JP2014173739A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷媒ポンプサイクルでの運転時における蒸発器出口過熱度の目標値を小さくして冷房能力を大きくとることのできる空気調和装置を得る。
【解決手段】空気調和装置は、冷媒を圧縮して循環させる圧縮式冷凍サイクル運転を行う圧縮機と、この圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、この膨張弁により膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、圧縮機が停止した状態で凝縮器により凝縮された冷媒を循環させる冷媒ポンプサイクル運転を行う冷媒ポンプとを備える。また、冷媒ポンプサイクル運転時の蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値SH〜SHの範囲外で、且つ前記目標値よりも大きい予め定めた閾値SHよりも大きい場合には、冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和装置に関し、特に情報通信機器向け空気調和装置として好適なものである。
コンピュータネットワークを構築するには、各コンピュータから要求を受けて処理するために、コミュニケーション用、データベース用、ファイル管理用などのサーバーを必要とする。この種のサーバーは運営や管理の利便性から、サーバー機械室に設置されている。また、前記サーバーは、通常、前記サーバー室に多数設置されるが、複数のサーバーはサーバーラックに格納され、前記サーバー機械室には複数のサーバーラックが設置されている。
前記サーバーは動作時の発熱が大きく、これを安定動作させるために、年間冷房型の空気調和装置を併設して運用している。また、多くのサーバー機械室を持つデータセンターでは、データセンター全体の消費電力の内、サーバーの消費電力の割合が最も多く、次いでその冷却を行う空気調和装置の消費電力が大きくなっている。
近年、データセンターの需要が伸びていることから、データセンター分野での電力消費が増加する傾向にあり、データセンターにおいてサーバーに次ぐ消費電力となっている空気調和装置の更なる低消費電力化が求められている。
サーバー機械室全体の空気調和装置としては、一般に、圧縮機、室外熱交換器(凝縮器)、膨張弁、室内熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成する圧縮式冷凍サイクルの空気調和装置が利用されている。しかし、サーバー機械室は30℃程度で運用されるため、たとえば真冬の場合など外気温がそれよりも低ければ、圧縮機を使用するまでもなく単に冷媒を循環させることで直接外気により冷媒を冷却でき、冷房運転を行うことができる。
なお、外気を利用して冷却するシステムとして、外気を直接サーバー機械室に取り込む直接外気冷房方式というものもあり、この方式は、単純で効率的であるが、外気を直接取り入れることは、塵埃や海塩粒子といった不純物によるIT機器の腐食に対する処置が必要となる。また、低温の外気を直接取り入れた場合、湿度が低いため、サーバー機械室に適切となる空気条件まで加湿する必要があり、大きなエネルギーが必要で、現実的には採用し難い。
従って、現実的には、間接外気冷房方式と呼ばれる方式が好ましい。この間接外気冷房方式では、室外熱交換器(凝縮器)、冷媒循環装置(冷媒ポンプ)、膨張弁(絞り器)、室内熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続して冷媒ポンプサイクルでの冷凍サイクルを構成する。そして、前記室外熱交換器で冷媒を間接的に外気により冷却して液化した冷媒を、冷媒ポンプなどの冷媒循環装置により室内熱交換器に送り出す。この室内熱交換器で冷媒とサーバー機械室内の空気を熱交換させることにより、前記サーバー機械室内を冷却することできる。前記室内熱交換器で熱交換した冷媒はガス化し、前記室外熱交換器に送られ、再度冷却され液化するサイクル、即ち冷媒ポンプサイクルとなる。
この冷媒ポンプサイクルの運転では、圧縮機を使用せずに冷媒ポンプを使うことで冷房運転することができ、圧縮機式冷凍サイクルでの運転時の消費電力よりも低消費電力で冷房運転できる。
この冷媒ポンプサイクルと、前記圧縮式冷凍サイクルを併用した空気調和装置とすることにより、空気調和装置の年間消費電力を削減することが可能となる。
なお、この種の従来技術としては、特許第4352604号公報(特許文献1)に記載のものがある。この特許文献1のものには、圧縮機、凝縮器(室外熱交換器)、膨張弁(絞り装置)、蒸発器(室内熱交換器)を順次冷媒配管で接続した圧縮式冷凍サイクル(圧縮機サイクル)による運転と、冷媒ポンプ(液ポンプ)、前記膨張弁、前記凝縮器を接続した冷媒ポンプサイクル(液ポンプサイクル)による運転を行うことができる空気調和装置が記載されている。そして、室内空気温度よりも外気温度が低くなる冬季や夜間などの条件下においては、前記冷媒ポンプサイクルで運転する。即ち、前記圧縮機式冷凍サイクルによる運転と前記冷媒ポンプサイクルによる運転を、運転条件によって切り替えることにより、サーバー機械室のような年間冷房を要する環境において効率の良い運転を行うことが記載されている。
特許第4352604号公報
上記特許文献1に記載のもののように、圧縮機を使用して冷房運転する圧縮式冷凍サイクルと、圧縮機を使用せずに冷媒ポンプを使用して冷房運転する冷媒ポンプサイクルを併用した空気調和装置とすることにより、室内温度より外気温度が低い場合、冷媒ポンプサイクルにより冷媒を循環して運転するため、圧縮機により冷媒循環を行う圧縮式冷凍サイクルで運転する場合に比べ、低消費電力での冷房運転を行うことができ、年間消費電力を削減できる。
そして、この特許文献1のものには、前記冷媒ポンプサイクルでの運転時に、膨張弁(絞り装置)の開度制御と、冷媒ポンプ回転数制御の双方で、冷媒ポンプサイクルでの冷媒循環量を調節することが記載されている。即ち、蒸発器出口過熱度を目標値にするように、まず前記膨張弁の開度を制御し、それでも蒸発器出口過熱度が目標値にならない場合、前記冷媒ポンプの回転数を増減させるという順序で制御することが記載されている。
この特許文献1のものは、最初に膨張弁の開度制御を行い、この膨張弁開度制御だけでは制御し切れない場合、即ち、前記膨張弁開度が全開或いは最小開度になってもまだ目標の過熱度にならない場合に、冷媒ポンプの回転数を増減させる制御を行うものである。
しかし、冷媒ポンプの回転数制御は、例えばポンプを0〜28Hzの範囲で制御する場合に1Hz刻みで制御しても、28段階の制御しかできない。一方、膨張弁の開度制御は、電子膨張弁などを使用して行われるが、例えば0〜1900パルスの範囲で制御可能であり、1900段階でのきめ細かな制御が可能である。
前記特許文献1のものでは、最終的に冷媒ポンプの回転数を制御して目標値にするものであるため、例えば28段階での制御しかできず、微細な調節ができないから、蒸発器出口過熱度を目標値に対し細かく制御することは難しいという課題があった。
このため、蒸発器出口における渇き度が1より小さくなって過熱度が取れないという状態も発生し易くなる。渇き度が1より小さくなると、蒸発器と凝縮器を接続する配管内で冷媒が液混じりの気液二相流となるため、冷媒循環量が大幅に増加し、冷媒ポンプの消費電力が増大する。また、液冷媒が圧縮機吸入側に流入したり溜まり込むことにより、圧縮式冷凍サイクルに切り替わり圧縮機が駆動されると、該圧縮機が液冷媒を吸入して液圧縮となり、故障に至る恐れがある。
このような問題を回避するため、微細な調節ができない冷媒ポンプの回転数制御により冷媒循環量を目標値にするものでは、蒸発器出口過熱度を0Kよりも余裕度を大きく取り、5〜10K程度の過熱度目標値にすることが一般的である。しかし、蒸発器出口過熱度はできるだけ小さく、即ち0Kに近いほど冷房能力を大きく取れて好ましいが、上記従来技術のものでは、蒸発器出口過熱度の目標値を小さくできないので、冷房能力を大きく取れない。
更に、上記従来のものでは、蒸発器出口過熱度を、例えば5〜10Kの如く目標値範囲を広く取らなければならないため、冷房能力の変動も大きくなってしまう。
本発明の目的は、冷媒ポンプサイクルでの運転時における蒸発器出口過熱度の目標値を小さくして冷房能力を大きくとることのできる空気調和装置を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、冷媒を圧縮して循環させる圧縮式冷凍サイクル運転を行う圧縮機と、この圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、この膨張弁により膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機が停止した状態で前記凝縮器により凝縮された冷媒を循環させる冷媒ポンプサイクル運転を行う冷媒ポンプとを備えた空気調和装置であって、前記冷媒ポンプサイクル運転時の前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、且つ前記目標値よりも大きい予め定めた閾値よりも大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成していることを特徴とする。
本発明の他の特徴は、冷媒を圧縮して循環させる圧縮式冷凍サイクル運転を行う圧縮機と、この圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、この膨張弁により膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機が停止した状態で前記凝縮器により凝縮された冷媒を循環させる冷媒ポンプサイクル運転を行う冷媒ポンプとを備えた空気調和装置であって、前記冷媒ポンプサイクル運転時の前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、その過熱度と目標値との偏差が予め定めた偏差の閾値よりも大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成していることにある。
本発明によれば、冷媒ポンプサイクルでの運転時における蒸発器出口過熱度の目標値を小さくして冷房能力を大きくとることのできる空気調和装置を得ることができる効果がある。
本発明の空気調和装置の実施例1を示す冷凍サイクル構成図。 本発明の実施例1における冷媒循環量制御の一例を示す図で、蒸発器出口過熱度が目標値より過大な場合の冷媒循環量制御を説明する図。 本発明の実施例1における冷媒循環量制御の他の例を示す図で、蒸発器出口過熱度が目標値より過小な場合の冷媒循環量制御を説明する図。 本発明の実施例1における冷媒循環量制御の制御フローを説明するフローチャート。
以下、本発明の空気調和装置の具体的実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の空気調和装置の実施例1を示す冷凍サイクル構成図で、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルの両方の冷凍サイクルを持つ年間冷房型の空気調和装置を示し、情報通信機器向け空気調和装置などに好適なものである。
本実施例の空気調和装置はサーバー機械室などの冷房運転に特に有利な効果を奏するものである。即ち、真冬のような外気温度が低い場合であっても冷房対象であるサーバー機械室は30℃程度で運用されるが、このように外気温度がサーバー機械室内の温度より低ければ、冷媒を単に循環することにより冷却できる。このため、冷媒の強制循環に冷媒ポンプを使う冷媒ポンプサイクルとして運転することにより、圧縮機を用いる圧縮式冷凍サイクルによる運転に対して低消費電力で冷房運転を行うことが可能となる。
図1により、本実施例の空気調和装置を説明する。図1に示す空気調和装置は、圧縮機1、凝縮器(室外熱交換器)2、膨張弁3、蒸発器(室内熱交換器)4を順次冷媒配管で接続して冷房運転を行う圧縮機による圧縮式冷凍サイクルによる運転と、凝縮器2、冷媒ポンプ5、膨張弁3、蒸発器4を順次冷媒配管で接続して冷房運転するポンプによる冷媒ポンプサイクルによる運転との双方のサイクル運転を行う。なお、両サイクルで凝縮器2、膨張弁4、蒸発器5を共有する。
前記凝縮器2には送風機8により外部空気を通風することにより、凝縮器2内を流れる冷媒と外部空気とを熱交換させ、冷媒を凝縮させる。また、前記蒸発器4には送風機9により室内空気を通風させることにより蒸発器4内を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させ、冷媒を蒸発させることができる。
前記蒸発器4の出口側と前記圧縮機1の吸入側との間には冷媒貯留容器6が設けられており、余剰冷媒を貯留することができる。前記圧縮機1の吐出側の冷媒配管には逆止弁10が設けられており、圧縮機1への冷媒の逆流を防止するように構成されている。
また、前記蒸発器4から前記凝縮器2の間には、前記冷媒貯留容器6、前記圧縮機1及び前記逆止弁10を迂回するようにバイパス管11が設けられ、このバイパス管11には逆止弁11aが備えられている。そして、冷媒ポンプサイクルでの運転時には、前記蒸発器4からの冷媒は、前記圧縮機1を迂回し、前記バイパス管11を通り、前記凝縮器2側へのみ流れ、その逆流を防止するように構成されている。
前記凝縮器2の出口側と前記冷媒ポンプ5の吸入側との間にも余剰冷媒を貯留する冷媒貯留容器7が設けられている。また、前記冷媒ポンプ5の吸入側及び吐出側にはそれぞれ開閉弁13,14が設けられており、冷媒ポンプ5の停止時に、前記開閉弁13,14をそれぞれ閉止することで、冷媒ポンプ5の交換やメンテナンスを実施できるように構成されている。
更に、前記凝縮器2から前記膨張弁3の間には、前記開閉弁13、前記冷媒ポンプ5及び前記開閉弁14を迂回するようにバイパス管12が設けられ、このバイパス管12には逆止弁12aが備えられている。そして、圧縮式冷凍サイクルでの運転時には、前記凝縮器2からの冷媒は、前記冷媒ポンプ5を迂回し、前記バイパス管12を通り、前記膨張弁3側へのみ流れ、その逆流を防止するように構成されている。
17は前記蒸発器4の出口側の冷媒配管に設けられ、蒸発器出口側冷媒温度を検出するための温度検出器、18は前記蒸発器4の出口側の冷媒配管に設けられ、蒸発器出口側冷媒圧力を検出するための圧力検出器である。また、19は前記温度検出器17及び前記圧力検出器18で検出された検出値に基づいて蒸発器出口過熱度などを算出する演算装置である。本実施例では、この演算装置19に、前記過熱度の目標値(目標上限値と目標下限値)や、前記目標値に対する閾値なども記憶している。そして、前記演算装置19では、前記温度検出器17で検出された温度と前記圧力検出器18で検出された圧力から蒸発器出口側の過熱度を算出し、この算出して求めた過熱度の測定値と、前記目標値や前記閾値との関係に応じて前記冷媒ポンプ5の回転数または前記膨張弁3の開度を制御するように構成されている。
前記膨張弁3は、本実施例では電子膨張弁で構成されており、その開度は最小開度から最大開度(全開)まで、例えば0〜1900パルスの範囲で1900段階のきめ細かな開度制御ができるように構成されている。そして、この膨張弁3は膨張弁開度制御器15によりその開度が制御され、この膨張弁開度制御器15は前記演算装置19からの指令を受けて前記膨張弁3の開度を制御するように構成されている。
前記冷媒ポンプ5は、インバータなどでその回転数が制御され、本実施例では、前記回転数の制御範囲を0〜28Hzとし、1Hz刻みで制御できるように構成されている。この冷媒ポンプ5は、ポンプ回転数制御器16によりその回転数が制御され、このポンプ回転数制御器16は前記演算装置19からの指令を受けて前記冷媒ポンプ5の回転数を制御するように構成されている。
圧縮式冷凍サイクル運転と冷媒ポンプサイクル運転とは外気温度や運転状況により切り替わる。即ち、圧縮式冷凍サイクルでの運転中に、外気温度(室外温度)が室内温度よりも十分に低くなり、室内の冷房負荷が、冷媒ポンプサイクル運転により発揮可能な能力を下回った状態が継続した場合に、冷媒ポンプサイクル運転に切り替える。
一方、冷媒ポンプサイクルでの運転中に、室内の冷房負荷が冷媒ポンプサイクルによる運転では賄えなくなった場合、或いは外気温度が高くなった状態が継続した場合には、圧縮式冷凍サイクル運転に切り替える。
次に、前記冷媒ポンプサイクル運転での蒸発器出口加熱度を目標値にするための冷媒循環量制御について説明する。
図2は、本発明の実施例1における冷媒循環量制御の一例を示す図で、蒸発器出口過熱度が目標値より過大な場合の冷媒循環量制御を説明する図、図3は、本発明の実施例1における冷媒循環量制御の他の例を示す図で、蒸発器出口過熱度が目標値より過小な場合の冷媒循環量制御を説明する図である。
なお、過熱度は、蒸発器出口側に設けた前記圧力検出器18により検出された圧力値から、その圧力における冷媒の飽和温度を算出し、また蒸発器出口側に設けた前記温度検出器17により冷媒温度を検出して、前記飽和温度と前記検出された冷媒温度との差から、前記演算装置19により算出することができる。
前記演算装置19には、蒸発器出口過熱度の目標値が記憶されている。この目標値は、目標下限値SHと目標上限値SHで構成されており、「0<SH<SH」の関係となるように予め設定されている。そして、検出された蒸発器出口側の圧力及び温度に基づいて前記演算装置19により算出された蒸発器出口過熱度(測定値)SHが、予め記憶されている前記目標値の範囲(SH〜SHの範囲)に入るように、冷媒ポンプサイクルにおける冷媒循環量が制御される。この冷媒循環量の制御について以下説明する。
図2は、蒸発器出口過熱度SHが目標値範囲(SH〜SH)より過大で、しかも予め定めた閾値(目標上限値側の閾値)SH(SH<SH)よりも大きい場合における冷媒循環量の制御を説明する図である。算出された現在の過熱度SHが予め定めた閾値SHよりも大きい場合、目標値近傍外にあると判断し、この場合にはまず冷媒ポンプの回転数をN1からN2に増加させ、膨張弁開度はそのまま(開度S1)に保持する。
この結果、冷媒循環量は増加し、過熱度SHは小さくなる。しかし、依然として過熱度SHが前記閾値SHよりも大きい場合、冷媒ポンプの回転数をN2から更にN3に増加させ、膨張弁開度は開度S1に保持する。その結果、冷媒循環量は更に増加し、過熱度SHは小さくなって、前記閾値SHと前記目標上限値SHとの間の過熱度になれば、目標値近傍に入ったと判断する。
過熱度SHが目標値近傍にある場合には、冷媒ポンプの回転数をN3に保持したまま、膨張弁の開度をS1からS2に開く。これにより冷媒循環量は少し増加し、過熱度SHも少し小さくなる。しかし、依然として過熱度SHが前記目標上限値SHよりも大きい場合には、ポンプ回転数を維持したまま、膨張弁開度をS2からS3に増加させる。それによって、過熱度SHが更に低下し、目標値範囲に入れば、ポンプ回転数及び膨張弁開度をその状態に維持する。
このように、この例では、冷媒ポンプサイクル運転時の蒸発器出口側の過熱度SHが、予め定めた所定の目標値の範囲外で、且つ予め定めた閾値よりも大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御し、前記過熱度が予め定めた閾値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するようにしている。従って、前記過熱度が閾値より大きい場合には冷媒ポンプの回転数制御により、迅速に目標値に近づけることができ、また閾値より小さい場合には膨張弁の開度制御により徐々にきめ細かく目標値に近づけることができるので、所定の目標値範囲になるように迅速且つスムーズに制御することができる。
図3は、蒸発器出口過熱度SHが目標値範囲(SH〜SH)より過小な場合における冷媒循環量の制御を説明する図である。この図3は、蒸発器出口過熱度SHが目標下限値SHよりも小さく、更に蒸発器出口側の冷媒の渇き度が1未満の湿り状態となっている場合の例で、この状態からの冷媒循環量制御について説明する。なお、湿り蒸気の場合、過熱度は定義されないので図3において湿り蒸気となっている部分は破線で示している。
蒸発器出口での冷媒渇き度が1より小さい湿り蒸気となっている場合には、まず冷媒ポンプの回転数をN3からN2に減少させ、膨張弁開度はそのまま(開度S3)に保持する。
この結果、冷媒循環量は減少し、渇き度1に近づいて行く。しかし、依然として渇き度が1未満の場合、冷媒ポンプの回転数をN2から更にN1に減少させ、膨張弁開度は開度S3に保持する。その結果、冷媒循環量は更に減少し、渇き度は1に達し、過熱度が取れるようになって、SHが0〜SHの範囲になると、目標値近傍に入ったと判断する。
過熱度SHが目標値近傍に入った場合、冷媒ポンプの回転数をN1に保持したまま、膨張弁の開度をS3からS2に減少させていく。これにより冷媒循環量は少し減少し、過熱度SHも少し上昇する。しかし、依然として過熱度SHが前記目標下限値SHよりも小さい場合には、ポンプ回転数を維持したまま、膨張弁開度をS2からS1に減少させる。それによって、過熱度SHが更に上昇し、目標値範囲に入れば、ポンプ回転数及び膨張弁開度をその状態を維持する。
このように、本実施例では、蒸発器出口側過熱度が目標値の下限である目標下限値SHよりも小さい場合で、蒸発器出口側の冷媒の渇き度が1より小さい湿り状態である場合には、冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整し、冷媒の渇き度が1に達し過熱度が取れる状態になった場合には膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するようにしている。従って、冷媒の渇き度が1未満の湿り状態である場合には冷媒ポンプの回転数制御により、迅速に目標値に近づけることができ、また目標値近傍に入った場合には膨張弁の開度制御により徐々にきめ細かく目標値に近づけることができるので、所定の目標値範囲になるように迅速且つスムーズに制御することができる。
この図3の例では、目標下限値SHを0Kに近い値(例えば、2K)とした場合を想定し、上述した制御としているが、目標下限値SHを従来のように大きく設定する場合には次のように制御しても良い。即ち、「0<SH<SH」となるような目標下限値側の閾値SH4を設け、「SH<SH」の場合には冷媒ポンプ5の回転数制御により、「SH<SH<SH」の場合には膨張弁3の開度制御により、冷媒循環量を調整するように構成しても良い。
次に、図4に示すフローチャートにより、本発明の実施例1における冷媒循環量制御の制御フローを詳細に説明する。即ち、図4は蒸発器出口過熱度を所定の目標値範囲にするための冷媒循環量の制御フローである。なお、図4に示す制御は図1に示す制御装置19により為される。
冷媒ポンプサイクルが開始されると、図1に示す温度検出器17及び圧力検出器18からの検出値に基づいて、前記制御装置19により蒸発器出口の過熱度(測定値)SHを算出する(ステップS1)。ステップS2では、この過熱度SHと、予め記憶されている目標値の下限である目標下限値SHとを比較して、前記過熱度SHが前記目標下限値SHよりも大きい場合(NOの場合)、ステップS3に進む。このステップS3では、前記過熱度SHと前記目標値の上限である目標上限値SHとを比較し、前記過熱度SHが前記目標上限値SHよりは小さい場合(NOの場合)には、前記過熱度SHが目標値範囲内であるので、冷媒ポンプ5の回転数及び膨張弁3の開度が適切な状態であり、これらの回転数及び開度を維持し(ステップS4)、前記ステップS1に戻る。
前記ステップS3で、前記過熱度SHが前記目標上限値SHよりも大きい場合(YESの場合)には、ステップS5に移り、予め定めた目標値の閾値SHよりも大きいか否かを判定する。測定された前記過熱度SHが前記閾値SHよりも大きい場合(NOの場合)には、前記過熱度SHが目標値近傍外にあるので、冷媒ポンプ5が上限回転数になっていないかどうかを判定(ステップS6)した後、上限回転数になっていなければ図2で説明したように、冷媒ポンプ5の回転数を増加させる(ステップS7)。この後、前記ステップS1に戻る。
前記ステップS5で過熱度SHが閾値SHよりも小さい場合(YESの場合)には図2に示す目標値近傍内にあるので、膨張弁3が全開かどうかを判定(ステップS8)した後、全開になっていなければ膨張弁3の開度を増加させる(ステップS9)。なお、ステップS8で膨張弁が全開の場合にはその状態を維持(ステップS10)して前記ステップS1に戻る。
前記ステップS6で冷媒ポンプ5の回転数が上限となっている場合(YESの場合)には、ポンプ回転数を増加できないので、前記ステップS8に移り、膨張弁開度が全開でなければその開度を増加させる(ステップS9)。
前記ステップS2で、過熱度SHが、目標下限値SHよりも小さい場合(YESの場合)には、ステップS11に移り、冷媒の渇き度が1より小さく湿り状態にある場合(YESの場合)には、冷媒ポンプ5が下限回転数になっていないかどうかを判定(ステップS12)した後、下限回転数になっていなければ図3で説明したように、冷媒ポンプ5の回転数を減少(ステップS13)させた後、前記ステップS1に戻る。
前記ステップS11で渇き度が1に達していて過熱度を取れる状態(渇き状態)になっている場合(NOの場合)には、図3に示す目標値近傍内にあるので、膨張弁3が最小開度かどうかを判定(ステップS14)した後、最小開度になっていなければ膨張弁3の開度を減少(ステップS15)させた後、前記ステップS1に戻る。なお、ステップS14で膨張弁が最小開度となっている場合にはその状態を維持(ステップS16)して前記ステップS1に戻る。
前記ステップS12で冷媒ポンプ5の回転数が下限となっている場合(YESの場合)には、ポンプ回転数を減少できないので、前記ステップS14に移り、膨張弁開度が最小開度でなければその開度を減少させる(ステップS15)。
なお、以上述べた本実施例では、過熱度の前記目標値に対して、目標上限値SHよりも大きな閾値SH或いは目標下限値SHよりも小さな閾値SHを定め、算出された過熱度(測定値)SHと比較することにより、冷媒循環量を制御する例を説明したが、次のようにしても同様の効果が得られる。
即ち、前記冷媒ポンプサイクル運転時の前記蒸発器出口側の過熱度SHと過熱度の目標値との偏差を求め、前記過熱度SHが予め定めた所定の目標値の範囲外の場合、前記求めた偏差が、予め定めた偏差の閾値(偏差の大きさ設定値)よりも大きいか小さいかを判定し、大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整し、小さい場合には、前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成しても良い。
以上述べたように、本実施例によれば、冷媒ポンプサイクルでの運転時における蒸発器出口過熱度の目標値を小さく、即ち0Kにできるだけ近い値にすることができるので、冷房能力を大きくでき、冷房能力を最大限発揮させることもできる。また、前記目標値の範囲も小さくできるから、冷房能力の変動も小さくすることができる。
しかも、蒸発器出口過熱度を安定して確保することができるので、蒸発器出口での冷媒が気液二相流となって冷媒循環量が増加するのを抑制できるから冷媒ポンプの消費電力増大を低減できる。また、液冷媒が圧縮機吸入側に溜り込むことによる圧縮機の液圧縮も防止することができ、信頼性も確保できる空気調和装置を得ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例では、1つの演算装置19で過熱度を算出し、閾値などとの比較を行い、この演算装置から制御指令を、膨張弁開度制御器15やポンプ回転数制御器16に送ることで、冷媒ポンプ5や膨張弁3の制御をするように構成しているが、前記制御装置は2以上の制御手段で構成しても良く、また前記膨張弁開度制御器15やポンプ回転数制御器16にも演算装置を設けて、これらの演算装置により前記冷媒ポンプ5や膨張弁3を制御するようにしても良い。
更に、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1:圧縮機、2:凝縮器(室外熱交換器)、
3:膨張弁、4:蒸発器(室内熱交換器)、
5:冷媒ポンプ、
6,7:冷媒貯留容器、8,9:送風機、
10:逆止弁、
11,12:バイパス管、11a,12a:逆止弁、
13,14:開閉弁、
15:膨張弁開度制御器、
16:ポンプ回転数制御器、
17:温度検出器、18:圧力検出器、
19:演算装置。

Claims (7)

  1. 冷媒を圧縮して循環させる圧縮式冷凍サイクル運転を行う圧縮機と、この圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、この膨張弁により膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機が停止した状態で前記凝縮器により凝縮された冷媒を循環させる冷媒ポンプサイクル運転を行う冷媒ポンプとを備えた空気調和装置であって、
    前記冷媒ポンプサイクル運転時の前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、且つ前記目標値よりも大きい予め定めた閾値よりも大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成している
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1に記載の空気調和装置であって、前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、且つ予め定めた前記閾値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成していることを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項2に記載の空気調和装置であって、前記蒸発器の出口側冷媒の温度を検出する温度検出器と、蒸発器出口側冷媒の圧力を検出する圧力検出器と、前記温度検出器で検出された温度と前記圧力検出器で検出された圧力から蒸発器出口側の過熱度を算出し、この過熱度に応じて前記冷媒ポンプの回転数または前記膨張弁の開度を制御する演算装置を備えることを特徴とする空気調和装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の空気調和装置であって、前記蒸発器出口側の過熱度が前記目標値の下限である目標下限値よりも小さい場合で、前記蒸発器出口側の冷媒の渇き度が1未満の湿り状態である場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整し、前記冷媒の渇き度が1に達し過熱度が取れる状態になった場合には前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成していることを特徴とする空気調和装置。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の空気調和装置であって、前記冷媒ポンプの回転数制御をした後の過熱度を算出し、この過熱度が予め定めた前記閾値よりも依然として大きい場合には引き続き前記冷媒ポンプの回転数を制御して冷媒循環量を調整し、前記過熱度が予め定めた前記閾値よりも小さくなり且つ前記目標値の範囲外の場合には前記膨張弁の開度を制御して冷媒循環量を調整することにより、前記過熱度が前記所定の目標値の範囲内となるように制御することを特徴とする空気調和装置。
  6. 冷媒を圧縮して循環させる圧縮式冷凍サイクル運転を行う圧縮機と、この圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、この膨張弁により膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機が停止した状態で前記凝縮器により凝縮された冷媒を循環させる冷媒ポンプサイクル運転を行う冷媒ポンプとを備えた空気調和装置であって、
    前記冷媒ポンプサイクル運転時の前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、その過熱度と目標値との偏差が予め定めた偏差の閾値よりも大きい場合には、前記冷媒ポンプの回転数を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成している
    ことを特徴とする空気調和装置。
  7. 請求項6に記載の空気調和装置であって、前記蒸発器出口側の過熱度が、予め定めた所定の目標値の範囲外で、その過熱度と目標値との偏差が予め定めた偏差の閾値よりも小さい場合には、前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒循環量を調整するように構成していることを特徴とする空気調和装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016169891A (ja) * 2015-03-11 2016-09-23 ダイキン工業株式会社 冷凍装置における蒸発器出入口の目標温度差設定方法及び装置、並びに冷凍装置の制御装置

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