JP2014174134A - 放射能分析に係る濁水試料の前処理方法及び前処理剤、並びに前処理具 - Google Patents

放射能分析に係る濁水試料の前処理方法及び前処理剤、並びに前処理具 Download PDF

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貴史 土屋
Masato Hatakeyama
雅人 畠山
Mayumi Yasuda
真弓 安田
Shiori Kitajima
枝織 北島
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Abstract

【課題】濁水の放射能をゲルマニウム半導体分析装置などを用いて分析する際の前処理方法及び、前処理剤、並びに当該前処理に使用される前処理具を提案する。
【解決手段】放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に対して粘性を与える前処理剤を添加、混合することにより前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持すること放射線量計測対象の濁水試料についての前処理方法と、これに使用する前処理剤及び、前処理具。
【選択図】図4

Description

本発明は濁水の放射能をゲルマニウム半導体分析装置(以下「Ge装置」という)、またはNaIスペクトロメータ(以下「NaI」という)により分析する際の前処理方法及び、前処理剤、並びに当該前処理に使用される前処理具に関する。
平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により東日本の広域が放射能に汚染された。
事故当初に飛散・沈着した放射性物質(主に放射性セシウム)はその後の気象条件、または経済活動(人、車両等の移動)等により移動・拡散していると考えられる。
移動・拡散経路の一つである汚染地域からの流出河川には定常的に放射性物質が含まれると考えられる。特に、降雨時は汚染された土壌等が流出することから、河川中の放射性物質量も増大することになる。
汚染地域からの放射性物質(主に放射性セシウム)の移動・拡散は、事故当初非汚染地域であった場所に新たな問題を引き起こす可能性も危惧される。
よって汚染地域または汚染地域から流出する河川水中の放射性物質量は、放射性物質の移動・拡散を知る上で重要な情報である
降雨時において土壌の流出が増大した場合、河川は著しく濁りを呈することから、その濁水について放射能濃度の把握が必要である。
Ge装置、またはNaI等を用いて放射能を分析する場合、通常数百秒〜数時間の計数時間が必要になる。
放射能分析においては計数時間中に試料の均一性が保持されなければならない。
濁水の直接分析を試みた場合、濁質が沈降するため試料の均一性確保が困難であり、何らかの処置が必要である。
濁水処置の方法としては、ろ過により濁質をろ紙上に捕捉し分析試料とする、または蒸発残留分として固形物試料を得る等の方法が考えられるが、それらの方法は作業工程が煩雑であり効率的とは言えない。
液体試料を分析する従来の方法は、2リットルマリネリ、U8等の専用容器に液体試料を直接充填して分析を行うのが一般的である。
食品の放射能基準値は放射性セシウム(134Csと137Csの合量)として10Bq/kgであることから、試料量が確保できる場合、2リットルマリネリ容器を用いることとなる。2リットルマリネリ容器を用いても、基準値に対して十分な検出限界値を得るためには1000秒程度の計数時間が必要である。さらに低い濃度を定量するためには数千秒〜数時間の計数時間が必要となる。
放射能分析では容器内の試料は均一でなければならないが、上記の従来分析方法において濁水試料を分析した場合、計数時間中に濁質が沈降することにより試料の均一性が失われ、正当な評価が得られない。
これまで、原子力事故等により放出された放射能量を検出する方法などの提案がされたことはあるが(例えば、特許文献1)、2リットルマリネリ容器などの放射線量計測用容器を用い、当該容器内に収容されている濁水試料について、適切な放射線量計測を行うべく、1000秒以上の所定の計数時間にわたって当該容器内の濁水試料の均一性を維持するための方策は従来提案されていなかった。
特開2002−214348号公報
この発明は、放射線量計測用容器を用い、当該容器内に収容されている濁水試料について、適切な放射線量計測を行うべく、1000秒以上の所定の計数時間にわたって当該容器内の濁水試料の均一性を維持するための方策を提案することを目的にしている。
すなわち、本発明は、放射線量計測用容器を用い、当該容器内に収容されている濁水試料について放射線量計測を行うにあたり、放射線量計数時間中において濁水試料の均一性を保持する前処理方法及び前処理剤を提供することを目的にしている。
更に、本発明は、前処理工程において、前記放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料中の濁質及び、前記濁水試料に粘性を付与すべく添加、混合される前処理剤を均一に分散する前処理具を提供することを目的にしている。
本発明は、放射線量計測対象の濁水試料に粘性を与えることにより、放射線量計数時間中において当該濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質が沈降することなく均一性を保持する前処理方法及び、これに使用する前処理剤と、前処理具により、簡便な濁水試料の放射能分析方法を提供するものである。
請求項1記載の発明は、
放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に対して粘性を与える前処理剤を添加、混合することにより前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持することを特徴とする放射線量計測対象の濁水試料についての前処理方法
である。
請求項2記載の発明は、
放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に添加、混合されることにより、前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持することに用いられる、前記濁水試料に対して粘性を与える前処理剤
である。
請求項3記載の発明は、
開口している上部から放射線量計測対象の濁水試料が投入される円柱状の容器からなり、当該円柱状容器の底面中央部から上方に向かって突出する中央円柱部を備えていて、当該中央円柱部の径方向外側の周壁面と、前記円柱状容器の下方側の周壁内面との間に環状の凹部が形成されている放射線量計測用容器の内部に、前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入されて使用される回転撹拌具であって、
前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記円柱状容器の径方向における中心部に位置して、前記円柱状容器の上方から下方に向かって伸び、駆動力を与えられて当該上方から下方に向かって伸びる回転中心軸を中心として回転する回転軸と、
当該回転軸に関して対称的に当該回転軸から互いに径方向外方向に向かって伸びる支持腕の径方向外側端部にそれぞれ形成されていて、前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記円柱状容器の上方から下方に向かって延び、当該下方に向かって伸びる先端側が、前記環状の凹部に上方から下方に向かって突入する2枚の縦長撹拌板と、
前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記中央円柱部の上面より上方の位置で終端する前記回転軸の先端側で、前記回転軸に関して対称的に前記回転軸から互いに径方向外方向に向かって伸びる2枚の横長撹拌板と、
前記回転軸の前記2枚の横長撹拌板が配備されている箇所よりも先端側になる前記回転軸の終端から、更に、前記中央円柱部の上面の方向に向かって伸びる中央部縦長撹拌板と
を備えている、前記放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質及び、前記濁水試料に粘性を付与すべく前記濁水試料に添加、混合される前処理剤を均一に分散する前処理具
である。
この発明によれば、放射線量計測用容器を用い、当該容器内に収容されている濁水試料について、適切な放射線量計測を行うべく、1000秒以上の所定の計数時間にわたって当該容器内の濁水試料の均一性を維持することができる。
本発明によれば、濁水試料に粘性を与えることにより、濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質成分の沈降を防止し、均一な濁水試料性状を保持した状態で放射能分析が可能となった。
また、放射線量計測用容器内に収容された濁水試料に粘性を付与する前処理剤を添加、混合する前処理の際に、本発明の前処理具を用いることにより、放射能を帯びた懸濁物質が均一に分散した状態で、前処理剤を容易に添加することができる。
本発明によれば、放射線量計測対象の濁水試料に粘性を与えることにより、放射線量計数時間中において当該濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質が沈降することなく均一性を保持する前処理方法及び、これに使用する前処理剤と、前処理具を提供することにより、簡便な濁水試料の放射能分析方法を提供することができる。
本発明が提案する前処理具の一例を表す一部を省略した正面図。 図1図示の本発明の前処理具の(a)平面図、(b)左側面図、(C)底面図。 本発明が提案する前処理具が挿入されて使用される放射線量計測用容器の一例を表すであって、上部開口に蓋が装着されている状態の正面図。 図3図示の放射線量計測用容器の内部に放射線量計測対象の濁水試料と、本発明の前処理剤とが投入され、図1、図2図示の本発明の前処理具を用いて前処理が行われる状態を説明する一部を省略した正面図。
本発明が提案する、放射線量計測対象の濁水試料についての前処理方法は、放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に対して粘性を与える前処理剤を添加、混合することにより前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質(以下、「濁質」ということがある)の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持するものである。
そして、本発明が提案する、放射線量計測対象の濁水試料に対して粘性を与える前処理剤は、当該前処理方法に使用されるものであって、放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に添加、混合されることにより、前記濁水試料中の濁質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持することに用いられるものである。
このような本発明によれば、放射線量計測対象の濁水試料に粘性を与え、当該濁水試料中の濁質の沈降を防ぎ、これによって、放射線量計数時間中において濁水試料の均一性を保持することができる。
前述した本発明の、放射線量計測対象の濁水試料に対して粘性を与える前処理剤としては、植物由来の多糖類を原料とした増粘剤や、アクリル酸重合体、等の高吸水性ポリマー、等を用いることができる。
前記の前処理剤は、放射線量計測対象の濁水試料の体積量(リットル)に対して、0.5〜1.0%の重量(g)割合で添加することが望ましい。
本発明が提案する前処理具は、放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料中の濁質及び、当該濁水試料に粘性を付与すべく当該濁水試料に添加、混合される前処理剤を均一に分散することに用いられるものである。
図1に一例が示されている本発明の前処理具1は、図3に一例が示されている、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10の内部に、円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入されて使用される回転撹拌具である。
図3図示の放射線量計測用容器10は、開口している上部から放射線量計測対象の濁水試料が投入される円柱状の容器12である。この円柱状容器12では、底面14の中央部から上方に向かって中央円柱部15が突出している。そして、中央円柱部15の径方向外側の周壁面15bと、円柱状容器12の下方側の周壁内面13aとの間に環状の凹部16、すなわち、上側から見た平面図の状態で環状の凹部16が形成されている。
本発明の前処理具1は、回転軸2、2枚の縦長撹拌板4a、4b、2枚の横長撹拌板5a、5b、一枚の中央部縦長撹拌板7を備えている。
回転軸2は、図4図示のように、前処理具1が円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入された際に、円柱状容器12の径方向における中心部に位置して、円柱状容器12の上方から下方に向かって伸び、駆動力を与えられて上方から下方に向かって伸びる回転中心軸を中心として、矢印30で示すように回転する。
2枚の縦長撹拌板4a、4bは、回転軸2に関して対称的に回転軸2から互いに径方向外方向に向かって伸びる支持腕3a、3bの径方向外側端部にそれぞれ形成されている(図1、図2)。
この2枚の縦長撹拌板4a、4bは、前処理具1が図4図示のように、円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入された際に、円柱状容器12の上方から下方に向かって延び、当該下方に向かって伸びる先端側が、前記環状の凹部16に上方から下方に向かって突入するようになっている。
2枚の横長撹拌板5a、5bは、図4図示のように、前処理具1が円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入された際に、円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aより上方の位置で終端する回転軸2の先端側で、回転軸2に関して対称的に回転軸2から互いに径方向外方向に向かって伸びるものである。
一枚の中央部縦長撹拌板7は、図4図示のように、回転軸2の前記2枚の横長撹拌板5a、5bが配備されている箇所よりも先端側になる回転軸2の終端から、更に、円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aの方向に向かって伸びるものである。
放射線量計測対象の濁水試料に対して、本発明が提案する上述した前処理剤を用いた本発明の前処理方法は、その工程を簡便に行うために、全工程を専用容器で作業できることが望ましい。
上述した、図3に一例が示されている、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10は、液体試料の放射能をゲルマニウム半導体分析装置(Ge装置)によって計測する際に、主に、使用されるマリネリ容器(容量は、例えば、2リットル)であり、上述した前処理の全工程が行われる専用容器となる。
本発明が提案する放射線量計測対象の濁水試料についての前処理方法では放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に対して粘性を与える前処理剤を添加、混合する。これによって、当該濁水試料に粘性を与え、当該濁水試料中の濁質成分の沈降を防止し、均一な濁水試料性状を保持した状態で放射能分析を可能にするものである。
この際、濁水試料を攪拌し、濁水試料中の濁質や、濁水試料に添加、混合した前処理剤が、円柱状容器12内に均一に分散した状態を維持しながら増粘することが望ましい。
ところが、図3に一例が示されているように、液体試料の放射能をゲルマニウム半導体分析装置(Ge装置)によって計測する際に、主に、使用されるマリネリ容器(容量は、例えば、2リットル)は、円柱状容器12の底面14中央部から上方に向かって突出する中央円柱部15を備えており、形状、構造が複雑で、内部に収容した放射線量計測対象の液体試料中の濁質や、当該液体試料に添加、混合する前記前処理剤を均一に分散させることが容易ではない。
図1に一例が示されている本発明の前処理具1は、このような複雑な形状、構造のマリネリ容器(容量は、例えば、2リットル)の内部に、図4図示のように、円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入されて使用される回転撹拌具であり、これを用いることによって、円柱状容器12の内部に収容された放射線量計測対象の液体試料中の濁質や、当該液体試料に添加、混合する前記前処理剤を均一に分散させることが可能になる。
図4図示のように、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)の蓋11を取り外し、放射線量計測対象の濁水試料20をその液面20aが図4図示の位置になるまで、円柱状の容器12に収容し、本発明の前処理剤を添加した後、本発明の前処理具1を、円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入する。
本発明の前処理具1は上述し、図1、図2に図示した形状、構造になっているので、2枚の縦長撹拌板4a、4bの下方に向かって伸びる先端側が、円柱状の容器12の環状の凹部16に上方から下方に向かって突入する。
回転軸2が、不図示の駆動手段から駆動力を得て、矢印30で示すように回転すると、2枚の縦長撹拌板4a、4bもそれらの先端側を円柱状の容器12の環状の凹部16に上方から下方に向けて突入させている状態で、円柱状の容器12の周壁13の内側面近傍で、矢印30で示す周方向に回転する。
これによって、円柱状容器12の内部に収容された放射線量計測対象の濁水試料20中の濁質や、濁水試料20に添加された前処理剤が濁水試料20中に分散される。
一方、円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aより上方においては、2枚の横長撹拌板5a、5bが、回転軸2と共に、矢印30方向に回転する。
前述したように、先端を、円柱状の容器12の環状の凹部16に上方から下方に向けて突入させている2枚の縦長撹拌板4a、4bが、円柱状の容器12の周壁13の内側面近傍で矢印30で示す周方向に回転することにより、円柱状容器12内の径方向外側では流動が生じる。しかし、それだけでは、円柱状容器12内の径方向内側(円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aより上側)における十分な流動が生じない。
回転軸20の回転に連れた2枚の横長撹拌板5a、5bの回転により、円柱状容器12内の径方向内側(円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aより上側)でも十分な流動を生じさせることができる。
これをより効果的にするため、2枚の横長撹拌板5a、5bは、図2(b)図示のように、回転軸2を間に挟んで、互いに異なる傾斜角度で、回転軸2が延びる方向に対して傾斜して回転軸2に取り付けられていることが望ましい。
また、2枚の横長撹拌板5a、5bが、回転軸2が延びる方向に対して傾斜して回転軸2に取り付けられる傾斜角度は、回転軸2の回転に連れた2枚の横長撹拌板5a、5bの回転によって、円柱状容器12内の径方向内側(円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aより上側)において、円柱状容器12の下側に向かう流動(円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aに向かう流動)が生起される傾斜角度にしておくことが望ましい。
すなわち、図示の例でいえば、横長撹拌板5aの上端面6aが回転軸2が回転する方向に向かい、横長撹拌板5aの下端面が回転軸2が回転する方向と逆方向に向かっているように横長撹拌板5aが傾斜し、横長撹拌板5bの上端面が回転軸2が回転する方向に向かい、横長撹拌板5bの下端面6bが回転軸2が回転する方向と逆方向に向かっているように横長撹拌板5bが傾斜していることが望ましい。
図4図示のように、円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入されて使用される回転撹拌具である本発明の前処理具1は、回転軸2の2枚の横長撹拌板5a、5bが配備されている箇所よりも先端側になる回転軸2の終端から、更に、円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aの方向に向かって伸びる一枚の中央部縦長撹拌板7、すなわち、突起状の中央部縦長撹拌板7を備えている。
これによって、回転軸2の回転に連れて、中央部縦長撹拌板7も回転するため、前処理具1が円柱状容器12の上部開口から下方に向かって挿入された際に、円柱状容器12の径方向における中心部に位置する回転軸2の直下における極狭い領域においても流動が生じ、無流速域を発生させないことができる。
本発明の前処理具1は、上述した径方向外側に備えられている2枚の横長撹拌板5a、5bに加えて、径方向の内側に、2枚の横長撹拌板5a、5b、一枚の突起状の中央部縦長撹拌板7を備えている。そこで、円柱状容器12内に収容された濁水試料20の、円柱状容器12内の径方向内側の領域においても十分な流動が生起され、濁水試料20中の濁質が、円柱状容器12の中央円柱部15の上面15aの上に集積するおそれは無い。
放射能濃度が既知である乾燥土壌を用いて、水1リットル中に当該土壌1000mgを含む模擬濁水を調製した。
土壌の放射能濃度はセシウム134(以下、「134Cs」と表す):13800Bq/kg、セシウム137(以下、「137Cs」と表す):22000Bq/kgであることから、模擬濁水の設定放射能濃度は、134Cs:13.8Bq/リットル、137Cs:22.0Bq/リットルである。
調製した模擬濁水3検体(No.1〜No.3)を図4図示のように、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)に充填後、充分攪拌し、速やかにGe装置[GEM35−70(実測検出効率40.49%、分解能1.76 keV)及びGEM20−70(実測権出効率22.7%、分解能1.77 keV)(セイコー・イージーアンドジー株式会社)、多重波高分析装置としてMCA 7600(セイコー・イージーアンドジー株式会社)〕で、放射能を分析した(計数時間:1000秒)。撹拌は、撹拌棒を模擬濁水中に挿入し、模擬濁水を撹拌して行った。
濁水の直接分析結果を表1に示す。
表1より、濁水を前処理なしに直接分析した場合、設定濃度に対して114%〜132%の結果であり、過大評価を与えていると言える。これは計数時間(1000秒)中に濁質が沈降し、Ge装置検出部に濁質が接近したことによると考えられる。分析後の試料を観察すると、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)の底部に沈降した濁質が集積していた。
次に、表1の分析を行った3検体(No.1〜No.3)に対して本発明の前処理剤として増粘剤を1%(2リットルの模擬濁水に対して20g)添加した。
使用した増粘剤は、植物成分由来のキサンタンガムである。製品名等を以下に示す。
製品名:イナゲルV−10K
製造者:伊那食品工業株式会社
増粘剤の添加は、図4図示のように、試料が充填している円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)に直接添加した。
添加操作の際は濁質及び添加する増粘剤を均一に分散するため、本発明の前処理具1を図4図示のように、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)の上部開口から下方向に向けて挿入し、当該前処理具1を、回転速度150r/minで2分間にわたり回転させ、充分な攪拌を行った。
これにより、3検体の模擬濁水の粘度が上昇し、濁質の沈降がなくなり、それぞれの模擬濁水全体の濁質が均一に分散したことを確認した後、前記と同様に、Ge装置〔GEM35−70(実測検出効率40.49%、分解能1.76 keV)およびGEM20−70(実測検出効率22.7%、分解能1.77 keV)(セイコー・イージーアンドジー株式会社)、多重波高分析装置としてMCA 7600(セイコー・イージーアンドジー株式会社)〕で、放射能を分析した(計数時間:1000秒)。
この実施例では、円柱状の容器12からなる放射線量計測用容器10(2リットルマリネリ容器)において、増粘剤添加後の明らかな試料体積の変化は認められないことから、増粘剤添加による補正等は行わなかった。
増粘剤添加後の分析結果を表2に示す。
増粘処理を行った試料の分析結果は、設定濃度に対して91%〜100%の結果であり、正当な評価を与えた。
増粘剤を変更して実施例1と同様の操作を行った。
濁水の直接分析結果を表3に示す。
濁水の直接分析をおこなった場合、設定濃度に対して122%〜145%の結果であり、過大評価を与えていると言える。この結果は実施例1と同様であった。
次に、実施例1と同様な手法により増粘剤を添加し分析を行った。増粘剤添加量は0.5%(2リットルの模擬濁水に対して10g)である。増粘剤は高吸水性ポリマーとして一般的なアクリル酸ポリマー使用した。製品名等を以下に示す。
製品名:アクアキューブSA60FP
製造者:住友精化株式会社
上記増粘剤についても、増粘剤添加後の明らかな試料体積の変化は認められなかった。増粘剤添加後の分析結果を表4に示す。
増粘処理を行った試料の分析結果は、設定濃度に対して96%〜106%の結果であり、極めて良好な結果であった。
なお以上の実施例は例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前処理剤は上記実施例で使用した増粘剤に限定されず、濁質分の沈降・浮遊を抑え、試料の均一性を確保できればよい。
好適には、少量の添加量で十分な粘性が発現し試料の均一性が保持できるものであれば使用できる。
さらに好適には作業性の観点より、数十秒〜数分程度で粘度上昇が完了するものが望ましい。
また本実施例は作業効率性を鑑み、2リットルマリネリ容器に専用攪拌機を用いたが、増粘工程を別容器で行うことも可能である。
本発明によれば、放射能を帯びた懸濁物質が多く含まれる液体試料において、その懸濁物質が沈降、浮遊等の挙動により試料の均一性確保が困難な場合、試料液体の粘度を上昇させ、当該液体試料中の懸濁物質を固定した状態で均一に分散する方法を提供することができる。
本発明によれば、簡便かつ容易に濁水試料の放射能分析が可能であり、河川等の環境水、また今後の原発事故対策における重要施策である放射性廃棄物処理施設等における排水等の放射能分析に適用可能である。
1 前処理具
2 回転軸
3a、3b 支持腕
4a、4b 縦長撹拌板
5a、5b 横長撹拌板
7 中央部縦長撹拌板
10 放射線量計測用容器
12 円柱状の容器
13a 円柱状容器の下方側の周壁内面
14 円柱状の容器の底面
15 円柱状の容器の中央円柱部
15a 円柱状容器の中央円柱部の上面
15b 中央円柱部の径方向外側の周壁面
16 環状の凹部
30 前処理具の回転方向

Claims (3)

  1. 放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に対して粘性を与える前処理剤を添加、混合することにより前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持することを特徴とする放射線量計測対象の濁水試料についての前処理方法。
  2. 放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料に添加、混合されることにより、前記濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質の沈降を防止し、前記放射線量計測用容器内に収容されている前記濁水試料についての放射線量計測時間中における前記濁水試料の均一性を保持することに用いられる、前記濁水試料に対して粘性を与える前処理剤。
  3. 開口している上部から放射線量計測対象の濁水試料が投入される円柱状の容器からなり、当該円柱状容器の底面中央部から上方に向かって突出する中央円柱部を備えていて、当該中央円柱部の径方向外側の周壁面と、前記円柱状容器の下方側の周壁内面との間に環状の凹部が形成されている放射線量計測用容器の内部に、前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入されて使用される回転撹拌具であって、
    前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記円柱状容器の径方向における中心部に位置して、前記円柱状容器の上方から下方に向かって伸び、駆動力を与えられて当該上方から下方に向かって伸びる回転中心軸を中心として回転する回転軸と、
    当該回転軸に関して対称的に当該回転軸から互いに径方向外方向に向かって伸びる支持腕の径方向外側端部にそれぞれ形成されていて、前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記円柱状容器の上方から下方に向かって延び、当該下方に向かって伸びる先端側が、前記環状の凹部に上方から下方に向かって突入する2枚の縦長撹拌板と、
    前記円柱状容器の上部開口から下方に向かって挿入された際に、前記中央円柱部の上面より上方の位置で終端する前記回転軸の先端側で、前記回転軸に関して対称的に前記回転軸から互いに径方向外方向に向かって伸びる2枚の横長撹拌板と、
    前記回転軸の前記2枚の横長撹拌板が配備されている箇所よりも先端側になる前記回転軸の終端から、更に、前記中央円柱部の上面の方向に向かって伸びる中央部縦長撹拌板と
    を備えている、前記放射線量計測用容器内に収容されている濁水試料中の放射能を帯びた懸濁物質及び、前記濁水試料に粘性を付与すべく前記濁水試料に添加、混合される前処理剤を均一に分散する前処理具。
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