JP2014163116A - ゴム支承 - Google Patents

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和則 稲葉
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【課題】下沓と中間板との間の隙間に向かうゴム弾性体の過大な偏圧変形分を低減でき、しかも、下沓と中間板との間の隙間をより確実に密閉でき、而して、下沓と中間板との間の隙間からの偏圧変形分のはみ出しを減少できて、ゴム弾性体の消失を回避でき、長期に亘って本来の機能を維持できるゴム支承を提供すること。
【解決手段】ゴム支承1は、上面2に円形の凹所3を有する下沓4と、凹所3に嵌装されていると共に円形の上面5の外縁に円環状の切欠き6を有した円盤状のゴム弾性体7と、切欠き6に配されて凹所3に嵌装されたナイロン―66製の圧縮リング8と、ゴム弾性体7及び圧縮リング8に当該ゴム弾性体7及び圧縮リング8の上方に積み重ねられて凹所3に部分的に配されていると共に上下方向Vに関して凹所3外に突出しており、且つ上面11に円形の凹所12を有している中間板13と、凹所12に嵌装された円盤状の滑り板14とを具備している。
【選択図】図1

Description

本発明は、橋梁等の構造物において橋脚等の下部構造物に対して橋桁等の上部構造物を水平方向に移動自在であって鉛直方向に弾性的に支持するゴム支承に関する。
橋梁においては、例えば、橋脚に対して橋桁を水平方向に移動自在であって鉛直方向に弾性的に支持するゴム支承が橋脚と橋桁との間に配されて使用されるが、斯かるゴム支承は、橋脚に取付けられると共に凹所を有した下沓と、この下沓の凹所に嵌装されたゴム弾性体と、このゴム弾性体に重ね合わされて下沓の凹所に部分的に嵌装された中間板とを具備しており、中間板が橋桁に取付けられた上沓に水平方向に、場合により、中間板に取付けられた滑り板が橋桁に取付けられた上沓に水平方向に、移動自在に接触されて、橋脚に対して橋桁を水平方向に移動自在であって鉛直方向に弾性的に支持するようになっている。
実公昭56−3367号公報 特開2000−178921号公報
ところで、斯かるゴム支承において橋脚の荷重を弾性的に支持するようになっているゴム弾性体は、支持する荷重、特に繰り返し変動荷重でその偏圧変形分が下沓と中間板との間の隙間からはみ出して、長期の使用で本来の機能を達成し難くなるが、斯かる問題に対して、特許文献1には、中間プレートが重ね合わされるゴム弾性体の上面の外周縁に環状段部を設けて、この環状段部に四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリアミド樹脂からなるプラスチック材料の保護リングと青銅、黄銅又はステンレス鋼等の金属製の圧縮リングとを積層して嵌装してなるゴム支承が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のゴム支承では、保護リングに重ね合わされている圧縮リングが金属製であるために、橋脚に対しての橋桁の回転(揺動)における中間プレートの外縁での鉛直荷重が圧縮リングを介して保護リング及びゴム弾性体に大きく加わるために、ゴム弾性体が大きく弾性変形される結果、この大きな繰り返し弾性変形でもってゴム弾性体に過大な偏圧変形が生じ、しかも、比較的非伸縮性の金属製の圧縮リングであると、下沓と中間板との間の隙間の密封機能をそれ程期待し難く、これにより過大な偏圧変形分が下沓と中間板との間の隙間からはみ出してゴム弾性体外周部分の消失を招来する虞を有する結果、斯かるゴム弾性体外周部分の消失でもってゴム弾性体の弾性支持機能が低下し長期の使用でゴム支承の本来の機能が発揮されなくなる。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、下沓と中間板との間の隙間に向かうゴム弾性体の過大な偏圧変形分を低減でき、しかも、下沓と中間板との間の隙間をより確実に密閉でき、而して、下沓と中間板との間の隙間からのゴム弾性体の偏圧変形分のはみ出しを減少できて、ゴム弾性体の消失を回避でき、長期に亘って本来の機能を維持できるゴム支承を提供することにある。
本発明のゴム支承は、上面に円形の凹所を有する下沓と、この下沓の凹所に嵌装されていると共に円形の上面の外縁に円環状の切欠きを有した円盤状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の切欠きに配されて下沓の凹所に嵌装されたナイロン―66製の圧縮リングと、ゴム弾性体及び圧縮リングに当該ゴム弾性体及び圧縮リングの上方に積み重ねられて下沓の凹所に部分的に配されていると共に上下方向に関して下沓の凹所外に突出している中間板とを具備しており、圧縮リングは、その円環状の下面で切欠きを規定するゴム弾性体の円環状の水平面に接着固定されていると共にその円筒状の内周面で切欠きを規定するゴム弾性体の円筒状の垂直面に接着固定されている。
斯かるゴム支承によれば、圧縮リングが金属製よりもより撓み性を有する上に、一応の剛性を有したナイロン―66製であるため、橋脚等の下部構造物に対しての橋桁等の上部構造物の回転(揺動)における中間板の外縁での鉛直荷重の付加においてゴム弾性体の上面の外縁での鉛直荷重の付加を低減できる結果、ゴム弾性体の過大な偏圧変形を低減でき、しかも、圧縮リングが、その円環状の下面で切欠きを規定するゴム弾性体の円環状の水平面に接着固定されていると共にその円筒状の内周面で切欠きを規定するゴム弾性体の円筒状の垂直面に接着固定されているために、ゴム弾性体の弾性変形を拘束できて、結果として、これによってもゴム弾性体の偏圧変形部の径方向の変形程度を低減でき、その上、下沓と中間板との間の隙間を可伸縮性の圧縮リングで閉塞できて、而して、下沓と中間板との間の隙間からの偏圧変形分のはみ出しを減少できて、ゴム弾性体の消失を回避でき、長期に亘って本来の機能を維持できる。
本発明のゴム支承において、ゴム弾性体の切欠きに配されて下沓の凹所に嵌装される圧縮リングは、一個でも、また、上下方向に関して積層された複数個でもよく、複数個の圧縮リングがゴム弾性体の切欠きに配されて下沓の凹所に嵌装される場合には、少なくとも一個の圧縮リングがその円環状の下面で切欠きを規定するゴム弾性体の円環状の水平面に接着固定されていると共にその円筒状の内周面で切欠きを規定するゴム弾性体の円筒状の垂直面に接着固定されていればよい。
本発明のゴム支承の好ましい例では、圧縮リングの円筒状の外周面は、凹所を規定する下沓の径方向の円筒状の内周面に上下方向に関して摺動自在に接触している。
斯かる例のゴム支承によれば、橋脚等の下部構造物に対しての橋桁等の上部構造物の回転における中間板の外縁での鉛直荷重の付加において圧縮リングの円筒状の外周面を下沓の凹所を規定する径方向の円筒状の内周面により摺動自在に密着接触させることができる結果、下沓と中間板との間の隙間をより確実に密閉できて、橋脚等の下部構造物に対しての橋桁等の上部構造物の回転における下沓と中間板との間の隙間からのゴム弾性体の偏圧変形分のはみ出しをより減少できる。
本発明のゴム支承において、中間板は、S45CN等の剛性の金属製であってもよく、斯かる中間板は、円筒状の外周面の下部で下沓の凹所を規定する円筒状の内周面に対して円筒状の隙間をもって下沓の凹所に部分的に配されていると共に円形の下面でゴム弾性体の円形の上面及び圧縮リングの円環状の上面に接触している円柱体であってもよいが、好ましい例では、中間板は、円筒状の外周面で下沓の凹所を規定する円筒状の内周面に対して円筒状の隙間をもって下沓の凹所に配されていると共に円形の下面でゴム弾性体の円形の上面及び圧縮リングの円環状の上面に接触している円柱状の基部と、この基部に同心に一体的に形成されていると共に基部の円筒状の外周面よりも小径の円筒状の外周面を有した円柱状の突出部とを具備しており、本発明の他の好ましい例では、ゴム支承は、中間板の円形の上面の凹所に、中間板が突出部を具備している場合には、突出部の上面の凹所に嵌装された滑り板を更に具備しており、斯かる滑り板は、繊維強化熱硬化樹脂を基材とし、その滑り面に固体潤滑剤を埋設してなっていてもよいが、本発明は、滑り板を用いたものに限定されず、滑り板を用いない場合には、中間板の円形の上面自体に又は中間板が突出部を具備している場合には、突出部の上面自体に、固体潤滑剤を埋設してもよい。
本発明のゴム支承は、一つの例として、橋脚と橋桁との間に配されて使用されるが、これに限定されない。
本発明によれば、下沓と中間板との間の隙間に向かうゴム弾性体の過大な偏圧変形分を低減でき、しかも、下沓と中間板との間の隙間をより確実に密閉でき、而して、下沓と中間板との間の隙間からのゴム弾性体の偏圧変形分のはみ出しを減少できて、ゴム弾性体の消失を回避でき、長期に亘って本来の機能を維持できるゴム支承を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の一部破断平面説明図である。 図2は、図1に示す例の断面説明図である。 図3は、図1に示す例の一部拡大断面説明図である。
図1から図3において、橋脚Dと橋桁に固着された上沓Uとの間に配されて使用される本例のゴム支承1は、上面2に円形の凹所3を有する下沓4と、凹所3に嵌装されていると共に円形の上面5の外縁に円環状の切欠き6を有した円盤状のゴム弾性体7と、切欠き6に配されて凹所3に嵌装されたナイロン―66製の圧縮リング8と、ゴム弾性体7及び圧縮リング8に当該ゴム弾性体7及び圧縮リング8の上方に積み重ねられて凹所3に部分的に配されていると共に上下方向Vに関して凹所3外に突出しており、且つ上面11に円形の凹所12を有している中間板13と、凹所12に嵌装された円盤状の滑り板14とを具備している。
円筒状の外周面20を有するSM490A等の剛性の金属製の下沓4は、その下面21で橋脚Dの上面22にボルト等を介して固着されており、凹所3は、下沓4の径方向(水平方向)Hの円筒状の内周面23と、内周面23に連接された下沓4の底面24とにより規定されている。
天然ゴム又はプロロプレン系合成ゴム等からなるゴム弾性体7は、上面5に加えて、底面24に接触した円形の下面31と、内周面23に対面して当該内周面23に接触した円筒状の外周面32と、円環状の水平面33と、水平面33と協働して切欠き6を規定する円筒状の垂直面34とを具備している。
圧縮リング8は、内周面23に上下方向Vに関して摺動自在に接触した円筒状の外周面41と、水平面33に加硫接着手段等を介して接着固定されている円環状の下面42と、垂直面34に加硫接着手段等を介して接着固定されている円筒状の内周面43と、中間板13の下面52に径方向Hに関して摺動自在に接触した円環状の上面45とを有している。
上面11に凹所12を有しているS45CN等の剛性の金属製の中間板13は、円筒状の外周面61で凹所3を規定する円筒状の内周面23に対して円筒状の隙間62をもって凹所3に配されていると共に円形の下面52でゴム弾性体7の上面5及び圧縮リング8の上面45に接触している円柱状の基部63と、基部63に同心に一体的に形成されていると共に基部63の外周面61よりも小径の円筒状の外周面64を有した円柱状の突出部65とを具備している。
繊維強化熱硬化樹脂を基材とする滑り板14は、固体潤滑剤を埋設してなるその滑り面71で橋桁に固着された上沓Uの下面72に径方向Hに関して摺動自在に接触している。
橋脚Dに固着された以上のゴム支承1は、橋桁の荷重を上沓Uを介してゴム弾性体7をもって弾性的に支持すると共に橋脚Dに対する橋桁の径方向Hに関しての振動を滑り面71と下面72との滑りで許容し、しかも、隙間62の大きさに相当する橋脚Dに対する橋桁の鉛直軸Oでの角度θをもった回転(揺動)を弾性的に許容して、橋脚D上で橋桁を支持するようになっている。
ところで、斯かるゴム支承1によれば、圧縮リング8が金属製よりもより撓み性を有する上に、一応の剛性を有したナイロン―66製であるため、橋脚Dに対しての橋桁の角度θの回転(揺動)における中間板13の外縁での鉛直荷重の付加においてゴム弾性体7の上面5の外縁での鉛直荷重の付加を低減できる結果、ゴム弾性体7の過大な偏圧変形を低減でき、しかも、圧縮リング8が、その円環状の下面42で切欠き6を規定するゴム弾性体7の円環状の水平面33に接着固定されていると共にその円筒状の内周面43で切欠き6を規定するゴム弾性体7の円筒状の垂直面34に接着固定されているために、ゴム弾性体7の弾性変形を拘束できて、結果として、これによってもゴム弾性体7の過大な偏圧変形を低減でき、その上、下沓4と中間板13との間の隙間62を可伸縮性の圧縮リング8で閉塞できて、而して、下沓4と中間板13との間の隙間62からのゴム弾性体7の偏圧変形分のはみ出しを減少できて、ゴム弾性体7の消失を回避でき、長期に亘って本来の機能を維持できる。
しかも、斯かるゴム支承1によれば、圧縮リング8の円筒状の外周面41が内周面23に上下方向Vに関して摺動自在に接触しているために、橋脚Dに対しての橋桁の角度θをもった回転における中間板13の外縁での鉛直荷重の付加において圧縮リング8の外周面41をより摺動自在に内周面23に密着接触させることができる結果、下沓4と中間板13との間の隙間62をより確実に密閉でき、しかも、橋脚Dに対しての橋桁の角度θをもった回転における下沓4と中間板13との間の隙間62からのゴム弾性体7の偏圧変形分のはみ出しをより減少できる。
1 ゴム支承
2、5 上面
3、12 凹所
4 下沓
6 切欠き
7 ゴム弾性体
8 圧縮リング
13 中間板
D 橋脚
U 上沓

Claims (7)

  1. 上面に円形の凹所を有する下沓と、この下沓の凹所に嵌装されていると共に円形の上面の外縁に円環状の切欠きを有した円盤状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の切欠きに配されて下沓の凹所に嵌装されたナイロン―66製の圧縮リングと、ゴム弾性体及び圧縮リングに当該ゴム弾性体及び圧縮リングの上方に積み重ねられて下沓の凹所に部分的に配されていると共に上下方向に関して下沓の凹所外に突出している中間板とを具備しており、圧縮リングは、その円環状の下面で切欠きを規定するゴム弾性体の円環状の水平面に接着固定されていると共にその円筒状の内周面で切欠きを規定するゴム弾性体の円筒状の垂直面に接着固定されているゴム支承。
  2. 圧縮リングの円筒状の外周面は、凹所を規定する下沓の径方向の円筒状の内周面に上下方向に関して摺動自在に接触している請求項1に記載のゴム支承。
  3. 中間板は、その円形の上面に凹所を有している請求項1又は2に記載のゴム支承。
  4. 中間板の上面の凹所に嵌装された滑り板を更に具備している請求項3に記載のゴム支承。
  5. 滑り板は、繊維強化熱硬化樹脂を基材とし、その滑り面に固体潤滑剤を埋設してなる請求項4に記載のゴム支承。
  6. 中間板は、円筒状の外周面で下沓の凹所を規定する円筒状の内周面に対して円筒状の隙間をもって下沓の凹所に配されていると共に円形の下面でゴム弾性体の円形の上面及び圧縮リングの円環状の上面に接触している円柱状の基部と、この基部に同心に一体的に形成されていると共に基部の円筒状の外周面よりも小径の円筒状の外周面を有した円柱状の突出部とを具備しており、突出部の上面が中間板の上面となっている請求項1から5のいずれか一項に記載のゴム支承。
  7. 橋脚と橋桁との間に配されて使用される請求項1から6のいずれか一項に記載のゴム支承。
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