JP2014177111A - 金属加飾用熱転写フィルム及びそれを用いた金属体転写加飾方法 - Google Patents

金属加飾用熱転写フィルム及びそれを用いた金属体転写加飾方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写法により金属に加飾可能な金属加飾用熱転写フィルムを提供する。
【解決手段】剥離フィルム上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層と接着層とをこの順に積層した転写層を有する金属加飾用熱転写フィルムであって、前記接着層が、20mg−KOH/g〜200mg−KOH/gの酸価を有するポリエステルウレタン樹脂を含む金属加飾用熱転写フィルム、及び、金属板の表面に転写層を転写する金属体転写加飾方法であって、前記金属板の周縁部に転写シートの周縁部が位置するように前記金属板の表面に前記転写シートを配置する工程と、前記転写シートを前記金属板の表面に向けて加熱しつつ押圧するラミネート工程と、このラミネートされた金属加飾板をプレス等立体成形する工程を備え、前記転写シートとして、前記金属加飾用熱転写フィルムを使用することを金属体転写加飾方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に、艶消し調の意匠を転写形成するための転写フィルムに関する。
従来、物品の装飾方法として、合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材等の各種の被転写基材の表面に簡便に保護層等を形成可能な、転写フィルムを用いた転写法が利用されている。この転写法とは、紙や熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材フィルム上に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物からなる保護層を剥離可能な状態に設け、更に必要に応じて絵柄層、接着層等(以後これらを前記保護層と合わせて転写層という)を設けて転写フィルムを作製し、この転写フィルムの転写層面を、基材(被転写基材)の表面に圧着してから転写層と基材フィルムとの界面で剥離して基材フィルムを除去する方法であり、被転写基材上に転写層が転写形成された目的の加飾品等を製造する方法である。近年では、自動車内装部材、缶用途、家電部材、電子機器筐体等への加飾法として盛んに検討がなされている。
電子機器筐体には、最近美観や強度の面からアルミニウム等の金属性の筐体が使用され、これに伴い金属加飾に対する要望が高まっている。金属を被転写基材とする転写方法としては、成形後の金属製品に転写フィルムを押し付けて加飾する方法と、成形前の平板の金属体に転写フィルムを押し付けて加飾し、その後に成形する方法のいずれかがある。
後者の方法は簡便であるが、転写フィルムの基体シートが付されたままの金属体をプレス成形する場合、成形途中の金属体の周縁の転写フィルムが剥離して、加飾面にプレス時に使用されるオイルが付着することもあり、また、基体フィルムのみがめくれてプレス不良を起こすことがあった。また絞り加工を施す際には、該加工部分でフィルムの割れや浮きが生じることもあった。
後者の方法の例として、特許文献1では、金属体の周縁部に転写シートの周縁部が位置するように前記金属体の表面に前記転写シートを配置する工程と、前記転写シートを前記金属体の表面に向けて加熱しつつ押圧する工程で金属加飾を行う方法が記載されており、該方法に適した転写シートとして、基体シート上に前記転写層が積層され、前記基体シートと前記転写層との付着力が、前記基体シートの周縁部のうち少なくとも一辺において、前記基体シートの他の領域における付着力よりも大きく設定してあるシートを使用する旨が記載されている。また、特許文献2では、基体シートとして、2軸配向結晶を有するポリエステル系樹脂フィルムを積層させた印刷フィルム被覆鋼板が記載されている。
しかしながらいずれの文献にも、使用する接着剤に関して具体的な記載はなく、特に絞り加工を施した際の該加工部分でフィルムの割れや浮きに対する具体的解決策も記載されていない。即ち金属加飾に効果的な接着性を有する金属加飾用熱転写フィルムは記載されていなかった。
特開2012−35580号公報 特開2002−103520号公報
本発明が解決しようとする課題は、転写法により金属に加飾可能な金属加飾用熱転写フィルムを提供することにある。
本発明者らは、特定のウレタン系の接着剤を使用したフィルムが、金属加飾に効果的な接着性を発現し、且つ、転写フィルムとして良好に機能し、例えば絞り加工を施す際であってもフィルムの割れや浮きが生じにくいことを見出し、上記課題を解決した。
即ち本発明は、剥離フィルム上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層と接着層とをこの順に積層した転写層を有する金属加飾用熱転写フィルムであって、前記接着層が、20mg−KOH/g〜200mg−KOH/gの酸価を有するポリエステルウレタン樹脂を含む金属加飾用熱転写フィルムを提供する。
また本発明は、金属板の表面に転写層を転写する金属体転写加飾方法であって、前記金属板の周縁部に転写シートの周縁部が位置するように前記金属板の表面に前記転写シートを配置する工程と、 前記転写シートを前記金属板の表面に向けて加熱しつつ押圧するラミネート工程と、このラミネートされた金属加飾板をプレス等立体成形する工程を備え、前記転写シートとして、前記記載の金属加飾用熱転写フィルムを使用することを金属体転写加飾方法を提供する。
本発明により、絞り加工を施す際であってもフィルムの割れや浮きが生じることのない金属に加飾可能な金属加飾用熱転写フィルムを得ることができる。
(基材フィルム)
本発明で使用する基材フィルムは、特に限定なく公知の熱転写用基材フィルムを使用できる。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド6、66(PA6,PA66)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)等の耐熱樹脂製フィルムが好適に用いられる。中でもPET樹脂製フィルムがコスト、美麗性に優れるので最も好適に用いられる。ベース樹脂フィルム1の厚さは20〜125μmが好ましいが、立体形状への追従性を考慮すると30〜75μmが好ましい。
前記基材フィルムと後述の転写層との間には、離型層を設けても良い。離型層は、被転写基材あるいは射出樹脂の成型物である射出成形体に転写される転写層と基材フィルムを離型する層として機能する。離型層には転写層との離型性が要求されるが、ハンドリングの際、基材フィルムと転写層が離型しない程度の転写層との接着性も要求される。
離型層としては、通常用いられているもので良く、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤を用いることができる。例えば、ベース樹脂フィルム1としてPET樹脂製フィルムを用いた場合には適度な離型性を有するシリコーン樹脂系離型剤、メラミン樹脂系離型剤が好適に用いられる。離型層2はロールコーター等を用いて塗布することができ、その厚さは0.01μm〜5μmが好ましい。
(転写層)
本発明の熱転写用フィルムにおいて、転写層とは、少なくとも、被転写基材に転写して得られる転写体の、最表層となる活性エネルギー線重合性樹脂組成物層を少なくとも有する層である。また加飾の目的から、通常は、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となる加飾層を有する。
加飾層は、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と被転写基材との間となるように、前記基材フィルム上には、活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と加飾層とをこの順に積層するように設ける。
本発明においては、金属との付着性を強固にするために、活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と加飾層の他に、20mg−KOH/g〜200mg−KOH/gの酸価を有するポリエステルウレタン樹脂を含む接着層を設けることが特徴である。その他、被転写基材表面の凹凸を隠蔽する中間層等の層を設けてもよい。
(転写層 活性エネルギー線重合性樹脂組成物層)
本発明で使用する活性エネルギー線重合性樹脂組成物層は特に限定はないが、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を主成分とする活性エネルギー線重合性樹脂組成物層が好ましい。
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂)
本発明で使用するラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、特に限定はなく公知の方法で得た(メタ)アクリル樹脂を使用することができる。具体的には例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の( メタ) アクリル系モノマーを単独もしくは共重合して得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは前記(メタ)アクリレート類を主成分とし、必要に応じてこれらと共重合可能な重合性二重結合を有するモノマー、例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、α − メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N − シクロヘキシルマレイミド、N − エチルマレイミド、N − フェニルマレイミド等が共重合成分として添加された(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂は前記(メタ)アクリル系モノマーあるいは共重合可能な重合性二重結合を有するモノマーを常法により重合することで得られる。
前記(メタ)アクリル樹脂へ、重合性不飽和基を導入する方法としては、例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法、
重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸の等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。
中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、活性エネルギー線重合性樹脂組成物の全固形分量の10〜99.9重量%含有することが好ましく、40〜99.9重量%の範囲が最も好ましい。10%未満では常温で液状であるエポキシ化植物油(メタ)アクリレートの添加により、表面にタック残存のおそれがある。
(その他の成分 光重合開始剤)
本発明の熱転写用フィルムを紫外線等で硬化させる場合は、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層に光重合開始剤を使用してもよく好ましい。光重合開始剤の例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物などが挙げられ、これらは併用して使用することもできる。光重合開始剤の使用量は、活性エネルギー線重合性樹脂組成物の全固形分量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光重合開始剤と併用することもできる。
(その他の成分 熱可塑性樹脂)
また、熱可塑性樹脂を併用してもよく好ましい。使用する熱可塑性樹脂としては、活性エネルギー線硬化性樹脂に相溶できるものが好ましく、具体例としては、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルなどが挙げられる。これらはホモポリマーまたは複数のモノマーが共重合したものであって良い。熱可塑性樹脂は、非重合性であることが好ましい。
なかでも、ポリスチレンおよびポリメタアクリレートは、ガラス転移温度(以下Tgと称す)が高く硬化性樹脂層の粘着性低減に適しているために好ましく、特にポリメチルメタアクリレートを主成分としたポリメタアクリレートが透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れる点で好ましい。
また、熱可塑性樹脂の分子量とTgは塗膜形成能に大きな影響を与える。硬化性樹脂の流動性を抑制し、かつ硬化性樹脂層の活性化を容易にするために、熱可塑性樹脂の質量平均分子量は好ましくは3,000〜40万、より好ましくは1万〜20万であり、Tgは好ましくは35℃〜200℃、より好ましくは35℃〜150℃である。35℃付近の比較的低いTgを有する熱可塑性樹脂を用いる場合は、熱可塑性樹脂の質量平均分子量は10万以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、あまり多いと硬化性樹脂の硬化反応を阻害するので、硬化性樹脂層の全樹脂量100重量%に対して熱可塑性樹脂は70重量%を超えない範囲で添加することが好ましい。
(イソシアネート化合物)
本発明の熱転写用フィルムは活性エネルギー線硬化性であるが、熱硬化系を併用させてもよく好ましい。前記ジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂が水酸基を有する場合、イソシアネート化合物を添加することで、ラジカル重合性不飽和基由来の架橋構造とは異なるウレタン架橋構造を導入することができ好ましい。
前記ラジカル重合性不飽和基を含有し、且つ水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基とグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法により得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは、アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合させた(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−(又は、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。
なお、前記したポリイソシアネートとしては、種々のブロック剤でブロック化された、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。ブロック剤としては、例えばメタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類等を使用することができる。ブロックポリイソシアネート化合物を使用することにより、後述する活性エネルギー線重合性樹脂組成物層を形成する際の塗料に対して、アルコールのような水酸基含有の溶剤を使用することも可能になる。
(その他の成分)
また、活性エネルギー線重合性樹脂組成物層は、無機あるいは金属化合物、有機微粒子等を添加することもできる。無機あるいは金属化合物としては、シリカ、シリガゲル、シリカゾル、シリコーン、モンモリロナイト、マイカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等があげられる。また該無機あるいは金属化合物を有機処理した、オルガノシリカゾル、アクリル変性シリカ、クロイサイト等を使用してもよい。有機微粒子としては、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂およびフェノール樹脂等の微粒子があげられる。これらは、単独で使用しても、複数を併用してもよい。その他本発明の効果を損なわない範囲において、汎用の添加剤、例えば紫外線吸収剤、レベリング剤、アンチブロッキング剤等を添加することもできる。
本発明で使用する活性エネルギー線重合性樹脂組成物層の厚みとしては、被転写基材あるいは射出成型体の表面保護及び凹凸の固定化の観点から、1〜50μmが好ましく、3〜40μmがより好ましい。求める意匠にもよるが、艶消し調のような、きめ細かい凹凸を効果的に発現させるためには、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
(加飾層)
本発明において加飾層は、汎用の、印刷インキまたは塗料を使用した加飾層でよい。具体的には、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成することができる。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
また、印刷の場合の印刷柄は、版を起こせるあるいは印字できる模様や文字であればどのような印刷柄も可能である。またベタ版であってもよい。
印刷インキまたは塗料に使用する着色材としては、公知の有機顔料あるいは無機顔料を使用して印刷することができ好ましい。
前記有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄系、酸化チタン系等の無機顔料、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等が挙げられる。
前記インキに含有されるワニス用樹脂は、特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油系樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。
また、インキに含有される有機溶剤としては、硬化性樹脂層あるいは後述の剥離性フィルムを侵すものでなければ特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂と着色剤のほか、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
(接着層)
本発明で使用する接着層は、ポリカルボン酸構成単位とポリオール構成単位からなるポリエステル樹脂とジイソシアネートを反応することによって得られるポリエステルウレタン樹脂を含み、同樹脂が20mg−KOH/g〜200mg−KOH/gの酸価を有することを特徴とする。(以下、該ポリエステルウレタン樹脂を「ポリエステルウレタン樹脂A」と称す)。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)は、末端に水酸基等の活性水素原子を有する基を有することが好ましい。末端に水酸基等を有することで、後述の硬化剤と反応させることができ、より強固な接着層とすることができる。
前記末端に水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂(A)は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させるか、またはポリエステルポリオールとジヒドロキシカルボン酸とポリイソシアネートとを反応させることによって得られる。
また、本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)は、線状のポリウレタン樹脂であることが好ましい。このことから、ポリエステルウレタンの原料であるポリカルボン酸やポリオール、ポリイソシアネートは、それぞれ、ジカルボン酸、ジオール、ジイソシアネートを主として使用することが好ましい。
(ポリエステルウレタン樹脂A ポリエステルポリオール)
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)の原料であるポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸構成単位とポリオール構成単位と含有する。
ジオール等のポリオールとしては、ポリエステルの原料として使用される公知のジオールやポリオールを使用すればよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトリオール、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールAF等を使用することができる。
その他、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミンを共重合させたポリアミドポリエスエルジオールや、ε-カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、トリメチルカプロラクトン等を共重合させたポリカプロラクトンジオール等であってもよい。
ジカルボン酸等のポリカルボン酸としては、ポリエステルの原料として使用される公知のジカルボン酸やポリカルボン酸を使用すればよく、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールは、500〜4000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。かかる範囲の数平均分子量を有するポリエステルポリオールを使用することによって、ポリウレタン樹脂が有する良好な柔軟な接着剤層を形成することが可能である。また、前記ポリエステルジオール中の芳香族骨格の含有量は特に制限されないが、通常15重量%以上、好ましくは25重量%以上である。
前記ポリエステルポリオールは、前記ポリオールと前記ポリカルボン酸と、場合によってジヒドロキシカルボン酸を必要に応じてエステル化触媒の存在下、脱水縮合させれば容易に得られる。勿論前述のジヒドロキシカルボン酸を前記ポリエステルポリオールの製造時に用いてもよい。
ポリエステルウレタン樹脂Aは、前述のポリエステルポリオールと、ジヒドロキシカルボン酸と、ジイソシアネートの反応により得られる。
(ポリエステルウレタン樹脂A ジヒドロキシカルボン酸)
ジヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等の2,2−ジメチロールカルボン酸や、酒石酸、ジヒドロキシアジピン酸、ジヒドロキシマレイン酸、ジヒドロキシフマル酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸を使用することが、原料を入手し易いことから好ましい。
これらのジヒドロキシカルボン酸は、使用するジカルボン酸の使用全量の10〜70モル%となるように使用する。なお好ましくは20〜50mol%である。
(ポリエステルウレタン樹脂A ポリイソシアネート)
本発明で使用するポリイソシアネートは、ウレタン樹脂の原料として使用される公知のジイソシアネート等のポリイソシアネートを使用すればよい。ジイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシネート等が挙げられる。
これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
前記ポリイソシアネ−トは、前記前記ポリエステルポリオール1モルに対し0.9〜0.99モル量となるように使用することが好ましい。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)は、塊状反応、溶液反応など各種の反応方法で製造できるが、有機溶剤中で溶液反応することによって製造する方法が、前記ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応の進行をコントロールしやすいことから好ましい。
溶液反応で前記ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、前記ポリイソシアネートと、前記ポリエステルポリオール、及び必要に応じてその他のポリオールや鎖伸長剤を含む有機溶剤溶液と、前記ポリイソシアネートとを混合し、例えば50〜90℃で2〜10時間程度反応させポリウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得る方法がある。
前記有機溶剤としては、前記ポリエステルポリオールと、前記ジヒドロキシカルボン酸と前記ポリイソシアネートとの反応を阻害しない酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケトン、トルエン等を使用することができる。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)を製造する際には、必要に応じてウレタン化触媒を使用することができる。前記ウレタン化触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などの有機金属化合物を、反応の任意の段階で、適宜使用することができる。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)を製造する際に使用する前記ポリイソシアネートと、前記ポリエステルポリオールおよびジヒドロキシカルボン酸との使用割合は、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基と前記ポリエステルポリオールおおよびジヒドロキシカルボン酸が有する水酸基との当量比(以下、[イソシアネート基/水酸基]の当量比という。)が、0.9〜0.99の範囲内である。前記当量比の範囲で反応させて得られるポリウレタン樹脂は、末端に水酸基を有することから、空気中の湿気(水)と反応し硬化を進行させることがなく安定性に優れる。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)は、10,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものが好ましく、20,000〜80,000の重量平均分子量を有するものがより好ましい。
本発明で使用するポリエステルウレタン樹脂(A)はそのままでも接着剤として使用できるが、通常硬化剤を添加混合して用いる。硬化剤の使用量は特に制限されないが、通常ポリウレタン樹脂の固形分100重量%に対して3〜100重量%、好ましくは2.5〜30重量%である。
この際に使用できる硬化剤としては、例えばフェノプラスト樹脂、アミノプラスト樹脂、ブロックドポリイソシアネート、遊離ポリイソシアネート、カルボジイミド化合物、アジリジン化合物等がいずれも使用できる。硬化剤としては、硬化性の面から、ポリイソシアネートが好ましい。
本発明の熱転写用フィルムに前記接着層を設ける場合は、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と加飾層を設けたフィルムに直接印刷あるいは塗工したり、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層と前記加飾層とが相対するように重ねてドライラミネーションにより転写する方法等で得ることができる。後者の場合、接着層を有する加飾層を転写することが好ましいが、加飾層を転写した後、接着層を設けてもよい。
(熱転写用フィルムの製造方法)
本発明の熱転写用フィルムは、前記ラジカル重合性樹脂層を設けた支持体フィルムに加飾層を直接印刷または塗工し、その上から接着剤層を直接印刷または塗工する方法が最も好ましい。また、前記ラジカル重合成樹脂層と加飾層の層間密着性を確保するために中間(プライマー)層を設けてもよい。
前記支持体フィルム上に前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層を設ける方法、あるいは前記加飾層を設ける方法としては特に限定はなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いることができる。特に加飾層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができ、高画質画像を得やすいため、グラビア印刷が好ましい。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。
またドライラミネーション(乾式積層法)により、前記活性エネルギー線重合性樹脂組成物層を設けた支持体フィルムと、前記加飾層を設けた任意の剥離性フィルムとを、前記重合性樹脂層と前記装飾層とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせ、転写する方法にて製造することもできる。
乾燥、加熱加圧による貼り合わせ温度は特に限定はなく、使用する基材フィルムの耐熱温度等を加味しながら行えばよい。
製造した熱転写フィルムは、層間密着性の向上等、必要に応じて、エージングをしてもよい。
(熱転写用フィルム 膜厚)
本願の熱転写用フィルムの全体の膜厚は、熱転写方法によるため特に制限されないが、被転写基材への形状追随性の観点から21.5〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
(加飾フィルムラミネート板の作製)
本発明の熱転写用フィルムは、フィルムをあらかじめアルミニウム等の金属板に加熱ラミネートしたラミネート金属体を作製し、このラミネート金属板をプレス加工によって成形するか、あるいは、すでに成形した金属製品に対して加飾フィルムを密着させて加熱し、加飾層を成形品に転写加飾するかの、いずれかの方法による加飾が可能である。
(被転写基材である金属体)
本発明で使用する被転写基材である金属体は、特に限定はなく、金属板や金属成型体等を使用できる。これは、各種の鋼板、例えば、シート状またはコイル状の鋼板、鋼箔、鉄箔、これら金属板に表面処理を施したもの等が挙げられ、これら鋼板以外の金属板としてはアルミ板、アルミ箔を用いることもできる。前記鋼板のなかでは、上層がクロム水和酸化物、下層が金属クロムの二層構造をもつ電解クロム酸処理鋼板、極薄スズめっき、ニッケルめっき鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロム水和酸化物被覆鋼板、リン酸塩処理クロム酸塩処理した鋼板等がより好ましい。
アルミ板については、アルマイト処理を行った処理板を用いるのが好ましく、さらには材料の表面粗さをRaで0.30μm以下、R maxで2.0μm以下としたものが好ましい。この範囲を越えると、アルミ板と本発明の熱転写フィルムとの間にミクロな気泡ができてしまい、密着性が低下するおそれがある。
(転写方法)
本発明の熱転写用フィルムを金属板に転写しラミネートする方法の一例を示す。まず、本発明の熱転写用フィルムと金属板を、150〜250℃の温度になるように加熱ロールを用いて熱圧着(加熱ロール伝熱方式による熱圧着)した後、冷却する。冷却は、急冷あるいは徐冷いずれのプロセスを経ても差し支えない。本発明の熱転写用フィルムは、ラミネート時の熱により密着力は出現するが、150〜250℃、好ましくは180〜220℃の再加熱などの熱活性処理によって高い性能が得ることができる。
ラミネート時の熱圧着方法としては、特に制限するものではなく、前記加熱ロール伝熱方式以外に、各種の熱風伝熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式などが挙げられるが、設備費、設備の簡素化を考慮した場合、加熱ロール伝熱方式が好ましい。このようにして得られた加飾された金属板は、意匠性、加工耐食性、加工密着性に優れ、多種な用途に使用でき、公知のプレス成型法等、公知の金属加飾方法に使用することができる。例えばアルミニウム筐体の場合は、プレス加工機を使用し、通常室温〜150℃の温度範囲で、0.1MPa〜50MPaの圧力で成形することが多い。また絞り加工特性として、電子機器筐体用であれば、エクセリン加工10mm以上が求められる場合が多い。
次に、被転写基材である金属体が3次元立体状に成形された金属成型体である場合について説明する。前記金属成形体の周縁部に本発明の熱転写用フィルムの周縁部が位置するように前記金属成形体の表面に前記熱転写用フィルムを配置し、前記金属成形体の表面に前記熱転写用フィルムを加熱ロールにより転写する方法により転写することができる。凹凸がある場合や高さがある成形品については、前記熱転写用フィルム全体を加熱して柔軟化し、真空を利用して金属成形体に密着させる方法でもよい。この場合、本発明の熱転写用フィルムに使用している剥離フィルムの熱成形性に依存するので、成形品の絞り加工度に応じて剥離フィルムの選択をすることが重要である。例えば脂肪族ポリエステルを共重合した易性型性PETフィルムが好ましい。
(活性エネルギー線照射)
本発明の熱転写用フィルムを転写した加飾品の活性エネルギー線重合性樹脂組成物層を、活性エネルギー線等で硬化させる。活性エネルギー線は、通常は可視光や紫外線を使用するのが好ましい。特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。また、熱を併用する場合の加熱源としては、熱風、近赤外線など公知の熱源が適用可能である。
この時の照射量としては、硬化性樹脂層が完全に硬化するような照射量であることが好ましく、具体的には250mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。特に、加飾層との界面に移動したラジカル反応性希釈剤やラジカル重合性オリゴマーなどを充分に硬化させ、被転写基材である金属体との密着性を向上させるために、1000mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲がより好ましい。
前記剥離フィルムを剥離するタイミングは、前記活性エネルギー線を照射する前でも後でもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は重量基準である。
(評価方法)
<加工性>
JIS Z−2247のエリクセン試験により、絞り加工深度を評価した。剥がれやクラックの発生がない絞り伸度を評価値とし、7mm以上変化がないものは○、7mm未満のものは×とした。
<密着性>
JIS K−5400の碁盤目セロテープ(セロテープは登録商標である)剥離試験により、密着性を評価した。素地としてPC/ABS樹脂を用いているので、2mm角、100マスで評価した。残存したマスが100個であるものを○、100マス残存しているが欠けがあるものが10個以下の場合を△、その他を×として判定した。
(接着剤樹脂の合成方法)
<参考例1>
(ポリエステルジオール(1)の合成)
ネオペンチルグリコール163グラム(1.57モル)、1,6−ヘキサンジオール185グラム(1.57モル)、テレフタル酸421グラム(2.54)モルを、精溜管を備えた2リットルの4ツ口フラスコに仕込み、フラスコ内を常に窒素ガス雰囲気となるよう窒素ガスを吹き込む。触媒としてブチルスズ酸0.1グラムを加え、マントルヒータを用いて加熱しながら攪拌し、140〜240℃の温度で水酸基価1以下となるまで脱水縮合させ、10時間反応させ、重量平均分子量約1,000、水酸基価67.3mgKOH/mgのポリエステルジオール(1)を得た。
<参考例2>
(接着層用、ポリエステルウレタン樹脂PU−1の調製)
ポリエステルジオール(1)を388グラム(1.45モル)、ジメチロールプロピオン酸を60グラム(0.45モル;ポリエステル中ジオールの23モル%)、ジフェニルメタンジイシソシアネートの133グラム(0.8)モル、メチルエチルケトン2070グラム、及びジブチル錫ジラウレートの0.15グラムを、ジムロート冷却器を備えた5リットルの4ツ口フラスコに仕込み、70〜75℃の温度で20時間反応させ、不揮発分30%、粘度1000cps(25℃,BM型粘度計)のポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−1を得た。PU−1の重量平均分子量は20,000、酸価は86.7mg−KOH/gであった。
<参考例3>
(ポリエステルジオール(2)の合成)
ネオペンチルグリコール1.57モル、1,6−ヘキサンジオール1.57モル、テレフタル酸4.08モルを、精溜管を備えた2リットルの4ツ口フラスコに仕込み、フラスコ内を常に窒素ガス雰囲気となるよう窒素ガスを吹き込む。触媒としてブチルスズ酸0.1グラムを加え、マントルヒータを用いて加熱しながら攪拌し、140〜240℃の温度で水酸基価1以下となるまで脱水縮合させる。次いで、140℃以下まで温度をさげてジメチロールプロピオン酸0.94モルを加え、160℃でさらに10時間反応させ、平均分子量約3,000のポリエステルジオール(1)を得た。
<参考例4>
(接着層用、ポリエステルウレタン樹脂PU−2の調製)
ポリエステルジオール(1)を0.475モル、1,4−ブタンジオールを0.125モル、ジフェニルメタンジイシソシアネートの0.5モル、メチルエチルケトンの2070グラム、及びジブチル錫ジラウレートの0.15グラムを、ジムロート冷却器を備えた5リットルの4ツ口フラスコに仕込み、70〜75℃の温度で20時間反応させ、不揮発分30%、粘度1000cps(25℃,BM型粘度計)のポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−2を得た。PU−2の重量平均分子量は30,000、酸価は55.4mg−KOH/gであった。
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の製造方法)
<参考例5>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチルの950部を仕込んで80℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸ブチルの970部、メタクリル酸30部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の7部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後90℃に昇温し、10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコールの0.2部を酢酸ブチルの20部に溶解した溶液を加え、さらにグリシジルメタクリレートの20部、ジメチルアミノエタノール3部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事で、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂(A1)の溶液を得た。
<実施例1 熱転写用フィルム(D1)の製造方法>
参考例6で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂(A1)の溶液の不揮発分に対して、10重量%の光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)を添加し、活性エネルギー線重合性樹脂組成物(B1)を調製した。
活性エネルギー線重合性樹脂組成物(B1)をロッドグラビアコーターを用い、東レフィルム加工社製のポリエチレンテレフタレート(PET)シート「セラピールHP2/TB(S)」(膜厚50μm)上に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmの活性エネルギー線重合性樹脂組成物(B1)層を有するフィルム(C1)を得た。
フィルム(C1)に対し、3色機グラビア印刷機(乾燥70℃、数秒)にて、DIC(株)製「XS−756IM系墨インキ」を用いグラビア印刷機にて活性エネルギー線重合性樹脂組成物(B1)層に直接ベタ印刷を付与し、さらに2版目にて参考例2で得たポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−1にキシリレンジイソシアネート5重量%添加した接着剤を印刷して、熱転写用フィルム(D1)を得た。
<実施例2 熱転写用フィルム(D2)の製造方法>
実施例1にて得たフィルム(C1)に、実施例1と同様な方法で印刷を実施し、2版目にてポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−2にキシリレンジイソシアネート5重量%添加した接着剤を印刷して、熱転写用フィルム(D2)を得た。
<実施例3 熱転写フィルム(D1)の熱ラミネートおよびプレス成形>
実施例1で得た熱転写フィルム(D1)と、日本軽金属社製アルマイト処理アルミ板A5052P(0.8mm厚、A3サイズ)を、テスター工業社製熱ラミネーターSA−1015Type500で120℃、圧力0.3Mpaでラミネートして、ラミネートアルミ板E1を得た。
E1についてコーティングテスター産業社製エリクセン試験機を用いて、JIS Z−2247エリクセン試験を実施したところ、7mmまで剥がれやクラックがなかった(評価○)。
さらに、E1について、JIS K5400の100マス碁盤目密着試験を行ったところ、すべてのマスで剥がれがなく良好な密着性を有することが確認された(評価○)。
さらに、E1を15インチサイズノートPCのLCDカバー部品(340mmx270mmx5mm)の金型を据え付けたコマツ社製プレス加工機(H1F60)を3台用いて、3段階でプレス成形した(室温、1MPa)。プレス成形後PETシートを剥離し、1000mJ/cmに相当する照射量(ピーク強度180mW/cm)の紫外線照射を行い、良好な外観の加飾されたアルミ板の成形品を得た。
紫外線照射を行ってから鉛筆硬度評価を行ったところ、2Hの硬度であり、碁盤目密着試験においても剥がれがないことを確認した。
<実施例4 熱転写フィルム(D2)の熱ラミネートおよびプレス成形>
実施例3と同様な方法で、実施例2で得た熱転写フィルム(D2)をアルミ板にラミネートしてラミネートアルミ板E2を得た。エリクセン加工、碁盤目密着についても実施例3と同様、剥がれやクラックがなかった。
<比較参考例1>
(接着層用、ポリエステルウレタン樹脂PUH−1の調製)
ポリエステルジオール(1)を400グラム、ジメチロールプロピオン酸を8.0グラム(0.06モル;ポリエステル中ジオールの4モル%)、ジフェニルメタンジイシソシアネートの47.9グラム(0.3)モル、メチルエチルケトン2070グラム、及びジブチル錫ジラウレートの0.15グラムを、ジムロート冷却器を備えた5リットルの4ツ口フラスコに仕込み、70〜75℃の温度で20時間反応させ、不揮発分30%、粘度1000cps(25℃,BM型粘度計)のポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−1を得た。PU−1の重量平均分子量は22,000、酸価は14.5mg−KOH/gであった。
<比較参考例2>
(ポリエステルジオール(H1)の合成)
ネオペンチルグリコール2.05モル、1,6−ヘキサンジオール2.05モル、テレフタル酸4.15モルを、精溜管を備えた2リットルの4ツ口フラスコに仕込み、フラスコ内を常に窒素ガス雰囲気となるよう窒素ガスを吹き込む。触媒としてブチルスズ酸0.1グラムを加え、マントルヒータを用いて加熱しながら攪拌し、140〜240℃の温度で水酸基価1以下となるまで脱水縮合させる。次いで、140℃以下まで温度をさげてジメチロールプロピオン酸0.05モルを加え、160℃でさらに10時間反応させ、平均分子量約3,500のポリエステルジオール(H1)を得た。
<比較参考例3>
(接着層用、ポリエステルウレタン樹脂PUH−2の調製)
参考例3において、ポリエステルジオール(1)の代わりにポリエステルジオール(H1)を使用した以外は参考例3と同様にして、ポリエステルウレタン樹脂の溶液PUH−1を得た。PUH−2の重量平均分子量は27,000、酸価は10.0mg−KOH/gであった。
<比較例1 熱転写用フィルム(D3)の製造方法>
実施例1において、ポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−1の代わりにポリエステルウレタン樹脂の溶液PUH−1を使用した以外は実施例1と同様にして、熱転写フィルム(D3)を作製した。
<比較例2 熱転写フィルム(D3)の熱ラミネートおよびプレス成形>
実施例3と同様の方法で、比較例1で得た熱転写フィルム(D3)をアルミ板にラミネートしてラミネート板E3を得た。
E3についてエリクセン試験を実施したところ、3mmで剥がれを生じた(評価×)。
さらに、E3について碁盤目密着試験を行ったところ、残留マス数が46/100となり、半数以上のマスで剥がれを生じた(評価×)。
さらにE3を、実施例2と同様な手法で、15インチサイズノートPCのLCDカバー部品の金型でプレス成形した(室温、1MPa)が、側面でフィルムの剥がれが生じ、良好な外観の加飾アルミ成形品を得られなかった。
<比較例3 熱転写用フィルム(D4)の製造方法>
実施例1において、ポリエステルウレタン樹脂の溶液PU−1の代わりにポリエステルウレタン樹脂の溶液PUH−2を使用した以外は実施例1と同様にして、熱転写フィルムD3を作製した。
<比較例4 熱転写フィルム(D4)の熱ラミネートおよびプレス成形>
実施例3と同様の方法で、比較例3で得た熱転写フィルム(D4)をアルミ板にラミネートしてラミネート板E4を得た。
E4についてエリクセン試験を実施したところ、3mmで剥がれを生じた(評価×)。
さらに、E4について碁盤目密着試験を行ったところ、残留マス数が46/100となり、半数以上のマスで剥がれを生じた(評価×)。
さらにE4を、実施例2と同様な手法で、15インチサイズノートPCのLCDカバー部品の金型でプレス成形した(室温、1MPa)が、側面でフィルムの剥がれが生じ、良好な外観の加飾アルミ成形品を得られなかった。

Claims (5)

  1. 剥離フィルム上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層と接着層とをこの順に積層した転写層を有する金属加飾用熱転写フィルムであって、前記接着層が、20mg−KOH/g〜200mg−KOH/gの酸価を有するポリエステルウレタン樹脂を含むことを特徴とする金属加飾用熱転写フィルム。
  2. 前記ポリエステルウレタン樹脂が末端に水酸基を有する請求項1に記載の金属加飾用熱転写フィルム。
  3. 前記接着層に硬化剤を含有する請求項2に記載の金属加飾用熱転写フィルム。
  4. 前記転写層における活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層が、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の金属加飾用熱転写フィルム。
  5. 金属板の表面に転写層を転写する金属体転写加飾方法であって、前記金属板の周縁部に転写シートの周縁部が位置するように前記金属板の表面に前記転写シートを配置する工程と、前記転写シートを前記金属板の表面に向けて加熱しつつ押圧するラミネート工程と、このラミネートされた金属加飾板をプレス等立体成形する工程を備え、前記転写シートとして、請求項1〜4のいずれかに記載の金属加飾用熱転写フィルムを使用することを金属体転写加飾方法。
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