インクを貯留するボトルが例えば2000ccなどの大容量である場合、ボトルが大型であるとともに、インクが充填された状態のボトルの重量が大きいので、特許文献1、2に記載されたカートリッジホルダーのように、ボトルにインクを補充するためにボトルを保持する専用の装置を設けることは、この専用の装置の設置スペースの観点や、この専用の装置に、または、この専用の装置からボトルを移動させる際の作業者の負担の観点などから困難である。
したがって、ボトルが大容量である場合、ボトルにインクを補充する方法としては、特許文献1、2に記載されたインク補充容器のように自動的にボトルにインクを落下させる容器を使用した方法ではなく、インクが貯留された容器から作業者が手作業によって注入量を調整しながらボトルにインクを注ぎ込む方法が考えられる。
ここで、インクが貯留された容器から作業者が手作業によって注入量を調整しながらボトルにインクを注ぎ込む方法としては、図10に示すようにインク91が貯留された容器90から作業者が手作業によって注入量を調整しながらボトル80のインク貯留部80aにインク91を直接注ぎ込む方法と、図11に示すようにインク91が貯留された容器90から作業者が手作業によって注入量を調整しながらボトル80に設置された漏斗81にインク91を注ぎ込む方法とが考えられる。
しかしながら、図10に示す方法においては、容器90からの新たなインク91が、インク貯留部80aに既に貯留されているインク91に直接落下することによって、インク貯留部80aに貯留されているインク91を勢い良く攪拌するので、ボトル80に貯留されているインク91に微小な気泡91aが大量に発生する。例えば、インク91が記録媒体への定着性、すなわち、記録媒体の表面への浸透性を向上するために表面張力を調整する界面活性剤を含んでいる水性インクである場合には、この界面活性剤によって特に気泡91aが発生し易い。ボトル80に貯留されているインク91に気泡91aが大量に発生している場合、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させると気泡91aがボトル80から溢れ出てしまうので、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることができないという問題がある。
しかも、気泡91aは一般的に微小であるほど消滅し難く長時間残り易いので、図10に示す方法においては、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることができない状態が例えば2分間などの長時間継続する。したがって、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることを希望する作業者にとって作業負担が大きいという問題もある。特に、大量のインク91を貯留している重い容器90を持ち続けることは、作業者にとって大きな負担である。
また、図11に示す方法においては、容器90からの新たなインク91が、漏斗81の円錐状の本体部分81aに一時的に溜まっているインク91に直接落下することによって、本体部分81aに溜まっているインク91を勢い良く攪拌するので、本体部分81aに溜まっているインク91に微小な気泡91aが大量に発生し、結果として、微小な気泡91aを大量に含むインク91が漏斗81の管部81bを介してボトル80に流れ込む。ボトル80に貯留されているインク91に気泡91aが大量に存在している場合、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させると気泡91aがボトル80から溢れ出てしまうので、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることができないという問題がある。
しかも、図11に示す方法においては、図10に示す方法と同様に気泡91aのサイズが微小であるので、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることができない状態が長時間継続する。したがって、ボトル80の規定の量のインク91をボトル80に貯留させることを希望する作業者にとって作業負担が大きいという問題もある。特に、大量のインク91を貯留している重い容器90を持ち続けることは、作業者にとって大きな負担である。
更に、図11に示す方法においては、ボトル80の他に漏斗81が必要であるので、ボトル80にインク91を注ぎ込む作業を実行する場合の漏斗81の準備や、ボトル80にインク91を注ぎ込む作業を実行していない場合の漏斗81の保管などが必要であるという問題もある。
そこで、本発明は、インクが補充される場合にインクに気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができるボトルを提供することを目的とする。
本発明のボトルは、インクを吐出する記録ヘッドを備えるインクジェットプリンターに備えられて、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するボトルであって、インクを貯留するインク貯留部と、重力方向の上方に形成されていて外部からインクを注入するための注入口と、前記注入口と対向する位置に形成されて前記注入口から注入されて落下するインクが衝突させられる落下インク衝突用壁部と、前記落下インク衝突用壁部に衝突したインクを伝わせて前記インク貯留部まで流れ落とすインク流落用壁部とを備えており、底面と、前記注入口から重力方向の下方に延設されて前記底面に至る側壁とを備えており、前記注入口は、水平方向において前記ボトルの中央からずれた位置に形成されており、前記落下インク衝突用壁部は、前記側壁のうち前記注入口に近い部分に形成されていることを特徴とする。
この構成により、本発明のボトルは、インクが補充される場合、注入口から注入される新たなインクが、落下インク衝突用壁部に衝突させられた後、インク流落用壁部を伝わってインク貯留部まで流れ落ちるので、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下することを抑えることができ、結果として、インクに気泡が発生することを抑えることができる。また、本発明のボトルは、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部をボトル自体が備えているので、インクが補充される場合に、ボトルの他に漏斗のような専用の器具が必要ない。したがって、本発明のボトルは、インクが補充される場合にインクに気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができる。なお、本発明のボトルは、注入口から注入される新たなインクがインク流落用壁部を伝わってインク貯留部まで流れ落ちたことによってインクに気泡が発生したとしても、ボトルに注入される新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下する構成と比較して、注入口から注入される新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクを攪拌する勢いが弱いので、発生した気泡のサイズが大きく気泡が短時間で消滅し易い。したがって、本発明のボトルは、注入口から注入される新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下する構成と比較して、インクの補充の作業負担を軽減することができる。
また、本発明のボトルにおいて、前記落下インク衝突用壁部は、前記注入口と近接配置されていても良い。
この構成により、本発明のボトルは、注入口から注入される新たなインクが落下インク衝突用壁部に衝突させられる場合にこのインクが受ける衝撃が小さいので、注入口から注入される新たなインクが落下インク衝突用壁部に衝突させられることによってインクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のボトルにおいて、前記落下インク衝突用壁部は、前記ボトルの深さの半分の位置より重力方向の上方に配置されていることによって、前記注入口と近接配置されていても良い。
この構成により、本発明のボトルは、落下インク衝突用壁部がボトルの深さの半分の位置より重力方向の下方に配置されている構成と比較して、注入口から注入される新たなインクが落下インク衝突用壁部に衝突させられる場合にこのインクが受ける衝撃が小さいので、注入口から注入される新たなインクが落下インク衝突用壁部に衝突させられることによってインクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のボトルにおいて、前記インク流落用壁部は、重力方向の位置が前記落下インク衝突用壁部より下に配置されていて、重力方向の上方を向いていても良い。
この構成により、本発明のボトルは、インク流落用壁部が垂直である構成と比較して、注入口から注入される新たなインクがインク流落用壁部を伝わってインク貯留部まで流れ落ちる勢いが弱いので、インクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のボトルにおいて、前記落下インク衝突用壁部と、前記インク流落用壁部とは、連続する斜面に形成されており、前記落下インク衝突用壁部は、重力方向の位置が前記インク流落用壁部より上に配置されていても良い。
この構成により、本発明のボトルは、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部が連続する斜面に形成されているので、注入口から注入される新たなインクが落下インク衝突用壁部からインク流落用壁部をスムーズに伝わってインク貯留部まで流れ落ちる。したがって、本発明のボトルは、インクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のボトルは、前記インク貯留部が形成されているボトル本体と、前記ボトル本体から所定の角度で外方に向けて突出形成された筒部とを備えており、前記斜面は、前記筒部に形成されていても良い。
この構成により、本発明のボトルは、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部がボトル本体に設けられている構成と比較して、ボトル全体の大型化を抑えながらインク貯留部の容量を大きく確保することができる。
また、本発明のインク貯留装置は、インクを吐出する記録ヘッドを備えるインクジェットプリンターに備えられて、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留装置であって、インクを貯留するボトルを備えており、前記ボトルは、インクを貯留するインク貯留部と、作業者の手作業によって注入量が調整されながら注ぎ込まれて空中を落下するインクが衝突させられる落下インク衝突用壁部と、前記落下インク衝突用壁部に衝突したインクを伝わせて前記インク貯留部まで流れ落とすインク流落用壁部とを備えており、前記落下インク衝突用壁部は、前記インク流落用壁部に向けて下方に傾いた斜面によって形成されていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、作業者の手作業によってインクがボトルに注ぎ込まれることによってインクが補充される場合、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが、落下インク衝突用壁部に衝突させられた後、インク流落用壁部を伝わってインク貯留部まで流れ落ちるので、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下することを抑えることができ、結果として、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。また、本発明のインク貯留装置は、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部をボトル自体が備えているので、ボトルにインクが補充される場合に、ボトルの他に漏斗のような専用の器具が必要ない。したがって、本発明のインク貯留装置は、インクが補充される場合にボトル内のインクに気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができる。なお、本発明のインク貯留装置は、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク流落用壁部を伝わってインク貯留部まで流れ落ちたことによってボトル内のインクに気泡が発生したとしても、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下する構成と比較して、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクを攪拌する勢いが弱いので、発生した気泡のサイズが大きく気泡が短時間で消滅し易い。したがって、本発明のインク貯留装置は、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクがインク貯留部に貯留されているインクに直接落下する構成と比較して、インクの補充の作業負担を軽減することができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記落下インク衝突用壁部は、前記インク貯留部の側方に設けられていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、インク貯留部に落下インク衝突用壁部が設けられている構成と比較して、インク貯留部の容量を大きく確保することができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記インク流落用壁部は、前記インク貯留部の側方に設けられていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、インク貯留部にインク流落用壁部が設けられている構成と比較して、インク貯留部の容量を大きく確保することができる。
また、本発明のインク貯留装置は、前記ボトルに貯留されているインクを前記記録ヘッドに供給可能である状態で前記ボトルを支持する支持部材を備えており、前記落下インク衝突用壁部は、前記ボトルが前記支持部材に支持されている状態で露出可能である位置に配置されていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、ボトルに貯留されているインクを記録ヘッドに供給可能である状態で落下インク衝突用壁部が露出可能であるので、貯留しているインクを記録ヘッドに供給可能である状態のボトルにインクが注ぎ込まれることができ、結果として、インクの補充の作業性を向上することができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記落下インク衝突用壁部および前記インク流落用壁部の形状は、前記落下インク衝突用壁部に衝突したインクが前記落下インク衝突用壁部に一時的に溜まることを防止する形状であっても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、落下インク衝突用壁部に衝突したインクが落下インク衝突用壁部に一時的に溜まらないので、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに直接落下することを抑えることができ、結果として、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記ボトルは、筒状の部分を備えており、前記インク流落用壁部は、前記筒状の部分の内壁の少なくとも一部によって形成されており、前記筒状の部分は、内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、前記インク流落用壁部を形成している範囲において、最も前記落下インク衝突用壁部側の位置で最も小さくても良い。
ボトルのうち内壁の少なくとも一部がインク流落用壁部である筒状の部分は、内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、インク流落用壁部を形成している範囲において、最も落下インク衝突用壁部側の位置より小さい位置が存在する場合、落下インク衝突用壁部に衝突したインクが、インク流落用壁部におけるこの位置で一時的に溜まり、結果として、落下インク衝突用壁部に一時的に溜まる。しかしながら、本発明のインク貯留装置は、この筒状の部分の内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、インク流落用壁部を形成している範囲において、最も落下インク衝突用壁部側の位置で最も小さいので、落下インク衝突用壁部に衝突したインクがインク流落用壁部の途中の位置で一時的に溜まることを防止することができ、結果として、落下インク衝突用壁部に一時的に溜まることを防止することができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記落下インク衝突用壁部は、前記筒状の部分の内壁の少なくとも一部によって形成されており、前記筒状の部分は、内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、前記落下インク衝突用壁部および前記インク流落用壁部を形成している範囲において、前記落下インク衝突用壁部の位置で最も小さくても良い。
ボトルのうち内壁の少なくとも一部が落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部である筒状の部分は、内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部を形成している範囲において、落下インク衝突用壁部の位置より小さいインク流落用壁部における位置が存在する場合、落下インク衝突用壁部に衝突したインクが、インク流落用壁部におけるこの位置で一時的に溜まり、結果として、落下インク衝突用壁部に一時的に溜まる。しかしながら、本発明のインク貯留装置は、この筒状の部分の内側の空間のうちインクの流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部およびインク流落用壁部を形成している範囲において、落下インク衝突用壁部側の位置で最も小さいので、落下インク衝突用壁部に衝突したインクがインク流落用壁部の位置で一時的に溜まることを防止することができ、結果として、落下インク衝突用壁部に一時的に溜まることを防止することができる。
また、本発明のインク貯留装置は、前記ボトルに注ぎ込まれたインクが前記ボトルから溢れ出すことを防止するために前記インク貯留部にインクが特定の量以上貯留された場合に通知するインク量通知手段を備えていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、落下インク衝突用壁部までインクが溜まっていて、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに直接落下することによってボトル内のインクに気泡が発生していたとしても、ボトルにインクを補充する作業の作業者がインク量通知手段による通知を受けてボトルへのインクの補充を終了すれば、以降、ボトル内のインクに気泡が発生することを防止することができる。また、本発明のインク貯留装置は、落下インク衝突用壁部までインクが溜まっていて、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに直接落下することによってボトル内のインクに気泡が発生していたとしても、ボトルにインクを補充する作業の作業者がインク量通知手段による通知を受けてボトルへのインクの補充の勢いを弱めれば、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに勢い良く落下することを防止することができ、結果として、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のインク貯留装置において、前記落下インク衝突用壁部は、前記インク貯留部にインクが前記特定の量貯留された場合のこのインクの液面より高い位置に配置されていても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、ボトルにインクを補充する作業の作業者がインク量通知手段による通知を受けてボトルへのインクの補充を終了すれば、落下インク衝突用壁部までインクが溜まることを防止することができるので、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに直接落下することを防止することができ、結果として、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。また、本発明のインク貯留装置は、ボトルにインクを補充する作業の作業者がインク量通知手段による通知を受けてボトルへのインクの補充の勢いを弱めれば、落下インク衝突用壁部にインクが溜まったとしても、ボトルに注ぎ込まれる新たなインクが落下インク衝突用壁部に溜まったインクに勢い良く落下することを防止することができ、結果として、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。
また、本発明のインク貯留装置は、インクの成分の沈殿を抑えるために前記インク貯留部に貯留されたインクを攪拌する攪拌手段を備えており、前記攪拌手段は、前記ボトルからインクを送り出す送液ポンプが動作している場合に駆動されても良い。
この構成により、本発明のインク貯留装置は、攪拌手段が常に駆動されている構成と比較して、攪拌手段の駆動時間が短いので、攪拌手段による攪拌によってボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。したがって、本発明のインク貯留装置は、インク貯留部に貯留されたインクの成分の沈殿を抑えることができるだけではなく、ボトル内のインクに気泡が発生することを抑えることができる。
本発明のボトルは、インクが補充される場合にインクに気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の斜視図である。
図1に示すように、インクジェットプリンター10は、プリンター本体20と、プリンター本体20に供給されるインクを貯留するインク貯留装置30とを備えている。
プリンター本体20は、矢印20aで示す主走査方向に延在しているガイドレール21と、矢印20aで示す主走査方向に移動可能にガイドレール21に支持されているキャリッジ22と、キャリッジ22に搭載されていてインクを吐出する複数の記録ヘッド23と、キャリッジ22に搭載されていて記録ヘッド23に供給されるインクを貯留する複数のサブタンク24と、矢印20aで示す主走査方向と直交する矢印20bで示す副走査方向に用紙などの記録媒体70を搬送する搬送装置25とを備えている。
インク貯留装置30は、貯留装置本体31と、貯留装置本体31に搭載されていてサブタンク24に供給されるインクを貯留する複数のボトル32と、ボトル32からインクジェットプリンター10にインクを供給するための図示していない複数のホースを通して貯留装置本体31およびインクジェットプリンター10を接続する管33とを備えている。
インクジェットプリンター10は、記録ヘッド23、サブタンク24およびボトル32を少なくともインクの種類毎に備えている。インクの種類は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイトなど、例えば色の種類によって異なる。
インクジェットプリンター10は、矢印20aで示す主走査方向に移動しない記録媒体70に対してキャリッジ22によって主走査方向に記録ヘッド23を移動させて、記録ヘッド23のノズルからインクを記録媒体70に向けて吐出することによって、記録ヘッド23による主走査方向の印刷を実行させる装置である。また、インクジェットプリンター10は、矢印20bで示す副走査方向に移動しない記録ヘッド23に対して搬送装置25によって副走査方向に記録媒体70を搬送することによって、記録媒体70に対する記録ヘッド23の副走査方向における位置を主走査方向の印刷の終了の度に変更する装置である。
図2は、インク貯留装置30の斜視図である。
図2に示すように、貯留装置本体31は、8個のボトル32を搭載することができる。ボトル32は、図2において手前側に4個、奥側に1個描かれているが、実際には奥側にも手前側と対称に4個存在している。すなわち、インク貯留装置30は、矢印30aで示す方向に4個のボトル32が並べられた列を、矢印30aで示す方向とは直交する矢印30bで示す方向に2列備えている。貯留装置本体31は、ボトル32に貯留されているインクを記録ヘッド23に供給可能である状態でボトル32を支持するようになっており、本発明の支持部材を構成している。
貯留装置本体31は、ボトル32を搭載している部分の上部に窓31aが形成されている。
図3は、インク貯留装置30の側面断面図であって、ボトル32の近傍の図である。
図3に示すように、貯留装置本体31は、矢印30a(図2参照。)で示す方向に延在している軸31bと、軸31bに回転可能に支持されていてボトル32を支持しているボトル支持部31cとを備えている。すなわち、ボトル32は、軸31bを中心に回転可能である。
ボトル32は、インクを貯留する略円柱状のインク貯留部32aと、作業者の手作業によって注入量が調整されながら注ぎ込まれて空中を落下するインクが衝突させられる落下インク衝突用壁部32bと、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインクを伝わせてインク貯留部32aまで流れ落とすインク流落用壁部32cと、重力方向の上方に形成されていて落下インク衝突用壁部32bに落下するインクが注ぎ込まれるインク注込口32dとを備えている。
また、ボトル32は、インク注込口32dを覆う取り外し可能な蓋32eを備えている。
また、ボトル32は、底面32fと、インク注込口32dから重力方向の下方に延設されて底面32fに至る側壁32gとを備えている。
また、ボトル32は、インク貯留部32aが形成されているボトル本体32hと、ボトル本体32hから所定の角度で外方に向けて突出形成された筒部32iとを備えている。
インク貯留部32aは、例えば容量が2000ccという大容量である。
落下インク衝突用壁部32bは、インク貯留部32aの側方の下部から斜め上に延在する筒状の部分、すなわち筒部32iのうち上側の部分である。また、インク流落用壁部32cは、この筒部32iのうち落下インク衝突用壁部32bより下側の部分である。すなわち、落下インク衝突用壁部32b、インク流落用壁部32cは、それぞれ、インク流落用壁部32c、インク貯留部32aに向けて下方に傾いた連続する斜面32jによって形成されている。また、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cは、インク貯留部32aの側方に設けられている。
ボトル32のうち内壁の一部が落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cである筒部32iは、内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cを形成している範囲において、落下インク衝突用壁部32bの位置で最も小さい。すなわち、インク流落用壁部32cの形状は、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインクが落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まることを防止する形状である。
インク注込口32dは、落下インク衝突用壁部32bの真上に形成されている。すなわち、落下インク衝突用壁部32bは、インク注込口32dと対向する位置に形成されている。インク注込口32dは、外部からインクを注入するための本発明の注入口を構成している。
インク注込口32dは、水平方向においてボトル32の中央からずれた位置に形成されている。落下インク衝突用壁部32bは、側壁32gのうちインク注込口32dに近い部分に形成されている。
落下インク衝突用壁部32bは、インク注込口32dと近接配置されている。例えば、落下インク衝突用壁部32bは、ボトル32の深さの半分の位置より重力方向の上方に配置されていることによって、インク注込口32dと近接配置されていても良い。
インク流落用壁部32cは、重力方向の位置が落下インク衝突用壁部32bより下に配置されていて、重力方向の上方を向いている。
蓋32eは、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態で露出している位置に配置されている。したがって、インク注込口32dおよび落下インク衝突用壁部32bは、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態で蓋32eが取り外されることによって、露出する位置に配置されている。すなわち、インク注込口32dおよび落下インク衝突用壁部32bは、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態で露出可能である位置に配置されている。
インク貯留装置30は、貯留装置本体31に対するボトル32の傾きを検出するためのボトル傾き検出装置34と、インク貯留部32aに貯留されているインクを外部に供給するためのインク供給管35と、外部から供給されたインクをインク貯留部32aに導入するためのインク導入管36と、インクの成分の沈殿を抑えるためにインク貯留部32aに貯留されたインクを攪拌する本発明の攪拌手段としての攪拌装置37と、ボトル32に注ぎ込まれたインクがボトル32から溢れ出すことを防止するためにインク貯留部32aにインクが例えば1800ccなどの特定の量以上貯留された場合に通知する本発明のインク量通知手段としてのインク量通知装置38とを備えている。
ボトル傾き検出装置34は、矢印30a(図2参照。)で示す方向に延在していて貯留装置本体31に回転可能に支持されている軸34aと、軸34aに固定されていてボトル32に接触するボトル接触部材34bと、一端が貯留装置本体31に固定されていて他端がボトル接触部材34bに固定されているバネ34cと、ボトル32の有無を検出するためにボトル接触部材34bの図示していない被検出部の有無を検出する光電センサーであるボトル有無センサー34dと、インク貯留部32aにインクが例えば700ccなどの予め定められた量以上貯留されていることを検出するためにボトル接触部材34bの図示していない被検出部の有無を検出する光電センサーであるインク残量センサー34eとを備えている。ボトル接触部材34bは、軸34aを中心とした回転方向のうちバネ34cによって付勢されている回転方向とは反対の回転方向に、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている場合にボトル32との接触によって回転させられるようになっている。ボトル有無センサー34dは、ボトル32が貯留装置本体31に支持された場合に、ボトル接触部材34bの図示していない被検出部を検出するようになっている。インク残量センサー34eは、ボトル32が貯留装置本体31に支持されて、更にインク貯留部32aにインクが予め定められた量以上貯留された場合に、ボトル接触部材34bの図示していない被検出部を検出するようになっている。
インク供給管35は、インク貯留部32aに挿入されている。
インク導入管36は、インク貯留部32aに挿入されている。インク導入管36は、インク供給管35によってインク貯留部32aから外部に供給されたインクを再びインク貯留部32aに戻すというインクの循環によって、インクの成分の沈殿を抑えるためのものである。なお、インク導入管36は、例えば、ホワイトのインクなど、成分が沈殿し易いインクを貯留するボトル32以外のボトル32に対しては設けられていなくても良い。
攪拌装置37は、インク貯留部32aに貯留されているインクを攪拌するためのプロペラ37aと、プロペラ37aを回転させるためのモーター37bとを備えている。プロペラ37aは、インク貯留部32aに挿入されている。なお、攪拌装置37は、成分が沈殿し易いインクを貯留するボトル32以外のボトル32に対しては設けられていなくても良い。
図4は、インク貯留装置30の正面図であって、ボトル32の近傍の図である。
図3および図4に示すように、インク量通知装置38は、矢印30bで示す方向に延在していて貯留装置本体31に回転可能に支持されている軸38aと、軸38aに固定されているフロート38bと、軸38aに固定されていて窓31aを介して外部に表示を実行するための表示板38cとを備えている。
フロート38bは、インク貯留部32aに挿入されている。フロート38bは、インク貯留部32aに貯留されたインクによって浮き始めた時点で軸38aを中心にして常に一方の方向に回転するように、インク貯留部32aにインクが貯留されていない場合であっても図示していないストッパーなどによって、軸38aの真下の位置に対して軸38aを中心にしてその方向に少し傾けられている。
表示板38cは、例えば、インク貯留部32aにインクが貯留されていない場合に窓31aを介して外部に表示される部分が黄色で描かれ、インク貯留部32aにインクが例えば1800ccなどの特定の量以上貯留された場合に窓31aを介して外部に表示される部分が赤色で描かれている。したがって、作業者は、窓31aを介して外部に表示されている色が赤色になった場合に、インク貯留部32aにインクが特定の量以上貯留されたことを認識することができる。
なお、ボトル32の落下インク衝突用壁部32bは、インク量通知装置38によって通知される特定の量のインクがインク貯留部32aに貯留された場合のこのインクの液面より高い位置に配置されていても良い。
図5は、インク貯留装置30のブロック図である。
図5に示すように、インク貯留装置30は、ボトル32(図1参照。)の設置位置毎に設けられた上述のボトル有無センサー34dと、ボトル32の設置位置毎に設けられた上述のインク残量センサー34eと、攪拌装置37(図3参照。)が必要なインクを貯留するためのボトル32の設置位置毎に設けられた上述のモーター37bと、ボトル32毎に設けられていてボトル32から記録ヘッド23(図1参照。)側にインクを送り出す送液ポンプ39と、図示していないケーブルを介してプリンター本体20(図1参照。)と通信を行う通信デバイスである通信部40と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部41と、インク貯留装置30全体を制御する制御部42とを備えている。
制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部41に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
次に、制御部42の動作について説明する。
図6は、モーター37bの駆動を制御する場合の制御部42の動作のフローチャートである。
制御部42は、送液ポンプ39の動作状態が変更される度に図6に示す動作を開始する。
図6に示すように、制御部42は、送液ポンプ39が動作しているか否かを判断する(S101)。
制御部42は、送液ポンプ39が動作しているとS101において判断すると、モーター37bの駆動を開始して(S102)、図6に示す動作を終了する。
一方、制御部42は、送液ポンプ39が動作していないとS101において判断すると、モーター37bの駆動を終了して(S103)、図6に示す動作を終了する。
次に、ボトル32にインクを補充する方法について説明する。
図7は、インク91が貯留された容器90から作業者が手作業によって注入量を調整しながらボトル32の落下インク衝突用壁部32bに向けてインク91を注ぎ込む方法を示す図である。
作業者は、容器90からボトル32にインクを補充する場合、ボトル32の蓋32e(図3参照。)を取り外した後、容器90から手作業によって注入量を調整しながらボトル32のインク注込口32dを介して落下インク衝突用壁部32bに向けてインク91を注ぎ込む。
作業者は、インク貯留部32aにインクが特定の量以上貯留されたことをインク量通知装置38による通知を受けて認識すると、容器90からボトル32へのインク91の補充の勢いを弱めることができる。そして、作業者は、インク注込口32dを介してボトル32内のインク91の液面の変化を確認しながら、容器90からボトル32へのインク91の補充を終了するか否かを判断することができる。
なお、作業者は、例えば容器90からボトル32へのインク91の補充の開始の時点からなど、インク貯留部32aにインクが特定の量以上貯留されたことをインク量通知装置38による通知を受けて認識する前から、インク注込口32dを介してボトル32内のインク91の液面の変化を確認しながら、容器90からボトル32へのインク91の補充を実行しても良い。
また、作業者は、インク貯留部32aにインクが特定の量以上貯留されたことをインク量通知装置38による通知を受けて認識した時点で、容器90からボトル32へのインク91の補充を終了することもできる。
作業者は、容器90からボトル32へのインク91の補充を終了した後、ボトル32の蓋32eを再び取り付けて、一連の作業を終了する。
以上に説明したように、ボトル32は、インク91が補充される場合、インク注込口32dから注入される新たなインク91が、落下インク衝突用壁部32bに衝突させられた後、インク流落用壁部32cを伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちるので、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下することを抑えることができ、結果として、インク91に気泡が発生することを抑えることができる。
また、ボトル32は、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cをボトル32自体が備えているので、インク91が補充される場合に、ボトル32の他に漏斗81(図11参照。)のような専用の器具が必要ない。したがって、ボトル32は、インク91が補充される場合にインク91に気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができる。
なお、ボトル32は、インク注込口32dから注入される新たなインク91がインク流落用壁部32cを伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちたことによってインク91に気泡が発生したとしても、ボトル32に注入される新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下する構成と比較して、インク注込口32dから注入される新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91を攪拌する勢いが弱いので、発生した気泡のサイズが大きく気泡が短時間で消滅し易い。したがって、ボトル32は、インク注込口32dから注入される新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下する構成と比較して、インク91の補充の作業負担を軽減することができる。
落下インク衝突用壁部32bは、インク注込口32dと近接配置されている。この構成により、ボトル32は、インク注込口32dから注入される新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに衝突させられる場合にこのインク91が受ける衝撃が小さいので、インク注込口32dから注入される新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに衝突させられることによってインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
なお、落下インク衝突用壁部32bは、ボトル32の深さの半分の位置より重力方向の上方に配置されていることによって、インク注込口32dと近接配置されていても良い。この構成により、ボトル32は、落下インク衝突用壁部32bがボトル32の深さの半分の位置より重力方向の下方に配置されている構成と比較して、インク注込口32dから注入される新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに衝突させられる場合にこのインク91が受ける衝撃が小さいので、インク注込口32dから注入される新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに衝突させられることによってインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
インク流落用壁部32cは、重力方向の位置が落下インク衝突用壁部32bより下に配置されていて、重力方向の上方を向いている。この構成により、ボトル32は、インク流落用壁部32cが垂直である構成と比較して、インク注込口32dから注入される新たなインク91がインク流落用壁部32cを伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちる勢いが弱いので、インク91に気泡が発生することを抑えることができる。
なお、インク流落用壁部32cは、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91を伝わせてインク貯留部32aまで流れ落とすことができれば、垂直であっても良いし、重力方向の上方を向いていても良い。
ボトル32は、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cが連続する斜面32jに形成されているので、インク注込口32dから注入される新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bからインク流落用壁部32cをスムーズに伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちる。したがって、ボトル32は、インク91に気泡が発生することを抑えることができる。
また、ボトル32は、インク貯留部32aが形成されているボトル本体32hと、ボトル本体32hから所定の角度で外方に向けて突出形成された筒部とを備えており、斜面は、筒部に形成されていても良い。
この構成により、ボトル32は、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cがボトル本体32hではなく、ボトル本体32hから所定の角度で外方に向けて突出形成された筒部32jの斜面jに設けられているので、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cがボトル本体32hに設けられている構成と比較して、ボトル32全体の大型化を抑えながらインク貯留部32aの容量を大きく確保することができる。
また、インク貯留装置30は、作業者の手作業によってインク91がボトル32に注ぎ込まれることによってインク91が補充される場合、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が、落下インク衝突用壁部32bに衝突させられた後、インク流落用壁部32cを伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちるので、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下することを抑えることができ、結果として、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
また、インク貯留装置30は、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cをボトル32自体が備えているので、ボトル32にインク91が補充される場合に、ボトル32の他に漏斗81(図11参照。)のような専用の器具が必要ない。したがって、インク貯留装置30は、インク91が補充される場合にボトル32内のインク91に気泡が発生することを簡単な構成で抑えることができる。
なお、インク貯留装置30は、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク流落用壁部32cを伝わってインク貯留部32aまで流れ落ちたことによってボトル32内のインク91に気泡が発生したとしても、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下する構成と比較して、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91を攪拌する勢いが弱いので、発生した気泡のサイズが大きく気泡が短時間で消滅し易い。したがって、インク貯留装置30は、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91がインク貯留部32aに貯留されているインク91に直接落下する構成と比較して、インク91の補充の作業負担を軽減することができる。
インク貯留装置30は、インク貯留部32aの側方にインク流落用壁部32cが設けられているので、インク貯留部32aにインク流落用壁部32cが設けられている構成と比較して、インク貯留部32aの容量を大きく確保することができる。
なお、インク貯留装置30は、図8に示すように、インク貯留部32aにインク流落用壁部32cが設けられている構成であっても良い。
また、インク貯留装置30は、インク貯留部32aの側方に落下インク衝突用壁部32bが設けられているので、インク貯留部32aに落下インク衝突用壁部32bが設けられている構成と比較して、インク貯留部32aの容量を大きく確保することができる。
なお、インク貯留装置30は、図9に示すように、インク貯留部32aに落下インク衝突用壁部32bが設けられている構成であっても良い。
インク貯留装置30は、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態、すなわち、ボトル32に貯留されているインク91を記録ヘッド23に供給可能である状態で落下インク衝突用壁部32bが露出可能であるので、貯留しているインク91を記録ヘッド23に供給可能である状態のボトル32にインク91が注ぎ込まれることができ、結果として、インク91の補充の作業性を向上することができる。
なお、インク貯留装置30は、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態で落下インク衝突用壁部32bが露出可能でなくても良い。インク貯留装置30は、ボトル32が貯留装置本体31に支持されている状態で落下インク衝突用壁部32bが露出可能でない場合、貯留装置本体31から取り外されたボトル32にインク91が注ぎ込まれれば良い。
インク貯留装置30は、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cの形状が落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91が落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まることを防止する形状であり、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91が落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まらないので、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に直接落下することを抑えることができ、結果として、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
ボトル32のうち内壁の一部がインク流落用壁部32cである筒部32iは、内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、インク流落用壁部32cを形成している範囲において、最も落下インク衝突用壁部32b側の位置より小さい位置が存在する場合、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインクが、インク流落用壁部32cにおけるこの位置で一時的に溜まり、結果として、落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まる。しかしながら、インク貯留装置30は、この筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、インク流落用壁部32cを形成している範囲において、最も落下インク衝突用壁部32b側の位置で最も小さいので、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91がインク流落用壁部32cの途中の位置で一時的に溜まることを防止することができ、結果として、落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まることを防止することができる。
なお、インク貯留装置30は、ボトル32のうち内壁の一部がインク流落用壁部32cである筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、インク流落用壁部32cを形成している範囲において、最も落下インク衝突用壁部32b側の位置より小さい位置が存在しても、その位置における筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が十分に大きければ、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91がインク流落用壁部32cの途中の位置で一時的に溜まることはない。
ボトル32のうち内壁の一部が落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cである筒部32iは、内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cを形成している範囲において、落下インク衝突用壁部32bの位置より小さいインク流落用壁部32cにおける位置が存在する場合、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインクが、インク流落用壁部32cにおけるこの位置で一時的に溜まり、結果として、落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まる。しかしながら、インク貯留装置30は、この筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cを形成している範囲において、落下インク衝突用壁部32bの位置で最も小さいので、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91がインク流落用壁部32cの位置で一時的に溜まることを防止することができ、結果として、落下インク衝突用壁部32bに一時的に溜まることを防止することができる。
なお、インク貯留装置30は、ボトル32のうち内壁の一部が落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cである筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が、落下インク衝突用壁部32bおよびインク流落用壁部32cを形成している範囲において、落下インク衝突用壁部32bの位置より小さいインク流落用壁部32cにおける位置が存在しても、その位置における筒部32iの内側の空間のうちインク91の流れの方向に直交する面の面積が十分に大きければ、落下インク衝突用壁部32bに衝突したインク91がインク流落用壁部32cの位置で一時的に溜まることはない。
インク貯留装置30は、インク量通知装置38によって通知される特定の量のインクがインク貯留部32aに貯留された場合のこのインクの液面より高い位置に落下インク衝突用壁部32bが配置されているとき、ボトル32にインク91を補充する作業の作業者がインク量通知装置38による通知を受けてボトル32へのインク91の補充を終了すれば、落下インク衝突用壁部32bまでインク91が溜まることを防止することができるので、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に直接落下することを防止することができ、結果として、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
なお、インク貯留装置30は、落下インク衝突用壁部32bまでインク91が溜まっていて、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に直接落下することによってボトル32内のインク91に気泡が発生していたとしても、ボトル32にインク91を補充する作業の作業者がインク量通知装置38による通知を受けてボトル32へのインク91の補充を終了すれば、以降、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを防止することができる。
また、インク貯留装置30は、インク量通知装置38によって通知される特定の量のインクがインク貯留部32aに貯留された場合のこのインクの液面より高い位置に落下インク衝突用壁部32bが配置されているとき、ボトル32にインク91を補充する作業の作業者がインク量通知装置38による通知を受けてボトル32へのインク91の補充の勢いを弱めれば、落下インク衝突用壁部32bにインクが溜まったとしても、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に勢い良く落下することを防止することができ、結果として、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
なお、インク貯留装置30は、インク量通知装置38によって通知される特定の量のインクがインク貯留部32aに貯留された場合のこのインクの液面と同じか、この液面より低い位置に落下インク衝突用壁部32bが配置されているとき、ボトル32にインク91を補充する作業の作業者がインク量通知装置38による通知を受けた時点で、少なくとも落下インク衝突用壁部32bまでインク91が溜まっているので、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に直接落下することによってボトル32内のインク91に気泡が発生していることになる。しかしながら、インク貯留装置30は、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に直接落下することによってボトル32内のインク91に気泡が発生していたとしても、ボトル32にインク91を補充する作業の作業者がインク量通知装置38による通知を受けてボトル32へのインク91の補充の勢いを弱めれば、以降、ボトル32に注ぎ込まれる新たなインク91が落下インク衝突用壁部32bに溜まったインク91に勢い良く落下することを防止することができ、結果として、ボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。
インク貯留装置30は、送液ポンプ39が動作している場合(S101でYES)に攪拌装置37が駆動される(S102)ので、攪拌装置37が常に駆動されている構成と比較して、攪拌装置37の駆動時間が短い。インク貯留装置30は、攪拌装置37の駆動時間が短い場合、攪拌装置37による攪拌によってボトル32内のインク91に気泡が発生することを抑えることができる。したがって、インク貯留装置30は、インク貯留部32aに貯留されたインク91の成分の沈殿を攪拌装置37によって抑えることができるだけではなく、ボトル32内のインク91に攪拌装置37によって気泡が発生させられることを抑えることができる。
なお、インク貯留装置30は、攪拌装置37の攪拌によってボトル32内のインク91に気泡が発生しない場合には、常に攪拌装置37が駆動されている構成であっても良い。
落下インク衝突用壁部32bは、本実施の形態において筒部32iの斜面32jに形成されているが、側壁32gのうち水平な面に形成されていても良い。
ボトル32は、本実施の形態において作業者の手作業によって注入量が調整されながらインク91が注ぎ込まれるようになっているが、他の方法によってインク91が注ぎ込まれるようになっていても良い。例えば、ボトル32は、上述した特許文献1、2に記載されたインク補充容器のように自動的にボトル32にインク91を落下させる容器を使用して、インク91が注ぎ込まれるようになっていても良い。