以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[基本原理]
図1は、本発明の実施の形態における焼成用セッター1(以下、「セッター1」と記載する。)の第1の例を模式的に示す斜視図である。ガラス基板7を加熱炉(図示せず)に搬送するための焼成用セッター1(搬送板)は、本体3(搬送板本体)を有する。本体3はガラス基板7(被搬送物)を載置する面を有する。ガラス基板7の中央領域8と本体3との間に残留する空気が本体3の縁(辺)に向かって排出されるように、第1溝B1〜第5溝B5が本体3に形成される。例えば、次のように、本体3に第1溝B1〜第5溝B5が形成される。
セッター1の本体3は、本体3の一方表面の中央領域に第1領域A1を有する。本体3は、本体3の一方表面において、第1領域A1を囲む第2領域A2、第3領域A3、第4領域A4、及び第5領域A5を有する。第1領域A1には、格子状の第1溝B1が形成される。第2領域A2には、縦方向(第1方向)に沿って第2溝B2が形成される。第3領域A3には、横方向(第2方向)に沿って第3溝B3が形成される。第4領域A4には、縦方向に沿って第4溝B4が形成される。第5領域A5には、横方向に沿って第5溝B5が形成される。
第1溝B1の密度は、第2溝B2の密度より高い。同様に、第1溝B1の密度は、第3溝B3の密度、第4溝B4の密度、及び第5溝B5の密度の各々より高い。
溝の密度は、例えば、所定面積当たりの溝の交点の数によって表される。例えば、溝の密度は、平面視における所定面積当たりの溝の面積の割合によって表される。例えば、溝の面積は、所定面積当たりの溝の交点の数と、平面視における所定面積当たりの溝の面積の割合との2つの要素によって表される。
本体3には、ガラス基板7が載置される。すなわち、ガラス基板7は、本体3の第1領域A1に、ガラス基板7の中央領域8が面するように載置される。詳細は後述するが、ガラス基板7の中央領域8と本体3との間に空気が残留し易いからである。本体3の材質は、例えば、耐熱性ガラスである。なお、図1では、本体3にガラス基板7が載置される前の状態を示している。
なお、セッター1には、ガイドピン等が設けられるが、図示を省略し、セッター1の本体3のみを図示している。本体3をセッター本体3と記載することもある。後述する図2、図3(a)〜図3(d)、図4(a)〜図4(c)、図5(a)〜図5(c)、図8〜図9についても、セッター本体3のみが図示される。例えば、ガイドピンは、セッター本体3に載置されたガラス基板7(例えば、液晶ディスプレイ用ガラス板)の落下を防止するための部材である。
次に、セッター1の構造を平面図を用いて詳細に説明する。図2は、図1のセッター1を模式的に示す平面図である。セッター本体3の第1領域A1には、第1溝B1が格子状に形成されている。第1領域A1は、セッター本体3の一方表面の中央領域である。第1領域A1には、4本の平行な第1溝B1が、縦方向に沿って形成される。第1溝B1の幅は幅d1であり、第1溝B1同士の間隔は間隔d3である。縦方向はセッター本体3の長手方向に沿っている。また、第1領域A1には、4本の平行な第1溝B1が、横方向に沿って、かつ、縦方向の4本の平行な第1溝B1と交差(図1の例では直交)するように形成される。第1溝B1の幅は幅d2であり、第1溝B1同士の間隔は間隔d4である。横方向は、縦方向と交差(図1の例では直交)する方向である。従って、複数の第1溝B1は複数の交点(図1の例では16個の交点)を形成する。
セッター本体3の第2領域A2には、4本の平行な第2溝B2が縦方向に沿って形成される。第2領域A2は、第1領域A1よりもセッター本体3の一方短辺側D1において、第1領域A1に隣接する領域である。4本の第2溝B2の一方端部は、それぞれ、4本の縦方向の第1溝B1の一方端部に結合される(連続する)。第2溝B2の他方端部は、短辺D1(縁)まで延びている。つまり、短辺D1は、第2溝B2の終点を含む。第2溝B2の幅は幅d1であり、第2溝B2同士の間隔は間隔d3である。第2溝B2は交点を有しない。
セッター本体3の第3領域A3には、4本の平行な第3溝B3が横方向に沿って形成される。第3領域A3は、第1領域A1よりもセッター本体3の一方長辺D2側において、第1領域A1に隣接する領域である。4本の第3溝B3の一方端部は、それぞれ、4本の横方向の第1溝B1の一方端部に結合される(連続する)。第3溝B3の他方端部は、長辺D2(縁)まで延びている。つまり、長辺D2は、第3溝B3の終点を含む。第3溝B3の幅は幅d2であり、第3溝B3同士の間隔は間隔d4である。第3溝B3は交点を有しない。
セッター本体3の第4領域A4には、4本の平行な第4溝B4が縦方向に沿って形成される。第4領域A4は、第1領域A1よりもセッター本体3の他方短辺D3側において、第1領域A1に隣接する領域である。4本の第4溝B4の一方端部は、それぞれ、4本の縦方向の第1溝B1の他方端部に結合される(連続する)。第4溝B4の他方端部は、短辺D3(縁)まで延びている。つまり、短辺D3は、第4溝B4の終点を含む。第4溝B4の幅は幅d1であり、第4溝B4同士の間隔は間隔d3である。第4溝B4は交点を有しない。
セッター本体3の第5領域A5には、4本の平行な第5溝B5が横方向に沿って形成される。第5領域A5は、第1領域A1よりもセッター本体3の他方長辺D4側において、第1領域A1に隣接する領域である。4本の第5溝B5の一方端部は、それぞれ、4本の横方向の第1溝B1の他方端部に結合される(連続する)。第5溝B5の他方端部は、長辺D4(縁)まで延びている。つまり、長辺D4は、第5溝B5の終点を含む。第5溝B5の幅は幅d2であり、第5溝B5同士の間隔は間隔d4である。第5溝B5は交点を有しない。
以上のように、高密度の第1溝B1を有する第1領域A1は、低密度の第2溝B2を有する第2領域A2、低密度の第3溝B3を有する第3領域A3、低密度の第4溝B4を有する第4領域A4、及び低密度の第5溝B5を有する第5領域A5に囲まれる。第2領域A2と第4領域A4とは、第1領域A1を挟んで互いに対向するように配置される。第3領域A3と第5領域A5とは、第1領域A1を挟んで互いに対向するように配置される。また、セッター本体3の一方表面は、4つの隅部に、第1溝B1〜第5溝B5が形成されない平坦領域C1〜平坦領域C4を有する。
平坦領域C1〜平坦領域C8(図1〜図3参照)を総称して、「平坦領域C#」と記載することもある。第2領域A2〜第5領域A5を総称して、「隣接領域」と記載することもある。辺D1〜辺D4を総称して「辺」又は「縁」と記載することもある。
平坦領域C#には、第1領域A1〜第5領域A5と異なり、第1溝B1〜第5溝B5が形成されない。第1領域A1のうち第1溝B1で囲まれた最小単位(以下、「最小単位」と記載する。)の面積は、平面視において、1つの平坦領域C#の面積より小さい。最小単位とは、第1領域A1のうち第1溝B1によって囲まれた連続した1つの面のことである。平坦領域C#の各々は、セッター本体3の縁と隣接領域とで囲まれた領域である。つまり、平坦領域C#の各々は、閉じた領域である。例えば、最小単位の面積は、複数の平坦領域C#のうち最大面積を有する平坦領域C#の面積より小さい。例えば、図3(a)に示すセッター本体3のように、1つの平坦領域C#(C8)のみを有する場合は、最小単位の面積は、平坦領域C#(C8)の面積より小さい。
4本の第3溝B3のうち短辺D1に最も近い第3溝B3と短辺D1との間隔は間隔d5である。4本の第2溝B2のうち長辺D2に最も近い第2溝B2と長辺D2との間隔は間隔d6である。4本の第3溝B3のうち短辺D3に最も近い第3溝B3と短辺D3との間隔は間隔d5である。4本の第4溝B4のうち長辺D2に最も近い第4溝B4と長辺D2との間隔は間隔d6である。4本の第5溝B5のうち短辺D3に最も近い第5溝B5と短辺D3との間隔は間隔d5である。4本の第4溝B4のうち長辺D4に最も近い第4溝B4と長辺D4との間隔は間隔d6である。4本の第5溝B5のうち短辺D1に最も近い第5溝B5と短辺D1との間隔は間隔d5である。4本の第2溝B2のうち長辺D4に最も近い第2溝B2と長辺D4との間隔は間隔d6である。
4本の横方向の第1溝B1のうち短辺D1に最も近い第1溝B1と短辺D1との間隔は間隔d5である。4本の縦方向の第1溝B1のうち長辺D2に最も近い第1溝B1と長辺D2との間隔は間隔d6である。4本の横方向の第1溝B1のうち短辺D3に最も近い第1溝B1と短辺D3との間隔は間隔d5である。4本の縦方向の第1溝B1のうち長辺D4に最も近い第1溝B1と長辺D4との間隔は間隔d6である。
次に、ガラス基板7とセッター1との間に残留する空気を排出する仕組みを説明する。ガラス基板7を一般的なセッターに載置する際にガラス基板7が滑る原因は、ガラス基板7の中央領域8とセッターとの間に残留する空気が排出され難いことである。そこで、本実施の形態では、セッター本体3において、ガラス基板7の中央領域8が面する第1領域A1を設ける。空気が残留し易い第1領域A1の第1溝B1の密度は、第1領域A1を囲む領域(第2領域A2〜第5領域A5)の溝(第2溝B2〜第5溝B5)の密度より高い。つまり、セッター本体3の表面全体にわたって高密度の第1溝B1が設けられるのではなく、セッター本体3において、空気が残留し易い領域に高密度の第1溝B1が設けられる。
また、セッター本体3の第1溝B1の周囲には、第2溝B2〜第5溝B5が形成される。第2溝B2〜第5溝B5は、第1溝B1からセッター本体3の辺D1〜辺D4まで空気を導き、セッター本体3の外部に空気を排出する。つまり、4方向(第1領域A1から辺D1に向かう方向、第1領域A1から辺D2に向かう方向、第1領域A1から辺D3に向かう方向、及び第1領域A1から辺D4に向かう方向)の経路により空気が排出される。その結果、第2溝B2〜第5溝B5は、第1溝B1よりも低密度になるように形成される。さらに、仮に溝が形成されたとしても、空気を排出する効果が十分に期待できない平坦領域C1〜平坦領域C4には、溝は形成されない。なお、平坦領域C1〜平坦領域C4への刻印等を目的とした溝の形成を排除するものではない。
以上、図1及び図2を参照して説明したように、本実施の形態では、残留する空気を効果的に排出できると伴に、残留した空気を排出する際に貢献度が低い溝を極力省くことができる。つまり、本実施の形態では、効果的かつ効率的に溝(第1溝B1〜第5溝B5)を形成して、セッター本体3の機械的強度の低下を抑制しながらも、空気の十分な排出効果を達成できる。なお、セッター本体3の機械的強度は、厚さが薄い部分が多くなればなるほど、つまり、溝が多くなればなるほど低くなる。
また、本実施の形態では、第2領域A2〜第5領域A5を設け、4つの辺D1〜辺D4に向かって同時に空気を排出できる。その結果、排出先の辺が1つの場合、2つの場合、及び3つの場合と比較して、十分な排出効果を得ることができ、排出時間を短縮できる。
さらに、本実施の形態では、空気の排出効果は、ガラス基板7をセッター本体3に載置する仕方に影響され難い。第2領域A2〜第5領域A5を設け、辺D1〜辺D4に向かって同時に空気を排出できるからである。例えば、セッター本体3の真上からガラス基板7が載置されてもよい。例えば、第2溝B2の終点を含むセッター本体3の辺D1に向かってガラス基板7を倒すように、ガラス基板7をセッター本体3に載置してもよい。同様に、辺D2に向かってガラス基板7を倒すようにしてもよいし、辺D3に向かってガラス基板7を倒すようにしてもよいし、辺D4に向かってガラス基板7を倒すようにしてもよい。
[溝の配置パターン]
次に、セッター1の他の例を説明する。図3(a)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第2の例を模式的に示す平面図である。第2の例におけるセッター本体3の一方表面には、格子状の第1溝B1を有する第1領域A1、及び第2溝B2を有する第2領域A2が形成される。セッター本体3の平坦領域C8は、第1溝B1及び第2溝B2が形成されない領域である。
第2の例において、高密度の第1溝B1は、空気が残留し易い領域に形成される。そして、残留した空気は、低密度の第2溝B2を通って排出される。従って、残留する空気を効果的に排出できるとともに、残留した空気を排出する際に貢献度が低い溝を極力省くことができる。その結果、残留する空気を排出する効果の向上を図りながらも、セッター本体3(セッター1)の機械的強度の低下を抑制することができる。
図3(b)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第3の例を模式的に示す平面図である。第3の例におけるセッター1は、図3(a)の第2の例におけるセッター1に、第3領域A3を追加して形成される。セッター本体3の平坦領域C1及び平坦領域C6は、第1溝B1〜第3溝B3が形成されない領域である。
第3の例においては、第2の例と比較して、セッター本体3とガラス基板7の中央領域8との間に残留した空気は、第1溝B1から、第2溝B2に加えて第3溝B3によっても排出される。その結果、第3の例では、第2の例と比較して、残留する空気の排出時間をより短縮できる。一方、第1溝B1よりも第3溝B3の密度は低いので、第2の例のセッター本体3に対して、第1溝B1と同等の密度の溝を追加する場合と比較して、第3溝B3を形成したことに伴うセッター本体3(セッター1)の機械的強度への影響を抑制できる。
図3(c)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第4の例を模式的に示す平面図である。第4の例におけるセッター1は、図3(a)の第2の例におけるセッター1に、第4領域A4を追加して形成される。セッター本体3の平坦領域C5及び平坦領域C7は、第1溝B1、第2溝B2、及び第4溝B4が形成されない領域である。
第4の例においては、残留した空気は、第1領域A1の第1溝B1から、第2領域A2の第2溝B2及び第4領域A4の第4溝B4によって、反対方向に向かって効果的に排出されることができる。その他、第4の例におけるセッター1は、第3の例におけるセッター1と同様の効果を奏する。低密度の溝を有する領域の数が同じだからである。
図3(d)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第5の例を模式的に示す平面図である。第5の例におけるセッター本体3は、図3(c)の第4の例におけるセッター1に、第3領域A3を追加して形成される。セッター本体3の平坦領域C1、平坦領域C2、及び平坦領域C5は、第1溝B1〜第4溝B4が形成されない領域である。
第5の例においては、第4の例と比較して、セッター本体3とガラス基板7の中央領域8との間に残留した空気は、第1溝B1から、第2溝B2及び第4溝B4に加えて第3溝B3によっても排出される。その結果、第5の例では、第4の例と比較して、残留する空気の排出時間をより短縮できる。一方、第3の例及び第4の例と同様に、第1溝B1と同等の密度の溝を追加する場合と比較して、第3溝B3を形成したことに伴うセッター本体3(セッター1)の機械的強度への影響を抑制できる。
図4(a)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第6の例を模式的に示す平面図である。第6の例におけるセッター1の本体3の一方表面には、第1の例におけるセッター本体3と同様に、第1領域A1〜第5領域A5が形成される。ただし、第6の例では、第1領域A1は、セッター本体3の中央領域ではなく、中央領域よりも短辺D1側に形成される。このように、第6の例では、第1領域A1が、セッター本体3の中央領域に対して偏った領域に形成される。
第6の例では、第1の例と同様に、第1領域A1〜第5領域A5を有するので、第1の例と同様の効果を奏する。
図4(b)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第7の例を模式的に示す平面図である。第7の例におけるセッター本体3の一方表面には、第1の例におけるセッター本体3と同様に、第1領域A1〜第5領域A5が形成される。ただし、第7の例の第1領域A1には、セッター本体3の一方表面から他方表面まで貫通する複数の孔5が形成される。
第7の例では、第1領域A1〜第5領域A5に加えて、孔5を有するので、第1の例と比較して、残留する空気の排出時間をさらに短縮できる。例えば、セッター1をローラーコンベア(図示せず)に乗せて移動させる場合に有効である。なぜなら、ローラーコンベアに乗せて移動させる場合であれば、ベルトコンベア(図示せず)のように、孔5がベルトコンベアのベルトで塞がれてしまうことがなく、孔5から空気を効率的に排出することができるためである。
図4(c)は、本発明の実施の形態におけるセッター1の第8の例を模式的に示す平面図である。第8の例におけるセッター本体3の一方表面には、第1の例におけるセッター本体3と同様に、第1溝B1〜第5溝B5が形成される。ただし、第8の例では、第1溝B1〜第5溝B5は、セッター本体3の長辺D2及び長辺D4に対して斜めに形成される。
セッター1の本体3の第1領域A1には、第1溝B1が格子状に形成される。第1領域A1は、セッター本体3の一方表面の中央領域である。第1領域A1には、4本の平行な第1溝B1が、第1斜め方向に沿って形成される。第1斜め方向とは、長辺D2の中央よりも短辺D1寄りの長辺D2部分の側から、長辺D4の中央よりも短辺D3寄りの長辺D4部分の側へ向かう方向である。また、第1領域A1には、4本の平行な第1溝B1が、第2斜め方向に沿って、かつ、第1斜め方向の4本の平行な第1溝B1と交差するように形成される。第2斜め方向とは、長辺D2の中央よりも短辺D3寄りの長辺D2部分の側から、長辺D4の中央よりも短辺D1寄りの長辺D4部分の側へ向かう方向である。従って、複数の第1溝B1は複数の交点(図4(c)の例では16個の交点)を形成する。
セッター本体3の第2領域A2には、4本の平行な第2溝B2が第1斜め方向に沿って形成される。第2溝B2は、第1領域A1から長辺D2に向かって延びている。第2溝B2は交点を有しない。セッター本体3の第3領域A3には、4本の平行な第3溝B3が第2斜め方向に沿って形成される。第3溝B3は、第1領域A1から長辺D2に向かって延びている。第3溝B3は交点を有しない。セッター本体3の第4領域A4には、4本の平行な第4溝B4が第1斜め方向に沿って形成される。第4溝B4は、第1領域A1から長辺D4に向かって延びている。第4溝B4は交点を有しない。セッター本体3の第5領域A5には、4本の平行な第5溝B5が第2斜め方向に沿って形成される。第5溝B5は、第1領域A1から長辺D4に向かって延びている。第5溝B5は交点を有しない。
以上のように、高密度の第1溝B1を有する第1領域A1は、第2領域A2〜第5領域A5に囲まれる。また、セッター本体3の一方表面は、第1溝B1〜第5溝B5が形成されない平坦領域C1〜平坦領域C4を有する。第8の例では、第1の例と同様に、第1領域A1〜第5領域A5を有するので、第1の例と同様の効果を奏する。
[載置方法及び搬送方法]
次に、本発明の実施の形態における焼成用セッター1(搬送板)にガラス基板7(被搬送物)を載置する方法を説明する。
図5(a)は、図1の焼成用セッター1にガラス基板7を載置する方法の説明図である。ガラス基板7をセッター本体3に載置する際は、ガラス基板7の中央領域8(即ち、空気が残留する領域)が、セッター本体3の第1領域A1(即ち、第1溝B1が形成する交点を含む領域)に面するように、ガラス基板7をセッター本体3に載置する。
図5(b)は、図4(a)の焼成用セッター1にガラス基板7を載置する方法の説明図である。セッター本体3の第1領域A1がセッター本体3の中央領域に対して偏った領域に形成される場合であっても、ガラス基板7をセッター本体3に載置する際は、ガラス基板7の中央領域8が、第1領域A1に面するように、ガラス基板7をセッター本体3に載置する。
図5(c)は、図4(c)の焼成用セッター1にガラス基板7を載置する方法の説明図である。ガラス基板7をセッター本体3に載置する際は、セッター本体3の第1領域A1(第1溝B1)の形態に依存することなく、ガラス基板7の中央領域8が、第1領域A1に面するように、ガラス基板7をセッター本体3に載置する。
次に、本発明の実施の形態における焼成用セッター1(搬送板)によりガラス基板(被搬送物)を搬送する方法(搬送方法)を説明する。
図6は、本発明の実施の形態における第1の搬送方法を示すフローチャートである。図6を参照して、準備工程S1にて、セッター1は、ガラス基板7が載置される位置まで移動され、停止される。載置工程S3にて、ガラス基板7は、ガラス基板7の中央領域8がセッター1の第1領域A1に面するようにセッター1に載置される(例えば、図5(a)〜図5(c)参照)。搬送工程(移動工程)S5にて、ガラス基板7が載置されたセッター1が、加熱炉に向けて搬送(移動)される。準備工程S1及び搬送工程S5では、例えば、セッター1は、ベルトコンベア(図示せず)又はローラーコンベア(図示せず)によって移動される。載置工程S3では、例えば、ガラス基板7は、ロボットアームにより、セッター1に載置される。
第1の搬送方法によれば、ガラス基板7の中央領域8が、セッター本体3の表面のうちの第1領域A1(高密度の第1溝B1が形成される領域)に面するように、ガラス基板7が、セッター本体3に載置される。従って、セッター本体3の任意の領域に第1領域A1が形成されていた場合であっても、第1領域A1は、空気が残留し易いガラス基板7の中央領域8に必ず面する。そして、残留した空気は、第1領域A1の第1溝B1から、外側に延びる溝(第2溝B2、第3溝B3、第4溝B4、及び/又は第5溝B5)を通って排出される。その結果、第1の搬送方法は、セッター本体3の表面の一部の領域に第1領域A1を形成して、ガラス基板7の中央領域8とガラス基板7との間に残留する空気を排出するために好適である。
図7は、本発明の実施の形態における第2の搬送方法を示すフローチャートである。準備工程S11及び搬送工程(移動工程)S15は、それぞれ、図6の準備工程S1及び搬送工程(移動工程)S5と同様であり、説明を省略する。載置工程S13では、セッター本体3の表面に対して傾斜して配置されたガラス基板7は、セッター1の溝(第2溝B2,第3溝B3,第4溝B4,又は第5溝B5)の終点を含むセッター1の縁(短辺D1、長辺D2、短辺D3、又は長辺D4)に向かって倒されながら、ガラス基板7の中央領域8がセッター本体3の第1領域A1に面するように、セッター本体3に載置される。
例えば、図3(a)のセッター1にガラス基板7を載置する場合、ガラス基板7は、セッター1の第2溝B2の終点を含むセッター1の縁(短辺D1)に向かって倒れるようにセッター1に載置される。つまり、ガラス基板7の一方短辺をセッター1の短辺D3側に配置し、ガラス基板7の表面がセッター1表面に対して鋭角になるようにガラス基板7を立てる。そして、ガラス基板7の他方短辺がセッター1の短辺D1に近づくように、ガラス基板7を倒していく。なお、例えば、載置工程S13においては、ガラス基板7は、ロボットアームにより、セッター1に載置される。
第2の搬送方法によれば、溝(第2溝B2,第3溝B3,第4溝B4,又は第5溝B5)による空気の排出先であるセッター1の縁(短辺D1、長辺D2、短辺D3、又は長辺D4)に向かってガラス基板7が倒されるので、溝による空気の排出先がないセッターの縁に向かってガラス基板7を倒す場合と比較して、空気の排出を促進できる。溝による空気の排出先がないセッターの縁に向かってガラス基板7を倒す場合とは、例えば、図3(a)を参照して、ガラス基板7が、溝の終点がないセッター1の縁(短辺D3)に向かって倒される場合である。
以上のように、本実施の形態によれば、ガラス基板7の中央領域8とセッター本体3との間の空気、つまり、空気が残留し易い領域の空気が、セッター本体3の辺(短辺D1、長辺D2、短辺D3、及び/又は長辺D4)に向かう溝(第2溝B2、第3溝B3、第4溝B4、及び/又は第5溝B5)によって排出される。
例えば、複数の交点を有する複数の第1溝B1は、セッター本体3の面のうちガラス基板7の中央領域8に対応する第1領域A1、つまり、空気が残留し易い領域に形成される。そして、残留した空気は、セッター本体3の辺(短辺D1、長辺D2、短辺D3、及び/又は長辺D4)に向かう溝(第2溝B2、第3溝B3、第4溝B4、及び/又は第5溝B5)によって排出される。
以上の結果、残留する空気を効果的に排出できるとともに、残留した空気を排出する際に貢献度が低い溝を極力省くことができる。その結果、本実施の形態では、残留する空気を排出する効果の向上を図りながらも、セッター本体3(セッター1)の機械的強度の低下を抑制することができる。
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
本実施例では、4種類のセッターSAM(セッターSAM1〜セッターSAM4)を用意した。そして、各セッターSAMに同一のガラス基板7を載置し、各セッターSAMを傾斜させ、ガラス基板7が滑り出す時の各セッターSAMの傾斜に応じた高さ(滑り高さH)を測定する。そして、滑り高さHに基づいて、傾斜角度(滑り角度θ)を算出する。滑り角度θが、ガラス基板7の滑り難さを表す指標とされる。以下、詳細が説明される。
まず、評価装置9について説明する。図8(a)は、本発明の実施例における焼成用セッター1の評価装置9を模式的に示す平面図である。図8(b)は、評価装置9を模式的に示す側面図である。図8(c)は、評価装置9の使用状態を模式的に示す側面図である。
図8(a)〜図8(c)を参照して説明すると、評価装置9は、定盤11、アルミニウムフレーム13、ストッパ15、及びストッパ17を備える。平板状の定盤11の上面には、平板状のアルミニウムフレーム13が配置される。アルミニウムフレーム13の上面には、評価サンプルとしてのセッターSAMが載置される。アルミニウムフレーム13は、セッターSAMを傾斜させたときのセッターSAMの自重によるセッターSAMのたわみを防止する。セッターSAMの上面には、ガラス基板7が載置される。平面視において、セッターSAM及びガラス基板7は矩形状の形状を有し、相似形である。セッターSAMの表面積はガラス基板7の表面積より若干大きくなっている。従って、ガラス基板7がセッターSAMに収まるように載置されれば、セッターSAMの中央領域とガラス基板7の中央領域8は一致する。
ストッパ15が、アルミニウムフレーム13の横方向に沿った側面に固着される。図8(b)に示すように、ストッパ15は、定盤11の上面に起立するように設けられる。また、図8(c)に示すように、アルミニウムフレーム13及びストッパ15は、ストッパ15の底部を軸として一体的に傾斜可能である。この場合、アルミニウムフレーム13は、ストッパ15と反対側のアルミニウムフレーム13の側面が定盤11から離れるように傾けられる。ストッパ15の底部を軸としてアルミニウムフレーム13を傾斜させる場合、この傾斜は縦方向の傾斜と定義される。
図8(b)に戻って、ストッパ15の高さは、アルミニウムフレーム13の厚さより高く、かつ、アルミニウムフレーム13の厚さとセッターSAMの厚さとの合計値より低い。その結果、アルミニウムフレーム13を縦方向に傾斜させた場合でも、セッターSAMがアルミニウムフレーム13上を傾斜方向に移動することを防止できる。
図8(a)に戻って、ストッパ17が、アルミニウムフレーム13の縦方向に沿った側面に固着される。図示は省略したが、ストッパ15と同様に、ストッパ17は、定盤11の上面に起立するように設けられる。また、図示は省略したが、アルミニウムフレーム13は、ストッパ17の底部を軸としてストッパ17と一体的に傾斜可能である。この場合、アルミニウムフレーム13は、ストッパ17と反対側のアルミニウムフレーム13の側面が定盤11から離れるように傾けられる。ストッパ17の底部を軸としてアルミニウムフレーム13を傾斜させる場合、この傾斜は横方向の傾斜と定義される。
図示は省略したが、ストッパ15と同様に、ストッパ17の高さは、アルミニウムフレーム13の厚さより高く、かつ、アルミニウムフレーム13の厚さとセッターSAMの厚さとの合計値より低い。その結果、アルミニウムフレーム13を横方向に傾斜させた場合でも、セッターSAMがアルミニウムフレーム13上を傾斜方向に移動することを防止できる。
次に、評価装置9を使用した測定の手順を説明する。図8(b)に示すように、アルミニウムフレーム13が傾斜していない状態において、水平に置かれたセッターSAM上にガラス基板7を載置する。そして、ガラス基板7が載置されてから所定時間(例えば、30秒)の経過後に、図8(c)に示すように、アルミニウムフレーム13を徐々に縦方向に傾斜させ(矢印19が示す方向)、ガラス基板7が滑り出した時の滑り高さHを測定する。所定時間の経過後にアルミニウムフレーム13を傾斜させる理由は、ガラス基板7が載置された直後に傾斜させたらならば、残留した空気が排出されることはなく、適正な評価が困難だからである。また、ガラス基板7が載置されて長時間が経過した時に傾斜させたならば、残留した空気は自然と排出され、この場合もまた適正な評価が困難だからである。
滑り高さHは、定盤11の表面から、最も高いアルミニウムフレーム13の底面までの高さである。滑り高さHは、同一セッターSAMについて所定回数(例えば、5回)測定され、平均値Haが求められた。滑り角度θは、ガラス基板7が滑り出した時のアルミニウムフレーム13の底面と定盤11とがなす角度である。滑り角度θは、滑り高さHの平均値Haとアルミニウムフレーム13の辺長L1とから計算される(θ=arcsin(Ha/L1))。辺長L1は、アルミニウムフレーム13において、ストッパ15が配置される辺に垂直な辺の長さである。
また、アルミニウムフレーム13を縦方向に傾斜させた場合と同様にして、アルミニウムフレーム13を横方向に傾斜させて、滑り高さHを測定し、滑り角度θを算出する。滑り角度θは、滑り高さHの平均値Haとアルミニウムフレーム13の辺長L2とから計算される(θ=arcsin(Ha/L2))。辺長L2は、アルミニウムフレーム13において、ストッパ17が配置される辺に垂直な辺の長さである。
次に、評価装置9による測定結果を説明する。図9は、評価装置9による測定結果を示す図である。以下、図9を参照してセッターSAM1〜SAM3を用いた評価結果を説明する。評価サンプルのセッターSAM1には、表面全体にわたって均等な格子状の溝が形成される。評価サンプルのセッターSAM2は、本発明の実施形態におけるセッター1である。評価サンプルのセッターSAM3においては、セッターSAM3の4つの隅部に格子状の溝が形成され、セッターSAM3の中央部には溝が形成されない。
グラフ39の横軸は評価サンプル(セッターSAM1〜セッターSAM3)を示し、縦軸は滑り角度θ(単位:度)を示す。グラフ39において、セッターSAM2(本発明の実施の形態におけるセッター1)の滑り角度θは、他のセッターSAM1及びセッターSAM3と比較して、縦方向傾斜及び横方向傾斜ともに大きい。滑り角度θが大きいことは、ガラス基板7が滑り難いことを示す。つまり、滑り角度θが大きいことは、ガラス基板7の中央領域8とセッターとの間に残留した空気の排出効果が高いことを示す。その結果、残留した空気を迅速に排出できる。
また、セッターSAM1及びセッターSAM3において、セッターSAM2(セッター1)と同等の滑り角度θを確保する場合、溝を増加する必要がある。しかし、溝の増加は機械的強度の低下を招く。後述するが、平面視において、セッターSAM1〜セッターSAM3の溝の表面積は同じである。従って、セッターSAM1〜セッターSAM3の機械的強度は同等である。以上の結果、本実施例にて、セッターSAM2(セッター1)が、機械的強度の低下を招くことなく、大きな滑り角度θを確保できることが確認された。
なお、図示は省略したが、溝が形成されていない平滑なセッターSAM4の滑り角度θは、縦方向の傾斜及び横方向の傾斜ともに約2度であった。一方、セッターSAM2(セッター1)の滑り角度θは、グラフ39に示す通り、縦方向の傾斜で約19度、横方向の傾斜で約18度である。従って、セッターSAM4においては、セッターSAM2(セッター1)と比較して、ガラス基板7が滑り易いことを理解し得る。
次に、本実施例及び比較例として使用したガラス基板7及び4種類のセッターSAM1〜セッターSAM4の仕様を説明する。ガラス基板7のサイズは、730mm(横方向長さ)×920mm(縦方向長さ)×0.5mm(厚さ)である。
セッターSAM1〜セッターSAM4のサイズは共通であり、830mm(横方向長さ)×1020mm(縦方向長さ)×4mm(厚さ)である。セッターSAM1〜セッターSAM3において、各溝の幅は約10mmであり共通し、また、各溝の深さは約0.3mmであり共通する。各溝の断面形状は、例えば、U字状又はV字状である。ただし、各溝の断面形状はこれらに限定されず任意の形状を採用できる。また、セッターSAM1〜セッターSAM3の各々において、平面視における溝の総面積は72400mm2であり共通する。セッターSAM1〜セッターSAM4の材質は耐熱性ガラスである。例えば、溝は、サンドブラスト(Sandblasting)によって、セッター表面に砂を吹き付けることにより形成される。
図9を参照して、セッターSAM1の横方向に沿った溝は、等間隔で平行に配置されており、隣り合う溝同士の間隔s1は約196mmである。セッターSAM1の短辺に最も近い横方向に沿った溝と、セッターSAM1の短辺との間隔s2は約196mmである。セッターSAM1の縦方向に沿った溝は、等間隔で平行に配置されており、間隔s3は約158mmである。セッターSAM1の長辺に最も近い縦方向に沿った溝と、セッターSAM1の長辺との間隔s4は約158mmである。
図9のセッターSAM2は図1のセッター1と同じであるため、セッターSAM2の仕様は図1を参照して説明される。セッター1において、間隔d3は約80mmである。間隔d4は約100mmである。間隔d5は約340mmである。間隔d6は約280mmである。
図9を参照して、セッターSAM3において、セッターSAM3の短辺側にて隣り合う横方向に沿った溝の間隔s5は約100mmである。セッターSAM3の短辺に最も近い横方向に沿った溝と、セッターSAM3の短辺との間隔s6は約100mmである。セッターSAM3の内側において隣り合う横方向に沿った溝の間隔s7は約580mmである。セッターSAM3の長辺側にて隣り合う縦方向に沿った溝の間隔s8は約80mmである。セッターSAM3の長辺に最も近い縦方向に沿った溝と、セッターSAM3の長辺との間隔s9は約80mmである。セッターSAM3の内側において隣り合う縦方向に沿った溝の間隔s10は約470mmである。
以上のように、本実施例では、セッターSAM2、つまり、図1のセッター1が、セッターSAM1〜セッターSAM4の中で最も滑り角度が大きく、ガラス基板7が滑り難いことが確認できた。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば、以下のような変形も可能である。
(1)図1のガラス基板7の中央領域8の外縁について例を挙げる。距離Lを定義する。距離Lは、ガラス基板7の縁(辺E1、辺E2、辺E3、又は辺E4)からガラス基板7の中心までの距離である。例えば、中央領域8の外縁は、ガラス基板7の縁から、距離Lの30%〜90%の距離に位置する。より好ましくは、例えば、中央領域8の外縁は、ガラス基板7の縁から、距離Lの50%〜90%の距離に位置する。なお、中央領域8の外縁は、これら2つの例に限定されない。また、ガラス基板7の形状は矩形状に限定されない。例えば、ガラス基板7の形状は多角形状又は楕円状であってもよい。距離L#を定義する。距離L#は、ガラス基板7の縁からガラス基板7の重心までの距離である。例えば、中央領域8の外縁は、ガラス基板7の縁から、距離L#の30%〜90%の距離に位置する。より好ましくは、例えば、中央領域8の外縁は、ガラス基板7の縁から、距離Lの50%〜90%の距離に位置する。なお、中央領域8の外縁は、これら2つの例に限定されない。
(2)図1のセッター1においては、高密度の第1溝B1を有する第1領域A1は、セッター本体3の中央領域に設けられた。ただし、ガラス基板7の中央領域8が第1領域A1に面するように載置される限り、第1領域A1を形成する領域は、セッター本体3の中央領域に限られず、セッター本体3の任意の領域に設けることができる(例えば、図4(a)参照)。
図1のセッター1においては、第1領域A1の第1溝B1は16個の交点を形成した。ただし、交点の数は2以上であれば、4つに限定されない。
ここで、第2領域A2、第3領域A3、第4領域A4、及び第5領域A5を総称して、第1領域A1に対して、「隣接領域」と記載することもある。図1のセッター1においては、互いに異なる隣接領域の各々の溝(第2溝B2〜第5溝B5)の本数は、4本であった。ただし、第1溝B1の密度が隣接領域の溝の密度より高いかぎり、隣接領域の溝の本数は4本に限定されない。隣接領域ごとに溝の本数が異なってもよい。
また、第1溝B1の密度が隣接領域の溝の密度より高いかぎり、第1溝B1の本数は8本に限定されない。図1のセッター1においては、第1溝B1は16個の交点を形成した。ただし、交点の数は16に限定されない。また、溝(第1溝B1〜第5溝B5)の幅及び深さ並びに溝同士の間隔は、実験的及び/又は経験的に任意の値に設定できる。
(3)例えば、1枚のセッター本体において、複数のガラス基板を載置してもよい。この場合、1枚のセッター本体において、載置するガラス基板の数と同数の第1領域A1を設ける。また、複数の第1領域A1の各々に対して、隣接領域が設けられる。例えば、2枚のガラス板を載置できるように、2つの第1領域A1を設け、かつ、2つの第1領域A1の各々に対して隣接領域を設ける。
(4)図1を参照して説明した実施の形態では、板状の被搬送物(図1の例ではガラス基板7)を搬送するための搬送板の例として、焼成用セッター1を挙げた。ただし、セッター1の用途は焼成用に限定されない。また、搬送板はセッター1に限定されない。つまり、本発明は、搬送板の用途に依存することなく適用可能である。
また、図1を参照して説明した実施の形態では、搬送板としてのガラス基板7の例として、液晶ディスプレイ用ガラス板を挙げた。ただし、搬送板の用途は液晶ディスプレイ用に限定されない。また、搬送板は基板でなくてもよい。
(5)図1を参照して説明した実施の形態では、ガラス基板7が被搬送物であり、搬送板としてのセッター1に載置される例を示した。ただし、セッター1に載置される被搬送物は、ガラス基板7に限定されない。被搬送物は、表面が平滑な板状の物体であればよい。例えば、被搬送物として、セラミック板、金属板、又は合成樹脂の板等を選択できる。また、搬送板としてのセッター1の材質はガラスであった。ただし、搬送板の材質はガラスに限定されない。搬送板の材質は、表面を平滑にできる材質であれば、被搬送物及び搬送の目的等に応じて、任意の材質を選択できる。例えば、搬送板として、セラミック板、金属板、又は合成樹脂の板等を選択できる。また、搬送板としてのセッター1の材質は耐熱性ガラスであった。ただし、搬送板の機能は耐熱性に限定されない。搬送板の機能は、被搬送物及び搬送の目的等に応じて、任意の機能を選択できる。