JP2014177915A - 多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法 - Google Patents

多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多段遠心圧縮機で、サージングが起こる危険性を極力低いままに抑えながら、そのために必要なエネルギーロスを抑制する。
【解決手段】二段目以降の任意の段において、前段の圧縮段11aへ吸い込まれる媒体の吸込温度Tsを用いてポリトロープ過程を前提とするSchultz法により修正温度指数から推算した前段の圧縮段から吐き出される媒体の吐出温度Tdと、前段の圧縮段から吐き出される媒体の質量流量Wdと、サイドストリームラインから導入される媒体の温度Tss及び質量流量Wssとを利用して、各段の吸込温度と吸込質量流量とを算出し、状態方程式により圧縮機の各段における実流量に対応する回転数に応じた圧縮比においてサージ流量に余裕度を加算したミニマムフロー流量を確保するために必要となる上記サイドストリームラインから導入すべき流量を動的に算出して、流量を動的に制御する。
【選択図】図5

Description

この発明は、プロピレン圧縮機などの多段遠心圧縮機において、サージングの発生を抑止しながらエネルギーロスを抑制する方法に関する。
エチレンプラントは、設計段階で最大生産可能量が決められており、その上限以下の調整可能領域が決定される。実際の生産にあたっては、その範囲で需要に応じて目的生産量を変更し、それに合わせた運転条件や原料供給量の調整を行って、負荷(ロード)の調整を行う。需要が拡大して最大生産可能量を越える場合には、プラントを改造して生産可能量を拡大する。
通常のロードの範囲では、エチレンプラントの全ての機器は安定操作可能であるように設計されている。しかし、目的生産量が想定を越えて低下した際に低ロードで運転すると、いくつかの装置が安定操作可能な下限に近づいていく。このため、不安定操作に陥ることを回避するため、装置毎に必要に応じて非効率運転を許容した過剰負荷運転を行うことがある。具体的には、製品や中間体の抜き出し割合を減らしたりして、プラント内での還流量を過剰に増大させた循環運転を行う。
このような不安定操作対策を行わなければならない機器の中に、プロピレン冷凍機などの多段圧縮機がある。エチレンプラントでの多段圧縮機には一般に遠心圧縮機が用いられるが、これは、流量が低下しすぎると系の一部または全体が振動するサージングを起こすという性質がある。そこで運転中はこのサージングから機器を保護するため、サージングを起こす限界流量に固定の余裕度を加算した最低限の流量の流体を少なくとも圧縮機内に供給することが行われている。この最低限の流量を確保するために、圧縮した媒体を一部の高温域の熱交換器を通さずに、より低温域の熱交換器やその直前バッファに供給するミニマムフローラインが設けられている。基本的には、三段以上の多段遠心圧縮機であっても、特に流量が少なくなる一段目及び二段目に導入することが多い。
ところで、特許文献1には、エチレンやプロピレン、プロパン冷凍機のような、サイドストリームのある多段遠心圧縮機が記載されており、サージ限界に近づいたらミニマムフロー弁を開け、各圧縮段間に流体を供給して、サージングが発生しないようにする対処法が記載されている(特許文献1請求項1)。ただし、多段遠心圧縮機の中間段における吸込流量及び吐出流量は直接に測定することは出来ないので、必要流量の算出にあたってそれらの値は推測で求めることが記載されている。この推測にあたり、ポリトロープ過程を仮定し、そのポリトロープ温度指数mを導出している。
一方、非特許文献1には、圧縮機の熱力学的パフォーマンスを計るためのテスト手順が記載されており、サージングを起こすポイントを得るためのテスト方法が示唆されている。テストにより得られたデータから、圧縮機の性能を評価するにあたって、吐出の条件がわからず、ポリトロープ温度指数の推算が必要になる際には、Schultzの方法(非特許文献2)を用いることが記載されている。
米国特許第6503048号公報
American Society of Mechanical Engineers PTC 10(1997) "The Polytropic Anslysis of Centrifugal Compressors", John M. Schultz, ASME, 1962.
しかしながら、実際の低ロード運転においては、この余裕度を質量流量計算で15%程度と大きく確保しすぎているために、サージング防止のためにサイドストリームから循環させる流量が必要以上に多く、その分だけ圧縮機で無駄なエネルギーを浪費していた。これに対し、単純にこの余裕度を下げるようにサイドストリームから導入する媒体の質量流量を下げると、サージングが起こる危険性が無視できなくなる。
また、特許文献1の記載では、ポリトロープ効率を一定と仮定して流量の推測を行っており、これは実際の挙動とは異なるため、そのままでは現実に適用させることはできない。また、理想気体しか想定しておらず、現実の気体を取り扱うプラントに導入しようとしても実情に合わない。また、どのように運転監視をして、どのようなタイミングでミニマムフロー弁を全開放するのかについての記載や示唆がなく、そのままでは実際の制御を行うことができない。
さらに、非特許文献1に記載の方法は、テスト手順や計算方法が示されているだけであり、圧縮機を動かす際に具体的にサージングを回避する方法は記載されていない。このため、非特許文献1を参照している限りは、従来通りの固定的な流量による無駄の多いサージングの回避方法しか採ることが出来ない。
そこでこの発明は、サージングが起こる危険性を極力低いままに抑えながら、そのために必要なエネルギーロスを抑制することを目的とする。
この発明は、エチレンプラントで使用される二段以上の多段遠心圧縮機の運転時におけるサージング発生を回避することができるミニマムフロー流量を設定し、その設定値に基づいて一段目の吸込みライン及び二段目以降の各サイドストリームラインから各段の吸込みラインへ導入させ得る媒体の流量を制御するにあたり、
二段目以降の任意の段において、前段の圧縮段へ吸い込まれる媒体の吸込温度を用いてポリトロープ過程を前提とするSchultz法により修正温度指数から推算した前段の圧縮段から吐き出される媒体の吐出温度と、前段の圧縮段から吐き出される媒体の質量流量と、上記サイドストリームラインから導入される媒体の温度及び質量流量とを利用して、各段の吸込温度と吸込質量流量とを算出し、状態方程式により圧縮機の各段における実流量に対応する回転数に応じた圧縮比においてサージ流量に余裕度を加算したミニマムフロー流量を確保するために必要となる当該段の上記吸込みライン及び上記サイドストリームラインから導入すべき流量を動的に算出して、流量を動的に制御することで、上記の課題を解決したのである。
ここで、各段における体積ベースでの実流量は、測定した温度等の情報から算出され、その実流量と余裕度とを対比して、一段目の吸込みラインの導入量及び二段目以降のサイドストリームラインの導入量を制御し、それによって変化した実流量の元で、さらに測定して、それに従って制御するという形で動的に制御される。その変化した後における温度及び流量の値を同様に推測、取得し、その段階において必要となるミニマムフロー流量を算出する回帰的な処理を続けることになる。これにより、余裕度を減らしながらも、刻々と変化する流量に応じて対処できるので、サージングが実際に起こる危険な領域に突入する前にそれを食い止めることができる。
また、状態方程式から各段の実流量を求めるには、その吸込温度Ts(n)を算出する必要がある。その前提としてポリトロープ過程を仮定した吸込温度Ts(n)と吐出温度Td(n)、及び吸込圧力Ps(n)、吐出圧力Pd(n)との関係式において、圧縮比に対する指数である温度指数に、圧縮係数Zs(n)、圧縮関数X(n)、定圧熱容量Cp(n)を考慮した、非理想気体の修正温度指数mを用いることで、実情を反映したモデルとすることができる。この修正温度指数の利用を前提とし、理想気体よりも現実に近づけた値で求めることで、算出される実流量も最適に近いものとなる。
この発明により、低ロード運転時における実流量を、従来の固定的な余裕度に合わせるより低い余裕度となる環境下で多段遠心圧縮機を使用しても、無駄に循環量を増やすことになるミニマムフロー弁が全開に至る事態を出来るだけ回避することができ、かつ、循環量を減らすことで、エネルギーロスを削減することができる。これにより、多段遠心圧縮機をエチレンプラントで用いる際には、プラント全体でのエネルギー効率を向上させることができる。
エチレンプラントとプロピレン圧縮機とのフロー例図 多段圧縮機の前段及びサイドストリームラインからの流入関係図 回転数固定で風量を調整する際の圧縮比と、サージ限界及び余裕度の関係を示すグラフ この発明の一の実施形態における一段目圧縮段での処理例図 この発明の一の実施形態における二段目圧縮段での処理例図
以下、この発明の一の実施形態を示して詳細に説明する。この発明は多段遠心圧縮機にかかる発明であり、エチレンプラントで用いる四段プロピレン圧縮機を例にとって説明する。ただし、本発明の媒体はプロピレンに限られるものではなく、圧縮機で圧縮でき、別途熱媒体として利用可能なものであれば本発明に用いることが可能である。また、対象もエチレンプラントに限られるものではなく、複数箇所で多段的な熱交換器が設けられる設備であれば本発明を利用可能である。段数は二段以上であれば特に制限はない。
この例に示すエチレンプラントとプロピレン圧縮機との関係をモデル化して図1に示す。プロピレン圧縮機11で高温高圧に圧縮されたプロピレンは、海水熱交換器13eで導入する海水を加熱した後、エチレンプラントの各所に設けた熱交換器13a〜13dにて、熱源として熱を供給する。各所で供給した後は、バッファ14a〜14dで循環量及び熱交換器13a〜13dへの導入量を調整しながら、吸込みライン16a、及びサイドストリームライン16b〜16dにより、各圧縮段11a〜11dの吸込側に導入されて圧縮される。さらに、一段目圧縮段11aと二段目圧縮段11bに通じるバッファ14aと14bへの前に、これらの圧縮段におけるサージングを防止するためのプロピレン流量を確保させるため、ミニマムフローライン15からの流量を調整するミニマムフロー弁15a,15bが、バッファ14a,14bの直前に導入されて、一段目圧縮段及び二段目圧縮段への吸込みライン16a,サイドストリームライン16bへの供給量を適宜増加させている。このミニマムフローライン15には、基本的には最終段である圧縮段11dで圧縮された後の吐出ライン19から抜き出されたプロピレンが導入される。なお、17はタービン側から動力を伝える回転軸である。
次に、圧縮機の各段間の関係に注目した概念図を図2に示す。nは段数、Pは圧力、Tは温度、Wは質量流量であり、添え字sは吸込の値を、添え字dは吐出の値を、添え字SSはミニマムフローライン15からバッファ14を通じて導入されるラインのうち、一段目である吸込みライン16aを除いた各サイドストリームライン16b〜16dを示す。各圧縮段が吸い込む媒体の温度や圧力、質量流量などを略して吸込温度、吸込圧力、吸込質量流量などと称し、各圧縮段から吐き出される媒体の温度や圧力、質量流量を、吐出温度、吐出圧力、吐出質量流量などと称する。他の変数も同様の表現とする。本発明では、n段の吸込圧力Ps(n)、吸込温度Ts(n)、吸込質量流量Ws(n)から、実流量Qs(n)を求め、このQs(n)がサージ限界に到達しないように設定された余裕度の範囲で導入すべきミニマムフロー弁15a,15bを調整し,吸込みラインの通過量を動的に制御する。
基本的には、各段の吸込実流量Qs(n)[m/h]は、次式(1)で表される。ここで、Z(n)はn段圧縮係数、Rは気体定数[J/(mol−K)]=8.314、Mwは流体すなわちプロピレンの分子量=42.09、Ps(n)は絶対圧でのn段吸込圧量[MPaA]、Ws(n)はn段質量流量[t/h]、Ts(n)はn段吸込温度[K]である。
Figure 2014177915
ただし、これらの変数を式(1)に代入するには、次のような計算が必要となる。まず、二段目以降のn段圧縮段へ導入する吸込圧力Ps(n)、吸込温度Ts(n)、吸込流量Ws(n)は、図2の関係からもわかるように、前段(n−1)である圧縮段の吐出されるプロピレンと、吸込みラインライン16a及びサイドストリームライン16xからのプロピレンとに依存する。そこでまず、吐出温度Td(n)は、各圧縮段の入口である吸込と出口である吐出との関係から、ポリトロープ過程を仮定して、次式(2)で計算される。なお、Pd(n)は吐出圧力であり単位は[MPaA(絶対圧)]、温度Td(n)はケルビンである。また、m(n)はn段圧縮段の温度指数である。また、括弧{}内はn段の圧縮比Pr(n)を意味する。
Figure 2014177915
温度係数mは、理想気体では単純化されるが、本発明においては、次式(3)で表される修正温度指数を用いる。ここで、Zs(n)はn段吸込圧縮係数であり、Cp(n)はn段定圧比熱(定圧熱容量)であり、η(n)はn段ポリトロープ効率であり、X(n)はn段圧縮関数である。
Figure 2014177915
このうち、定圧の熱容量(定圧熱容量)Cp(n)と圧縮関数X(n)は、吸込と吐出の平均温度と平均圧力値を用いて回帰モデルにより計算する。すなわち、それらの関数であるので、次式(4)(5)のように表される。なお、添え字avは平均を意味し、単純に算術平均を用いる。具体的には、一旦、上記(2)式の温度指数mを上記(3)式ではなく、理想気体と仮定した下記式(6)として吐出温度を求め、仮の平均温度を求めた上で、再度(2)式を用いて修正した吐出温度Td(n)を求める。なお、κs(n)はn段吸込側の断熱係数であり、下記式(7)で表される関数である。また、ポリトロープ効率η(n)については、圧縮機の効率曲線を読み取り、回転数と吸込実流量の回帰モデルを作成して求められる下記式(8)の変数を有する関数である。さらに、Nは圧縮機の回転数(rpm)である。
Figure 2014177915
回帰モデルによる平均温度の算出は次のような手順による。まず、前段吐出温度Td(n−1)の推算にあたっては、式(2)を用いて次式(9)のように表される。Td(n−1)のハットは推算値であることを表す。ここでPr(n−1)は前段圧縮段の圧縮比である。ここでの温度指数mは仮に上記式(6)を用いる。
Figure 2014177915
次に、推算した吐出温度を元に、(n−1)段の吸込と吐出の算術平均温度を次式(10)により求める。
Figure 2014177915
この平均温度Tav(n−1)を用いて、上記式(4)により定圧熱容量Cp(n−1)を、上記式(5)によりn段圧縮関数X(n−1)を求める。また、前段の実流量Qから上記式(8)によりη(n−1)を求める。これらを上記式(3)に代入して、修正温度指数mを求める。この修正温度指数m(式中ではmに上バーで表す。)を用い、式(2)を改めた下記式(11)により、前段吐出温度Td(n−1)を再算出する。なお、圧縮係数Zs(n−1)は物質固有の値であり、ここではプロピレンに関する圧力と温度のデータを用いて回帰モデルを作成し、臨界圧力及び臨界温度から求める。
Figure 2014177915
その上で、図2に表されるエネルギーバランス上、温度Tと質量流量Wとの積の和が同一であることから、次式(12)が導き出せるので、式(11)で求めた前段吐出温度Td(n−1)[K]を用いて次段吸込温度Ts(n)[K]を算出できる。前段吐出質量流量Wd(n−1)[t/H]と前段吐出温度Td(n−1)[K]は算出した値を、それ以外のサイドストリームライン質量流量Wss(n)[t/H]、サイドストリームライン温度Tss(n)[K]は測定できる値であるので測定値を代入する。なお、吸込質量流量Ws(n−1)[t/H]と吐出質量流量Wd(n−1)[t/H]は当然に同一になるので、次式(12)にWd(n−1)を代入するときはWs(n−1)の値を用いればよい。
Figure 2014177915
一方、ベンチュリーなどで直接測定される吸込の質量流量Fs(n)[t/H]は、温度及び圧力に対して未補正であるためそのままでは上記式(1)に代入せず、次式(13)のように温度圧力の補正を行ったWs(n)として代入する。ここで、Ts(n)des[K]は流量補正用吸込温度設計値であり、Ps(n)des[MPaA]は流量補正用吸込圧力設計値である。
Figure 2014177915
上記式(13)により算出される吸込質量流量Ws(n)[t/H]、上記式(12)により算出される吸込温度Ts(n)[K]、及び、吸込圧力Ps(n)[MPaA]と圧縮係数Z(n)を上記式(1)に代入することで、n段の実流量Qs(n)が算出される。この値とサージを起こす限界流量とを対比して、必要かつ十分となる余裕度を加味した流量となるように吸込みライン16a及び二段目以降の各段への吸込みライン18b〜18dの流量を動的に調整する。ただし、具体的には、吸込みライン16a及びサイドストリームライン16bに通じるバッファ14(14a、14b)への、ミニマムフローライン15から流入するミニマムフロー弁(15a、15b)で流入量を調整する。
その調整について、一段目から順に説明する。まず、一段目だけは二段目以降と異なり全量が圧縮機の外から導入されるため、吸込温度Ts(1)及び吸込圧力及び吸込質量流量Fs(1)が直接に測定可能である。ここでは上記の前段吐出温度を用いた推算は行わずに、圧縮係数Z(1)を求めるだけで、直接に上記式(1)から実流量Qs(1)を求めることが出来る。
次に、二段目について説明する。二段目では上記(1)式に代入すべき二段目吸込温度Ts(2)がそのままではわからない。このため、上記(2)式及び上記式(9)〜(11)式によるポリトロープ温度指数を用いた温度の推算及び再算出により一段目吐出温度Td(1)を求める。また、実測できる二段目へのサイドストリームライン16bの温度Tss(2)を元に、二段目へのサイドストリームライン16bの質量流量の直接測定される値Fss(2)を下記式(14)により補正して質量流量Wss(2)を求める。また、二段目吸込質量流量Ws(2)を図2の通りの下記式(15)により計算する。その上で、二段目吸込温度Ts(2)を上記式(12)により求める。これらの求めた二段目吸込質量流量Ws(2)と二段目吸込温度Ts(2)とから、二段目吸込実流量Qs(2)を上記式(1)から計算できる。
Figure 2014177915
三段目の吸込実流量Qs(3)は、上記の二段目吸込実流量Qs(2)と同様の方法により求めることができる。
ただし、三段目のサイドストリームライン16cの流量は圧縮機への吸込だけでなく、吐出となるケースもあり、その場合はサイドストリームライン16cの流れが図1とは逆になる。サイドストリームライン16cが吐出方向の流れとなる場合、二段目と三段目の間から流体を直接抜き出すためそのサイドストリームライン16cの温度Tss(3)を、二段目吐出温度Td(2)及び三段目吸込温度Ts(3)と同一とみなすことができる。また、三段目吸込質量流量Ws(3)は、二段目吐出質量流量Wd(2)から、三段目へのサイドストリームライン16cで測定される質量流量Fss(3)を上記式(14)で補正した質量流量Wss(3)を差し引いたものとなる。これにより、三段目の吸込質量流量Ws(3)と吸込温度Ts(3)とが求まるため、上記式(1)より三段目の吸込実流量Qs(3)を求めることができる。このようにサイドストリームライン16cが吐出となるケースは希有であるが、推算した二段目吐出温度Td(2)とサイドストリームライン16cの実測温度Tss(3)を比較することで、上記の温度推定方法の正確性を検証することができる。
四段目の吸込実流量Qs(4)も、上記の三段目吸込実流量Qs(3)と同様の方法により求めることができる。四段目ではサイドストリームライン16dが吐出となるケースも多く、四段目吐出温度Td(4)の推算値により、実データとの比較を行って検証することは容易である。
こうして演算で求められた実流量Qs(n)をもとに,目標となる余裕度よりも下回らないように、導入する流量の制御を行う。実際に本発明にかかる制御を実行する段数は、多段遠心圧縮機のうちの前半部に対して行うのが好ましい。流量が比較的少なく、吸込みライン16a及びサイドストリームライン16bからの導入量を適切に調整しなければサージ限界に近づきやすいためである。また、実流量Qs(n)の演算による制御を続けた状態で異常が発生した場合には、制御ループを切り替えて、従来から行われている質量流量を基準にした安定制御へ切り替えできるようにすることが好ましい。このときの質量流量換算での設定される余裕度は、安全のために、本発明において実流量で設定される余裕度よりも高い値に設定しておくことが望ましい。具体的には、14%以上20%以下であると好ましい。多段遠心圧縮機の後半部は、実流量が比較的多くなる分、本発明にかかるミニマムフローラインからの導入量の制御を動的に行うメリットが少なく、従来通りの質量流量を基準にした固定的な安定制御でよい場合が多い。
圧縮機の設計上決まるサージを起こす限界の流量であるサージ流量に対して、所定の余裕度を加味した量の実流量Qs(n)となるように、吸込みラインの流入量を調整することになる。すなわち、余裕度は下記式(16)により表される。運用にあたっては、この目標とする余裕度を適切に定めて運用する。このような余裕度とサージ流量の関係を、横軸に流量、縦軸に圧縮比として、同一回転数で流量を変化させていったときのサージ流量のラインとして図3に示す。なお、左下は原点ではない。回転数を維持したまま風量を下げていくと、やがてサージを起こす限界のサージ流量に達する。この限界線をサージ線として示す。そのサージ線に10%の余裕度を加えた風量と、15%の余裕度を加えた風量のラインをそれぞれ示す。すなわち、風量を上げることで同一回転数のままでも余裕度を上げることができる他、回転数を下げることでも余裕度を上げる確保することができる。
Figure 2014177915
この余裕度を加味した一段目の制御とその切り替えの概念図を図4に示す。図中、Tsは測定される吸込温度Ts(1)、Psは測定される吸込圧力Ps(1)、Wsは測定される吸込質量流量Ws(1)を示す。本発明にかかる制御を行うときは、XFにおいて上記式(1)による実流量Qs(1)を算出する。このとき、上記式(16)で表される余裕度XCと設定された目標余裕度とを比較し、その差に応じてFCから一段目用ミニマムフロー弁15aを調整させ、吸込みライン16aの実流量の制御を行う。具体的には、実流量が目標余裕度に対応した流量より多い場合には、ミニマムフロー弁15aを開かないようにし、実流量が目標余裕度に対応した流量よりも小さく、流量が足りない場合にはその程度に応じてミニマムフロー弁15aを開けることで、目標余裕度に対応した流量以下にならないように制御する。
一方、サージ限界への到達チェックとは別に、サージ流量への接近を警戒すべき警戒余裕度の設定値を定めておき、XFで求められる実流量Qs(1)がその警戒余裕度ALに到達したら、実流量制御FCから、エネルギーロスが多いが安定した従来通りの質量流量制御WFCへと制御回路を切り替える。なお、当然に、警戒余裕度<目標余裕度である。
二段目における制御とその切り替えを図5に示す。基本的な制御ループとその切り替えは図3と同様であるが、二段目の圧縮段11bの吸込みライン18bに供給される量はバッファ14bを経たサイドストリームライン16b(添え字ss)からの量だけでなく、前段である一段目の圧縮段11aからの吐出量との合算となり、上記式(15)のようになる。従って、上記の一段目の制御の際に算出される値及び設定値から上記式(3)及び(9)〜(11)を用いて前段吐出温度Td(1)や前段吐出質量流量Wd(1)を求めた上で、二段目吸込温度Ts(2)を求めて、これを式(1)に導入してXFで得られる実流量Qs(2)が、目標余裕度との比較判断を行う値となる。
(実施例1)
この発明を、具体的に行った実施例を示す。エチレンプラントで用いる四段プロピレン圧縮機(配置とフローは図1に示す概念図と同様)を、従来は質量流量制御で15%の余裕度を持って運用していた。このときの一段目の吸込みライン16aの質量流量の平均値は192[t/H]、二段目のサイドストリームライン16bの質量流量の平均値は122[t/H]であり、四段プロピレン圧縮機の回転に要する軸馬力の平均値は13000kWであった。
同じ四段プロピレン圧縮機に対して、目標余裕度を10%として本発明による実流量制御を行った。一段目の吸込みライン16aを通過する質量流量の平均値は189[t/H]、二段目のサイドストリームライン16bを通過する質量流量の平均値は116[t/H]となり、四段プロピレン圧縮機の回転に要する軸馬力の平均値は12700kWとなって、300kWの削減に成功した。
11 プロピレン圧縮機
11a 一段目圧縮段
11b 二段目圧縮段
11c 三段目圧縮段
11d 四段目圧縮段
13a〜13d 各プロセス熱交換器
13e 海水熱交換器
14a〜14d バッファ
15 ミニマムフローライン
15a 一段目用ミニマムフロー弁
15b 二段目用ミニマムフロー弁
16a 吸込みライン
16b〜16d サイドストリームライン
17 回転軸
18b〜18d 吸込みライン
19 吐出ライン
Cp(n) n段定圧熱容量
Cv(n) n段定積熱容量
Fs(n) n段吸込未補正質量流量(T/h)
m(n) n段温度係数
Qs(n) n段吸込実流量(m3/h)
Ps(n) n段吸込圧力(MPaA・絶対圧)
Pd(n) n段吐出圧力(MPaA・絶対圧)
R 気体定数(J/(mol-K)=8.314)
Td(n) n段吐出温度(K)
Ts(n) n段吸込温度(K)
Ws(n) n段吸込質量流量(t/h)
Wd(n) n段吐出質量流量(t/h)
X(n) n段圧縮関数
Zn(n) n段圧縮係数
Zs(n) n段吸込圧縮係数
η(n) n段ポリトロープ効率
κs(n) n段吸込側の比熱比

Claims (3)

  1. エチレンプラントで使用される段数nの多段遠心圧縮機の運転時におけるサージング発生を回避することができるミニマムフロー流量を設定し、その設定値に基づいて一段目の吸込みライン及び二段目以降の各サイドストリームラインから各段の吸込みラインへ導入させ得る媒体の流量を制御する多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法であって、
    二段目以降の任意の段において、前段の圧縮段へ吸い込まれる媒体の吸込温度を用いてポリトロープ過程を前提とするSchultz法により修正温度指数から推算した前段の圧縮段から吐き出される媒体の吐出温度と、前段の圧縮段から吐き出される媒体の質量流量と、上記サイドストリームラインから上記吸込みラインへ導入される媒体の温度及び質量流量とを利用して、各段の吸込温度と吸込質量流量とを算出し、状態方程式により圧縮機の各段における実流量に対応する回転数に応じた圧縮比においてサージ流量に余裕度を加算したミニマムフロー流量を確保するために必要となる当該段の上記吸込みライン及びサイドストリームラインから導入すべき流量を動的に算出して、流量を動的に制御する、多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法。
    (ただし、n=2以上の自然数とする)
  2. 上記一段目の圧縮段において、測定される媒体の吸込温度、吸込圧力及び吸込質量流量と、圧縮する該媒体の圧縮係数及び分子量とから、状態方程式により、その測定時点における該媒体の体積ベースの実流量を算出し、
    その際の回転数における圧縮比においてサージ流量に設定された目標余裕度分の流量を加算した量をミニマムフロー流量と設定し、当該ミニマムフロー流量に上記実流量を近づけるように一段目の圧縮段へ導入する流量を制御し、以降、測定から制御までを繰り返して動的に流量を制御する、請求項1に記載の多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法。
  3. 上記多段遠心圧縮機の二段目以降の圧縮段において、その前段の圧縮段へ吸い込まれる媒体の温度と当該段の圧縮比とから、ポリトロープ過程を前提とするSchultz法による修正温度指数を用いて、前段の圧縮段が吐き出す媒体の温度を推算するとともに、前段の圧縮段が吸い込む媒体の質量流量が前段の圧縮段が吐き出す媒体の質量流量と同一であることから、前段の圧縮段からの吐出温度及び吐出質量流量を求め、
    当該段の上記サイドストリームラインから導入される媒体の質量流量及び温度を用いて、当該段の圧縮段への吸込温度を算出して、その値を用いた状態方程式により、当該段への体積ベースの実流量を算出し、
    その際の回転数に応じた圧縮比におけるサージ流量に設定された目標余裕度分の流量を加算した量を当該段におけるミニマムフロー流量と設定し、当該ミニマムフロー流量に上記実流量を近づけるように当該段の圧縮段へ上記サイドストリームラインから導入する流量を制御し、以降、測定から制御までを繰り返して動的に流量を制御する、請求項2に記載の多段遠心圧縮機の吸入流量の制御方法。
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