JP2020120065A - 半導体装置、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Kohei Yabuta
康平 薮田
佑哉 村松
Yuya Muramatsu
佑哉 村松
範之 別芝
Noriyuki Betsushiba
範之 別芝
隆行 山田
Takayuki Yamada
隆行 山田
貴夫 三井
Takao Mitsui
貴夫 三井
優 福
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Abstract

【課題】接着層の欠陥の有無の検査を容易に行うことができるとともに、放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる半導体装置、及び半導体装置の製造方法を得る。【解決手段】ヒートシンク2では、フィン22が天板裏部分211から突出している。天板裏部分211には、フィン22を囲む周壁23が設けられている。天板21の実装面24と半導体モジュール3との間には、半導体モジュール3を天板21に接着している接着層4が介在している。周壁23は、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域を囲んでいる。【選択図】図1

Description

この発明は、半導体モジュールが接着層を介してヒートシンクに接着されている半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
従来、半導体素子を取り付けた金属ブロックが樹脂製の絶縁シートを介して金属板部に接着された半導体装置が知られている。このような従来の半導体装置では、半導体素子を保護するために、半導体素子及び金属ブロックが樹脂モールド部で覆われている。また、このような従来の半導体装置では、金属板部の放熱性の向上を図るために、複数のフィンを有する冷却板部が金属板部に取り付けられている。冷却板部と金属板部との間には、熱伝導性を持つグリスが介在している。
また、従来、半導体装置の製造時には、絶縁シートの剥離などの欠陥の有無を超音波によって検査する超音波探傷検査が行われる。超音波探傷検査が行われるときには、検査を容易にするために、冷却板部が金属板部から外された状態で、フィンのない金属板部側から超音波が絶縁シートに入射される(例えば特許文献1参照)。
特許5601374号公報
超音波探傷検査は、接触媒質としての水を探触子と被検査体との間に介在させた状態で、探触子から発振した超音波を被検査体内の接合層で反射させ、反射波の解析により接合層の状態を確認する検査である。水を接触媒質として用いた超音波探傷検査としては、探触子の直近から水を噴出させて探触子から被検査体までの空間を水で満たす落水式の検査と、被検査体を水中に浸して探触子から被検査体までの空間を水で満たす水浸式の検査とが知られている。
水浸式の検査では、半導体装置のすべてを水中に浸す必要がある。このため、半導体素子を覆っている樹脂モールド部の吸水により半導体装置が腐食してしまうおそれがある。また、水浸式の検査では、絶縁シートの剥離が生じている場合、絶縁シートの剥離によって生じた隙間に水が入りやすくなる。絶縁シートの剥離によって生じた隙間に水が入ると、水中の音響インピーダンスと樹脂中の音響インピーダンスとの差が小さいため、絶縁シートの剥離が検出されにくくなってしまう。
一方、落水式の検査を行うときには、半導体装置のすべてを水中に浸す必要がないので、水浸式の検査のような上記の問題は生じない。しかし、複数のフィンが存在している半導体装置に対して落水式の検査を行うと、複数のフィンによって形成された凹部に空気が気泡として残り、検査が困難になってしまう。
特許文献1に示されている従来の半導体装置では、複数のフィンを有する冷却板部が金属板部から取り外された状態で落水式の検査を行うことができる。しかし、特許文献1に示されている従来の半導体装置では、金属板部と冷却板部とが別部材で構成されているため、金属板部から冷却板部への放熱性能が悪化してしまう。また、半導体装置の部品点数が増加するため、半導体装置を組み立てる工程の数が増加してしまい、半導体装置の製造に手間がかかってしまう。さらに、超音波探傷検査の後、冷却板部が金属板部に取り付けられるときに絶縁シートに応力が加わるおそれがあるため、剥離などの新たな欠陥が絶縁シートに生じるおそれもある。これにより、半導体装置の放熱性能がさらに悪化してしまうおそれもある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、接着層の欠陥の有無の検査を容易に行うことができるとともに、放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる半導体装置、及び半導体装置の製造方法を得ることを目的とする。
この発明による半導体装置は、実装面が形成されている天板と、実装面に対して天板の裏側の部分である天板裏部分から突出するフィンと、天板裏部分に設けられ、フィンを囲む周壁とを有するヒートシンク、実装面に設けられた半導体モジュール、及び半導体モジュールと実装面との間に介在しており、半導体モジュールを天板に接着している接着層を備え、周壁は、実装面に直交する方向に沿ってヒートシンクを見たとき、接着層の領域を囲んでいる。
また、この発明による半導体装置は、実装面が形成されている天板と、実装面に対して天板の裏側の部分である天板裏部分から突出するフィンとを有するヒートシンク、天板に設けられた半導体モジュール、及び半導体モジュールと実装面との間に介在しており、半導体モジュールを天板に接着している接着層を備え、天板裏部分には、ヒートシンクとは別部材とされた周壁が差し込み可能な壁用溝部が形成されており、壁用溝部は、実装面に直交する方向に沿ってヒートシンクを見たとき、接着層の領域を囲んでいる。
この発明による半導体装置、及び半導体装置の製造方法によれば、接着層の欠陥の有無の検査を容易に行うことができるとともに、放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる。
この発明による実施の形態1の半導体装置を示す断面図である。 図1のヒートシンクを示す断面図である。 図2のヒートシンクの実装面に接着層が設けられた状態を示す断面図である。 図3の接着層を介して実装面に半導体モジュールを配置するときの状態を示す断面図である。 図4の半導体モジュールを加圧している状態を示す断面図である。 図5の接着層の欠陥の有無を検査している状態を示す断面図である。 図6の接着層の欠陥の有無を検査している状態を示す拡大図である。 図5の接着層の結果の有無を検査しているときの探触子と実装面との間の距離と、ヒートシンクの寸法とを示す拡大図である。 比較例による半導体装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態2による半導体装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態3による半導体装置を示す断面図である。 図11のジャケット部材を周壁から外した状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態4による半導体装置のヒートシンクを示す裏面図である。 図13のXIV−XIV線に沿った断面図である。 図13のXV−XV線に沿った断面図である。 図15の壁用溝部に枠状の周壁が差し込まれるときの状態を示す断面図である。 図16の接着層の欠陥の有無を検査している状態を示す断面図である。 図17の周壁を天板から取り外した状態を示す断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明による実施の形態1の半導体装置を示す断面図である。図において、半導体装置1は、ヒートシンク2と、ヒートシンク2に設けられた半導体モジュール3と、半導体モジュール3をヒートシンク2に接着している接着層4とを有している。この例では、インバータ装置などの電力変換装置に用いられる電力用半導体装置が半導体装置1とされている。また、この例では、電力用半導体装置に含まれるパワーモジュールが半導体モジュール3とされている。
半導体モジュール3は、モジュール本体5と、モジュール本体5に複数の端子として設けられた第1の端子6及び第2の端子7とを有している。
モジュール本体5には、モジュール底面51と、モジュール天面52と、モジュール側面53とが形成されている。モジュール天面52は、モジュール底面51に対してモジュール本体5の反対側の部分に形成されている。モジュール側面53は、モジュール底面51とモジュール天面52との間でモジュール本体5を囲む外周面である。この例では、モジュール底面51に直交する方向に沿ってモジュール本体5を見たとき、モジュール本体5の形状が矩形状になっている。
モジュール本体5は、発熱部品である電力用の半導体素子11と、半導体素子11が設けられた板状の放熱部材12と、半導体素子11及び放熱部材12を覆うモールド部材13とを有している。
放熱部材12は、導電性及び熱伝導性を持つ材料で構成されている。放熱部材12を構成する材料としては、銅、アルミニウムなどの金属材料が用いられている。
放熱部材12には、放熱面121と、接合面122とが形成されている。接合面122は、放熱面121に対して放熱部材12の反対側の部分に形成されている。放熱面121は、モジュール底面51の一部としてモジュール本体5の外部に露出している。モジュール天面52及びモジュール側面53は、モールド部材13に形成されている。モールド部材13は、電気絶縁性を持つ樹脂で構成されている。
半導体素子11は、はんだなどの導電性接合部材14を介して接合面122に接合されている。第1の端子6は、はんだなどの導電性接合部材15を介して接合面122に接合されている。第2の端子7は、はんだなどの導電性接合部材16を介して半導体素子11に接合されている。半導体素子11としては、炭化ケイ素(SiC)を材料として構成されたワイドギャップ半導体素子、シリコン(Si)を用いた素子などが用いられている。
第1の端子6及び第2の端子7のそれぞれの一部は、端子突出部としてモジュール側面53から突出している。半導体モジュール3では、第1の端子6及び第2の端子7のそれぞれを介して半導体素子11と外部機器との電気的接続が行われる。
ヒートシンク2は、導電性及び熱伝導性を持つ材料で構成されている。ヒートシンク2を構成する材料としては、アルミニウム、銅などの金属材料が用いられている。また、ヒートシンク2は、天板21と、天板21から突出する複数のフィン22と、複数のフィン22を囲む周壁23とを有している。この例では、天板21、複数のフィン22及び周壁23が一体の単一部材で構成されている。ヒートシンク2の製造方法としては、鋳造、切削加工などが挙げられる。
天板21には、実装面24が形成されている。実装面24に対して天板21の裏側の部分は、天板裏部分211となっている。複数のフィン22は、実装面24に直交する方向へ天板裏部分211から突出している。また、複数のフィン22は、互いに間隔をあけて配置されている。
複数のフィン22の少なくとも一部は、実装面24に直交する方向、即ち天板21の厚さ方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域に重なっている。
モジュール本体5は、モジュール底面51を実装面24に対向させた状態で配置されている。接着層4は、実装面24とモジュール底面51との間に介在している。この例では、モジュール底面51に対する接着層4の領域が、放熱面121のすべてを覆う領域となっている。
接着層4は、熱伝導性及び電気絶縁性を持つ材料で構成されている。接着層4を構成する材料としては、熱伝導性フィラーと熱硬化型樹脂とを複合化した材料が用いられる。熱伝導性フィラーの熱伝導率は、熱硬化型樹脂の熱伝導率よりも高くなっている。熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルミナなどが用いられる。熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが用いられる。半導体素子11で発生した熱は、放熱部材12及び接着層4を伝わってヒートシンク2へ放散される。
周壁23は、天板裏部分211に設けられている。また、周壁23は、実装面24に直交する方向へ天板裏部分211から突出している。さらに、周壁23は、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域を囲んでいる。この例では、周壁23が天板21の外周部に沿って配置されている。また、この例では、周壁23の形状が矩形の枠状となっている。天板21に対する周壁23の高さは、天板21に対する各フィン22の高さよりも高くなっている。
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。図2〜図6は、図1の半導体装置1を製造するときの手順を説明するための図である。
(部品配置工程)
半導体装置1を製造するときには、予め作製しておいた半導体モジュール3を実装面24に接着層4を介して配置する部品配置工程を行う。部品配置工程には、接着層工程と、半導体モジュール工程とが含まれている。
(接着層工程)
図2は、図1のヒートシンク2を示す断面図である。また、図3は、図2のヒートシンク2の実装面24に接着層4が設けられた状態を示す断面図である。部品配置工程では、まず、ヒートシンク2の実装面24に接着層4を取り付ける接着層工程を行う。接着層工程では、予め作製しておいた接着用シートを接着層4として実装面24に配置する。
(半導体モジュール工程)
図4は、図3の接着層4を介して実装面24に半導体モジュール3を配置するときの状態を示す断面図である。接着層工程の後、予め作製しておいた半導体モジュール3を接着層4に載せる半導体モジュール工程を行う。半導体モジュール工程では、モジュール本体5のモジュール底面51を接着層4に向けて半導体モジュール3を配置する。
ここで、半導体モジュール3を作製するときには、まず、放熱部材12の接合面122に導電性接合部材14を介して半導体素子11を接合する。また、放熱部材12の接合面122に導電性接合部材15を介して第1の端子6を接合する。さらに、半導体素子11に導電性接合部材16を介して第2の端子7を接合する。この後、各導電性接合部材14,15,16のそれぞれの欠陥の有無を検査する超音波探傷検査を行う。超音波探傷検査は、超音波探傷装置(SAT:Scanning Acoustic Tomograph)を用いて行う。超音波探傷検査は、落水式の検査であってもよいし、水浸式の検査であってもよい。この後、半導体素子11をモールド部材13で覆う。このようにして、半導体モジュール3を作製する。
(加熱加圧工程)
図5は、図4の半導体モジュール3を加圧している状態を示す断面図である。部品配置工程の後、接着層4を加熱しながら半導体モジュール3を接着層4に加圧する加熱加圧工程を行う。この例では、ヒータプレス装置によって接着層4を加熱しながら半導体モジュール3を接着層4に加圧する。これにより、接着層4が完全に硬化する。接着層4には、常温から硬化温度に昇温して半硬化状態から本硬化状態に変化させる過程で一旦軟化する特性がある。接着層4に対する加圧は、接着層4が軟化するタイミングで行う。
接着層4の電気絶縁性能は、接着層4内のボイドのサイズが小さくなるほど向上する。加熱加圧工程では、接着層4が加圧されることにより、接着層4内のボイドが潰れてボイドのサイズが小さくなる。これにより、接着層4の電気絶縁性能が高まる。
ここで、ヒートシンク2を構成する材料は、熱伝導性、重量、コスト、加工の容易性、耐腐食性などの観点から、アルミニウムとされることが好ましい。一方、放熱部材12を構成する材料は、導電性、熱伝導性などの観点から、銅とされることが好ましい。従って、ヒートシンク2を構成する材料と、放熱部材12を構成する材料とが互いに異なる場合がある。
放熱部材12を構成する材料が銅である場合、モールド部材13の材料の線膨張率を銅の線膨張率に合わせることで、モジュール本体5内の導電性接合部材14,15,16の信頼性が確保される。従って、モジュール本体5の線膨張率は、放熱部材12を構成する銅の線膨張率とほぼ等価になる。なお、銅の線膨張率は、16×10−6/℃である。
ヒートシンク2を構成する材料がアルミニウムである場合、アルミニウムの線膨張率が23×10−6/℃であるため、実装面24とモジュール底面51との間に介在している接着層4が銅及びアルミニウムの線膨張率の差を吸収する必要がある。接着層4には、半導体装置1の温度変化によって熱応力が生じる。従って、接着層4がモジュール底面51及び実装面24の少なくともいずれかから剥離するおそれがある。半導体装置1の品質を確保するためには、接着層4の欠陥の有無を加熱加圧工程の後に検査することが重要である。
(水溜め工程)
加熱加圧工程の後、周壁23で囲まれた空間、即ちヒートシンク2の内側の空間に接触媒質としての水を溜める水溜め工程を行う。水溜め工程では、天板裏部分211を上方に向けてヒートシンク2を配置した状態で、周壁23で囲まれた空間に水を溜める。このとき、各フィン22の全体が水に完全に浸るまで水をヒートシンク2に溜める。
(検査工程)
水溜め工程の後、接着層4の欠陥の有無を検査する検査工程を行う。図6は、図5の接着層4の欠陥の有無を検査している状態を示す断面図である。検査工程では、周壁23で囲まれた空間に溜められた水100を介して接着層4に向けて超音波を発振することにより、接着層4に対する超音波探傷検査を行う。これにより、接着層4の欠陥の有無が検査される。接着層4の欠陥としては、モジュール底面51に対する接着層4の剥離、実装面24に対する接着層4の剥離、接着層4中に存在する基準寸法以上の大きさのボイド、接着層4中に生じた亀裂などが挙げられる。
検査工程における超音波探傷検査は、超音波探傷装置(SAT)を用いて行う。超音波探傷装置は、図6に示すように、探触子10を有している。検査工程では、探触子10を水に入れた状態で探触子10から超音波を発振する。これにより、接触媒質としての水が探触子10とヒートシンク2との間に満たされた状態で、探触子10から超音波を発振することができる。
探触子10から発振された超音波がヒートシンク2に達すると、超音波がヒートシンク2、接着層4及び半導体モジュール3を弾性波として伝わる。このとき、ヒートシンク2、接着層4及び半導体モジュール3のそれぞれの間の界面では、音響インピーダンスが変化することから、超音波の反射及び屈折が生じる。検査工程では、超音波の反射波が超音波探傷装置によって解析されることにより、接着層4の欠陥の有無が検査される。
ここで、音響インピーダンスZは、超音波が伝わる物質の密度ρと、物質中の音速Cとを用いて以下の式(1)で表される。
Z=ρ×C…(1)
また、例えば物質Xと物質Yとの間の界面での超音波の反射率Rは、物質Xの音響インピーダンスZと、物質Yの音響インピーダンスZとを用いて以下の式(2)で表される。
R=(Z−Z)/(Z+Z)…(2)
空気の音響インピーダンスZは、0.0004である。これに対して、水の音響インピーダンスZは、1.48である。本実施の形態では、窒化ホウ素で構成された熱伝導性フィラーと、熱硬化型樹脂であるエポキシ樹脂との混合物が接着層4として用いられている。従って、本実施の形態での接着層4の音響インピーダンスZは、4.70である。
モジュール底面51に対する接着層4の剥離が生じている場合、剥離部分に水が入ると、接着層4と水との界面での反射率R’は、式(1)及び式(2)により52.10%となる。これに対して、剥離部分に水が入らずに接着層4とモジュール底面51との間に空気が介在していると、接着層4と空気との界面での反射率Rは、式(1)及び式(2)により99.98%となる。即ち、剥離部分に水が入らない場合には、探触子10から発振された超音波の大部分が剥離部分で反射する。従って、剥離部分に水が入らない場合には、剥離部分に水が入る場合に比べて、剥離部分での反射波の強度と、他の界面での反射波の強度との間で明確な差が生じる。
本実施の形態における検査工程では、ヒートシンク2に水を溜めることにより、接着層4及び半導体モジュール3が水に浸ることなく超音波探傷検査が行われる。従って、本実施の形態では、接着層4における剥離部分での反射波の強度と、他の界面での反射波の強度との間で明確な差が生じやすくなり、接着層4における剥離部分の有無が検出されやすくなる。なお、窒化ホウ素以外の物質で構成された熱伝導性フィラーと、エポキシ樹脂以外の熱硬化型樹脂との混合物を接着層4として用いた場合でも、接着層4における剥離部分の有無が検出されやすくなる。
図7は、図6の接着層4の欠陥の有無を検査している状態を示す拡大図である。検査工程では、天板21の実装面24に沿った方向へ探触子10を移動させながら、接着層4の欠陥の有無の検査を行う。モジュール底面51に対する剥離部分41が接着層4に存在する場合、剥離部分41の位置に対応する第1の位置Aに探触子10があるときと、剥離部分41以外の正常部分の位置に対応する第2の位置Bに探触子10があるときとで、探触子10で受ける反射波の強度が異なる。超音波探傷装置では、接着層4からの反射波の強度の違いに基づいて剥離部分41の位置が特定される。
天板21に対する周壁23の高さは、探触子10の焦点距離Lよりも大きくなっている。この例では、図8に示すように、探触子10の焦点距離Lが20mmとなっており、天板21に対する周壁23の高さhが25mmとなっている。また、この例では、天板21の厚さdが3mmであり、天板21に対する各フィン22の高さhが2mmである。天板21に対する周壁23の高さhは、25mm以外であってもよい。
(排水工程)
検査工程の後、周壁23で囲まれた空間に溜められた水100をヒートシンク2の外部へ排出する排水工程を行う。排水工程では、ヒートシンク2の状態を、天板裏部分211を上方に向けた状態から天板裏部分211を下方に向けた状態にする。これにより、水100がヒートシンク2の外部へ排出される。このようにして、半導体装置1が製造される。
このような半導体装置1では、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、周壁23が接着層4を囲んでいる。このため、天板裏部分211を上方に向けてヒートシンク2を配置することにより、周壁23で囲まれた空間に水を溜めることができる。これにより、半導体モジュール3及び接着層4を水に浸すことなく接着層4に対する超音波探傷検査を行うことができ、接着層4に対する超音波探傷検査の精度の低下を抑制することができる。
また、周壁23が天板21に設けられていることにより、ヒートシンク2の剛性を向上させることができる。従って、振動試験、ヒートサイクル試験などを半導体装置1に対して行うときに、接着層4に作用する応力を低減させることができる。これにより、半導体装置1の信頼性の向上を図ることができる。
また、天板21及び複数のフィン22を複数の部材に分割することなく接着層4に対する超音波探傷検査を行うことができる。これにより、半導体装置1の組み立て作業の手間を減らすことができ、半導体装置1の製造を容易にすることができる。
また、超音波探傷検査の後にヒートシンク2の組立作業を行う必要がなくなる。これにより、超音波探傷検査の後に接着層4及びヒートシンク2に新たな欠陥が生じにくくなる。従って、半導体装置1の放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる。
また、天板21及び複数のフィン22を一体の単一部材で構成することができる。これにより、ヒートシンク2における天板21から各フィン22への放熱性能の悪化をさらに確実に抑制することができる。
ここで、天板21が複数の部材に分割されたヒートシンク200を有する比較例の放熱性能について説明する。図9は、比較例による半導体装置を示す断面図である。比較例では、ヒートシンク200に周壁23が含まれていない。また、比較例では、天板21が、第1の分割板201と、第2の分割板202と、放熱グリス203とを有している。
第1の分割板201には、接着層4が設けられた実装面24が形成されている。第2の分割板202には、複数のフィン22が設けられている。放熱グリス203は、第1の分割板201と第2の分割板202との間に介在している。また、放熱グリス203は、熱伝導性を持つグリスである。
接着層4から第1の分割板201に達した熱は、放熱グリス203を介して第2の分割板202に伝わる。比較例では、第2の分割板202が第1の分割板201に複数のねじ204によって固定されている。複数のねじ204は、第2の分割板202の外周部に配置されている。比較例の他の構成は、本実施の形態と同様である。
本実施の形態におけるヒートシンク2の熱抵抗値と、比較例におけるヒートシンク200の熱抵抗値との差をシミュレーション解析により試算した。比較例でのシミュレーション解析では、放熱グリス203の厚さを30μmとし、放熱グリス203の熱伝導率を3.6W/(m・K)とした。
シミュレーション解析の結果、比較例におけるヒートシンク200の熱抵抗値は、0.181K/Wとなった。これに対して、本実施の形態におけるヒートシンク2の熱抵抗値は、0.155K/Wとなった。従って、本実施の形態におけるヒートシンク2の熱抵抗値は、比較例におけるヒートシンク200の熱抵抗値に比べて、1−(0.155/0.181×100)%、即ち15%程度低くなっていることが分かる。このように、本実施の形態では、ヒートシンク2の放熱性能の悪化をより確実に抑制することができ、半導体装置1の放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる。
また、比較例におけるヒートシンク200では、半導体装置を長期間使用すると、放熱グリスがヒートシンク200外へ流出するポンプアウトという現象が生じることがある。これにより、比較例では、ヒートシンク200の熱抵抗値がさらに増加するおそれがある。
本実施の形態では、天板21及び複数のフィン22が一体の単一部材で構成されていることから、比較例のようなポンプアウトをなくすことができる。従って、本実施の形態では、半導体装置1の放熱性能の悪化をさらに確実に抑制することができる。
また、天板21に対する周壁23の高さは、天板21に対する各フィン22の高さよりも高くなっている。このため、周壁23で囲まれた空間に溜められた水100の中に各フィン22のすべてをより確実に浸すことができる。これにより、接着層4に対する超音波探傷検査を容易に行うことができ、半導体装置1の製造をさらに容易にすることができる。
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2による半導体装置を示す断面図である。ヒートシンク2は、天板21、複数のフィン22、周壁23及び保護壁25を有している。天板21、複数のフィン22及び周壁23のそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。
保護壁25は、天板21の実装面24から突出している。また、保護壁25は、半導体モジュール3の周囲に配置されている。この例では、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、保護壁25が半導体モジュール3の領域を囲んでいる。また、この例では、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たときの保護壁25の形状が矩形の枠状になっている。さらに、この例では、天板21に対する保護壁25の高さが、天板21に対するモジュール本体5の高さよりも高くなっている。さらにまた、この例では、天板21、複数のフィン22、周壁23及び保護壁25が一体の単一部材で構成されている。他の構成及び製造方法は、実施の形態1と同様である。
ここで、半導体装置1を製造するときの検査工程では、探触子10を水中で移動させながら超音波探傷検査を行う。従って、検査工程を行うときには、周壁23で囲まれた空間に溜められた水の水面が揺れる。これにより、水がヒートシンク2からこぼれ落ちるおそれがある。水がヒートシンク2からこぼれ落ちた場合、半導体モジュール3が水で濡れるおそれがある。
半導体モジュール3のモールド部材13に用いられる樹脂には、熱硬化型樹脂が含まれている。代表的な熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂をはじめとする熱硬化型樹脂は、吸湿しやすいことが知られている。従って、半導体モジュール3のモールド部材13が水で濡れた場合、モールド部材13の内部に水が浸入することにより、モールド部材13の腐食など、モールド部材13の劣化が引き起こされるおそれがある。
本実施の形態では、実装面24から突出する保護壁25が半導体モジュール3の周囲に配置されている。このため、検査工程のときに水がヒートシンク2からこぼれ落ちた場合であっても、半導体モジュール3が水に濡れることを保護壁25によって抑制することができる。これにより、水に濡れることによる半導体モジュール3の劣化の抑制を図ることができる。また、半導体モジュール3が水に濡れた場合に半導体モジュール3から水を除去する作業の手間をなくすこともできる。これにより、半導体装置1の製造をさらに容易にすることができる。さらに、保護壁25によってヒートシンク2の剛性を向上させることもできる。これにより、接着層4に作用する応力を低減させることができ、半導体装置1の信頼性の向上をさらに図ることができる。
なお、上記の例では、モールド部材13を構成する樹脂の一部が熱硬化型樹脂であってもよいし、モールド部材13を構成する樹脂の全部が熱硬化型樹脂であってもよい。
また、上記の例では、天板21に対する保護壁25の高さが、天板21に対するモジュール本体5の高さよりも高くなっている。しかし、天板21に対する保護壁25の高さは、これに限定されない。例えば、天板21に対する保護壁25の高さが、天板21に対するモジュール本体5の高さよりも低くても、ヒートシンク2からこぼれた水が天板21の実装面24を伝わって半導体モジュール3に達することを抑制することができる。
また、上記の例において、保護壁25の天板21から離れた側の端部、即ち保護壁25の先端部の形状は、特定の形状に限定されない。例えば、保護壁25の先端部が、矩形に形成されていてもよいし、丸く形成されていてもよい。また、保護壁25の先端部から側方へ突出した返し部が保護壁25に形成されていてもよい。
また、上記の例では、保護壁25が半導体モジュール3を囲んでいる。しかし、ヒートシンク2からこぼれた水から半導体モジュール3を保護することができるのであれば、保護壁25が半導体モジュール3を完全に囲んでいなくてもよい。
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3による半導体装置を示す断面図である。また、図12は、図11のジャケット部材を周壁23から外した状態を示す断面図である。半導体装置1は、ヒートシンク2、半導体モジュール3、接着層4及びジャケット部材31を有している。半導体モジュール3及び接着層4のそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。
ヒートシンク2は、天板21、複数のフィン22及び周壁23を有している。天板21及び複数のフィン22のそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。
周壁23は、天板裏部分211から突出する壁部231と、壁部231に設けられた返し部232とを有している。天板21に対する周壁23の高さと、天板21に対する各フィン22の高さとの関係は、実施の形態1と同様である。
壁部231は、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域を囲んでいる。天板21に対する壁部231の高さは、周壁23におけるどの位置でも同じである。
返し部232は、壁部231の天板21から離れた側の端部、即ち壁部231の先端部からフィン22に近い側へ突出している。即ち、返し部232は、壁部231で囲まれる空間側へ壁部231の先端部から突出している。また、返し部232は、周壁23の全周にわたって配置されている。返し部232には、複数のねじ穴32が互いに間隔をあけて設けられている。
ジャケット部材31は、各ねじ穴32にねじ込まれた複数のねじ33によって返し部232に取り付けられている。各ねじ33は、ジャケット部材31の外周部に設けられた複数の貫通孔に通されている。
ジャケット部材31と天板21との間には、冷却媒体を収容する収容空間26が形成されている。収容空間26に収容される冷却媒体としては、水などが用いられる。接着層4から天板21に伝わった熱は、冷却媒体に放散される。
ジャケット部材31と返し部232との間には、図示しないシール部材が介在している。ジャケット部材31と返し部232との間の隙間は、シール部材によって塞がれている。シール部材としては、メタルガスケット、ゴム製のOリング、樹脂製のOリングなどが用いられている。シール部材は、収容空間26からヒートシンク2外へ冷却媒体が漏れ出ることを防止する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。部品配置工程から排水工程までの手順は、実施の形態1と同様である。ジャケット部材31を返し部232から取り外した状態で部品配置工程から排水工程までを行う。
(ジャケット部材工程)
排水工程の後、ジャケット部材31を複数のねじ33によって返し部232に取り付けるジャケット部材工程を行う。ジャケット部材31を返し部232に取り付けるときには、ジャケット部材31と返し部232との間にシール部材を介在させる。このようにして、半導体装置1が製造される。
このような半導体装置1では、冷却媒体を収容する収容空間26が天板21とジャケット部材31との間に形成されている。このため、ヒートシンク2に伝わった熱を収容空間26内の冷却媒体へ放散することができ、ヒートシンク2の放熱性能をさらに向上させることができる。
ここで、ヒートシンク2とジャケット部材31との間の収容空間26内の冷却媒体が外部に漏れ出さないようにする構成として、天板21に周壁23を設けずに天板21の幅方向両端部とジャケット部材31との間にメタルガスケット、Oリンクなどのシール部材を介在させ、天板21にジャケット部材31をねじによって固定する構成が考えられる。
また、ヒートシンク2とジャケット部材31との間の収容空間26内の冷却媒体が外部に漏れださないようにする別の構成として、例えばアルミニウム系又は銅系で同種の材料を用いて天板21及びジャケット部材31を構成し、天板21の幅方向両端部にシール部材としてのろう材を介してジャケット部材31を接合する構成も考えられる。
さらに、ヒートシンク2とジャケット部材31との間の収容空間26内の冷却媒体が外部に漏れださないようにする別の構成として、天板21及びジャケット部材31にエネルギを局所的に与えて天板21及びジャケット部材31のそれぞれの母材同士を溶接する構成も考えられる。母材同士の溶接としては、レーザ溶接、電子ビーム溶接、摩擦撹拌接合などが挙げられる。
しかし、天板21の幅方向両端部とジャケット部材31とをねじによって固定する場合、ねじを配置するスペースを確保するために天板21の幅方向両端部を延長させる必要がある。従って、この場合には、半導体装置1の幅方向のサイズが大きくなる傾向がある。
また、ろう材を用いた場合、例えばアルミニウムでそれぞれ構成された天板21及びジャケット部材31同士を接合するためには、600℃前後の温度まで昇温させる必要がある。
部材を600℃の温度に昇温させるためには、部材の耐熱温度が600℃以上である必要がある。一方、半導体モジュール3の耐熱温度は、半導体モジュール3内の半導体素子11、導電性接合部材14,15,16、モールド部材13などの耐熱温度の観点から、250℃程度が限界である。従って、半導体モジュール3をヒートシンク2の実装面24に接着した後にジャケット部材31を天板21にろう材で接合することは、非現実的である。
さらに、母材同士の溶接を行う場合、溶接を行うための高出力な設備が必要になり、半導体装置1の製造コストが高くなってしまう。また、この場合、母材を一度溶融させるため、天板21とジャケット部材31との接合部の手直しが困難になってしまう。従って、天板21とジャケット部材31との接合部に不良が発生した場合、仕損費の増加によって半導体装置1の製造コストが増加してしまう。
本実施の形態では、返し部232がフィン22に近い側へ壁部231の先端部から突出している。このため、ジャケット部材31が返し部232に取り付けられた状態でも、ヒートシンク2の幅方向の寸法の拡大を防止することができる。また、半導体装置1を製造するときの水溜め工程及び検査工程において、ヒートシンク2に溜めた水がこぼれ落ちることを返し部232によって抑制することができる。これにより、半導体モジュール3が水で濡れにくくなり、半導体モジュール3の劣化の抑制を図ることができる。
また、本実施の形態では、ジャケット部材31が複数のねじ33によって返し部232に取り付けられている。このため、ジャケット部材31をヒートシンク2に取り付けるときに半導体モジュール3が損傷しにくくすることができる。また、溶接機などの高価な設備を不要にすることができ、返し部232にジャケット部材31を容易に取り付けることができる。さらに、返し部232に対するジャケット部材31の取り付け状態の手直しも容易にすることができる。従って、半導体装置1の製造コストの増加を抑制することができる。
実施の形態4.
図13は、この発明の実施の形態4による半導体装置のヒートシンクを示す裏面図である。また、図14は、図13のXIV−XIV線に沿った断面図である。さらに、図15は、図13のXV−XV線に沿った断面図である。なお、図13は、天板裏部分211側から天板21を見たときの状態を示している。
ヒートシンク2は、天板21及び複数のフィン22を有している。天板21の天板裏部分211には、壁用溝部212と、複数の排出用溝部213とが形成されている。この例では、4つの排出用溝部213が天板裏部分211に形成されている。
壁用溝部212は、複数のフィン22が配置された領域の周囲に形成されている。また、壁用溝部212は、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域を囲んでいる。
天板裏部分211は、図13に示すように、壁用溝部212を境界として内側領域と外側領域とに区分されている。内側領域は、壁用溝部212で囲まれた領域である。外側領域は、内側領域の外側に位置する領域である。この例では、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、壁用溝部212が矩形の辺に沿って形成されている。
壁用溝部212には、ヒートシンク2とは別部材とされた枠状の周壁が差し込み可能になっている。枠状の周壁は、壁用溝部212に差し込まれることにより天板裏部分211に取り付けられる。これにより、天板裏部分211には、周壁が着脱可能になっている。
各排出用溝部213は、互いに異なる位置で壁用溝部212にそれぞれ交差している。これにより、各排出用溝部213は、壁用溝部212の互いに異なる位置で、天板裏部分211の内側領域から外側領域へ繋がる溝部となっている。この例では、外側領域に形成された各排出用溝部213が、壁用溝部212から天板21の外周端面にまで達している。各排出用溝部213の深さは、壁用溝部212の深さよりも浅くなっている。
この例では、天板21の厚さが3mmとなっている。また、この例では、壁用溝部212の深さが1.5mmとなっており、壁用溝部212の幅が1mmとなっている。さらに、この例では、各排出用溝部213の深さが1mmとなっている。従って、この例では、各排出用溝部213が形成された天板21の部分の厚さが2mmとなっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。部品配置工程から加熱加圧工程までの手順は、実施の形態1と同様である。
(周壁取付工程)
加熱加圧工程の後、壁用溝部212に枠状の周壁を差し込むことにより、周壁を天板裏部分211に取り付ける周壁取付工程を行う。図16は、図15の壁用溝部212に枠状の周壁が差し込まれるときの状態を示す断面図である。ヒートシンク2とは別部材とされた周壁42は、矩形の枠状の壁部421と、壁部421の高さ方向端部に設けられた差し込み部422とを有している。
壁部421は、壁用溝部212の形状に合わせて形成されている。差し込み部422は、周壁42のうち、壁用溝部212に差し込み可能な部分である。周壁42は、差し込み部422を壁用溝部212に差し込むことにより天板裏部分211に取り付けられる。差し込み部422は、周壁42の全周にわたって配置されている。
周壁42が天板裏部分211に取り付けられた状態では、天板21に対する周壁42の高さが、天板21に対する各フィン22の高さよりも高くなっている。また、周壁42が天板裏部分211に取り付けられた状態では、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、周壁42が接着層4の領域を囲んでいる。
(水溜め工程)
周壁取付工程の後、周壁42で囲まれた空間に水を溜める水溜め工程を行う。水溜め工程での手順は、実施の形態1と同様である。
水溜め工程では、周壁42で囲まれた空間に水が溜められる。従って、周壁42で囲まれた空間から外部へ水が漏れないようにするために、壁部421は、水の通過が不可能な材料で構成されている。壁部421を構成する材料としては、ステンレス鋼、アルミニウムなどの各種金属の他、プラスチックなどの樹脂などが挙げられる。また、差し込み部422は、壁部421と天板裏部分211との間の隙間を塞ぐシール部材となっている。差し込み部422としては、メタルガスケット、樹脂製のシール部材、ゴム製のシール部材などが挙げられる。なお、周壁42で囲まれた空間から外部へ水が漏れることが防止されるのであれば、壁部421及び差し込み部422が同一材料で一体に形成されていてもよい。
また、周壁42の差し込み部422の幅は、壁用溝部212の幅に合わせて設定されている。周壁42の剛性は、差し込み部422の幅が小さくなるほど低くなる。従って、壁用溝部212の幅が狭すぎると、周壁42の剛性が低くなりすぎて、ヒートシンク2に溜められた水の圧力に周壁42が負けて破損するおそれがある。このようなことから、壁用溝部212の幅は、周壁42の剛性が水100の圧力に耐えられる剛性となるように設定されている。
(検査工程)
水溜め工程の後、接着層4の欠陥の有無を検査する検査工程を行う。図17は、図16の接着層4の欠陥の有無を検査している状態を示す断面図である。検査工程では、周壁42で囲まれた水100を介して接着層4に向けて超音波を発振することにより、接着層4に対する超音波探傷検査を行う。検査工程での手順は、実施の形態1と同様である。
(排水工程)
検査工程の後、周壁42を天板21から取り外すことにより、周壁42で囲まれた空間に溜められた水100を排出する排水工程を行う。図18は、図17の周壁42を天板21から取り外した状態を示す断面図である。排水工程では、ヒートシンク2とは別部材とされた枠状の保護壁43を半導体モジュール3の周囲に配置した状態で、周壁42を天板21に対して引き上げる。このとき、差し込み部422が壁用溝部212から外れないように周壁42の位置を調整しながら、各排出用溝部213の底面と差し込み部422との間に隙間が生じるまで周壁42を天板21に対して引き上げる。これにより、周壁42で囲まれた空間から外部へ水100が各排出用溝部213を通して少しずつ排出される。このとき、排出用溝部213に水100が導かれるようにヒートシンク2を傾けることにより、水100の排出時間が短縮化される。
排水工程では、水100がヒートシンク2からこぼれ落ちても、半導体モジュール3が保護壁43で保護されることにより、水100が半導体モジュール3にかかりにくくなる。保護壁43を構成する材料は、水100から半導体モジュール3を保護可能な材料であれば、特に限定されない。
この後、周壁42を天板21から完全に取り外す。また、保護壁43を半導体モジュール3の周囲から外す。これにより、半導体装置1の製造が完了する。半導体装置1は、周壁42及び保護壁43をヒートシンク2から取り外した状態で使用される。
このような半導体装置1では、周壁42が差し込み可能な壁用溝部212が天板裏部分211に形成されている。また、壁用溝部212は、実装面24に直交する方向に沿ってヒートシンク2を見たとき、接着層4の領域を囲んでいる。このため、ヒートシンク2とは別部材とされた周壁42を天板裏部分211に着脱可能に取り付けることができる。これにより、周壁42で囲まれた空間に水100を溜めることができ、接着層4に対する超音波探傷検査の精度の低下を抑制することができる。また、天板21及び複数のフィン22を複数の部材に分割することなく接着層4に対する超音波探傷検査を行うことができる。これにより、半導体装置1の製造を容易にすることができる。さらに、天板21及び複数のフィン22を一体の単一部材で構成することができる。これにより、半導体装置1の放熱性能の悪化をより確実に抑制することができる。さらにまた、周壁42をヒートシンク2から取り外した状態で半導体装置1を使用することができる。これにより、半導体装置1の小型化を図ることができる。
また、天板裏部分211には、壁用溝部212に交差する排出用溝部213が形成されている。さらに、排出用溝部213の深さは、壁用溝部212の深さよりも浅くなっている。このため、周壁42を天板21に対して引き上げることにより、周壁42を壁用溝部212に差し込んだ状態を維持しながら、排出用溝部213の底面と周壁42との間に隙間を生じさせることができる。これにより、周壁42で囲まれた空間に溜められた水100を外部へ排出するときに、水100の排出経路を排出用溝部213に制限することができ、ヒートシンク2から排出される水100の取り扱いを容易にすることができる。
なお、上記の例では、周壁42に荷重を加えない状態で水溜め工程及び検査工程を行っている。しかし、水溜め工程及び検査工程では、差し込み部422を壁用溝部212に差し込む方向へ周壁42に荷重を加えておいてもよい。このようにすれば、周壁42が水100で浮き上がらないようにすることができ、周壁42と天板21との間の隙間から水100が外部へ漏れ出ることをより確実に防止することができる。ただし、周壁42と天板21との間の隙間から水100が外部へ漏れ出ることがないのであれば、周壁42に荷重を加えておく必要はない。
また、上記の例では、排水工程において保護壁43が半導体モジュール3の周囲に配置されている。しかし、水100がヒートシンク2から排出されるときに半導体モジュール3が水100で濡れないのであれば、保護壁43を半導体モジュール3の周囲に配置する必要はない。
また、上記の例では、4つの排出用溝部213が天板裏部分211に形成されている。しかし、排出用溝部213の数は、4つに限定されない。さらに、排出用溝部213の深さは、壁用溝部212の深さよりも浅ければよく、特定の深さに限定されない。
また、上記の例では、排出用溝部213が天板裏部分211に形成されている。しかし、排出用溝部213はなくてもよい。このようにしても、周壁42を天板21から引き上げることにより、水100をヒートシンク2の外部へ排出することができる。
また、実施の形態3では、実施の形態2の保護壁25をヒートシンク2に適用してもよい。このようにすれば、水溜め工程、検査工程及び排水工程において半導体モジュール3を水で濡れにくくすることができる。
また、実施の形態1及び3では、排水工程においてヒートシンク2から水100を排出するときに、実施の形態4の保護壁43を半導体モジュール3の周囲に配置してもよい。このようにすれば、半導体モジュール3を水で濡れにくくすることができる。
また、各上記実施の形態では、水溜め工程において、周壁42で囲まれた空間に大量の水100を一度に流し込むと、空気が複数のフィン22の間に気泡として残りやすくなる。水100の中に気泡が存在すると、検査工程での超音波探傷検査に支障が生じるおそれがある。従って、水溜め工程では、複数のフィン22の間に空気が気泡として残ることを回避するために、複数のフィン22が配置された領域の周囲の部分から、周壁42で囲まれた空間に水100を徐々に流し込むことが望ましい。さらに、水溜め工程では、水100を流し込む箇所を複数にすることにより、水100を溜める時間を短縮化することができ、半導体装置1の生産性を向上させることができる。
また、各上記実施の形態では、検査工程での超音波探傷検査に支障が生じないようにするために、水溜め工程において水100の中で複数のフィン22に気泡が残っているか否かを確認する必要がある。
ここで、水100の中の気泡は、光の反射により白く見える。ヒートシンク2を構成する材料として一般的に用いられるアルミニウムも、銀色などの白系の色であることが多い。これにより、水100の中の気泡を目視で識別することが困難になっている。
従って、各上記実施の形態では、水100の中の気泡を目視で識別しやすくするために、天板裏部分211及び各フィン22の少なくともいずれかの色を、黒色、灰色などの黒系の色にしてもよい。また、水100の中の気泡が目視で識別しやすくなるのであれば、天板裏部分211及び各フィン22の少なくともいずれかの色は、黒系の色でなくてもよい。
1 半導体装置、2 ヒートシンク、3 半導体モジュール、4 接着層、21 天板、22 フィン、23,42 周壁、24 実装面、25,43 保護壁、26 収容空間、31 ジャケット部材、100 水、211 天板裏部分、212 壁用溝部、213 排出用溝部、231 壁部、232 返し部。

Claims (9)

  1. 実装面が形成されている天板と、前記実装面に対して前記天板の裏側の部分である天板裏部分から突出するフィンと、前記天板裏部分に設けられ、前記フィンを囲む周壁とを有するヒートシンク、
    前記実装面に設けられた半導体モジュール、及び
    前記半導体モジュールと前記実装面との間に介在しており、前記半導体モジュールを前記天板に接着している接着層
    を備え、
    前記周壁は、前記実装面に直交する方向に沿って前記ヒートシンクを見たとき、前記接着層の領域を囲んでいる半導体装置。
  2. 前記天板に対する前記周壁の高さは、前記天板に対する前記フィンの高さよりも高くなっている請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ヒートシンクは、前記実装面から突出する保護壁を有しており、
    前記保護壁は、前記半導体モジュールの周囲に配置されている請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記周壁は、前記天板裏部分から突出する壁部と、前記壁部の先端部から前記フィンに近い側へ突出する返し部とを有している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
  5. ねじによって前記返し部に取り付けられたジャケット部材を備え、
    前記天板と前記ジャケット部材との間には、冷却媒体を収容する収容空間が形成されている請求項4に記載の半導体装置。
  6. 実装面が形成されている天板と、前記実装面に対して前記天板の裏側の部分である天板裏部分から突出するフィンとを有するヒートシンク、
    前記天板に設けられた半導体モジュール、及び
    前記半導体モジュールと前記実装面との間に介在しており、前記半導体モジュールを前記天板に接着している接着層
    を備え、
    前記天板裏部分には、前記ヒートシンクとは別部材とされた周壁が差し込み可能な壁用溝部が形成されており、
    前記壁用溝部は、前記実装面に直交する方向に沿って前記ヒートシンクを見たとき、前記接着層の領域を囲んでいる半導体装置。
  7. 前記天板裏部分には、前記壁用溝部に交差する排出用溝部が形成されており、
    前記排出用溝部の深さは、前記壁用溝部の深さよりも浅くなっている請求項6に記載の半導体装置。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体モジュールを前記実装面に前記接着層を介して配置する部品配置工程、
    前記部品配置工程の後、前記接着層を加熱しながら前記半導体モジュールを前記接着層に加圧する加熱加圧工程、
    前記加熱加圧工程の後、前記天板裏部分を上方に向けて前記ヒートシンクを配置した状態で、前記周壁で囲まれた空間に水を溜める水溜め工程、及び
    前記水溜め工程の後、前記周壁で囲まれた空間に溜められた水を介して前記接着層に向けて超音波を発振する検査工程
    を備えている半導体装置の製造方法。
  9. 請求項6又は請求項7に記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体モジュールを前記実装面に前記接着層を介して配置する部品配置工程、
    前記部品配置工程の後、前記接着層を加熱しながら前記半導体モジュールを前記接着層に加圧する加熱加圧工程、
    前記壁用溝部に前記周壁を差し込む周壁取付工程、
    前記周壁取付工程の後、前記天板裏部分を上方に向けて前記ヒートシンクを配置した状態で、前記周壁で囲まれた空間に水を溜める水溜め工程、及び
    前記水溜め工程の後、前記周壁で囲まれた空間に溜められた水を介して前記接着層に向けて超音波を発振する検査工程
    を備えている半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102567615B1 (ko) * 2022-11-11 2023-08-17 한화시스템 주식회사 냉각 장치 및 전자 장비
WO2024111367A1 (ja) * 2022-11-24 2024-05-30 ローム株式会社 半導体装置

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KR102567615B1 (ko) * 2022-11-11 2023-08-17 한화시스템 주식회사 냉각 장치 및 전자 장비
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