JP2014174470A - 光学積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せて光学積層体を製造する製造方法であって、パターン位相差フィルムの歪みを防止できる製造方法を提供する。
【解決手段】パターン位相差フィルムはレターデーション又は遅相軸方向が異なる2種類以上の領域を有する層を備え、前記領域は一方向に延在していて、パターン位相差フィルムを前記領域の延在方向とローラの走行方向とが直交する向きに配置する工程と、パターン位相差フィルムに対向する位置に光学フィルムを配置する工程と、光学フィルムにローラの走行方向と平行な方向に10mN/cm以下の張力をかけた状態でローラを走行させて、光学フィルムとパターン位相差フィルムとをローラで加圧することにより貼り合せる工程とを含む、光学積層体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルム及びパターン位相差フィルムを備える光学積層体の製造方法に関する。
立体画像表示装置のある態様として、画素と位置合わせされた状態で設けられた、特定のパターンを有する位相差フィルムを備えるものが知られている。例えば、パッシブ形式の立体画像表示装置では、通常、同一画面内に右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示させ、これらの画像を専用のメガネを用いて左右の目それぞれに振り分けるようにしている。そのため、パッシブ形式の立体画像表示装置には、右目用の画像及び左目用の画像のそれぞれを、異なる偏光状態で表示させることが求められる。そのような表示を達成するため、パッシブ形式の立体画像表示装置には、異なるレターデーションを有する複数種類の領域からなるパターンを有するパターン位相差フィルムが設けられることがある。また、異なる方向に遅相軸を有する複数種類の領域からなるパターンを有するパターン位相差フィルムが設けられることもある(特許文献1参照)。
特開2010−134404号公報
前記のパターン位相差フィルムは、通常、他の光学フィルムと貼り合わせた光学積層体として用いられる。例えば、パターン位相差フィルムは、粘着層を用いて位相差フィルムと貼り合わせられた光学積層体として用いられることがある。
ところが、従来の技術では、パターン位相差フィルムと光学フィルムとを貼り合せる場合に、パターン位相差フィルムに歪みが生じることがあった。パターン位相差フィルムに歪みが生じると、そのパターン位相差フィルムが有する領域の形状及び寸法が変化する。例えば、ストライプ状に形成された領域を有するパターン位相差フィルムにおいて歪みが生じると、そのストライプを構成する領域の幅が変化する可能性がある。
このように歪みを生じたパターン位相差フィルムを備える光学積層体を立体画像表示装置に適用した場合には、パターン位相差フィルムの領域の位置と立体表示装置の画素の位置とを正確に合わせることが難しくなり、クロストークの原因となりえる。ここでクロストークとは、立体画像表示装置において、左目用画像が右目で視認されたり、右目用画像が左目で視認されたりする現象を意味する。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたものであって、光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せて光学積層体を製造する製造方法であって、パターン位相差フィルムの歪みを防止できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せる際に、パターン位相差フィルムの設置の向きを特定の方向に設定し、更に光学フィルムに所定の方向へ張力をかけることにより、貼り合わせによるパターン位相差フィルムの歪みを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 光学フィルムとパターン位相差フィルムとを、走行可能なローラで加圧することにより貼り合せて光学積層体を製造する、光学積層体の製造方法であって、
前記パターン位相差フィルムは、レターデーション又は遅相軸方向が異なる2種類以上の領域を有する層を備え、
前記領域は、一方向に延在していて、
前記パターン位相差フィルムを、前記領域の延在方向と前記ローラの走行方向とが直交する向きに配置する工程と、
前記パターン位相差フィルムに対向する位置に、前記光学フィルムを配置する工程と、
前記光学フィルムに、前記ローラの走行方向と平行な方向に10mN/cm以下の張力をかけた状態で前記ローラを走行させて、前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを前記ローラで加圧することにより貼り合せる工程とを含む、光学積層体の製造方法。
〔2〕 前記パターン位相差フィルムの前記領域の延在方向における、前記領域の振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dが、0.02以上0.25以下である、〔1〕記載の光学積層体の製造方法。
〔3〕 前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを貼り合せる工程よりも前に、
クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記パターン位相差フィルムとを含む測定系Aを用意する工程と、
前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記パターン位相差フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記パターン位相差フィルムを透過する光の輝度Aを測定する工程と、
測定された輝度Aに基づいて、前記パターン位相差フィルムの少なくとも1つの遅相軸の方向を検知する工程と、
クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記光学フィルムとを含む測定系Bを用意する工程と、
前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記光学フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記光学フィルムを透過する光の輝度Bを測定する工程と、
測定された輝度Bに基づいて、前記光学フィルムの光学軸の方向を検知する工程と、
検知された前記パターン位相差フィルムの遅相軸の方向と前記光学フィルムの光学軸の方向とが所望の角度をなすように、前記パターン位相差フィルム及び前記光学フィルムの相対位置を調整する工程と、を含む、〔1〕又は〔2〕記載の光学積層体の製造方法。
〔4〕 前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを貼り合せる工程よりも前に、
クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記光学フィルムとを含む測定系Bを用意する工程と、
前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記光学フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記光学フィルムを透過する光の輝度Bを測定する工程と、
測定された輝度Bに基づいて、前記光学フィルムの光学軸の方向を検知する工程と、
前記パターン位相差フィルムの前記領域の延在方向と検知された前記光学フィルムの光学軸の方向とが所望の角度をなすように、前記パターン位相差フィルム及び前記光学フィルムの相対位置を調整する工程と、を含む、〔1〕又は〔2〕記載の光学積層体の製造方法。
本発明の光学積層体の製造方法によれば、パターン位相差フィルムの歪みを防止しながら、光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せて光学積層体を製造できる。
図1は、本発明の第一実施形態にかかるパターン位相差フィルムを模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第一実施形態にかかるPR層を概略的に示す上面図である。 図3は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、光学フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルムと光学フィルムとを貼り合せる工程の様子を模式的に示す正面図である。 図6は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルムと光学フィルムとを貼り合せる工程の様子を模式的に示す正面図である。 図7は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルムと光学フィルムとを貼り合せる工程の様子を模式的に示す正面図である。 図8は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルムの模式的な斜視図である。 図9は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルムの模式的な斜視図である。 図10は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルムの遅相軸の方向を検知するための測定系Aを模式的に示す斜視図である。 図11は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルムの測定系Aにおいて、カメラの位置から偏光子及びパターン位相差フィルムを見た様子を模式的に示す上面図である。 図12は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルムの測定系Aにおいて、カメラの位置から偏光子及びパターン位相差フィルムを見た様子を模式的に示す上面図である。 図13は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルムの遅相軸の方向を検知するための測定系Bを模式的に示す斜視図である。 図14は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルムの測定系Bにおいて、カメラの位置から偏光子及び光学フィルムを見た様子を模式的に示す上面図である。 図15は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルムの測定系Bにおいて、カメラの位置から偏光子及び光学フィルムを見た様子を模式的に示す上面図である。 図16は、実施例並びに比較例において、PR層の領域の振れ幅ΔD及び平均幅Dを測定する際のサンプルの様子を模式的に示す図である。 図17は、実施例及び比較例においてΔD/Dの測定のために光学積層体を撮影した場合に撮影される画像を模式的に示す図である。 図18は、図17に示す画像の一部を拡大した様子を模式的に示す図である。 図19は、PR層の領域の振れ幅ΔDの測定方法を説明するため、光学積層体を撮影して得られる画像における規格化されたY値を表すグラフの一例を示す図である。 図20は、本発明の実施例1において、パターン位相差フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す斜視図である。 図21は、本発明の実施例1において、光学フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。 図22は、比較例4におけるパターン位相差フィルムと光学フィルムとの貼り合せの様子を模式的に示す正面図である。 図23は、比較例4において、光学フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。 図24は、光学フィルムにかかる張力を測定する様子を模式的に示す正面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に挙げる実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。幅に対する長さの倍率の上限は、特に限定されないが、通常5000倍以下としてもよい。
また、「偏光板」、「1/4波長板」及び「1/2波長板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
また、「レターデーション」とは、別に断らない限り、面内レターデーションのことを意味する。フィルム又は層の面内レターデーションは、そのフィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx、前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率ny、フィルム又は層の厚みdを用いて、(nx−ny)×dで表される値である。面内レターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、フォトニックラティス社製「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。
また、「遅相軸」とは、別に断らない限り、面内の遅相軸のことを意味する。
また、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を含み、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」を含む。
また、「紫外線」とは、波長が1nm以上400nm以下の光のことを意味する。
また、構成要素の方向が「平行」、「直交」又は「垂直」とは、特に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
[1.第一実施形態]
〔1.1.パターン位相差フィルム〕
図1は、本発明の第一実施形態にかかるパターン位相差フィルムを模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、パターン位相差フィルム100は、レターデーション又は遅相軸方向が異なる2種類以上の領域111及び112を有する層(以下、適宜「PR層」ということがある。)110を備えるフィルムである。このパターン位相差フィルム100は、PR層110単独で構成された単層構造の層であってもよいが、本実施形態では、基材フィルム層120と、その基材フィルム層120上に形成されたPR層110とを備える複層フィルムであるものとする。
PR層110が備える領域111及び112は、レターデーションのみが異なっていてもよく、遅相軸方向のみが異なっていてもよく、レターデーション及び遅相軸方向の両方が異なっていてもよい。通常、これらの2種類以上の領域111及び112は所定のパターンを形成するようになっていて、このため、パターン位相差フィルム100の名称には「パターン」との用語が付されている。
PR層110の領域111及び112の好適な組み合わせの例としては、第一に、等方な領域(以下、「等方性領域」ということがある。)及び異方性を有する領域(以下、「異方性領域」ということがある。)との組み合わせが挙げられる。
異方性領域は、例えば、1/2波長板として機能しうる領域としてもよい。ここで、1/2波長板として機能しうる領域のレターデーションの値は、透過光の波長範囲の中心値の1/2の値から、通常±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲である。前記の透過光は通常は可視光であるため、透過光の波長範囲の中心値としては、通常、可視光の波長範囲の中心値である550nmを適用する。
他方、等方性領域は、測定波長550nmで測定した面内レターデーションがほぼゼロであることが好ましい。具体的には、測定波長550nmで測定した面内レターデーションの値が、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、また、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
PR層110の領域111及び112の好適な組み合わせの例としては、第二に、遅相軸方向が略90°異なる2種類の領域の組み合わせが挙げられる。ここで遅相軸方向が略90°異なるとは、これらの遅相軸方向がなす角度が、通常90°±5°以内、好ましくは90°±1°以内であることをいう。
図2は、本発明の第一実施形態にかかるPR層110を概略的に示す上面図である。
図2に示すように、PR層110が有する領域111及び112は、いずれも、ある一方向に延在している。この例において領域111及び112は、具体的には、いずれも一方向(領域111及び112の延在方向)Xに延在する帯状の形状を有している。
また、このPR層110は、複数の領域111及び112を面内で交互に有している。そのため、PR層110は、これらの領域111及び112からなるストライプ状のパターンを有する。このストライプ状のパターンは、通常、液晶表示装置においてパターン位相差フィルムと組み合わせる液晶パネルの画素の位置に応じて設定される。例えば、液晶表示装置がパッシブ型の立体表示装置である場合、液晶パネルは通常2組の画素群(即ち、右目で観察されるための画素群及び左目で観察されるための画素群)を有する。この場合、PR層110が有する領域111及び112のパターンは、これらの画素群のうちの一方に対応する領域を等方性領域とし、他方に対応する領域を異方性領域としてもよい。
領域111及び112の幅W111及びW112は、組み合わせる液晶パネルの画素の寸法に合わせて設定してもよい。通常、液晶パネルの画素の寸法は均一であるため、いずれの領域111及び112の幅W111及びW112も同程度になる。また、異なる種類の領域111と領域112との境界113は液晶パネルの画素間にあるブラックマトリックスに対応する位置に位置合わせすることになり、そのブラックマトリックスはある程度の幅を有している。このため、当該ブラックマトリックスの幅の分は、領域111の幅W111と領域112の幅W112とに差があってもよい。したがって、異なる種類の領域111及び112の幅W111及びW112は、必ずしも同じでなくても構わない。
パターン位相差フィルム100に張力をかけていない状態において、前記領域111及び112の延在方向Xにおける、前記領域111及び112の振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dは、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下である。これは、パターン位相差フィルム100に張力をかけていない状態において、前記の領域111及び112が真直性に優れることを意味する。すなわち、前記の領域111及び112の幅W111及びW112が、その領域111及び112の延在方向において不均一となったり、前記領域111及び112が湾曲したりすること無く、より直線に近い形状となることを意味する。このように各領域111及び112が真直性に優れることにより、パターン位相差フィルム100と液晶パネルとの位置合わせを精度良く行うことができる。
ここで、前記の領域111及び112の延在方向Xにおける振れ幅ΔDは、以下のようにして求めうる。
PR層110が有する領域111及び112から任意に選んだ複数(通常、10本)の領域111及び112の、それぞれの幅方向中央の地点(以下、「中点」ということがある。)P111及びP112に着目する。この中点P111及びP112の幅方向Yの位置を、各領域111及び112について延在方向Xにおける複数個所で測定する。各領域111及び112の測定結果について、測定を開始した地点の中点P111及びP112の位置を基準として規格化を行う。選んだ全ての領域111及び112の測定結果の中から、規格化した中点P111及びP112の位置のうち、幅方向Yにおいて最も一端寄りとなった位置と最も他端寄りとなった位置との幅方向Yにおける距離を算出し、この距離を振れ幅ΔDとする。
また、前記の領域111及び112の延在方向Xにおける平均幅Dは、前記の領域111及び112の幅W111及びW112の平均値を表す指標値である。この平均幅Dは、以下のようにして求めうる。
PR層110が有する領域111及び112から任意に選んだ複数(通常、10本)の領域の、それぞれの幅W111及びW112を、各領域111及び112について延在方向Xにおける複数個所で測定する。選んだ全ての領域111及び112の全ての測定結果の平均値を算出し、この平均値を平均幅Dとする。
PR層110の厚みは、前記の領域111及び112それぞれで所望のレターデーションが得られるように適切な厚みに設定しうる。通常は、PR層110の厚みは、0.5μm以上50μm以下の範囲である。
図1に示すように、本実施形態にかかるパターン位相差フィルム100は、基材フィルム層120を備える。この基材フィルム層120としては、通常、樹脂フィルムを用いる。
基材フィルム層120は、レターデーションを有していてもよく、有していなくてもよい。本実施形態では、基材フィルム層120は、レターデーションを有さない等方なフィルムであるものとする。具体的には、測定波長550nmで測定した基材フィルム層120の面内レターデーションの値が、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上であり、また、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下である。
〔1.2.パターン位相差フィルムの配置〕
図3は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルム100を配置する工程の様子を模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、本実施形態に係る製造方法では、ローラ200を備えた製造装置を用いて、光学積層体を製造する。このローラ200は、その周方向に回転可能に設けられており、また、矢印A1で示す一方向へ走行可能となっている。
また、本実施形態に係る製造方法では、パターン位相差フィルム100は、パターン位相差フィルム100を支持しうる上部ステージ210に固定される。このとき、パターン位相差フィルム100は、PR層110が光学フィルム300(図4参照)に対向できるようにするため、基材フィルム層120が上部ステージ210に接触する向きで上部ステージ210に固定される。
この上部ステージ210を所望の位置に配置することにより、パターン位相差フィルム100を所望の位置に配置する。この際、パターン位相差フィルム100は、PR層110の領域111及び112の延在方向Xと、矢印A1で示すローラ200の走行方向とが直交する向きに、配置する。
〔1.3.光学フィルムの配置〕
図4は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、光学フィルム300を配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。
本実施形態に係る製造方法では、図4に示すように、光学フィルム300は、光学フィルム300を支持しうる下部ステージ220に置かれる。この下部ステージ220のローラ200に近い端部230には、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300との貼り合わせの開始時にローラ200が下部ステージ220に当たらないようにするため、面取りが施されている。
また、光学フィルム300は、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300との貼り合わせの開始時に光学フィルム300をローラ200が加圧できるようにするために、光学フィルム300のローラ200に近い端部310が下部ステージ220からはみ出すように置かれる。
さらに、光学フィルム300のパターン位相差フィルム100に対向する表面300Uには、粘着層400が形成される。この粘着層400は、粘着剤の層である。粘着層400は、光学フィルム300を下部ステージ220に置く前に形成してもよく、光学フィルム300を下部ステージ220に置いてから形成してもよい。
この下部ステージ220を所望の位置に配置することにより、光学フィルム300を所望の位置に配置する。具体的には、光学フィルム300を、パターン位相差フィルム100に対向しうる位置に配置する。
ここで、光学フィルム300を配置する工程は、前記のようにパターン位相差フィルム100を所望の位置に配置する工程の前に行ってよく、後に行ってもよく、パターン位相差フィルム100を所望の位置に配置する工程と同時に行ってもよい。
〔1.4.光学フィルムとパターン位相差フィルムとの貼り合わせ〕
図5〜図7は、いずれも、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合せる工程の様子を模式的に示す正面図である。
前記のようにパターン位相差フィルム100及び光学フィルム300を配置した後で、図5〜図7に示すようにローラ200を走行させて、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することにより貼り合せる。これにより、光学積層体500を製造する。
具体的には、図5に示すように、下部ステージ220を、ローラ200の走行方向の前方が下になるように傾斜させる。また、ローラ200を矢印A1で示す走行方向に走行させる。走行したローラ200は、光学フィルム300の端部310に到着し、この端部310において光学フィルム300を押さえつける。
その後、図6に示すように、ローラ200を矢印A1で示す走行方向に更に走行させる。ローラ200が走行した部分においてローラ200と上部ステージ210との間で光学フィルム300及びパターン位相差フィルム100の加圧が行われるので、端部310から順に光学フィルム300とパターン位相差フィルム100との貼り合わせが行われる。この際、ローラ200が回転可能になっているので、ローラ200は矢印A2で示すように周方向へ回転しながら走行する。
また、光学フィルム300の端部310よりも先へとローラ200を走行させる際、下部ステージ220も、傾斜した状態を維持したままで、ローラ200と同じ向き(図6では、図中右向き)に移動させる。この際、下部ステージ220の移動方向は、矢印A3に示すように、ローラ200の走行方向と平行にする。これにより、光学フィルム300及び接着層400の自重、並びに、光学フィルム300と下部ステージ220との間の摩擦によって、光学フィルム300には、ローラ200の走行方向と平行な方向に微弱な張力がかかる。このように、ローラ200の走行方向と平行な方向に微弱な張力を光学フィルム300にかけた状態で貼り合わせを行うことにより、貼り合わせの際のパターン位相差フィルム100の歪みを防止できる。
光学フィルム300にかける前記の張力の大きさは、通常10mN/cm以下、好ましくは9mN/cm以下、より好ましくは8mN/cm以下である。ここで、張力の単位「mN/cm」とは、ローラ200の走行方向に直交する方向の寸法1cm当たりの張力の大きさを示す。光学フィルム300にかける張力の大きさを前記の範囲に収めることにより、パターン位相差フィルム100の歪みを安定して防止でき、且つ、光学積層体500のカールを防止できる。
光学フィルム300にローラ200の走行方向と平行な方向に張力をかけることによってパターン位相差フィルム100の歪みを防止できる理由は必ずしも定かでは無い。しかし、本発明者の検討によれば、次のように推察される。
従来は、パターン位相差フィルムと光学フィルムとをローラで加圧することによって貼り合わせる場合、ローラから加えられる厚み方向の圧力により、パターン位相差フィルムが歪み、PR層の領域の幅が変化していたと考えられる。これに対し、光学フィルム300にローラ200の走行方向と平行に張力を与えることにより、この張力がローラ200から加えられる圧力に抗することができるので、パターン位相差フィルム100の歪みを小さくできていると推察される。さらに、PR層110の領域111及び112の延在方向をローラ200の走行方向と直交するようにしたので、その領域111及び112の延在方向と直交する方向(図1の幅方向Y参照)において領域111及び112の寸法を、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせる瞬間において固定できるので、これによっても、パターン位相差フィルム100の歪みを小さくできていると推察される。また、過度に大きな張力を与えると、貼り合わせ後において光学フィルム300に残留した応力がかえって歪みの原因となる可能性があることから、前記のように微弱な張力が好ましい。
ローラ200の走行方向と平行な方向に光学フィルム300にかける張力の下限は、ゼロより大きければ制限は無いが、好ましくは0.01mN/cm以上、より好ましくは0.03mN/cm以上、特に好ましくは0.05mN/cm以上である。
ここで、本発明者の検討によれば、本実施形態のように下部ステージ220を移動させる方法で光学フィルム300に張力をかける場合、その張力のほとんどは、光学フィルム300と下部ステージ220との間の摩擦によって生じる。このため、光学フィルム300にかかる張力の大きさは、下部ステージ220を移動させ始める時点(貼り合わせの開始時点)が最も大きく、光学フィルム300の未貼合部分(即ち、光学フィルム300の、未だパターン位相差フィルム100と貼り合わせられていない部分)が小さくなるほど小さくなる。よって、下部ステージ220を移動させ始める時点で光学フィルム300にかかる張力が前記の範囲に収まっていれば、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせる工程の全期間を通じて、光学フィルム300にかかる張力の大きさを前記の範囲に収めることができる。したがって、下部ステージ220を移動させ始める時点で光学フィルム300にローラ200の走行方向と平行な方向にかかる張力の大きさを、前記の範囲に収めることが好ましい。
その後、ローラ200を更に走行させ、且つ、下部ステージ220を更に移動させることにより、光学フィルム300及びパターン位相差フィルム100を全面で貼り合わせる。これにより、図7に示すように、光学フィルム300、粘着層400及びパターン位相差フィルム100をこの順に備えた光学積層体500が得られる。
この光学積層体500においては、貼り合わせによるパターン位相差フィルム100の歪みが小さい。そのため、PR層110の領域111及び112の幅W111及びW112は、貼り合わせ前のまま維持される。したがって、得られた光学積層体500に含まれるPR層110の領域111及び112の幅W111及びW112を設計どおりにできるので、歩留まりを向上させたり、立体画像表示装置においてクロストークを防止したりできる。また、通常は、得られた光学積層体500に含まれるPR層110の領域111及び112の振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dを、貼り合わせる前における比ΔD/Dの範囲として前述した範囲に収めることができる。
〔1.5.その他の工程〕
本発明の第一実施形態に係る光学積層体の製造方法においては、前述した以外に任意の工程を更に行ってもよい。
例えば、光学積層体500から基材フィルム層120を剥がしてもよい。通常は光学フィルム300が機械的強度に優れるので、基材フィルム層120を剥がしても、PR層110の領域111及び112が変形する可能性は低い。また、基材フィルム層120を剥がすことにより、光学積層体500の厚みを薄くすることができる。
さらに、例えば、光学積層体500に更に任意のフィルムを貼り合せてもよい。このような任意のフィルムの例を挙げると、位相差フィルム、反射防止フィルム、ギラツキ防止フィルム、アンチグレアフィルム、ハードコートフィルムおよびプリズムシート等を挙げることができる。
[2.第二実施形態]
一般に、光学積層体の形状は、適用される液晶表示装置の画面の形状に合わせて、矩形にされることが多い。このため、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの形状も、矩形にされることが多い。したがって、光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せる場合には、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの矩形の辺同士を揃えることにより、両者の面内方向の向き(方位角方向の向き)を合わせることが一般的である。
他方、光学フィルムとして光学軸を有するフィルムを用いる場合、光学フィルムの光学軸の方向とパターン位相差フィルムのPR層の遅相軸の方向とが所望の角度をなすように、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの面内方向の向きを調整することが求められる。例えば、光学フィルムとして位相差フィルムを用い、PR層の領域として異方性領域と等方性領域とを組み合わせて用いる場合には、その位相差フィルムの遅相軸の方向とPR層の異方性領域の遅相軸の方向とが所望の角度をなすように、位相差フィルムとパターン位相差フィルムの面内方向の向きを調整することが求められる。したがって、一般的には、前記のように光学フィルム及びパターン位相差フィルムの矩形の辺を目印にして貼り合わせを行った場合に光学フィルムの光学軸の方向とパターン位相差フィルムのPR層の遅相軸の方向とが所望の角度をなすように、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの設計が行われる。
しかし、実際の工業製品においては、光学軸の方向には数度(通常は、1°〜2°程度)の誤差が含まれる可能性がある。したがって、光学積層体の品質向上のためには、前記の光学軸の方向の誤差の影響を排除して、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの面内方向の向きを正確に調整することが好ましい。
このように光学フィルム及びパターン位相差フィルムの面内方向の向きを正確に調整するためには、光学フィルムの光学軸の方向及びパターン位相差フィルムの遅相軸の方向を正確に検知することが好ましい。以下、このように光学フィルムの光学軸の方向及びパターン位相差フィルムの遅相軸の方向を検知した上で、光学フィルム及びパターン位相差フィルムの面内方向の向きを正確に調整してから、光学積層体の製造を行う製造方法について、第二実施形態を挙げて説明する。
図8は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルム100の模式的な斜視図である。
図8に示すように、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルム100は、第一実施形態と同様のPR層110及び基材フィルム層120を備える。ただし、本実施形態に係るパターン位相差フィルム100では、PR層110の領域111が異方性領域となっており、領域112が等方性領域となっているものとする。パターン位相差フィルム100の基材フィルム層120及びPR層110の領域112が遅相軸を有さないので、本実施形態に係るパターン位相差フィルム100が有する遅相軸は、PR層110の領域111の遅相軸A111だけである。したがって、本実施形態では、前記の輝度Aにより、領域111の遅相軸A111の方向を検知することになる。
図9は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルム300の模式的な斜視図である。
本発明の第二実施形態に係る光学フィルム300としては、位相差フィルムを用いている。したがって、図9に示すように、光学フィルム300は、光学軸として遅相軸A300を有する。
本発明の第二実施形態に係る光学積層体の製造方法では、第一実施形態と同様にして、パターン位相差フィルム100を領域111及び112の延在方向とローラ200の走行方向とが直交する向きに配置し、さらに、パターン位相差フィルム100に対向する位置に光学フィルム300を配置する。その後、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向を検知する工程、及び、光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程を行う。これらの工程はいずれを先に行ってもよいが、本実施形態では、先にパターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向の検知を行う。
図10は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向を検知するための測定系Aを模式的に示す斜視図である。ただし、図10においては、上部ステージ210の図示は省略する。
本発明の第二実施形態にかかる光学積層体の製造方法では、パターン位相差フィルム100のPR層110の領域111の遅相軸A111の方向を検知するために、上部ステージ210の上下に一対の偏光子610及び620、光源630並びに輝度測定装置としてのカメラ640を設置して、図10に示すような測定系Aを用意する。
この測定系Aは、クロスニコル状態で配置された一対の偏光子610及び620と、当該一対の偏光子610及び620の間に配置されたパターン位相差フィルム100とを含む。クロスニコル状態であるので、偏光子610の偏光透過軸A610と偏光子620の偏光透過軸A620とは、厚み方向で見て直交している。光源630、一方の偏光子610、パターン位相差フィルム100、他方の偏光子620及びカメラ640は、この順に並んでいる。したがって、測定系Aにおいて、光源630から発せられた光は偏光子610に照射され、その後、パターン位相差フィルム100及び偏光子620を通った光の輝度Aが、カメラ640で測定されうるようになっている。
そこで、前記の測定系Aを用意した後で、光源630から偏光子610(偏光子の一方)に光を照射しながら、パターン位相差フィルム100を一対の偏光子610及び620に対して相対的に面内方向に回転させて、一対の偏光子610及び620並びにパターン位相差フィルム100を透過する光の輝度Aをカメラ640により測定する。そして、測定された輝度Aに基づいて、パターン位相差フィルム100の少なくとも1つの遅相軸A111の方向を検知する。
一対の偏光子610及び620がクロスニコル状態で配置されているので、図10に示す測定系Aでは、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と領域111の遅相軸A111とが厚み方向で見て平行又は直交する場合に、カメラ640で測定される輝度Aは最小となる。したがって、カメラ640で測定される輝度Aが最小となるときの偏光子610及び620の偏光透過軸の方向を調べることにより、PR層110の領域111の遅相軸A111の方向を検知できる。
領域111の遅相軸A111の方向の検知方法を、図面を示して更に詳しく説明する。図11及び図12は、本発明の第二実施形態に係るパターン位相差フィルム100の測定系Aにおいて、カメラ640の位置から偏光子620及びパターン位相差フィルム100を見た様子を模式的に示す上面図である。
輝度Aの測定の際、図11に示すように、面内での光学軸の向きを決める基準とするために、基準線Lを設定する。本実施形態では、測定開始時点における偏光子620の偏光透過軸と平行な直線を基準線Lとして設定している。
そして、光源630から偏光子610に、光を照射する。また、カメラ640によって偏光子610及び620並びにパターン位相差フィルム100を透過する光の輝度Aを測定しながら、一対の偏光子610及び620をクロスニコル状態を維持したまま、矢印A4に示すように面内方向に回転させる。
図12に示すように、回転した偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620がPR層110の領域111の遅相軸A111と平行又は直交するとき、カメラ640によって測定される輝度Aは最小となる。このため、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と平行又は直交する方向が、領域111の遅相軸A111の方向として検知される。本実施形態では、基準線Lと偏光子620の偏光透過軸A620とがなす角の大きさが角度θとなったときに、輝度Aが最小になったものとする。
前述のように、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と領域111の遅相軸A111とが平行又は直交となるとき、輝度Aは最小となる。そのため、輝度Aの値だけから領域111の遅相軸A111の方向を検知しようとすれば、偏光子620の偏光透過軸A620に平行な方向及び直交する方向という、2つの方向が遅相軸A111の方向の候補として導き出される。したがって、一見すると、前記の方法では領域111の遅相軸A111の方向を一義には検知できないように思われる。しかし、通常は、領域111の遅相軸A111の方向として、誤差の範囲を除くおおよその方向は判明しているので、前記の2つの方向のうちいずれが領域111の遅相軸A111の方向であるかは、容易に判断できる。また、この点は、後述する光学フィルム300の遅相軸A300についても、同様である。
次に、光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程を行う。図13は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知するための測定系Bを模式的に示す斜視図である。ただし、図13においては、下部ステージ220及び粘着層400の図示は省略する。
光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知するため、下部ステージ220の上下に一対の偏光子610及び620、光源630並びに輝度測定装置としてのカメラ640を設置して、図13に示すような測定系Bを用意する。
この測定系Bは、パターン位相差フィルム100を光学フィルム300に置き換えたこと以外は、輝度Aを測定した後の測定系A(図10参照)と同様である。したがって、図13に示す測定系Bは、クロスニコル状態で配置された一対の偏光子610及び620と、当該一対の偏光子610及び620の間に配置された光学フィルム300とを含み、更に光源630及びカメラ640を含む。そして、光源630から発せられた光が偏光子610に照射され、その後、光学フィルム300及び偏光子620を通った光の輝度Bが、カメラ640で測定されるようになっている。また、この測定系Bでは、偏光子620の偏光透過軸A620の方向は、基準線Lと角度θをなす方向となっている。したがって、この測定系Bにおいて一対の偏光子610及び620は、前記のように特定されたPR層110の領域111の遅相軸A111と平行又は直交する偏光透過軸A610及びA620を有することになる。
前記の測定系Bを用意した後で、光源630から偏光子610(偏光子の一方)に光を照射しながら、光学フィルム300を一対の偏光子610及び620に対して相対的に面内方向に回転させて、一対の偏光子610及び620並びに光学フィルム300を透過する光の輝度Bをカメラ640により測定する。そして、測定された輝度Bに基づいて、光学フィルム300の光学軸である遅相軸A300の方向を検知する。
一対の偏光子610及び620がクロスニコル状態で配置されているので、図13に示す測定系Bでは、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と光学フィルム300の遅相軸A300とが厚み方向で見て平行又は直交する場合に、カメラ640で測定される輝度Bは最小となる。したがって、カメラ640で測定される輝度Bが最小となるときの偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620の方向を調べることにより、光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知できる。
光学フィルム300の遅相軸A300の方向の検知方法を、図面を示して更に詳しく説明する。図14及び図15は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルム300の測定系Bにおいて、カメラ640の位置から偏光子620及び光学フィルム300を見た様子を模式的に示す上面図である。
輝度Bの測定の際、光源630から偏光子610に光を照射する。また、カメラ640によって偏光子610及び620並びに光学フィルム300を透過する光の輝度Bを測定しながら、下部ステージ220を回転させることによって、図14に示すように、光学フィルム300を矢印A5に示すように回転させる。
図15に示すように、回転した光学フィルム300の遅相軸A300が、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と平行又は直交するとき、カメラ640によって測定される輝度Bは最小となる。このため、偏光子610及び620の偏光透過軸A610及びA620と平行又は直交する方向が、光学フィルム300の遅相軸A300の方向として検知される。本実施形態では、偏光子620の偏光透過軸A620と光学フィルム300の遅相軸A300とが直交することにより、輝度Bが最小になったものとする。したがって、本実施形態では、光学フィルム300の遅相軸A300が、パターン位相差フィルム100のPR層110の領域111の遅相軸A111と、厚み方向で見て直交する方向を向いたときに、輝度Bが最小となっている。
パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とを検知した後に、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整する。詳しくは、検知されたパターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが所望の角度をなすように、上部ステージ210及び下部ステージ220の向きを調整して、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整する。
その後、第一実施形態と同様に、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせて、光学積層体500を製造する。パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を正確に調整することにより、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とがなす角度を正確に制御して、貼り合わせを行うことができる。これにより、光学軸の方向を正確に制御した光学積層体500が得られる。この光学積層体500は、優れた光学特性を有する。そのため、この光学積層体500を備える表示装置の画質を高めることができる。
また、本実施形態の方法でパターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とを検知したとき、検知後のパターン位相差フィルム100及び光学フィルム300は、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の面内方向の向きを変えなくても、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とは厚み方向で見て直交している。すなわち、本実施形態に係る光学積層体500の製造方法において、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが直交するようにしたい場合には、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向を検知する工程及び光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程が、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整する工程を兼ねている。したがって、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが直交するようにしたい場合、上述した第二実施形態に係る製造方法は、手間を減らして製造効率を高められる点で、好ましい。
さらに、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが厚み方向で見て平行になるようにしたい場合も、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向を検知する工程及び光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程に、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整する工程を兼ねさせることができる。
また、本実施形態のように、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111及び光学フィルム300の遅相軸A300を、パターン位相差フィルム100及び光学フィルム300が上部ステージ210及び下部ステージ220等のステージに取り付けられた状態で測定したい場合には、例えば、ステージに測定用の窓を設けたり、ステージからはみ出したフィルムの端部にて測定を行ったりしてもよい。
[3.第三実施形態]
第二実施形態では、パターン位相差フィルム100のPR層110の領域111の遅相軸A111の方向を検知した。しかし、パターン位相差フィルム100においては、通常、PR層110の領域111及び112の延在方向により、PR層110の領域111の遅相軸A111の方向を特定できることが多い。したがって、第二実施形態のようにPR層110の領域111の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが所望の角度をなすように相対位置の調整を行う代わりに、PR層110の領域111及び112の延在方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが所望の角度をなすように相対位置の調整を行ってもよい。
例えば、上述した第二実施形態に係る光学積層体の製造方法において、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向と光学フィルム300の遅相軸A300の方向とが所望の角度をなすようにパターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整する代わりに、パターン位相差フィルム100のPR層110の領域111又は112の延在方向と光学フィルム300の光学軸である遅相軸A300の方向とが所望の角度をなすようにパターン位相差フィルム100及び光学フィルム300の相対位置を調整するようにしてもよい。
具体的には、PR層110の領域111又は112の延在方向と平行な直線を仮想的に設定し、この直線を領域111の遅相軸A111と同様に扱って、前記の第二実施形態と同様にして光学積層体500を製造してもよい。この場合、第二実施形態とは異なり、パターン位相差フィルム100のPR層110の領域111の遅相軸A111の方向を検知することは、不要である。これにより、第二実施形態よりも簡単に、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300との相対位置の調整を行うことができる。
[4.変形例]
以上、本発明について実施形態を示して説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、更に変更して実施してもよい。
例えば、前述の実施形態ではいずれもパターン位相差フィルム100としてPR層110と基材フィルム層120とを備えた複層フィルムを用いたが、PR層110からなる単層フィルムをパターン位相差フィルムとして用いてもよい。
また、例えば、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合せる際に光学フィルム300に張力をかける方法は任意であり、第一実施形態で例示した以外の方法を用いてもよい。具体例を挙げると、把持子で光学フィルム300の端部を把持し、その把持子によってパターン位相差フィルム100を引っ張ってもよい。ただし、第一実施形態で例示したように下部ステージ220との摩擦を利用する方法は、実施が容易であり、且つ、パターン位相差フィルム100に面内で均一な張力をかけられる点で、好ましい。
また、前述の実施形態ではいずれも粘着剤で形成した粘着層によってパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせるようにしたが、粘着剤の代わりに接着剤を用いてもよく、粘着剤及び接着剤を用いずにパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを直接に貼り合わせてもよい。さらに、接着剤を用いた場合には、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせた後で、必要に応じて加熱処理及び紫外線照射処理等の硬化処理を行うことにより、その接着剤を硬化させることが好ましい。
また、前述の実施形態ではいずれも光学フィルム300の表面に粘着層400を形成し、その粘着層400によってパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせるようにしたが、パターン位相差フィルム100の表面に粘着層400を形成し、その粘着層400によってパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とを貼り合わせるようにしてもよい。
また、第二実施形態及び第三実施形態では、PR層110の領域111及び領域112の組み合わせとして異方性領域と等方性領域との組み合わせを例に挙げて説明したが、領域111及び領域112の組み合わせは任意である。例えば、領域111及び領域112の組み合わせとして、遅相軸方向が略90°異なる2種類の領域の組み合わせを採用した場合でも、第二実施形態及び第三実施形態と同様にして光学積層体を製造することができる。
さらに、第二実施形態及び第三実施形態では、パターン位相差フィルム100を領域111及び112の延在方向とローラ200の走行方向とが直交する向きに配置し、さらに、パターン位相差フィルム100に対向する位置に光学フィルム300を配置した後で、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向及び光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程を行った。しかし、パターン位相差フィルム100の遅相軸A111の方向及び光学フィルム300の遅相軸A300の方向を検知する工程は、光学フィルム300とパターン位相差フィルム100とを貼り合せる工程よりも前の任意の時期に行いうる。
[5.パターン位相差フィルムの製造方法]
以下、パターン位相差フィルムの製造方法について説明する。
パターン位相差フィルムは、例えば、基材フィルム層上にPR層を形成することにより、製造しうる。
PR層は、例えば、液晶相を呈することができ且つ紫外線(UV)等のエネルギー線の照射を受けて硬化しうる材料を用いて製造しうる。かかる材料を、以下において「硬化性液晶組成物」ということがある。また、かかる材料の、未硬化状態の層又は硬化後の層を、以下において「液晶樹脂層」ということがある。
例えば、異方性領域と等方性領域とを有するPR層は、硬化性液晶組成物を適切な基材フィルム層に塗布して未硬化状態の液晶樹脂層を得て、その液晶樹脂層の一部をある配向状態で硬化させ、他の一部を等方相の配向状態(すなわち、配向していない状態)で硬化させることにより製造してもよい。このような製造方法は、基材フィルム層として長尺の基材フィルム層を用いて行うことが可能である。また、このような製造方法は、基材フィルム層を搬送方向にラビングすることで、そのラビング方向と平行に硬化性液晶組成物が配向させることが可能である。そのため、このような製造方法は、PR層を長尺のフィルムとして製造できるので、生産効率の点で優れている。
具体的には、
i.基材フィルム層の一方の表面に、エネルギー線を遮光しうる遮光部と前記エネルギー線を透過させうる透光部とを有するマスク層を作製する工程と、
ii.前記基材フィルム層の前記マスク層とは反対側の表面に、未硬化状態の液晶樹脂層を設ける工程と、
iii.前記基材フィルム層の前記マスク層側に、前記遮光部で遮光されるが前記透光部を透光する波長のエネルギー線を照射して、前記液晶樹脂層の一部の領域を硬化させる第一の硬化工程と、
iv.前記液晶樹脂層の未硬化状態の領域における配向状態を変化させる工程と、
v.前記基材フィルム層の前記マスク層とは反対側にエネルギー線を照射して前記液晶樹脂層の未硬化状態の領域を硬化させる第二の硬化工程と
を有する製造方法により製造してもよい。
このようにして製造されたPR層は、通常はマスク層を剥がした後で使用される。また、必要であれば、PR層から基材フィルム層を剥がしてもよい。ただし、適宜、基材フィルム層及びマスク層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、剥がさずに使用してもよい。
上記の製造方法において、基材フィルム層の材料としては、未硬化状態の液晶樹脂層を硬化させる工程において液晶樹脂層が硬化できる程度に紫外線等のエネルギー線を透過させられる材料を用いうる。通常は、1mm厚で全光線透過率が80%以上である材料が好適である。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計(日本電色工業社製、NDH−300A)を用いて測定しうる。
基材フィルム層の材料の例としては、樹脂が挙げられる。これらの樹脂が含む重合体の例を挙げると、鎖状オレフィン重合体、シクロオレフィン重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、鎖状オレフィン重合体及びシクロオレフィン重合体が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、シクロオレフィン重合体が特に好ましい。
ここで、樹脂は、1種類の重合体を単独で含むものを用いてもよく、2種類以上の重合体を任意の比率で組み合わせて含むものを用いてもよい。また、樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含ませてもよい。好適な樹脂の具体例を挙げると、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」を挙げることができる。
基材フィルム層の厚みは、製造時のハンドリング性、材料のコスト、薄型化及び軽量化の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
基材フィルム層は、延伸されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸された延伸フィルムであってもよい。また、基材フィルム層は、等方なフィルムであってもよく、異方性を有するフィルムであってもよい。
基材フィルム層は、一層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、二層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。通常は、生産性及びコストの観点から、単層構造のフィルムを用いる。
基材フィルム層は、その片面又は両面に表面処理が施されたものであってもよい。表面処理を施すことにより、基材フィルム層の表面に直接形成される他の層との密着性を向上させることができる。表面処理としては、例えば、エネルギー線照射処理及び薬品処理などが挙げられる。また、基材フィルム層の硬化性液晶組成物を塗布する面に、配向膜を形成していてもよい。
マスク層の材料としては、エネルギー線(例えば、紫外線)を遮光することができ、且つパターンの形成が容易なマスク用組成物を適宜選択して用いてもよい。
通常、マスク用組成物としては、樹脂を用いる。前記の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ウレタンアクリレート硬化樹脂、エポキシアクリレート硬化樹脂およびポリエステルアクリレート硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類の樹脂が好ましい。これらの樹脂を含むことにより、紫外線を遮光する材料を高温環境下においても保持し、安定した遮光部を作製することができる。前記の樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
マスク用組成物に含まれる樹脂のガラス転移温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上であり、通常400℃以下、好ましくは350℃以下である。ガラス転移温度を80℃以上にすることによりマスク層の耐熱性を高めることができ、例えば液晶樹脂層の加熱時にマスク層が変形することを防止できる。また、ガラス転移温度を400℃以下にすることにより、樹脂の溶解性を高めてマスク用組成物の印刷を簡単にできる。印刷前の状態とマスク層を形成した後の状態とで樹脂のガラス転移温度が変化する場合には、マスク層を形成した後の状態においてガラス転移温度が前記の範囲に収まることが好ましい。
マスク用組成物は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。これによりマスク層の遮光部が紫外線吸収剤を含むことになり、遮光部において紫外線を安定して遮光することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤の使用量は、マスク層中のモノマー、オリゴマー及びポリマー100重量部に対して、通常5重量部以上、好ましくは8重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、通常20重量部以下、好ましくは18重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。
マスク用組成物は、さらに、着色剤、金属粒子、溶媒、光重合開始剤、架橋剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
マスク用組成物を用いてマスク層を形成する方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロータリースクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法、又はこれらの組み合わせである印刷法を好ましく挙げることができる。透光部と遮光部は、例えば、マスク層の厚みが薄い層と厚い層とを形成することにより設けてもよい。
硬化性液晶組成物としては、液晶化合物(液晶性を有する化合物)を含む組成物を用いうる。前記の液晶化合物としては、例えば、重合性基を有する液晶化合物、側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。重合性基を有する液晶化合物としては、例えば、特開平11−513360号公報、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物としては、例えば、特開2003−177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。また、好ましい液晶化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
硬化性液晶組成物における液晶化合物の屈折率異方性Δnは、波長546nmにおいて、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上であり、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.25以下である。屈折率異方性Δnを前記範囲の下限値以上にすることにより、所望の光学的機能を得るために液晶樹脂層に求められる厚みを薄くできるので、配向均一性を良好にできる。また、経済コスト的にも有利である。屈折率異方性Δnを前記範囲の上限以下にすることにより、所望の光学的機能を得るために液晶樹脂層の厚みが過度に薄くなることを防止でき、厚み精度の観点で有利である。また、屈折率異方性Δnが0.30より大きい場合、液晶樹脂層の紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合がありえるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。
硬化性液晶組成物が液晶化合物を1種類だけ含む場合には、当該液晶化合物の屈折率異方性を、そのまま硬化性液晶組成物における液晶化合物の屈折率異方性とする。また、硬化性液晶組成物が液晶化合物を2種類以上含む場合には、各液晶化合物それぞれの屈折率異方性Δnの値と各液晶化合物の含有比率とから求めた加重平均の値を、硬化性液晶組成物における液晶化合物の屈折率異方性とする。屈折率異方性Δnの値は、セナルモン法により測定しうる。
さらに、硬化性液晶組成物は、製造方法及び最終的な性能に対して適正な物性を付与するために、液晶化合物以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、有機溶媒、界面活性剤、キラル剤、重合開始剤、紫外線吸収剤、架橋剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒のうち好適な例を挙げると、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、およびエーテル類等が挙げられる。これらの中でも、環状ケトン類、環状エーテル類が、液晶化合物を溶解させやすいために好ましい。環状ケトン類としては、例えば、シクロプロパノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、中でもシクロペンタノンが好ましい。環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、中でも1,3−ジオキソランが好ましい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよく、硬化性液晶組成物としての相溶性、粘性、及び表面張力の観点などから最適化されることが好ましい。
有機溶媒の配合割合は、有機溶媒以外の固形分全量に対する割合として、通常は30重量%以上95重量%以下である。
界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することが好ましい。好ましい界面活性剤の例を挙げると、疎水基部分にシロキサン及びフッ化アルキル基等を含有するノニオン系界面活性剤などが挙げられる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤の例を製品名で挙げると、OMNOVA社PolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652;ネオス社フタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D;DIC社メガファックのF−477、F−553、F−554、F−555、F−556、TF−1367;住友スリーエム社ノベックのFC−430、FC−4430、FC−4432;セイミケミカル社サーフロンのKH−40等が挙げられる。界面活性剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の配合割合は、硬化性液晶組成物を硬化して得られる液晶樹脂層中における界面活性剤の濃度が0.05重量%以上3重量%以下となるようにすることが好ましい。界面活性剤の配合割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、空気界面における配向規制力を高くできるので、配向欠陥を防止できる。また、上限値以下にすることにより、過剰の界面活性剤が液晶性化合物の分子間に入り込まないようできるので、配向均一性を高くできる。
キラル剤は、重合性化合物であってもよく、非重合性化合物であってもよい。キラル剤としては、通常、分子内にキラルな炭素原子を有し、液晶化合物の配向を乱さない化合物を使用する。キラル剤の例を挙げると、重合性のキラル剤としてはBASF社製「LC756」等が挙げられる。また、例えば、特開平11−193287号公報、特開2003−137887号公報などに記載されているものも挙げられる。キラル剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。キラル剤は、通常、ツイステッドネマチック相を有する領域を形成する場合に、重合性を有する液晶化合物と組み合わせて用いられる。
重合開始剤は、例えば熱重合開始剤を用いてもよいが、通常は光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、例えば、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる化合物を使用しうる。光重合開始剤の例を挙げると、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェノン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。重合開始剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて硬化性液晶組成物に、例えば三級アミン化合物等の光増感剤又は重合促進剤を含ませて、硬化性液晶組成物の硬化性を調整してもよい。光重合効率を向上させるためには、液晶化合物及び光重合開始剤などの平均モル吸光係数を適切に選定することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系;などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、所望する耐光性を付与するために、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤の配合割合は、液晶化合物100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下である。紫外線吸収剤の配合割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、紫外線吸収能を十分に高くできる。また、上限値以下にすることにより、硬化性液晶組成物を紫外線等の活性エネルギー線で硬化させる際に硬化を十分に進行させることができるので、液晶樹脂層の機械的強度及び耐熱性を高くできる。
硬化性液晶組成物には、所望する機械的強度に応じて架橋剤を含ませてもよい。架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;などが挙げられる。架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化性液晶組成物には架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を含ませ、膜強度及び耐久性の向上に加えて生産性を向上させるようにしてもよい。
前記架橋剤の配合割合は、硬化後の液晶樹脂層中における架橋剤の濃度が0.1重量%以上20重量%以下となるようにすることが好ましい。架橋剤の配合割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、架橋密度を十分に高めることができる。また、上限値以下にすることにより、硬化後の液晶樹脂層の安定性を高くできる。
酸化防止剤としては、例えば、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤の配合量は、透明性が低下しない範囲としうる。
未硬化状態の液晶樹脂層を設ける場合、通常は、塗布法を用いる。硬化性液晶組成物の塗布方法としては、例えば、リバースグラビアコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法等の方法が挙げられる。硬化性液晶組成物を基材フィルム層の表面に塗布することにより、未硬化状態の液晶樹脂層が形成される。
硬化性液晶組成物は、基材フィルム層の表面に直接に塗布してもよく、基材フィルム層の表面に例えば配向膜等を介して間接的に塗布してもよい。配向膜を用いれば、液晶樹脂層において液晶化合物を容易に配向させることができる。
配向膜は、例えば、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどを用いて形成してもよい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
配向膜の厚みは、通常、所望の液晶樹脂層の配向均一性が得られる厚みとする。具体的な厚みの範囲は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。
さらに、例えば、特開平6−289374号公報、特表2002−507782号公報、特許4022985号公報、特許4267080号公報、特許4647782号公報、米国特許5389698号明細書などに示されるような光配向膜と偏光UVを用いる方法によって、液晶化合物を配向させるようにしてもよい。
また、上述した配向膜以外の手段によって、液晶化合物を配向させるようにしてもよい。例えば、配向膜を使用せずに基材フィルム層の表面を直接ラビングするような配向処理を施してもよい。通常、基材フィルム層の搬送方向とラビング方向は平行になる。
前記の配向膜の形成、基材フィルム層の表面のラビング等の処理工程は、マスク層形成工程の工程前、工程中及び工程後のいずれの時点で行ってもよく、未硬化状態の液晶樹脂層を設ける工程の前に行うことが好ましい。
PR層の製造方法においては、第一の硬化工程に先立ち、必要に応じて、未硬化状態の液晶樹脂層を設ける工程を行った後で、液晶樹脂層の液晶化合物を配向させる配向工程を行ってもよい。配向工程における具体的な操作としては、例えば、オーブン内で未硬化状態の液晶樹脂層を所定の温度に加熱する操作を挙げることができる。
配向工程において液晶樹脂層を加熱する温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは140℃以下である。また、加熱処理における処理時間は、通常1秒以上、好ましくは5秒以上であり、通常3分以下、好ましくは120秒以下である。これにより、液晶樹脂層中の液晶化合物が配向できる。また、硬化性液晶組成物に溶媒が含まれていた場合、前記の加熱によって通常は溶媒が乾燥するので、液晶樹脂層から溶媒が除去される。したがって、配向工程を行うと、通常は液晶樹脂層を乾燥させる乾燥工程も同時に進行する。通常、液晶樹脂層の配向軸はラビング方向と平行となり、配向軸が遅相軸となる。
必要に応じて配向工程を行った後で、液晶樹脂層の一部の領域を硬化させる第一の硬化工程を行う。第一の硬化工程は、通常、紫外線の照射により行う。紫外線の照射時間、照射量、及びその他の条件は、硬化性液晶組成物の組成及び液晶樹脂層の厚みなどに応じて適切に設定しうる。照射時間は通常0.01秒から3分の範囲であり、照射量は通常0.01mJ/cmから50mJ/cmの範囲である。また、紫外線の照射は、例えば窒素及びアルゴン等の不活性ガス中において行ってもよく、空気中で行ってもよい。
第一の硬化工程の後で、液晶樹脂層の未硬化状態の領域における配向状態を変化させる工程を行う。この工程において、配向状態を変化させる方法としては、例えば、ヒーターにより、液晶樹脂層を、硬化性液晶組成物の透明点(NI点)以上に加熱してもよい。これにより、液晶化合物分子の配向はランダムになるので、液晶樹脂層の未硬化状態の領域は等方相となる。
液晶樹脂層の未硬化状態の領域における配向状態を変化させた後で、第二の硬化工程を行う。第二の硬化工程は、紫外線の照射により行ってもよい。紫外線の照射時間、照射量などは、硬化性液晶組成物の組成及び液晶樹脂層の厚みなどに応じて適切に設定しうるが、照射量は通常50mJ/cmから10,000mJ/cmの範囲である。また、紫外線の照射は、例えば窒素及びアルゴン等の不活性ガス中において行ってもよく、空気中で行ってもよい。照射に際して、必要に応じてヒーターによる加熱を継続して、未硬化状態の液晶樹脂層の等方相を維持した状態で照射を行ってもよい。
このような製造方法により、異方性領域と等方性領域とを有するPR層を備えるパターン位相差フィルムを製造できる。
さらに、別の製造方法として、異方性領域と等方性領域とを有するPR層は、
i.基材フィルム層の一方の表面に、未硬化状態の液晶樹脂層を設ける工程と、
ii.前記基材フィルム層の液晶樹脂層を設けた面と反対側の表面に、ストライプパターンの透光部および遮光部をガラス上に設けたガラスマスクを介して、エネルギー線を照射して、前記液晶樹脂層の一部の領域を硬化させる第一の硬化工程と、
iii.前記液晶樹脂層の未硬化状態の領域における配向状態を変化させる工程と、
iv.前記基材フィルム層の液晶樹脂層を設けた面にエネルギー線を照射して前記液晶樹脂層の未硬化状態の領域を硬化させる第2の硬化工程と
を有する製造方法により製造してよい。この製造方法においては、先に説明した製造方法と同様の操作は、先に説明した製造方法と同様の条件で行ってもよい。
また、第一の硬化工程としては、特開平4−299332号公報に示した方法を使用してもよい。また、ガラスマスクは、例えば、ガラス表面にクロムスパッタを施し、さらにフォトレジストを塗布し、ストライプ状に露光してフォトレジストを感光させて、洗浄し、クロムをエッチングしたものを用いてもよい。あるいは、例えば感光性乳剤を塗布したPETフィルムをストライプ状にレーザー描画し、洗浄し、該PETフィルムをガラス上に接着層を介して貼り合わせたものを用いてもよい。
さらに、上述した各製造方法では、PR層が得られる限り、各工程の順番は任意である。
上述した製造方法によれば、いずれも、遮光部及び透光部により形成されるマスク層又はガラスマスクのマスクパターンを精度よく写し取ったパターンを有するPR層が製造できる。さらに、当該方法により得られたPR層においては、異方性領域と等方性領域との間には、物質的な連続性がある。したがって、領域間の空隙による反射及び散乱等を生じない点で光学的に有利であり、また、領域間の空隙を起点とした破損等を生じない点で機械的強度の点でも有利である。
また、例えば、遅相軸方向が異なる複数の異方性領域を有するPR層は、以下に説明する方法で製造してもよい。
すなわち、この製造方法は、
i.基材フィルム層の表面に、光配向材料の層(以下、「光配向材料層」ということがある。)を形成する工程と、
ii.光配向材料層の一部の領域に、偏光を照射する工程と、
iii.光配向材料層の全体に、前記の偏光の振動方向に対して垂直な振動方向を有する偏光を照射して、配向膜を得る工程と、
iv.前記配向膜の表面に、液晶化合物を含み活性エネルギー線の照射により硬化しうる硬化性液晶組成物の層(即ち、未硬化状態の液晶樹脂層)を形成する工程と、
v.前記液晶樹脂層に活性エネルギー線を照射して、液晶樹脂層を硬化させる工程とを有する。
これらのようにして製造されたPR層は、必要であれば、基材フィルム層を剥がした後で使用してもよい。ただし、本発明の効果を著しく損なわない限り、基材フィルム層は、剥がさずに使用してもよい。
光配向材料とは、偏光を照射されることにより不可逆的に配向する材料である。このような光配向材料の例としては、特許4267080号公報に記載のPPN層に使用されるPPN材料、特許4647782号公報に記載のLPP/LCP混合物、第2543666号公報に記載のPPN材料などが挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
基材フィルム層の表面に、必要に応じてコロナ放電処理(例えば、出力0.2kW、基材フィルム層濡れ指数56dyne/cm)を施し、その処理面に光配向材料を塗布することにより、光配向材料層を形成する。光配向材料層の厚みは、通常、所望する液晶樹脂層の配向均一性が得られる厚みにする。具体的な範囲を挙げると、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。
光配向材料層を形成した後で、光配向材料層の一部の領域に偏光を照射する工程(第一の偏光照射工程)を行う。偏光を照射された領域では、光配向材料層において光配向材料が不可逆的に配向し、その配向状態を維持したまま固定化される。
第一の偏光照射工程では、通常、マスクを介して光配向材料層に偏光を照射する。この際、マスクとしては、通常、ある方向に対して平行に延在する帯状の遮光部及び透光部を有するマスクを用いる。これにより、光配向材料層の、ある方向に対して平行に延在する帯状の領域に、偏光を照射することができる。
マスクとしては、例えば、基材フィルム層の光配向材料層とは反対側に形成されたマスク層を用いてもよい。マスク層は、異方性領域と等方性領域とを有するPR層の製造方法の説明において上述したものと同様に形成してもよい。
また、マスクとしては、例えば、ガラス表面にクロムスパッタを施し、さらにフォトレジストを塗布し、ストライプ状に露光してフォトレジストを感光させて、洗浄し、クロムをエッチングしたガラスマスクを用いてもよい。
あるいは、例えば感光性乳剤を塗布したPETフィルムをストライプ状にレーザー描画し、洗浄し、該PETフィルムをガラス上に接着層を介して貼り合わせたマスクを用いてもよい。
第一の偏光照射工程では、偏光として、光配向材料を配向させうる波長であって、マスクの遮光部で遮光されるが透光部を透過しうる波長の光を用いる。このような偏光として、通常は紫外線を用いる。紫外線の照射時間、照射量、及びその他の条件は、光配向材料の組成及び光配向材料層の厚みに応じて適切に設定しうる。また、偏光の照射は、例えば窒素及びアルゴン等の不活性ガス中において行ってもよく、空気中で行ってもよい。
第一の偏光照射工程の後で、光配向材料層の全体に、前記の偏光の振動方向に対して垂直な振動方向を有する偏光を照射する第二の偏光照射工程を行う。これにより、第一の偏光照射工程において偏光が照射されていなかった領域において、光配向材料が不可逆的に配向し、その配向状態を維持したまま固定化される。また、第一の偏光照射工程で照射した偏光と第二の偏光照射工程で照射した偏光とは振動方向が垂直であるので、光配向材料層において第二の偏光照射工程で配向した領域の配向方向は、第一の偏光照射工程で配向した領域の配向方向と垂直になる。
第二の偏光照射工程は、例えば、マスクを介さずに偏光を照射することにより行ってもよい。偏光の照射時間、照射量などは、光配向材料の組成及び光配向材料層の厚みに応じて適切に設定しうるが、照射量は通常50mJ/cmから10,000mJ/cmの範囲である。また、偏光の照射は、例えば窒素及びアルゴン等の不活性ガス中において行ってもよく、空気中で行ってもよい。
上述した製造方法により、基材フィルム層の表面に光配向材料層からなる配向膜が得られる。この配向膜においては、配向方向が互いに垂直な2群の領域が、遮光部及び透光部により形成されるマスクのマスクパターンを精度よく写し取ったパターンを形成する。本例においては、配向方向が互いに垂直な2群の領域が、いずれもある方向に対して平行に延在する帯状の形状を有して交互に並ぶことにより、全体としてストライプ状のパターンが形成される。
基材フィルム層に配向膜を形成した後で、その配向膜の表面に、液晶樹脂層を形成する。硬化性液晶組成物としては、例えば、異方性領域と等方性領域とを有するPR層の製造方法の説明において上述したものと同様の硬化性液晶組成物を用いてもよい。
未硬化状態の液晶樹脂層を設ける場合、通常は、塗布法を用いる。硬化性液晶組成物の塗布方法としては、例えば、異方性領域と等方性領域とを有するPR層の製造方法の説明において上述したものと同様の方法を用いてもよい。硬化性液晶組成物を基材フィルム層の表面に塗布することにより、未硬化状態の液晶樹脂層が形成される。
未硬化状態の液晶樹脂層を形成する工程を行った後で、必要に応じて、液晶樹脂層に含まれる液晶化合物を配向させる配向工程を行ってもよい。配向工程を行うことにより、配向膜の各領域の配向方向に応じた方向へと液晶化合物が配向する。配向工程における具体的な操作としては、例えば、異方性領域と等方性領域とを有するPR層の製造方法の説明において上述したのと同様の操作を行なってもよい。
必要に応じて配向工程を行った後で、未硬化状態の液晶樹脂層を硬化させる工程(硬化工程)を行う。硬化させられる液晶樹脂層の各領域では硬化性液晶組成物において重合反応が進行し、液晶化合物は配向状態を維持したまま固定化される。これにより、基材フィルム層の表面に、配向膜を介して、液晶樹脂層からなるPR層が形成される。
硬化工程は、通常、紫外線の照射により行う。紫外線の照射時間、照射量などは、硬化性液晶組成物の組成及び液晶樹脂層の厚みなどに応じて適切に設定しうるが、照射量は通常50mJ/cmから10,000mJ/cmの範囲である。また、紫外線の照射は、例えば窒素及びアルゴン等の不活性ガス中において行ってもよく、空気中で行ってもよい。
このPR層においては、遅相軸方向が異なる2種類の異方性領域が、配向膜に形成された異なる配向方向を有する領域のパターンを精度よく写し取ったパターンを形成する。通常、配向膜の各領域における配向方向と、その表面に形成されたPR層の各異方性領域の遅相軸方向とは、平行又は垂直となる。したがって、本例のように配向方向が互いに垂直な領域を配向膜に形成した場合、遅相軸方向が略90°異なる異方性領域を有するPR層を備えるパターン位相差フィルムを製造できる。
さらに、当該製造方法により得られたPR層においては、遅相軸方向が異なる異方性領域の間には、物質的な連続性がある。したがって、上述した製造方法は、異なる異方性領域間の空隙による反射及び散乱等を生じない点で光学的に有利であり、また、異方性領域間の空隙を起点とした破損等を生じない点で機械的強度の点でも有利である。
また、上述した製造方法においては、必要に応じて、上述した工程以外の工程を行うようにしてもよい。
また、所望のパターン位相差フィルムが得られる限り、各工程の順番は任意である。
こうして得られたパターン位相差フィルムは、通常、高い透明性を有する。具体的には、パターン位相差フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、上限は理想的には100%である。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して測定する。
さらに、パターン位相差フィルムは、通常、ヘイズが小さい。具体的には、パターン位相差フィルムのヘイズは、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。なお、下限値は理想的にはゼロであるが、通常は0.1%以上である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して測定する。
[6.光学フィルム]
光学フィルムとしては、光学積層体の用途に応じて任意のフィルムを用いうる。
例えば、異方性領域と等方性領域とを有するPR層を備えたパターン位相差フィルムと貼り合せる光学フィルムとしては、1/4波長板として機能しうる位相差フィルムを用いてもよい。ここで、1/4波長板として機能しうる位相差フィルムのレターデーションの値は、透過光の波長範囲の中心値の1/4の値から、通常±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲であるか、または、中心値の3/4の値から通常±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲である。前記の透過光は通常は可視光であるため、透過光の波長範囲の中心値としては、通常、透過光の波長範囲の中心値である550nmを適用する。
また、例えば、遅相軸方向が略90°異なる2種類の領域を有するPR層を備えたパターン位相差フィルムと貼り合せる光学フィルムとしては、等方なフィルムを用いてもよい。
このような光学フィルムとしては、通常、樹脂フィルムを用いる。光学フィルムを形成する樹脂は、通常、重合体を含む。これらの樹脂が含む重合体の例を挙げると、鎖状オレフィン重合体、シクロオレフィン重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、鎖状オレフィン重合体及びシクロオレフィン重合体が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、シクロオレフィン重合体が特に好ましい。
ここで、樹脂は、1種類の重合体を単独で含むものを用いてもよく、2種類以上の重合体を任意の比率で組み合わせて含むものを用いてもよい。また、樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含ませてもよい。好適な樹脂の具体例を挙げると、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」を挙げることができる。
光学フィルムは、延伸されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸された延伸フィルムであってもよい。
また、光学フィルムは、一層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、二層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。
さらに、光学フィルムは、通常、高い透明性を有する。具体的には、光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、上限は理想的には100%である。
また、光学フィルムは、通常、ヘイズが小さい。具体的には、光学フィルムのヘイズは、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。なお、下限値は理想的にはゼロであるが、通常は0.1%以上である。
好適な光学フィルムの例を挙げると、位相差フィルムとしては、市販の斜め延伸フィルム、長尺の横延伸フィルム、例えば、日本ゼオン社製、製品名「斜め延伸ゼオノアフィルム」や「横延伸ゼオノアフィルム」などを挙げることができる。また、等方なフィルムとしては、日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」などを挙げることができる。
[7.粘着剤]
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、変性ポリオレフィン系粘着剤、ポリビニルアルキルエーテル系粘着剤、ゴム系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル系粘着剤、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)系粘着剤、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)系粘着剤、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系粘着剤、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル系粘着剤などが挙げられる。特に、光学的透明性、粘着特性、耐候性、ハンドリング性、溶剤との相溶性の観点で、アクリル系粘着剤が好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
アクリル系粘着剤を形成するベースポリマーとして、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、ラウリル基、ドデシル基、デカニル基、イソデカニル基等のアルキル基を有するアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルなどが挙げられる。また、前記のアルキル基の炭素原子数は、2〜14が好ましい。さらに、前記のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等のベースポリマーは、必要に応じ改質用モノマーと共に重合処理をして用いてもよい。また、ベースポリマー及び改質用モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
改質用モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な改質用モノマーを用いうる。改質用モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。
また、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;なども改質用モノマーとして挙げられる。
さらに、例えば、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン等のビニル系モノマー;ジビニルベンゼン等のジビニル系モノマー;1,4−ブチルジアクリレート、1,6−ヘキシルジアクリレート等のジアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の、上記した主成分をなすモノマーとは異なるエステル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;なども改質用モノマーとして挙げられる。
前記粘着剤には、ベースポリマーの種類に応じて、任意の配合剤を配合してもよい。任意の配合剤としては、粘着付与剤、架橋剤又は硬化剤、酸化防止剤、光拡散剤、消泡剤、安定剤が挙げられる。また、配合剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粘着層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。粘着層の厚みを前記範囲の下限値以上とすることにより、粘着層の塗工むらによる光学的な欠陥を取り除くことができる。また、上限値以下とすることにより、良好な接着力保持ができる。
粘着剤の塗工方法は特に制限されず、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
また、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。
さらに、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
また、以下の実施例及び比較例において粘着剤として使用した「PSA」とは、アクリル粘着剤(綜研化学社製、製品名「SKダイン2094」)に硬化剤(綜研化学社製、製品名「E−AX」)を、アクリル粘着剤中のポリマー100重量部に対して5重量部の割合で添加したものを示す。
[ΔD/Dの測定方法]
図16は、実施例並びに比較例において、PR層の領域の振れ幅ΔD及び平均幅Dを測定する際のサンプルの様子を模式的に示す図である。ただし、図16においては基材フィルム、等方性を有する光学フィルム及び粘着層の図示は省略する。
図16に示すように、ガラス板に貼り合わせた直線偏光板10及び20を用意し、ガラス板が内側になるようにして配置した。この際、一方の直線偏光板10の透過軸A10と、他方の直線偏光板20の透過軸A20とは垂直にして、クロスニコル状態となるようにした。この直線偏光板10と直線偏光板20との間に、PR層31を備えるパターン位相差フィルムと1/4波長板として機能しうる光学フィルム32とを備える光学積層体30を挿入した。このとき、1/4波長板として機能しうる光学フィルム32の遅相軸A32が、直線偏光板10及び20の偏光板透過軸A10及びA20と45°あるいは135°の角度をなすようにした。さらに、直線偏光板20と光学フィルム32との間に1/4波長板として機能しうる光学フィルム35を挿入した。このとき、光学フィルム35の遅相軸A35と遅相軸A32とが直交となるようにした。
こうして用意したサンプルを、二次元測定機(中村製作所社製「EXLONy99」)の定盤上に設置し、CCDカメラにて撮影し、観察した。前記の二次元測定器の仕様は、以下の通りである。
測定機の仕様
測定範囲:X軸=900mm、Y軸=900mm
最小読取量:0.001mm
各軸精度:U1=5+5L/1000
座標検出:光学式リニアエンコーダー
画像検出:CCDカメラ
照明装置:LED落射照明
PR層31の異方性領域33に相当する部分は光が透過し、等方性領域34に相当する部分は光が遮光される。したがって、前記の撮影では、図17で示すように、透過部分と遮光部分とがストライプ状に形成された画像が撮影される。撮影された画像において、黒色の部分が延在する方向を領域の延在方向X、それに垂直な方向を幅方向Yとした。さらに、二次元測定機に予め信頼性の高い基準点を設け、その基準点を原点(0,0)として、撮影された画像にXY座標を設定した。
図18に、撮影された画像の一部を拡大した様子を模式的に示す。図18で示すように、黒色の部分40の幅方向Yのエッジ41及び42を、画像処理により検出し、黒色の部分40の幅方向両端のエッジ41及び42のY座標を「Y値」として測定した。
X座標が同一の値(x)となる位置において、一端側のエッジ41のY値(y41)と他端側のエッジ42のY値(y42)の平均値((y41+y42)/2)を、当該X座標(x)における中点43のY値とした。また、一端側のエッジX41のY値(y41)と他端側のエッジX42のY値(y42)の差(y42−y41)を、当該X座標(x)における黒色の部分40の幅とした。このような計算を、その黒色の部分40について、延在方向Xにおいて20mmピッチで29箇所で行った。
前記の測定を、図17に示すように、幅方向の端部から連続した5本の黒色の部分40A〜40E、並びに、20mmピッチで5本の黒色の部分40F〜40Jについて行い、黒色の部分40A〜40Jそれぞれの各X座標における幅及び中点のY値を求めた。
上述したようにして求めた10本の黒色の部分40A〜40Jの幅の全測定結果の平均値を、このサンプルの領域の平均幅Dとした。
10本の黒色の部分40A〜40Jそれぞれについて、X座標が0となる位置における中点のY値を「0」として、全ての中点のY値を規格化し、図19で示すようにグラフに表した。このグラフにおいて、延在方向XでのY値の最大値と最小値との差を、領域の振れ幅ΔDとした。
[貼り合わせによる歪みの評価方法]
実施例及び比較例で得られた光学積層体を、評価用ディスプレイ(BenQ社製「M2700HD」)の視認側偏光板上に、評価用ディスプレイパネルの画素の位置と光学積層体のPR層の領域(即ち、異方性領域及び等方性領域)の位置とが対応するように位置合わせをした後に、PSAを用いて貼り合わせた。
評価用ディスプレイに、パーソナルコンピュータより評価用画像を入力し、表示された画像を、円偏光板を介して観察した。この際の評価用画像は、評価用ディスプレイの画面の横方向に延在する白表示列と黒表示列とを1ドットずつ配置したストライプ状の画像であった。また、白表示列は、観察に用いた円偏光板で遮光される光学積層体の領域と対応する位置関係に設定した。このような構成では、白表示列から発せられた光が光学積層体の適切な領域を透過した場合、その透過した光は円偏光板で遮光される。また、白表示列から発せられた光が光学積層体の適切でない領域を透過した場合、その透過した光は円偏光板で遮光されない。
したがって、画面が全面で黒表示に見える場合には、光学積層体のPR層において歪みが無く、PR層の領域のトータルピッチ(即ち、図2に示す1組の領域111の幅W111と領域112の幅W112の合計)が光学フィルムとパターン位相差フィルムとの貼り合わせによっても大きく変化しなかったことを示している。この場合の結果は「良」で示す。
また、画面が黒表示と白表示とが混在して見える場合には、光学積層体のPR層において歪みが生じ、PR層の領域のトータルピッチが光学フィルムとパターン位相差フィルムとの貼り合わせによって大きく変化したことを示している。このような光学積層体を備える液晶表示装置は、立体表示装置としては不良である。この場合の結果は「不良」で示す。
[実施例1]
(1.1.液晶組成物の調製)
重合性液晶化合物(BASF社製「LC242」)25部と、重合開始剤(チバ・ジャパン社製「Irg 379」)1部と、液晶性を示さない化合物1(構造式は下記の通り)5部と、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート3部と、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(ネオス社製「フタージェント209F」)0.03部と、溶媒としてメチルエチルケトン66部とを混合して、液晶組成物を調製した。
Figure 2014174470
(1.2.パターン位相差フィルム層の製造)
基材フィルム層として、長尺のポリエステル樹脂のフィルム(東洋紡社製「コスモシャインA4100」)を用意した。この基材フィルム層を、フィルム搬送装置の繰り出し部に取り付け、当該基材フィルム層を搬送しながらラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に前記にて用意した液晶組成物をダイコーターを使用して塗布した。これにより、基材フィルム層の片面に、塗膜として未硬化状態の液晶組成物層を形成して、(基材フィルム層)−(液晶組成物層)の層構成を備える未硬化積層体を得た。
前記の液晶組成物層を40℃で2分間配向処理して、液晶組成物層中の重合性液晶化合物を配向させた。
その後、液晶組成物層に対して、基材フィルム層の液晶組成物層が形成されたのとは反対側からガラスマスクを介して0.1mJ/cm〜45mJ/cmの微弱な紫外線を照射した。前記のガラスマスクとしては、基材フィルム層の長尺方向に延在する透光部及び遮光部が互いに平行に並んでストライプ状に形成されたものを用いた。ガラスマスクの透光部の幅は300.23μm、遮光部の幅は322.01μmとした。
液晶組成物層の前記遮光部に相当する位置では露光されなかったために液晶組成物層は未硬化状態のままであるが、前記透光部に相当する位置では露光されたために液晶組成物層が硬化した。これにより、液晶組成物層の露光部分において、1/2波長板として機能しうる領域(異方性領域)を形成した。
次に、液晶組成物層を90℃で10秒間加熱処理して、液晶組成物層の未硬化状態の部分(遮光部に相当する部分)の液晶相を等方相に転移させた。
この状態を維持しながら、基材フィルムの液晶組成物層側から窒素雰囲気下で液晶組成物層に対して2000mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層の未硬化部分を硬化させた。これにより、レターデーションが小さい領域(等方性領域)が形成された。
このようにして、異方性領域と等方性領域とを同一面内に有する液晶組成物層をPR層として得た。また、これにより、(基材フィルム層)−(PR層)の層構成を備える複層フィルムとして、長尺のパターン位相差フィルムを得た。形成されたPR層の乾燥厚みは5.0μmであった。異方性領域のレターデーションは250nmであり、その面内の遅相軸はパターン位相差フィルムの長尺方向と0°の角度をなしていた。一方、等方性領域のレターデーションは10nm以下であった。異方性領域及び等方性領域の配置は、それぞれの領域が長尺方向に帯状に延在する配置となっており、全体としてストライプ状のパターンを形成していた。それぞれの領域の幅は、311.1μmであった。
(1.3.パターン位相差フィルムと等方性を有する光学フィルムとの貼り合わせ)
前記のように製造した長尺のパターン位相差フィルムから矩形にフィルム片を切り出し、このフィルム片として枚葉のパターン位相差フィルムを得た。
また、光学フィルムとして、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルム(富士フイルム社製「フジタック」;厚み80μm;測定波長550nmでの面内における位相差2nm)を用意した。
図3に示すように、枚葉のパターン位相差フィルム100を、上部ステージ210に、基材フィルム層側で上部ステージ210に接するように固定した。そして、上部ステージ210を、ローラ200が走行しうる位置に移動させた。この際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、矢印A1で示すローラ200の走行方向と直交するようにした。
図4に示すように、等方性を有する光学フィルム300の片面にPSAを塗布して粘着層400を形成した。この光学フィルム300を下部ステージ220に置き、パターン位相差フィルム100に対向する位置に配置した。この際、光学フィルム300の粘着層側の面が、パターン位相差フィルム100に向き合うようにした。
その後、図5〜図7に示すように、下部ステージ220を水平方向に対して5°傾け、この下部ステージ220をローラ200の走行方向と平行に移動させながら、ローラ200を走行させた。この際、ローラ200の走行の際には、ローラ200と上部ステージ210との間で、等方性を有する光学フィルム300とパターン位相差フィルム100とが挟まれるようにした。また、ローラ200の圧力は0.30MPa、ローラ200の走行速度は20mm/秒にした。これにより、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とがローラ200で加圧されることにより貼り合せられて、光学積層体500が得られた。
(1.4.中間積層体と1/4波長板として機能しうる光学フィルムとの貼り合わせ)
図20は、本発明の実施例1において、パターン位相差フィルム710を配置する工程の様子を模式的に示す斜視図である。また、図21は、本発明の実施例1において、光学フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。
光学積層体500を上部ステージ210から剥がした。この光学積層体500を、等方性を有する光学フィルム側で上部ステージ210に接するように、上部ステージ210に固定した。その後、基材120を剥離した。これにより、図20に示すように、上部ステージ210上に、光学フィルム300、粘着層400及びPR層110をこの順に備えるパターン位相差フィルム710を得た。そして、上部ステージ210を、ローラ200が走行しうる位置に移動させた。この際、光学積層体710のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、矢印A1で示すローラ200の走行方向と直交するようにした。
図21に示すように、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルム720(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」;厚み55μm;測定波長550nmでの面内における位相差125nm)の片面にPSAを塗布して粘着層730を形成した。この1/4波長板として機能しうる光学フィルム720を下部ステージ220に置き、パターン位相差フィルム710に対向する位置に配置した。この際、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720の粘着層側の面が、パターン位相差フィルム710に向き合うようにした。また、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720の遅相軸とパターン位相差フィルム710のPR層110の異方性領域111の遅相軸A111(図8参照)とは、厚み方向で見て90°の角度をなすようにした。
その後、前記工程(1.3)と同様に、下部ステージ220を水平方向に対して5°傾け、この下部ステージ220をローラ200の走行方向と平行に移動させながら、ローラ200を走行させた。この際、ローラ200の走行の際には、ローラ200と上部ステージ210との間で、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720とパターン位相差フィルム710とが挟まれるようにした。また、ローラ200の圧力は0.30MPa、ローラ200の走行速度は20mm/秒にした。これにより、パターン位相差フィルム710と1/4波長板として機能しうる光学フィルム720とがローラ200で加圧されることにより貼り合せられて、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720、粘着層730、PR層110、粘着層400及び等方性を有する光学フィルム300をこの順に備える光学積層体が得られた。
この光学積層体をサンプルとして用いて、前述の要領で振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dを測定した。
また、この光学積層体を評価用ディスプレイに取り付け、前述の要領で、PR層の歪みを評価した。
[実施例2]
前記工程(1.3)においてパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を50mm/秒にした。
さらに、前記工程(1.4)においてパターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を50mm/秒にした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[実施例3]
前記工程(1.3)においてパターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
さらに、前記工程(1.4)においてパターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[実施例4]
前記工程(1.3)において、光学フィルム300として、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムを用いた。
さらに、前記工程(1.4)において、光学フィルム720として、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用いた。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[実施例5]
前記工程(1.3)において、光学フィルム300として、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムを用いた。また、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を50mm/秒にした。
さらに、前記工程(1.4)において、光学フィルム720として、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用いた。また、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を50mm/秒にした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[実施例6]
前記工程(1.3)において、光学フィルム300として、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムを用いた。また、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
さらに、前記工程(1.4)において、光学フィルム720として、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用いた。また、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[比較例1]
前記工程(1.3)において、枚葉のパターン位相差フィルム100を上部ステージ210に固定する際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。
さらに、前記工程(1.4)において、光学積層体500を上部ステージ210に固定する際、PR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[比較例2]
前記工程(1.3)において、枚葉のパターン位相差フィルム100を上部ステージ210に固定する際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、光学フィルム300として、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムを用いた。さらに、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
さらに、前記工程(1.4)において、光学積層体500を上部ステージ210に固定する際、PR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、光学フィルム720として、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用いた。さらに、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.10MPaにした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[比較例3]
前記工程(1.3)において、枚葉のパターン位相差フィルム100を上部ステージ210に固定する際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、光学フィルム300として、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムを用いた。さらに、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を80mm/秒にした。
さらに、前記工程(1.4)において、光学積層体500を上部ステージ210に固定する際、PR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、光学フィルム720として、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用いた。さらに、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合せるとき、ローラ200の圧力を0.20MPaにし、ローラ200の走行速度を80mm/秒にした。
前記の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[比較例4]
実施例1と同様にして、枚葉のパターン位相差フィルムを用意した。
また、光学フィルムとして、実施例1と同様に、トリアセチルセルロース製の等方性を有するフィルムを用意した。
図3に示すように、枚葉のパターン位相差フィルム100を、上部ステージ210に、基材フィルム層側で上部ステージ210に接するように固定した。そして、上部ステージ210を、ローラ200が走行しうる位置に移動させた。この際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、矢印A1で示すローラ200の走行方向と直交するようにした。
図22は、比較例4におけるパターン位相差フィルム100と光学フィルム300との貼り合せの様子を模式的に示す正面図である。
図22に示すように、光学フィルム300の片面にPSAを塗布して粘着層400を形成した。この光学フィルム300をシート800上に置き、パターン位相差フィルム100に対向する位置に配置した。この際、光学フィルム300の粘着層側の面が、パターン位相差フィルム100に向き合うようにした。
その後、ローラ200がシート800を介して光学フィルム300を持ち上げるようにしながら、ローラ200を矢印A1で示すように走行させた。この際、ローラ200の圧力は0.50MPa、ローラ200の走行速度は80mm/秒にした。これにより、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とがローラ200で加圧されることにより貼り合せられて、光学積層体500が得られた。この貼り合せでは、光学フィルム300には面内方向の張力はかからない。
図23は、比較例4において、光学フィルムを配置する工程の様子を模式的に示す正面図である。
光学積層体500を上部ステージ210から剥がした。この光学積層体500を、等方性を有する光学フィルム側で上部ステージ210に接するように、上部ステージ210に固定した。その後、基材120を剥離した。これにより、図20に示すように、上部ステージ210上に、光学フィルム300、粘着層400及びPR層110をこの順に備えるパターン位相差フィルム710を得た。そして、上部ステージ210を、ローラ200が走行しうる位置に移動させた。この際、パターン位相差フィルム体710のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、矢印A1で示すローラ200の走行方向と直交するようにした。
図23に示すように、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルム720の片面にPSAを塗布して粘着層730を形成した。この1/4波長板として機能しうる光学フィルム720をシート800上に置き、パターン位相差フィルム710に対向する位置に配置した。この際、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720の粘着層側の面が、パターン位相差フィルム710に向き合うようにした。また、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720の遅相軸とパターン位相差フィルム710のPR層110の異方性領域111の遅相軸A111(図8参照)とは、厚み方向で見て90°の角度をなすようにした。
その後、ローラ200がシート800を介して光学フィルム720を持ち上げるようにしながら、ローラ200を矢印A1で示すように走行させた。この際、ローラ200の圧力は0.50MPa、ローラ200の走行速度は80mm/秒にした。これにより、パターン位相差フィルム710と1/4波長板として機能しうる光学フィルム720とがローラ200で加圧されることにより貼り合せられて、1/4波長板として機能しうる光学フィルム720、粘着層730、PR層110、粘着層400及び等方性を有する光学フィルム300をこの順に備える光学積層体が得られた。
この光学積層体をサンプルとして用いて、前述の要領で振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dを測定した。
また、この光学積層体を評価用ディスプレイに取り付け、前述の要領で、PR層の歪みを評価した。
[比較例5]
パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の走行速度を100mm/秒にした。
さらに、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の走行速度を100mm/秒にした。
前記の事項以外は比較例4と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[比較例6]
枚葉のパターン位相差フィルム100を上部ステージ210に固定する際、パターン位相差フィルム100のPR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、パターン位相差フィルム100と光学フィルム300とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の走行速度を100mm/秒にした。
さらに、光学積層体500を上部ステージ210に固定する際、PR層110の異方性領域111及び等方性領域112の延在方向Xが、ローラ200の走行方向と平行になるようにした。また、パターン位相差フィルム710と光学フィルム720とをローラ200で加圧することによって貼り合わせるとき、ローラ200の走行速度を100mm/秒にした。
前記の事項以外は比較例4と同様にして、光学積層体を製造し、評価した。
[参考例1:光学フィルムにかかる張力の測定]
実施例及び比較例において光学フィルムにかかった張力の大きさを測定するため、次のような参考例を行った。
図24は、光学フィルムにかかる張力を測定する様子を模式的に示す正面図である。
実施例及び比較例で用いるのと同様の材料で、表面に粘着層910を備えた光学フィルム920を作製した。この光学フィルム920を、図24に示すように、実施例及び比較例で用いたのと同様の材料で形成された下部ステージ930上に、光学フィルム920の一端921がはみ出るように置いた。
この下部ステージ930を、台940に設置したジャッキ950及び960上に固定した。
また、光学フィルム920の一端921を、幅210mmのクリップ970で固定し、そのクリップ970をフォースゲージ980に繋げた。
ジャッキ950及び960を用いて下部ステージ930を水平方向に対して5°傾斜させた。その状態で、台940を矢印A6で示すように移動させ、その時に光学フィルム920にかかる張力をフォースゲージ980で測定した。
また、下部ステージ930を水平にした状態で、台940を同様に移動させ、その時に光学フィルム920にかかる張力をフォースゲージ980で測定した。
その結果、下部ステージ930を水平にした場合と傾斜させた場合とで、測定された張力はほぼ同じであった。これは、いずれの実施例及び比較例で用いる材料を用いて作製した光学フィルム920においても同様であった。
したがって、光学フィルム920にかかる張力は、光学フィルム920の自重ではなく、光学フィルム920と下部ステージ930との摩擦により生じることが判明した。
そこで、前記のようのフォースゲージ980で測定された張力の値から、光学フィルム920と下部ステージ930との動摩擦係数を計算した。また、得られた動摩擦係数と、光学フィルム920及び粘着層910の重量とから、光学フィルム920の幅1cm当たりにかかる張力の大きさを計算した。
その結果、実施例及び比較例において、トリアセチルセルロース製の等方性を有する光学フィルムにかかっていた貼り合わせ開始直後の張力は1.922mN/cmであり、貼り合わせが進むに従って張力が小さくなっていったことが分かった。また、シクロオレフィン重合体樹脂製の1/4波長板として機能しうる光学フィルムにかかっていた貼り合わせ開始直後の張力は0.854mN/cmであり、貼り合わせが進むに従って張力が小さくなっていったことが分かった。
[結果]
実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。
表1及び表2において、TACとはトリアセチルセルロースを示し、COPとはシクロオレフィン重合体樹脂を示す。また、表1及び表2において貼合方向の記載は、パターン位相差フィルムの領域の延在方向とローラの走行方向との関係を示す。
Figure 2014174470
Figure 2014174470
[検討]
前記のように、実施例においてはPR層の歪みの評価結果がいずれも「良」であった。これに対し、PR層の領域の延在方向とローラの走行方向とが直交とならない向きにパターン位相差フィルムを配置した比較例1〜3及び6、並びに、光学フィルムにローラの走行方向と平行な方向へ張力をかけていない比較例4〜6では、PR層の歪みの評価結果がいずれも「不良」であった。以上の結果から、本発明のように、PR層の領域の延在方向とローラの走行方向とが直交する向きにパターン位相差フィルムを配置し、且つ、光学フィルムにローラの走行方向と平行な方向へ微弱な張力をかけることにより、光学フィルムとパターン位相差フィルムとを貼り合せて光学積層体を製造する際のパターン位相差フィルムの歪みを防止できることが確認された。
また、発明者の検討によれば、実施例のようにパターン位相差フィルムを光学フィルムと2回以上貼り合せる場合には、最初の貼り合せの際にPR層に歪みが発生すると、2回目以降の貼り合せの際に前記の歪みを修正することが困難であることが判明している。したがって、実施例のようにパターン位相差フィルムを光学フィルムと2回以上貼り合せる場合には、最初の貼り合わせの際にPR層の歪みを効果的に小さくできることが、本発明の大きな利点の一つであるといえる。
10,20 直線偏光板
30 光学積層体
31 PR層
32 光学フィルム
33 異方性領域
34 等方性領域
40,40A〜40J 黒色の部分
41,42 黒色の部分の幅方向のエッジ
43 黒色の部分の中点
100 パターン位相差フィルム
110 PR層
111,112 PR層の領域
113 PR層の領域の境界
120 基材フィルム層
200 ローラ
210 上部ステージ
220 下部ステージ
230 下部ステージの端部
300 光学フィルム
310 光学フィルムの端部
400 粘着層
500 光学積層体
610,620 偏光子
630 光源
640 カメラ
710 パターン位相差フィルム
720 光学フィルム
730 粘着層
800 シート
910 粘着層
920 光学フィルム
921 光学フィルムの一端
930 下部ステージ
940 台
950,960 ジャッキ
970 クリップ
980 フォースゲージ

Claims (4)

  1. 光学フィルムとパターン位相差フィルムとを、走行可能なローラで加圧することにより貼り合せて光学積層体を製造する、光学積層体の製造方法であって、
    前記パターン位相差フィルムは、レターデーション又は遅相軸方向が異なる2種類以上の領域を有する層を備え、
    前記領域は、一方向に延在していて、
    前記パターン位相差フィルムを、前記領域の延在方向と前記ローラの走行方向とが直交する向きに配置する工程と、
    前記パターン位相差フィルムに対向する位置に、前記光学フィルムを配置する工程と、
    前記光学フィルムに、前記ローラの走行方向と平行な方向に10mN/cm以下の張力をかけた状態で前記ローラを走行させて、前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを前記ローラで加圧することにより貼り合せる工程とを含む、光学積層体の製造方法。
  2. 前記パターン位相差フィルムの前記領域の延在方向における、前記領域の振れ幅ΔDと平均幅Dとの比ΔD/Dが、0.02以上0.25以下である、請求項1記載の光学積層体の製造方法。
  3. 前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを貼り合せる工程よりも前に、
    クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記パターン位相差フィルムとを含む測定系Aを用意する工程と、
    前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記パターン位相差フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記パターン位相差フィルムを透過する光の輝度Aを測定する工程と、
    測定された輝度Aに基づいて、前記パターン位相差フィルムの少なくとも1つの遅相軸の方向を検知する工程と、
    クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記光学フィルムとを含む測定系Bを用意する工程と、
    前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記光学フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記光学フィルムを透過する光の輝度Bを測定する工程と、
    測定された輝度Bに基づいて、前記光学フィルムの光学軸の方向を検知する工程と、
    検知された前記パターン位相差フィルムの遅相軸の方向と前記光学フィルムの光学軸の方向とが所望の角度をなすように、前記パターン位相差フィルム及び前記光学フィルムの相対位置を調整する工程と、を含む、請求項1又は2記載の光学積層体の製造方法。
  4. 前記光学フィルムと前記パターン位相差フィルムとを貼り合せる工程よりも前に、
    クロスニコル状態で配置された一対の偏光子と、当該一対の偏光子の間に配置された前記光学フィルムとを含む測定系Bを用意する工程と、
    前記の偏光子の一方に光を照射しながら、前記光学フィルムを前記一対の偏光子に対して相対的に面内方向に回転させて、前記一対の偏光子及び前記光学フィルムを透過する光の輝度Bを測定する工程と、
    測定された輝度Bに基づいて、前記光学フィルムの光学軸の方向を検知する工程と、
    前記パターン位相差フィルムの前記領域の延在方向と検知された前記光学フィルムの光学軸の方向とが所望の角度をなすように、前記パターン位相差フィルム及び前記光学フィルムの相対位置を調整する工程と、を含む、請求項1又は2記載の光学積層体の製造方法。
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