JP2014170013A - 質量分析データ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多段のMSnスペクトルを表示する際に、ニュートラルロスやチャージドロスによるピーク位置を簡便な操作で容易に把握可能とする。
【解決手段】分析者により指定された保持時間におけるMS1スペクトル、MS2スペクトル、MS3スペクトルを、一つの画面の上段領域4A、中段領域4B、下段領域4Cに表示する。その画面上部のプリカーサ条件表示選択枠50中の「On」ボタンがクリック操作されると、MS2プリカーサ、MS3プリカーサのピークのm/zを調べ、MS1スペクトル及びMS2スペクトル上で上記m/z位置にあるピーク61、62を他のピークと識別可能な色で表示する。また、MS3スペクトル上の有意なピーク63も同じ色で表示する。これにより、特定のニュートラルロスやチャージドロスがプリカーサ選択条件として設定されたとき、スペクトル上のプリカーサイオンの位置をすぐに認識することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフの検出器としてMSn分析(nは2以上の整数)が可能な質量分析装置を用いたクロマトグラフ質量分析装置で収集されたデータを処理するデータ処理装置に関し、さらに詳しくは、分析結果を表示する画面表示処理に係るデータ処理技術に関する。
三連四重極型質量分析装置(TQMS)やイオントラップ飛行時間型質量分析装置(IT−TOFMS)では、分析対象成分由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比m/zを持つイオンをプリカーサイオンとして選択し、そのプリカーサイオンを衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation=CID)により解離させ、それにより生成されたプロダクトイオンを質量分析することでMS/MS(=MS2)スペクトルを作成することが可能である。また、IT−TOFMSでは、イオンの選択とCIDとを複数回繰り返して最終的に生成されたプロダクトイオンを質量分析することにより、nが3以上であるMSnスペクトルを作成することも可能である。なお、本明細書では、nが2以上であるMSn分析可能な質量分析装置をMSn型質量分析装置という。
液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)と上述したMSn型質量分析装置とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置では、試料に含まれる成分が既知であれば、その成分の保持時間においてMSn分析の対象とするプリカーサイオンの質量電荷比を予め設定しておき、目的成分のMSnスペクトルを取得することができる。しかしながら、試料に含まれる成分が未知である場合にはMSn分析を行うプリカーサイオンを予め設定しておくことはできないし、目的成分以外に試料に含まれる未知成分のMSn分析結果を得ることもできない。これに対し、CIDを伴わないMS1分析により得られた結果から適切なプリカーサイオンを自動的に選定してリアルタイムでMSn分析を実行する機能(以下、オートMSn機能という)を備える装置が従来知られている。
例えば特許文献1には、MS1分析により得られたマススペクトルに現れる複数のピークの中で、信号強度が高いものから順にピークを選択しそれに対応したイオン種をプリカーサイオンとして自動的に選定しMS2分析を行うことが記載されている。また、同文献には、信号強度が所定の強度範囲に入るピークを選択しそれに対応したイオン種をプリカーサイオンとして自動的に選定しMS2分析を行うことも記載されている。また、特許文献2、非特許文献1には、MS1分析により得られたマススペクトルに現れる複数のピークの中で、単に信号強度や質量電荷比の順序のみでなく、モノアイソトピックピークや価数などによるフィルタリングを実行して、或いは特定のイオンを除外したり優先したりしたうえで自動的にプリカーサイオンを選択しMS2分析を行うことも記載されている。
図7により、一般的なクロマトグラフ質量分析装置におけるオートMSn機能を概略的に説明する。ここでは、プリカーサイオンの選択基準として、MSスペクトルにおいて信号強度が閾値th以上であるピークの中で信号強度が大きい順に最大2つをプリカーサイオンとして選択するものとする。但し、図2に示すような除外イオンリストと優先イオンリストとが別途設定されており、除外イオンリストに登録されている質量電荷比を持つイオンは仮に上記基準に適合するものであってもプリカーサイオンとして選択しないようにし、逆に、優先イオンリストに登録されている質量電荷比を持つイオンはピークが存在していさえすれば上記基準に適合しないものであってもプリカーサイオンとして選択するようにする。通常、除外イオンリストは、試料に含まれる既知の夾雑成分、妨害成分や分析する必要がないことが予め分かっている成分がプリカーサイオンとして選択されないようにするために利用される。これとは逆に、優先イオンリストは、微量であっても分析したい成分がプリカーサイオンとして選択されるようにするために利用される。なお、1つのMSスペクトルに対して選択可能なプリカーサイオンの数を制限しているのは、リアルタイムでMSn分析を実行する時間に制約があるからである。
図7(a)に示すように全イオン電流(トータルイオン)クロマトグラム(TIC)の波形が得られる場合、時刻t1においてAに示すMSスペクトルが得られたとする。このMSスペクトルにおいて上述した信号強度の基準に従ってピークfがプリカーサイオンの候補として挙げられるが、このピークfに対応した質量電荷比が除外イオンリストに登録されていたとすると、これはプリカーサイオンとして選択されない。一方、ピークgはその信号強度が閾値thを下回るが、これに対応した質量電荷比が優先イオンリストに登録されていたとすると、このピークgに対応したイオンはプリカーサイオンとして自動的に選択され、このプリカーサイオンに対するMS2分析が直ちに実行される。その結果、Bに示すMS2スペクトルが得られる。
別の時刻t2ではCに示すMSスペクトルが得られたとする。このMSスペクトルでは閾値th以上の信号強度を持つピークが5個あり、強度が大きなものから順に2個を選択するが、ピークb、dに対応した質量電荷比が除外イオンリストに登録されていたとすると、これらを除いて次に強度の大きなピークa、cに対応したイオンをプリカーサイオンとして自動的に選択し、この2つのプリカーサイオンに対するMS2分析をそれぞれ直ちに実行する。その結果、D、Eに示す2つのMS2スペクトルが得られる。オートMSn機能を利用した分析では、このようにCIDを伴わない通常のMS分析を繰り返し実行しつつ、その分析結果に基づいてプリカーサ選択条件を満たすイオンがある場合には、それをプリカーサイオンに設定してリアルタイムでMS2分析を実行していく。また同様の方法により、nが3以上のMSn分析を実行することも可能である。
従来のクロマトグラフ質量分析装置において上述したようなオートMSn機能を用いて収集されたデータを解析処理して表示部の画面上に表示する場合、分析者が指定した保持時間において得られたMSスペクトルと、該MSスペクトルに基づいて自動的に選択されたプリカーサイオンに対するMS2スペクトルとが同一画面上に並べて表示されるようになっている(非特許文献2参照)。図8にこのマススペクトルの表示例を示す。
図8において、マススペクトル表示枠40内の上段領域41には保持時間12.05[min]におけるMSスペクトルが表示され、下段領域42には同じ保持時間12.05[min]でm/z426をプリカーサイオンとしたMS2スペクトルが表示されている。プリカーサイオンのm/zは上段領域41のMSスペクトルの横軸(m/z軸)下部に上向き矢印44で示されている。このm/z426というプリカーサイオンは上段領域41に表示されたMSスペクトルから自動的に選定されたものであるが、MSスペクトル中にはm/z426であるピークよりも大きな信号強度を持つピークが複数存在している。例えば信号強度の順にプリカーサイオンを選定するのであれば、これら、より大きな信号強度を持つピークに対応したイオンが選定されるべきであるが、ここではそうなってはおらず、m/z426であるピークが何故プリカーサイオンとして選択されたのかを分析者は知ることができない。
もちろん、プリカーサ選択条件を設定するための画面を開けば、図2に示したような除外イオンリストや優先イオンリストなどを閲覧することが可能であるから、分析者はそれを参照して、着目している保持時間における除外イオンの質量電荷比、優先イオンの質量電荷比などを確認することはできる。しかしながら、そうした別の画面を新たに開いて参照する操作や作業は煩雑で手間が掛かる上に、除外イオンリストや優先イオンリストに列挙されている数値をMSスペクトルに照らして、ピークが除外イオンや優先イオンに該当するか否かを判断するのは面倒である。特に、図2に示したように、保持時間範囲毎に除外イオンや優先イオンを任意に設定できるような自由度の高い条件設定が可能となっているため、尚更、作業は煩雑であって分析者の理解も容易でない。
また、オートMSn機能を利用してMS3分析を実行する場合、特定のイオンをプリカーサイオンとした或いは自動的に選択されたイオンをプリカーサイオンとしたMS2分析で得られたMS2スペクトル上に現れるピークが特定のニュートラルロスによるプロダクトイオンである場合に、該イオンをプリカーサイオンとしてMS3分析を実行することがある。即ち、これは特定のニュートラルロスを生じることをMSn分析のプリカーサイオン選択条件として設定する場合である。このようなプリカーサイオン選択条件の下で自動的にMS3分析のプリカーサイオンが見い出されMS3分析が実施されることで収集されたデータを従来のクロマトグラフ質量分析装置において解析処理する際には、分析者が指定した保持時間において得られたMSスペクトルと、該MSスペクトルに基づいて自動的に選択されたプリカーサイオンに対するMS2スペクトルと、さらにMS2スペクトルに基づいて自動的に選択されたプリカーサイオンに対するMS3スペクトルの3つが解析結果として同一画面上に並べて表示されるようになっている。この場合には、スペクトルに現れるピークの数が多かったり、或いは比較的強度の低いピークがプリカーサイオンであったりすると、どのピークがプリカーサイオンとして選択されたものであるのかが分析者には直感的に分かりにくいという問題がある。
特開2008−298427号公報 国際公開2009/095957号パンフレット
「液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOF オートMSn機能」、[online]、株式会社島津製作所、[平成23年3月25日検索]、インターネット<URL : http://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/it-tof10.htm> 「液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOF 信頼性の高いタンパク質解析」、[online]、株式会社島津製作所、[平成23年3月25日検索]、インターネット<URL : http://www.an.shimadzu.co.jp/lcms/it-tof8.htm>
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフ質量分析により収集されたデータを解析処理して成分同定等の作業を行う際に、分析者による操作や作業を簡素化して作業効率を改善すると共に、分析者による結果の理解や把握を容易に行えるようにして分析者の負担を軽減することができる質量分析データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、クロマトグラフとMSn分析(nは3以上の整数)可能な質量分析装置とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置により、時間経過に伴ってMSm-1分析(3≦m≦n)を行って得られたMSm-1スペクトルに現れる各ピークを所定のプリカーサ選択条件に照らしてプリカーサイオンを自動的に選択し、MSm分析を実行することで収集されたデータを処理して表示画面上に表示する質量分析データ処理装置であって、MSm-1分析のプリカーサイオンから所定質量のニュートラルロス又はチャージドロスが生じて生成されたプロダクトイオンピークがMSm-1スペクトル上に現れたときに該ピークに対応するイオンをMSn分析のプリカーサイオンとして選択してMSn分析を自動的に実行することにより収集されたデータを処理する質量分析データ処理装置において、
a)ユーザにより指定された任意の保持時間におけるMSm-2スペクトル、該MSm-2スペクトルに基づいて選択されたプリカーサイオンに対するMSm-1スペクトル、及び該MSm-1スペクトルに基づいて選択されたプリカーサイオンに対するMSmスペクトルを同一画面上で並べて表示するスペクトル表示処理手段と、
b)前記スペクトル表示処理手段により表示されるMSm-2スペクトル上におけるMSm-1分析のプリカーサイオンに対応するピークと、同じく表示されるMSm-1スペクトル上におけるMSm分析のプリカーサイオンに対応するピークとを、それぞれのスペクトル上で他のピークと識別可能で且つ同じ表示色で彩色表示する付加表示処理手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る質量分析データ処理装置は、典型的にはm=3、つまりスペクトル表示処理手段によりMSスペクトル(マススペクトル)、MS2スペクトル及びMS3スペクトルを並べて表示するものとすることができるが、mは4以上であってもよい。
本発明に係る質量分析データ処理装置はいずれも、上記各手段に対応した機能を実現する専用のコンピュータプログラムを、表示部、操作部(キーボード、ポインティングデバイスなど)などを含む汎用のコンピュータ上で実行することにより具現化することができる。
また、本発明に係る質量分析データ処理装置において、好ましくは、前記付加表示処理手段は、前記スペクトル表示処理手段により表示されるMSm-2スペクトルと同画面上に、前記彩色表示の有無の選択操作子を配置し、該操作子の操作に応じて前記彩色の実行の有無を切り替えるようにするとよい。
本発明に係る質量分析データ処理装置では、例えば分析者がマウス等のポインティングデバイスにより上記選択操作子をクリック操作して彩色表示有りを選択すると、付加表示処理手段はMSm-2スペクトル及びMSm-1スペクトル上でそれぞれプリカーサイオンのピークを他のピークとは異なる同色で表示する。好ましくは、並べて表示されるMSmスペクトルに現れる全てのピーク又は有意であるとみなせる全てのプロダクトイオンピークも上記プリカーサイオンピークの表示色と同色で表示するとよい。これにより、分析者が質量値を指定したニュートラルロスやチャージドロスに対応するピークがどの位置にあるのかがスペクトル上で容易に識別可能となるので、例えば意図するプロダクトイオンに関連したニュートラルロスやチャージドロスであるか否かを分析者は直感的に判断することができる。
さらに好ましくは、MSmスペクトル上の一部のピーク、例えば最大強度を示すピークの近傍に、その質量電荷比と共にニュートラルロス又はチャージドロスをプリカーサ選択条件としたMSn分析により得られたプロダクトイオンピークであることを示す標識と該ニュートラルロス/チャージドロスの質量値とをラベル表示するとよい。これにより、分析者はプロダクトイオンピークの由来を一目で把握することができる。
本発明に係る質量分析データ処理装置によれば、MSm-2スペクトル、MSn-1スペクトル、及びMSmスペクトルを並べて表示した画面上において、ニュートラルロスやチャージドロスによるピークの位置を、分析者によるごく簡単な操作によって直感的且つ容易に知ることができるようになる。それによって、試料中に目的成分が存在するか否かの確認や含まれる成分の同定などの作業を行う際に分析者に掛かる負担が大きく軽減され、作業効率が改善されるとともに、また作業ミスも軽減されるために結果の信頼性も高まる。
本発明に係るデータ処理装置を含むLC−MSシステムの一実施例の概略構成図。 本実施例のLC−MSシステムにおけるプリカーサ選択条件の一部である除外イオンリスト及び優先イオンリストの一例を示す図。 本実施例のLC−MSシステムにおける部分的な解析表示画面の一例を示す模式図。 本実施例のLC−MSシステムにおける部分的な解析表示画面の別の例を示す模式図。 本実施例のLC−MSシステムにおけるプリカーサ選択条件としてニュートラルロスを設定する際の入力画面の一例を示す図。 本実施例のLC−MSシステムにおける解析表示画面を表示するためのプロパティ設定画面の一例を示す図。 一般的なクロマトグラフ質量分析装置におけるオートMSn機能の概略説明図。 従来のLC−MSシステムにおける部分的な解析表示画面の一例を示す模式図。
以下、本発明に係る質量分析データ処理装置を含むLC−MSシステムについて、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるLC−MSシステムの概略構成図である。
このシステムは、液体試料中の含有成分を時間的に分離する液体クロマトグラフ(LC)1と、分離された各成分を質量電荷比m/zに応じて分離して検出するものであって且つMSn分析が可能なMSn型質量分析計(MS)2と、MS2で取得されたデータを処理するとともにMS2の動作を制御するパーソナルコンピュータ(PC)3と、を備える。PC3には専用のデータ処理/制御用ソフトウエアがインストールされており、このソフトウエアをPC3で実行することにより、図示したデータ処理部31、測定データ保存部32、プリカーサ選択部34やプリカーサ選択情報記憶部35などを含む制御部33などの機能が実現される。またPC3には、キーボードやマウス等のポインティングデバイスである操作部4と、表示部5とが接続されている。
MS2はMS2分析又はnが3以上のMSn分析が可能でありさえすれば、その構成を問わない。したがって、衝突室内でイオンをCIDにより解離させた後に四重極マスフィルタでプロダクトイオンを質量分離する三連四重極型質量分析装置、試料由来のイオンをイオントラップに一旦捕捉した後にプリカーサイオンの選別、CID、及びプロダクトイオンの質量分離をイオントラップ内で行うイオントラップ質量分析装置、試料由来のイオンをイオントラップに一旦捕捉した後にプリカーサイオンの選別、CIDをイオントラップ内で行いプロダクトイオンの質量分離はイオントラップ外部の飛行時間型質量分析装置で行うイオントラップ飛行時間型質量分析装置など、いずれを用いてもよい。
本実施例によるLC−MSシステムでは、分析実行前に分析者は操作部4で所定の操作を行い、プリカーサイオンを自動的に選択するためのプリカーサ選択条件を設定する。プリカーサ選択条件は、MSスペクトルから、信号強度の順、又はm/zの順に最大限所定個数のピークを選択するものとするが、それ以外に、除外イオンリスト及び優先イオンリストを設定し、除外イオンリストに登録されている除外イオンは如何に信号強度が大きくても或いはm/z順が早くてもプリカーサイオンから除外し、優先イオンリストに登録されている優先イオンは信号強度が小さくても或いはm/z順が遅くてもピークが存在する限りはプリカーサイオンとして優先的に選択するようにする。ここでは、プリカーサ選択条件として信号強度順に所定個数をプリカーサイオンとして選択するものとし、図2(a)に示す除外イオンリスト、図2(b)に示す優先イオンリストが別途設定されたものとする。
分析開始の指示により分析が開始されLC1に液体試料が導入されると、試料中の含有成分はカラム(図示せず)を通過する間に時間的に分離されて溶出する。MS2では、所定の質量電荷比範囲の質量走査を伴うスキャン測定を一定間隔で繰り返す。1回のスキャン測定(質量走査)により、例えば図7中のA又はCに示すような1つのMSスペクトルを構成するデータが得られる。データ処理部31では1つのMSスペクトルが作成されると、プリカーサ選択部34がプリカーサ選択情報記憶部35に格納されている上述したようなプリカーサ選択条件に従ってプリカーサイオンの自動選択を行い、プリカーサ選択条件を満たすプリカーサイオンが存在する場合には、そのプリカーサイオンを設定したMS2分析をリアルタイムで実行する。これにより、図7中のB、D又はEに示すようなMS2スペクトルを構成するデータが得られる。
したがって、所定時間間隔のスキャン測定の繰り返しによって、所定時間間隔でそれぞれMSスペクトルが得られるとともに、プリカーサ選択条件を満たすプリカーサイオンが存在すれば次のスキャン測定迄の時間の間に1乃至複数のMS2スペクトルが得られる。なお、1つのMSスペクトルに含まれる全てのイオン強度を合算しこれを時間方向に並べたものが、図7(a)に示す全イオン電流クロマトグラム(TIC)である。
本実施例のLC−MSシステムでは、1つの試料がLC1に導入された時点(又はそれよりも所定時間遅れた時点)から該試料中の成分が溶出し終わってから適宜遅れた時点までの間、上述のようにMSスペクトルデータやMS2スペクトルデータが繰り返し収集され、それが1つのデータファイルに集約されて測定データ保存部32に格納される。このようなデータの収集動作は従来のLC−MSシステムと何ら変わることはない。分析の終了後、測定データ保存部32に格納された測定データは分析者の指定によりデータ処理部31に読み込まれ、成分同定等のための再解析に供される。
次に、本実施例のLC−MSシステムにおいて再解析処理の際の特徴的なデータ処理動作について説明する。図3は再解析処理対象のデータファイルが指定され再解析が実行される際に表示部5に表示される再解析画面の一部を示す模式図である。図3に示すマススペクトル表示枠40は、各種コマンドツールのボタンが配置されたツールバー、TIC又は抽出イオンクロマトグラム(マスクロマトグラム)が表示されるクロマトグラム表示枠などが配置された再解析画面の中の一部である。
本実施例のLC−MSシステムで表示されるマススペクトル表示枠40には、MSスペクトルが表示される上段領域41の上部に「On」ボタン及び「Off」ボタンが設けられたプリカーサ条件表示選択枠50が配置されている。分析者が操作部4のマウスで表示画面上のカーソルをプリカーサ条件表示選択枠50内の「Off」ボタン上に移動させクリック操作を行うと、データ処理部31は、後述する除外イオン範囲及び優先イオン範囲の重畳表示を行わない従来と同様のMSスペクトルを上段領域41に表示する。したがって、上段領域41に表示されるMSスペクトルは図8と同じとなる。
一方、分析者が操作部4のマウスで表示画面上のカーソルをプリカーサ条件表示選択枠50内の「On」ボタン上に移動させクリック操作を行うと、データ処理部31はプリカーサ選択情報記憶部35から、そのときに表示しているMSスペクトルの保持時間に対応付けられた除外イオンの質量電荷比範囲及び優先イオンの質量電荷比範囲を取得する。図3の例では、保持時間が12.05であるから、図2(a)に示した除外イオンリスト中のNo.1〜No.3の3行の質量電荷比範囲、420〜422、428〜430、609〜611が抽出される。同様に、図2(b)に示した優先イオンリスト中のNo.1〜No.2の2行の質量電荷比範囲(ここでは範囲ではなく質量電荷比)、525、710が抽出される。
そしてデータ処理部31は上記のように抽出された除外イオンと優先イオンの質量電荷比範囲を、上段領域41に表示しているMSスペクトル上に明示するように表示処理を行う。具体的には、除外イオンの質量電荷比範囲及び優先イオンの質量電荷比範囲に予め異なる色の表示色を決めておき、上段領域41に表示されているMSスペクトルの背景をそれぞれの質量電荷比範囲を決められた表示色で表示する。図3では、表示色を表現できないので、除外イオンの質量電荷比範囲51と優先イオンの質量電荷比範囲52との異なるパターンの塗り潰しで表現している。これにより、MSスペクトル上でプリカーサ選択条件の一つである除外イオンと優先イオンとの質量電荷比範囲が一目で分かるようになるため、例えば最大の信号強度を示すm/z429のピークや次に大きな信号強度を示すm/z610のピークが除外イオンであることが直ぐに把握可能となる。このことから、分析者は、信号強度が相対的に小さいにも拘わらずm/z426がプリカーサイオンとして選定された理由を容易に知ることができる。また、プリカーサイオンとして選定されたピークが優先イオンである場合にも同様である。
また、上段領域41に表示されるMSスペクトルは右方の拡大・縮小ボタン43の操作によりm/z軸方向に拡大・縮小が可能であるため、任意のm/zの範囲を拡大表示することにより、除外イオンの質量電荷比範囲51、優先イオンの質量電荷比範囲52とピークとの関係を詳細に比べることができる。
上記説明では、上段領域41に表示したMSスペクトルの背景部分について、除外イオンの質量電荷比範囲51及び優先イオンの質量電荷比範囲52に相当する部分を特定の表示色で明示するようにしていたが、その代わりにピークの線色を決められた表示色で表示するようにしてもよい。また、表示色を変える以外の方法、例えば表示の明るさ(明度)を変える等の方法によって、除外イオンと優先イオンの質量電荷比範囲をそれぞれ明示するようにしてもよい。
次に、本実施例のLC−MSシステムにおいて再解析処理が実行される際の特徴的なデータ処理動作について、別の例を挙げて説明する。
ここで再解析処理の対象となるデータは、上述したようなオートMSn機能を用いてMS3スペクトルまで取得されたデータである。具体的には、MS2分析のプリカーサ選択条件は上記例のように例えば、MS1スペクトル中で最大強度を示すピークのイオン等をプリカーサイオンとして選択するものとする。一方、MS3分析のプリカーサ選択条件は、MS2スペクトルの中で特定の質量のニュートラルロスにより生じるプロダクトイオンが検出された場合に、該プロダクトイオンをMS3分析のプリカーサイオンとして選択するものとする。図5はプリカーサ選択条件としてニュートラルロスの質量を設定する際の設定画面70の一例である。MS3分析のプリカーサ設定条件としてニュートラルロス(又は電荷を持つチャージドロス)を設定したい場合には、分析実行前に、図5に示したニュートラルロス設定画面70中のチェックボックス71にチェックを入れ、質量と価数とを数値入力すればよい。この例では、17Daのニュートラルロスをプリカーサ選択条件として設定してある。
図4は上述したようなプリカーサ選択条件の下で収集されたデータを再処理する際に表示部5に表示される再解析画面の一部を示す模式図である。
図4に示すマススペクトル表示枠40は、図3の場合と同様に、各種コマンドツールのボタンが配置されたツールバー、TIC又は抽出イオンクロマトグラム(マスクロマトグラム)が表示されるクロマトグラム表示枠などが配置された再解析画面の中の一部である。このとき、上段領域4Aに表示されているのは、分析者によって指定された保持時間(この例では7.022[min])におけるMS1スペクトル、中段領域4Bに表示されているのは上記保持時間におけるMS2スペクトル、下段領域4Cに表示されているのは上記保持時間におけるMS3スペクトルである。
マススペクトル表示枠40には、上段領域4Aの上部にプリカーサ条件表示選択枠50が配置されている。分析者が操作部4のマウスで表示画面上のカーソルをプリカーサ条件表示選択枠50内の「On」ボタン上に移動させクリック操作を行うと、データ処理部31は次のようなプリカーサイオンピーク彩色表示を実施する。即ち、データ処理部31はMS2プリカーサイオン及びMS3プリカーサイオンの質量電荷比をそれぞれ取得し、上段領域4A及び中段領域4Bにそれぞれ表示しているMS1スペクトル及びMS2スペクトル上で上記質量電荷比の位置にあるピーク61、62の表示色を指定されている色に変更する。また同時に下段領域4Cに表示されているMS3スペクトル上の有意のピーク(ノイズではないとみなせる所定強度以上のピーク)63を全て同じ色で表示する。図4ではこの各ピーク61、62、63の彩色を太い点線で示している。また、MS3スペクトル中でイオン強度が最大であるピークの近傍に、質量17Daのニュートラルロスで生じたイオンをプリカーサイオンとしたプロダクトイオンであることを示すために、「NL S/CLS 17.0000」の表示を含むマスラベル64を表示している。
図6はマスラベル64の表示の有無やその表示形式を設定するための設定画面の一例である。このマスラベルの表示設定画面80はプリカーサ条件表示選択枠50とは独立に設けられているため、上述したようにプリカーサイオンを示すピーク等を彩色表示した場合でもマスラベル64を表示しないことも可能である。
本実施例のLC−MSシステムでは、プリカーサ選択条件としてニュートラルロスやチャージドロスが設定されている場合に、プリカーサイオンとして選択される特定のピークが彩色表示されるため、表示されているマススペクトルの中でプリカーサイオンの位置が一目で確認でき、プリカーサ選択条件が質量17のニュートラルロスであることも直ぐに把握可能となる。
なお、上記実施例は本発明をLC−MSで収集されたデータの処理に適用したものであるが、GC−MSで収集されたデータの処理に適用することができることは明らかである。また上記実施例では、MSスペクトルとMS2スペクトルとを並べて表示する画面においてMSスペクトルにプリカーサ選択条件に関する情報をグラフィカルに表示していたが、これをMSm-1スペクトルとMSmスペクトルとを並べて表示する画面に拡張できることは当然である。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨に沿った範囲で適宜変形や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…液体クロマトグラフ(LC)
2…MSn型質量分析計(MS)
3…パーソナルコンピュータ(PC)
31…データ処理部
32…測定データ保存部
33…制御部
34…プリカーサ選択部
35…プリカーサ選択情報記憶部
4…操作部
5…表示部
40…マススペクトル表示枠
41、4A…上段領域
4B…中段領域
42、4C…下段領域
43…拡大・縮小ボタン
44…上向き矢印
50…プリカーサ条件表示選択枠
64…マスラベル
70…ニュートラルロス設定画面
71…チェックボックス
80…マスラベル表示設定画面

Claims (1)

  1. クロマトグラフとMSn分析(nは3以上の整数)可能な質量分析装置とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置により、時間経過に伴ってMSm-1分析(3≦m≦n)を行って得られたMSm-1スペクトルに現れる各ピークを所定のプリカーサ選択条件に照らしてプリカーサイオンを自動的に選択し、MSm分析を実行することで収集されたデータを処理して表示画面上に表示する質量分析データ処理装置であって、MSm-1分析のプリカーサイオンから所定質量のニュートラルロス又はチャージドロスが生じて生成されたプロダクトイオンピークがMSm-1スペクトル上に現れたときに該ピークに対応するイオンをMSn分析のプリカーサイオンとして選択してMSn分析を自動的に実行することにより収集されたデータを処理する質量分析データ処理装置において、
    a)ユーザにより指定された任意の保持時間におけるMSm-2スペクトル、該MSm-2スペクトルに基づいて選択されたプリカーサイオンに対するMSm-1スペクトル、及び該MSm-1スペクトルに基づいて選択されたプリカーサイオンに対するMSmスペクトルを同一画面上で並べて表示するスペクトル表示処理手段と、
    b)前記スペクトル表示処理手段により表示されるMSm-2スペクトル上におけるMSm-1分析のプリカーサイオンに対応するピークと、同じく表示されるMSm-1スペクトル上におけるMSm分析のプリカーサイオンに対応するピークとを、それぞれのスペクトル上で他のピークと識別可能で且つ同じ表示色で彩色表示する付加表示処理手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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