JP2014171695A - 静電容量型トランスデューサの製造方法、及び静電容量型トランスデューサ - Google Patents
静電容量型トランスデューサの製造方法、及び静電容量型トランスデューサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】犠牲層型で作製される静電容量型トランスデューサにおいて、ばね定数の小さな振動膜を実現し、より広帯域な周波数特性が得られ、且つばらつきの少ない均一な静電容量型トランスデューサを提供すること。
【解決手段】静電容量型トランスデューサは、第一の電極と、第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセル11を備える。キャビティーを形成するための犠牲層エッチングの際に用いたエッチング開口部210が封止された部分12の周りにあって振動膜に繋がった部分の厚みが、メンブレン206、209、211の厚みから第二の電極の厚みを除いた厚みよりも小さい。
【選択図】図1
【解決手段】静電容量型トランスデューサは、第一の電極と、第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセル11を備える。キャビティーを形成するための犠牲層エッチングの際に用いたエッチング開口部210が封止された部分12の周りにあって振動膜に繋がった部分の厚みが、メンブレン206、209、211の厚みから第二の電極の厚みを除いた厚みよりも小さい。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波送受信デバイスなどとして用いられる静電容量型トランスデューサの製造方法、静電容量型トランスデューサ等に関する。
従来、超音波診断装置は、超音波を利用して安全に人体内の観察を行う用途など、医療診断によく用いられる。超音波診断装置のプローブ(探触子)等に用いられる超音波送受信デバイスは、電気信号と超音波を変換するデバイスである。近年、圧電型トランスデューサに代わって、CMUTなどの静電容量型トランスデューサが、優れた広帯域周波数特性が得られるという理由から盛んに研究開発されている。CMUTは、Capacitive−Micromachined−Ultrasonic−Transducerの略である。
静電容量型トランスデューサは、メンブレンとメンブレン支持部によってキャビティー構造が形成され、該キャビティー(間隙)を挟み込むように上下の電極が形成されている構造を有する。超音波信号はメンブレン及び電極へと伝わり、その微小変位を、上下の電極間の静電容量の変化として読み取ることができる。また、上下の電極に電圧を印加することでメンブレンを振動させ、超音波信号を送信できる。トランスデューサの周波数特性は、主にメンブレンの材料や構造などの機械的特性によって決定され、その材料のヤング率や密度、厚みは重要なパラメータとなる。また、超音波の受信感度や送信効率は、メンブレン及びキャビティーからなる構造を単位としたセルを多数個並べてアレイ化することで向上させられる。トランスデューサの作製には、材料積層のための成膜技術や精度の高いパターニングを行うフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を備え3次元微細加工を得意とするMEMS技術などを用いることができる。MEMSは、Micro−Electro−Mechanical−Systemsの略である。
静電容量型トランスデューサの作製方法として、基板上に多様な材料を積層形成し、その一部を犠牲層エッチングにより除去することでキャビティーを形成する方法がある。こうして作製されるトランスデューサは、犠牲層型(またはサーフェイス型)静電容量型トランスデューサと呼ばれる。その作製方法は、例えば、次の様なものである。基板に、下部電極(第一の電極)と絶縁膜と犠牲層及びメンブレンと上部電極(第二の電極)等の各層を積層し、所望のパターニングを繰り返し行い、メンブレンの一部に、犠牲層除去用のエッチング開口部を形成する。そして、開口部を介して浸入するエッチャントを用いる犠牲層エッチングによりキャビティー構造を形成する。その後、エッチング開口部には、キャビティー内へのゴミや液体等の侵入を防ぐため、封止膜が形成される。さらに、上下電極から電極パッドや配線等を引き出すことでデバイスが完成される。
長期にわたって感度や周波数特性の変化の少ないデバイスを作製するためには、キャビティー内部の圧力を安定的に保つ封止工程が重要であり、気密性の高い封止が望まれる。また、或る程度厚い封止膜を必要とするエッチング開口部の封止工程では、ばらつきを抑える作製方法も重要となる。
特許文献1では、基板に、下部電極と絶縁膜と犠牲層及びメンブレンと上部電極を積層した後、メンブレンの一部に、犠牲層を除去するためのエッチング開口部を形成する。その後に犠牲層エッチングを行うことでキャビティー構造を形成する。その後の封止工程では、封止膜形成のためにPE−CVD(Plasma−Enhanced−Chemical−Vapor−Deposition:プラズマ化学気相堆積)法を用いている。気密性を保つために厚い封止膜を形成し、その後、所望の周波数特性を得るために、メンブレン上に堆積した厚い封止膜をエッチングより後退させて調整する。
犠牲層型静電容量型トランスデューサは、上記の如く、基板上に各種材料を幾重にも堆積しパターニング及びエッチングを行うことで作製される。デバイスの周波数特性等を決めるパラメータの一つにメンブレン厚があり、これは、メンブレンを構成する膜の総厚である。メンブレンに用いられる材料として、窒化シリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどがある。これらの材料の成膜方法は、主にCVD(化学気相堆積)法が用いられており、その中でも、低温で良質な膜が得られるPE−CVD法がよく用いられている。
犠牲層の直上に形成されるメンブレンを第一メンブレンとすると、第一メンブレンは、犠牲層に対してカバレッジを遂行するだけの十分な膜厚が必要である。そのため、第一メンブレンの厚さは犠牲層の厚さと比例関係にあり、犠牲層の厚さが大きいほど第一メンブレンの厚さも大きくする必要がある。また、犠牲層の厚さが小さい場合、犠牲層エッチング時のスティッキング(メンブレンの一部がキャビティー底面に付着する現象)を防止するために、メンブレンのばね定数を大きくする必要がある。したがって、第一メンブレンは或る程度の厚さを必要とする。
犠牲層エッチングのためには、エッチャントやエッチングガスが出入りする開口部を形成する。その開口部は犠牲層エッチング後には封止する必要がある。封止は、熱膨張係数や密着性の観点から、メンブレンと同種の膜を形成することが望ましい。その後、エッチング等で後退もしくは除去を施さない限り、メンブレン上に封止膜が残る。気密性の高い封止を必要とする場合、最低限必要な封止膜厚は、犠牲層厚(キャビティーギャップ)と犠牲層上に形成された第一メンブレンの厚さにより決定される。
図5に封止過程の模式図を示す。基板1上、及びキャビティーギャップ2上に作製されたメンブレン3上に、開口封止部4及び封止膜5が形成される様子を示す。図5(a)は、封止膜形成の初期過程を示し、PE−CVDによって封止膜が徐々に堆積されていく。図5(b)のように封止膜5の堆積が進行し、キャビティーギャップ2より大きな厚さになると、基板1から堆積した封止膜とメンブレン3から堆積した封止膜が合流し、その界面から欠陥6が成長する。堆積が進行すると図5(c)のように境界から欠陥が塞がれて、封止が完了する。一般に封止膜の膜厚は、キャビティーギャップの2から3倍以上の厚さが必要とされている。
静電容量型トランスデューサのデバイスの周波数帯域はメンブレンの厚さに依存するため、メンブレンが厚いとばね定数が大きくなって周波数帯域が狭くなり、逆にばね定数が小さい場合は周波数帯域が広くなる。よって、メンブレンの一部となる封止膜の厚さの制御は重要なパラメータである。この際、堆積した封止膜をエッチングよって後退させると、エッチングの分布やエッチング選択比の関係より、ばらつきが発生し易く、設計の自由度が小さくなる。以上より、犠牲層型で作製される静電容量型トランスデューサにおいて、犠牲層エッチング時のスティッキングの防止と共に、ばね定数の小さなメンブレンを実現して、より広帯域の均一な周波数特性を得ることが重要である。本発明の目的は、これを可能とする静電容量型トランスデューサの製造方法、静電容量型トランスデューサ、これを含む装置を提供することである。
上記課題に鑑み、第一の電極と、第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセルを含む静電容量型トランスデューサの本発明の製造方法は次の工程を含む。キャビティーを形成するための犠牲層を形成する工程。前記犠牲層が形成された構造上に第一メンブレンを形成し、前記犠牲層上の前記第一メンブレンにエッチング開口部より大きな周を持つ孔を形成する工程。前記孔を持つ第一メンブレンが形成された構造上に第二メンブレンを形成し、前記孔内の前記第二メンブレンの凹部に前記エッチング開口部を形成して前記犠牲層の一部を露出させる工程。前記エッチング開口部を介して前記犠牲層を除去する工程。前記エッチング開口部を封止するために封止膜を形成する工程。また、本発明の他の静電容量型トランスデューサの製造方法は次の工程を含む。キャビティーを形成するための犠牲層を形成する工程。前記犠牲層が形成された構造上に第一メンブレンを形成し、前記犠牲層上の前記第一メンブレン上にストッパー層を形成する工程。前記ストッパー層に、エッチング開口部を形成するための貫通孔を形成する工程。前記貫通孔を持つストッパー層が形成された構造上に第二メンブレンを形成する工程。前記ストッパー層をエッチングストッパーとして用いて、前記第二メンブレンに前記エッチング開口部より大きな凹部を形成し、該凹部と通じる前記エッチング開口部を前記第一メンブレンに形成して、前記犠牲層の一部を露出させる工程。前記エッチング開口部を介して前記犠牲層を除去する工程。前記エッチング開口部を封止するために封止膜を形成する工程。
また、上記課題に鑑み、第一の電極と、該第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセルを含む本発明の静電容量型トランスデューサは次の特徴を有する。すなわち、前記キャビティーを形成するための犠牲層エッチングの際に用いたエッチング開口部が封止された部分の周りにあって前記振動膜に繋がった部分の厚みが、前記振動膜の厚みから前記第二の電極の厚みを除いた厚みよりも小さい。
本発明によれば、多層形成されたメンブレンにおいても総合的な膜厚を小さく抑えることが可能となり、周波数特性の周波数帯域を広げることが可能になる。また、エッチング開口部の周りのメンブレンに繋がった部分の厚さを低減させるため、犠牲層エッチング時ではキャビティー上のメンブレン厚さは従来と変わらず、キャビティーのスティッキングは従来と同程度に制御できる。
本発明では、犠牲層エッチング用の開口部の周りのメンブレンの厚みを、キャビティー上の振動膜から電極を除いた厚みより小さく形成することによって、封止膜厚を大きくしなくても十分に封止が完了する様にする。また、主に開口部の周りのみにパターニングやエッチング加工を施すことで、ばらつき等の少ない歩留まりの高い静電容量型トランスデューサを作製できる様にする。そのために、エッチング開口部より大きな周を持つ孔を持つ第一メンブレンが形成された構造上に第二メンブレンを形成し、孔内の第二メンブレンの凹部にエッチング開口部を形成して犠牲層の一部を露出させる。或いは、第一メンブレン上に形成されたストッパー層にエッチング開口部形成用の貫通孔を形成して第二メンブレンを形成し、ストッパー層をエッチングストッパーとして用いて、第二メンブレンにエッチング開口部より大きな凹部を形成する。そして、該凹部と通じるエッチング開口部を第一メンブレンに形成して、犠牲層の一部を露出させる。こうした製造方法などで作られる静電容量型トランスデューサでは、犠牲層エッチングの際に用いた開口部が封止された部分の周りにあってキャビティー上の振動膜に繋がった部分の厚みが、該振動膜から第二の電極を除いた厚みよりも小さくできる。本発明の静電容量型トランスデューサは、音響波を受信するためのプローブに用いることができる。また、トランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有する被検体情報取得装置において、用いることができる。このトランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
以下、本発明の実施の形態を図に沿って説明する。
図1を用いて本発明の静電容量型トランスデューサの一実施形態を説明する。図1(a)は本実施形態の概要を示す静電容量型トランスデューサのセル11の上面図、図1(b)はアレイ化したセル11及び上部配線13と下部配線14を示す上面図である。セルの数や配置、形状等の形態は特に限定されるものではない。静電容量型トランスデューサは、こうしたセルを含む。各セルは、図2の(2−1)の(h)に示す様に、第一の電極(下部電極)303と、第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極(上部電極)307を含む振動膜と、を有する。図1(c)は、図1(a)の開口封止部12を線分C−Dで切断した断面図である。図1(c)の左側の部分に、キャビティーを含むセル11がある。この静電容量型トランスデューサを作製する方法として、犠牲層を形成した後にメンブレン材料を該犠牲層上に積層させ、該犠牲層をエッチング除去することでキャビティーを形成する方法がある。
図1を用いて本発明の静電容量型トランスデューサの一実施形態を説明する。図1(a)は本実施形態の概要を示す静電容量型トランスデューサのセル11の上面図、図1(b)はアレイ化したセル11及び上部配線13と下部配線14を示す上面図である。セルの数や配置、形状等の形態は特に限定されるものではない。静電容量型トランスデューサは、こうしたセルを含む。各セルは、図2の(2−1)の(h)に示す様に、第一の電極(下部電極)303と、第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極(上部電極)307を含む振動膜と、を有する。図1(c)は、図1(a)の開口封止部12を線分C−Dで切断した断面図である。図1(c)の左側の部分に、キャビティーを含むセル11がある。この静電容量型トランスデューサを作製する方法として、犠牲層を形成した後にメンブレン材料を該犠牲層上に積層させ、該犠牲層をエッチング除去することでキャビティーを形成する方法がある。
図1(c)に示す様に、基板201上のセルを形成すべき部分に、第一絶縁膜202及び下部電極203、第二絶縁膜204を形成すると、同時に図1(a)の開口封止部12にも同様にこれらが積層される。本実施形態の作製方法では、犠牲層エッチングによって形成されるキャビティーに繋がるエッチング液流路に対応する空間205を備える開口封止部12に開口部210を形成する際に、次の様にする。すなわち、開口部付近の第一メンブレン206と第二メンブレン209において段差形状部ないし凹部208を形成する。本実施形態では、開口部210の最低限の封止膜厚は、第二メンブレン209の厚さが支配的になり、これにより決定される。他方、キャビティー上のメンブレンの厚さは、メンブレンの構成要素である第一メンブレン206と第二メンブレン209と封止膜(第三メンブレン)211の和であり、トランスデューサの感度や周波数特性を決定する重要なパラメータとなる。キャビティーに繋がる空間205のギャップが大きなデバイスを作製する場合、犠牲層の十分なカバレッジを実現するために第一メンブレン204が厚くなり、大きなキャビティーギャップと大きな膜厚を埋める封止を行うためには、大きな封止厚さが必要である。一方、キャビティーのギャップが小さなデバイスを作製する場合、犠牲層エッチング時にスティッキングを防止するために犠牲層上のメンブレンを或る程度硬く形成する必要があり、十分に厚い膜が必要である。
本発明では、キャビティー上の振動膜に繋がる部分の凹部となった部分(例えば2段以上の凹部)にエッチング開口部を形成する。このことにより、犠牲層のカバレッジを十分に行え、犠牲層エッチング時に十分なばね定数を有したメンブレンを形成した上で、犠牲層エッチングを行うようにする。また、小さな厚さの封止膜(第三メンブレン)でも開口部の封止が完了するようにする。また、開口部の周りの段差ないし凹部の形成には、選択比の高いエッチングストッパー層を導入することもできるため(後述の実施例2参照)、各膜厚や形状の高精度な制御が可能になり、ばらつきの少ないデバイスを提供できる。
本実施形態では、セルのサイズを40μm程度と想定しているが、周波数帯域や超音波感度などの用途や設計に応じて、最適なサイズで設計する必要があり、特にサイズを限定しているものではない。本発明は、開口部の周りに形成された凹部により、設計の自由度を大きくするものである。特に犠牲層エッチングで作製される静電容量型トランスデューサにおいて、ばね定数の小さなメンブレンを実現し、より広帯域な周波数特性が得られ且つばらつきの少ない均一な静電容量型トランスデューサを実現することができる。
本実施形態の駆動原理は次の如きものである。セルは、キャビティーを挟んで設けられた第一の電極と、第二の電極を含む振動膜と、で形成されているので、音響波を受信するためには、第一の電極もしくは第二の電極に直流電圧を印加する。音響波を受信すると、振動膜が変形してキャビティーのギャップが変化するため、電極間の静電容量が変化する。この静電容量変化を第一の電極もしくは第二の電極から検出することで、音響波を検出することができる。また、第一の電極もしくは第二の電極に交流電圧を印加して振動膜を振動させることで、音響波を送信することもできる。図1(b)の静電容量型トランスデューサは、上部電極からの引き出し配線13と下部電極からの引き出し配線14を通して、音響波信号を電気信号に変換することができる。ここでは、引き出し配線により電気信号の変換を行っているが、貫通配線等を用いてもよい。
なお、本明細書において、音響波とは、光音響波、光超音波、音波、超音波と呼ばれる弾性波を含み、光照射により発生する音響波を、特に「光音響波」と呼ぶ。また、音響波のうち、プローブから送信される音響波を「超音波」と呼び、送信された超音波が被検体内で反射したものを特に「反射波」と呼ぶ場合もある。
以下、より具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1について図1(a)及び図2を用いて説明する。本実施例の基本構成であるキャビティー構造を有したセル11を示す図1(a)において、セル11と犠牲層エッチングや封止を行うための開口封止部12とが示されている。本実施例の振動膜やエッチング開口部等の形状は円形状であるが、多角形などであっても構わない。また、2つの開口封止部12がセル11に対して対角状に配置されているが、開口封止部の数や配置はどの様なものでもよい。超音波の感度や送信出力等に所望の特性を持たせるためにセル11をアレイ状に配列した静電容量型トランスデューサの例を図1(b)に示す。セル数や配列方法、配線13、14の形状等は特に限定されない。
(実施例1)
本発明の実施例1について図1(a)及び図2を用いて説明する。本実施例の基本構成であるキャビティー構造を有したセル11を示す図1(a)において、セル11と犠牲層エッチングや封止を行うための開口封止部12とが示されている。本実施例の振動膜やエッチング開口部等の形状は円形状であるが、多角形などであっても構わない。また、2つの開口封止部12がセル11に対して対角状に配置されているが、開口封止部の数や配置はどの様なものでもよい。超音波の感度や送信出力等に所望の特性を持たせるためにセル11をアレイ状に配列した静電容量型トランスデューサの例を図1(b)に示す。セル数や配列方法、配線13、14の形状等は特に限定されない。
図2は本実施例の作製方法を示す。図2の(2−1)は、図1のセル11のキャビティー部を横切ったA−B線に沿った断面における工程の進行に伴う構造変化を示し、(2−2)は図1の開口封止部12を横切ったC−D線に沿った断面における構造変化を示す。共に、(a)から(h)は、順に主要な各工程の断面図を示している。
図2の(2−1)及び(2−2)の(a)の工程において、300μm程度の厚さのシリコン基板301上に、第一絶縁膜302、例えば熱酸化膜を厚さ1μmで形成する。熱酸化膜1μmが形成された基板を用いているが、基板表面の平坦性及び下部電極と基板の絶縁性が十分であれば、膜厚や成膜方法はどんなものであっても構わない。また、ガラス基板等の絶縁性基板を用いた場合や基板に対する絶縁が不要な場合は、第一絶縁膜302の形成は必要ない。次に、第一絶縁膜302上に下部電極303を形成する。下部電極303は、スパッタ法を用いて厚さ50nmのチタンを形成している。エッチング選択比が高く耐熱性及び平滑性に優れた材料が望ましく、例えばチタン合金等またはアルミニウム/チタンの積層構造であっても構わない。成膜方法も含め、特に限定されるものではない。
下部電極303上に第二絶縁膜304を形成する。第二絶縁膜304は、PE−CVDにより形成し厚さが100nmの酸化シリコン膜である。ステップカバレッジ性に優れ、犠牲層エッチング時のエッチング選択比が高く平滑性の良い材料が望ましい。窒化シリコン膜等の絶縁膜でも構わない。次に、第二絶縁膜304上に、犠牲層305をキャビティーギャップに応じた厚さに積層させる。例えば、犠牲層305は、電子ビーム蒸着装置を用いて、クロムを厚さ185nmで形成する。メンブレンや電極材料との選択比が高く、グレイン成長等が発生して表面平坦性が悪くならなければ、如何なる材料や成膜方法を用いても構わない。例えばモリブデンやアモルファスシリコンなどの材料を用いてもよい。
次に、(2−1)及び(2−2)の(b)のように犠牲層305を十分に覆うように、第一メンブレン306を形成する。第一メンブレン306は窒化シリコン膜を用いて200nmの厚さで形成する。犠牲層のカバレッジが十分であり、犠牲層エッチング時に十分なばね定数を有してスティッキング等の不良が発生しない厚さが必要である。第一メンブレン306は、窒化シリコン膜を用いており、PE−CVD法により、小さな引張り応力で形成することが可能である。例えば、窒化シリコン膜の応力が0から200MPaの範囲内で形成することが望ましい。メンブレンとしては、熱的に安定でヤング率が十分に高く、かつエッチング選択比や平滑性が高く、応力が制御可能な材料及び成膜方法が望ましい。例えば酸化シリコンやアモルファスシリコンやポリシリコン等でもよい。
次に、(2−1)及び(2−2)の(c)のように上部電極307を第一メンブレン306上に形成する。上部電極307は、電子ビーム蒸着装置を用いて、チタンを形成する。同様に、上部電極307で用いられるチタン膜は、電子ビーム蒸着装置の成膜条件により応力制御が可能であり、低い引張り応力を得ることができる。チタンの厚さは100nmであり、200MPa以下の引張り応力で形成する。また、第一メンブレン306の直径は40μmであり、上部電極307の直径は45μmである。第一メンブレン306と上部電極307は共に引っ張り応力膜を形成することが望ましい。
次に(2−2)の(d)のように、第一メンブレン306の一部を図示のようにエッチング除去する。RIE(Reactive−Dry−Etching)等のドライエッチング装置を用いて、犠牲層エッチング用の開口部より大きい孔308を形成する。孔308は第一メンブレン306を完全に貫通するのが好ましいが、非貫通の孔としても、後述の凹部とエッチング開口部を形成することはできる。次に(2−1)及び(2−2)の(e)に示すように、第二メンブレン309を形成する。第二メンブレン309は200nmの厚さの窒化シリコン膜を形成する。上部電極307を十分に覆い、犠牲層エッチング時に十分なばね定数を有してスティッキング等の不良現象が発生しない厚さが必要である第二メンブレン309は、窒化シリコン膜を用いている。PE−CVD法により、小さな引張り応力で形成することが可能である。例えば窒化シリコン膜の応力が0から200MPaの範囲内で形成することが望ましい。ここでも、メンブレンとしては、熱的に安定でヤング率が十分に高く、かつエッチング選択比や平滑性が高く、応力が制御可能な材料及び成膜方法が望ましい。例えば酸化シリコンやアモルファスシリコンやポリシリコン等でもよい。
次に(2−2)の(f)に示すように、第二メンブレン309の一部(孔308の存在により凹部になった部分)に犠牲層エッチング用の開口部310を形成して、犠牲層305の一部を露出させる。RIE等のドライエッチング装置を用いて、前記孔308ないし凹部の周より小さな周を有する開口部310を形成する。エッチングの際に犠牲層エッチング用のエッチャントの液更新が十分に行える程度の大きさの、例えば直径4μm程度の円形の孔を形成する。
次に(2−1)及び(2−2)の(g)に示すように、前記エッチング開口部310を介して犠牲層エッチングを行い、犠牲層305を除去する。こうして、第一メンブレン306と上部電極307と第二メンブレン309とで構成される振動膜及び振動膜支持体で囲まれたキャビティーが形成される。犠牲層305をクロムで形成している場合、第二セリウムアンモニウムと硝酸などの混合液からなるクロムエッチング液で、クロムをエッチング除去することが可能である。エッチング後、エッチャントを純水等で十分リンスした後に、IPA(イソプロピルアルコール)で純水を置換後にさらに表面張力の小さなHFE(メチルノナフルオロイソブチルエーテル)に置換して、その後に、引き上げ乾燥を行う。スティッキングの発生しない乾燥方法であれば、その手法を限定するものではない。
次に(2−1)及び(2−2)の(h)に示すように、封止膜311を積層する。封止膜311は、PE−CVDを用いて厚さ300nmの窒化シリコンを形成する。犠牲層305も厚さより大きく、厚さ200nmの第二メンブレン309に形成した開口部310の上面から欠陥が消失する厚さ以上の十分な封止厚さが必要である。ここでは、封止前のエッチング開口部31の周りのメンブレン厚さ(本実施例では、第二メンブレン309のみの厚さである)を薄くすることができるので、封止厚も薄くすることができる。
本実施例の静電容量型トランスデューサは、犠牲層エッチングによってキャビティーを形成し、キャビティー上の封止膜をそのまま振動膜のメンブレンの一部として用いる。そして、多層形成されたメンブレンであっても、総合的な膜厚を小さく抑えることが可能となり、周波数帯域を広げることを可能にする作製方法と構造が提供される。封止膜をそのまま振動膜のメンブレンとして兼用する場合、メンブレンの厚さは封止膜の厚さに大きく依存し、封止前のエッチング開口部周辺のメンブレン厚さを薄くすることによって、封止厚も薄くすることができる。結果的に、総合的なメンブレン厚は小さく抑えられ、ばね定数が低減されることによって広帯域化し易くなる。また、エッチング開口部の周りのみのメンブレンの厚さを低減するため、犠牲層エッチング時ではキャビティー上のメンブレン厚さは従来と変わらず、キャビティーのスティッキングは従来と同程度に制御できる。また、メンブレンの周波数特性等が封止膜の膜厚に依存するので、設計マージンを大きく取れるため、余裕のある設計が可能となり歩留まり等の向上等も期待できる。
(実施例2)
本発明の実施例2について図3を用いて説明する。図2と同様に図1のセルの作製方法を示しており、(3−1)は、図1のキャビティー部を含むセル11を横切ったA−B断面図であり、(3−2)は、図1の開口封止部12を横切ったC−D断面図である。本実施例でも、(3−1)及び(3−2)の(a)の工程において、300μm程度の厚さのシリコン基板401上に第一絶縁膜402、例えば熱酸化膜1μmを形成する。基板401及び第一絶縁膜402は、基板表面の平坦性及び絶縁性が十分であれば、どんなものでもよい。該第一絶縁膜402上に下部電極403を形成する。下部電極403は厚さ50nmのチタンを用いている。エッチング選択比や耐熱性が高く、平滑性に優れた材料が望ましく、材料や成膜方法は限定されるものではない。該下部電極403上に第二絶縁膜404を形成する。第二絶縁膜404は、PE−CVDを用いて厚さが100nmの酸化シリコン膜を形成する。ステップカバレッジ性に優れ、犠牲層エッチング時のエッチング選択比の高く平滑性の良い材料が望ましく、特に材料や製法はどの様なものでもよい。次に該第二絶縁膜404上に犠牲層405を形成する。犠牲層405は、電子ビーム蒸着装置を用いて、クロムを厚さ185nmで形成する。メンブレンや電極材料とのエッチング選択比が高く、表面平坦性の良いものが望ましく、どのような材料でも構わない。例えばモリブデンやアモルファスシリコンなどの材料を用いてもよい。
本発明の実施例2について図3を用いて説明する。図2と同様に図1のセルの作製方法を示しており、(3−1)は、図1のキャビティー部を含むセル11を横切ったA−B断面図であり、(3−2)は、図1の開口封止部12を横切ったC−D断面図である。本実施例でも、(3−1)及び(3−2)の(a)の工程において、300μm程度の厚さのシリコン基板401上に第一絶縁膜402、例えば熱酸化膜1μmを形成する。基板401及び第一絶縁膜402は、基板表面の平坦性及び絶縁性が十分であれば、どんなものでもよい。該第一絶縁膜402上に下部電極403を形成する。下部電極403は厚さ50nmのチタンを用いている。エッチング選択比や耐熱性が高く、平滑性に優れた材料が望ましく、材料や成膜方法は限定されるものではない。該下部電極403上に第二絶縁膜404を形成する。第二絶縁膜404は、PE−CVDを用いて厚さが100nmの酸化シリコン膜を形成する。ステップカバレッジ性に優れ、犠牲層エッチング時のエッチング選択比の高く平滑性の良い材料が望ましく、特に材料や製法はどの様なものでもよい。次に該第二絶縁膜404上に犠牲層405を形成する。犠牲層405は、電子ビーム蒸着装置を用いて、クロムを厚さ185nmで形成する。メンブレンや電極材料とのエッチング選択比が高く、表面平坦性の良いものが望ましく、どのような材料でも構わない。例えばモリブデンやアモルファスシリコンなどの材料を用いてもよい。
次に(3−1)及び(3−2)の(b)のように犠牲層405を十分に覆うように、第一メンブレン406を形成する。第一メンブレン406は200nmの厚さの窒化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜はPE−CVD法により、小さな引張り応力で形成することが可能である。その応力が0から200MPaの範囲内で形成することが望ましい。メンブレンとして、熱的に安定でヤング率が十分に高く、かつエッチング選択比や平滑性が高く、応力が制御可能な材料及び成膜方法が望ましい。例えば酸化シリコンやアモルファスシリコンやポリシリコン等でも構わない。
次に(3−1)の(c)のように上部電極407を第一メンブレン306上に形成する。上部電極407は電子ビーム蒸着装置を用いて、チタンを形成する。同時に図3−2の(c)のように、貫通孔であるエッチング用の開口部408を形成したストッパー層を、上部電極407を共用して形成する。上部電極407は、低応力のチタン等で形成することが望ましく、電子ビーム蒸着装置等によって作製される。該チタンの厚さは100nmであり、0から200MPaの引張り応力で形成する。(3−1)の(c)のように、第一メンブレン406で形成されるキャビティーの直径は40μmであり、上部電極407の直径は45μm程度である。(3−2)の(c)のように、開口封止部の犠牲層の大きさは直径10μmである。また、上部電極407で形成されるストッパー層の外径は8μmで、エッチング用の開口部408は4μmの大きさで形成される。
次に(3−1)及び(3−2)の(d)に示すように、第二メンブレン409を形成する。第二メンブレン409は、200nmの厚さの窒化シリコン膜を形成する。第一メンブレン406と同様にPE−CVDを用いて形成される。上部電極407を十分に覆い、犠牲層エッチング時に十分なばね定数を有してスティッキング等の不良が発生しない厚さが必要である。第二メンブレン409は、窒化シリコン膜を用いており、PE−CVD法により、小さな引張り応力で形成することが可能である。例えば窒化シリコン膜の応力が0から200MPaの範囲内で形成することが望ましい。ここでも、メンブレンとして、熱的に安定でヤング率が十分に高く、かつエッチング選択比や平滑性が高く、応力が制御可能な材料及び成膜方法が望ましい。例えば酸化シリコンやアモルファスシリコンやポリシリコン等である。
次に(3−2)の(e)に示すように、孔の形成されたマスクを用いて直径8μm程度の2段封止口ないし凹部410を形成する。フォトリソグラフィー法を用いてRIE等のドライエッチング装置でエッチングする。開口部408を持つ部分の上部電極407はエッチングストッパー層となるため、第二メンブレン409の一部が高精度に除去できる。さらに、図3−2(e)に示すように、上部電極407の中央部(開口部408の部分)はストッパー層が無いため、同様に、この中央部直下の第一メンブレン406がエッチングされ、犠牲層エッチング用の開口部411が形成される。
次に(3−2)の(f)に示すように、不要になった上記マスク及びエッチングストッパー層の役目をした部分の上部電極407を除去する。封止界面に対して異種の材料等を除去するものであり、後述の封止気密性に問題が無ければ、また欠陥修復や接着層として用いる場合は、エッチングストッパー層の役目をした上部電極407を除去する必要は無い。次に(3−1)及び(3−2)の(g)に示すように、前記エッチング開口部411を介して、犠牲層エッチングを行い、犠牲層405を除去する。こうして、第一メンブレン406と上部電極407と第二メンブレン409とで構成される振動膜及び振動膜支持体で囲まれるキャビティーが形成される。犠牲層405がクロムで形成されている場合は、第二セリウムアンモニウムと硝酸などの混合液からなるクロムエッチング液で、エッチング除去することができる。エッチング後、エッチャントを純水等で十分リンスした後にIPAを純水と置換後に表面張力の小さなHFEにさらに置換して、その後に、引き上げ乾燥を行う。スティッキングの発生しない乾燥方法であれば、その手法は限定されない。
次に(3−1)及び(3−2)の(h)に示すように、封止膜412を積層する。封止膜412は、PE−CVDを用いて厚さ300nmの窒化シリコンを形成する。犠牲層405の厚さより大きく、厚さ200nmの第一メンブレン406に形成した開口部411の上面から欠陥が消失する厚さ以上の十分な封止厚さが必要である。図示しないが、下部電極403及び上部電極407と電気接続を行うためのパターニング及びエッチング等を行い、配線等を施すことによって、静電容量型トランスデューサが作製される。
本実施例においても、実施例1と同様な効果が得られる。特に、段差ないし凹部を有した薄化部分に形成される開口部の形成にはエッチングストッパー層を用いるため、キャビティー上のメンブレンの分布は抑制され、基板面内のばらつき(感度や周波数特性のばらつき)が抑制されて形成可能である。
(実施例3)
上記実施例で説明した静電容量型トランスデューサは、音響波を用いた被検体情報取得装置に適用することができる。被検体からの音響波をトランスデューサで受信し、出力される電気信号を用い、光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した被検体情報や音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報を取得することができる。
上記実施例で説明した静電容量型トランスデューサは、音響波を用いた被検体情報取得装置に適用することができる。被検体からの音響波をトランスデューサで受信し、出力される電気信号を用い、光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した被検体情報や音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報を取得することができる。
より詳しくは、本実施例の被検体情報取得装置の1つは、少なくとも、被検体に光(可視光線や赤外線を含む電磁波)を照射する。このことにより被検体内の複数の位置(部位)で発生した光音響波を受信し、被検体内の複数の位置に夫々対応する特性情報の分布を示す特性分布を取得する。光音響波により取得される特性情報とは、光の吸収に関わる特性情報を示し、光照射によって生じた光音響波の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や、吸収係数、組織を構成する物質の濃度、等を反映した特性情報を含む。物質の濃度とは、例えば、酸素飽和度やトータルヘモグロビン濃度や、オキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビン濃度などである。また、被検体情報取得装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを目的とすることもできる。よって、被検体としては生体、具体的には人や動物の乳房、頸部、腹部などの診断対象が想定される。被検体内部にある光吸収体としては、被検体内部で相対的に吸収係数が高い組織を示す。例えば、人体の一部が被検体であれば、オキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを多く含む血管、あるいは新生血管を多く含む腫瘍、頸動脈壁のプラークなどがある。さらには、金粒子やグラファイトなどを利用して、悪性腫瘍などと特異的に結合する分子プローブや、薬剤を伝達するカプセルなども光吸収体となる。
また、光音響波の受信だけでなく、トランスデューサを含むプローブから送信される超音波が被検体内で反射した超音波エコーによる反射波を受信することにより、被検体内の音響特性に関する分布を取得することもできる。この音響特性に関する分布は、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した分布を含む。ただし、超音波の送受信や音響特性に関する分布を取得することは必須ではない。
図4(a)は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置を示したものである。光源2010から発生したパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明の静電容量型トランスデューサ2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。
図4(b)は、音響波の反射を利用した超音波エコー診断装置等の被検体情報取得装置を示したものである。プローブ(探触子)2122内の本発明の静電容量型トランスデューサ2120から被検体2114へ送信された音響波は、反射体2116により反射される。トランスデューサ2120は、反射された音響波(反射波)2118を受信して電気信号に変換し、信号処理部2124に出力する。信号処理部2124は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2126へ出力する。データ処理部2126は、入力された信号を用いて被検体情報(音響インピーダンスの違いを反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでも、信号処理部2124とデータ処理部2126を含めて、処理部という。表示部2128は、データ処理部2126から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。
なお、プローブは、機械的に走査するものであっても、医師や技師等のユーザが被検体に対して移動させるもの(ハンドヘルド型)であってもよい。また、図4(b)のように反射波を用いる装置の場合、音響波を送信するプローブは受信するプローブと別に設けても良い。さらに、図4(a)と(b)の装置の機能をどちらも兼ね備えた装置とし、被検体の光学特性値を反映した被検体情報と、音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報と、をどちらも取得するようにしてもよい。この場合、図4(a)のトランスデューサ2020が光音響波の受信だけでなく、音響波の送信と反射波の受信を行うようにしてもよい。
11・・セル、206・・第一メンブレン、208・・凹部、209・・第二メンブレン、210・・エッチング開口部、211・・封止膜(第三メンブレン)
Claims (12)
- 第一の電極と、該第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセルを含む静電容量型トランスデューサの製造方法であって、
前記キャビティーを形成するための犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層が形成された構造上に第一メンブレンを形成し、前記犠牲層上の前記第一メンブレンにエッチング開口部より大きな周を持つ孔を形成する工程と、
前記孔を持つ第一メンブレンが形成された構造上に第二メンブレンを形成し、前記孔内の前記第二メンブレンの凹部に前記エッチング開口部を形成して前記犠牲層の一部を露出させる工程と、
前記エッチング開口部を介して前記犠牲層を除去する工程と、
前記エッチング開口部を封止するために封止膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする静電容量型トランスデューサの作製方法。 - 前記第一メンブレンに形成された前記孔は、前記第一メンブレンを貫通する孔であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 前記第一メンブレン上に第二の電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 第一の電極と、該第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセルを含む静電容量型トランスデューサの製造方法であって、
キャビティーを形成するための犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層が形成された構造上に第一メンブレンを形成し、前記犠牲層上の前記第一メンブレン上にストッパー層を形成する工程と、
前記ストッパー層に、エッチング開口部を形成するための貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を持つストッパー層が形成された構造上に第二メンブレンを形成する工程と、
前記ストッパー層をエッチングストッパーとして用いて、前記第二メンブレンに前記エッチング開口部より大きな凹部を形成し、該凹部と通じる前記エッチング開口部を前記第一メンブレンに形成して、前記犠牲層の一部を露出させる工程と、
前記エッチング開口部を介して前記犠牲層を除去する工程と、
前記エッチング開口部を封止するために封止膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする静電容量型トランスデューサの作製方法。 - 前記ストッパー層は、前記第一メンブレン上に第二の電極とともに形成されることを特徴とする請求項4に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 前記ストッパー層がチタンまたはアルミニウム/チタンであることを特徴とする請求項4または5に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 前記封止膜を形成する工程において、前記キャビティー上の第二メンブレンの上に第三メンブレンを形成することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 前記第一メンブレンと第二メンブレン及び第三メンブレンが窒化シリコンであることを特徴とする請求項7に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 前記犠牲層は、前記キャビティーになる部分と、該部分に繋がって前記エッチング開口部により一部が露出されてエッチング液の流路になる部分と、を備えて形成されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の静電容量型トランスデューサの作製方法。
- 第一の電極と、該第一の電極とキャビティーを介して対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有するセルを含む静電容量型トランスデューサであって、
前記キャビティーを形成するための犠牲層エッチングの際に用いたエッチング開口部が封止された部分の周りにあって前記振動膜に繋がった部分の厚みが、前記振動膜の厚みから前記第二の電極の厚みを除いた厚みよりも小さいことを特徴とする静電容量型トランスデューサ。 - 音響波を受信するためのプローブであって、
請求項10に記載の静電容量型トランスデューサを有することを特徴とするプローブ。 - 請求項10に記載の静電容量型トランスデューサと、該静電容量型トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、
前記静電容量型トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、前記電気信号を出力することを特徴とする被検体情報取得装置。
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JP2016082407A (ja) * | 2014-10-17 | 2016-05-16 | キヤノン株式会社 | 静電容量型トランスデューサ |
-
2013
- 2013-03-10 JP JP2013047425A patent/JP2014171695A/ja active Pending
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US10371569B2 (en) | 2014-10-17 | 2019-08-06 | Canon Kabushiki Kaisha | Electrostatic capacitance type transducer |
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