JP2014167016A - 変性病変の診断のためのリガンドとしてのフコイダン - Google Patents

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Abstract

【課題】セレクチンの検出及び望ましくない及び/又は異常なセレクチン発現を特徴とする臨床症状の診断方法の提供。
【解決手段】血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチ等の臨床症状の診断に用いる、少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むセレクチン標的イメージング剤、及びこのイメージング剤を使用する方法及びキット。超音波検査、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)、蛍光分光法、コンピュータトモグラフィ、X線ラジオグラフィー又はこれらの任意の組み合わせにより検出可能であるイメージング剤。
【選択図】なし

Description

背景技術
心臓血管変性疾患だけでなく器官特異的変性疾患も含まれるヒト変性疾患の多くは、循環細胞/血管壁相互作用に関係している。セレクチンは、糖質部分に対して高い親和性を示す重要な細胞接着分子である。これらは、白血球/血小板及び白血球/内皮細胞の相互作用を介在することにより、循環細胞成分と血管壁の相互作用の初期段階で顕著で重要な役割を担っている。これまで、3種類のセレクチン:P−セレクチン、E−セレクチン及びL−セレクチンが発見されている。L−セレクチンは、ほとんど全ての循環白血球で構成的に発現される。E−セレクチンの発現は、サイトカイン及びエンドトキシンなどの様々なメディエーターによる活性化の結果、血管内皮細胞で誘導されうる。P−セレクチンは細胞質内の顆粒に含まれており、細胞がトロンビン又はヒスタミンに曝露された後、血小板又は内皮細胞表面へ急速に移行する。
P−、L−及びE−セレクチンは、構造的に類似の膜貫通タンパク質である。これらは全て、大きな高グリコシル化細胞外ドメイン、1回膜貫通ドメイン及び小さな細胞質尾部を有する。その細胞外アミノ末端において、これらは、単一のカルシウム依存性(又はC−型)レクチンドメイン(L)、それに続く上皮成長因子(EGF)様ドメイン(E)及び数種類の補体調節ドメイン(C)を有する。セレクチン介在性の細胞接着は、アミノ末端レクチンドメインと標的細胞表面上の多種多様な糖質提示分子とのカルシウム依存性相互作用から生じる。それぞれのセレクチンの親和性はリガンドに依存して変化するが、これらは、全て、シアリルルイスX(SLe)として知られる、シアル酸及びフコース残基を含有する特定の四糖類の糖質構造に結合する。
セレクチン介在性の結合事象は、正常な生理学的プロセスにおいて重要な役割を担っているが、セレクチンは、また、多くの病変に関与していることが知られている。このような病変には、アテローム血栓性疾患などの血小板活性化及びフィブリン形成を伴う臨床症状(E. Galkina et al., Curr. Drug Targets, 2007, 8: 1239-1248);敗血症、脳虚血症又は虚血再かん流などの急性の内皮細胞活性化を伴う臨床症状(C.R. Calvey et al., J. Invest. Surg., 2007, 20: 71-85);高血圧、脂質異常症、肥満(S. Nishimura et al., J. Clin. Invest., 2008, 118: 710-721)又は心臓血管系、肺若しくは脳の変性障害(M. Fisher, Rev. Neurol. Dis., 2008, 5 Suppl. 1: S4-S11; S.I. van Kasteren et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2009, 106: 18-23)などの慢性的な内皮細胞活性化を伴う臨床症状;及び三次リンパ組織新生若しくは自己免疫疾患などの慢性的な白血球の局在集積を伴う臨床症状が挙げられる。また、セレクチン相互作用は、特定の上皮癌転移に関与する接着機構を媒介することができる(I.P Witz, Immunol. Lett., 2006, 104: 89-93; 1; S. Gout et al., Clin. Exp. Metastasis, 2008, 25: 335-344; L. Borsig, Expert Rev. Anticancer Ther., 2008, 8: 1247-1255)。
セレクチンは、これらの病変のいくつかの診断における潜在的に有用なマーカーと考えられている。現在、主に磁気共鳴イメージング(MRI)(S. Bouty et al., Contrast Media Mol. Imaging, 2006, 1: 15-22)、シンチグラフィー(G. Hairi et al., Ann. Biomed. Eng., 2008, 36: 821-830)により、そして最近では超音波を用いて(F.S. Villanueva et al., Nat. Clin. Pract. Cardiovasc. Med., 2008, 5: S26-S32)、セレクチンをイメージングするために多くの労力が注がれている。これまでに開発されたセレクチンイメージング剤のほとんどは、抗セレクチン抗体(B.A. Kaufman et al., Eur. Heart J., 2007, 28: 2011-2017; G. Hairi et al., Ann. Biomed. Eng., 2008, 36: 821-830; K. Licha et al., J. Biomed. Opt., 2005, 10: 41205; and P. Hauff et al., Radiology, 2004, 231: 667-673)及びシアリルルイスXアナログ又は誘導体である(S. Bouty et al., Contrast Media Mol. Imaging, 2006, 1: 15-22; F.S. Villanueva et al., Circulation, 2007, 115: 345-352)。これらのイメージング剤は、炎症、神経変性障害、癌及び血栓症において、セレクチンのin vivo非侵襲的検出を可能にすることが示された。しかし、これらは、その工業的開発及び商業化を明らかに妨げるいくつかの欠点を有している。実際に、シアリルルイスXベースのイメージング剤及び抗体ベースのイメージング剤の調製及び精製は、複雑で高コストである。
従って、当技術分野において、心臓/神経血管病変、神経変性障害及び癌転移などの疾患の非侵襲的診断及び/又は予防スクリーニングを可能にする、循環細胞/血管壁相互作用をイメージング及び検出するための新規なアプローチ法が求められている。特に、製造することが容易であり、比較的安価なセレクチンイメージング剤が望ましい。
発明の概要
本発明は、セレクチンの検出及びセレクチンにより介在される望ましくない又は異常な相互作用を特徴とする疾患及び障害の診断のための改善されたシステム並びに戦略に関する。特に、本発明は、フコイダンが、セレクチンに対して高い親和性、特異性及び/又は選択性を示すことを出願人が認識することを包含する。さらに具体的には、本出願人は、P−セレクチンと数種の低分子量(LMW)多糖:フコイダン、ヘパリン及び硫酸デキストランとの相互作用を比較した。ヒト血小板の結合アッセイ、質量分析、表面プラズモン共鳴及びフローサイトメトリーにより、LMWフコイダンが、P−セレクチンの最も有効なリガンドであることが明らかとなった(実施例1参照)。また、フコイダンが水素結合によりフィブリン部分と低い特異的結合をすることを考慮する(K.H. Hsieh, Biochemistry, 1997, 36: 9381-9387)。出願人は、また、テクネチウム−99m(99mTc)で放射性標識したLMWフコイダンが、動物モデルでの心内膜炎疣贅、動脈瘤血栓及び心房内血栓(血小板−セレクチン曝露及びフィブリン形成を伴う病状)のin vivo検出を可能にしたことを示した(実施例2参照)。
従って、本発明は、セレクチンの検出及びイメージングのための、並びに、セレクチンの望ましくない又は異常な発現を特徴とする疾患及び障害の診断のためのフコイダンの使用を提供する。
さらに具体的には、一態様においては、本発明は、少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むイメージング剤を提供する。好ましくは、イメージング剤はセレクチン標的である。さらに好ましくは、イメージング剤の少なくとも一つのフコイダン部分が、P−セレクチン、L−セレクチン及びE−セレクチンからなる群から選択される少なくとも一つのヒトセレクチンと、約0.1nM〜約500nM、好ましくは、約0.5nM〜約10nM、さらに好ましくは、約1nM〜約5nMの解離定数で結合する。
特定の実施態様においては、検出可能な部分は、検出可能な部分と錯体形成する金属キレート部分を含む。
特定の実施態様においては、検出可能な部分は、プラナーシンチグラフィ(PS)又はシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)からなる群から選択される放射性核種である。特定の好ましい実施態様においては、検出可能な部分は、テクネチウム−99m(99mTc)である。
他の実施態様においては、検出可能な部分は、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、炭素−11(11C)、窒素−13(13N)、酸素−15(15O)及びフッ素−18(18F)からなる群から選択することができる。
他の実施態様においては、検出可能な部分は、造影超音波検査法(CEUS)により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、音響的に活性なマイクロバブル及び音響的に活性なリポソームからなる群から選択することができる。
さらに他の実施態様においては、検出可能な部分は、磁気共鳴イメージング(MRI)により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、ガドリニウムIII(Gd3+)、クロムIII(Cr3+)、ジスプロシウムIII(Dy3+)、鉄III(Fe3+)、ユウロピウム(Eu3+)、マンガンII(Mn2+)及びイッテルビウムIII(Yb3+)からなる群から選択することができる。特定の好ましい実施態様においては、検出可能な部分は、ガドリニウムIII(Gd3+)である。あるいは、検出可能な部分は、極小超常磁性酸化鉄粒子(USPIO)であることができる。
さらに他の実施態様においては、検出可能な部分は、蛍光分光法により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、ユウロピウム(Eu3+)、量子ドット、テキサスレッド、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、ローダミン、カルボキシシアニン、Cy−3、Cy−5、Cy5.5、Cy7、DY−630、DY−635、DY−680、Atto565染料、メロシアニン、スチリル染料、オキソノール染料、BODIPY染料及びこれらの分子のアナログ、誘導体又は組み合わせからなる群から選択することができる。特に、特定の実施態様においては、検出可能な部分は、時間分解蛍光測定法により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、ユウロピウム(Eu3+)であることができる。
本発明の特定の実施態様においては、イメージング剤は、二つ以上の画像技術により検出可能であり、従って、マルチモーダルイメージングで使用することができる。例えば、イメージング剤は、超音波検査、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)、蛍光分光法、コンピュータトモグラフィ及びX線ラジオグラフィーからなる群から選択される、任意の適切な画像技術の組み合わせにより検出可能でありうる。特定の実施態様においては、このようなイメージング剤は、二つ以上の画像技術により検出可能な少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。他の実施態様においては、このようなイメージング剤は、第一の検出可能な部分及び第二の検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含み、ここで、第一の検出可能な部分は、第一の検出可能な部分により検出可能であり、第二の検出可能な部分は、第二の検出可能な部分により検出可能である。
特定の実施態様においては、フコイダン部分は、約2000〜約8000Daの平均分子量を有する。他の実施態様においては、フコイダン部分は、約20,000〜約70,000Daの平均分子量を有する。さらに他の実施態様においては、フコイダン部分は、約100,000〜約500,000Daの平均分子量を有する。
別の態様においては、本発明は、有効量の本発明の少なくとも1つのイメージング剤又は生理学的に許容しうるその塩及び少なくとも一つの薬学的に許容されうる担体を含む医薬組成物を提供する。
関連する態様においては、本発明は、セレクチンの検出及び/又はイメージングのための組成物の製造のための、本発明に記載のイメージング剤の使用を提供する。本発明は、また、セレクチンが関与する臨床症状の診断のための組成物の製造のための、本発明のイメージング剤の使用を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、患者におけるセレクチンが関与する臨床症状を診断するための方法を提供し、前記方法は、有効量のイメージング剤又はその医薬組成物を患者に投与する工程;及び、画像技術を用いて、イメージング剤に結合する任意のセレクチンを検出する工程を含む。
関連する態様においては、本発明は、セレクチンが関与する臨床症状のin vivo診断方法で使用するための本明細書に開示のイメージング剤を提供する。
本発明のイメージング剤及び/又は方法を使用して診断することができる臨床症状の例は、血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチからなる群のメンバーである。
さらに別の態様においては、本発明は、生体系における異常セレクチンの存在を検出するための方法を提供し、前記方法は、生体系を、有効量のイメージング剤又はその医薬組成物と接触させる工程;及び、画像技術を用いて、イメージング剤に結合する任意のセレクチンを検出する工程を含む。生物試料は、細胞、体液又は生物組織であることができる。
関連する態様においては、本発明は、セレクチンが関与する臨床症状のin vivo診断方法で使用するための本明細書に開示のイメージング剤を提供する。
特定の実施態様においては、生物試料は、セレクチンが関与する臨床症状を有する疑いがある患者由来のものであり、前記方法は、前記臨床症状を診断するために用いられる。
他の実施態様においては、生物試料は、セレクチンが関与する臨床症状のための処置を受けた患者由来のものであり、前記方法は、前記処置に対する患者の反応をモニタリングするために用いられる。
なおさらに別の態様においては、本発明は、患者におけるセレクチンが関与する臨床症状の診断のための、又は生物組織における異常セレクチンの検出のためのキットを提供し、前記キットは、フコイダン部分、検出可能な部分及び本明細書に記載のセレクチン標的イメージング剤を調製するための説明書を含む。
特定の実施態様においては、検出可能な部分は、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)からなる群から選択される寿命の短い放射性核種である。
キットは、セレクチン標的イメージング剤を用いて、臨床症状を診断するための説明書をさらに含むことができる。
本発明のこれらの及び他の目的、利点及び特徴は、以下の好ましい実施態様の詳細な記載を読むことにより当業者には明らかとなるであろう。
図1は、硫酸化多糖によるSLe/P−セレクチン結合の阻害を示すグラフである。マイクロタイタープレートに固定化されたP−セレクチンとのSLeポリアクリルアミド−ビオチンの結合は、実施例1に記載のようにして、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体形成により定量され、ペルオキシダーゼ反応は、濃度を増加させた硫酸デキストラン(▲)、ヘパリン(■)及びフコイダン(●)の存在下、405nmにおいて記録した。代表的な実験結果を示す[平均±標準偏差(n≧3)]。 図2は、固定化IgG又はP−セレクチンにおける硫酸化多糖の会合及び解離プロファイルを示す代表的なセンサーグラムのセットである。フコイダン(A)、ヘパリン(B)及び硫酸デキストラン(C)を、ヤギ抗ヒトFcIgG(灰色で記載、非特異的コントロール)+P−セレクチン/Fcキメラ(黒色で記載)を固定化したSPR CM5センサーチップ上に注入した。動態試験を、流速30μL/分で実施した。レゾナンスユニット(RU)での代表的なセンサーグラムを、全てのLMW硫酸化多糖に対して、同じ1μMの濃度でオーバーレイする。フコイダン(上部曲線)、ヘパリン(下部曲線)又は硫酸デキストラン(中間曲線)とのP−セレクチンの特異的結合について、解離定数を、1:1ラングミュア結合モデルプロット(D)を使用して計算した。IgG上の非特異的結合が、それぞれの多糖で観測された。 図3は、全血における、ヒト血小板とのFITC結合LMWフコイダンの結合を示すグラフである。140μM(1mg/mL)のFITC結合LMWフコイダンを、PBSで10倍希釈したヒトクエン酸血と一緒に、室温で、20分間インキュベーションした。血小板の活性化を、2.5μM ADP(中活性化因子;点線)又は200μM TRAP(強活性化因子;実線)で誘導した。フローサイトメトリーを用いて、血小板を、その側方及び前方散乱並びに蛍光標識した特異的血小板抗体に対する陽性から同定した。血小板とのFITC結合LMWフコイダンの結合をFL1チャネルで検出した。同様の結果が他の2つのドナーを用いて得られた。 図4は、LMWフコイダンの存在下での、血小板との標識CD62P抗体の結合阻害を示すグラフである。実施例1に記載のようにして、CD62P抗体を、非標識LMWフコイダンの存在下又は非存在下でインキュベーションした。血小板の活性化を、200μM TRAPで誘導した。フローサイトメトリーを用いて、血小板を、その側方及び前方散乱並びに蛍光標識した特異的血小板抗体に対する陽性から同定した。関連のないPC5標識IgG抗体の活性化血小板との結合を、比較のために報告する。FL4チャネルで観測された、血小板とのPC5標識CD62P抗体の結合は、LMWフコイダンの存在下で有意に減少した。蛍光強度の平均値(MFI)を、関連のないIgG単独でのインキュベーションから得られた値に正規化した。Up<0.05 Student's t-検定を用いたCD62P単独の場合のデータとの差 図5は、大動脈弁疣贅を有する左心内膜炎ラットモデルでの心臓の組織像(左)及びオートラジオグラフィー(右)断面図を示す。(A)組織切片の疣贅は、弁に限定され(3)、一方、大動脈(1)及び弁下心筋(2)は正常であった。オートラジオグラフィーでは、in vivo注入された99mTc標識フコイダンからのシグナルが、正確に弁疣贅と共局在化している。(B)オートラジオグラフィーにおいて、疣贅のない心筋のネガティブコントロールは、バックグラウンドを与える。(C)オートラジオグラフィーでは、99mTc標識フコイダンからのシグナルが、カテーテルの周りのフィブリノイドカフ(fibrinoid cuff)と正確に共局在化している。 図6は、心房内血栓ラットモデルでのトモグラフィーSPECTのin vivoイメージング(左)、組織像(中間)及びオートラジオグラフィー(右)断面図を示す。トモグラフィーSPECTは、ラットの左心房における99mTc標識フコイダンの保持を示す。組織像の結果から、両側が筋肉の心房内腔にフィブリン血栓があることが示される。オートラジオグラフィーでは、99mTc標識フコイダンからのシグナルが、血栓に対向する心筋に局在化している。 図7は、動脈瘤血栓症ラットモデルでの腹部大動脈瘤の組織像(左)及びオートラジオグラフィー(右)断面図を示す。オートラジオグラフィーでは、99mTc標識フコイダンからのシグナルが、薄い血栓(青色)が組織像上で局在化している内腔/血管壁接触面で局在化している。
定義
明細書全体を通して、以下の段落で定義するいくつかの用語を用いる。
本明細書で使用される用語「セレクチン」は、当技術分野において理解されている意味を有し、これは、白血球、内皮細胞又は血小板表面に構成的又は誘導的に存在する、糖質結合のカルシウム依存性細胞接着分子ファミリーの任意のメンバーを指す。本明細書で使用される用語「E−セレクチン」は、当技術分野において理解されている意味を有し、これは、SELE;CD62E;ELAM;ELAM1;ESEL;又はLECAM2(ヒトE−セレクチンのGenbank登録番号:NM_000450(mRNA)及びNP_000441(タンパク質))としても知られている細胞接着分子を指す。本明細書で使用される用語「L−セレクチン」は、当技術分野において理解されている意味を有し、これは、SELL;CD62L;LAM−1;LAM1;LECAM1;LNHR;LSEL;LYAM1;Leu−8;Lyam−1;PLNHR;TQ1;又はhLHRc(ヒトL−セレクチンのGenbank登録番号:NM_000655(mRNA)及びNP_000646(タンパク質))としても知られている細胞接着分子を指す。本明細書で使用される用語「P−セレクチン」は、当技術分野において理解されている意味を有し、これは、SELP;CD62;CD62P;FLJ45155;GMP140;GRMP;PADGEM;又はPSEL(ヒトP−セレクチンのGenbank登録番号:NM_003005(mRNA)及びNP_002996(タンパク質))としても知られている細胞接着分子を指す。
本明細書で使用される用語「イメージング剤」は、画像技術を用いて、特定の生物学的成分(例えば、生体分子)を検出するために使用することができる化合物を指す。本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む分子である。本発明のイメージング剤は、in vitro及びex vivo生体系並びに対象において、セレクチンを検出するために使用することができる。
用語「フコイダン部分」は、セレクチンに対して高い親和性、特異性及び/又は選択性を示す任意のフコイダンエンティティ(fucoindan entity)を指す。本発明に関して、フコイダン部分が分子(例えば、イメージング剤)の一部である場合、その分子に対してその特異性/選択性/親和性を付与し、そして、分子が「セレクチン標的」になる(即ち、分子がセレクチンと特異的及び/又は効果的に相互作用及び/又は結合する)。
用語「結合親和性」及び「親和性」は、本明細書において互換的に使用され、これは、分子エンティティ間の引力のレベルを指す。親和性は、解離定数(K又はK)、あるいは、その反対の会合定数(K又はK)として定量的に表すことができる。
本明細書で使用される用語「検出可能な部分」は、分子の一部である場合に、例えば、画像技術を用いて、その分子を可視化することができる任意のエンティティを指す。
用語「セレクチンが関与する病態」、「セレクチンが関与する疾患」及び「セレクチンが関与する障害」は、本明細書において互換的に使用される。これらは、望ましくない又は異常なセレクチン介在性相互作用を特徴とする任意の疾患状態を指す。このような状態には、例えば、炎症部位への白血球のホーミング、二次リンパ器官への正常なリンパ球のホーミング、血小板と活性化内皮細胞との相互作用、血管コンパートメントにおける血小板−血小板及び血小板−白血球相互作用などが関与する又はこれらから生じる疾患状態が挙げられる。このような疾患状態の例には、組織移植拒絶反応、血小板介在性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化及び凝固)、機能亢進性冠循環(hyperactive coronary circulation)、急性白血球介在性肺損傷(例えば、成人呼吸窮迫症候群−ARDS)、クローン病、炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患)、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、重症筋無力症)、感染症、癌(転移を含む)、血栓症、傷創及び傷創関連敗血症、熱傷、脊髄損傷、消化管粘膜障害(例えば、胃炎、潰瘍)、骨粗しょう症、関節リウマチ、骨関節炎、喘息、アレルギー、乾癬、敗血性ショック、脳卒中、腎炎、アトピー性皮膚炎、凍傷、成人呼吸困難症候群、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、糖尿病及び虚血発作後の再かん流傷害が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「対象」は、ヒト又は別の哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ又は霊長類)を指す。多くの実施態様においては、対象はヒトである。このような実施態様においては、対象は、その対象がある疾患又は臨床症状に罹患している場合、「個体」又は「患者」と呼ばれることが多い。用語「対象」、「個体」及び「患者」は、特定の年齢を意味するものではなく、そのため、成人、小児及び新生児が包含される。
用語「生物試料」は、本明細書においてその最も広い意味で使用される。生物試料は、一般的に、対象から得られる。試料は、セレクチンを産生及び/又は含有することができる任意の生物組織又は体液であることができる。試料は、「臨床試料」、即ち、患者由来の試料であることが多い。このような試料には、細胞含有又は非含の体液、例えば、血液、尿、唾液、脳脊髄液(CSF)、滑液、組織又は細針生検試料並びに周知の診断、処置及び/又は転帰履歴を示す保管試料が挙げられるが、これらに限定されない。生物試料は、また、組織学的使用のための凍結切片などの組織切片を含むことができる。用語「生物試料」は、また、生物試料を処理して生成する任意の物質を包含する。生成する物質には、試料から単離された細胞(又はその子孫)、試料から抽出されたタンパク質又は他の分子が挙げられるが、これらに限定されない。生物試料の処理は、濾過、蒸留、抽出、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬の添加などの一つ以上を含むことができる。
本発明のセレクチン標的イメージング剤又はその医薬組成物に関して、本明細書で使用される場合の用語「有効量」は、その使用目的(例えば、その目的は、生体系又は対象に存在するセレクチンの検出及び/又はイメージング、及び/又はセレクチンが関与する疾患の診断であることができる)を満たすのに十分なイメージング剤又は医薬組成物の任意の量を指す。
本明細書で使用される「医薬組成物」は、少なくとも1つのセレクチン標的イメージング剤又は生理学的に許容しうるその塩及び少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体を含むものとして定義される。
用語「生理学的に許容しうる塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物活性及び特性を保持し、且つ、生物学的又は他の点においても望ましくないものではない任意の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など);及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)とから形成される。塩基付加塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム塩など)、及び有機塩基(例えば、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンなどの置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチル−アミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩)とから形成することができる。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容されうる担体」は、活性成分の生物活性効果と干渉することなく、投与される濃度でホストに対して過度に毒性を示さない担体媒体を指す。この用語には、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で公知である(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, E.W. Martin, 18thEd., 1990, Mack Publishing Co., Easton, PA参照)。
用語「処置」は、本明細書において、(1)疾患又は病状(例えば、セレクチン介在性状態又は病状)の発症を遅延又は予防する;(2)状態又は病状の症状を進行、深刻化又は悪化を遅らせる若しくは止める;(3)状態又は病状の症状の改善をもたらす;及び/又は(4)状態又は病状を治癒することを目的とする、方法又はプロセスを特徴づけるために使用される。処置は、予防(prophylactic)又は予防的(preventive)措置のために、疾患の発症の前に施すことができる。代わりに又は追加的に、処置は、治療的措置のために、疾患又は病状の発生後に施すことができる。
数値に関して本明細書で使用される、用語「およそ(approximately)」及び「約(about)」は、特に明記しない限り又は本文から明らかでない限り、一般的に、数値のいずれかの方向(該数値超又は未満)の10%の範囲の数値を包含する(このような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)。
特定の好ましい実施態様の詳細な説明
上述したように、本発明は、セレクチンのイメージング及びセレクチンが関与する病態生理学的状態の診断のためのフコイダンの使用に関する。特に、本発明は、画像技術を用いて、in vitro、ex vivo並びにin vivoにおいて、セレクチンの存在を特異的に検出するためのイメージング剤、キット及び戦略を包含する。
I−セレクチン標的イメージング剤
一態様においては、本発明は、セレクチンに対して高い親和性及び特異性を有する新しい種類のイメージング剤に関する。さらに具体的には、少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むセレクチン標的イメージング剤が提供される。
フコイダン部分
フコイダン(フコサン又は硫酸化フカンとも呼ばれる)は、抗凝固、抗血栓、抗ウイルス、抗腫瘍、免疫調節、抗炎症及び抗酸化活性などの生物活性を有する広域スペクトラム硫酸化多糖である(B. Li et al., Molecules, 2008, 13: 1671-1695; D. Logeart et al., J. Biomed. Mater Res., 1996, 30: 501-508)。フコイダンは、様々な種類のワカメで主に見つかっている(B. Li et al., Molecules, 2008, 13: 1671-1695; M. Kusaykin et al., Biotechnol. J., 2008, 3: 904-915)。また、フコイダンの異型が、ナマコなどの海洋動物種で発見された。従って、他の硫酸化多糖と比較して、フコイダンは、様々な種類の安価な供給源から広範に入手することができ、当技術分野で公知の抽出方法を用いて容易に得られる(C. Colliec et al., Phytochemistry, 1994, 35(3): 697-700)。これらの抽出方法からは、通常、分子量70〜800kDaのフコイダンが得られる。また、高分子量フコイダンから低分子量フコイダン、例えば、約20kDa未満のフコイダン(EP 0 403 377B, 米国特許第5,321,133号)又は約10kDa未満のフコイダン(EP 0 846 129 B; 米国特許第6,028,191号; A. Nardella et al., Carbohydr. Res., 1996, 289: 201-208)を調製するプロセスが開発された。
フコイダンは、4位及び2又は3位が硫酸化されており、グリコシド結合でつながっているα−1,2−又はα−1,3−結合L−フコースポリマーである。しかし、フコース及び硫酸残基の他に、フコイダンは、また、他の単糖(例えば、マンノース、ガラクトース、グルコース、キシロースなど)及びウロン酸基を含有する。異なる褐藻類由来のフコイダンで構造が種によって異なることは、当技術分野で公知である。さらに、フコイダンの構造を化学修飾することもできる。例えば、過硫酸化フコイダン又は過硫酸化フコイダンフラグメントを得るために、フコイダンの硫酸基の割合を増加させる方法が開発された(T.Nishino et al., Carbohydr. Res., 1992, 229: 355-362; S. Soeda et al., Thromb. Res., 1993, 72: 247-256)。
本発明での使用に適したフコイダン部分は、セレクチンに対してある程度の引力を有し、イメージング剤に含まれる場合に、標的化の役割を担うことができるフコイダン部分である。好ましくは、フコイダン部分は、in vitro及びin vivo条件下で、その親和性/特異性/選択性を保持する安定で非毒性なエンティティである。好ましい実施態様においては、フコイダン部分は、セレクチンに対して高い親和性及び特異性を示す、即ち、これらがセレクチンと特異的に、且つ、効果的的に相互作用、結合又は会合する。適切なフコイダン部分には、1つのセレクチン(即ち、L−セレクチン、E−セレクチン又はP−セレクチン)についてのみ親和性及び特異性を示すフコイダン、並びに、3種のセレクチン全てと効果的に相互作用、結合又は会合することができる部分を含有する、2つ以上のセレクチンに対して親和性及び特異性を示すフコイダンが含まれる。好ましくは、セレクチンとイメージング剤のフコイダン部分間の相互作用は、画像技術を用いて、少なくともセレクチンを検出するのに必要な時間は十分に強固である。特定の実施態様においては、適切なフコイダン部分は、セレクチンと、約0.1nM〜約500nM、好ましくは、約0.5nM〜約10nM、より好ましくは、約1nM〜約5nMの解離定数(K)で相互作用する。
本発明のイメージング剤の設計は、その使用目的及びその使用の特定の状況に望ましい特性により決定される。従って、フコイダン部分は、これらの公知の観測又は予測された特性に基づいて選択されるであろう。例えば、本発明のイメージング剤が、脳における望ましくない又は異常なセレクチン介在性相互作用を特徴とする神経変性障害の診断で使用される実施態様においては、イメージング剤は、好ましくは、血液脳関門を通過することができる。従って、このようなイメージング剤は、好ましくは、低分子量のフコイダン部分(例えば、2〜8kDa又は5kDa未満)を含有する。対照的に、高分子量のフコイダン部分を含有するイメージング剤は、その薬剤が、血管系において、セレクチンをイメージングするために使用される場合により適している。実際に、高分子量であるために、イメージング剤は容易に拡散することができず、そのため、血管系内に留まりやすく、それによって、対象の系の高選択的な標的を可能にする。
高分子量のフコイダン部分は、また、多くの検出可能な部分を有することができ、それによって、イメージング剤の感度を増加させることができる利点を有しうる(即ち、低濃度のセレクチンの検出を可能にする)。これらの分子量に加えて、フコイダン部分はその硫酸塩含有量に基づいて選択することができる。硫酸塩含有量を変更することにより(天然フコイダンの選択又は化学修飾のいずれかにより)、1つのセレクチン(L−セレクチン、E−セレクチン又はP−セレクチン)に対して、フコイダン部分(及び対応するイメージング剤)の特異性を改変することが可能である。例えば、P−及びE−セレクチンとの結合がリガンドの硫酸基の存在に伴って増加することが知られている(T.V. Pochechueva et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2003, 13: 1709-1712)。
代わりに又は追加的に、フコイダン部分は、その構造に基づいて、特に、フコイダン部分を検出可能な部分と会合させるために使用することができる少なくとも1個の官能基(又は、使用することができる異なる官能基に容易に化学変換することができる官能基)の存在に基づいて選択することができる。適切な官能基の例には、カルボキシ基、チオール、アミノ基(好ましくは、一級アミノ基)などが挙げられるが、これらに限定されない。
検出可能な部分
本発明に関して、検出可能な部分は、超音波検査、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)、蛍光分光法、コンピュータトモグラフィ、X線ラジオグラフィー又はこれらの技術の任意の組み合わせなどの画像技術により検出可能なエンティティである。好ましくは、検出可能な部分は、セレクチン標的イメージング剤の一部である場合、in vitro及びin vivo条件下でその特性を保持する安定で非毒性なエンティティである。
放射性イメージング部分
特定の実施態様においては、セレクチン標的イメージング剤は、プラナーシンチグラフィ(PS)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)及びシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)などの核医学画像技術により検出可能なように設計される。このような実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの放射性核種(即ち、放射性同位体)と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。
SPECT及びPETは、腫瘍、動脈瘤、様々な組織への不規則な血流又は血流不足、血球細胞障害、並びに甲状腺機能及び肺機能の欠損などの器官の機能不全を検出するために使用されている。両方の技術から、生物試料又は患者の体内に導入された放射性核種の濃度についての情報が得られる。PETは、陽電子放出放射性核種により間接的に放出される一対のγ線を検出することにより画像を生成する。PET分析では、目的の領域(例えば、脳、胸部、肝臓)全体にわたって、身体の一連の薄片画像(thin slice image)が得られる。これらの薄片画像から、検査領域を三次元表示にすることができる。しかし、この技術で使用する寿命の短い放射性同位元素を生成するのに必要な粒子加速装置の近傍に位置する必要があるため、PETセンターはわずかしかない。SPECTは、PETと似ているが、SPECTで使用する放射性物質は、PETで使用する放射性物質より崩壊時間が長く、二重γ線の代わりに単一γ線を放出する。SPECT画像は、PET画像より感度がより低く、そしてPET画像ほど詳細ではないが、SPECT技術はPETほど高価ではなく粒子加速器の近傍である必要がないという利点がある。プラナーシンチグラフィ(PS)は、同じ放射性核種を使用するという点でSPECTと似ている。しかし、PSからは2D情報しか得られない。
従って、特定の実施態様においては、本発明のイメージング剤における検出可能な部分は、PETにより検出可能な放射性核種である。このような放射性核種の例には、炭素−11(11C)、窒素−13(13N)、酸素−15(15O)及びフッ素−18(18F)が挙げられる。
他の実施態様においては、検出可能な部分は、プラナーシンチグラフィ又はSPECTにより検出可能な放射性核種である。このような放射性核種の例には、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)が挙げられる。好ましくは、放射性核種は、テクネチウム−99m(99mTc)である。最近実施されている慣用的な核医学方法の85%超が、99mTcに基づく放射性薬学的手法を用いている。
MRIイメージング部分
特定の実施態様においては、セレクチン標的イメージング剤は、磁気共鳴イメージング(MRI)により検出可能なように設計される。核磁気共鳴(NMR)を応用したMRIは、診断臨床医学及び生物医学研究において、最も強力な非侵襲的技術の一つへと発展した。これは、潜在的に有害な身体的異常を同定するための、血流を観測するための、あるいは心臓血管系の総合的な状態を測定するための、非侵襲的診断ツールとして広く用いられている。MRIは、潜在的に有害な電離放射線に依存しない利点を有する(他の高技術のイメージング方法に対して)。
従って、特定の実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの常磁性金属イオンと会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。MRIにより検出可能な常磁性金属イオンの例には、ガドリニウムIII(Gd3+)、クロムIII(Cr3+)、ジスプロシウムIII(Dy3+)、鉄III(Fe3+)、マンガンII(Mn2+)及びイッテルビウムIII(Yb3+)が挙げられる。特定の好ましい実施態様においては、常磁性金属イオンは、ガドリニウムIII(Gd3+)である。ガドリニウムは、MRI用のFDA承認の造影剤である。
他の実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの極小超常磁性酸化鉄(USPIO)粒子と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。USPIO粒子は、ヒトの病変をイメージングするための造影剤として現在開発中である(C. Corot et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 2006, 56: 1472-1504)。これらは、周囲の水の磁気共鳴シグナルに大きな撹乱をもたらす数多くの鉄原子を含有する結晶酸化鉄のコアから構成されている。量子ドット(超高感度蛍光プローブとして現在開発中)などの他のタイプのナノ粒子とは対照的に、USPIO粒子は、極めて良好な生体適合性を示す。USPIO粒子の化学コーティングは、これらの粒子を生体媒質中に拡散させるために必要とされる。また、適切なコーティングが行われると、結果として粒子クリアランスを減少させることができ(「ステルス」効果)、これらの粒子が特定の組織を標的とすることができる分子と結合するための手段を提供することができる(R. Weissleder et al., Magn. Reson. Q, 1992, 8: 55-63)。現在、デキストラン及びそのカルボキシメチル化誘導体などの多糖が、コーティング剤として使用されている。本発明は、USPIO粒子をフコイダン部分でコートし、得られたイメージング剤を、MRIによるセレクチン検出に使用することを提示する。このような本発明のイメージング剤を、セレクチンが関与する心臓血管病変の診断に適用することができる。実際に、半径約15nmのUSPIO粒子は、アテローム動脈硬化性壁などのより透過性が高い病変血管組織を除いた血管腔の外側で、わずかに拡散する傾向がある。従って、これらは、良好な血液プールイメージング剤となる(J. Bremerich et al., Eur. Radiol., 2007, 17: 3017-3024)。
USPIO粒子は、当技術分野で公知であり、これまでに記載されている(例えば、J. Petersein et al., Magn. Reson. Imaging Clin. Am., 1996, 4: 53-60; B. Bonnemain, J. Drug Target, 1998, 6: 167-174; E.X. Wu et al., NMR Biomed., 2004, 17: 478-483; C. Corot et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 2006, 58: 1471-1504; M. Di Marco et al., Int. J. Nanomedicine, 2007, 2: 609-622参照)。USPIO粒子は市販されており、例えば、商標名Sinerem(登録商標)及びCombidex(登録商標)でAMAG Pharmaceuticals, Inc.から販売されている。
造影超音波検査法イメージング部分
特定の実施態様においては、セレクチン標的イメージング剤は、造影超音波検査法(CEUS)により検出可能なように設計される。超音波は、ヒトの疾患をスクリーニング及び早期発見するために幅広く利用されている技術である。これは、MRI又はシンチグラフィーほど高価ではなく、そして、放射線を必要としないため、放射性核種イメージングなどの分子イメージング診断法よりも安全である。
従って、特定の実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの音響的に活性な(ガス封入)マイクロバブルと会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。様々な音響的に活性なマイクロバブルを、本発明の実施で使用することができる(A.L. Klibanov, Bioconj. Chem., 2005, 16: 9-17; J.R. Lindner, Nat. Rev. Drug Discov., 2004, 3: 527-532; M. McCulloch et al., J. Am. Soc. Echocardiogr., 2000, 13: 959-967; A.M. Takalkar et al., J. Contr. Release, 2004, 96: 473-482; G.E. Weller et al., Biotechnol. Bioeng., 2005, 92: 780-788)。
一般的に、このようなマイクロバブルは、ガスコア及びシェルからなる。ガスコアは、これにより検出が可能となるため、マイクロバブルの最も重要な部分である。ガスバブルが超音波周波数の磁場におかれると、これらは圧縮され、振動し、そして特徴的なエコーを反射して、これは、CEUSにおいて、明瞭でユニークなソノグラムを生成する。ガスコアは、空気又はペルフルオロカーボン若しくは窒素などの重質ガスからなることができる。重質ガスコアを有するマイクロバブルは、空気を含むコアを有するマイクロバブルと比べて血液循環における持続性がより高い。シェル材料は、マイクロバブルが免疫系によりどの程度取り込まれ易いかを決定する。より親水性の高い材料からなるシェルを有するマイクロバブルでは、免疫系によってより容易に取り込まれる傾向があるが、一方で、より疎水性の高いシェル材料では、マイクロバブルの血液循環中の滞留時間が増加する傾向があり、これにより、コントラストイメージングに使用可能な時間が増加する。マイクロバブルシェルは、アルブミン、ガラクトース、脂質又はポリマーからなることができる(J.R. Lindner, Nat. Rev. Drug Discov., 2004, 3: 527-532)。シェル又はガスコアの組成に関わらず、マイクロバブルのサイズは、ほぼ均一である。これらの直径は、通常、1〜4マイクロメータの範囲である。従って、これらは赤血球よりも小さく、血管の循環さらには微小循環中を容易に流れることができる(F.S. Vallanueva et al., Nat. Clin. Pract. Cardiovasc. Med., 2008, 5 Suppl. 2: S26-S32)。
他の実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの音響的に活性な脂質粒子(即ち、ガス封入リポソーム)と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。様々な音響的に活性な脂質粒子が当技術分野で公知であり、本発明の実施で使用することができる(H. Alkan-Onyuksel et al., J. Pharm. Sci., 1996, 85: 486-490; S.M. Demos et al., J. Am. Coll. Cardiol., 1999, 33: 867-875; S.L. Huang et al., J. Pharm. Sci., 2001, 90: 1917-1926; S.L. Huang et al., J. Ultrasound Med., 2002, 28: 339-348; A. Hamilton et al., Circulation, 2002, 105: 2772-2778)。
蛍光イメージング部分
特定の実施態様においては、セレクチン標的イメージング剤は、蛍光分光法により検出可能なように設計される。このような実施態様においては、本発明のイメージング剤は、少なくとも一つの蛍光部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含む。
本発明の実施で使用される蛍光部分の好ましい光学特性には、高い分子吸収係数、高い蛍光量子収率及び光安定性が含まれる。好ましい蛍光部分は、可視(即ち、400〜700nm)又は近赤外線(即ち、700〜950nm)において、吸収及び発光波長を示す。特定の蛍光部分の選択は、診断方法で使用される照射及び検出システムの性質及び特性により決定される。In vivo蛍光イメージングは、哺乳類の生体全身において、蛍光分子(fluorophore)からの蛍光発光を、高感度カメラを使用して検出する。生体組織での光子減衰を防ぐために、近赤外線(NIR)領域で発光する蛍光分子が、一般的に好ましい(J. Rao et al., Curr. Opin. Biotechnol., 2007, 18: 17-25)。近年、蛍光有機、無機及びバイオナノ粒子が追加されて、NIRプローブのリストが増加し続けている。in vivo蛍光イメージングにおける、近年のイメージング戦略及びレポーター技術の進歩には、プローブの特異性及び親和性を改善し、そして、感度を増強するために標的部位でのシグナルを調節及び増幅する新規なアプローチ法が含まれる。さらなる将来に向けた開発は、高い解像度、集学的手法及び寿命法によるin vivo蛍光イメージングを達成することを目的とする。
様々な構造及び特性を有する蛍光部分の多くが、本発明の実施での使用に適している。適切な蛍光標識には、量子ドット(即ち、蛍光無機半導体ナノ結晶)、並びに、テキサスレッド、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、ローダミン、フルオレセイン、カルボシアニン、Cy−3TM及びCy−5TM(即ち、3−及び5−N,N’−ジエチルテトラ−メチルインドジカルボシアニン)、Cy5.5、Cy7、DY−630、DY−635、DY−680及びAtto565染料、メロシアニン、スチリル染料、オキソノール染料、BODIPY染料(即ち、ボロンジピロメテンジフルオリド蛍光分子)、これらの分子のアナログ、誘導体又は組み合わせなどの蛍光色素が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施態様においては、検出可能な部分は、時間分解蛍光測定法により検出可能である。例えば、検出可能な部分は、ユウロピウム(Eu3+)である。
当業者に理解されるように、セレクチン標的イメージング剤の設計における、特定のタイプの検出可能な部分の選択は、イメージング剤の使用目的並びに検出に用いられる画像技術により決定されるであろう。
特定の実施態様においては、本発明のイメージング剤は、二つ以上の画像技術、例えば、MRI−PET、MRI−SPECT、蛍光−MRI、X線ラジオグラフィー−シンチグラフィーなどの組み合わせにより検出可能なように設計することができる。マルチモーダルイメージングは、生物組織についての様々な種類の情報、例えば、構造及び機能特性の両方を提供する。従って、例えば、イメージング剤は、二つ以上の画像技術により検出可能な少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むことができる。このような検出可能な部分の例には、蛍光性の、MRIにより検出可能なユウロピウム;及び、in vivo蛍光及びMRI用の造影剤として開発された常磁性Gdコアを有する発光性のハイブリッドナノ粒子(J.L; Bridot et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129: 5076-5084)が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、イメージング剤は、第一の検出可能な部分及び第二の検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むことができ、ここで、第一の検出可能な部分は、第一の画像技術により検出可能であり、第二の検出可能な部分は、第二の画像技術により検出可能である。従って、二重検出能を有する様々なイメージング剤を得ることができる。また、2つの異なるイメージング剤(即ち、第一の画像技術により検出可能な第一のイメージング剤及び第二の画像技術により検出可能な第二のイメージング剤)の同時使用も意図される。
セレクチン標的イメージング剤の合成
本発明のイメージング剤を、当技術分野で公知の任意の合成方法により調製することができる。唯一の必要条件は、反応後に、フコイダン部分及び検出可能な部分が、それぞれ親和性及び検出能特性を保持していることである。フコイダンと検出可能な部分は、様々な方法のいずれかで会合することができる。会合は、共有又は非共有結合であってもよい。会合が共有結合である場合、フコイダンと検出可能な部分は、互いに直接的又は間接的(例えば、リンカーを介して)に結合することができる。検出可能な部分が金属エンティティである場合、フコイダン部分は、金属キレート部分を介して、検出可能な金属エンティティに会合することができる。
さらに具体的には、特定の実施態様においては、フコイダン部分と検出可能な部分は、互いに直接共有結合で連結する。直接の共有結合は、アミド、エステル、炭素−炭素、ジスルフィド、カーバメート、エーテル、チオエーテル、ウレア、アミン又はカーボネート結合を介して形成される。共有結合は、フコイダン部分及び検出可能な部分に存在する官能基を利用して形成されうる。2つの部分を結合させるために使用することができる適切な官能基には、アミン(好ましくは、一級アミノ基)、無水物、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。また、直接の連結は、カルボジイミドなどの活性化試薬を使用して、例えば、一方の部分に存在する一級アミノ基を、他方の部分に存在するカルボキシ基に結合させることにより形成することができる。本発明での使用に適した活性化試薬は、当技術分野で公知である。
他の実施態様においては、フコイダン部分と検出可能な部分は、リンカーを介して、互いに間接的に共有結合で連結する。これは、当技術分野で公知の、ホモ官能性及びヘテロ官能性リンカーなどの多種多様の安定な二官能性試薬を使用して達成することができる。二官能性リンカーの使用は、活性化試薬を使用する場合とは異なり、二官能性リンカーを使用した場合では、反応後に、連結部分が本発明のイメージング剤に存在することになるが、活性化試薬を使用した場合では、結果として、反応に関与する2つの部分が直接カップリングする。二官能性リンカーの主要な役割は、二つの本来化学的に不活性な部分を反応させることができるようにすることである。しかし、反応生成物の一部となる二官能性リンカーは、また、イメージング剤にある程度の立体配置柔軟性を付与するように選択されうる(例えば、二官能性リンカーは、数種類の原子を含有するアルキル直鎖を含むことができる)。
当技術分野で公知の広範で適切なホモ官能性及びヘテロ官能性リンカーを、本発明に関して使用することができる。好ましいリンカーには、アミノ、無水物、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル基などの反応性の化学官能性を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基、置換アルキル及びアリール基、ヘテロアルキル及びヘテロアリール基などのアルキル及びアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。
直接又は間接的共有結合の会合方法を、例えば、蛍光部分を含むセレクチン標的イメージング剤の合成に用いることができる。同様に、このような方法を、フコイダン部分を用いたUSPIO粒子のコーティングに(実施例3参照)、あるいは、音響的に活性なマイクロバブル又はリポソームにフコイダンをグラフトさせるために(実施例4参照)使用することができる。
他の実施態様においては、フコイダンと検出可能な部分は、互いに、直接的に、しかし非共有結合的に会合する。非共有結合の会合には、疎水性相互作用、静電相互作用、双極子相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用及び水素結合が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、フコイダン部分と検出可能な金属エンティティを、錯体形成により会合させることができる。適切な錯体形成方法には、例えば、フコイダン部分への金属エンティティの直接導入及び金属交換が挙げられる。可能であれば、直接導入が好ましい。このような方法では、一般的に、フコイダン部分の水溶液を金属塩に曝露させるか、あるいは金属塩と混合する。反応混合物のpHは、約4〜約11であることができる。直接導入の方法は当技術分野で公知であり、様々な手順が記載されている(例えば、WO 87/06229参照)。本出願人は、低分子量フコイダンが、容易にテクネチウム−99mと錯体形成することができることを明らかにした(実施例2参照)。金属交換の方法は、金属エンティティが、導入前に異なる酸化状態に還元される必要がある場合に用いられる。金属交換の方法は当技術分野で公知である。特定の放射性核種(例えば、99mTc)の寿命が短いことを考慮すれば、直接導入をイメージング剤の使用の直前に行う必要があることが理解される。
フコイダンと検出可能な金属部分を直接的に非共有結合で会合させることが不可能である場合、セレクチン標的イメージング剤は、少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むことができ、ここで検出可能な部分は、検出可能な金属部分と錯体形成する金属キレート部分を含む。フコイダン部分と金属キレート部分の会合は、好ましくは共有結合である。本発明で使用される適切な金属キレート部分は、検出可能な金属部分と結合することが知られている、数多くの金属キレート剤及び金属錯化分子のいずれかであることができる。好ましくは、金属キレート部分は、放射性核種又は常磁性金属イオンと高い親和性で結合する安定で非毒性なエンティティである。
ガドリニウムIII(Gd3+)などの常磁性金属イオンの錯体形成に使用されている金属キレート部分の例には、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸);DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸);及びこれらの誘導体(例えば、米国特許第4,885,363号;5,087,440号;5,155,215号;5,188,816号;5,219,553号;5,262,532号;5,358,704号;及びD. Meyer et al., Invest. Radiol. 1990, 25: S53-55参照)、特に、DTPA−ビス(アミド)誘導体(米国特許第4,687,659号)が挙げられる。常磁性金属イオンと錯体形成する他の金属キレート部分には、アミノポリカルボン酸及びそのリンオキソ酸類縁体(例えば、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸又はTTHA)、ジピリドキサール二リン酸(DPDP)などの非環式エンティティ、並びに、大環状エンティティ(例えば、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’−三酢酸又はDO3A)が挙げられる。また、金属キレート部分は、米国特許第5,410,043号;5,277,895号;及び6,150,376号;又はF.H. Arnold, Biotechnol. 1991, 9: 151-156に記載のエンティティのいずれかであってもよい。
テクネチウム−99mなどの放射性核種と錯体形成する金属キレート部分の例には、例えば、N及びNSキレート剤が挙げられる(A.R. Fritzberg et al., J. Nucl. Med. 1982, 23: 592-598;米国特許第4,444,690号;4,670,545号;4,673,562号;4,897,255号;4,965,392号;4,980,147号;4,988,496号;5,021,556号及び5,075,099号)。他の適切な金属キレート部分は、ポリホスフェート(例えば、エチレンジアミンテトラメチレンテトラ−ホスフェート、EDTMP);アミノカルボン酸(例えば、EDTA、N−(2−ヒドロキシ)エチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン、エチレンビス(ヒドロキシフェニルグリシン)及びジエチレントリアミン五酢酸);1,3−ジケトン(例えば、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン及びテノイルトリフルオロアセトン);ヒドロキシカルボン酸(例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸及び5−スルホサリチル酸);ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン及びトリアミノトリエチルアミン);アミノアルコール(例えば、トリエタノールアミン及びN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン);芳香族複素環塩基(例えば、2,2’−ジイミダゾール、ピコリンアミン、ジピコリンアミン及び1,10−フェナントロリン);フェノール(例えば、サリチルアルデヒド、ジスルホピロカテコール及びクロモトロプ酸);アミノフェノール(例えば、8−ヒドロキシキノリン及びオキシムスルホン酸);オキシム(例えば、ヘキサメチルプロピレン−アミンオキシム、HMPAO);シッフ塩基(例えば、ジサリチルアルデヒド、1,2−プロピレンジイミン);テトラピロール(例えば、テトラフェニルポルフィン及びフタロシアニン);硫黄化合物(例えば、トルエンジチオール、メソ−2,3−ジメルカプトコハク酸、ジメルカプトプロパノール、チオグリコール酸、エチルキサンチン酸カリウム、ナトリウムジエチルジチオカルバメート、ジチゾン、ジチオリン酸ジエチル及びチオウレア);合成大環状化合物(例えば、ジベンゾ[18]クラウン−6)又は上記試薬の二つ以上の組み合わせから選択することができる。
当業者にとって容易に理解されるように、本発明のセレクチン標的イメージング剤は、様々な異なる方法により互いに連結された様々なフコイダン部分及び様々な検出可能な部分を含むことができる。本発明のイメージング剤の範囲内のフコイダン部分は、全て同一であっても異なっていてもよい。同様に、本発明のイメージング剤の範囲内の検出可能な部分は、全て同一であっても異なっていてもよい。セレクチン標的イメージング剤の正確な設計は、その使用目的及びその使用の特定の状況に望ましい特性により影響される。
II−セレクチン標的イメージング剤の使用
本発明は、セレクチンの存在をイメージング及び検出する試薬及び戦略を提供する。さらに具体的には、本発明は、in vitro及びex vivo系並びにヒト患者などの生体対象における、セレクチンの検出、位置測定及び/又は定量化を可能にする画像技術及び方法により検出可能な標的試薬を提供する。提供される方法は、画像技術を用いて、イメージング剤の可視化を可能にする少なくとも一つの検出可能な部分と会合する、セレクチンに対して高い親和性及び特異性を有する少なくとも一つのフコイダン部分を含むセレクチン標的イメージング剤の使用に基づいている。
さらに具体的には、本発明は、生体系を有効量の本発明のセレクチン標的イメージング剤又はその医薬組成物と接触させる工程を含む、生体系におけるセレクチンの存在を検出する方法を提供する。接触は、好ましくは、相互作用によりイメージング剤とセレクチンとの結合が生じるように、イメージング剤が、前記系に存在するセレクチンと相互作用することができる条件下で行われる。次に、前記系に存在するセレクチンと結合するイメージング剤が、画像技術を用いて検出される。生体系の少なくとも一部の一つ以上の画像を生成することができる。
接触を、当技術分野で公知の任意の適切な方法により行うことができる。例えば、接触は、インキュベーションにより行うことができる。
生体系は、セレクチンを産生及び/又は含有することができる、任意の生物学的エンティティであることができる。例えば、生体系は、細胞、体液又は生物組織であってもよい。生体系は、生体対象(例えば、それは、血液から又は生検により得ることができる)又は屍体対象(例えば、それは、剖検で得ることができる)由来であってもよい。対象は、ヒト又は他の哺乳類であってもよい。特定の好ましい実施態様においては、生体系は、セレクチンが関与する臨床症状を有する疑いがある患者に由来する。
本発明は、また、患者におけるセレクチンの存在を検出するための方法を提供する。前記方法は、有効量の本発明のセレクチン標的イメージング剤又はその医薬組成物を患者に投与することを含む。投与は、好ましくは、イメージング剤が、(1)異常セレクチン(即ち、臨床症状に関与するセレクチン)を含有しうる患者の身体の領域に到達することを可能にし、そして(2)相互作用により、イメージング剤とセレクチンとの結合が生じるように、このようなセレクチンと相互作用することができる条件下で実施される。セレクチン標的イメージング剤を投与した後、及び相互作用が起こるのに十分な時間が経過した後、画像技術により、患者に存在する異常セレクチンに結合するイメージング剤が検出される。患者の身体の少なくとも一部の一つ以上の画像を生成することができる。
セレクチン標的イメージング剤又はその医薬組成物の投与は、静脈内、動脈内、髄腔内、皮内、腔内投与などの経口及び非経口方法、並びに、経腸方法による投与などの当技術分野で公知の任意の適切な方法により実施することができる。
上述したように、セレクチン(生体系又は患者に存在する)に結合するイメージング剤は、造影超音波検査法、プラナーシンチグラフィ、SPECT、蛍光分光法又はこれらの組み合わせなどの画像技術を用いて検出される。
患者又は患者から得られた生体系におけるセレクチンの存在を検出するために提供される本発明の方法は、セレクチンが関与する病態の診断に使用することができる。診断は、患者の身体の一部又は全体を検査及びイメージングすることにより、又は患者から得られる生体系(一つ以上の体液又は生物組織試料など)を検査及びイメージングすることにより達成することができる。どちらかの方法又は両方の組み合わせが、患者が罹患したと疑われる臨床症状に基づいて選択される。患者から得られた結果と臨床的に健康な個体での研究から得られたデータの比較から、診断を決定及び確定することが可能となる。
これらの方法は、また、セレクチンが関与する病態の進行を追跡するために用いることができる。例えば、これは、患者における「異常」セレクチンの存在、位置、分布及び定量化についての経時変化を確立するために、一定の期間にわたってこの方法を繰り返すことにより達成することができる。
これらの方法は、また、セレクチンが関与する病態のための処置に対する患者の反応をモニタリングするために使用することができる。例えば、「異常」セレクチンを含有する患者の身体の一部の画像(又は、患者に由来し、且つ、「異常」セレクチンを含有する生体系の一部の画像)は、患者が処置を受ける前後に得られる。「前」及び「後」の画像の比較から、その処置に対する患者の反応をモニタリングすることができる。
本明細書で提供される本発明の方法により診断することができる、又はその進行を追跡することができる病態は、セレクチンが関与することが知られている任意の疾患及び障害、即ち、セレクチンが介在する望ましくない又は異常な相互作用を特徴とする任意の病状であることができる。本明細書で提供される方法を用いて有利に診断されうるこのような病状の例には、血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチが挙げられるが、これらに限定されない。
III−医薬組成物
本明細書に記載のセレクチンの検出/イメージングの方法並びにセレクチンが関与する病態の診断の方法において、本発明のイメージング剤を、単独で又は医薬組成物として使用することができる。従って、一態様においては、本発明は、セレクチンが関与する臨床症状の診断のための組成物の製造のための、フコイダンの使用を提供する。別の態様においては、本発明は、少なくとも一つのセレクチン標的イメージング剤(又は任意の生理学的に許容しうるその塩)及び少なくとも一つの薬学的に許容されうる担体を含む医薬組成物を提供する。
特定の処方は、選択された投与経路に依存する。患者が罹患したと疑われる特定のタイプの病態及び検査される身体の部位に依存して、イメージング剤を局所的又は全身的に、経口送達(固体、溶液又は懸濁液として)あるいは注射により(例えば、静脈内、動脈内、髄腔内(即ち、髄液を通じて)、皮内又は腔内)投与することができる。
医薬組成物は、注射により投与されることが多い。注射で投与する場合、イメージング剤の医薬組成物は、無菌注射剤の即時調製用に、無菌の水溶液若しくは非水溶液、又は、代わりに無菌の粉末として製剤化することができる。このような医薬組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、そして細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護される必要がある。
注射で投与するための薬学的に許容されうる担体は、水溶液(例えば、ハンク溶液、アルコール性/水性溶液又は食塩水)及び非水性担体(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステル)などの溶媒又は分散媒である。注射用医薬組成物は、また、非経口用溶剤(塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)及び/又は静脈内投与用溶剤(液補充剤、栄養補充剤など);並びに、塩、緩衝液及び抗菌剤、抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール(thirmerosal)など)などの防腐剤を含む、他の従来の薬学的に許容しうる、非毒性の賦形剤及び添加剤を含有してもよい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させることができる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を添加することにより実現できる。様々な成分のpH及び濃度は、当業者が容易に決定することができる。
無菌注射剤は、活性化合物及び他の成分を必要な量の適切な溶媒に加え、次に得られた混合物を、例えば、濾過又は照射により滅菌して調製される。無菌注射剤の調製のための無菌粉末の製造方法には、真空乾燥及び凍結乾燥技術が挙げられる。
一般的に、セレクチン標的イメージング剤(又はその医薬組成物)の用量は、患者の年齢、性別及び体重、並びに、患者が罹患したと疑われる特定の病態、疾患の程度、検査される身体の領域及び検出可能な部分の感度などの検討事項に従って変更される。禁忌、療法及び他の可変要素などの因子も、また、投与されるイメージング剤の用量を調整するために考慮されるべきである。しかし、これは、専門の医師により容易に達成することができる。
一般的に、セレクチン標的イメージング剤(又はその医薬組成物)の適切な一日用量は、患者に存在する任意の関連した(即ち、一般的に過剰発現した)セレクチンの検出/イメージングを可能にするのに十分なイメージング剤(又は医薬組成物)の最小量に相当する。この用量を最小にするために、静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下で、そして、好ましくは、検査される部位の近位に投与されることが望ましい。例えば、心臓/神経血管系をイメージングするためには、静脈内投与が適しており;一方、脳及び中枢神経系をイメージングするためには、髄腔内投与がより適している。
IV−キット
別の態様においては、本発明は、本発明の診断方法を実施するために有用な材料を含むキットを提供する。本明細書に記載の診断手順は、臨床検査医、実験研究者又は開業医が行うことができる。
特定の実施態様においては、本発明のキットは、本発明に記載のセレクチン標的イメージング剤を作製するために、少なくとも一つのフコイダン及び少なくとも一つの検出可能なエンティティ、そして、場合により、フコイダンと検出可能なエンティティを会合させるための説明書を含む。検出可能なエンティティは、好ましくは、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)などの寿命の短い放射性核種である。好ましくは、キットには、フコイダン及び検出可能なエンティティが、患者におけるセレクチンの検出及び特定の臨床症状の診断に適切な量のイメージング剤を調製するために十分な量で含有される。
さらに、キットは、一つ以上の標識バッファー及び/又は試薬;精製バッファー、試薬及び/又は手段;注射媒体及び/又は試薬をさらに含むことができる。調製手順及び/又は投与の様々な工程を実施するための、これらのバッファー、試薬及び手段を使用するためのプロトコールをキットに含むことができる。
本発明のキットに含まれる様々な成分を、固体形態(例えば、凍結乾燥)又は液体形態で供給することができる。本発明のキットは、場合により、それぞれ個々の成分用の異なる容器(例えば、バイアル、アンプル、試験管、フラスコ又はボトル)を含むことができる。各成分は、一般的に、アリコートとしてその個別の容器に入れるのが適切であるか又は濃縮形態で提供される。また、調製方法の特定の工程を実施するのに適切な他の容器も提供される。キットの個々の容器は、好ましくは、販売用に厳重に密閉して維持される。
特定の実施態様においては、キットは、本発明の方法に記載のセレクチンが関与する臨床症状の診断のための、その成分を使用するための説明書をさらに含む。本発明の方法に記載のキットを使用するための説明書は、フコイダンと検出可能なエンティティからイメージング剤を調製するための説明書、得られたイメージング剤の投与用量及び様式に関する説明書、セレクチンの検出を行うための説明書及び/又は得られた結果を解明するための説明書を含むことができる。キットは、また、医薬品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する行政機関により定められた形態に関する通知書を含むことができる。
以下の実施例は、本発明を作製及び実施する好ましい形態のいくつかを記載する。しかし、実施例が、単に説明を目的とするものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。さらに、実施例での記載が過去形で示されない限り、本文は、本明細書の残りと同様に、実験が実際に行われた、あるいは、データが実際に得られたこと示唆することを意図しているわけではない。
以下に報告される結果のいくつかは、科学論文(L.Bachelet et al., 「Affinity of low molecular weight fucoidan for P-selectin triggers its binding to activated human platelets」, Biochim. Biophys. Acta, 2009, 1790: 141-146)に示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。以下に報告される他の結果は、International Carbohydrate Symposium, Oslo, Norway, July 24th-August 1st, 2008 (L. Bachelet et al., 「fucoidan: A sulfated polysaccharide to target activated platelets in atherosclerosis」)に示された。
実施例1:LMWフコイダンは、P−セレクチンの高特異的リガンドである
材料及び方法
化学製品.フルオレセインイソチオシアネート(FITC)は、Fluka(Saint-Quentin Fallavier, France)から購入した;ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートは、Dako(Trappes, France)から購入した;ジアミノプロパン、シアノ水素化ホウ素ナトリウム及びペルオキシダーゼ基質ABTSは、Sigma-Aldrich(Saint-Quentin Fallavier, France)から購入した;シナピン酸溶液は、Bio-Rad Laboratories(Hercules, CA, USA)から購入した;アミンカップリングキット及びランニングバッファーは、BIAcore(Uppsala, Sweden)から購入した。
多糖.低分子量フコイダン(硫酸化繰り返しフコース単位に基づく;M=7200g/M;SO=30%(w/w))を、以前に記載されたようにしてワカメから調製した(A. Nardella et al., Carbohydr. Res., 1996,289: 201-208)。低分子量ヘパリン(M=5700g/M;SO=45%(w/w))及び低分子量硫酸デキストラン(M=8000g/M;SO=52%(w/w))は、Sigma-Aldrichから入手した;20%molSLe含有のビオチン化ポリアクリルアミド型複合糖質は、Lectinity Holding(Moscow, Russia)から得た。
生体化合物.組み換えヒトP−セレクチン(SDS−PAGEで121〜124kDa)及び組み換えヒトP−セレクチン/Fcキメラ(SDS−PAGEで146〜160kDa)は、R&D Systems(Lille, France)から得た;ウシ血清アルブミン(BSA)、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)及びアデノシン二リン酸(ADP)は、Sigma-Aldrichから得た;そして精製ペプチド及びタンパク質標準品は、Bio-Rad Laboratoriesから得た。
抗体.PC5標識IgG(MOPC−21クローン)、PC5標識抗ヒトP−セレクチン(CD62P、AK−4クローン)、FITC標識IgM及びFITC標識PAC−1(インテグリン複合体GPIIb/IIIaの活性立体配置に対する)は、BD Biosciences(Le Pont de Claix, France)から入手した;FITC標識IgG(MOPC−21クローン)、FITC標識抗ヒトCD41(インテグリンGPIIb)及びヤギ抗ヒトFcIgGペルオキシダーゼは、Beckman-Coulter(Roissy, France)から入手した;ヤギ抗ヒトFcIgGは、Sigma-Aldrichから入手した;抗ヒトP−セレクチン(CD62P、G1クローン)は、COGER(Paris, France)入手した。
他の材料.Immulon 1Bマイクロタイタープレートは、VWR(Fontenay sous Bois, France)から寄付された。アニオン性タンパク質チップCM10は、Bio-Rad Laboratoriesから得た;CM5センサーチップはBIAcoreから得た。
多糖のFITC標識.500mgの多糖及び250mgのNaBHCNを、4mLの2.5Mジアミノプロパン塩酸塩溶液に添加した。60℃で24時間後、250mgのNaBHCNを混合物に添加して、反応を48時間実施した。試料を、凍結乾燥する前に、透析した(1000Daをカットオフ)。150mgのアミノ化多糖を、6mLの0.5M炭酸塩緩衝液(pH9.6)に溶解させた。6mgのFITCを溶液に添加し、これを4℃、暗闇で2時間撹拌した。中性にした後、溶液を透析して(1000Daをカットオフ)、凍結乾燥した。次に、着色した化合物を、150mg/mLで1MNaClに溶解させ、エタノールで沈殿し、4500rpmで20分間遠心して、遊離フルオレセインを除去した。このプロトコールを用いて、0.19±0.06蛍光色素分子/多糖鎖でグラフティングさせて、フコイダンの蛍光標識に成功した。
シアリルルイスXを用いたP−セレクチン結合アッセイ.このプロトコールは、以前に記載された方法(Weitz-Schmidt et al., Anal. Biochem., 1999, 273: 81-88)を適用したものであった。P−セレクチン/Fcキメラ(5μg/mL;リン酸緩衝生理食塩水PBS、137mMNaCl、8.1mMNaHPO、1.4mMKHPO及び2.7mMKCl、pH=7.2)を、4℃で一晩かけて、マイクロタイタープレートにコートした。プレートを、アッセイバッファー(20mMHepes、pH7.4、150mMNaCl及び1mMCaCl含有)で洗浄し、同バッファー中、3%BSAを用いて、4℃で4時間ブロッキングして、再度洗浄した。多糖又は抗ヒトP−セレクチン(G1クローン)及びビオチン化SLeポリマーをアッセイバッファーで希釈して、P−セレクチンコートウェル又はBSAコートウェル(非特異的コントロール)に添加し、4℃で一晩インキュベーションした。次に、プレートを洗浄し、アッセイバッファーで1:1000に希釈したストレプトアビジン−ペルオキシダーゼをウェルに添加した。4℃で4時間後、プレートをアッセイバッファーで洗浄した。ABTSペルオキシダーゼ基質溶液を添加して、10分後、呈色反応を2%シュウ酸で停止した。マイクロプレートリーダーを用いて、405nmの光学密度を測定して結合SLeポリマーを決定した。
PSGL−1を用いたP−セレクチン結合アッセイ.P−セレクチン(5μg/mLのPBS溶液、137mMNaCl、8.1mMNaHPO、1.4mMKHPO及び2.7mMKCl、pH=7.2)を、4℃で一晩かけて、マイクロタイタープレートにコートした。プレートを、アッセイバッファー(20mMHepes、pH7.4、150mMNaCl及び1mMCaCl含有)で洗浄し、同バッファー中、3%BSAを用いて、4℃で4時間ブロッキングして、再度洗浄した。フコイダン及びPSGL−1/Fcキメラをアッセイバッファーで希釈して、P−セレクチンコートウェル又はBSAコートウェル(非特異的コントロール)に添加し、4℃で一晩インキュベーションした。次に、プレートを洗浄し、アッセイバッファーで1:1000に希釈したIgG抗Fc−ペルオキシダーゼをウェルに添加した。4℃で4時間後、プレートをアッセイバッファーで洗浄した。ABTSペルオキシダーゼ基質を添加して、5分後、呈色反応を2%シュウ酸で停止した。マイクロプレートリーダーを用いて、405nmの光学密度を測定して結合PSGL−1を決定した。
SELDI−TOF分析.アニオン性タンパク質チップアレイCM10を使用した。5μLのHepes(pH7.0)を用いて、スポットを2回、5分間予備湿潤させた。500ngの組み換えヒトP−セレクチンを、1MHepes(pH7.0)で、総容量5μLに希釈した様々な濃度の多糖(P−セレクチンと多糖のモル比、1/1〜1/100)の非存在下又は存在下で混合して試料を調製し、4℃で1時間インキュベーションした。試料をスポットに適用し、湿潤チャンバー中、室温で、45分間インキュベーションした。スポットを、5μLの1MHepes(pH7.0)で3回、5μLの蒸留水で2回洗浄し、その後、10分間風乾させた。1μLの飽和シナピン酸溶液(50%アセトニトリル、0.5%トリフルオロ酢酸)を各スポットに2回適用した。タンパク質チップアレイを、タンパク質チップリーダー(PBS II, Bio-Rad)を用いて解析した。タンパク質の質量を、精製ペプチド及びタンパク質標準品を使用して外部校正した。スペクトルを、タンパク質チップソフトウェア3.1.1(Bio-Rad)で解析した。
表面プラズモン共鳴.BIAcore 2000光バイオセンサーを使用した。カルボキシメチル化デキストラン表面CM5センサーチップを、標準的なアミンカップリング化学を用いて、ヤギ抗ヒトFcIgGと結合させた(平均6500RU)。次に、組み換えヒトP−セレクチン/Fcキメラをチップに捕捉した(平均1750RU)。ヤギ抗ヒトFcIgGを非特異的コントロールとして使用した。試料を、ランニングバッファー(10mMHepes、150mMNaCl、1mMCaCl及び0.005%Tween−20、pH7.4)で希釈した。フローセル、温度、流速、試料容量及び混合は、BIAcoreコントロールソフトウェアを使用して選択した。センサーグラムは、BIAevaluationソフトウェアを使用して解析した。
フローサイトメトリー.成人健常者ドナーの血液を、3.8%(w/v)クエン酸ナトリウムに採取した。クエン酸処理したヒト全血(5μL)を、PBS(137mMNaCl、8.1mMNaHPO、1.4mMKHPO及び2.7mMKCl、pH=7.2)で40μLに希釈した。ADPを最終濃度2.5μMで、又はTRAPを最終濃度200μMで添加して、血小板を活性化させた。5μLのLMW多糖(FITC標識又は非標識、PBSで希釈)及び5μLの蛍光標識抗体(PC5標識抗CD62P AK−4クローン又はFITC標識PAC−1若しくはFITC標識抗CD41;PBSで8:100;5:100及び3:100に希釈)を、室温で20分間添加した。溶液を、PBSで1mLに希釈した後、フローサイトメトリーで解析した。データを、Coulter EPICS XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter)に収集した。試料解析を側方及び前方散乱で実施し、対数モードを用いて、蛍光を、FL1(フルオレセイン)又はFL4(PC5)で得た。各試料から、7500事象を収集した。抗P−セレクチン(CD62P、AK−4クローン)抗体の陽性(非活性化、ADP活性化及びTRAP活性化血小板に対してそれぞれ、0.4%、73.4%及び97.8%)から、血小板活性化レベルを評価した。GENS(登録商標)System IIソフトウェア(Beckman Coulter)でデータ処理し、ヒストグラムを様々な条件に対して重ね合わせて示す。
統計解析.示されたデータは、各回、n≧3の試料/条件で実施した少なくとも3つの同一及び独立した実験の代表結果である。統計比較をStudent's t−検定で実施した。
結果
LMWフコイダンは、P−セレクチンとのSLe及びPSGL−1の結合を阻害.固定化P−セレクチンとのSLe−ポリアクリルアミド−ビオチンの結合を、LMWフコイダン、ヘパリン及び硫酸デキストランの存在下で測定した。このアッセイにおいて、抗ヒトP−セレクチン抗体(クローンG1、ポジティブコントロール)は、P−セレクチンとのSLeの結合を完全にブロックした。P−セレクチンに結合するSLeの量は、多糖の濃度の増加に伴って減少した。しかし、大きな差異が、硫酸化多糖間で観測された(図1)。フコイダンによる阻害は、ヘパリン及び硫酸デキストランを用いた場合より一層顕著であった(それぞれ、IC50が20nM、400nM及び>25,000nM)。また、固定化P−セレクチンとのPSGL−1/Fcキメラの結合を、LMWフコイダンの存在下で評価した。P−セレクチンに結合するPSGL−1の量は、フコイダンの濃度の増加に伴って減少した(IC50が5nM)。
P−セレクチンとのLMWフコイダンの結合.次に、P−セレクチンの結合を、質量分析及び表面プラズモン共鳴(SPR)により解析した。
P−セレクチンと3つのLMW硫酸化多糖及び天然デキストランの複合体形成を、SELDI−TOF MSで解析した。生理学的なpH=7で、P−セレクチンが結合する(等電点、約6.5)アニオン性チップを使用した。次に、P−セレクチンをレーザーで脱離させて、SELDI−TOFの約100kDaのブロードピークとして検出した。P−セレクチンの量は、LMWフコイダンの存在下で、用量依存的に顕著に減少した。チップへのP−セレクチンの保持は、また、ヘパリンによって減少したが、天然デキストラン又は硫酸デキストランとのインキュベーションによる影響は受けなかった。これらの結果は、LMWフコイダンが、溶液中で、P−セレクチンと複合体を形成し、それによって、アニオン性表面への保持が妨げられることを示している。
P−セレクチンとのLMW硫酸化多糖の結合特性を、表面プラズモン共鳴解析を用いてさらに比較した。LMWフコイダン、ヘパリン及び硫酸デキストランを、抗ヒトFcIgG又は組み換えヒトP−セレクチン/Fcキメラでコートしたセンサーチップにフローした(図2)。全ての多糖が、P−セレクチンに結合して、そしてコントロールとして使用した抗ヒトFcIgGには、より少ない程度で結合した。フコイダンでは、P−セレクチン対IgGで得られたシグナルの差異が、ヘパリン又は硫酸デキストランでのものより高く、これは、フコイダンがより良好な選択性を示していることを示唆する(図2A)。1:1Langmuir結合モデルを用いて計算した、P−セレクチンに対するLMWフコイダン、ヘパリン及び硫酸デキストランの解離定数(図2D)が、それぞれ、1.2nM、577nM及び118nMであることが分かった。これらの結果から、LMWフコイダンが、P−セレクチンに対し、他の2つの多糖よりも少なくとも2桁高い親和性を有することが確認された。
ヒト血小板とのLMWフコイダンの結合.ヘパリンが血小板に結合することが以前に報告されている(J. Hirsh et al., Chest, 2004, 126: 188S-203S; R. Verhaege, Acta Cardiol., 1998, 53: 15-21)。フローサイトメトリー実験を、クエン酸処理したヒト全血とFITC標識LMWフコイダンをインキュベーションして実施した。代表的実験を図3に報告する。血小板を、側方及び前方散乱並びに蛍光標識した特異的血小板抗体に対する陽性(CD41)によりゲーティングした。蛍光が右へシフトしたことから実証されるように、FITC標識フコイダンが活性化血小板に結合した。非活性化、ADP活性化及びTRAP活性化血小板に対して、それぞれ34.7%、51.4%及び69.1%の陽性血小板パーセントで示されるように、フコイダン結合は血小板活性化のレベルに伴って増加した。
次に、TRAP活性化血小板を、全血中、非蛍光標識LMWフコイダンの存在下又は非存在下で、蛍光標識抗CD62P抗体とインキュベーションした。平均蛍光強度の減少から示されるように、活性化血小板とのCD62P抗体の結合阻害が、LMWフコイダンの存在下で観測された(図4)。さらに、LMWフコイダンは、活性化血小板とのCD41(インテグリンGPIIb)抗体又はPAC−1(インテグリン複合体GPIIb/IIIaの活性立体配置に対する)の結合を阻害しなかった。このことは、活性化血小板とのCD62P抗体結合に及ぼす効果が特異的であることを示している。まとめると、これらの結果から、ヒト全血で観測された活性化血小板とのLMWフコイダンの結合が、P−セレクチンにより介在されたことが示される。
考察
硫酸化糖質は、様々な生物活性を示すことが知られている(S. Soeda et al., Biochim. Biophys. Acta, 2000, 1497: 127-137)。硫酸化多糖は、P−セレクチンリガンド(A. Varki et al., PNAS, 1994, 91: 7390-7397; D. Simonis et al., Biochemistry, 2007, 46: 6156-6164)、例えば、ヘパリン及び修飾ヘパリン(A. Koenig et al., J. Clin. Invest., 1998, 101: 877-889)、高分子量フコイダン及び硫酸デキストラン(M.P. Skinner et al., J. Biol. Chem., 1991, 266: 5371-5374)であると以前に記載された。本研究では、3種の低分子量硫酸化多糖(フコイダン、ヘパリン及び硫酸デキストラン)とP−セレクチンの相互作用が、4種類の異なる方法を用いて特徴づけられた。LMWフコイダンは、炎症障害(K. Senni et al., Arch. Biochem. Biophys., 2006, 445: 56-64)及び心臓血管疾患(33; 34; F. Zemani et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 2008, 28: 644-650)の処置に有望な候補である。LMWヘパリンは、血栓障害の処置に使用される(K.A. Fox et al., Eur. Heart J., 2000, 21: 1440-1449)。また、合成硫酸デキストラン及び模倣薬が、感染疾患などの様々な疾患において、推定薬物として試験された(J. Neyts et al., Biochem. Pharmacol., 1995, 50: 743-751)。
SLe/P−セレクチン結合の阻害を、結合アッセイ実験により定量した。多糖は以下のような順位で示される:(IC50):フコイダン(20nM)>ヘパリン(400nM)>硫酸デキストラン(25,000nM)。比較として、Koenig等により、ヘパリンが、ヘパリンフラグメントのサイズに依存して、82〜2400μMのIC50で、シアリルルイスXとのP−セレクチン結合を阻害した阻害アッセイが確立された(A. Koenig et al., J. Clin. Invest., 1998, 101: 877-889)。しかし、彼らの研究では、シアリルルイスXが固定されたが、一方で、本アプローチ法においては、固定されたのはP−セレクチンである。P−セレクチンに結合するLMWフコイダンの機能的な重要性は、糖タンパク質とその天然リガンドPSGL−1間の相互作用の妨害により明らかとなった。
SELDI−TOF質量分析を用いて、P−セレクチンとLMW多糖の複合体形成を明らかとした。このツールにより、トロンビン及びプロテアーゼネキシン−Iとのヘパリン及びフコイダンの結合を実証することができる(B. Richard et al., Thromb. Haemost., 2006, 95: 229-235)。SELDI−TOF MS実験は、溶液中で、LMWフコイダンが、生理学的なpHで、用量依存的に、P−セレクチンと複合体を形成したことが示された。複合体形成により、アニオン性表面へのP−セレクチン保持が減少した。
ヘパリン又はフコイダンなどの硫酸化多糖と様々なタンパク質の相互作用は、以前に、表面プラズモン共鳴(BIAcore(登録商標))で研究された(32; H. Yu et al., Biochim. Biophys. Acta, 2005, 1726: 168-176)。例えば、SLe模倣薬が、K114μMでP−セレクチンに結合することが示され(M.E. Beauharnois et al., Biochemistry, 2005, 44: 9507-9519)、そして、PSGL−1が、K320nMでP−セレクチンに結合することが示された(P. Mehta et al., J. Biol. Chem., 1998, 273: 32506-32513)。ここで計算されたP−セレクチンに対するLMWヘパリンの解離定数、K約500nMが、Simonis等の研究での水晶振動子マイクロバランス測定で決定された3種の未分画ヘパリンと同じ範囲にある(Biochemistry, 2007, 46: 6156-6164)。興味深いことに、この結果は、ナノモル範囲のKを示すLMWフコイダンが、他のLMW多糖、PSGL−1及びSLe模倣薬と比較した場合、最も有効で選択的なP−セレクチンリガンドであることを実証した。さらに、P−セレクチン/LMWフコイダン相互作用は、L−セレクチン/GlyCAM−1相互作用よりも強固であり、また、血管内皮の白血球ローリングに関与している。この相互作用の相互作用定数は、Nicholson等により108μMと決定された(J. Biol.Chem., 1998, 273: 763-770)。
天然の分画ヘパリンが、HL−60細胞において、P−セレクチンと相互作用することが示された(Y. Gao et al., Mol. Cells, 2005, 19: 350-355)。精製タンパク質を使用して観測されたP−セレクチンとのフコイダンの結合が、より複雑な条件で起こるかどうかを測定するために、全血でのLMW多糖とヒト血小板の相互作用を分析した。フローサイトメトリーを用いて、LMWフコイダンが活性化血小板に結合することが明らかとなり、その結合レベルが血小板活性化の程度と相関することが明らかとなった。さらに、LMWフコイダンが、活性化ヒト血小板との抗P−セレクチン抗体の結合を阻害することができた。
実施例2:血小板活性化及び集積のin vivoシンチグラフィー検出のための、P−セレクチン標的イメージング剤としての99mTc標識フコイダン
フコイダンを、溶液中での古典的なスズの反応を使用して、テクネチウム−99m(99mTc)で標識した。簡潔に述べると、4μLの塩化第一スズ、その後、2μLの水素化ホウ素カリウムを、10μLのフコイダン(1mg/mL、MW=7200)に添加した。これらの試薬を混合した直後に、この混合物に50μLの99mTc(15〜30mCiに相当)を緩やかに添加した。インキュベーションを1時間実施して、標識反応を完了した。薄層ペーパークロマトグラフィー及び溶離剤としてメチルケトンを用いて標識に関して検査した。標識率は、100%であった。
心内膜炎疣贅、動脈瘤及び心房内血栓のラットモデルを、血小板活性化及びフィブリン形成を伴う臨床症状の動物モデルとして用いた。1μgの99mTc標識フコイダンの静脈内注射により、血小板が多く含まれる心内膜炎疣贅(図5)、心房(図6)及び動脈瘤血栓(図7)をin vivoで可視化することができた。これらのin vivoデータは、ex vivoオートラジオグラフィーにより確認し、シグナルが、バックグラウンドに対して8〜10の非常に高い定量的シグナル比で、組織学的に弁疣贅又は血栓と正確に共局在化していることが示された。
セレクチンイメージングのための放射性トレーサーとしてのフコイダンの開発は、いくつかの段階で検討することができる:(1)正確に活性化された内皮細胞(虚血再かん流モデル)によるP−セレクチンの過剰発現を可視化することができる;(2)慢性的に刺激された内皮細胞(高血圧のL−NAMEモデル)によるE−セレクチンの過剰発現を可視化することができる;そして(3)三次リンパ節形成(ラットの大動脈同種移植)及び自己免疫性心筋炎でL−セレクチン集積を可視化することができるか否か。
実施例3:フコイダンコートUSPIO粒子の調製
本出願人は、フコイダンをUSPIO粒子にコートする5つの異なる戦略を開発した。
第一の戦略は、非修飾フコイダンの存在下での鉄粒子の合成に関する。出願人は、以前に記載のデキストランを用いた合成方法(R.S. Molday et al., J. Immunol. Methods, 1982, 52: 353-367)を適用してデキストランMW40000をフコイダンMW50500に換えた。フコイダンコート鉄ナノ粒子が得られた。しかし、これらの粒子は、水に不安定であった。
第二の戦略は、非修飾フコイダンを用いた酸性磁性流体のコーティングを含む。フコイダンを、酸性磁性流体とインキュベーションした。水性媒体(pH7.4)では安定であるが、イオン強度0.15Mの緩衝液では不安定なフコイダンコート鉄ナノ粒子を得て、これは多くのアプリケーションで使用される。この合成は、クロスリンカーの存在下で達成することができ(A. San Juan et al., J. Biomed. Mater Res.A, 2007, 82: 354-362)、ナノ粒子の安定性を向上させることができた。
リンカーを介した、マグヘマイトγFeナノ粒子へのフコイダンのグラフティング(戦略3)、デキストランコートマグヘマイトγFeナノ粒子、即ち、カルボキシメチルデキストラン又はCMDでコートされたマグヘマイトγFeナノ粒子へのフコイダンのカップリング(戦略4)、又は酸化デキストランでコートされたマグヘマイトγFeナノ粒子へのフコイダンのカップリング(戦略5)に基づく他の3つの戦略が開発された。これらの戦略の全てにおいて、第一工程は、一級アミンを用いて、フコイダンの還元末端を官能基化することであり、これにより、その後の反応をフコイダンの鎖構造、従って、P−セレクチンに対する親和性を変更することなく行うことを可能にする。
戦略3では、以前に記載されたようにして(French patent No. 2 736 197; N. Fauconnier et al., J. Colloid Interface Sci., 1997, 194: 427-433)、鉄ナノ粒子をジメルカプトコハク酸(DMSA)を用いてチオール化し、次に、ヘテロ二官能性リンカー、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−スクシンイミジル(SPDP)(J. Roger et al., Eur. Phys. J. Applied Phys., 1999, 5: 321-325)を用いて、ジスルフィド架橋でアミノ化フコイダンに連結させた。LMWフコイダン(MW=7200)でコートされた鉄ナノ粒子が得られ、これはイオン強度0.15Mの通常の水性緩衝液(pH7.4)で安定であることが示された。
戦略4では、CMD(MW=15000)を酸性磁性流体とインキュベーションして、イオン強度0.15Mの通常の水性緩衝液(pH7.4)で安定なCMDコート鉄ナノ粒子を得た。アミノ化フコイダンを、標準的なアミンカップリング化学(EDC/NHS系で)を用いて、これらのナノ粒子にグラフティングする。
戦略5では、アミノ化フコイダンを、シッフ塩基を形成して、酸化デキストランコートナノ粒子にグラフティングする。
実施例4:フコイダンコートの音響的に活性なマイクロバブル及びリポソームの調製
超音波ベースのイメージング造影剤にフコイダンをグラフティングするために、いくつかの戦略を調査する。第一のアプローチ法では、Villanueva等により以前に記載された標準的なアミンカップリング化学を用いて(Circulation, 1998, 98: 1-5)、アミノ化フコイダンを、リン脂質ベースのパーフルオロブタン封入マイクロバブルにグラフティングする。簡潔に述べると、パーフルオロブタンを、ホスファチジルコリン、界面活性剤、ホスファチジルエタノールアミン誘導体及び1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)で活性化したカルボキシル基を含有するリン脂質誘導体を含む水性媒体に超音波処理で分散させて、次に、アミノ化フコイダンを、一級アミノ基を介してアミン結合形成により共有結合させた。
第二の戦略は、ビオチン化フコイダンを、Weller等により以前に記載されたような多段工程のアビジン/ビオチン架橋化学により(Biotechnol. Bioeng., 2005, 92: 780-788)、リン脂質ベースのパーフルオロブタン封入マイクロバブルにグラフティングすることである。簡潔に述べると、ホスファチジルコリン、ステアリン酸ポリエチレングリコール及びホスファチジルエタノールアミンのビオチン化誘導体を含有する食塩水を、パーフルオロブタンと共に超音波処理した。得られたマイクロバブルを、ストレプトアビジン、次に、飽和量のビオチン化フコイダンとインキュベーションした。
ビオチン化フコイダンを、アミノ化ヘパリンのビオチン化に関してOsmond等により以前に記載された方法(Anal. Biochem., 202, 310(2), 199-207)を用いて得た。簡潔に述べると、スルホスクシンイミジル−6−(ビオチンアミド)ヘキサン酸−(スルホ−NHS−LC−ビオチン)を、アミノ化フコイダンの0.1M炭酸塩緩衝液(pH=8)の溶液に、アミノ化フコイダンとスルホ−NHS−LC−ビオチンのモル比1〜10で添加した。混合物をボルテックスして、4℃で一晩振とうした後、再蒸留水に対して透析(1000Daをカットオフ)して凍結乾燥した。
最後に、第三のアプローチ法は、Hamilton等により以前に記載されたようなチオール化学を用いて(Circulation, 2002, 105: 2772-2778)、フコイダンを音響的に活性なリポソームにグラフティングすることである。簡潔に述べると、成分リン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジル−グリセロール、ホスファチジルエタノールアミン誘導体及びコレステロール)をクロロホルムに溶解させ、混合し、得られた膜を水中で超音波処理して、リポソームを形成した;アミノ化フコイダンを、3−(2−ピリジルチオ)プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)と反応させた。次に、フコイダン誘導体をジチオスレイトール溶液で還元した後、チオール化フコイダンをリポソームにコンジュゲートさせた。
実施例5:X線ラジオグラフィーのためのヨウ素化チロシンで置換したフコイダン
フコイダンの放射性標識のための他の可能性は、多糖の還元性末端にチロシン残基をグラフティングした後、ヨウ化ナトリウムを使用することである。置換工程は、実施例1に記載のアミノ化工程と同様である。
簡潔に述べると、200mgの多糖及び100mgのNaBHCNを、1.6mLの2.5Mチロシン塩酸塩溶液に添加した。60℃で24時間後、この混合物に100mgのNaBHCNを添加して、反応をさらに48時間行った。試料を、再蒸留水に対して透析し(1000Daをカットオフ)、凍結乾燥した;0.50±0.05チロシン/多糖鎖のグラフティングの修飾フコイダンを、収率50〜70%で回収した。
ヨウ素化を、クロラミン−Tを用いて以下のように行った:20μM修飾フコイダン(14.5mg)の0.05Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)(450μL)を、NaI溶液(8%(w/v)PBS溶液、150μL)に添加した後、350μLのクロラミン−T溶液(40mg/mL、PBS)を添加した。混合物をボルテックスして、4℃で一晩振とうした。次に、反応混合物を再蒸留水に対して透析し(1000Daをカットオフ)、凍結乾燥して、ヨウ素化修飾フコイダンを定量的収率で得た。
他の実施態様
本発明の他の実施態様が、本明細書に開示された本発明の詳述又は実施から考察されることは、当業者にとって明らかであろう。明細書及び実施例は、例示的な目的としてのみ考慮され、本発明の真の範囲が以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。

Claims (39)

  1. 少なくとも一つの検出可能な部分と会合する少なくとも一つのフコイダン部分を含むイメージング剤。
  2. イメージング剤がセレクチン標的である、請求項1に記載のイメージング剤。
  3. 少なくとも一つのフコイダン部分が、P−セレクチン、L−セレクチン及びE−セレクチンからなる群から選択される少なくとも一つのヒトセレクチンと、約0.1nM〜約500nM、好ましくは、約0.5nM〜約10nM、さらに好ましくは、約1nM〜約5nMの解離定数で結合する、請求項2に記載のセレクチン標的イメージング剤。
  4. 少なくとも一つの検出可能な部分が、検出可能な金属部分と錯体形成する金属キレート部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  5. 少なくとも一つの検出可能な部分が、プラナーシンチグラフィ(PS)又はシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)により検出可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  6. 少なくとも一つの検出可能な部分が、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)からなる群から選択される、請求項5に記載のイメージング剤。
  7. 少なくとも一つの検出可能な部分が、テクネチウム−99m(99mTc)である、請求項6に記載のイメージング剤。
  8. 少なくとも一つの検出可能な部分が、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)により検出可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  9. 少なくとも一つの検出可能な部分が、炭素−11(11C)、窒素−13(13N)、酸素−15(15O)及びフッ素−18(18F)からなる群から選択される、請求項8に記載のイメージング剤。
  10. 少なくとも一つの検出可能な部分が、造影超音波検査法(CEUS)により検出可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  11. 少なくとも一つの検出可能な部分が、音響的に活性なマイクロバブル又は音響的に活性なリポソームを含む、請求項10に記載のイメージング剤。
  12. 少なくとも一つの検出可能な部分が、磁気共鳴イメージング(MRI)により検出可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  13. 少なくとも一つの検出可能な部分が、ガドリニウムIII(Gd3+)、クロムIII(Cr3+)、ジスプロシウムIII(Dy3+)、ユウロピウム(Eu3+)、鉄III(Fe3+)、マンガンII(Mn2+)及びイッテルビウムIII(Yb3+)からなる群から選択される、請求項12に記載のイメージング剤。
  14. 少なくとも一つの検出可能な部分が、ガドリニウムIII(Gd3+)である、請求項13に記載のイメージング剤。
  15. 少なくとも一つの検出可能な部分が、極小超常磁性酸化鉄粒子(USPIO)を含む、請求項12に記載のイメージング剤。
  16. 少なくとも一つの検出可能な部分が、蛍光分光法により検出可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  17. 少なくとも一つの検出可能な部分が、ユウロピウム(Eu3+)、量子ドット、テキサスレッド、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、ローダミン、カルボキシシアニン、Cy−3、Cy−5、Cy5.5、Cy7、DY−630、DY−635、DY−680、Atto565染料、メロシアニン、スチリル染料、オキソノール染料、BODIPY染料及びこれらの分子のアナログ、誘導体又は組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のイメージング剤。
  18. 少なくとも一つの検出可能な部分が、コンピュータトモグラフィにより検出可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  19. 少なくとも一つの検出可能な部分がヨウ素である、請求項18に記載のイメージング剤。
  20. イメージング剤が、超音波検査、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)、蛍光分光法、コンピュータトモグラフィ、X線ラジオグラフィー又はこれらの任意の組み合わせにより検出可能である、請求項1〜19のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  21. 少なくとも一つのフコイダン部分が、約2000〜約8000Daの平均分子量を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  22. 少なくとも一つのフコイダン部分が、約20,000〜約70,000Daの平均分子量を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  23. 少なくとも一つのフコイダン部分が、約100,000〜約500,000Daの平均分子量を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のイメージング剤。
  24. 有効量の請求項1〜23のいずれか一項に記載の少なくとも一つのセレクチン標的イメージング剤又は生理学的に許容しうるその塩及び少なくとも一つの薬学的に許容されうる担体を含む、医薬組成物。
  25. セレクチンの検出及び/又はイメージングのための組成物の製造のための、請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤の使用。
  26. セレクチンが関与する臨床症状の診断のための組成物の製造のための、請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤の使用。
  27. 患者におけるセレクチンが関与する臨床症状を診断するための方法であって、
    有効量の請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤又は請求項24に記載の医薬組成物を患者に投与する工程、及び
    画像技術を用いて、イメージング剤に結合する任意のセレクチンを検出する工程
    を含む、方法。
  28. セレクチンが関与する臨床症状が、血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチからなる群のメンバーである、請求項27に記載の方法又は請求項26に記載の使用。
  29. 生体系における異常セレクチンの存在を検出するための方法であって、
    生体系を、有効量の請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤又は請求項24に記載の医薬組成物と接触させる工程、及び
    画像技術を用いて、イメージング剤に結合する任意のセレクチンを検出する工程
    を含む、方法。
  30. 生物試料が、細胞、体液及び生物組織からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 生物試料が、セレクチンが関与する臨床症状を有する疑いがある患者に由来する、請求項29に記載の方法であって、前記臨床症状を診断するために用いられる方法。
  32. 生物試料が、セレクチンが関与する臨床症状のための処置を受けた患者に由来する、請求項29に記載の方法であって、前記処置に対する患者の反応をモニタリングするために用いられる方法。
  33. セレクチンが関与する臨床症状が、血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチからなる群のメンバーである、請求項31又は請求項32に記載の方法。
  34. 患者におけるセレクチンが関与する臨床症状の診断のためのキットであって、フコイダン部分、検出可能な部分及び請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤を調製するための説明書を含む、キット。
  35. セレクチン標的イメージング剤を用いて、臨床症状を診断するための説明書をさらに含む、請求項34に記載のキット。
  36. セレクチンが関与する臨床症状が、血栓症、心筋虚血/再かん流傷害、脳卒中及び虚血脳外傷、神経変性障害、腫瘍転移及び腫瘍増殖並びに関節リウマチからなる群のメンバーである、請求項34又は請求項35に記載のキット。
  37. 生体系における異常セレクチンの検出のためのキットであって、フコイダン部分、検出可能な部分及び請求項1〜23のいずれか一項に記載のセレクチン標的イメージング剤を調製するための説明書を含む、キット。
  38. セレクチン標的イメージング剤を用いて、生体系における異常セレクチンを検出するための説明書をさらに含む、請求項37に記載のキット。
  39. 検出可能な部分が、テクネチウム−99m(99mTc)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−91(91Y)、インジウム−111(111In)、レニウム−186(186Re)及びタリウム−201(201Tl)からなる群から選択される寿命の短い放射性核種である、請求項34〜38のいずれか一項に記載のキット。
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