JPH10507742A - シアル酸/フコースベースの医薬 - Google Patents

シアル酸/フコースベースの医薬

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JPH10507742A JP8507570A JP50757096A JPH10507742A JP H10507742 A JPH10507742 A JP H10507742A JP 8507570 A JP8507570 A JP 8507570A JP 50757096 A JP50757096 A JP 50757096A JP H10507742 A JPH10507742 A JP H10507742A
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Abstract

(57)【要約】 天然のセレクチンリガンドと類縁で安価な合成が可能であり、セレクチン結合活性を保持しており、シアル酸およびフコースがセレクチンと結合可能なようにこれら基がリンカーによって隔てられるようにシアル酸およびフコースまたはこれら基の類似体または誘導体に関して安定な三次元立体配置を有する化合物が提供される。該化合物は一般構造式(I)および(II)で示され、式中、Wは構造()を含む基から選ばれ、Aは好ましくはシアル酸であり、Bは好ましくはフコースである。該式における他のラジカルについては明細書に記載してある。

Description

【発明の詳細な説明】 シアル酸/フコースベースの医薬 本発明は、一般に医化学の分野に関し、とりわけ3つの知られたセレクチン; E−セレクチン、L−セレクチンおよびP−セレクチンの一つまたはそれ以上に 結合する能力によって特徴付けられる医薬に関する。本医薬は、置換されたプソ イドオリゴ糖からなり、3つの化学残基が以下の順序で共有結合している:シア ル酸、またはその類似体または誘導体、スペーサー、およびフコースまたはその 類似体または誘導体。かかる医薬は、癌、自己免疫疾患および炎症を含むある種 の疾患の診断または予防もしくは治療処置において有意の適用を有する。発明の背景 癌、自己免疫疾患を含むある種の疾患において、および炎症応答において、受 容体のファミリーであるセレクチン(LEC−CAMs)を確立する膨大なデータ が蓄積されている。このファミリーの3つの知られた成員であるL−セレクチン (LECAM−1、LAM−1、gp90MEL)、E−セレクチン(LECAM −2、ELAM−1)およびP−セレクチン(LECAM−3、GMP−140、 PADGEM)は、それぞれ、カルシウム依存性レクチン (C−レクチン)に対するホモロジーを有するドメイン、EGF様ドメイン、およ び幾つかの補体結合タンパク質様ドメインを含む(ベビラクア(Bevilacqua)ら、Science (1989)243:1160−1165;ジョンストン(Johnston)ら、Cell (1989)56:1033−1044;ラスキー(Lasky)ら、Cell(198 9)56:1045−1055;テッダー(Teddar)ら、J.Exp.Med.(1989)170 :123−133、ダスグプタ(Dasgupta)ら、Exp.Opin.Invest.Drug s (1994)():709)。セレクチンが特定のリガンドに結合すること、お よびこのことがセレクチンの生物学的活性を説明するのであることが提唱されて いる。それゆえ、リガンドがセレクチンに結合するのを妨害したり防いだりする 薬剤は種々の疾患を治療するための有用な医薬となるであろう。 たとえば、循環している好中球が刺激を受けた血管の内皮に接着することは炎 症応答の最初の事象である。バーク(Buerke,M.)らは最近、ネコにおいて虚血 −再潅流障害などの炎症状態におけるセレクチンの重要な役割を示している(バ ークら、J.Clin.Invest.(1994)93:1140)。ツルネン(Turunen,J. P.)らは、腎臓移植において急性拒絶の間での部位特異的なリンパ球の管外遊出 におけるsLexおよびL−セレクチンの役割を示している(ツルネンら、Eur.J.Immunol .(1994)24:1130)。P−セレクチンはとりわけ急性の肺障 害に関係するものとして中心的に関与することが示されている。マリガン(Mull igan,M.S.)らは、齧歯類の肺障害モデルにおいて抗P−セレクチン抗体を用い た強力な保護作用を報告している(マリガンら、J.Clin.Invest.(1991) :1600、マリガンら、Nature(1993)364:149)。炎症および血栓 形成におけるP−セレクチンの中心的な役割がパラブリカ(Palabrica,T.)らに よって示されている(パラブリカら、Nature(1992)359:843)。 E−セレクチンはIL−1またはTNFに応答した内皮細胞上での一過性の発 現のために、上記3つのセレクチンのうちでも特に興味深い(ベビラクアら、Sc ience (1989)243:1160)。この誘発された発現の時間経過(2〜8時間 )は、感染および障害に応答した初期好中球管外遊出における該受容体の役割を 示唆している。実際、グンデル(Gundel,R.H.)らは、E−セレクチンに対する 抗体が喘息の霊長類モデルにおいて好中球の流出を阻止し、それゆえ炎症応答に よる気道閉塞を防ぐうえで有益であることを示している(グンデルら、J.Clin. Invest .(1991)88:1407)。 幾つかの異なるグループがE−セレクチンリガンドに関する論文を発表してい る。ロウ(Lowe)ら(1990)は、HL−60細胞変異体およびトランスフェク ションした細胞株のE−セレクチンに依存した接着と該細胞によるシアリルルイ スx(sLex)オリゴ糖、NeuNAcα−2−3−Gal−β1−4(Fucα−1− 3)−GlcNAcの発現との間の正の相関を示している。細胞をα−(1,3/1, 4)フコシルトランスフェラーゼを含むプラスミドでトランスフェクションする ことにより、彼らは非骨髄性のCOSまたはCHO細胞株を、E−セレクチンに 依存した仕方で結合するsLex−陽性細胞に変換することができた。ワルツ (Walz)ら(1990)は、sLexに向けられたモノクローナル抗体を用い、また はsLex構造を有する糖タンパク質により、E−セレクチン−IgGキメラの HL−60細胞への結合を阻止することができたが、CD65抗体またはCD1 5抗体での阻止は示すことができなかった。両グループはsLex構造がE−セ レクチンのリガンドであると結論している。 内皮細胞−白血球接着分子をコードするDNA配列に関する情報は、1990 年11月15日に公開されたPCT公開公報WO90/13300に開示されて いる(参照のため本明細書中に引用する)。該PCT公報は内皮細胞−白血球接着 分子に関する多数の文献を引用している。該PCT公報は、E−セレクチンリガ ンドの同定方法、並びに該リガンドを用いた白血球と内皮細胞との接着を阻止す る方法をクレームしており、とりわけ白血球の内皮細胞への接着に関与する分子 として記載されたMILAsに言及している。セレクチンリガンドに関する最近 の刊行物は、好中球活性化のインディケーターとしてのL−セレクチンの使用( ブッチャー(Butcher)ら、1994年5月31日に発行された米国特許第5,3 16,913号)、および白血球接着の抑制のためのアッセイ(ローゼン(Rosen) ら、1994年6月7日に発行された米国特許第5,318,890号)を記載し ている。 上記で仄めかしたように、E−セレクチンのリガンドであるsLexは、少な くともシアル酸、フコース、およびラクトースからなる。ラクトースはガラクト ースおよびグルコースからなる。シアル酸およびフコースは、それぞれ、ラクト ースのガラクトース残基およびグルコース残基に結合している。他のセレクチン に結合するリガンドも同様の構造特性を有する。セレクチンリガンドが明らかに 医学的重要性を有することに鑑みて、セレクチンリガンドの活性を促進するまた は該活性に必要なセレクチンリガンドに付随する重大な物理/化学的パラメータ ーを同定することに相当の努力が費やされ、また費やされ続けている(ドフリー ス(DeFrees,S.A.)ら、J.Am.Chem.Soc.(1993)115:7549)。こ の努力は、少なからず、安価に製造できるセレクチンリガンドを手に入れる必要 性に駆られてなされている(1994年3月22日に発行された米国特許第5,2 96,594号、アランソン(Allanson,N.M.)ら、Tetrahedron Lett.(19 93)34:3945参照)。一般に、天然に存在するsLexを酵素的合成または 化学的合成のいずれかにより製造することは、多くの非常に複雑な反応が関与す るために市販がはばかれるほどに高価であろうことが考えられる。発明の要約 本発明の第一の目的は、ある種のセレクチンに結合し、合成が廉価にて可能な セレクチンリガンドである医薬を記載することにある。 本発明の第二の目的は、ある種のセレクチンに結合するセレクチンリガンドで ある医薬であって、該リガンドがsLewisx(sLex)のラクトースコアを欠き、 その代わりにスペーサー残基が置換されているものを記載することにある。sL exに比べ、そのような医薬組成物は合成が廉価にて可能である。かかる本発明 の化合物は下記一般構造式I: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に連結残基、好ましくは−CH2−、−O−、−S−、−SO−、’SO2− 、または−NR1(式中、R1はHまたは炭素数1〜4のアルキル);Xは連結残基 、好ましくは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、または−NR1−;および −R2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害できるようにAまた はBの三次元立体配置を妨害しない残基であり、好ましくは−OR1、−SR1、 −N3、および−N(R1)2、Aはαまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸(Kemp's ac id)、キニン酸、RおよびS形のマンデル酸、RおよびS形のグリセリン酸、R およびS形の乳酸、プロピオン酸および酢酸、およびそのエステル、−SO3お よび−PO3、ただしAが−SO3または−PO3である場合はYは−CH2−、− O−および−NR1のいずれかである;Bは好ましくはα形またはβ形のフコース 、アラビノースおよびそのエステルおよびその置換形(その際、1または2以 上の−OH基はそれぞれ独立に−Fまたは−N(R3)2(式中、−R3は炭素数1〜 5のアルキル)である));および一般構造式II: (式中、Wは下記の構造を含み、 これら式中、pは0〜2の整数、qは0〜3の整数、およびrは0〜5の整数; Aは好ましくはαまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、RおよびS形の マンデル酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロピオン酸 および酢酸、およびそのエステルおよびアミド、SO3、スルホネート、−PO3 、ホスホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジン; Bは好ましくはα形またはβ形のフコース、アラビノースおよびそのエステルお よびその置換形(1または2以上のOH基がそれぞれ独立にF、N3、NHAc、 NHCOCF3で置換されている); X、Y、Z=CH2、N、O、S、SO、SO2; U=Oまたは−CH2; Q=Hまたは−X−(CH2)qB; R4=H、OH、F; R5=H、CH2−R4; R6=H、OH、NHAc、NHCOCF3; R7およびR8はそれぞれ独立に=H、−COR12、−CH2−O−(CH2)s−S O2−(CH2)s:NHG、−CH2−O−(CH2)s−NH−(CH2)s−CH(NHG )−COOR1−CH2−O−(CH2)s−CHO、−CH2−O−(CH2)s−(CH R13)s一(CH213)(式中、sは1〜10の整数)、またはR7とR8とは一緒に なって5員または6員の環を形成する(p=0であることを条件として)、該環は N、OおよびSからなる2個までのヘテロ原子を任意に含有する R9、R10はそれぞれ独立にHまたはOH、またはR9とR10とは一緒になってオ キソ基である; R7=H、1−6Cアルキル、ハロゲン、OH、O−アルキル、またはO−アリ ール; R12=OH、2−10Cアルコキシ鎖、2−10Cアルキルアミン、ペプチド、 OM(式中、Mは対イオン、好ましくは金属イオン); R13=OCO−(CH2)t−CH3(式中、tは3−18の整数); G=ペプチド、−COR14または−SO214(式中、R14=アリール、アルキル 、アルケニルまたはアルキニル基))により示される。 本発明の第三の目的は、sLexの官能基であるシアル酸およびフコースとセ レクチンとの間の結合を容易にするような該官能基の提示のための三次元的に安 定な立体配置を有するように、sLexに付随する新たに発見された物理/化学 的な特性を導入したある種の新規医薬を記載することにある。 本発明の第四の目的は、検出可能な標識に結合したおよび/または抗炎症剤な どの薬理学的に活性な薬剤に結合したセレクチンリガンド医薬を含む組成物を提 供することにある。 本発明の第五の目的は、ある種の疾患を治療するうえで有用なセレクチンリガ ンド医薬を含む医薬組成物を提供することにある。 本発明の第六の目的は、疾患の治療または診断方法を記載することにある。 本発明の第七の目的は、上記タイプの標識製剤を投与することによる炎症部位 を決定するための組成物および方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、該リガンドが標識することができ、該標識したリガンド を試料中のセレクチンの存在を検出するためのアッセイに用いることができるこ とにある。 これらおよび他の目的、本発明の利点および特徴は、下記に一層詳細に記載す る合成、構造、製剤および用途を読むことにより当業者には明らかであろう。図面の簡単な説明 添付の下記図面を参照することにより、当業者に本発明がより理解され、本発 明の多くの目的、利点および特徴が明らかとなるであろう。 図1は、白血球と活性化された内皮細胞との相互作用を示す断面模式図である 。 図2は、E−セレクチンを阻止するために本発明の化合物がいかにして用いら れるかを示す断面模式図である。 図3は、2つの特定の化合物14および15のカラムクロマトグラフィーを示 すグラフである。 図4は、2つの異なる化合物が2,3,シアリル−LexのE−セレクチンIgG キメラへの結合を阻止する能力を決定するために行ったELISAアッセイの結 果を示すグラフである。試験した化合物はおよび14であった。図に示すよう に、これら化合物を幾つかの濃度で試験し、その結果を対照結合のパーセントと して表してある。 図5は、3つの異なる化合物が2,3,シアリル−LexのL−セレクチンIgG キメラへの結合を阻止する能力を決定するために行ったELISAアッセイの結 果を示すグラフである。試験した化合物は14および15であった。図に示 すように、これら化合物を幾つかの濃度で試験した。その結果を対照結合のパー セントとして表してある。 図6は、化合物10が2,3,シアリル−LexのL−セレクチンIgGキメラへ の結合を阻止する能力を決定するために行ったELISAアッセイの結果を示す グラフである。その結果を対照結合のパーセントとして表してある。 図7は、チオグリコール酸により誘発された腹膜炎に対する2つの化合物お よび10の作用を示す。マウスを生理食塩水単独(sal/−)、チオグリコール酸 とリン酸緩衝食塩水(TG/PBS)またはチオグリコール酸と化合物かまたは10 (TG/またはTG/10)を注射し、腹腔中の好中球の数を測定した。発明の詳細な記載 本明細書を通じて科学的な論文並びに特許および特許出願を含むある種の刊行 物を参照してある。これら各刊行物は、本明細書中に言及された場合に参照のた め引用されることを意図したものである。 本発明の化合物および該化合物を含有する組成物並びにこれらを単離および使 用する方法について記載する前に、これら組成物および方法は変わりうるため、 本発明が特定の組成物、方法またはプロセスに限定されるものでないことを理解 しなければならない。また、本明細書中に使用する術語は特定の態様を記載する ことのみを目的として使用されるのであって、本発明を限定することを意図する ものでないことも理解されなければならない。なぜなら、本発明は添付の請求の 範囲のみによって限定されるからである。 本発明に関連して使用する幾つかの標準的な略語としては以下のものが挙げら れる:BSA、ウシ血清アルブミン;DEAE、ジエチルアミノエチル;DMSO 、ジメチルスルホキシド;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DCE、ジク ロロエタン;E−セレクチンまたはELAM−1、内皮/白血球接着分子−1;H PTLC、高性能薄層クロマトグラフィー;L−セレクチンまたはLECAM− 1、白血球/内皮細胞接着分子−1;MOPS、3−[N−モルホリノ)−プロパ ンスルホン酸;NANA、N−アセチルノイラミン酸;PVC、ポリ塩化ビニル; TLC、薄層クロマトグラフィー;TFA、トリフルオロ酢酸;トリス、トリス( ヒドロキシ−メチル)アミノメタン。発明の開発 本発明の化合物はある種のセレクチンに結合する能力によって選択されたもの であるが、この特性が本発明の化合物の医薬活性に貢献していることは注目する 値打ちがある。しかしながら、本発明の化合物がその有利な医学的作用を別の作 用機構と平行してまたは該機構と提携して奏することを排除することはできない 。 従って、当業者は本発明の重要なポイントが新規な医薬を記載することにあり、 本願出願人が該医薬の予防または治療作用を説明する特定の機構に拘泥すること を意図するものでないことを評価するであろう。 E−セレクチンは、下記構造IIIで示されるシアリルルイス(sLex)四糖を認 識するレクチン様ドメインを有する。 sLexがE−セレクチンに結合する能力は、ロウ(Lowe)ら、Cell(1990 )63:475;フィリップス(Phillips)ら、Science(1990)250−113 0;ワルツ(Walz)ら、Science(1990)250:1132;およびチレル(Tyrr ell)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:10372に記載され ている。 E−セレクチンおよびP−セレクチンがともに下記構造IVで示される異性体四 糖sLeaを認識することもまた示されている(バーグ(Berg)ら、J.Biol.Che m .(1991)265:14869;ハンダ(Handa)ら、Biochem.Biophys.Res. Commun .(1991)181:1223)。 本発明の化合物を製造するうえでの重要なステップは、sLexおよびsLea がともに三次元配置における構造上の類似性を共有することを認識することであ った。とりわけ、本発明者らは、これら四糖における2つの機能性エピトープで あるシアル酸およびフコースがセレクチンによる認識に適した仕方で空間的に近 接 して配置されていることを観察した。最も重要なことに、両四糖について本発明 者らは、シアル酸をフコースから機能的に隔てている該四糖のラクトースコアに 付随する4〜12の原子を同定した。本発明者らは、これら原子を置換すること によって本明細書中に記載し特許請求しているような、そのセレクチン結合活性 を保持した化合物を導くことができると想定した。4〜12というのは好ましい 原子数であるが、最も好ましいのは下記図に示すように6〜8である。 たとえば、sLex(IIIに示す)またはR=OHであるその修飾体(sLexGl c)の構造を詳しく調べてみると、エピトープすなわちα−Neu5Acおよび −フコースは下記構造III(a)に示すように6つの原子(1〜6)または8つの原 子(i〜viii)を介して連結しているのが示される。 (式中、Rは−NHAcまたは−OH) この発見に基づき、本発明者らは、E−セレクチンおよび他のセレクチンのレ クチンドメイン上の対応エピトープが類似の三次元立体配置で空間的に配置され ており、それゆえリガンド構造中の上記6つまたは8つの原子の保持が天然のリ ガンドとは構造が顕著に異なる活性なリガンドを生成できるという推論を導いた 。これら4〜12の原子は、式1において「Y」および「Z」として定義される ものを除外する。 さらに、本発明者らは、これら2つの機能性のエピトープをセレクチンによる 認識に適した仕方で空間的に近接して配置しながらラクトースコアを部分的また は完全に堅固なコアで置換することにより、本明細書中に記載し特許請求してい るような、そのセレクチン結合活性を保持した化合物を導くことができると想定 した。 これら知見を用い、本発明者らはついで、ある種のセレクチンリガンドを設計 した。このことは、シアル酸およびフコースをそのまま、またはそれらの類似体 または誘導体を6または8の原子を介して結合させて、構造式IおよびIIで示さ れる一連の化合物とすることにより行った。この一連の化合物は、セレクチンが その天然リガンドに結合するのを競合的に阻害するように設計されている。これ ら化合物は薬理学的に許容しうる賦形剤と組み合わせて広範な治療に有用な医薬 組成物とすることができる。 これら適当な反応性の官能基を含有する構造を、セラミドやセラミド模倣物(m imic)、ステロイド、ジグリセリドまたはリン脂質などの適当に保護した疎水性 担体と反応させて他の医学的に有用な分子を生成することができる。 これら化合物はセレクチンに結合し、循環している好中球が内皮細胞に結合す るのを防ぎ、それによって炎症応答を含むある種の疾患に関与する一次事象を防 ぐことにより、アンタゴニストリガンド分子、すなわち生化学的な阻止剤として 機能する。アゴニストリガンドは反対の作用を有する。 本発明の化合物は、シアル酸およびフコース残基上の官能基が天然のセレクチ ン上の受容体と結合できるように、これら官能基の三次元的に安定な配置を提供 するべく設計する。これら化合物は、下記一般構造式I: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に連結残基、好ましくは−CH2−、−O−、−S−、−SO−、−SO2− 、または−NR1(式中、R1はHまたは炭素数1〜4のアルキル);Xは連結残基 、好ましくは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、または−NR1−;および −R2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害できるようにAまた はBの三次元立体配置を妨害しない残基であり、好ましくは−OR1、−SR1、 −N3、および−N(R1)2、AおよびBはそれぞれ構造VおよびVIに示すものま たはその生物学的等量物(bioisosteres)である); および一般構造式II: (式中、Wは下記の構造を含む群から選択され、 これら式中、pは0〜2の整数、qは0〜3の整数、およびrは0〜5の整数; Aは好ましくはαまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、RおよびS形の マンデル酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロピオン酸 および酢酸、およびそのエステルおよびアミド、−SO3、スルホネート、−P O3、ホスホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジン; Bは好ましくはα形またはβ形のフコース、アラビノースおよびそのエステルお よびその置換形(1または2以上のOH基がそれぞれ独立にF、N3、NHAc、 NHCOCF3で置換されている); X、Y、Z CH2、N、O、S、SO、SO2; U=Oまたは−CH2; Q=Hまたは−X−(CH2)qB; R4=H、OH、F; R5=H、CH2−R4; R6=H、OH、NHAc、NHCOCF3; R7およびR8=H、−COR12、−CH2−O−(CH2)s−SO2−(CH2)s:N HG、−CH2−O−(CH2)sNH−(CH2)s−CH(NHG)−COOR1−CH2 −O−(CH2)s−CHO、−CH2−O−(CH2)s−(CHR13)s−(CH213) (式中、sは1〜10の整数)、またはR7とR8とは一緒になって5員または6員 の環を形成する(p=0であることを条件として)、該環はN、OおよびSからな る2個までのヘテロ原子を任意に含有する; R9、R10はそれぞれ独立にHまたはOH、またはR9とR10とは一緒になってオ キソ基である; R11=H、1−6Cアルキル、ハロゲン、OH、O−アルキル、またはO−アリ ール; R12=OH、2−10Cアルコキシ鎖、2−10Cアルキルアミン、ペプチド、 OM(式中、Mは対イオン、好ましくは金属イオン); R13=OCO−(CH2)t−CH3(式中、tは3−18の整数); G=ペプチド、−COR14または−SO214(式中、R14=アリール、アルキル 、アルケニルまたはアルキニル基))により示される。 構造式IおよびIIの化合物は、薬剤−セレクチンリガンド複合体を疾患の特定 部位にターゲティングできるように公知の薬剤、たとえば抗炎症剤と結合させる ことができる。さらに、これら化合物は、E−セレクチン、L−セレクチンおよ び/またはP−セレクチンなどのセレクチンの存在について試料をアッセイする のに有用な組成物とするため、または患者の炎症部位を検出するため、または急 性の炎症を治療するため(またはある種の疾患の炎症症候を治療するため)または 適当な細胞型上のセレクチンの相互作用が関与する疾患を治療するため、調合す ることができる。 一般構造式IにおいてR2は、R2位に結合したときに該分子が全体としてセレ クチン受容体に結合する能力を実質的に妨害しない残基として一般に定義される 。さらに詳しくは、R2は水素原子および炭素原子のみ、またはそれらとO、N および/またはPとを含む有機化合物であってよい。R2の特定の例示としては 、 (式中、R15およびR16はそれぞれ独立にアルキル、またはアルケニル、好まし くは炭素数1〜6または炭素数12〜18のアルキルである); (式中、uおよびvはそれぞれ独立に15〜24の整数であり、その際、該アル キル基は飽和または不飽和であってよい); (式中、Rは−CO(CH2)wCH3(式中、wは10〜16));または または または が挙げられる。 AおよびBの好ましい例は、それぞれ式VおよびVIに示してある。Aの他の例 としては、α形またはβ形のシアル酸または式Vに示すN−アセチルノイラミン 酸残基以外の他のシアル酸の類似体または誘導体、ケンプ酸、キニン酸、Rおよ びS形のマンデル酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロ ピオン酸および酢酸、およびそのエステルおよびアミド、−SO3、−PO3が挙 げられる。シアル酸のある種の類似体の合成は米国特許第5,138,044号に 記載されている。 Bの好ましい形態は、式VIに示すようにα形またはβ形のL−フコースである 。残基Bはまた、下記フコース構造VI(a): (式中、Meはメチル基、R17、R18およびR19はそれぞれ独立に−OH、−F 、−N(R1)2(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル)である) で示される置換形をも含む。Bの他の残基としては、フコースの対応カルボキシ ル類似体などの修飾フコシド;イノシトール;置換イノシトール;イミダゾール;置 換イミダゾール;ベンズイミダゾール;置換ベンズイミダゾール;グアニジン;置換 ブタン(置換基は−CH2、−CHR17、−CHR18、CH219を含む(式中、R17 、R18およびR19はそれぞれ独立にOH、Fまたは−N(R1)2));ペンタエリ トリトールおよび置換ペンタエリトリトールが挙げられる。式Iおよび式IIの化合物のアッセイ 式Iおよび式IIの化合物は、セレクチン受容体に結合し、および/または該受 容体の結合部位を阻止し、それによって天然のリガンドがセレクチン受容体に結 合するのを妨害する能力について試験することができる。式Iおよび式IIの化合 物を試験する一般的手順を以下に記載する。 ヒトセレクチンの細胞外部分がヒト免疫グロブリン重鎖CH3、CH2、および ヒンジ領域に結合してなる組換え融合タンパク質を使用するELISAアッセイ を用いるのが好ましい。たとえば、ワルツら、Science(1990)250:11 32;アルフォ(Aruffo)ら、Cell(1991)67:35;アルフォら、Proc.Na tl.Acad.Sci.USA (1992)89:2292を参照。このアッセイはよく知 られており、一般に下記3つの工程からなる。 I.2,3sLex糖脂質(25ピコモル/ウエル)をマイクロリットルウエル中に 溶液として移し、蒸発させた。結合せずに残った過剰分を水で洗い落とした。つ いで、ウエルを5%BSAで室温にて1時間遮断し、ついで1mMカルシウムを 含むPBSで洗浄した。 II.セレクチン−IgGキメラの多価受容体の調製を、各キメラ(1μg/mL) をビオチン標識ヤギF(ab')2抗ヒトIgG(Fc特異的)および1%BSA−P BS(1mMカルシウム)中で1:1000に希釈したストレプトアビジン−アル カリホスファターゼと混合し、37℃で15分間インキュベートすることにより 行った。これにより可溶性の多価受容体複合体が生成した。 III.式Iまたは式IIの化合物などの潜在的なインヒビターを上記可溶性受容体 と37℃で45分間反応させた。この試験は、可溶性相の受容体複合体とインヒ ビター(非天然リガンド)との間の最適の結合がこの時間枠内で起こることを想定 している。ついで、この溶液を工程Iで調製したマイクロリットルウエルに入れ た。プレートを37℃で45分間インキュベートして可溶性受容体をその天然の リガンドに結合させた。強力なインヒビターの存在下では、幾つかの受容体が天 然リガンドをコーティングしたマイクロリットルプレートに結合できるにすぎな い。 正の対照は、インヒビターの不在下で可溶性受容体をマイクロリットルウエル 中の2,3sLex糖脂質と反応させたときに該受容体によって産生されるシグナ ルである。これを100%結合とした。前以てインヒビターで処理した受容体に よって産生されたシグナル(O.D.として記録)を正の対照によって産生されたシ グナルで除し、これに100を乗じてインヒビターの存在下でウエルに結合した 受容体%を計算した。この逆数が抑制%である。 本発明の化合物には、シアル酸とフコースとが4〜12原子で隔てられたもの 、またはシアル酸またはシアル酸の類似体もしくは誘導体がフコースまたはその 類似体もしくは誘導体に結合した4〜12原子で隔てられたものが含まれること を認識することが重要である。 ここで図1を参照すると、血管の断面模式図が示されている。血管壁2の内側 には内皮細胞3が並んでいる。内皮細胞3は活性化されると図1において三角の 表面受容体4として示したE−セレクチンまたはP−セレクチンを合成すること ができる。赤血球5および白血球6(6A、6B)の両者が血管1内に流入する。 白血球6は炭水化物リガンド7を提示し、該リガンド7は該リガンド7の受容体 4への結合を可能にする化学的および物理的特性を有する。リガンド7が受容体 4に結合すると、図において白血球6Aとして示してあるように白血球6は血管 壁2を浸透する。周囲組織8中に浸透した白血球6Bは、感染に対する防御など のプラスの作用、および炎症などのマイナスの作用を有し得る。 本発明の重要な側面は図2を参照することにより記載することができる。式I および式IIの化合物は7Aとして示してあり、それ自体、E−セレクチン、L− セレクチンおよび/またはP−セレクチンなどのセレクチンに接着でき、医薬組 成物に調合することができる。該組成物は、投与したときにE−セレクチン、L −セレクチンおよび/またはP−セレクチンを有効にブロックし、白血球6に連 結したリガンド7の接着を防ぐであろう。薬理学的有効量の化合物7Aを投与す ることにより、すべてではないにしても幾つかの白血球は周囲組織に到達しない であろう。白血球が周囲組織に到達する速度を遅らせることにより、炎症を防止 および/または軽減することができる。 急性の炎症応答が起こるためには循環している白血球が血管壁に結合および浸 透し、損傷部位に接近する必要があることがわかっている。この相互反応には、 推定炭水化物リガンドのファミリーおよびその受容体を含む幾つかの分子が関与 しているらしい。以前に同定されている一つの分子は、E−セレクチンに対する 内生の炭水化物リガンドである。本発明は、内生のリガンドとして結合し、それ によってE−セレクチン受容体、L−セレクチン受容体およびP−セレクチン受 容体などの他のセレクチン受容体をブロックする一群の分子を提供する。 式Iおよび式IIの化合物はまた、分析または診断目的のための標準的な放射能 、蛍光、酵素または他の標識を用いて標識することができる。一般に式Iの化合 物の有意の部分は、示した化合物である。置換基R2の態様は、意図した用途に 依存するであろう。この置換基についての適当な態様は当業者に明らかであろう 。 本発明のリガンドの好ましい態様は、AまたはBで示される置換基がN−アセ チルノイラミル残基であり、Bがフコースであるものである。 本発明のリガンドがE−セレクチン受容体、L−セレクチン受容体および/ま たはP−セレクチン受容体などのセレクチン受容体に結合することができるため には、該リガンドは式Iおよび式IIで示す構造式と同じ立体配置において同じ原 子を含んでいる必要はないが、(1)式Iおよび式IIに示すような比較的安定な三 次元立体配置を有するか、または(2)式Iおよび式IIに示すものと実質的に同等 の立体配置を有していなければならない。他のリガンドの同等性は、該分子の物 理的な三次元構造および電子の立体配置、とりわけ式IVおよび式Vに示したAお よびB残基上に存在する基によって表された荷電関連特性と関連する。リガンドを同定するためのアッセイ(一般法 ) 候補リガンドをE−セレクチン、L−セレクチンまたはP−セレクチンへ接着 する能力についてアッセイすることができる。この方法は、式Iまたは式IIの候 補リガンドを基体表面に結合させ、ついで該基体表面を、高レベルのE−セレク チン、L−セレクチンまたはP−セレクチンを発現するように遺伝子操作した組 換え細胞に該細胞が候補リガンドを有する基体に接着するに充分な時間接触させ ることを含む。その後、該基体に接着しなかった細胞を分離するために遠心力そ の他の適当な方法を適用する。E−セレクチン、L−セレクチンまたはP−セレ クチンに接着した候補リガンドは、それぞれ細胞上の標識により決定する。かか る分子を単離し、特徴付け、ついでその構造を同定する。 細胞表面E−セレクチン、L−セレクチンおよび/またはP−セレクチンを発 現する放射性標識したCOS細胞をプローブとして用いて本発明の化合物をスク リーニングすることができる。E−セレクチン、L−セレクチンまたはP−セレ クチントランスフェクションしたCOS細胞は本発明の化合物の一部に接着する であろうが、このことはTLCプレート上で解離し、またはPVCマイクロリッ トルウエル上に吸着することができる。接着試験は生理学的条件で行うのが好ま しい。これら化合物の接着にはカルシウムが必要であるが、ヘパリン、コンドロ イチン硫酸、ケラチン硫酸または酵母ホスホーマンナン(PPME)によって抑制 されないであろう。5つの精製した化合物の単糖組成、結合分析およびFAB質 量分析は、E−セレクチン、L−セレクチンまたはP−セレクチンに対するリガ ンドが残基AおよびB並びにそれらが保持される位置に一般的に関連する共通の 構造特性を共有することを示すであろう。組換え法により製造した受容体を用いたE−セレクチンリガンド、L−セレクチ ンリガンドおよび/またはP−セレクチンリガンドとして機能する化合物の同定 E−セレクチン受容体、L−セレクチン受容体および/またはP−セレクチン 受容体の完全なCDNAを、IL−1刺激したヒト請静脈内皮から全RNAを単 離することから開始するPCRにより得た。得られたCDNAをCDM8プラス ミド(アルフォら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:8573を 参照)中に挿入し、該プラスミドを大腸菌で増幅させた。個々のコロニーからプ ラスミドDNAを単離し、COS細胞をトランスフェクションするのに用いた。 陽性のプラスミドを、HL−60細胞接着を支持するCOS細胞を産生する能力 により選択した。DNAシークエンシングは、これらクローンの一つがE−セレ クチン、L−セレクチンおよび/またはP−セレクチンをコードするものとして 明確に同定した(ベビラクアら、Science(1989)243:1160;ポルテ(P olte)ら、Nucleic Acids Res.(1990)18:1083;ヘッション(Hessio n)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:1673)。これら刊行 物は、E−セレクチンおよびその産生をコードする遺伝物質の開示を参照するた めに本明細書中に引用するものである。E−セレクチンcDNAの完全なヌクレ オ チド配列およびE−セレクチンタンパク質の推定アミノ酸配列はベビラクアらに よる上記文献に記載されており、該DNA配列およびアミノ酸配列を参照のため 本明細書中に引用する(1990年11月15日に公開されたPCT特許出願W O90/13300号公報(参照のため本明細書中に引用する)をも参照)。 膜結合したE−セレクチン、L−セレクチンおよび/またはP−セレクチンを 発現するCOS細胞を代謝的に32PO4で放射性標識した。これら標識した細胞 は、式Iまたは式IIの化合物の認識をスクリーニングするための2つのアッセイ 系においてプローブとして用いることができる。さらに詳しくは、式Iまたは式 IIの化合物をPVCマイクロリットルウエルの底に吸着させるか、またはTLC プレート上で解離することができる。いずれのアッセイにおいても、これら化合 物がE−セレクチン、L−セレクチンおよび/またはP−セレクチンでトランス フェクションしたCOS細胞、トランスフェクションしていないCOS細胞、ま たは関係のないcDNAを含むプラスミドでトランスフェクションしたCOS細 胞の接着を制御された脱離力の条件下で支持する能力についてプローブすること ができる(スワンク−ヒル(Swank−Hill)ら、Anal.Biochem.(1987)18 :27;およびブラックバーン(Blackburn)ら、J.Biol.Chem.(1986) 61 :2873(各文献は、該アッセイ法の詳細の開示を参照するために引用する )を参照)。 R2はリンカーであって、該リンカーはセラミドまたはタンパク質またはペプ チドを含む適当な接着可能な残基であってよく、好ましくは基体または薬理学的 に活性な薬剤に共有結合するのを可能にする反応性基を有する基であることが示 されている。本発明の一つの態様において、「リンカー」は1またはそれ以上の リガンドを支持体ベースに結合させる。ついで、支持体ベースを試料と接触させ て試料中の所望のセレクチンの存在についてアッセイする。 「リンカー」は薬理学的に活性な薬剤をR1位にて該化合物に結合させるのに 用いることができる。かくして生成した(リガンド−リンカー−薬剤)コンジュゲ ートは、結合した薬剤の有効なドラッグデリバリーシステムを提供する。R1位 に残基を結合する方法は反応式Vに示してある。 抗炎症剤として機能するナプロキセンやイブプロフェンなどのNSAIDすな わち非ステロイド抗炎症剤は該修飾リガンドに結合して投与でき、炎症部位にて 等価もしくはそれ以上の抗炎症作用をもたらしながら通常よりも少ない投与量で 全身投与することができる。結合することができる他の薬剤としては、抗生物質 、血管拡張剤および鎮痛剤が挙げられるが、これらに限られるものではない。そ のようなドラッグデリバリーシステムは、通常の投与量の1/2から1/10の 量で投与しながら炎症部位にて同じ抗炎症作用を得ることができるので、薬剤に より通常引き起こされる全身作用を減少させうる。合成法(一般法 ) 式Iおよび式IIの化合物は、下記に記載する一般および特定合成反応式および 実施例を用いて製造できる。しかしながら、当業者であれば本発明が包含するこ とを意図するその変法を認識するであろう。一般に、式Iおよび式IIのAおよび B残基は所望の三次元立体配置にて連結され保持される。かかる製造のための簡 単な反応式を下記に示す。 (式中、各Xは、独立に−OH、−NH2、−SH、およびClやBrなどのハロ ゲンよりなる群から選ばれたものであり、AおよびBはそれぞれシアル酸および フコースおよびその生物学的等量物である)。反応式Iの一層詳細な態様を以下 に記載する。 フコースが結合した反応式を以下に示す。 AおよびBが所望の立体配置にある他の態様の反応式を以下に示す。 標識されたまたは他の所望の化合物に結合した化合物を得るために式Iの化合 物を変化させることができる。 そのような化合物を得るための一般的な反応式は下記のとおりである。 上記化合物をついで蛍光プローブ、多価化合物、セラミド、コレステロールま たは他の脂質成分、または抗炎症剤などの薬理学的に活性な薬剤と反応させるこ とができる。使用および投与 構造式IまたはIIで示される種々のリガンドなどの本発明の化合物を、治療を 必要とする患者に予防的に炎症を防ぐかまたは炎症が始まってから炎症を軽減す るかのいずれかによって患者を治療するために投与することができる。これらリ ガンドは薬理学的に許容しうる担体とともに投与できるが、該担体の性質は投与 方法によって異なり、たとえば通常、経口投与では固体担体を用い、静脈内投与 では液体の塩溶液担体を用いる。調合の選択は、たとえば、医薬グレードのマン ニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンセル ロースナトリウム(sodium saccharin cellulose)、炭酸マグネシウムなどを含む 種々の賦形剤を用いて行うことができる。経口組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、 丸剤、カプセル剤、除放製剤、または散剤の形態であってよい。特に有用なのは 、本発明の化合物をDMSOなどの浸透促進剤とともに皮下製剤として直接投与 することである。他の局所製剤を皮膚炎症を治療するために投与することができ る。 充分な量の化合物を投与して、疾患、たとえば炎症を引き起こすと思われるか または実際に引き起こすセレクチンの実質部分に結合させ、炎症が予防または改 善されるようにする。それゆえ、本明細書において使用する「治療」とは適当な 疾患を予防または改善することを意味する。一般に、本発明の組成物は1%未満 〜約95%の活性成分を含み、好ましくは約10%〜約50%の活性成分を含む 。好ましくは、約10mg〜50mgを子供に投与し、約50mg〜1000m gを成人に投与するであろう。投与の頻度は、患者の応答性に基づいて与えられ るケアにより決定されるであろう。他の有効投与量は、用量応答曲線を確立する 日常的な試行により当業者が容易に決定できる。 セレクチン受容体を阻止する化合物の投与量を決定する際には、すべての受容 体を完全に阻止しようとすべきでないことを留意すべきである。正常な治癒プロ セスが進行するためには、少なくとも幾つかの白血球または好中球が損傷、感染 または疾患状態が生じている領域の組織中に運びこまれる必要がある。阻止剤と して投与するリガンドの量は、治療しようとする疾患のタイプなどの種々の因子 を考慮に入れながら患者の特定のニーズに基づき注意深く調節する必要がある。 本発明の化合物は、慢性関節リウマチや多発性硬化症などの疾患を含む広範囲 の疾患を治療するために用いることができると思われる。本発明の組成物は、免 疫系が人体に対して向けられて組織損傷、腫脹、炎症および/または疼痛を引き 起こす程度まで白血球が組織中に蓄積するようなすべての疾患状態を治療するの に適用すべきである。 たとえば慢性関節リウマチの炎症は、多数の白血球が疾患領域の関節に速やか に侵入し、周辺の組織を攻撃するときに生じる。 本発明の調合物はまた、心臓発作の結果起こる組織損傷の望ましくない後遺症 を防ぐためにも投与できる。心臓発作が起こって抗凝血薬や血栓溶解剤(たとえ ば、tPA)の適用などによって患者が蘇生したときに、血餅が生成した内皮細 胞の並びはしばしば損傷を受ける。抗血栓剤が血餅を除去したときに該血餅の下 部にある損傷組織および酸素を奪われていた内皮細胞の並び中の他の損傷組織が 活性化される。活性化された内皮細胞は、ついで該細胞が損傷を受けてから数時 間以内にB−セレクチン受容体を合成する。受容体は血管内に延びていき、そこ で白血球の表面上の糖脂質リガンド分子に接着する。多数の白血球が速やかに捕 捉され、活性化された内皮細胞の領域の周囲組織に引き入れられ、その結果、炎 症、腫脹および壊死が生じ、これらは患者の生存の蓋然性を減少させる。 心臓発作の結果としての外傷を患う患者を治療することに加えて、人体のある 領域が重篤な外傷に晒された後に通常生じる炎症および腫脹を軽減するために実 際の物理的外傷を患う患者を本発明の調合物で治療することができる。本発明の 調合物を用いて治療できる他の疾患状態としては、種々のタイプの関節炎および 成人呼吸障害症候群が挙げられる。本明細書を読んだ後、当業者であれば本発明 の調合物の投与によって治療および/または緩和することのできる他の疾患状態 および/または兆候を認識できるであろう。 他の投与方法もまた本発明に使用できるであろう。たとえば、本発明のリガン ド分子を坐剤に調合することができ、ある場合にはエアロゾルおよび鼻内組成物 に調合することができる。坐剤のためには、ビヒクル組成物に従来の結合剤およ びポリアルキレングリコールやトリグリセライドなどの担体が含まれるであろう 。そのような坐剤は、活性成分を約0.5%〜約10%(w/w)、好ましくは約 1%〜約2%の範囲で含む混合物から調合できる。 鼻内組成物は、通常、鼻粘膜に刺激を引き起こすことも絨毛の機能を有意に妨 害することもないビヒクルを含むであろう。水、食塩水または他の知られた物質 などの希釈剤を本発明に用いることができる。鼻内調合物はまた、クロロブタノ ールや塩化ベンザルコニウムなど(これらに限られるものではない)の防腐剤を含 んでいてよい。本発明のタンパク質の鼻粘膜による吸収を促進するために界面活 性剤が含まれていてもよい。 本発明の化合物はまた、注射剤として投与することができる。一般に、注射剤 組成物は液体の溶液または懸濁液として調製する。注射前に液体ビヒクル中に溶 解または懸濁するのに適した固体剤型も調製できる。調製物はまた乳化すること ができ、リポソームビヒクル中に活性成分を包括することができる。 式Iまたは式IIの化合物は、両立しうる薬理学的に許容しうる賦形剤と混合す ることができる。 適当なビヒクルは、たとえば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、 エタノールなど、またはその組み合わせである。さらに、所望なら、ビヒクルは 湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤などの補助物質を少量含んでいてよい。そ のような投与剤型の実際の調製法は、当業者には知られ、または明らかであろう 。たとえば、レミングトンのファーマシューティカルサイエンスィズ(Remingto n's Pharmaceutical Sciences)(マック・パブリシング・カンパニー(Mack P ublishing Company)、イーストン、ペンシルベニア、第17版、1985)を参 照。いずれにせよ投与すべき組成物または調合物には、治療しようとする患者の 所望の状態を達成するのに適した量の化合物が含まれるであろう。 本発明の種々の化合物は、それ自体で、または上記薬理学的に許容しうる賦形 剤と組み合わせて用いることができる。しかしながら、本発明の化合物は何らか の仕方で(たとえば、R1残基を介して)標識に結合させたコンジュゲートとして 調製できる。かかるコンジュゲートを形成することにより、本発明の化合物は、 疾患部位を検出しうるような標識の生化学的デリバリーシステムとして機能しう る。 たとえば、炭水化物は種々の手順、たとえば、放射性同位体またはnmrエン ハンサーと直接複合体を形成しうる構造を形成するためのヒドロキシル結合のエ ステル化、アミノジ酢酸(IDA)の窒素原子および酸素原子を介して放射性同位 体と複合体を形成しうるN−結合グリコシド誘導体を形成するための有機溶媒中 での該炭水化物とIDAとの反応、または直接標識しうるアミノ酸(たとえば、 システイン、チロシン)もしくは2官能性キレート化剤を介して標識しうるアミ ノ酸(たとえば、リシン)への該炭水化物のカップリングにより標識することがで きる。 適当な放射性原子としては、たとえば、テクネチウム99m(99mTc)、ヨウ 素−123(123I)またはインジウム−111(111In)がシンチグラフィー研究 のために挙げられ、または核磁気共鳴(nmr)造影(磁気共鳴造影(mri)とし ても知られる)のためにはガドリニウム、マグネシウムまたは鉄などの標識、ま たはヨウ素−124、フッ素−19、炭素−13、窒素−15または酸素−17 などの陽電子放出同位体が挙げられる。 本発明の化合物は、滅菌した非発熱性媒体中にて調製し、医者または放射線医 学者によって通常の仕方で決定した投与量にて患者の血流中に注入する。(i)非 特異的な分散と比較した活性化内皮への結合の特異性と(ii)活性化内皮上の該化 合物の全量との間の良好なバランスを達成するのに充分な時間の後、使用した標 識の性質に従って都合のよい仕方で該化合物を造影する。 本発明の化合物はまた、試料中のE−セレクチン、L−セレクチンおよび/ま たはP−セレクチンの受容体などのセレクチン受容体の存在について試験するた めの研究室プローブとしても使用できる。そのようなプローブは放射性標識など で標識するのが好ましい。放射性標識原子、たとえば放射性C、O、N、Pまた はS、蛍光染料および酵素標識を含む多数の標識が知られており、これらは公知 の手順を使用して本発明の化合物に結合することができる。標識並びに標識の糖 残基への結合方法については、スミス(Smith)らの1989年7月18日に発行 された米国特許第4,849,513号明細書(該特許を標識および標識の結合方 法を開示するものとして参照のため本明細書中に引用する)に開示されている。 有用性 本発明の化合物は、本明細書中に記載するように、ある種の疾患の治療のため の相当の有用性を有する。しかしながら、これは本発明の化合物の唯一の有用性 ではない。他の有用性は、種々のセレクチンへのリガンドの結合に預かる特定の 化学残基の同定にある。本明細書に記載するセレクチン結合アッセイを用いるこ とにより、セレクチンリガンドを構成する化学残基のうちのどれがセレクチン結 合に預かるかを容易に決定することができる。 実施例 下記実施例は、本発明の化合物および組成物の製造法の完全な開示および記載 を当業者に提供するために提供されるものであるが、本発明者らが本発明と考え るものの範囲を限定することを意図するものではない。使用した数字(たとえば 、量、温度など)については正確を期すべく努力はしたが、多少の実験誤差や偏 差は考慮されるべきである。とくに断りのない限り、部は重量部であり、温度は ℃であり、圧力は大気圧もしくはほぼ大気圧である。 本発明の下記化合物が、シアル酸をフコースから隔てる、またはシアル酸の類 似体もしくは誘導体をフコースから隔てる、またはその逆の四糖のラクトースコ アに付随する4〜12の原子を有することを認識することは重要である。 実施例1 1−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−ヘキサン −6−オール(4) ヘキサン−1,6−ジオール(、6g、25モル)を2:1 1,2ジクロロエタ ン−N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中に溶解し、BU4NBr(4.0g )を加え、この混合物を不活性(アルゴン)雰囲気下で室温にて(3時間)撹拌した 。ジクロロエタン(1ml)中のメチル2,3,4−トリ−−ベンジル−1−− フ コピラノシルブロマイド()[2,3,4−トリ−−ベンジル−チオ−α−O −フコピラノシド(、1g)を臭素(70μl)と反応させることにより調製]の 溶液を反応混合物中に加えた。T.L.C.(5:1:0.5 トルエン−アセトン−M eOH)は生成物の生成を示した。T.L.C.上で複数溶出したところ(6:1×1 および8:1×2 トルエン−酢酸エチル)、一つの主生成物(RF=0.34)およ び一つの主要でない生成物(RF=0.30)が示された。濾過、蒸発およびカラ ムクロマトグラフィー精製により標記化合物(主生成物)をシロップ(730m g)として得た。 33HA26として計算、正確な質量:534.29。f.a.b.による実測値− m.s.:535.6(M+1)+、580.0(M+NO2)−、687.8(M+NBA )−。 さらに溶出を続けるとαフコシドとβフコシドの混合物(65mg)、ついで純 粋なβ−アノマー(140mg)が得られた。 実施例2 メチル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジ−デ オキシ−2−O−[6−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピ ラノシル)ヘキシル−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノソネ ート(6) 化合物(329mg)および化合物(970mg)を乾燥プロピオニトリル( 5.0ml)中に溶解し、モレキュラーシーブ4Å(1g)を加え、混合物を室温に て2時間撹拌した。銀トリフラート(1.1g)を加え、該混合物を入れた栓で密 封したフラスコを−73℃に冷却した。ジクロロエタン(989.9mg/2.5 5mL)中のメチルスルフェニルブロマイドの溶液(950μl)を反応混合物中 に注入した。 2時間後、CHCl3中のEt3Nの溶液(5ml中に1mL)を加えることによ って反応を停止させ、有機層の濾過、水洗、乾燥(MgSO4)、濾過および蒸発 により粗製の生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィー精製して標記化 合物8(178mg、30%)をシロップとして得た。 実施例3 1−O−α−Neu5Ac−(6−O−α−L−フコピラノシル)−ヘキサン(7) 化合物6をナトリウムメトキシドを用いてメタノール中で脱アセチル化した。 陽イオン樹脂(IR120−H+)で0〜56℃にて中和した後、溶液を濾過し、 蒸発させてシロップを得た。このシロップ状物質を1:1 10%水性メタノール −p−ジオキサン(5ml)中に溶解し、0.2Mの水酸化カリウム水溶液(1.5 ml)と0℃〜室温にて15時間反応させた。反応混合物をIR120(H+)で 中和し、濾過し、蒸発させてシロップ(Rf=0.37、2;1 CHCl3−10% 水性MeOH中でのTLC)を得た。この物質を10%水性MeOH(5ml)中 に溶解し、5%Pd−C(100mg)上、大気圧にて水素化した。この水素化し た生成物のTLCは、ただ一つの生成物(Rf=0.06、2:1 CHCl3−10 %水性MeOH)を示した。反応混合物をセライトで濾過し、濃縮し、生成物を 水を溶出液として用いたバイオゲルP2カラムからのクロマトグラフィーにより 精製した。適当なフラクションをプールし、凍結乾燥して純粋な化合物を得た 。1H−NMRデータ(D2O−アセトン): 実施例4 6−O−[(R,S)−1−メトキシカルボニル−エチル−ヘキサニル−2,3,4− トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシド() 化合物(2.9g、6.2ミリモル)および化合物3(37g、313.0ミリモ ル)を500ml容フラスコに移し、高真空下で乾燥し(8時間)、6:1 ジクロ ロメタン−N,N−ジメチルホルムアミド(350ml)中に溶解した。モレキュ ラーシーブ4A(5g)を加え、溶液を撹拌し(2時間)、ついで冷却し(0℃)、つ いでCuBr2(2.33g)およびBU4NBr(3.7g)を加えた。この暗色の反 応混合物を室温にて撹拌し(3〜4時間)、セライト濾過し、全濾液を飽和NaH CO3、飽和NaClおよび水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過 し、蒸発させてシロップを得た。 10:1(300ml)、40:1(1.5L)および20:1 トルエン−アセトン を用いた乾燥シリカゲルカラム(400g)からのカラムクロマトグラフィーによ り、純粋な生成物(8)をシロップ(1g)として得た。分子式C33426(分子量 534.70)。実測値:535.6(M+1)+、417.4(M−117)+および 580.0(M+NO2)−、687,8(M+NBA)−。1H−NMRおよび13C− NMRは、それがaフコピラノシドおよびB7L−フコピラノシドの混合物であ ることを示した。 化合物8(0.97g)をディーン−スタークアセンブリーを備えた100ml 容フラスコ中にてトルエン(50ml)中に分散させた。トルエン(15ml)を留 去し、ついで(BU3Sn)20(1.52ml)を反応混合物に加えた。さらにト ルエン(20ml)を留去し、得られた溶液を再還流した(2〜3時間)。停止コッ クを備えた短首蒸留アセンブリーを用い、回転エバポレーター上ですべてのトル エンを蒸発させた。スタンニル化物質を入れた排出フラスコを停止コックを用い て遮蔽し、ロータバプ(rotavap)から除いた。アルゴンをフラスコ中に導入し、 ついで2−クロロプロピオン酸メチル(1.5ml)を導入した。内容物を撹拌し 、アルゴン雰囲気下で12時間加熱した(95〜100℃)。この混合物を冷却し 、砕氷、ついでジクロロメタン(15ml)をフラスコ中に導入した。全内容物を 分別漏斗に移し、有機層を水洗し、分離し、乾燥させた(MgSO4)。濾過およ びジクロロメタンの蒸発により粗製の生成物が得られ、これをドライパックのシ リカゲル(150g)カラムに移し、トルエン(120ml)、ついで60:1(20 0ml)および80:1 トルエン−アセトンで溶出した。生成物()のアノマー 混合物がシロップとして得られた。 実施例5 1−O−(α−β−L−フコピラノシル)−6−O−[(R,S)−1−カルボキシ エチル]−ヘキサン(10) シロップを10%水性メタノール中に溶解し、10%Pd−Cの存在下、大 気圧下にて水素化した(2日間)。反応の完了はTLC(5:1:0.2 トルエン− アセトン−10%水性MeOH)により決定した。反応混合物をセライト濾過し 、得られた透明な濾液を蒸発乾固して粗製の生成物10を得た。101H−N MRは芳香族シグナルの完全な不在を示した。 化合物10を1:1 p−ジオキサン−MeOH(2.5ml)中に溶解し、10 %水性MeOH(3.0ml)を加え、ついで0.2Mの水性KOH(1.5ml)を 0〜5℃にて加えた。ついで、反応を室温にて8〜10時間続けた。TLC(5: 1:1 トルエン−アセトン−10%水性MeOH中で1時間毎)は、より低いRf の生成物に変換されたことを示した。この反応混合物をIR120(H+)で中和 し、濾過し、蒸発させた。得られたシロップをドライパックのシリカゲルカラム に負荷し、5:1:1 トルエン−アセトン−10%水性MeOHで溶出した。過 メチル化誘導体としての純粋な生成物(Rf=0.17)のGC−MSは、一つの主 要な成分および一つの主要でない成分(αおよびβ−−フコピラノースのため) を示し、これらは同じフラグメンテーションパターンを有し、主要なm/eは1 89(2,3,4−トリ−O−メチル−L−フコース)+、157[m/e 189 −32(OCH3)]、115および88[すなわち、{O−ヘキシル−O−CH −(COOCH3)(CH3)により合計203]にあった(図3)。 実施例6 O−ヘキサメチレン結合したα,β−NeuNAcおよびα,β−L−フコピラノ ース(14および15)の合成 化合物(203.6mg)およびドナー(597mg)をアセトニトリル(7. 0ml)中に溶解し、モレキュラーシーブ4A(2g)の存在下で撹拌した。銀ト リフラート(764mg)を加え、混合物を冷却し(−30℃)、ついでメチルスル フェニルブロマイドの溶液(989.9mg/2.55mlを含有するストック溶 液を355μl)を加えた。反応の終了時に(2〜3時間)反応液を常法により処 理し、粗製の生成物をシリカゲル(350g)カラム上に負荷し、5:1:0.1(1 80ml)および7:1:0.1(トルエン−アセトン−MeOH)で順番に溶出した 。生成物をそれぞれ2つの主要なフラクション(76−83)および(84−1 1 0)において混合物として単離した。両フラクションは下記の13C−NMRを示 した: NMRは第一の生成物混合物がα−fucおよびβ−NeuNAcの主要部分 を含んでいることを示した。脱保護 各プールのフラクションを別々に脱保護した。脱保護は触媒量のナトリ ウムメトキサイドを用いてメタノール(乾燥)中で行った。中和(IR120H+) 、濾過および蒸発後、得られたシロップを2:1 MeOH−p−ジオキサン(3 ml)中に溶解し、0.2Mの水性KOH(1.5ml)を加えて鹸化して生成物(Rf =0.35および0.33)を得た(TLC溶媒(2:1 CHCl3−10%水性M eOH))。 予測された分子式:C4459NO(分子量:825.96;正確な質量:825.3 9)。実測値:848.5(M+Na)+および824.6(M−1)−。 得られたシロップ状生成物を10%水性MeOH中に溶解し、10%Pd−C 上で1気圧にて水素化した。t.L.c.(2:1 CHCl3−10%水性MeOH) は出発化合物の不在および新たな生成物(Rf=0.17)の出現を示し、濾過、蒸 発および凍結乾燥により2つの混合物(14および15)を得た。予測された分子 式:C2341NO14(分子量:555.552;正確な質量:555.253)。実測値 :556.5(M+1)+、578.5(M+Na)+、292.2(2,3−エンシアル 酸+1)+、265.3(M−291)+および554.2(M−1)−。分析および試験 14および15として示した2つの特定の生成物の分析および 試験を以下に記載する。これら各化合物の構造は上記で示した。α−ノイラミニ ダーゼ処理した14および15のTLCの比較は、両化合物が主要成分としてα 結合したシアル酸を含むことを示した。しかしながら、NMRは、これら2つの 混合物のうちの第一のものがα−−フコースの大部分を含むことを示した。こ れら試料をジオネックス(Dionex)(0.1M NaOHでアイソクラチック溶出す るカーボパック(Carbopak)DA1カラム)により個々に分析したところ、フコー スとNeu5Acとが等比率で含まれることがわかった。溶出プロフィールは、14 および15の両方に対して4つの別々のシグナルの存在を示した(図4)。ノ イラミニダーゼ処理後のNMR情報およびTLCデータに基づき、遅い速度で溶 出する主要なシグナルはα結合したシアル酸を有する化合物であることが示され た。一層早く溶出する主要でない成分はβ結合した−フコシドを含有していた 。プール2(14)は、高比率のβ−L−フコピラノシド(ヘキサメチレンを介し てO−α−シアル酸にO−結合)を含有していた。 実施例7 新規なβ−ガラクトピラノシド(16)の合成 メチル2,3−ジ−O−ベンゾイル-4,6−O−ベンジリデン−1−チオ−β −D−ガラクトピラノシド(1.5g)およびメチル−(2R,3R)−L−酒石酸( 5.8g)を、モレキュラーシーブA(4g)を含有するジクロロメタン(12ml) 中に溶解した。1時間撹拌した後、銀トリフラート(1.2g)を加え、ついでジ クロロエタン中のメチルスルフェニルブロマイドの溶液(0.989g/2.55 mlを1.2ml)を加えた。TLC(トルエン−アセトン 10:1)は最初の反応 物の完全な消失および2つの生成物の生成を示した。反応混合物をEt3Nで中 和し、ついで濾過および水性処理を行うとシロップ状の生成物が得られ、これを シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン−アセトン 8:1)により精製した。α −ガラクトシドが最初に溶出し(800mg、42%)(αD+191°−(c2、 CHCl3))、ついで純粋なβ−ガラクトシド16(880mg、47%)が溶出 した。 実施例8 メチル−L(+)−(2R,3R)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α− L−フコピラノシル)酒石酸(17)の合成 チオフコシド()およびメチル−L−(2R,3R)−酒石酸を化合物の合成 について記載した条件下にてN,N DMF−ジクロロエタン中で反応させてαフ コシドおよびβフコシドの混合物を得、βフコシド17をシリカゲルカラムクロ マトグラフィー(トルエン アセトン 40:1)により主要な生成物として単離し た。このシロップ状の物質は、αD;分子式C333810(594)を有していた。 実測値:617.1(M+Na)+および595.1(M+H)+。 実施例9 メチル−D(−)−(2S,3S)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β− L−フコピラノシル)酒石酸(18)の合成 チオフコシド()およびメチル−D−(2R,3R)−酒石酸を化合物の合成 について記載した条件下にてN,N−DMF−ジクロロエタン中で反応させてα フコシドおよびβフコシドの混合物を得、βフコシド18をシリカゲルカラムク ロマトグラフィー(トルエン アセトン 40:1)により主要な生成物として単離 した。このシロップ状の物質は、αD;分子式C333810(594)を有していた 。実測値:617.1(M+Na)+および595.1(M+H)+。 実施例10 メチルL(+)−(2R,3R)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6− O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−3−O−(2,3,4−トリ−ベン ジル−α−L−フコピラノシル)酒石酸(19)の合成 化合物17(1.2g)をジクロロエタン(10ml)中に溶解し、モレキュラー シーブ4A(3g)の存在下、窒素雰囲気下で室温にて撹拌した(1〜2時間)。銀 トリフラート(0.75g)および1,1,3,3−テトラメチル尿素(0.26ml) を加え、−15℃に冷却し、1−ブロモ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−6− O−ベンゾイル−D−ガラクトピラノシド(対応するメチル−1−チオ一前駆体( 1.48g)から調製)の溶液を加えた。通常の処理の後、クロマトグラフィー精 製をして純粋な化合物19をシロップ(270mg)として得た。 実施例11 1−O−(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−ベンジル−β−D−ガラ クトピラノシル)−3−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラ ノシル)−プロパン−2−オン(22)の合成 対応メチル−1−チオガラクトピラノシド前駆体(4.7g)から調製したジク ロロエタン中の1−ブロモ−2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−ベンジ ル−β−D−ガラクトピラノシドの溶液を、ゾルケタール(3.0ml)、モレキ ュラーシーブ4A(3.0g)、銀トリフラート(2.8g)および1,1,3,3−テ トラメチル尿素(0.75ml)を−15℃のジクロロエタン(7ml)中に含有す る撹拌混合物中に加えた。TLC(20:1 トルエンアセトン)は2時間後に一つ の生成物への完全な変換を示した。通常の処理および生成物の回収後、粗製の物 質を60℃にて80%酢酸水溶液で処理して1−O−置換プロパンシン−2,3 −ジオール(20)を得た。 BU4NBr(17g)を含有する2:1 ジクロロエタン−N,N−DMF(20 ml)中の化合物20(3.0g)の溶液に化合物(3.0g)の溶液を加え、混合 物を室温にて撹拌した(14時間)。クロロホルム(20ml)を加え、反応混合物 を濾過し、水洗し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて粗製の生成物を 得た。カラムクロマトグラフィーにより純粋な1−O−(2,3,4−トリ−O− ベンゾイル−6−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−3−O−(2, 3,4−トリ−200−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−プロパン−(R,S )−2−オール(21)をシロップとして得た。 ジメチルスルホキシド(25ml)中の化合物21(4.6g)の溶液に無水酢酸( 4.0ml)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下で室温にて12時間撹拌した。T LC(10:1 トルエン−アセトン)は出発化合物(Rf=0.18)の一つの生成物 (Rf=0.29)への完全な変換を示した。反応混合物を凍結乾燥し、シリカゲル カラムに素早く溶出させて化合物22(4.05g、88%)を得た。 分子式:C646215(1071.12):計算した正確な質量1070.4、実測値 :1093.1(M+Na)+ 実施例12 [O−(α−L−フコピラノシル)−エチル]3−O−(α−Neu5Ac)−β− D−ガラクトピラノシド(28)の合成 モレキュラーシーブ4A(5.0g)を含有するアセトニトリル(25.0ml)中 にエチレングリコール(5.0ml)を溶解し、室温にて1.5時間撹拌した。銀ト リフラート(870mg)をフラスコに加え、ついでジクロロエタン(DCE)中の メチルスルフェニルブロマイド(MSB)の新たに調製した溶液(0.99g/2. 0mlを500μl)を加えた。MSBの添加直後にドナー23の溶液(メチル4 ,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−ガラ クトピラノシド、1.0ml中に495mg)を反応フラスコ中に室温にて激しく 撹拌しながら滴下した。MSB(400μl)および化合物23(1.0ml中に4 95mg)をさらに加え、反応を完了させた。TLC(15:1:1 トルエン−ア セトン−メタノール)は一つの生成物(Rf=0.22)を示し、これをカラムクロ マトグラフィーで単離し、通常の処理の後、2−ヒドロキシエチル−4,6−O −ベンジリデン−2,3−ジ−O−ベンゾイル−b−D−ガラクトピラノシド( )(950mg、94%)を得た。 分子式:C29289(520.505)、計算した正確な質量:520,173、実 測値:521.5(M+H)+、543.4(M+Na)+および673.6(M+NB A)− ガラクトシドアクセプター(24)(940mg)およびチオ−フコシドドナー( 1.1g)を5:1 DCE:DMF(10ml)中に溶解し、この溶液をモレキュラ ーシーブ4A(1.75g)の存在下、窒素雰囲気下で撹拌した(1時間)。この溶 液に臭化第二銅(0.75g)およびBU4NBr(1.30g)を加えた。TLC(1 0:1 トルエン−アセトン)は6時間後に一つの化合物(Rf=0.34)への完全 な変換を示した。通常の処理の後、得られたシロップ状の生成物を乾燥シリカゲ ルカラム(150g)から5 10:1(200ml)および20:1トルエン−アセ トンを用いて溶出して、α結合フコシドおよびβ結合フコシドを含有する混合物 (25、0.55g、NMRによりα:β2.2:1)および純粋なα−L−フコシド をシロップ(0.72g)として得た。 元素分析(C565613 MeOH(969.036)として):計算値:C69 . 41(%)、H5.82(%)、実測値:C69.99(%)、H5.72(%) 化合物25の脱ベンゾイル化をナトリウムメトキサイドを用い、メタノール中 で行ってジヒドロキシ化合物26を得た。 元素分析(C424811(728.793)として):計算値:C69.20(%)、H6 .64(%)、実測値:C68.11(%)、H6.64(%) 上記ジヒドロキシアクセプター(26、163mg)およびチオシアロシドドナ ー(、591mg)をアセトニトリル(7.0ml)中に溶解し、モレキュラーシ ーブ4A(2.4g)の存在下で撹拌した(2時間)。銀トリフラート(614mg) を加え、撹拌溶解し、反応混合物を冷却した(−43℃)。MSB(348μl)を 加え、反応を一夜(12時間)続け、この時間の終わりにEt3N(1.0ml)を加 えて反応を停止させた。濾過し、残渣をクロロホルム(10ml)で洗浄した後、 濾液を水性NaHCO3および水で洗浄した。濾液を乾燥(MgSO4)および蒸発 させて粗製の生成物を得、これから所望のシアリル化化合物27をカラムクロマ トグラフィーによりシロップ(78mg)として単離した。分子式:C627523( 1202.28)、計算した正確な質量:1201,473、実測値:1224.6( M+Na)+、1202.9(M+H)+、1247.2(M+NO2)−1354.5( M+NBA)− 水素化ついで塩基の加水分解により標記化合物28を得た。分子式:C2543 19(661.62)、計算した正確な質量:661.24、実測値:662.8(M+ H)+、660.1(M−H)− 実施例13 1−O−(3−O−α−カルボキシエチル−β−D−ガラクトピラノシル)−2− O−α−L−フコピラノシル)−3−O−(n−プロピル)−プロパン(32)の合 化合物20(3.1g)をトルエン中のジブチルスズオキシド(2.46g)で活性 化し、テトラブチルアンモニウムブロマイド(2.16g)の存在下でアリルブロ マイド(0.8ml)で処理した。12時間後、tlc(15:1:0.1 トルエン− アセトン−メタノール)は一つの主要な生成物(Rf0.32)の生成を示した。反 応混合物を蒸発させてシロップとし、乾燥シリカゲルカラム(140g)上に負荷 し、トルエン(140ml)、10:1:0.1 トルエン−アセトン−メタノール( 100ml)および20:1:0.1 トルエン−アセトン−メタノールで順番に溶 出して1−O−(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−ベンジル−β−D −ガラクトピラノシル)−3−O−アリル−プロパン−2−オール(29、2.0 2g)を得た。 化合物29(2.0g)のフコシル化を、CuBr2(1.72g)、BU4NBr( 3.83g)およびモレキュラーシーブ4A(2.8g)の存在下で室温にてフコシ ルドナー(、3.0g)を用いて5:1 ジクロロエタン−DMF(12ml)中で 行った。通常の処理の後、カラムクロマトグラフィーを注意深く行うことによっ て生成物を粗製の混合物から単離して1−O−(2,3,4−トリ−O−ベンゾイ ル−6−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−2−O−(2,3,4−ト リ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3−O−アリル−プロパン(30 、1.0g)を得た。化合物30をメタノール(10ml)中に溶解し、NaOMe (50mg)で脱アシル化して1−O−(6−O−ベンジル−b−D−ガラクトピ ラノシル)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル )−3−O−アリル−プロパン(31、400mg)を得た。分子式:C465612 (分子量800.89);実測値823.4(M+Na)+ 化合物31(370mg)をメタノール(50ml)中のジブチルスズオキシド( 215mg)で活性化し、ついでBU4NBr(1.58g)の存在下で2−ブロモ プロピオン酸エチル(1.4ml)で処理した。生成物の1−O−アリル-2−O− (2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3−O−[3−O −(2−O−2−エトキシカルボニルエチル)−6−O−ベンジル−β−D−ガラ クトピラノシル)−プロパンをクロマトグラフィーにより単離し、周囲温度で水 素化(10%Pd−C)に供し、ついで0.2%水性KOHで加水分解した。この 脱保護した物質をIR120(H+)で中和し、濾過し、凍結乾燥して標記化合物32 (2 2.7mg)を得た。分子式:C213814(514.5)、実測値:513.2(M− H)−。 実施例14 3−O−スルホガラクトシド含有化合物(35)の合成 化合物30のメタノール溶液をUV光の存在下でチオエタノール−2−アミン で処理して鎖延長された化合物33を得る。アミノ基をZ(Cbzその他)で保護 し、p−メトキシ過安息香酸で酸化することにより得られた対応スルホン誘導体 (34)をメタノール中でNaOMeで脱アシル化する。トリヒドロキシガラクト シル中間体を(ガラクトースの)C−3位にて選択的に硫酸化し、常法により脱保 護し、対応ナトリウム塩を生成した後、標記化合物35を得る。この生成物をバ イオゲル−P2カラムで溶出し、凍結乾燥する。 実施例15 グリセライドの合成 化合物30の10:1アセトン−水溶液をN−メチルモルホリンN−オキシド の存在下、OSO4で処理してジヒドロキシ化合物36を得る。化合物36をシ ョウノウスルホン酸(触媒量)の存在下で2,2−ジメトキシプロパンで処理して 1−O−(2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−6−O−ベンジル−β−D−ガラ クトピラノシル)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラ ノシル)−3−O(1,2−O−イソプロピリデン−プロピル)−プロパン(37)を 得る。シアロシルジグリセライド誘導体:化合物37の脱ベンゾイル化の後、得 られたトリヒドロキシ誘導体をN−ヨードスクシンイミドおよびプロピオニトリ ル中のメチルトリフラートの存在下でチオシアロシドドナー(5)と−70℃で反 応させて、1−O−[3−O−(ベンジル5−アセトアミド−4,7,8,9−テト ラα−O−ベンジル−5−デオキシ−D−グリセロ−2−ノヌル−D−ガラクト ピラノソノエート)−6−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル]−2− O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−L−フコピラノシル)−3−O−(1,2− O−イソプロピリデン−プロピル)−プロパン(38a)を得る。温和な酸加水分 解はイソプロピリデン環を放出し、脂肪酸のペンタフルオロフェニル活性エステ ルでの処理によりグリセロールの脂肪酸エステルが主要な生成物として得られる 。 水素化およびクロマトグラフィーによる通常の精製により脱保護されたジグリセ ライド(39a)が得られる。 スルホジグリセライド誘導体:化学量論量のピリジン−SO3試薬を用いた化合 物37の脱ベンゾイル化生成物の選択的硫酸化により、1−O−[3−O−スル ホ−6−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル]−2−O−(2,3,4− トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3−O−(1,2−O−イソプ ロピリデン−プロピル)−プロパン(38b)が得られる。温和な酸加水分解の後 、硫酸のナトリウム対イオンを保持するためにナトリウムイオン交換する。脂肪 酸のペンタフルオロフェニル活性エステルでの処理によりグリセロールの脂肪酸 エステルが主要な生成物として得られる。水素化およびクロマトグラフィーによ る通常の精製により脱保護されたジグリセライド(39b)が得られる。 実施例16 プソイド二糖含有ペプチドの合成 固相支持体の合成 :2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−ガラクトピラノシ ルドナーを適当な活性化剤の存在下でゾルケタールと反応させ、得られたガラク トシドを80%酢酸溶液で60℃にて加水分解してジヒドロキシ化合物40を得 る。化合物40をトルエン中のジブチルスズオキシド(1.3モル)で活性化し、 BU4NBβr(4.1モル)の存在下でベンジルブロモアセテート(4.0モル)で 処理する。反応の終了時に反応混合物を蒸発させてシロップとし、乾燥シリカゲ ルカラム上に負荷し、トルエン(140ml)、10:1:0.1 トルエン−アセト ン−メタノール(100ml)および20:1:0.1 トルエン−アセトン−メタノ ールで順番に溶出して1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D− ガラクトピラノシル)−3−O−ベンジルオキシカルボニルメチル−プロパン− 2−オール(41)を得る。化合物41のフコシル化を、CuBr2(1.5モル)、 βU4Nβr(1.6モル)およびモレキュラーシーブ4Aの存在下、フコシルド ナー()を用いて5:1 DCE−DMF(12ml)中で室温にて行う。通常の処 理後、注意深いカラムクロマトグラフィーにより生成物を粗製の混合物から単離 して1−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシ ル)−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3 −O−ベンジルオキシカルボニルメチル−プロパン−2−オール(42)を得る。 水素化、ついでアセチル化して過アシル化中間体(43)を得、化合物43の遊離 のカルボキシル基を活性化して対応ペンタフルオロフェニルエステル(44)を得 る。このエステルをN2−カルボベンジルオキシ−L−リシンと反応させて、伸 長しつつある前以て設計したペプチド鎖中に容易に組み込まれる標的化合物を得 る。溶液相合成 :エステル44はまた前以て決定された距離にて遊離のアミノ基を含 有するペプチド骨格と反応させることもできる。 実施例17 1−デオキシ−1−α−ヨードエチル−2,3,4−トリ−O−アセチル−L−フ コース(48)の調製 アセトニトリル(100ml)中のテトラアセチル化L−フコース(9.0g、2 7.1ミリモル)の溶液を1さじの粉末状モレキュラーシーブ(4Å)とともに30 分間撹拌した。これをアリルトリメチルシラン(17.6ml)と混合し、ついで ホウ素トリフルオロエーテレート(17.6ml)溶液を一度に加える。この反応 混合物を室温にて3日間撹拌した。ほとんどの揮発成分を真空除去し、飽和重炭 酸ナトリウムおよび食塩水の1:1混合物(100ml)で希釈した。これを酢酸 エチル(2×200ml)で抽出し、コンバインした有機抽出物を飽和重炭酸ナト リウムおよび食塩水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した 。得られた粗製の生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル、3:1)上で 精製してアリルフコース(45、7.97g、94%)を得た。 ジクロロメタン(80ml)とメタノール(20ml)との混合物中の化合物45 (5.1g、16.3ミリモル)の溶液を、青色が持続するようになるまで−78℃ でオゾンでバブリングした。過剰のオゾンを該溶液に酸素を通すことにより除い た。これをジメチルスルフィド(10ml)と混合し、−78℃〜室温にて一夜撹 拌した。すべての揮発成分を真空除去し、メタノール(50ml)中に溶解した。 これを−78℃にて水素化ホウ素ナトリウム(620mg)と混合し、0℃に温め 、 1時間撹拌した。これを水(50ml)中に注ぎ、酢酸エチル(2×100ml)で 抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、 蒸発させた。得られた粗製の生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル、 1:1)上で精製してアルコール46(1.95g、38%収率)を得た。水素化ホ ウ素ナトリウムの代わりに水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムを用いると、 はるかに高収率(>90%)のアルコール46が得られる。 ピリジン(10ml)およびp−トルエンスルホニルクロライド(1.75g)中 の上記アルコール46の溶液を0℃にて14時間撹拌した。この混合物を水(2 0ml)で反応停止させ、20分間撹拌した。この混合物を6Nの塩酸溶液で酸 性にし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。ついで、コンバインした有機 抽出物を水(100ml)、飽和重炭酸ナトリウム(30ml)、食塩水(30ml) で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗製のトシレート47 を得た。この粗製の化合物をアセトン(40ml)中のヨウ化ナトリウムととも に450℃にて2時間加熱した。冷却後、混合物を蒸発させ、得られた残渣を水 (50ml)および酢酸エチル(200ml)で処理した。この粗製の生成物をシリ カゲルカラム(ヘキサン酢酸エチル、2:1)上で精製してヨウ化物48(2.9g 、76%)を得た。 実施例18 1−デオキシ−1−α−(2−カルボキシ−ナフチル−6−オキシエチル)−L− フコース(51)の調製 ジメチルホルムアミド(1ml)中の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチル( 49、89mg、0.42ミリモル)およびヨウ化物(48、177mg、0.42 ミリモル)の溶液を炭酸カリウム(174mg)とともに14時間撹拌した。反応 混合物を水(30ml)および酢酸エチル(100ml)で処理した。有機層を食塩 水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗製 の生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン酢酸エチル、4:1)上で精製してナフテ ート50(120mg、55%)を得た。 メタノール(30ml)中のナフテート9の溶液を1N水酸化ナトリウム(3m l) とともに4時間撹拌した。この混合物を6N塩酸で酸性にし、固形分を濾取した 。この固形分を水、酢酸エチルで洗浄し、吸引乾燥してナフトエ酸51(24m g)を得た。 実施例19 2−カルボキシ−5−ヒドロキシ−7−(1−デオキシ−1−α−フコシル−エ チレンオキシ)−4−メトキシイソフラボン(54)の調製 ジメチルホルムアミド(1ml)中の2−カルボエトキシ−5,7−ジヒドロキ シ−4'−メトキシ−イソフラボン(52、166mg、0.47ミリモル)および ヨウ化物48(200mg、0.47ミリモル)の溶液を炭酸カリウム(265mg )とともに14時間撹拌した。この混合物を水(50ml)および酢酸エチル(2× 100ml)で処理した。コンバインした有機抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸ナ トリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗製の生成物をシリカゲルカラ ム(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)上で精製してイソフラボン53(265mg、 86%)を得た。 メタノール(3ml)およびテトラヒドロフラン(1ml)中のイソフラボン53 (250mg)の溶液を1N水酸化ナトリウム(3ml)中で2時間撹拌した。すべ ての揮発成分を除去し、得られた水溶液を1N塩酸で酸性にした。固形分を回収 し、水および酢酸エチルで洗浄し、吸引濾過により乾燥してイソフラボン54( 135mg、71%)を得た。 実施例20 3,7−ジ−(1−デオキシ−1−α−フコシル−エチレンオキシ)−2−ナフト エ酸(57)の調製 ジメチルホルムアミド(0.5ml)中の3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸 エチル(55、62mg、0.26ミリモル)およびヨウ化物48(242mg)の 溶液を炭酸カリウム(175mg)とともに55℃にて4時間加熱した。この混合 物にヨウ化物48(80mg)をさらに加え、これを55℃で一夜加熱した。この 混合物を水(50ml)および酢酸エチル(2×75ml)で処理した。酢酸エチル 抽出物を食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮 した。得られた粗製の生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル、1.5: 1)上で精製してナフトエート56(130mg、63%収率)を得た。 メタノール(1ml)中のナフトエート56(120mg)の溶液を2N水酸化カ リウム(1.1ml)とともに室温にて一夜撹拌した。これを6N塩酸溶液で酸性 にし、濃縮乾固した。得られた残渣をメタノール(10ml)中に溶解し、固形分 を濾去した。濾液を濃縮してナフトエ酸57(70mg)を得た。 実施例21 3,5−ジ−(1−デオキシ−1−α−フコシル−エチレンオキシ)−2−ナフト エ酸(58)の調製 実施例20における3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルの代わりに 3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルを用いて同じ手順を行うとナフト エ酸58が得られた。 実施例22 6−(1−デオキシ−1−α−フコシル−エチレンオキシ)−α−メチル−2−ナ フタレン酢酸(61)の調製 ヨウ化物48(286.6mg)および6−ヒドロキシ−α−メチルナフト酢酸 メチルエステル59(154.0mg)をジメチルホルムアミド(3ml)中に溶解 し、炭酸カリウム(277.6mg)を加えた。この反応混合物を室温にて12時 間撹拌し、その後、水(10ml)15と酢酸エチル(50ml)との間に分配した 。層を分離し、有機層を水(3×10ml)および食塩水(10ml)で洗浄した。 有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。得られた残渣を シリカゲル(25%酢酸エチル/ヘキサン)上で精製して所望の生成物60(22 5.8mg、64%収率)を得た。 上記生成物60をメタノール(1.70ml)中に溶解し、2N水酸化ナトリウ ム溶液(1.70ml)を加えた。反応液を室温にて13時間撹拌し、その後、6 N塩酸で酸性にした。濃縮乾固した後、得られた残渣を水洗し、真空下で乾燥さ せて所望の生成物61(167mg、100%収率)を得た。 実施例23 6−グリセルオキシ−α−メチル−2−ナフタレン酢酸(65)の調製 グリシドール62(2.95ml)および6−ヒドロキシ−α−メチルナフト酢 酸メチルエステル59(1.02g)をジメチルホルムアミド(10ml)中に溶解 した。炭酸カリウム(3g)を加え、反応液を室温にて3日間撹拌した。酢酸エチ ル(100ml)で希釈した後、反応液を水洗した(5×100ml)。水性層を酢 酸エチル(20ml)で洗浄し、コンバインした酢酸エチル層を食塩水(20ml) で洗浄した。濃縮後、得られた残渣をシリカゲル(70%酢酸エチル/ヘキサン) 上で精製して所望のメチルエステルグリシドール付加物63(251.5mg、1 9%収率)およびグリシドールエステルグリシドール付加物64(200.3mg 、13%収率)を得た。 グリシドールエステルグリシドール付加物64をメタノール(0.6ml)中に 溶解し、2N水酸化ナトリウム(0.6ml)を加えた。反応液を室温にて23時 間撹拌し、6N塩酸で酸性にした。この混合物を濃縮乾固した後、得られた残渣 を水洗し、真空下で乾燥させて所望の生成物65(125.9mg、75%収率) を得た。 実施例24 1−デオキシ−1−α−(p−カルボキシ−フェノキシエチル)−L−フコース( 67)の調製 p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル(0.1g、0.63ミリモル)および炭 酸カリウム(0.2g、1.6ミリモル)をDMF(1ml)中の化合物48(0.22 g、0.5ミリモル)の溶液に加え、混合物を室温にて22時間撹拌した。水(1 ml)を加え、混合物を30%酢酸エチル/ヘキサン(3×5ml)で洗浄し、コ ンバインした有機相を乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を シリカゲル(20%酢酸エチル/ヘキサン、ついで40%酢酸エチル/ヘキサン) 上で精製してカップリング生成物(66、0.23g、93%収率)を得た。 化合物66(0.2g、0.45ミリモル)をMeOH(1.8ml)中に溶解し、 2N NaOH水溶液(1.8ml)を加えた。室温にて撹拌した(32時間)後、反 応混合物を6NHCl水溶液(2ml)で酸性にし、濃縮乾固した。得られた残渣 を水(2ml)中に懸濁し、16時間冷凍し、濾過し、水洗した(2×2ml)。固 形分を回収し、真空乾燥させて標記化合物67(87。8mg、62%収率)を得 た。 実施例25 1−デオキシ−1−α−(o−カルボキシ−フェノキシエチル)−L−フコース( 68)の調製 実施例24のp−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの代わりにo−ヒドロキ シ安息香酸エチルエステルを用いて同じ手順を行うとナフトエ酸68が得られた 。 実施例26 1−デオキシ−1−α−(m−カルボキシ−フェノキシエチル)−L−フコースの 調製 実施例24のp−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの代わりにm−ヒドロキ シ安息香酸エチルエステルを用いて同じ手順を行うとナフトエ酸69が得られた 。 実施例27 1−デオキシ−α−1−アセチレニル−2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−フ コース(71) ジクロロメタン(50ml)中の1−O−アセチル−2,3,4−トリ−O−ベン ジル−L−フコース(10g、21ミリモル)およびビストリメチルシリルアセチ レン(7.16g、42ミリモル)の溶液をアルゴン下で0℃に冷却した。ジクロ ロメタン中の四塩化スズの溶液(21ミリモル、1M)を加え、混合物を−20℃ で1時間撹拌した。この反応液に重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(50ml)を加 えて反応停止させ、酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、コンバインした有機層 を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2×10ml)および食塩水(20ml)で洗浄 し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮し、得られた残渣をシリカゲル(30%酢 酸エチル/ヘキサン)上で精製してシリルアセチレニルフコース(70、8.1g 、75%収率)を得た。DMF(30ml)中の化合物70(8.1g、15.76ミ リモル)の溶液に水(10ml)ついでフッ化カリウム(9.16g、158ミリモ ル) を加えた。この混合物を室温にて撹拌し(2時間)、水(100ml)で希釈し、3 0%酢酸エチル/ヘキサン(3×50ml)で抽出した。コンバインした有機層を 食塩水(150ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して化合物 (6.97g、100%収率)を得た。 実施例28 1−デオキシ−1−α−(m−カルボキシ−フェニルエチル)−L−フコース−フ ェニルアラニンアミド(74)の調製 テトラヒドロフラン(100ml)中のm−ヨード安息香酸(4g、16.14ミ リモル)の溶液にカルボニルジイミダゾール(2.62g、16.14ミリモル)を 加え、混合物を室温にて撹拌した(45分間)。フェニルアラニンベンジルエステ ルp−トルエンスルホネート(6.90g、16.14ミリモル)を加え、混合物を 撹拌し(18)、濃縮乾固した。得られた残渣を酢酸エチル(50ml)で抽出した 。有機相を1N HCL水溶液(3×20ml)、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液( 2×20ml)および食塩水(20ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮して アミド72(4.79g、61%収率)を得た。 アミド72(1.28g、2.63ミリモル)および化合物71(1.16g、2. 63ミリモル)をDMF(10ml)中に溶解した。トリエチルアミン(0.73m l、5.26ミリモル)を加え、ついでテトラキストリフェニル−ホスフィンパラ ジウム(100mg)およびヨウ化銅(1)(40mg)を加えた。反応液を室温にて 撹拌し(6時間)、水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出し た。コンバインした有機相を1N HCl水溶液(40ml)、重炭酸ナトリウム の飽和水溶液(40ml)および食塩水(40ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4) 、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(20%酢酸エチル/ヘキサン)上で精製 してカップリング生成物73(0.6g、28%収率)を得た。 化合物73(0.6g、0.75ミリモル)を酢酸エチル(5ml)中に溶解した。 10%パラジウム/炭素(0.6g)をメタノール(40ml)中に溶解し、酢酸エ チル溶液をカニューレで加えた。水素下で4日間撹拌した後、混合物をセライト 濾過し、濾液を濃縮乾固して標記化合物74(0.24g、72%収率)を得た。 実施例29 1−デオキシ−1−α−(p−カルボキシ−フェニルエチル)−L−フコース−フ ェニルアラニンアミド(75)の調製 実施例27におけるm−ヨード安息香酸の代わりにp−ヨード安息香酸を用い て同じ手順を行うとアミド75が得られた。 実施例30 1−デオキシ−1−α−(p−カルボキシ−フェニルエチル)−L−フコース−フ ェニルアラニンアミド(76)の調製 実施例27におけるm−ヨード安息香酸の代わりにo−ヨード安息香酸を用い て同じ手順を行うとアミド76が得られた。 実施例31 6−O−スルホ−ヘキサニル−α−L−フコピラノシド(77)の調製 ピリジン−SO3(1−3g、過剰量)をN,N−DMF(15ml)中の6−ヒド ロキシヘキセニル−2,3,4−トリ−O−ベンジル−(α−L−フコピラノシド( 2.5g)の溶液に加え、TLC(20:1 トルエン−アセトン)によって出発物質 の不在が示されるまで溶液を窒素雰囲気下、50℃にて4時間撹拌した。この溶 液をIR120(Na+)で中和し、濾過し、シリカゲルカラム(10:1:1 トル エン−アセトン−メタノール)上で精製した。適当なフラクションを蒸発させる ことによって得られたシロップ状の生成物を10%メタノール水溶液中の10% Pd−Cで水素化した。反応混合物を濾過し、蒸発させ、得られた生成物をバイ オゲルP2カラムから溶出した。適当なフラクションをプールし、凍結乾燥して 標記化合物77(600mg)を得た。分子式:C12239NaS(366.4):実 測値365.2(M−H)−、343.2(M−Na)−。 実施例32 セレクチン結合 ヒトセレクチンの細胞外部分をヒト免疫グロブリン重鎖CH3、CH2、および ヒンジ領域に連結してなる組換え融合タンパク質を用いたELISAアッセイを 使用した。たとえば、ワルツ(Walz)ら、Science(1990)250:1132; アルフォ(Aruffo)ら、Cell(1991)67:35;アルフォら、Proc.Natl.A cad.Sci.USA (1992)89:2292を参照。このアッセイは当該技術分野 でよく知られており、一般に下記3つの手順からなる。 I.2,3sLex糖脂質(25ピコモル/ウエル)を溶液としてマイクロリットル ウェルに移し、ついで蒸発させた。過剰の結合せずに残留したものを水で洗い落 とした。ついで、ウエルを5%BSAで室温にて1時間遮断し、ついで1mMカ ルシウムを含有するPBSで洗浄した。 II.各キメラ1μg/mlをビオチン標識ヤギF(ab')2抗ヒトIgG(Fc特 異的)およびストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(1%PSPBS(1 mMカルシウム)中に1:1000に希釈)と混合し、37℃で15分間インキュ ベートすることにより、セレクチン−IgGキメラの「多価」受容体の調製を行 った。これにより可溶性の多価受容体複合体が生成された。 III.式Iや式IIの化合物などの潜在的なインヒビターを上記可溶性受容体と3 7℃にて45分間反応させた。この試験は、可溶性相受容体複合体とインヒビタ ー(非天然リガンド)との間の最適の結合がこの時間枠内で起こることを仮定して いる。ついで、この溶液を工程1で調製したマイクロリットルウエルに入れた。 プレートを37℃で45分間インキュベートして可溶性受容体をその天然のリガ ンドに結合させた。強力なインヒビターの存在下では少しの受容体しか天然リガ ンドをコーティングしたマイクロリットルプレートに自由に結合できない。 正の対照は、インヒビターの不在下で可溶性受容体を2,3sLex糖脂質とマ イクロリットルウエル中で反応させたときに得られるシグナルである。これを1 00%結合とした。前以てインヒビターで処理した受容体によって得られるシグ ナル(吸光度として記録)を正の対照によって得られるシグナルで除し、これを1 00倍して、ウエルに結合した受容体%、または図に示すように対照結合のパー セントとして計算した。本明細書に記載する化合物の幾つかを、このアッセイを 用いて試験した。表1は本発明の化合物がE−セレクチン、L−セレクチンおよ びP−セレクチンが2,3sLex糖脂質に結合するのを抑制する程度をIC50値 として示したものである。 図4に示す結果は、化合物および14がE−セレクチンの2,3sLex糖脂 質への結合を抑制することを示している。図5は、化合物および14はまたL −セレクチン結合を濃度に依存した仕方で抑制することを示している。さらに、 この図はまた化合物15が化合物および14よりも低い濃度でL−セレクチン 結合を阻止することをも示している。 化合物14および15の構造は下記に示す通りである。 図6に示す結果は、化合物10がL−セレクチンの2,3sLex糖脂質への結 合を抑制することを示している。試験した化合物の4つのすべての濃度において 有意の抑制活性が示されていることに留意すべきである。化合物10の構造は下 記に示す通りである。 上記リガンドに加えて、シアル酸とフコース残基との間の空間的な適当な統計 学的平均距離を維持することによってセレクチンに対する抑制特性を向上させる ために一層堅固なスペーサーを選択することにより、他のリガンドを得ることが できる。これら化合物の他の修飾、たとえば適当な分子支持体上への化学的結合 による結合やシアル酸および−フコースの類似体または誘導体の使用も本発明 の範囲内に包含される。 実施例33 P−セレクチンリガンドのフローサイトメトリー P−セレクチンとその細胞リガンドとの間の相互作用をフローサイトメトリー アッセイ(エルベ(Erbe,D,V,)ら、J.Cell.Biol.(1993)120:122 7)を用いて調べた。HL60細胞(高グルコースDMEおよび10%ハイクロー ン(Hyclone)FBS中に維持)をこのアッセイに用いた。P−セレクチン−Ig Gで染色する前に、細胞をダルベッコPBS/1%BSA/0.1%アジ化ナト リウム/1%正常ウサギ血清(染色媒体)中、氷上にて30〜60分間プレインキ ュベートした。この最初のインキュベーションの後、1μgのP−セレクチン− IgGを106細胞の100μlアリコートに加え、氷上で30〜60分間イン キュベートした。ついで、細胞を染色媒体で洗浄し、フィコエリトリン含有F( ab')2ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(2μl)を加えた染色媒体(100μl) 中に再懸濁した。細胞を氷上で15〜30分間インキュベートし、染色媒体で2 回洗浄し、FACScan(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson & Co.)、マウンテンビュー、カリフォルニア)上でのサイトメトリー分析に供する 前に染色媒体(0.5ml)中に再懸濁した。染色がP−セレクチンとそのリガン ドとの間の相互作用であることを決定するため、染色はまた10mM EGTA の存在下でも行った。プロテアーゼ活性およびこの相互作用に対するシアル酸の 条件を決定するため、D−PBSおよび1%BSA中のHL−60細胞を染色媒 体中に再懸濁する前にトリプシンかまたはアルスロバクター(Arthrobacter)も しくはクロストリジウム(Clostridium)シアリダーゼのいずれかとともに37℃ にてインキュベートした。種々の炭水化物が染色を抑制する能力を調べるため、 50μg/mlのフコイジン(シグマ・イムノケミカルズ(Sigma Immunochemic als)、セントルイス、ミズーリ)、50μg/mlのデキストラン硫酸(ファルマ シア・ファイン・ケミカルズ(Pharmacia Fine Chemicals)、ピスカタウェイ 、ニュージャージー)、10mg/mlのマンノース−1−リン酸(シグマ・イム ノケミカルズ)または10mg/mlのマンノース−6−リン酸(シグマ・イムノ ケミカルズ)を、P−セレクチンキメラを加える直前に細胞に加えた。ついで、 第二段階の抗体を加える前に細胞を洗浄するまで、各炭水化物を存在させた。こ のFACSアッセイの潜在的な複雑さは、ヒトIgG Fc受容体(FcγR;フ ァンガー(Fanger,M.W.)ら、Immunol.(1989)10:92)を有する細胞を 染色するのにセレクチン−IgGキメラを用いることから生じる。ウサギIgG (正常ウサギ血清の形態にて)をアッセイ媒体に加えることにより、この結合は殆 どの場合に阻止された。表2は化合物および77がP−セレクチン−IgGの HL−60細胞株への結合を抑制する能力の結果(%抑制として)を示す。 実施例34 敗血症の処置 敗血症に付随する多くの合併症は、あらずもがなの好中球の管外遊出および好 中球の内皮への接着によって生じる。本発明の化合物1014および15は、 敗血症を予防または治療するために用いる。 これら化合物の有効性は、テイラー(Taylor)らのJ.of Clinical Inv.(1 987)79:918によって、およびテイラーらのCirculatory Shock(198 8)26:227によって記載されたヒヒの敗血症モデル系で示された。簡単に説 明すると、この10は、致死量かまたは致死量に近い投与量の大腸菌に対して敗 血症動物の死を防ぐかまたは生存を引き延ばすことによって敗血症を治療するう えで化合物が有効かどうかを決定することからなる。致死量または致死量に近い 大腸菌の投与量は、それぞれ約4×1010および0.4×1010生物からなる。 致死量の大腸菌を投与されたヒヒは常に16〜32時間以内に死亡する。テイラ ーら、J.of Clinical Inv.(1987)79:918、およびテイラーら、Ci rculatory Shock (1988)26:227。 それゆえ、この手順は生理食塩水中にて送達する3つの化合物のそれぞれにつ いて2つの投与慣例を用いることからなる。第一に、体重1kg当たり1〜10 mgの化合物を細菌の致死量攻撃の24時間、22時間および21時間前に3つ の別々の投与量にて投与する。別のやり方として、化合物を細菌攻撃と同時に1 回投与にて投与することができる。いずれの場合も、これら化合物は多回投与ま たは1回投与処置を受けたヒヒの生存を相当引き延ばし、ヒヒは48時間を優に 越えて生存できた。 実施例35 腹膜炎の処置 本発明のある種の化合物は腹膜炎の治療に有効であることが示された。化合物 および10の有効性をマウスのチオグリコール酸誘発腹膜炎モデルを用いて示 した。このアッセイの材料および方法は当該技術分野でよく知られており、また 、レウィソーン(Lewihsohn,D.)らのJ.Immun.138:4313〜4321(1 9 87)またはワトソン(Watson,S.)らのNature 349:164〜166(199 1)に概論が記載されている。 このアッセイは腹腔内への好中球の移動を化合物が抑制する能力を測定するも のであるが、該移動は腹腔中のチオグリコール酸の存在により開始される。チオ グリコール酸は、腹腔内投与したときにマウス腹膜への好中球の移動を引き起こ す公知の有効な炎症剤である。レウィソーンら、J.Immun.138:4313〜 4321(1987)。 簡単に説明すると、体重約25gの雌スイスウエブスターマウスの尾静脈に、 適当な化合物とともにまたは化合物なしで200μlのリン酸緩衝食塩水(PB S)を注射した。この溶液のpHはNaOHかまたはHCLの添加により中性に 調節し、0.2μフィルターに通すことにより滅菌した。 適当な化合物またはPBSの注射直後にマウスの腹腔にチオグリコール酸媒体 (1ml)を製造業者、BBLにより記載されたようにしてマウスに腹腔内注射し た。チオグリコール酸溶液の注射から3時間後にCO2窒息により屠殺し、0.1 %ウシ血清アルブミンを含有するヘパリン処理(5U/ml)した0.9%塩化ナ トリウム溶液(5ml)で洗浄することにより腹腔内の細胞を除去した。細胞数は コールターカウンター(Coulter Counter)を用いて行った。洗浄液を市販の生 理等張溶液、イソトン(Isoton)IIの1:50で希釈することによってカウントの ために細胞を調製し、S/P溶解およびヘモグロビン試薬(1:100最終希釈) を加えて細胞を溶解した。上限および下限をそれぞれ3.9μmおよび5.7μm にセットしたサイズの窓で細胞核カウントした。 図7はその結果を示す。化合物および化合物10の両者が好中球の腹膜への 移動を抑制することが明らかである。しかしながら、一層良好な化合物は化合物 であり、これは好中球移動を化合物10に比べて約30%以上抑制した。 実施例36 再灌流障害試験 ウサギの単離心臓中でのヒト好中球の接着を減少させるうえでの化合物の有 効性を決定する実験を行った。ウサギの単離心臓にヒト血漿を加えると血漿中に 存在する補体成分が活性化され、このことが今度は好中球集積の増大をもたらし た。このモデルを用い、補体により誘発された好中球接着の抑制に対するsLex 類似体の作用を決定した。 ニュージーランド白ウサギから心臓を切り出し、改変ランゲンドルフ装置上に 置いてクレブス−ヘンゼライト(Krebs−Heinseleit)緩衝液を灌流した。心機 能パラメータをグラスモデル(Grass Model)79Dポリグラフ装置上でモニタ ーした。再循環緩衝液に4%正常ヒト血漿(NHP)を加えた。血漿の添加10分 後に化合物13b(0.1 20mg/ml)を灌流液に加えた。血漿での灌流15 分後に51−クロム標識したヒト好中球(1×105ml)を灌流液に加え、さら に15分間再循環させた。この時間の終わりに心臓を新たな緩衝液で洗浄して非 特異的に結合した好中球を除き、乾燥させ、ウエルタイプのガンマカウンターで カウントした。0.001、0.01および0.1mg/mlの濃度を用いて濃度 応答曲線を作成した。これら濃度のそれぞれについて3つの心臓を用いた。 表3は、好中球集積のパーセント抑制として表した結果を示す。これら結果は 、心臓の乾燥重量(mg)当たりの放射性標識したヒト好中球の数として表してあ る。 P−セレクチンおよびP−セレクチンに対する抗体およびCD1 1b/CD 18複合体に由来する多数のペプチドを含む薬剤を用いたときに認められる最大 程度の抑制は40%であることにも留意すべきである(マ・ヒン−リアン(Ma,X in−Liang)ら、Circulation(1993)88−2:649)。化合物は、これ までに試験された薬剤と同程度の抑制(30%)を与える。 上記結果に基づき、本発明の化合物が、疾患、好ましくは炎症成分を有する疾 患−成人呼吸障害症候群(ARDS)、虚血および再灌流障害(卒中、腸間膜およ び腹腔の血管障害を含む)、臓器移植、および循環ショック(この場合、血流の回 復の後に1または多くの臓器が障害を受ける)の治療に有用であることが明らか である。 以上、本発明の最も実際的で好ましい態様と思われるものを記載した。本明細 書中に引用した刊行物は、本発明の製造および/または使用方法に関する特定の 手順を開示するために参照のために引用される。さらに、本発明の範囲内におい て逸脱が可能であり、当業者であれば本発明の開示を読んで改変を加えることが できるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07H 15/04 C07H 15/04 E G01N 33/566 G01N 33/566 A61K 49/02 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,UZ,VN (72)発明者 レビー,ダニエル・イー アメリカ合衆国94602カリフォルニア州 オークランド、クレメンス・ロード1733番 (72)発明者 タン,ぺン・チョー アメリカ合衆国94556カリフォルニア州 モラガ、カミノ・リカルド827番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.下記構造式I: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に、−CH2−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR1(式中、R1 はHまたは炭素数1〜4のアルキル)よりなる群から選ばれた連結残基;Xは、 −O−、−S−、−SO−、−SO2−、および−NR1−よりなる群から選ばれ た連結残基;およびR2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害で きるようにAまたはBの三次元立体配置を実質的に妨害しない残基であり、好ま しくは−OR1、−SR1、−N3、および−N(R1)2よりなる群から選ばれたも のであり、Aはシアル酸またはその類似体または誘導体であり、Bはフコースま たはその類似体または誘導体である) で示される化合物。 2.式中、 である請求項1に記載の式Iの化合物。 3.Aがグリセリン酸、乳酸、酢酸、マンデル酸、−SO3および−PO3よりな る群から選ばれたものであり、Bがフコースまたはその類似体または誘導体であ る請求項1に記載の式Iの化合物。 4.請求項1に記載の化合物の混合物を含む組成物。 5.治療学的有効量の請求項1に記載の化合物を治療を必要とする動物に投与す ることを特徴とする、ヒトを含む動物の疾患の治療方法。 6.治療学的有効量の請求項3に記載の化合物を治療を必要とする動物に投与す ることを特徴とする、ヒトを含む動物の疾患の治療方法。 7.治療学的有効量の請求項4に記載の組成物を治療を必要とする動物に投与す ることを特徴とする、ヒトを含む動物の疾患の治療方法。 8.薬理学的に許容しうる担体中に分散させた治療学的有効量の請求項1に記載 の化合物からなることを特徴とする医薬組成物。 9.薬理学的に許容しうる担体および下記構造式I: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に、−CH2−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR1(式中、R1はHま たは炭素数1〜4のアルキル)よりなる群から選ばれた連結残基;Xは、−O−、 −S−、−SO−、−SO2−、および−NR1−よりなる群から選ばれた連結残 基;およびR2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害できるよう にAまたはBの三次元立体配置を実質的に妨害しない残基であり、好ましくは− OR1、−SR1、−N3、および−N(R1)2よりなる群から選ばれたものであり 、Aはシアル酸またはその類似体または誘導体であり、Bはフコースまたはその 類似体または誘導体である) で示される化合物からなる医薬組成物の治療学的有効量を、治療を必要とする動 物に投与することを特徴とする、ヒトを含む動物の疾患の治療方法。 10.式Iの化合物がセレクチン受容体に結合し、該セレクチン受容体がE−セ レクチン受容体である請求項9に記載の方法。 11.式中、 である請求項9に記載の方法。 12.該医薬組成物を静脈内注射により投与する請求項9に記載の方法。 13.薬理学的に許容しうる担体、および式: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に、−CH2−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NRi(式中、 R1はHまたは炭素数1〜4のアルキル)よりなる群から選ばれた連結残基;Xは 、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、および−NR1−よりなる群から選ば れた連結残基;およびR2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害 できるようにAまたはBの三次元立体配置を実質的に妨害しない残基であり、好 ましくは−OR1、−SR1、−N3、および−N(R1)2よりなる群から選ばれた ものであり、Aは,α型およびβ型のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、マンデル 酸、グリセリン酸、乳酸、プロピオン酸および酢酸、およびそのエステル、−S O3および−PO3、ただしAが−SO3または−PO'である場合はYは−CH2 −、−O−および−NR1のいずれかである;Bは,α形およびβ形のフコース、 アラビノースおよびそのエステルおよびその置換形(その際、1または2以上の −OH基はそれぞれ独立に−Fまたは−N(R3)2、R3は炭素数1〜5のアルキ ル基である)で示されるE−セレクチンに結合しうる化合物を含むことを特徴と する医薬組成物。 14.AがN−アセチルノイラミン酸であり、BがL−フコースまたはそのエス テル誘導体である請求項13に記載の医薬組成物。 15.2以上の式Iの化合物の混合物を含む請求項13に記載の医薬組成物。 16.R1が薬理学的に活性な薬剤に結合したリンカーを含む請求項13に記載 の医薬組成物。 17.該薬剤が抗炎症非ステロイド剤である請求項16に記載の医薬組成物。 18.式: (式中、mおよびnは、それぞれ独立に1〜5の整数、YおよびZは、それぞれ 独立に、−CH2−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR1(式中、R1 はHまたは炭素数1〜4のアルキル)よりなる群から選ばれた連結残基;Xは、 −O−、−S−、−SO−、−SO2−、および−NR1−よりなる群から選ばれ た連結残基;およびR2は−R1であるかまたはセレクチン結合を実質的に妨害で きるようにAまたはBの三次元立体配置を実質的に妨害しない残基であり、好ま しくは−OR1、−SR1、−N3、および−N(R1)2よりなる群から選ばれたも のであり、Aは,α型およびβ型のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、マンデル酸 、グリセリン酸、乳酸、プロピオン酸および酢酸、およびそのエステル、−SO3 および−PO3、ただしAが−SO3または−PO3である場合はYは−CH2− 、−O−および−NR1のいずれかである;Bは,α形およびβ形のフコース、ア ラビノースおよびそのエステルおよびその置換形(その際、1または2以上の− OH基はそれぞれ独立に−Fまたは−N(R3)2、R3は炭素数1〜5のアルキル 基である)で示される化合物が表面に結合した基体を含むことを特徴とする、試 料中のE−セレクチンの存在を決定するためのアッセイ試験物質。 19.試料を請求項1に記載の化合物に接触させてセレクチン受容体と該化合物 とからなる複合体を生成させ、ついで 該複合体の存在を決定する ことを特徴とする、試料中のセレクチン受容体の存在のアッセイ方法。 20.薬理学的有効量の請求項3に記載の化合物を治療を必要とする動物に投与 することを特徴とする、ヒトを含む動物の炎症の治療方法。 21.検出可能な標識に結合させた請求項1に記載の化合物の有効量を患者に投 与し、 該標識化合物を充分な時間、患者内を循環させて患者の炎症部位でセレクチン受 容体に結合させ、ついで 患者中の該標識およびその位置を検出することによって炎症部位を決定する ことを特徴とする、患者内の炎症部位の決定方法。 22.化合物10。 23.化合物15。 24.化合物14。 25.化合物。 26.化合物1014および15よりなる群から選ばれた化合物の有効量 を動物に投与することを特徴とする、ヒトを含む動物の敗血症の治療方法。 27.化合物1014および15よりなる群から選ばれた化合物の有効量 を動物に投与することを特徴とする、ヒトを含む動物の腹膜炎の治療方法。 28.該化合物が化合物または10である請求項27に記載の腹膜炎の治療方 法。 29.下記構造式II: (式中、Wは下記の構造を含む群から選ばれ、 これら式中、pは0〜2の整数、qは0〜3の整数、およびrは0〜5の整数; Aは、αまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、RおよびS形のマンデル 酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロピオン酸および酢 酸、およびそのエステルおよびアミド、−SO3、スルホネート、−PO3、ホス ホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジンよりなる群から選ば れたものであり; Bは、α形またはβ形のフコース、アラビノースおよびそのエステルおよびその 置換形(1または2以上のOH基がそれぞれ独立にF、N3、NHAc、NHCO CF3で置換されている); X、Y、Z CH2、N、O、S、−SO、SO2; U=Oまたは−CH2; Q=Hまたは−X−(CH2)qB; R4=H、OH、F; R5=H、CH2−R4; R6=H、OH、NHAc、NHCOCF3; R7およびR8はそれぞれ独立に=H、−COR12、−CH2−O−(CH2)s−S O2−(CH2)s−NHG、−CH2−O−(CH2)s−NH−(CH2)s−CH(NH G) −COOR1、−CH2−O−(CH2)s−CHO、−CH2−O−(CH2)s−(CH R13)s−(CH213)(式中、sは1〜10の整数)、またはR7とR8とは一緒に なって5員または6員の環を形成する(p=0であることを条件として)、該環は N、OおよびSからなる2個までのヘテロ原子を任意に含有する; R9、R10はそれぞれ独立にHまたはOH、またはR9とR10とは一緒になってオ キソ基である; R11=H、1−6Cアルキル、ハロゲン、OH、O−アルキル、またはO−アリ ール; R12=OH、2−10Cアルコキシ鎖、2−10Cアルキルアミン、ペプチド、 OM(式中、Mは対イオン、好ましくは金属イオン); R13=OCO−(CH2)t−CH3(式中、tは3−18の整数); G=ペプチド、−COR14または−SO214(式中、R14=アリール、アルキル 、アルケニルまたはアルキニル基))により示される化合物。 30.Aがシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、グリセリン酸、乳酸、プロピオン酸 および酢酸、およびそのエステルおよびアミド、サルフェート、スルホネート、 ホスフェート、ホスホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジン よりなる群から選ばれたものであり、βがフコース、アラビノースまたはその類 似体または誘導体である、請求項29に記載の化合物。 31.Aがシアル酸であり、βがフコースであり、Wが である請求項30に記載の化合物。 32.請求項29に記載の化合物の混合物を含む組成物。 33.治療学的有効量の式IIの化合物 (式中、Wは下記の構造を含む群から選ばれ、 これら式中、pは0〜2の整数、qは0〜3の整数、およびrは0〜5の整数; Aは、αまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、RおよびS形のマンデル 酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロピオン酸および酢 酸、およびそのエステルおよびアミド、−SO3、スルホネート、−PO3、ホス ホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジンよりなる群から選ば れたものであり; Bは、α形またはβ形のフコース、アラビノースおよびそのエステルおよびその 置換形(1または2以上のOH基がそれぞれ独立にF、N3、NHAc、NHCO CF3で置換されている); X、Y、Z CH2、N、O、S、−SO、SO2; U=Oまたは−CH2; Q=Hまたは−X−(CH2)qB; R4=H、OH、F; R5=H、CH2−R4; R6=H、OH、NHAc、NHCOCF3; R7およびR8はそれぞれ独立に=H、−COR12、−CH2−O−(CH2)s−S O2−(CH2)s−NHG、−CH2−O−(CH2)s−NH−(CH2)s−CH(NH G)− COOR1、−CH2−O−(CH2)s−CHO、−CH2−O−(CH2)s−(CHR13 )s−(CH213)(式中、sは1〜10の整数)、またはR7とR8とは一緒にな って5員または6員の環を形成する(p=0であることを条件として)、該環はN 、OおよびSからなる2個までのヘテロ原子を任意に含有する; R9、R10はそれぞれ独立にHまたはOH、またはR9とR10とは一緒になってオ キソ基である; R11=H、1−6Cアルキル、ハロゲン、OH、O−アルキル、またはO−アリ ール; R12=OH、2−10Cアルコキシ鎖、2−10Cアルキルアミン、ペプチド、 OM(式中、Mは対イオン、好ましくは金属イオン); R13=OCO−(CH2)t−CH3(式中、tは3−18の整数); G=ペプチド、−COR14または−SO214(式中、R14=アリール、アルキル 、アルケニルまたはアルキニル基)) および薬理学的に許容しうる担体からなる医薬組成物。 34.該式IIの化合物がE−セレクチンに結合する請求項33に記載の医薬組成 物。 35.Aがシアル酸であり、Bがフコースであり、Wが である請求項33に記載の医薬組成物。 36.式IIの2以上の化合物の混合物を含む請求項33に記載の医薬組成物。 37.薬理学的に許容しうる担体および下記式II: (式中、Wは下記の構造を含む群から選ばれ、 これら式中、pは0〜2の整数、qは0〜3の整数、およびrは0〜5の整数; Aは、αまたはβ形のシアル酸、ケンプ酸、キニン酸、RおよびS形のマンデル 酸、RおよびS形のグリセリン酸、RおよびS形の乳酸、プロピオン酸および酢 酸、およびそのエステルおよびアミド、−SO3、スルホネート、−PO3、ホス ホネート、トリフルオロメチル、ジアジンおよびトリアジンよりなる群から選ば れたものであり; Bは、α形またはβ形のフコース、アラビノースおよびそのエステルおよびその 置換形(1または2以上のOH基がそれぞれ独立にF、N3、NHAc、NHCO CF3で置換されている); X、Y、Z CH2、N、O、S、−SO、SO2; U=Oまたは−CH2; Q=Hまたは−X−(CH2)qB; R4=H、OH、F; R5=H、CH2−R4; R6=H、OH、NHAc、NHCOCF3; R7およびR8はそれぞれ独立に=H、−COR12、−CH2−O−(CH2)s−S O2−(CH2)s−NHG、−CH2−O−(CH2)s−NH−(CH2)s−CH(NH G) −COOR1、−CH2−O-(CH2)s−CHO、−CH2−O−(CH2)s−(CH R13)s−(CH213)(式中、sは1〜10の整数)、またはR7とR8とは一緒に なって5員または6員の環を形成する(p=0であることを条件として)、該環は N、OおよびSからなる2個までのヘテロ原子を任意に含有する; R9、R10はそれぞれ独立にHまたはOH、またはR9とR10とは一緒になってオ キソ基である; R11=H、1−6Cアルキル、ハロゲン、OH、O−アルキル、またはO−アリ ール; R12=OH、2−10Cアルコキシ鎖、2−10Cアルキルアミン、ペプチド、 OM(式中、Mは対イオン、好ましくは金属イオン); R13=OCO−(CH2)t−CH3(式中、tは3−18の整数); G=ペプチド、−COR14または−SO214(式中、R14=アリール、アルキル 、アルケニルまたはアルキニル基))で示される化合物からなる医薬組成物の治療 学的有効量を、治療を必要とする動物に投与することを特徴とする、ヒトを含む 動物の疾患の治療方法。 38.該式IIの化合物がE−セレクチン受容体に結合する請求項37に記載の方 法。 39.Aがシアル酸であり、Bがフコースであり、Wが である請求項37に記載の方法。 40.該医薬組成物を静脈内注射により投与する請求項37に記載の方法。 41.該疾患が炎症である請求項37に記載の方法。 42.該疾患が敗血症である請求項37に記載の方法。 43.該疾患が腹膜炎である請求項37に記載の方法。 44.試料を請求項29に記載の化合物に接触させてセレクチン受容体と該化合 物とからなる複合体を生成させ、ついで 試料中の該複合体の存在を決定する ことを特徴とする、試料中のセレクチン受容体の存在のアッセイ方法。 45.検出可能な標識に結合させた請求項29に記載の化合物の有効量を患者に 投与し、 該標識化合物を充分な時間、患者内を循環させて患者の炎症部位でセレクチン受 容体に結合させ、ついで 患者中の該標識およびその位置を検出することによって炎症部位を決定する ことを特徴とする、患者内の炎症部位の決定方法。
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