JP2014175083A - 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具 - Google Patents

成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具 Download PDF

Info

Publication number
JP2014175083A
JP2014175083A JP2013044327A JP2013044327A JP2014175083A JP 2014175083 A JP2014175083 A JP 2014175083A JP 2013044327 A JP2013044327 A JP 2013044327A JP 2013044327 A JP2013044327 A JP 2013044327A JP 2014175083 A JP2014175083 A JP 2014175083A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
underwater
case
filler
heat sink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013044327A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5553290B1 (ja
Inventor
Hideki Uema
英樹 上間
Masaji Furukawa
正司 古川
Makoto Sekine
誠 関根
Masahito Hatori
仁人 羽鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Marine Comms Ryukyu Inc
Original Assignee
Marine Comms Ryukyu Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Marine Comms Ryukyu Inc filed Critical Marine Comms Ryukyu Inc
Priority to JP2013044327A priority Critical patent/JP5553290B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5553290B1 publication Critical patent/JP5553290B1/ja
Publication of JP2014175083A publication Critical patent/JP2014175083A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement Of Elements, Cooling, Sealing, Or The Like Of Lighting Devices (AREA)
  • Non-Portable Lighting Devices Or Systems Thereof (AREA)
  • Insertion, Bundling And Securing Of Wires For Electric Apparatuses (AREA)
  • Casings For Electric Apparatus (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】水中器具のケーシング間の防水機構として、いわゆるOリングが一般的に用いられ、また、照明に用いられるLED発光素子の熱による劣化を防止するため、放熱のためのヒートシンクには熱伝導性に優れたアルミニウム等が一般的に用いられている。このためOリング劣化等によるケーシング内部への浸水、アルミニウムの海水腐食、異種金属接触腐食等の問題が生じている。
【解決手段】ケーシング間の防水機構として特性の異なる二以上の接着剤を使用して接着する方法を採用し、熱伝導性に優れたアルミニウム製のヒートシンク代替として高熱伝導性樹脂(熱伝導性を有するフィラーを含む熱可塑性樹脂)製のヒートシンクを採用することにより、上記の課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水中での使用を可能にするため、防水機構として、成形された熱可塑性樹脂(高熱伝導性樹脂を含む)同士を、接着剤を使用して接着する方法及び該接着方法により提供される水中器具に関するものであり、好適には水中照明器具のケーシング(透光性カバー、ケース及び/又はヒートシンク)間を、接着剤を使用して接着する方法及び該接着方法により提供される水中照明器具に関するものである。
水中照明器具のケーシング(透光性カバー、ケース及び/又はヒートシンク)間の防水機構としては、弾性材料をリング状に形成した、いわゆるOリングなどのシールパッキンが一般的に用いられている。
また、近年、水中照明器具の照明素子として、LED等の半導体で構成された発光素子が使用されているが、LED発光素子照明の熱による劣化が問題となっている。LED素子は一般的に100℃以上の高温になると劣化し、寿命が短くなることが知られている。そのため、LED照明器具は熱伝導性に優れたヒートシンクによる放熱によって発光素子の温度上昇を抑制することが一般的であり、ヒートシンクには熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属を使用しているのが一般的である。(例えば、特許文献1乃至特許文献3)。
特開2003−178602号公報 特開2008−071651号公報 特開2012−123947号公報
しかしながら、前記特許文献1乃至特許文献3に記載されている、ケーシング(透光性カバー、ケース及び/又はヒートシンク)間の防水機構として、シリコンゴム等の弾性に富む材料をリング状に形成した、いわゆるOリングなどのシールパッキンが一般的に用いられているが、防水機構の保守、点検が不十分となると、Oリングの経年劣化による精度不良、異物噛み込み等が起こり、ケーシング内部に浸水してしまうという問題がある。
更に、ヒートシンクに熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属を使用する場合、海水によるアルミニウムの腐食が生じ、ヒートシンク(又はケーシング)の寿命が短くなる。また、アルミニウム製のヒートシンク(又はケーシング)にステンレス製のビス等を使用する場合には異種金属接触腐食により、ヒートシンク(又はケーシング)の寿命を短くするという問題がある。
本発明は、これらを含め、上記の問題を解決すべく、防水機構としていわゆるOリングを採用せず、ヒートシンクとして、熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属を使用しない、熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具、好適には水中照明器具を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、防水機構として、熱可塑性樹脂同士(ケーシング間)の接着する突合せ面の接着長さを規定するとともに、特性の異なる二以上の接着剤を使用する接着方法を見出すことにより、また、熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属製のヒートシンク代替として高熱伝導性樹脂(熱伝導性を有するフィラーを含む熱可塑性樹脂)製のヒートシンクを採用することにより、上記の課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)成形された二以上の熱可塑性樹脂製の、水中器具に用いられるケースを接着する方法であって、接着する突合せ面の接着長さを水中器具のケース板厚の2.0倍以上又は10mm以上のいずれか長い方の長さとするとともに、特性の異なる二以上の接着剤を使用して接着することに特徴を有する水中器具の接着方法、
(2)接着剤は、硬さ(ロックウエル硬度)の範囲がM80〜125である硬質接着剤と硬さ(ショアーA硬度)の範囲が30〜80である軟質接着剤を使用し、下記に定義する硬質接着剤の接着長さ比を60〜80%の範囲とすることに特徴を有する(1)項に記載の水中器具の接着方法、
Figure 2014175083
(3)接着する突合せ面の形状を本実加工又は相じゃくり加工とすることに特徴を有する(1)項又は(2)項に記載の水中器具の接着方法、
(4)(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の接着方法を用いてなる水中器具、
(5)透光性カバー、ヒートシンクは、それぞれ透明性樹脂、高熱伝導性樹脂で構成され、回路側空間には熱伝導性・絶縁性充填剤を充填することに特徴を有する(4)項に記載の水中照明器具、及び
(6)ケースから外部電源用ケーブルを導出する箇所を、特性の異なる二以上の接着剤によって充填することに特徴を有する(4)項又は(5)項に記載の水中照明器具、
を提供するものである。
本発明の成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具によれば、Oリング劣化等による浸水の生じない、海水によるアルミニウムの腐食、異種金属接触腐食の生じない水中器具を提供することができる。
本発明の水中器具の接着方法は、カメラやビデオカメラなどの撮像機器を、水中での使用を可能とするためのハウジング(防水ケース、防水プロテクターとも称される)に適用することができるとともに、好適には水中照明器具に適用することができる。
すなわち、本発明のケーシング間に接着剤を使用した接着方法により提供される水中照明器具は、Oリングなどのシールパッキンを使用した場合に、必要なメンテナンスを省略したメンテナンスフリーを実現するものであるとともに、水中で使用することが前提であり、高熱伝導性樹脂製のヒートシンクによる発光素子の冷却効率が高いため、発光素子の過熱を防止して発光素子の破壊や寿命の短縮を防止することから、LED発光素子の長寿命のメリットを生かしたものである。
(a)は、本発明の水中照明器具の第1の実施形態に関する断面図である。(b)は、右側面図である。 本発明の水中照明器具の第1及び第2の実施形態に関する、熱可塑性樹脂同士(ケーシング間)の接着剤を使用して接着する面の断面形状を示す模式図である。 潜水時又は浮上時に透光性カバーの受ける水圧と接合部にかかる力を示す模式図である。 (a)は、本発明の第1の実施形態に関する水中照明器具(図1)の模式図である。(b)は、本発明の第2の実施形態に関する水中照明器具の模式図である。
<定義>
本書で「高熱伝導性樹脂」とは、熱伝導性を有するフィラーを含む熱可塑性樹脂である。例えば、熱伝導率が12W/mK(代表値)程度の樹脂を含む。「透明性樹脂」とは透明で、例えば、全光線透過率が約88%(代表値)程度以上のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を含む。
「透明性充填剤」とは、透明な充填剤で、全光線透過率が88%(代表値)程度のシリコン樹脂を含み、「熱伝導性・絶縁性充填剤」とは、熱伝導性フィラー含有のシリコン系樹脂で、熱伝導率が2W/mK(代表値)程度、体積抵抗率が4×1013Ω・m(代表値)程度の充填剤を含み、これらの充填剤は、各空間に液体で注入し、室温以上で固化する特性を有する。
また、「接着する突合せ面の接着長さ」とは、接着剤を使用して接着する突合せ面の断面形状の各辺の長さの合計を云い、「外部電源用ケーブルの接着長さ」とは、外部電源用ケーブルとケース間の接着剤層の充填長さを云う。
以下、添付の図面を参照して、本発明の水中器具、一つの具体的実施例としての水中照明器具の実施の形態の説明を行うが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されない。
まず、図1を参照して本発明の水中照明器具の第1の実施形態を説明する。
水中照明器具1は、ケーシング2として、透光性カバー3、ヒートシンク4及びケース5とを有し、円錐状(ヒートシンク側開口部形状は角丸長方形、電源ケーブル側開口部形状は円形)に形成されたケース5と、開口部形状が角丸長方形に形成された透光性カバー3とが、ヒートシンク(開口部形状は角丸長方形)4を介して一体的に結合されている。
開口部の形状は、角丸長方形としているが、円形、楕円形でもよく、ケーシングに水圧が加わっても歪が生じないようにするため、位置関係や大きさが軸対称や線対称の形状となすように設けられることが望ましい。
ヒートシンク4にはLED基板6が設けられ、LED基板6には複数個のLED発光素子7が実装されており、ケース5にはLED発光素子を発光させるための発光回路(基板)8及び外部電力を供給するための外部電源用ケーブル9が設けられ、外部電源用ケーブル9はケース5に設けられた防水コネクタ10を通して外部に導出されている。
図1は、バッテリーとライトの部分が別々に構成されているセパレートタイプの例を示しているが、いわゆるワイヤレス給電システムの利用が可能であるならば、バッテリーをケース5に内蔵したバッテリー部とライト部が一体となった水中照明器具を構成することもできる。
前記透光性カバー3は、光源としてのLED発光素子の発する光束を透過して照射するため、透明性樹脂で構成されており、ヒートシンク4及びLED基板6は、従来、用いられている熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属の代替として高熱伝導性樹脂で構成されている。なお、海水に接することのないLED基板6は、従来通り熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属を用いることもできる。
更にケース5も熱可塑性樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)で構成され、これらのケーシング間(透光性カバー3とヒートシンク4の間、ヒートシンク4とケース5の間)は、防水機構として、以下に述べるように、水中照明器具のケーシング間の接着長さ、すなわち接着する突合せ面の接着長さを規定するとともに、特性の異なる二以上の接着剤を使用して接着する等の接着方法を採用している。
水中器具には、潜水時及び浮上時に急激な水圧(圧力)変動が負荷される。これにより「ひずみ」分布に変動が生じ、ひずみによって生じる内部応力により接着剤を使用した接着部にクラックが発生し、水中器具への浸水が発生する現象が生じるものと考えられるが、本発明は、この水圧変動に対応可能な、接着部のクラックを防止する接着方法を提供するものである。
ここで、急激な水圧変動の最大を10m/分であるとしたが、これは人体に影響を与えない最大の潜水・浮上速度(レジャーダイビング認定普及協議会(Cカード発行組織10社による構成団体)で提唱されている減圧症予防最大速度)であり、この潜水・浮上速度に耐えうる接着剤を使用して接着する方法を提供するものである。
なお、各使用する材料の異なる線膨張係数による熱応力の影響も考えられるが、水中にて使用する照明器具であり、ヒートシンクによる放熱により、発光素子の温度上昇も抑えられており、その影響は小さいものと考えられる。
特性の異なる二以上の接着剤は、接着剤の硬さ(ロックウエル硬度)の範囲がM80〜125であるエポキシ系硬質接着剤と硬さ(ショアーA硬度)の範囲が30〜80であるウレタン系軟質接着剤を標準として使用するが、必要に応じて、更に軟質で、接着剤の硬さ(ショアーA硬度)の範囲が5〜25のシリコーン系軟質接着剤を使用しても良い。
硬さ範囲が30〜80(ショアーA)である軟質接着剤としては、マクネット(McNETT)、アクアシール等が好適であり、硬さ範囲が5〜25(ショアーA)である更に軟質の接着剤としては、薩摩総研株式会社、RZ等が好適であり、硬質接着剤としては、エポキシ樹脂にフィラーを配合することにより硬さの調整が可能である。
この軟質接着剤及び硬質接着剤の相互作用により、急激な潜水・浮上による圧力変動により生じる、ケーシングに与えられる変動を吸収して、接着部からの浸水を防止していると考えられる。
ケーシング間の接着長さ(接着する突合せ面の接着長さ)は、上記硬質接着剤で接着する接着長さ及び軟質接着剤で接着する接着長さの合計の長さであり、この接着長さを水中器具のケース板厚の2.0倍以上又は10mm以上のいずれか長い方の長さとするとともに、下記に定義する硬質接着剤の接着長さ比(以下、接着長さ比という)を60〜80%の範囲とする。
Figure 2014175083
硬質接着剤の接着長さ比が60%より低い場合は、水中照明器具の接着部に加えられる水圧変動に対して耐えられずに、ケーシングの接着部にクラック(軟質接着剤部分への荷重が高くなり、軟質接着剤部分が剥離することによるクラック)が入るためであり、80%より高い場合では、軟質接着剤と硬質接着剤の相互作用による、圧力変動吸収能が不足して、急激な水圧変動に追随できずに接着部にクラックが発生するためである。
このような軟質接着剤と硬質接着剤の適用目的から、軟質接着剤はケーシングの外部側(海水に接する側)に使用することが望ましい。また、上述のごとく更に軟質の接着剤を必要に応じて適用することができる。
接着する突合せ面の接着長さは、水中器具のケース板厚の2.0倍以上又は10mm以上のいずれか長い方の長さとしたが、これは接着長さが確保されない場合には、急激な潜水・浮上による圧力変動により生じるケーシングに与える変動を吸収できず、ケーシング内に浸水が生じるためである。
また、接着する突合せ面の形状は、相じゃくり加工又は本実加工としたが、上記の接着長さを確保するためにも必要な突合せ面の形状であり、このような形状は、熱可塑性樹脂成型品同士を、接着剤を使用して接着する際に、突合せ面の加工精度のバラツキを吸収し、均一な接着剤の厚みを確保できる形状でもある。その形状の一例を、各々図2(c)、(d)に相じゃくり加工の例を、図2(e)、(f)には本実加工の例を示す。各図の左右反対の場合も含まれ、相じゃくり加工の場合、板厚方向の中央で加工するものも含まれる。
接着面の強度向上のため、ケーシング(透光性カバー、ヒートシンク及び/又はケース)間の相互の接着面となる面の表面粗さRaは、1μm以上である場合には、効果があるが、表面粗さRaは、150μmの場合、表面粗さ加工に要する時間及び手間が増すにもかかわらず、それに見合う効果が得られないことから、表面粗さRaは1〜120μmの範囲が好ましい。
透光性カバー3及びヒートシンク4に設けられたLED基板6(光源としてのLED発光素子が実装されている)との空間(以下、透光性カバー側空間11という)には、光源としてのLED発光素子の発する光束を透過して照射するため、透明であるとともに、内部の結露防止のために、透光性カバー側空間から空気を排除する目的で充填剤を充填することもできる。
結露防止が不十分であると、例えば、LED発光素子を半田付けで実装した実装基板の半田部分等が劣化し、寿命が短くなるといった問題がある。また透光性カバーに結露による曇りが発生すると、視界を妨げる原因ともなる。
充填剤を充填しない場合には、空気は、水圧の影響で、例えば、10m潜水すると二分の一に、20m潜水すると三分の一になるため、外気圧と内部気圧の差により、透光性カバーにひずみが生じるが、充填剤を充填することにより、これを防止することができる(充填剤を充填しない場合は透光性カバーの強度を上げて水圧破壊防止を図る必要がある)。また、このひずみの影響で接着部にも、潜水時又は浮上時に、それぞれ押し付け力、引き剥がし力(図3の模式図参照、相じゃくり加工の向きにより、反対の力がかかる)がかかるが、これも防止できることになる。
この充填剤は、透明性充填剤(例えば、薩摩総研株式会社、R6)で構成されているが、この空間への充填剤を充填する場合、空気の排除が不完全で空気だまりができると、その部分から破損する原因になることも考えられる。脱泡処理(真空引き、振動処理など)を行うことが肝要である。
なお、透光性カバー側充填剤としては、光源としての発光素子の発する熱を放熱するために、熱伝導性を有することが望ましいが、透明性を有しつつ熱伝導性を有する充填剤が存在しないため(熱伝導性フィラーを含有すると透明性が阻害される)、上記充填剤を選択したものである。また、液漏れの問題を検討することにより、ダイバーズウオッチの耐圧性能向上に用いられているシリコンオイル(液体)の適用も選択することができるが、充填剤を使用する場合は、屈折率の影響を検討する必要がある。
ヒートシンク4に設けられたLED基板6及びケース5との空間(以下、回路側空間12という)には、発光素子を発光させるための発光回路を絶縁し、発光回路の発する熱を、ヒートシンクを通して放熱するために、絶縁性と熱伝導性を備えた充填剤を充填している。
なお、充填剤を充填することにより、回路側空間から空気を排除して内部の結露防止を図っている点、空気(ガス)が存在することによる水圧破壊を防止する点、接着部への影響(押し付け力、引き剥がし力)を防止する点は、透光性カバー側空間における充填剤の効果と同様である。
この熱伝導性・絶縁性充填剤としては、熱伝導性フィラー含有のシリコン系充填剤(例えば、薩摩総研株式会社、R4M3)で構成されているが、本充填剤の充填時に脱泡処理(真空引き、振動処理など)を行うことは透光性カバー側充填剤の充填時と同様である。
また、本発明の水中照明器具に必要な外部電源用ケーブル9とケース5間の水密性を確保するため、防水コネクタを用いない水中照明器具も実施しうる。すなわち、外部電源用ケーブルの接着長さは、設計上16mmとしているが、硬質接着剤及び軟質接着剤という特性の異なる二以上の接着剤を用い、硬質接着剤の接着長さ比を60〜90%として、ケースから外部電源用ケーブルを導出する箇所を、接着剤で充填することで、一体に樹脂でモールド成形する場合と同様に水は入り込めない構造とすることができる。
なお、この場合も、軟質接着剤は海水に接する側に使用することが望ましい。外部電源用ケーブルを掴んで持ち上げることによる外部電源用ケーブルの曲りや外部からの衝撃を緩和するための緩衝材としても使用することが必要となることから、硬質接着剤の接着長さ比を60〜90%としている。また、上述のごとく、更に軟質の接着剤を必要に応じて適用することができる。
更に、透光性カバー側空間及び/又は回路側空間に充填剤を充填することによって、水中照明器具の浮力抑制の効果をも得ることができる。従来使用されている金属製のヒートシンク(又はケーシング)代替として高熱伝導性樹脂製を採用したことによる軽量化に伴い、水中での軽量のための不安定要因を解消することにもなる。
図4(b)は、本発明の水中照明器具1が、ケーシング2として、透光性カバー3、ケース5で構成され、ケース5はヒートシンクも兼ねる場合の第2の実施形態の模式図を示す。図4(a)に示す第1の実施形態の模式図と比較して理解されるように、この場合のケース5は、ヒートシンクとしての機能も有することから、高熱伝導性樹脂で構成されている。
また、当然のことながら接着剤による接着箇所は、第1の実施形態の2箇所に対して、透光性カバー3とケース5間の1箇所となるが、これらの変更以外は第1の実施形態と同様である。
以上のように、本実施形態の水中照明器具ケーシング間を、接着剤を使用して接着する方法及び該方法を用いてなる水中照明器具により、ケーシング材料としてアルミニウム等の金属を用いる場合の腐食の問題、防水機構として、いわゆるOリングを用いる場合の劣化等の問題を解消できる。
(試験例1:ケーシング間の接着長さ、硬質接着剤の接着長さ比とクラック発生の関係)
水中照明器具ケーシングとして、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社、パンライト L−1225ZL)製の透光性カバー、高熱伝導性樹脂(炭素繊維含有ポリカーボネート樹脂、帝人化成株式会社製、パンライト HV−5600C)製のヒートシンク、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社、パンライト G−3110PH)製のケースを用いた。
また、回路側充填剤として熱伝導性・絶縁性充填剤であるシリコン系樹脂(薩摩総研株式会社、R4M3)を、透光性カバー側充填剤として透明性充填剤であるシリコン樹脂(薩摩総研株式会社、R6)を用い、充填剤で充填する場合は振動による脱泡処理(シンフォニアテクノロジー株式会社、小形振動機器、バイブレートリパッカVP−4D)を行った。
次に、接着する突合せ面の接着長さ、板厚の倍数(ケース板厚は5mmであり、その倍数)、硬質接着剤の接着長さ及び硬質接着剤の接着長さ比(%)について表1に記載の値を用い、株式会社豊和産業製の水圧テスト試験機を用いて、潜水浮上スピードを10、100、1000、2000m/分の4水準で、接着部のクラック発生の有無を調査した。
なお、接着剤は硬質接着剤として薩摩総研株式会社製、80Mを、軟質接着剤としてマクネット(McNETT)、アクアシールを用い、軟質接着剤はケーシングの外側(海水に接する面)に用いた。また、接着部のクラック発生の有無については、本試験に用いた水中照明器具への浸水有無を6倍のルーペを用い目視で判定を行ったが、最大圧力は潜水深さ150mに相当する1.5MPaとし、潜水浮上スピードの1000、2000m/分については、潜水スピードは、100m/分で行い、浮上スピードのみ1000、2000m/分としたものである。その結果を表1に示す。
Figure 2014175083
表1(上表)より、接着する突合せ面の接着長さが、ケース板厚の2.0倍以上若しくは10mm以上の場合、また、表1(下表)より、硬質接着剤の接着長さ比が、60〜80%の場合、浮上スピードが2000m/分という急激な水圧(圧力)変動に対しても、接着部にクラック発生が生じていないことが理解される。すなわち、急激な圧力変動に対して硬質接着剤及び軟質接着剤の相互作用により、変動が吸収されていると考えられる。
(試験例2:硬質接着剤の硬度とクラック発生の間の関係)
試験例1における接着する突合せ面の接着長さを14mm、硬質接着剤の接着長さ比を70%とした場合(表1のNo8に該当する)の硬質接着剤の硬度による効果を調査した。その結果を表2に示す。
Figure 2014175083
表2より、軟質接着剤のショアーA硬度30に対して、硬質接着剤の硬度をM60〜110に変え試験した結果、M80〜110の場合には、接着部にクラックが発生していないことが理解される。
(試験例3:透光性カバー側充填剤の充填と結露、耐圧(水圧)性能との間の関係)
透光性カバー側空間を、空気の場合と透光性カバー側充填剤(透明性充填剤)としてのシリコン樹脂(薩摩総研株式会社、R6)で充填した場合の、充填剤有無による効果を調査した。使用した水中照明器具は試験例1(表1のNo8に該当する)と同様で、回路側充填剤は試験例1と同じ充填剤を使用し、充填剤を充填する場合は振動による脱泡処理(シンフォニアテクノロジー株式会社、小形振動機器、バイブレートリパッカVP−4D)を行った。
次に、水圧テスト試験機(株式会社豊和産業)を用いて、水深30、50、100mに相当する水圧0.3MPa、0.5MPa、1.0MPaまで、10m/分の速度で負荷をかけ、その後水中照明器具の浸水有無を調査した。なお、結露有無の調査は、目視観察を行ったものである。調査結果を表3に示す。
Figure 2014175083
表3によれば、透光性カバー側空間を透光性カバー側充填剤(透明性充填剤)で充填した場合は、水圧破壊防止(耐圧性能向上)に効果があることが理解される。これは空気に比べて、圧力(水圧)に対して収縮率の小さい透明シリコン樹脂を使用した効果であると考えられる。また、透光性カバー側充填剤を充填した場合は、目視観察の結果、結露も発生しておらず、空気を排除した効果が生じていると考えられる。
(試験例4:回路側充填剤の充填と結露、電源ケーブルとケース間の水密性調査)
回路側空間を、回路側充填剤としての熱伝導性フィラー含有のシリコン系樹脂(薩摩総研株式会社、R4M3)で充填し、防水コネクタ10を用いず、防水コネクタ周りを、外部電源用ケーブルの接着長さは16mmで、硬質接着剤の接着長さを表4に示す値として、硬質接着剤及び軟質接着剤を用いて充填した。なお、その他は、表1のNo8の条件としたが、回路側充填剤を充填する場合は上述のように脱泡処理(振動による)を行ったものであり、軟質接着剤は海水に接する側に用いた。
次に、水圧テスト試験機(株式会社豊和産業)を用いて、水深50mに相当する水圧0.5MPaまで、10m/分の速度で負荷をかけ、1時間保持した後、同速度でもとに戻したが、この操作を10回繰り返して、水中照明器具の電源ケーブルとケース間の浸水有無(水密性)を調査した。浸水有無の調査は、該当部分を切断して行い、その調査結果を表4に示す。なお、透光性カバー側空間は、充填剤を充填せずに試験を行った。
なお、レクリエーショナルダイビングでの潜水深度は、スペシャルティ・ダイバーで約40メートルであり、この40メートルが限界となる。したがって水深約50mに相当する水圧0.5MPaを本試験の水圧とした。
Figure 2014175083
表4より、外部電源用ケーブルの接着長さを16mmで、硬質接着剤の接着長さ比を60〜90%の場合には、防水コネクタの代わりに、硬質接着剤及び軟質接着剤を用いて充填することにより、電源用ケーブル9とケース5間の水密性が確保されていることが理解される。なお、いずれの場合も該当部分を切断して観察を行ったが、No1のケースでは、硬質接着剤の水圧変動による剥離であり、No5のケースでは、浸水はなかったものの、外部電源用ケーブルを掴んで持ち上げることによる外部電源用ケーブルの曲りが、軟質接着剤の不足により発生し、問題ありと判断したものである。
以上より、今回採用する接着方法を適用すれば防水コネクタを省略できることを示している。また、浸水有無の調査時(該当部分を切断)には、結露発生の有無も調査したが、結露発生はなく、回路側空間においても、回路側空間の空気を排除して充填剤を充填しており、結露防止も図られているものと考えられる。
1 水中照明器具
2 ケーシング
3 透光性カバー
4 ヒートシンク
5 ケース
6 LED基板
7 LED発光素子
8 発光回路
9 外部電源用ケーブル
10 防水コネクタ
11 透光性カバー側空間
12 回路側空間
13 アーム取付け部
14 スイッチ

すなわち、本発明は、
(1)成形された二以上の熱可塑性樹脂製の、水中器具に用いられるケースを接着する方法であって、接着する突合せ面の接着長さを水中器具のケース板厚の2.0倍以上又は10mm以上のいずれか長い方の長さとするとともに、硬さ(ロックウエル硬度)の範囲がM80〜125である硬質接着剤と硬さ(ショアーA硬度)の範囲が30〜80である軟質接着剤を使用し、下記に定義する硬質接着剤の接着長さ比を60〜80%の範囲とする特性の異なる接着剤を使用して接着することに特徴を有する水中器具の接着方法、
Figure 2014175083
(2)接着する突合せ面の形状を本実加工又は相じゃくり加工とすることに特徴を有する(1)項に記載の水中器具の接着方法、
(3)(1)項又は(2)項に記載の接着方法を用いてなる水中器具、
(4)透光性カバー、ヒートシンクは、それぞれ透明性樹脂、高熱伝導性樹脂で構成され、回路側空間には熱伝導性・絶縁性充填剤を充填することに特徴を有する(3)項に記載の水中器具の一つである水中照明器具、及び
(5)ケースから外部電源用ケーブルを導出する箇所を、特性の異なる二以上の接着剤によって充填することに特徴を有する(3)項又は(4)項に記載の水中器具の一つである水中照明器具、
を提供するものである。

Claims (6)

  1. 成形された二以上の熱可塑性樹脂製の、水中器具に用いられるケースを接着する方法であって、接着する突合せ面の接着長さを水中器具のケース板厚の2.0倍以上若しくは10mm以上のいずれか長い方の長さとするとともに、特性の異なる二以上の接着剤を使用して接着することに特徴を有する水中器具の接着方法。
  2. 接着剤は、硬さ(ロックウエル硬度)の範囲がM80〜125である硬質接着剤と硬さ(ショアーA硬度)の範囲が30〜80である軟質接着剤を使用し、下記に定義する硬質接着剤の接着長さ比を60〜80%の範囲とすることに特徴を有する請求項1に記載の水中器具の接着方法。
    Figure 2014175083
  3. 接着する突合せ面の形状を本実加工又は相じゃくり加工とすることに特徴を有する請求項1又は2に記載の水中器具の接着方法。
  4. 請求項1乃至4のいずれかに記載の接着方法を用いてなる水中器具。
  5. 透光性カバー、ヒートシンクには、それぞれ透明性樹脂、高熱伝導性樹脂で構成され、回路側空間には熱伝導性・絶縁性充填剤を充填することに特徴を有する請求項4に記載の水中照明器具。
  6. ケースから外部電源用ケーブルを導出する箇所を、特性の異なる二以上の接着剤によって充填することに特徴を有する請求項4又は請求項5に記載の水中照明器具。


JP2013044327A 2013-03-06 2013-03-06 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具 Expired - Fee Related JP5553290B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013044327A JP5553290B1 (ja) 2013-03-06 2013-03-06 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013044327A JP5553290B1 (ja) 2013-03-06 2013-03-06 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5553290B1 JP5553290B1 (ja) 2014-07-16
JP2014175083A true JP2014175083A (ja) 2014-09-22

Family

ID=51416833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013044327A Expired - Fee Related JP5553290B1 (ja) 2013-03-06 2013-03-06 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5553290B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016086777A (ja) * 2014-11-10 2016-05-23 章男 川島 光源装置及びそれを備えた水中集魚灯

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3100791U (ja) * 2003-10-01 2004-05-27 敬介 後藤 非接触型照明具
JP2010026216A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Mitsubishi Electric Corp 表示モジュール

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016086777A (ja) * 2014-11-10 2016-05-23 章男 川島 光源装置及びそれを備えた水中集魚灯

Also Published As

Publication number Publication date
JP5553290B1 (ja) 2014-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8955580B2 (en) Use of a graphite heat-dissipation device including a plating metal layer
US20170162767A1 (en) Package structure of an ultraviolet light emitting diode
US10066828B2 (en) LED lights for deep ocean use
GB2413840B (en) Underwater lighting
EP2182277A2 (en) Insulating and dissipating heat structure of an electronic part
US8610165B2 (en) LED light module with heat releasing casing and grooved backing to contain conductive bonding fluids
JP2017050510A (ja) 半導体装置および光結合装置
US20120250333A1 (en) Insulating and Dissipating Heat Structure of an Electronic Part
JP5553290B1 (ja) 成形された熱可塑性樹脂同士の接着方法及び該方法を用いてなる水中器具
CN104194664A (zh) 一种导电胶带
JP2014011364A (ja) Ledモジュール
JP5527801B2 (ja) 有機発光素子を用いた照明器具
KR101370677B1 (ko) 방열 및 절연성능이 향상된 방열시트 및 이를 구비한 태양전지모듈
JP2020120065A (ja) 半導体装置、及び半導体装置の製造方法
US9614137B2 (en) Light emitting device
KR101004206B1 (ko) 일체형 발광다이오드 모듈 및 발광다이오드 램프등
CN107509360B (zh) 一种水下设备散热装置
CN208881278U (zh) 一种多功能复合铜箔板
CN202769468U (zh) Led船舶灯
CN221222647U (zh) 水下照明装置及水下设备
CN210928138U (zh) 一种具有保护结构的柔性电路板
CN211597119U (zh) 一种具有保护作用的复合式导热垫片
CN104254217A (zh) 外壳件及使用该外壳件的电子装置
JP3192424U (ja) Ledモジュール
CN113825343B (zh) 一种应用于高压光通信设备的绝缘导热装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140428

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5553290

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees