JP2014159401A - 炭化水素含有供給流の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合反応か回収された未反応のオレフィンモノマー、コモノマー及び炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流の蒸留分離の最適化した方法の提供。
【解決手段】(1)供給流を蒸留塔へ送り、(2)供給流を蒸留条件下に置き且つ(a)実質的にオレフィンを含まない(オレフィンフリーな)炭化水素希釈剤から成る塔底流を除去し、(b)炭化水素希釈剤から成る側流を除去し、(c)オレフィンモノマー、炭化水素希釈剤およびH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分から成る塔頂蒸気流を除去する、段階を含む分離方法において、少なくとも上記側流に上記塔底流の一部を供給する階段をさらに含むことを特徴とする方法と、この方法を実行するための蒸留塔から成る蒸留系。
【選択図】なし

Description

本発明はプロセスコントロールに関するものである。
本発明の第1の観点から、本発明は蒸留装置の運転方法を改善する方法、特に、炭化水素を含む供給流(フィート流)を分離する方法にある。本発明は特に、重合プロセスで得られる炭化水素−含有供給流を最適分離して、炭化水素希釈剤、モノマーおよびコモノマーを回収し、重合プロセスで再利用できるようにする方法に関するものである。
他の観点から本発明は上記方法を実行するための蒸留系にある。
典型的な重合反応では、モノマー、希釈剤、触媒、助触媒および任意成分のコモノマーおよび水素が反応装置に供給されてモノマーが重合される。希釈剤は反応しないが、一般に固形物濃度を制御し、触媒を反応装置中へ導入する便利な機構として利用されている。この重合プロセスの後に生じる重合廃液は液体中にポリマー固体を含むスラリーから成り、このスラリーは希釈剤を含み、未反応モノマーと未反応コモノマーとが溶けている。一般にこの液体には痕跡量の重質要素、例えばオリゴマーと、H2、N2、O2、COおよび/またはCO2を含む軽質成分とが含まれる。触媒は一般にポリマー中に含まれる。
ポリマーはこの液体からフラッシュ蒸発等の方法によって分離される。その後に蒸発した蒸気を処理して未反応モノマー、未反応コモノマーおよび希釈剤を回収することが強く望まれている。すなわち、モノマー、コモノマーおよび希釈剤を含む上記分離成分を重合プロセスで再利用することは経済的に重要である。
重合プロセスの廃液からの未反応モノマー、未反応コモノマーおよび希釈剤から成る蒸気流を蒸留系で分離し、各成分をさらに分離処理することは公知である。例えば、特許文献1(米国特許第4,589,957号明細書)には単独重合プロセスおよび/または共重合プロセスからモノマー、コモノマーおよび希釈剤から成る炭化水素−含有蒸気流の廃液を分離する方法が記載されている。この特許の方法では上記蒸気流をコモノマー蓄積帯域を備えた二段蒸留しコモノマー蓄積帯域からの凝縮液を第2蒸留装置へ供給し、第1蒸留装置へ還流する。この方法では重合プロセスの廃液から分離された成分を再利用するために、上記蒸気流の分離をモノマー、コモノマーおよび希釈剤の高純度流として別々に回収することが重要である。さらに、上記蒸気流からの軽質成分を実質的に除去することが特に必要である。すなわち、軽質成分を重合プロセスへ再循環すると重合効率が大幅に低下し、重合条件が最適状態から外れる。
しかし、多くの蒸留系で遭遇する主たる問題は蒸留系で使用する蒸留塔の安定性の問題
である。この蒸留塔の蒸留条件は温度値および圧力値で大きく変動し、その結果、運転条件が大きく変動し、従って蒸気流中の各成分の分離が最適状態から外れる。
蒸留系に関する他の問題は希釈剤からH2、N2、O2、COおよび/またはCO2を含む軽質成分の分離が最適状態にならない点にある。その結果、重合プロセスでこれらの成分を含んだ希釈剤を使用すると重合条件が最適状態にならなくなる。
重合系からの蒸気流を分離する蒸留系に関するさらに他の問題は分離法を実行するのに必要なエネルギー量が多量に必要な点にある。
上記の問題のため、炭化水素蒸気流、例えば重合プロセスからの炭化水素を含む排出蒸気流を分離するためのより正確なシステムを提供するという技術のニーズが残っていることは明らかである。
米国特許第4,589,957号明細書
本発明の目的は、炭化水素−含有供給流の分離を最適化する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、蒸留系の運転法を改善する方法、特に、蒸留系の安定性を改善する方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、軽質成分の炭化水素供給流中に含まれる他の成分から最大限に分離する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、蒸留系のエネルギー使用量を減らす方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、重合反応で再利用可能な量よりも多量のオレフィンを含まない(olefin-free、オレフィンフリーな)炭化水素希釈剤を再循環する方法を提供することにある。
本発明は炭化水素含有供給(フィード)流の分離方法に関するものである。本発明の主たる対象は、単独重合プロセスおよび/または共重合プロセスから分離された蒸気の炭化水素を含む流れの分離を改善する方法にある。
本発明の第1の観点から、本発明は下記(1)と(2):
(1)供給流を蒸留塔へ送り、
(2)供給流を蒸留条件下に置き且つ
(a)実質的にオレフィンを含まない(オレフィンフリーな)炭化水素希釈剤から成る塔底流を除去し、
(b)炭化水素希釈剤から成る側流を除去し、
(c)オレフィンモノマー、炭化水素希釈剤およびH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分から成る塔頂蒸気流を除去する、
階段を含む、オレフィンモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流の分離方法において、
少なくとも上記側流に上記塔底流の一部を供給する階段をさらに含むことを特徴とする方法を提供する。
蒸留塔の蒸留条件は大きく変動し、その結果、その運転条件が変動し、排出流の分離が部分的になるということは当該技術分野で分かっている。そのため軽質成分(例えばホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよび/またはCO2)は炭化水素希釈剤の側流および塔底流から分離が不充分になる。
本発明は、軽質成分から成る排出蒸気流の流速を増加させることによって従来法の上記問題の少なくともいくつかを克服する。それのために、本発明方法では、蒸留塔から除去した実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る塔底流の量を増加させる。
本発明の3つの蒸留塔を有する蒸留系の実施例の概念図。 図1に示した蒸留系の蒸留塔の実施例のより詳細な図。 図2に示した蒸留塔の運転を制御するための制御手段の概念図。 本発明の1つの蒸留塔から成る蒸留系の他の実施例の概念図。 従来の蒸留系で測定した凝縮物タンク中の蒸気流の流速、圧力等の蒸留パラメータをプロットしたグラフ。 本発明の蒸留系で測定した凝縮物タンク中の蒸気流の流速、圧力等の蒸留パラメータをプロットしたグラフ。
本発明の一つの実施例では、本発明方法は下記の(1)〜(4)の工程を有する:
(1)蒸留塔から塔底流を除去し、この塔底流を塔底流用貯蔵タンクに保存し、
(2)蒸留塔から側流を除去し、この側流を側流用貯蔵タンクに保存し、
(3)塔底流用貯蔵タンクから塔底流を除去し、
(4)塔底流用貯蔵タンクから除去した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンクへ供給する。
本発明の他の実施例では、本発明は塔底流用貯蔵タンクから除去した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンクへ供給する階段が、下記の工程で制御される方法を提供する:
(1)塔底流用貯蔵タンクの塔底流のレベルを測定し、
(2)測定したレベルを所定レベルと比較し、
(3)測定レベルが上記の所定レベルを上回った時には塔底流用貯蔵タンクから除去した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンクへ供給する。
本発明の他の実施例では、蒸留塔へ導入する前に供給流を凝縮して、得られた凝縮物を凝縮物タンクに保存する。
本発明の他の実施例では、上記凝縮物を凝縮物タンクから除去し、その少なくとも一部を還流流れとして蒸留塔へ返す。
本発明はさらに、蒸留塔から除去した塔底流の流速を下記の工程で制御する方法を提供する:
(1)B’を塔底流の流速、F’を供給流の供給速度とした場合、B’/F’に等しいレシオ設定点(R’)を決定し、
(2)蒸留塔に導入した供給流の実際の流速(F)を測定し、
(3)実際の供給流の流速(F)に上記のレシオ設定点(R’)を掛けて塔底流れの理論流速(B*)を計算し
(4)蒸留塔から除去した塔底流の実際の流速(B)を測定し、
(5)蒸留塔に対する凝縮物タンクからの還流流れ(15)の流速を制御して、実際の塔底流の流速(B)を理論塔底流の流速(B*)に合わせる。
本発明の他の実施例ではレシオ設定点(R’)は、理論的な値である。本発明の他の実施例ではレシオ設定点をリアルタイムで制御して蒸気流の所望流速を得る。このレシオ設定点は1.0以下であるのが好ましい。
本発明の他の実施例では、蒸留塔で得られた塔底流の一部を制御された蒸気流速下でリボイルする階段と、リボイルしたもの一部を蒸留塔へ戻す階段とを有する。蒸気の流速は蒸留塔の温度の関数、好ましくは蒸留塔の下半分より以下の位置にあるトレイ上の温度で制御するのが好ましい。
本発明の他の実施例では、蒸留塔の塔底タンクのレベルを制御する階段を有する。本発明の他の実施例では、凝縮物タンクから蒸留塔に至る還流流れの流速を制御する階段を有する。
本発明方法による塔底流の少なくとも一部を側流へ送るまたは加える階段は種々の効果を有する。
本発明方法および本明細書に記載の種種の改良によって炭化水素含有供給流を種々の純度のモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤の流として分離し、個別に回収し、重合プロセスで再利用することができる。それに加えて、本発明方法では蒸留塔を非常に安定して運転することができる。
さらに、全ての状況において軽質成分の流速を増加させて、軽質成分、例えばホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2を確実に除去することができる。
蒸留塔に導入される供給流に対する蒸留塔から除去される塔底流の割合(レシオ)を合わせることによって塔底流の流速を下流の変動から独立させることができる。塔底流の流速に対して影響するのは供給流の流速の変動だけである。適切なレシオ値を選択することによって全ての状況において実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤を製造でき、軽質成分を伴出するのに適切なオーバーヘッド流の流速を得ることができる。
本発明の好ましい実施例では、蒸留塔に導入される供給流に対する蒸留塔から除去される塔底流のレシオを1.0以下、例えば0.3〜1.0または0.4〜0.95の間にする。
本発明方法では、以下で詳細に述べる蒸留塔への各種の技術的改良を導入することによって上記レシオを合わせることができる。
本発明方法でさらに、重合反応で再利用するのに必要な量異常の量の塔底流製品を除去することもできる。特に、本発明方法で分離した炭化水素希釈剤は重合プロセスで再利用できる。
蒸留帯域から出た側流からの炭化水素希釈剤は単独重合または共重合の重合反応装置で希釈剤として使用される(重合されるモノマーに依存)。特に、ビモダル(双峰)運転下での第2重合反応装置またはモノモダル(単峰)運転下での第1および第2反応装置の重合での希釈剤としての用途に適している。
蒸留帯域から出た塔底側流からの炭化水素希釈剤は触媒希釈等で純粋な希釈剤が要求される任意の場所に、単独重合または共重合の重合帯域へ再循環できる。
ある種の例、特にモノモダルモードでは、オレフィンフリーな炭化水素希釈剤が重合反応に実際に使用される量より過剰に生産される。しかし、本発明方法では、再利用に必要とされる量より多くのオレフィンフリーな炭化水素希釈剤が分離された場合でも、下流でのニーズとは無関係に等底流の過剰量を確実に分離することができ、従って、再循環ように必要な量より過剰な量の塔底流を側流に供給することで蒸留系の安定度が保証される。
本発明の技術分野の従来技術を考慮すると、本発明方法は全くユニークであり、特に、精製済みの製品、すなわちオレフィンフリーな炭化水素希釈剤を「低品質」「低純度」の製品中すなわち炭化水素と残留量のオレフィンモノマーとから成る側流へ添加するという点で、通常の方法ではない。
本発明の他の実施例では、本発明方法は下記の工程(a)と(b)をさらに有する:
(a) 供給流を蒸留塔に供給する前に供給流を(a1)コモノマーから成る塔底流と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分とから成るオーバーヘッド流とに分離し、
(b)オーバーヘッド流を蒸留塔へ供給する。
階段(a)の分離は他の蒸留塔で実行できる。その場合、本発明方法は2つの蒸留塔を使用する。
本発明の他の実施例では、本発明方法は下記の工程(a)と(b)をさらに有する:
(a) 蒸留塔に供給流を供給する前に供給流を(a1)コモノマーと炭化水素希釈剤とから成る塔底流と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、オレフィンモノマーと、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分とから成るオーバーヘッドとに分離し、塔底流はさらにコモノマーから成る流れと炭化水素希釈剤から成る流れに分離し、
(b) 上記のオーバーヘッド流を蒸留塔へ供給する。
階段(a)で得られる塔底流はさらにコモノマーから成る流れと炭化水素希釈剤から成る流れに分離するのが好ましい。
階段(a)の分離は2つの他の蒸留塔で実行できる。この場合、塔底流およびオーバーヘッド流の分離を一つのカラムで行ない、他のカラムでは塔底流の分離を行なう。この場合、本発明方法は3つの蒸留塔を使用する。
本発明の別の態様は蒸留塔を有する蒸留系にある。この蒸留塔はオレフィンモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流を下記の(1)〜(3):
(1)実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る塔底流、
(2)炭化水素希釈剤から成る側流、
(3)オレフィンモノマー、希釈剤およびH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の成分から成るオーバーヘッド蒸気流、
に分離するための蒸留塔を有する蒸留系であって、
さらに下記(4)〜(7):
(4)蒸留塔に供給流を供給するための供給ライン、
(5)蒸留塔から塔底流を除去するための除去デバイス、この除去デバイスには除去された塔底流を保存するための塔底流用貯蔵タンクが操作可能な状態で接続しており、この塔底流用貯蔵タンクには塔底流用貯蔵タンクから塔底流を除去するための除去ラインが操作可能な状態で接続しており、
(6)蒸留塔から側流を除去するための除去デバイス、この除去デバイスには除去された側流を保存するための側流用貯蔵タンクが操作可能な状態で接続しており、この側流用貯蔵タンクには側流用貯蔵タンクから側流を除去するための除去ラインが操作可能な状態で接続しており、
(7)蒸留塔からオーバーヘッド蒸気流を除去するための除去デバイス:
とを有する。
この蒸留系は除去ラインが側流用貯蔵タンクとを接続する接続ラインを有する点を特徴とする。この接続ラインは除去ラインに接続され且つ側流用貯蔵タンクに接続され、必要に応じて除去ラインを側流用貯蔵タンクに接続する。
本発明の一つの実施例では、上記蒸留系は蒸留塔へ導入する前に供給流を凝縮するための凝縮器と、凝縮された供給流を保存するための凝縮物タンク(14)とを有する。
本発明の他の実施例では、上記蒸留系が塔底流用貯蔵タンクの塔底流のレベルを測定して、塔底流の少なくとも一部の側流への供給を盛儀するためのレベル制御装置と、このレベル制御装置に操作可能な状態で接続した、上記ライン上に設けた弁とを有する。
本発明はさらに、本発明方法を実行するのに適した蒸留塔から成る蒸留系にも関するものである。
本発明の上記以外の目的、観点および効果は本明細書、図面および特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
本発明は蒸気状の炭化水素流の分離方法にある。本発明の好ましい実施例ではこの蒸気状の炭化水素流は重合プロセス、特にエチレン重合プロセスからの排出物にすることができる。
「エチレン重合」にはエチレンの単独重合、エチレンと、ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたは1−デセン等の1−オレフィンコモノマーとの共重合が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の好ましい実施例はエチレンモノマーと、炭化水素希釈剤としてのイソブタンと、触媒と、1−ヘキセンコモノマーと、水素とを含む反応物を用いたエチレン重合反応の廃棄物からの蒸気流を分離する方法にある。しかし、供給蒸気が蒸留によって分離可能な炭化水素から成る限り、本発明の分離方法は他のモノマー、コモノマーおよび希釈剤系を含む他の任意の重合反応の廃棄物からの蒸気流の分離にも適用できるということは理解できよう。
より詳細には、本発明はポリエチレン、好ましくはモノモダル(単峰)またはビモダル(双峰)のポリエチレンを製造するための重合プロセスから得られる排出流からのオレフィンモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流の分離方法に関する。分離されたモノマー、炭化水素希釈剤およびコモノマーは上記重合プロセスで再利用するのが好ましい。ビモダル(双峰)なポリエチレン(PE)とは互いに異なる条件下で運転される直列に接続した2つの反応装置を用いて製造されるPEを意味する。モノモダル(単峰)なポリエチレン(PE)とは単一の反応装置か、全く同じ操作条件下で運転される2つの反応装置を直列に用いて作られる。
「重合スラリー」「ポリマースラリー」または「スラリー」という用語は実質的に高分子固体と液体とを含む二相組成物を意味する。固形物は触媒および重合されたオレフィン、例えばポリエチレンを含む。液体は不活性希釈剤、例えばイソブタン、溶けたモノマー、例えばエチレン、コモノマー、分子量制御因子、例えば水素、静電防止剤、汚染防止剤、スカベンジャ、その他の添加剤を含む。
「蒸留系」「分離システム、装置」「回収システム、装置」という用語は同義語で重合反応の排出流から未反応反応物を分離し、回収するのに適した任意の機器から成るシステムを意味する。この種の回収システムは一般に一つ以上の蒸留塔を含む。「蒸留帯域」「蒸留塔」という用語は同義語である。本発明の好ましい実施例では本発明蒸留方法は一つ以上の蒸留帯域またはカラムから成る蒸留系で実行される。
本発明の好ましい実施例では蒸留塔の少なくとも一つはトレー式カラムである。このトレー式カラムは蒸気と液体との間をより良く接触させるため液体をホールドする各種のトレイを有している。各トレイは本質的に単位操作を行ない、液体と気体との間で部分分離を行なう。より多くのトレイがある程より良い分離度が得られ、従って、より良いカラム性能が得られることは明らかであるが、多数のトレイを有する蒸留塔の使用は特に建設コストの面で不利である。従って、本発明では少ない数のトレイ、好ましくは25以下、より好ましくは20以下のトレーを有するカラムを有する蒸留系で運転する。以下で詳細に説明するように、本発明の蒸留系の運転法は改良されているので、本発明でトレイ数が少ない蒸留塔を使用しても、より多くのトレイを有する高段数のカラムと類似した分離度を達成することができる。蒸留方法を適用することでエネルギー量が減り、建設コストが低下するという利点が得られる。
本発明の別の実施例では、本発明蒸留方法を分割壁蒸留塔または分割壁カラムで実行できる。この種のカラムはタンクの高さ全体または一部を片側から他方を分離する垂直パーティションを有する蒸留タンクである。このカラムは多数のトレイから成るが、単一カラムを使用して建設コストおよび必要エネルギー条件を下げることができる。
本発明の他の別の実施例では、本発明の蒸留方法を充填カラムで実行できる。充填カラムではカラムを固体粒子を通って液体が流れ、気体が上昇する。
一般に、重合プロセス後、ポリマーはフラッシュ蒸発によって液体から分離される。本発明では、得られる蒸気状の供給流はモノマー、例えばエチレンと、コモノマー、例えば1−ヘキセンと、希釈剤、例えばイソブタンとから成り、これらは一つまたは複数の蒸留帯域から成る分離システムでモノマー、コモノマーおよびの希釈剤の各流れに分離される。分離されたモノマー流、コモノマー流および希釈剤流は更なる使用、例えば重合反応での使用のために回収される。フラッシュタンクから来る蒸気状供給流中には痕跡量の重質成分、例えばオリゴマーと、軽質成分、例えばN2、H2と、触媒毒成分、例えばO2、COおよびCO2およびホルムアルデヒドが含まれる。この触媒毒成分は触媒の活性に対して有害である。従って、これらを重合反応装置へ再導入することは触媒活性を大幅に乱し、重合交換効率を低下させる。従って、回収システムの最も重要な点は重合プロセスで再利用するために上記の有毒成分が実質的に残留量がない本質的に純粋な(コ)モノマー流および希釈剤流をいかに回収するかにある。
本発明方法では供給流が蒸留塔に導入され、実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る塔底流を取出し、炭化水素希釈剤から成る側流を取出し、オレフィンモノマーと、希釈剤およびその他の成分、例えばH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒドから成るオーバーヘッド蒸気流を取出すのに適した蒸留条件で運転する。
本明細書では、蒸留物流中の一つまたは複数の指摘した製品は、その製品を80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上を含むことを意味する。
塔底流は実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る。「実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤」「オレフィンフリーな希釈剤」という用語は同義語で、炭化水素希釈剤中のモノマーおよび/またはコモノマーの含有量が5000ppm以下、好ましくは1000ppm、より好ましくは100ppm以下であることを意味する。
使用したエチレン等のモノマーおよび/またはヘキセン等のコモノマーの痕跡量も実質的に含まないので、蒸留塔からのイソブタンのようなオレフィンフリーな炭化水素希釈剤の塔底流は貯蔵タンクへ送り、後で使用、例えば重合反応装置のフラッシング導管や循環ポンプ用、触媒製造時のマッド用に使用できる。このオレフィンフリーな希釈剤は単独重合または共重合の重合帯域または触媒希釈等の純粋な希釈剤が必要とされる任意の場所へ再循環できる。
一般に、蒸留塔からの炭化水素希釈剤の側流は貯蔵タンクに送られてから使われる。側流中のH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒドの成分の量は10ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下である。他の好ましい実施例では側流中に残るモノマーおよび/またはコモノマーの量は25%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。側流製品用貯蔵タンク中のモノマー量が多いと蒸着し、モノマーのロスになる。側流製品中のモノマー量を25%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下に保つことによって貯蔵タンクからのモノマーの蒸着量を減すことができ、大気条件下での側流製品の貯蔵が可能になる。一般に、蒸留帯域から出た側流からの炭化水素希釈剤は重合反応装置で単独重合または共重合で重合されるモノマーの希釈剤として使用される。特に、ビモダルな運転下で重合する場合およびモノモダルな運転下で第1および第2の反応装置で重合する場合の重合反応装置の希釈剤としての用途に適している。
ホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の軽質成分は蒸気流として残留モノマーおよび希釈剤と一緒に蒸留帯域を出る。伴出された希釈剤およびモノマーの大部分は脱気凝縮器を通って回収される。上記の軽質成分はエチレン回収装置(ERU)でさらに処理され、残留するモノマーおよび炭化水素希釈剤から軽質成分が分離される。ERUに送られる希釈剤の量は50%以下、好ましくは30%以下であるのが好ましい。ERUに送られるモノマーの量は50%以下であるのが好ましく、ERU装置で回収されたモノマーおよび希釈剤は重合プロセスで再利用するのが好ましい。
本発明の一つの実施例では、本発明の蒸留方法が蒸留系で実行される。そして、それは一つの蒸留帯域またはカラムから成る。
好ましくは、前記カラムは、以下から成ることができる:
分割された壁蒸留塔または分割された壁カラム。
他の実施例において、現在の蒸留方法は2つの蒸留帯域またはカラムから成る蒸留系において実行される。この場合、本発明は下記段階から成る方法を提供する:
(a) 炭化水素含有供給流を第1の蒸留帯域へ送って、供給流を(a1)コモノマーと炭化水素希釈剤とから成る塔底流と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、オレフィンモノマーと、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分とから成るオーバーヘッドとを除去するのに適した蒸留条件とし、
(b) 階段(a)のオーバーヘッド流を第2の蒸留帯域へ導入して、この記流れを(b1)実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る等底流と、(b2)炭化水素希釈剤から成る側流と、(b3)オレフィンモノマー、希釈剤およびその他の成分、例えばホルムアルデヒド、H2、N2、O2、CO、CO2から成るオーバーヘッド蒸気流とを除去するのに適した蒸留条件とする。
本発明のさらに他の実施例では、本発明蒸留方法を3つの蒸留帯域またはカラムから成る蒸留系で実行する。この場合、本発明は下記段階から成る方法を提供する:
(a) 上記供給流を第1の蒸留帯域へ送って、(a1)コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る塔底流と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、その他の成分、例えばH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒドから成るオーバーヘッド流とを除去するのに適した蒸留条件とし、
(b) 階段(a)の塔底流を第2の蒸留帯域へ送って、(b1)コモノマーから成る塔底流と、(b2)炭化水素希釈剤から成るオーバーヘッド流とを除去するのに適した蒸留条件とし、
(c) 階段(a)のオーバーヘッド流を第3の蒸留帯域へ導入して、(c1)実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る塔底流と、(c2)炭化水素希釈剤から成る側流と、(c3)オレフィンモノマー、希釈剤およびその他の成分、例えばホルムアルデヒド、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒドから成るオーバーヘッド蒸気流とを除去するのに適した蒸留条件にする。
(b2)の流れ中の炭化水素希釈剤は第1の蒸留帯域へ返すことができる。
本発明方法の特に大きな特徴は、本発明方法では塔底流の少なくとも一部を側流と結合する階段を含む点にある。一般に、蒸留塔および側流から出たオレフィンフリーな炭化水素希釈剤の塔底流は炭化水素希釈剤用の分離貯蔵タンクへ送られる。本発明方法で必要に応じて蒸留塔から得た塔底流の少なくとも一部を蒸留塔で得た側流の貯蔵タンクへ加える。塔底流用貯蔵タンクの塔底流のレベルが所定レベル以上になった場合に、例えば、塔底流の少なくとも一部が側流タンクに加えられる。側流を塔底流で「希釈する」ことによって塔底流製品用貯蔵タンクの製品のレベルを制御することができる。
本発明のさらに他の実施例では、蒸留塔へ導入する前に供給流を凝縮して凝縮物を得て、その凝縮物を凝縮物用タンク(還流ドラム)に保存する。
側流に塔底流の一部を供給することは、供給流の流速に対する塔底流の流速のレシオを制御するため、そして、特に理論的に要求されるレシオ設定点またはリアル・タイムで決定されるレシオ設定点に合わせるために必要である。
本発明方法では蒸留塔から除去された塔底流(16)の流速を下記の工程で制御する:
(1)B’を塔底流(16)の流速、F’を供給流(9)供給速度とした場合、B’/F’に等しいレシオ設定点(R’)を決定し、
(2)蒸留塔(3)に導入した供給流(9)の実際の流速(F)を測定し、
(3)実際の供給流の流速(F)に上記のレシオ設定点(R’)を掛けて塔底流れ(16)の理論流速(B*)を計算し
(4)蒸留塔(3)から除去した塔底流(16)の実際の流速(B)を測定し、
(5)蒸留塔(3)に対する凝縮物タンク(14)からの還流流れ(15)の流速を制御して、実際の塔底流の流速(B)を理論塔底流の流速(B*)に合わせる。
従って、還流の流速は理論的な塔底流の流速(B*)と合うように制御される。
一般に、ここで使用する「設定点」という用語は自動または手動で決定した値を意味することに注意されたい。本発明の一つの実施例ではこのレシオ設定点(R’)は理論的に決定される。例えば[図3]の制御図に示す本発明の他の実施例では、レシオ設定点(R’)はリアルタイムで制御されて、蒸気流を所望の流速にする。
「還流流れ」という用語は凝縮物タンクから蒸留塔へ返される炭化水素希釈剤から成る製品流を意味する。
本発明方法ではレシオ設定点は1.0以下、好ましくは0.3〜1.0の間、さらに好ましくは0.4〜0.95の間、そして、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9にすることができる。本発明方法に適した供給流の流速に対する塔底流の流速のレシオ(比)設定点はオレフィンフリーな希釈剤製品が得られ、軽質成分が充分に除去されたものがERUへ送られるように手動または自動で調節できる。本発明の蒸留系の制御、特に、塔底流の流速を上記定義のレシオ設定点に合わせる制御を行なうことでオーバーヘッド蒸気流の量を増やすことができ、その結果、側流中に存在する軽質毒物の量を減らすことができる。
蒸留塔の操作の他の改良点は蒸留塔の蒸留条件を安定させる改良を含む。それのために本発明方法の好ましい実施例では蒸留塔で得られた蒸気流の一部を制御された蒸気流速下にリボイルし、リボイルされた塔底流の一部を蒸留塔へ戻す階段を含む。本発明の好ましい実施例では本発明方法は蒸留塔の温度の関数として蒸気流の速度を制御する。蒸気の流速はカラムの下から半分以下に位置するトレイ、すなわち、カラムの高さの1/2以下、より好ましくはそれより低い位置、好ましくはカラムの高さの1/4以下に位置するトレイ上の温度の関数として制御する。蒸気の流速を蒸留温度の関数として制御することで適切な内部還流と分離品質が得られ、蒸留圧力に対する大きなボイルアップ速度の変動に対する影響を除去することができる。本発明方法の他の重要な効果は蒸留法でのスチームの消費費が大きく減少する点にある。平均スチーム消費量とそれに関するコストを大幅に減少させることができる。
また特に、本発明では蒸留塔の塔低流の品質を表すのに適した敏感なトレイ温度が識別される。この温度はリボイラ蒸気流速を制御する温度調節システムの入力パラメータとして使用される。さらに、蒸留帯域の圧力変動に調節系ができるだけ無感応となるようにするために制御装置システムが比較的に遅い反応を得るように制御装置パラメータを選択した。そうすることによってカラムの長期的な変動、例えば流量変化が補正され、短期の圧力変動は制御装置システムをパスし、リボイラへの不必要な蒸気流速の修正を避けることができる。
事実、カラムの圧力が変動すると、カラムのあらゆる所の温度が変化するが、それが組成物の変動にリンクされない。「速い」制御装置を使用した場合、カラム圧力の変動とそれに起因する温度変化、特にリボイリング蒸気流の制御に使用する敏感なトレイ上の温度変化は、例えば組成物が同じままの場合でも、制御装置によって組成変動と解釈される。この見せかけの組成変化を訂正するために制御装置はリボイラへの蒸気の流速を増減して真の望ましくない組成物に変える。圧力がその正しい値に戻ったときにはトレイもその設定点から離れており、新しい蒸気流速に調節されている。このサイクルが繰り返され、システムは振動する。
上記の振動問題を避けるために、本発明では遅い制御装置を使用する。制御装置を「遅く」することによって速い圧力変動に起因する温度変化は無くなり、制御装置に蒸気流速を修正する前に充分な時間があるので、上記の振動問題を避けることができる。
上記のように、本発明の好ましい実施例では蒸留塔に導入する前に供給流を、凝縮して凝縮物を得て、その凝縮物を凝縮物タンク(還流ドラム)に保存する。本発明の実施例の蒸留方法では、側流の流速を凝縮物タンクのレベルに合わせる階段を含む。そのための、レベル制御装置で凝縮物タンクの凝縮物のレベルを測定し、側流用貯蔵タンクへ送られる凝縮物の量を例えば弁(凝縮物タンクから側流を除去するためのライン上に設ける)の開口度を操作して制御する。
本発明の他の実施例では、本発明方法が追加の安全レベル制御装置によって凝縮物タンクの還流流速を制御する階段をさらに有する。それによって、凝縮物タンクがドライアウトし、還流ポンプが止まる恐れがあるときに、還流の流速の制御を取って代わって行なう。
本発明の他の実施例では、本発明方法は塔底流に蒸留塔の塔底タンクレベルを適応させる階段をさらに有する。そのために、レベル制御装置で塔底タンクのレベルを測定し、塔底流を蒸留塔から除去して塔底流用貯蔵タンクへ送るライン上に設けた弁の開口度を操作することによってカラムから除去される塔底流の量を制御する。
本発明のさらに他の実施例では、本発明方法は追加の安全レベル制御装置によって蒸留塔の塔底タンクのレベルを制御する階段をさらに有する。このレベル制御装置は塔底タンクが過剰充填される危険のあるときに塔底タンクレベルの制御を引き継ぐ。
本発明はポリエチレンを製造するための重合プロセスから得られる排出流であるオレフィンモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流の分離を最適化するのに特に適している。本発明方法はモノモダル(単峰)またはビモダル(双峰)モードのポリエチレンを製造するための重合プロセスから得られる炭化水素含有供給流の分離に適用できる。この点でポリエチレンをモノモダル(単峰)からビモダル(双峰)な方法で製造する際に蒸留系の運転条件を大幅に変えずに滑らかに転換できる。本発明の特に好ましい実施例では、本発明方法に従って分離された炭化水素希釈剤、モノマーおよびコモノマーを重合プロセスで再利用される。
以下、本発明を添付の図面を用いて説明する。添付図面は本発明の回収プロセスの概念的フロー図と装置、特に、使用される蒸留帯域またはカラムを示している。
[図1]に示すように本発明の蒸留系100は図示していないエチレン回収装置と、3つの蒸留塔2、3、4とで構成できる。一般に、本発明に従ってこの蒸留系で分離される炭化水素含有供給(フィード)流1は重合反応装置のフラッシュタンクおよびパージカラムから来るオーバーヘッド流である。すなわち、このフラッシュタンクおよびパージカラムでは溶剤(希釈剤)、ポリマーおよび未反応モノマーを含んだ流れがフラッシュされ、溶剤または希釈剤およびモノマーが処理され、除去される。本発明に従って分離される好ましい成分流はエチレン等のモノマー、1−ヘキサン等のコモノマーおよびイソブタン等の希釈剤から成る。しかし、供給流蒸気が炭化水素から成り、蒸留で分離ができる限り、他のモノマー、コモノマーおよび希釈剤の系にも本発明の蒸留系は適用できるということは理解しなければならない。上記排出流中には一般に重質成分、例えばオリゴマーおよび軽質成分、例えばホルムアルデヒドと、N2、H2およびO2、COおよびCO2等の成分も存在している。
第1の蒸留塔2はイソブタン、ヘキセンおよび重質分の混合物の間でラフなカットを行い、重質分を塔底から液体5として出す。この重質ボトム液は第2の蒸留塔4で処理されて3つの製品流に分離される。最上部の製品6として出るイソブタン蒸気は第1カラム2の供給流として戻すか、重合帯域へ再循環する。精製された液体ヘキセン流7は塔底タンク(sump)の直ぐ上のトレイから取り出され、貯蔵器へ送られ、重合装置へ再循環される。重質成分8はカラム4の塔底タンクから取り戻される。この抜き出し作業は塔底温度が高くなったときに開始される。第1の蒸留塔2の最上部9から出る残りのモノマー、イソブタンおよび全ての軽質成分は蒸気流となって第3の蒸留塔3へ送られてさらに分離される。
第3の蒸留塔3は3つの製品流を生じる。詳細には、この蒸留塔3は残余量(コ)モノマーを含んでいるイソブタン希釈剤およびモノマー、追加の残留イソブタンおよびホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の成分からなる軽質蒸気流からオレフィンフリーなイソブタン希釈剤を分離するのに使用される。純粋なイソブタンすなわち「実質的にオレフィンを含まない」イソブタンが塔底10から液体で獲得られる。ホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の成分からなる軽質蒸気流12はエチレンおよび若干の残留イソブタンと一緒に蒸留塔3を出て、さらに精製され、分離される。残りのイソブタンはカラム3から液体の側流11として出る。従って、第3の蒸留塔では実質的にオレフィンフリーなイソブタン希釈剤が塔底流として分離され、残余量のエチレンを含んだイソブタン希釈剤が側流として蒸留できる。これらの実質的にオレフィンフリーなイソブタン希釈剤およびイソブタン希釈剤は重合プロセスへ再循環され、再利用される。また、蒸気流12から分離されたイソブタン希釈剤およびエチレンモノマーも重合プロセスへ再循環され、再利用される。
[図2]および[図3]を参照すると、これらの図は第1のカラム2の最上部(図1を参照)から出たモノマー、イソブタン希釈剤およびホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の成分から成る蒸気流9の分離方法を示している。図示した第3の蒸留帯域は、蒸留塔3と、側流製品を保存するための第1の貯蔵タンク22と、塔底流製品を保存するための第2の貯蔵タンク17とを有している。蒸留塔3はオーバーヘッド流9の凝縮物を保存するための凝縮物タンク14に接続されている。
第1の蒸留塔2(図1)から除去された炭化水素含有供給流はライン9を介して水冷式熱交換器または凝縮器13を通る。生成した凝縮物は凝縮物タンク14へ送られる。この凝縮物タンク14からエチレンと、イソブタンと、ホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の軽質成分とから成る液体凝縮物の一部はライン15を経由して第3の蒸留塔3へ供給流として送られる。蒸留塔3の内部条件は、実質的にエチレンを含まないイソブタン希釈剤から成る塔底流16が得られるようにする。この塔底流16は蒸留塔3の下部からライン16を経由して除去され、水冷式熱交換器(図示せず)へ送られ、貯蔵用および更なるハンドリング用のタンク17へ送られる。
残りの量のイソブタン希釈剤およびエチレンはライン21を経由して凝縮物タンク14から側流21として液体で第3の蒸留塔3から除去され、貯蔵用および更なるハンドリング用の貯蔵タンク22へ導入される。イソブタン希釈剤はライン23を経由してタンク22から除去される。ホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2等の軽質成分は凝縮物タンク14から残留エチレンおよびいくらかの残留イソブタンと一緒に蒸気流として蒸留塔3を出て、ベンド凝縮器(図示せず)を通り、エチレン回収装置24で更に処理され、伴出された大部分のイソブタンが回収される。
第3の蒸留帯域には塔底流16の一部を制御された蒸気流速下でリボイルするための手段(デバイス)がさらに備えてある。この蒸気の流速の制御はレベル制御装置で行なうことができる。より詳細には、塔底流の一部を蒸留塔3のリボイラ熱として使用する。すなわち、塔底流の一部を蒸気加熱された熱交換器19を通し、加熱流をライン18を経由して蒸留塔3に返す。イソブタン希釈剤はライン20を経由してタンク17から除去されて単独重合反応装置または共重合反応装置のいずれかへ再循環される。
実際には温度調節器58を用いて塔底品質を表す制御に敏感なトレイ温度を制御する。すなわち、測定温度が所定温度と異なる場合にリボイラ19へのフィード蒸気39のライン上に設けた弁43の開口度を制御する。カラムの下半分に位置したトレイの温度を上記温度調節器58で測定するのが好ましい。
上記蒸留系にはいくつかの制御装置が備えられている。特に、第3の蒸留帯域には除去用ライン20を側流用の貯蔵タンク22へ接続するための手段またはデバイスが備えられている。過剰なエチレンを含まないイソブタン希釈剤はライン25を介して残余量のエチレンを含んだイソブタン希釈剤用貯蔵タンク22へ送られる。これによって再循環に必要な量より多くのエチレンを含まないイソブタン希釈剤を生産できる。すなわち、過剰な生産を側流製品に加えることができる。
より詳細には、好ましい実施例では塔底流16を蒸留塔から除去し、塔底流の貯蔵タンク17へ供給する。同様に、側流21も側流用の貯蔵タンク22へ供給する。フィードライン25は塔底タンク17から塔底液体を除去する底流第のライン20を側流用の貯蔵タンク22と接続している。貯蔵タンク17中に存在する塔底流のレベルをレベル制御装置57を使用して測定する。その測定レベルを所定レベルと比較し、測定レベルが所定レベルを越えている場合には塔底流の少なくとも一部を側流用タンク22へ送る。レベル制御装置57は除去用ライン20を側流用の製品貯蔵タンク22へ接続するライン25に設けた弁40の開口度を走査することによって貯蔵タンク17中の塔底流製品のレベルを制御する。この目的は塔底流用の貯蔵タンク17のレベルを相対的に一定値に保つことにある。
本発明方法はレシオ(ratio)制御装置(図示せず)によって第3の蒸留帯域へ導入されたオーバーヘッド流9の流速に対する第3の蒸留帯域から除去された塔底流16の流速の比(ratio)を合わせる階段を含んでいる。従って、このレシオ制御装置はオレフィンフリーなイソブタンの塔底流16とライン9を経由したカラムへの供給流との間の割合を制御する。この割合はライン15を介したカラムへの還流量を制御し、ライン15上の制御弁27の開閉操作で制御する。そうすることによって塔底からの抜き出し速度を下流の変動から独立させることができる。オレフィンフリーなイソブタンの抜き出し速度に影響するのはライン9を通るカラムへの供給速度の変動だけである。上記レシオを適切な設定点値に選択することによって、全ての状況において、オレフィンフリーなイソブタンが充分な量だけ製造し、側流のイソブタンの生産量を減らすことができ、全て軽質成分が伴出されるようにエチレン回収装置への蒸気流速を適切に確保することができる。
実際には上記レシオ(すなわち供給流9の流速に対する塔底流16の流速の比)の設定点はレシオ制御装置によってセットされる。流量制御装置50はレシオ制御装置の設定点を操作することによってオーバーヘッド流112従ってエチレン回収装置へ排出される軽質成分の量を制御する。このレシオの設定点は所望するオーバーヘッド流の流速の関数であり、このレシオの設定点は1.0以下が好ましく、例えば0.3〜1.0、好ましくは0.4〜0.95の間にする。
蒸留塔3への供給流9の流速は流速測定器51で測定する。測定された流速とレシオ設定点とを用いて乗算器52で塔底流速16の設定点または理論値を計算する。特に、この種の乗算器52ではフィード流の速度にレシオ設定点を掛け、その計測値を流れ制御装置53の設定点として使用して塔底流速16を制御する。流れ制御装置53は還流流速制御装置54を介して還流流15の流速を操作して塔底の流速を制御する。還流流速制御装置54は、凝縮物タンク14と蒸留塔3とを接続している還流ライン15上に設けた弁27の開口度を操作することによって還流の流速15を制御する。
本発明方法はさらに、蒸留塔の塔底タンク26のレベルを制御する階段を有している。この蒸留塔の塔底タンク26のレベルは、蒸留塔の塔底タンク26のレベルを測定するレベル制御装置59で制御され、測定したレベルが所定レベルと異なる場合に、蒸留塔3から塔底流16を除去するためのラインに設けられた弁28の開口度を操作することによって調節される。
本発明方法にはさらに、凝縮物タンクの還流の流速を制御する階段を有する。測定したレベルが所定のレベルから違った場合、レベル制御装置56は凝縮物タンク14から側流21を除去するライン上に設けたに弁41の開口度を操作することによって凝縮物タンク14中のレベルを制御する。さらに、測定した圧力が所定圧力から違った場合、圧調節器55はオーバーヘッド流112を除去するためのラインに設けた弁42の開口度を操作することによって蒸留塔3の凝縮物タンク14の圧力を制御する。
上記蒸留系には少なくとも2つの大きな外乱に対応するための更なる開発が加えられている。特に、本発明には2つの追加の安全制御装置が備えられている。それは供給流に重大な変化があったときに蒸留系を運転可能にし且つ変化した供給条件下で安定性を維持したまま運転できるようにするものである。その一つの安全制御装置60は凝縮物タンク14に加えた追加のレベル制御装置から成る。本実施例ではこの追加のレベル制御装置60は凝縮物タンクがドライアウト(還流ポンプが止まる)恐れのあるときに常に還流速度を代わって行なうために凝縮物タンク14に加えられる。問題はカラムへの供給9が停止または急激に減少する場合に起こる。この場合、還流ドラム14のレベルは急速に低下する。しかし、ポンプ31の還流を保護するために、このタンクが完全に空になることは避けなければならない。凝縮物タンクがドライアウトの恐れがある場合にはいつでもこの制御装置60が還流速度の制御を引き継ぐ。従って、本発明ではこの追加の制御装置60を使用して還流制御弁27の操作を制御し、その開口度を下げて還流量を減少させる。
本発明の他の実施例では、追加のレベル制御装置61が第3の蒸留塔の塔底タンクに加えられる。塔底品質が不充分な場合にオレフィンフリーなイソブタンの排出弁28が閉じた時には別の問題が生じる。オンライン・アナライザ29によってオレフィンフリーな希釈剤流中に過剰な量のモノマーおよび/またはコモノマーが含まれることがモニターされた場合、塔底流の制御弁28を自動的に閉じて、貯蔵タンク17に品質の悪い製品が送られるのを避ける必要がある。そうした場合に、塔底タンク26への充填を開始し、過剰充填にすることもできる。本発明ではこの追加の制御装置61を使用して還流制御弁27の操作を制御し、その開口度を下げて還流量を減らす。
各レベル制御装置56、59は通常の設定点値X%およびY%をそれぞれ有している。Xは凝縮物タンクの凝縮物のレベルに対応し、Yはカラム塔底タンクの製品のレベルに対応し、一般には両方とも50%である。安全レベル制御装置61は設定点を常に(X−5)%にし、安全レベル制御装置60は設定点を常に(Y+5)%にして、対応するレベルが設定点から5%超えた時にこれらの追加の制御装置が作動するようになっている。両方の安全レベル制御装置は作動が必要な場合に迅速に反応するために、極めて「積極的」(ゲインが高く、積分時間が短い)になっている。
本発明にはさらに、流量制御装置53、54および安全レベル制御装置60、61に操作可能な状態で連結され3方向ロー(低)セレクター62が備えてある。還流速度の流速制御装置54の設定点はこのスリーウェイローセレクター62により決定されて、下記の3つの設定点の中で最も低い設定点を選択する:
(1)塔底流16を制御する流量制御装置53によって決定される第1の設定点、(2)凝縮物タンクの安全レベル制御装置であるレベル制御装置60によって決定される第2の設定点、
(3)塔底タンク26の安全レベル制御装置であるレベル制御装置61によって決定される第3の設定点。
通常状態では設定点は制御装置53によって決定されるが、供給条件が変化したときには制御装置60および/または61が決定した設定点が優先する。
本発明方法にはさらに、圧力調節器55が備えられている。この圧力調節器55は、測定した圧力が所定圧力と異なったときに、オーバーヘッド流112を除去するためのライン上に設けた弁42の開口度を操作して蒸留塔3の凝縮物タンク14の圧力を制御する。
[図3]に例示した本発明方法で実行される制御手順の要約は以下のようなものである:
流量制御装置50はレシオ制御装置の設定点すなわち供給流の流速9に対する塔底流の流速16の比を操作することによってオーバーヘッド流112を制御する。
流量測定装置51は蒸留塔3への供給流9の流速を測定する。この測定値と設定点とを用いて乗算器52で塔底流16の設定点を計算するのに使用する。
乗算器52は供給流の流速に設定点を掛け、その結果を流れ制御装置53の設定点として送り、底流速16を制御する。
流量制御装置53は還流流速制御装置54を介して還流速度15を操作して塔底流の流速を制御する。
流速制御装置54は還流15の弁27の開口度を操作して還流15の流速を制御する。この制御装置の設定点は3方向ローセレクター62によって与えられる。この3方向ローセレクター62は流れ制御装置53(塔底流16の制御装置)、安全レベル制御装置60(凝縮物タンク14の追加のレベル制御装置)および安全レベル制御装置61(塔底タンク26の追加のレベル制御装置)から来る3つの設定点の中で最も低い設定点を選択する。通常状態での設定点は流れ制御装置53から来る。
圧力調節器55は制御オーバーヘッド流112の弁42の開口度を操作して蒸留塔3の凝縮物タンク14の圧力を制御する。
レベル制御装置56は側流21の弁41の開口度を操作して凝縮物タンク14のレベルを制御する。
レベル制御装置57は取出しライン20から製品貯蔵タンク22へライン25への弁40の開口度を操作して貯蔵タンク17の塔底流製品のレベルを制御する。
温度調節器58はリボイラ19に至る蒸気の流速39の弁43の開口度を操作してボトム品質を表す敏感なトレイ温度を制御する。
レベル制御装置59は塔底流16上の弁28の開口度を操作して塔底タンク26のレベルを制御する。
レベル制御装置60は凝縮物タンク14に加えた追加のレベル制御装置で、凝縮物タンクがドライアウトになる恐れのあるときに還流流速の制御を引き継ぐ。
レベル制御装置61は塔底タンクに加えた追加のレベル制御装置で、塔底タンクの過剰充填の恐れのあるときは常に還流流速の制御を引き継ぐ。
[図4]は単一の蒸留塔30から成る本発明の蒸留系101の他の実施例を表している。この蒸留系ではイソブタン希釈剤、エチレンモノマーおよびヘキセンコモノマーから成る炭化水素含有供給流1を以下のように分離する。すなわち、蒸留塔30は供給流1を以下のように分離する:
(1)液体の塔底製品108として出る重質成分(カラム30の塔底タンクからバッチで回収できる)
(2)回収され、重合反応装置へ再循環するために貯蔵器へ送られる精製済みの液体ヘキセン流107、
(3)ライン120を介して液体製品として得られる実質的にオレフィンフリーなイソブタン希釈剤、
(4)ライン123を介して液体の側流製品としてカラム30を出る残留イソブタン希釈剤、
(5)エチレン、残留イソブタンおよびさらに他の成分(例えばホルムアルデヒド、H2、N2、O2、COおよびCO2)から成る軽質蒸気流(エチレン回収装置(ERU)に送られてエチレンとイソブタンが回収される)。
結論として、本発明は炭化水素含有供給流の最適化された蒸留方法および分離システムを提供する。本発明には種々のプロセスコントロールの改良が含まれ、その有利な効果によって炭化水素供給流中に含まれる他の成分から軽質成分がより良く分離できる。
以下、本発明の実施例の蒸留系を説明する。コモノマーとしての1−ヘキセンと炭化水素希釈剤としてのイソブタンとの存在下でエチレンを重合するモノモダル(単峰、monomodal)な重合プロセスからのイソブタン含有供給流を従来の蒸留系、特に塔底流と側流とを接続する手段を備えていないシステムへ送った。
比較のために、コモノマーとしての1−ヘキセンと炭化水素希釈剤としてのイソブタンとの存在下でエチレンを重合するためのモノモダル(単峰、monomodal)な重合プロセスからのイソブタン含有供給流を、塔底流と側流とを接続する手段を備えた本発明の蒸留系へ送った。
両方のシステムで質量流速(すなわちエチレン回収単位24(ERU)に送られる蒸気流112の流速)を連続的に測定した。また、凝縮物タンクの圧力を測定し、所定の設定点と比較した。
[図5]および[図6]にこれらの測定値の結果を示す。記載のパラメータは連続的に測定した。これらの図は数日間の1時間の平均値を表す。これらの図で設定点圧力は真直ぐな水平線で示してある。[図5]および[図6]のシステムでの圧力設定点はそれぞれ14bargおよび13.8bargである。圧力設定点の違いは両方のシステムで大きくは無い。2つの蒸留系間に観測された他の違いについては説明しない。
[図5]は、大部分の時間点で質量(蒸気)流速は非常に低いか、無い(ゼロに等しい)ことを示しており、これは蒸留系からの蒸気流を介した軽質成分の排出は少ないか無いことを示している。従って、軽質成分は側流に送られ、重合反応へ再循環されるイソブタンと一緒に再利用できる。この従来の蒸留系は希釈剤からH2、N2、O2、COおよび/またはCO2を含む軽質成分の最適分離状態以下の状態である。結果として、重合プロセスへのこれらの軽質成分を含んだ希釈剤の再利用は最適状態に及ばない重合条件となる。
さらに、[図5]から分かるように、凝縮物タンクの圧力は圧力設定点とかなり相違し、蒸留系が安定性に問題があることを示している。凝縮物タンクの状態は蒸留塔の条件を反映し、凝縮物タンクの圧力値の変動は蒸留塔の状態が大きく変動し、効果的な運転に有害であることを示している。
[図6]は本発明の蒸留系の状況を示し、大幅な質量(蒸気)流速を明らかに示し、平均値は約1000kg/時で、いずれもゼロより高い。その結果、このシステムは蒸留系から出る蒸気流中に含まれる軽質成分が許容範囲内で排出され、側流へ送られる軽質成分の量を減らすことができる。さらに、[図6]に示すように凝縮物タンクの圧力は全ての測定時間信で設定点圧力値に近いという事実から蒸留系が非常に安定していることを示す。このシステムを用いることで蒸留塔は相対的に一定条件下で使用でき、供給流を効率的に分離できる。
従来の蒸留系と本発明の蒸留系との間のいくつかの量的相違を示す下記の比較データ([表1])から本発明の蒸留方法およびシステムの効率および安定性が理解できる。
Figure 2014159401

Claims (20)

  1. 下記(1)と(2):
    (1)供給流(9)を蒸留塔へ送り、
    (2)上記供給流(9)を蒸留条件下に置き且つ
    (a)実質的にオレフィンを含まない(オレフィンフリーな)炭化水素希釈剤から成る塔底流(16)を除去し、
    (b)炭化水素希釈剤から成る側流(21)を除去し、
    (c)オレフィンモノマー、炭化水素希釈剤およびH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分から成る塔頂蒸気流(112)を除去する、
    階段を含む、オレフィンモノマー、コモノマーおよび炭化水素希釈剤から成る炭化水素含有供給流の分離方法において、
    上記塔底流の少なくとも一部を上記側流に供給(25)する階段をさらに含むことを特徴とする方法。
  2. 下記工程(1)〜(4)をさらに含む請求項1に記載の方法:
    (1)蒸留塔から塔底流(16)を除去し、この塔底流を塔底流用貯蔵タンク(17)に保存し、
    (2)蒸留塔から側流(21)を除去し、この側流を側流用貯蔵タンク(22)に保存し、
    (3)塔底流用貯蔵タンク(17)から塔底流(20)を除去し、
    (4)塔底流用貯蔵タンク(17)から除去(20)した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンク(22)へ供給する。
  3. 塔底流用貯蔵タンク(17)から除去(20)した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンク(22)へ供給する階段が、下記の工程で制御される請求項2に記載の方法:
    (1)塔底流用貯蔵タンク(17)の塔底流(16)のレベルを測定し、
    (2)測定したレベルを所定レベルと比較し、
    (3)測定レベルが上記の所定レベルを上回った時には塔底流用貯蔵タンク(17)から除去(20)した塔底流の少なくとも一部を側流用貯蔵タンク(22)へ供給する。
  4. 蒸留塔(3)へ導入する前に供給流(9)を凝縮して、得られた凝縮物を凝縮物タンク(14)に保存する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 上記の凝縮物を凝縮物タンク(14)から除去し、その少なくとも一部を還流流れ(15)として蒸留塔(3)へ返す請求項4に記載の方法。
  6. 蒸留塔(3)から除去した塔底流(16)の流速を下記の工程で制御する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (1)B’を塔底流(16)の流速、F’を供給流(9)供給速度とした場合、B’/F’に等しいレシオ設定点(R’)を決定し、
    (2)蒸留塔(3)に導入した供給流(9)の実際の流速(F)を測定し、
    (3)実際の供給流の流速(F)に上記のレシオ設定点(R’)を掛けて塔底流れ(16)の理論流速(B*)を計算し
    (4)蒸留塔(3)から除去した塔底流(16)の実際の流速(B)を測定し、
    (5)蒸留塔(3)に対する凝縮物タンク(14)からの還流流れ(15)の流速を制御して、実際の塔底流の流速(B)を理論塔底流の流速(B*)に合わせる。
  7. レシオ設定点が1.0以下である請求項6に記載の方法。
  8. 蒸留塔(3)で得られた塔底流(16)の一部を制御された蒸気流速下でリボイル(19)する階段と、リボイルしたもの一部(18)を蒸留塔(3)へ戻す階段とを有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 蒸気の流速を蒸留塔(3)の温度の関数で、好ましくは蒸留塔(3)の下半分より以下の位置にあるトレイ上の温度で制御する請求項8に記載の方法、
  10. 蒸留塔の塔底タンク(26)のレベルを制御する階段を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 凝縮物タンク(14)から蒸留塔(3)に至る還流流れ(15)の流速を制御する階段を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 下記の工程(a)と(b)をさらに有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法:
    (a) 供給流を蒸留塔(3)に供給する前に供給流を(a1)コモノマーから成る塔底流(5)と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分とから成るオーバーヘッド流(9)とに分離し、
    (b)オーバーヘッド流(9)を蒸留塔(3)へ供給する。
  13. 下記の工程(a)と(b)をさらに有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法:
    (a) 蒸留塔(3)に供給流を供給する前に供給流を(a1)コモノマーと炭化水素希釈剤とから成る塔底流(5)と、(a2)炭化水素希釈剤と、オレフィンモノマーと、オレフィンモノマーと、H2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の他の成分とから成るオーバーヘッド(9)とに分離し、塔底流(5)はさらにコモノマーから成る流れ(7)と炭化水素希釈剤から成る流れ(6)に分離し、
    (b) 上記のオーバーヘッド流(9)を蒸留塔(3)へ供給する。
  14. オレフィンモノマーと、コモノマーと、炭化水素希釈剤とから成る炭化水素含有供給流(9)が、ポリエチレンを製造、好ましくはモノモダル(単峰)またはビモダル(双峰)のポリエチレンを製造するための重合プロセスから得られる排出流である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 分離した炭化水素希釈剤、オレフィンモノマーおよびコモノマーを上記の重合プロセスで再利用する請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. オレフィンモノマーがエチレンであり、コモノマーが1-ヘキセンであり、炭化水素希釈剤がイソブタンである請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. オレフィンモノマーと、コモノマーと、炭化水素希釈剤とから成る炭化水素含有供給流(9)を下記の(1)〜(3):
    (1)実質的にオレフィンフリーな炭化水素希釈剤から成る塔底流(16)、
    (2)炭化水素希釈剤から成る側流(21)、
    (3)オレフィンモノマー、希釈剤およびH2、N2、O2、CO、CO2およびホルムアルデヒド等の成分から成るオーバーヘッド蒸気流(112)、
    に分離するための蒸留塔(3)を有する蒸留系であって、
    さらに下記(4)〜(7):
    (4)蒸留塔(3)に供給流(9)を供給するための供給ライン、
    (5)蒸留塔(3)から塔底流(16)を除去するための除去デバイス、この除去デバイスには除去された塔底流を保存するための塔底流用貯蔵タンク(17)が操作可能な状態で接続しており、この塔底流用貯蔵タンク(17)には塔底流用貯蔵タンク(17)から塔底流を除去するための除去ライン(20)が操作可能な状態で接続しており、
    (6)蒸留塔(3)から側流(21)を除去するための除去デバイス、この除去デバイスには除去された側流を保存するための側流用貯蔵タンク(22)が操作可能な状態で接続しており、この側流用貯蔵タンク(22)には側流用貯蔵タンク(22)から側流を除去するための除去ライン(23)が操作可能な状態で接続しており、
    (7)蒸留塔(3)からオーバーヘッド蒸気流(112)を除去するための除去デバイス:
    とを有する蒸留系において、
    除去ライン(20)が側流用貯蔵タンク(22)とを接続する接続ライン(25)を有する点を特徴とする蒸留系。
  18. 蒸留塔(3)へ導入する前に供給流を凝縮するための凝縮器(13)と、凝縮された供給流(9)を保存するための凝縮物タンク(14)とを有する請求項17に記載の蒸留系。
  19. 塔底流用貯蔵タンク(17)の塔底流のレベルを測定して、塔底流の少なくとも一部の側流への供給を盛儀するためのレベル制御装置(57)と、このレベル制御装置(57)に操作可能な状態で接続した、上記ライン(25)上に設けた弁(40)とを有する請求項17または18に記載の蒸留系。
  20. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法を実行するための請求項17〜19のいずれか一項に記載の蒸留系。
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