図1を用いて実施形態に係る放射線撮影システムの構成例を説明する。
放射線撮影システムは放射線発生装置100を有する。放射線発生装置100は、放射線源110と、放射線絞り111と、高圧電源120と、発生制御回路130と、発生装置操作部145と、照射スイッチ140とを有する。例えば放射線源110は反射型や透過型のターゲットとターゲットに衝突させる電子を生成する電子源とを有し、電子をターゲットに衝突させることにより放射線を発生させる。放射線絞り111は複数の放射線の遮蔽部材を有し、これら遮蔽部材を適切に配置させることで放射線束を所望の形状に整形するもので、例えば照射方向に対して垂直な断面が矩形や円形となるように整形される。高圧電源120は電子源から電子を発生された電子を加速させる電圧を発生させる。発生制御回路130は放射線の発生を制御する。
発生装置操作部145は発生させる放射線の発生条件を設定するための操作部である。例えば管電流、管電圧、mAs値等の形式で発生条件が入力される。発生制御回路130はこれを受けて発生条件に応じた動作を制御する。照射スイッチ140は放射線の発生タイミングを制御するためのスイッチであり、1段目の1stスイッチ141が押下されることでロータアップ信号が発生制御回路130に入力され、発生制御回路130は放射線源110の陽極の回転を開始させる。ロータアップが完了した状態で2段目の2ndスイッチ142が押下されることで曝射信号が発生制御回路130に入力され、放射線の発生が開始される。透過型のターゲットではロータアップは不要であるが、1stスイッチ141による準備動作、2ndスイッチ142による曝射開始という制御の流れを変えなくともよい。あるいは、透過型ターゲットの場合にはスイッチを一段のみとすることも可能である。
上述の放射線発生装置100から発生された放射線は、適切に位置決めされた放射線センサ210により検出される。以下放射線撮影系について説明する。
放射線撮影システムは放射線センサ210と、駆動回路220と、読出回路230と、センサ制御部240と、判定部241と、タイマー242と、操作部250と、設定部260(時間設定部)と、表示部270と、表示制御部271と、メモリ280と、を有する。これらは有線無線のネットワークや、電気的な接続により信号のやり取りが可能となっている。センサ制御部240と、判定部241と、タイマー242と、操作部250と、設定部260と、表示制御部271とにより本システムの制御が行われる。放射線センサ210と駆動回路230とセンサ制御部240とメモリ280とが、放射線撮影部に含まれる。センサ制御部240、判定部241、設定部260、表示制御部271は例えばFPGAにより実装される。後述するこれら各部の機能及び処理を実現するためにハードウェア記述言語を用いてFPGA上の論理回路のコンフィギュレーションデータを生成し、これを用いてFPGAの構成が設定される。
放射線センサ210は放射線の受光に応じて電荷を蓄積する複数の画素が二次元的行列状に配置されており、電荷を蓄積させる蓄積モードと、蓄積電荷に基づく電気信号を読み出す読み出しモードとを有する。例えば放射線センサ210は、その行毎に駆動回路220と接続する行選択線が、列毎に読出回路230と接続する列信号線が設けられている。各画素はPINやMIS型の光電変換素子と、光電変換素子を列信号線と接続するTFTとを有しており、TFTのベース側電極に列選択線が接続され、駆動回路220よりオンオフが制御される。TFTをオンとした場合、画素に電荷を蓄積される蓄積状態あるいは蓄積モードとなり、TFTをオフとした場合、蓄積された電荷を読み出す読み出し状態あるいは読み出しモードとなる。
この放射線センサ210を読み出しモードから蓄積モードへと遷移させるタイミングが、操作部250、設定部260、タイマー242、判定部241、及びセンサ制御部240により制御される。操作部250はハードボタンや表示部270上の表示画面で表示されたソフトボタン等であり、待機時間の設定を行うためのユーザからの時間の入力と撮影動作を開始する旨の指示入力とを受け付ける。設定部260は入力された時間の情報を待機時間の情報としてメモリに格納する。また操作部250により指示入力がされたことに応じて、放射線撮影システムは当該待機時間の計時を開始する。
タイマー242は例えばクロックパルス発生器と、クロックパルスを利用して一定間隔でカウントアップを繰り返し、カウント値を出力するカウンタ回路を有する。判定部241はこのタイマー242を監視し当該確定の入力があった時から起算して待機時間が経過したかを判定する判定処理を繰り返し行う。このようにすることでタイマー242、判定部241により、ユーザにより入力された待機時間の経過を判定することができる。
センサ制御部240はこの待機時間が経過した後、例えば駆動回路220にモードの遷移を指示するための制御信号を送信し放射線センサ210を蓄積モードへと遷移させる制御を行う。これによりユーザにより入力された所望の時間だけ待機した後に放射線センサ210を蓄積状態とすることができる。
このように放射線センサ210が蓄積動作を開始したタイミングに合わせて操作者がX線を照射することで撮影を行うモードである。X線を照射することが可能なタイミングを使用者に対して報知し、報知に合わせて使用者が照射を行うことで、X線の照射タイミングと撮影タイミングとを同期させて撮影を行うことができる。
蓄積モードへの遷移前にユーザ可変の待機時間を設けることで、蓄積モードの開始タイミングをユーザの望むタイミングとすることができる。例えば、直ちに放射線撮影を開始しても問題ない場合には、待機時間を3秒以下もしくは1秒以下とすることで直ちに蓄積状態に入り撮影を開始することが可能である。ここで待機時間を0秒に設定、即ち待機をさせないで指示に応じて直ちに蓄積状態とすることももちろん可能である。逆に、被検者とタイミングを合わせる場合や、余裕を持たせたい場合など、待機時間を10秒程度に設定する事も可能である。
ユーザはこの蓄積状態への遷移に合わせて照射スイッチ140を押下し放射線発生装置100に放射線を発生させれば、蓄積状態にある放射線センサ210により放射線の強度に応じた電荷を蓄積させることができる。その後例えば予め定められた固定の蓄積時間が経過した後、蓄積期間の終了に応じてセンサ制御部240は駆動回路220に指示を出力し放射線センサ210を読み出しモードに遷移させる。読出回路230により読み出された電気信号を増幅、A/D変換してデジタル放射線画像データを生成する。メモリ280はこのデジタル放射線画像データを格納する。メモリ280には放射線画像データに加え、各種撮影条件や設定値なども記憶される。画像確認端末275は例えば有線及び無線通信可能な通信部と表示制御部と表示部とを有し、このデジタル放射線画像データを通信部により受信し表示制御部が表示部に表示させる。また通信部を介して、有線または無線通信により、外部のサーバー等に画像を送信し保存させることも可能である。
ここで放射線撮影システムは表示部270及び表示制御部271を設けることができる。例えば表示制御部271は、指示入力がされてから待機時間が経過するまでの間は、放射線の照射をすべきでない期間であることを示す表示を表示部271に表示させる。これによりユーザは蓄積すべきでない期間を表示部270からも把握することができる。また例えば表示制御部271は、待機時間の経過、あるいは蓄積モードへの遷移に応じて照射を開始すべきことを示す表示を表示部270に表示させる。これにより、ユーザは撮影すべきタイミングを表示部271からも把握することができる。
加えて表示制御部271は、放射線を照射すべき時刻までの残り時間に応じた表示を表示部270で表示させることにより、ユーザにとって照射スイッチを押下すべきタイミングの把握がきわめて容易になる。待機時間が経過するまでの残り時間に応じた表示は例えば、表示部270に残り時間のカウントダウン表示やLEDの点滅の間隔を段階的に短くする表示が考えられる。
その他、実施形態にかかる放射線撮影システムに放射線撮影系と放射線発生装置100とを電気的に接続する放射線発生部IF(インタフェース)222を設けることができる。放射線発生部IF222は放射線発生装置100との間で放射線発生と蓄積モードとの同期を取るための同期信号を授受するためのユニットである。放射線発生装置100に放射線の発生タイミングを出力するインタフェースが設けられていれば、インタフェース同士を接続し同期させることができる。同期信号のやり取りの1例では、1stスイッチ141が押下されてロータアップが完了し、かつ、2ndスイッチ142が押下された場合に発生制御回路130は放射線の曝射許可を要求する信号を出力する。この信号を放射線発生部IF222で受信する。センサ制御部240はこれに応じて放射線センサ210を蓄積モードへと遷移させる。この際に、放射線センサ210に蓄積した電荷を読み出す制御や、その他所定の初期化処理をしても良い。蓄積モードへと遷移することに応じてセンサ制御部240は放射線発生部IF222を通じて曝射許可信号を送信する。発生制御回路130はこれを受けて、放射線源110から放射線を発生させることとなる。このような同期制御を行うことで、照射スイッチの押下という従来のアナログフィルムと同様の操作で、放射線センサ210による放射線撮影を確実に行うことができる。しかしながら、放射線発生装置100と放射線撮影系の製造業者の違いや、放射線発生装置100の形式によってはインタフェースを有していないものもある。そのような場合には、上述したタイマー制御と表示制御により、ユーザが照射タイミングを合わせることで簡易に放射線センサ210を用いた放射線撮影を行うことができる。
その他実施形態にかかる放射線撮影系に放射線検知回路221を設けることができる。放射線検知回路221は、上述のような放射線発生装置100と同期が取れない場合に、放射線発生装置100からの放射線の照射を検知して画像を得るために用いられる。放射線検知回路221は例えば放射線センサ210の画素を監視し、画素から出力される電流を監視することで放射線の発生を検知する。あるいは放射線センサ210とは別に放射線に感度を有する半導体素子等を用いた専用のセンサを放射線センサ210の前面または外周部あるいは裏面に配置し、このセンサの出力に応じて放射線の照射を検知することができる。放射線センサ210は、例えば放射線の照射検知前までは読み出しモードとしておき、放射線の照射検知に応じて蓄積モードへと遷移させることで、放射線画像を得ることができる。また別の例では、放射線の照射検知前から蓄積と読出しを繰り返し行い、放射線が照射された期間に読み出されたデータを用いて放射線画像データを生成することができる。
かかる放射線検知回路221による放射線センサ210の制御も可能であるが、特殊な撮影、例えばきわめて低い線量で撮影される場合には、放射線の検知が遅れてしまい適切な撮影が出来ない場合がある。その他、放射線検知回路を用いる場合には放射線の検知前に放射線センサを所定の駆動で動作させる必要がある。
上述したタイマーを用いた撮影制御(第一の制御)、放射線照射検知回路を用いた撮影制御(第二の制御)、放射線発生装置IF222を用いた同期撮影制御(第三の制御)、のうちどの撮影モードを利用するかは、システム構成、撮影が行われる環境、撮影条件等に合わせて適宜選択されるべきである。例えば設定部260は操作部250からの操作や外部からの信号に応じて撮影モードの設定を切り替える。同期撮影を行う場合には撮影モード設定値を0、放射線照射検知回路を用いる場合は撮影モード設定値を1、タイマーを用いた撮影を行う場合には2として、それぞれメモリに格納する。この設定値を適宜参照して、撮影の際に設定されたモードで動作させる。
図2に基づいて放射線センサ210及びそれに付随する回路の構成例を説明する。図2では、簡便化のため2行×2列の2次元マトリックス状に複数の画素(2次元センサ)が配置された放射線センサ210の固体撮像素子とこれに付随する回路が示されている。実際には、実際には数千行×数千列の画素を有したものがX線センサ部として用いられる。画素の行数・列数、及び画素数は限定されるものではない。また実施形態の1つではこの固体撮像素子に対して放射線を可視光に変換する蛍光体が積層される。別の例では、固体撮像素子自体が放射線を電気信号に変換する。
放射線センサ210の画素は光電変換素子207と、その一端に接続されるTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)204とを有する。光電変換素子207の他端にはバイアス線206を介してバイアス電源209が接続される。TFT204は光電変換素子207と列信号線202との接続、非接続を切り替えるスイッチ素子として機能する。TFT204のベース側電極には行選択線が接続される。TFT204は行毎に共通の行選択線201を介して駆動回路220により制御される。駆動回路220は例えば一方向に順次信号を出力するシフトレジスタを有しており、入力されるクロックパルスに合わせて順次1の行選択線201に電圧が印加され、これに応じて電圧が印加された行選択線201と接続するTFT204がオン状態とされる。電圧の印加によるTFT204をオン状態とする動作を行の選択と呼び、順次行の選択を行うことを放射線センサ210の走査と呼ぶ。上述の読み出しモードあるいは読み出し状態とは、図2の実施例では走査が順次実行されている状態を指す。また、上述の蓄積モードあるいは蓄積状態とは、図2の実施例では画像の生成に用いられるいずれのTFT204についてもオフ状態とされている状態を指す。
光電変換素子としてはCCDの他、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いた各種素子が知られている。そうした素子においては、その光電変換の方式に依らず、無照射状態であっても暗電流による電荷が蓄積されていくことが知られている。こうした暗電流による電荷は、特に微小信号での撮影時にノイズの原因となり、画質を劣化させるだけではなく、光電変換素子の感度を低下させる要因となる。そのため、無信号状態においても定期的に素子中に蓄積された暗電流による電荷を除去することなどを目的としたリセット動作が必要となる。なおリセット動作を実施している間は電荷を蓄積することが出来ないため、X線の照射を実施しても所望の画像を得ることが出来ない。リセット動作は、例えばTFT204を用いた読出しモードにより実行される。また別の例ではTFT204に加えてリセット専用のTFTを光電変換素子に接続することとしてもよい。
放射線センサ210から列信号線を介して読み出される電気信号は読出回路230に入力される。読出回路230は例えば増幅器とAD変換器を有し、読み出されたアナログ電気信号を増幅し、デジタル値に変換することでデジタル放射線画像データを得る。実際にはこのデジタル放射線画像データには、放射線の照射に応じて光電変換素子207で得られる電荷に加えて、光電変換素子207が受光せずとも発生させてしまういわゆる暗電荷の両方に対応するデータとなっているので、暗電荷に対応する暗電流データ成分を補正する暗電流補正回路を設ける。その他、各画素の感度のばらつきを補正するいわゆるゲイン補正や、欠陥画素を補正する欠陥画素補正回路を設けることができる。
放射線検知回路221を用いた駆動の例を説明する。センサ制御部240は、駆動回路220を駆動して、1つ又は複数の行ごとにTFT204を一定期間オンする走査を行う。駆動回路220からTFT204にパルス信号が与えられることにより、当該TFT204が一定期間オンする。走査する順番や、同時にTFT204をオンする行数は問わない。
駆動回路220はセンサ制御部240の制御のもと、X線の照射を検出するまで走査を行う。全ての走査線を駆動した場合、X線撮影装置101は、最初に駆動した走査線から再度駆動を繰り返す。
走査線の駆動が行われている間、放射線検知回路221は、バイアス電源209に接続されたバイアス線206に流れる電流を、電流−電圧変換回路、増幅器、AD変換器、及び信号処理回路を通してデジタル値へ変換する。そして、比較器は、前記デジタル値と所定の閾値との比較を行い、この比較の結果を示す信号を、X線照射検出信号としてセンサ制御部240等へ出力する。ここで、センサ制御部240は、デジタル値が所定の閾値を超える場合、バイアス線206に流れる電流の変化があり、X線の照射を検出したと判断できる。また、放射線検知回路221は、前記デジタル値を記憶回路に順次記憶する。これらの動作を行っている状態が前記X線照射検出状態に相当する。尚、バイアス電源209は、光電変換素子207にバイアス電圧を供給するためのものである。
AD変換器のサンプリング頻度は任意であり、ある走査線のTFT204をオンしているタイミングにおいて複数回サンプリングしてもよいが、最終的には加算平均等をして一行に対して一つのデジタル値とすることがデータ処理においては望ましい。また、ある走査線を選択している状態において、TFT204をオンしている状態での前記デジタル値と、TFT204をオフしている状態での前記デジタル値とを取得し、これらの差分を算出する相関二重サンプリングを行うことが望ましい。外来的なノイズへの耐性を高めることができるからである。前記デジタル値は、走査に同調して順次値が更新される。したがって、記憶回路は、前記デジタル値を順次上書きして更新し、少なくとも、全走査線につき1つのデジタル値が保持できる容量を持つことが望ましい。
X線管球102からX線が照射されると、不図示の蛍光体層からの発光により光電変換素子207に電荷が生じてバイアス線206に流出する。これによりバイアス線206に流れる電流に変化が生じる。放射線検知回路221は、前述の回路(電流−電圧変換回路、増幅器、AD変換器、及び信号処理回路)を通して、この電流の変化を検出し、前述した走査を停止する指示をセンサ制御部240に出力する。これにより、X線センサ部201は、X線の照射に起因する電荷蓄積状態に遷移する。走査が停止すると、記憶回路は、前記デジタル値の更新を停止して当該デジタル値を保持し、センサ制御部240は、走査を停止した走査線を特定する走査線番号(走査線位置情報)を不図示のレジスタに記憶する。尚、走査を停止した位置を特定できれば、必ずしも走査線番号を用いる必要はない。
センサ制御部240からの指示に基づき、駆動回路220によってリセット、放射線検知駆動、電荷の蓄積、あるいは読み出しといった各種動作状態に制御される。なお電荷の蓄積を行う動作は、被写体のX線画像の撮影動作に等しいため、以下では撮影動作と記す。
本実施形態では、バイアス線206に流れる電流を、X線の照射の検出に使用する例を示した。しかしながら、X線撮影装置101の内部に流れる電流であって、X線の照射の検出により値が変化する電流を使用していれば、必ずしもバイアス線206に流れる電流を使用する必要はない。
図3に基づいて放射線撮影システムの構成例を説明する。図3に示す例では、放射線センサ210、駆動回路220、読出回路230、センサ制御部240、メモリ280、バッテリ290が筐体に収納された可搬型の放射線撮影装置200を有する。またセンサ制御部240内に上述した撮影制御機能のほか、表示制御部、タイマー242、判定部、設定部260を有している。ここでセンサ制御部240は例えば単一または複数のFPGAにより実装される。バッテリ290は放射線撮影装置200内の各部に電力を供給するための電源である。
実施例の1つでは放射線撮影装置200に別体の報知部600を有線または無線で接続させる。報知部600は、放射線センサ201を用いた放射線撮影に関するインジケータの一例である。放射線撮影装置200が例えばベッドに横になっている被検者の背中側に配置される場合のように、放射線撮影装置200の筐体側面に配置された表示部270が被検者で隠されてしまっている場合でも操作者に放射線撮影装置200の状態を報知させるべく設けられる。報知部600は報知表示部610、報知発光部620、報知発音部630、報知制御部640を有する。報知表示部610は例えば液晶ディスプレイにより文字列やアイコン等の情報を表示する。報知発光部620はLEDなどを有し発光のパターンにより放射線撮影装置200の状態を報知する。報知発音部630はスピーカにより音声を発する。これらのユニットを制御する報知制御部640を有する。報知制御部640は、待機時間の計時開始を示す第一の信号と、計時開始から待機時間が経過したことを示す第二の信号と、を有線または無線を介して受信する。更に報知制御部640は、設定部260により設定された待機時間の経過が判定される前に該待機時間が経過するまでの残り時間に応じた報知と、待機時間の経過が判定されたことに応じて照射を開始すべきことを示す報知とを報知部に行なわせる。このような別体の報知装置を用いることで、操作者はX線検出装置から離れた位置からも照射を行うタイミングを把握することが出来る。
図4は本実施形態における可搬型の放射線撮影装置200の外観図である。平板状の筐体の第一の側面に、操作部250、表示部270が配置されている。操作部250として2つの選択ボタンと、確定入力を行なうためのボタンとが配置されている。また放射線撮影装置200の電源ONOFFを切り替えるための電源ボタン251が、操作部250とは異なる側面に配置されている。バッテリ290は放射線入射方向側の放射線入射面に対する裏面側に着脱可能に配置される。
なお、操作部250等の配置箇所は図4の例のほか、撮影に影響のない範囲で任意の箇所に配置することができる。
また別の例では、操作部250及び表示部270を放射線撮影装置200とは別のリモートコントローラ装置に設け、リモートコントローラ装置からの赤外線信号を放射線撮影装置200側に設けられた赤外線通信部により受信することとすれば、放射線撮影装置200をポジショニングした後であっても容易に操作設定をすることが可能である。
更に別の例では、操作部250、表示部270、無線通信回路、及びバッテリとこれを格納する筐体を放射線撮影装置200から着脱可能なリモコンとし、放射線撮影装置200側の無線通信回路と通信可能とする。取り外して使用する場合には無線通信回路を通じて操作信号をやり取りし放射線撮影装置200の操作が可能であり、装着した場合には金属端子を通じてバッテリに給電可能とすれば取り扱いが容易である。この着脱可能なリモコンは更に上述の報知部600の機能を備えることとすれば更に使い勝手が向上する。
図5に基づいて上述の構成を有する放射線撮影システムの撮影動作の例を説明する。下記の例は、放射線発生と放射線センサ210による放射線撮影とのタイミングを、タイマー及び表示部の表示を利用して操作者が合わせる撮影モードでの動作例である。
まず放射線発生装置100の動作を開始する(S100)。次いで放射線発生装置において、放射線発生装置に設けられている発生装置操作部145からの操作入力に応じて発生制御回路130がX線照射条件の設定を行う(S110)。ここでX線照射条件は、例えば管電流、管電圧、照射時間のパラメータ等の発生されるX線に関する条件や、放射線絞り111と放射線センサ210あるいは被検体との間の距離によりにより定められる照射範囲の条件等がある。放射線絞り111は発生装置操作部145の操作と連動していてもよいし、別途手動で設定されることとしてもよい。X線照射条件の設定後、ステップS120で発生制御回路130は照射ボタンが押下されたか否かを判定する判定処理が繰り返される。照射スイッチが押下されたと判定された場合、ステップS130に進み、発生制御回路130は高圧電源120を制御し放射線源110から放射線を発生させる。発生制御回路130は次の撮影が継続して行われるか否かの判定処理を繰り返す。次の撮影が無い場合には、動作を終了し、次の撮影が継続される場合には、ステップS110で再び照射条件が設定される。
上述の動作と前後して、放射線センサ210側の撮影系が起動し、動作が開始される。動作の開始時に外部からの信号あるいは操作部250からの操作入力、あるいは既定の設定情報に基づいて撮影モードが選択される(S200)。図5の例ではタイマー242による撮影モードが選択されている。
次に設定部260は操作部250からの操作入力を介して撮影までの待機時間の設定(S210)を行う。ここで照射までの待機時間は、撮影開始ボタンの押下(S220)から実際に撮影動作が行われるまでの時間を設定するものであり、例えば撮影系と照射スイッチ140が離れた位置にある場合、一定の時間を設定することで、撮影系と被検体の位置合わせを行なった後、余裕を持って照射スイッチ140の操作を行うことができる。逆に設定時間を短くすることで、照射のタイミング制御をより行いやすくする場合がある。こうした各種の状況に合わせて操作者が最も適切な撮影タイミングを設定して撮影を行うことが可能である。設定値は待機時間を計測するタイマー242や判定部241に入力され、また待機時間の残時間を表示するために表示制御部241に入力される。
ここで設定部260は、待機時間だけでなく、蓄積時間を設定することもできる(S215)。蓄積時間は待機時間経過後放射線センサ210のTFT204をオフ状態にする期間の長さを定める量である。蓄積時間が長いほど照射時間の長い放射線撮影に対応でき、またタイマー242を用いた撮影の場合には操作者がタイミングを取りやすい。一方で蓄積時間が短い場合、暗電流の蓄積時間が短くなるためダイナミックレンジや画質が向上できる。蓄積時間についても各種状況に合わせ、設定部260が操作部250からの操作入力に応じて設定する。設定値はセンサ制御240に入力され、駆動回路220の駆動制御に用いられる。
上記設定後、判定部241は撮影開始ボタンの押下がされたか否かの判定処理を繰り返す(S220)。ここで撮影開始ボタンは例えば操作部250に設けられており、押下されることに応じてタイマー242による待機時間の計時を開始するための指示信号が判定部241に入力される。その他の撮影モード、例えば放射線検知回路221で放射線の照射を検知する場合には撮影開始の指示に応じて検知回路221による照射開始の判定処理が開始される。放射線発生部IF222を利用した撮影の場合には、センサに蓄積モードと読み取りモードとを繰り返す待機駆動を実行させるとともに、放射線発生部IF222を介した照射許可の要求信号を待つこととなる。上述の動作は待機時間が正値に設定された場合であり、待機時間を0と設定した場合にはS240の待機時間の計時処理が省略され、センサ制御部240に対して蓄積動作の開始が指示されることとなる。
指示信号が入力されることに応じてステップS240で判定部241及びタイマー242で計時を開始し、合わせて表示制御部271は表示部270に待機時間の残時間を表示させ順次当該表示を更新する。ここでタイマー242は撮影指示に応じて起動させてもよいし、あるいは動作を続けているクロックパルス発生器からのクロックのサンプリングを開始させることとしてもよい。タイマー242はカウンタ値を順次出力し、判定部241はこのカウンタ値に基づいて撮影開始の指示信号があってから待機時間が経過したか否かの判定処理を続ける。表示制御部271はタイマー242から出力されるカウンタ値を参照し、残時間を適宜算出し、これを表示制御部270に表示させる。あるいは判定部241で待機時間の経過判定に加え、待機時間と経過時間を比較することにより残時間の判定とを行うこととしてもよい。この場合例えば表示制御部271は判定部241から残時間の情報を受け取り表示部270に表示させる。カウントダウン中は、例えば図4(d)に示すように撮影までの残り時間が表示される。このとき例えばLEDの点灯パターンや音声によってカウントダウンを表示することも可能である。
設定された待機時間が経過すると、センサ制御部240は駆動回路220を介して放射線センサ210を蓄積状態とする(S241)。蓄積状態とする前に所定の初期化処理、例えば読出しモードと蓄積モードを所定回数繰り返して放射線センサ210を安定化させる場合には、待機時間の終了と同時に蓄積動作が開始できるよう、ステップS240のカウントダウン表示処理中に初期化動作が行われる。
設定された待機時間の経過と蓄積の開始に応じて表示制御部271は「X線の照射が可能である」旨の表示を表示部270で行う(S250)。かかる表示は、表示中に放射線の照射をした場合には放射線センサ210が照射された放射線を検出し放射線画像を得られる状態であることを示している。さらには、所定の照射時間内であれば、放射線センサ210の蓄積期間に放射線照射期間を包含することができる旨を示している。表示は表示部270に加えて、あるいは表示部270での表示に代えて、図3に示すよう別体の報知部600において行うことで例えば可搬型の放射線撮影装置200を臥位の被検体の背中側に配置する場合には、放射線センサ210の駆動状況が分かりやすく、タイミングを取りやすい。
表示制御部271は照射可能の旨を設定された蓄積時間の間継続的に表示し、蓄積が終了するタイミングに先立って表示が終了する。(S250)
ここで例えば、表示部270における放射線の照射をしても良い旨の表示が終了する直前に放射線の照射を開始したとしても、蓄積期間に放射線の照射が収まるよう、蓄積期間の終了に先立って表示が終了される。例えば、許容する放射線照射時間が300msecであり、蓄積時間が3000msecである場合には、蓄積開始から2700msec経過した時点で表示部270での表示が終了するよう表示制御部271の表示制御が行なわれる。このように、放射線撮影を許容する表示を行う期間は、放射線センサ210による蓄積動作の期間よりも長くなるように表示制御271及びセンサ制御部241が動作する。こうすることで、放射線の照射される期間が蓄積期間を超えて照射され、無効曝射を生じる可能性を低減することができる。
ここで例えば設定部260による蓄積時間の設定に代えて、表示部270が放射線撮影を許容する表示を継続する期間を設定部260で設定することとすれば、操作者から見たとき操作部250を介して設定した期間だけ放射線の照射開始が許容されることとなり、使い勝手が向上する。あるいは、操作部250からの操作入力に応じて蓄積時間と、放射線の照射時間とを取得し、放射線の照射開始が許容される期間を設定部260で算出し、表示制御部271により表示部270で表示させることとすれば、操作者はよりタイミングを取りやすくなる。
操作者は表示を確認し、表示が継続している間に照射ボタン140を押下することでX線の照射が行なわれることとなる(S120およびS130)。その後、センサ制御部240は放射線センサ210による蓄積動作を終了させ(S260)、読出回路230を動作させて放射線画像データを得る。放射線画像データは暗電流補正、ゲイン補正、欠陥補正等のセンサ特性補正処理が画像処理回路で行われる(S270)。画像処理回路は例えばセンサ制御部240とともにFPGA上実装される。その他、階調変換、ダイナミックレンジ圧縮処理、ノイズ低減処理等の高品質化処理を画像処理回路で行うこととしてもよい。その後、表示部270や画像確認端末275で処理後の放射線画像データを表示する(S280)。その後、次の撮影が継続されるか否かを判定する(S285)。継続される場合には再び待機時間の設定処理に進み、継続されない場合には動作を終了する。例えば操作部250のボタンが押下されることに応じて動作の継続是非が判定される。
上述の通り、本実施形態のようにX線照射と撮影とのタイミング同期を電気的に行わないシステムにおいては、X線を照射可能なタイミング、すなわち蓄積を行っているタイミングを明確に使用者に対して報知することが重要である。報知のタイミングと実際の蓄積のタイミングとがずれた場合、不適切なタイミングでX線の照射を行ってしまう可能性があり、撮影される患者に不要な被曝を強いることとなる。こうした問題を避けるために、蓄積が開始された後に、照射可能の表示を行い、蓄積終了の前に照射可能の表示を終了することで、照射可能の表示中は確実に蓄積が行われるように制御している。
このようにすることで、X線の照射タイミングとX線の撮影タイミングを確実に合わせてX線画像を撮影することができる。
図6に基づいて操作部250及び報知部270の構成例を説明する。操作部250からの操作入力に合わせて設定部260がこれらの操作入力を取り込み放射線撮影装置200の動作条件として設定する。図6に示す例では、3つのボタンからなる操作部250が設けられている。うち2つのボタンは数値や文字を選択するためのボタンであり、それぞれを押下することで数字や文字などを1つずつ選択して入力することができる。選択された数値や文字は、設定部260によってその情報が一時的なメモリに格納されるとともに、入力に応じて適宜更新される。また入力に応じて表示制御部271は上記一時的なメモリを参照して現在選択されている数値や文字を表示部270に表示させる。操作部250のもう1つのボタンは入力された数値を確定させる確定入力をするためのボタンであり、確定入力に応じて設定部260は、現在選択されている数値や文字を動作条件として設定する。そのため、ユーザは操作部250を操作して数値や文字を選択し、表示部270の表示を確認し、操作部250を押下することで設定値が確定する。図6(a)は撮影までの待ち時間の設定画面であり、ステップS210の設定処理に対応する操作入力を行う際の画面である。操作部250のEnterボタン押下に応じて設定部260により待機時間が設定される。図6(b)はステップS215の蓄積時間の設定処理に対応する操作入力を行う際の画面である。操作部250のEnterボタン押下に応じて設定部260により蓄積時間が設定される。図6(c)はステップS220の撮影開始の指示に対応する操作入力を行う際の画面である。操作部250のEnterボタン押下に応じて判定部241に待機時間の計時開始が指示するための指示信号が操作部250から判定部241へと出力される。図6(d)はステップ240のカウントダウン表示に対応する表示部270の表示を示す。図6(e)はステップS250の放射線の照射開始を許容する旨の表示を示す。
なお表示部270としては図6に示すようなディスプレイに限らず、複数のLEDによる点灯表示でも良く、あるいは表示に限らずスピーカなどを用いる形態であっても構わない。また操作部260についても、スクロールホイールやダイヤル、バーコードリーダーあるいはマイクを使用した音声入力手段など、その形態に特に限定はない。また押しボタンの他、タッチパネルセンサーなども用いることが出来る。また表示部270及び操作部250としてタッチパネルディスプレイを用いて、表示部270に表示したGUI上のボタンを用いることも可能である。
図7に基づいて動作モードの設定処理を説明する。当該処理は、図5の実施例との関係ではステップS210の前処理に対応する処理である。
ステップS2001でセンサ制御部240は操作部250、設定部260、表示制御部271、及び表示部270を起動する。またバイアス電源209から放射線センサ210に電力を供給させる。また駆動回路220にも電源を供給する。なおこの時点では放射線センサ210への電力供給はしないこととしてもよい。
ステップS2002で操作部250は操作者から撮影モードを指示する操作入力を受け付ける。操作部250は、例えば各撮影モードに対応するボタンを設けておき、ユーザが押下することで各動作モードが指示される。ステップS2003で設定部260は指示された動作モードが同期モードであるか否かを判定する。同期モードで無いと判定された場合、ステップS2004で設定部は指示された動作モードがオートトリガモードであるか否かを判定する。オートトリガモードで無いと判定された場合、ステップS2005で設定部は手動同期モード、つまりタイマー242を用いた撮影モードであると判定し、ステップS2005で手動同期モードでの動作を開始する。ステップS2005での動作は例えば図5のフローチャートを用いて説明した処理と同様の処理が行われる。ステップS2006でモード変更を指示する操作入力があったか否かを設定部260で判定する処理を繰り返す。変更指示があった場合にはステップS2003に進む。ステップS2007で撮影を終了するか否か例えば操作部250からのかかる操作入力があったかを設定部260で判定する。終了しない場合にはステップS2005に進み手動同期モードでの動作を継続させる。
一方ステップS2003で同期モードであると判定された場合、放射線発生部IF222を用いた撮影モードの動作を開始する(S2008)。ここで例えば設定部260やセンサ制御部240から放射線発生部IF222にPingを送信することで、放射線発生部IF222の接続及び電源投入を確認する。また、放射線発生部IF222を介した放射線発生装置との接続を確認する。接続が確認できた場合には、放射線撮影システムは放射線発生部IF222を介した同期モードでの動作を行う。ここで、例えば放射線発生部IF222とセンサ制御部240との接続が確認できない等、同期モードでの動作に問題(エラー)が発生したか否かを設定部260が判定する(S2009)。問題が無いと判定された場合には動作が継続されるが、問題があると判定された場合、同期モードでの動作は不可能と判定され、設定部260は手動同期モードに設定する。このようにすることで、同期モードで撮影できない場合にも、放射線撮影を実行可能とすることで、修理や問題解決を待たずとも放射線撮影が実行でき、緊急の撮影に対応することができる。
同期モード動作の継続が不可能と判定される場合とは、上述の例のほか、放射線発生部IF222と放射線発生装置との接続が確認できない場合がある。例えば図1の例のように放射線発生部に放射線発生部IF222との接続インタフェースを有していない場合には、単純に接続が切れている場合、物理的に接続されているが電気的な接続がされていない場合等が考えられる。ここで表示制御部271は問題の種類別に問題の内容を表示部270に表示させることとすれば、操作者はシステム構成等を確認し問題の解決に当たりやすくなる。更に操作部260からのモード変更承認入力に応じて同期モードから手動同期モードへと変更することとすれば、意図しない撮影モードで動作してしまい誤撮影を起こしてしまう可能性を減らすことができる。
ステップS2010でのモード変更の判定処理、ステップS2011での終了判定処理はステップS2005及びS2006の処理と同様であるため説明を省略する。
ステップS2004でオートトリガモードが指示されたと判定された場合、放射線撮影システムは放射線検知回路221を用いた撮影モードの動作を開始する(S2012)。センサ制御部240は放射線検知回路221に対する電力供給を開始するとともに、必要に応じて放射線センサ210に駆動を開始させる。ここで、放射線検知回路221に問題が生じた場合等、オートトリガモードでの動作に問題が発生しているか否かを設定部260が判定する(S2013)。問題が無いと判定された場合には動作が継続されるが、問題があると判定された場合、オートトリガモードでの動作は不可能と判定され、設定部260は手動同期モードに設定する。このようにすることで、オートトリガモードで撮影できない場合にも、放射線撮影を実行可能とすることで、修理や問題解決を待たずとも放射線撮影が実行でき、緊急の撮影に対応することができる。
オートトリガモード動作の継続が不可能と判定される場合とは、上述の例のほか、放射線検知回路221で照射開始が検知できないような発生条件である場合がある。きわめて低い線量での放射線発生や、照射時間が極めて短い時間での放射線発生である場合に、は放射線検知回路221で放射線の照射開始を適切なタイミングで検知することが困難である場合がある。このような場合には、同期モードや、手動同期モードで動作させることが望ましい。例えば操作部260を介して入力された照射条件でオートトリガモードでの動作が可能か否かを判定することにより、撮影モードと照射条件との適合性を設定部260で判定する。その他、バッテリ290の電力の残量が所定の閾値以下である場合には、消費電力の大きいオートトリガモードを禁止し、手動同期モードへと遷移させることで、電力の残量が少ない場合においてもより多くの撮影を行うことができる。
ステップS2014でのモード変更の判定処理、ステップS2015での終了判定処理はステップS2005及びS2006の処理と同様であるため説明を省略する。
ここで、手動同期モードで撮影が行われた後、次の撮影予約情報がある場合には、オートトリガモードあるいは同期モードへのモード切り換えが可能か否か設定部260で判定する。モード切り換えの判定は、同期モードあるいはオートトリガモードでの動作に問題が無いか否かを上述の処理と同様に判定される。ここで同期モードの実行が可能と判定された場合には、設定部260は手動同期モードからオートトリガモードへと設定を切り替える。オートトリガモードの実行が可能と判定された場合には、設定部260は手動同期モードからオートトリガモードへと設定を切り替える。このようにすることで、操作者がタイミングを取る必要が無くなり、操作者の負担を軽減することができる。
その他の例では、あくまで手動同期モードを緊急避難的なモードとして取り扱う。例えば、手動同期モードはユーザが操作部250を介して指示した場合にのみ実行するモードとし、オートトリガモードが実行可能な場合には自動的に設定部260がオートトリガモードで実行する設定を行う。そして、仮に手動同期モードが指示され、手動同期モードでの撮影が行われた場合、当該撮影が完了したことに応じて設定部260が手動同期モードからオートトリガモードに設定を切り替える。例えば、1検査に複数の撮影部位が含まれている場合に、第一の撮影部位についての第一の放射線撮影が終了した場合に、第二の撮影部位についての第二の放射線撮影を実行する際の撮影モードを設定部260が手動同期モードからオートトリガモードに切り替える。このような制御を行うことにより、ユーザの作業を減らし、効率的な撮影が実行可能となる。
設定部260により設定される上述の撮影モードの設定情報は例えば設定値としてメモリ280に格納される。操作部250からの操作入力に応じて設定値がメモリ280に格納され、問題があると判定され設定された撮影モードでの動作が不可能と判定された場合には、設定値が変更されることとなる。設定後直ちに各撮影モードでの撮影動作を開始する必要は無く、例えば操作部250からの操作入力に応じて撮影動作を開始することとしてもよい。
ここで、撮影モードの設定値情報をセンサ制御部240で参照し、撮影が行われるたびに得られる放射線画像データにこの撮影モードの設定情報を付加し、放射線画像データとこの設定情報とを関連付けてメモリ280に保存する。この関連付けられたデータセットを外部の画像確認端末275やPACS等の外部装置に送信すれば、撮影モードを撮影後に確認することができる。撮影モードの設定値情報は、例えば画像確認端末275側で付与することとしても良い。
このように、複数の撮影モードによる撮影を操作者が適宜選択することで状況に合わせた放射線撮影を実行することができる。
図8に基づいて本発明のその他の実施形態を説明する。この例では、タイマー242等の構成が可搬型の放射線撮影装置200とは別の撮影制御装置300に設けられている。撮影制御装置300はモダリティとしての放射線撮影システムの制御装置として機能する。撮影制御装置300は放射線撮影装置200とは別の独立した筐体に納められた装置であり、物理的な接続をせずとも無線で通信し動作する。図8の例では放射線撮影装置200の制御装置としての機能を有しているが、これに限らず放射線発生装置100に対する照射条件を設定する等の制御装置としての機能を有することとしてもよい。撮影制御装置300はまた院内のネットワークと接続しRIS(Radiology Information System)から放射線撮影のオーダ情報を受信するとともに、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)に撮影された画像を送信するものである。撮影制御装置300は例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及び通信回路を有する。そして後述する図9のフローチャートに記載の処理を実現するための命令が含まれるコンピュータプログラムをROMやHDDに記憶させておき、CPUがこのプログラムを適宜読出して実行することにより撮影制御装置240の機能が実現される。なお、図8に示す構成のうち、上述した構成と同一の符番が付された構成については特に断りが無い場合同様の機能を有するものとし、説明を省略することがある。
撮影制御装置300の操作部250や設定部260は放射線撮影装置200の各種設定を行うためのものであり、またリセットや電荷の蓄積、あるいは読み出しといった各種動作状態の制御を行うためのものである。表示制御部271は各種設定を行うための設定値や放射線撮影装置200の状態を表示部270に表示させるほか、放射線撮影装置200で撮影された画像を表示部270に表示させる。撮影制御装置300としては、専用のユニットを用いてもよいし、汎用のパーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータなどに専用のソフトウェアをインストールしたものを用いても良い。そうした場合はコンピュータに接続したキーボードやマウスなどを操作部250として用いることが出来る。あるいは、専用の操作用ボタンを有するユニットを操作部260として接続しても良い。またコンピュータに接続されたモニタは表示部270として使用することに加え、タッチパネルデバイスを有するモニタである場合にはGUIボタンを操作部250として用いることも出来る。
このように放射線撮影装置200と撮影制御装置300を分けることで、例えば被検体の下に放射線撮影装置200を設置するなど、撮影の準備を進めた後で、様々な設定を行うことが出来るようになる。また操作が行いやすくなるなどのメリットが生じる。
本実施形態において撮影制御装置300および放射線撮影装置200には、相互に通信を行うための端末側通信回路395を有している。通信には専用のインタフェースおよびプロトコルを用いてもよいし、イーサネット(登録商標)など汎用の通信プロトコルを用いてもよい。またブルートゥースなどの近接通信プロトコルも好適に用いることができる。また有線通信での接続と併用すること可能である。
撮影制御装置300がRISやPACSと通信する場合には、撮影制御装置300は端末側通信回路395で通信してもよいが、これとは別の通信回路を設け、RISやPACSと通信することができる。
その他、撮影制御装置300は端末側通信回路395のほか装置内の各ユニットを統合的に制御する制御回路を有する。特に断りがない限り、撮影制御装置300が主体となる動作は制御回路による制御の下に動作することとする。
放射線撮影装置200は通信回路295を有し、通信回路295は設定部260により設定された撮影モード、蓄積時間及び待機時間の情報を端末側通信回路395から受信する。また通信回路295は放射線撮影装置200で得られる放射線画像データは撮影制御装置300に送信され、表示部270に表示される。
図9に基づき上述の図8に示す放射線撮影システムによりX線撮影を行う際の動作を示すフローチャートである。放射線発生装置、放射線撮影装置に加え撮影制御装置における操作フローをそれぞれ示している。図5と同様に動作する項目については、基本的に同一の番号で示し、説明を省略することがある。
ステップS115で発生制御回路130は放射線発生装置100の照射スイッチ140の1stスイッチ141が押下されたか否かを判定する判定処理を繰り返し行う。1stスイッチ141が押下されたと判定された場合には放射線源110の管球のロータアップを開始する。放射線源110に回転陽極型ではない透過型のターゲットを用いる場合には、所定の準備開始動作、例えば冷却機構の動作開始を行う。ここで、管球の種類によっては、ロータアップに数秒程度の時間がかかる場合があり、蓄積時間がごく短く設定されている場合には蓄積開始後に1stスイッチが押下されたのでは間に合わない場合がある。このような場合には、1sスイッチ141をステップS340のカウントダウン表示処理中に実行するのが望ましい。そこで撮影制御装置300の表示制御部271は、カウントダウン表示とともに1stスイッチ141を押下するべき旨の表示を行う。これにより操作者は表示に従って1stスイッチを押下することで発生装置側の準備動作に要する時間を考慮して放射線発生と蓄積モードへの遷移とのタイミングを合わせることができる。
ステップS300で撮影制御装置300は動作を開始する。例えば撮影制御装置300は操作部250からの指示に応じてRISと通信し撮影オーダ情報を取得する。その後撮影制御装置300の設定部260は、蓄積開始までの待機時間の設定(S310)および蓄積時間の設定(S315)を行う。
ここで、待機時間は状況や操作者に応じて設定されるものであることから、設定部260がRISからの撮影オーダに応じて待機時間、蓄積時間を設定することとすれば操作部250に対する操作入力が不要となり効率的である。例えばフリーポジションでの脚部撮影など被検者に可搬型の放射線撮影装置200を保持させる場合には一度ポジショニングをした後は直ちに撮影を開始することが望ましいため、設定部260は待機時間を短く設定する。また例えば肺野の撮影などで、被検者の呼吸とタイミングを合わせる場合など、タイミング合わせに時間がかかる場合には、設定部260は待機時間を長く設定する。
設定値の入力を終えたら、撮影開始ボタンを押下する(S220)。押下により撮影シーケンスが開始され、設定された待ち時間についてカウントダウン(S230)が行われる。この処理の詳細は図5の処理と同様である。
設定された待ち時間の経過が判定部241により判定されると、これ応じて撮影制御装置300は端末側通信回路395により放射線撮影装置200に対して蓄積開始を指示する信号を送信する(S340)。放射線撮影装置200のセンサ制御部240は蓄積開始信号を受信すると蓄積を開始する。その後ほぼ同時にセンサ制御部240は通信回路295により、蓄積開始信号を受信し蓄積を開始した旨を通知するための受信通知信号を撮影制御装置に対して送信する(S245)。端末側通信回路395で受信通知信号を受信した場合(S345)、表示制御部271は直ちに照射可能の表示を表示部270に表示させる(S350)。
照射可能の表示は、設定された蓄積時間から、蓄積開始信号の送信から受信通知信号の受信までに要した時間を差し引いた時間の間行われるように、表示制御部271により表示継続時間(表示期間)が制御される。こうすることで、実際に蓄積が開始される前および蓄積が終了した後に照射可能の表示が行われることが無くなり、少なくとも表示に従って放射線の照射スイッチ140が押下される限り、被検者に対する無効な被曝が生じてしまう可能性を減らすことができる。
なお撮影制御装置300は、蓄積開始信号の送信から受信通知信号の受信までの時間を例えばタイマー242と判定部241により監視し一定時間以上の間、蓄積開始通知信号が受信できなかったと判定された場合には、照射可能表示は行わないこととする。通信以上の可能性が考えられるものの、放射線撮影装置200と通信ができない以上、例えば放射線撮影装置200に何らかの障害があって蓄積開始ができない可能性がありうるため、照射可能表示を行なわないこととして無効曝射の可能性を減らしている。
この場合には、新たに操作部260の撮影開始ボタンが再度押下されて初めて、端末側通信回路395が蓄積開始信号を送信する。このように通信異常があると判定部241により判定された場合には、予め設定されていた待機時間よりも短い時間だけ待機した後に蓄積開始信号の送信が行なわれるよう、送信タイミングが制御される。また例えば待機時間を0として撮影開始ボタンの押下直後に蓄積開始信号を送信させる制御を採用してもよい。このようにすれば、特に長い待機時間が採用されている場合に、再度長い待機時間を待つことによる効率の低下や被検者の負担の増加を抑えることができる。
また待機時間が所定の閾値よりも長い場合にのみ待機時間を短くする処理を採用することができる。あるいは待機時間を短くすることの承認を要求するための操作ボタン及びメッセージを表示部270に表示させ、操作部250からの操作入力に応じて待機時間を変更するか否かを制御することとすれば、操作者の所望のタイミングで再度の撮影開始を行なうことができる。
蓄積が終了(S260)した後は、放射線撮影装置200で画像処理およびデータの送信処理が行われ、通信回路295が撮影された放射線画像データが撮影制御装置300に送信される。撮影制御装置300側で送信された放射線画像データは、必要に応じて追加で画像処理等を行った上でメモリに保存される(S370)。また受信に応じて表示制御部271が表示部270に表示する(S380)。撮影を継続する場合は、再び撮影までの待ち時間の設定(S310)から繰り返す。繰り返し撮影を行わない場合は、撮影の終了が指示されたものとして、放射線発生装置100および放射線撮影装置200とその撮影制御装置300の動作が停止される。撮影制御装置300がPACSと接続されている場合には、動作の停止に先立って撮影された1または複数の放射線画像データを各撮影オーダに含まれる被検者情報、部位情報及び実施された撮影情報とともに送信する。
図10に基づいて待機時間及び蓄積時間の設定処理(S310及びS315)から照射可能表示(S350)までの処理の際に表示部270に表示される画面例を説明する。
図10(a)は表示部270の画面上に表示した設定画面の1例である。画面には、待機時間を表示するための表示領域270aと、蓄積時間を表示するための表示領域270bとが表示されている。また表示領域270aに表示されている待機時間を所定の単位だけ増加させるためのボタン250aと、減少させるためのボタン250bと、表示領域270bに表示されている蓄積時間を所定の単位だけ減少させるためのボタン250cと、減少させるためのボタン250dとが表示される。これらボタンは操作部250を介して位置が制御されるカーソルと同じく操作部250の選択ボタンにより押下されることにより、表示領域270aまたは270bに表示されている数値が変更されるよう表示制御部271が制御する。また撮影開始を指示するための撮影開始ボタン250eと、撮影の設定をキャンセルするキャンセルボタン250fが表示される。これらも、操作部250からの操作入力を介して押下される。キャンセルボタン250fが押下されることにより、表示制御部271は図10(a)の表示を中止して例えば撮影予約の情報を表示する画面を表示させる。操作入力を介して撮影予約の情報から1つが選択されることにより、表示制御部271は選択された撮影予約に対応する待機時間及び蓄積時間を設定するための図10(a)の表示画面を再度表示させる。このように撮影を開始するまでの待機時間および蓄積時間を、それぞれ操作部250を介してGUI上で入力することができる。操作部250はキーボードでもよいし、音声入力などその他の操作部を用いることができる。
図10(b)(c)に基づいて表示部270でのカウントダウン表示の例を説明する。例えば表示部270として放射線画像を表示できるような大きい画面のディスプレイが用いられる場合には、カウントダウン中は、例えば図10(b)に示すように表示装置の画面上に撮影までの残り時間が表示される。また撮影前の状態である旨を「撮影準備中です」の表示で示している。同時に例えば不図示のスピーカなどから音声によってカウントダウンを合わせて行うことで、例えば表示部271が確認できない位置に操作者が移動する必要がある場合には有用である。また照射スイッチの1stスイッチ141のみ押下すべき旨の文字及びアイコンの表示を行うことで、無効曝射となる可能性を低減することができる。
図10(c)の表示画面例では、放射線の照射が許可されている期間である旨を「撮影中です」の表示で示されている。また2ndスイッチを押下すべき旨の文字表示及びアイコンにより、2ndスイッチ142を押下すべきタイミングであることを知ることができる。また、撮影終了までの残り時間の表示により操作者は残りの照射可能期間を知ることができるため、例えば残り時間が図10(c)のように短い場合には今回の放射線照射を諦め、再び撮影開始ボタン250eを押下して再度の蓄積開始を行なわせるなどの判断を行なうことができ、結果的に無効曝射の可能性を低減することができる。
図11に基づいてその他の実施形態に係る放射線システムの構成例について説明する。
図11に示す例では、図3に示す実施形態と同様にセンサ制御部240はタイマー241や判定部241等の手動同期モードに必要な構成を単体で備えているとともに、撮影制御装置300側にもタイマー等を備えている。これら端末側判定部341、端末側タイマー342、端末側操作部350、端末側設定部360(時間設定部)、端末側表示部370、端末側表示制御部371の各機能は、一部を除き図8に示す判定部241、タイマー242、操作部250、設定部260、表示部270、表示制御部271と同様である。その他、先述の符番と同様の符番が付された構成は同様の機能を有するものとし、先述の実施形態と異なる構成、異なる処理について説明する。
図11に示す放射線撮影システムの例では、撮影制御装置300と無線または有線ケーブルで接続された報知部600を有する。この報知部600は、図3に示す例の報知部600と同様の機能を有するため説明は省略する。これにより撮影制御装置300の表示部270が見えない位置で照射ボタン140を押下する必要がある場合にも、適切な照射タイミングを知ることができる。
放射線撮影装置300では、判定部241、タイマー242、設定部260、表示部270、表示制御部271を有しているが、操作部250を有しておらず、待機時間及び蓄積時間の設定は通信回路295が撮影制御装置300から受信することとなっている。もちろん、多様な状況に対応するため、操作部250を設け放射線撮影装置300からの操作入力を許すこととしてもよい。
また放射線検知回路221は、例えば可搬型の放射線撮影装置300の外部に設けられた放射線検知センサであり、例えば有線で駆動回路220と接続される。
図12は上述の放射線撮影システムにおいて撮影を行う際の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、撮影制御部300の撮影開始ボタンが押下(S320)された後、撮影制御装置300の端末側送信回路395は放射線撮影装置200に対して蓄積開始予約信号を送信する(S330)。蓄積開始予約信号は、設定された待ち時間が経過した後に、設定された時間蓄積を行うことを指示する信号である。蓄積開始予約信号とともにあるいはこれに先立って、待機時間及び蓄積時間の情報は端末側通信回路395から通信回路295を通じてセンサ制御部240に入力され、設定部260により待機時間と蓄積時間の情報がメモリに保持される。
放射線撮影装置200のセンサ制御部240は蓄積開始予約信号の受信を確認すると(S230)、受信通知信号を撮影制御装置300に対して送信する(S235)。表示制御部271は、設定された待機時間についてのカウントダウン表示を開始する。
一方、撮影制御装置300は受信通知信号を受信すると(S335)、表示制御部271は撮影制御装置300内でもカウントダウン表示を開始する(S340)。具体的には、表示部270に撮影開始までの残り時間の表示を行う。報知部600が接続されている場合には、放置部600の報知制御部640は撮影制御装置300から待機時間の計時が開始される旨の信号を受信する。受信に応じて、報知発光部620のLED点滅、報知表示部610での残時間数値表示、報知発音部での音声通知が行なわれる。これら報知部600による報知は、端末側判定部341の出力情報を適宜受信して報知の形態を残時間に応じて変更することとしてもよいし、報知制御部640により残時間の計時を行い撮影制御装置300と独立して報知の制御を行うこととしてもよい。
ここで、図9に示す例と同様に、このとき蓄積開始予約信号の送信(S330)から受信通知信号の受信(S335)までの期間が、所定のタイムアウト時間を超えていると端末側判定部341で判定された場合、つまり所定期間内に受信通知信号を受信できなかった場合は、通信不良としてカウントダウンを行わず、端末側表示制御部371は端末側表示部370上に通信に異常があった旨を文字またはアイコンにより表示する。この場合、蓄積開始予約信号の送信が失敗している場合と、送信は成功したがACKの信号の受信が失敗している場合とがありうる。ACKの信号の受信が失敗している場合には、放射線センサ210は所定の時間の後に蓄積を開始してしまうので、撮影制御装置300から待機時間の計時及び蓄積状態への遷移を中止させるための信号を出力する。
表示部270及び端末側表示部370のそれぞれでカウントダウン表示が開始された後、センサ制御部240及び撮影制御装置300は、定期的にあるいは不定期に、通信状態の確認を行う(S345、S245)。通信状態の確認は例えば規定のコマンドの送信とこれに対する受信応答によって行えばよく、所定のタイムアウト時間以内に受信応答が無い場合には通信不良としてカウントダウンを停止し、その旨を表示部270及び端末側表示部370に表示する。この通信状態の確認処理では、互いに通信するコマンドに送信元からの送信試行の開始時刻を示すタイムスタンプデータを付加し互いに送受信することで、カウントダウン表示中、即ち蓄積直前の通信遅延時間を測定することが可能である。この処理を行う場合には、撮影開始ボタンが押下される前等のタイミングで両装置の時計の時刻を合わせるための通信同期処理を実行することが望ましい。
放射線撮影装置200の表示制御部271が、設定された待機時間のカウントダウン表示を終了させると、センサ制御部240は放射線センサ210に蓄積モードを開始させる(S241)。これとほぼ同時にセンサ制御部240は通信回路295に蓄積開始通知信号を送信させる(S245)。撮影制御装置300がこの蓄積開始通知信号を受信すると(S345)、端末側表示部370上に照射が可能である旨の表示を行う。報知部600が接続されている場合には報知部600でも照射が可能である旨の報知を行なう。こうすることで、実際に蓄積が開始される前に、誤って照射可能表示を行うことを防止することができる。
さらに端末側表示部370のカウントダウン表示あるいは報知部600での報知が終了した後、タイムアウト時間以内に蓄積開始通知信号の受信が出来なかった場合には、照射可能表示は行わない。タイムアウト時間は、ある信号の送信試行を開始してから、当該信号が受信されたことを示すACK信号が受信されるまでの時間に制限をかけるための値である。タイムアウト時間後にACK信号が受信されても送信は失敗したと判定されることとなる。このタイムアウト時間は通信プロトコルの規格に定められた範囲とユーザの設定とに基づいて定められる。
照射可能の報知は、設定した蓄積時間から上述のタイムアウト時間を差し引いた時間の間報知される。このようにすることで、蓄積が終了(S260)した後に、照射可能の報知が継続することが避けられ、表示に従い放射線照射を行うことで被写体に対する不要な被曝を避けることができる。さらには、蓄積時間からタイムアウト時間と放射線の照射時間を差し引いた時間だけ照射可能の報知をすることで被曝の可能性は更に低減される。照射時間は、放射線発生装置100の発生装置操作部145による操作入力または放射線発生装置100の通信回路でRISから取得した撮影オーダ情報のいずれかに基づいて設定される情報を例えば端末側操作部350を介して操作者が入力することで取得される。撮影制御装置300はこの照射時間を端末側通信回路395により放射線撮影装置200に送信する。仮にRISの撮影オーダに照射条件が付されている場合にはRISから受信した情報がそのまま照射時間の情報として用いられる。あるいは、放射線発生装置100との間で同期撮影のインタフェースを有しないものの照射条件のやり取りが可能である場合も考えられ、この場合には放射線発生装置100から得られる照射条件が用いられる。
使用者は、この照射可能の表示が行われている間に照射ボタン140を押下(S120)することで、蓄積のタイミングとX線照射のタイミングを同期させることが出来る。
図13に基づいて、放射線検知回路221を用いた撮影モードで撮影が行われる場合の撮影制御の流れを説明する。
まずX線発生装置100およびX線検出装置200、制御手段300のそれぞれについて動作を開始させる(S100、S200、S300)。次いでX線発生装置において、管電流や管電圧、書写時間などX線照射条件の設定を行う(S110)。また制御手段において、患者情報の入力・確認や検査オーダーの入力・確認など各種撮影条件の設定を行う(S301)。撮影条件の設定は制御手段に設けられた設定手段や操作手段を用いて行うことが出来る。本実施形態では、制御手段として一般のパーソナルコンピュータを用いることが可能であり、そうした場合はコンピュータに接続したキーボードやマウスなどを設定手段や操作手段として好適に用いることが出来る。あるいは、専用の操作用ボタンを有するユニットを接続しても良い。またコンピュータに接続された表示装置は、表示部として使用することに加え、GUIボタンなどを表示することで、設定手段や操作手段として用いることも出来る。
次に制御手段において、撮影モードを選択する(S305)。
放射線検知回路221を用いた撮影モード1とタイマー242を用いた撮影モード2(手動同期モード)とを比較した場合、撮影モード1の方が撮影タイミングに対する制約が小さいことなど利便性がより高いことが多いため、本実施形態において、動作開始直後は撮影モードは撮影モード1となっている。使用者は、設定した照射条件や撮影条件、被写体の条件(体型や撮影部位など)、あるいはその他の撮影上の制約などを考慮して、必要に応じて撮影モードの変更を行うことができる。例えば、低線量での撮影や非常に狭い照射エリアでの撮影、あるいは放射線センサ210に直接入射するX線が存在しないような条件での撮影など、X線の検出が困難なことが予想される場合に、例えば操作者による操作部250での入力を通じて、あるいは撮影条件の情報が用いられ自動的に設定部260により撮影モード2が選択される。
撮影モードは表示部270の画面上に配置されたGUIボタンをクリックすることで変更することができる。なおモード変更の方法はこの方法に限られるわけではなく、例えば、ソフトウェアのメニューから選択したり、あるいはモード毎にタブを切り換えて選択する形式などを用いてもよい。あるいは撮影制御装置300または放射線撮影装置200の操作部に専用のモード切替スイッチを用いてもよい。ただし以下に説明するように、2つの撮影モードでは大幅に操作フローが異なるため、例えば放射線撮影装置200側に切替スイッチを設けた場合は、選択されたモードが間違いなく操作部や表示部に反映されるようにする必要がある。なお動作開始直後のモードを撮影モード2としても構わない。
撮影モードが撮影モード1で確定すると、次に照射検知開始信号を放射線撮影装置200に送信する(S331)。放射線撮影装置200のセンサ制御部240は照射検知開始信号を受信すると(S231)、直ちに放射線センサ210にX線照射の検知動作を開始させる。検知動作は、実際にX線が照射されてX線の存在を検知するか、あるいは所定のタイムアウト時間が経過するまでの間継続する。
また照射検知動作を開始後、センサ制御部240は直ちに照射検知開始信号を撮影制御装置300に向けて送信する(S236)。撮影制御装置300では、照射検知開始信号を受信すると(S336)、端末側表示部370上にX線の照射が可能である旨を表示する。操作者はこの照射可能表示を確認し、照射ボタン140を押下(S120)することでX線の照射を行う(S130)。なお照射可能の表示は、撮影制御装置300に設けられた端末側表示部370上で行うだけでなく、撮影制御装置300とは独立した報知部600において行っても良い。報知部600は有線あるいは無線接続によって放射線撮影装置200や撮影制御装置300と接続されており、端末側表示部370や表示部270が見えない位置で照射ボタン140を押下する必要がある場合にも、照射を行うことが可能かどうかを適切に知ることが出来る。
X線が照射されると、放射線検知回路221を用いてX線の照射検知が行われ(S237)、放射線検知回路221にて、または放射線検知回路221からの信号を受信したセンサ制御部240でX線の照射が開始されたと判定したら、直ちに入射X線によって生じた電荷の蓄積を開始させ、ついで速やかに撮影制御装置300に対して蓄積開始信号が送信される(S242)。撮影制御装置300で蓄積開始信号が受信されると、端末側表示制御部371がX線の照射を検知した旨を端末側表示部370上に表示する。蓄積は所定の設定値(例えば1秒間)で定めた時間に渡って行われる。あるいはX線の照射条件に応じて蓄積時間を任意に変更しても良い。また放射線検知回路221あるいは専用のセンサによって照射終了を検知し、その信号に併せて蓄積時間が調整される。
蓄積が終了(S260)した後は、放射線撮影装置200内で画像処理およびデータの送信処理が行われ、撮影された画像データが通信回路295を通じて制御に送信される。送信された画像データは、必要に応じて画像処理等を行った上で保存される(S370)。表示制御部271は表示部270に撮影した画像が表示させる。(S380)。撮影を継続する場合は、再び撮影条件の設定(S310)から繰り返されることとなる。繰り返し撮影を行わない場合は、放射線発生装置100および放射線撮影装置200と撮影制御装置300の動作を停止する。
(キャリブレーション用補正データの取得)
本実施形態の放射線撮影装置においては、画素毎の検知感度差を補正するためにキャリブレーションを行う必要がある。キャリブレーションは実際の撮影を行う前に実施することが好ましく、一定の照射条件下で各画素の正確な出力値を測定することにより、各画素のゲインばらつきを始め、使用される管球の照射ムラなどについても補正を行うことが出来る。ただし、正確なキャリブレーションの為には、各画素の出力データについて高精度で測定を行う必要がある。
本実施形態においては、放射線センサ210に均一な放射線が照射することにより得られるいわゆる白画像からキャリブレーション用補正データ、を取得する際、撮影モード2(手動同期モード)において白画像の撮影を行う。撮影モード2にて得られる白画像から得られるキャリブレーション用補正データ(感度補正データ)を用いて、撮影モード1及び撮影モード2にて得られる放射線撮影画像の感度ムラ補正、いわゆるゲイン補正が行われることとなる。ゲイン補正の主体は、放射線撮影装置300のセンサ制御部240であっても、撮影制御装置300の画像処理回路が行うこととしてもよい。
撮影モード1(オートトリガモード)は、先述したように放射線撮影装置にX線が照射された時にX線の存在を検知して、それをトリガとして撮影を開始するモードである。本実施形態においては、放射線センサ210にX線が入射した際に検出器内を流れる電流の変化をモニタし、所定の閾値を超えた場合にX線照射が開始されたものと判断している。この方法は照射検知が可能なエリアに制約が無く、また照射されたX線を有効に検知に用いることで検知感度を高めることが出来るなど好ましい。一方、照射されたX線の一部を検知に用いることで、X線の照射条件に依っては画像の一部で画素値の精度が低下する場合がある。精度が低下する可能性のある領域は、X線の照射タイミングと放射線撮影装置の駆動タイミングによって一定には定まらないため、キャリブレーション用補正データとして用いた場合に、補正エラーを起こす可能性がある。
一方撮影モード2では、蓄積のタイミングとX線照射のタイミングとを同期させて撮影を行うことが可能であり、画素値の測定精が低下する領域は発生しない。このため、キャリブレーション用補正データの取得は、上述の検知方式を用いる場合には撮影モード2で行うことで、適切な補正が実現されることとなる。
以上述べた通り、手動同期モードにおいて、ユーザの指示から蓄積開始までの待機時間を任意に設定することができるため、放射線発生装置との同期信号のやり取りをなしにユーザが所望のタイミングで撮影を開始できる。加えて、ユーザは蓄積開始前のある時点から蓄積開始までの時間を把握しやすくなるため、蓄積開始のタイミングを知るために注意を向ける必要が少なくなり、また蓄積期間を超えてX線照射してしまう可能性を減らすことができる。
加えて、かかる手動同期モードをオートトリガモードと併用することにより、放射線発生装置と同期信号をやり取りしなくても、多くの撮影条件に対応することが可能となる。一般的な撮影条件の場合にはオートトリガモードを利用することで操作者の手間を減らスことができる一方、例えば非常に線量の小さい場合やX線照射時間が極めて短い場合などでは手動同期モードで確実に放射線撮影を行なうことができる。このような(2)モードを有する放射線撮影装置により、同期信号を入出力するためのインタフェース回路を有しない放射線発生装置であっても、広範囲の撮影条件でデジタル放射線撮影を実行できる。
またオートトリガモードに比べ手動同期モードは検知回路やあるいはセンサの走査も不要であるため消費電力を小さくすることができる。
その他、上述の手動同期モードで放射線センサ210を動作させる場合であっても、放射線検知センサ221に給電し動作させる。たとえばきわめて低線量の放射線撮影が行われる場合で、放射線の照射開始の検知は適切なタイミングで行えなくとも、タイミングを考慮しなければ放射線の照射自体は検知することが可能な場合がある。そこで待機時間の経過前にも関わらずユーザが放射線照射スイッチ140を誤って押下した場合や、何らかの不具合により放射線センサ210が撮影準備状態にも関わらず照射を行ってしまった場合に、放射線検知回路221により照射があったことを検知し、例えばその検知結果を表示部270や報知部600で警告として報知する。これにより、撮影に不具合があったことを操作者により適切なタイミングで容易に把握させることができる。
なお上述の実施形態においては、X線画像を撮影する場合について説明を行っているが、これ以外の放射線であるα線やβ線、γ線やその他の電磁波を用いた撮影においても同様に本発明の効果を得ることが出来る。
上述の実施例では、通信回路295や端末側通信回路395などの通信回路がデータの送信を行う場合に、相手方の装置を例えばIPアドレスを指定して送信することとなるが、これに限らない。例えば相手方のみを指定するわけではないブロードキャストにより送信することとしてもよい。この場合、例えば予め撮影単位毎に通信相手方の装置を指定しておくとともに、送受信されるデータには送信元のIPアドレスを含めておく。そして受信側の装置で受信したデータのうち、該指定された装置からの信号のみを選択的に制御に利用することとすればよい。
上述の実施例では、表示部270、端末側表示370による表示と、報知部600の各部による報知とを合わせて報知と呼ぶことがある。
図14に上述の実施例に係る放射線撮影装置200及び撮影制御装置300のハードウェア構成例を示す。上述の例と、同一の符番を付した構成については同様のユニットであり説明を省略することがある。
センサ制御部240はFPGA2401と、RAM2402と、HDD2403と、MPU2404と、ROM2405とを有する。FPGA2401は主に駆動回路220及び読出回路230の制御を実行する。MPU2404は放射線撮影装置200の動作を統合的に制御する回路であり、ROM2405やHDD2403に記憶されたプログラムに含まれる命令を実行することにより、放射線撮影装置200の各部を制御する。これにより上述の実施例にかかる処理が実現される。RAM2402はMPU2404のワークメモリである。HDD2403は各種の設定データを記憶するほか、OS2431とOS2431上で動作するプログラム2432とを記憶する。プログラム2432は図13に示すハードウェアの各機能を図5、図9または図12、図13のフローチャートに示される処理を実現するためのプログラムであり、MPU2404に実行されることにより、例えば図1、図3、図8、図11に示す機能が実現される。
一方、撮影制御装置300はGPU3001と、RAM3002と、HDD3003と、CPU3004と、ROM3005と、を有する。CPU3004は撮影制御装置300のハードウェア及びこれに接続されるユニットを統合的に制御する回路であり、ROM3005やHDD3003に記憶されたプログラムに含まれる命令を実行することにより、撮影制御装置300の各部を制御する。RAM3002はCPU3004のワークメモリである。HDD3003は各種の設定データを記憶するほか、OS3031とOS3031上で動作するプログラム3032とを記憶する。プログラム3032は図13に示すハードウェアの各機能を図9、図12または図13のフローチャートに示される処理を実現するためのプログラムであり、CPU3004に実行されることにより、例えば図3、図8、図11に示す機能が実現される。GPU3001は主に画像処理を実行するための専用回路であり、CPU3004の指示に応じて受け取った画像データを処理する。
FPGAで実装された機能をMPU2404あるいはCPU3004で実現する場合には、FPGAの実装に用いられたハードウェア記述言語に対応するソフトウェアプログラムを用意しこれをプログラム2432あるいは3032としてHDD2403あるいは3003に格納する。格納されたプログラムに含まれる命令をMPU2404あるいはCPU3004により逐次または並列的に実行することによって、上述の図5、図9、及び図12のフローチャートに記載の処理が実現される。逆に、MPUやCPUとプログラムで実装された機能をハードウェアで実装する場合には、当該プログラムに対応するハードウェア記述言語で記載されたプログラムを生成し、これからFPGAのコンフィギュレーションデータを得ることにより実装される。
なお上述の実施形態を適宜組み合わせた実施形態についても本発明の実施形態に含まれる。