JP2014161775A - 酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法 - Google Patents

酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドの製造において、二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒドを高収率で生成させることのできる酸化物触媒及びその製造方法、並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含有し、
Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比が0.3以上0.9以下である、
酸化物触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物触媒及びその製造方法、並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法に関する。
モリブデン、ビスマス、鉄等の遷移金属は、それぞれが単独で酸化することによって得られる酸化物の他に、複数種の金属が固溶体となって得られるいわゆる複合酸化物になることが知られている。複合酸化物は、単独の金属の酸化物とは異なる特性を有し、その特性が金属種の選択や組成比等によっても大きく変化することから、顔料、電池の電極材料、触媒等、様々な分野で検討が進められている。
例えば、モリブデン、ビスマス、及び鉄を含む金属酸化物触媒は、オレフィンやアルコールを酸化して、不飽和アルデヒドを製造する触媒としてこれまでに数多く報告されている。また、必須成分としてモリブデン、ビスマス及び鉄を含み、有機化合物を添加して熱処理して得られる複合酸化物触媒も数多く報告されている。
上述のように、組成比が異なれば酸化物触媒の特性も異なるので、触媒活性を向上させたり、目的化合物の生成率を向上させたりする目的で、様々な組成比の複合酸化物の触媒特性や調製条件が検討されている。例えば、特許文献1には、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する触媒前駆体を分子状酸素含有ガスの雰囲気下で焼成した後、還元性物質の存在下に熱処理する触媒の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、高い収率で目的生成物を得るために、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びセリウムを含む酸化物触媒において、Mo12原子に対するFeの原子比を0<Fe≦2.5とすることが記載されている。
特開2007−117866号公報 国際公開95/35273号パンフレット
特許文献1には、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する触媒においてFeの組成比cを0<c≦10とすることが記載されている。しかしながら、実際にはFeの組成比cを3以上にしても、鉄の単独酸化物や、3価の鉄とモリブデンとの2成分系の複合酸化物が形成されてしまい、CoMoOに固溶する鉄の量は増えない。一方で、Feの組成比cを3以上としてFe含有量が多くなると触媒中にFeが生成する。Feが存在すると、その触媒を用いて気相接触酸化反応を行なう際にCOやCO等の副生成物が増加する傾向がある。そのため、特許文献2に記載されているとおり、Mo12原子に対するFeの原子比は0<Fe≦2.5というのが現実的な範囲である。
気相接触酸化反応で利用されているビスマス−モリブデン系(Bi−Mo)触媒は、鉄を含むことにより、再酸化速度が上がり、活性がより向上する傾向にある。その結果、鉄を多く含有する触媒は、低酸素分圧下でも反応を促進することができ、アルデヒド以外の酸素付加化合物(例えば、二酸化炭素)を副生せずに、目的生成物を高収率で得ることを可能とする。さらに、鉄を多く含有する触媒を用いると、反応中のレドックスが容易になるため、触媒を高寿命化させるという効果も期待される。
以上のような効果が見込まれるため、鉄は触媒となる酸化物中に多く含まれていることが好ましい。しかしながら、上述のようにCoMoOに固溶する鉄の量には限界があり、組成比を自由に高く設定できるわけではない。つまり、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む酸化物触媒において、二酸化炭素のような副生物を防ぐ組成比のコンセプトに対して、組成比の設計が自由にならず、当該コンセプトは実現に至っていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドの製造において、二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒドを高収率で生成させることのできる酸化物触媒及びその製造方法、並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討をした。その結果、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む酸化物触媒中に、3価の鉄とモリブデンとの複合酸化物、又は酸化鉄等の鉄化合物が所定量含まれるときに、この酸化物触媒を不飽和アルデヒドの製造反応で用いると、望まれない燃焼反応が促進され、目的生成物の収率向上にはつながらないことを知見した。
本発明者らは、上述の望まれない燃焼反応の原因は、所定量以上の鉄が3価の状態で複合酸化物又は単独酸化物を形成していることに起因することを見出した。すなわち、金属の組成のみならず、各金属の価数も複合酸化物の機能に影響していることを見出し、鉄化合物等は全て上述のような負の作用を示すのではなく、鉄が2価の状態であれば、寧ろ好ましい触媒作用を示しうることを見出した。以上より、本発明者らは、酸化還元度をコントロールした酸化物を含む触媒は上記課題を解決できることを見出して、本発明をするに至った。
さらに、本発明者らは、酸化物触媒の酸化還元度コントロールを達成するための手段を鋭意検討した結果、酸化剤及び/又は還元剤の利用、並びに還元焼成を利用することにより、2価の状態の鉄を含む酸化物触媒を製造できることを見出し、これにより従来の酸化焼成では取りえない複合酸化物触媒の組成を実現し、上記課題を解決できる酸化物触媒を製造する方法を見出して、本発明に想到した。
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
〔1〕
モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含有し、
Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比が0.3以上0.9以下である、
酸化物触媒。
〔2〕
前記モリブデン12原子に対する、前記ビスマスの原子比aが、1.5≦a≦6であり、前記鉄の原子比bが、3≦b≦7であり、前記コバルトの原子比cが、2≦c≦8であり、前記ランタノイド元素の原子比dが、0.5≦d≦6である、前項〔1〕に記載の酸化物触媒。
〔3〕
下記組成式(1)で表される組成を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の酸化物触媒。
Mo12BiFeCo (1)
(式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Coはコバルトを示し、
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示し、
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6、3≦b≦7、2≦c≦8、0.5≦d≦6、0.01≦e≦2、及び0≦f<2を満たし、
gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
〔4〕
前記コバルトと前記モリブデンとを含む複合酸化物を含有し、
X線回折において、前記コバルトと前記モリブデンとを含む複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)が26.15°〜26.35°にピーク(最大強度)を示す、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の酸化物触媒。
〔5〕
モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む原料と、酸化剤及び/又は還元剤と、を混合して原料スラリーを得る混合工程と、
前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
前記仮焼成体を本焼成して酸化物触媒を得る本焼成工程と、
を含み、
前記仮焼成工程及び前記本焼成工程は、不活性ガス雰囲気で行い、
前記仮焼成工程において、前記仮焼成体の還元率を60%以上100%未満になるよう制御する、酸化物触媒の製造方法。
〔6〕
前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、プロピレン、及びイソブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィン及び/又はイソブタノール、及びt−ブチルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールを酸化反応させる工程を含む、不飽和アルデヒドの製造方法。
本発明によれば、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドの製造において、二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒドを高収率で生成させることのできる酸化物触媒及びその製造方法並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法を提供することを目的とする。
実施例1、比較例1、及び比較例2で得られた酸化物触媒のX線回折ピークを示す図である。 図1におけるX線回折ピークの2θ=25〜27°の範囲の拡大図を示す図である。 実施例1で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを示す図である。なお、図中、δは異性体シフト、Δは四極分裂、Hは内部磁場を示す。 比較例1で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを示す図である。 比較例2で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを示す図である。 鉄の価数の測定装置の構成及び仕様を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔酸化物触媒〕
本実施形態に係る酸化物触媒は、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含有し、Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比が0.3以上0.9以下である。Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比は、0.5以上0.8以下であることが好ましく、0.6以上0.8以下であることがより好ましい。酸化物触媒中のFe2+、Fe3+の含有量は実施例に記載の方法により測定することができる。このように3価の鉄(Fe3+)の割合を低減し、2価の鉄(Fe2+)の割合を適切な範囲に制御することにより、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドの製造において、二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒドを高収率で生成させることができる。
本実施形態に係る酸化物触媒は、モリブデン(以下、「Mo」ともいう。)、ビスマス(以下、「Bi」ともいう。)、鉄(以下、「Fe」ともいう。)、コバルト(以下、「Co」ともいう。)、及びランタノイド元素(以下、「A」ともいう。)を含有する。このように、Mo−Bi系の金属酸化物において、Mo、Bi、Fe、Co、ランタノイド元素を含有することにより、各金属元素が複合酸化物を形成しうる。また、本実施形態の酸化物触媒は、モリブデン12原子に対してビスマスの原子比aが1.5≦a≦6であることが好ましく、モリブデン12原子に対して鉄の原子比bが3≦b≦7であることが好ましく、モリブデン12原子に対してコバルトの原子比cが2≦c≦8であることが好ましく、モリブデン12原子に対してランタノイド元素の原子比dが0.5≦d≦6であることが好ましい。
本実施形態に係る酸化物触媒において、Mo12原子に対するBiの原子比aは、1.5≦a≦6であることが好ましく、2≦a≦4.5であることがより好ましく、2≦a≦4であることがさらに好ましい。原子比aが上記範囲であることにより、目的生成物の選択率がより高くなる傾向にある。
Mo12原子に対するFeの原子比bは、3≦b≦7であることが好ましく、3.5≦b≦6であることがより好ましく、3.5≦b≦5であることがさらに好ましい。原子比bが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドの選択率がより高くなる傾向にある。
Mo12原子に対するCoの原子比cは、2≦c≦8であることが好ましく、2.5≦c≦6であることがより好ましく、3≦c≦5であることがさらに好ましい。原子比cが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドの収率がより高くなる傾向にある。
Mo12原子に対するランタノイド元素の原子比dは、0.5≦d≦6であることが好ましい。0.8≦d≦4であることがより好ましく、1.4≦d≦2であることがさらに好ましい。原子比dが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドの選択率がより高くなる傾向にある。
〔Bi−A−Mo−O複合酸化物〕
本実施形態に係る酸化物触媒は、Bi及びMoを含む。Bi及びMoは複合化して、気相接触酸化、アンモ酸化反応等の活性種とされているBiMo12、BiMoO等のBi−Mo−O複合酸化物を形成しうる。このような複合酸化物は、気相接触酸化、アンモ酸化反応等の活性種として働きうる。
また、本実施形態に係る酸化物触媒は、ランタノイド元素Aをさらに含む。上記Bi−Mo−O複合酸化物はランタノイド元素Aと複合化して、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成しうる。このような複合酸化物は、耐熱性により優れる。耐熱性に優れることにより、高温での反応により適した酸化物触媒となる。
後述するが、本実施形態では、酸化物触媒の製造において、焼成時に不活性ガス雰囲気中で、酸化物触媒の酸化還元度を精密にコントロールすることが好ましい。上記の通り、Mo、Bi、及び元素Aは、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成していることが好ましく、そのためには過還元しないように酸化還元度を制御することが好ましい。過還元されるとMoO、金属Mo、金属Bi、金属ライタノイドが形成される。そのため酸化物触媒の酸化還元度を制御して、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成することにより、本実施形態に係る酸化物触媒を用いて反応を行なった際の目的生成物の収率がより向上する。
〔Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物〕
また、本実施形態に係る酸化物触媒はFeを含む。Feは、目的生成物の選択率を低下させることなく触媒活性を高めることができ、Mo、Biと同様に工業的に目的生成物を合成する上で必須元素である。また、本実施形態に係る酸化物触媒において、Feの含有量を上記範囲に制御することが好ましい。
通常、酸化物触媒の製造において、酸素を含む酸化雰囲気下で焼成した場合、Fe含有量が多くなるとFeが生成し、COやCO等の副生成物が増加する傾向が現れ、目的生成物の選択率が低下するという問題がある。この点に関して、本発明者らは、Mo、Bi、Fe、Coに加え、ランタノイド元素を含む酸化物触媒の製造において、Fe等の副生を抑制することを狙って不活性ガス雰囲気中で、酸化物触媒の酸化還元度をコントロールし、Feの価数を2価に制御する方法を見出した。当該制御によって、従来よりもFe比率が大きい組成域の酸化物触媒を創り出すことに成功し、目的生成物の収率をさらに高められることを見出した。この結果より、2価のFeであればMo12原子に対するFeの原子比が3以上でもCoMoOに固溶し、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が形成されることが明らかになった。このように酸化物触媒の酸化還元度をコントロールすれば、CoMoOへのFeの置換固溶を組成に関係なく可能とすることができ、酸化物触媒において、自由に組成比を設定してCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分の結晶を生成させることができる。すなわち、酸化物触媒の酸化力を適切にすべく、酸化物触媒中の2価の鉄化合物の生成を促進し、かつ、Mo、Bi、Fe、Co、ランタノイド元素Aの比率を適切にした上で、3価の鉄化合物の生成を抑制することで、Fe比率が大きい場合でも、CoMoOにFeが固溶した新しい状態の酸化物触媒を創り出すことが可能となる。
このCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分の結晶中のFeと前述したBi−A−Mo−O複合酸化物中のランタノイド元素Aがお互いに酸化及び還元の相手をすることで価数変化が起こり、触媒への気相酸素の取り込みと触媒中の格子酸素の伝搬が促進され、不飽和アルデヒドを高収率で得ることができる。
本実施形態に係る酸化物触媒はCoを含む。Coは、Mo、Bi、Feと同様に工業的に目的生成物を合成する上で必須元素である。本実施形態に係る酸化物触媒において、Coは、複合酸化物CoMoOを形成し、該CoMoOがBi−A−Mo−O等の活性種を高分散させるための担体としての役割と、気相から酸素を取り込み、Bi−A−Mo−O等に供給する役割を果たしていると推定される。Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素Aを含む酸化物触媒で、不飽和アルデヒドを高収率で得るには、該酸化物触媒において、CoはMoと複合化させ、複合酸化物CoMoOを形成させることが好ましい。不飽和アルデヒド製造において、CoやCoO等の単独酸化物が存在すると、副反応を生じる恐れがあるため、酸化物触媒において、CoやCoO等の単独酸化物の形成を少なくすることが好ましい。
本実施形態に係る酸化物触媒は、好ましくは、下記組成式(1)で表される組成を有する。
Mo12BiFeCo (1)
(式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Coはコバルトを示し、
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示し、
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6、3≦b≦7、2≦c≦8、0.5≦d≦6、0、0.01≦e≦2、及び0≦f<2を満たし、
gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群からより選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示す。Aが酸化物触媒に含まれることにより、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成でき、耐熱性がより向上する傾向にある。
Cはセシウム、ルビジウム及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示す。Cは酸化物触媒において、複合化されなかったMoO等の酸点を中和する役割を示すと考えられている。なお、セシウム及び/又はルビジウムを含有してもしなくても、Fe−Co−Mo−Oの結晶構造には影響を与えない。組成式(1)で表される組成において、Mo12原子に対するこれらの元素のMo12原子に対するこれら元素の原子比fは0≦f<2が好ましく、0.1≦f≦1.5がより好ましく、0.2≦f≦1.0がさらに好ましい。原子比fが上記数値範囲であることにより、活性がより高く傾向にある。
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Bは酸化物触媒において、気相からの酸素取り込みを補助する役割を示すと考えられている。原子比eは、0.01≦e≦2が好ましく、0.03≦e≦1がより好ましく、0.05≦e≦0.4がさらに好ましい。アルカリ元素の原子比eが上記数値範囲であることにより、組成式(1)で表される組成を有する酸化物触媒の触媒活性がより優れる傾向にある。また、アルカリ元素の原子比eが2以下であることにより、酸化物触媒が塩基性となりにくく、オレフィンやアルコールの酸化反応において、原料であるオレフィンやアルコールが触媒に吸着され易くなり、触媒活性がより優れる傾向にある。
(2)〔Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物の結晶構造〕
不飽和アルデヒドの収率を高める観点で上述の酸化物触媒中のCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造の形成を促すためには、酸化物触媒中の2価のFeの割合が重要である。本実施形態の酸化物触媒において、2価及び3価の鉄に対する2価の鉄の割合(原子比)、すなわちFe2+/(Fe2++Fe3+)の比は、0.3以上0.9以下であり、好ましくは0.5以上0.8以下であり、より好ましくは0.6以上0.8以下である。以下、Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比についてより詳細に説明する。
Mo、Bi、Fe及びCoを含有する酸化物について、X線回折(XRD)でX線回折角2θ=5°〜60°の範囲を測定すると、CoとMoとからなる複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)に起因するピークが26.40°に示される。このCoとMoとからなる複合酸化物に、Feが固溶して複合すると、Co2+とFe2+とのイオン半径の違いによってこのピークのシフトが起こる。Feが固溶して複合化した構造となるために、CoとMoとを含む複合酸化物(以下、「FeとCoとMoとからなる複合酸化物」ともいう。)に起因するピークは、シフト値をα°として、26.40°−α°(0<α)に現れる。
FeとCoとMoとからなる複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)に起因するピークがシフトする詳細なメカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推定している。酸化物触媒を製造する際に、酸素を含む空気雰囲気下で焼成した場合、Fe原子比bが3以下の組成の場合には、FeとCoとMoとからなる複合酸化物に、さらに3価のFeが固溶する。これによって、FeとCoとMoとからなる複合酸化物に起因するピークは、上記のとおりわずかにシフトすると推定される。このピークシフト値(α°)は0≦α<0.05の範囲となると考えられる。一方で、Mo原子12に対するFe原子比bが3よりも多い組成ではFeMo12等のFeとMoとの2成分系の酸化物が形成される傾向にある。そのため、FeとCoとMoとからなる複合酸化物への3価のFeのさらなる固溶は起こらず、上記ピークシフト値(α°)は0.05が上限になると考えられる。
一方、Feの価数が2価の場合、Mo原子12に対するFe原子比bが3よりも多い組成でもピークシフトが起こり、該ピークシフト値(α°)は0.05≦α≦0.25となる。これは、Co及びMoからなる複合酸化物に、さらに2価のFeが固溶することによって、複合化されたCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の新しい結晶構造が新たに形成されたからと考えられる。このようにCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が形成する理由としては、Feが2価になると、該Feのイオン半径が2価のCoのイオン半径に近くなるため、Coと置換固溶が可能になるからと推定される。なお、2価のCoのイオン半径は0.72Åであり、3価のFeのイオン半径が0.64Åであり、2価のFeのイオン半径は0.74Åである。
また、Mo12原子に対するFeの原子比bが3≦b≦7であることにより、Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物の結晶構造を形成しやすい傾向にある。さらに、原子比bが前記範囲内であることにより、Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物の結晶構造を形成しやすく、反応時にCO(COやCO等)の生成が抑制できる酸化物触媒が得られ、目的生成物の選択率がより高くなる傾向にある。その結果、このような酸化物触媒を用いた場合、不飽和アルデヒドの収率が向上する傾向にある。
また、本実施形態に係る酸化物触媒は、CoとMoとを含む複合酸化物を含有することが好ましく、本実施形態に係る酸化物触媒のX線回折において、少なくともCoとMoとを含む複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)が26.15°〜26.35°にピーク(最大強度)を示すことが好ましい。本実施形態に係る酸化物触媒中のCoとMoとを含む複合酸化物に起因するピーク(最大強度)が示されるX線回折角2θの範囲は、より好ましくは26.15°〜26.30°であり、さらに好ましくは26.20°〜26.30°である。ピークが上記範囲にあることにより、Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物が生じていることが示される。Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物が生じることにより、目的生成物の選択率と不飽和アルデヒドの収率とがより向上する傾向にある。
上記のように、3成分系の結晶構造Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物の複合化の指標としては、X線回折角2θ=26.40°からのピークシフトを基準することができる。また、Feの価数の2価と3価との指標としてはメスバウアースペクトルから判断することができる。XRD及びメスバウアースペクトルによるより詳細な測定方法としては、実施例に記載の方法をもちいることができる。本実施形態に係る酸化物触媒は、例えば、後述の製造方法により得ることができる。
[2]触媒〔担体〕
本実施形態の酸化物触媒は、上述の酸化物を担持するための担体を含有してもよい。担体を含むことにより、酸化物触媒を高分散化することができ、担持された酸化物触媒に、高い耐摩耗性を与えることができるという点で好ましい。
担体としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが挙げられる。一般的にシリカは、それ自身不活性であり、他の担体に比べて、目的生成物に対する選択性を減ずることなく、上述の酸化物触媒に対し良好なバインド作用を有する点で好ましい担体である。さらに、シリカ担体は担持された酸化物触媒に、より高い耐摩耗性を与えることができるという点でも好ましい。触媒の全質量に対する担体の含有量は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。
流動床反応器で用いる触媒の場合も、前述と同じ観点から、担体を含むことが好ましい。触媒中の担体の含有量の上限は、触媒の全質量に対して80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。また、担体の含有量の下限は、触媒の全質量に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。含有量が80質量%以下であることにより、Co2+−Fe2+−Mo−O結晶構造への影響を与えにくく、見掛け比重を調整でき流動性がより向上する傾向にある。また、含有量が20質量%以上であることにより、流動床反応用触媒のような強度を要する触媒として用いる場合、耐破砕性及び耐摩耗性等がより向上する傾向にある。
なお、固定床反応器でアクロレインやメタクロレインを製造する際に、打錠成型した触媒として使用する場合には、本実施形態に係る酸化物触媒は、担体を含まなくてよい。また、押し出し成型法により酸化物触媒を成型する場合には、本実施形態に係る酸化物触媒は、担体成分を含まなくてもよく、担体の代わりに、有機バインダーを用いることもできる。
[3]〔酸化物触媒の製造方法〕
本実施形態に係る酸化物触媒の製造方法は、Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素を含む原料と、酸化剤及び/又は還元剤とを混合して原料スラリーを得る混合工程と、
得られた原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
得られた乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
得られた仮焼成体を本焼成して酸化物触媒を得る本焼成工程と、
を含み、
前記仮焼成工程及び前記本焼成工程は、不活性ガス雰囲気で行い、
前記仮焼成工程において、前記仮焼成体の還元率を60%以上100%未満になるよう制御する。
上述のように、本発明者らは、Fe及びMoの単独及び/又は二成分系酸化物ではなく、CoとMoとの2成分系の複合酸化物に2価のFeが固溶化することによって3成分が複合化したCo2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物を得ることに着目し、その組成比や調製方法を総合的に検討した。
本発明者らは、驚くべきことに、本焼成後の酸化物触媒中のCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分が相溶した新たな結晶構造が形成されるようFeの価数を2価に制御し、かつ、MoとBiとランタノイド元素が複合酸化物Bi−A−Mo−Oの結晶が形成されるよう酸化還元度を制御することによって、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドの製造において、二酸化炭素の生成を抑制して、不飽和アルデヒドを高収率で生成させることのできる酸化物触媒が得られることを見出した。
単に、Fe含有量を多くしただけでは、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分の複合化は起こらないが、(a)特定の組成比率とすること、(b)特定の価数のFeを用いること、(c)特定の焼成方法を用いることの3条件を満たした新たな製造技術によって、CoとMoとの2成分系の複合酸化物に2価のFeが固溶化し、Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物を得ることができる。また、上記3条件を満たした新たな製造技術によって、Co−Mo−OやFe−Mo−O等の2成分系の複合酸化物や、FeやMoO、CoO等の単純酸化物の生成が抑制される。なお、Co2+−Fe2+−Mo−O複合酸化物が形成されていることは、CoとMoとを含む複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)が26.15°〜26.35°にピークを有することによりを確認することができる。
本実施形態に係る製造方法により製造された酸化物触媒は、Bi−A−Mo−Oの結晶中のランタノイド元素AとCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造に含まれるFeとが互いにレドックスカップルとなり、再酸化速度がより向上し、活性がより高くなり、低酸素分圧下でも反応がより進行する。このため、酸素付加化合物の副生を極力抑制することができ、不飽和アルデヒドの収率がより高い酸化物触媒となる。
本実施形態に係る酸化物触媒の製造方法は、Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素を含む酸化物触媒を構成する原料と、酸化剤及び/又は還元剤とを混合して原料スラリーを得る混合工程と、得られた原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、得られた乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、得られた仮焼成体を本焼成して酸化物触媒を得る本焼成工程とを含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)原料の調製〔混合工程〕
混合工程では、Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素を含む酸化物触媒を構成する原料と、酸化剤及び/又は還元剤とを混合して原料スラリーを得る。また、最終的に得られる酸化物触媒において、Mo12原子に対する、Biの原子比aが1.5≦a≦6、Feの原子比bが3≦b≦7、Coの原子比cが2≦b≦8、ランタノイド元素の原子比dが0.5≦a≦6となるように各原料の混合割合を調整することが好ましい。
上記酸化物触媒を構成する各金属元素の原料としては、Mo、Bi、Fe、Co、並びにセリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、及びネオジム等のランタノイド元素を含むものであれば特に限定されないが、例えば、セシウム、ルビジウム、カリウム、ニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、鉛が挙げられる。これらは、水又は硝酸に可溶なアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩等として用いることができる。酸化物として用いる場合は、酸化物が水又は有機溶媒に分散された分散液が好ましく、酸化物が水に分散された分散液がより好ましい。水に分散されている場合、酸化物の凝集を抑制し、高分散させるために高分子等の界面活性剤が含まれていてもよい。酸化物の粒子径は好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜80nmである。担体を含有する酸化物触媒を製造する場合は、原料スラリーにシリカ原料としてシリカゾルを添加することが好ましい。
Feの価数を2価に制御し、MoとBiとランタノイド元素Aを複合化させて、Bi−A−Mo−Oの結晶を形成されるように酸化還元度を制御するため、上記原料混合スラリーに酸化剤及び/又は還元剤を添加する。このなかでも、Fe以外の元素まで還元され、金属まで過還元されないように、還元剤と酸化剤と共に用いることが好ましい。
酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、硝酸、過酸化水素、過塩素酸類が挙げられる。これら酸化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
還元剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド等の水溶性ポリマー;アミノカルボン酸類、マロン酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドラジン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のアミン類;グリコール酸、りんご酸、しゅう酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。これら還元剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、混合工程において、各元素源として用いた原料に、最初から上記酸化剤及び還元剤が含まれてもよい。例えば、酸化物触媒を構成する原料を硝酸塩、塩酸塩、アンモニウム塩、有機酸塩、炭酸塩として用いることが挙げられる。このように酸化剤を含む原料を用いる場合は、原料スラリーに別途添加するのは還元剤のみで十分である。また、還元剤を含む原料を用いる場合は、原料スラリーに別途添加するのは酸化剤のみで十分である。
酸化剤の添加量は特に限定されないが、金属酸化物に対して0.5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。添加量が上記範囲であることにより、触媒の酸化及び還元度合いの均一性がより優れる傾向にある。
還元剤の添加量は、金属酸化物に対して1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。添加量が上記範囲であることにより、酸化及び還元度をより制御しやすい傾向にある。また、40質量%以下であることにより、Feが完全に2価に過還元されたり、MoがMoOや金属Moに過還元されたり、Biは金属Biに過還元されたり、ランタノイド元素が金属ランタノイドに過還元されることを抑制できる傾向にある。
原料スラリーの調製方法は通常用いられる方法であれば、特に限定されないが、例えば、Moのアンモニウム塩を温水に溶解させた溶液と、Bi、Ce、Fe、Co、及びアルカリ金属を硝酸塩として水又は硝酸水溶液に溶解させた溶液と、を混合することにより調製することができる。混合後のスラリー中の金属元素濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。金属元素濃度が上記範囲であることにより、触媒の酸化及び還元度合いの均一性がより優れる傾向にある。
上記Moのアンモニウム塩と上記その他の金属の硝酸塩とを混合すると沈殿が生じ、スラリーとなる。そこで原料スラリーに対して、ホモジナイザー処理及び熟成を適宜行ってもよい。ホモジナイザー処理及び熟成を行う目的は、固形分を粉砕し、酸化物触媒前駆体の生成を促し、より微細で均一なスラリーにすることである。Biの含有量が多い場合には、硝酸が多く分散性の低いスラリーになり易いことから、ホモジナイザー処理及び熟成を行うことが好ましい。ホモジナイザー処理を行なう場合は、固形分をより小さく粉砕させるために、ホモジナイザーの回転数は、通常5000〜30000rpmであることが好ましく、処理時間は一般的には5分〜2時間の範囲で行うことが好ましい。スラリーを熟成する場合は、目的とする複合結晶を得るために、室温より高い温度であって、スラリーの媒体が液状を保つ温度に加熱することが好ましい。熟成時間は特に限定されないが、1〜24時間が好ましい。
(2)〔乾燥工程〕
乾燥工程では、混合工程で得られた原料スラリーを乾燥して乾燥体(例えば、乾燥粒子)を得る。乾燥方法は、特に制限はされず、一般に用いられている方法によって行うことができ、例えば、蒸発乾涸法、噴霧乾燥法、減圧乾燥法等の任意の方法で行なうことができる。噴霧乾燥法としては、通常工業的に実施される遠心方式、二流体ノズル方式及び高圧ノズル方式等を採用することができる。また、乾燥熱源としては、特に限定されないが、例えば、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。この際、噴霧乾燥装置の乾燥機入口の温度は、好ましくは150〜400℃、より好ましくは180〜400℃、さらに好ましくは200〜350℃である。上記温度範囲であることにより、複合酸化物がより形成されやすい傾向にある。
(3)〔仮焼成工程〕
仮焼成工程では、乾燥工程で得られた乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る。この仮焼成は不活性ガス雰囲気で行われる。仮焼成の目的は、乾燥体中に残存している硝酸等の除去、アンモニウム塩等である原料及び硝酸塩等である原料に由来して生成する硝酸アンモニウム等、酸化剤、及び還元剤、水に分散された酸化物を原料にした場合の界面活性剤等の有機物をおだやかに燃焼させることにある。乾燥体に酸化剤及び還元剤の両方が含まれている場合には、発熱を抑えるために酸化物触媒量は極力少量で行うことが好ましく、酸化及び還元のコントロールが精度よく実施できるようにすることが好ましい。なお、窒素等の不活性ガスではなく、窒素で希釈された酸素や空気でも酸化及び還元のコントロールすることは可能である。しかし、熱処理中に酸素が含まれていると還元剤が分解するときに発熱が起きる恐れがあるだけでなく、還元するための焼成時間の正確なコントロールが困難となるため、本実施形態に係る酸化物触媒の製造方法においては、焼成は不活性ガス雰囲気で行う。本実施形態で用いる不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素が挙げられる。このなかでも、経済的な面から窒素が好ましい。
上記仮焼成、及び後述する本焼成を行なう装置としては、特に限定されないが、例えば、回転炉、トンネル炉、マッフル炉等の焼成炉が挙げられる。
仮焼成は還元率が60%以上100%未満になるよう制御する。還元率は下記式で定義される。触媒を硫酸で酸処理することにより、触媒中の還元元素を殆ど酸化することなく還元状態で溶解することができる。これを過マンガン酸カリウムで滴定し、その滴定量より触媒の還元率を求める。
還元率(%)=x/n×100
MnO +5e+8H → Mn2++4H
Mn(n−x)→ Men+ + Xe
(式中、xは電子の数を示し、nは金属の酸化数を示し、Meは金属元素を示し、Xは電子の数を示す。)
還元率測定の一例を以下に示す。ビーカーに酸化物触媒数百mgを秤量し、50%硫酸を20ml加え、180ml精製水を加え、60分間撹拌する。その後電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業)を用いて過マンガン酸カリウムにより滴定をする。触媒の酸化に消費された過マンガン酸カリウム量から還元率を算出する。
仮焼成体の還元率が60%未満であると本焼成後の触媒中のFeが3価になりやすい傾向にある。本焼成後に2価のFeを所定量有する結晶生成を促す観点から、還元率は60%以上100%未満であり、好ましくは70%以上90%未満であり、より好ましくは80%以上90%未満である。還元率が100%になるとMoOや金属Biが生成し、過還元となる傾向にある。
仮焼成体の還元率は、原料スラリーの酸化剤及び還元剤の質量比によって調節することができる。酸化剤及び還元剤の組合せとしては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素水及び酒石酸の組合せ、過酸化水素水及びしゅう酸の組合せ、過酸化水素水及びポリカルボン酸アンモニウムの組合せ、硝酸及びヒドラジンの組合せ、硝酸及びエチレンジアミンの組合せ、並びに硝酸及びエチレンジアミン四酢酸の組合せが挙げられる。
仮焼成の温度は、好ましくは120〜350℃であり、より好ましくは150℃〜350℃であり、さらに好ましくは200℃〜350℃である。このような温度とすることにより、乾燥体中に残存している硝酸等の除去、アンモニウム塩等である原料及び硝酸塩等である原料に由来して生成する硝酸アンモニウム等、酸化剤、及び還元剤、水に分散された酸化物を原料にした場合の界面活性剤等の有機物をよりおだやかに燃焼させることができる傾向にある。
仮焼成の時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは1〜12時間、さらに好ましくは3〜10時間である。150℃以下の低温の場合、長時間の仮焼成を行うこが好ましく、330℃以上の高温の場合、2時間以下の短時間の仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成の温度及び/又は時間が上記範囲内であることにより、仮焼成の段階でCoとMoとの2成分系酸化物の成長より抑制される傾向にあり、後述の本焼成においてCo2+−Fe2+−Mo−Oの結晶構造がより生成しやすくなる傾向にある。
仮焼成の際、昇温速度は急激な燃焼反応を抑える観点からも遅い方が好ましい。本実施形態の製造方法において、得られる酸化物触媒は、多成分系である。それ故、原料を、例えば金属硝酸塩とした場合、各金属硝酸塩の分解温度が異なり、昇温中に硝酸が動くため、焼成後の酸化物組成が不均質になりやすい。また、還元剤が多い場合、急激な発熱が起こる場合がある。このため、酸化物触媒の製造において、より均質に複合化された構造を形成させるためには、ゆっくりと昇温し、硝酸や有機物等の燃焼や分解成分を除去し、Feを3価から2価に還元することが好ましい。上記観点より、昇温速度は、好ましくは0.01℃/min〜100℃/minであり、より好ましくは0.01℃/min〜75℃/minであり、さらに好ましくは0.01℃/min〜50℃/minである。なお、「硝酸が動く」とは、硝酸塩を熱処理していくと分解し、硝酸が脱離し、仮焼成体を移動することをいう。この硝酸の移動によって触媒に含まれる元素が溶けて、元素も触媒粒子中を移動しうる。昇温速度が上記範囲であることにより、硝酸及び元素の移動が抑制され、焼成後の組成が均質になる傾向にある。
〔本焼成工程〕
工程では、得られた仮焼成体を本焼成して酸化物触媒を得る。本焼成の目的は、所望の結晶構造を形成し易くすることにある。本発明者らの知見によると、結晶構造は焼成温度と焼成時間との積の影響を受けるため、焼成温度と焼成時間とを適切に設定することが好ましい。本焼成の温度は、Co2+−Fe2+−Mo−Oの結晶を生成させる観点で仮焼成の温度より高くすることが好ましい。このような本焼成の焼成温度は、Co2+−Fe2+−Mo−Oの結晶構造の生成し易さの観点で、400〜700℃が好ましく、より好ましくは400℃〜650℃、さらに好ましくは450℃〜600℃である。このような温度で焼成を行う場合、焼成温度と焼成時間との積を適切にすることでCo2+−Fe2+−Mo−Oの結晶生成を促すことができる。この観点から、本焼成の時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは2〜12時間、さらに好ましくは3〜10時間である。より具体的には、結晶構造の生成のために焼成温度及び焼成時間を適切にする観点から、400℃以下の低温の場合には、例えば24〜72時間程度の長時間の本焼成を行うことが好ましく、600℃以上の高温の場合には、得られる酸化物触媒の表面積が小さくなりすぎて触媒活性が下がってしまうのを防ぐ観点から、1時間以下の短時間の本焼成を行うことが好ましい。
以上の工程を全て行うことで、複合化されたCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が形成され易くなる。
本焼成工程において、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が生成したか否かは、本焼成の後に得られる酸化物のX線構造解析を行うことによって確認できる。本焼成の後で酸化物触媒のX線構造解析を行うと、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が生成していれば、上述したとおり、26.40°−α°にピークが観察される。CoとMoとからなる酸化物の結晶が生成する場合は26.40°にピークが現れるが、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の場合は、このピークがシフトするので、このシフトを指標として3成分系結晶の生成を確認することができる。
具体的には、このシフト(α°)の大きさを調べ、26.40°にピークを示すCoとMoとからなる複合酸化物のX線回折角を調べる。本実施形態においては、CoとMoとを含む複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)が26.15°〜26.35°にピークを示していれば、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の結晶構造が生成したと判断する。なお、Feの価数はメスバウアースペクトルから算出する。
[4]〔不飽和アルデヒドの製造方法〕
本実施形態に係る不飽和アルデヒドの製造方法は、上記酸化物触媒を用いて、プロピレン、及びイソブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィン及び/又はイソブタノール、及びt−ブチルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールを酸化反応させる工程を含む。これにより製造される不飽和アルデヒドとしては、特に限定されないが、例えば、メタクロレイン、アクロレインが挙げられる。
上記メタクロレイン又はアクロレインは、例えば、本実施形態の酸化物触媒を用いて、イソブチレン、プロピレン、イソブタノール及びt−ブチルアルコールの気相接触酸化反応を行うことにより得ることができる。気相接触酸化反応は、例えば、上述の触媒存在下に、1〜10容量%の、イソブチレン、プロピレン、イソブタノール及びt−ブチルアルコール対して、分子状酸素濃度が1〜20容量%になるように、分子状酸素含有ガスと希釈ガスとを添加した混合ガスからなる原料ガスを、固定床反応器内の触媒層に250〜450℃の温度範囲及び常圧〜5気圧の圧力下、空間速度400〜4000/hr[Normal temperature pressure (NTP)条件下]で導入することで行うことができる。酸素と、イソブチレン、プロピレン、イソブタノール及びt−ブチルアルコールのモル比は、不飽和アルデヒドの収率を向上させるために反応器の出口酸素濃度を制御する観点から、好ましくは1.0〜2.0であり、より好ましくは1.1〜1.8であり、さらに好ましくは1.2〜1.8である。
分子状酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、例えば、純酸素ガス、及びNO、空気等の酸素を含むガスが挙げられ、工業的観点から空気が好ましい。希釈ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、二酸化炭素、水蒸気及びこれらの混合ガスが挙げられる。混合ガスにおける、分子状酸素含有ガスと希釈ガスとの混合比に関しては、体積比で下記不等式の条件を満足することが好ましい。さらに、原料ガスにおける分子状酸素の濃度は1〜20容量%であることが好ましい。
0.01<分子状酸素含有ガス/(分子状酸素含有ガス+希釈ガス)<0.3
原料ガス中の水蒸気は、酸化物触媒へのコーキングを防ぐ点では含まれていてもよいが、一方で、メタクリル酸や酢酸、アクリル酸等のカルボン酸の副生を抑制するために、できるだけ希釈ガス中の水蒸気濃度を下げることが好ましい。このような観点から、原料ガス中の水蒸気は、通常0〜30容量%の範囲で使用されることが好ましく、2〜20容量%の範囲で使用されることがより好ましく、3〜10容量%の範囲で使用されることがさらに好ましい。
以下に実施例を示して、本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
<粉末X線回折(XRD)の測定>
XRDの測定は、National Institute of Standards & Technologyが標準参照物質660として定めるところのLaB化合物の(111)面、(200)面を測定し、それぞれの測定値を順に37.441°、43.506°となるように規準化した。
XRDの測定装置としては、ブルカー・D8 ADVANCEを用いた。XRDの測定条件は、X線出力:40kV−40mA、発散スリット(DS):0.3°、Step幅:0.01°/step、計数Time:2.0sec、測定範囲:2θ=5°〜45°とした。
<鉄の価数の測定>
鉄の価数に関する情報はメスバウアー分光法(透過法)から得た。測定条件を下記に示す。
鉄の価数の測定条件
(1)測定試料の調製:試料約55〜60mgをそのままの状態で測定した。
(2)装置の構成と仕様:図6に鉄の価数の測定装置の構成及び仕様を示す。
(3)観測に用いた遷移:57Feの基底状態−最低励起状態間の遷移
(エネルギー:14.4[keV])
(4)測定方法:等加速度モード、室温、常圧下
(5)記憶装置:カード型マルチチャネルアナライザ
MCSモード512チャネル
(6)線源:57Co/Rhマトリクス、1.85[GBq]
(7)速度軸検量の方法:純鉄は室温でのスペクトルの6本の磁気分裂ピークのうち、内側4本のピーク中心位置をx、x、x、x[channel]として次式で求めた。
x0[channel]=(x+x+x+x)/4
r[mm/s/(channel)]=20.422/{3.0835(x−x)+0.8385(x−x)}
<還元率の測定方法>
還元率は下記式を用いて測定した。ビーカーに酸化物触媒を秤量し、50%硫酸を20ml加え、180ml精製水を加え、60分間撹拌した。その後電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業)を用いて過マンガン酸カリウムにより滴定をした。酸化物触媒の酸化により消費された過マンガン酸カリウム量から還元率を算出した。
還元率(%)=x/n×100
MnO +5e+8H → Mn2++4H
Mn(n−x)→ Men+ + Xe
(式中、xは電子の数を示し、nは金属の酸化数を示し、Meは金属元素を示し、Xは電子の数を示す。)
実施例及び比較例において、反応成績を表すために用いた転化率、選択率、収率は次式で定義される。
転化率=(反応した原料のモル数/供給した原料のモル数)×100
選択率=(生成した化合物のモル数/反応した原料のモル数)×100
収率=(生成した化合物のモル数/供給した原料のモル数)×100
[実施例1]
イオン交換水81.5gと、酸化剤として濃度30質量%の過酸化水素水120.5gとの混合液に、三酸化モリブデン50.5gを入れ、約70℃で攪拌混合し、溶解させて溶液(A液)を得た。また、10質量%の平均粒子径51nmの酸化ビスマス水分散液266.5g、10質量%の平均粒子径40nmの酸化ランタン水分散液71.5g、硝酸コバルト25.8g、15質量%の平均粒子径39nmの酸化鉄水分散液59.0g、及び10質量%の水酸化セシウム液3.51gを混合した液に、還元剤として酒石酸を8.57g添加して溶液(B液)を得た。
A液及びB液の両液を混合して得られた原料スラリーを室温で2h撹拌した後、噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約130℃で噴霧乾燥し、乾燥体を得た。この乾燥体を窒素ガス雰囲気中で室温から1.16℃/minの昇温速度で210℃まで昇温し、1h保持し、その後0.5℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、3h保持することで仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で520℃まで昇温し、3時間保持することで本焼成し、実施例1の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例1の酸化物触媒4.3gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でイソブチレン8容量%、酸素12.8容量%、水蒸気3.0容量%及び窒素76.2容量%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例2]
イオン交換水80.8gと、酸化剤として濃度30質量%の過酸化水素水119.5gとの混合液に、三酸化モリブデン50.1gを入れ、約70℃で攪拌混合し、溶解させて溶液(A液)を得た。また、10質量%の平均粒子径51nmの酸化ビスマス水分散液264.3g、10質量%の平均粒子径20nmの酸化セリウム水分散液74.9g、硝酸コバルト25.6g、15質量%の平均粒子径39nmの酸化鉄水分散液58.5g、10質量%の平均粒子径20nmの酸化錫水分散液8.7g、及び10質量%の水酸化セシウム液3.48gを混合した液に、還元剤として酒石酸を8.57g添加して溶液(B液)を得た。
上記のようにして調製したA液及びB液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で530℃まで昇温し、3時間保持することで本焼成し、実施例2の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例2の酸化物触媒4.5gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例3]
イオン交換水89.5gと、酸化剤として濃度30質量%の過酸化水素水132.4gとの混合液に、三酸化モリブデン55.5gを入れ、約70℃で攪拌混合し、溶解させて溶液(A液)を得た。また、10質量%の平均粒子径51nmの酸化ビスマス水分散液165.1g、硝酸プラセオジム14.7g、硝酸コバルト51.0g、15質量%の平均粒子径39nmの酸化鉄水分散液51.1g、10質量%の水酸化セシウム液3.85g、及び10質量%の水酸化カリウム液1.81gを混合した液に、還元剤として酒石酸を17.5g添加して溶液(B液)を得た。
上記のようにして調製したA液及びB液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で530℃まで昇温し、4時間保持することで本焼成し、実施例3の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例3の酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例4]
酒石酸の使用量を11.6gに変更したこと以外は実施例3と同様の操作を行い、実施例4の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例4の酸化物触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例5]
イオン交換水87.0gと、酸化剤として濃度30質量%の過酸化水素水128.7gとの混合液に、三酸化モリブデン53.9gを入れ、約70℃で攪拌混合し、溶解させて溶液(A液)を得た。また、10質量%の平均粒子径51nmの酸化ビスマス水分散液248.0g、10質量%の平均粒子径40nmの酸化ランタン水分散液45.8g、硝酸コバルト31.2g、15質量%の平均粒子径39nmの酸化鉄水分散液56.3g、及び10質量%の水酸化セシウム液3.74gを混合した液に、還元剤として酒石酸を8.73g添加して溶液(B液)を得た。
上記のようにして調製したA液及びB液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で520℃まで昇温し、3時間保持することで本焼成し、実施例5の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例5の酸化物触媒5.4gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例6]
約90℃の温水200.9gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.0gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス52.0g、硝酸ユーロピウム12.5g、硝酸鉄43.2g、硝酸ルビジウム1.38g、硝酸ニッケル9.3g、硝酸マグネシウム5.6g、及び硝酸コバルト15.7gを18質量%の硝酸水溶液19.3gに溶解させ、約90℃の温水178.9gを混合した液に還元剤としてエチレンジアミン四酢酸を21.5g添加して溶液(B液)を得た。
上記のようにして調製したA液及びB液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で540℃まで昇温し、5時間保持することで本焼成し、実施例6の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例6の酸化物触媒5.5gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[比較例1]
還元剤である酒石酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例1の酸化物触媒5.8gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[比較例2]
酸化剤である過酸化水素水を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例2の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例2の酸化物触媒5.5gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[比較例3]
仮焼成と本焼成を空気雰囲気下で実施したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例3の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例3の酸化物触媒5.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[比較例4]
約90℃の温水218.0gに、ヘプタモリブデン酸アンモニウム72.7g、酸化アンチモン3.9g、パラタングステンアンモニウム3.4g、硝酸セシウム3.30g、酸化ビスマス10.0g、を溶解させた(A液)。また硝酸鉛4.6g、硝酸鉄30.3g、硝酸ニッケル11.0g、リン酸0.67g、及び硝酸コバルト66.1gを18質量%の硝酸水溶液38.4gに溶解させ、約90℃の温水126.2gを添加した(B液)。
A液とB液の両液を混合し、95℃にて3時間程度撹拌混合して原料スラリーを得た。この原料スラリーを、噴霧乾燥器に送り、入り口温度220℃、出口温度約170℃で噴霧乾燥し、乾燥体を得た。この乾燥体を0.43℃/minの昇温速度で260℃まで昇温し、4h保持し、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で500℃で6時間本焼成し、比較例4の酸化物触媒を得た。得本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例4の酸化物触媒5.9gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[比較例5]
酒石酸の使用量を5.4gに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例5の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例5の酸化物触媒4.8gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
[実施例7]
イオン交換水81.7gと、酸化剤として濃度30質量%の過酸化水素水120.8gとの混合液に、三酸化モリブデン50.6gを入れ、約70℃で攪拌混合し、溶解させて溶液(A液)を得た。また、10質量%の平均粒子径51nmの酸化ビスマス水分散液267.1g、10質量%の平均粒子径40nmの酸化ランタン水分散液71.6g、硝酸コバルト25.8g、15質量%の平均粒子径39nmの酸化鉄水分散液59.1g、及び10質量%の水酸化セシウム液1.32gを混合した液に、還元剤として酒石酸を8.57g添加して溶液(B液)を得た。
上記のようにして調製したA液及びB液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、仮焼成体を得た。この仮焼成体の還元率を表3に示す。得られた仮焼成体を窒素ガス雰囲気中で3.67℃/minの昇温速度で520℃まで昇温し、3時間保持することで本焼成し、実施例7の酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成を表2に示し、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、実施例7の酸化物触媒4.7gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でプロピレン8容量%、酸素12.8容量%、水蒸気3.0容量%及び窒素容量76.2%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、アクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表5に示す。
[比較例6]
仮焼成と本焼成を空気雰囲気下で実施したこと以外は実施例7と同様の操作を行い、比較例6の酸化物触媒を得た。仮焼成体の還元率、本焼成体のFe2+/(Fe2++Fe3+)の値及び粉末X線回折の測定結果を表3に示す。
触媒の反応評価として、比較例6の酸化物触媒5.8gを反応管に充填し、実施例7と同じ条件で、アクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表5に示す。
<実施例1、比較例1並びに比較例2で得られた酸化物触媒のX線回折ピーク>
実施例1、比較例1、及び比較例2で得られた酸化物触媒のX線回折ピークを図1に示す。また、図1におけるX線回折ピークの2θ=25〜27°の範囲の拡大図を図2に示す。図1及び図2から、実施例1で得られた酸化物のX線回折において、コバルトとモリブデンとの複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)は、26.26°にピークを示すことがわかった。実施例1におけるコバルトとモリブデンとの複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)は、26.40°から26.26°にシフトしている。すなわち、実施例1で得られた酸化物触媒において、Co及びMoからなる複合酸化物に、さらに2価のFeが固溶することによって、複合化されたCo2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の新しい結晶構造が新たに形成されたと考えられる。
一方、比較例1で得られた酸化物触媒のX線回折において、CoとMoとからなる複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)は、共に26.40°にピークを示すことがわかった。すなわち、比較例1で得られた酸化物触媒において、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の新しい結晶構造は形成されなかったと考えられる。
一方、比較例1で得られた酸化物触媒のX線回折において、CoとMoとからなる複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)は、共に26.40°にピークを示し、3価の鉄化合物であるFeMo12のピークが形成されていることが分かった。すなわち、比較例1で得られた酸化物触媒において、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の新しい結晶構造は形成されず、鉄は還元されなかったと考えられる。
一方、比較例2で得られた酸化物触媒のX線回折において、CoとMoとからなる複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)は、26.14°にピークを示し、MoOや金属Biが生成したことから過還元されたことがわかった。すなわち、比較例1で得られた酸化物触媒において、Co2+−Fe2+−Mo−Oの3成分系の新しい結晶構造は形成されなかったと考えられる。
<実施例1、比較例1並びに比較例2で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトル>
実施例1で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを図3に示し、比較例1で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを図4に示し、比較例2で得られた酸化物触媒のメスバウアースペクトルを図5に示す。なお、図中、δは異性体シフト、Δは四極分裂、Hは内部磁場を示す。
図3から、実施例1で得られた酸化物触媒は、2価の鉄の割合が75%であり、3価の鉄の割合が25%であり、Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比は0.75であることが分かった。
図4から、比較例1で得られた酸化物触媒は、2価の鉄の割合が0%であり、3価の鉄の割合が100%であり、Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比は0であることが分かった。
図5から、比較例2で得られた酸化物触媒は、2価の鉄の割合が93%であり、3価の鉄の割合が7%であり、Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比は0.93であることが分かった。
本発明の酸化物触媒はオレフィン又はアルコールの気相接触酸化反応による不飽和アルデヒドの製造において産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含有し、
    Fe2+/(Fe2++Fe3+)の比が0.3以上0.9以下である、
    酸化物触媒。
  2. 前記ビスマスの原子比aが、1.5≦a≦6であり、前記鉄の原子比bが、3≦b≦7であり、前記コバルトの原子比cが、2≦c≦8であり、 前記ランタノイド元素の原子比dが、0.5≦d≦6である、請求項1に記載の酸化物触媒。
  3. 下記組成式(1)で表される組成を有する、請求項1又は2に記載の酸化物触媒。
    Mo12BiFeCo (1)
    (式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Coはコバルトを示し、
    Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示し、
    Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
    Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
    a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6、3≦b≦7、2≦c≦8、0.5≦d≦6、0.01≦e≦2、及び0≦f<2を満たし、
    gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
  4. 前記コバルトと前記モリブデンとを含む複合酸化物を含有し、
    X線回折において、前記コバルトと前記モリブデンとを含む複合酸化物の(002)面のX線回折角(2θ)が26.15°〜26.35°にピーク(最大強度)を示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物触媒。
  5. モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む原料と、酸化剤及び/又は還元剤と、を混合して原料スラリーを得る混合工程と、
    前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
    前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
    前記仮焼成体を本焼成して酸化物触媒を得る本焼成工程と、
    を含み、
    前記仮焼成工程及び前記本焼成工程は、不活性ガス雰囲気で行い、
    前記仮焼成工程において、前記仮焼成体の還元率を60%以上100%未満になるよう制御する、酸化物触媒の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、プロピレン、及びイソブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィン及び/又はイソブタノール、及びt−ブチルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールを酸化反応させる工程を含む、不飽和アルデヒドの製造方法。
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