JP2014162690A - MgZnO系結晶の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な装置で制御性に優れ、しかも安全かつ容易にMgZnO系結晶を得る方法を提供する。
【解決手段】ZnO結晶上に炭酸塩を拡散補助剤として塗布して拡散補助層を形成する工程S1と、拡散補助層をMgZnO結晶体で覆う工程S2と、ZnO結晶、前記拡散補助層及び前記MgZnO結晶体からなる積層体の熱処理を行ってMgZnO結晶体のMgをZnO結晶中に拡散する工程S3と、を有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、マグネシウム酸化亜鉛(MgZnO)系結晶を形成する方法に関する。
MgZnO系半導体を製造する方法としては、例えば、MOCVD法(有機金属気相堆積法:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、VPE法(気相成長法:Vapor phase epitaxy)、MBE法(分子線エピタキシャル成長法:Molecular Beam Epitaxy)、PLD法(パルスレーザ堆積法:Pulsed Laser Deposition)、などがある。
MOCVD法ではZnを含んだ有機金属化合物およびMgを含んだ有機金属化合物と酸素化合物とを熱分解してMgZnO系結晶を得る(例えば、特許文献1)。VPE法(H−VPE法)では熱平衡状態でZnおよびMg塩化物を生成させ酸素化合物と反応させてMgZnO系結晶を得る。MBE法ではZn分子およびMg分子と酸素ラジカルとによってMgZnO系結晶を得る(例えば、特許文献2)。PLD法はZn酸化物結晶およびMg酸化物結晶ターゲットにレーザーを照射し、生成したプルーム(プラズマ化したターゲット物質)によってMgZnO系結晶を得る。
特開2006−73726号公報 特開2009−43920号公報
しかしながら、上記した結晶成長方法は、何れも装置構造が複雑であり高価である。例えば、MOCVD法においては、複数の有機金属(MO)ガスの供給系及び酸素材料ガスの供給系が必要であり、また、成長温度の切替制御や組成制御などのガス供給制御等の成長シークエンスが複雑であるという問題がある。また、MBE装置には、複数のクヌーセンセル(Mg用及びZn用)と、酸素と窒素用のラジカルセル(RFプラズマガン)とが装備され、材料の供給を制御する多数のシャッターが装備され、さらにトラップにはコールドシュラウドが、また大排気量の高真空ポンプが装備されている、など装置構造が複雑であり高価である。このように、上記した結晶成長方法は、何れも装置が複雑であり高価であり、また制御シークエンスも複雑であって、技術的に難度が高く、スループットが長くなり製造コストは高くなる、また、原材料の取扱いも難しいという種々の問題を有している。
本発明は、上記した問題点に鑑みなされたものであり、簡便な装置で制御性に優れ、しかも安全かつ容易にMgZnO系結晶を得る方法を提供することを目的とする。
本発明の方法は、
ZnO結晶上に炭酸塩を拡散補助剤として塗布して拡散補助層を形成する工程と、
拡散補助層をMgZnO結晶体で覆う工程と、
ZnO結晶、拡散補助層及びMgZnO結晶体からなる積層体の熱処理を行ってMgZnO結晶体のMgをZnO結晶中に拡散する工程と、を有することを特徴としている。
実施例1のMgZnO結晶層を形成する工程について説明する断面図である。 実施例1のMgZnO結晶を形成する工程のフローチャートである。 拡散補助剤の塗布装置を示す図である。 高温熱処理炉を示す図である。 実施例2のMgZnO結晶層を形成する工程について説明する断面図である。 実施例3のダブルヘテロ構造を形成する工程について説明する断面図である。 (a)は実施例1において形成された結晶層についてXRD測定結果を示し、(b)は、XRDのシミュレーション結果である。 実施例1において形成された結晶層の(100)面のロッキングカーブである。 実施例2のサンプルの深さ方向のSIMS分析結果を示している。 (a)は実施例3により形成された結晶層についてXRD(2θ測定)の測定結果を示し、(b)は、XRDのシミュレーション結果である。 実施例3において形成された結晶層の(100)面のロッキングカーブである。
以下においては、MgxZn1-xO(0<x<0.68)等のMgZnO系単結晶を形成する方法について図面を参照して詳細に説明する。本願の発明者は、全く斬新な方法によってMgZnO系単結晶を形成することができることを見出した。すなわち、ZnO単結晶上に炭酸塩などの拡散補助剤(拡散アシスト剤)を塗布し、その上にMg、Zn及びOを含む結晶体(以下、MgZnO結晶体と称する)を載置する。そして、このZnO結晶、拡散補助層及びMgZnO結晶体からなる積層体の熱処理を行って、拡散補助剤のアシストによってMgZnO結晶体からZnO結晶内にMgを拡散し、上記ZnO単結晶の表面層をMgZnO系単結晶(Mgの拡散層)に変化させることができる。以下に、その実施例について具体的に説明する。
実施例1においては、成長基板11上にZnO単結晶層を成長し、そのZnO成長層12上にナトリウム炭酸塩(拡散補助剤)の拡散補助層21を形成した。そして、その上にMgZnO焼結体基板(以下、単にMgZnO焼結体という)22を被せ、熱処理を行った。これにより、ZnO成長層の表面にNaドープMgZnO単結晶層を形成した。拡散補助剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を用いた場合を例に説明する。以下に、図面を参照して詳細に説明する。
基板10としては、(0001)面が [1−100]方向に0.5°傾いた、いわゆる0.5°オフのZnO単結晶基板(あるいは、c面がm軸方向に0.5°傾いた0.5°オフ基板)を用いた。また、基板主面(拡散補助剤の塗布面)はZn極性面である。また、ZnOインゴットは水熱合成法により製造された。
MgZnO焼結体(MgZnO結晶体)22としては、MgOとZnOが25:75のモル比で混合された焼結体基板を用いた。以下に、図1(a)〜(d)及び図2のフローチャートを参照してMgZnO系結晶を形成する工程について説明する。
まず、0.5°オフのAlドープZnO単結晶基板11を成長用基板として用いた。そして、ZnO単結晶基板11の主面(成長面、Zn極性面)上にMOCVD法を用いて層厚が約150nm(ナノメートル)のアンドープZnO単結晶を成長した。これにより、ZnO単結晶基板11上にZnO成長層12が形成された拡散用基板10を形成した(図1(a))。
[拡散補助剤の塗布・固着]
まず、拡散補助剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を用いた。より詳細には、NaHCO3(関東科学株式会社製、純度:特級99.5−100%)を5g秤量し、純水100mlに溶かして0.6mol/LのNaHCO3の水溶液を調整した。なお、拡散補助剤としてはNa2CO3を用いることもできる。
図1(a)に示すように、拡散補助剤としての炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)をZnO成長層12上に塗布し、固着させた(図2のステップS1)。図3に拡散補助剤の塗布装置を示す。基板10はホットプレート25上に載置され、例えば140℃に加熱されている。拡散補助剤の水溶液は、薬液補給管26から圧送ポンプ27で吸引され、一定量だけ霧化ノズル28へ圧送され、微小液滴29となり基板10上へ噴霧される。噴霧された拡散補助剤水溶液の微小液滴29は、ホットプレート25で加熱された基板10に付着後、水分が蒸発して乾燥し、基板10の表面に固着する。具体的には、調整した拡散補助剤水溶液の噴霧によって一様な厚さの拡散補助層21(約480μg/cm2)を堆積した(図1(b))。
なお、拡散補助剤として用いた炭酸塩は、安全な試薬なので取扱いが容易である。またその水溶液は、弱アルカリ性であるためZnO基板をエッチングすることはない。更に、一旦水溶液として乾燥することで、基板表面に固着できるので後述する熱処理装置へのセットの際にも落粉や飛散を防止することができる。
[熱処理(拡散)]
次に、拡散用基板10(すなわちZnO成長層12)上に形成された拡散補助層21上にMgZnO焼結体22を載置し(ステップS2、図1(b))、高温熱処理炉30にセットした。図4に示すように、高温熱処理炉30は、雰囲気ガスとして窒素(N2)を流量調節器31で決められた流量がガス供給管32を経て内部容器34へ供給され、排気管37から排気される。拡散用基板10又は11はサセプタ36上に載せられ、ヒーター33によって1100℃まで加熱できる構造となっている。具体的には、雰囲気ガスとして窒素を1L/minの流量で流しながら1000℃、20分間の熱処理(拡散処理)を行った(ステップS3、図1(c))。
後に詳述するように、かかる熱処理によって、アンドープZnO単結晶であるZnO成長層12の表面層に、MgZnO焼結体からMgが、また拡散補助層21からNaが拡散され、NaドープMgxZn1-xO単結晶層12A(Mg組成x=0.17)が形成された(層厚45nm)。なお、図1(c)において、Mgの拡散界面(拡散フロント)を破線で示している。すなわち、ZnO成長層12のうちMg及びNaが拡散されなかった残りの部分はアンドープZnO単結晶層12B(層厚105nm)である。
[後処理(MgZnO結晶体の剥離、残渣の除去)]
高温熱処理後は、基板10とMgZnO焼結体22は拡散補助剤の残渣によって貼り付いているので、水による超音波洗浄を30分〜3時間程度行なってMgZnO焼結体22を剥離した(ステップS4、図1(d))。剥離後は、流水洗浄3分と超音波洗浄3分を2回繰り返し、完全に拡散補助剤の残渣を除去した。
実施例2においては、AlドープZnO単結晶基板10上にカリウム炭酸塩(拡散補助剤)を塗布し、その上にMgZnO結晶体としてMgZnO焼結体22を載置し、熱処理を行った。これにより、AlドープZnO単結晶層の表面にAlドープMgZnO単結晶層を形成した。図5(a)〜(c)は、実施例2のMgZnO結晶層を形成する工程について説明する断面図である。拡散補助剤として炭酸水素カリウム(KHCO3)を用いた場合を例に説明する。
まず、実施例1の場合と同じように、水熱合成法により製造された0.5°オフのAlドープZnO単結晶基板11を拡散用基板として用いた。すなわち、ZnO単結晶基板11の主面(拡散補助剤の塗布面、Zn極性面)上に拡散補助層21を形成した。
より詳細には、拡散補助剤としては、炭酸水素カリウム(KHCO3)を用いた。より具体的には、炭酸水素カリウム(KHCO3)(関東科学株式会社製、純度:特級99.5−100%)を6g秤量し、純水100mlに溶かして0.6mol/LのKHCO3の水溶液を調整した。なお、拡散補助剤としてはK2CO3を用いることもできる。
次に、実施例1の場合と同様に、調整した拡散補助剤水溶液をZnO単結晶基板11上に噴霧し、一様な厚さの拡散補助層21を堆積した(図5(a))。次に、拡散補助層21が形成されたZnO単結晶基板11上にMgZnO焼結体22を載置し、高温熱処理炉30にセットし、雰囲気ガスとして窒素を1L/minの流量で流しながら1000℃、20分間の熱処理(拡散処理)を行った(図5(b))。
後に詳述するように、かかる熱処理によって、ZnO単結晶である基板11の表面にAlドープMgxZn1-xO単結晶層11A(x=0.23、層厚65nm)が形成された(図5(c))。すなわち、基板11のうちMgが拡散されなかった残りの部分はAlドープZnO単結晶層11Bである。
高温熱処理後、MgZnO焼結体22を剥離し、拡散補助剤の残渣を除去した点は実施例1の場合と同じである。
実施例3においては、n型ZnO結晶へのMgの拡散及びアンドープZnO結晶へのMgの拡散を行い、半導体構造(ダブルヘテロ構造)層を形成した。図6(a)〜(d)は、形成したダブルヘテロ構造の形成工程を模式的に示す断面図である。
まず、第1段階として、実施例2と同様に、拡散用基板としてのAlドープZnO単結晶基板11へMgの拡散を行い、基板11の表面にAlドープMgZnO単結晶層11Aを形成した(図6(a))。
より具体的には、炭酸水素カリウム(KHCO3)を用いた拡散補助層21を基板11の表面に形成し、その上からMgZnO焼結体22を載置し、熱処理を行った。尚、熱処理時間を40分とし拡散厚を大きくした。炭酸水素カリウム(KHCO3)の調剤、拡散補助層21の形成、熱処理時間を除く熱処理方法、後処理などは実施例2の場合と同じであった。このプロセスによって、AlドープZnO単結晶基板11の表面にAlドープMgZnO単結晶層11Aを形成した。後に詳述するように、AlドープMgZnO単結晶層11AのMg組成xは0.25、層厚は113nmであった。尚、Al濃度はAlドープZnO基板11のAl濃度に依存する。
次に、第2段階として、第1段階で形成したAlドープMgZnO単結晶層11A上に、MOCVD法を用いて層厚が約140nmのアンドープZnO単結晶を成長し、アンドープZnO成長層16を形成した(図6(b))。
次に、第3段階として、実施例1と同様に、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びMgZnO焼結体22を用いて、アンドープZnO成長層16へのMg及びNaの拡散を行い、アンドープZnO成長層16の表面にNaドープMgZnO単結晶層16Aを形成した。より具体的には、炭酸水素ナトリウムを用いた拡散補助層21をアンドープZnO成長層16の表面に形成し、その上からMgZnO焼結体22を載置し、熱処理を行った。尚、熱処理時間を40分とし拡散厚を大きくした。炭酸水素ナトリウムの調剤、拡散補助層21の形成、熱処理時間を除く熱処理方法、後処理などは実施例1の場合と同じであった。
このプロセスによって、アンドープZnO成長層16の表面にNaドープMgxZn1-xO単結晶層16Aを形成した(図6(c))。また、ZnO成長層16のうちMgが拡散されなかった残りの部分はアンドープZnO単結晶層16Bである。なお、後に詳述するように、NaドープMgZnO単結晶層16AのMg組成xは0.14、層厚は108nmであった。
以上の3段階のプロセスによって、AlドープZnO単結晶基板11上に、AlドープMg0.250.75O(113nm)/ZnO(32nm)/NaドープMg0.14Zn0.86O(108nm)がこの順で順次形成されたダブルへテロ構造を有する半導体構造層が形成された(括弧内は層厚)。また、この半導体構造層は、p型MgZnO層、発光層及びn型MgZnO層からなる発光ダイオード構造を有している。このように本実施例のMg拡散法を用いると簡便にダブルへテロ構造の形成が可能である。
[実施例1〜3の評価]
1.1 実施例1の評価結果
実施例1においては、AlドープZnO単結晶基板上にアンドープZnO単結晶層を成長し、炭酸水素ナトリウムを拡散補助剤として拡散を行った。その結果、アンドープZnO成長層12の表面層としてMgZnO単結晶層12Aが形成された。この点について以下に詳細に説明する。
実施例1により形成された結晶層についてXRD(X線回折:X-Ray Diffractometer)による評価を行うとともに、シミュレーションを行った。図7(a)はXRD(2θ測定)の測定結果であり、図7(b)は、MgZnO単結晶層12AのMg組成をx=0.17、層厚を45nmとしてXRDのシミュレーションを行った場合のシミュレーションカーブである。実測のXRD結果に対してシミュレーションカーブのフィッティングは良好であることがわかる。この結果は、MgZnO焼結体22からZnO成長層12に拡散したMgがZnO結晶のZnサイトを置換してMgZnO結晶になっていることを示している。つまり、拡散したMgが格子間に入った場合は、MgZnO結晶の本来のc軸長が得られないためフィッティングにズレが生じるからである。また、MgZnO形成層(MgZnO単結晶層12A)と下のZnO層(ZnO成長層12)との界面が急峻に形成されているといえる。界面でのMg組成がブロードに変化している場合は、上記したのと同様な理由からフィッティングずれを起こすからである。
拡散補助剤(炭酸水素ナトリウム)のナトリウムの拡散について調べるために、実施例1と同様に、拡散補助剤(炭酸水素ナトリウム)をZnO単結晶及びMgZnO単結晶の各結晶上に堆積し、熱処理を行った。これらのサンプルのSIMS(二次イオン質量分析:Secondary Ion Mass Spectrometry)測定から、ナトリウム(Na)がZnO結晶内及びMgZnO結晶内に拡散されていることが確認された。すなわち、実施例1により形成された結晶層(MgZnO単結晶層12A)はNaドープMgZnO結晶層である。また、拡散温度が1000℃ならばp型ドーパントであるNaを2×1017〜1×1018cm-3程度の濃度でドープできることがわかった。すなわち、p型MgZnO結晶層を形成できることがわかった。
また、図8は、(100)面のロッキングカーブを示している。ロッキングカーブの半値幅(半値全幅:FWHM)は約49arcsecと十分に狭く、結晶配列の乱れも少ないと考えられる。なお、ZnO成長層の(100)面ロッキングカーブの半値幅は約30arcsecであった。
以上から、実施例1においては、AlドープZnO単結晶基板上にアンドープZnO単結晶を成長し(層厚150nm)、炭酸水素ナトリウムを拡散補助剤としてMgをZnO成長層に拡散した。これによりZnO成長層の表面に層厚が45nmのNaドープMgZnO単結晶層が形成された。すなわち、AlドープZnO基板上に、層厚が105nmのアンドープZnO層、層厚が45nmのNaドープMg0.17Zn0.83O層の構成からなる層構造を形成することができた。
1.2 実施例2の評価結果
実施例2においては、AlドープZnO単結晶基板上に炭酸水素カリウムを拡散補助剤として拡散を行い、ZnO単結晶基板11の表面にAlドープMgZnO単結晶層11Aが形成された。この点について以下に詳細に説明する。
図9は、実施例2のサンプルの深さ方向のSIMS分析結果を示している。Mgのイオン強度は深さ約65nmまでは一定であり、その深さから急激に減少する。この結果からも拡散で形成したMgZnO形成層界面のMg組成変化が急峻であることが分かる。
特に注目すべき点は、拡散補助剤に炭酸水素カリウムを用いた場合、膜中のカリウム濃度が検出下限界値以下と殆ど拡散していないことにある。そのため、AlドープZnO基板のn型不純物を電気的に補償しないため、良好なn型MgZnO結晶層を形成できることがわかった。カリウム(K)は原子イオン半径が大きいため、拡散しないと考えられる。すなわち、拡散補助剤にカリウム炭酸塩を用いることによって、カリウム成分はZnO層へ拡散せずMg成分のみ拡散することができる。
また、上記した実施例1の場合と同様に、実施例2により形成された結晶層についてXRD測定及びシミュレーションを行った。その結果、AlドープMgZnO単結晶層11AのMg組成xは0.23、層厚は65nmであることがわかった。
以上から、実施例2においては、AlドープZnO単結晶基板に炭酸水素ナトリウムを拡散補助剤として用い、Mgを拡散した。これによりZnO単結晶基板の表面に層厚が65nmのAlドープMgZnO単結晶層が形成された。すなわち、AlドープZnO単結晶上に、層厚が65nmのAlドープMg0.23Zn0.77O層を形成することができた。
1.3 実施例3の評価結果
実施例3においては、まず、AlドープZnO単結晶基板上に炭酸水素カリウムを拡散補助剤としてMgZnO単結晶層11Aを形成した。次に、MgZnO単結晶層11A上にアンドープZnO単結晶層16をエピタキシャル成長した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を拡散補助剤として用い、アンドープZnO単結晶層16にMgを拡散してNaドープMgZnO単結晶層16Aを形成した。
実施例3により形成された結晶層についてXRD測定及びシミュレーションを行った。図10(a)はXRD(2θ測定)の測定結果であり、図10(b)は、XRDシミュレーション結果である。当該シミュレーションは、AlドープMgZnO単結晶層11AのMg組成をx=0.25、層厚を113nmとした場合の結果である。また、NaドープMgZnO単結晶層16AのMg組成をx=0.14、層厚を108nm(すなわち、アンドープZnO単結晶層16の残存層厚は32nm)とした。かかる場合に、実測のXRD結果に対してシミュレーションカーブのフィッティングが良好であり、AlドープMgZnO形成層11A、ZnO成長層、NaドープMgZnO形成層16Aが急峻な界面で形成されていることが確認できた。
また、図11は、(100)面のロッキングカーブを示している。基板11のロッキングカーブの半値幅(FWHM)は30arcsecであるのに対して、実施例3により形成された結晶層の半値幅は34arcsecと十分に狭く結晶配列の乱れも少ないことが確認できた。
すなわち、実施例3においては、AlドープZnO基板上に、第1形成層として厚さ113nmのアンドープMg0.25Zn0.75O層、第2形成層(成長層)として厚さ32nmのアンドープZnO層、第3形成層として厚さ108nmのNaドープMg0.14Zn0.86O層からなる層構造(ダブルヘテロ構造)が形成された。
本実施例においては、拡散補助剤として炭酸水素ナトリウムを用いればMgと同時にNaを拡散でき、また、拡散補助剤として炭酸水素カリウムを用いればMgのみを拡散できる拡散特性を利用してダブルへテロ構造とした事例である。このように、アンドープZnO結晶成長のみを結晶成長装置で実施するのみで、ダブルへテロ構造のpn接合からなる素子を極めて簡便に製造することができる。
[Mgの拡散方法]
(1)MgZnO焼結体基板
上記実施例においては、MgZnO結晶体として、MgOとZnOが25:75のモル比で混合された低コストなMgZnO焼結体を用いたが、拡散形成するMgZnO単結晶層のMg組成を高くするには、焼結体基板のMgOの混合割合を高くすれば良い。また、MgZnO結晶体としてMgZnO多結晶、MgZnO単結晶などを用いることもできる。
(2)熱拡散処理
拡散温度が低いとMgの拡散は起きない。上記した拡散補助剤を用い、800℃ないし1100℃の温度範囲内で熱処理(熱拡散)することによってMgZnO結晶体からZnO結晶へのMgの拡散が可能となることを確認した。Mgは炭酸塩の溶融塩を介してZnO結晶中に拡散するものと解された。また、熱処理温度が1000℃以上ならばMgZnO焼結体のMg組成の約6割程度以上の濃度までZnOエピ単結晶層(またはAl−ZnO単結晶基板)へMgの拡散が可能になることがわかった。尚、拡散補助剤がNa炭酸塩よりK炭酸塩の方がMgの拡散可能濃度を高くすることができることがわかった。
また、熱処理の雰囲気ガスには、大気、窒素、酸素、亜酸化窒素、水蒸気、二酸化炭素等、及びこれらのガスの混合ガスが使用可能である。特に1000℃超の高温熱処理する場合には酸素、亜酸化窒素、水蒸気、二酸化炭素の混合割合を10%以上にするとZnO基板からの酸素抜けによる表面劣化を防止できる。好ましくは20%以上が良い。
熱処理時間を長くすることによってMgが拡散する深さを大きく(拡散層厚を厚く)調整できる。概ね50nm/20minであり、60min程度までは、処理時間に比例して拡散層厚が大きくなることを確認した。
(3)拡散補助剤
Mg拡散を可能とする拡散補助剤は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等がある。特に、ナトリウム系の炭酸塩ならばMg元素とNaを同時に拡散できる。すなわち、Na炭酸塩(拡散補助剤)のNaは、Mgの拡散と同様にアンドープZnO単結晶層(またはAlドープZnO単結晶基板)へ拡散する。その濃度は、拡散温度が1000℃の場合2×1017〜1×1018cm-3程度に達する。このようにNa炭酸塩を用いることによってp型不純物となりうるNaも同時に拡散可能となる。
一方、拡散補助剤にカリウム炭酸塩を用いることによって、カリウム成分はZnO層へ拡散せずMgのみ拡散することができる。例えば、Mgを拡散させるベース基板(又は結晶)がAlドープZnO基板なら、AlドープMgZnO層を形成することができる。
例えば、アンドープZnO単結晶層にナトリウム系炭酸塩を用い、ZnO層を若干残す深さまでMgを拡散させればp型MgZnO単結晶層と発光層になるアンドープZnO単結晶層を形成できる。またAl等のn型不純物がドープされたZnO単結晶層にカリウム系炭酸塩を用いてMgを拡散させればn型MgZnO層を形成できる。このように、本発明の方法は優れたLED製造方法でもある。
(4)Mgの拡散
Mgの拡散効果は、上記したように、炭酸塩を拡散補助剤として用いた場合の拡散温度(800℃以上)におけるMgZnO結晶体(MgZnO焼結体など)とZnO基板と炭酸塩の3つからなる相互作用によるものと解される。簡単には、MgZnO結晶体から炭酸塩を介してZnO基板へMgが拡散したと理解される(エントロピーの効果)。
ところで、一般的な拡散現象は1018〜1019cm-3以下程度の不純物濃度制御に利用される技術である。しかしながら、上記した方法によれば、拡散によって少なくとも1%以上のMgをZnO結晶中に投入し、MgZnO系結晶の組成を%オーダーで制御し得ることが実証された。例えば、1%以上の組成レベルでZnO結晶中にMgが入ることで、バンドギャップをZnO結晶に比して広げることができる。なお、バンドギャップを広げ、ZnO結晶に対して0.1eV以上のバンドエネルギーの差を生じさせる目的であれば、3%以上のMgを拡散させることが望ましい。また拡散にも関わらず、拡散進行面(界面)のMg濃度変化が急峻であること、拡散された層の結晶配列に乱れが少ないことも優れた特徴である。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、簡便な装置で、制御性に優れ、しかも安全かつ容易にMgZnO系結晶やMgZnO系結晶層を積層したMgZnO系結晶積層体を得る方法を提供することができる。
10 拡散用基板
11 ZnO単結晶基板
11A MgZnO単結晶層
12、12B ZnO成長層
12A MgZnO単結晶層
16、16B ZnO成長層
16A MgZnO単結晶層
21 拡散補助層
22 MgZnO結晶体

Claims (7)

  1. ZnO結晶上に炭酸塩を拡散補助剤として塗布して拡散補助層を形成する工程と、
    前記拡散補助層をMgZnO結晶体で覆う工程と、
    前記ZnO結晶、前記拡散補助層及び前記MgZnO結晶体からなる積層体の熱処理を行って前記MgZnO結晶体のMgを前記ZnO結晶中に拡散する工程と、
    を有することを特徴とするMgZnO結晶を形成する方法。
  2. 前記ZnO結晶はアンドープZnO単結晶であり、前記拡散補助剤はナトリウム炭酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ZnO結晶はAlドープZnO単結晶であり、前記拡散補助剤はカリウム炭酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記熱処理の温度は800℃以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記MgZnO結晶体は、MgO及びZnOが混合された焼結体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (a)AlドープZnO単結晶上にカリウム炭酸塩からなる第1の拡散補助層を形成する工程と、
    (b)前記第1の拡散補助層をMgZnO結晶体で覆いつつ熱処理を行って前記MgZnO結晶体のMgを前記AlドープZnO単結晶に拡散する工程と、
    (c)当該Mgが拡散された前記AlドープZnO単結晶上にアンドープZnO単結晶層を成長する工程と、
    (d)前記アンドープZnO単結晶層上にナトリウム炭酸塩からなる第2の拡散補助層を形成する工程と、
    (e)前記第2の拡散補助層をMgZnO結晶体で覆いつつ熱処理を行って前記MgZnO結晶体のMgを前記アンドープZnO単結晶層に拡散する工程と、
    を有することを特徴とするMgZnO系結晶積層体を形成する方法。
  7. 前記MgZnO結晶体のMgを前記AlドープZnO単結晶に拡散する工程(b)及び前記MgZnO結晶体のMgを前記アンドープZnO単結晶層に拡散する工程(e)における前記熱処理の温度は800℃以上であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
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