JP2014173635A - 転がり軸受 - Google Patents

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貴士 内田
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光洋 森内
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Abstract

【課題】 保持器材料のコスト低減を図れ、転動体の進み遅れを円周上で方向性を持たせ、偏った保持器の挙動を抑制することができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】 この転がり軸受は、内外輪1,2間に、保持器4に保持された複数の転動体3が介在されている。前記複数の転動体3は、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって区分された複数種類の転動体群に区分される。前記各転動体群を構成する個々の転動体3が転動体配列の円周上で略均等に配置され、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つことで、転動体3の進み遅れの解消を図り、偏った保持器4の挙動を抑制する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、例えば、精密機械等に使用される転がり軸受に関する。
図10は、従来例の転がり軸受の断面図であり、図11は、この転がり軸受を軸方向から見た側面図である。
従来、精密機械に使用される軸受では、単列あるいは図10に示すような複列の円筒ころ軸受にて比較的外径寸法が揃った複数の円筒ころ50を軸受内に組込み、且つ、図11に示すように、これら円筒ころ50を円周上で等配位置に保つための保持器51を用いている(特許文献1)。
特開2002−357224号公報
精密機械用軸受は、求められる回転時の振れ精度のレベルが高く、このために1軸受内のころ径相互差を高い水準で管理しなければならないが、いくら高くしてもころ径相互差を「0」にすることはできない。1軸受内において僅かでもころ径相互差があると、ころ毎に回転時の公転速度に差が生じることになる。
例えば、工作機械用の主軸では、軸受のラジアル剛性を高めるために、装置の組み立て後の軸受ラジアル内部すきまは一般的に予圧側すきま(マイナス側すきま)に設定されている。このとき、図12に示すように、ころ径の僅かな外径寸法差でころ50の公転速度差が生じ、円周上のころ50,50間で進み遅れが発生することになる。
この進み遅れが限りなく大きくなるのではなく、ころ50が一定量の力で保持器柱部51aと接触すると、いずれ保持器51によって強制的に各ポケットPtの中心側に押し戻され、ころ50は軌道面との間で滑りを生じる。このころ50の滑りを生じるときに円周上での力のバランスが瞬間的に崩れることで、保持器51の回転挙動の乱れが発生することがある。また保持器材料が一般的な樹脂の場合は、さらに上記問題が発生しやすくなる。このため、保持器51の強度、剛性を考慮し、PEEKやPPSといった比較的高強度な材料に絞られてしまうため、コストが高くなる。
この発明の目的は、保持器材料のコスト低減を図れ、転動体の進み遅れを円周上で方向性を持たせ、偏った保持器の挙動を抑制することができる転がり軸受を提供することである。
この発明の転がり軸受は、内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受において、前記複数の転動体は、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって区分された複数種類の転動体群に区分され、前記各転動体群を構成する個々の転動体が転動体配列の円周上で略均等に配置され、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つことを特徴とする。
前記「略均等」は「均等」を含む。
保持器に保持される転動体数が素数でないとき、各転動体群を構成する個々の転動体が転動体配列の円周上で「均等」に配置される。
保持器に保持される転動体数が素数のとき、各転動体群を構成する個々の転動体が転動体配列の円周上で「略均等」に配置される。
この構成によると、軸受内に組み込まれる複数の転動体について、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって、複数種類の転動体群に区分される。転動体径の公差内で、例えば、転動体径の大小により2種類の転動体群に区分する場合、大小の転動体を円周上交互に組み込む。これにより、円周方向に隣り合う転動体が互いに接近する方向になる部分と、離れる方向になる部分とが、円周上で交互に存在する。これにより転動体の極端な進み遅れを解消し、また保持器にかかる負荷を軽減し得る。したがって、保持器の材料として、例えば、PEEKやPPSといった高強度樹脂材料よりも比較的安価な樹脂材料を用いることが可能となるため、材料のコスト低減を図れる。
前記複数種類の転動体群は、転動体径の公差内で転動体径の大小によって区分され、これら大小の転動体が前記円周上で交互に配置されるものとしても良い。この場合、円周方向に隣り合う転動体が接近する方向になる部分と、離れる方向になる部分とが、円周上で交互に存在する。接近する転動体に挟まれた保持器の一部は、2個の転動体で圧縮される方向の力つまり圧縮力を受けるが、一方向に曲げられることが抑制される。このため、前記保持器の一部に過度の負荷がかかることがなくなるので、保持器の材料として、比較的安価な樹脂材料を用いることが可能となる。
前記転動体径の相互差を2μm以下としても良い。
転動体径の相互差の大きさについては、小さい方があらゆる面で有利であるが、強いて言えば、転動体径の相互差が小さければ小さい程、転動体が製作しにくくなるということが唯一のデメリットである。
例えば、ころ径相互差の大きさについては、工作機械では使用時の昇温を加味すれば、5μm〜6μm以上の予圧(負のラジアル内部すきま)であることから、ころ径相互差がすきまに対し2倍で効くと考えれば、ころ径相互差は2μm以下でないと正と負のすきまが混在することになる。通常、工作機械用の軸受では、ころ径相互差は1μm以下であることを考えれば、2μm以下の相互差で使用できれば、転動体の製作においては、加工面で生産性が向上する。
前記保持器は、前記転動体を保持する複数のポケットを円周方向一定間隔おきに有し、1つのポケット内に2個以上の転動体を設けても良い。円周方向に隣り合う転動体が互いに離れる方向となる2個の転動体については、これらの転動体を分離するいわゆる保持器の柱部は無くても良いことになる。よって、保持器の1つのポケット内に前記2個の転動体を設けることが可能となる。前記2個の転動体間の距離を可能な限り小さくすれば、その分、円周方向両側から圧縮力を受ける柱部の円周方向厚さをさらに大きく確保することができる。したがって、同じ転動体数で保持器の前記柱部の強度を向上させることが可能となる。また保持器のポケット数を少なくすることができるため、例えば、保持器を形成する射出成形型の構造を簡単化できる。これにより保持器の製作費の低減を図れる。
前記保持器は、ヤング率9GPa以下の樹脂材料からなるものとしても良い。ヤング率9GPa以下の樹脂材料として、例えば、ポリアミド樹脂(PA66、PA46、PA6)等を用いることができる。この場合、PEEK、PPS等の高強度樹脂材料を用いる場合よりも材料のコスト低減を図れる。
前記保持器は、環状部と、この環状部の周方向複数箇所から軸方向に突出する複数の柱部とを有し、隣合う柱部間で形成されるポケット内に前記転動体を保持し、前記複数の柱部のうち、円周方向に隣接する転動体が互いに接近する方向に進み遅れがある関係のとき、前記隣接する転動体間に位置する前記柱部に、ウエルド部を設けても良い。
円周方向両側から圧縮力を受ける柱部に、樹脂製保持器では避けにくいウエルド部を設ける。換言すれば、一方向に曲げられることが抑制される柱部に、ウエルド部を設けることによって、一般的に弱いとされるウエルド部による弱点を克服することができる。
上記とは逆に、円周方向に隣接する転動体が互いに離れる方向に進み遅れがある関係のとき、前記隣接する転動体の間に位置する柱部を円周方向に薄くすれば、その分ウエルド部を設けた柱部を厚くすることが可能である。つまり、ポケットを円周上で不等配にすることで、柱部全体として柱部の強度を向上させることができる。
前記転がり軸受は、ラジアル軸受だけでなくスラスト軸受であっても良い。
前記スラスト軸受における保持器は、保持器本体と、蓋と、複数の転動体を区分けする複数の柱部とを有し、円周方向に隣接する転動体が互いに接近する方向に進み遅れがある関係のとき、これら接近する転動体に挟まれた柱部で前記保持器本体と前記蓋とを連結させたものとしても良い。円周方向両側から圧縮力を受ける柱部、換言すれば、一方向に曲げられることが抑制される柱部で、保持器本体と蓋とを連結することで、保持器の剛性をより高めることができる。
軸受一列に組み込まれる転動体の個数を素数以外としても良い。各転動体群を構成する個々の転動体の均等かつ規則性を考慮した場合、転動体の個数は素数ではない方が転動体の配置を決定し易い。組み込まれる転動体の個数を素数以外とすることで、保持器の設計の容易化を図れる。
前記内輪、前記外輪、および前記転動体の少なくともいずれか一つがセラミックスからなるものとしても良い。この場合、セラミックスなる軸受部品の軽量化を図れ、例えば、工作機械用軸受等の高速化に対応することができる。
前記保持器のポケットを円周上で不等配にしても良い。
この発明における転がり軸受の製造方法は、内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受の製造方法であって、前記複数の転動体を、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって複数種類の転動体群に区分する区分過程と、この区分過程の後、前記各転動体群を構成する個々の転動体を転動体配列の円周上で略均等に配置し、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つように前記転動体群を前記保持器に組込む組込過程とを有することを特徴とする。
この構成によると、区分過程では、複数の転動体を転動体径の公差内で転動体径の範囲によって複数種類の転動体群に区分する。その後、組込過程にて、各転動体群を構成する個々の転動体を転動体配列の円周上で略均等に配置し、かつ全周の転動体群の配列が円周上で規則性を持つように前記転動体群を保持器に組込む。これにより、例えば、円周方向に隣り合う転動体が接近する方向になる部分と、離れる方向になる部分とが、円周上で交互に存在する。これにより、転動体の極端な進み遅れを解消し、また保持器の柱部等にかかる負荷を軽減し得る。したがって、保持器の材料として比較的安価な樹脂材料を用いることが可能となるため、材料のコスト低減を図れる。
この発明の転がり軸受は、内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受において、前記複数の転動体は、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって区分された複数種類の転動体群に区分され、前記各転動体群を構成する個々の転動体が転動体配列の円周上で略均等に配置され、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つ。このため、保持器材料のコスト低減を図れ、転動体の進み遅れを円周上で方向性を持たせ、偏った保持器の挙動を抑制することができる。
この発明の転がり軸受の製造方法は、内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受の製造方法であって、前記複数の転動体を、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって複数種類の転動体群に区分する区分過程と、この区分過程の後、前記各転動体群を構成する個々の転動体を転動体配列の円周上で略均等に配置し、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つように前記転動体群を前記保持器に組込む組込過程とを有する。このため、保持器材料のコスト低減を図れ、転動体の進み遅れを円周上で方向性を持たせ、偏った保持器の挙動を抑制することができる。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の断面図である。 同転がり軸受を軸方向から見た側面図である。 同転がり軸受の保持器の斜視図である。 同転がり軸受の運転時の状態を軸方向から見た側面図である。 この発明の他の実施形態に係る転がり軸受を軸方向から見た要部の側面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受を軸方向から見た要部の側面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受を軸方向から見た要部の側面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受を軸方向から見た要部の側面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受を軸方向から見た要部の側面図である。 従来例の転がり軸受の断面図である。 同転がり軸受を軸方向から見た側面図である。 同転がり軸受において、円周上のころ間で進み遅れが発生した状態を示す側面図である。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受を図1ないし図4と共に説明する。以下の説明は転がり軸受の製造方法についての説明をも含む。
図1に示すように、この実施形態に係る転がり軸受は、複列円筒ころ軸受であり、複列の軌道面1aを有する内輪1と、複列の軌道面2aを有する外輪2と、これら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在させた各列複数の転動体3である円筒ころと、各列の円筒ころをそれぞれ保持する一対の保持器4とを備える。内輪1は、複列の軌道面1a,1a間に中鍔1bおよび各軌道面1aの軸方向外側に外鍔1cをそれぞれ有する鍔付き内輪である。この内輪1の内周面は、軸方向一方から他方に向かうに従って半径方向内方に至るように傾斜するテーパー形状に形成され、この内輪1は、例えば図示外の主軸の外周面に嵌合される。
外輪2は、鍔無し外輪であり、例えば、図示外のハウジングの内周面に嵌合される。内外輪1,2、転動体3は、例えば、軸受鋼からなる。この転がり軸受の潤滑方法は、グリース潤滑、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、ジェット潤滑などがある。また、この転がり軸受は、軸受のラジアル剛性を高めるために、例えば、装置等に組み立て後のラジアル内部すきまがマイナスに設定される。
図2は、この転がり軸受を軸方向から見た側面図であり、図3は、同転がり軸受の保持器4の斜視図である。図3に示すように、保持器4は、環状部5と、この環状部5の周方向複数箇所から軸方向に突出する複数の柱部6とを有する櫛形であり、図2に示すように、隣合う柱部間に形成されるポケットPt内に円筒ころを保持する。複数の柱部6は、この例では円周等配に配設されている。保持器4は、各ポケットPtの軸方向一方が開口し、柱部6の軸方向長さが、保持される円筒ころの軸方向長さよりも短く設定されている。
保持器4は、転動体3に案内されるいわゆる転動体案内形式である。この保持器4は、ポケット中心を通るピッチ円直径(ポケットPCD)が、円筒ころの中心を通るころPCDと等しい。保持器4は、円周方向に互いに対向する柱部6,6の側面が、前記ポケット中心を中心に描かれる円弧面をそれぞれ有する。円周方向に互いに対向する柱部6,6の側面のうち、一方の側面の外周縁と他方の側面の外周縁との間の距離は、円筒ころの直径よりも所定長さ小さく規定される。また前記柱部6の側面のうち、一方の側面の内周縁と他方の側面の内周縁との間の距離も、円筒ころの直径よりも所定長さ小さく規定される。
保持器4は、例えば、ヤング率9GPa以下の樹脂材料からなり、射出成形型によって形成される。ヤング率9GPa以下の樹脂材料として、例えば、ポリアミド樹脂(PA66、PA46、PA6)等を用いることができる。但し、保持器4に用いる樹脂材料は、ポリアミド樹脂に必ずしも限定されるものではない。
円筒ころについて説明する。
各円筒ころの転動面は、軸方向中間部に形成される円筒面と、この円筒面に繋がり軸方向両端部に形成されるクラウニングとを有する。但し、前記クラウニングを設けない場合もある。前記保持器4のポケットPt内に保持される複数の円筒ころは、円筒面における外径寸法(転動体径)の公差内で転動体径の範囲によって複数種類(この例では大小2種類)の転動体群に区分される。
図2の例では、保持器4に保持される転動体数が素数ではなく、大小2種類の転動体群は、「A」と表記された大となる一の転動体群と、「B」と表記された小となる他の転動体群とに区分され、これら大小の転動体3が円周上で交互に配置される。よって各転動体群を構成する個々の転動体3が転動体配列の円周上で均等に配置され、かつ全周の転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つ。この場合の規則性とは、大小の転動体3が円周上で交互に配置されることを意味する。
この転がり軸受は、転動体径の相互差を2μm以下としている。前記「転動体径の相互差」とは、1個の転がり軸受内に設けられる複数の転動体3における平均転動体直径の最大値と最小値との差を言う。前記平均転動体直径とは、1個の円筒ころの前記円筒面を複数回測定して得られた測定値を平均した値である。またこの転がり軸受は、各円筒ころの真円度を1μm以下としている。円筒ころの真円度を1μm以下にしておかなければ、回転性能に影響を及ぼすためである。
作用効果について説明する。
この転がり軸受では、複数の転動体3を、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって、大小2種類の転動体群に区分し(区分過程)、その後、各転動体群を構成する個々の転動体3を転動体配列の円周上で均等に配置し、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つように前記転動体群を保持器4に組込む(組込過程)。
これにより、図4に示すように、円周方向に隣り合う転動体3が互いに接近する方向になる部分と、離れる方向になる部分とが、円周上で交互に存在する。これにより転動体3の極端な進み遅れを解消し、また保持器4にかかる負荷を軽減し得る。互いに接近する転動体3に挟まれた保持器4の柱部6は、2個の転動体3で圧縮される方向の力つまり圧縮力をうけるが、一方向に曲げられることが抑制される。このため、保持器4の柱部6に過度の負荷がかかることがなくなるので、保持器4の材料として、比較的安価なポリアミド樹脂等の樹脂材料を用いることが可能となる。このように保持器4の材料として、例えば、PEEKやPPSといった高強度樹脂材料よりも比較的安価なヤング率9GPa以下の樹脂材料を用いることが可能となるため、材料のコスト低減を図れる。
この転がり軸受は、転動体径の相互差を2μm以下としている。転動体径の相互差の大きさについては、小さい方があらゆる面で有利であるが、強いて言えば、転動体径の相互差が小さければ小さい程、転動体が製作しにくくなるということが唯一のデメリットである。
例えば、ころ径相互差の大きさについては、工作機械では使用時の昇温を加味すれば、5μm〜6μm以上の予圧(負のラジアル内部すきま)であることから、ころ径相互差がすきまに対し2倍で効くと考えれば、ころ径相互差は2μm以下でないと正と負のすきまが混在することになる。通常、工作機械用の軸受では、ころ径相互差は1μm以下であることを考えれば、2μm以下の相互差で使用できれば、転動体の製作においては、加工面で生産性が向上する。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図5に示すように、保持器4における複数の柱部6のうち、円周方向に隣接する転動体3が互いに接近する方向に進み遅れがある関係のとき、前記隣接する転動体3,3間に位置する柱部6に、ウエルド部7を設けても良い。その他の柱部6には、ウエルド部7を設けないものとする。
円周方向両側から圧縮力を受ける柱部6に、樹脂製保持器では避けにくいウエルド部7を設ける。換言すれば、一方向に曲げられることが抑制される柱部6に、ウエルド部7を設けることによって、一般的に弱いとされるウエルド部による弱点を克服することができる。
その他複数の転動体3を、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって、複数種類の転動体群に区分し、各転動体群を構成する個々の転動体3を転動体配列の円周上で均等に配置する点については、前記第1の実施形態と同様である。
図6に示すように、円周方向両側から圧縮力を受ける柱部6Aに、ウエルド部7を設けると共に、円周方向に隣接する転動体3,3が互いに離れる方向に進み遅れがある転動体3,3間に位置する柱部6Bを円周方向に薄くしても良い。この場合、ウエルド部7を設けた柱部6Aを、互いに離れる方向に進み遅れがある転動体3,3間に位置する柱部6Bよりも厚くすることが可能となる。つまり、ポケットPtを円周上で不等配にすることで、柱部全体として柱部6の強度を向上させることができる。
図7に示すように、円周方向に隣り合う転動体3,3が互いに離れる関係にあるとき、これら転動体3,3間の柱部を無くし、1つのポケットPt内に2個の転動体3を設けても良い。さらにこの構成では、円周方向に隣り合う転動体3,3が互いに接近する関係にある転動体3,3間の柱部6Aに、ウエルド部7を設けている。
円周方向に隣り合う転動体3,3が互いに離れる方向となる2個の転動体3については、これらの転動体3,3を分離する柱部は無くても良いことになる。よって、保持器4の1つのポケットPt内に前記2個の転動体3を設けることが可能となる。前記2個の転動体3,3間の距離を可能な限り小さくすれば、その分、円周方向両側から圧縮力を受ける柱部6Aの円周方向厚さをさらに大きく確保することができる。したがって、同じ転動体数で保持器4の前記柱部6Aの強度を向上させることが可能となる。また保持器4のポケット数を少なくすることができるため、例えば、保持器4を形成する射出成形型の構造を簡単化できる。これにより保持器4の製作費の低減を図れる。
図8に示すように、軸受一列に組み込まれる転動体の個数を素数以外とし、これら複数の転動体を、転動体径の公差内で転動体径の範囲(例えば大、中、小)によって「A」,「B」,「C」の3種類の転動体群に区分しても良い。この例の3種類の転動体群は、「A」と表記された大となる転動体3と、「B」と表記された中となる転動体3と、「C」と表記された小となる転動体3とが、同図8に示す円周方向一方A1に「A」→「B」→「C」の順に繰り返し配置される。よって各転動体群を構成する個々の転動体3が転動体配列の円周上で均等に配置され、かつ全周の転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つ。この場合の規則性とは、「A」,「B」,「C」の3種類の転動体群が円周方向一方A1に「A」→「B」→「C」の順に繰り返し配置されることを言う。
図9に示すように、軸受一列に組み込まれる転動体の個数を素数とし、「A」,「B」,「C」の各転動体群を構成する個々の転動体3が転動体配列の円周上で略均等に配置されても良い。この例の3種類の転動体群は、同図9に示す円周方向一方A1に「A」→「B」→「C」の順に繰り返し配置される。但し、「C」の転動体群の個数が「A」,「B」の各転動体群の個数よりも1個少ないため、円周上の一部において、円周方向一方に「A」→「B」の次に「C」が現れずに「A」の転動体3が配置される。
円周上の転動体径配置の均等かつ規則性を考慮した場合、転動体3の個数は素数でない方が転動体3の配置を決定し易い。
転動体3の個数を素数とした場合であっても、図9のように、各転動体群を構成する個々の転動体3を転動体配列の円周上で略均等に配置した場合には、転動体3の極端な進み遅れを解消し、また保持器4にかかる負荷を軽減し得る。
各実施形態では保持器が樹脂材料からなる例を説明しているが、この樹脂材料だけに限定されるものではない。保持器を、例えば、高力黄銅などの非鉄金属や鉄系金属からなるものとしても良い。この場合、樹脂材料からなる保持器よりも、保持器に加わる曲げ強度の低減を図れる。これにより、保持器の柱部の厚さの低減を行えば、樹脂材料からなる保持器よりも転動体数を多くすることができる。よって、軸受のラジアル剛性を向上させることも可能になる。
各実施形態において、転がり軸受を円筒ころ軸受に適用した例を説明したが、円すいころ軸受でも良く、さらには、前述したように予圧で使用されることの多いアンギュラ玉軸受などの玉軸受でも良い。これらの軸受でも前記各実施形態と同様の作用効果を相する。
内輪、外輪、転動体の少なくともいずれか一つがセラミックスからなるものとしても良い。工作機械用軸受の高速化に伴い、軌道輪や転動体をセラミックス材料にすることで、回転輪あるいは転動体を軽量化を行うケースが増えてきている。今般の転動体径の相互差の配置均等化はセラミックス材料品についても適用し得る。
各実施形態ではラジアル軸受を元に説明したが、スラスト軸受にも前述の保持器の構成を適用し、保持器のポケットを円周上で不等配にする、1つのポケット内に複数個の転動体を設ける形態とすることで、保持器の柱部の強度を向上させることができる。
このスラスト軸受における保持器が、保持器本体と、蓋と、複数の転動体を区分けする複数の柱部とを有し、円周方向に隣接する転動体が互いに接近する方向に進み遅れがある関係のとき、これら接近する転動体に挟まれた柱部で前記保持器本体と前記蓋とを連結させたものとしても良い。
この場合、円周方向両側から圧縮力を受ける柱部、換言すれば、一方向に曲げられることが抑制される柱部で、保持器本体と蓋とを連結することで、保持器の剛性をより高めることができる。
1…内輪
2…外輪
3…転動体
4…保持器
5…環状部
6…柱部
7…ウエルド部
Pt…ポケット

Claims (7)

  1. 内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受において、
    前記複数の転動体は、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって区分された複数種類の転動体群に区分され、前記各転動体群を構成する個々の転動体が転動体配列の円周上で略均等に配置され、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1記載の転がり軸受において、前記複数種類の転動体群は、転動体径の公差内で転動体径の大小によって区分され、これら大小の転動体が前記円周上で交互に配置される転がり軸受。
  3. 請求項1または請求項2記載の転がり軸受において、前記転動体径の相互差を2μm以下とした転がり軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記保持器は、前記転動体を保持する複数のポケットを円周方向一定間隔おきに有し、1つのポケット内に2個以上の転動体を設けた転がり軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記保持器は、ヤング率9GPa以下の樹脂材料からなる転がり軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記保持器は、環状部と、この環状部の周方向複数箇所から軸方向に突出する複数の柱部とを有し、隣合う柱部間で形成されるポケット内に前記転動体を保持し、前記複数の柱部のうち、円周方向に隣接する転動体が互いに接近する方向に進み遅れがある関係のとき、前記隣接する転動体間に位置する前記柱部に、ウエルド部を設けた転がり軸受。
  7. 内外輪間に、保持器に保持された複数の転動体が介在された転がり軸受の製造方法であって、
    前記複数の転動体を、転動体径の公差内で転動体径の範囲によって複数種類の転動体群に区分する区分過程と、
    この区分過程の後、前記各転動体群を構成する個々の転動体を転動体配列の円周上で略均等に配置し、かつ全周の前記転動体群の配列が前記円周上で規則性を持つように前記転動体群を前記保持器に組込む組込過程と、
    を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。
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