JP2014171940A - 光触媒複合粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物分解力を抑制しつつ、光励起超親水化現象を発現することができる光触媒複合粒子を提供する。
【解決手段】無機酸化物で形成された母粒子と、前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層とを備える光触媒複合粒子において、前記被覆層の厚みは0.5nm以上13nm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒複合粒子及びその製造方法に関するものである。
酸化チタンに代表される光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーに相当する光が照射されると強い有機物分解力と光励起超親水化現象を示す。すなわち、光触媒が光を吸収した際に発生する正孔と励起電子は、水や酸素に伝播し、強力な酸化力や還元力を持つラジカルを生成する。このラジカルにより有機物を分解する有機物分解力が発現する。また、光を受けた光触媒は励起され、結晶中の酸素を酸化して分離させる。結果として光触媒中に酸素痕跡の欠陥を形成し、この欠陥に水分子が吸着されることによって光励起超親水化現象を発現する。
光触媒を用いた屋外用途製品においては、光励起超親水化現象を応用しセルフクリーニング機能を付与できることが知られている。ところが、有機基材などに直接塗布した場合には、その有機物分解力により有機基材自身を侵食してしまうという問題が指摘されている(例えば、特許文献1)。
上記特許文献1には、結晶子径が1〜10nmの範囲内にある結晶質酸化チタン、または、光半導体結晶物としてチューブ厚みが1〜10nmの範囲内にある光半導体ナノチューブを、少なくとも一方の主表面に含有することにより、太陽光照射下において、有機物分解力を抑制しつつ、光励起超親水化現象を示す光触媒膜が開示されている。
また、結晶子を小さくすることで発現する量子サイズ効果を応用し、結晶性酸化チタン自体の光吸収量を減らすことにより、結晶性酸化チタンの有機物分解力を抑制できることが開示されている(例えば、特許文献2)。上記特許文献2には、市販される結晶子径の大きな結晶性酸化チタンに、強力な紫外線を照射することでフォトコロージョン(光溶解)させることにより、結晶子径の小さい結晶性酸化チタン粒子を得られることが開示されている。なお、量子サイズ効果とは、粒子径が小さくなるにつれて、バンドギャップエネルギーが増加する現象をいう。
特開2009−208062号公報 特開2012−5999号公報
しかしながら上記特許文献1の場合、光触媒膜を製造するには、非晶質酸化チタン膜を出発原料とし、水分存在下で100℃以下の温度で処理をするので、所望の結晶を多量に生成させるためには、数十時間〜数百時間もの比較的長い時間が必要である。したがって上記特許文献1の光触媒膜は、効率的に製造することが困難であるという問題があった。
また上記特許文献2の場合、酸化チタン原料の狭い領域に光を照射して酸化チタン原料に含まれる結晶を光溶解させる必要があるので、原料のロスが大きい(収率<30%)という問題があった。さらに得られる結晶性酸化チタン粒子は粒径が数nm程度と小さいため、凝集などにより他の材料への複合化が難しく、取扱いが困難であるという問題があった。
そこで本発明は、有機物分解力を抑制しつつ、光励起超親水化現象を発現することができる光触媒複合粒子を提供することを目的とする。
本発明に係る光触媒複合粒子は、無機酸化物で形成された母粒子と、前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層とを備える光触媒複合粒子において、前記被覆層の厚みは0.5nm以上13nm以下であることを特徴とする。
本発明に係る光触媒複合粒子の製造方法は、無機酸化物で形成された母粒子と、前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層とを備える光触媒複合粒子の製造方法において、前記母粒子が分散した分散液に光触媒化合物を混合して加水分解により前記母粒子表面に前記光触媒粒子の被覆層を形成することと、前記被覆層を500℃〜1200℃の温度で加熱処理することとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、結晶部は、粒径が数nm程度の大きさであるので、量子サイズ効果を発現し、一般的なバルクの光触媒結晶よりもバンドギャップが大きいので、有機物分解力を抑制しつつ、光励起超親水化現象を発現することができる。
実施例及び比較例に係る粒子のTEM像であり、図1Aは実施例1−4−a、図1Bは実施例1−4−b、図1Cは実施例1−4−c、図1Dは比較例4−1−aである。 比較例に係る粒子のSEM像であり、図2Aは比較例1−0、図2Bは比較例1−1、図2Cは比較例1−2、図2Dは比較例1−3、図2Eは比較例1−4、図2Fは比較例1−5である。 比較例に係る粒子のSEM像であり、図3Aは比較例2−0、図3Bは比較例2−1、図3Cは比較例2−2、図3Dは比較例2−3、図3Eは比較例2−4、図3Fは比較例2−5、図3Gは比較例2−6である。 比較例に係る粒子のSEM像であり、図4Aは比較例3−0、図4Bは比較例3−1、図4Cは比較例3−2、図4Dは比較例3−3、図4Eは比較例3−4である。 比較例に係る粒子のSEM像であり、図5Aは比較例4−1、図5Bは比較例4−2である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(全体構成)
本実施形態に係る物品は、基材と、当該基材表面に形成された光触媒膜とを備える。基材は、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレンやABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂、ポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコールなどの生分解性樹脂などで形成することができる。また、基材は、金属系材料、ガラスやセラミックス系材料、その他各種無機系または金属系材料からなる部材の表面に、有機系塗膜を有するものも含む。また、金属系材料、ガラスやセラミックス系材料、その他各種無機系または金属系材料からなる部材でもよい。
光触媒膜は光触媒複合粒子を含む。光触媒複合粒子は、母粒子と、当該母粒子表面に形成された被覆層とを備える。
母粒子は、直径が10nm以上2μm以下であるのが好ましい。10nm未満であると、凝集体を作りやすく、また、合成液が粘調になるので取り扱いが困難になる。一方、2μm以上であると、反応液中で沈降して、均質な合成を得ることが困難になる。
母粒子は、直径が20nm以上200nm未満であるのがより好ましい。上記範囲内であれば、透明性が要求される光学用途にも用いることができる。
母粒子は、無機物を含む無機酸化物で形成され、好ましくはシリカで形成される。無機酸化物としてはシリカに限定されず、例えば酸化チタン、ジルコニア、酸化バリウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウムなどを用いることができる。また母粒子はゾルゲル法で形成されるのが好ましい。
被覆層は、光触媒粒子で形成された結晶部を有する。光触媒粒子は、例えば酸化チタン、酸化亜鉛などで形成することができる。
被覆層は、厚みが0.5nm以上13nm以下である。被覆層は、厚みが0.5nm未満の場合、粒子状に生成する光触媒の塊も1nm未満のサイズになり、結晶子を生成するのに十分なアモルファス体の空間がなく、結晶子が生成されないため光触媒活性を得ることができない。
一方、被覆層は、厚みが13nmを超えると、合成時に粒子表面以外でも光触媒化合物が反応してしまい、粒子間の合着が懸念されると共に、生成する結晶子が一般的なバルクの光触媒結晶の結晶子と同様の形態になり、量子サイズ効果が見込めない。したがって厚みが13nmを超えると、有機物分解力を抑制することができない。さらに厚みが13nmを超えると、合成時に粒子表面以外でも光触媒化合物が反応してしまい、粒子間が合着するので、分散性が悪化する。
被覆層は、厚みが1nm以上8nm未満であることが好ましい。厚みが上記範囲内であれば、粒子間での合着が起きることなく光触媒複合粒子の合成が可能であり、母粒子表面に固定される光触媒粒子は極小のため、生成される結晶部も小さくすることができ、結果として量子サイズ効果をより確実に発現できる。
当該光触媒複合粒子は、バンドギャップが3.3eV以上3.7eV未満であることが好ましい。バンドギャップが3.3eV未満では、有機物分解力が市販の光触媒結晶と同等であるからである。また。バンドギャップが3.7eV以上では、光触媒粒子において結晶がほとんど存在せずほぼアモルファス体であると考えられ、有機物分解力だけでなく光励起超親水化現象も示さないためである。
当該光触媒複合粒子は、バンドギャップが3.40eV以上3.65eV未満であることがより好ましい。バンドギャップが上記範囲内であれば、光触媒粒子は、太陽光下において、有機物分解力を抑えながらも、光励起超親水化現象をより確実に発現することが期待できるからである。
結晶部は、アナターゼ晶、ルチル晶、ブルッカイト晶のいずれか一つ以上を含むことが好ましい。結晶部はアナターゼ晶を含み、結晶子径が1〜7nmであることがより好ましい。結晶子径が上記範囲内であれば、量子サイズ効果をより確実に得ることができる。
(製造方法)
まず光触媒複合粒子の製造方法について説明する。光触媒複合粒子は、母粒子を生成し、母粒子を分散液に分散させ、母粒子表面に被覆層を形成することにより製造される。母粒子を形成する無機酸化物としてシリカを用い、被覆層を形成する光触媒粒子として酸化チタン粒子を用いる場合について、以下説明する。
母粒子としてのシリカ粒子は、ゾルゲル法で形成することができる。すなわち母粒子は、無機物を含む化合物として例えばシリコンアルコキシドを、水、アンモニアおよびアルコールからなる反応液中において加水分解および脱水・縮合させることにより生成することができる。
上記のように得られた母粒子を分散させる分散液は、アルコール系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒は、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールなとの炭素数4〜10の中級アルコールが好適に用いられる。
好ましくは、分散液中において母粒子に対し活性化処理をしてもよい。活性化処理は、アルカリが母粒子の表面に作用することにより、母粒子表面のシラノール基からのプロトン脱離を促進するための処理である。この活性化処理を行なうことにより、母粒子と被覆層の密着性を向上することができる。活性化処理は、分散液にアルカリ水溶液を添加して行う。アルカリ水溶液としては、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを含有した水溶液が用いられるが、特にアンモニア水溶液を用いるのが好ましい。
母粒子表面に形成される被覆層は、加水分解により光触媒粒子を析出させ、乾燥・焼成処理することにより形成される。加水分解は、分散液に光触媒を含む化合物を混合して行う。これにより母粒子表面に光触媒粒子が析出し、被覆層が形成される。
本実施形態の場合、光触媒を含む化合物は、チタンアルコキシドまたはその部分加水分解物が用いられる。チタンアルコキシドとしては、一般式Ti(OR)又はTi(R’)n(OR)4−n(式中、RおよびR’はアルキル基もしくはアシル基、特に炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数2〜6個のアシル基であり、nは1〜3の整数である)で示されるチタンのアルコキシドが挙げられる。
またチタンのアルコキシドの部分加水分解物としては、上記一般式で示されるチタンのアルコキシドのアルコキシ基を部分的に加水分解したものが挙げられる。チタンのアルコキシドまたはその加水分解物の加水分解、脱水・縮合は、通常のゾルゲル法で用いる条件で行なわれる。
次いで、加水分解中の分散液に反応停止剤を加えて反応を終結させるのが好ましい。反応停止剤としては、イソプロピルアルコール及びアンモニア水を用いることができる。
次いで、得られた分散液を濃縮乾燥させることにより、被覆層が形成された母粒子を得ることができる。濃縮乾燥は、例えばエバポレーターを用いて行う。
最後に、被覆層が形成された母粒子を500℃〜1200℃の温度条件で、3時間〜48時間、焼成を行う。以上により、複合粒子を得ることができる。
次に光触媒膜を製造する方法について説明する。上記のようにして得られた複合粒子を分散液に分散した塗工液を生成する。また、当該塗工液は、バインダー(造膜成分)や、シリカに代表される他の無機系微粒子などの機能性粒子を含んでもよい。当該塗工液を基材上にディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの従来法により塗布する。最後に乾燥させることにより、光触媒膜を得ることができる。
(作用及び効果)
上記のように構成された光触媒複合粒子は、母粒子と、前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層とを備え、前記被覆層の厚みは0.5nm以上13nm以下である。
被覆層において生成された結晶部は、粒径が数nm程度の大きさであるので、量子サイズ効果を発現し、一般的なバルクの光触媒結晶よりもバンドギャップが大きい。そうすると被覆層は、応答する光の波長域が短波長側にずれる、すなわちブルーシフトする。したがって光触媒複合粒子は、太陽光下においては、吸収できる光の波長域が、バルクの光触媒結晶に比べ大幅に制限されるので、有機物分解力を抑制することができる。
すなわち、照射される太陽光が一定量と仮定した場合、光触媒複合粒子は、バルクの光触媒結晶に比べ、ラジカル発生量が制限され、単位時間あたりの有機物分解量が抑制される。因みに、光触媒複合粒子は、被覆層表面の親水基の生成量が制限されるので、超親水化していく速度が遅くなるものの、表面が超親水化に至ることが阻止されるものではない。
したがって光触媒複合粒子は、屋外用途において、有機バインダーなどと複合化しても、超親水性を維持しながら高耐候性を示すことができる。実際、光触媒複合粒子を複合化した光触媒膜は、太陽光下において、有機物分解力が抑制される一方、光励起超親水化現象を発現することができる。
光触媒複合粒子は、被覆層の厚みが13nm以下であることにより、合成時に粒子表面以外で光触媒化合物が反応することを抑制でき、良好な分散性が得られるので、他の材料へ容易に複合化することができる。
さらに光触媒複合粒子は、水・アルコール液中で、超音波処理・ビーズミル処理などの比較的簡便な分散処理により、分散させることができ、様々なものとの複合化を可能とする。光触媒複合粒子は、母粒子が小さく、被覆層の厚みが薄いので、光触媒複合粒子を含む単分散液とすることで、透明材料への適応が可能である。
光触媒複合粒子は、母粒子が分散した分散液に光触媒化合物を混合して加水分解により前記母粒子表面に光触媒粒子の被覆層を形成し、前記被覆層を500℃〜1200℃の温度で加熱処理することにより製造することができるので、従来に比べ短時間で製造することができる。焼成温度が500℃未満であると、結晶化が進みにくく、焼成温度が1200℃を超えると、母粒子が溶解してしまうため、球状の光触媒複合粒子を得ることができない。また、焼成温度が1200℃を超えると、酸化チタン結晶が、親水化挙動を示しにくいルチル型へと転移しまうことや、また、母粒子がシリカ粒子の場合は、母粒子体が溶解してしまい粒子形状を保てなくなることがある。
光触媒複合粒子は、分散液中において母粒子に対し活性化処理をして安定化させた光触媒化合物を反応させ製造することにより、反応時間一日以下、収率80%以上を得ることができるので、効率的に製造することができる。したがって光触媒複合粒子は、母粒子の形状を保ちながら、母粒子表面に光触媒粒子を均一に固定化できるので、母粒子形状を生かした用途へ展開できると共に、光触媒特性を安定的に得ることができる。
(実施例)
(光触媒複合粒子の製造)
次に本実施形態に係る光触媒複合粒子の実施例について説明する。光触媒複合粒子は下記に示す手順で生成した。まず母粒子としてシリカ粒子を含む分散液を調整した。シリカ粒子は粒子径が50nm、120nm、1.0μmの3種類を用意した。各粒子径の母粒子を含む分散液は以下のようにして生成した。
(粒子径50nmの母粒子径を含む分散液の調整)
無機酸化物を含む分散液として宇部日東化成ハイプレシカAS(粒子径50nm、CV値27.6%、水分散スラリー固形分濃度10wt%)を100g、イソプロパノールを35g加え固形分濃度7.5wt%以下の溶液を、室温下で調製した。そして、80℃30mbarの条件で固形分濃度15wt%以上になるまで濃縮した後、イソプロパノールで希釈して再度7.5wt%以下の溶液とする作業を3回繰り返した。その後、固形分濃度15wt%以上になるまで濃縮し、その液中に1−ブタノールを加えた固形分濃度7.5wt%以下の溶液を濃縮した後、1−ブタノールで希釈して再度7.5wt%以下の溶液とする作業を2回繰り返した。さらに1−ブタノールで希釈することで、10wt%のシリカ粒子1−ブタノール分散液を調製し、液(1)とした。
(粒子径120nmの母粒子を含む分散液の調整)
液(1)の製造に倣い、無機酸化物を含む分散液として宇部日東化成ハイプレシカAS(粒子径120nm、CV値19.2%、水分散スラリー固形分濃度10wt%)を用いて調製し、液(2)とした。
(粒子径1.0μmの母粒子を含む分散液の調整)
無機酸化物として宇部日東化成ハイプレシカFQ(粒子径1.0μm、CV値3.5%)10gを、1−ブタノール90gに加え、室温下で超音波処理を4時間行うことで、10wt%のシリカ粒子1−ブタノール分散液を調製し、液(3)とした。
(反応停止剤の調製)
反応停止剤は、0.5%アンモニア水とイソプロパノールとを2:5の割合で混合して得た。
(試料の調整)
続いて、上記のように得られた液(1)〜(3)及び反応停止剤を用い、実施例及び比較例を製造した。各実施例及び比較例の製造条件は以下の通りである。
(実施例1−1−a)
110mLスクリュー管瓶中で液(1)20gをマグネチック攪拌子で攪拌しながら、25%アンモニア水0.5gを滴下して加え、液温を20℃に保持しながら30分間攪拌をした。次いで、その液中に、チタンテトライソポキシド0.25g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を、4g/minの速度で加え、さらに30分間攪拌をした。そして、反応停止剤を10g加え15分間攪拌をした後、60℃まで昇温し、60℃を保持しながら18時間攪拌を続け反応を終結させた。さらにこの液をエバポレーターを用いて、80℃30mbarの条件で濃縮乾燥させることで、粒子状酸化チタン被覆シリカ粒子の粉体を得た。さらに、300℃2時間(昇温時間30分)、500℃24時間(昇温時間30分)の条件で焼成を行い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例1−1−b)
焼成温度を300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で行った以外は、実施例1−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例1−2−a、b)
チタンテトライソポキシド0.5g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例1−1−a、bに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例1−3−a、b)
チタンテトライソポキシド1.0g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例1−1−a、bに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例1−4−a、b)
チタンテトライソポキシド1.5g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例1−1−a、bに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例1−4−c)
チタンテトライソポキシド1.5g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成温度を300℃2時間(昇温10℃/min含む)、1000℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で行い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−1−a)
(液1)に代わり(液2)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.3gとし、チタンテトライソポキシド0.2g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例1−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−2−a)
チタンテトライソポキシド0.4g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例2−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−3−a)
チタンテトライソポキシド0.6g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例2−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−4−a)
チタンテトライソポキシド0.8g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例2−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−4−b)
チタンテトライソポキシド0.8g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成温度を300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で行い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−4−c)
チタンテトライソポキシド0.8g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成温度を300℃2時間(昇温10℃/min含む)、1000℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で行い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例2−5−a)
チタンテトライソポキシド2.0g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例2−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例3−1−b)
(液1)に代わり(液3)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.2gとし、チタンテトライソポキシド0.03g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成温度を300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で行う以外は、実施例1−1−aに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例3−2−b)
チタンテトライソポキシド0.6g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例3−1−bに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(実施例3−3−b)
チタンテトライソポキシド0.12g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例3−1−bに倣い、光触媒複合粒子の粉体を得た。
(比較例1−0)
(液1)をエバポレーターを用いて、80℃30mbarの条件で濃縮乾燥させることで、シリカ粒子の粉体の粉体を得た。
(比較例1−0−a)
比較例1−aを、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、500℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体の粉体を得た。
(比較例1−0−b)
比較例1−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体の粉体を得た。
(比較例1−0−c)
比較例1−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、1000℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体の粉体を得た。
(比較例1−1)
焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例1−2)
焼成工程を省いた以外は、実施例1−2−aに倣い、粉体を得た。
(比較例1−3)
焼成工程を省いた以外は、実施例1−3−aに倣い、粉体を得た。
(比較例1−4)
焼成工程を省いた以外は、実施例1−4−aに倣い、粉体を得た。
(比較例1−5)
チタンテトライソポキシド4.0g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例1−5−a、b)
チタンテトライソポキシド4.0g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、実施例1−1−a、bに倣い、粉体を得た。
(比較例2−0)
(液2)をエバポレーターを用いて、80℃30mbarの条件で濃縮乾燥させることで、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例2−0−a)
比較例2−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、500℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例2−0−b)
比較例2−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例2−0−c)
比較例2−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、1000℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例2−1)
焼成工程を省いた以外は、実施例2−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例2−2)
焼成工程を省いた以外は、実施例2−2−aに倣い、粉体を得た。
(比較例2−3)
焼成工程を省いた以外は、実施例2−3−aに倣い、粉体を得た。
(比較例2−4)
焼成工程を省いた以外は、実施例2−4−aに倣い、粉体を得た。
(比較例2−5)
焼成工程を省いた以外は、実施例2−5−aに倣い、粉体を得た。
(比較例2−6)
チタンテトライソポキシド20g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し焼成工程を省いた以外は、実施例2−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例3−0)
(液3)をエバポレーターを用いて、80℃30mbarの条件で濃縮乾燥させることで、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例3−0−a)
比較例3−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、500℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例3−0−b)
比較例3−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例3−0−c)
比較例3−0を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、1000℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、シリカ粒子の粉体を得た。
(比較例3−1)
(液1)に代わり(液3)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.2gとし、チタンテトライソポキシド0.03g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例3−2)
(液1)に代わり(液3)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.2gとし、チタンテトライソポキシド0.6g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例3−3)
(液1)に代わり(液3)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.2gとし、チタンテトライソポキシド0.12g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例3−4)
(液1)に代わり(液3)を用い、滴下する25%アンモニア水を0.2gとし、チタンテトライソポキシド2.0g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を使用し、焼成工程を省いた以外は、実施例1−1−aに倣い、粉体を得た。
(比較例4−1)
110mLスクリュー管瓶中で、1−ブタノール20g、25%アンモニア水0.5gを、液温20℃に保持しながら30分間マグネチック攪拌子で攪拌した。その後、その液中に、チタンテトライソポキシド1.5g、1−ブタノール20gのチタンアルコキシド混合液を、5分かけてゆっくりと加え、さらに30分間攪拌をした。そして、(液4)を10g加え15分間攪拌をした後、60℃まで昇温し、60℃を保持しながら18時間攪拌を続け反応を終結させた。さらにこの液をエバポレーターを用いて、80℃30mbarの条件で濃縮乾燥させることで、酸化チタンからなる粉体を得た。
(比較例4−1−a)
比較例4−1を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、500℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、酸化チタン粒子の粉体を得た。
(比較例4−1−b)
比較例4−1を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、酸化チタン粒子の粉体を得た。
(比較例4−2)
チタンテトライソポキシド0.5g、1−ブタノール1gのチタンアルコキシド混合液を使用する以外は、比較例4−1に倣い、酸化チタンからなる粉体を得た。
(比較例4−2−a)
比較例4−2を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、500℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、酸化チタン粒子の粉体を得た。
(比較例4−2−b)
比較例4−2を、300℃2時間(昇温10℃/min含む)、800℃24時間(昇温10℃/min含む)の条件で焼成を行い、酸化チタン粒子の粉体を得た。
(比較例5)
石原産業製酸化チタン粉体ST−01を用いた。
(比較例6)
石原産業製酸化チタン粉体PT−501Aを用いた。
(比較例7)
石原産業製酸化チタン粉体TTO−51を用いた。
(比較例8)
住友化学製酸化チタン水分散液PC−201を用いた。
(比較例9)
石原産業製酸化チタン水分散液STS−100を用いた。
(比較例10)
粒子なしとした。
製造した光触媒複合粒子について各特性を確認した。製造した実施例及び比較例の各特性を表1〜4に示す。
Figure 2014171940
Figure 2014171940
Figure 2014171940
Figure 2014171940
(粒子径・被覆厚み測定)
得られた粉体を水に分散させ、その分散液を金属製台座の上に垂らし乾燥させた後、サンユー電子社製金属蒸着機(SC−701MCY)を用いて、導通用のPtを50Å蒸着したサンプルを作成した。JEOL製電界放出型走査電子顕微鏡(JEM−6700F型、加速電圧10kV)を用いてSEM測定し、同社の画像解析ソフトSmile view(ver.2.2)にて画像解析を行った。100,000倍の画像より20個の粒子に関して無作為に直径を求め、平均値をその粒子の粒子径とした。また複合粒子の直径から母粒子の直径を引き、2で割った値を被覆層の厚みとした。また、この厚みをドーム状に成長する光触媒粒子の大きさとして見立てている。
凝集などにより粒子径の測定が不可能なものについては、単位シリカ表面積に対するチタンテトライソプロポキシドの添加量(A[g/m])と、被覆層の計算厚み(B[nm])との関係式(式1)を適応し計算した。
B=3.7×ln(A)+25.5・・・・・(式1)
上記(式1)は、実施例で得られた値より作成した近似式である。但し、B≧30の場合、シリカ粒子の粒子径(曲率R)の項が大きく関わり、シリカ粒子の粒子径が小さいほど、酸化チタン膜厚が高いほど近似式から外れ、上記(式1)を適用することは出来ない。
B≦30の場合、まず反応液中のシリカ粒子重量(W[g])とシリカ粒子の見かけ比重(2.0[g/cm])、及びシリカ粒子の粒子径(L[nm])より、反応液中のシリカ粒子の総表面積(S[m])を求めた(式2)。なお(式2)において[4/3×π×(L/2×10−9]はシリカ粒子1個の体積、[4×π×(L/2×10−9]はシリカ粒子1個の表面積である。
S=W÷[4/3×π×(L/2×10−9]÷(2.0×10)×[4×π×(L/2×10−9]
=3×W÷L×10・・・・・(式2)
さらに反応に用いたチタンテトライソプロポキシド量(T[g])をSで割り返し、Aを算出した(式3)。
A=T÷S・・・・・(式3)
実施例1−4−a〜cに係る光触媒複合粒子について透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)像を図1に示す。また、参考までに得られた比較例に係る粒子について走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)像を図2〜図5に示す。
(結晶系測定)
得られた粉体を、PANalytical社製 X線回折装置(X’Pert PRO)を用いてXRD測定し、結晶系の同定を行った。
(バンドギャップ測定)
得られた粉体を測定用の石英セルに詰め、JEOL社製積分球(ISN−723)をセットしたJEOL社製紫外可視分光光度計(V−670)を用いて、拡散反射スペクトルを測定した。ベースラインには、付属のスペクトラロン(積分球用標準白板)を用い、ダーク補正は、検出部への光透過を金属板でふさぐことで行った。測定条件は、測定モード:%T(透過)、レスポンス:medium、バンド幅:5.0nm、走査速度:400nm/min、測定波長300〜800nm、データ取り込み間隔:1nmとした。また、得られたデータより同社のバンドギャップ解析ソフト(VWBG−773)にてバンドギャップ解析を行ない、アナターゼ型に同定されるものに関しては、直接遷移の計算を用い、ルチル型に同定されるものに関しては、間接遷移の計算を用い、バンドギャップを算出した。
(結晶子径測定)
イソプロパノール中に分散させた各粉体をカーボン支持付きのモリブデンメッシュに載せ試料とし、JEOL社製電界放射型透過電子顕微鏡(JEM−2012F型、加速電圧200kV)を用いて、倍率4,000,000倍、写真範囲50nm×65nmの条件で画像測定を行ない、写真より直接結晶子径を測定した。
(合成液)
粒子を合成した合成液を山一電機工業社製ビスコメイト粘度計(VM−1G)により測定し、測定値が50cP未満の場合を低粘度◎とし、測定値が50cP以上100cP未満の場合を粘調○とし、測定値が100cP以上1000cP未満の場合を高粘調△とした。
(収率計算)
合成後最終的に得られた粉末の重量(収量)を、合成時に用いた母粒子であるシリカ粒子の固形分とチタンアルコキシドから生成される酸化チタン量の和で割り返し、得られた値を収率とした。収率が80%を超えるものを◎、50%を超え80%以下のものを○、30%を超え50%以下のものを△、粉末として取り出せないものを×とした。
この際、シリカ粒子分散液の固形分は、アルミカップに約1gの液を採取し重量計測した後、150℃に設定したホットプレート上で、1時間加熱乾燥し室温下で10分静置させたものの重量測定を行うことで算出した。また、合成された各粒子の粉体は、取り出し後さらにオーブン80℃下で3日間乾燥させたものの重量を収量とした。
(分散性確認)
110mLスクリュー管瓶中で、得られた各粒子の粉体5gをイソプロパノール45gに溶き、AZ ONE製超音波処理機を用いて、室温下で4時間超音波処理をした。
その後、スクリュー管瓶の底面を観察し、目視で大きな塊が見られるかどうかと、6時間放置した際の粒子の沈降を確認し、視認できる塊が見られる場合を×、6時間放置した際に粒子の沈降が見られるものを△とした。また、粒子の沈降が視認出来ない分散性の高いものに関しては、大塚電子社製光散乱計(ELS−Z)を用いて分散粒径測定を行い、粒径分布解析により求められる重量換算粒子径の値を分散粒径とした。この際得られる値がSEMで測定した粒径の2倍未満の場合を◎、2倍以上の場合を○と評価した。
(光触媒膜の製造)
続いて光触媒性能を評価するための評価膜を以下の手順で製造した。まず、エチルセロソルブ10g、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達社製)5.07gを50mLのガラス容器に入れ、30℃に温度を保ちながらマグネティックスターラーで10分間攪拌した。ここに、蒸留水0.31gと60%硝酸0.85g、エチルセロソルブ3.91gの混合液を滴下し、液温を30℃に保持しながら4時間加水分解した。このチタニア加水分解物を含む液(以下、「加水分解縮合液」という。)の固形分濃度は、TiO換算で、7.1%であった。この加水分解縮合液を用いることにより、アモルファスの酸化チタン膜を形成することができる。アモルファスの酸化チタン膜は、この成分単体では、光触媒性能を発現せず、また、初期水接触角がシリカ膜よりも高く設定することができる。したがって、上記アモルファスの酸化チタン膜は、複合させた粒子の光触媒性能(親水化挙動、有機物分解力)をより容易に評価することができる。
次いで、エチルセロソルブ5g、上記の加水分解縮合液3g、分散性確認の項目で使用して得られた粒子の10wt%イソプロパノール分散液2gを、この順番で液温を20℃に保ちながら攪拌し混ぜ合わせた。その後、サンユー電子製スピンコーターを用いて、5cm各3mm厚のフロートガラス板に、20℃環境下、1.5minで回転数2000rpmでスピンコートした。さらにオーブンにて120℃で2分間乾燥させ光触媒機能の評価膜とした。この評価膜は、評価対象の光触媒複合粒子が敷き詰められている。したがって評価膜は、表面が評価対象の光触媒複合粒子の被覆層である酸化チタン粒子によって形成されているため、単純な酸化チタン膜として評価することができる。
得られた評価膜について以下に示す特性を確認した。各特性を表1〜4に示す。
(親水化挙動測定)
親水化挙動は、上記の評価膜を遮光用のステンレス密閉容器を用い暗所保持下で十分に疎水化(水接触角>40°)させてから、各種波長の紫外線を照射した。そしてエルマ販売社製接触角計(G−1−1000)で、蒸留水に対する接触角の経時変化を追跡した。各種波長の紫外線を10時間照射後の接触角が30°以下のものをその波長における光応答性ありとした。この際、光応答性が310nm以上350nm未満で見られたものを◎、350nm以上365nm未満のものを○、365nm以上380nm未満のものを△、380nm以上のものを×と評価した。
この際光源は、朝日分光(株)製キセノン光源(MAX−302)を用い、バンドパスフィルターを介在させることにより、半値幅が15nm以下の所定波長の光を取り出した。使用した光源とその照射波長領域及び、光の照度を表5に示す。それぞれの照度は、各種主波長のフォトン数が、概ね同一(3.7×1015quanta/cm/s、2mW/cm at 365nm)となるように設定した。
Figure 2014171940
(有機物分解測定)
JIS R 1703−2に定められる湿式分解法に則り、メチレンブルー分解試験による有機物分解指数を求めた。その際得られる有機物分解指数が、1未満のものを◎、1以上3未満のものを○、3以上5未満のものを△、5以上のものを×と評価した。
(総合評価)
各評価でつけられた評価で、最低点のものを各粉体における総合評価点とした。各実施例は、総合評価が◎〜△であることが確認できた。
比較例1−0、1−0−a〜c、2−0、2−0−a〜c、3−0、3−0−a〜cはいずれも被覆層を有していないことにより光触媒活性が得られないため、「親水化挙動」の評価が×となった。
比較例1−1〜5、2−1〜6、3−1〜4はいずれも焼成処理を省略しているため被覆層を形成する酸化チタン粒子がアモルファス体である。したがって光触媒活性が得られないため、「親水化挙動」の評価が×となった。
また、比較例1−5、1−5−a,b、2−6、3−4は、被覆層の厚みが13nmを超えていることにより粒子が凝集しているため、「分散性」の評価が×となった。
比較例4−1、4−2、4−1−a,b、4−2−a,bは、いずれも母粒子を備えていないことにより分散性が悪化しているため、「分散性」の評価が×となった。
比較例5、6、8、9は、市販の酸化チタンであることによりいずれも有機物分解力が高いため、「親水化挙動」の評価が×又は△、「有機物分解力」の評価が×となった。
比較例10は、粒子がない状態で評価を行ったので、光触媒活性は当然得られないため、「親水化挙動」の評価が×となった。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。

Claims (7)

  1. 無機酸化物で形成された母粒子と、
    前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層と
    を備える光触媒複合粒子において、
    前記被覆層の厚みは0.5nm以上13nm以下である
    ことを特徴とする光触媒複合粒子。
  2. バンドギャップは3.3eV以上3.7eV未満であることを特徴とする請求項1記載の光触媒複合粒子。
  3. 前記結晶部は、アナターゼ晶を含み、結晶子径が1〜7nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の光触媒複合粒子。
  4. 前記母粒子の粒子径は10nm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光触媒複合粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒複合粒子を分散させたことを特徴とする分散液。
  6. 基材表面に請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒複合粒子を含む光触媒膜を有することを特徴とする物品。
  7. 無機酸化物で形成された母粒子と、
    前記母粒子表面に固定され、光触媒粒子で形成された結晶部を有する被覆層と
    を備える光触媒複合粒子の製造方法において、
    前記母粒子が分散した分散液に光触媒化合物を混合して加水分解により前記母粒子表面に前記光触媒粒子の被覆層を形成することと、
    前記被覆層を500℃〜1200℃の温度で加熱処理することと
    を備えることを特徴とする光触媒複合粒子の製造方法。
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