JP2014174233A - 異方性光吸収フィルム及びスクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1層S5と、第1層S5より屈折率が低い第2層S6とを有する光制御層S4を備え、第1層S5及び第2層S6は、所定方向に沿って交互で、互いに平行に配置され、光制御層S4は、光制御層S4に対する光の入射角が、上記所定方向に沿う光制御層の断面視で当該光制御層S4に予め設定される範囲内である場合には、当該光を第1層S5と第2層S6との境界面S7にて反射させつつ、当該第1層S5内を光制御層S4の奥行方向に進行させ、当該光制御層S4に対する光の入射角が上記範囲外である場合には、当該光を上記奥行方向に直進させ、第1層S5には、光を吸収する光吸収成分が含まれる。
【選択図】図2
Description
この特許文献1に記載の異方性光拡散フィルムは、屈折率が高いライン状の板状領域と、屈折率が低いライン状の板状領域とが、交互に平行配置されたルーバー構造を有する。
一方、光拡散入射角度領域から外れた入射角で光が入射される場合、当該光は、高屈折率の板状領域及び低屈折率の板状領域を膜厚方向に沿って直線的に通り抜ける。このため、当該光は、拡散されることなく出光面から出射される。
ここで、上記範囲内の入射角で光制御層に入射される光のうち、直接、或いは、第2層を介して第1層に入射された光は、当該第1層内を光制御層の奥行方向に進行する。この際、第1層内を進行する光が、当該第1層と、当該第1層に隣接する第2層との境界面に入射される場合には、当該境界面にて反射されつつ、第1層内を奥行方向に進行する。このように、上記範囲内の入射角で光制御層に入射される光では、第1層内を透過する光路が平均して長い。
一方、上記範囲外の入射角で光制御層に入射される光は、上記境界面にて反射されることなく当該光制御層を奥行方向に直進するので、当該光では、第1層内を透過する光路が平均して短い。
そして、当該第1層には、光を吸収する光吸収成分が含まれていることにより、第1層を透過する際の光路が長ければ長いほど、当該第1層を透過する光の光量は減じられる。
従って、上記第1態様によれば、光制御層に対する入射角に応じて、当該光制御層を透過する光、すなわち、当該光制御層から出射される光の光量を調整できる。
上記第1態様によれば、光吸収成分が可視光領域のうち所定波長の光を吸収することで、異方性光吸収フィルムをフィルターとして用いることができる。従って、異方性光吸収フィルムの利便性を向上できる。
上記第1態様によれば、当該異方性光吸収フィルムを、プロジェクターから画像が投射されるスクリーンに採用した場合に、当該プロジェクターからの投射光とは異なる光を光吸収成分により主に吸収させることができる。従って、当該スクリーンに表示される画像のコントラストを向上できる。
ここで、上記範囲の中心は、第1層及び第2層の境界面に沿う方向に応じて設定されるので、当該第1層及び第2層の境界面に沿う方向が複数の光制御層で異なれば(換言すると、各光制御層の法線に対する第1層及び第2層の角度が異なれば)、上記範囲を拡大できる。このため、上記第1態様によれば、異方性光吸収フィルムの法線に対する第1層及び第2層の角度、すなわち、境界面に沿う方向の角度が異なる光制御層を複数設けることで、上記範囲を拡大できる。従って、異方性光吸収フィルムの利便性を向上できる。
上記第2態様によれば、第1層及び第2層は、画像を形成する光とは異なる光(以下、外光という)の光制御層に対する入射方向に応じて形成されている。これによれば、当該外光を上記範囲内の入射角で光制御層に入射させやすくすることができ、第1層の光吸収成分により吸収させやすくすることができる。従って、画像を劣化させる外光の影響を低減でき、スクリーンに表示される画像のコントラストを向上できる。
上記第2態様によれば、光制御層を透過した光を反射層により反射させることができる。これによれば、前記範囲外の入射角となるように、光制御層において反射層とは反対側の面に画像を投射することで、当該画像を表示する反射型のスクリーンを構成できる。また、第1層内を通過した外光のうち、反射層により上記範囲内の角度で反射された一部の光は、再度第1層内を進行することとなるので、スクリーンの外部に出射される外光の光量を一層低減できる。従って、表示される画像のコントラストを更に向上できる。
上記第2態様によれば、スクリーンを透過して出射される光、或いは、当該スクリーンにて反射されて出射される光を、拡散層により拡散させることができる。従って、外光の影響が低減され、コントラストが向上された画像の視野角を広げることができる。
上記第2態様によれば、スクリーンにおける画像の出射面に位置する反射抑制層により、外光が当該出射面にて反射されることを抑制できる。また、当該反射抑制層により、外光及び画像を形成する光を光制御層に入射させやすくすることができ、当該光制御層により、外光を吸収しやすくすることができる。従って、表示される画像のコントラストを更に向上できる。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るスクリーンS1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るスクリーンS1は、当該スクリーンS1の正面側下方に配置されたプロジェクターPJ(図4参照)からの投射光を反射させて、当該投射光により形成される画像を表示する反射型スクリーンである。このスクリーンS1は、後述する吸収範囲内の入射角(後述する光制御層S4の法線NLに対する角度)で入射される光(例えば外光)を主に吸収し、当該吸収範囲外の入射角で入射される光(例えば投射光)を主に反射させる機能を有する。
このようなスクリーンS1は、図1に示すように、保護層S2及び反射層S3と、これら保護層S2及び反射層S3との間に介在配置される光制御層S4とを有し、上記投射光の入射側から、保護層S2、光制御層S4、反射層S3の順に配置された構造を有する。
保護層S2は、光制御層S4の表面(正面S4F)を保護する層であり、当該保護層S2の正面(光制御層S4とは反対側の面)は、スクリーンS1において光が入射される光入射面、及び、後述する反射層S3により反射された光が外部に出射される光出射面となる正面S1Fを構成する。
このような保護層S2は、入射される光の反射を抑制する反射抑制層S21と、透過する光を拡散させる拡散層S22とを有し、これらが積層された層構造を有する。これらのうち、反射抑制層S21は、拡散層S22に対して光入射側に位置する。
反射抑制層S21は、拡散層S22にAR(Anti-Reflection)処理又はAG(Anti-Glare)処理を施すことで形成できる。この他、ARコートフィルム又はAGフィルムを拡散層S22に貼付することで、反射抑制層S21を構成することも可能である。
なお、これら反射抑制層S21及び拡散層S22を有する保護層S2は、必須の構成ではなく、スクリーンS1の用途に応じて省略可能である。
反射層S3は、スクリーンS1における背面側に位置し、保護層S2及び光制御層S4を介して入射される光を、ランバート反射又は異方性反射等の反射様式により反射させる。この反射層S3は、光制御層S4において保護層S2とは反対側の面である背面S4Rに反射材料を蒸着又はスプレー噴射して構成してもよく、反射シートを当該背面S4Rに貼付して構成してもよい。
光制御層S4は、当該光制御層S4に対する光の入射角(光制御層S4の法線NLに対する光の角度)によって当該光を直進透過又は拡散透過させる性質(異方性)を有する。具体的に、光制御層S4は、当該光制御層S4に予め設定される範囲(入射光を拡散透過させる範囲であり、後述する吸収範囲)内の入射角で入射されて後述する第1層S5に入射された光を、当該第1層S5内にて光制御層S4の奥行方向に沿って進行させ、当該範囲外の入射角で入射された光を、当該第1層S5及び第2層S6を貫通するように直進させる層である。本実施形態では、光制御層S4は、当該入射角に応じて、当該光制御層S4内を通過する際の進行方向が変更され、これにより光路長の差異が生じることによって、透過光量を調整する。このような光制御層S4は、異方性光吸収フィルムにより形成されている。すなわち、光制御層S4は、予め定まった吸収範囲内の入射角で入射される光を吸収しやすく、当該吸収範囲外の入射角で入射される光を吸収しにくい性質を有するフィルムにより形成されている。
このような光制御層S4は、図2及び図3に示すように、それぞれ光透過性を有する合成樹脂により形成され、かつ、当該光制御層S4の法線NL(スクリーンS1の法線と一致)に対する直交方向に沿って交互に形成された第1層S5及び第2層S6を有する。
これら第1層S5及び第2層S6は、法線NLに対してそれぞれ+25.3°傾斜して形成されている。詳述すると、第1層S5及び第2層S6の配列方向である鉛直方向に沿う光制御層4の断面視において、当該第1層S5及び第2層S6の境界面S7に沿う方向を示す仮想の直線VL1と法線NLとの交差角(すなわち、第1層S5及び第2層S6の傾斜角)は+25.3°である。このため、第1層S5及び第2層S6における厚さ方向の両端のうち、正面S4F側の端部は、背面S4R側の端部に比べて上方に位置する。
なお、本実施形態では、当該吸収範囲は、鉛直方向に沿う光制御層S4の断面視において、正面S4Fと交差する仮想の直線VL2(図2及び図3における一点鎖線で示す直線VL2)を中心として−15°以上、+15°以下の範囲である。すなわち、当該吸収範囲は、30°の範囲である。そして、本実施形態では、仮想の直線VL2は、光制御層S4の法線NLに対して+40°傾斜しており、当該吸収範囲は、法線NLに対して+25°以上、+55°以下の範囲である。なお、吸収範囲の中心線である上記仮想の直線VL2は、第1層S5及び第2層S6が交互に配列される方向(本実施形態では鉛直方向)に沿う断面視で、境界面S7に沿う方向(上記仮想の直線VL1により示される方向)に応じて設定される。
一方、第2層S6には、上記光吸収色素が含まれていない。このため、第2層S6を光が透過する際には、当該光の吸収は行われず、光量の減少はほぼ生じない。
ここで、光制御層S4に入射される光の光路を説明する。なお、図2及び図3においては、上記のように、光制御層S4の正面S4Fが空気層と接しているものとして、当該光制御層S4に入射される光の光路を示している。
光制御層S4の正面S4Fに入射される光のうち、上記吸収範囲内の入射角で入射され、当該入射角に応じて正面S4Fにて屈折された後に、第1層S5内に入射される光は、当該第1層S5内を光制御層S4の奥行方向(光制御層S4の正面S4Fから背面S4Rに向かう方向)に進行する。
一方、第2層S6に直接入射された光L14は、正面S4Fにて屈折された後、当該第2層S6を透過して、当該第2層S6に対して光L14の進行方向に隣接する第1層S5に入射される。この第1層S5に入射された光L14は、他の光L11〜L13と同様に、当該第1層S5内を上記奥行方向に進行する。そして、当該光L14のうち、反射層S3にて上記吸収範囲内の角度で反射されて第1層S5に入射された一部の光は、当該第1層S5内を上記奥行方向とは反対方向に進行する。
吸収範囲内の入射角で光制御層S4に入射される他の光も光L11〜L14と同様に進行する。
ここで、第1層S5には、前述の光吸収色素が含まれている。このため、当該吸収範囲内の入射角で光制御層S4に入射される光は、光吸収色素により吸収されやすく、正面S4Fから出射される光量は低減される。すなわち、当該吸収範囲は、光制御層S4の正面S4Fに入射され、当該正面S4Fに対する入射角に応じて当該正面S4Fにて屈折されて光制御層S4内を進行する光のうち、高屈折率層である第1層S5から低屈折率層である第2層S6に向かって進行して当該第1層S5及び第2層S6の境界面S7に対して、当該境界面S7の臨界角以上の角度で入射される光(境界面S7にて第1層S5側に全反射される光)の上記入射角の範囲(正面S4Fに対する当該光の入射角の範囲)である。第1層S5及び第2層S6のそれぞれの屈折率を変更することにより当該吸収範囲を変更可能であるのは、それぞれの屈折率を変更することで、第1層S5側に光を反射させる境界面S7の臨界角が変更されるためである。
例えば、図3に示すように、法線NLに沿って光制御層S4に入射される光L21は、第1層S5及び第2層S6を当該法線NLに沿って直進透過して反射層S3に到達する。そして、当該光L21のうち、当該反射層S3にて上記吸収範囲外の角度で反射された一部の光は、第1層S5及び第2層S6を直進透過しつつ、奥行き方向とは反対方向に進行して、正面S4Fから出射される。
なお、図3では、法線NLに沿って光制御層S4に入射される光L21は、第1層S5に直接入射されるように図示されているが、第2層S6に直接入射される場合も同様である。同様に、−25°及び−70°の入射角でそれぞれ光制御層S4に入射される光L22,L23は、第2層S6に直接入射されるように図示されているが、第1層S5に直接入射される場合も同様である。
なお、上記説明では、光制御層S4の正面S4Fは空気層と接するものとして説明したが、光制御層S4Fと保護層S2との間で生じる屈折は僅かであるので、保護層S2を介する場合でも、スクリーン1の正面S1Fに入射されて光制御層S4内を進行する光の光路は、上記説明と同様である。
吸収範囲内の入射角で光制御層S4に入射される光のうち、第1層S5に入射される光は、当該第1層S5内を上記奥行方向に進行する。このため、当該光では、第1層S5内を透過する際の光路が平均して比較的長い。
一方、吸収範囲外の入射角で光制御層S4に入射される光は、第1層S5及び第2層S6を貫通するように奥行方向に直進する。このため、当該光では、第1層S5内を透過する際の光路が平均して比較的短い。
そして、第1層S5には、光吸収色素が含まれていることにより、第1層S5を透過する際の光路が長ければ長いほど、当該第1層S5を透過する光の光量は減じられる。
従って、当該光制御層S4を有する上記スクリーンS1によれば、光制御層S4に対する入射角に応じて、当該光制御層S4を透過する光の光量を調整でき、ひいては、正面S1Fから出射される光の光量を調整できる。
そして、第1層S5及び第2層S6は、法線NLに対して+25.3°の傾斜角で傾斜している。このように、当該第1層S5及び第2層S6が、画像を形成する投射光とは異なる光(すなわち外光)の光制御層S4への入射方向に応じて形成されていることにより、光制御層S4への当該投射光とは異なる光の入射角を、上記吸収範囲に含めやすくすることができる。従って、外光を第1層S5の光吸収色素により吸収させやすくすることができるので、画像を劣化させる外光の影響を低減でき、スクリーンS1に表示される画像のコントラストを向上できる。
なお、詳しくは後述するが、複数の色素を混合することで、赤、緑及び青に区分される色光以外の光の吸収効率が高い光吸収色素を生成できる。このような光吸収色素が第1層S5に含まれていれば、プロジェクターPJからの投射光とは異なる光を当該光吸収色素により効果的に吸収させることができる。従って、スクリーンS1に表示される画像のコントラストを向上できる。
ここで、吸収範囲は、第1層S5及び第2層S6が交互に配列される方向に沿う光制御層S4の断面視で、当該第1層S5及び第2層S6の境界面S7に沿う方向、換言すると、第1層S5及び第2層S6の傾斜角に応じて予め設定されるので、当該第1層S5及び第2層S6の傾斜角が複数の光制御層S4で異なれば、当該吸収範囲を拡大できる。従って、投射光とは異なる光の吸収効率を向上でき、表示画像のコントラストを更に向上できる。
以下、スクリーンS1の第1実施例について説明する。
図4は、第1実施例における対象スクリーンの設置状態を示す模式図である。なお、図4では、対象スクリーンとしてスクリーンS1が設置されている状態を示している。
第1実施例では、図4に示すように、照明M1〜M3と、プロジェクターPJとが配置された屋内において、鉛直面に沿う側壁WLに設置されたスクリーンS1(実施例1)の反射光量と、当該側壁WLに設置されたホワイトマットスクリーン(比較例1)の反射光量とを、照明M1〜M3から出射された照明光とプロジェクターPJからの投射光とに取得した。
天井面CSは、床面FLから3100mmの高さにある。また、側壁WLに設置されて測定対象となるスクリーン(以下、対象スクリーンという)は、当該スクリーンの中心が、床面FLから1500mmの高さに位置するように、当該鉛直方向に沿って配置される。なお、対象スクリーンのアスペクト比は16:9であり、サイズは13インチである。
天井面CSに設置される照明M1〜M3は、側壁WLから1500mmごとに順に配置されている。これら照明M1〜M3は、対象スクリーンの中央を通る法線に直交する鉛直線上に位置している。
照明M1〜M3による照度は、対象スクリーンの中央において100ルクスとなるように設定される。なお、使用されるプロジェクターPJは、出力15ルーメンのRGBレーザープロジェクターである。
一方、プロジェクターPJは、上記吸収範囲外の入射角で、投射光の中心軸PLが光制御層S4に入射されるように配置される。具体的に、第1実施例では、プロジェクターPJは、投射光の中心軸PLが法線NLと−16.5°で交差する位置に配置される。
一方、比較例1として使用されるホワイトマットスクリーンには、光制御層が設けられておらず、光吸収色素も含まれていない。
上記条件での測定結果を以下の表1に示す。
また、プロジェクターPJからの投射光の反射輝度(cd/m2)は、比較例1では「25.7」であったのに対し、実施例1では「20.6」であった。
これは、照明M1,M2からの照明光の入射角が上記吸収範囲内であり、当該照明光が上記第1層S5内を上記奥行方向に進行すること、及び、当該照明光の一部が、反射層S3にて上記吸収範囲内の角度で反射されて、上記第1層S5内を上記奥行方向とは反対方向に進行することから、当該照明光における第1層S5を透過する際の光路長が、投射光における第1層S5を透過する際の光路長に対して平均して約2.4倍となって照明光が大きく減じられるとともに、投射光も少なからず減じられるためと考えられる。
このように、実施例1のスクリーンS1では、比較例1のホワイトマットスクリーンに対して、コントラストの向上を図ることができている。
次に、第2実施例について説明する。
第2実施例では、プロジェクターPJからの投射光の波長以外の波長の光を主に吸収する光吸収色素を上記第1層S5に含めたスクリーンS1と、当該光吸収色素を表面に塗布したホワイトマットスクリーンとを対象スクリーンとして上記側壁WLに設置し、それぞれの照明光の反射輝度と投射光の反射輝度とを取得した。
また、比較例2としてのホワイトマットスクリーンの表面(光入射面)には、膜厚が4.5E−4cmとなるように上記光吸収色素を塗布した。なお、当該光吸収色素の濃度は、実施例2のスクリーンS1における光吸収色素の濃度と同じである。
プロジェクターPJは、前述のように、RGBレーザープロジェクターであり、当該プロジェクターPJに採用されている光源の出射光(投射光)は、図5に点線で示すように、448nm近傍、520nm近傍、及び、639nm近傍にピークを有する。
一方、照明M1〜M3からの照明光は、図5に実線で示すように、405nm近傍、436nm近傍、487nm近傍、546nm近傍、584nm近傍及び611nm近傍にピークを有する。
他方、上記光吸収色素は、図5に一点鎖線で示すように、489nm近傍、543nm近傍及び594nm近傍の波長の光を主に吸収する。すなわち、当該光吸収色素は、赤、緑及び青に区分される色光以外の色光を主に吸収する。
なお、測定に際しては、投射光の反射輝度が同じ値となるように、当該投射光の強度(プロジェクターPJの光源の出力)を調整している。
これは、前述の第1実施例と同様に、照明M1,M2から出射された光の入射角が上記吸収範囲内にあると考えられる。そして、照明の反射輝度及び投射光の反射輝度をコントラストに換算すると、比較例2では「3.7」となるのに対し、実施例2では「6.6」となった。
ここで、スクリーンS1に対して、上記吸収範囲外の入射角で入射された光の反射分光特性を調べた。具体的に、光制御層S4に対して−5°の入射角で入射される光の反射特性と、−45°の入射角で入射される光の反射特性とを比較した。
結果として、図6に示すように、−5°の入射角で入射される光の反射特性と、−45°の入射角で入射される光の反射特性とは、可視光領域でほぼ同じであった。このように、上記吸収範囲外の入射角で入射される光の反射特性は、可視光領域では入射角によらずにほぼ同じ結果が得られた。
これに対し、上記スクリーンS1においては、吸収範囲外の入射角で光が入射される場合、入射角に応じた分光特性の変化がほぼ無いことから、表示画像の画質劣化を抑制できる。
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、スクリーンS1は、1つの光制御層S4を有するとしたが、本発明はこれに限らず、複数の光制御層を積層してもよい。
例えば、スクリーンS1Aは、図7に示すように、保護層S2及び反射層S3と、当該保護層S2及び反射層S3との間に配置される光制御層S4A,S4Bを有する。
具体的に、光制御層S4Aでは、当該光制御層S4Aの法線NLAに対する第1層S5及び第2層S6の傾斜角(第1層S5及び第2層S6の配列方向に沿う光制御層S4Aの断面視において法線NLAと境界面S7に沿う方向を示す仮想の直線VLAとの交差角)は+28.1°である。また、当該光制御層S4Aにおける上記吸収範囲は、+30°以上、+60°以下であり、当該吸収範囲の中心線である仮想の直線VLBと法線NLAとの交差角は、+45°である。
一方、光制御層S4Aでは、当該光制御層S4Bの法線NLBに対する第1層S5及び第2層S6の傾斜角(第1層S5及び第2層S6の配列方向に沿う光制御層S4Bの断面視において法線NLBと境界面S7に沿う方向を示す仮想の直線VLCとの交差角)は+19.4°である。また、当該光制御層S4Bにおける上記吸収範囲は、+15°以上、+45°以下であり、当該吸収範囲の中心線である仮想の直線VLDと法線NLBとの交差角は、+45°である。
また、当該スクリーンS1Aでは、上記傾斜角が+28.1°である光制御層S4Aと、上記傾斜角が+19.4°である光制御層S4Bとを含む構成とした。しかしながら、これに限らず、各光制御層を構成する第1層S5及び第2層S6の傾斜角は、適宜変更可能である。例えば、法線に対する直交方向に沿って交互に配列される第1層S5及び第2層S6の傾斜角が0°(すなわち、法線に沿う状態)である光制御層を採用してもよい。これは1つの光制御層のみ有する場合も同様である。
すなわち、1つの光制御層S4は、鉛直方向に沿って交互に配列され、かつ、当該光制御層S4の法線に対して「+」の傾斜角で傾斜した第1層S5及び第2層S6を有し、他の1つの光制御層S4は、水平方向に沿って交互に配列され、かつ、当該光制御層S4の法線に対して「+」の傾斜角で傾斜した第1層S5及び第2層S6を有し、残りの1つの光制御層S4が、水平方向に沿って交互に配列され、かつ、当該光制御層S4の法線に対して「−」の傾斜角で傾斜した第1層S5及び第2層S6を有する構成としてもよい。
このような場合、当該スクリーンに対して上方、左方及び右方からそれぞれ斜方入射される外光を、各光制御層S4の第1層S5に含まれる光吸収色素により効果的に吸収できる。従って、各光制御層S4の法線に沿って、或いは、鉛直方向における「−」の入射角で入射される投射光を好適に反射させることができ、表示画像のコントラストの更なる向上を図ることができる。
具体的に、第1層S5及び第2層S6が鉛直方向に沿って交互に配列されている場合、上方から下方に向かうに従って上記傾斜角が大きくなるように、当該第1層S5及び第2層S6が形成されていてもよい。このような構成のスクリーンであれば、スクリーンにおける上側の位置では、当該スクリーンの法線と上記吸収範囲の中心線との交差角が小さくなり、下側の位置では、当該スクリーンの法線と上記吸収範囲の中心線との交差角が大きくなるので、それぞれの吸収範囲の向きをスクリーンの上方に位置する照明(例えば照明M1,M2)に向けやすくすることができる。従って、当該照明から入射される外光を、当該スクリーンS1の全面において効果的に吸収できる。
前記実施形態では、光制御層S4は、第1層S5及び第2層S6を有する構成としたが、本発明はこれに限らず、これら第1層S5及び第2層S6とは異なる屈折率を有する第3層が設けられていてもよい。
また、当該異方性光吸収フィルムの用途によっては、上記光吸収色素に代えて他の色素を第1層S5に含有させてもよい。例えば、可視光領域の他の波長の光を吸収する色素を含有させた異方性光吸収フィルムを構成してもよく、紫外線或いは赤外線を吸収する色素を含有させた異方性光吸収フィルムを構成してもよい。
Claims (8)
- 第1層と、
前記第1層より屈折率が低い第2層とを有する光制御層を備え、
前記第1層及び前記第2層は、所定方向に沿って交互で、互いに平行に配置され、
前記光制御層は、
前記光制御層に対する光の入射角が、前記所定方向に沿う前記光制御層の断面視で当該光制御層に予め設定される範囲内である場合には、当該光を前記第1層と前記第2層との境界面にて反射させつつ、当該第1層内を前記光制御層の奥行方向に進行させ、
前記光制御層に対する光の入射角が前記範囲外である場合には、当該光を前記奥行方向に直進させ、
前記第1層には、光を吸収する光吸収成分が含まれる
ことを特徴とする異方性光吸収フィルム。 - 請求項1に記載の異方性光吸収フィルムにおいて
前記光吸収成分は、可視光領域のうち所定波長の光を吸収する
ことを特徴とする異方性光吸収フィルム。 - 請求項2に記載の異方性光吸収フィルムにおいて、
前記光吸収成分は、赤、緑及び青に区分される色光以外の光を吸収する
ことを特徴とする異方性光吸収フィルム。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の異方性光吸収フィルムにおいて、
前記光制御層は、当該異方性光吸収フィルムの法線に対する前記第1層及び前記第2層の角度を違えて複数設けられている
ことを特徴とする異方性光吸収フィルム。 - 投射される画像を表示するスクリーンであって、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の異方性光吸収フィルムを有し、
前記第1層及び前記第2層は、それぞれ、前記画像を形成する光とは異なる光の前記光制御層に対する入射方向に応じて形成されている
ことを特徴とするスクリーン。 - 請求項5に記載のスクリーンにおいて、
前記光制御層に対向し、かつ、前記光制御層に対して前記画像の入射位置とは反対側に位置する反射層を有する
ことを特徴とするスクリーン。 - 請求項5又は請求項6に記載のスクリーンにおいて、
前記光制御層に対して前記画像の出射側に位置し、透過される光を拡散させる拡散層を有する
ことを特徴とするスクリーン。 - 請求項5から請求項7のいずれかに記載のスクリーンにおいて、
当該スクリーンにおける前記画像の出射面に位置し、入射される光の反射を抑制する反射抑制層を有する
ことを特徴とするスクリーン。
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