以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態では、粒子線及び電磁放射線を含んだ放射線を用いた場合について説明する。ここでは、粒子線の例としては、α線、β線、中性子線などが挙げられる。また、電磁放射線としては、γ線、X線などが挙げられる。但し、通常の単純撮影ではX線が用いられており、以下の実施形態では、X線のみを用いた撮影装置も含むものとする。
実施形態に係る放射線撮影システムは、放射線撮影装置とこれを制御する(撮影)制御装置を有する。放射線撮影装置は第一のモード(同期モード)と第二のモード(非同期モード)を有する。同期モードでは放射線発生装置からの信号に応じて放射線撮影装置の撮影動作が制御される。制御装置が同期モードを選択すると、放射線照射と放射線撮影装置の撮影動作を同期させるための通信を放射線撮装置と放射線発生装置とが行い高画質な撮影を行うことができる。非同期モードでは、放射線が照射されたことの検知に応じて撮影動作が制御される。制御装置が非同期モードを選択すると放射線撮影装置の検知回路は放射線が照射されたことを検知するため、同期信号線の接続が不要となり、より簡便な撮影システム構築ができる。以上2つの撮影モードを有することにより、操作者の作業自由度を高めることができる。
表示部に表示される表示画面を操作することにより、各撮影モードが実行されるが、操作の流れが撮影モードによらず同様となっている。表示内容の変化に応じて各撮影モードに対応する制御信号を各撮影モードに対応するタイミングで制御装置が放射線撮影装置に送信される。これにより、操作者はモードに関係なく同様の操作性を得ることができ、システムの操作効率を向上させることができる。またいずれの撮影モードで動作するかを示す表示が制御装置により表示部に表示される。
撮影モードは放射線撮影装置に対して、あるいは放射線撮影装置と放射線発生装置との組み合わせに対して撮影前に制御装置または放射線撮影装置あるいは放射線発生装置により選択され、設定パラメータとして格納される。また登録した設定パラメータを撮影前に読み込み選択された撮影モードで動作する。これにより、複数の放射線撮影装置、複数の放射線発生装置からなる撮影システムであっても、簡便に撮影条件設定を行うことができる。
図1に基づき本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの構成例を説明する。実施形態に係る放射線撮影システムは、放射線撮影装置100と、放射線発生装置120と、放射線発生装置120と放射線撮影装置100間の同期通信回線125と、コンソール装置130を備えている。放射線撮影は、被写体を放射線発生装置120と放射線撮影装置100の間に配置し、被写体を透過した放射線105を放射線撮影装置100で受像することにより行う。
放射線撮影装置100は、放射線センサ101、検知回路、放射線センサ制御部102、センサ側通信回路1021を具備している。放射線センサ101は放射線を可視光に変換する蛍光体を有するとともに、可視光を受光することに応じて信号を得る光電変換素子を含む画素が行列状に複数配置されており、放射線を受けて電荷を蓄積する。これに限らずa−Seなどの材料からなり放射線を受光して電荷を生成する素子であっても良い。放射線センサ101はこの複数の画素により放射線像を検出する。また放射線制御部102の指示により光電変換素子に蓄積した無効電荷を出力する。
検知回路は放射線撮影装置100に放射線が照射されたこと検知する。これには、放射線センサ101を流れる電流や画像信号を測定する測定回路により実現される。あるいは放射線センサ101とは別の独立した検知用のセンサを放射線撮影装置100内に配置することとしてもよい。この検知回路により放射線が照射されたことの検知に応じて撮影動作が制御される第二のモード(非同期モード)が実現される。
放射線センサ制御部102は、放射線センサ101に対して受像開始を指示する。また、放射線センサ101に対して無効電荷を出力する駆動を指示する。センサ側通信回路1021は放射線発生装置120と放射線撮影装置100間の同期信号を授受する。また、放射線受光部で受像した画像データをコンソール装置130へ送信する。また、コンソール装置130と放射線撮影装置100が通信接続した際に、撮影モード(同期モード・非同期モード)の情報を含む信号をコンソール装置から受信する。受信した撮影モードの情報を放射線センサ制御部102はメモリに格納する。放射線センサ制御部102は放射線センサIDを保持し、通信回路1021にコンソール装置130の撮影制御部132へ送信する。なお図1に示す構成例では放射線センサIDをαとする。
次に、放射線発生装置120について説明する。図1において放射線発生装置120は、放射線管121、放射線制御部122、曝射スイッチ123を具備している。
放射線管121は放射線制御部122の指示により放射線を発生する。
放射線制御部122は、撮影制御部132から送信された制御信号(管電圧、撮影時間等)を授受し放射線管の動作パラメータとして設定する。また放射線撮影装置100との撮影同期制御信号を授受し放射線撮影装置と同期する。また曝射スイッチ123の押下信号授受で放射線の発生開始を制御する。また放射線発生装置IDを保持し、これを撮影制御部132へ送信する。曝射スイッチ123は、操作者の曝射スイッチ123の押下状態を放射線制御部122へ送信する。なお図1に示す構成例では放射線発生装置IDをAとする。
同期通信回線125は、放射線発生装置120の放射線制御部122と放射線撮影装置100の放射線センサ制御部102との間で同期通信を行うための信号伝送路である。この通信線は有線である必要はなく無線で行ってもよい。この同期通信回線125により、放射線撮影装置100と放射線発生装置120とが通信する第一のモード(同期モード)が実現される。
次に、コンソール装置130あるいは(撮影)制御装置について説明する。図1においてコンソール装置130は、入力部131、撮影制御部132、画像表示部133、記憶部134を具備し、放射線撮影装置100による放射線撮影を制御する。
入力部131はたとえばキーボードやマウス、あるいは画像表示部133と一体的に構成されたタッチパネル式の操作部を有する。入力部131は操作者からの操作入力を受けて放射線撮影条件その他の各種設定情報、または画像表示部133に表示された表示画面上のボタン等を操作する操作入力を撮影制御部132に出力する。放射線撮影条件は、例えば管電圧、撮影時間、撮影モード(同期モード・非同期モードの選択)などを示す。
撮影制御部132は、主に画像表示部133の表示内容、表示の切り替えタイミングを制御する表示制御部と、入力部131からの入力を処理する入力制御部と、記憶部134とのデータの授受を制御する記憶制御部と、通信回路1321による通信を制御する通信制御部と、これらを統合的に制御する少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)とワークメモリとを有する。撮影制御部132は入力部131から入力された放射線撮影条件を記憶部134に格納する。通信回路1321は記憶部134に前記記録された設定を放射線制御部122及び放射線センサ制御部102に送信する。例えば入力部131からの操作入力を受けて撮影モードを選択し、この撮影モードを示す情報を含む信号を放射線撮影装置100や放射線発生装置120に通信回路1321により送信する。また撮影制御部132は記憶部134に前記記録した設定を画像表示部133に表示させる。通信回路1321が受信した放射線撮影装置からの放射線画像データを撮影制御部1321は撮影された放射線画像データを記憶部134に記録させるとともに、画像表示部133に表示させる。
画像表示部133は、撮影制御部132からの制御に応じて受信した画像情報を表示する。画像情報とは、撮影された放射線画像データを表示するための表示領域や、放射線撮影条件、被検者情報、画像処理情報等の撮影情報、を表示する表示画面である検査画面(図9−12、16−19、22)や、これらの設定画面(図7−8)を示す。
ここで撮影制御部132は例えば入力部131からの操作入力等を受けて撮影モードを選択する選択部として機能する。撮影モードは上述の2つの撮影モードによらず3つ以上の撮影モードを有していてもよく、あるいは上述の撮影モードの一方と、上述の撮影モードとは異なる撮影モードとを有していて、その中から撮影モードを選択することとしてもよい。あるいは、非同期モードにおいては検知回路を用いなくてもよく、放射線発生装置と放射線撮影装置とが同期のための通信をせず放射線撮影装置の撮影動作は所定の指示に応じて行われる別の撮影モードとしてもよい。これの例については後述する。
通信回路1321は、第一のモードが選択された場合、画像表示部133に表示された撮影情報が入力部2131による操作入力で指定されることに応じて、放射線センサ101に電荷の出力を定期的に繰り返す初期化動作を実行させるための信号を送信する。例えば後述する撮影動作準備に遷移すべきことを示す信号がこれに該当する。また通信回路1321は、第二のモードが選択された場合には、画像表示部133に表示画面が表示されることに応じて放射線センサ101に放射線の照射を検知するための動作を開始させるための信号を送信する。後述する撮影動作準備に遷移すべきことを示す信号がこれに該当する。
このように、表示画面と同期して各モードに応じた制御信号を放射線撮影装置100に送信することで操作性を向上させることができる。
放射線撮影装置100では、コンソール装置130からの上述の信号に応じて、第一のモードが選択された場合には放射線センサ制御部102は放射線センサ101に電荷の出力を定期的に繰り返す初期化動作を放射線センサ101に実行させる。また第二のモードが選択された場合には、放射線センサ101に放射線の照射を検知するため駆動を開始させる。
以下では、放射線センサ101で放射線を受光し電気信号に変換する駆動方法について図2から図4を用いて説明する。
図2は放射線センサ101の放射線検出素子を示す構成図である。放射線検出素子は、光電変換部及び駆動回路からなる。放射線センサ101に内蔵した蛍光体(不図示)で放射線を光に変換した後、前記光電変換部で電気信号へ変換する。図2では4×4の画素をもつ光電変換部を示している。光電変換部は、1個の光電変換素子2703と1個のTFT2702を1画素とし、2次元に配列している。また、TFTのゲート電極に電圧を印加するゲート線2704、光電変換素子2703に電圧を印加するセンサバイアス線2706、TFT2702を介して出力される電気信号を転送するための信号線2705を配置している。なお図中のS11〜S44は光電変換素子、T11〜T44はTFTを示している。
光電変換素子2703は、光電効果により光を電気信号に変換する光電変換部と、発生した電荷を蓄積するコンデンサー部から構成される。本実施例で説明する光電変換素子の構造は光電変換部、コンデンサー部を同時に形成できる。
その他、バッテリ2714がセンサ電源2701、通信回路1021、検知回路を構成する電流計Aに接続しており、放射線センサ制御部102の制御に応じてこれらの各部に動作電力を供給する。放射線撮影装置100が外部から電力の供給を受ける場合には、バッテリ2714は外部電源からの電力を受け取る電源部により代替される。バッテリ2714を有することにより可搬性を向上させた放射線撮影装置とすることができる。
電流計Aは、放射線の照射を検知する検知回路を構成する。電流計Aは光電変換素子2703に印加されるバイアス電圧の供給線に接続されている。光電変換素子2703に放射線が照射されると光電変換素子2703に電荷が蓄積するが、これに対応して光電変換素子から供給線に電流が流れる。電流計Aはこの電流を測定する。ここで、画素から電荷を吐き出す空読み駆動を実行すると、電荷の出力をしない場合に比べ供給線により多くの電流が流れるため、検知能を向上させることができる。空読み駆動を利用することで、msec以下の検知が可能である。
電流計Aはこの測定値を放射線センサ制御部102に逐次デジタルデータとして出力し、このデジタルデータまたはこの積算値が所定の閾値を超えたか否かにより放射線の照射があったか否かを判定する。判定に応じて、SR2711や読み出し回路に撮影動作を開始するための信号が放射線センサ制御部102から送信される。この放射線センサ制御部102と電流計Aにより検知回路が構成されることとなる。
この検知回路は第二のモード(非同期モード)において動作する回路であるため、第一のモード(同期モード)において不要なタイミングではバッテリ2714からの電力を供給しないよう放射線センサ制御部102により制御される。これにより消費電力を低減することができる。また第二のモード(非同期モード)では、撮影のための表示画面(図9)が画像表示部133に表示されることに応じて検知回路に対する動作電力の供給を開始するための信号を通信回路1321が送信する。これに応じて放射線センサ制御部102がバッテリ2714からの電力供給を制御する。例えば放射線センサ制御部102は消費電力の少ない消費電力モードで予め動作させておき、外部からの信号に応じて放射線の照射を検知するための動作が可能となるような十分な電力を供給することとする。このようにすることで、消費電力を低減しつつ、適切な動作が実行される。
なお、例えばここで、表示画面(図9)の表示されるタイミングでは電流計Aに対する電力の供給を開始しつつ、放射線センサ制御部102での照射判定の処理は行わない状態としておくことができる。加えて例えば表示画面に表示された撮影情報のひとつが選択されることに応じて照射判定を開始することとすれば、放射線センサ制御部102での動作電力を低減することができる。
以下では、1画素分の層構成を示した図3を用いて、TFT及び光電変換素子の形成方法について述べる。
ガラスなどの絶縁基板、もしくは少なくとも表面が電気的絶縁性をもつ基板2807上に、スパッター法や抵抗加熱法により約500オングストロームのクロム薄膜を蒸着し、フォトリソグラフィーでパターニングし不必要な部分をエッチングで取り除く。このクロム薄膜はゲート電極層2805及び光電変換素子の下部電極層2808となる。次に、CVD法により同一真空内で各層を順次堆積する。層には、絶縁層2804,2806となる約2000オングストロームのa-SiNx膜、光電変換素子の光電変換層2811及びTFTのチャネル層2801となる約6000オングストロームのa-Si膜、光電変換素子のホール注入阻止層2810及びTFTのオーミックコンタクト層2803,2813となる約500オングストロームのn+a-Si層がある。コンタクトホールとなる部分をリアクティブイオンエッチング法(RIE)等でエッチングした後、アルミニウムをスパッター法や抵抗加熱法で約10000オングストローム堆積する。光電変換素子に電圧を印加するセンサバイアス電極2815及び信号線2814をフォトリソグラフィー法およびエッチングにより形成する。さらに、フォトリソグラフィー法によりパターニングしRIEによって余分な部分をエッチングし、TFTのソース電極2802、ドレイン電極2812を形成する。さらに不要なa-Si、a-SiNx、n+a-Siをエッチングにより取り除くことでTFTと光電変換素子を分離する。なお、図3では1画素分のみ示したが、複数の画素が同時に形成されることは言うまでもない。最後に耐湿性を向上させるためa-SiNxなどを堆積し保護膜2813を形成する。この光電変換素子作成方法は、光電変換素子及びTFTの主要な部分を同時に形成できる特徴がある。
TFTと、光電変換素子を駆動するICは単結晶半導体を用いて作られたICを使用する。
図2に示す各画素のTFTのゲート電極に電圧を与えるシフトレジスタ2711(SR)は制御信号によって、ゲート電極に印加する電圧を切替え、TFTのON/OFFを司る。センサバイアス線2706に接続されたセンサ電源2701は光電変換モード及びリフレッシュモードのための2つの電源Vs、Vrefからなる。電源Vsの系には電流計Aが接続されている。
信号線2705には、信号線リセットスイッチ2707とアンプ2708がそれぞれ接続されており、TFTから送られる電気信号を増幅する。アンプ2708の出力段にはサンプルホールド回路2709が接続されマルチプレキサ2710が読み出すまで、アンプの出力を保持する。
光電変換素子の画像読み取り動作は、1本のゲート線電位をHiにし、まず横1ラインのTFT(T11〜T14)をONする。その後、マルチプレキサ2710でサンプルホールド回路2709の出力を順次読み出し、横1ラインの画像情報を得る。横1列全ての画素の情報を読み終えたら信号線2705をGND電位にリセットし、ゲート線電圧をLowにしてTFTをOFFにする。全ラインについて以上の動作を順次行うことで光電変換素子が得た画像情報を電気信号として得ることができる。取得した画像情報は画像処理回路2713に転送され、その後放射線制御部102に接続された放射線撮影装置上のメモリ部(不図示)に確保される。
以上、4×4画素の場合について説明したが、画素数はこれによらない。
上記の光電変換方法を用いた場合、光電変換素子に流れる暗電流により無効な電荷が発生し、画像劣化が起こることがあった。そのため本実施例では以下3つの駆動を行う。
第1の駆動は、光電変換素子への電圧印加後、暗電流が小さくなるまで、光電変換素子に蓄積した電荷を吐き出すリフレッシュ駆動である。
第2の駆動は暗電流によって光電変換素子内に蓄積した電荷を吐き出すためTFTのON/OFFを行う空読み駆動である。リフレッシュ動作終了直後、光電変換素子内部の深いトラップに電荷が捕獲され、それらが徐々に漏れ出して暗電流となってしまう。この電流を除去するためにリフレッシュ動作後に必ず空読み動作が必要となる。
第3の駆動はTFTをOFFしたままの状態を保持するWait駆動である。長時間TFTをON状態とすると発熱によりTFTの長期信頼性が確保できないことがあった。そのため長時間にわたり初期化動作を行う場合は、TFTに通電しない時間を設けて、休止させる必要がある。これら3つの駆動を繰り返し実施することで、光電変換方法の信頼性を確保しつつ画質劣化を抑制することができる。
但し、短時間であればリフレッシュ駆動、空読み駆動これら2つの駆動を繰り返し実施するだけでもよい。Wait駆動を行わないため、より短時間に暗電流除去の工程を実施することができる。例えば、本実施例では10分程度であればWait駆動を行わなくても、TFTの劣化を気にせず使用することができる。
これは、図2で示したように単純マトリクス接続した光電変換方法を使用する場合に有効である。単純マトリクス接続した素子を駆動する場合、使用電源の最大負荷を低減するため線順次駆動が用いられる。しかし、線順次駆動を行った場合、全ての素子を駆動するためには、行数×(各行の駆動時間)が必要となる。
特にこれは、高画質撮影を行うため、放射線管と同期して撮影する放射線撮影システムで問題となる。放射線曝射直前に実施する暗電流成分除去に多くの時間がかかってしまうため、患者の呼吸動作に合わせた撮影などが困難となってしまう場合があった。
よって、高画質でかつ使い勝手を考慮した場合、Wait駆動を行わない本駆動方法が有効な手段である。
またさらに、短時間であれば、リフレッシュ駆動を1度だけ実施した後、空読み駆動を繰り返す方法を採用してもよい。
リフレッシュ駆動、空読み駆動を繰り返す場合と比較し、光電変換素子のホール成分が不十分であるため画質は劣るが、駆動を1ステップにすることで、より短時間化することできる。
これら駆動方法は撮影により適宜選択される。
次に本実施例におけるリフレッシュ動作、空読み動作について光電変換素子のバンドダイアグラム図4を用いて説明する。
まず、リフレッシュ動作について説明する。図4(a)は光電変換モードを示したものである。このとき、光電変換層での光電変換で発生した電子とホールは電界によって、ホールは絶縁層と光電変換層の界面へ、電子はホール注入阻止層へとドリフトすることで光電流が発生する。
しかし、図4(b)に示すように、光があたりつづけると絶縁層と光電変換層の界面にホールが蓄積し、光電変換層の電界が小さくなってしまう。そのため、発生した電子とホールが再結合する確率が高くなり、光に比例した電流が流れなくなる。
図4(c)に示すように、リフレッシュ動作は、光電変換素子に印加する電圧を光電変換モード時の印加電圧よりも小さくすることで、絶縁層と光電変換層の界面に蓄積したホールを吐き出すことができる。これにより、再び光出力に比例した電流を得ることができる。
空読み動作は、素子に蓄積した電荷をリセットする動作である。図2を用いて更に説明する。TFT2702をONした状態で信号線2705をリセットスイッチ2707によりリセットすることで行う。TFTのONするタイミングは読み取り動作のように横1ラインを順次ONしていく方法でおこなってもよいし、全ライン同時にONしてもよい。
本実施例に用いる光電変換素子、装置は上述の構造以外でも構わない。例えばa−Siやpoly−Si上に実装されたPIN型構造の光電変換素子を用いて放射線センサ101を構成することにより、上述のリフレッシュ動作は不要となる。
またリフレッシュ動作は光電変換素子に蓄積した電荷を吐き出す動作であれば上述の方法以外でも構わない。
次に、図5、図6のフローチャート、図13のタイミングチャートを用いて、第1の実施形態に係る放射線撮影システムの動作の一例を説明する。
まずは放射線撮影装置と放射線発生装置の組合せで撮影モードを設定登録する手順(S101からS102)を説明する。コンソール装置130を使用して撮影モードの登録を行う。
S101において、操作者はコンソール装置130の入力部131を使用し、放射線撮影装置の撮影モード(同期・非同期)を選択する。放射線撮影装置と放射線発生装置の組合せについても本ステップで設定を行う。
次に放射線撮影装置及び放射線発生装置に対して撮影条件を設定する手順S102について説明する。具体的には図6を用いて説明する。
本実施形態では、放射線発生装置のIDがA、放射線撮影装置のIDがαとなっている場合について述べる。また、放射線発生装置120とコンソール装置130が通信できる状態になっているものとする。
S102−1において、放射線撮影装置100がコンソール装置130に接続しているか確認する。具体的には撮影制御部132と放射線制御部102間の通信の可否で判断を行う。接続していればS102−2へ、接続していなければS102−1へ戻る。
S102−2において、撮影制御部132は接続している放射線発生装置及び放射線撮影装置のIDを確認し、当該IDに対応した撮影モードデータを記憶部134から読み取る。本実施例では放射線センサID;αと放射線発生装置ID:Aは同期モードがS101で設定されている。そのため、本ステップにて撮影モードは同期モードが選択される。
S102−3において、撮影制御部132は通信回路1321によりS102−2で読み出した撮影モードを放射線センサ制御部102へ送信させる。図5に示す処理では “同期モード”を示す信号を送信する。同期モードが設定されているため、放射線センサ制御部102と放射線制御部122間で同期通信回線125を用いた通信が行われる。
次に、放射線撮影条件を設定登録し、表示する手順(S103〜S105)を図5、図8、図9用いて説明する。
操作者はコンソール装置130の入力部131を使用し設定を行う。入力画面の例を図8に示す。図8は患者情報(氏名、生年月日、ID、性別)を入力するカラム1001と、STUDY設定(撮影部位および撮影順設定)を入力するカラム1002、設定を保存する保存ボタン1004からなる。
図8に示した例では患者情報は以下のように設定されている。
氏名:Yamada Taro
生年月日:1981/4/8
ID:123456
性別:Male(男性)
またSTUDYは以下のように設定されている。
1番目の撮影:ABDOMEN
2番目の撮影:CHEST
設定終了時に保存ボタン1004を選択するとステップS105に進む。
S105において撮影制御部132は、少なくとも1つの撮影情報と、該撮影情報に対応する放射線撮影装置から受信する放射線画像データと、を表示させるための検査画面(表示画面)を画像表示部133に表示させる。表示例を図9に示す。
図9はコンソール装置の画像表示部133に表示される検査画面である。検査画面700は撮影可否を示すインジケータ701、同期・非同期を示すインジケータ702、これから撮影する部位を表示するインジケータ703、使用する放射線撮影装置を示すインジケータ704、被験者情報を示すインジケータ705、 STUDY情報及び撮影履歴を示すインジケータ706、撮影画像の画像処理を行うコントローラ707、検査の終了を指示するボタン708、検査の一時保留を指示するボタン709、撮影した画像を表示するウインドー710からなる。
図9では、撮影可否を示すインジケータ701は、放射線センサの暗電流が撮影可能なレベルまで小さくなっていないため「NotReady」を示している。また、同期・非同期を示すインジケータ702に撮影モード「同期」を表示している。また、使用している放射線撮影装置を示すインジケータ704にセンサID αを表示している。
比較のため非同期モードを選択した場合の表示例を図16に示す。同期・非同期を示すインジケータ702の内容以外は画面構成が略同一であることが判る。
以上撮影条件として撮影モードの設定についてのみ述べてきた。実際の放射線撮影では、上記以外の設定が必要になることがある。例えば、放射線管電圧、放射線照射エリア指定、撮影時間などである。これらは放射線発生装置の照射条件設定S301にて設定すればよい。もしくはS103−2にて設定し、記憶部134に条件を保存し、撮影時に放射線センサ制御部102に設定する方法を用いてもよい。
次に、放射線撮影装置の起動の手順(S202からS203)について説明する。
スタート時、放射線センサ制御部102は起動し、放射線センサ制御部102及び通信回路1021にバッテリ2714からの電力が供給された状態となっている。次にS202で、放射線センサ制御部102は通信回路1321から受信した撮影モード情報に従い、放射線撮影装置100の撮影モード情報を放射線センサ制御部102のメモリに保存する。本実施形態では撮影モード情報として同期モードを受信したものとする。
S203において、S202で読み取った撮影モードを元に同期・非同期の判定を行う。
撮影モードに同期が選択された場合はS204へ、非同期と選択された場合はS1204へ進む。本実施形態ではS202にて同期モードに設定されているためS204へ進む。
次に、放射線検査の開始手順(S106からS107、S204からS205)について、図5、図9、図10を用いて説明する。
S106において、撮影制御部132はSTUDY情報を示すインジケータ706に表示されている撮影対象部位を示すボタンが入力部131を介して押下され、次の撮影に対応する撮影情報が指定されたかを判定する。ここでボタンが押下されていないと判定された場合には、ステップS105に進み上述の判定処理を繰り返す。一方で押下されたと判定された場合には、ステップS107に進む。
ステップS107で通信回路1321は、撮影制御部132による制御に応じて放射線撮影装置100に対して撮影準備状態に遷移すべきことを示す信号を送信する。ステップS107は表示された撮影情報の1つが指定されることに応じて行われ、この信号は、放射線センサ101に電荷の出力を定期的に繰り返す初期化動作を実行させるための信号である。
その後撮影制御部132は放射線撮影装置100からの応答信号に基づき、放射線撮影装置100を検査に用いることが可能な状態にあるかを判定する。可能であると判定された場合には、撮影制御部132は検査画面の撮影可否を示すインジケータ701に「Ready」を表示する。図10に表示例を示す。この表示により操作者は撮影システムが撮影可能であることを理解することができる。
一方、検査に用いることが可能な状態にないと判定された場合には、撮影制御部132は検査画面の撮影可否を示すインジケータ701は「NotReady」であるため、操作者に撮影システムが撮影不可能であることを示す。図9に表示例を示す。
S204にて、放射線センサ制御部102は通信回路1321から撮影準備状態に遷移すべき旨の信号(検査開始指示)を受信したか否かの判定処理を繰り返す。受信した場合にはS205へ進む。がなければS204へ戻る。
ステップS205で放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して通電開始を指示する。その後、放射線センサ101の無効電荷を吐き出すため、放射線センサ制御部102より初期化モード開始の指示を行う。初期化モードとは、前記したリフレッシュ駆動、空読み駆動、WAIT駆動からなる3つの駆動を繰り返し実施することを示す。空読み駆動時に光電子放出素子から放出する暗電流を信号線に設置した不図示の電流計で測定し、放射線制御部102にて暗電流状態を判定する。ここでは、暗電流状態の判定条件として、放射線撮影において光電変換した電流値と比較し小さい電流であれば撮影可能と判定し、それ以外の場合は、NotReadyと判定した。判定した結果を放射線撮影装置100の通信回路1021からコンソール装置130の通信回路1321に送信する。ここで撮影の準備が整ったと判定された場合にはその旨の信号を通信回路1021を通じてコンソール装置130に送信する。コンソール装置130の撮影制御部132はかかる信号に応じて表示画面に放射線撮影装置100の撮影準備が完了したことを示す表示(READY表示)を表示させる。READY状態となった後も、かかる初期化動作を継続する。
上述したように、同期モードにおいては撮影情報の指定に応じて駆動を切り替えることにより、高画質を維持しつつ高速に放射線蓄積動作へ移行することができる。
次に、放射線を曝射し、放射線画像を形成する手順(S108からS111、S206からS212、S302からS303)について、図1、図5、図11、図12を用いて説明する。
S302において、操作者は、撮影可否を示すインジケータ701に「Ready」が表示されていることを確認し、放射線発生装置の曝射スイッチ123を押下する。放射線制御部122は放射線センサ制御部102に曝射確認信号を送信する。ここで「Not Ready」が表示されている状態、即ち放射線撮影装置100の撮影準備が整っていない状態では、照射スイッチが押下されても放射線撮影装置100の放射線センサ制御部102が照射許可信号を出力させない。これにより、放射線の照射ができないよう制御される。
S206において放射線センサ制御部102は照射スイッチの押下を判定する。照射スイッチが押下された場合、同期通信回線125を介して通信回路1021が照射を開始することの許可を要求する信号を受信する。放射線制御部122で許可要求信号が受信確認できた場合はS207へ進む。確認できなかった場合はS206へ戻る。
S207において放射線センサ制御部102は、放射線センサ101に対して、指定回数の暗電流除去駆動(リフレッシュ駆動、空読み駆動の繰り返し)を指示する。これは、
放射線センサが全面で均一に無効電荷を除去するための工夫である。例えば全素子が1回リフレッシュ駆動、空読み駆動するように設定する。指定回数の上記駆動が終了した後S208へ進む。
S208において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して、放射線蓄積動作(光電変換動作)を指示する。また、放射線制御部102は撮影制御部132へ撮影開始したことを送信する。以上の動作の後にS209へ進む。
撮影制御部132は放射線制御部102より受信した撮影開始を示す信号に基づき、検査画面の表示を行う。表示例を図11に示す。(S108)
S209において、放射線センサ制御部102は放射線制御部122に対して放射線照射開始を指示する曝射許可信号を送信する。放射線制御部122は放射線センサ制御部102より受信した曝射許可信号を受信し、放射線の照射を開始する。(S303)
放射線センサ101は被写体を透過した放射線の検出を行う。その後、S210へ進む。
S210において、予め撮影条件として設定された放射線照射を終了した後、撮影制御部132は放射線制御部122へ照射停止を、放射線センサ制御部102へ蓄積終了を示す信号を送信する。
これにより、放射線管121は放射線照射を終了し、また放射線撮影装置100は放射線検出を終了する。
S211において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に蓄積した電荷に基づく画像データを生成し、メモリ(不図示)に格納する。これにより、放射線撮影が終了する。放射線撮影装置が取得した画像データを撮影制御部132へ転送する。その後S212へ進む。
S212において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して初期化モードの指示を行う。このモードはS205で述べた駆動と同様である。ここでは、光電変換素子に蓄積した電荷及びホール電荷を除去し、次の撮影を準備するためである。本ステップが開始された後、S204へ進む。
また、放射線センサ制御部102は撮影制御部132に対して撮影不可であることを示す「Not Ready」を送信する。
S109において、撮影制御部132は受信した画像データを所望の画像処理を行う。
S110において、撮影制御部132はS109にて処理した画像データを画像表示部133に表示する。また、放射線センサ制御部から送信された撮影可否状態をインジケータ701に表示する。また、画像データを記憶部134に保存する。
表示例を図12に示す。撮影画像が撮影画像表示ウインドー710に示している。また、撮影可否を示すインジケータ701に「Not Ready」を示している。
S111において撮影の継続を判定する。続けて撮影条件が設定されている場合はS105へ進む。撮影条件が設定されていない場合は撮影を終了する。
次に図13のタイミングチャートを用いて、放射線撮影装置100の駆動について詳細に説明する。駆動は大別すると初期化モード、Readyモード、撮影モードの3つからなる。
a)は光電変換素子のTFTと光電変換素子への電圧印加を示している。
b)は放射線発生装置から放射線撮影装置へ送信する曝射確認信号を示している。
c)は放射線照射状態を示している。
d)は光電変換素子に流れる暗電流値を示している。
まず初期化モードについて説明する。本駆動は図5のフローチャートでは、S205で行っている。光電変換素子のTFTと光電変換素子に電圧を印加していない状態(Power Off)から電圧を印加した状態(Power On)にする。TFTのON/OFFを減らし、光電変換素子の信頼性減少を防ぐため、前述のリフレッシュ動作と初期化動作、Wait動作を順に行う。初期化モードを行うと光電変換素子に蓄積した無効電荷が徐々に減っていくことがわかる。
次にReadyモードについて説明する。本駆動は図5のフローチャートでは、S207で行っている。
本モードは、撮影制御部132から放射線センサ制御部102への検査開始指示により実行される。暗電流除去駆動を(リフレッシュ駆動、空読み駆動、Wait駆動 3つの駆動の繰り返し)から(リフレッシュ駆動、空読み駆動の繰り返し)に切り替えている。これは、上述したように操作者より放射線照射ボタンが押された後、高速に放射線蓄積動作へ移行するためである。
放射線センサ制御部102が曝射確認信号を受信すると、指定回数の暗電流除去駆動(リフレッシュ駆動、空読み駆動の繰り返し)を行ったのち、撮影モードへ移行する。図13では指定回数が2回の例を示している。
次に撮影モードについて説明する。本駆動は図5のフローチャートでは、S208からS210で行われる。
撮影モードは光電変換動作と読み取り動作の2つの動作がある。光電変換動作は、TFTをOFF、光電変換素子に電圧を印加した状態で、放射線が蛍光体で光に、光電変換素子で光を電荷として蓄積する動作である。読み取り動作は光電変換素子に蓄積した電荷取り出し、画素ごとに電荷量に相当する値を並べることで画像を得ることを示す。放射線曝射はこの光電変換動作時に行われる。
図7に基づいてコンソール装置130に登録されている放射線撮影装置及び放射線発生装置の組み合わせについてについて、第一、第二のモードのいずれのモードが実行可能であるかを一覧表示させる撮影モード登録画面(その他の表示画面)について説明する。図7においてカラム2601は各放射線撮影装置固有のID、カラム2602は各放射線発生装置固有のID、カラム2603は撮影モードの設定状態を示す。カラム2603の各表示はGUI上のボタンとなっており、入力部131からの操作入力により撮影モードが切り替わる。「同期」という同期モードが選択されていることを示す表示がされている場合において、かかる表示をクリックすることにより「非同期」の表示に切り替わるとともに、撮影制御部132が対応する組み合わせに対して非同期モードを選択する。この画面では、放射線撮影装置が3台、放射線発生装置が2台ある場合を示している。各放射線撮影装置と各放射線発生装置の撮影モードをカラム2603に設定する。
図7に示した例では、例えば、放射線センサID;αと放射線発生装置ID:Aとは同期モードに設定されている。また、放射線センサID:αと放射線発生装置ID:Bとは非同期モードに設定されている。設定終了時に保存ボタン2604を選択すると、設定した撮影モードを記憶部134へ保存する。
上述した表示画面では放射線撮影装置及び放射線発生装置の組み合わせについて実行可能なモードが表示されるが、放射線撮影装置に対して実行可能な撮影モードを表示させることとしてもよい。また上述した表示画面では実行可能な撮影モードが操作に応じて切り替え表示されるが、これに限らない。例えば実行可能な全てのモードを表示画面に並べて表示させるとともに、ユーザからの操作入力を入力部131で取得し、表示された1の撮影モードを撮影制御部132で選択するようにしてもよい。
上述の表示画面において選択された撮影モードが図9等の検査画面において表示されることとなる。
次に撮影モードとして非同期モードを選択した場合について説明する。放射線撮影システム構成は上述の図1に示す例と比べて、放射線発生装置IDがB、放射線センサIDがβとなっている点、放射線撮影装置100が放射線を検知したことをトリガーに撮影動作を開始する点が異なる。そのため、放射線発生装置120と放射線撮影装置100の間の同期通信回線が設けられていない。
図15のフローチャートを参照して、非同期の場合の放射線撮影システムの動作の一例を説明する。
撮影モードを選択あるいは設定登録する手順(S101からS102)は図5と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
次に、放射線撮影条件を設定登録し、表示する手順(S103〜S1105)について
説明する。S103は図3の場合と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
S104において、撮影制御部132は放射線センサ制御部102に対してポーリングを行い、放射線撮影装置の暗電流状態の確認を行う。暗電流が撮影可能なレベルまで小さくなっている場合はReady、それ以外の場合をNotReadyの状態を示す信号を、通信回路1321が受信する。
S1105で撮影制御部132は画像表示部133に検査画面を表示する。また、通信回路1321は、検査画面が表示されることに応じて撮影準備状態に遷移すべきことを示す信号を送信する。かかる信号は放射線センサ101に放射線の照射を検知するための駆動を開始させるための信号であり、これに応じて放射線センサ制御部102は放射線センサ101及び電流計Aの動作を開始させる。
ここで第一のモードでは通信回路1321は撮影情報の指定に応じて撮影状態に遷移すべきことを示す信号を送信することとしていたのに対し、第二のモードでは検査画面の表示に応じてかかる信号を送信することとしている。第二のモードでは放射線センサ101は撮影準備状態において、状態を安定させ画質を向上させるだけではなく、放射線の検知も行う必要がある。そのため、第一のモードに比べて早い段階から放射線センサ101の準備動作を開始させることにより、撮影情報が指定され撮影がまさに開始される際には第一のモードと同様に速やかに撮影可能とすることができる。
第二のモードが選択された場合の検査画面の表示例を図16に示す。
図3に示す動作との違いは、手動同期モード(第三のモード)に切り替えるインジケータ711(ボタン)が追加されていることである。ここで手動同期モードとは特定の操作入力に応じた時点から所定の時間が経過した後に前記放射線撮影装置に撮影動作を開始させる撮影モードである。
手動同期モードは、検知回路による放射線の照射検知が難しいような低線量撮影、短時間照射の撮影の場合に、例えば非常用のモードとして操作者が放射線センサ101の蓄積状態に合わせて照射スイッチを押下し、放射線画像データを得るためのモードである。本実施例では、撮影制御部132は、同期モード(第一のモード)が選択されている場合には手動同期モード(第三のモード)を選択するためのボタンを表示させず、非同期モード(第二のモード)が選択された場合には当外ボタンを表示させることとしている。これにより、同期通信が可能な場合には第三のモードは不要と思われるためかかるボタンを表示させないこととし、検査画面をよりシンプルで把握しやすくする効果がある。一方で、かかる手動同期モードを選択するためのボタンは、第一のモードが選択されている場合にも検査画面(図9)に表示することとすれば、例えば同期通信回線に不安がある場合等の状況下でユーザの操作に応じて操作モードを切り替えることができるため有用である。
撮影可否を示すインジケータ701は、放射線センサの暗電流が撮影可能なレベルまで小さくなっていないため「NotReady」を示している。また、同期・非同期を示すインジケータ702に撮影モード「非同期」を表示している。また、使用している放射線撮影装置を示すインジケータ704にセンサID βを表示している。
インジケータ711(ボタン)が押下された場合には、撮影制御部132により第二のモード(非同期モード)から第三のモード(手動同期モード)に撮影モードが変更される。通信回路1321は撮影モード情報を放射線撮影装置100に送信するとともに、入力部131に対する撮影動作を開始させる指示の入力に応じて所定期間待機した後撮影動作を開始させる第三のモードを実行するための信号を送信する。
次に、放射線撮影装置の起動初期化の手順(S201からS203)について説明する。
S201において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して通電開始を指示する。その後、放射線センサ101の無効電荷を吐き出すため、放射線センサ制御部102より初期化モード開始の指示を行う。初期化モードとは、前記したリフレッシュ駆動、空読み駆動、WAIT駆動からなる3つの駆動を繰り返し実施することを示す。空読み駆動時に光電子放出素子から放出する暗電流を信号線に設置した不図示の電流計で測定し、放射線制御部102にて暗電流状態を判定する。ここでは、暗電流状態の判定条件として、放射線撮影において光電変換した電流値と比較し小さい電流であれば撮影可能と判定し、それ以外の場合は、NotReadyと判定した。判定した結果を放射線センサ制御部102から撮影制御部132へ送信する。
これら駆動はS205まで継続実施する。また、暗電流状態判定はS204まで継続実施する。
S202で放射線センサ制御部102は図3の例と同様に撮影モード設定を行う。放射線センサ制御部102は、受信した撮影モードの設定に従い、センサの撮影モード設定を行う。本動作では非同期モードの設定を行う。そのため、図3の例とは異なり、放射線センサ制御部102と放射線制御部122間の同期通信は行わない。
S203で放射線センサ制御部102は撮影モードの判定を行う。本動作ではS202にて非同期モードに設定されているためS1204へ進む。同期モードが選択される場合については図3の例で述べた通りである。
次に、放射線検査の開始手順(S1106、S106、S107、S1204、S1205)について、図15、図16、図17を用いて説明する。
S106において、撮影制御部132はSTUDY情報を示すインジケータ706に表示されている撮影対象部位を示すボタンが入力部131を介して押下され、次の撮影に対応する撮影情報の1つが指定されたかを判定する。ここでボタンが押下されていないと判定された場合には、ステップS1105に進み上述の判定処理を繰り返す。一方で押下されたと判定された場合には、ステップS107に進む。
ステップS107で通信回路1321は、撮影制御部132による制御に応じて放射線撮影装置100に対して放射線センサ制御部102による放射線検知の判定処理を実行させるための信号を送信する。ステップS107は表示された撮影情報の1つが指定されることに応じて行われる。
ここでは、インジケータ702に「非同期」を表示する例を示したが、放射線が放射線センサに受光した時間を表示してもよい。
S1204にて、放射線センサ制御部102は撮影制御部132より手動同期撮影を指示する信号を受信すればS2205へ進む。検査開始指示がなければS1205へ進む。
S1205にて、放射線センサ制御部102はコンソール装置130より撮影状態に遷移すべきことを示す信号(検査開始の指示)を受信すればS1206へ進む。検査開始指示がなければS1205へ戻る。
S1206にて、放射線センサ制御部102は暗電流除去駆動として、リフレッシュ駆動を所定回数行った後、空読み駆動の繰り返す駆動を開始し、S1207へ進む。上述したように、駆動方法を切り替えることにより、高画質を維持しつつ高速に放射線蓄積動作へ移行することができる。また、放射線センサ制御部102は暗電流除去駆動カウンターをスタートさせ、本駆動実施時間T1の計測を行う。本実施形態では撮影画像の品質を守るため、T1の最大時間を10分とした。カウンターが10分を経過した場合は、暗電流状態判定をNotReadyとし、S1212へ進む。本カウンターはS1207まで継続して実施する
次に、放射線を曝射し、放射線画像を形成する手順(S1207〜S1212、S1108〜S111、S302〜S303)について、図14、図15、図18、図19を用いて説明する。
S1207において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101で放射線を検知したかどうか判断する。放射線を検知した場合はS1208へ進む。放射線を検知できない場合はS1207へ戻る。
S1208において、放射線センサ制御部102は、放射線センサ101に対して、電流除去駆動(空読み駆動)の停止を指示する。上記駆動が終了した後S1209へ進む。
S1209において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して、放射線蓄積動作を指示する。放射線センサ101は被写体を透過した放射線検出を行う。また、放射線制御部102は撮影制御部132へ撮影開始したことを送信する。
撮影制御部132は放射線制御部102より受信した撮影開始を示す信号に基づき、検査画面の表示を行う。表示例を図18に示す。(S1108)
以上の動作の後、S210へ進む。
S210において、予め撮影条件として設定された放射線照射を終了した後、撮影制御部132は放射線センサ制御部102へ蓄積終了を示す信号を送信する。これにより、放射線撮影装置100は放射線検出を終了する。
S211において、放射線センサ制御部102は、放射線センサ101で蓄積した電荷に基づく画像データを生成し、メモリ(不図示)に格納する。これにより、放射線撮影が終了する。放射線撮影装置が取得した画像データを撮影制御部132へ転送する。その後S212へ進む。
S1212において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して初期化モードの指示を行う。このモード指示はS201で述べた駆動と同様である。ここでは、光電変換素子に蓄積した電荷及びホール電荷を除去し、次の撮影を準備するためである。またS201と同様に暗電流状態の判定を行う。これら駆動と暗電流状態判定はS1205まで継続実施する。本ステップが開始された後、S1205へ進む
また、放射線センサ制御部102は撮影制御部132に対して撮影不可であることを示す「NotReady」を送信する。
S109において、撮影制御部132は受信した画像データを所望の画像処理を行う。
S1110において、撮影制御部132はS109にて処理した画像データを画像表示部133に表示する。また、放射線センサ制御部から送信された撮影可否状態をインジケータ701に表示する。また、画像データを記憶部134に保存する。
表示例を図19に示す。撮影画像が撮影画像表示ウインドー710に表示される。また、撮影可否を示すインジケータ701に「Not Ready」を明示する。
S111において撮影の継続を判定する。続けて撮影条件が設定されている場合はS104へ進む。撮影条件が設定されていない場合は撮影を終了する。
次に図20のタイミングチャートを用いて、放射線撮影装置100の駆動について詳細に説明する。駆動は大別すると初期化モード、自動検知Readyモード、撮影モードの3つからなる。
a)は光電変換素子のTFTと光電変換素子への電圧印加を示している。
b)は放射線発生装置の曝射開始信号を示している。
c)は放射線照射状態を示している。
d)は光電変換素子に流れる暗電流値を示している。
まず初期化モードについて説明する。本駆動は図15のフローチャートでは、例えばSS201で行われる。初期化モードの動作は図3の例と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
次に自動検知Readyモードについて説明する。本駆動は図15のフローチャートでは、S1206からS1208で行われる。
本モードは、撮影制御部132から放射線センサ制御部102への検査開始指示により実行される。暗電流除去駆動を(リフレッシュ駆動、空読み駆動、Wait駆動 3つの駆動の繰り返し)から(リフレッシュ駆動を1回行ったのち、空読み駆動を繰り返す)に切り替えている。これは、上述したように操作者より放射線撮影装置が放射線を検知した後、高速に放射線蓄積動作へ移行するためである。
放射線センサ制御部102が曝射確認信号を受信すると、暗電流除去駆動を停止した後、撮影モードへ移行する。
次に撮影モードについて説明する。本駆動は図15のフローチャートでは、S1209からS1210で行われる。本駆動は図3の例と同様であるため説明を割愛する。
以上のように、同期・非同期2つのモードを有する放射線撮影装置を使用しても、撮影モードが表示されるため、操作者は簡便に撮影条件を確認できる。また、条件を確認する撮影制御ディスプレイの表示がモードによらず略同一であるため、操作者はモードに関係なく同一の操作性を得ることができる
また放射線検知終了方法として、予め設定された時間で終了する方法を述べてきたが、これに限定されるものではない。放射線センサに入射する放射線量を計測し判定する方法がある。例えば、線量積算値が予め決められた閾値以上であれば終了する方法や、一定時間に入射する線量が予め決められた閾値以下となれば終了する方法などが挙げられる。
次に本発明のその他の実施形態について説明する。
その他の実施形態では、上述の例に加え撮影モードとして手動同期モードが選択可能となっている。手動同期モードでは、放射線照射量が少ない条件など実施形態2で説明した放射線自動検知が行えない時に行う緊急対策モードである。
重複説明を避けるため上述の図3、図15と異なる点について主に説明する。放射線撮影システム構成は図14で示す構成と同様とすることができる。
図21のフローチャートを参照して、放射線撮影システムの動作の一例を説明する。
S104において、撮影制御部132は放射線センサ制御部102に対してポーリングを行い、放射線撮影装置の暗電流状態の確認を行う。暗電流が撮影可能なレベルまで小さくなっている場合はReady、それ以外の場合をNotReadyの状態を示す信号を、通信回路1321が受信する。その後、S1105へ進む。
S1106において、撮影制御部132は手動同期のインジケータ711が押下されたか判断する。押下されていなければS106に進む。押下されていればS2106へ進む。
本実施例では押下された場合について説明する。撮影制御部132から放射線センサ制御部102へ手動同期撮影を指示する信号を送信する。
S2106において、撮影制御部132は放射線撮影装置が検査できる状態にあるか判断する。S104にて取得したセンサの暗電流状態がReadyであれば、撮影可能と判断し、図17の検査画面を表示する。この表示により操作者は撮影システムが撮影可能(また放射線曝射可能)であることを理解することができる。
一方、センサの暗電流状態がNotReadyであれば撮影不可と判断しS104へ戻る。検査画面の撮影可否を示すインジケータ701は「NotReady」であるため、操作者に撮影システムが撮影不可能であることを示す。図16に表示例を示す。
S2107において、操作者は撮影条件の設定を行う。
条件設定の表示は例を図22(a)に示す。
撮影条件の設定は、撮影開始までの時間T10と、撮影時間(曝射時間)T11である。操作者が値を入力する。入力終了後、撮影開始インジケータを押下するとS2108へ進む。キャンセルを押下するとS104に戻る。
S2108において撮影制御部132は放射線センサ制御部102へ蓄積開始予約信号を送信する。
S1204にて、放射線センサ制御部102は撮影制御部132より手動同期撮影を指示する信号を受信すればS2205へ進む。
S2205にて、放射線センサ制御部102は暗電流除去駆動を(リフレッシュ駆動、空読み駆動、Wait駆動 3つの駆動の繰り返し)から(リフレッシュ駆動後に、空読み駆動の繰り返し)に切替え、S2206へ進む。上述したように、駆動方法を切り替えることにより、高画質を維持しつつ高速に放射線蓄積動作へ移行することができる。
S2206にて、放射線センサ制御部102は蓄積開始予約信号を受信したか判断する。受信した場合はS2207へ進む、受信できなかった場合はS2206へ戻る。
受信開始予約信号には、撮影開始までの時間T10と撮影時間(曝射時間)T11が含まれている。
S2207にて、放射線センサ制御部102は撮影制御部132受信通知信号を送信し、S2208へ進む。
S2208にて、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して、指定回数の暗電流除去駆動(リフレッシュ駆動、空読み駆動の繰り返し)を指示する。指定回数とは、前記S2206にて受信した撮影開始までの時間T10分に相当する駆動を行うことを示す。上記処理終了後S2209へ進む。
S2209にて、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して、蓄積動作開始を指示する。また放射線センサ制御部102は蓄積動作カウンターを起動し、蓄積動作の継続時間を測定する。蓄積動作開始と同時にS2210へ進む。
S2210にて、放射線センサ制御部102は撮影制御部132へ蓄積開始通知信号を送信する。蓄積動作カウンターが前記S2206にて受信した撮影時間(曝射時間)T11以上になるとS210へ進む。
S210において、撮影制御部132は放射線センサ制御部102へ蓄積終了を示す信号を送信する。これによりまた放射線撮影装置100は放射線検出を終了する。
S211において、放射線センサ制御部102は、放射線センサ101で蓄積した電荷に基づく画像データを生成し、メモリ(不図示)に格納する。これにより、放射線撮影が終了する。放射線撮影装置が取得した画像データを撮影制御部132へ転送する。その後S212へ進む。
S212において、放射線センサ制御部102は放射線センサ101に対して初期化モードの指示を行う。このモード指示はS201で述べた駆動と同様である。ここでは、光電変換素子に蓄積した電荷及びホール電荷を除去し、次の撮影を準備するためである。またS201と同様に暗電流状態の判定を行う。これら駆動と暗電流状態判定はS205まで継続実施する。本ステップが開始された後、S1204へ進む
また、放射線センサ制御部102は撮影制御部132に対して撮影不可であることを示す「Not Ready」を送信する。
S2109において、撮影制御部132は放射線センサ制御部102より受信通知信号を受信し、S2110へ進む。
S2110において、撮影開始までのカウントダウンを検査画面に表示する。表示例を図22(b)に示す。本例では、撮影開始(放射線曝射開始)までの時間が5秒であること示している。カウントダウンが進み0秒になると、S2111へ進む。
S2111において、撮影制御部132は放射線センサ制御部102より蓄積開始通知信号受信する。受信後、S2112へ進む。
S2112において、撮影制御部132は撮影開始(放射線照射開始)可能であることを検査画面に表示し、S2113へ進む。
S2113において、撮影制御部132は撮影可能(放射線照射) 残り時間を検査画面にカウントダウン表示する。検査画面の例を図22(c)に示す。本例では、撮影可能な時間が、残り1秒であること示している。カウントダウン表示が0秒となった後、S109に進む。
S109において、撮影制御部132は受信した画像データを所望の画像処理を行う。
S1110において、撮影制御部132はS109にて処理した画像データを画像表示部133に表示する。また、放射線センサ制御部102から送信された撮影可否状態をインジケータ701に表示する。また、画像データを記憶部134に保存する。
表示例を図19に示す。撮影画像が撮影画像表示ウインドー710に明示する。また、撮影可否を示すインジケータ701に「Not Ready」を明示する。
S111において撮影の継続を判定する。続けて撮影条件が設定されている場合はS104(もしくはS1105)へ進む。撮影条件が設定されていない場合は撮影を終了する。
図22に基づいて待機時間及び蓄積時間の設定処理から照射可能表示までの処理の際に表示部270に表示される画面例を説明する。
図22(a)は画像表示部133の画面上に表示した設定画面の1例である。画面には、待機時間を表示するための表示領域270aと、蓄積時間を表示するための表示領域270bとが表示されている。また表示領域270aに表示されている待機時間を所定の単位だけ増加させるためのボタン250aと、減少させるためのボタン250bと、表示領域270bに表示されている蓄積時間を所定の単位だけ減少させるためのボタン250cと、減少させるためのボタン250dとが表示される。これらボタンは操作部250を介して位置が制御されるカーソルと同じく操作部250の選択ボタンにより押下されることにより、表示領域270aまたは270bに表示されている数値が変更されるよう表示制御部(撮影制御部132)が制御する。また撮影開始を指示するための撮影開始ボタン250eと、撮影の設定をキャンセルするキャンセルボタン250fが表示される。これらも、入力部131からの操作入力を介して押下される。キャンセルボタン250fが押下されることにより、表示制御部(撮影制御部132)は図22(a)の表示を中止して例えば撮影予約の情報を表示する画面を表示させる。操作入力を介して撮影予約の情報から1つが選択されることにより、表示制御部は選択された撮影予約に対応する待機時間及び蓄積時間を設定するための図22(a)の表示画面を再度表示させる。このように撮影を開始するまでの待機時間および蓄積時間を、それぞれ入力部131を介してGUI上で入力することができる。入力部131はキーボードでもよいし、音声入力などその他の操作部を用いることができる。
図22(b)(c)に基づいて画像表示部133でのカウントダウン表示の例を説明する。例えば画像表示部133として放射線画像を表示できるような大きい画面のディスプレイが用いられる場合には、カウントダウン中は、例えば図22(b)に示すように表示装置の画面上に撮影までの残り時間が表示される。また撮影前の状態である旨を「撮影準備中です」の表示で示している。同時に例えば不図示のスピーカなどから音声によってカウントダウンを合わせて行うことで、例えば画像表示部133が確認できない位置に操作者が移動する必要がある場合には有用である。また照射スイッチの1stスイッチのみ押下すべき旨の文字及びアイコンの表示を行うことで、無効曝射となる可能性を低減することができる。
図10(c)の表示画面例では、放射線の照射が許可されている期間である旨を「撮影中です」の表示で示されている。また2ndスイッチを押下すべき旨の文字表示及びアイコンにより、2ndスイッチを押下すべきタイミングであることを知ることができる。また、撮影終了までの残り時間の表示により操作者は残りの照射可能期間を知ることができる。例えば残り時間が図10(c)のように短い場合には今回の放射線照射を諦め、再び撮影開始ボタン250eを押下して再度の蓄積開始を行なわせるなどの判断を行なうことができ、結果的に無効曝射の可能性を低減することができる。
次に図23のタイミングチャートを用いて、放射線撮影装置100の駆動について詳細に説明する。駆動は大別すると初期化モード、手動同期Readyモード、撮影モードの3つからなる。
a)は光電変換素子のTFTと光電変換素子への電圧印加を示している。
b)は放射線発生装置から放射線撮影装置へ送信する曝射確認信号を示している。
c)は放射線照射状態を示している。
d)は光電変換素子に流れる暗電流値を示している。
また、S2108で説明した撮影開始カウンター起動時間も記載している。
まず初期化モードについては、上述の例と同様とすることができる。
次に、手動同期Readyモードについて説明する。本駆動は図21のフローチャートでは、S2205からS2208で行われる。上述の例との違いは、駆動開始の指示と、終了方法である。
まず、駆動開始の指示は撮影制御部132から放射線センサ制御部102へ手動同期指示により実行される。暗電流除去駆動を(リフレッシュ駆動、空読み駆動、Wait駆動 3つの駆動の繰り返し)から(リフレッシュ駆動、空読み駆動の繰り返し)に切り替えている。これは、上述したように高速に放射線蓄積動作へ移行するためである。
本駆動は、S2206にて受信した「撮影開始までの時間T10」間、本駆動を実施する。本駆動実施後、撮影モードに移る。
次に撮影モードについて説明する。本駆動は図21のフローチャートでは、S2209からS210で行われる。
上述の例との違いは、蓄積動作が放射線曝射をトリガーに動作を開始するわけではないことである。手動同期Readyモード終了後、放射センサ制御部102は放射線検出部に対して蓄積モードを実施するように指示する。操作者に対しては、撮影可能であることを検査画面にて示し、放射線曝射を実施する。
放射線曝射できる時間は、前記した撮影時間(曝射時間)T11で設定される。
以上のように、同期・非同期(自動検知・手動同期)のモードを有する放射線撮影装置を使用しても、撮影モードが表示されるため、操作者は簡便に撮影条件を確認できる。また、条件を確認する撮影制御ディスプレイの表示がモードによらず略同一であるため、操作者はモードに関係なく同一の操作性を得ることができる
次に本発明のその他の実施形態について説明する。
その他の実施形態では、上述の実施形態の1つに加えて、同期モードを選択したが、同期通信回線が不安定で使用できない場合の対策が講じられている。
通信回線が不安定な場合の例の1つとして、通信回線に無線通信を利用した場合が挙げられる。別の無線通信機器が同一周波数帯で動作している場合、通信帯域が確保できず通信が不安定となってしまうことがある。また、電子レンジ・超音波洗浄機などが近傍で使用された場合、装置から漏れ出る電波が外来ノイズとなり通信が不安定となってしまうことがある。
ここでは重複説明を避けるため、上述の実施形態と異なる点について説明する。
システム構成は図1に示す構成と同じである。図24を用いて上述の実施形態と動作が異なる部分のみ説明する。
図24は撮影の手順を示すフローチャートである。本手順は図6で示した手順の後に行われる。上述の実施形態と異なるのはS3001である。
S3001について説明する。
撮影制御部102が放射線制御部122との同期通信の通信状態を確認し、同期撮影可能か判定する判定部として機能する。通信品質の判定は、予め決められたデータ量が予め決められた時間内に送受信可能かで行う。具体的には、TCP/IPプロトコル上でFTP (IETF RFC 959規定)ファイル転送を行い、転送時間で通信品質の良否を判定する。
予め決められた時間内で転送できた場合はS204へ進み、同期モードを継続する。できなかった場合は通信品質が不良と判定して、S1204へ進み、非同期モードを実施する。
以上の実施形態では、通信品質が不良の場合、同期モードであっても非同期モードに自動的に切り替わる場合について述べてきたが、これに限定されるものではない。撮影制御部132が通信品質の不良を検査画面(図9、図10)において警告表示するだけでもよい。また、警告表示を行い、操作者にモード切替えを要求しても良い。
判定部は同期通信回線125の通信状態を判定することができればよく、例えばコンソール装置130やコンソール装置130及び放射線撮影装置100とは別の独立した装置、例えば同期通信回線125の中継装置としてもよい。
以上のように、同期通信回線の品質を確認する手段を提供することにより、同期通信回線が不良の場合であっても非同期モードで撮影を継続することができる。このことにより操作者の作業負担を減らすことができる。
その他、第一のモードと第二のモードとで、ステップS211における放射線撮影装置100からコンソール装置130に送信される放射線画像データの送信方法を変更することができる。例えば、第一のモードでは、放射線撮影装置100内の画像処理回路2713でダーク補正処理等の補正処理を行わない放射線画像データを通信回路1021が送信した後に、補正処理を行った後の放射線画像データを送信する。一方で第二のモードでは、ダーク補正処理等の補正処理を行わない放射線画像データを通信回路1021が送信しないよう放射線センサ制御部102が制御することとする。第二のモードでは放射線が放射線撮影装置に到達してから検知回路により検知されるまでの間の間隔に起因する画像のアーチファクトが存在する可能性がある。そこでかかるアーチファクトが残った画像を表示しないようにし、誤診断や誤った操作を引き起こしてしまう可能性を低減することができる。第二のモードでは、第二のモードである場合にのみ実行されるアーチファクト低減の画像処理が撮影制御部132により実行される。一方で第一のモードではかかるアーチファクトが存在しないため、ダーク補正処理前の放射線画像データを通信回路1021が送信し、撮影制御部132でダーク補正処理前の放射線画像データに対してダーク成分に起因するノイズを低減する画像処理を実行する。
このようにすることで、アーチファクト画像が表示されてしまわないようにしつつ、撮影後より迅速に画像を表示することができる。
なお、ダーク補正前の放射線画像データを第二のモードにおいても通信回路1021が送信してもよく、この場合に撮影制御部132は補正前の放射線画像データを画像表示部133に表示しないように制御する事も可能である。
図25に基づき、上述の実施形態に係る放射線撮影システムの装置構成例を説明する。
図25の放射線発生装置913は、図1、図14の放射線発生装置120に対応する。また、図25の放射線撮影装置3911は、図1、図14の放射線撮影装置100に対応する。図25の画像処理装置3921は、図1、図14のコンソール装置130に対応する構成である。その他、無線通信部3911bは図1、図14の通信回路1021に、バッテリ3911aは図3のバッテリ2714に、それぞれ対応する。
放射線撮影室3910は、放射線曝射による放射線撮影を行う部屋である。制御室3920は、放射線撮影室3910の近傍に設置される部屋である。放射線撮影装置3911は、放射線に反応して放射線画像データを生成する。制御装置912は、放射線撮影装置3911から受信した放射線画像データを画像処理装置3921に対して送信するとともに、放射線発生装置913からの放射線の発生を制御する。なお、放射線発生装置913及び制御装置912は、複数存在してもよい。
放射線撮影は、放射線撮影装置3911を架台や臥台に固定設置して行うことが一般的であるが、より自由度の高い放射線撮影を行うために、放射線撮影装置3911を機械的に固定せず、フリーポジション状態で撮影する場合がある。このようなニーズのために、最近では、放射線撮影装置3911と画像処理装置3912との間の接続を無線化し、放射線撮影装置3911の設置自由度を改良したタイプのデジタル放射線撮影システムも製品化されている。
画像処理装置3921は、画像処理を行うPC等の装置である。表示装置3922は、画像処理装置3921で画像処理が施された放射線画像データに基づく放射線画像を表示する。基幹ネットワーク3923は、画像処理装置3921を接続する院内LAN等のネットワークである。アクセスポイント3915は、無線通信部3911bと対向して無線通信を行うとともに、制御装置3912や画像処理装置3921とも通信を行う。また、放射線撮影装置3911内には、バッテリ3911aと、アクセスポイント3915とIEEE802.11規格等を用いた無線通信を行う無線通信部3911bとが必要となる。
通信パラメータ送信装置3914は、無線通信部3911bと対向して無線通信を行うとともに、IEEE802.11規格に必要な通信パラメータ(SSIDやPSKなど)を送信する。放射線撮影装置3911は、上記で受信した通信パラメータを無線通信部に設定を行いIEEE802.11規格の通信を開始する。
放射線撮影装置3911は、バッテリ3911aから供給される電力で動作する。また、搭載された無線通信部3911bとアクセスポイント3915との間で無線通信を行うことにより、撮影した放射線画像データの送信や制御情報の授受を行う。また、制御装置912とアクセスポイント3915は有線接続部3916を介して接続され、上記画像データや制御信号の送受信を行う。
図26に基づき上述の実施形態に係る放射線撮影装置100及びコンソール装置130のハードウェア構成例を示す。上述の例と、同一の符番を付した構成については同様のユニットであり説明を省略することがある。
センサ制御部240はFPGA2401と、RAM2402と、HDD2403と、MPU2404と、ROM2405とを有する。FPGA2401は主に駆動回路220及び読出回路230の制御を実行する。MPU2404は放射線撮影装置200の動作を統合的に制御する回路であり、ROM2405やHDD2403に記憶されたプログラムに含まれる命令を実行することにより、放射線撮影装置200の各部を制御する。これにより上述の実施例にかかる処理が実現される。RAM2402はMPU2404のワークメモリである。HDD2403は各種の設定データを記憶するほか、OS2431とOS2431上で動作するプログラム2432とを記憶する。プログラム2432は図1に示す各機能、図5、図15または図21のフローチャートに示される処理を実現するためのプログラムであり、MPU2404に実行される。
一方、撮影制御装置300はGPU3001と、RAM3002と、HDD3003と、CPU3004と、ROM3005と、を有する。CPU3004は撮影制御装置300のハードウェア及びこれに接続されるユニットを統合的に制御する回路であり、ROM3005やHDD3003に記憶されたプログラムに含まれる命令を実行することにより、撮影制御装置300の各部を制御する。RAM3002はCPU3004のワークメモリである。HDD3003は各種の設定データを記憶するほか、OS3031とOS3031上で動作するプログラム3032とを記憶する。プログラム3032は図5、図15または図21のフローチャートに示される処理を実現するためのプログラムであり、CPU3004に実行される。GPU3001は主に画像処理を実行するための専用回路であり、CPU3004の指示に応じて受け取った画像データを処理する。
FPGAで実装された機能をMPU2404あるいはCPU3004で実現する場合には、FPGAの実装に用いられたハードウェア記述言語に対応するソフトウェアプログラムを用意する。このソフトウェアプログラムをプログラム2432あるいは3032としてHDD2403あるいは3003に格納する。格納されたプログラムに含まれる命令をMPU2404あるいはCPU3004(コンピュータ)により逐次または並列的に実行することによって、上述の図5、図15、及び図21のフローチャートに記載の処理が実現される。逆に、MPUやCPUとプログラムで実装された機能をハードウェアで実装する場合には、当該プログラムに対応するハードウェア記述言語で記載されたプログラムを生成し、これからFPGAのコンフィギュレーションデータを得ることにより実装される。
以上の実施形態では、検査画面(図9、図10、図11、図12、図16、図17、図18、図19)にて表示するインジケータに文字を表示する場合について述べてきた。上記例ではインジケータ702に「同期」「非同期」の文字を表示し、インジケータ711には、「手動同期」の文字を表示する場合について述べてきた。しかし、これに限定されるものではなく識別できるものであればよい。上記と異なる文字を使用してもよいし、色を変更するだけでもよく、アイコン表示(形、色、点滅状態)など、何れであっても好適に実施される。
上述の例では、撮影モードの選択を放射線撮影装置100とは独立したコンソール装置130で行うこととしているが、これに限らない。例えば放射線撮影装置100と着脱可能な表示端末で行うこととしてもよいし、放射線撮影装置100及びコンソール装置130のいずれからも独立した第三の装置で行うこととしてもよい。
なお上述の実施形態を適宜組み合わせた実施形態についても本発明の実施形態に含まれる。
以上本発明の実施形態では、放射線撮影装置と放射線発生装置とが同期通信を行う「同期モード」と同期通信しない「非同期モード」を有する放射線撮影システムで、表示部に表示される表示を同様の表示としつつ、各撮影モードに対応する撮影を実行できる。一方で、撮影を実行し画像を表示するための検査画面に撮影モードを示す表示を表示することにより、撮影モードの違いを操作者に認識させることができるため、撮影モードによる違いを操作者に認識させることができる。