JP2014167419A - 胸膜中皮腫患者の早期発見のための分子マーカーの組合せとその発現解析方法 - Google Patents

胸膜中皮腫患者の早期発見のための分子マーカーの組合せとその発現解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便かつ安価で信頼性の高い中皮腫の検査方法と、該検査方法に用いるキットとを開発する。
【解決手段】本発明は、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップと、該被検者の血液試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップとを含む、中皮腫の検査方法を提供する。前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体を用いる場合がある。本発明は、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体と、ヒトMPFタンパク質に対する抗体とを含む、中皮腫の診断をするためのキットを提供する。本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者か健常者かを判断する場合がある。本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者か、中皮腫以外の呼吸器疾患の患者かを判断する場合がある。
【選択図】図9

Description

本発明は、中皮腫の検査方法と、中皮腫の診断をするためのキットとに関する。具体的には、血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチン及び巨核球増強因子(以下、「MPF」という。)タンパク質の濃度を測定するステップを含む、中皮腫の検査方法と、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体及びMPFタンパク質に対する抗体を含む、中皮腫の診断をするためのキットとに関する。
中皮腫はアスベストの吸引により発生することが知られている。中皮腫は、発生箇所によって、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫及び心膜中皮腫に分類される。胸膜への発生が一番多く、中皮腫全体の8割ないし9割を占める(非特許文献1)。良性の胸膜中皮腫は、線維性中皮腫と称され、肺炎、外傷などの後に、胸膜に線維増生がおきた結果、限局性の腫瘤を形成するのに対し、悪性胸膜中皮腫は、胸膜中皮(肺側表面を覆う部分と胸郭を裏打ちする部分に存在する二重の膜)から発生する腫瘍で、悪性度の高い腫瘍である。悪性胸膜中皮腫は、外科療法、内科療法及び放射線療法を組み合わせた治療が行われるが、未だ予後の悪い腫瘍の1つに位置づけられる。中皮腫は、潜伏期間が非常に長いのが特徴であり、アスベストへの曝露から中皮腫発生までの期間は、11〜54年(中央値38.6年)とされている。日本においてアスベストが最も多く使用された時期が1970〜90年であることに鑑みて、2030年まで中皮腫患者は増え続けると予測されている。この長い潜伏期間は、早期発見に有用なスクリーニング法がない現状と相まって、発症の発見の遅れにつながっている。進行例の経過は極めて不良であり、早期に進展し、数年以内に亡くなる症例が大半である。しかしながら、治癒切除が可能であった早期発見例については、長期の生存が期待できる。そこで、早期発見を可能とする新規スクリーニング検査の開発が喫緊の課題となっている。
悪性胸膜中皮腫の診断の際に有用とされるマーカーとしては、血液中のメソテリン、胸水中のヒアルロン酸、CYFRA、CEA等が挙げられるが、診断精度が低い点や、胸痛・胸水貯留による呼吸困難などの自覚症状を契機に発見された時には、すでに進行期である場合がほとんどであり臨床上の有用性に限界がある点等大きな問題点を有している。このような状況から、悪性胸膜中皮腫の早期診断は極めて困難であり、さらに、確実な診断を行うためには、生検材料を用いて的確な病理組織診断を行う必要性があり、精神的・肉体的・社会的負担は極めて大きい。また、悪性胸膜中皮腫は、組織型として、上皮型、肉腫型、その混合型(二相型)に分けられるが、特に肉腫型は有効な診断方法がなく、予後は劣悪である。そのため、悪性中皮腫として診断されたときには、すでに広範囲に進展し、根治手術が不可能であることが多く、予後はきわめて不良で、1年生存率が50%程度、2年生存率が20%程度とされている。
アスベスト曝露により非腫瘍性炎症性の障害が肺・胸膜に生じるため、アスベスト曝露者では、中皮腫未発症の段階で既にレントゲン異常が認められる。そこで、レントゲン検査はスクリーニングとして有用性が低いと考えられている。また曝露者の数に対して実際に発症する症例の割合は小さい。アスベスト曝露者にとって簡便かつ安価で信頼性の高い検査方法が渇望されているのが現状である。
血中の腫瘍マーカーで中皮腫と関係があるとされるものに可溶型メソテリン関連タンパク質(以下、「SMRP」という。)が知られている。SMRPは69kDaの前駆タンパク質に由来する。前記69kDa前駆タンパク質はフリン様プロテアーゼによって1カ所で切断される。アミノ末端側の31kDa断片は血中に放出されMPFとよばれる。カルボキシル末端側の40kDa断片は細胞膜結合糖タンパク質でメソテリンとよばれる。メソテリンにはV−1及びV−2という2種類のスプライシングバリアントが知られている。このうちV−2は、mRNAのプロセシングの過程で、第16エクソンと第17エクソンとの間のイントロンが除去されないために読み枠がずれて、カルボキシル末端の細胞膜結合ドメインを含まないで翻訳が終了するために生成される。SMRPはこのV−2変異体であると考えられている(非特許文献2)。
まず、本発明者らは、血中の腫瘍マーカーとしてのSMRPが、上皮型の中皮腫と比して肉腫・二相型の検出感度が不十分であることに着目し、肉腫型の胸膜中皮腫例についても陽性例が認められうるマーカーの探索を試みた。肉腫型胸膜中皮腫の診断は、細胞診、胸膜生検、画像診断が必要と提唱されており、きわめて診断が困難である(非特許文献3)。本発明者らは、ペプチド標識技術と質量分析装置とを組合せ、IDA(Information Dependent Analysis)方式によるペプチドとその分解産物に対する質量分析を進め、分析データを基にして、公共のタンパク質配列データベースを駆使したバイオインフォマティクス解析を行い、試料間の比較定量解析などの工程を通じて、胸膜中皮腫組織試料中のタンパク質発現プロファイルの網羅的取得を試み、数百種類のタンパク質に関する発現情報の取得に成功した。
さらに血液中のマーカーとしての候補絞込み検討を進めるため、質量分析装置を利用した標的タンパク質群の精密定量解析技術であるMRM(Multiple Reaction Monitoring)技術を応用した質量分析を行った。そして、前記数百種類のタンパク質のうちの特に十数種のタンパク質については、対照の正常胸膜中皮組織試料と比較して、悪性胸膜中皮腫組織試料ではその存在量が増加していることを確認した。さらに、悪性胸膜中皮腫症例血液試料では、対照の中皮腫以外の呼吸器疾患症例と比較して、ペリオスチンの濃度が増加していることを確認した。
ペリオスチンは当初、骨芽細胞特異的因子−2(OSF−2)と呼ばれ、マウス骨芽細胞株MC3T3−E1細胞に特異的に発現している遺伝子として分離同定された分子である(非特許文献4)。ペリオスチン遺伝子がコードするアミノ酸配列には、一般的なシグナル配列と、システインリッチドメインと、約150個のアミノ酸からなるFasciclin 1ドメインの4回繰り返しと、カルボキシル末端ドメインとが含まれる。ペリオスチンには、カルボキシル末端領域のみが異なるスプライシングバリアントが4種類存在する。ペリオスチンは肺癌の腫瘍細胞自体ではなく腫瘍周辺のストロマ細胞に高発現であるとの報告(非特許文献5、6)、血清中のペリオスチンは非小細胞性肺癌存在診断における有用性は認められないものの、予後のマーカーの可能性を有するとの報告(非特許文献5、6)、乳癌で高発現との報告(非特許文献7)、胸腺癌で高発現との報告(非特許文献8)、膵臓癌で高発現との報告(非特許文献9)がある。しかしこれらの癌は中皮腫とは全く異なる病態である。さらに、ペリオスチンのスプライシングバリアントが形成されるカルボキシル末端ドメインの第17エクソンのアミノ酸を認識する抗体が、心疾患や他の癌種の診断や治療に有効とされると開示する特許出願(特許文献1、3)がある。けれども、ペリオスチンの発現及び血中への存在と、中皮腫との関係についてはこれまで知られていなかった。本発明の発明者らは、2011年9月15日出願の特願2011−202463と、これを優先権主張の基礎とする、2012年9月14日出願のPCT/JP2012/005878とにおいて、血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンの濃度を測定するステップを含む、中皮腫の検査方法と、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体を含む、中皮腫の診断をするためのキットとを開発した。しかし、ヒトペリオスチンの濃度を測定するステップを含む中皮腫の検査方法では、全ての中皮腫を検出することはできなかった。
国際公開第WO2007/077934号パンフレット 国際公開第WO2009/001940号パンフレット
Fujimoto N.ら、J. Cancer Res. Clin. Oncol.、136:1755、2010 Hassan、R.ら、Clin. Cancer Res.、10:3937、2004 Husainら、Arch.Pathol.Lab. Med.、133:1317、2009 Takeshita S.ら、Biochem. J.、294:271、1993 Sasaki H.ら、Jpn. J. Cancer Res.、92:869、2001 Sasaki H.ら、Cancer、92:843、2001 Shao R.ら、Mol. Cell. Biol.、24:3992、2004 Sasaki H.ら、Cancer Lett.、72:37、2001 Baril P.ら、Oncogene、26:2082、2007
中皮腫検出感度がヒトペリオスチンタンパク質単独よりも高い中皮腫の検査方法と、中皮腫の診断をするためのキットとを開発する必要がある。簡便かつ安価で信頼性の高い中皮腫の検査方法と、該検査方法に用いるキットとを開発する必要がある。
本発明は、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップと、該被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップとを含む、中皮腫の検査方法を提供する。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体を用いる場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと結合する抗体の場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる抗体を2種類用いる場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFタンパク質に対する抗体を用いる場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFタンパク質と同時に結合することができる抗体を2種類用いる場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記中皮腫は悪性胸膜中皮腫の場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法において、前記血液試料は被検者の血漿又は血清の試料の場合がある。
本発明は、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体と、ヒトMPFタンパク質に対する抗体とを含む、中皮腫の診断をするためのキットを提供する。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと結合する抗体の場合がある。前記キットはELISA法によりヒトペリオスチンタンパク質の濃度が測定される場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体の場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記ヒトMPFタンパク質に対する抗体は、前記ヒトMPFと同時に結合することができる2種類の抗体の場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記ヒトMPFタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体の一方が固相化された固体支持体と、前記2種類の抗体の他方に対する特異的結合パートナーとを含む場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体の一方が固相化された固体支持体と、前記2種類の抗体の他方に対する特異的結合パートナーとを含む場合がある。前記キットはサンドイッチELISA法によりヒトペリオスチンタンパク質の濃度が測定される場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者かどうかを判断する場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者か、中皮腫以外の呼吸器疾患の患者かを判断する場合がある。
本発明の中皮腫の診断をするためのキットにおいて、前記中皮腫の患者は上皮型又は肉腫型又は二相型の悪性胸膜中皮腫の患者の場合がある。
本発明は、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップと、該被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップとを含む、中皮腫の診断方法を提供する。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体を用いる場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと結合する抗体の場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる抗体を2種類用いる場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFに対する抗体を用いる場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFと同時に結合することができる抗体を2種類用いる場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者かどうかを判断する場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者か、中皮腫以外の呼吸器疾患の患者かを判断する場合がある。
本発明の中皮腫の診断方法において、前記中皮腫の患者は悪性胸膜中皮腫の患者の場合がある。
本発明において、中皮腫は、中皮細胞に由来する腫瘍であって、原発組織に基づく分類によれば、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫及び心膜中皮腫のいずれをも指す。また、腫瘍組織を構成する細胞タイプに基づく分類によれば、悪性中皮腫は、上皮型と、肉腫型と、これらの混合型(二相型)とのいずれをも指す。本発明の中皮腫は、胸膜中皮腫の場合があり、肉腫型悪性胸膜中皮腫の場合がある。中皮腫の検査はアスベスト曝露者の健康のために重要であるため、本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は胸膜悪性胸膜中皮腫に適用されることが好ましい。従来の生化学的マーカーによる中皮腫の検査方法では肉腫型及び二相型の悪性胸膜中皮腫の検出感度が低いため、臨床検査としての有用性が十分得られていないのに対し、本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は肉腫型及び二相型の悪性胸膜中皮腫を検出できる。そこで、本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は、肉腫型又は二相型の悪性胸膜中皮腫に適用されることが好ましい。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は、中皮腫の患者を健常者から判別するために用いられる場合がある。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は、悪性胸膜中皮腫の患者を、悪性胸膜中皮腫以外の呼吸器疾患の患者から判別するために用いられる場合がある。ここで悪性胸膜中皮腫以外の呼吸器疾患とは、肺癌と、癌以外の呼吸器疾患とを指す。癌以外の呼吸器疾患は、COPD及び良性の胸膜中皮腫を含むが、これに限られない。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における被検者は、中皮腫の検査を受ける必要のある全ての人間を指す。本発明の中皮腫の検査方法の被検者は、咳、痰、胸痛、呼吸困難等の症状を示す場合がある。前記被検者は、中皮腫のおそれのある被検者の場合がある。前記中皮腫のおそれのある被検者は、前記症状のある人、及び/又は、アスベスト吸引又は曝露を経験したか、あるいは、その疑いのある人を含むが、これらに限られない。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における血液試料は、全血、血漿、血清のいずれであってもかまわない。前記血液試料は、採血後に分離された血漿又は血清が好ましい。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法のための採血と、必要な場合には、血漿又は血清の調製とは、当業者に周知のいずれかの技術を用いて実施される。簡潔には、血漿の調製には、EDTAその他のキレート剤を含むが、これに限定されない、血液凝固阻害剤が、採取された全血試料に添加された後、遠心により細胞成分が除去される。血清の調製では、採取された全血試料で血液凝固反応を起こさせて、遠心分離により血沈から血清を分離させる。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法のための胸水の採取と、必要な場合には、胸水検体の調製とは、当業者に周知のいずれかの技術を用いて実施される(例えば、Porcel J.M.及びLight R.W.(Am. Fam. Physician.、73:1211、2006)を参照せよ)。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における、ヒトペリオスチンタンパク質は、配列番号2に列挙されるアミノ酸630個からなるアミノ酸配列を含む、いずれかのヒトペリオスチン遺伝子産物と、配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドを認識する抗体と結合するヒトペリオスチン遺伝子座のいずれかの突然変異体の遺伝子産物とを指す。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における、ヒトペリオスチンタンパク質の濃度は、いかなる方法で測定されてもかまわない。一般に、ヒトペリオスチンタンパク質の濃度は、ヒトペリオスチンタンパク質と特異的に結合しうるいずれかの分子を用いて測定される。ヒトペリオスチンタンパク質の濃度は、ヒトペリオスチンタンパク質と特異的に結合する抗体を用いて測定されることが好ましい。ここで、ヒトペリオスチンタンパク質と特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体と、該抗体の抗原結合断片と、該抗原結合断片を含む組換え抗体又はキメラ抗体とからなるグループから選択される場合がある。
ヒトペリオスチンタンパク質と特異的に結合する、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体は、当業者に周知のいずれかの技術を用いて作製される。本明細書の実施例には、ヒトペリオスチンタンパク質と特異的に結合する、モノクローナル抗体の作製技術が開示されるが、本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法は、前記実施例に記載のモノクローナル抗体に限ることなく実施することができる。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における、ヒトMPFは、配列番号11に列挙されるアミノ酸250個からなるアミノ酸配列のタンパク質を指す。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における、ヒトMPFタンパク質の濃度は、いかなる方法で測定されてもかまわない。一般に、ヒトMPFタンパク質の濃度は、ヒトMPFタンパク質と特異的に結合しうるいずれかの分子を用いて測定される。ヒトMPFタンパク質の濃度は、ヒトMPFタンパク質と特異的に結合する抗体を用いて測定されることが好ましい。ここで、ヒトMPFタンパク質と特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体と、該抗体の抗原結合断片と、該抗原結合断片を含む組換え抗体又はキメラ抗体とからなるグループから選択される場合がある。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における、ヒトMPFタンパク質と特異的に結合する、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体は、当業者に周知のいずれかの技術を用いて作製される。MPFタンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体の例としては、Iwahori,K.ら(Lung Cancer、62:45(2008))によって精製組換えヒトMPFタンパク質を抗原として作製された、20−10及び41−28の2種類のクローンがある。なお、前記クローンのモノクローナル抗体を用いる、腹水中のメソテリン及び/又はMPFを検出するための技術は、特開2010−14691に開示される。
本明細書における「抗体の抗原結合断片」とは、抗原結合に参加する抗体の部分を指す。前記抗原結合部位は、重(H)鎖及び軽(L)鎖のN末端の可変(V)領域のアミノ酸残基によって形成される。前記抗原結合断片は、インタクトなポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体をそれぞれタンパク質分解酵素パパイン又はペプシンで分解して得られるFab断片又はF(ab’)断片の他、天然抗体分子の抗原認識能及び結合能の多くを保持する抗原結合部位を含む非共有結合的なV及びV領域のヘテロ2量体を含むFv断片を含む。
本発明の抗体において、組換え抗体は、適当な細菌宿主への形質転換か、適当な哺乳類細胞宿主へのトランスフェクションかを含む抗体遺伝子の発現クローニングによって調製される場合がある。本発明の抗体において、キメラ抗体は、前記本発明の組換え抗体の抗原結合部位が、前記ポリペプチドに結合できるように同種又は異種の抗体の定常ドメインによって支持された融合タンパク質の場合がある。前記キメラ抗体には、抗体軽鎖可変領域(V)に操作可能に連結された抗体重鎖可変領域(V)を含む単鎖可変部抗体(scFv)と、ラクダ科(Camelidae、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマを含む)の動物が産生する軽鎖がないIgGのクラスであるラクダ重鎖抗体(HCAb)又はその重鎖可変部ドメイン(VD)とを含む。前記組換え抗体は原核生物及び真核生物由来の遺伝子発現システムを用いて大量に調製することができる。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における「被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップ」は、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のペリオスチンタンパク質に結合した抗ペリオスチン抗体か、該抗ペリオスチン抗体の特異的結合パートナー等かの標識により検出又は定量される場合がある。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における「(該)被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップ」は、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のMPFタンパク質に結合した抗MPF抗体か、該抗MPF抗体の特異的結合パートナー等かの標識により検出又は定量される場合がある。前記抗ペリオスチン抗体及び/又は前記抗MPF抗体は、直接的に、又は、リンカーを介して、ビオチンのような低分子リガンド、酵素、放射性同位元素、色素、蛍光色素、化学発光性化合物等で標識される場合がある。抗ペリオスチン抗体及び/又は前記抗MPF抗体に対する特異的結合パートナーは、それぞれ、抗ペリオスチン抗体及び/又は前記抗MPF抗体と特異的に結合することができる当業者に知られたあらゆる物質を含む。前記抗ペリオスチン抗体及び/又は前記抗MPF抗体に対する特異的結合パートナーは、それぞれ、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のペリオスチンタンパク質及び/又は前記抗MPFタンパク質の濃度を測定することに支障がないことを条件として、抗ペリオスチン抗体及び/又は前記抗MPF抗体と結合しうるいかなるレセプター又はリガンドであってもかまわない。前記レセプター又はリガンドは、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質その他の生体高分子の場合がある。本発明で用いられる抗ペリオスチン抗体に対する特異的結合パートナーは、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体と、該抗体の抗原結合断片と、該抗原結合断片を含むキメラ抗体又は組換え抗体とからなるグループから選択される場合がある。抗体の抗原結合断片は、抗原結合に参加する抗体の部分を指す。前記抗原結合部位は、重(H)鎖及び軽(L)鎖のN末端の可変(V)領域のアミノ酸残基によって形成される。前記抗ペリオスチン抗体に対する特異的結合パートナーは、酵素、放射性同位元素、色素、蛍光色素等で標識される場合がある。前記酵素は、ペルオキシダーゼ(POD)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−Gal)、アルカリホスファターゼ(ALP)等である。前記酵素は、適切な基質と組み合わせて用いられることが一般的である。検出するステップは、分光光度計で吸光度を測定するステップか、発光計測装置で発光又は蛍光の強度を測定するステップかを含む場合がある。さらに、ラテックス粒子その他の微粒子に結合される場合がある。その場合には、検出するステップは、比濁計で濁度を測定するステップを含む場合がある。ヒトペリオスチンタンパク質を定量するステップは、既知の濃度又は量のヒトペリオスチンタンパク質に結合した抗ペリオスチン抗体の量を数値化してプロットした検量線を作成するステップと、前記検量線を用いて、未知の濃度又は量の被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質に結合した前記抗ペリオスチン抗体の量から該被検者の前記試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度又は量を算出するステップとを含む場合がある。ヒトMPFタンパク質を定量するステップは、既知の濃度又は量のヒトMPFタンパク質に結合した抗MPF抗体の量を数値化してプロットした検量線を作成するステップと、前記検量線を用いて、未知の濃度又は量の被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質に結合した前記抗MPF抗体の量から該被検者の前記試料中のヒトMPFタンパク質の濃度又は量を算出するステップとを含む場合がある。ヒトペリオスチンタンパク質の検量線を作成するために、濃度又は量が知られたヒトペリオスチンタンパク質の標準試料が少なくとも2種類あればよいが、定量精度を確保するために3種類又は4種類以上あることが好ましい。ヒトMPFタンパク質の検量線を作成するために、濃度又は量が知られたヒトMPFタンパク質の標準試料が少なくとも2種類あればよいが、定量精度を確保するために3種類又は4種類以上あることが好ましい。ヒトペリオスチンタンパク質を検出又は定量するステップは、被験試料及び/又は標準試料に結合しなかった抗ペリオスチン抗体及び他の抗体を洗浄により除去するステップを含む場合がある。ヒトMPFタンパク質を検出又は定量するステップは、被験試料及び/又は標準試料に結合しなかった抗MPF抗体及び他の抗体を洗浄により除去するステップを含む場合がある。酵素で標識された抗体等を用いる測定技術をELISA法という。そして、前記試料中の測定対象分子を固体支持体に捕捉するためと、該固体支持体に捕捉された測定対象分子を検出又は定量するためとに、測定対象分子と同時に結合することができる、2種類の抗測定対象分子抗体を用いる測定技術をサンドイッチELISA法という。前記2種類の抗測定対象分子抗体は、エピトープの異なる2種類のモノクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体とであってもかまわない。
本発明の中皮腫の診断方法において、被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質及び前記抗MPFタンパク質の濃度が決定されるとき、前記ヒトペリオスチンタンパク質及び前記抗MPFタンパク質の両方の濃度が基準値よりも高い値を示す場合に、前記被験者は中皮腫の疑いがあると判断される。前記基準値は、当業者に周知な統計処理によって算出することができる。
本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における「被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップ」は、当業者に知られたさまざまな手法によって実施される場合がある。例えば、前記手法は、既に説明されたELISA法及びラテックス凝集法の他、表面プラズモン共鳴法で実施される場合がある。本発明の中皮腫の検査方法、キット及び/又は診断方法における「(該)被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップ」は、当業者に知られたさまざまな手法によって実施される場合がある。例えば、前記手法は、既に説明されたELISA法及びラテックス凝集法の他、表面プラズモン共鳴法で実施される場合がある。
本発明の免疫学的分析方法を実行するためのキットは、本発明の抗ペリオスチン抗体及び抗MPF抗体の他、検量線を作成するための既知の濃度又は量の対照試料を含む場合がある。前記対照試料は、ヒトペリオスチンタンパク質又はその融合タンパク質と、ヒトMPFタンパク質又はその融合タンパク質との場合がある。
本発明は、本発明の中皮腫の診断方法を実行できるように構成される、ヒトペリオスチン及びMPFタンパク質の免疫学的分析装置を提供する。前記装置には、CCDカメラ等の検出ユニット、分光光度計、蛍光分光光度計、比濁計、表面プラズモン共鳴測定器等の測定ユニット、試薬、洗浄液及び/又は試料の注入及び/又は除去のためのディスペンサーユニット、ELISA法用マルチウェルプレートや表面プラズモン共鳴用センサーチップのハンドリングのためのロボットアームユニット、それらの制御のための制御ユニット等が含まれる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
ヒトペリオスチンタンパク質の機能ドメインの位置と、各アイソフォームの構造と、本発明のペリオスチン抗体作製に用いられた免疫原の構造との関係を示す模式図。 POSTN781でコーティングされたマイクロプレートを用いて、ヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN781を免疫原として作製されたモノクローナル抗体の反応性を調べた結果のグラフ。 POSTN630でコーティングされたマイクロプレートを用いて、ヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN630を免疫原として作製されたモノクローナル抗体の反応性を調べた結果のグラフ。 中皮腫患者及び健常者の血漿検体のそれぞれのペリオスチンの濃度の分布を示すグラフ。 中皮腫患者の血漿検体について、同一検体のペリオスチン及びSMRPの血漿中の濃度をプロットした相関図。 同一の中皮腫患者に由来する、血漿検体と血清検体とにおけるペリオスチン濃度をプロットした相関図。 本実施例の悪性胸膜中皮腫、肺癌及び癌以外の呼吸器疾患(図6では「呼吸器疾患」と表される。)の患者検体中のペリオスチン濃度の分布を比較したグラフ。 ペリオスチン濃度をマーカーとする、肺癌と癌以外の呼吸器疾患とを合わせた中皮腫以外の呼吸器疾患患者に対する、本実施例の悪性胸膜中皮腫患者検体のROC曲線を示すグラフ。 株化癌細胞の培養上清中のペリオスチンが測定された結果を表すグラフ。 悪性胸膜中皮腫患者の血液検体中のペリオスチン濃度を縦軸に、MPF濃度を横軸にプロットした、測定結果のグラフ。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
抗ペリオスチン抗体の作製
(1)ヒトペリオスチンタンパク質の構造
図1はヒトペリオスチンタンパク質の機能ドメインの位置と、各アイソフォームの構造と、本発明のペリオスチン抗体作製に用いられた免疫原の構造との関係を示す模式図である。図1において、EMI及びFasciclin1は、それぞれ、EMILIN相同ドメイン及びファシクリン相同ドメインを表す。iso1ないし4はそれぞれヒトペリオスチンのアイソフォーム1ないし4を表す。POSTN781は、ヒトペリオスチンタンパク質アイソフォーム3のアミノ酸781個のポリペプチドのカルボキシル末端にmycタグ及びhisタグ(「mychis」と表す。)を融合させた組換えタンパク質を表す。POSTN630は、4個のファシクリンドメインまでを含む、ヒトペリオスチンタンパク質の全てのアイソフォームに共通のアミノ酸630個のポリペプチドのカルボキシル末端にmycタグ及びhisタグを融合させた組換えタンパク質を表す。ヒトペリオスチンタンパク質アイソフォーム3のアミノ酸781個のアミノ酸配列が配列番号1に列挙される。ヒトペリオスチンタンパク質の全てのアイソフォームに共通の4個のファシクリンドメインまでを含むアミノ酸630個のアミノ酸配列が配列番号2に列挙される。
(2)ヒトペリオスチンのcDNA取得
ヒトペリオスチンタンパク質の4種類のアイソフォームのcDNA配列(アイソフォーム1:NM_006475、アイソフォーム2:NM_001135934、アイソフォーム3:NM_001135935、アイソフォーム4:NM_001135936)に基づき、アイソフォーム1から4に共通である5’UTR領域と3’UTR領域にプライマーが設計された。第1段階のPCR反応に用いられたプライマーは、5’−AATTCTGAGCTCTCCAAAGCCC−3’(配列番号3)及び5’−GGCTAACTCCACAATTTCCCTC−3’(配列番号4)で、第2段階のPCR反応に用いられたプライマーは5’−CGGAGAGACTCAAGATGATTCC−3’(配列番号5)及び5’−TCCTGAAGTCAACTTGGCTCTC−3’(配列番号6)である。ヒトcDNAライブラリインサートの混合物(mosaic cDNA(商標)、Genofi, LLC、San Clemente, CA 92673)を鋳型として、PCR増幅酵素(KOD FX、東洋紡績株式会社)と前記プライマーとを用いたnested PCRによってペリオスチンのタンパク質コード領域全長を含むcDNAが増幅された。第1段階のPCR反応は[98°C 20秒、55°C 20秒、68°C 2分30秒]を25サイクル、第2段階のPCR反応は[98°C 15秒、55°C 15秒、68°C 2分30秒] を30サイクルの条件で実施された。第2段階のPCR反応の増幅産物はクローニングベクターpT7Blue T−Vector (Novagen、メルク株式会社)にクローニングされ、オートシークエンサー(アプライドバイオシステム)を用いて塩基配列が確認された。クローニングされたcDNAはアイソフォーム3と一致していたため、POSTNiso3−pT7と命名された。
(3)ヒトペリオスチン組換えタンパク質の分泌発現システムの構築
ヒトペリオスチン組換えタンパク質を動物細胞に発現させるためのベクターとして、CMVプロモーターで制御され、IRES配列により目的遺伝子の産物とPuromycin−EGFP融合タンパク質とが同時に発現されるpQCxmhIPGが用いられた。pQCxmhIPGは、発明者らによりBD Retro−X(商標) Q VectorsのpQCXIPベクターを改変して作製された。POSTN781発現ベクターは次のように構築された。目的配列のPCRによる増幅は、POSTNiso3−pT7を鋳型として、KOD FXを用いて行われた。5’プライマー(5’−CGGGCGGCCGCACCATGATTCCCTTTTTAC−3’、配列番号7、下線部はNotI認識配列)と、3’プライマー(5’−TTTTTGGACTCGAGCTGAGAACGACCTTCC−3’、配列番号8、下線部はXhoI認識配列)とが用いられた。反応条件は、[94°C 15秒、55°C 15秒、68°C 2分30秒]を30サイクルであった。得られたPCR反応産物は、制限酵素NotI及びXhoIで消化され、pQCxmhIPGのNotI−XhoI部位に挿入され、発現ベクターpQCxmhIPG−POSTN781が構築された。POSTN630発現ベクターは次のように構築された。目的配列のPCRによる増幅は、上記POSTNiso3−pT7を鋳型として、Pfu酵素(プロメガ株式会社)を用いて行われた。5’プライマー(5’−CGGGCGGCCGCACCATGATTCCCTTTTTAC−3’、配列番号9、下線部はNotI認識配列)と3’プライマー(5’−GGTGTCTCGAGTGGATAGAGGAGTTTATC−3’、配列番号10、下線部はXhoI認識配列)とが用いられた。反応条件は、[98°C 15秒、55°C 15秒、68°C 2分30秒] を30サイクルであった。得られたPCR反応産物は、制限酵素NotI及びXhoIで消化され、pQCxmhIPGのNotI−XhoI部位に挿入され、発現ベクターpQCxmhIPG−POSTN630が構築された。
ヒトペリオスチン組換えタンパク質の分泌発現細胞株を樹立するためにレトロウイルスパッケージング細胞システム(Pantropic Retroviral Expression System、Clontech、K1063−1、タカラバイオ株式会社)が用いられた。コラーゲンがコーティングされた100mmディッシュで80〜90%コンフルエント状態のGP2−293(Clontech、K1063−1、タカラバイオ株式会社)が準備され、Lipofectamine 2000を用いて、前記発現ベクターpQCxmhIPG−POSTN781又はpQCxmhIPG−POSTN630と、pVSV−G(Clontech;K1063−1)とがともに11.2μgずつコトランスフェクションされた。48時間後、ウイルス粒子を含む上清が回収され、超遠心(18,000rpm、1.5時間、4°C)により前記ウイルス粒子が沈殿物として分離された。前記沈殿物が30μLのTNE(50mM Tris−HCl(pH7.8)、130mM NaCl、1mM EDTA)で懸濁され、レトロウイルスベクター濃縮液が調製された。レトロウイルスベクター濃縮液5μLが、8μg/mL臭化ヘキサジメトリン(H−9268、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)と、10%ウシ血清とを含むDMEM(D5796、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)の150μLで希釈され、ウイルス粒子含有培地が調製された。96穴のマイクロプレートに約40%コンフルエントの状態になるように準備された293Tの培地が、前記ウイルス粒子含有培地にスイッチされて、pQCxmhIPG−POSTN781又はpQCxmhIPG−POSTN630の遺伝子導入が行われた。前記遺伝子導入後、5μg/mLのPuromycin(P−8833、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)と、10%ウシ胎仔血清とを含むDMEMで拡大培養され、ヒトペリオスチン組換えタンパク質の発現細胞株POSTN781/st293T及びPOSTN630/st293Tが樹立された。
(4)ヒトペリオスチンタンパク質の精製
ヒトペリオスチン組換えタンパク質の発現細胞株POSTN781/st293T及びPOSTN630/st293Tは、293細胞用の無血清培地CD293(Invitrogen、ライフテクノロジーズジャパン株式会社)によりそれぞれ1L培養された。培養上清からTALON Purification Kit(Clontech、K1253−1)を用いて組換えタンパク質POSTN781及びPOSTN630が回収され、PBSで透析された。SDS−PAGE及びウェスタンブロットにて精製タンパク質が確認された。プロテインアッセイキットII(BioRad、500−0002JA、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いてタンパク質濃度が決定された。
(5)ヒトペリオスチン組換えタンパク質に対するモノクローナル抗体の作製
(4)で説明したとおり精製されたヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN781及びPOSTN630が同量のコンプリートアジュバント(F5881、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)と混合してエマルジョンにされ、BALB/cマウス(4週齢・メス)1匹あたり5〜20μgが3〜7日おきに6回感作された。最終免疫の3日後にマウスからリンパ球細胞が摘出され、マウス骨髄腫細胞P3U1(P3−X63Ag8U1)との細胞融合が行われた。
細胞融合は常法に従って以下のとおり行われた。全ての培地中のウシ胎仔血清は、56°Cで30分間保温する処理によって非働化された。P3U1は、ペニシリン、ストレプトマイシン及び10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI1640培地で培養された。摘出されたマウスリンパ球細胞とP3U1とは、1:10〜1:2の割合で混合され遠心された。沈殿された細胞に50%ポリエチレングリコール4000(1.09727.0100、メルク株式会社)を徐々に加えながら穏やかに混合後、遠心された。沈殿された融合細胞は、15%FBSを含むHAT培地(RPMI1640、HAT−supplement(Invitrogen、11067−030、ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、ペニシリン及びストレプトマイシン)で適宜希釈され、ウェルあたり200μLで96穴のマイクロプレートに播種された。融合細胞はCOインキュベータ(5%CO、37°C)中で培養され、コロニーが形成されたところで培養上清がサンプリングされ、スクリーニングされた。スクリーニングは、免疫に使用したPOSTN781又はPOSTN630でコーティングされた96穴プレートに対するELISA法で陽性を示すウェルの融合細胞コロニーが選択された。15%ウシ胎仔血清を含むHT培地(RPMI1640、HT−supplement(Invitrogen、ライフテクノロジーズジャパン株式会社、21060−017)、ペニシリン及びストレプトマイシン)で拡大培養後、限界希釈法によってクローニングが行われた。こうして、ヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN781を免疫原とするハイブリドーマクローンが13個(抗体番号:#3−4−5、#3−6−1、#3−9−2、#3−10−2、#3−11−4、#3−20−3、#3−27−1、#3−28−3、#3−29−1、#3−30−1、#3−31−3、#3−33−3、#3−34−1)得られた。ヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN630を免疫原とするハイブリドーマクローンが13個(#6−1−2、#6−3−1、#6−9−1、#6−10−2、#6−13−2、#6−14−3、#6−16−3、#6−19−1、#6−20−1、#6−23−5、#6−43−1、#6−45−1、#6−88−1)得られた。
(6)抗ヒトペリオスチンモノクローナル抗体の反応性
(5)で得られた抗ヒトペリオスチンモノクローナル抗体のヒトペリオスチンに対する反応性は次のように検証された。各ハイブリドーマクローンの培養上清からプロティンA−セファロースを用いた一般的なアフィニティー精製法によりモノクローナル抗体が精製された。得られた精製抗体はそれぞれ5μg/mLを最大濃度として段階希釈され、それぞれ免疫原のヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN781又はPOSTN630に対する反応強度がELISA法によって確認された。
図2Aは、500ng/mLのPOSTN781でコーティングされたマイクロプレートを用いてヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN781を免疫原とするモノクローナル抗体の反応性を調べた結果のグラフである。図2Bは、500ng/mLのPOSTN630でコーティングされたマイクロプレートを用いてヒトペリオスチン組換えタンパク質POSTN630を免疫原として使用されたモノクローナル抗体の反応性を調べた結果のグラフである。図2A及びBに示されるとおり、全てのモノクローナル抗体クローンが免疫原とする組換えタンパク質と濃度依存的に反応することが確認された。一方、前記ヒトペリオスチン組換えタンパク質と同じmycタグ及びhisタグを有する、別のヒト由来組み替えタンパク質に対して同様にELISA法で反応性を調べたところ、反応しなかった。そこで、(5)で得られたモノクローナル抗体は、いずれもタグ配列のオリゴペプチドを認識するものではないことが確認された。また、POSTN781を免疫原として得た13個のモノクローナル抗体は全て、POSTN630にも反応した。そこで、本実施例で得られた全ての抗ヒトペリオスチンモノクローナル抗体は、4個のファシクリンドメインまでを含む、ヒトペリオスチンタンパク質の全てのアイソフォームに共通のアミノ酸630個(配列番号2)のポリペプチドを認識するとの結論に達した。
(7)ヒトペリオスチンタンパク質濃度を測定するためのサンドウィッチELISA法の構築
サンドウィッチELISA法の検出側抗体として使用するため、本実施例で得られた全てのモノクローナル抗体がビオチン標識された。すなわち、抗体溶液に、抗体1mgあたり16.7μLの10mM EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo、フナコシ株式会社)が混合され、室温で1時間インキュベートされた後、PBSで透析され未標識のビオチンが除去された。26個のモノクローナル抗体クローンの中から、サンドウィッチELISA法の捕捉と検出に適した抗体クローンの組み合わせは、以下のように26×26の総当りの組み合わせによって決定された。まず0.1M NaHCO、0.1M NaCO及び0.15% Proclin150(SUPELCO、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)の溶液に10μg/mLの濃度で希釈された26個の抗体クローンがそれぞれ96穴マイクロプレートの各ウェルに50μLずつ添加され、4°C終夜又は室温2時間静置されて、抗体が前記マイクロプレートのウェル底面に固相化された。前記溶液を取り除いた後、ブロッキングバッファー(1%BSA(Proliant)、0.15% Proclin150及び5% ショ糖が添加されたPBS)が150μLずつ分注された(4°C終夜又は室温2時間静置)。前記ブロッキングバッファーが取り除かれた後、1%BSA、0.1% Tween20、0.15% Proclin150及び50μg/mL MAK−33(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)が添加されたPBSで、10ng/mL、1ng/mL又は0ng/mLの濃度に希釈されたPOSTN781タンパク質が50μL分注され、室温で1時間静置された。前記POSTN781タンパク質溶液が取り除かれた後、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。ビオチン標識された26個の抗体クローンが5μg/mLの濃度で50μL分注され、室温で1時間静置された。前記ビオチン標識抗体クローンの溶液が取り除かれた後、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。1%BSA、0.135M NaCl、0.1% p−Hydroxyphenylace、0.15% Proclin150、10mg/L ブロモフェノール・ブルー及び20mM HEPESで20000倍に希釈したStreptavidin−polyHRP40(SDT、フナコシ株式会社)が50μLずつ分注され、室温で1時間静置された。前記Streptavidin−polyHRP40溶液が取り除かれた後、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。TMB−US(Moss、コスモバイオ株式会社)が50μLずつ分注され、室温で30分間静置して発色させた後、0.18M HSOが50μL分注されて発色が停止された。分光吸光度計で吸光度A450/A620が測定された。POSTN781タンパク質10ng/mLのウェルと0ng/mLのウェルとの吸光度の差が2.0以上、かつ、抗原1ng/mLのウェルと0ng/mLのウェルとの吸光度の差が1.0以上となる抗体組み合わせが選択された。選択されたモノクローナル抗体の組み合わせは表1のとおりであった。

Figure 2014167419
臨床検体の測定
(1)臨床検体への反応性
健常者の検体は、株式会社医学生物学研究所の倫理委員会組織;MBL倫理審査委員会の承認(案件番号:022、承認日:2007年3月27日)を得て、健常者ボランティア検体を募集し、検体を提供した各健常者から書面により、事前に測定の同意が得られているものである。中皮腫患者の検体は、BMR(Bio Medical Resources(出願時点でSera Care Life Sciences Milford, MA.に統合されている。))に依頼し入手された(Part Code:DS−763 Description:Mesothelioma Lot# BM203975〜BM203986)。実施例1(7)で説明されたサンドウィッチELISA法のヒトペリオスチン精製組換えタンパク質のかわりに、1000倍に希釈された前記血漿検体が用いられた。表1に示された抗体の組み合わせについて、健常者16名の血漿検体と、中皮腫患者11名の血漿検体とを測定した結果を表2に示す。
Figure 2014167419
表2に示すとおり、中皮腫患者の血漿検体は、健常者の血漿検体に比べて全ての組み合わせで有意に高い測定値を示した。また、t検定を行ったところ、p値はいずれも0.0005未満であった。これにより、ペリオスチンタンパク質の血中濃度が中皮腫の診断マーカーになる可能性が示唆された。
(2)ヒトペリオスチン血中濃度を測定するためのサンドイッチELISA法の確立
中皮腫の診断マーカーとしてのヒトペリオスチン血中濃度の有効性をさまざまな臨床検体を用いてさらに詳しく検討する前に、表1のリストから固相抗体と検出抗体の最適な組み合わせを選択した。標準物質としてPOSTN781の濃度を2ng/mLから2倍希釈で7段階に希釈された希釈系列と、POSTN781を全く添加しない希釈液とへの反応性を評価し、標準物質への反応性が高くかつブランクの吸光度が低い組み合わせの代表例として固相抗体が#6−14−3、検出抗体が#3−34−1の組み合わせが選択された。以下の実験ではいずれもこの抗体の組み合わせが用いられた。
臨床検体の測定
(1)中皮腫患者及び健常者の血漿試料中のペリオスチン濃度の測定
0.1M NaHCO、0.1M NaCO及び0.15% Proclin150(SUPELCO)からなる溶液で10μg/mLに希釈された抗ヒトペリオスチンモノクローナル抗体#6−14−3が、MaxiSorp 96穴プレート(NUNC、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)に50μLずつコーティングされ、4°C終夜又は室温2時間静置することによって抗体の固相化が行われた。前記抗体の溶液が取り除かれた後、ブロッキングバッファー(1%BSA(Proliant、株式会社ベリタス)、0.15% Proclin150及び5% ショ糖が添加されたPBS)が150μLずつ分注され、4°C終夜又は室温2時間静置された。前記ブロッキングバッファー溶液が取り除かれた後、1%BSA、0.1% Tween20、0.15% Proclin150及び50μg/mL MAK−33が添加されたPBSを希釈液として、ペリオスチン標準物質(POSTN781が2μg/mLから2倍希釈で7段階に希釈された希釈系列)と、血漿検体(中皮腫患者11名(BMR)、健常者16名)との500倍希釈液と、POSTN781も血漿検体も全く添加されない希釈液だけとが調製され、それぞれ50μLずつ各ウェルに分注された。室温1時間静置後、前記血漿検体希釈液等の溶液が取り除かれ、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。ビオチン化された#3−34−1が1μg/mLの濃度で50μL分注された。室温1時間静置後、前記ビオチン化された#3−34−1溶液が取り除かれ、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。1%BSA、0.135M NaCl、0.1% p−Hydroxyphenylace、0.15% Proclin150、10mg/L ブロモフェノール・ブルー及び20mM HEPESからなる希釈液で20000倍に希釈されたStreptoavidin−poly40HRP(SDT)が、50μLずつ分注され、室温1時間静置された。前記Streptoavidin−poly40HRP溶液が取り除かれた後、PBS−0.05%Tween20で3回洗浄された。TMB−US(Moss,INC.)が50μLずつ分注され、室温30分間静置して発色された後、0.18M HSOが50μL分注されて発色が停止された。分光吸光度計で吸光度A450/A620が測定され、その吸光度から、検体中に含まれるペリオスチンの濃度が定量された。図3は、中皮腫患者及び健常者の検体のそれぞれのペリオスチンの濃度の分布を示すグラフである。中皮腫患者及び健常者の検体についてt検定によるp値が計算されたところ、p=0.00000066であり有意差を認めた。
(2)可溶型メソテリン関連蛋白(SMRP)測定値との相関
前記(1)でペリオスチンの濃度が測定された血漿検体(中皮腫患者11名(BMR)、健常者16名)において、従来からの中皮腫の血清診断マーカーであるSMRPの濃度が、SMRPの濃度測定キット(MESOMARK、Fujirebio Diagnostic)の製造者の指示書に従って測定された。前記SMRPの濃度測定キットは、メソテリンその他のタンパク質とSMRPとのいずれにも結合する抗体として4H3が、ヒトSMRPとは結合するがメソテリンその他のタンパク質とは結合しない抗体としてOV569がそれぞれ用いられる。図4は、中皮腫患者の検体について、同一検体のペリオスチン及びSMRPの血漿濃度をプロットした相関図である。図4に示すとおり、ペリオスチン及びSMRPの血漿濃度の測定値には相関は認められなかった。ペリオスチンのカットオフ値を暫定的に100ng/mLとすると全11例が陽性と認められた一方、SMRPは基準のカットオフ値1.5nMを採用すると、7例(64%)のみが陽性と判定された。SMRP陰性の4例(36%)は全てペリオスチン陽性となることも示された。
名古屋大学医学部呼吸器科グループで収集された患者検体の解析
本実施例の実験は、名古屋大学医学部生命倫理審査委員会の承認(承認番号:546−4、承認日:2011年7月29日)を得て実施された。書面による同意が、検体を提供した患者から得られている。
名古屋大学医学部呼吸器科グループで収集された患者検体(血漿及び血清)のペリオスチン濃度が測定された。検体が得られた悪性胸膜中皮腫患者は、上皮型、二相型及び肉腫型でそれぞれ14名、5名及び2名であった。上皮型、二相型又は肉腫型の診断は、Husainらの報告(Arch.Pathol.Lab. Med.、133:1317、2009)に従ってヘマトキシリン・エオジン染色法で行われた。肺癌患者は118名、癌以外の呼吸器疾患、例えばCOPD等の患者は53名であった。
まず、常法に従って同一患者から調製された血漿検体と血清検体とのペリオスチン濃度が実施例3と同じサンドイッチELISA法によって測定された。図5は、血漿検体と血清検体とにおけるペリオスチン濃度を比較したグラフである。図5に示すとおり、血清中のペリオスチン濃度と、血漿中のペリオスチン濃度とは、同じ患者ではほぼ同じ測定値を示した。そこで、同一患者の血漿検体と、血清検体とでペリオスチン濃度に差はないことが確かめられた。したがって、以下の実施例では血清検体がペリオスチン濃度の測定に用いられた。
図6は、本実施例の悪性胸膜中皮腫、肺癌及び癌以外の呼吸器疾患(図6では「呼吸器疾患」と表される。)の患者検体のペリオスチン濃度の分布を比較したグラフである。図6から明らかなとおり、悪性胸膜中皮腫患者の検体のペリオスチン濃度は高い。
図7は、ペリオスチン濃度をマーカーとする、肺癌と、癌以外の呼吸器疾患とを合わせた中皮腫以外の呼吸器疾患患者に対する、本実施例の悪性胸膜中皮腫患者検体のROC曲線を示すグラフである。本実施例のROC解析の結果、AUCは0.927であった。ペリオスチン濃度の暫定的なカットオフ値を133ng/mLとしたときの診断精度を計算したところ、悪性胸膜中皮腫患者に対する感度は0.810であった。また、悪性胸膜中皮腫以外の呼吸器疾患患者に対する特異度は0.936であった。そこで、ペリオスチンは、悪性胸膜中皮腫患者と悪性胸膜中皮腫以外の呼吸器疾患患者とを区別するうえにおいても非常に有効なマーカーであることも示された。
ペリオスチン濃度の暫定的なカットオフ値を133ng/mLとして悪性胸膜中皮腫患者検体を組織型別に解析したところ、二相型では5検体中4検体(80%)、肉腫型でも2検体中2検体(100%)が陽性として検出された。一方SMRPは、二相型では5検体中1検体(25%)、肉腫型では2検体中0検体(0%)が陽性になるにとどまった。そこで、これらの悪性度の高い組織型の患者においても、血中ペリオスチンの濃度上昇を検出することが診断マーカーとして有用であることが示唆された。
株化癌細胞の分泌するペリオスチン
本発明のサンドイッチELISA法によって、さまざまな細胞タイプの株化癌細胞がペリオスチンを培地にどのくらい分泌するか検討するため、表3に示す株化癌細胞が用意された。
Figure 2014167419

Figure 2014167419

Figure 2014167419

表中のコード番号の略称の説明は以下のとおりである。
ATCC:American Type Culture Collection
BRC:RIKEN BioResource Center
HSRRB:Health Science Research Resources Bank
図8は、表2に示す株化癌細胞の培養上清中のペリオスチンが固相抗体#6−14−3/検出抗体#3−34−1の測定系で測定された結果を表すグラフである。中皮腫由来の癌細胞株では、5種中3種(60%)で高濃度のペリオスチンが検出された。一方で、それ以外は肺癌、乳癌の一部で若干の発現を認めたものの、その発現量は4分の1未満であり、大腸癌、腎臓癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、神経芽腫、B細胞系やT細胞系、単球系、巨核球系の血液癌、臍帯血由来血管内皮細胞では発現していないことが認められた。そこで、ペリオスチンの発現と培養液中における存在とは中皮腫由来癌細胞株にかなり特異的であることが認められた。
胸水検体の測定
臨床検体として、血漿試料及び血清試料に加えて胸水試料も利用できるかどうか検討するために、中皮腫患者1名と、対照として肺腺癌患者1名との胸水試料中のペリオスチン濃度が測定された。本実施例の実験も、名古屋大学医学部生命倫理審査委員会の承認(承認番号:546−5、承認日:2012年3月27日)と、MBL倫理審査委員会の承認(承認番号:120、承認日:2012年3月9日)とを得て実施された。書面による同意が、検体を提供した患者から得られている。
検体が得られた悪性胸膜中皮腫患者は二相型であった。常法に従って同一患者から調製された、血漿検体、血清検体及び胸水検体のペリオスチン濃度が、実施例3及び4と同じサンドイッチELISA法によって測定された。採取された胸水検体は、血漿検体及び血清検体と同じ方法で調製された。胸水検体でのペリオスチン濃度は、血清検体及び血漿検体より高いので、16000倍希釈液が固相抗体との結合に供された。
その結果、当該中皮腫患者の血漿検体、血清検体及び胸水検体のペリオスチン濃度は、それぞれ、247.9ng/mL、279.2ng/mL及び6928.7ng/mLであった。同時に測定された前記肺腺癌患者の血漿検体、血清検体及び胸水検体のペリオスチン濃度は、それぞれ、47.4ng/mL、53.6ng/mL及び1938.4ng/mLであった。前記中皮腫患者の血清検体のペリオスチン濃度は、実施例4で設定された血清検体中のペリオスチン濃度の暫定的なカットオフ値133ng/mLを超えており、血清検体中のペリオスチン濃度による診断では陽性であった。胸水検体中のペリオスチン濃度は、前記中皮腫患者でも前記肺腺癌患者でも、血漿検体及び血清検体のペリオスチン濃度に比べて数十倍高かった。そして胸水検体でも、前記中皮腫患者のペリオスチン濃度は前記肺腺癌患者に比べて3倍以上高かった。そこで、胸水検体においても、本発明のペリオスチン濃度を用いる中皮腫の検査方法は実施可能であることが示された。なお、同じ中皮腫患者、肺腺癌患者の胸水検体中のMPF濃度をIwahori,K.ら(Lung Cancer,62:45(2008))によって作製されたサンドイッチELISA法によりあわせて測定しており、前記中皮腫患者のMPF濃度は前記肺腺癌患者に比べて6倍以上高く、同様、胸水検体においても、MPF濃度を用いる中皮腫の検査方法は実施可能であることが示された。
ペリオスチン及びMPFの併用検査
本実施例では、実施例3の結果に基づいて、ペリオスチンとMPFとの併用検査の有用性が検討された。
実施例4に示したとおり、ペリオスチン濃度の暫定的なカットオフ値を133ng/mLとして悪性胸膜中皮腫患者献体を組織型別に解析したところ、二相型では5検体中1検体が陰性となり、検出できなかった。アスベスト被爆者では、中皮腫の早期診断を簡便かつ安価に行う必要があり、その場合には、中皮腫を発症している患者の1次スクリーニングとして、特異度よりも感度を重視した診断技術が必要である。中皮腫を発症している患者を見逃さないことのほうが、再検査の結果中皮腫ではない偽陽性が多いことより重要な場合があるからである。そのためには、ペリオスチンを他のマーカーと併用する診断技術が望ましい。実施例3及び図4に示したとおり、中皮腫患者由来の同一検体のペリオスチン濃度及びSMRP濃度の測定値には相関が認められなかった。そこで、ペリオスチンと併用するマーカーの候補として、SMRPが考えられる。しかし実施例3に示すとおり、SMRPはペリオスチンより感度が低いので、ペリオスチンと併用するマーカーとしてSMRPは適当ではない。そこでメソテリン遺伝子座から発現するSMRP以外の遺伝子産物に注目した。Hollevoet、K.ら(Am. J. Respir. Crit. Care Med.、181:620、2010)は、中皮腫患者を含む臨床試験参加者の同一血清検体について、SMRP及びMPFの濃度を測定した。SMRP濃度は実施例3で用いたのと同じ抗体による診断キット(MESOMARK)によって測定された。MPF濃度は、Iwahori,K.ら(Lung Cancer,62:45(2008))によって作製された20−10及び41−28によるサンドイッチELISA法で測定された。すると、SMRPで陰性と判定された検体のうち、16%がMPFでは陽性と判定された。そこで、SMRPより感度が高いことが示唆されたMPFをペリオスチンと併用することを試みた。
本実施例の実験は、名古屋大学医学部生命倫理審査委員会の承認(承認番号:546−4、承認日:2011年7月29日)と、MBL倫理審査委員会の承認(承認番号:120、承認日:2012年3月9日)とを得て実施された。書面による同意が、検体を提供した患者から得られている。悪性胸膜中皮腫患者の検体は、実施例4で用いた検体(上皮型、二相型及び肉腫型でそれぞれ14名、5名及び2名)に、二相型及び肉腫型それぞれ1名ずつの検体が追加された。
前記検体におけるペリオスチンタンパク質の濃度は、抗ヒトペリオスチンモノクローナル抗体#6−14−3(固相結合用)及び#3−34−1(検出用)を用いて実施例3に示した方法で測定された。前記検体におけるMPFタンパク質の濃度は、Iwahori,K.ら(Lung Cancer,62:45(2008))によって作製された抗ヒトMPFモノクローナル抗体20−10(固相結合用)及び41−28(検出用)によるサンドイッチELISA法で測定された。なお、本実施例では、20−10は0.1μg/mLの濃度で用いられ、固相に結合した41−28は40,000倍に希釈されたストレプトアビジン−ポリ40HRP(Stereospecific Detection Technologies、フナコシ株式会社、カタログ番号#SP40C、1mg/mL)が用いられた。ペリオスチン及びMPFタンパク質濃度のカットオフ値は、ともに、実施例4と同様、中皮腫(23検体)と、肺癌(118検体)+肺癌以外の呼吸器疾患(53検体)を測定し、ROC解析により設定された。すなわち、ペリオスチンタンパク質濃度については、AUCが0.948となる124.2ng/mLがカットオフ値に設定された。MPFタンパク質濃度については、AUCが0.957となる21.9ng/mLがカットオフ値に設定された。
得られたペリオスチン及びMPFの濃度をプロットしたグラフを図9に示す。図9は、悪性胸膜中皮腫患者の血液検体中のペリオスチン濃度(単位:ng/mL)を縦軸に、MPF濃度(単位:ng/mL)を横軸にプロットした、測定結果のグラフである。図9で白抜きの丸印で表される検体は上皮型中皮腫の患者に由来し、斜線ハッチング入りの三角印で表される検体は二相型中皮腫の患者に由来し、黒塗り四角印で表される検体は肉腫型中皮腫の患者に由来した。図9から明かなとおり、一部の上皮型悪性中皮腫の患者検体ではMPF濃度は高いのにペリオスチン濃度が低いため、ペリオスチンだけの検査では見逃されてしまう。逆に、二相型及び肉腫型の悪性中皮腫の患者検体ではペリオスチン濃度は高いのにMPF濃度が低いため、MPFだけの検査では見逃されてしまう。これに対し、ペリオスチン及びMPFを併用する検査では、ペリオスチン陽性及び/又はMPF陽性という基準で判定すると、すべての悪性中皮腫患者検体が漏れなく検出された。ペリオスチンで陰性の検体がMPFでは陽性となり、逆に、MPFで陰性の検体がペリオスチンでは陽性となることは、これまで予測されていなかった。
さらに、本実施例の悪性中皮腫患者23名の検体のデータを、肺癌又は肺疾患の患者171名の検体のデータと比較した。その結果、表4のとおりの結果が得られた。
Figure 2014167419
本明細書において説明したとおり、本発明の中皮腫の検査方法によれば、上皮型、二相型及び肉腫型のいずれの悪性胸膜中皮腫でも検出できる。これにより、生検などの患者に大きな負担を強いることなく、早期に中皮腫を診断することが可能となり、中皮腫患者の早期治療に大きく貢献することができる。また、数百万人にものぼるアスベスト曝露者に対して中皮腫をスクリーニングするうえで信頼性が高く、簡便かつ安価な検査法を提供することができるため、アスベスト曝露者が気軽に繰り返し検査を受けることができ、中皮腫患者の早期発見治療を可能にし、治癒率の向上に大きく貢献することができる。さらに胸水貯留による症状を示す患者から採取される胸水から中皮腫を診断することも可能になる。
表4の結果から、ペリオスチン又はMPFタンパク質単独の検査よりも、ペリオスチン及びMPFを併用する検査のほうが感度が高い。一方でメソテリン及びMPFを併用する検査のほうが特異度が低いが、中皮腫を早期に診断することにおいては、悪性中皮腫患者を漏れなく検出できることのほうが、特異度が高いことよりも重要である。なぜなら、アスベスト曝露者の数に比べて実際に悪性中皮腫を発症する人間の割合は低いからである。すなわち、アスベスト曝露者にとっては、肺癌又はその他の肺疾患について偽陽性と判定されないこと(高特異度)よりも、ペリオスチンでもMPFでも陰性である場合には現時点で悪性中皮腫の心配がないから安心できること、もしくは、ペリオスチンないしMPFが陽性である場合に悪性中皮腫を発見して早期に治療を開始すること(高感度)のほうに意味がある。したがって、ペリオスチン及びMPFを併用する検査には産業上の利用可能性がある。

Claims (19)

  1. 被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップと、該被検者の血液及び胸水のうち少なくともいずれか1種類の試料中のヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップとを含むことを特徴とする、中皮腫の検査方法。
  2. 前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体を用いることを特徴とする、請求項1に記載の中皮腫の検査方法。
  3. 前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと特異的に結合する抗体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中皮腫の検査方法。
  4. 前記ヒトペリオスチンタンパク質の濃度を測定するステップは、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる抗体を2種類用いることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の中皮腫の検査方法。
  5. 前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFタンパク質に対する抗体を用いることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の中皮腫の検査方法。
  6. 前記ヒトMPFタンパク質に対する抗体は配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと特異的に結合する抗体であることを特徴とする、請求項5に記載の中皮腫の検査方法。
  7. 前記ヒトMPFタンパク質の濃度を測定するステップは、ヒトMPFタンパク質と同時に結合することができる抗体を2種類用いることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の中皮腫の検査方法。
  8. 前記中皮腫は悪性胸膜中皮腫であることを特徴とする、請求項4又は7に記載の中皮腫の検査方法。
  9. 前記血液試料は被検者の血漿又は血清の試料であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の中皮腫の検査方法。
  10. ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体と、ヒトMPFタンパク質に対する抗体とを含むことを特徴とする、中皮腫の診断をするためのキット。
  11. 前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと特異的に結合する抗体であることを特徴とする、請求項10に記載の中皮腫の診断をするためのキット。
  12. 前記ヒトペリオスチンタンパク質に対する抗体は、前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体であることを特徴とする、請求項11に記載のキット。
  13. 前記ヒトペリオスチンタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体の一方が固相化された固体支持体と、前記2種類の抗体の他方に対する特異的結合パートナーとを含むことを特徴とする、請求項12に記載の中皮腫の診断をするためのキット。
  14. 前記ヒトMPFタンパク質に対する抗体は配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドと特異的に結合する抗体であることを特徴とする、請求項10ないし13のいずれか1つに記載のキット。
  15. 前記ヒトMPFタンパク質に対する抗体は、前記ヒトMPFと同時に結合することができる2種類の抗体であることを特徴とする、請求項14に記載のキット。
  16. 前記ヒトMPFタンパク質と同時に結合することができる2種類の抗体の一方が固相化された固体支持体と、前記2種類の抗体の他方に対する特異的結合パートナーとを含むことを特徴とする、請求項15に記載の中皮腫の診断をするためのキット。
  17. 前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者かどうかを判断することである、請求項10ないし16のいずれか1つに記載の中皮腫の診断をするためのキット。
  18. 前記中皮腫の診断は、中皮腫のおそれのある被検者が、中皮腫の患者か、中皮腫以外の呼吸器疾患の患者かを判断することである、請求項10ないし16のいずれか1つに記載の中皮腫の診断をするためのキット。
  19. 前記中皮腫の患者は悪性胸膜中皮腫の患者であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の中皮腫の診断をするためのキット。
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