JP5541881B2 - ガラス強化樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は樹脂組成物及びそれからなる成形品に関する。更に詳しくは、機械的強度に優れ、かつ成形収縮率の異方性が小さく反りを抑えたガラス強化樹脂組成物及びそれからなる成形品に関する。
熱可塑性樹脂にガラス繊維を配合したガラス強化樹脂組成物は寸法精度や剛性等が要求される分野に広く用いられている。しかしながら、近年の家電や情報機器等の軽薄短小化の傾向には著しいものがあり、そのため例えばその外殻部材は極めて薄肉になっている。このような薄肉の部材には寸法精度や剛性に加えて低反り性が要求される。繊維状充填材を配合した場合、十分に金型の温度制御を行っても繊維状充填材の配向に伴う成形収縮時の異方性により、極めて大きな反りが発生する。このような低反り性の要求に対しては、ガラスフレークをはじめとする板状充填材を配合することで成形収縮時の異方性を低減させ、反りを小さくする方法が知られている(特許文献1、2参照)。しかしながら、従来の板状充填材のみでは繊維状強化材を配合した組成物に比較して機械的強度が劣る。機械的強度を向上させるためにより多くの板状充填材を添加すると比重が高くなり、所望の軽量化に逆行することになる。また、板状充填材のみに代えて、板状充填材と繊維状充填材を組み合わせて配合する場合には成形収縮時の異方性はあまり低下しない。即ち、低反り性はあまり改善されない。このため板状充填材のみで更にその量を変えることなく機械的強度を高めることが必要である。
熱可塑性樹脂に従来よりも薄いガラスフレークを用いて機械的強度を改善した熱可塑性樹脂組成物は公知である(特許文献3参照)。しかしながら、かかる特許文献中には平均厚さ1.2μm以上のガラスフレークを使用した実施例しか示されておらず、所望の機械的強度を発現するにいたっていない。
熱可塑性樹脂と平均厚さ0.5〜7.0μmのガラスフレークを使用した樹脂組成物は公知である(特許文献4参照)。しかし、かかる特許文献では表面処理による効果のみについて記載しておりガラスフレークの厚みによる効果を謳ったものではない。
特許第3019196号公報 特許第2806858号公報 特公平6−74333号公報 特公平7−76113号公報
上記に鑑み本発明の目的は、平均厚さが0.2〜0.7μmであるガラスフレークで強化されたポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂を基体として、機械的強度に優れ、かつ成形収縮率の異方性が小さく反りを抑えたガラス強化樹脂組成物を提供することにある。本発明者は、上記目的を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂に特定の厚みを有するガラスフレークを利用することにより、かかる目的を達成できることを見出し、更に鋭意検討を進め本発明を完成するに至った。
本発明は、(A)熱可塑性樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)平均厚さが0.2〜0.7μmであるガラスフレーク(B成分)1〜150重量部を含有するガラス強化樹脂組成物により達成される。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
(A成分:熱可塑性樹脂)
(A−1成分:ポリカーボネート系樹脂)
本発明でA成分の熱可塑性樹脂において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、樹脂組成物を構成するA成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
なお、上述した各種のポリカーボネートの中でも、共重合組成等を調整して、吸水率及びTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂は、本発明のガラス強化樹脂組成物に、ドリップ防止性能などを付与できる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
分岐ポリカーボネートにおける多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、2価フェノールから誘導される構成単位とかかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位との合計100モル%中、0.01〜1モル%、好ましくは0.05〜0.9モル%、特に好ましくは0.05〜0.8モル%である。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
本発明のポリカーボネート系樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献および特許公報などで良く知られている方法である。
本発明のガラス強化樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1.4×10〜3×10、さらに好ましくは1.4×10〜2.4×10である。
粘度平均分子量が1×10未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×10を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
なお、前記ポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量が前記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。殊に、前記範囲(5×10)を超える粘度平均分子量を有するポリカーボネート系樹脂は、樹脂のエントロピー弾性が向上する。その結果、強化樹脂材料を構造部材に成形する際に使用されることのあるガスアシスト成形、および発泡成形において、良好な成形加工性を発現する。かかる成形加工性の改善は前記分岐ポリカーボネートよりもさらに良好である。より好適な態様としては、A成分が粘度平均分子量7×10〜3×10のポリカーボネート系樹脂(A−1−1−1成分)、および粘度平均分子量1×10〜3×10の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1−1−2成分)からなり、その粘度平均分子量が1.6×10〜3.5×10であるポリカーボネート系樹脂(A−1−1成分)(以下、“高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂”と称することがある)も使用できる。
かかる高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A−1−1成分)において、A−1−1−1成分の分子量は7×10〜2×10が好ましく、より好ましくは8×10〜2×10、さらに好ましくは1×10〜2×10、特に好ましくは1×10〜1.6×10である。またA−1−1−2成分の分子量は1×10〜2.5×10が好ましく、より好ましくは1.1×10〜2.4×10、さらに好ましくは1.2×10〜2.4×10、特に好ましくは1.2×10〜2.3×10である。
高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A−1−1成分)は前記A−1−1−1成分とA−1−1−2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、A−1−1成分100重量%中、A−1−1−1成分が2〜40重量%の場合であり、より好ましくはA−1−1−1成分が3〜30重量%であり、さらに好ましくはA−1−1−1成分が4〜20重量%であり、特に好ましくはA−1−1−1成分が5〜20重量%である。
また、A−1−1成分の調製方法としては、(1)A−1−1−1成分とA−1−1−2成分とを、それぞれ独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5−306336号公報に示される方法に代表される、GPC法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマーピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内において製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を本発明のA−1−1成分の条件を満足するよう製造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製造法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、別途製造されたA−1−1−1成分および/またはA−1−1−2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
尚、本発明のガラス強化樹脂組成物におけるポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量の算出は次の要領で行なわれる。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンと混合し、組成物中の可溶分を溶解させる。かかる可溶分をセライト濾過により採取する。その後得られた溶液中の溶媒を除去する。溶媒除去後の固体を十分に乾燥し、塩化メチレンに溶解する成分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、上記と同様にして20℃における比粘度を求め、該比粘度から上記と同様にして粘度平均分子量Mを算出する。
A成分中のA−1成分の含有量は50重量%以上が好ましく、55重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
(A−2成分:スチレン系樹脂)
本発明には熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂(A−2成分)を使用することができる。このスチレン系樹脂は良好な成形加工性と、適度な耐熱性および難燃性を有しているため、これら特性のバランスを保つために好ましい熱可塑性樹脂である。
かかるスチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体、またこれと必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上を共重合して得られる重合体である。
芳香族ビニル化合物としては、特にスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。特に好適なシアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが挙げられ、特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげられる。
上記芳香族ビニル化合物と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びに(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリル系ゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
上記スチレン系樹脂として具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、およびSMA樹脂などのスチレン系樹脂、並びに(水添)スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、(水添)スチレン−イソプレン−スチレン共重合体樹脂などを挙げることができる。尚、(水添)の表記は水添していない樹脂および水添した樹脂のいずれをも含むことを意味する。ここでMS樹脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体樹脂、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主としてなる共重合体樹脂、MABS樹脂はメチルメタクリレート、アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、MAS樹脂はメチルメタクリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体樹脂を示す。
尚、かかるスチレン系樹脂はその製造時にメタロセン触媒等の触媒使用により、シンジオタクチックポリスチレン等の高い立体規則性を有するものであってもよい。更に場合によっては、アニオンリビング重合、ラジカルリビング重合等の方法により得られる、分子量分布の狭い重合体及び共重合体、ブロック共重合体、及び立体規則性の高い重合体、共重合体を使用することも可能である。
これらの中でも、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)が好ましい。また、スチレン系重合体を2種以上混合して使用することも可能である。
本発明で使用するAS樹脂とは、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を共重合した熱可塑性共重合体である。かかるシアン化ビニル化合物としては、特にアクリロニトリルが好ましく使用できる。また芳香族ビニル化合物としては、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく使用できる。AS樹脂中における各成分の割合としては、全体を100重量%とした場合、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%、好ましくは85〜65重量%である。更にこれらのビニル化合物に、上記記載の共重合可能な他のビニル系化合物を混合使用することもでき、これらの含有割合は、AS樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。また反応で使用する開始剤、連鎖移動剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
かかるAS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、好ましくは塊状重合によるものである。また共重合の方法も一段での共重合、または多段での共重合のいずれであってもよい。またかかるAS樹脂の還元粘度としては、0.2〜1.0dl/gであり、好ましくは0.3〜0.5dl/gである。還元粘度は、AS樹脂0.25gを精秤し、ジメチルホルムアミド50mlに2時間かけて溶解させた溶液を、ウベローデ粘度計を用いて30℃の環境で測定したものである。なお、粘度計は溶媒の流下時間が20〜100秒のものを用いる。還元粘度は溶媒の流下秒数(t)と溶液の流下秒数(t)から次式によって求める。
還元粘度(ηsp/C)={(t/t)−1}/0.5
還元粘度が0.2dl/gより小さいと衝撃が低下し、1.0dl/gを越えると流動性が悪くなる。
本発明で使用するABS樹脂とは、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体の混合物である。このABS樹脂を形成するジエン系ゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等のガラス転位温度が−30℃以下のゴムが用いられ、その割合はABS樹脂成分100重量%中5〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは8〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。ジエン系ゴム成分にグラフトされるシアン化ビニル化合物としては、特にアクリロニトリルが好ましく使用できる。またジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物としては、特にスチレン及びα−メチルスチレンが好ましく使用できる。かかるジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の割合は、ABS樹脂成分100重量%中95〜20重量%が好ましく、特に好ましくは50〜90重量%である。更にかかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%であることが好ましい。更に上記のジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部についてメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することもでき、これらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。更に反応で使用する開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
本発明のABS樹脂においては、ゴム粒子径は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.15〜1.5μm、特に好ましくは0.2〜0.8μmである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。
またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラフトされないシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含有することは従来からよく知られているところであり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の際に発生するフリーの重合体成分を含有するものであってもよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる共重合体の還元粘度は、先に記載の方法で求めた還元粘度(30℃)が0.2〜1.0dl/g、より好ましくは0.3〜0.7dl/gであるものである。
またグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対して、グラフト率(重量%)で表して20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜70%のものである。
かかるABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、特に塊状重合によるものが好ましい。更にかかる塊状重合法としては代表的に、化学工学 第48巻第6号415頁(1984)に記載された連続塊状重合法(いわゆる東レ法)、並びに化学工学 第53巻第6号423頁(1989)に記載された連続塊状重合法(いわゆる三井東圧法)が例示される。本発明のABS樹脂としてはいずれのABS樹脂も好適に使用される。また共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共重合してもよい。また、かかる製造法により得られたABS樹脂に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル成分とを別途共重合して得られるビニル化合物重合体をブレンドしたものも好ましく使用できる。
前記AS樹脂およびABS樹脂は、アルカリ(土類)金属量が低減されたものが良好な熱安定性や耐加水分解性などの点からより好適である。スチレン系樹脂中のアルカリ(土類)金属量は、好ましくは100ppm未満であり、より好ましくは80ppm未満であり、更に好ましくは50ppm未満であり、特に好ましくは10ppm未満である。かかる点からも塊状重合法によるAS樹脂およびABS樹脂が好適に使用される。更にかかる良好な熱安定性や耐加水分解性に関連して、AS樹脂およびABS樹脂において乳化剤を使用する場合には、該乳化剤は好適にはスルホン酸塩類であり、より好適にはアルキルスルホン酸塩類である。また凝固剤を使用する場合には、該凝固剤は硫酸または硫酸のアルカリ土類金属塩が好適である。
スチレン系樹脂の配合量はA−1成分100重量部当り、1〜100重量部が好ましく、5〜80重量部がより好ましく、10〜70重量部がさらに好ましい。
(その他の熱可塑性樹脂)
A−1、A−2成分以外の熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(いわゆるPET−G樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂、およびポリブチレンナフタレート樹脂など)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、並びにポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、エチレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびプロピレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂など)が例示される。ゴム質重合体としては、各種のコア−シェル型グラフト共重合体および熱可塑性エラストマーが例示される。上記他の熱可塑性樹脂およびゴム質重合体の含有量は、A成分100重量部を基準として100重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。
(B成分:ガラスフレーク)
本発明の組成物においてB成分として用いるガラスフレークは、平均厚さが0.2〜0.7μm、好ましくは0.3〜0.6μm、より好ましくは0.4〜0.5μmのガラスフレークである。平均厚みが上記範囲のガラスフレークを使用した場合、平均厚みが0.7μmより大きいガラスフレークを使用した場合に比べ、機械特性が大きく改良され、機械的強度に関してはガラス繊維並の特性を発現するようになる。また、平均厚みが0.2μmよりも小さくなると樹脂に混練する際、ガラスフレークの割れが著しく十分な補強効果が発現しなくなる。なお、ここで該平均厚みは以下の方法で測定される。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100枚以上のガラスフレークにつき、それぞれの厚さを測定し、その測定値を平均することにより求める。この場合、ガラスフレーク単体を走査型電子顕微鏡で観察して測定しても良く、ガラスフレークを樹脂に充填して成形し、これを破断し、その破断面を観察して測定しても良い。いずれの測定方法においても、ガラスフレーク断面(厚さ面)が走査型電子顕微鏡の照射電子線軸に垂直になるように、走査型電子顕微鏡の試料台を試料台微動装置により調整する必要がある。
また、該ガラスフレークの平均粒径は10〜300μmが好ましく、より好ましくは15〜250μm、さらに好ましくは20〜200μmである。なお、ここで該平均粒径は標準ふるい法により求められる粒度の重量分布のメジアン径として算出されるものである。
かかるガラスフレークは周知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度の向上の点から好ましい。更にガラスフレークはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の結合剤により造粒又は集束したものが、ハンドリングの点で好ましい。但し、かかる造粒又は集束により得られる顆粒状物又は集束物に対しては、上述したガラスフレーク平均粒径範囲や厚さ範囲は適用されない。上記のガラスフレークのガラス組成は、Aガラス、Cガラス、およびEガラス等に代表される各種のガラス組成が適用され、特に限定されない。
B成分の含有量はA成分100重量部に対し、1〜150重量部であり、3〜120重量部がより好ましく、5〜100重量部がさらに好ましい。B−1成分が1重量部未満では、機械的強度や成形収縮の抑制などのガラスフレークによる補強効果が十分ではなく、150重量部を超えると、押出し安定性が悪化する。
(C成分:B成分以外の充填材)
(C−1成分:繊維状充填材)
本発明の組成物においてC−1成分として用いる繊維状充填材としては、公知の繊維状充填材が挙げられる。かかる繊維状充填材としては、丸型断面を有するガラス繊維、繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維、炭素系フィラー、ガラスミルドファイバー、ワラストナイトが好適に例示される。これらの中でも上記の扁平断面ガラス繊維が最も好ましく用いられる。かかる繊維状充填材は、これらの表面に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、および酸化ケイ素などの金属酸化物コートされたフィラーも利用できる。
炭素系フィラーとしては、例えばカーボンファイバー、金属コートカーボンファイバー、カーボンミルドファイバー、気相成長カーボンファイバー、およびカーボンナノチューブ、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンナノチューブは繊維径0.003〜0.1μm、単層、2層、および多層のいずれであってもよく、多層(いわゆるMWCNT)が好ましい。これらの中でも機械的強度に優れる点、並びに良好な導電性を付与できる点において、カーボンファイバー、および金属コートカーボンファイバーが好ましい。
上記繊維状充填材は、予め各種の表面処理剤で表面処理されていてもよい。かかる表面処理剤としては、シランカップリング剤(アルキルアルコキシシランやポリオルガノハイドロジェンシロキサンなどを含む)、高級脂肪酸エステル、酸化合物(例えば、亜リン酸、リン酸、カルボン酸、およびカルボン酸無水物など)並びにワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
C−1成分の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは1〜150重量部であり、より好ましくは3〜120重量部、さらに好ましくは5〜100重量部である。
(C−2成分:板状充填材)
本発明で使用する板状充填材としては、マイカ、タルク、クレー、グラファイト、およびモンモリロナイトなどのスメクタイト系鉱物などが例示される。またかかる板状充填材は、金属コートまたは金属酸化物コートされたものを含む。本発明の板状充填材としてはマイカ、タルク、およびグラファイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の板状充填材であることが好ましい。本発明のC−2成分として使用されるマイカとしては、剛性確保の面から、平均粒径が10〜700μmの粉末状のものが好ましい。マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、本発明で使用するマイカとしてはいずれのマイカも使用できるが、白雲母は金雲母や黒雲母に比べてそれ自体が剛直であり、剛性の点では白雲母が好適である。また、金雲母、黒雲母は白雲母に比べて主成分中にFeが多く含まれているためそれ自体の色相が黒っぽくなり、種々の着色をする場合にも白雲母は好適である。また白雲母は、人造雲母(天然金雲母のOH基がFに置換されたもの)が高価であるのに対しても有利である。したがって本発明においては種々の点から白雲母が好適である。
また、マイカの製造に際しての粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法とマイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。尚、マイカの平均粒径の下限は、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10μm以上であるものが好まれ、一方上限は振動式ふるい分け法により測定された平均粒子径で700μm以下が好ましい。マイクロトラックレーザー回折法は、振動式篩分け法により325メッシュパスが、95重量%以上のマイカに対して行うのが好適である。それ以上の粒径のマイカに対しては、振動式篩分け法を使用するのが一般的である。本発明の振動式篩分け法は、まず振動篩器を用い使用するマイカ粉体100gを目開きの順番に重ねたJIS規格の標準篩により10分間篩分けを行う。各篩の上に残った紛体の重量を測定して粒度分布を求める方法である。振動式篩分け法で測定した重量平均粒径が50〜700μmの範囲が好ましく、さらに50〜400μmの範囲が衝撃強度に優れるためより好ましい。かかる粒径の効果は特に白雲母を原料として得られたマイカにおいて好適に発揮される。700μmを越えるものは稀であり、また成形時のゲート詰まり等の成形不良が生じ易くなるため好ましくない。一方10μm未満の粉砕は現在では極めて多くの工数を要するため経済的ではない。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。更にかかるマイカは、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよく、ウレタン系樹脂など各種樹脂や高級脂肪酸エステルなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明のC−2成分として使用されるタルクは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7である。ここで示されるタルクの粒径は、JIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。その粒子径が0.3〜15μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。またかかるタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、及び容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。更に粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。更にかかるタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の組成物中に混入させない点で好ましい。
本発明のC−2成分として使用されるグラファイトは、鱗片状黒鉛である。かかる鱗片状黒鉛を配合した樹脂組成物は良好な導電性を有すると共に、良好な機械的強度、低異方性を有する。本発明のグラファイトの粒径は、5〜300μmの範囲である。かかる粒径は好ましくは5〜70μm、より好ましくは7〜40μm、更に好ましくは7〜35μmである。かかる範囲を満足することにより、良好な難燃性が達成される。一方、平均粒径が5μm未満であると寸法精度の改良効果が低下しやすく、平均粒径が300μmを超えると、耐衝撃性も若干低下すると共に、成形品表面にいわゆる黒鉛の浮きが目立つようになり好ましくない。かかる表面の浮きは成形品表面から黒鉛が脱落し、電子部品と導通して部品を損傷する可能性を有するためである。また上記の好ましい平均粒径では、成形品の外観が良好になると共に、良好な摺動性も得られやすい利点がある。本発明のグラファイトの固定炭素量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは98重量%以上である。また本発明のグラファイトの揮発分は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。本発明におけるグラファイトの平均粒径は、組成物となる以前のグラファイト自体の粒径をいい、またかかる粒径はレーザー回折法によって求められたものをいう。また黒鉛の表面は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて熱可塑性樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。
C−2成分の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは1〜150重量部であり、より好ましくは3〜120重量部、さらに好ましくは5〜100重量部である。
(その他の添加剤について)
本発明のガラス強化樹脂組成物には、成形加工時の分子量や色相を安定化させるために各種安定剤、離型剤や色材を使用することができる。
(i)安定剤
本発明のガラス強化樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などが挙げられる。
(i−1)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。これらの中でも特に、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、およびホスホン酸、トリオルガノホスフェート化合物、およびアシッドホスフェート化合物が好ましい。尚、アシッドホスフェート化合物における有機基は、一置換、二置換、およびこれらの混合物のいずれも含む。該化合物に対応する下記の例示化合物においても同様にいずれをも含むものとする。
トリオルガノホスフェート化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、およびトリブトキシエチルホスフェートなどが例示される。これらの中でもトリアルキルホスフェートが好ましい。かかるトリアルキルホスフェートの炭素数は、好ましくは1〜22、より好ましくは1〜4である。特に好ましいトリアルキルホスフェートはトリメチルホスフェートである。
アシッドホスフェート化合物としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、およびビスフェノールAアシッドホスフェートなどが例示される。これらの中でも炭素数10以上の長鎖ジアルキルアシッドホスフェートが熱安定性の向上に有効であり、該アシッドホスフェート自体の安定性が高いことから好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
好適なリン系安定剤は、トリオルガノホスフェート化合物、アシッドホスフェート化合物、および下記一般式(1)で表されるホスファイト化合物である。殊にトリオルガノホスフェート化合物を配合することが好ましい。
Figure 0005541881
(式(1)中、RおよびR’は炭素数6〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。
また上記式(1)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
(i−2)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特に3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましい。殊にリン系安定剤が配合されることが好ましく、トリオルガノホスフェート化合物が配合されることがより好ましい。リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、それぞれA成分100重量部を基準として、好ましくは0.005〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部である。
(i−3)紫外線吸収剤
本発明のガラス強化樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は良好な色相をも有することから、紫外線吸収剤の配合により屋外の使用においてもかかる色相を長期間維持することができる。
本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、更に好ましくは0.03〜1重量部、最も好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(i−4)その他の熱安定剤
本発明のガラス強化樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部を基準として、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかる安定剤は、樹脂組成物が回転成形に適用される場合に特に有効である。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(ii)離型剤
本発明のガラス強化樹脂組成物は、その成形時の生産性向上や成形品の寸法精度の向上を目的として、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、パラフィンワックス、蜜蝋などの公知の離型剤を配合することもできる。本発明で用いるガラス強化樹脂組成物は、成形収縮率が低いことから離型抵抗が大きくなりやすく、その結果離型時における成形品の変形を招きやすい。上記特定の成分の配合は、かかる問題をガラス強化樹脂組成物の特性を損なうことなく解決するものである。
かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数は、好ましくは3〜32、より好ましくは5〜30である。一方、脂肪族カルボン酸は好ましくは炭素数3〜32、より好ましくは炭素数10〜30の脂肪族カルボン酸である。その中でも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。本発明の脂肪酸エステルは、全エステル(フルエステル)が高温時の熱安定性に優れる点で好ましい。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましい。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更に脂肪酸エステルのヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、分子量が1,000〜10,000である、エチレン単独重合体、もしくはエチレンと炭素原子数3〜60のα−オレフィンとの共重合体が例示される。かかる分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により標準ポリスチレン換算で測定される数平均分子量である。かかる数平均分子量の上限は、より好ましくは6,000、更に好ましくは3,000である。ポリオレフィン系ワックスにおけるα−オレフィン成分の炭素数は好ましくは60以下、より好ましくは40以下である。より好適な具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンなどが例示される。炭素原子数3〜60のα−オレフィンの割合は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。いわゆるポリエチレンワックスとして市販されているものが好適に利用される。
上記の離型剤の含有量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜4重量部、更に好ましくは0.02〜3重量部である。
(iii)染顔料
本発明のガラス強化樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、アルミ粉が好適である。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記の染顔料の含有量は、A成分100重量部を基準として、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(iv)熱線吸収能を有する化合物
本発明のガラス強化樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部を基準として0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
(v)光拡散剤
本発明のガラス強化樹脂組成物には、光拡散剤を配合して光拡散効果を付与することができる。かかる光拡散剤としては高分子微粒子、炭酸カルシウムの如き低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物等が例示される。かかる高分子微粒子は、既にポリカーボネート樹脂の光拡散剤として公知の微粒子である。より好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子などが例示される。光拡散剤の形状は球形、円盤形、柱形、および不定形などが例示される。かかる球形は、完全球である必要はなく変形しているものを含み、かかる柱形は立方体を含む。好ましい光拡散剤は球形であり、その粒径は均一であるほど好ましい。光拡散剤の含有量は、A成分100重量部を基準として好ましくは0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。尚、光拡散剤は2種以上を併用することができる。
(vi)光高反射用白色顔料
本発明のガラス強化樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分100重量部を基準として3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
(vii)帯電防止剤
本発明のガラス強化樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量はA成分100重量部を基準として、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
帯電防止剤としては例えば、(2)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、および有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。かかる金属塩は前述のとおり、難燃剤としても使用される。かかる金属塩は、より具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有量はA成分合計100重量部を基準として、0.5重量部以下が適切であり、好ましくは0.001〜0.3重量部、より好ましくは0.005〜0.2重量部である。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
帯電防止剤としては、例えば(3)アルキルスルホン酸アンモニウム塩、およびアリールスルホン酸アンモニウム塩などの有機スルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。該アンモニウム塩はA成分100重量部を基準として、0.05重量部以下が適切である。帯電防止剤としては、例えば(4)ポリエーテルエステルアミドの如きポリ(オキシアルキレン)グリコール成分をその構成成分として含有するポリマーが挙げられる。該ポリマーはA成分100重量部を基準として5重量部以下が適切である。
(viii)その他の添加剤
本発明のガラス強化樹脂組成物には、流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
(ガラス強化樹脂組成物の製造)
本発明のガラス強化樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
本発明のガラス強化樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して成形品を得ることができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。これにより機械的強度に優れ、成形収縮率の異方性が小さいガラス強化樹脂組成物よりなる成形品が提供される。即ち、本発明によれば、(A)熱可塑性樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)平均厚さが0.2〜0.7μmであるガラスフレーク(B成分)1〜150重量部を含有するガラス強化樹脂組成物を溶融成形した成形品が提供される。更に本発明の樹脂組成物からなる成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。
本発明によれば、本発明のガラス強化樹脂組成物よりなる成形品は機械的強度に優れ、かつ成形収縮率の異方性が小さく反りを抑えた特性を併せ持つことから、機械部品、自動車部品、電気・電子部品、事務機器部品などの各種用途に有功であり産業上の効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
(I)ガラス強化樹脂組成物の評価
(i)曲げ強度:ISO 178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度310℃、金型温度100℃で成形した。
(ii)曲げ弾性率:ISO 178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度310℃、金型温度100℃で成形した。
(iii)成形収縮率:一方の短辺側に厚み1.5mmのフィルムゲートを有する短辺50mm、長辺100mm、厚み2mmの平板を成形し、23℃、50%RH、24時間状態調節したのち、平板の流動の流れ方向および直角方向の寸法を三次元測定機(三豊製作所(株)製 MICROPAK 550)を使用し測定し、流れ方向および直角方向の成形収縮率を求めた。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度310℃、金型温度100℃で成形した。
(iv)異方性:上記で求めた成形収縮率の流れ方向と垂直方向の比を異方性として求めた。異方性の値は1に近いほど成形収縮率の異方性が小さく好ましい。
(v)押出し安定性:押出し時のストランドが安定しておりペレット化が容易なものを○、ストランドの暴れが大きくペレット化が困難なものを×で示した。
[実施例1〜14、比較例1〜4]
ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、および各種添加剤を表1、2記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30XSST(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口から第二供給口まで280℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。なお、強化充填材は上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、残りのポリカーボネート樹脂および添加剤は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。
得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1、2に示した。なお、比較例4は押出し安定性が悪く、ペレット化することができなかった。
表1、2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
(A−1成分)
PC:粘度平均分子量22400の直鎖状ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP)
(A−2成分)
AS:アクリロニトリル−スチレン共重合体(第一毛織(株)製「STAREX HF5670」(商品名)、GPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量:95,000、アクリロニトリル成分含有量:28.5重量%、スチレン成分含有量:71.5重量%)
ABS:アクリロニトリル−スチレンーブタジエン共重合体(日本エアイアンドエル(株)製「サンタックUT−61」(商品名)、塊状重合、遊離のAS重合体成分約80重量%およびABS重合体成分(アセトン不溶ゲル分)約20重量%、ブタジエンゴム成分含有量が全体の約15重量%)
(その他の熱可塑性樹脂)
PPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業(株)製DIC−PPS FZ−2100)
(B成分)
SGFL−1:薄型ガラスフレーク(平均厚み0.4μm、平均粒径160μm、)
SGFL−2:薄型ガラスフレーク(平均厚み0.7μm、平均粒径160μm)
(C成分)
(C−1成分)
GF:円形断面チョップドガラス繊維(日本電気硝子(株)製ECS―03T−511、直径13μm、カット長3mm)
HGF:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製CSG 3PA−830、長径28μm、短径7μm、カット長3mm)
CF:炭素繊維(東邦レーヨン(株)製ベスファイト HTA−C6−U、直径7μm)
(C−2成分)
MICA:マイカ(林化成(株)製マスコバイトMC−40、平均粒子径250μm)
TALC:タルク((株)勝光山鉱業所製ビクトリライトTK−RC、平均粒径:2μm)
(その他の成分)
GFL:ガラスフレーク(日本板硝子(株)製フレカREFG−301、平均厚み5μm平均粒径140μm)
Figure 0005541881


Figure 0005541881

Claims (5)

  1. (A)ポリカーボネート系樹脂(A−1成分)並びにAS樹脂、ABS樹脂およびPPS樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂成分(A成分)100重量部に対し、(B)平均厚さが0.2〜0.7μmであり、かつ平均粒径が160〜300μmであるガラスフレーク(B成分)1〜150重量部を含有し、かつ扁平断面ガラス繊維を含有しないガラス強化樹脂組成物。
  2. (C)B成分以外の充填材(扁平断面ガラス繊維を除く)(C成分)を樹脂成分(A成分)100重量部に対して、1〜150重量部含有する請求項1に記載のガラス強化樹脂組成物。
  3. B成分以外の充填材(C成分)が繊維状充填材(C−1成分)および/または板状充填材(C−2成分)である請求項2に記載のガラス強化樹脂組成物。
  4. 繊維状充填材(C−1成分)がガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、および炭素系フィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維状充填材であり、板状充填材がマイカ、グラファイトおよびタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の板状充填材である請求項3に記載のガラス強化樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のガラス強化樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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