JP2014175128A - 車載用の電源装置及び電源装置を備える車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉛バッテリとの配線による損失を低減して高効率化を図る。
【解決手段】複数の鉛電池セルを含む鉛バッテリ10と、複数の蓄電素子を含む補助バッテリ20と、鉛バッテリ10及び補助バッテリ20を収納するケースと、ケース30を閉塞する蓋部31と、蓋部31に設けられ、鉛バッテリ10の電力を出力する一対の出力端子12と、補助バッテリ20と一対の出力端子12に接続され、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを並列に電気接続するリード部14とを備える。これにより、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを共通のケース30に収納し、リード部14でもって配線長を極減して電気接続することにより、従来ハーネス等で生じていた電気抵抗による損失を低減できる。また生産工程において、鉛バッテリと補助バッテリという異なるバッテリをそれぞれ個別に製造し、設置する必要がないので、生産効率を向上させることができる。
【選択図】図2
【解決手段】複数の鉛電池セルを含む鉛バッテリ10と、複数の蓄電素子を含む補助バッテリ20と、鉛バッテリ10及び補助バッテリ20を収納するケースと、ケース30を閉塞する蓋部31と、蓋部31に設けられ、鉛バッテリ10の電力を出力する一対の出力端子12と、補助バッテリ20と一対の出力端子12に接続され、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを並列に電気接続するリード部14とを備える。これにより、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを共通のケース30に収納し、リード部14でもって配線長を極減して電気接続することにより、従来ハーネス等で生じていた電気抵抗による損失を低減できる。また生産工程において、鉛バッテリと補助バッテリという異なるバッテリをそれぞれ個別に製造し、設置する必要がないので、生産効率を向上させることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、車載用の電源装置及びこれを備える車両に関し、例えば鉛バッテリと並列に補助バッテリを接続して、回生発電電力の充電効率を改善して優れた燃費効率を実現する車両用の電源装置に関する。
車両を回生制動してバッテリを充電して制動する車両は、走行している車両の運動のエネルギーをバッテリに蓄える。さらに、信号待ち等では、エンジンのアイドリングをストップすることで燃費効率をさらに改善できる。回生発電する車両は、具体的には、減速するときに車両の運動のエネルギーでオルタネータを駆動して発電し、オルタネータがバッテリを充電する。回生制動で充電されたバッテリは、信号待ち等でアイドリングストップしているエンジンを再始動するとき、スターターモータに電力を供給する。このようなバッテリとして、定格電圧を12Vとする鉛バッテリを搭載する車両が知られており、鉛バッテリからスターターモータに電力を供給してエンジンを再始動し、また種々の電装機器に電力を供給できるようになっている。このように、回生制動時の発電電力をバッテリに充電し、回生制動で充電されたバッテリでアイドリングストップするエンジンを再始動する電源装置は、車両の燃費効率を改善できるが、鉛バッテリの劣化が甚だしく、回生制動やアイドリングストップしない方式に比較すると、鉛バッテリの寿命が数分の1と極めて短くなる問題点がある。車両を回生制動する度に、鉛バッテリが、頻繁に回生発電により急速充電され、さらに、エンジンの再始動時には大電流で放電されるからである。
一方で、車両用の補助バッテリとして、鉛バッテリとリチウムイオン電池を並列に接続した電源装置が知られている(特許文献1参照)。鉛バッテリは、大電流による充放電により寿命が低下するが、この構成によると、回生発電電力で鉛バッテリとリチウムイオン電池の両方を充電する構成であるため、鉛バッテリの回生発電の充電電流を小さくすることができる。また、アイドリングストップしたエンジンの再始動時には、鉛バッテリとリチウムイオン電池の両方からスターターモータに電力を供給するので、鉛バッテリの寿命を長くできる特徴もある。
このような補助バッテリを搭載した車両においては、鉛バッテリは一般に図12に示すように、車両1000のエンジンルーム1001内に配置される。しかしながらエンジンルーム1001内は高温になるため、リチウムイオン電池等の補助バッテリ1020は、安定的に動作させるため、トランクルーム1002内に配置される構成や、車両のキャビン1003内、例えば助手席の下に配置される構成等が採用されていた。
しかしながらこの構成では、トランクルーム1002内やキャビン1003内に配置された補助バッテリ1020を、エンジンルーム1001内に配置された鉛バッテリ1010と並列に電気接続するために、長尺のハーネス1004を用いる必要がある。ハーネス1004の配線長が長くなると、この電気抵抗による損失が無視できなくなり、効率が低下するという問題があった。また、鉛バッテリ1010と補助バッテリ1020という異なるバッテリをそれぞれ個別に製造し、設置する構成では、生産効率や作業効率の面でもコスト高になるという問題もあった。
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、鉛バッテリとの配線による損失を低減して高効率化を図った車載用の電源装置及び電源装置を備える車両を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一の車載用の電源装置によれば、複数の鉛電池セルを含む鉛バッテリと、複数の蓄電素子を含む補助バッテリと、前記鉛バッテリ及び前記補助バッテリを収納するケースと、前記ケースを閉塞する蓋部と、前記蓋部に設けられ、前記鉛バッテリの電力を出力する一対の出力端子と、前記補助バッテリと前記一対の出力端子に接続され、前記鉛バッテリ及び前記補助バッテリを並列に電気接続するリード部とを備えることができる。上記構成により、鉛バッテリと補助バッテリとを共通のケースに収納し、リード部でもって配線長を極減して電気接続することにより、従来ハーネス等で生じていた電気抵抗による損失を低減できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための車載用の電源装置及び電源装置を備える車両を例示するものであって、本発明は車載用の電源装置及び電源装置を備える車両を以下のものに特定しない。また実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
(実施例1)
本発明の実施例1に係る車両用の電源装置100の斜視図を図1に、この電源装置100の分解斜視図を図2に、この電源装置100の内部構造を図3、図4の透視断面図に、それぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、鉛バッテリ10と、補助バッテリ20と、これらを収納するケース30で構成されている。なお図3、図4では、内部構造を示すためにケース30と出力端子12を破線で示し、またカバー部42(後述)の図示を省略している。
ケース30は、図1に示すように外観を箱形としている。好ましくは、ケース30の外形及びサイズを、既存の車載用12V鉛バッテリとほぼ同様の外形とすることで、既存の車載用12V鉛バッテリと交換することが可能となる。このことは、既に普及している多くの車両に本実施例に係る電源装置をそのまま適用できることに繋がり、追加の部材や施設が不要となることから、普及に際して極めて有利となる。
ケース30には、正負の出力端子12が設けられる蓋部31が備えられており、ケースの内部に鉛バッテリ10と補助バッテリ20が収納される。鉛バッテリ10は、複数の鉛電池セル11を積層した鉛電池積層体で構成される。鉛電池積層体は、図示しない導通部材を介して、正負の出力端子12と接続され、鉛バッテリ10の出力が出力端子を介して取り出せるようになっている。補助バッテリ20は、複数の蓄電素子21を直列に電気接続している。補助バッテリは、リード部14を介して、正負の出力端子12に接続される。なお、補助バッテリに電圧の取り出し用に補助電池端子を設ける構成とすることもできる。補助バッテリに補助電池端子を設ける構成とした場合には、リード部は、補助電池端子と正負の出力端子とを電気接続するように構成される。
リード部14は導電性に優れた金属等の部材で構成される。リード部14を介して、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とは電気的に並列に接続される。
また鉛バッテリ10と補助バッテリ20との電気接続の間には、回路部40が介在される。図1の電源装置100では、蓋部31の上面に回路部40が配置されている。回路部40は、補助バッテリ20の電圧、電流、温度等を監視して、異常時には回路を遮断する保護回路を実装している。
(ケース30)
(ケース30)
ケース30は、上面を開口した有底箱状のケース本体32と、ケース本体32の上面を閉塞する蓋部31を備えている。また蓋部31の上面には、回路部40が固定されている。回路部40の上面からは、カバー部42で被覆されており、回路部40を埃や異物から保護している。
さらに蓋部31には、総電圧を出力する一対の出力端子12として、正極側出力端子12+と負極側出力端子12−を設けている。このケース30は、好ましくは絶縁性に優れた材質、例えば樹脂製とする。さらに内部に希硫酸等の電解液を充填できるよう、耐薬品製に優れた材質とする。
またケース30は、図2に示すように、鉛バッテリ10の収納したケース内の一部に、補助バッテリ用の収納空間を設けて、補助バッテリ20を補助バッテリ収納空間に収納後、蓋部31で閉塞した統合型としている。このようにすることで、従来、車載用12V鉛バッテリに対し補助バッテリを追加する際に、別体の補助バッテリを用意する必要があったところ、本実施例によれば統合された一のケースで鉛バッテリと補助バッテリを提供できることから、筐体を共通化して、コストも削減できる。ただ、本発明はこの構成に限らず、例えば図7に示すように、既存の車載用12V鉛バッテリ10’自体を、補助バッテリ20’の内ケースと共に共通のケース30’に収納することで、一体的に構成することもできる。
また、以上の例ではケース30の蓋部31に回路部40を固定した例を説明したが、本発明は回路部をケースの外面に固定する構成とすることもできる。また、例えば回路部をケース内部に固定する構成とすることもできる。例えば、図7の変形例に係る電源装置100’の断面図に示すように、鉛電池積層体の上面と、ケース30’の内面との間に回路部40’を介在させてもよい。
(仕切壁34)
(仕切壁34)
ケース30の内部には、補助バッテリを収納する収納空間と、鉛バッテリ10の電解液が注液される電解液槽36とを区画するために、仕切壁34が設けられている。仕切壁34は、絶縁性の部材で構成され、好ましくはケース本体32と一体成型により設けられる。
(鉛バッテリ10)
(鉛バッテリ10)
鉛バッテリ10は、基本的に現在利用されている車載用12V鉛バッテリの構成が利用できる。すなわち、定格電圧が2Vの鉛電池セル11を6セル積層し、直列に接続したものが利用できる。このため鉛電池セル11の電極体は、外形を角形で、幅よりも厚さを薄くした薄型としている。なお、本明細書において、電池セルは、電解液と極板等で構成される発電要素の単位の電池を示すものとする。また、各鉛電池セル11は、必ずしも外形が他鉛電池セルと区別できるような個別の部材である必要は無く、ケース内で複数の鉛電池セルが統合された状態で存在していてもよい。特に、本実施例では鉛電池セルが電解液を含むガルバニ電池であることから、電解液を充填する手間等を考えると、ケース内に複数の鉛電池セルを一体的に組み込むことも好適である。一方、補助バッテリについては、他の用途への使用を考慮して、個々の電池セルが外装缶に封入される構成であるため、予めユニット状に纏めておき、ケースに収納する形態が組み立ての作業性等の面から有利となる。
好ましくは、補助バッテリ20を積層しても、既存の車載用12V鉛バッテリとほぼ同じサイズが維持できるよう、各鉛電池セル11の厚さを若干薄くする。これにより、鉛バッテリ10に補助バッテリ20を統合した電源装置の厚さを、既存品とほぼ同程度に維持できる。例えば、鉛電池セル11の厚さを、従来比で6/7にすることで、鉛電池セル11を積層した鉛電池積層体の厚さを鉛電池積層体1枚分削減でき、この分を補助バッテリ20積層用の空間に充てることができる。
また、上述の通り、ケース30の上面には、電源装置100の正負の出力端子12を一対で突出させている。図示はしないが、正極側出力端子12+はケース30の内部で、鉛電池セルの正極側リード板と、負極側出力端子12−は負極側リード板と、それぞれ接続されている。
(補助バッテリ20)
(補助バッテリ20)
補助バッテリ20は、複数の蓄電素子21を略同一平面に配置している。好ましくは、図3〜図4及び図5の垂直断面図等に示すように、蓄電素子21は内ケース22に収納される。この図に示す蓄電素子21は、円筒形の外装缶を有し、長手方向に複数本を接続した蓄電素子組21aを、縦方向に平行に並べて蓄電素子集合体としている。このように同一平面(図3、図4おいて縦方向)に複数本の蓄電素子21を配置することで、蓄電素子集合体を板状あるいは平面状とし、この蓄電素子集合体の厚さを、蓄電素子一本分程度に薄くすることができる。この結果、鉛バッテリ10と積層しても、厚さが増すことを抑えて、電源装置全体の小型化、すなわち既存の車載用12V鉛バッテリと同程度の大きさに抑えることに寄与できる。
(蓄電素子21)
(蓄電素子21)
補助バッテリ20を構成する蓄電素子21は、蓄電可能な部材であり、二次電池セルが好適に利用できる。二次電池セルとしては、ニッケル水素電池が好適に利用できる。特にニッケル水素電池の電源電圧は、1.2Vであるので、10個のニッケル水素電池を直列に接続すれば12Vとなり、電源電圧を12Vとする鉛バッテリ10との並列接続に適合する。図1、図3〜図5の例では、蓄電素子21として、円筒形の外装缶を有する二次電池を備えている。二次電池は、ニッケル水素電池であり、2本の電池セルを長手方向に接続して蓄電素子組21aを形成する。この蓄電素子組21aを5組互いに平行に同一平面上に並べて蓄電素子集合体を構成している。すなわち蓄電素子集合体は、合計10本のニッケル水素電池で構成される。この構成であれば、2本の円筒形ニッケル水素電池を5組、縦方向に並べて薄型の補助バッテリ20を構成できるので、鉛バッテリ10に積層しても厚みが増すことを抑制できる。なお、蓄電素子21をニッケル水素電池とする構成について説明したが、蓄電素子21はリチウムイオン電池等の二次電池を使用することもできる。また、電解二重コンデンサ等の蓄電素子を用いることもできる。蓄電素子を用いる構成であっても、2つの蓄電素子を長手方向に接続して蓄電素子組21aを形成することで、縦方向に並べて薄型の補助バッテリ20を構成できるという同様の効果を得ることができる。
また直列接続する本数を調整することで、補助バッテリ20の電圧を、接続先の鉛バッテリと一致させるように調整できる。例えば、トラック等の大型車両のように、定格電圧を24Vとする鉛バッテリに対しては、ニッケル水素電池の二次電池を20本直列に接続することで、24Vに対応させることができる。このように必要に応じて36V、48V等、ニッケル水素電池を10本単位で、すなわち10n(nは自然数)個を直列に接続することにより、12Vの倍数で出力電圧を調整でき、多くの規格化された電源装置の電圧に適合できる。あるいは、任意のN個(Nはnより大きい自然数)のニッケル水素電池を接続して、1.2V刻みで電池ブロックの総電圧を調整できる。さらにニッケル水素電池を並列接続してもよく、これによって電源装置の電気容量を増加できる。
また円筒形の二次電池セルを蓄電素子21に用いる場合は、各二次電池セルを水平姿勢に配置することが好ましい。これによって各二次電池セルに設けられた安全弁を確実に動作させることができるからである。円筒形の外装缶を用いた二次電池セルは一般に、外装缶の内圧の上昇に応じて開弁する安全弁を、円筒形の一方の端面に設けている。この構造の場合、円筒形の二次電池セルを、底面側に安全弁が面する姿勢で縦置きにすると、外装缶内に充填されている電解液が安全弁の近傍に溜まって、安全弁が開弁した際に電解液が安全弁の開口面積の何割かを塞ぐ状態となることが考えられる。特に、二次電池セルを直列に接続する際は、二次電池セル同士を接続するバスバー24(後述)を短くするため、長手方向の向きが入れ替わる状態となる。このため、二次電池セルを縦置きにすると、何れかの二次電池セルの安全弁が底面側に面する事態が起こり得る。そこで、上述の通り二次電池セルが水平姿勢となるように内ケースやケースで保持することで、このような事態を回避し、安全弁が開弁した際に確実に開口部が確保されるようにして、安全弁の動作の信頼性を高めることができる。特に鉛バッテリについては密閉型のものを除いて一般的に、電解液を充填している関係上、横に倒した姿勢での使用を禁止しているものが殆どであり、このような使用時の姿勢を規定した鉛バッテリに合わせて使用することで、補助バッテリの姿勢も自ずとと規定されることから、信頼性高く使用できる。
以下、本明細書においては円筒形のニッケル水素電池を蓄電素子21として例示する。ただ本発明は蓄電素子をこれに限定するものでなく、例えばリチウムイオン電池やニッケルカドミウム電池等の二次電池、あるいは電気二重層キャパシタ等とすることもできる。またその外形も、円筒形に限らず、角形とした電池セルやキャパシタ等を利用することもできる。リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の非水系電解液二次電池は、鉛バッテリよりも充電抵抗が小さく、軽量で充放電容量を大きくできる。またニッケル水素電池は、充電抵抗が極めて小さく、優れた大電流の充電特性を有する。
また、以上の例では複数の蓄電素子を直列に接続した例を示したが、要求される出力や容量に応じて、蓄電素子を並列に接続したものを組み合わせることもできることはいうまでもない。
(バスバー24)
(バスバー24)
複数の蓄電素子21は、内ケース22に収納される。さらに内ケース22に収納された状態で、蓄電素子21同士はバスバー24によって電気的に接続される。バスバー24は、金属板等導電性に優れた材質で構成される。また、複数の蓄電素子21を直列接続した補助バッテリ20は、回路部40に実装された監視回路によって中間電位を検出し、これを監視することができる。例えば蓄電素子21にリチウムイオン電池を使用する場合は、各蓄電素子の電圧を監視することが好ましい。このため各バスバー24は、回路部40と個別に配線されている。
また、蓄電素子21の温度を検出することも望ましい。このため温度センサを蓄電素子21と熱伝導状態に接続している。また、バスバー24の温度を検出することで、蓄電素子21の温度に代用することもできる。この構成であれば、特に円筒形の蓄電素子を使用する場合には、円筒形の側面よりも平板状のバスバー24を利用して温度センサの接続できることから、接続が容易となって好ましい。さらに監視回路は、補助バッテリ20の電流も監視している。
また、蓄電素子組21aを、2つの蓄電素子21を長手方向に接続して構成することで、蓄電素子21同士の間に挟まれた蓄電素子21が存在することをなくし、各蓄電素子21の端面の一方が必ず、他の蓄電素子21の存在しない開放面となるので、この面からの放熱性を確保できる。
補助バッテリ20は、その総電圧を鉛バッテリ10の総電圧と並列に接続している。具体的には、補助バッテリ20は、直列に接続されている複数の蓄電素子の総電圧を出力する正負の端子部44を形成している。正負の端子部44は、正極側の端子部44+と負極側の端子部44−で構成され、それぞれリード部14+、14−を介して、正極側の出力端子12+、負極側の出力端子12−と接続されている。これにより、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とが並列接続されるようになっている。
また補助バッテリ20の端子部44を設けた面と、鉛バッテリ10の総電圧端子(出力端子12)を設けた面とが、同一面側となるように、鉛バッテリ10と補助バッテリ20の姿勢をケース30内で配置させることにより、リード部14による鉛バッテリ10と補助バッテリ20との配線をより短くでき、もってリード部の電気抵抗による損失を低減できる。
なお図1では、端子部44が円筒状に突出する形状に形成されているが、必ずしも図示される形状に限られず、端子部をバスバーで構成してもよい。また図4に示すように、補助バッテリ20の総電圧(図の例では負極側の端子部44−)と接続されるバスバー25には、ヒューズ29や電流検出のためのシャント抵抗28等が設けられる。さらに図3に示すように、内ケース22の反対側の端子に固定されるバスバー24には、温度センサとしてサーミスタ27が設けられている。このように温度センサを、発熱部材であるヒューズ29やシャント抵抗28とは異なる側に設けることで、より正確な温度検出が期待できる。
また回路部40は、回路基板41を備える。回路基板41は一方向に延長された形状として、長手方向の側面側の一方に、端子コネクタ46を設けている。端子コネクタ46には、バスバー25に設けられるシャント抵抗28やヒューズ29、あるいはバスバー24に設けられるサーミスタ27の信号ラインが接続される。図1、図4に示すように、回路部40をケース30の中心から一方の側面側に偏在させて配置する場合は、ケース30正面の端縁と近い側の側面に、端子コネクタ46を設けることが好ましい。シャント抵抗28による電流検出は、補助バッテリの状態を監視するために重要な要素であり、より高性能な電源装置を提供するためには高い精度が要求される。この構成によると、回路部を熱源となる補助バッテリから遠ざけた位置に配置しながら、電流センサと接続される配線長を短くすることができる。なお、鉛バッテリは、多量の電解液を有しており、熱容量が補助バッテリよりも大きいため、鉛バッテリの方が補助バッテリより温度が相対的に低くなるようになっている。また、回路部40は、蓋部31に設けられている出力端子に近接して配置されることが好ましい。これによって、リード部14で出力端子12と端子部44とを接続する配線作業が容易となり、またケース30の上面側に配置した回路部40との配線長も短くでき、さらに配線作業も容易に行えるようになる。
(内ケース22)
(内ケース22)
内ケース22は、絶縁性に優れた材質、例えば樹脂等で形成される。内ケース22は外形を箱状に形成し、内部に蓄電素子集合体を収納できる空間を形成している。また内ケース22の主面は、角形の鉛電池セル11の電極体の主面とほぼ等しいか、これよりも小さい大きさに形成されている。これによって、補助バッテリ20を層状に鉛バッテリ10と積層した際にブロック状に構成でき、外形をコンパクトにできる。
ケース30内では、その内部で鉛電池セル11と補助バッテリ20とが、互いに平行姿勢となるように積層する。このようにすることで、ケース30の内部に効率よく補助バッテリ20の収納空間を追加できる。また、この構成によれば鉛電池積層体と補助バッテリ20とが、互いの端面がほぼ同一平面に近づくように配置できる。
また、内ケース22は、鉛電池セル11に近接する位置にある壁を、ケース30の内壁に近接する壁よりも熱伝導性を向上させる構成とすることが好ましい。具体的には、材質を異ならせたり、壁の厚さを異ならせたりすることで、実現できる。上述の通り、鉛バッテリは、補助バッテリよりも低温になるため、この構成とすることで、補助バッテリの発熱を鉛バッテリの電解液を介して冷却することができる。
(補助バッテリ20の位置)
(補助バッテリ20の位置)
平面状の補助バッテリ20を鉛電池セル11と積層する際は、図6の平面図に示すように、鉛電池積層体の端面に配置される。これにより、積層済みの鉛電池積層体に対して、補助バッテリ20を同様に層状に追加的に積層でき、外形もコンパクトにできる。特に上述の通り、補助バッテリ20の主面の大きさを、鉛電池セル11の主面の大きさ以下にすることで、鉛電池積層体に補助バッテリ20積層後のバッテリ積層体の主面のサイズが肥大化することを避けることができる。
また、ケース30内において、ケース30内面と鉛バッテリ10との間に、補助バッテリ20を配置できるので、既存の鉛バッテリの設計を大きく変えることなく、補助バッテリ20を追加して一体的に形成しやすくできる。特に上述の通り、鉛電池積層体の全体の厚さを、従来の鉛電池積層体よりも薄くし、鉛電池セル一層分の厚さ分だけ空間を設け、補助バッテリ20の厚さをこの空間内に収めることができれば、電源装置の奥行き方向の厚さを、従来の車載用12V鉛バッテリと同等に維持することができ、既存の車載用12V鉛バッテリとの交換用に本実施例に係る電源装置を利用できる利点が得られる。
このような電源装置を、車両のエンジンルーム内に配置する状態を考える。通常、車両のエンジンルームには車載用12V鉛バッテリを配置するためのスペースが設けられているため、この位置に配置することで、通常の鉛バッテリに加えて、補助バッテリ20も同時に設置できる。
この際、図8の模式平面図に示すように、電源装置100をエンジンルーム内に配置した状態で、補助バッテリ20が、エンジンの位置から見て遠い側に配置される姿勢で固定することが好ましい。これによって、補助バッテリ20がエンジンの発熱に直接晒されることを避け、補助バッテリ20をエンジンの発熱から保護できる。
ただ、補助バッテリ20の位置は必ずしも鉛電池積層体の端面に限られず、鉛電池セルの積層体の間に介在させるように配置することもできる。特に鉛電池セルは、希硫酸等の電解液を充填しているため、水分の熱容量によって熱の吸収効果が高い。このため、補助バッテリの両側側面を、このような鉛電池セルで挟み込むことによって、補助バッテリの冷却効果を高め、さらに外部からの熱の影響も低減できる。特に車両のエンジンルームに電源装置を配置する環境下においては、周囲環境の熱から補助バッテリを保護する必要もある。このため、鉛電池セルを補助バッテリの周囲に配置することで、補助バッテリの冷却に鉛電池セルを利用するができる。
この場合に、一方向に延長された形状に形成されたケース30の、長手方向の一方側に偏在させて補助バッテリを配置している場合は、上記図8と同様に、電源装置をエンジンルーム内に配置した状態で、補助バッテリが、エンジンの位置から見て遠い側に配置される姿勢で固定することが好ましい。補助バッテリをエンジンから遠い側に置くことで、補助バッテリをエンジンの発熱から保護できる。
(実施例2)
(実施例2)
一方で、鉛電池積層体の中央に、補助バッテリを配置することもできる。補助バッテリの両側に同数の補助バッテリを配置することで、補助バッテリの両面から均等に放熱を図ることができ、劣化の偏りを低減することができる。このような例を、実施例2に係る電源装置300として図10の模式平面図に示す。この例では、1セル当たりの定格電圧が2Vの鉛電池セル11を6枚使用して総電圧12Vの出力を得ているので、鉛電池積層体を3層ずつに二分割できる。すなわち、ケース30の内部を仕切壁34で7つの区画空間に区分し、その中央を補助バッテリ収納空間として、ここに補助バッテリ20を収納すると共に、補助バッテリ20を収納した補助バッテリ収納空間の両側にそれぞれ3個の電解液槽36を形成して鉛電池セル11を配置することで、放熱性を高め、また重心もとりやすくなり設計上のバランスを図ることができる。また、図8のように電源装置を車両のエンジンルーム95内に配置する際に、電源装置の方向を意識せずとも済む利点も得られる。
この例では、各区画空間の厚さを、ほぼ一定に形成している。これにより、ケース30をバランスよく形成でき、強度もほぼ均一にできる。各区画空間には、希硫酸が充填されて、図2の分解斜視図に示すように電極体がそれぞれ挿入されて、鉛電池セル11が構成される。なお、鉛電池セル11は、構造上別部材の鉛電池セルを物理的に積層する態様の他、予め仕切壁が一体に形成されたケース本体に纏めて電極体を挿入して、鉛電池積層体として一体的に構成する態様も含み、本明細書においてはいずれの場合も得られた鉛電池積層体は、鉛電池セルを積層しているものとして扱う。
またケース30の外壁33の肉厚d1は、図6の断面図に示すように仕切壁34の肉厚d2よりも厚く形成することが好ましい。このような構成によりって、ケース30の断熱性を高めて内部の補助バッテリ20を保護すると共に、ケース30の内部では、補助バッテリ20と鉛バッテリ10とを熱伝導し易くして、補助バッテリ20の放熱を促進できる利点が得られる。特に高温のエンジンルーム95内に配置された場合、ケース30の外壁33でもって断熱性を高めて内部の補助バッテリ20等を環境温度から保護しつつ、ケース30の内部においては仕切壁34を薄くして、補助バッテリ20から鉛バッテリ10側への放熱性を高めている。
内ケース22には、図2等に示すように複数箇所に開口窓26を設けてもよい。開口窓26から蓄電素子21を部分的に表出させることで、蓄電素子21の放熱性を高めることができる。
(変形例)
(変形例)
さらに、図3、図4等の例では、蓄電素子21を内ケース22に収納した例を示したが、内ケースは必ずしも必須でなく、図9の変形例に係る電源装置200の斜視図に示すように、省略することもできる。この場合は、蓄電素子21同士をバスバー24等を介して機械的に接続し、さらにケース30の内壁に、このような蓄電素子集合体を保持する機構を設ける。これにより、内ケースを無くした分、樹脂製の内ケースによる熱伝導率の低下を避けて放熱性を一層高め、また部品数の低減による薄型化と低コスト化が図られる。
(回路図)
(回路図)
以上の電源装置100を、車両に載置したシステム例を図11に示す。この図に示す車両は、エンジン96で車輪97を駆動して走行する。この電源装置100は、上述の通り鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを並列に電気接続している。またこの電源装置100は、鉛電池とサブバッテリの並列接続の間に、一時的に回路を切り離す遮断機構60を備えている。具体的には、鉛バッテリ10と補助バッテリ20は、それぞれ鉛バッテリ用遮断スイッチ61、補助バッテリ用遮断スイッチ62を介して、リード部14で並列接続している。各遮断スイッチをONすると、鉛バッテリ10と補助バッテリ20の電圧は等しくなる。このような遮断スイッチは、リレーや半導体スイッチング素子等のスイッチング素子が利用できる。また遮断スイッチのON/OFFの切替制御は、回路部40に設けられた制御回路48によって行われる。
図11の電源装置100は、好ましくは回生制動とアイドリングストップする車両に搭載される。この電源装置100は、鉛バッテリ10と補助バッテリ20とを備える。鉛バッテリ10と補助バッテリ20は、並列に接続されて、車両のオルタネータ52でもって、回生制動発電で充電される。回生発電電力は、鉛バッテリ10と補助バッテリ20の両方を充電する。さらに、並列に接続される鉛バッテリ10と補助バッテリ20は、車両のエンジン96を始動するスターターモータ54と電装機器50とに電力を供給する。アイドリングストップする車両に搭載される電源装置100は、鉛バッテリ10と補助バッテリ20の両方からスターターモータ54に電力を供給する。
アイドリングストップする車両は、メインスイッチであるイグニッションスイッチをオンに保持する状態において、信号待ち等ではエンジン96を停止させて燃費効率を改善する。この車両は、信号が変わるとエンジン96を再始動して走行する。このため、アイドリングストップする毎にスターターモータ54に電力が供給される。なお、回生制動し、かつアイドリングストップする車両は、大きなオルタネータを備えている。このオルタネータは、エンジンを再始動するモータにも兼用される。したがって、エンジンの再始動は、スターターモータによらず、このオルタネータをモータとして使用することもできる。したがって、本明細書において、スターターモータとは、エンジンを再始動するモータに兼用されるオルタネータを含む広い意味で使用する。
回生制動する車両は、減速するときの運動のエネルギーでオルタネータ52を回転する。回生制動状態において、車輪97がエンジン96を回転し、エンジン96がオルタネータ52を回転する。オルタネータ52の回転トルクは、エンジン96を介して車両を制動して減速する。オルタネータ52が回生制動して発電する電力は、車両の運動のエネルギーに比例して大きくなる。車両の運動のエネルギーは、車両の重量と速度の自乗の積に比例して大きくなる。たとえば、60Km/時で走行する1トンの車両は、約40Whの運動のエネルギーを有する。運動のエネルギーの50%の効率でバッテリを充電できると仮定すれば、60Km/時で走行している普通車は、1回の信号待ちで停止する毎に、20Whもの電力でバッテリを充電できる。したがって、仮に60Km/時で走行している車両が、たとえば、20秒で停止して、一定の電流で15Vのバッテリを充電するとすれば、回生制動時のオルタネータ52の出力電流は240Aと極めて大きくなる。
以上のように、回生制動は、車両が停止するまでの極めて短い時間において、オルタネータ52の出力電流が極めて大きな電流となることから、回生制動で発電するオルタネータ52の出力をいかに効率よく蓄電できるかが大切である。図11の電源装置100は、回生発電電力効率よく蓄電するために、鉛バッテリ10と並列に補助バッテリ20を接続している。補助バッテリ20は、回生発電電力の大電流で効率よく充電されるように、鉛バッテリ10よりも充電抵抗の小さい二次電池である。この二次電池はニッケル水素電池2Aである。ニッケル水素電池2Aは、定格電圧を1.2Vとするので、これを10個直列に接続して、補助バッテリ20の定格電圧を12Vにできる。ニッケル水素電池2Aの補助バッテリ20は、定格電圧を鉛バッテリ10の定格電圧と同じにできるので、DC/DCコンバータ等の電圧を調整する回路を介在することなく、鉛バッテリ10と並列に接続できる。
充電抵抗が鉛バッテリ10の充電抵抗よりも小さい補助バッテリ20は、鉛バッテリ10と並列に接続されて、回生発電時の充電電流を鉛バッテリ10よりも大きくする。この電源装置100は、補助バッテリ20の充電抵抗を小さくして、回生制動時の補助バッテリ20の充電電流を大きくし、鉛バッテリ10の充電電流を小さくする。鉛バッテリ10の大電流充電による劣化は、補助バッテリ20の充電電流を大きくし、鉛バッテリ10の充電電流を小さくして少なくできるので、補助バッテリ20の充電抵抗を小さくすることで、鉛バッテリ10の劣化を少なくできる。
さらに、補助バッテリ20は、鉛バッテリ10よりも温度上昇に対して放電抵抗が低下する割合を大きくしている。車両を走行させる状態で補助バッテリ20の放電抵抗を小さくして鉛バッテリ10からのスターターモータ54への大電流放電を抑制するためである。さらに、補助バッテリ20は、イグニッションスイッチをオン状態として、車両が回生制動とアイドリングストップを繰り返しながら走行する状態で、速やかに放電抵抗を小さくするために、熱容量を鉛バッテリ10の熱容量よりも小さくしている。熱容量は、補助バッテリ20の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量で、比熱と重量の積で特定される。熱容量が鉛バッテリ10より小さい補助バッテリ20は、発熱量に対する温度上昇が鉛バッテリ10よりも大きく、回生制動や再始動の大電流の発熱によって温度上昇が大きくなる。
鉛バッテリ10は、定格2Vの鉛電池セル11を6セル、直列に接続して定格電圧を12Vとしている。ただ、本発明は鉛バッテリの定格電圧を12Vには特定しない。2個の鉛バッテリを直列に接続して定格電圧を24Vとし、または3個の鉛バッテリを直列に接続して36V、4個の鉛バッテリを直列に接続して48Vとして使用することもできるからである。従来の電装機器は、12Vの電源電圧で動作するように設計されているが、24V〜48Vの鉛バッテリを搭載する車両は、この電圧で動作する電装機器を搭載する。
補助バッテリ20は、充放電の効率を改善し、かつ鉛バッテリ10の劣化を防止するために並列に接続される。補助バッテリ20は、鉛バッテリ10と並列に接続されて、同じ電圧となる。この状態において、補助バッテリ20と鉛バッテリ10との充放電の電流バランス、すなわち適合性が大切である。適合性が悪いと、鉛バッテリや補助バッテリのみが充電されたり、あるいは鉛バッテリや補助バッテリのみが放電されたりするため、両方を並列に接続しても、充放電の効率を改善できず、また鉛バッテリの寿命も効果的には長くできなくなる。
鉛バッテリ10と補助バッテリ20の適合性は、補助バッテリ20の開路電圧−放電深度特性をコントロールして実現する。補助バッテリ20の開路電圧−放電深度特性は、たとえば、ニッケル水素電池においては正極の亜鉛量等で調整できる。
電源装置100は、従来の車載用12V鉛バッテリと同様、車両のエンジンルームに収納されている。鉛バッテリ10のみならず、補助バッテリ20もエンジンルームといった高温環境で使用されることから、高温耐久性能を得るために、蓄電素子21にニッケル水素電池を用いる場合、電池セルの外装缶に含まれる電解液は、タングステム化合物、モリブデン化合物、ニオブ化合物のいずれか1種以上の化合物を含有している。この構成により、高出力(低抵抗)に加えて、エンジンルームに設置した場合においても耐え得る高温耐久性能を有する電源装置100を提供することができる。また制御回路48は、補助バッテリ20が、75℃の温度環境まで充放電を許容することが好ましい。
以上の電源装置100は、回生制動によらずエンジン96でオルタネータ52を駆動して充電する車両においても、燃費効率を改善できる。それは、鉛バッテリ10の最大で8倍もの電力を、補助バッテリ20に充電できるからである。車両のオルタネータ52は、鉛バッテリ10の劣化を防止するために、オルタネータ52が鉛バッテリ10を充電する電流は小さく、大電流では充電されないように構成される。したがって、車両には出力電流を100Aとするオルタネータ52が搭載されても、このオルタネータ52が100Aで鉛バッテリ10を充電することはなく、オルタネータ52は電装機器50に電力を供給するために出力電流を大きくしている。このオルタネータ52が電源装置100を大電流で充電できることは、車両の燃費効率を改善することに有効である。それは、オルタネータ52を高い発電効率の領域で運転し、かつエンジン96も燃料消費率の小さい領域で運転できるからである。オルタネータ52は軽負荷での発電効率が低く、エンジン96は軽負荷での燃料消費率が大きくなるからである。
さらに、この電源装置100を用いた車両は、回生制動の発電電力を鉛バッテリ10のみでなく、補助バッテリ20に充電して鉛バッテリ10を大電流充電から保護し、またオルタネータ52で充電されない状態では、鉛バッテリ10のみでなく充電された補助バッテリ20から電装機器50に電力を供給するので、鉛バッテリ10を充電と過放電から防止して、寿命を長くできる。
また、電源装置100から車両側への放電は、主に車両側の電装機器50に対して行われる。ただ、電源装置から車両側への放電は、電装機器への給電のみに限られず、車両の動力すなわち駆動用モータへのアシスト用途としても利用できる。
以上のように、車載用の電源装置によれば、鉛バッテリに、これと並列接続された補助バッテリを統合した蓄電池システムとして、鉛バッテリと補助バッテリとを仕切壁を介して同一のケース内に収納することにより、従来並列接続用のハーネスによって生じていた抵抗ロスを抑えて、高出力用途に使用可能で、生産性とコストで優れた蓄電池システムを提供できる。またケースの内部空間は、鉛電池セルが占有する6つの電解液槽と、補助バッテリが占有する1つの部分に分割できる。特に補助バッテリの空間の左右に、鉛電池セルの空間を配置すれば、補助バッテリへのエンジンルームからの熱の影響を抑えることができるので、補助バッテリの安定性を向上させ、長期間にわたって使用することが可能となる。また、鉛バッテリと補助バッテリと個別に制御することで、より高い性能を引き出すことができる。このため補助バッテリには、電圧、電流、温度等のセンサと、それを制御する制御回路を設けることが望ましい。このとき、鉛バッテリと補助バッテリの間に遮断機構を備えて、鉛バッテリと補助バッテリを使い分けることによって、より高い性能が得られる。
本発明に係る車両用の電源装置及び電源装置を備える車両は、車両の電装用バッテリや補機バッテリとして好適に利用できる。特に、回生制動で鉛バッテリを充電するアイドリングストップ機能を備えた車両に適用すると、鉛バッテリの負荷を軽減できる。
100、100’、200、300…電源装置
10、10’…鉛バッテリ
11…鉛電池セル
20、20’…補助バッテリ
12…出力端子;12+…正極側出力端子;12−…負極側出力端子
14、14+、14−…リード部
21…蓄電素子;21a…蓄電素子組
22…内ケース
24…バスバー
25…バスバー
26…開口窓
27…サーミスタ
28…シャント抵抗
29…ヒューズ
30、30’…ケース
31…蓋部
32…ケース本体
33…外壁
34…仕切壁
36…電解液槽
40、40’…回路部
41…回路基板
42…カバー部
44…端子部;44+…正極側端子部;44−…負極側端子部
46…端子コネクタ
48…制御回路
50…電装機器
52…オルタネータ
54…スターターモータ
60…遮断機構
61…鉛バッテリ用遮断スイッチ
62…補助バッテリ用遮断スイッチ
95…エンジンルーム
96…エンジン
97…車輪
1000…車両
1001…エンジンルーム;1002…トランクルーム;1003…キャビン
1004…ハーネス
1010…鉛バッテリエンジンルーム;1020…補助バッテリ
10、10’…鉛バッテリ
11…鉛電池セル
20、20’…補助バッテリ
12…出力端子;12+…正極側出力端子;12−…負極側出力端子
14、14+、14−…リード部
21…蓄電素子;21a…蓄電素子組
22…内ケース
24…バスバー
25…バスバー
26…開口窓
27…サーミスタ
28…シャント抵抗
29…ヒューズ
30、30’…ケース
31…蓋部
32…ケース本体
33…外壁
34…仕切壁
36…電解液槽
40、40’…回路部
41…回路基板
42…カバー部
44…端子部;44+…正極側端子部;44−…負極側端子部
46…端子コネクタ
48…制御回路
50…電装機器
52…オルタネータ
54…スターターモータ
60…遮断機構
61…鉛バッテリ用遮断スイッチ
62…補助バッテリ用遮断スイッチ
95…エンジンルーム
96…エンジン
97…車輪
1000…車両
1001…エンジンルーム;1002…トランクルーム;1003…キャビン
1004…ハーネス
1010…鉛バッテリエンジンルーム;1020…補助バッテリ
Claims (24)
- 複数の鉛電池セルを含む鉛バッテリと、
複数の蓄電素子を含む補助バッテリと、
前記鉛バッテリ及び前記補助バッテリを収納するケースと、
前記ケースを閉塞する蓋部と、
前記蓋部に設けられ、前記鉛バッテリの電力を出力する一対の出力端子と、
前記補助バッテリと前記一対の出力端子に接続され、前記鉛バッテリ及び前記補助バッテリを並列に電気接続するリード部と
を備えることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1に記載の車載用の電源装置であって、さらに
前記蓋部に配置されて、電圧を監視する電圧検出回路を含む回路基板を備えることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1又は2に記載の車載用の電源装置であって、
前記ケースは、
前記複数の鉛電池セルが封入される複数の電解液槽と、
前記蓄電素子が配置される収納空間とを含み、
前記収納空間は、前記複数の電解液槽の内少なくとも一の電解液槽に対して隣接して配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項3に記載の車載用の電源装置であって、
前記蓄電素子は、発電要素が封入される外装缶を有しており、
前記車載用の電源装置はさらに、前記外装缶を保持し、前記収納空間に配置される内ケースを備えることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項3又は4に記載の車載用の電源装置であって、
前記収納空間及び前記複数の電解液槽は、それぞれ扁平な直方体形状に形成されると共に、主面を対向させるように並べて配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項3〜5のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記ケースは、複数の仕切壁を有し、
前記複数の仕切壁は、前記ケース内において、前記収納空間と前記複数の電解液槽とを区画することを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項6に記載の車載用の電源装置であって、
前記ケースが、絶縁性の部材で構成されると共に、
前記ケースの外形の肉厚が、前記仕切壁の肉厚よりも厚く形成されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項5に記載の車載用の電源装置であって、
前記鉛バッテリは、前記鉛電池セルを6つ含んでおり、
前記ケースは、前記電解液槽を6つと、一の前記収納空間を有すると共に、
前記収納空間は、少なくとも2つの前記電解液槽に対して隣接して配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項8に記載の車載用の電源装置であって、
前記補助バッテリは、前記ケースの中央に配置されると共に、前記補助バッテリの両側にそれぞれ3個の鉛電池セルが配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜9のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記蓄電素子は、外装缶を円筒形とし、円筒形の端面に、前記外装缶の内圧の上昇に応じて開弁する安全弁を備える二次電池セルであることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜10のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記蓄電素子が、ニッケル水素電池であることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項11に記載の車載用の電源装置であって、
前記補助バッテリは、ニッケル水素電池を、10n(nは自然数)個、直列に接続してなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項12に記載の車載用の電源装置であって、
前記補助バッテリは、前記ケース内において、複数の蓄電素子を水平姿勢で保持させてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜10のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記蓄電素子が、リチウムイオン電池又はキャパシタであることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜14のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記補助バッテリは、複数の蓄電素子をバスバーでもって接続しており、
前記バスバーの温度を検出して、蓄電素子の温度を検出してなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜15のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記補助バッテリが、75℃の温度環境まで充放電を許容してなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜16のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、さらに
前記補助バッテリと前記鉛バッテリとの電気接続を遮断するための補助バッテリ用遮断スイッチを備えており、
前記回路部には、
前記補助バッテリの電圧、電流、又は温度を検出するセンサと、
前記センサの検出結果を用いて、前記補助バッテリ用遮断スイッチのONとOFFを切り替える制御回路が備えられてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜17のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記ケースが、既存の車載用12V鉛バッテリと同様の外形及び大きさに形成されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜18のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記ケースが、一方向に延長された形状に形成されており、
前記ケース内で、前記補助バッテリが長手方向の一方に偏在して配置されており、
前記ケースを車両のエンジンルーム内に配置した状態で、前記補助バッテリが、エンジンルーム内のエンジンの位置から見て遠い側に配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜19のいずれか一に記載の車載用の電源装置であって、
前記回路部の一方の側面に、前記補助バッテリの端子と接続するための端子コネクタを設けており、
前記補助バッテリの端面と同じ側に面する姿勢で配置されてなることを特徴とする車載用の電源装置。 - 請求項1〜20のいずれか一に記載の車両用の電源装置であって、さらに
前記鉛電池と前記仕切壁の並列接続の間に、一時的に回路を切り離す遮断機構を備えることを特徴とする車両用の電源装置。 - 請求項1〜21のいずれか一に記載の車両用の電源装置であって、
アイドリングストップ機能を有する車両に搭載可能であり、該車両の回生発電の電力でもって、前記鉛バッテリと補助バッテリの両方を充電可能としてなることを特徴とする車両用の電源装置。 - 請求項1〜22のいずれか一に記載の電源装置を備える車両であって、
車両を走行させるエンジンと、
前記エンジン及び電源装置を搭載してなる車両本体と、
前記エンジンで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪と
を備え、
電源装置は、車両のエンジンルームに配置されることを特徴とする車両。 - 請求項1〜23のいずれか一に記載の電源装置を備える車両であって、
車両を走行させるエンジンと、
前記エンジンで駆動され、かつ車両の回生制動で駆動されるオルタネータと
を備え、
前記オルタネータで、回生制動時に電源装置を充電するアイドリングストップ機能を有することを特徴とする車両。
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