測定試料の温度変化に対応するその試料の抵抗値の変化を四端子測定用プローブを利用して四端針法によって測定する場合、または、測定試料の物性を安定させた状態で試料の抵抗値を四端子測定用プローブを利用して四端針法によって測定する場合、試料の温度を高温と低温との間で変化させる必要がある。測定試料の温度を変えるには、冷凍機を利用して試料を据え付けるステージを冷却しつつ、ヒーターを利用してステージの温度を所定のそれに調節する。ステージの温度を略一定のそれに調節することで、ステージに据え付けられた測定試料の温度をステージのそれと略同一にすることができる。しかし、測定試料を冷却した状態でその抵抗値を測定する場合、試料に当接する四端子測定用プローブの探針の温度が常温であるため、プローブの探針によって試料の温度が上昇し、設定温度一定を保持した状態で試料の抵抗値を測定することができず、測定した抵抗値の信頼性が低下する。特に、測定試料の温度が10〜6ケルビンの極低温に冷却されている場合、常温(たとえば、273.15〜293.15ケルビン)の探針が試料に触れることで試料の温度が上昇し、試料の温度が大きく変化してしまい、試料を極低温に保持することができず、試料の極低温における正確な抵抗値を測定することができない。
本発明の目的は、探針が測定試料に当接したとしても、試料の温度上昇を防ぐことができ、信頼性の高い抵抗値を測定することができる四端子抵抗測定装置およびそれに使用される四端子測定用プローブを提供することにある。本発明の目的は、探針が測定試料に当接したとしても、試料の温度を極低温に保持することができ、試料の極低温における正確な抵抗値を測定することができる四端子抵抗測定装置およびそれに使用される四端子測定用プローブを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、測定試料を着脱可能な測定ステージが設置された真空チャンバーと、真空チャンバーに連結された真空排気装置および冷凍装置と、真空チャンバーに設置された四端子測定用プローブとを有し、冷凍装置が、所定の冷媒を一方向へ向かって流出させる往管と、往管の延出端部に設置されて冷媒によって所定温度に冷却され、その冷熱を測定ステージに伝える第1冷却ステージと、第1冷却ステージにつながって冷媒を冷凍装置に流入させる還管と、還管に設置されて冷媒によって所定温度に冷却され、その冷熱を測定ステージに伝える第2冷却ステージとを備え、真空チャンバーの真空状態を維持しつつ試料の抵抗値を測定する四端子抵抗測定装置である。
前記第1の前提における本発明の四端子抵抗測定装置の特徴は、第2冷却ステージの冷熱を四端子測定用プローブに伝える熱伝達フレキシブルワイヤーが各プローブに絶縁下に接続されていることにある。
本発明の四端子抵抗測定装置の一例としては、四端子抵抗測定装置が、測定ステージと第2冷却ステージとにつながって該測定ステージを取り囲み、第2冷却ステージの冷熱を測定ステージに伝えるシールドカバーを含み、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部が四端子測定用プローブに接続され、熱伝達フレキシブルワイヤーの基端部がシールドカバーに接続されている。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、測定ステージが、真空チャンバーの内部に位置して試料を設置する試料設置プレートと、冷凍装置の側に位置して第1冷却ステージに当接する当接プレートと、試料設置プレートと当接プレートとの間に延びる中間プレートとから形成され、シールドカバーが、試料設置プレートの周縁部を取り囲む前端部と、当接プレートを取り囲む後端部と、中間プレートを取り囲む中間部とを有し、熱伝達フレキシブルワイヤーの基端部がシールドカバーの前端部に接続されている。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、四端子測定用プローブが、試料に当接する探針と、探針の後端に連結されたプローブガイドと、プローブガイドの後端部に連結された板バネと、板バネの後端部に連結されたシャフトとから形成され、熱伝達フレキシブルワイヤーがその先端部に取り付けられた圧着端子によってプローブガイドに接続され、第2冷却ステージの冷熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に低下させる。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、プローブガイドが、導電性金属から作られた六面体であり、その一面に当接する熱伝達絶縁プレートと、熱伝達絶縁プレートの一面に重なる絶縁スペーサーとを備え、プローブガイドでは、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子の一面が熱伝達絶縁プレートの一面に密着しつつ、圧着端子に形成された挿通孔の内周面が絶縁スペーサーの外周面に当接し、圧着端子がプローブガイドに対して絶縁された状態で、圧着端子と熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとが互いに圧着固定されている。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、四端子抵抗測定装置が試料設置プレートを加熱する加熱装置を含み、熱伝達フレキシブルワイヤーが、試料設置プレートから伝わった熱によってその温度が上昇したシールドカバーの前端部の温熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に上昇させる。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、四端子抵抗測定装置が、冷凍装置と加熱装置とを利用することで、試料設置プレートの温度と探針の温度とをマイナス側に273.15〜6ケルビンの範囲で変更可能であり、試料設置プレートの温度と探針の温度とをプラス側に273.15〜473.15ケルビンの範囲で変更可能である。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、熱伝達フレキシブルワイヤーが弾性変形可能な銅撚り線から作られ、熱伝達フレキシブルワイヤーの直径が1〜1.5mmの範囲にあり、熱伝達フレキシブルワイヤーの長さが5〜10cmの範囲にある。
本発明の四端子抵抗測定装置の他の一例としては、熱伝達絶縁プレートが面研磨されたサファイヤから作られ、絶縁スペーサーが窒化アルミから作られている。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、測定試料に当接しつつその試料に電流を流すとともにその試料の電圧を測定する探針を備え、真空チャンバーに設置される四端子測定用プローブである。
前記第2の前提における本発明の四端子測定用プローブの特徴は、四端子測定用プローブが冷熱または温熱を探針に伝える弾性変形可能な熱伝達フレキシブルワイヤーを有し、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部が四端子測定用プローブに絶縁下に取り付けられ、熱伝達フレキシブルワイヤーの基端部が真空チャンバーに連結された冷凍装置および加熱装置によって冷却または加熱された熱伝達媒体に取り付けられることにある。
本発明の四端子測定用プローブの一例としては、四端子測定用プローブが、探針の後端に連結されたプローブガイドと、プローブガイドの後端部に連結された板バネと、板バネの後端部に連結されたシャフトとから形成され、熱伝達フレキシブルワイヤーが、その先端部に取り付けられた圧着端子によってプローブガイドに取り付けられ、熱伝達媒体の冷熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に低下させ、熱伝達媒体の温熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に上昇させる。
本発明の四端子測定用プローブの他の一例としては、プローブガイドが、導電性金属から作られた六面体であり、その一面に当接する熱伝達絶縁プレートと、熱伝達絶縁プレートの上面に重なる絶縁スペーサーとを備え、プローブガイドでは、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子の一面が熱伝達絶縁プレートの一面に密着しつつ、圧着端子に形成された挿通孔の内周面が絶縁スペーサーの外周面に当接し、圧着端子がプローブガイドに対して絶縁された状態で、圧着端子と熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとが互いに圧着固定されている。
本発明の四端子測定用プローブの他の一例として、四端子測定用プローブでは、熱伝達フレキシブルワイヤーが弾性変形可能な銅撚り線から作られ、熱伝達フレキシブルワイヤーの直径が1〜1.5mmの範囲にあり、熱伝達フレキシブルワイヤーの長さが5〜10cmの範囲にある。
本発明の四端子測定用プローブの他の一例として、四端子測定用プローブでは、熱伝達絶縁プレートが面研磨されたサファイヤから作られ、絶縁スペーサーが窒化アルミから作られている。
本発明にかかる四端子抵抗測定装置によれば、第2冷却ステージの冷熱を四端子測定用プローブに伝える熱伝達フレキシブルワイヤーが各プローブに絶縁下に接続されているから、第2冷却ステージの冷熱がワイヤーからプローブに伝わり、プローブの温度を低下させることができ、測定ステージに据え付けられた測定試料に電流を流すためにプローブが試料に当接したとしても、プローブの熱によって試料の温度が上昇することはなく、試料の温度を所定の低温に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができ、信頼性の高い抵抗値を測定することができる。測定試料の抵抗測定の一例として、試料の温度を10〜6ケルビンの極低温に低下させ、試料の物性を安定させた状態でその試料の抵抗値を測定する場合があるが、この四端子抵抗測定装置は、四端子測定用プローブの温度を試料のそれと略同一の極低温に低下させることができるから、プローブが試料に当接したとしても、プローブが試料の温度を上昇させることはなく、試料の温度を極低温に保持した状態で抵抗値を測定することができ、極低温における試料の正確な抵抗値を測定することができる。
測定ステージと第2冷却ステージとにつながって第2冷却ステージの冷熱を測定ステージに伝えるシールドカバーを含み、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部が四端子測定用プローブに接続され、熱伝達フレキシブルワイヤーの基端部がシールドカバーに接続されている四端子抵抗測定装置は、第2冷却ステージの冷熱がシールドカバーを介して測定ステージに伝わるとともに、第2冷却ステージの冷熱がシールドカバーを介してフレキシブルワイヤーに伝わり、シールドカバーによって測定ステージの温度を低下させることができる他、ワイヤーによってプローブの温度を低下させることができるから、測定ステージに据え付けられた測定試料にプローブが当接したとしても、プローブの熱によって試料の温度が上昇することはなく、試料の温度を所定の低温に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができ、信頼性の高い抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置は、フレキシブルワイヤーから伝わる冷熱によって四端子測定用プローブの温度が試料のそれと略同一の極低温に低下するから、プローブが試料に当接したとしても、プローブが試料の温度を上昇させることはなく、試料の温度を極低温に保持することができ、試料の極低温における正確な抵抗値を測定することができる。
測定ステージが試料を設置する試料設置プレートと第1冷却ステージに連結された当接プレートと中間プレートとから形成され、シールドカバーが試料設置プレートの周縁部を取り囲む前端部と当接プレートを取り囲む後端部と中間プレートを取り囲む中間部とを有し、熱伝達フレキシブルワイヤーの基端部がシールドカバーの前端部に接続されている四端子抵抗測定装置は、試料設置プレートの周縁部を取り囲むシールドカバーの前端部にワイヤーの基端部が接続されているから、ワイヤーの基端部から先端部までの距離(ワイヤーの長さ)が短く、ワイヤーにおける熱損失を最低限にすることができ、第2冷却ステージの冷熱がワイヤーからプローブに確実に伝わり、プローブの温度をシールドカバーのそれと略同一の温度に低下させることができる。四端子抵抗測定装置は、測定ステージに据え付けられた測定試料にプローブが当接したとしても、プローブの熱によって試料の温度が上昇することはなく、試料の温度を所定の低温または極低温に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができ、低温または極低温における信頼性の高い抵抗値を測定することができる。
四端子測定用プローブが試料に当接する探針とプローブガイドおよび板バネとシャフトとから形成され、熱伝達フレキシブルワイヤーがその先端部に取り付けられた圧着端子によってプローブガイドに接続され、第2冷却ステージの冷熱をプローブガイドに伝えることで探針を所定温度に低下させる四端子抵抗測定装置は、第2冷却ステージの冷熱がシールドカバーを介してフレキシブルワイヤーに伝わり、プローブガイドに伝わったワイヤーの冷熱によってプローブガイドとともに探針の温度を低下させることができるから、探針の温度をシールドカバーのそれと略同一の温度に低下させることができる。四端子抵抗測定装置は、測定ステージに据え付けられた測定試料にプローブの探針が当接したとしても、探針の熱によって試料の温度が上昇することはなく、試料の温度を所定の低温または極低温に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができ、低温または極低温における信頼性の高い抵抗値を測定することができる。
プローブガイドが熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとを備え、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子の一面が熱伝達絶縁プレートの一面に密着しつつ、圧着端子に形成された挿通孔の内周面が絶縁スペーサーの外周面に当接し、圧着端子がプローブガイドに対して絶縁された状態で、圧着端子と熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとが圧着固定されている四端子抵抗測定装置は、熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとの介在下にワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子がプローブガイドに固定されているから、四端子測定用プローブとワイヤーとを確実に絶縁することができる。四端子抵抗測定装置は、ワイヤーがプローブに電気的に接続されることはなく、電流がワイヤーを通じてグラウンドに落ちることはないから、探針から測定試料に確実に電流を流すことができ、試料の所定温度における正確な抵抗値を測定することができる。
試料設置プレートを加熱する加熱装置を含み、熱伝達フレキシブルワイヤーが試料設置プレートから伝わった熱によってその温度が上昇したシールドカバーの前端部の温熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に上昇させる四端子抵抗測定装置は、冷凍装置および加熱装置を利用することで、測定ステージやプローブの探針の温度を高温と低温(極低温)との間で変化させることができから、それによって測定試料の温度を抵抗測定時における試料の最適なそれにすることができ、試料の温度を最適なそれに保持した状態で、試料の抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置は、測定ステージやプローブの探針の温度を変化させることで、各温度毎における試料の抵抗値を測定することができるから、温度変化による試料の抵抗値の変化を測定することができる。四端子抵抗測定装置は、測定ステージの温度が高温と低温(極低温)との間で変化したとしても、探針の温度も測定ステージのそれにあわせて高温と低温(極低温)との間で変化するから、探針が試料に当接した場合の試料の温度変化を防ぐことができ、試料の所定温度における正確な抵抗値を測定することができる。
冷凍装置と加熱装置とを利用することで、試料設置プレートの温度と探針の温度とをマイナス側に273.15〜6ケルビンの範囲で変更可能であり、試料設置プレートの温度と探針の温度とをプラス側に273.15〜473.15ケルビン(0〜200℃)の範囲で変更可能な四端子抵抗測定装置は、試料設置プレートや探針の温度を高温と低温(極低温)との間で変化させることができるから、それによって測定試料の温度を抵抗測定時における試料の最適なそれにすることができ、試料の温度を最適なそれに保持した状態で、試料の抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置は、たとえば試料が10〜6ケルビンの極低温に冷却されている場合、探針も試料と略同一の極低温に冷却されているから、探針が試料に当接したとしても、測定試料の温度が上昇することはなく、試料の極低温状態に保持することができ、試料の極低温における正確な抵抗値を測定することができる。また、たとえば試料が423.15〜473.15ケルビン(150〜200℃)の高温に加熱されている場合、探針の温度を上昇させることができるから、探針が試料に当接したとしても、測定試料の温度が低下することはなく、試料の高温状態に保持することができ、試料の高温における正確な抵抗値を測定することができる。
熱伝達フレキシブルワイヤーが弾性変形可能な銅撚り線から作られ、ワイヤーの直径が1〜1.5mmの範囲、ワイヤーの長さが5〜10cmの範囲にある四端子抵抗測定装置は、ワイヤーが熱伝導率の高い銅撚り線から作られているから、ワイヤーを介して冷熱や温熱をプローブの探針に確実に伝えることができる。四端子抵抗測定装置は、熱伝達フレキシブルワイヤーの直径および長さが前記範囲にあるから、ワイヤーの熱伝導の効率を保持した状態で、ワイヤーの自由度を確保することができ、ワイヤーを介して冷熱や温熱をプローブの探針に伝えることができるのみならず、プローブの動きにあわせてワイヤーが自由に動くことができる。
熱伝達絶縁プレートが面研磨されたサファイヤから作られ、絶縁スペーサーが窒化アルミから作られている四端子抵抗測定装置は、サファイヤの優れた熱伝導性と優れた絶縁性や絶縁スペーサーの優れた絶縁性を利用することで、四端子測定用プローブとワイヤーとを確実に絶縁することができ、サファイヤを介してワイヤーの冷熱や温熱をプローブの探針に確実に伝えることができる。四端子抵抗測定装置は、探針が試料に当接したとしても、測定試料の温度が変化することはなく、試料の低温状態(極低温状態)や高温状態に保持することができ、試料の低温(極低温)または高温における正確な抵抗値を測定することができる。
本発明にかかる四端子測定用プローブによれば、それが冷熱または温熱を探針に伝える弾性変形可能な熱伝達フレキシブルワイヤーを有し、ワイヤーの基端部が冷凍装置および加熱装置によって冷却または加熱された熱伝達媒体に取り付けられるから、ワイヤーを介して探針に冷熱または温熱を伝えることができ、探針の温度を所望のそれに調節することができる。たとえば、四端子測定用プローブが測定試料を所定の温度に調節しつつ試料の抵抗値を測定する四端子抵抗測定装置に使用された場合、ワイヤーから伝わる冷熱や温熱によって探針の温度を試料のそれと略同一にすることができるから、探針が試料に当接したときの試料の温度変化を防ぐことができ、試料の温度を一定に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができる。
探針の後端に連結されたプローブガイドとプローブガイドの後端部に連結された板バネと板バネの後端部に連結されたシャフトとから形成され、熱伝達フレキシブルワイヤーがその先端部に取り付けられた圧着端子によってプローブガイドに取り付けられ、熱伝達媒体の冷熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に低下させ、熱伝達媒体の温熱をプローブガイドに伝えることで、探針を所定温度に上昇させる四端子測定用プローブは、ワイヤーの基端部が冷凍装置および加熱装置によって冷却または加熱された熱伝達媒体に取り付けられるとともに、ワイヤーの先端部がプローブガイドに取り付けられるから、ワイヤーを介して探針に冷熱または温熱を伝えることができ、探針の温度を所望のそれに調節することができる。
プローブガイドが熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとを備え、熱伝達フレキシブルワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子の一面が熱伝達絶縁プレートの一面に密着しつつ、圧着端子に形成された挿通孔の内周面が絶縁スペーサーの外周面に当接し、圧着端子がプローブガイドに対して絶縁された状態で、圧着端子と熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとが圧着固定されている四端子測定用プローブは、熱伝達絶縁プレートと絶縁スペーサーとの介在下にワイヤーの先端部に取り付けられた圧着端子がプローブガイドに固定されているから、四端子測定用プローブとワイヤーとを確実に絶縁することができる。四端子測定用プローブは、ワイヤーがプローブに電気的に接続されることはなく、電流がワイヤーを通じてグラウンドに落ちることはないから、探針によって測定試料に確実に電流を流すことができる。
熱伝達フレキシブルワイヤーが弾性変形可能な銅撚り線から作られ、ワイヤーの直径が1〜1.5mmの範囲、ワイヤーの長さが5〜10cmの範囲にある四端子測定用プローブは、熱伝達フレキシブルワイヤーの直径および長さが前記範囲にあるから、ワイヤーの熱伝導の効率を保持した状態で、ワイヤーの自由度を確保することができ、ワイヤーを介して冷熱や温熱をプローブの探針に伝えることができるのみならず、プローブの動きにあわせてワイヤーが自由に動くことができる。
熱伝達絶縁プレートが面研磨されたサファイヤから作られ、絶縁スペーサーが窒化アルミから作られている四端子測定用プローブは、サファイヤの優れた熱伝導性と優れた絶縁性や絶縁スペーサーの優れた絶縁性を利用することで、四端子測定用プローブとワイヤーとを確実に絶縁することができ、サファイヤを介してワイヤーの冷熱や温熱をプローブの探針に確実に伝えることができる。四端子測定用プローブは、その探針が試料に当接したとしても、測定試料の温度が変化することはなく、試料の温度を一定に保持した状態で、その試料の抵抗値を測定することができる。
一例として示す四端子抵抗測定装置10の側面図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる四端子抵抗測定装置およびそれに使用する四端子測定用プローブの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、真空排気機構15を省略して示す四端子抵抗測定装置10の斜視図であり、図3は、四端子抵抗測定装置10の上面図である。図4は、真空チャンバー11および真空容器12を部分的に破断して示す四端子抵抗測定装置10の側面図であり、図5は、測定ステージ13の上面図である。図6は、X−Y−Zステージ31を省略した真空チャンバー11の上面図であり、図7は、測定ステージ13の拡大上面図である。図8は、図7の8−8線矢視断面図である。図1では、上下方向をAで示し前後方向を矢印Bで示す。
四端子抵抗測定装置10は、真空チャンバー11、真空容器12(冷凍機チャンバー)、測定ステージ13、シールドカバー14、真空排気機構15(真空排気装置)、ヘリウム冷凍機構16(冷凍装置)、ヒーター17(加熱装置)、四端子測定用プローブ18a〜18dから形成されている。四端子抵抗測定装置10は、キャスターが取り付けられた架台19に設置され、キャスターによって自由に移動させることができる。
なお、四端子抵抗測定装置10には、図示はしていないが、装置10を制御するコントローラ(制御装置)が接続(装置10がコントローラを内蔵する場合を含む)されている。四端子抵抗測定装置10は、測定試料20を冷却または加熱することで、試料20の温度を設定温度に保持しつつ、真空チャンバー11の真空状態を設定真空度に保持した状態で四端針法(四端子法)による試料20の単位体積当たりの抵抗値(体積抵抗率[Ω・cm])を測定する。試料20には、電気伝導率(電気抵抗率)を有する導体や半導体であれば特に限定はなく、その厚み寸法も特に限定はない。
真空チャンバー11は、上下方向へ延びる円筒状に成型され、円形の頂底壁21,22とそれら壁21,22の間に延びる周壁23とを有する。真空チャンバー11には、所定容積の内部空間24が画成されている。測定試料20の抵抗値の測定時では、チャンバー11の内部空間24が真空排気機構15によって真空に保持される。チャンバー11の頂壁21は、周縁部25と中央部26とを有する。周縁部25は、ステンレスから作られ(アルミニウムやジュラルミンから作られていてもよい)、中央部26は、透明遮蔽ガラスから作られている。
頂壁21の周縁部25は、その周り方向へ並ぶ複数個のボルトによって周壁23の頂部に気密に固定されている。ボルトを取り外すことで、頂壁21を周壁23から分離することができる。底壁22は、ステンレスから作られている(アルミニウムやジュラルミンから作られていてもよい)。底壁22は、その周縁部が周り方向へ並ぶ複数個のボルトによって周壁23の頂部に気密に固定されている。ボルトを取り外すことで、底壁22を周壁23から分離することができる。周壁23は、ステンレスから作られている(アルミニウムやジュラルミンから作られていてもよい)。
真空チャンバー11の周壁23には、前後方向へ延びるジョイントパイプ27が作られ、周り方向へ並ぶX−Y−Zステージ接続ポート28および密閉蓋29によって気密に閉鎖された予備接続ポート30が作られている。X−Y−Zステージ接続ポート28には、チャンバー11の周壁23の周り方向へ並ぶ4つのX−Y−Zステージ31が気密に取り付けられている。X−Y−Zステージ31には、四端子測定用プローブ18a〜18d(プローブ18a〜18dの後記するシャフト56)が着脱可能に取り付けられている。X−Y−Zステージ31は、四端子測定用プローブ18a〜18d(プローブ18a〜18dの後記する探針53)をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向へ移動させる。X−Y−Zステージ31を利用することで、探針53を3次元に動作させて探針53の測定試料20に対する当接位置を調整することができる。
真空チャンバー11には、図示はしていないが、真空計(圧力センサ)が設置されている。真空計は、インターフェイスを介してコントローラに接続されている。真空計は、真空チャンバー11の内部空間24の真空圧力を測定し、測定した真空圧力をコントローラに出力する。コントローラは、真空計から出力された真空圧力に基づいて内部空間24の真空度を計測する。
コントローラは、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(メインメモリおよびキャッシュメモリ)とを有するコンピュータであり、大容量ハードディスクを内蔵している。コントローラには、テンキーユニットやキーボード、マルチタッチパネル、ディスプレイ、プリンタ等の入出力装置がインターフェイスを介して接続されている。コントローラの中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリからアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、四端子抵抗測定装置10の各種制御を実施する。
真空容器12は、ステンレスから作られている(アルミニウムやジュラルミンから作られていてもよい)。真空容器12は、上下方向へ長い円筒状に成型されている。真空容器12には、所定容積の内部空間32が画成されている。真空容器12の上部には、ヘリウム冷凍機構16が着脱可能に設置されている。真空容器12の中央部には、前後方向へ延びるジョイントパイプ33が作られている。真空容器12の下部には、上下方向へ延びる第1排気パイプ34が作られている。
真空容器12(ヘリウム冷凍機構16)は、ジョイントパイプ33を介して真空チャンバー11に連結されている。真空チャンバー11に作られたジョイントパイプ27と真空容器12に作られたジョイントパイプ33とは、それらジョイントパイプ27,33の径方向へ延びるフランジどうしが当接し、それらフランジがボルトによって固定されることで、互いに気密に接続される。
測定ステージ13は、前後方向へ直状に延びる板状部材であり、真空チャンバー11の内部空間27からジョイントパイプ27,33を通り、真空容器12の内部空間32に達している。測定ステージ13は、高い熱伝導性(熱伝導率)を有する銅から作られている。測定ステージ13は、測定試料20を着脱可能に設置する所定厚みの試料設置プレート35と、真空容器12の内部空間32(ヘリウム冷凍機構16の側)に位置する所定厚みの当接プレート37と、試料設置プレート35および当接プレート37の間に延びる所定厚みの中間プレート36とから形成されている。
試料設置プレート35は、図5に示すように、その平面形状が円形に成型され、真空チャンバー11の内部空間24に位置している。試料設置プレート35には、その温度を測定する温度センサ(図示せず)が設置されている。温度センサは、インターフェイスを介してコントローラに接続され、測定したプレート35の温度をコントローラに出力する。中間プレート36は、ジョイントパイプ27,33内に位置している。
シールドカバー14は、前後方向へ直状に延びる板状部材であり、真空チャンバー11の内部空間24からジョイントパイプ27,33を通り、真空容器12の内部空間32に達している。シールドカバー14(後記する固定座42を含む)は、高い熱伝導性(熱伝導率)を有する銅から作られている。シールドカバー14は、測定ステージ13の試料設置プレート35の外側に位置してプレート35を取り囲む前端部38と、当接プレート37の外側に位置してプレート37全体を取り囲む(全体を包被する)後端部40と、中間プレート36の外側に位置してプレート36全体を取り囲む(全体を包被する)中間部39とを有する。
シールドカバー14の前端部38は、真空チャンバー11の内部空間24に位置している。前端部38は、円環状に成型された部分と円盤状に成形された固定座42とから形成され、円環状に成型された部分が試料設置プレート35の周縁部41近傍に位置しつつ部分が周縁部41の周囲全体を取り囲んでいる。なお、前端部38の円環状に成型された部分は、試料設置プレート35の周縁部41に当接せず、非接触である。円環状に成型された部分と固定座42とは、それらの周り方向へ並ぶ複数個のビスによって密着固定されている。中間部39は、ジョイントパイプ27,33の内側に位置し、後端部40は、真空容器12の内部空間32(冷凍機構16の側)に位置している。後端部40は、中間部39から前後方向へ延びた後、冷凍機構16に向かって上方へ延びている。後端部40の冷凍機構16に向かって上方へ延びる部分は、円筒状に成型されている。
真空排気機構15(真空排気装置)は、真空容器12の下方に位置し、真空容器の第1排気パイプ34に気密に連結されることで、真空チャンバー11に気密に連結(連通)されている。真空排気機構15は、真空チャンバー11や真空容器12の内部空間24,32の空気を排気してそれら空間24,32を真空に減圧する。真空排気機構15は、排気パイプ34の直下に設置されたターボ分子ポンプ43(主真空ポンプ)と、ターボ分子ポンプ43の下流側に配置された粗引きポンプ44(補助真空ポンプ)とから形成されている。ターボ分子ポンプ43は、第1排気パイプ34を介して真空容器12に連結(連通)されている。ターボ分子ポンプ43は、タービン翼を有するロータを高速で回転させることで、気体分子を圧縮して排気する。ターボ分子ポンプ43は、真空チャンバー11や真空容器12の内部空間24,32の真空引きに使用される。
粗引きポンプ44は、第2排気パイプ45を介してターボ分子ポンプ43に連結(連通)されている。粗引きポンプ44は、ターボ分子ポンプ43が大気圧まで圧縮できない点をカバーし、第2排気パイプ45の排気圧を所定圧に保持する。粗引きポンプ44には、ロータリーポンプ、高真空ダイヤフラムポンプ、ドライ真空ポンプ等を使用することができる。ターボ分子ポンプ43や粗引きポンプ44の出力がコントローラによって調節される場合は、それらポンプ43,44の制御器がインターフェイスを介してコントローラに接続される。それらポンプ43,44がコントローラによって調節されない場合は、それらポンプ43,44の制御器がポンプ制御装置に接続される。
ヘリウム冷凍機構16(冷凍装置)は、ヘリウム冷凍システムを採用することで、試料20(冷凍対象物)を極低温に冷凍する。ヘリウム冷凍機構16は、ヘリウム冷凍機46と、冷凍機46から下方へ延びる往管49と、往管49の下方延出端部に設置された第1冷却ステージ48と、第1冷却ステージ48につながって往管49からUターンして上方へ延びる還管49と、還管49の略中央部に設置された第2冷却ステージ50とを有する。
ヘリウム冷凍機46は、図示はしていないが、ヘリウム圧縮機、膨張タービン、熱交換器、ジュールトムソン弁から形成されている。ヘリウム冷凍機46は、真空容器12の頂部に着脱可能に取り付けられている。ヘリウム冷凍機46には、ヘリウムガス(冷媒)を外部から導入し、そのヘリウムガスを圧縮下に貯蔵したヘリウムガス中継ボックス51が連結されている。ヘリウム冷凍機46は、その制御器がインターフェイスを介してコントローラに接続されている。
往管47および還管49は、ステンレスから作られている(アルミニウムやジュラルミンから作られていてもよい)。第1冷却ステージ48および第2冷却ステージ50は、高い熱伝導性(熱伝導率)を有する銅から作られ作られている。往管47や還管49、第1冷却ステージ48、第2冷却ステージ50は、真空容器12の内部空間32に収容されている。
往管47は、ヘリウム冷凍機46から送出されたヘリウムガスを下方(一方向)へ向かって流動(流出)させる。還管49は、往管47を流動したヘリウムガスをヘリウム冷凍機46に向かって流動(流入)させ、ヘリウムガスを冷凍機46に戻す。ヘリウムガスは、ヘリウムガス中継ボックス51からヘリウム冷凍機46に供給された後、ヘリウム冷凍機46→往管47→第1冷却ステージ48→還管49(第2冷却ステージ50)→冷凍機46の順で循環する。
往管47には、流量計が設置されている。流量計は、インターフェイスを介してコントローラに接続されている。流量計は、往管47を流動するヘリウムガスの流量を測定し、測定した流量をコントローラに出力する。コントローラは、流量計から出力された流量に基づいて往管47を流動するヘリウムガスの流量を計測する。第1冷却ステージ48は、円柱状に成型され、所定面積の下面を有する。第1冷却ステージ48の下面の全域には、測定ステージ13の当接プレート37の上面全域が当接(密着)している。第1冷却ステージ48は、その内部にヘリウムガスが流動することで、極低温に冷却される。
ヘリウムガスによって冷却された第1冷却ステージ48は、その冷熱を当接プレート37(測定ステージ13)に伝える。第1冷却ステージ48から当接プレート37に伝わった冷熱は、当接プレート37から中間プレート36に伝わり、中間プレート36から試料設置プレート35に伝わる。第1冷却ステージ48から伝わった冷熱によって測定ステージ13全体が極低温に冷却される。
第2冷却ステージ50は、円柱状に成型され、その下面にシールドカバー14の後端部40が接続されている。第2冷却ステージ50は、往管47の略中央部を取り囲んでいるが、往管47の外周面に当接せず、非接触である。第2冷却ステージ50は、その内部にヘリウムガスが流動することで、極低温に冷却される。ヘリウムガスによって冷却された第2冷却ステージ50は、その冷熱をシールドカバー14の後端部40に伝える。第2冷却ステージ50からシールドカバー14の後端部40に伝わった冷熱は、後端部40から中間部39に伝わり、中間部39から前端部38に伝わる。第2冷却ステージ50から伝わった冷熱によってシールドカバー13全体が極低温に冷却される。シールドカバー13の前端部38が試料設置プレート35の周縁部41近傍を取り囲んでいるから、前端部38の冷熱がプレート35の周縁部41近傍に伝わる。
第1冷却ステージ48から伝わった冷熱によって試料設置プレート35(測定ステージ13)が冷却されているが、プレート35の周縁部41から伝わる熱(真空チャンバー11の内部空間24の温度)によってプレート35の温度が上昇すると、プレート35の温度を略一定の低温または極低温に保持することができない場合がある。しかし、シールドカバー14の前端部38が試料設置プレート35の周縁部41近傍を取り囲み、前端部38の冷熱がプレート35の周縁部41近傍に伝わるから、周縁部41近傍が前端部38によって冷却されてプレート35の周縁部41の温度上昇が防止され、プレート35の温度が略一定の低温または極低温に保持される。
ヒーター17(加熱装置)は、試料設置プレート35の中央部の下面に設置され、プレート35を加熱する。ヒーター17は、インターフェイスを介してコントローラに接続されている。ヒーター17は、試料設置プレート35の温度を所定の高温に上昇させるのみならず、プレート35の温度を調節するために使用される。コントローラは、たとえば、ヘリウム冷凍機構16が起動し、冷凍機46からの冷熱が試料設置プレート35に伝わっている場合、ヒーター17を停止させたまま、または、ヒーター17を稼働させることでプレート35を加熱し、プレート35の温度をマイナス側(0℃以下)に調節する。
また、コントローラは、ヘリウム冷凍機構16が停止し、冷凍機46からの冷熱が試料設置プレート35に伝わっていない場合、ヒーター17を稼働させることで、試料設置プレートを加熱し、プレートの温度をプラス側(0℃以上)に調節する。四端子抵抗測定装置10は、マイナス側に273.15〜6ケルビンの範囲で変更することができ、マイナス側の設定温度に保持することができる。また、プラス側に273.15〜473.15ケルビン(0〜200℃)の範囲で変更することができ、プラス側の設定温度に保持することができる。
図9は、測定ステージ13の斜視図であり、四端子測定用プローブ18a〜18dの探針が測定試料20の上面に当接した状態を示す。図10は、四端子測定用プローブ18a〜18dの斜視図であり、図11は、四端子測定用プローブ18a〜18dの上面図である。図12は、四端子測定用プローブ18a〜18dの側面図であり、図13は、プローブガイド54および熱伝達フレキシブルワイヤー57の拡大側面図である。図14は、プローブガイド54に対する熱伝達フレキシブルワイヤー57の取り付け手順を示す図であり、図15は、測定試料20を試料設置プレート35の試料設置箇所に設置する手順を示す図であり、四端子測定用プローブ18a〜18dの図示を省略している。
四端子抵抗測定装置10には、4つの四端子測定用プローブ18a〜18dが設置されている。四端子測定用プローブ18a〜18dは、それらのうちの2つが測定試料20に所定の電流を流す電流通電用(所定の電圧を印可する電圧印可用)のプローブ18a、18dであり、他の2つが試料20の電圧を測定する電圧測定用のプローブ18b,18cである。それら四端子測定用プローブ18a〜18dは、インターフェイスを介してコントローラに接続されている。それら四端子測定用プローブ18a〜18dは、探針53およびプローブガイド54と、板バネ55およびシャフト56と、熱伝達フレキシブルワイヤー57とから形成されている。
探針53は、プローブガイド54から延びていて測定試料20に向かって(後端から先端に向かって)下方へ屈曲する導電性金属針であり、高い熱伝導性(熱伝導率)および高い電気伝導性(電気伝導率)を有する銅から作られている(銀やアルミニウムから作られていてもよい)。探針53は、測定試料20の上面に当接する先端58と、プローブガイド54に支持された後端59とを有する。
プローブガイド54は、四角柱状の六面体であり、高い熱伝導性(熱伝導率)および高い電気伝導性(電気伝導率)を有する銅から作られている(銀やアルミニウムから作られていてもよい)。プローブガイド54は、探針53の後端59に電気的に連結されている。プローブガイド54は、その一面60(側面)に当接する熱伝達絶縁プレート61と、熱伝達絶縁プレート61の上面62に重なる絶縁スペーサー63と、その後端部64から延出するガイドブロック65とを有する。プローブガイド54の一面60の中央部には、ビス66を螺着するビス螺子孔67が作られている。
熱伝達絶縁プレート61は、優れた熱伝導性(熱伝導率)と優れた絶縁性とを有するサファイヤから作られている。熱伝達絶縁プレート61は、図14に示すように、所定厚みを有する四角形の板状に成型され、その各面が面研磨されている。熱伝達絶縁プレート61の中央部には、ビス66を挿通または螺着するビス挿通孔68が作られている。ガイドブロック65は、合成樹脂から作られ、電線69を支持する半円状の受け座70が形成されている。
絶縁スペーサー63は、優れた熱伝導性(熱伝導率)と優れた絶縁性とを有する窒化アルミから作られている。絶縁スペーサー63は、四角形の止め座71と、止め座71から下方へ延びる円筒72とから形成されている。絶縁スペーサー63の止め座71および円筒72の中央部には、ビス66を挿通または螺着するビス挿通孔72が作られている。板バネ55は、合成樹脂から作られ、板状に成型されている。板バネ55は、その前端部がガイドブロック65(プローブガイド54の後端部64)にビスによって固定されている。シャフト56は、合成樹脂から作られ、貫通孔73を有する円筒状に成型されている。シャフト56の貫通孔73には、電線69が挿通される。電線69は、その裸線がプローブガイド54に電気的に接続されている。シャフト56は、その前端部が板バネ55の後端部にビスによって固定され、その後端部がX−Y−Zステージ31に連結されている。
熱伝達フレキシブルワイヤー57は、高い熱伝導性(熱伝導率)を有する弾性変形可能な銅撚り線から作られている(銀撚り線やアルミニウム撚り線から作られていてもよい)。ワイヤー57の先端部74および基端部75には、圧着端子76,77が取り付けられている。それら圧着端子76,77は、高い熱伝導性(熱伝導率)を有する銅から作られている(銀やアルミニウムから作られていてもよい)。
熱伝達フレキシブルワイヤー57の先端部74に取り付けられた圧着端子76の中央部には、絶縁スペーサー63の円筒72を挿通するスペーサー挿通孔78が作られている。ワイヤー57の基端部75に取り付けられた圧着端子77の中央部には、ビス79を挿通または螺着するビス挿通孔が作られている。ワイヤー57の基端部75は、圧着端子77のビス挿通孔にビス79が挿通または螺着され、そのビス79が固定座42に作られたビス螺着孔に螺着されることで、固定座42(シールドカバー14の前端部38)に圧着固定されている。なお、シールドカバー14の前端部38と圧着端子77(熱伝達フレキシブルワイヤー57)とが熱伝導可能に連結されている。
熱伝達フレキシブルワイヤー57の先端部74は、圧着端子76を介して四端子測定用プローブ18a〜18dのプローブガイド54に熱伝導可能かつ絶縁下に取り付けられている。その取り付け手順は、プローブガイド54の一面60(側面)に熱伝達絶縁プレート61(サファイヤ)の一方の一面80(下面)を重ね合わせ、プレート61の他方の一面62(上面)に圧着端子76の一面81(下面)を重ね合わせる。次に、圧着端子76のスペーサー挿通孔78に絶縁スペーサー63の円筒72を挿通し、ビス66の軸をスペーサー63および熱伝達絶縁プレート61のビス挿通孔68,72に挿通または螺着するとともに、そのビス66をプローブガイド54のビス螺着孔67に螺着する。
ビス66をプローブガイド54に螺着すると、圧着端子76の一面81(下面)が熱伝達絶縁プレート61の一面62(上面)に密着しつつ、圧着端子76のスペーサー挿通孔78の内周面82が絶縁スペーサー63の円筒72の外周面83に当接し、圧着端子76がプローブガイド54に対して絶縁された状態で、圧着端子76と熱伝達絶縁プレート61と絶縁スペーサー63とがビス66を介して互いに圧着固定される。圧着端子76がプローブガイド54およびビス66に非接触であり、圧着端子76(熱伝達フレキシブルワイヤー57)とプローブガイド54(探針53)とが非導通状態(絶縁状態)に連結されている。なお、圧着端子76(熱伝達フレキシブルワイヤー57)とプローブガイド54(探針53)とが熱伝導可能に連結されている。
第2冷却ステージ50から伝わる冷熱によって極低温に冷却されたシールドカバー14の前端部38(固定座42)の冷熱は、圧着端子77から熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わるとともにワイヤー57から圧着端子76に伝わった後、圧着端子76からプローブガイド54に伝わり、ガイド54から探針53に伝わる。プローブガイド54から伝わった冷熱によって探針53全体が極低温に冷却される。
熱伝達フレキシブルワイヤー57は、その直径が1〜1.5mmの範囲、その長さが5〜10cmの範囲にある。ワイヤー57の直径が1mm未満では、ワイヤー57の熱伝導効率が低下し、冷熱または温熱をワイヤー57の基端部75から先端部74に十分かつ円滑に伝えることができない。ワイヤー57の直径が1.5mmを超過すると、ワイヤー57の剛性が必要以上に増加し、ワイヤー57の自由度が失われ、四端子測定用プローブ18a〜18dの動きにあわせてワイヤー57が自由に動くことができず、探針53の測定試料20に対する当接位置を位置決めすることが困難になる。ワイヤー57の長さが10cmを超過すると、ワイヤー57の熱伝導時間が増加し、冷熱または温熱をワイヤー57の基端部75から先端部74に迅速に伝えることができない。
四端子測定用プローブ18a〜18dを使用した四端子抵抗測定装置10における測定試料10の電気抵抗(抵抗値)の測定手順の一例は、以下のとおりである。なお、コントローラのハードディスクには、真空チャンバー11(真空容器12を含む)の設定真空度、試料設置プレート35(測定ステージ13)の設定温度、四端子測定用プローブ18a,18dから試料20に流す電流の設定電流値、プローブ18a,18dから試料20に印加する電圧の設定電圧値、プローブ18a,18dから試料20に流す電流の設定通電時間が格納されている。設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間は、コントローラに接続された入力装置によって自由に変更することができる。
コントローラの中央処理部は、四端子抵抗測定装置10(各センサを含む)の停止(OFF)または起動(ON)や真空排気機構15の発停、ヘリウム冷凍機構16の発停、ヒーター17の発停を行い、真空チャンバー12の真空度を設定真空度に保持するとともに、試料設置プレート35(測定ステージ13)の温度を設定温度に保持する。
コントローラの中央処理部は、四端子測定用プローブ18a,18dの探針53から測定試料20に流す電流値を設定電流値に保持するとともに、プローブ18a,18dの探針53から試料20に印加する電圧値を設定電圧値に保持し、設定通電時間の間、プローブ18a,18dの探針53から試料20に電流を流す(電圧を印可する)。さらに、試料20に流した電流および測定した電圧から四端針法(四端子法)による試料29の単位体積当たりの抵抗値(体積抵抗率[Ω・cm])を算出する。
最初に測定試料20を試料設置プレート35(測定ステージ13)の試料設置箇所に設置する。ビスの螺着を解除して真空チャンバー12の頂壁21を周壁23から取り外し、試料設置プレート35を露出させた後、ビスの螺着を解除して試料押さえ金具52をプレート35から取り外し、プレート35の略中央の試料設置箇所に測定試料20を設置する(図15参照)。このとき、四端子測定用プローブ18a〜18dの探針53はX−Y−Zステージ31によって試料設置プレート35の設置箇所の径方向外側に移動している。また、真空排気機構15が停止しているとともに、冷凍機構16、ヒーター17が停止している。
プレート35の試料設置箇所に試料20を設置した後、ビスを螺着して試料押さえ金具52を試料設置箇所に固定し、押さえ金具52によって試料20の周縁部を固定する。押さえ金具52が試料20の周縁部を固定することで、試料20がプレート35の試料設置箇所に強固に固定される。押さえ金具52を設置箇所に固定した後、ビスを螺着して頂壁21を周壁23に気密に固定する。頂壁21を周壁23に固定した後、X−Y−Zステージ31を操作してそれら四端子測定用プローブ18a〜18dの探針53を試料20の当接箇所に当接させる(図9参照)。
測定試料20をプレート35の試料設置箇所に設置し、プローブ18a〜18dの探針53を試料20の当接箇所に当接させた後、コントローラのスイッチをONにして四端子抵抗測定装置10(四端子抵抗測定システム)を起動させる。装置10を起動させると、コントローラのディスプレイには、初期画面(図示せず)が表示される。初期画面には、設定真空度入力エリア、設定温度入力エリア、設定電流値入力エリア、設定電圧値入力エリア、設定通電時間入力エリア、試料名称入力エリア、試料番号入力エリア、測定者名入力エリアが表示されるとともに、設定確定ボタン、クリアボタン、キャンセルボタンが表示される。クリアボタンをクリックすると、各入力エリアに入力された事項が消去され、各入力エリアへの入力をやり直す。キャンセルボタンをクリックすると、装置10が起動することなく、コントローラがOFFになる。
測定者は、設定真空度入力エリアに真空度を入力し、設定温度入力エリアに温度を入力するとともに、設定電流値入力エリアに電流値を入力する。設定電圧値入力エリアに電圧値を入力し、設定通電時間入力エリアに通電時間を入力する。さらに、試料名称入力エリアに試料名を入力し、試料番号入力エリアに試料番号を入力するとともに、測定者名入力エリアに測定者名を入力する。それら各項目を入力した後、設定確定ボタンをクリックすると、コントローラは、測定試料20に対応するユニークな識別子を生成し、設定真空度、設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を試料20の識別子および確定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに、実行確認画面(図示せず)をディスプレイに表示する。
実行確認画面には、設定真空度を表示した設定真空度表示エリア、設定温度を表示した設定温度表示エリア、設定電流値を表示した設定電流値表示エリア、設定電圧値を表示した設定電圧値表示エリア、設定通電時間を表示した設定通電時間表示エリア、試料名称を表示した試料名称表示エリア、試料番号を表示した試料番号表示エリア、測定者名を表示した測定者名表示エリアが表示されるとともに、測定実行ボタン、設定変更ボタン、戻るボタン、キャンセルボタンが表示される。戻るボタンをクリックすると、初期画面がディスプレイに表示される。
なお、設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間がすでに入力(格納)されている場合、初期画面には、設定真空度を表示した設定真空度表示エリア、設定温度を表示した設定温度表示エリア、設定電流値を表示した設定電流値表示エリア、設定電圧値を表示した設定電圧値表示エリア、設定通電時間を表示した設定通電時間表示エリア、試料名称入力エリア、試料番号入力エリア、測定者名入力エリアが表示されるとともに、設定確定ボタン、設定変更ボタン、クリアボタン、キャンセルボタンが表示される。
設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を変更する場合、初期画面や実行確認画面の設定変更ボタンをクリックする。設定変更ボタンをクリックすると、設定変更画面(図示せず)がディスプレイに表示される。設定変更画面には、設定真空度を表示した設定真空度確認エリア、新たな設定真空度を入力する設定真空度入力エリア、設定温度を表示した設定温度確認エリア、新たな設定温度を入力する設定温度入力エリア、設定電流値を表示した設定電流値確認エリア、新たな設定電流値を入力する設定電流値入力エリア、設定電圧値を表示した設定電圧値確認エリア、新たな設定電圧値を入力する設定電圧値入力エリア、設定通電時間を表示した設定通電時間確認エリア、新たな設定通電時間を入力する設定通電時間入力エリア、試料名称を表示した試料名称確認エリア、試料番号を表示した番号確認エリア、測定者名を表示した測定者名確認エリアが表示されるとともに、変更確定ボタン、クリアボタン、戻るボタンが表示される。戻るボタンをクリックすると、初期画面または実行確認画面がディスプレイに表示される。
各項目のうちの少なくとも1つを変更する場合は、各入力エリアに変更後の設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を入力し、設定確定ボタンをクリックする。コントローラは、設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を変更後のそれらに更新し、それらを測定試料20の識別子および確定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに、実行確認画面をディスプレイに表示する。
設定真空度や設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名に変更がない場合、または、それらを変更した後、測定を実行する場合、実行確認画面の測定実行ボタンをクリックする。実行確認画面において測定実行ボタンをクリックすると、コントローラは、真空排気機構15(ターボ分子ポンプ43や粗引きポンプ44)を起動させる。真空排気機構15が起動すると、ターボ分子ポンプ43および粗引きポンプ33によって真空チャンバー11および真空容器12の内部空間24,32の空気が排気され、真空チャンバー11および真空容器12の内部空間24,32が次第に減圧される。コントローラは、真空計から出力された真空圧力に基づいて真空チャンバー11や真空容器12の内部空間24,32の真空度を計測し、真空度が設定真空度(たとえば、1×10−7〜1×10−13Paの超真空)に達した場合、その真空度を保持するように、それらポンプ43,44の出力を調節する。なお、四端子抵抗測定装置10では、真空チャンバー11および真空容器12の内部空間24,32の真空度を1×10−2〜1×10−13Paの範囲で調節することができる。
測定試料20の設定温度がたとえば10〜6ケルビンの極低温に設定されている場合、真空度が設定真空度に達した後、コントローラは、ヒーター17を停止させたまま、ヘリウム冷凍機構16を起動させる。冷凍機構16が起動すると、ヘリウムガス(冷媒)がヘリウムガス中継ボックス51からヘリウム冷凍機46に供給され、ヘリウムガスがヘリウム冷凍機46→往管47→第1冷却ステージ48→還管49(第2冷却ステージ50)→冷凍機46の順で循環する。コントローラは、流量計から出力された流量に基づいて往管47に流動するヘリウムガスの流量を計測し、冷凍機46から送出されるヘリウムガスの流量を略一定に保持する。
往管47を流動したヘリウムガスは往管47から第1冷却ステージ48に流入し、第1冷却ステージ48がその内部に流動するヘリウムガスによって極低温に冷却される。第1冷却ステージ48を流動したヘリウムガスは還管49に流入した後、還管49から第2冷却ステージ50に流入し、第2冷却ステージ50がその内部に流動するヘリウムガスによって極低温に冷却される。
極低温に冷却された第1冷却ステージ48に当接(密着)する測定ステージ13の当接プレート37に第1冷却ステージ48の冷熱が伝わり、当接プレート37が極低温に冷却される。冷熱が当接プレート37から中間プレート36に伝わるとともに中間プレート36から試料設置プレート35に伝わることで、測定ステージ13全体が極低温に冷却される。さらに、冷熱が試料設置プレート35に固定された測定試料20に伝わり、試料20が極低温に冷却される。
極低温に冷却された第2冷却ステージ50に接続されたシールドカバー14の後端部40に第2冷却ステージ50の冷熱が伝わり、シールドカバー14の後端部40が極低温に冷却される。冷熱が後端部40から中間部39に伝わるとともに中間部39から前端部38に伝わることで、シールドカバー14全体が極低温に冷却される。さらに、冷熱がシールドカバー14の前端部38から試料設置プレート13の周縁部41近傍に伝わる。試料設置プレート13の周縁部41から伝わる熱によって極低温に冷却されたプレート13の温度が上昇する場合があるが、プレート13の周縁部41近傍がシールドカバー14の前端部38によって冷却されるから、プレート13の温度上昇が防止され、プレート13の温度が略一定の極低温に保持されるとともに、試料20の温度が略一定の極低温に保持される。
極低温に冷却された固定座42(シールドカバー14の前端部38)に接続された圧着端子76に固定座42の冷熱が伝わるとともに圧着端子77から熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わった後、冷熱がワイヤー57から圧着端子76に伝わる。さらに、冷熱が圧着端子76からプローブガイド54に伝わり、ガイド54から探針53に伝わることで、探針53全体が極低温に冷却される。測定試料20に当接する探針53の先端58が常温の場合、その温度によって極低温に冷却された試料20の温度が上昇する場合があるが、探針53の先端58が熱伝達フレキシブルワイヤー57から伝わった冷熱によって極低温に冷却されるから、試料20の温度上昇が防止され、試料20の温度が略一定の極低温に保持される。コントローラは、温度センサから出力された温度が設定温度に達した場合、その温度を保持するように、ヘリウムガスの流量を保持する。
真空チャンバー11の真空度が設定真空度(たとえば、1×10−2〜1×10−13Paの真空または超真空)に達し、測定試料20の温度が設定温度(10〜6ケルビン)に達した場合、コントローラは、四端子測定用プローブ18a,18dの探針53から測定試料20に設定電流値の電流を設定通電時間の間通電し、設定電圧値の電圧を設定通電時間の間印可するとともに、プローブ18b,18cによって試料20の電圧を測定する。コントローラは、測定試料20に流した電流および測定した電圧から四端針法(四端子法)による試料20の単位体積当たりの抵抗値(体積抵抗率[Ω・cm])を算出する。コントローラは、算出した抵抗値を測定試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに、抵抗値算出時の設定真空度、設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納する。
コントローラは、抵抗値を算出した後、測定結果画面(図示せず)をディスプレイに表示する。測定結果画面には、測定日時を表示した日時表示エリア、測定試料の名称を表示した試料名称表示エリア、試料の番号を表示した試料番号表示エリア、測定者名を表示した測定者名表示エリア、算出した抵抗値を表示した抵抗値表示エリア、設定真空度を表示した設定真空度表示エリア、設定温度を表示した設定温度表示エリア、設定電流値を表示した設定電流値表示エリア、設定電圧値を表示した設定電圧値表示エリア、設定通電時間を表示した設定通電時間表示エリアが表示されるとともに、測定継続ボタン、測定終了ボタン、プリントボタンが表示される。プリントボタンをクリックすると、測定結果画面に表示された各項目がプリンタによってプリントされる。
測定継続ボタンをクリックすると、コントローラは、初期画面をディスプレイに表示する。測定の継続によって試料20の抵抗値を既述の手順で再度測定することができる。他の種類の測定試料20の抵抗値を測定する場合、または、測定を終了する場合、測定終了ボタンをクリックする。測定終了ボタンをクリックすると、コントローラは、終了確認ボタン、測定継続ボタン、戻るボタンをディスプレイに表示する。戻るボタンをクリックすると、測定結果画面がディスプレイに表示される。
終了確認ボタンをクリックすると、コントローラは、ヘリウム冷凍機構16を停止させるとともに、真空排気機構15を停止させる。コントローラは、それら機構15,16が停止し、測定ステージ13が常温になり、真空チャンバー11の内部空間24が大気圧に戻った場合、試料設置OKメッセージ、ONスイッチ、OFFスイッチをディスプレイに表示する。測定者は、新たな測定試料20の抵抗値を測定する場合、試料設置プレート35の試料設置箇所から測定済みの試料20を取り外し、新たな試料20を試料設置箇所に設置した後、ONスイッチをクリックする。ONスイッチをクリックすると、ディスプレイに初期画面が表示され、既述の手順で新たな試料20の抵抗値を測定する。OFFボタンをクリックすると、装置10が停止し、コントローラがOFFになる。
四端子抵抗測定装置10(四端子抵抗測定システム)は、第2冷却ステージ50の冷熱がシールドカバー14を介して熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わり、プローブガイド54に伝わったワイヤー57の冷熱によってプローブガイド54とともに探針53の温度を極低温に低下させることができるから、探針53の温度をシールドカバー14のそれと略同一の極低温に低下させることができる。四端子抵抗測定装置10は、測定ステージ13に据え付けられた測定試料20にプローブ18a〜18dの探針53が当接したとしても、探針53の熱によって極低温に冷却された試料20の温度が上昇することはなく、試料20の温度を所定の極低温に保持した状態で、その試料20の抵抗値を測定することができ、極低温における信頼性の高い抵抗値を測定することができる。
四端子抵抗測定装置10は、熱伝達絶縁プレート61(サファイヤ)と絶縁スペーサー63(窒化アルミ)との介在下にワイヤー57の先端部74に取り付けられた圧着端子76がプローブガイド54に固定されているから、四端子測定用プローブ18a〜18dとワイヤー57とを確実に絶縁することができる。四端子抵抗測定装置10は、ワイヤー57がプローブガイド54に電気的に接続されることはなく、電流がワイヤー57を通じてグラウンドに落ちることはないから、探針53から測定試料20に確実に電流を流すことができ、試料20の極低温における正確な抵抗値を測定することができる。
測定試料20の設定温度がたとえば−20〜−100℃の低温に設定されている場合、真空度が設定真空度に達した後、コントローラは、ヘリウム冷凍機構16を起動させるとともに、ヒーター17を起動させる。冷凍機構16が起動すると、ヘリウムガス(冷媒)がヘリウムガス中継ボックス51からヘリウム冷凍機46に供給され、ヘリウムガスがヘリウム冷凍機46→往管47→第1冷却ステージ48→還管49(第2冷却ステージ50)→冷凍機46の順で循環する。コントローラは、流量計から出力された流量に基づいて往管を流動するヘリウムガスの流量を計測し、冷凍機46から送出されるヘリウムガスの流量を略一定に保持する。ヒーター17が起動すると、ヒーター17の高温が試料設置プレート35に伝わってプレート36が加熱されるとともに、プレート36の温熱がプレート36近傍からシールドカバー14の前端部38(固定座42)に伝わって前端部38(固定座42)の温度が上昇する。
測定試料20の設定温度が極低温に設定された場合と同様に、冷熱によって試料20が冷却されるが、ヒーター17が起動することで、試料設置プレート35が加熱されるとともにシールドカバー14の前端部38(固定座42)の温度が上昇する。冷凍機構16による冷却とヒーター17による加熱とによってシールドカバー38の前端部38が所定の低温になると、その冷熱が前端部38(固定座42)から圧着端子77に伝わるとともに圧着端子77から熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わった後、ワイヤー57から圧着端子76に伝わる。さらに、冷熱が圧着端子76からプローブガイド54に伝わり、ガイド54から探針53に伝わることで、探針53全体が低温に冷却される。
なお、試料設置プレート35の周縁部42から伝わる熱によって低温に冷却されたプレート35の温度が上昇する場合があるが、プレート35の周縁部42近傍がシールドカバー14の前端部38によって冷却されるから、プレート35の周縁部42の温度上昇が防止され、プレート35の温度が略一定の低温に保持されるとともに、試料20の温度が略一定の低温に保持される。また、測定試料20に当接する探針35が常温の場合、その温度によって低温に冷却された試料20の温度が上昇する場合があるが、探針35の先端58が熱伝達フレキシブルワイヤー57から伝わった冷熱によって冷却されるから、試料20の温度上昇が防止され、試料20の温度が略一定の低温に保持される。コントローラは、温度センサから出力された温度が設定温度に達した場合、その温度を保持するように、ヘリウムガスの流量を保持するとともに、ヒーター17の出力を調節する。
真空チャンバー11の真空度が設定真空度(1×10−2〜1×10−13Paの真空または超真空)に達し、測定試料20の温度が設定温度(−20〜−100℃)に達した場合、コントローラは、四端子測定用プローブ18a,18dの探針53から試料20に設定電流値の電流を設定通電時間の間通電し、設定電圧値の電圧を設定通電時間の間印可するとともに、プローブ18b,18cによって試料20の電圧を測定する。コントローラは、測定試料20に流した電流および測定した電圧から四端針法(四端子法)による試料20の単位体積当たりの抵抗値(体積抵抗率[Ω・cm])を算出する。コントローラは、算出した抵抗値を測定試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに、抵抗値算出時の設定真空度、設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納する。なお、設定温度が低温に設定された場合の測定試料20の測定手順は、設定温度が極低温に設定された場合の試料20のそれと同一である。
四端子抵抗測定装置10(四端子抵抗測定システム)は、冷凍機構16による冷却とヒーター17による加熱とによってシールドカバー14の前端部38(固定座42)が低温になり、その低温時の冷熱がシールドカバー14を介して熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わり、プローブガイド54に伝わったワイヤー57の冷熱によってガイド54とともに探針53の温度を低温に低下させることができるから、探針53の温度をシールドカバー14のそれと略同一の低温に低下させることができる。四端子抵抗測定装置10は、測定ステージ13に据え付けられた測定試料20にプローブ18a〜18dの探針53が当接したとしても、探針53の熱によって低温に冷却された試料20の温度が上昇することはなく、試料20の温度を所定の低温に保持した状態で、その試料20の抵抗値を測定することができ、低温における信頼性の高い抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置10は、ワイヤー57がプローブガイド54に電気的に接続されることはなく、電流がワイヤー57を通じてグラウンドに落ちることはないから、探針53から測定試料20に確実に電流を流すことができ、試料20の低温における正確な抵抗値を測定することができる。
測定試料20の設定温度がたとえば100〜200℃の高温に設定されている場合、真空度が設定真空度に達した後、コントローラは、ヘリウム冷凍機構16を停止させたまま、ヒーター17を起動させる。ヒーター17が起動すると、ヒーター17の高温が試料設置プレート35に伝わってプレート35が加熱されるとともに、プレート35の周縁部42近傍からシールドカバー14の前端部38(固定座42)に伝わって前端部38(固定座42)の温度が上昇する。ヒーター17による加熱によってシールドカバー14の前端部38の温度が上昇すると、その温熱が前端部38(固定座42)から圧着端子77に伝わるとともに圧着端子77から熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わった後、ワイヤー57から圧着端子76に伝わる。さらに、温熱が圧着端子76からプローブガイド54に伝わり、ガイド54から探針53に伝わることで、探針53全体の温度が上昇する。
測定試料20に当接する探針53が常温の場合、その温度によって高温に加熱された試料20の温度が下降する場合があるが、探針53の先端58の温度が熱伝達フレキシブルワイヤー57から伝わった温熱によって上昇するから、試料20の温度下降が防止され、試料20の温度が略一定の高温に保持される。コントローラは、温度センサから出力された温度が設定温度に達した場合、その温度を保持するように、ヒーター17の出力を調節する。
真空チャンバー11の真空度が設定真空度(1×10−21×10−13Paの真空または超真空)に達し、測定試料20の温度が設定温度(100〜200℃)に達した場合、コントローラは、四端子測定用プローブ18a,18dの探針53から測定試料20に設定電流値の電流を設定通電時間の間通電し、設定電圧値の電圧を設定通電時間の間印可するとともに、プローブ18b,18cによって試料20の電圧を測定する。コントローラは、測定試料20に流した電流および測定した電圧から四端針法(四端子法)による試料20の単位体積当たりの抵抗値(体積抵抗率[Ω・cm])を算出する。コントローラは、算出した抵抗値を測定試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに、抵抗値算出時の設定真空度、設定温度、設定電流値、設定電圧値、設定通電時間、試料名称、試料番号、測定者名を試料20の識別子および測定日時に関連付けた状態でハードディスクに格納する。なお、設定温度が高温に設定された場合の測定試料20の測定手順は、設定温度が極低温に設定された場合の試料20のそれと同一である。
四端子抵抗測定装置10(四端子抵抗測定システム)は、ヒーター17による加熱によってシールドカバー14の前端部38(固定座42)の温度が上昇し、その温熱がシールドカバー14を介して熱伝達フレキシブルワイヤー57に伝わり、プローブガイド54に伝わったワイヤー57の温熱によってガイド54とともに探針53の温度を上昇させることができる。四端子抵抗測定装置10は、測定ステージ13に据え付けられた測定試料20にプローブ18a〜18dの探針53が当接したとしても、探針53の熱によって高温に加熱された試料20の温度が下降することはなく、試料20の温度を所定の高温に保持した状態で、その試料20の抵抗値を測定することができ、高温における信頼性の高い抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置10は、ワイヤー57がプローブガイド54に電気的に接続されることはなく、電流がワイヤー57を通じてグラウンドに落ちることはないから、探針53から測定試料20に確実に電流を流すことができ、試料20の高温における正確な抵抗値を測定することができる。
四端子抵抗測定装置10(四端子抵抗測定システム)は、冷凍機構16およびヒーター17を利用することで、測定ステージ13やプローブ18a〜18dの探針53の温度を高温と低温(極低温)との間で変化させることができから、それによって測定試料20の温度を抵抗測定時における試料20の最適なそれにすることができ、試料20の温度を最適なそれに保持した状態で、試料20の抵抗値を測定することができる。四端子抵抗測定装置10は、測定ステージ13やプローブ18a〜18dの探針53の温度を変化させることで、各温度毎における試料20の抵抗値を測定することができるから、温度変化による試料20の抵抗値の変化を測定することができる。四端子抵抗測定装置10は、測定ステージ13の温度が高温と低温(極低温)との間で変化したとしても、探針53の温度も測定ステージ13のそれにあわせて高温と低温(極低温)との間で変化するから、探針53が試料20に当接した場合の試料20の温度変化を防ぐことができ、試料20の所定温度における正確な抵抗値を測定することができる。