JP2014164238A - レンズ鏡筒用絞り機構部材 - Google Patents

レンズ鏡筒用絞り機構部材 Download PDF

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Abstract

【課題】摺動性があり、かつ剛性・寸法安定性に優れたレンズ鏡筒用絞り機構部材を提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)繊維状充填材(B−1成分)および板状充填材(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化充填材5〜150重量部(B成分)、並びに(C)摺動性付与剤(C成分)0.5〜10重量部を含有する樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とするレンズ鏡筒用絞り機構部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物からなる摺動性および寸法精度を有し、レンズ等の光学素子を保持する光学系に組み込まれるレンズ鏡筒用絞り機構部材に関する。
カメラやビデオカメラなど撮影装置の撮影光学系には、開口面積を変化させる複数の絞り羽を備えた絞り機構部材が使用されている。(特許文献1、2参照)また最近では、光学機器の小型化の為に、アクチュエータを使用せず、絞りを開閉動作させる為の光学機器が開示されている。この場合、絞り羽を固定する地板にアームを有し、移動する鏡筒部材と接続され回転運動に連動し絞りが開閉する。この際、アーム部分と鏡筒接続部分には摺動性が必要とされている。そのため、摺動性が必要な部分にお互いが接触しない程度のクリアランスを持たせるよう成形する方法が提案されている。(特許文献3参照)しかし、この方法では求める成形精度が高く、歩留まりが低下するという問題があった。
特開2002−202543号公報 特開2012−211977号公報 特開2011−39107号公報
上述のとおり、潤滑剤を塗布することなく摺動性を発現する絞り機構部材が求められている。従って、本発明は摺動性があり、かつ剛性・寸法安定性に優れたレンズ鏡筒用絞り機構部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、繊維状充填材(B−1成分)および板状充填材(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化充填材(B成分)5〜150重量部、並びに摺動性付与剤(C成分)0.5〜10重量部含有する樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とするレンズ鏡筒用絞り機構部材が上記の課題を解決することを見出し、更に検討を進めて本発明を完成した。
以下、本発明について具体的に説明する。
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよい。ジヒドロキシ成分の主成分はビスフェノール類が好ましいが、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば脂肪族ジオール類を一部用いることもできる。ビスフェノール類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等および下記一般式〔1〕
Figure 2014164238
(上記一般式〔1〕において、R及びRは各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜15の置換若しくは無置換のアリール基、炭素原子数6〜15の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、炭素原子数7〜15の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素原子数7〜15の置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基であり、R、R、R、R、R及びRは、各々独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、a、bは0又は1〜4の自然数であり、c+dは150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)で表されるシロキサン構造を有するビスフェノール化合物等が挙げられる。
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、が好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンおよび上記一般式〔2〕が好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらの芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔2〕〜〔4〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 2014164238
[式中、Aは炭素数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15の置換若しくは無置換のアリール基、炭素原子数7〜15の置換若しくは無置換のアラルキル基であり、rは0〜5、好ましくは0〜1の整数である。]
Figure 2014164238
[式中、nは炭素数1〜50の整数である。]
Figure 2014164238
[式中、Wは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは1〜50の整数である。]
上記一般式〔2〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔3〕〜〔4〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔3〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔4〕の置換フェノール類としてはWが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が好ましく、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔2〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル% 末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のA成分として用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、12,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜30,000がより好ましく、12,000〜25,000の範囲がさらにより好ましく、15,000〜25,000の範囲が最も好ましい。分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が12,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなるので好ましくない。
(B成分:充填材)
本発明で使用される樹脂組成物はB成分として、繊維状充填材(B−1成分)および板状充填材(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化充填材を含有する。
(B−1:成分繊維状充填材)
B−1成分として用いる繊維状充填材としては、公知の繊維状充填材が挙げられる。かかる繊維状充填材としては、丸型断面を有するガラス繊維、繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜5である扁平断面ガラス繊維、炭素系フィラー、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウム繊維が好適に例示される。かかる繊維状充填材は、これらの表面に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、および酸化ケイ素などの金属酸化物コートされたフィラーも利用できる。
炭素系フィラーとしては、例えばカーボンファイバー、金属コートカーボンファイバー、カーボンミルドファイバー、気相成長カーボンファイバー、およびカーボンナノチューブ、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンナノチューブは繊維径0.003〜0.1μm、単層、2層、および多層のいずれであってもよく、多層(いわゆるMWCNT)が好ましい。これらの中でも機械的強度に優れる点、並びに良好な導電性を付与できる点において、カーボンファイバー、および金属コートカーボンファイバーが好ましい。
上記繊維状充填材は、予め各種の表面処理剤で表面処理されていてもよい。かかる表面処理剤としては、シランカップリング剤(アルキルアルコキシシランやポリオルガノハイドロジェンシロキサンなどを含む)、高級脂肪酸エステル、酸化合物(例えば、亜リン酸、リン酸、カルボン酸、およびカルボン酸無水物など)並びにワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。上記繊維状充填材は単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
(B−2:成分板状充填材)
B−2成分として用いる板状充填材としては、マイカ、タルク、クレー、グラファイト、ガラスフレーク、およびモンモリロナイトなどのスメクタイト系鉱物などが例示される。またかかる板状充填材は、金属コートまたは金属酸化物コートされたものを含む。本発明の板状充填材としてはマイカ、タルク、ガラスフレーク、およびグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の板状充填材であることが好ましく、特にガラスフレークが好ましい。
本発明のB−2成分として使用されるガラスフレークの平均厚さは、好ましくは、0.2〜7μm、より好ましくは0.2〜0.7μm、さらに好ましくは0.3〜0.6μm、特に好ましくは0.4〜0.5μmである。平均厚みが上記範囲のガラスフレークを使用した場合、平均厚みが7μmより大きいガラスフレークを使用した場合に比べ、機械特性が大きく改良され、機械的強度に関してはガラス繊維並の特性を発現するようになる。また、平均厚みが0.2μmよりも小さくなると樹脂に混練する際、ガラスフレークの割れが著しく十分な補強効果が発現しなくなる場合がある。なお、ここで該平均厚みは以下の方法で測定される。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100枚以上のガラスフレークにつき、それぞれの厚さを測定し、その測定値を平均することにより求める。この場合、ガラスフレーク単体を走査型電子顕微鏡で観察して測定しても良く、ガラスフレークを樹脂に充填して成形し、これを破断し、その破断面を観察して測定しても良い。いずれの測定方法においても、ガラスフレーク断面(厚さ面)が走査型電子顕微鏡の照射電子線軸に垂直になるように、走査型電子顕微鏡の試料台を試料台微動装置により調整する必要がある。
また、該ガラスフレークの平均粒径は10〜300μmが好ましく、より好ましくは15〜250μm、さらに好ましくは20〜200μmである。なお、ここで該平均粒径は標準ふるい法により求められる粒度の重量分布のメジアン径として算出されるものである。
かかるガラスフレークは周知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度の向上の点から好ましい。更にガラスフレークはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の結合剤により造粒又は集束したものが、ハンドリングの点で好ましい。但し、かかる造粒又は集束により得られる顆粒状物又は集束物に対しては、上述したガラスフレーク平均粒径範囲や厚さ範囲は適用されない。上記のガラスフレークのガラス組成は、Aガラス、Cガラス、およびEガラス等に代表される各種のガラス組成が適用され、特に限定されない。
本発明のB−2成分として使用されるマイカとしては、剛性確保の面から、平均粒径が10〜700μmの粉末状のものが好ましい。マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、本発明で使用するマイカとしてはいずれのマイカも使用できるが、白雲母は金雲母や黒雲母に比べてそれ自体が剛直であり、剛性の点では白雲母が好適である。また、金雲母、黒雲母は白雲母に比べて主成分中にFeが多く含まれているためそれ自体の色相が黒っぽくなり、種々の着色をする場合にも白雲母は好適である。また白雲母は、人造雲母(天然金雲母のOH基がFに置換されたもの)が高価であるのに対しても有利である。したがって本発明においては種々の点から白雲母が好適である。また、マイカの製造に際しての粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法とマイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。尚、マイカの平均粒径の下限は、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10μm以上であるものが好まれ、一方上限は振動式ふるい分け法により測定された平均粒子径で700μm以下が好ましい。マイクロトラックレーザー回折法は、振動式篩分け法により325メッシュパスが、95重量%以上のマイカに対して行うのが好適である。それ以上の粒径のマイカに対しては、振動式篩分け法を使用するのが一般的である。本発明の振動式篩分け法は、まず振動篩器を用い使用するマイカ粉体100gを目開きの順番に重ねたJIS規格の標準篩により10分間篩分けを行う。各篩の上に残った紛体の重量を測定して粒度分布を求める方法である。振動式篩分け法で測定した重量平均粒径が50〜700μmの範囲が好ましく、さらに50〜400μmの範囲が衝撃強度に優れるためより好ましい。かかる粒径の効果は特に白雲母を原料として得られたマイカにおいて好適に発揮される。700μmを越えるものは稀であり、また成形時のゲート詰まり等の成形不良が生じ易くなるため好ましくない。一方10μm未満の粉砕は現在では極めて多くの工数を要するため経済的ではない。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。更にかかるマイカは、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよく、ウレタン系樹脂など各種樹脂や高級脂肪酸エステルなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明のB−2成分として使用されるタルクは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7である。ここで示されるタルクの粒径は、JIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。その粒子径が0.3〜15μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。またかかるタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、及び容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。更に粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。更にかかるタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の組成物中に混入させない点で好ましい。
本発明のB−2成分として使用されるグラファイトは、鱗片状黒鉛である。かかる鱗片状黒鉛を配合した樹脂組成物は良好な導電性を有すると共に、良好な機械的強度、低異方性を有する。本発明のグラファイトの粒径は、5〜300μmの範囲である。かかる粒径は好ましくは5〜70μm、より好ましくは7〜40μm、更に好ましくは7〜35μmである。かかる範囲を満足することにより、良好な難燃性が達成される。一方、平均粒径が5μm未満であると寸法精度の改良効果が低下しやすく、平均粒径が300μmを超えると、耐衝撃性も若干低下すると共に、成形品表面にいわゆる黒鉛の浮きが目立つようになり好ましくない。かかる表面の浮きは成形品表面から黒鉛が脱落し、電子部品と導通して部品を損傷する可能性を有するためである。また上記の好ましい平均粒径では、成形品の外観が良好になると共に、良好な摺動性も得られやすい利点がある。本発明のグラファイトの固定炭素量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは98重量%以上である。また本発明のグラファイトの揮発分は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。本発明におけるグラファイトの平均粒径は、組成物となる以前のグラファイト自体の粒径をいい、またかかる粒径はレーザー回折法によって求められたものをいう。また黒鉛の表面は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて熱可塑性樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。
B成分の含有量はA成分100重量部に対し、5〜150重量部であり、8〜130重量部が好ましく、10〜110重量部がより好ましい。B成分が5重量部未満では、回転運動に耐えうる剛性が発現せず、150重量部を超えると、成形性が低下する。
(C成分:摺動性付与剤)
本発明のC成分として使用される摺動性付与剤は通常樹脂に使用される摺動性付与剤が広く使用できる。具体的にはオレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、フッ素系オイル、シリコーン系オイル、シリコーン系パウダー、ポリオレフィン系樹脂、鉱物油,合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミドおよび二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動性付与剤が挙げられ、摺動性の点からオレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、フッ素系オイル、シリコーン系オイル、シリコーン系パウダー、およびポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動性付与剤がより好ましく使用できる。さらに好ましくはオレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、シリコーン系オイル、シリコーン系パウダーであり、もっとも好ましくはオレフィン系ワックスである。
本発明で用いられるオレフィン系ワックスは、好ましくは分子量が1,000〜10,000である、エチレン単独重合体、もしくはエチレンと炭素原子数3〜60のα−オレフィンとの共重合体である。かかる分子量は、GPC(ゲルハーミエーションクロマトグラフィー)法により測定される数平均分子量である。数平均分子量の上限は、より好ましくは6,000、更に好ましくは4,000である。分子量が1,000未満ではワックスの特性が不十分である。一方分子量が10,000を超えると、成形品表面へ移行しにくくなるために、摺動性が不十分となりやすい。更に分子量が10,000を超えると、外観も悪化しやすい。上記分子量範囲のオレフィン系ワックスにより外観、衝撃強度およびウエルド強度に優れた成形品が得られる。かかるGPC測定は、温度23℃、相対湿度50%の清浄な空気の環境下、カラムとしてShodex AC800Pおよび(Shodex K−805L×2本)、移動相としてクロロホルム、標準物質として標準ポリスチレン、および検出器として示差屈折率計からなるGPC測定装置を用い、展開溶媒としてクロロホルムを使用し、カラム温度40℃および流量1ml/分の条件により行われる。
α−オレフィン成分の炭素数は好ましくは4〜50、より好ましくは5〜40である。より好適な具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンなどが例示される。本発明のより好適なオレフィン系ワックスはエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜60のα−オレフィンとの共重合体である。ここでかかる共重合体における炭素原子数3〜60のα−オレフィンの割合は、共重合体の全構成単位を100モル%を基準として、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
また本発明で用いられるオレフィン系ワックスは、重量平均分子量/数平均分子量で示されるところの分子量分布は、好ましくは1〜10、より好ましくは1.2〜5、更に好ましくは1.5〜4の範囲である。かかる分子量分布があまりに広いと低分子量成分によって成形品表面にべトつきの如き不良が生じやすい。またその密度は、好ましくは0.880〜0.965g/cmの範囲である。かかる下限は好ましくは0.890、より好ましくは0.920である。高密度である方が高荷重時の摺動特性において有利になりやすい。またその融点は、好ましくは80〜135℃の範囲、より好ましくは100〜130℃の範囲である。また分岐度などは特に限定されるものではない。ポリオレフィンワックスは2種以上の混合物であってもよく、酸性官能基、エステル結合含有官能基、およびエポキシ基などの極性基が導入されてもよい。かかる導入量の好ましい程度は、例えば酸性官能基であれば、その酸価(JIS K5902)が好ましくは20mgKOH/g以下(より好ましくは10mgKOH/g以下、更に好ましくは2mgKOH/g以下)である。他の官能基についても同程度の含有量であることが好ましい。
本発明のオレフィン系ワックスは、公知の方法で製造することができ、公知のチーグラー触媒、フィリップス触媒、またはメタロセン触媒を用いて、溶液重合、スラリー重合、および気相重合などの重合法により製造されることができる。更にかかる製造法により製造された高分子量のポリオレフィンを熱分解することにより、またはその低分子量成分の分離精製を行うことにより製造することもできる。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.5〜10重量部であり、1〜7重量部が好ましく、2〜5重量部がより好ましい。C成分が0.5重量部未満では十分な摺動特性が得られず、10重量部を超えると押出安定性及び成形性が悪化する。
(その他の添加剤について)
本発明で使用される樹脂組成物には、成形加工時の分子量や色相を安定化させるために各種安定剤、離型剤および色材を使用することができる。
(i)安定剤
本発明で使用される樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などが挙げられる。
(i−1)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。これらの中でも特に、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、およびホスホン酸、トリオルガノホスフェート化合物、およびアシッドホスフェート化合物が好ましい。尚、アシッドホスフェート化合物における有機基は、一置換、二置換、およびこれらの混合物のいずれも含む。該化合物に対応する下記の例示化合物においても同様にいずれをも含むものとする。
トリオルガノホスフェート化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、およびトリブトキシエチルホスフェートなどが例示される。これらの中でもトリアルキルホスフェートが好ましい。かかるトリアルキルホスフェートの炭素数は、好ましくは1〜22、より好ましくは1〜4である。特に好ましいトリアルキルホスフェートはトリメチルホスフェートである。
アシッドホスフェート化合物としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、およびビスフェノールAアシッドホスフェートなどが例示される。これらの中でも炭素数10以上の長鎖ジアルキルアシッドホスフェートが熱安定性の向上に有効であり、該アシッドホスフェート自体の安定性が高いことから好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
好適なリン系安定剤は、トリオルガノホスフェート化合物、アシッドホスフェート化合物、および下記一般式(5)で表されるホスファイト化合物である。殊にトリオルガノホスフェート化合物を配合することが好ましい。
Figure 2014164238
(式(5)中、ARおよびAR’は炭素数6〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。
また上記式(5)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
(i−2)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特に3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましい。殊にリン系安定剤が配合されることが好ましく、トリオルガノホスフェート化合物が配合されることがより好ましい。リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、それぞれA成分100重量部を基準として、好ましくは0.005〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部である。
(i−3)紫外線吸収剤
本発明で使用される樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。
本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、更に好ましくは0.03〜1重量部、最も好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(i−4)その他の熱安定剤
本発明で使用される樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部を基準として、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかる安定剤は、樹脂組成物が回転成形に適用される場合に特に有効である。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(ii)染顔料
本発明で使用される樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、アルミ粉が好適である。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記の染顔料の含有量は、A成分100重量部を基準として、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(iii)熱線吸収能を有する化合物
本発明で使用される樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部を基準として0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
(iv)光高反射用白色顔料
本発明のガラス強化樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分100重量部を基準として3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
(v)帯電防止剤
本発明で使用される樹脂組成物は、帯電防止剤を含むことができる。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量はA成分100重量部を基準として、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
帯電防止剤としては例えば、(2)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、および有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。かかる金属塩は前述のとおり、難燃剤としても使用される。かかる金属塩は、より具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有量はA成分合計100重量部を基準として、0.5重量部以下が適切であり、好ましくは0.001〜0.3重量部、より好ましくは0.005〜0.2重量部である。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
帯電防止剤としては、例えば(3)アルキルスルホン酸アンモニウム塩、およびアリールスルホン酸アンモニウム塩などの有機スルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。該アンモニウム塩はA成分100重量部を基準として、0.05重量部以下が適切である。帯電防止剤としては、例えば(4)ポリエーテルエステルアミドの如きポリ(オキシアルキレン)グリコール成分をその構成成分として含有するポリマーが挙げられる。該ポリマーはA成分100重量部を基準として5重量部以下が適切である。
(vi)その他の添加剤
本発明で使用される樹脂組成物には、A以外の熱可塑性樹脂、その他の流動改質剤などを配合することができる。
A成分以外の熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(いわゆるPET−G樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂、およびポリブチレンナフタレート樹脂など)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂が例示される。ゴム質重合体としては、各種のコア−シェル型グラフト共重合体および熱可塑性エラストマーが例示される。上記他の熱可塑性樹脂およびゴム質重合体は、A成分100重量部を基準として20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
(樹脂組成物の製造)
本発明で使用される樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
(レンズ鏡筒用絞り機構部材の製造)
本発明のレンズ鏡筒用絞り機構部材は上記の如く製造されたペレットを射出成形して得ることができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。更に本発明のレンズ鏡筒用絞り機構部材には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。
本発明のレンズ鏡筒用絞り機構部材は、摺動性を有し、かつ剛性・寸法安定性に優れた樹脂組成物を射出成形して得られるため、潤滑剤を塗布する工程が不要であり、また、潤滑剤がレンズに付着し光学系に影響を与えることもないため、産業上の効果はきわめて大である。
成形性評価に使用した絞り機構部材の模擬成形品である。 成形品強度評価に使用した絞り機構部材の模擬成形品である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。
1)摩擦係数
評価機器として(株)オリエンテック製往復動摩擦摩耗試験機AFT−15Mを使用した。直径5mmφの半球と直径5mmφ、長さ30mmの円柱とを円断面部分で結合した先端に球面を有するピン状試験片もしくは鋼材を固定側試験片ホルダーに装着した。一方実施例および比較例の樹脂組成物より下記の方法で得られたペレットを使用して長さ150mm×幅150mm×厚さ2mmの平板状試験片(ゲートは辺の一端より幅40mm×厚み1mmのフィンゲート)を射出成形により作成し、中心部を長さ50mm×幅100mmに切削し、かかる切削試験片を往復動作する台座上に固定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度310℃、金型温度100℃で成形した。上記ピン状試験片の先端球面部分をかかる平板状試験片の切削試験片の平面部分に、ピン状試験片の円柱軸方向と平板状試験片の平面法線方向が平行となる状態で負荷荷重9.8Nの荷重をかけた状態で接触させた。かかる接触状態で、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で平面内の1直線上を片道25mmの距離を25mm/sの速度で往復動作させ、ピン状試験片側に接続した容量49Nのロードセルにより1〜50回動作時の最大摩擦力を測定し、その平均値と前記負荷荷重との関係より摩擦係数を算出した。なお、ピン状成形品の材質詳細は以下のとおりである。
PC ; パンライト L−1225Y
PCG ; パンライト G−3430H
PC/CF ; パンライト B−8130R
鋼材 ;S−45C
なお、比較例1の樹脂組成物を成形して得られた平板状試験片の表面に株式会社ハーベスト製DRYSURF(MDF−2400E)を適量塗布することにより摺動塗装を実施した平板状試験片の摩擦係数は、ピン状成形品の材質に関わらず0.3であった。
2)押出安定性
原料を二軸押出機にて溶融混練しペレット化した際、押出安定性の良かった物を○、ストランド切れが多く安定性の悪かった物を×で示した。
3)成形性
実施例および比較例の樹脂組成物より下記の方法で得られたペレットを使用して図1に示す、外形の直径3cm、内径の直径2cm、厚み2mmの円盤形状の一端に、アームを模した幅8mm、厚2mm、高さ25mmの直方体を有する、絞り機構部材の模擬成形品を成形した。ガラスの浮きが小さく表面外観が良好なものを○、ガラスの浮きが大きく表面外観の悪いものを×で示した。なお、模擬成形品は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度310℃、金型温度120℃で成形した。
4)成形品強度
実施例および比較例の樹脂組成物より下記の方法で得られたペレットを使用して、上記絞り機構部材の模擬成形品のアームに対を成すように、図2に示す長辺8mm、短辺2mmの受けを有する外形の直径3cm、内径の直径2cm、厚み2mmの成形品を成形し、アーム先端と受けを結合した状態にて受け部分に0.5kgの重りを吊り下げた。円盤の中心を軸として回転運動をさせた際にアームのたわみが無いものを○、たわみがあるものを×とした。
[実施例1〜19、および比較例1〜4]
下記配合成分を、表1および表2記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレットを得た。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1および2に示した。
表1および2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
PC:ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP)
(B成分)
HGF:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製:CSG 3PA−830、長径28μm、短径7μm、カット長3mm)
GF:円形断面チョップドガラス繊維(日本電気硝子(株)製:ECS―03T−511、直径13μm、カット長3mm)
MF:ミルドファイバー(日東紡積(株)製:PFE−301S、繊維径:13μm、カット長:40μm)
ワラスト:ワラストナイト(関西マテック製:KGP−H40、数平均繊維長6.5μm、数平均繊維径1.0μm、アスペクト比6.5)
チタン酸カリウム:チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製:ティスモD、平均繊維径0.5μm、平均繊維長15μm)
CF:炭素繊維(東邦レーヨン(株)製:ベスファイト HTA−C6−U、径7μm)
GFL1:顆粒状ガラスフレーク(日本板硝子(株)製:フレカREFG−301、標準篩法によるメジアン平均粒径140μm、厚み5μm)
GFL2:顆粒状ガラスフレーク(日本板硝子(株)製:マイクログラス ファインフレーク
MEG160FY−M02、標準篩法によるメジアン平均粒径160μm、厚み0.7μm)
マイカ:平均粒子径250μmマスコバイト(林化成(株)製:MC−40)
タルク:タルク((株)勝光山鉱業所製:ビクトリライトTK−RC、かさ密度:0.80g/cm3、平均粒子径:2μm)
グラファイト;グラファイト(日本黒鉛工業(株)製:UP−20、平均粒径25μm、長軸方向長さ/厚さ68、固定炭素量99.6%、揮発分0.2%、灰分0.2%)
(C成分)
オレフィンワックス:(三井化学(株)製:ハイワックス310MP)
(その他成分)
安定剤:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:TMP)
流動改質剤:ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製:プラクセルH1P)
Figure 2014164238
Figure 2014164238
実施例1〜19の組成物を射出成形して得られた成形品は、摺動塗装と同等の摺動性を有し、優れた成形性及び、カメラレンズのズーム機構が動く際の回転運動に耐えうる成形品強度を有する。

Claims (3)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)繊維状充填材(B−1成分)および板状充填材(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化充填材(B成分)5〜150重量部、並びに(C)摺動性付与剤(C成分)0.5〜10重量部を含有する樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とするレンズ鏡筒用絞り機構部材。
  2. B−1成分がガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウム繊維および炭素系フィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維状充填材であり、B−2成分がガラスフレーク、マイカ、グラファイトおよびタルクからなる郡より選ばれる少なくとも一種の板状充填材であることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒用絞り機構部材。
  3. C成分が数平均分子量が1,000〜10,000であるオレフィン系ワックスであることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒用絞り機構部材。
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