接して第1の水熱交換器11が配置される。そして、第1の水熱交換器11から下部筐体Fの手前側長手方向に沿い後述する第1,第2のレシーバが並置され、第2の水熱交換器12が配置される。
第2の水熱交換器12から下部筐体Fの手前側長手方向に沿い第3,第4のレシーバが並置される。
上記水循環ポンプ13には、第1の水配管P1(図7および図9に示す)が接続されており、これは導入管として空調すべき場所からの戻り管として用いられる。水循環ポンプ13と第1の水熱交換器11上部とに亘って、第2の水配管P2が接続される。
さらに、第1の水熱交換器11下部と第2の水熱交換器12上部とに亘って第3の水配管P3が接続される。第2の水熱交換器12下部には、上記水循環ポンプ13方向へ延出され、端部が上記第1の水配管P1と並行に並べられる第4の水配管P4が接続される。この第4の水配管P4は導出管として、空調すべき場所まで延出され、図示しない室内ユニットの水熱交換器に接続されている。
上記第1,第2のレシーバと第1の水熱交換器11の背面側に、2台の能力可変型の圧縮機17,17と、2個の四方弁18,18および2個の気液分離器等からなる2つの独立した冷凍サイクル機器1Kが配置される。
これらは冷媒管を介して連通されると共に、最も背面H側の熱交換器モジュールMと、この手前側に位置する熱交換器モジュールMとをそれぞれ構成する、2組ずつの空気熱交換器3,3と、2つの独立した冷凍サイクルを構成するよう冷媒管を介して接続され、上記第1組の冷凍サイクルユニット1RAが構成される。
さらに、第3,第4のレシーバと第2の水熱交換器12の背面側に、2台の能力可変型の圧縮機17,17と、2個の四方弁18,18および2個の気液分離器等からなる冷凍サイクル機器2Kが配置される。
これらは冷媒管を介して連通されると共に、最も正面N側の熱交換器モジュールMと、この奥側に位置する熱交換器モジュールMとをそれぞれ構成する、2組ずつの空気熱交換器3,3と、2つの独立した冷凍サイクルを構成するよう冷媒管を介して接続され、第2組の冷凍サイクルユニット2RBが構成される。
すなわち、下部筐体F内の機械室2には、4台の熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3を除く、互いに独立した第1組の冷凍サイクルユニット1RAと、第2組の冷凍サイクルユニット2RBが収容され,それぞれの冷凍サイクルユニット1RA,2RBが第2のドレンパン7b上に載置される。
第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12は、互いに第1の水配管〜第4の水配管P1〜P4を介して直列に連通され、各冷凍サイクルユニット1RA,2RBは、それぞれ1台の水熱交換器11,12に対して2組の冷凍サイクル機器1K,2Kが並列に接続されている。
図9は、第1系統から第4系統の冷凍サイクルR1〜R4を備えた熱源装置Yの冷凍サイクルを主に示す構成図である。
なお、第1,第2系統の冷凍サイクルR1,R2により上記第1組の冷凍サイクルユニット1RAを構成し、第3,第4系統の冷凍サイクルユニットR3,R4により上記第2組の冷凍サイクルユニット2RBを構成する。
これら冷凍サイクルユニットは、その一部を除いて各系統とも同一構成の冷凍サイクルであるので、ここでは第1系統の冷凍サイクルR1のみを説明し、第2〜第4系統の冷凍サイクルR2〜R4については同一番号を付して新たな説明を省略する。
能力可変型の圧縮機17の吐出側冷媒管に四方弁18の第1のポートが接続され、この四方弁18の第2のポートに接続される冷媒管は空気熱交換器3に連通される。この空気熱交換器3は、冷凍サイクル上は2つの熱交換器が並列に接続され、配置上では、図1で説明したように互いに対向して設けられ、1組の熱交換器モジュールMを構成する。
空気熱交換器3は膨張弁19が設けられた冷媒管に連通する。この冷媒管は、第1の水熱交換器11内に設けられた第1の冷媒流路40に連通する。
第1の冷媒流路40は、四方弁18の第3のポートに冷媒管を介して連通する。四方弁18の第4のポートは、図示省略の気液分離器を介して圧縮機17の吸込み部に冷媒管を介して連通する。
一方、水回路Zは、例えば空調すべき場所からの戻り管である第1の水配管P1が水循環ポンプ13に接続される。この水循環ポンプ13から、第2の水配管P2を介して第1の水熱交換器11における水流路33に接続される。
第1の水熱交換器11の水流路33は、第3の水配管P3を介して第2の水熱交換器12の水流路33に連通される。第2の水熱交換器12では、第4の水配管P4が上記水流路33に連通されていて、第4の水配管P4から空調すべき場所に導かれる。
第2系統の冷凍サイクルR2も全く同様に構成されていて、四方弁18からの冷媒管が、第1の水熱交換器11における第2の冷媒流路41に接続される。
すなわち、第1の水熱交換器11には、1つの水流路33の両側に第1の冷媒流路40と第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器11を第1と第2の2系統の冷凍サイクルR1,R2が共有し、並列に接続される。
第2の水熱交換器12も同様に、1つの水流路33の両側に第1の冷媒流路40と、第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器12を第3と第4の2系統の冷凍サイクルR3,R4が共有し、並列に接続される。
このように、機械室2には水循環ポンプ13と、第1の水熱交換器11および、第2の水熱交換器12が備えられ、かつ第1〜第4の水配管P1〜P4は、水循環ポンプ13と、第1の水熱交換器11と、第2の水熱交換器12を直列に連通する。
そして、第1系統の冷凍サイクルR1と、第2系統の冷凍サイクルR2とにより、第1組の冷凍サイクルユニット1RAが構成され、第3系統の冷凍サイクルR3と、第4系統の冷凍サイクルR4とにより、第2組の冷凍サイクルユニット2RBが構成される。
したがって、例えば9,5℃で導入された水が、第2の水熱交換器12において、さらに例えば2.5℃冷却されて7℃に温度低下した冷水となって導出される。この冷水は、導出管である第2の水配管P2を介して空調すべき場所に導かれ、室内ファンにより導かれる空気に冷気を放出して冷房作用を行う。
また、各水熱交換器11,12で蒸発した冷媒は四方弁18を介して気液分離器に導入され、ここで気液分離された後、圧縮機17に吸込まれて再び圧縮され上述の冷凍サイクルを繰り返す。
このように、第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12の水流路33,33を直列に接続することにより、冷水が2段階で温度低下するので、より大量の水を用いて有効な冷房性能を得られる。
第1の水熱交換器11は、2系統である第1の冷凍サイクルR1および第2の冷凍サイクルR2と連通することで、それぞれの冷凍サイクルR1,R2に1台ずつの圧縮機17を搭載することが可能となる。
第2の水熱交換器12も、2系統である第3の冷凍サイクルR3および第4の冷凍サイクルR4と連通することで、それぞれの冷凍サイクルR3,R4に1台ずつの圧縮機17を搭載することが可能となる。
したがって、全ての冷凍サイクルR1〜R4が独立し、冷媒回路内を循環する潤滑油の圧縮機17内の均油を行う必要が無くなり、均油による性能の低下を防ぐことができる。また、たとえ1系統の冷凍サイクル(例えばR1)が運転停止しても、他の3系統の冷凍サイクル(R2〜R4)で運転を継続でき、運転停止の影響を最小限に抑えられ、信頼性の確保を図れる。
また、全ての圧縮機17と、水循環ポンプが能力可変型に構成されているため、冷房負荷に応じて効率の良い運転が可能となる。
すなわち、各圧縮機17には、三相モータが内蔵され、この三相モータによって圧縮機が駆動される。その圧縮機17は、印加する電圧を所定のキャリア周波数でチョッピングして三相モータに印加する電圧及び周波数を制御する電圧制御型PWM方式のインバータ51が接続され、能力可変型に構成されている。
インバータ51は、三相交流電源52の三相交流を直流電圧に整流するコンバータ53に、その直流電圧を平滑する平滑コンデンサ54および力率改善用のリアクタ55を介して接続される。また、インバータ51は、その出力電圧の周波数を制御するA,B,C,D制御器56,56,…にそれぞれ接続されている。これらA〜D制御器56,56,…は図示しない信号線により全体制御器57にそれぞれ接続されている。
全体制御器57は、操作部58等の操作により設定された温度指令信号を受けたときに、吐出する水(温水または冷水)の温度と指令温度との差を算出し、吐出水温が指令温度で一定となるように各冷凍サイクルR1〜R4の運転を制御する。この制御内容としては、例えば冷房運転か暖房運転かの運転モード、運転すべき圧縮機17の台数、その圧縮機17の特定や運転周波数、水循環ポンプ13の運転周波数等がある。
この制御内容は、運転指令信号として所要の冷凍サイクルユニットのA〜D制御器56,56,…に与えられる。これらA〜D制御器56,56,…は、上記運転指令信号に応じた制御信号をインバータ51,51,…、圧縮機17、四方弁18、空気熱交換器3のファンにそれぞれ与え、各冷凍サイクルR1〜R4を制御する。
すなわち、A〜D制御器56,56,…は、インバータ51の出力を変更することで圧縮機モータの運転周波数を制御して圧縮機17の回転数を制御し、四方弁18を冷房または暖房の運転モードに応じて切り換え、空気熱交換器3のファンの回転数及び水循環ポンプ13の回転数を所要値に制御する。
そして、これらA〜D制御器56,56,…、インバータ51,51,…、コンバータ53,53,…、平滑コンデンサ54,54,…、リアクタ55,55,…、A〜D制御器56,56,…、全体制御器57および操作部58は制御用電子部品や電気部品として、上記制御用ボックス8内に収容されている。
図7,8に示した制御用ボックス8は、図1〜図4に示すように内部に直方体状のボックス本体59を備え、そのボックス本体59内に、複数、本実施形態では4つ(A,B,C,D)の制御用ユニット60,60,60,60を収容している。
図4に示すように制御用ボックス8は、そのボックス本体59の板金からなる底板61上に、その長手方向の両端(図4では左右端)上に、ほぼ垂直に起立する左右一対の端板62a,62bを固定し、これら一対の端板62a,62bの内側の底板61の上面を、4つ(A,B,C,D)の制御用ユニット60,60,…が挿入され固定される4つの収容エリアA〜Dに等分している。底板61は、断面形状がほぼコ字状であって、そのコ字状の一対の開口端に、ほぼ直角に外向きフランジ61aを一体に形成して構成されており、これら水平フランジ61aを所要の設置床に密着した状態で据え付けられる。底板61と設置床90との間には所要の間隙H(図10中)が形成される。
なお、底板61は、後述する4つの収容エリアA〜D毎に所要形状の貫通孔の外気吸込口(図10中Lで示す)をそれぞれ形成している。
そして、図4に示すように、底板61は、その4つの収容エリアA〜D上に、4つの制御用ユニット60,60,…を載置し、ボックス本体59にボルト・ナット等の締結具により締結して固定している。各制御用ユニット60は、軸方向両端(図1,図2では上下端)が開口している板金製の角筒状のユニットボックス63を筐体として備えている。ユニットボックス63は、4つとも同じ構成を備え、各々2つ(AとB及びCとD)が並設され、それぞれが背中合わせとなるように配置されている。すなわち、ボックス本体59内でA位置とC位置のユニットボックス63の背面板63cが向かい合い、B位置とD位置のユニットボックス63の背面板63cが向かい合うように配置されている。
図2,図3に示すように各ユニットボックス63は、板金製で、その左右側面板63a,63bを有し、その左右側面の一方、例えば63aの内側面に、A〜D制御器56が搭載された制御回路基板51bがその部品実装面を、側面E(開放側)に向けた状態で取り付けられ、その背後に空冷用空間を形成している。一方、背面板63cの内面にリアクタ55と、インバータ51及びコンバータ53とが搭載されたインバータ回路基板51aとを縦並び(上下方向)で取り付けている。インバータ51の主回路であるスイッチング素子とコンバータ53の整流素子は、その放熱面がインバータ回路基板51aの背面側になるように取り付けられ、この放熱面には、図4に示すように、ヒートシンク66がユニットボックス63の背面板63cから突出するように取り付けられる。すなわち、ユニットボックス63の背面板63cには、ヒートシンク66が貫通して背面側に突出する開口63fが設けられている。
したがって、A位置とC位置のユニットボックス63は、各々のヒートシンク66が互いに対向するように配置して設けられ、B位置とD位置のユニットボックス63も、各々のヒートシンク66が互いに対向するように配置して設けられている。
さらに、図10で示すように、この開口部分の奥行き方向に蓋をするようにコ字状のダクト板80が取り付けられている。このダクト板80の下部は、底板61に設けられた外気吸込口Lと位置及び大きさが一致するようになっている。すなわち、ヒートシンク66は、その下方と上方を除き、ダクト板80で囲まれ、その上方が通風路68に連通し、下方が外気吸込口Lに連通している。
また、背面板63cには、その他、所要の電気部品が配設されている。すなわち、各制御用ユニット60は、そのユニットボックス63内に、インバータ51、コンバータ53、平滑コンデンサ54、リアクタ55等の電気部品やA〜D制御器56を収納したユニットに構成されている。また、収納時には、ユニットボックス63は、その正面に、板金で形成された平板状の正面板63dを垂直に取り付けて正面開口を閉塞する。この垂直平板の正面板63dの外側には、図3で示す斜めの側面パネル2が配設され、これら側面パネル2と正面板63dとの三角形状の間隙の底部には水管P1〜P4のいずれかが配設される。
さらに、図1ないし3に示すように各制御用ユニット60は、ユニットボックス63内の前方に空きスペース64を予め形成している。この空きスペース64は、例えば高調波低減装置65等の所望のオプション機器を必要に応じて適宜挿入、固定し得るスペースである。高調波低減装置65は例えば18パルス整流器や12パルス整流器であり、インバータ51とコンバータ53との間に接続されて、高調波を低減できる。高調波低減装置65は、その内部を強制空冷するための空冷用ファン65aを外面に突設し、側面には複数の通気孔65b(図3参照)を形成している。この高調波低減装置65を収納する場合には、ユニットボックス63の正面板63dには、高調波低減装置65の排気ファン65aを貫通させる貫通孔を形成した板金が用いられる。なお、高調波低減装置65は、必要に応じて組み込まれるもので、すべてのユニットボックス63に組み込まれる場合もあれば、いずれのユニットボックス63にも組み込まれない場合もある。なお、図9に示す回路図では、高調波低減装置65が1台だけ挿入された場合を示している。すなわち、高調波低減装置65は、必要に応じてインバータ51毎に選択的に配設可能となっている。
また、図4に示すように各ユニットボックス63は、その背面板63cの外面に突出したヒートシンク66を備えている。図5に示すように各ユニットボックス63からそれぞれ背面に突出した4つのヒートシンク66,66,…は、制御用ボックス8の短手方向ほぼ中間部において、その長手方向に延在する図5中、平面形状が横方向に長い間隙67に配置されている。この間隙67は、その幅方向(図5では上下方向)両側面を、底板61上に正方格子状に配置された4つの制御用ユニット60,60,…の各背面板63cにより形成されている。すなわち、図4、5に示すように、ボックス本体59に左右から各ユニットボックス63を組み込んだ場合、その中央にヒートシンク66の略2倍の厚みとなる間隙67が形成されるようになっている。各ヒートシンク66の背面および両側面は、ダクト板80に囲まれている。
各ヒートシンク66の下端側は、図10に示す底板61に形成された貫通孔Lに連通している。この結果、底板61の下面下方から外気を吸い込み、各ヒートシンク66に通風が行なわれるようになっている。
そして、図5に示すように間隙67には、各ヒートシンク66の上端面とほぼ同一高さにて各ヒートシンク66に重ならないように板金の通風用底板67aをほぼ水平に配設することにより、長方形の凹部68が形成されている。この凹部68の開口上端上には、図3に示すように断面形状がコ字状で、かつN側が閉じた形状をした通風上蓋69(図10参照)をネジ止め設置することにより閉塞し、その内部を通風路68としている。なお、図5は、分かりやすくするために通風上蓋69を外した状態を示すものである。通風路68は、熱源装置Yの背面H側一端(図1〜図5では右端、N面と反対面側)に、板金製の角筒状フード70aを備えた排気口68b(図10参照)をネジ止め固定し、この排気口68bに図3に示す左右一対の排気ファン70b,70cを配設し、これらファン70b,70cにより通風路68内の通風を圧縮機17,17…側へ排気するようになっている。なお、本実施形態では、排気ファン70b,70cを2台並設しているが、冷却用の風量が十分に得られるのであれば、1台でも良い。
ここで、インバータ51が1台でも運転されれば、後述する全体制御器57が排気ファン70b,70cをオンする。一連の空気の流れを図10を参照して説明すると、排気ファン70b,70cの動作による吸引作用により、底板61の貫通孔Lを介して底部から外気が吸引され、この外気がダクト板80(図5に示す)内を流れる際にヒートシンク66,66…と熱交換し、各ヒートシンク66,66…を冷却し、その後、天井側の通風用底板67aと通風上蓋69とで形成される通風路68へと流れる。通風路68では、各ヒートシンク66,66…を介して流出してきた高温空気が合流し、排気口68bを経由して排気ファン70b,70cを通過し、圧縮機17,17…側へ排気される。
上記通風路68の幅方向両端の両外側には、左右一対のユニット天板71a,71bがネジ止めされている。これらユニット天板71a,71bは、その長手方向に並設された2つのユニットボックス63,63の開口上端にそれぞれ固着されて、これら開口上端を閉じている。
以上の構成において、実際の組み立てでは、各ユニットボックス63を組み込んだ後、左右一対のユニット天板71a,71bが組み付けられ、その後、通風用底板67aをほぼ水平にネジ止め固定し、その上を通風上蓋69をネジ止めして通風路68を塞ぐ。続いて排気ファン70b,70cが取り付けられている角筒状フード70aをネジ止め固定する。そして、図1〜5に示すように制御用ボックス8は、その正面N側の端板62aの外面に、角筒状のモニタボックス72と同ブレーカボックス73を幅方向に並設している。ブレーカボックス73は、図9で示す三相交流電源52に接続される図示省略の電源端子台やブレーカ等の電気機器が収容されている。
モニタボックス72は、その外面に、モニタ72aと操作部58を設け、その内部に、図9で示す全体制御器57を配設している。操作部58はユーザ等が所望の温度等の運転条件等を設定するための操作具や運転状況等をモニタ72aで表示させるための操作具等を備えている。
次に、このように構成された熱源装置Yの作用について述べる。
まず、制御用ボックス8の操作部58により、所要の温度が設定されると、図9に示すように温度指令信号が全体制御器57に与えられる。全体制御器57は、この温度指令信号に基づいて制御内容を決定し、例えば冷房運転するための所要の制御指令をA〜D制御器56,56,…に与える。この結果、A〜D制御器56,56,…は、四方弁18を冷房側に切り換え、インバータ51により圧縮機17の運転周波数を制御する。なお、必要な冷却能力が少なければ、1系統のみの運転、すなわち、圧縮機1台のみの運転も可能である。
これにより、例えば、図9で示す第1ないし第4系統の冷凍サイクルR1〜R4の、それぞれの圧縮機17を一斉に、または所要数を選択的に駆動して冷媒を圧縮させると、高温高圧化した冷媒ガスが吐出される。この高温高圧の冷媒ガスは四方弁18から一対の空気熱交換器3に導入され、送風機Sの駆動により送風される空気と熱交換する。このために、冷媒ガスは凝縮して液化し、膨張弁19に導入されて断熱膨張する。
この後、液冷媒は、第1の水熱交換器11における第1の冷媒流路40と第2の冷媒流路41に導入され、水流路33に導入される水と熱交換される。冷媒流路40,41の冷媒は蒸発して水流路33の水から蒸発潜熱を奪い、水流路33の水は冷却され冷水になる。
第1の水熱交換器11では、第1,第2系統の冷凍サイクルR1,R2のそれぞれと連通する第1,第2の冷媒流路40,41を備えることで、効率良く冷水化する。水循環ポンプ13から送られる水が、例えば12℃であるとき、第1の水熱交換器11において2系統の冷凍サイクルR1,R2の冷媒流路40,41に導かれる冷媒によって冷却される。
そして、温度低下した冷水が第1の水配管P1を介して第2の水熱交換器12に導入され、ここでも2系統である第3,第4の冷凍サイクルR3,R4と連通する第1,第2の冷媒流路40,41と熱交換する。
したがって、第2の水熱交換器12において、さらに冷却されて冷水となって導出される。この冷水は、導出管である第2の水配管P2を介して空調すべき場所の図示しない室内側の水熱交換器に導入され、室内ファンにより導かれる空気に冷熱を放出して冷房作用をなす。
また、各水熱交換器11,12で蒸発した冷媒は四方弁18を介して気液分離器に導かれ気液分離された後、圧縮機17に吸込まれて再び圧縮され上述の冷凍サイクルを繰り返す。
このように、第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12の水流路33,33を直列に接続することにより、冷水が2段階で温度低下するので、より有効な冷房性能を得られ
る。
したがって、全ての冷凍サイクルR1〜R4が独立しているため、必要に応じて少ない系統の冷凍サイクルのみでの運転も可能となる。
また、全ての圧縮機17と、水循環ポンプが能力可変型であるため、冷房負荷に応じて効率の良い運転が可能となる。
次に、上記全体制御器57とA〜D制御器56,56,…からの制御信号により熱源装置Yを暖房運転する場合について述べる。
各冷凍サイクルの圧縮機17を一斉に、または所要数を選択的に駆動して冷媒を圧縮すると、高温高圧化した冷媒ガスが吐出される。この高温高圧の冷媒ガスは、四方弁18から第1の水熱交換器11における第1の冷媒流路40に導入され、水循環ポンプ13から水流路33に導かれる水と熱交換する。第1の水熱交換器11で冷媒は凝縮して液化し、凝縮熱で水流路33の水が加熱される。
ここでも、2系統の冷凍サイクルと連通する第1の冷媒流路40および第2の冷媒流路41が、第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12に備えられるので、効率良く温水化する。第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12が直列に連通しているので、温水は2段階に亘って温度上昇して暖房性能の向上を図ることができる。
第1の水熱交換器11から導出される液冷媒は、第1のレシーバと膨張弁19に導入され、断熱膨張したあと空気熱交換器3,3に導入されて蒸発する。蒸発した冷媒は、四方弁18と気液分離器を介して圧縮機17に吸込まれ、再び圧縮されて上述の冷凍サイクルを繰り返す。他の冷凍サイクルにおいても同様の経路に循環する。
なお、温水を得る暖房運転中は、熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3で冷媒が蒸発し、空気中の水分を凝縮させてドレン水が付着する。外気温が極く低温であると、付着したドレン水が凍結し霜となって付着し易い。この着霜をセンサー(図示省略)が感知し、制御用ボックス8内の全体制御器57回路に信号を送る。
全体制御器57は、センサーが着霜を感知した空気熱交換器3を備えた冷凍サイクルを、暖房運転から除霜運転、すなわち冷房運転に切換える指令信号をA〜D制御器56に出力する。着霜センサが感知しない空気熱交換器3を備えた冷凍サイクルは、そのまま暖房運転を継続する。
冷房(除霜)運転に切換った冷凍サイクルにおいては、四方弁18が切換り、冷媒が圧縮機17から四方弁18を介して空気熱交換器3に導入され、凝縮して液冷媒に変る。冷媒の凝縮変化に伴って凝縮熱を放出し、ここに付着していた霜が溶融し、除霜される。
そして、例えば第1の水熱交換器11における第1の冷媒流路40において冷媒が蒸発し、水流路33に導かれる温水を冷却する。しかしながら、第1の水熱交換器11における第2の冷媒流路41は、暖房運転を継続する第2の冷凍サイクルR2に連通していて、冷媒が凝縮し凝縮熱を水流路Wの温水に放出している。
したがって、第1の水熱交換器11から導出された状態での温水の温度低下は極く小範囲に保持される。結局、1組の冷凍サイクルだけの除霜運転切換えであるならば、第1の水熱交換器11から供出される温水の温度低下が僅かで済む。
また、上記熱源装置Yは、下部筐体Fの正面N手前から奥側へ順に、制御用ボックス8、第2組の冷凍サイクルユニット2RB、第1組の冷凍サイクルユニット1RA、水循環ポンプ13を配置した。制御用ボックス8が設けられる正面N側の端部には、熱源装置Y配置場所の通路T(もしくは空間スペース)が設けられる。
すなわち、メンテナンス作業時に作業者が通路Tから奥に入ることなく、通路T上の位置を保持したままで端板bを取り外せば直ちに制御用ボックス8が現れるので、この制御用ボックス8のメンテナンスの作業性の向上を図れる。ここで、端板bを取り外すことで露出するのは、モニタボックス72とブレーカボックス73であり、ブレーカボックス73は、設置時や修理、メンテナンス時にまず最初に操作、チェックする電源端子台やブレーカ等の電気機器が収容されているため、操作が容易となる。また、モニタボックス72は、モニタ72aと操作部58及び全体制御器57が配設されており、この部分においても、ユーザ等が操作、確認する部分であり、操作、サービスメンテナンス性の高い配置となっている。
そして、この熱源装置Yによれば、複数の圧縮機17,17,…をそれぞれ個別に駆動する複数のインバータ51,51,…を各ユニットボックス63内に収容しているので、インバータ51部分の修理、交換に際し、各ユニットボックス63ごとに修理、交換が出来るため、極めてサービス性が良い。さらに、複数台の圧縮機17、インバータ51、コンバータ53等を同一のものとすることで、各ユニットボックス63そのものを同一物とすることができ、各部品の標準化と共通化ができ、ひいては部品管理と製造管理の容易性の向上も図ることができる。
また、この熱源装置Yによれば、制御用ユニット60,60,…内に、例えば高調波低減装置65等のオプション機器を収容し得る空きスペース64を予め形成しているので、この空きスペース64に高調波低減装置65等のオプション機器を必要に応じて必要な台数を簡単に設けることができる。
さらに、制御用ボックス8内に、複数、例えば4つの制御用ユニット60,60,…を背中合わせに収容し、その中央に設けられた間隙の通風路68内にヒートシンク66を位置させることで、1ケ所に配置した排気ファン70b,70cによってこの通風路68を通風して複数の制御用ユニット60,60,…のヒートシンク66,66,…を強制空冷することができ、冷却構造を簡素化できる。
ヒートシンク66,66,…に対する強制空冷の状態を図10にて説明する。排気ファン70b,70cが運転され、通風路68内の空気が排気口68bから外部へ排気されると、この通風路68内が負圧になる。このために、通風路68と各制御用ユニット60,60,…の通風ダクトを介して連通する底板61の外気吸込口から外気が吸い込まれる。これにより、外気が通風路68内を通風するので、この通風路68内に突出するヒートシンク66,66,…を強制的に空冷することができる。
ここで、複数のインバータ51,51,…の運転台数の如何に拘らずヒートシンク66,66,…を冷却することができるので、インバータ51ごとに冷却する場合に比して、排気ファン70b,70cの数を削減できると共に構造を簡素化できる。
さらに、これら排気ファン70b,70cは、図7に示すように複数の冷凍サイクルユニットの圧縮機17,17,…に隣接し、これら圧縮機17,17,…に対してヒートシンク66,66,…を冷却した後の高温の排気を吹きかけるので、これら圧縮機17,17,…を排熱により加熱することができる。
このために、圧縮機17,17,…が少なくとも1台でも運転していれば、他の圧縮機17,17,…の低温起動を防止するために設けられている予熱ヒータの電力等のエネルギの低減を図ることができる。
さらに、制御用ボックス8は、熱源装置Yの左右側面E,K方向(幅方向)の中間部に通風路68を形成し、この通風路68の両外側に、複数の制御用ユニット60,60,…を配設したので、これら制御用ユニット60,60,…の内部に配設されたインバータ51やコンバータ53等の制御用電子部品(電気部品)と、制御用ユニット60,60,…の側面E,K側で開口可能の正面板63dとの間隔を短くすることができる。
このために、正面側からインバータ51等の電気部品へのアクセスが容易となるので、その分、これら電気部品のメンテナンスの容易性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。