JP2014171398A - 乳酸菌発酵再構成肉食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホエイを含む培養液から得た乳酸菌カルチャーを濃縮して濃縮乳酸菌カルチャー(CLc)を調製し、これをミンチ状、細切れ状、またはペースト状の原料肉(M)に接種、混合して乳酸菌含有肉原料を調製し、成形シート部材を用いて乳酸菌含有肉原料を保形し乳酸菌含有肉保形物を得て、乳酸菌含有肉保形物を成形シート部材とともに押圧して乳酸菌含有肉成形物を得て、乳酸菌含有肉成形物内に生存する乳酸菌を増殖させて乳酸菌発酵成形肉を得て、乳酸菌発酵成形肉の水分量を調整して、乳酸菌発酵成形肉の水分活性が0.65〜0.87であり、厚さ2〜7mmの乳酸菌発酵成形肉のせん断力価が0.5〜3kgの乳酸菌発酵再構成肉食品(P)とする。
【選択図】図2
Description
各実施例並びに比較例の乳酸菌発酵再構成肉食品の試作に際し、次の方法により、濃縮乳酸菌カルチャーを調製した。乳酸菌に市販の乳酸菌粉末YC−380(クリスチャン・ハンセン社製:Lactobacillus.delbrueckii subsp.及びStreptcoccus.themophilusの混合である。)を使用した。はじめに、容量3Lの液体培養容器内に滅菌水2Lに対し、牛乳由来のホエイ10%、酵母エキス0.5%、及びグルコース0.5%の割合で投入し、この中に、前出の乳酸菌粉末0.5gを接種した。培養容器を43℃の恒温室に静置し、経時的に培養液を分取してpHを測定し、pH4.6となった時点から2.5時間経過後に培養を終了した。培養終了時の乳酸菌を含む培養液が乳酸菌カルチャーである。さらに、培養終了時の乳酸菌を含む培養液を無菌的に10000×gにて10分間遠心分離し、ここから上清を取り去った残渣が濃縮乳酸菌カルチャーである。
発明者らは、実施例及び比較例にて示す作製方法に基づいて各種乳酸菌発酵再構成肉食品を作製した。そして、作製した再構成肉食品について微生物測定、水分活性、pHを測定した。各測定ともひとつの試料につき3回測定して平均を求め、この平均値を当該試料における測定値とした。
「一般生菌数の測定」に際し、測定対象となる実施例及び比較例の肉試料5gを滅菌ホモジナイズバッグに採取し、45mLの滅菌生理的食塩水を加えて密封した。そして、ストマッカーにより、230rpmで2分間処理して懸濁液を得た。この懸濁液を希釈平板法により測定した。
水分活性(Aw)の測定に際し、測定対象となる実施例及び比較例の肉試料をミルミキサーにより粉砕し、当該試料を水分活性計(アクアラボ・ライト,Decagon Devices社製)により温度25℃の室内にて測定した。
測定対象となる実施例及び比較例の肉試料5gに蒸留水45mLを加え、専用容器内にてホモジナイザーにより粉砕処理(15000rpm,3分間)した。同処理後の懸濁液をガラス電極pHメーターにより測定した。
〈実施例1〉
豚肉(もも)の切り落としを約直径4mmの挽き肉に加工し原料肉とした。原料肉(豚挽き肉)に対し、重量比で10重量%の前記調製の濃縮乳酸菌カルチャーを接種して双方を十分に混合し乳酸菌含有肉原料とした。成形シート部材として、紙の基材にビスコースを含浸して得た透過性シート部材(フタムラ化学株式会社製のファイブラスケーシング,ミートロン(登録商標)のVタイプ)を用いた。この透過性シート部材は一端が閉じた円筒体である。なお、使用時に蒸留水に浸して軟化した。
比較例1−1は、実施例1の作製手順より濃縮乳酸菌カルチャーの接種を省略して作製した再構成肉食品である。他の製法、手順は変更せずに作製した。
比較例1−2は、実施例1の作製手順より濃縮乳酸菌カルチャーを乳酸菌カルチャーに変更して接種し作製した再構成肉食品である。他の製法、手順は変更せずに作製した。
完成後の性状について、実施例1は、原料肉同士がしっかりと結着した仕上がりであり、しなやかに屈曲する。比較例1−1は、原料肉同士の結着が弱く、成形シート部材から再構成肉を取り出す際に形状が壊れてしまった。比較例1−2は、原料肉同士が結着した仕上がりではあるものの、実施例1よりも柔軟性を欠く。図5の写真は出来上がった実施例1の乳酸菌発酵再構成肉食品であり、これのラミネート包装品である。図5から把握されるように、全体に同色であることから原料肉同士が結着により均一化していることがわかる。
発明者らは、乳酸菌数濃度の相違による影響を明らかにするため、原料肉の発酵中のpH、乳酸菌数、大腸菌群数の経時的変化、及び水分調整中の水分活性の経時的変化を調査した。表2は発酵中のpHの変化、表3は発酵中の乳酸菌数(対数値表記)の変化、表4は発酵中の大腸菌群数(対数値表記)の変化、表5は水分調整中の水分活性の変化、表6は水分調整中の水分量の変化である。表中、「N.D.」は検出せずの意味である。
実施例2は、実施例1の再構成肉食品の製造において、発酵段階では接種直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。また、水分調整段階では乾燥直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
実施例3は、実施例1の再構成肉食品の製造において濃縮乳酸菌カルチャーの接種量を原料肉に対し重量比で5重量%とし(実施例1の半分)、その他の製法、手順を同一とした。そして、実施例2と同様に発酵段階では接種直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。また、水分調整段階では乾燥直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
実施例4は、実施例1の再構成肉食品の製造において濃縮乳酸菌カルチャーの接種量を原料肉に対し重量比で20重量%とし(実施例1の2倍)、その他の製法、手順を同一とした。そして、実施例2と同様に発酵段階では接種直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。また、水分調整段階では乾燥直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
比較例2は、実施例1の作製手順より濃縮乳酸菌カルチャーの接種を省略して作製した再構成肉食品であり、他の作製手順を変更せずに作製した。比較例2においても、実施例2と同様に計測直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。また、乾燥段階では乾燥開始直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
表2より、乳酸菌未接種の比較例2ではpHの低下は生じなかった。その他の乳酸菌を接種した実施例の場合、いずれも経時的にpHの低下が生じた。各実施例の全体的な傾向を踏まえると、接種時点における乳酸菌数の多少がpHの低下に影響を与えている。表3より、乳酸菌未接種の比較例2はもともとの原料肉等に付着していた乳酸菌であり菌数の増加は見られない。その他の乳酸菌を接種した実施例の場合、接種時の菌数の多少により乳酸菌数にばらつきは生じたものの、いずれも順調に菌数増加を確認することができた。
乳酸菌含有肉成形物を作製する際の厚さの多少は、最終的に出来上がる乳酸菌発酵再構成肉食品の厚さにも影響を及ぼし、食べごたえを左右する。一般に、厚みが増すほど乾燥し難くなると予想される。そこで、発明者らは、前出の実施例1と異なる厚さによる乳酸菌発酵再構成肉食品を製造し、水分調整時の水分活性を測定した。結果は表7となった。
実施例5は、実施例1の製造において、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmから5mmへ変更した。その他の製法、手順は実施例1−1と共通とした。水分調整段階では水分調整の開始直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
実施例6は、実施例1の製造において、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmから7mmへ変更した。その他の製法、手順は実施例1と共通とした。水分調整段階では水分調整の開始直後から2時間ごとに肉試料を分取し測定に供した。
表6の結果から、厚さ5mmの実施例では、水分活性が乾燥食肉加工品の基準である0.87未満に到達するまで6ないし8時間の乾燥となった。これに対し、厚さ7mmの実施例では、10ないし12時間の乾燥となった。乾燥と水分活性低下の関係は、乳酸菌含有肉成形物の厚さと比例した。従って、出来上がる乳酸菌発酵再構成肉食品の厚さに応じた食べごたえと、乾燥に要する時間や経費との兼ね合いにより、乳酸菌含有肉成形物の厚さを規定することが望ましい。表中の実施例6の水分活性のように、乾燥時間を長く要することから、およそ7mmが厚さの上限と考える。
乳酸菌発酵再構成肉食品を異なる厚さに作り分けるとともに、適当な水分調整に伴う乾燥時点での水分活性、せん断力価(kg)を測定した(実施例7ないし実施例17)。また、再構成肉ではなく、一枚肉を使用して実施例に開示の乳酸菌発酵再構成肉食品の製法に準じて比較例も製造し、水分活性、せん断力価を測定した(比較例3ないし比較例7)。さらに、市販の乾燥食肉食品を複数種類購入し、水分活性、せん断力価を測定した(市販品1ないし市販品12)。実施例、比較例、市販品のそれぞれについての測定結果は表8ないし表10となった。
厚さの測定は、ノギスを用い乾燥後の実施例、比較例等の試料を計測した。ひとつの試料につき7箇所の測定を行った。そのうち、最大値と最小値を除いて平均値を求めた。この平均値を当該試料における厚さ(mm)とした。
せん断力の測定に際し、ワーナー・ブラッツラーせん断力計(G−R MANUFACTURING社製,MODEL235)を使用した。測定対象となる実施例の乳酸菌発酵再構成肉食品を5mm×25mmの細片試料に切り分けた。前記のせん断力計に、筋線維の方向に対して垂直に切断する位置に細片試料を設置し、同せん断力計にて測定した。ひとつの試料当たり12回測定した。そして、最大値と最小値を除外して残余の10回分の数値の平均を求め、この平均値を当該試料におけるせん断力価(kg)とした。
実施例7ないし実施例10は、実施例1の製造において、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmから2mmへ変更した。その他の製法、手順は実施例1と共通とし製造した。そして、水分調整段階において適宜肉試料を分取し測定に供した。
実施例11ないし実施例14は、実施例1の製造と製法、手順を実施例1と共通とし、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmとして製造した。そして、水分調整段階において適宜肉試料を分取し測定に供した。
実施例15ないし実施例17は、実施例1の製造において、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmから4mmへ変更した。その他の製法、手順は実施例1と共通とし製造した。そして、水分調整段階において適宜肉試料を分取し測定に供した。
比較例3ないし比較例7は、従前の一枚肉を用いて実施例1と同様の製法、手順により乾燥肉食品を製造し、測定に供した。はじめに豚肉(もも)を厚さ約3mmないし4mmの板状にスライスして原料肉とした。一枚肉の原料肉に対し、重量比で10重量%の濃縮乳酸菌カルチャーを接種して十分に馴染ませた。そして、実施例1と同様に成形シート部材(透過性シート部材)内に、乳酸菌付着の一枚肉を入れた。その後、43℃、6時間静置し乳酸菌の発酵を促した。
市販品1ないし市販品6は牛の一枚肉を原料肉とする乾燥肉食品である。市販品7,8は豚の一枚肉を原料肉とする乾燥肉食品である。市販品9,10,11は牛を原料肉とする再構成肉の乾燥肉食品である。市販品12は牛を原料肉とする再構成肉の乾燥肉食品である。
水分活性とせん断力価との関連性をさらに検証するため、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを極力2mmに揃えつつ、水分調整に伴う乾燥条件を適宜変更しながら、水分活性値の異なる乳酸菌発酵再構成肉食品を製造した(実施例7−1〜実施例7−12)。製法、手順は実施例1と共通である。
表8の実施例7ないし実施例10について、同様の厚さの場合、水分活性の低下とともにせん断力価は上昇する傾向にある。例えば、実施例8と実施例13、及び実施例11と実施例17について見られるように、同程度の水分活性であっても厚みが大きいほどせん断力価は上昇する傾向にある。これについては、作製時の厚さと水分活性(乾燥)による肉質の変化がともにせん断力価に大きく影響を与えることを示している。このことから、作製時の厚さと、水分活性(乾燥)の加減により、再構成肉食品の硬軟の作りわけが簡単であることを明らかにした。
発明者らは、これまでの検証から乳酸菌発酵再構成肉食品における水分活性とせん断力価との間に明確な相関性を明らかにした。しかも再構成肉食品は低い水分活性でありながら他の食品に比べてせん断力価を抑える傾向にある。そこで、摂取した乳酸菌の発酵に伴う変化について、タンパク質の分解(図6参照)、菌体外多糖の産生(μg/g)から検証した。併せて、せん断力価(kg)、引張り力価(N)、引張り伸び(mm)を測定した(表12参照)。
実施例18は、実施例1の製造において、乳酸菌含有肉成形物を押圧して仕上げる際の厚さを3mmから2mmへ変更した。その他の製法、手順は実施例1と共通とし再構成肉食品を製造した。濃縮乳酸菌カルチャーは10重量%の接種とした。そして、接種直後から発酵進行中の経時で分取し測定に供した。
比較例8は、実施例1の製造から濃縮乳酸菌カルチャーの接種のみを省略し、押圧して仕上げる際の厚さを3mmから2mmへ変更した。その他は実施例1と共通とし製造した。成形後から経時で分取し測定に供した。
再構成肉食品を4g採取し、100mM KCl、20mM KH2PO4、5mM EDTA2Na、及び1mM MgCl2を含有する緩衝液(pH7.0)40mLを添加し、氷冷下で1分間のホモジェナイズ(15000rpm)を2回繰り返した。懸濁液を0℃、15分間、遠心分離(1000×g)し、上清を捨てて沈殿物を取り出した。この沈殿物に前出の緩衝液40mLを添加して懸濁、遠心分離を2回繰り返した。得られた沈殿物に前出の緩衝液10mLを添加して懸濁後、18meshのフィルターで濾過し、肉の結合組織を除去し筋原繊維のみとした。
菌体外多糖(EPS)の測定に際し、再構成肉食品を5g採取し、蒸留水45mLを添加して氷冷下で1分間ホモジェナイズした(15000rpm)。この懸濁液を蒸留水により10倍に希釈し、試料液とした。試料液1mLに5Mのトリクロロ酢酸300μLを添加し室温下、10分間、遠心分離(3000×g)し、上清と残渣に分離した。上清500μLに2.5M NaOHを125μL添加して中和し、ultra−filtration kit(UST−1,MW:10000cut off,アドバンテック東洋株式会社製)を用いて濾過した。蒸留水で5回洗浄後、高分子量成分を500μLの蒸留水により回収した。当該高分子量成分を菌体外多糖(EPS)とみなし、フェノール硫酸法によりグルコースを標準糖として算出した。
引張り力価の測定に際し、株式会社サン科学製,レオメーター:COMPAC−100IIを使用した。試料の引張り力価及び引張り伸びの測定には専用のクランプ型治具を使用した。再構成肉食品の試料を5×25mmの小片に裁断し、専用クランプに取り付け、前記のレオメーターにより試料を引っ張ったときの最大荷重(引張り力価)を読みとった。1試料につき12回測定して最大値と最小値を除いた10回分の数値の平均を求め、この平均値を当該試料における引張り力価(N)とした。引張り伸びについては、引っ張りはじめから最大荷重が得られた時点までの試料の伸びを読みとった。1試料につき12回測定して最大値と最小値を除いた10回分の数値の平均を求め、この平均値を当該試料における引張り伸び(mm)とした。表12中、「―」は測定ができなかったことを示す。
図5の泳動後のゲルの写真から、比較例8(Control)のレーンでは時間経過に伴うバンドの変化は見られない。これに対し、実施例18(LAB)のレーンでは時間経過に伴い23kDのバンドが薄くなり、16ないし19kD付近のバンドが濃くなった。すなわち、乳酸菌の菌数増加と発酵により、高分子量のタンパク質が分解されて低分子量化したといえる。
これまでに詳述した実施例の原料肉は豚挽き肉である。そこで、これ以外の原料肉を用いた場合であっても、同様に乳酸菌発酵再構成肉食品が製造可能か否か検証した。以下の実施例19,20,21であり、表13にその結果を記す。表中に提示した測定、評価事項、性状の差異等を踏まえて、総合評価も行った。極めて良好を「A」、良好を「B」、普通を「C」、不良を「D」とした。
実施例19は鶏胸肉を原料肉とした。鶏胸肉をフードプロセッサーによりペースト状にした。原料肉(鶏胸肉)に対し、重量比で10重量%の前記調製の濃縮乳酸菌カルチャーを接種して双方を十分に混合し乳酸菌含有肉原料とした。成形シート部材として実施例1−1と同様の透過性シート部材を用いた。
実施例20はサケを原料肉とした。サケの切り身から皮と骨を取り除き、肉のみをフードプロセッサーによりペースト状にした。以降の製法、手順は実施例19と同一とした。
実施例21はタラを原料肉とした。タラの切り身から皮と骨を取り除き、肉のみをフードプロセッサーによりペースト状にした。以降の製法、手順は実施例19と同一とした。
完成後の性状について、実施例19,20は、原料肉同士がしっかりと結着した仕上がりであり、しなやかに屈曲する。具体的には、図7は実施例19の鶏胸肉を使用した乳酸菌発酵再構成肉食品の写真であり、図8は実施例20のサケを使用した乳酸菌発酵再構成肉食品の写真である。全体の色合いが均質であることから結着が良好であると判断できる。実施例21は、原料肉同士が結着しているものの、実施例19,20よりもやや柔軟性を欠き壊れやすい。ちょうど、図9の実施例21のタラを使用した乳酸菌発酵再構成肉食品の写真から把握されるように、一部に欠けている部位が存在するものの、比較的結着している。
これまでに詳述した実施例では、成形シート部材として紙の基材にビスコースを含浸して得た透過性シート部材(ファイブラスケーシング)を用いた。この他の資材についても同様に乳酸菌発酵再構成肉食品が製造可能か否か検証した。以下の実施例22ないし実施例27、比較例9,比較例10であり、表14,表15にその結果を記す。表中の各項目に対する評価について、「◎」は良好に使用でき非常に取り扱いが便利である。「○」は十分に使用可能である。「△」は使用可能であるものの取り扱いに注意を要する。「×」は使用できない。「−」は評価不能である。
「充填」は、乳酸菌含有肉原料を成形シート部材に充填した際、成形シート部材からの乳酸菌含有肉原料の漏出の有無の評価とした。
「成形」は、乳酸菌含有肉保形物を成形シート部材とともに押圧した際、成形シート部材の破裂の有無と乳酸菌含有肉原料の漏出の有無の評価とした。
「乾燥」は、乳酸菌発酵成形肉の乾燥しやすさ、乾燥のむらの有無の評価とした。
「保護」は、製造段階における成形シート部材の取り扱いやすさであり、摩擦等による損傷の有無を評価した。
「剥離」は、乾燥を終えた後の成形シート部材の取り外しやすさの評価とした。
「総合評価」は、表中に提示した評価項目、乳酸菌発酵再構成肉食品の出来栄え、取り扱いの良さを加味して、極めて良好を「A」、良好を「B」、普通を「C」、不良または完成せずを「D」として判じた。
実施例22は、前出の実施例1における製法、手順、材料と同様としてあらためて製造した。成形シート部材として、紙の基材にビスコースを含浸して得た透過性シート部材(ファイブラスケーシング)の使用である。
実施例23は、成形シート部材としてセルロースケーシング(パール金属株式会社製)を用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
実施例24は、成形シート部材としてコラーゲンケーシング(ニッピ株式会社製)を用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
実施例25は、成形シート部材として天然羊腸(ニッピ株式会社製)を用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
実施例26は、成形シート部材として不織布ケーシング(フジシロ株式会社製)を用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
実施例27は、成形シート部材として穴開け加工を施したプラスチックフィルムのケーシング(藤森工業株式会社製)を用いた。穴の大きさは約1.0mm、間隔は約20.0mmおきとし、金属針により穴を形成した。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
比較例9は、成形シート部材としてプラスチックフィルムのケーシング(藤森工業株式会社製)を用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
比較例10は、成形シート部材として市販の食品加工ネットを用いた。その他の製法、手順は実施例22(実施例1)と同様とした。
各例の成形シート部材を用いて乳酸菌発酵再構成肉食品を製造した際、以下の点が明らかとなった。実施例22は全ての項目、評価において最も良好であった。実施例23,24,25は材質的にやや脆弱であるため成形時に慎重を要する。その分、保護の評価が下がった。実施例26は不織布を円筒に折り込む形態のため部分的に乾燥のむらが生じた。また、不織布自体に毛羽立ちが存在するため、出来上がった再構成肉の剥離が他の例よりも思わしくなかった。実施例27は穴あき部分とフィルム部分において乾燥にむらが生じた。また、出来上がった再構成肉が穴部分に残りやすくなることも確認した。比較例9の場合、プラスチックケーシングの通気性がほとんどないため乾燥不能であり製品として完成しなかった。比較例10の場合、食品加工ネットに充填しようとしても、乳酸菌含有肉原料が網目から漏れ出てしまい、以降の処理が不能であった。
P 製品(再構成肉)
L 乳酸菌
CLc 濃縮乳酸菌カルチャー
Wh ホエイ
Ma 乳酸菌含有肉原料
10(11,12,13) 成形シート部材
14 封止部
20(21,22,23) 乳酸菌含有肉保形物
30 乳酸菌含有肉成形物
R ローラー
Claims (6)
- ホエイを含む培養液から得た乳酸菌カルチャーを濃縮することによって菌数を増加した濃縮乳酸菌カルチャーを調製し、
前記濃縮乳酸菌カルチャーをミンチ状、細切れ状、またはペースト状の原料肉に接種、混合して乳酸菌含有肉原料を調製し、
成形シート部材を用いて前記乳酸菌含有肉原料を保形し乳酸菌含有肉保形物を得て、
前記乳酸菌含有肉保形物を前記成形シート部材とともに押圧して乳酸菌含有肉成形物を得て、
前記乳酸菌含有肉成形物内に生存する乳酸菌を増殖させて乳酸菌発酵成形肉を得て、
前記乳酸菌発酵成形肉の水分量を調整して、
前記乳酸菌発酵成形肉の水分活性を0.65〜0.87とし、かつ、下記せん断力価の測定(i)において測定した厚さ2〜7mmの前記乳酸菌発酵成形肉のせん断力価を0.5〜3kgとする
ことを特徴とする乳酸菌発酵再構成肉食品。
(せん断力価の測定(i):前記乳酸菌発酵成形肉を5mm×25mmの板状片試料に切り分け、ワーナー・ブラッツラーせん断力計に前記板状片試料の面部分を垂直に切断する向きで設置し測定する。一の乳酸菌発酵成形肉当たり12回測定し、最大値及び最小値を除外し残余の10回分の平均値を当該乳酸菌発酵成形肉のせん断力価(kg)とする。) - 前記成形シート部材が、布もしくは穴あき樹脂シートである請求項1に記載の乳酸菌発酵再構成肉食品。
- 前記成形シート部材が、セルロースもしくはタンパク質よりなる透過性シート部材である請求項1に記載の乳酸菌発酵再構成肉食品。
- 前記成形シート部材が、紙もしくは布の基材にビスコースを含浸して得た透過性シート部材よりなる請求項1に記載の乳酸菌発酵再構成肉食品。
- 前記成形シート部材が筒状体であり該筒状体の内部に前記乳酸菌含有肉原料が充填される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の乳酸菌発酵再構成肉食品。
- 前記乳酸菌発酵成形肉が調味される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の乳酸菌発酵再構成肉食品。
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