JP2014176329A - 酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター - Google Patents

酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター Download PDF

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Abstract

【課題】還元反応により触媒能が低下又は喪失する酵素の架橋凝集体であって、前記酵素の触媒能を損なうことなく優れた耐久性が付与された酵素架橋凝集体を提供する。
【解決手段】本発明の酵素架橋凝集体は、酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物が架橋した構造を有する。前記架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物としては、不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位とポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位を有する化合物が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵素の触媒能を損なうことなく優れた耐久性が付与された酵素架橋凝集体、及びこれをマイクロチャネル内に備えたマイクロリアクターに関する。
酵素が有する触媒能を物質生産や分析用途に応用する場合、無機触媒に比べて高コストな酵素の耐久性向上が望まれる。この要求に対しては、架橋剤を使用して酵素を分子間で架橋して凝集体を形成することにより安定性を向上し、耐久性を向上する方法が知られている(特許文献1、非特許文献1〜3)。
また、酵素を架橋剤を介して中空状マイクロチャネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターは、反応に使用する酵素を微少量に抑えることができ、廃液がほとんど出ない等、環境低負荷型の酵素反応プロセスとして注目されている(特許文献1)。更に、異なる酵素を固定化したマイクロリアクターを直列に接続することで多段階の酵素反応を実施することができ、マイクロリアクターを並列に接続することでプラントスケールまで容易にスケールアップすることができる点でも注目されている(特許文献2)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、グルタルアルデヒド等の2価アルデヒド性架橋剤を使用するため、該架橋剤と酵素の架橋工程において還元反応を施す必要があり、酵素の中でも例えば酸化還元酵素等は、還元反応によりその触媒能が著しく低下又は喪失することが問題であった。従って、医薬品原料として需要が高いキラルアルコールの製造等に使用される酸化還元酵素は、酵素架橋凝集体製造過程でその触媒能が著しく低下又は喪失するため、上記架橋剤を使用して耐久性向上や中空状マイクロチャネル内表面への固定化を行うことは困難であった。すなわち、還元反応等を施すことにより触媒能が低下又は喪失する酵素について、その触媒能を損なうことなく耐久性を向上する方法や中空状マイクロチャネル内表面へ固定化する方法は、未だ見いだされていないのが現状である。
特開2006−238760号公報 特開2005−065632号公報
Takeshi Honda、他3名、"Immobilization of enzymes on microchannel surface through cross-linking polymerization", Chem. Commun., 5062-5064 (2005). Takeshi Honda、他3名、"Facile preparation of an enzyme-immobilized microreactor using a cross-linking enzyme membrane on a microchannel surface", Advanced Synthesis & Catalysis, 348, 2163-2171 (2006). R.A. Sheldon、"Cross-linked enzyme aggregates as industrial biocatalysts", Organic Process Research & Development, 15, 213-223 (2011).
従って、本発明の目的は、還元反応により触媒能が低下又は喪失する酵素の架橋凝集体であって、前記酵素の触媒能を損なうことなく優れた耐久性が付与された酵素架橋凝集体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記酵素架橋凝集体の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、前記酵素架橋凝集体を中空状マイクロチャネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物を架橋剤として使用すると、還元反応を要さず、温和な条件下で酵素と混合することにより酵素を架橋凝集して酵素架橋凝集体を形成することができること、得られる酵素架橋凝集体は優れた触媒能を発揮することができ、且つ耐久性に優れることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とが架橋した構造を有する酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物が、不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位とポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位とを有する化合物である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物の重量平均分子量が1000〜1000000である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、酵素分子が酸化還元酵素分子である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とを混合し、4〜50℃の温度で0.5〜48時間静置することにより前記の酵素架橋凝集体を得る酵素架橋凝集体の製造方法を提供する。
本発明は、また、中空状マイクロチャネル内表面に、前記の酵素架橋凝集体を固定化してなるマイクロリアクターを提供する。
本発明の酵素架橋凝集体は上記構成を有するため、還元反応により触媒能が低下又は喪失する酵素であっても、その触媒能が損なわれることがなく優れた耐久性(特に、熱安定性)が付与される。また、本発明の酵素架橋凝集体を中空状マイクロチャネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターは、微量の酵素の使用により触媒反応を効率よく且つ高収率で行うことができる。
酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物の混合割合が酵素活性へ及ぼす影響を示した図である。 酵素単体及び酵素架橋凝集体について、熱処理前後における酵素活性の変化を示す図である。 本発明のマイクロリアクターの製造方法の一例を示す概略図である。
[酵素架橋凝集体]
本発明の酵素架橋凝集体は、酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とが架橋した構造を有する。
前記架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物(以後、「本発明の架橋剤」と称する場合がある)は、例えば、無水マレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸無水物;4,5−ジメチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の不飽和非芳香族性環状カルボン酸無水物;無水ヘット酸、無水ハイミック酸等の不飽和橋かけ環式カルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位を有する化合物等を挙げることができる。
本発明の架橋剤における上記不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位の数(=重合度)としては、例えば2〜100、好ましくは10〜50である。
また、本発明の架橋剤は、上記不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位以外にも他の繰り返し単位を有していてもよい。本発明の架橋剤は、他の繰り返し単位として、親水性基を含む繰り返し単位を有することが、酵素架橋凝集体中の酵素の活性を安定化することができる点で好ましく、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)側鎖等のポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位を有することが好ましい。
本発明の架橋剤における上記他の繰り返し単位の数(=重合度)としては、例えば2〜100、好ましくは10〜50である。
本発明の架橋剤として上記不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位とポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位とを有する化合物は、例えば、上記不飽和カルボン酸無水物から選択される少なくとも1種と、下記式(1)で表される、ポリアルキレングリコール側鎖を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物を共重合することにより製造することができる。
1−O(R2O)n−R3 (1)
前記式(1)中、R1はビニル、アリル、1−ブテニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基を示す。R3はヒドロキシル基の保護基を示し、例えば、C1-6アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等)、3〜15員のシクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル基等)、C7-20アラルキル基(ベンジル基等)、アシル基(ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基等のC1-10の脂肪族アシル基;シクロヘキシルカルボニル基等のC4-20脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基等のC7-20芳香族アシル基等)、C1-4アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、C7-20アラルキルオキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基等)等が含まれる。
また、前記式(1)中、R2はメチレン、エチレン、メチルエチレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキレン基(好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状のC1-3アルキレン基)を示す。nは2以上の整数であり、好ましくは10〜1000、特に好ましくは10〜50である。nが上記範囲のポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位を有する架橋剤は、酵素に含まれるアミノ基(アミノ基は酵素活性の発現に重要な基である)との反応を耐久性を得るのに十分な程度に抑制することができ(すなわち、架橋剤とアミノ基との過剰な反応を抑制することができ)、架橋凝集体形成による触媒能の低下を最小に止めることができる点で好ましい。n個のR2は同一であってもよく異なっていてもよい。n個のR2が2種以上のアルキレン基である場合、[−(R2O)n−]基は2種以上のR2Oがランダム共重合された基であってもよく、ブロック共重合又は交互共重合された基であってもよい。
不飽和カルボン酸無水物から選択される少なくとも1種と、上記式(1)で表される化合物の共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及び交互共重合体を挙げることができる。本発明の架橋剤としては、なかでも不飽和カルボン酸無水物から選択される少なくとも1種と、上記式(1)で表される化合物を交互共重合して得られる櫛形ポリマーが、反応性に優れ、得られる酵素架橋凝集体の取り扱いが容易である点で好ましい。
本発明の架橋剤の重量平均分子量(Mn)としては、例えば1000〜1000000、好ましくは10000〜50000、特に好ましくは10000〜40000である。重量平均分子量が上記範囲を下回ると、スペーサーアーム長さの不足により架橋反応が生じ難くなる傾向がある。一方、重量平均分子量が上記範囲を上回ると、立体障害により酵素架橋凝集体が得られ難くなる傾向がある。
本発明の架橋剤としては、例えば、商品名「Sunbright AM1510K」、「Sunbright AM0530K」、「Sunbright AM2090K」(以上、ポリオキシエチレン−モノアリル−モノメチルエーテルと無水マレイン酸の共重合体であって櫛形のポリマー、日本油脂(株)製)、α,ω\och-Bis{2-[(3-carboxy-1-oxopropyl)amino]ethyl}polyethylene glycolより誘導した無水物等を好適に使用することができる。
本発明の酵素架橋凝集体において、本発明の架橋剤により架橋され耐久性が付与される酵素分子としては、特に限定されることがなく周知慣用の酵素分子を挙げることができる。本発明においては前記架橋剤を使用するため、還元反応を経ること無く、温和な条件下で触媒と架橋構造を形成することができる。そのため、酸化還元酵素(例えば、Pichia ofunaensis由来R−アルコール脱水素酵素、Mycobacterium vaccae由来ギ酸脱水素酵素、Candida parapsilosis由来S−アルコール脱水素酵素等)も、その触媒能を損なうことなく架橋凝集体を形成することができ、優れた耐久性と触媒能を併せて有する架橋凝集体を形成することができる。
本発明の酵素架橋凝集体は上記構成を有するため、耐久性(特に、熱安定性)に優れる。具体的には、熱処理前の酵素架橋凝集体の触媒能を100%とすると、熱処理(50℃で24時間静置)後の酵素架橋凝集体の触媒能は、例えば30%以上、好ましくは50〜100%である。
また、本発明の酵素架橋凝集体によれば触媒能の低下を抑制しつつ、優れた耐久性を付与することができる。具体的には、架橋凝集体形成前の触媒の触媒能を100%とすると、酵素架橋凝集体の触媒能は、例えば50%以上、好ましくは55%以上である。
[酵素架橋凝集体の製造方法]
上記酵素架橋凝集体は、例えば、酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とを混合し、4℃以上50℃未満(好ましくは4〜30℃)の温度で0.5〜48時間(好ましくは12〜24時間)静置することにより製造することができる。反応温度が上記範囲を外れると、酵素の失活や、本発明の架橋剤が分解することにより、反応収率の低下や反応速度の低下が生じる場合がある。また、反応時間が上記範囲を下回ると、架橋反応が不完全となり酵素架橋凝集体が得られ難くなる傾向がある。一方、反応時間が上記範囲を上回ると、過剰な架橋反応により酵素架橋凝集体中の酵素の活性が低下する傾向がある。
酵素分子と本発明の架橋剤の混合割合としては、酵素分子1モルに対して、本発明の架橋剤を例えば1〜200モル程度、好ましくは20〜150モル、特に好ましくは25〜100モルである。本発明の架橋剤を上記範囲で混合することにより、触媒能を損なうことなく架橋・凝集することができ、優れた耐久性と触媒能を併せて有する酵素架橋凝集体を形成することができる。
架橋反応時のpHは、使用する酵素分子の種類により適宜選択することができる。酸化還元酵素を使用する場合は、例えば6.0〜8.5程度が好ましく、特に7.0〜8.0が好ましい。pHの調整は緩衝液を使用して行うことができる。前記緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液(pH6.0〜8.0)、トリス緩衝液(pH7.0〜8.5)、リン酸カリウム緩衝液(pH.07〜8.0)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋反応終了後は、得られた酵素架橋凝集体について、例えば、濾過、遠心分離、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製することができる。
[マイクロリアクター]
本発明のマイクロリアクターは、中空状マイクロチャネル内表面に、上記酵素架橋凝集体を固定化してなる。
マイクロリアクターはマイクロチャネル(微細流路)を有する微小反応器である。前記マイクロチャネルは中空状であり、中空の断面形状としては、円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形)等の何れであってもよい。また、マイクロチャネルの内径は流通性、反応性の観点から、例えば10〜10000μm程度、好ましくは100〜1000μmである。
前記マイクロチャネルの材料は、触媒反応に影響を与えないものであれば特に限定されることがなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコンゴム、ポリエチルエーテルケトン、ポリエチルイミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ガラス、シリコン、ポリジメチルシロキサン、セラミックス等を挙げることができる。
中空状マイクロチャネル内表面への上記酵素架橋凝集体の固定化は、特開2006-238760に記載の方法により行うことができる。
本発明のマイクロリアクターは、上記酵素架橋凝集体がマイクロチャネル内に固定化されているため、低濃度の酵素を使用することにより化学反応を行うことができる。また、化学反応は細いチャネル内で行なわれるため、触媒と反応基質の接触効率が非常に高く、化学反応を効率よく行うことができる。その上、廃液がほとんど出ないので環境低負荷型の酵素反応プロセスとして有用である。更に、異なる酵素を固定化したマイクロリアクターを直列に接続することで多段階の酵素反応を実施することができる。また、同じ酵素を固定化したマイクロリアクターを並列に接続することで、プラントスケールまで容易にスケールアップすることができ、開発コスト及びリスクを軽減することができる。更に、熱効率に優れるため、運転コストも軽減することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(酵素架橋凝集体の製造)
架橋剤としては、下記式(2)で表される櫛型ポリマー(商品名「Sunbright AM1510K」、日本油脂(株)製、m=10〜15、n=30〜40、重量平均分子量:15000〜20000)を使用した。
酵素としては、酸化還元酵素(Candida parapsilosis由来S−アルコール脱水素酵素)を使用した。
エッペンドルフチューブ内において10mg/mLの酵素溶液と架橋剤溶液を混合し[前者:後者(体積比)=1:1、前者:後者(モル比)=1:45]、4℃で16時間静置することにより、酵素架橋凝集体(1)を得た。尚、架橋反応に用いる溶液としては全て50mMリン酸緩衝液(pH8.0)を使用した。
続いて、得られた酵素架橋凝集体(1)を遠心して沈殿させた後、上清を除き、沈殿に1Mトリス緩衝液(pH8.0)を加え残存する酸無水物基をクエンチした。更に、遠心して沈殿させた後、上清を除き、沈殿に500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を加える操作を3度行い、洗浄した。
Figure 2014176329
実施例2(酵素架橋凝集体の製造)
酵素溶液と架橋剤溶液の混合割合[前者:後者(モル比)]を1:45から、1:70に変更した以外は実施例1と同様にして酵素架橋凝集体(2)を得た。
実施例3(酵素架橋凝集体の製造)
酵素溶液と架橋剤溶液の混合割合[前者:後者(モル比)]を1:45から、1:90に変更した以外は実施例1と同様にして酵素架橋凝集体(3)を得た。
実施例4(酵素架橋凝集体の製造)
架橋剤を櫛型ポリマー(商品名「Sunbright AM1510K」、日本油脂(株)製、m=10〜15、n=30〜40、重量平均分子量:15000〜20000)から、櫛型ポリマー(商品名「Sunbright AM0530K」、日本油脂(株)製、m=30〜40、n=10〜15、重量平均分子量:15000〜20000)に変更した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体(4)を得た。
実施例5(酵素架橋凝集体の製造)
架橋剤を櫛型ポリマー(商品名「Sunbright AM1510K」、日本油脂(株)製、m=10〜15、n=30〜40、重量平均分子量:15000〜20000)から、櫛型ポリマー(商品名「Sunbright AM2090K」、日本油脂(株)製、m=10〜20、n=40〜50、重量平均分子量:20000〜40000)に変更した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体(5)を得た。
<評価1:触媒能評価>
実施例で得られた酵素架橋凝集体(1)〜(5)の酵素活性を下記方法により評価した。
すなわち、実施例で得られた酵素架橋凝集体(1)〜(5)に酵素反応溶液を加え、25℃で24時間振盪後の基質変換率を定量することにより酵素活性を評価した。また、対照として酸化還元酵素(Candida parapsilosis由来S−アルコール脱水素酵素)の酵素活性を同様の方法で評価した。
ここで使用した酵素反応溶液は、15mMアセト酢酸エチル、0.2mM補酵素(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:NADH)、45mMイソプロピルアルコール、及び500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)からなる溶液である。
アセト酢酸エチルは酸化還元酵素の基質であり、還元されて(S)−(+)−3−ヒドロキシ酪酸エチルとなる。反応終了後、反応溶液上清をHPLC分析に供し、残存基質濃度を測定することで基質変換率を定量した。
上記結果を図1に示す。酵素架橋凝集体(1)〜(3)の基質変換率はおよそ60%であった。また、酵素架橋凝集体(4)、(5)についても同様の結果であった。
<評価2:熱安定性評価>
実施例1で得られた酵素架橋凝集体(1)を熱処理し、その熱安定性を酵素活性の比較により評価した。
熱処理は、酵素架橋凝集体(1)をエッペンドルフチューブ内で500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に浸漬し、50℃で24時間静置することで行った。
熱安定性の評価は、酵素架橋凝集体(1)及び比較のための酵素溶液(実施例1で使用の酵素溶液)について、それらの酵素活性(熱処理前)を測定し、続いて熱処理を行った後、再度、酵素活性(熱処理後)を測定することにより行った。
酵素活性は、<評価1:触媒能評価>で使用したものと同じ酵素反応溶液を加えて25℃で3時間振盪後の基質変換率を定量することにより評価した。
熱処理前の酵素活性をそれぞれ100%とした場合の、熱処理後の酵素活性を図2に示す。架橋凝集体形成により、溶液状態の酵素よりも熱安定性が向上していることがわかった。
実施例6(マイクロリアクターの製造)
マイクロチャネルとして、内径330μm、長さ15cmのテフロン(登録商標)チューブを用いた。実施例1と同様の酵素溶液および架橋剤溶液をそれぞれシリンジポンプにより送液し、マイクロチャネル内へ流通させた。酵素溶液と架橋剤溶液はシリカキャピラリーによりT字コネクタ内に作製した2重管をそれぞれ通り、テフロン(登録商標)チューブ内へ流入した。この際、架橋剤溶液はチューブ内中央より流入し、酵素溶液はチューブの内壁近傍より流入した(図3参照)。架橋剤と酵素の拡散速度差により、酵素架橋凝集体はチューブ内壁近傍で形成された。各溶液の送液速度は、酵素溶液、架橋剤溶液ともに1μL/min.とした。また、送液は4℃で6時間行った。
続いて、マイクロリアクター内へ1Mトリス緩衝液(pH8.0)を10μL/min.で10分間送液し、残存する酸無水物基をクエンチした。さらに、500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を10μL/min.で10分間送液することで洗浄した。
<評価3:触媒能評価>
実施例6で得られたマイクロリアクターの酵素活性の評価は、25℃の条件下、マイクロリアクターに酵素反応溶液を0.1μL/min.で送液し、回収した反応溶液中における生成物の生成率を定量する事により行った。ここで使用した酵素反応溶液は、<評価1:触媒能評価>で使用したものと同じである。その結果、酵素活性が認められた。
1 酵素
2 架橋剤
3 テフロン(登録商標)チューブ
4 シリカキャピラリー

Claims (6)

  1. 酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とが架橋した構造を有する酵素架橋凝集体。
  2. 架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物が、不飽和カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位とポリアルキレングリコール側鎖を含む繰り返し単位とを有する化合物である請求項1に記載の酵素架橋凝集体。
  3. 架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物の重量平均分子量が1000〜1000000である請求項1又は2に記載の酵素架橋凝集体。
  4. 酵素分子が酸化還元酵素分子である請求項1〜3の何れか1項に記載の酵素架橋凝集体。
  5. 酵素分子と架橋性官能基として酸無水物基を有する化合物とを混合し、4〜50℃の温度で0.5〜48時間静置することにより請求項1〜4の何れか1項に記載の酵素架橋凝集体を得る酵素架橋凝集体の製造方法。
  6. 中空状マイクロチャネル内表面に、請求項1〜4の何れか1項に記載の酵素架橋凝集体を固定化してなるマイクロリアクター。
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JP2006238760A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 酵素固定化マイクロリアクター、及びその製造方法
JP2007091883A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Nof Corp 共重合体および共重合体の製造方法
JP2010041973A (ja) * 2008-08-14 2010-02-25 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 酵素−シリカ系ナノ空孔材料複合体担持マイクロリアクター及びその製造方法

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